民2法制審議会第194回会議配布資料
民事訴訟法(IT化関係)等の改正に
関する要綱案 1民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する要綱案
目次
第1部 民事訴訟法の見直し ......................................................................................4
第1 インターネットを用いてする申立て等(訴え提起、準備書面の提出)等 .............4
1 インターネットを用いてする申立て等......................................................................4
2 書面等による申立て等に係る電子化(訴訟記録の電子化)....................................5
3 インターネットを用いてする申立て等によらなければならない場合.....................6
4 訴えの提起の手数料の納付命令及び原裁判所による即時抗告の却下.....................7
第2 送達................................................................................................................................7
1 電磁的記録の送達 ........................................................................................................7
2 公示送達........................................................................................................................8
第3 口頭弁論等....................................................................................................................9
1 口頭弁論の期日............................................................................................................9
2 陳述することができる準備書面..................................................................................9
3 準備書面の提出期間.....................................................................................................9
第4 当事者の申出による期間が法定されている審理の手続の特則 ..............................10
第5 争点整理手続等...........................................................................................................11
1 弁論準備手続..............................................................................................................11
2 書面による準備手続...................................................................................................12
3 審尋.............................................................................................................................13
4 専門委員制度..............................................................................................................13
第6 電磁的記録についての書証に準ずる証拠調べ.........................................................13
1 電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出..................................13
2 電磁的記録提出命令及び電磁的記録送付の嘱託等.................................................14
3 証拠となるべきものの事前の準備としての写しの提出 .........................................14
第7 証人尋問等..................................................................................................................14
1 証人尋問......................................................................................................................14
2 通訳人 .........................................................................................................................15
3 参考人等の審尋..........................................................................................................15
第8 その他の証拠調べ手続...............................................................................................15
1 鑑定.............................................................................................................................15 22 検証.............................................................................................................................16
3 裁判所外における証拠調べ.......................................................................................16
第9 訴訟の終了..................................................................................................................16
1 判決.............................................................................................................................16
2 和解.............................................................................................................................17
第10 訴訟記録の閲覧等...................................................................................................18
1 電磁的訴訟記録の閲覧等...........................................................................................18
2 公開禁止及び和解に関する訴訟記録の閲覧等.........................................................19
3 訴訟に関する事項の証明...........................................................................................19
4 補助参加人の記録の閲覧等.......................................................................................20
5 秘密保護のための閲覧等の制限................................................................................20
第11 再審、手形訴訟.......................................................................................................21
1 再審の事由..................................................................................................................21
2 手形訴訟における証拠調べの制限............................................................................21
第12 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則 ....................................................................21
第13 費用額確定処分の申立ての期限............................................................................21
第14 書記官事務の見直し...............................................................................................22
1 担保取消しと書記官権限...........................................................................................22
2 電子調書......................................................................................................................22
第15 被害者の氏名等を相手方に秘匿する制度.............................................................22
1 申立人の住所、氏名等の秘匿...................................................................................22
2 秘匿決定があった場合における閲覧等の制限の特則.............................................23
3 送達をすべき場所等の調査嘱託があった場合における閲覧等の制限の特則.......24
4 秘匿決定の取消し等...................................................................................................24
5 第三者の訴訟参加があったときの通知等................................................................25
6 IT化後における住所、氏名等の届出の方法等.....................................................25
第2部 民事訴訟費用等に関する法律の見直し......................................................26
第1 手数料の電子納付への一本化....................................................................................26
第2 郵便費用の手数料への一本化....................................................................................26
第3 過納手数料の還付等の書記官権限化........................................................................26
第3部 その他 ...........................................................................................................27
第1 被害者の氏名等を相手方に秘匿する制度に対応する改正......................................27
1 民事執行法の改正 ......................................................................................................27 32 人事訴訟法の改正 ......................................................................................................27
3 家事事件手続法の改正...............................................................................................27
第2 その他..........................................................................................................................28 4第1部 民事訴訟法の見直し
第1 インターネットを用いてする申立て等(訴え提起、準備書面の提出)等
1 インターネットを用いてする申立て等
電子情報処理組織を使用する方法による申立て等に関して、民事訴訟法(以
下単に
「法」
という。)第132条の10の規律を次のように改めるものとする。
(1) 民事訴訟に関する手続における申立てその他の申述(以下「申立て等」と
いう。
)のうち、当該申立て等に関する法その他の法令の規定により書面等
(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人
の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物
をいう。以下同じ。)をもってするものとされているものであって、
裁判所に
対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所
書記官に対してするものを含む。)については、
当該法令の規定にかかわらず、
最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処
理組織を使用して当該書面等に記載すべき事項を裁判所の使用に係る電子
計算機に備えられたファイル(以下単に「ファイル」という。
)に記録する方
法により行うことができる。
(2) (1)の方法によりされた申立て等(以下「電子情報処理組織を使用する申立
て等」
という。)については、
当該申立て等を書面等をもってするものとして
規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたも
のとみなして、当該法令の規定その他の当該申立て等に関する法令の規定を
適用する。
(3) 電子情報処理組織を使用する申立て等は、当該電子情報処理組織を使用す
る申立て等に係る事項がファイルに記録された時に、当該裁判所に到達した
ものとみなす。
(4) (1)の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等
(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以
下(4)において同じ。)をすることとされているものについては、
当該申立て等
をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判
所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなけ
ればならない。
(5) 電子情報処理組織を使用する申立て等がされたときは、当該電子情報処理
組織を使用する申立て等に係る送達は、当該電子情報処理組織を使用する申
立て等に係る法令の規定にかかわらず、当該電子情報処理組織を使用する申
立て等によりファイルに記録された事項に係る電磁的記録の送達によって 5する。
(6) (5)の方法により行われた電子情報処理組織を使用する申立て等に係る送
達については、当該電子情報処理組織を使用する申立て等に関する法令の規
定に規定する送達の方法により行われたものとみなして、当該送達に関する
法令その他の当該電子情報処理組織を使用する申立て等に関する法令の規
定を適用する。
(注1)電子情報処理組織を使用する方法により裁判所の使用に係る電子計算機に記録す
ることができるファイル形式及びファイル容量については、技術の進展に応じて適切
な規律を最高裁判所規則等に設けるものとする。
(注2)裁判所は、必要と認める場合において、当事者が電子情報処理組織を使用してフ
ァイルに記録したものに係るファイル形式と異なる他のファイル形式の電磁的記録
(音声情報に変換可能な情報を有する電磁的記録を含む。
)を有しているときは、その
者に対し、当該他のファイル形式の電磁的記録を提供することを求めることができる
旨の規律を最高裁判所規則に設けるものとする。
2 書面等による申立て等に係る電子化(訴訟記録の電子化)
書面等による申立て等に係る電子化に関する規律として、次のような規律を
設けるものとする。
(1) 申立て等が書面等により行われたとき(3(1)に違反して行われたときを除
く。)は、
裁判所書記官は、
当該書面等に記載された事項をファイルに記録し
なければならない。ただし、当該事項をファイルに記録することにつき困難
な事情があるときは、この限りでない。
(2) (1)の規律によりその記録された事項がファイルに記録された書面等によ
る申立て等に係る送達は、当該申立て等に係る法令の規定にかかわらず、(1)
の規律によりファイルに記録された事項に係る電磁的記録の送達をもって
代えることができる。
(3) (2)の方法により行われた申立て等に係る送達については、当該申立て等に
関する法令の規定に規定する送達の方法により行われたものとみなして、当
該送達に関する法令その他の当該申立て等に関する法令の規定を適用する。
(4) 裁判所書記官は、(1)に規律する申立て等に係る書面等のほか、民事訴訟に
関する手続において法その他の法令の規定に基づき裁判所に提出された書
面等又は電磁的記録を記録した記録媒体に記載され、又は記録されている事
項をファイルに記録しなければならない。ただし、当該事項をファイルに記
録することにつき困難な事情があるときは、この限りではない。 63 インターネットを用いてする申立て等によらなければならない場合
電子情報処理組織を使用する方法により申立て等をしなければならない場
合に関して、(1)から(3)までのような規律を設け、法第97条第1項を(4)のよう
に改めるものとする。
(1) 次のアからウまでに掲げる者は、それぞれに定める事件の申立て等をする
ときは、1(1)の方法により、これを行わなければならない。ただし、口頭で
することができる申立て等について、口頭でするときは、この限りでない。
ア 訴訟代理人のうち委任を受けたもの(法第54条第1項ただし書の許可
を得て訴訟代理人となったものを除く。
) 当該委任を受けた事件
イ 国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律
(昭和22年法律第194号)第2条、第5条第1項、第6条第2項、第
6条の2第4項若しくは第5項、第6条の3第4項若しくは第5項又は第
7条第3項の規定による指定を受けた者 当該指定の対象となった事件
ウ 地方自治法(昭和22年法律第67号)第153条第1項の規定による
委任を受けた職員 当該委任を受けた事件
(2)ア (1)アからウまでに掲げる者は、第2の1(2)アただし書の届出をしなけれ
ばならない。
イ 第2の1(2)アただし書の規律にかかわらず、(1)アからウまでに掲げる者
に対する第2の1(2)アの規律による送達は、その者が第2の1(2)アただし
書の届出をしていない場合であってもすることができる。この場合におい
ては、第2の1(2)ア本文の通知を発することを要しない。
ウ イの規律により送達をする場合における第2の1(2)エ(ウ)の規律の適用
については、
「ア本文の通知が発せられた日」
とあるのは
「アの措置がとら
れた日」とする。
(3) (1)の規律は、(1)アからウまでに掲げる者が裁判所の使用に係る電子計算機
の故障その他その責めに帰することができない事由により、電子情報処理組
織を使用する方法により申立て等を行うことができない場合には、適用しな
い。
(4) 当事者が裁判所の使用に係る電子計算機の故障その他その責めに帰する
ことができない事由により不変期間を遵守することができなかった場合に
は、その事由が消滅した後1週間以内に限り、不変期間内にすべき訴訟行為
の追完をすることができる。ただし、外国に在る当事者については、この期
間は、2月とする。
(注)申立て等を電子情報処理組織を使用する方法によりすることができる者は、申立て
等を電子情報処理組織を使用する方法によりするものとする旨の規律を最高裁判所規 7則に設けるものとする。
4 訴えの提起の手数料の納付命令及び原裁判所による即時抗告の却下
裁判所書記官による訴えの提起の手数料の納付命令及び原裁判所による訴
状却下命令に対する即時抗告の却下に関し、次のような規律を設けるものとす
る。
(1) 費用法の規定に従い訴えの提起の手数料を納付しない場合には、裁判所書
記官は、相当の期間を定め、その期間内に当該手数料を納付すべきことを命
ずる処分をしなければならない。
(2) (1)の処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ず
る。
(3) (1)の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から、1週間の不
変期間内にしなければならない。
(4) (3)の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
(5) 裁判所は、(3)の異議の申立てがあった場合において、(1)の処分において納
付を命じた額を超える額の訴えの提起の手数料を納付すべきと認めるとき
は、相当の期間を定め、その期間内に当該額を納付すべきことを命じなけれ
ばならない。
(6) (1)又は(5)の場合において、原告が納付を命じられた手数料を納付しないと
きは、裁判長は、命令で、訴状を却下しなければならない。
(7) (6)の命令に対しては、即時抗告をすることができる。ただし、即時抗告を
した者が、その者において相当と認める訴訟の目的の価額に応じて算出され
る費用法の規定による訴えの提起の手数料を納付しないときは、この限りで
ない。
(8) (7)ただし書の場合には、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければなら
ない。
(9) (8)の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第2 送達
1 電磁的記録の送達
電磁的記録の送達に関する規律として、次のような規律を設けるものとする。
(1) 出力書面による送達
電磁的記録の送達は、特別の定めがある場合を除き、法第99条から第1
08条までの定めるところにより、ファイルに記録された送達すべき電磁的
記録(以下単に「送達すべき電磁的記録」という。
)に記録されている事項を 8出力することにより作成した書面によってする。
(2) 電子情報処理組織による送達
ア 電磁的記録の送達は、(1)の規律にかかわらず、最高裁判所規則で定める
ところにより、送達すべき電磁的記録に記録されている事項につきエ(ア)
の閲覧又はエ(イ)の記録をすることができる措置をとるとともに、送達を
受けるべき者に対し、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用し
て当該措置がとられた旨の通知を発する方法によりすることができる。た
だし、当該送達を受けるべき者が当該方法により送達を受ける旨の最高裁
判所規則で定める方式による届出をしている場合に限る。
イ アただし書の届出をする場合には、最高裁判所規則で定めるところによ
り、ア本文の通知を受ける連絡先を受訴裁判所に届け出なければならない。
この場合においては、送達受取人をも届け出ることができる。
ウ ア本文の通知は、イにより届け出られた連絡先に宛てて発するものとす
る。
エ アによる送達は、次の(ア)から(ウ)までの時のいずれか早い時に、その効
力を生ずる。
(ア) 送達を受けるべき者が送達すべき電磁的記録に記録されている事項を
最高裁判所規則で定める方法により表示をしたものの閲覧をした時
(イ) 送達を受けるべき者が送達すべき電磁的記録に記録されている事項に
ついてその使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録をした時(ウ) ア本文の通知が発せられた日から1週間を経過した時
オ 送達を受けるべき者がその責めに帰することのできない事由によって
エ(ア)の閲覧又はエ(イ)の記録をすることができない期間は、エ(ウ)の期間
に算入しない。
2 公示送達
法第111条を次のように改めるものとする。
公示送達は、次の(1)又は(2)の区分に応じ、それぞれ(1)又は(2)に定める事項を
最高裁判所規則で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる
状態に置く措置をとるとともに、当該事項が記載された書面を裁判所の掲示場
に掲示し、又は当該事項を裁判所に設置した電子計算機の映像面に表示したも
のの閲覧をすることができる状態に置く措置をとることによってする。
(1) 書類の公示送達 裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達
を受けるべき者に交付すべきこと。 9(2) 電磁的記録の公示送達 裁判所書記官が、送達すべき電磁的記録に記録さ
れた事項につき、いつでも送達を受けるべき者に前記1(1)の書面を交付し、
又は前記1(2)ア本文による措置をとるとともに、1(2)ア本文の通知を発すべ
きこと。
第3 口頭弁論等
1 口頭弁論の期日
(1) 映像と音声の送受信による通話の方法(ウェブ会議等)による口頭弁論
映像と音声の送受信による通話の方法による口頭弁論に関するものとし
て、次のような規律を設けるものとする。
ア 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規
則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信に
より相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によ
って、口頭弁論の期日における手続を行うことができる。
イ アの期日に出頭しないでその手続に関与した当事者は、その期日に出頭
したものとみなす。
(2) 期日の指定及び変更
法第93条第1項の規律を次のように改めるものとする。
期日の指定及び変更は、申立てにより又は職権で、裁判長が行う。
2 陳述することができる準備書面
法第161条第3項を次のように改めるものとする。
相手方が在廷していない口頭弁論においては、次の(1)から(3)までのいずれか
に該当する準備書面に記載した事実でなければ、主張することができない。
(1) 相手方に送達された準備書面
(2) 相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出された場合
における当該準備書面
(3) 相手方が第10の1の規律により準備書面の閲覧をし、又は準備書面の複
写をした場合における当該準備書面
3 準備書面の提出期間
法第162条に次のような規律を加えるものとする。
法第162条の規定により定めた期間の経過後に準備書面の提出又は証拠
の申出をする当事者は、裁判所に対し、その期間を遵守することができなかっ
た理由を説明しなければならない。 10第4 当事者の申出による期間が法定されている審理の手続の特則
次のような規律を設けるものとする。
1 当事者は、裁判所に対し、第4の規律による審理及び裁判を求める旨の申出
をすることができる。
ただし、
次に掲げる訴えに関しては、
この限りではない。
(1) 消費者契約に関する訴え
(2) 個別労働関係民事紛争に関する訴え
2 当事者の双方が1の申出をした場合には、裁判所は、事案の性質、訴訟追行
による当事者の負担の程度その他の事情に鑑み、第4の手続により審理及び裁
判をすることが当事者間の衡平を害し、又は適正な審理の実現を妨げると認め
るときを除き、訴訟を第4の規律による審理及び裁判をする旨の決定をしなけ
ればならない。当事者の一方が1の申出をした場合において、相手方が第4の
規律による審理及び裁判をすることに同意したときも、同様とする。
3 1又は2の申出又は同意は、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論
又は弁論準備手続の期日においては、口頭ですることを妨げない。
4 訴訟が第4の規律による手続に移行したときは、通常の手続のために既に指
定した期日は、この手続のために指定したものとみなす。
5 2の決定があったときは、裁判長は、当該決定の日から2週間以内の間にお
いて口頭弁論又は弁論準備手続の期日を指定しなければならない。
6 裁判長は、5の期日において、当該期日から6月以内の間において当該事件
に係る口頭弁論を終結する期日を指定するとともに、口頭弁論を終結する期日
から1月以内の間において判決言渡しをする期日を指定しなければならない。
7 2の決定があったときは、当事者は、5の期日から5月(裁判所が当事者双
方の意見を聴いて、これより短い期間を定めた場合には、その期間)以内に、
攻撃又は防御の方法を提出しなければならない。
8 第4の規律による手続における証拠調べは、5の期日から6月(裁判所が当
事者双方の意見を聴いてこれより短い期間を定めた場合には、その期間)以内
にしなければならない。
9 裁判所は、7の期間が満了するまでに、当事者双方との間で、争点及び証拠
の整理の結果に基づいて、第4の規律による手続の判決において判断すべき事
項を確認するものとする。
10 第4の規律による手続における期日の変更は、法第93条第3項の規定にか
かわらず、やむを得ない事由がある場合でなければ、許すことができない。
11 次に掲げる場合には、裁判所は、訴訟を通常の手続により審理及び裁判する
旨の決定をしなければならない。 11(1) 当事者の双方又は一方が訴訟を通常の手続に移行させる旨の申出をした
とき。
(2) 提出された攻撃又は防御の方法及び審理の現状に照らして第4の規律に
よる手続により審理及び裁判をするのが困難であると認めるとき。
12 11の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
13 訴訟が通常の手続に移行したときは、第4の規律による手続のために既に指
定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。
14 第4の規律による手続の電子判決書に事実を記録するには、請求の趣旨及び
原因並びにその他の攻撃又は防御方法の要点を記録するものし、理由を記録す
るには、9により当事者双方との間で確認した事項に係る判断の内容を記録す
るものとする。
15 第4の規律による手続の終局判決に対しては、控訴をすることができない。
ただし、訴えを却下した判決に対しては、この限りでない。
16 第4の規律による手続の終局判決に対しては、訴えを却下した判決を除き、
電子判決書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に、その判決をした裁判
所に異議を申し立てることができる。ただし、その期間前に申し立てた異議の
効力を妨げない。
17 法第358条から法第360条まで及び第364条の規定は、16の異議に
ついて準用する。
18 適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。こ
の場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。
19 法第362条及び法第363条の規定は、18の審理及び裁判について準用
する。
(注) 裁判所と当事者双方は、
この規律の手続により審理及び裁判をするときは、
訴訟の進
行に関して必要な事項に関し協議を行うものとする旨の規律を最高裁判所規則に設ける
ものとする。
第5 争点整理手続等
1 弁論準備手続
(1) 弁論準備手続における訴訟行為等
法第186条、第205条、第215条及び第218条に、口頭弁論の期
日において、当事者に対し、調査嘱託の結果、尋問に代わる書面、鑑定人の
意見を記載した書面及び鑑定嘱託の結果
(以下
「調査嘱託の結果等」
という。)を提示しなければならない旨の規律を設けた上で、法第170条第2項を次
のように改めるものとする。 12裁判所は、弁論準備手続の期日において、証拠の申出に関する裁判その他
の口頭弁論の期日外においてすることができる裁判、文書(法第231条に
規定する物件を含む。)の証拠調べ、
第6の電磁的記録に記録された情報の内
容に係る証拠調べ及び調査嘱託の結果等の提示をすることができる。
(2) 電話会議等による弁論準備手続
法第170条第3項を次のように改めるものとする。
裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則
で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に
通話をすることができる方法によって、弁論準備手続の期日における手続を
行うことができる。
2 書面による準備手続
(1) 法第175条を次のように改めるものとする。
裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を書面によ
る準備手続(当事者の出頭なしに準備書面の提出等により争点及び証拠の整
理をする手続をいう。
)に付することができる。
(2) 法第176条を次のように改めるものとする。
ア 同条第1項を削除する。
イ 同条第2項を次のように改める。
裁判長は、書面による準備手続を行う場合には、法第162条に規定す
る期間を定めなければならない。
ウ 同条第3項を次のように改める。
裁判所は、書面による準備手続を行う場合において、必要があると認め
るときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方
が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、争点
及び証拠の整理に関する事項その他口頭弁論の準備のため必要な事項につ
いて、当事者双方と協議をすることができる。この場合においては、協議
の結果を裁判所書記官に記録させることができる。
エ 同条第4項を次のように改める。
法第149条、第150条及び第165条第2項の規定は、書面による
準備手続について準用する。
(3) 受命裁判官による書面による準備手続に関する規律として、次のような規
律を設けるものとする。
ア 裁判所は、受命裁判官に書面による準備手続を行わせることができる。
イ 書面による準備手続を受命裁判官が行う場合には、法第176条の規定 13による裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。ただし、同条第4
項において準用する法第150条の規定による異議についての裁判は、受
訴裁判所がする。
3 審尋
電話会議等による審尋の期日における手続に関する規律として、次のような
規律を設けるものとする。
(1) 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則
で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に
通話をすることができる方法によって、審尋の期日における手続を行うこと
ができる。
(2) (1)の期日に出頭しないでその手続に関与した当事者は、その期日に出頭し
たものとみなす。
4 専門委員制度
法第92条の3を次のように改めるものとする。
裁判所は、法第92条の2各項の規定により専門委員を手続に関与させる場
合において、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、同条各項の期日に
おいて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が専門
委員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によっ
て、専門委員に同条各項の説明又は発問をさせることができる。
(後注)電話会議等による進行協議の期日における手続については、部会のこれまでの議
論も踏まえ、最高裁判所規則において、遠隔地等の要件及び一方当事者出頭要件を廃
止するとともに、電話会議等により手続に関与した者につき訴えの取下げ並びに請求
の放棄及び認諾をすることを可能とする見直しを行うものとする。
第6 電磁的記録についての書証に準ずる証拠調べ
1 電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出
電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出に関し、次の規律
を設けるものとする。
(1) 電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出は、当該電磁的
記録を提出し、又は当該電磁的記録を利用する権限を有する者にその提出を
命ずることを申し立ててしなければならない。
(2) (1)の規律による電磁的記録の提出は、最高裁判所規則で定めるところによ 14り、電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法又は最高裁判所規則で定
める電子情報処理組織を使用する方法により行う。
2 電磁的記録提出命令及び電磁的記録送付の嘱託等
電磁的記録提出命令及び電磁的記録送付の嘱託等に関し、次の規律を設ける
ものとする。
(1) 法第220条から法第228条まで
(同条第4項を除く。)及び法第230
条の規定は、1(1)の証拠調べについて準用する。
(2) (1)において準用する法第223条第1項の命令に係る電磁的記録の提出
及び(1)において準用する法第226条の嘱託に係る電磁的記録の送付は、最
高裁判所規則で定めるところにより、その電磁的記録を記録した記録媒体を
提出し、若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を
使用する方法により行う。
3 証拠となるべきものの事前の準備としての写しの提出
(注) 最高裁判所規則において、次のような内容の規律を設けるものとする。
証拠となるべきもの(文書・準文書・電磁的記録)の事前の準備としての写しの提
出は、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができる。
第7 証人尋問等
1 証人尋問
法第204条を次のように改めるものとする。
裁判所は、次の(1)から(3)までのいずれかの場合であって、相当と認めるとき
は、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により相手の
状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、証人の尋問
をすることができる。
(1) 証人の住所、年齢又は心身の状態その他の事情により、証人が受訴裁判所
に出頭することが困難であると認める場合
(2) 事案の性質、証人の年齢又は心身の状態、証人と当事者本人又はその法定
代理人との関係その他の事情により、証人が裁判長及び当事者が証人を尋問
するために在席する場所において陳述するときは圧迫を受け精神の平穏を
著しく害されるおそれがあると認める場合
(3) 当事者に異議がない場合
(注) ウェブ会議等により証人尋問を行う場合における証人の所在場所については、最
高裁判所規則において、これを受訴裁判所又は他の裁判所に限定する民事訴訟規則第 15123条第1項及び第2項を見直し、裁判所以外の場所に証人を所在させることを認
めることとした上で、部会のこれまでの議論も踏まえ、その際の所在場所の要件を定
めるものとする。
2 通訳人
法第154条に次のような規律を設けるものとする。
裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で
定めるところにより、裁判所及び当事者双方が通訳人との間で映像と音声の送
受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法に
よって、通訳人に通訳をさせることができる。この場合において、当該方法に
よることにつき困難な事情があるときは、裁判所及び当事者双方が通訳人との
間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によってするこ
とができる。
3 参考人等の審尋
法第187条に次のような規律を設けるものとする。
(1) 裁判所は、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、
映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をするこ
とができる方法によって、参考人を審尋することができる。この場合におい
て、当事者双方に異議がないときは、裁判所及び当事者双方と参考人とが音
声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、参考人を審
尋することができる。
(2) (1)の規律は、当事者本人を審尋する場合について準用する。
第8 その他の証拠調べ手続
1 鑑定
(1) 法第215条に次のような規律を設けるものとする。
鑑定人は、書面で意見を述べることに代えて、最高裁判所規則で定めると
ころにより、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報
処理組織を使用してファイルに記録する方法又は当該書面に記載すべき事
項に係る電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法により意見を述べ
ることができる。この場合において、鑑定人は、書面で意見を述べたものと
みなす。
(2) 法第215条の3を次のように改めるものとする。
裁判所は、鑑定人に口頭で意見を述べさせる場合において、相当と認める 16ときは、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により
相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、意
見を述べさせることができる。
2 検証
ウェブ会議等による検証に関する規律として、法第2編第4章第6節に次の
ような規律を設けるものとする。
裁判所は、当事者に異議がない場合であって、相当と認めるときは、最高裁
判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により検証の目的の状態
を認識することができる方法によって、検証をすることができる。
3 裁判所外における証拠調べ
法第185条に次のような規律を設けるものとする。
裁判所(受命裁判官及び受託裁判官を含む。)は、相当と認めるときは、当
事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送
受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法に
よって、裁判所外における証拠調べの手続を行うことができる。
第9 訴訟の終了
1 判決
(1) 電子判決書
裁判所は、判決の言渡しをするときは、最高裁判所規則で定めるところに
より、法第253条第1項各号が規定する事項を記録した電磁的記録(以下
「電子判決書」という。
)を作成しなければならないものとする。
(2) 言渡しの方式
ア 判決の言渡しは、(1)の規律により作成された電子判決書に基づいてする。
イ 裁判所は、アの規律により判決の言渡しをした場合には、最高裁判所規
則で定めるところにより、言渡しに係る電子判決書をファイルに記録しな
ければならない。
(3) 電子判決書等の送達
法第255条を次のように改めるものとする。
ア 電子判決書((2)イの規律によりファイルに記録されたものに限る)又は
法第254条第2項の規定により当事者及び法定代理人、主文、請求並び
に理由の要旨が記録された電子調書(第14の2(1)の規律によりファイル
に記録されたものに限る)は、当事者に送達しなければならない。 17イ アの送達は、次のいずれかによってする。
(ア) 電子判決書又は電子調書に記録されている事項を記載した書面であっ
て裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が
当該電子判決書又は当該電子調書に記録されている事項と同一であるこ
とを証明したものの送達
(イ) 第2の1(2)の方法による電子判決書又は電子調書の送達
(4) 判決の更正決定
法第257条に次のような規律を加えるものとする。
法第257条第1項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即
時抗告をすることができる。
ただし、
判決に対し適法な控訴があったときは、
この限りでない。
(注) 「電子調書」とは、期日又は期日外における手続の方式、内容及び経過等の記
録及び公証をするために民事訴訟法その他の法令の規定により裁判所書記官が作成
する電磁的記録をいうものとする。
2 和解
(1) 和解の期日
和解の期日
(和解を試みるための期日のことをいう。
以下同じ。)について、
法第89条に次の規律を加えるものとする。
ア 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規
則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同
時に通話をすることができる方法によって、和解の期日における手続を行
うことができる。
イ アの期日に出頭しないでアの手続に関与した当事者は、その期日に出頭
したものとみなす。
ウ 法第148条、
法第150条、
法第154条及び法第155条の規定は、
和解の手続について準用する。
エ 受命裁判官又は受託裁判官が和解の試みを行う場合には、アの規律並び
にウにおいて準用する法第148条、法第154条及び第155条の規定
による裁判所又は裁判長の職務は、その裁判官が行う。
(2) 受諾和解
法第264条を次のように改めるものとする。
ア 当事者の一方が出頭することが困難であると認められる場合において、
その当事者があらかじめ裁判所又は受命裁判官もしくは受託裁判官から
提示された和解条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が口頭弁 18論等の期日に出頭してその和解条項案を受諾したときは、当事者間に和解
が調ったものとみなす。
イ 当事者双方が出頭することが困難であると認められる場合において、当
事者双方があらかじめ裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官から和
解が成立すべき日時を定めて提示された和解条項案を受諾する旨の書面
を提出し、その日時が経過したときは、その日時に、当事者間に和解が調
ったものとみなす。
(3) 和解等に係る電子調書の効力
法第267条を次のように改めるものとする。
ア 裁判所書記官が、和解又は請求の放棄若しくは認諾について電子調書を
作成し、これをファイルに記録したときは、その記録は、確定判決と同一
の効力を有する。
イ 和解又は請求の放棄若しくは認諾を記載した電子調書は、当事者に送達
しなければならないものとする。この場合においては、前記1(3)イの規律
を準用する。
(4) 和解等に係る電子調書の更正決定
和解等に係る電子調書の更正について、次のような規律を設けるものとす
る。
ア (3)アの規律によりファイルに記録された電子調書につきその内容に計
算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、
申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。
イ アの更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。
ウ アの申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をするこ
とができる。
第10 訴訟記録の閲覧等
1 電磁的訴訟記録の閲覧等
(前注)
書面等の非電磁的訴訟記録については、
法第91条
(第2項及び第3項のうち訴訟に
関する事項の証明を除く。
)の規律を維持することを前提としている。
電磁的訴訟記録の閲覧等に関し、次の規律を設けるものとする。
(1) 何人も、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電
磁的訴訟記録(訴訟記録中法その他の法令の規定によりファイルに記録され
た事項に係る部分をいう。
以下同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法
により表示したものの閲覧を請求することができる。
(2) 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、電磁的訴 19訟記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところによ
り、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係
る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規
則で定める方法による複写を請求することができる。
(3) 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判
所規則で定めるところにより、電磁的訴訟記録に記録されている事項の全部
若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定
める方法により当該書面の内容が電磁的訴訟記録に記録されている事項と
同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部
を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方
法により当該電磁的記録の内容が電磁的訴訟記録に記録されている事項と
同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組
織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録
する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求
することができる。
(4) 法第91条第5項の規定は、電磁的訴訟記録に係る閲覧及び複写の請求に
ついて準用する。
(注) 電磁的訴訟記録の閲覧等に関し、
最高裁判所規則において、
(1)何人も、
裁判所設置
端末を用いた閲覧を請求することができ、
(2)当事者及び利害関係を疎明した第三者は、
裁判所設置端末及び裁判所外端末を用いた閲覧等を請求することができ、
(3)当事者は、
いつでも事件の係属中に裁判所外端末を用いた閲覧又は複写をすることができるとい
う内容の規律を設けるものとする。
2 公開禁止及び和解に関する訴訟記録の閲覧等
公開禁止及び和解に関する訴訟記録の閲覧等につき、次の規律を設ける。
(1) 公開を禁止した口頭弁論に係る非電磁的訴訟記録(訴訟記録中電磁的訴訟
記録を除いた部分をいう。
以下同じ。
)については、当事者及び利害関係を疎
明した第三者に限り、法第91条第1項の規定による請求をすることができ
る。非電磁的訴訟記録中法第264条の和解条項案に係る部分、法第265
条第1項の規定による和解条項の定めに係る部分及び法第267条に規定
する和解
(口頭弁論の期日において成立したものを除く。)に係る部分につい
ても、同様とする。
(2) 電磁的訴訟記録についても、(1)の規律を準用する。
3 訴訟に関する事項の証明 20訴訟に関する事項の証明に関し、次の規律を設けるものとする。
当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所
規則で定めるところにより、訴訟に関する事項を記載した書面であって裁判所
書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付
し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規
則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電
子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファ
イルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供するこ
とを請求することができる。
4 補助参加人の記録の閲覧等
補助参加人の記録の閲覧等につき、次の規律を加えるものとする。
次に掲げる請求に関する規律の適用については、補助参加人(当事者が法第
44条第1項の異議を述べた場合において補助参加を許す旨の裁判が確定し
たもの及び当事者が同条第2項の規定により異議を述べることができなくな
ったものに限る。)を当事者とみなす。
(1) 非電磁的訴訟記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交
付又はその複製の請求
(2) 電磁的訴訟記録の閲覧若しくは複写又はその内容の全部若しくは一部を
証明した書面の交付若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した電磁
的記録の提供の請求
(3) 3の訴訟に関する事項を証明した書面の交付又は当該事項を証明した電
磁的記録の提供の請求
5 秘密保護のための閲覧等の制限
法第92条に、次の規律を加えるものとする。
裁判所は、法第92条第1項の申立て(同項第2号に掲げる事由があること
を理由とするものに限る。)があった場合において、
当該申立てに係る営業秘密
がその訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示され
ることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれ
があり、これを防止するため特に必要があると認めるときは、訴訟記録中当該
営業秘密が記載され、又は記録された部分に係る訴訟記録の閲覧等を書面をも
ってするものに限る措置その他の当該営業秘密の安全管理のために必要かつ
適切なものとして最高裁判所規則で定める措置を講ずることができる。ただし、
当該申立てを却下する裁判が確定したとき又は当該申立てに係る決定を取り 21消す裁判が確定したときは、この限りでない。
(注) 最高裁規則において、次のような内容の規律を設けるものとする。
法第92条第1項の申立てをする当事者は、当該申立てに係る秘密記載部分を除い
たものの作成及び提出並びに同項の決定において特定された秘密記載部分を除いた
ものの作成及び提出をしなければならない。
第11 再審、手形訴訟
1 再審の事由
法第338条第1項第6号を次のように改めるものとする。
判決の証拠となった文書その他の物件が偽造若しくは変造されたものであ
ったこと又は判決の証拠となった電磁的記録が不正に作られたものであった
こと。
2 手形訴訟における証拠調べの制限
法第352条第1項を次のように改めるものとする。
手形訴訟においては、証拠調べは、書証及び電磁的記録に記録された情報の
内容に係る証拠調べに限りすることができる。
第12 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則
簡易裁判所の訴訟手続に関する特則として、法第2編第8章に次のような規
律を設けるものとする。
裁判所は、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、映
像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが
できる方法によって、証人又は当事者本人の尋問をすることができる。
第13 費用額確定処分の申立ての期限
費用額確定処分の申立ての期限について、次のような規律を設けるものとす
る。
1 法第71条第1項の申立ては、訴訟費用の負担の裁判が確定した日から10
年以内にしなければならない。
2 法第72条の申立てについて、1の規律を準用する。
3 法第73条第1項の申立てについて、1の規律を準用する。この場合におい
て、
「訴訟費用の負担の裁判が確定した日から」
とあるのは、
「訴訟が完結した」
と読み替えるものとする。 22第14 書記官事務の見直し
1 担保取消しと書記官権限
法第79条第3項を、次のように改めるものとする。
訴訟の完結後、裁判所書記官が、担保を立てた者の申立てにより、担保権利
者に対し、一定の期間内にその権利を行使すべき旨を催告し、担保権利者がそ
の行使をしないときは、担保の取消しについて担保権利者の同意があったもの
とみなす。
2 電子調書
(1) 口頭弁論に係る電子調書の作成
裁判所書記官は、口頭弁論について、電子調書を作成したときは、最高裁
判所規則で定めるところにより、これをファイルに記録しなければならない
ものとする。
(2) 口頭弁論に係る電子調書の更正
口頭弁論に係る電子調書の更正について、次のような規律を設けるものと
する。
ア 口頭弁論に係る電子調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な
誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでも
更正することができる。
イ アの規律による更正の処分は、電子調書を作成してしなければならない。
ウ 現行法第71条第3項、第4項及び第7項の規定は、アの規律による更
正の処分又はアの申立てを却下する処分及びこれらに対する異議の申立
てについて準用する。
第15 被害者の氏名等を相手方に秘匿する制度
1 申立人の住所、氏名等の秘匿
申立人の住所、氏名等の秘匿に関し、次のような規律を設けるものとする。
(1) 申立て等をする者又はその法定代理人の住所、
居所その他その通常所在す
る場所(以下第15において「住所等」という。
)の全部又は一部が当事者
に知られることによって当該申立て等をする者又は当該法定代理人が社会
生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあることにつき疎明があった
場合には、裁判所は、申立てにより、決定で、住所等の全部又は一部を秘匿
する旨の裁判をすることができる。
申立て等をする者又はその法定代理人の
氏名その他当該者を特定するに足りる事項(以下第15において「氏名等」
という。
)についても、同様とする。 23(2) (1)の申立てをするときは、(1)の申立て等をする者又はその法定代理人(以
下第15において「秘匿対象者」という。
)の住所等又は氏名等(以下第15
において「秘匿事項」
という。)その他最高裁判所規則で定める事項を書面に
より届け出なければならない。
(3) (1)の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、
当該申立てに係る秘匿対象者以外の者は、(2)の規律による届出に係る書面
(以下第15において
「秘匿事項届出書面」
という。
)の閲覧若しくは謄写又
はその謄本若しくは抄本の交付の請求をすることができない。
(4) (1)の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
(5) 裁判所は、秘匿対象者の住所又は氏名について(1)の決定(以下第15にお
いて「秘匿決定」という。
)をする場合には、当該秘匿決定において、当該秘
匿対象者の住所又は氏名に代わる事項を定めなければならない。この場合に
おいて、
その事項を当該事件及びその事件についての反訴、
参加、
強制執行、
仮差押え及び仮処分に関する手続において記載したときは、法その他の法令
の規定の適用については、当該秘匿対象者の住所又は氏名を記載したものと
みなす。
2 秘匿決定があった場合における閲覧等の制限の特則
秘匿決定があった場合における閲覧等の制限の特則に関し、次のような規律
を設けるものとする。
(1) 秘匿決定があった場合には、
秘匿事項届出書面の閲覧若しくは謄写又はそ
の謄本若しくは抄本の交付の請求をすることができる者を当該秘匿決定に
係る秘匿対象者に限る。
(2) (1)の場合において、裁判所は、申立てにより、決定で、訴訟記録中秘匿事
項届出書面以外のものであって秘匿事項又は当該秘匿事項を推知すること
ができる事項が記載され、又は記録された部分(以下第15において「秘匿
事項記載部分」という。
)の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄
本の交付又はその複製の請求をすることができる者を当該秘匿決定に係る
秘匿対象者に限ることができる。
(3) (2)の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、
当該秘匿決定に係る秘匿対象者以外の者は、
当該秘匿事項記載部分の閲覧若
しくは謄写、
その正本、
謄本若しくは抄本の交付又はその複製の請求をする
ことができない。
(4) (2)の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 243 送達をすべき場所等の調査嘱託があった場合における閲覧等の制限の特則
送達をすべき場所等の調査嘱託があった場合における閲覧等の制限の特則
に関し、次のような規律を設けるものとする。
裁判所は、当事者又はその法定代理人に対して送達をするため、その者の住
所、居所その他送達をすべき場所についての調査を嘱託した場合において、当
該嘱託に係る調査結果の報告が記載された書面が閲覧されることにより、当事
者又はその法定代理人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあ
ることが明らかであると認めるときは、決定で、当該書面及びこれに基づいて
された送達に関する法第109条の書面その他これに類する書面の閲覧若し
くは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付の請求をすることができる者を当
該当事者又は当該法定代理人に限ることができる。当事者又はその法定代理人
を特定するため、その者の氏名その他当該者を特定するに足りる事項について
の調査を嘱託した場合についても、同様とする。
4 秘匿決定の取消し等
秘匿決定の取消し等に関し、次のような規律を設けるものとする。
(1) 秘匿決定、2(2)の決定又は3の決定(以下第15において「秘匿決定等」
という。)に係る者以外の者は、訴訟記録の存する裁判所に対し、その要件を
欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、その決定の取消しの申
立てをすることができる。
(2) 秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等がある場合であっても、
自己の攻撃又は防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、訴訟記
録の存する裁判所の許可を得て、2(1)若しくは(2)又は3の規律により閲覧若
しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製の請求が制限
される部分につきその請求をすることができる。
(3) 裁判所は、(2)の規律による許可の申立てがあった場合において、その原因
となる事実につき疎明があったときは、これを許可しなければならない。
(4) 裁判所は、(1)の取消し又は(2)の許可の裁判をするときは、次のア又はイの
区分に従い、それぞれに定める者の意見を聴かなければならない。
ア 秘匿決定又は2(2)の決定 当該決定に係る秘匿対象者
イ 3の決定 当該決定に係る当事者又は法定代理人
(5) (1)の取消しの申立てについての裁判及び(2)の許可の申立てについての裁
判に対しては、即時抗告をすることができる。
(6) (1)の取消し及び(2)の許可の裁判は、確定しなければその効力を生じない。
(7) (2)の許可の裁判があったときは、その許可の申立てに係る当事者又はその 25法定代理人、訴訟代理人若しくは補佐人は、正当な理由なく、その許可によ
り得られた情報を、当該訴訟の追行の目的以外の目的のために利用し、又は
秘匿決定等に係る者以外の者に開示してはならない。
5 第三者の訴訟参加があったときの通知等
第三者の訴訟参加があったときの通知等に関し、次のような規律を設けるも
のとする。
(1) 法第92条第1項の申立て(同項第1号に掲げる事由があることを理由と
するものに限る。
以下5において同じ。)があった場合において、当該申立て
後に第三者がその訴訟への参加をしたときは、裁判所書記官は、当該申立て
をした当事者に対し、その参加後直ちに、その参加があった旨を通知しなけ
ればならない。ただし、当該申立てを却下する裁判が確定したときは、この
限りでない。
(2) (1)の場合において、裁判所書記官は、(1)の通知があった日から2週間を経
過する日までの間、その参加をした者に法第92条第1項の申立てに係る秘
密記載部分の閲覧等をさせてはならない。ただし、2(2)の申立てがされたと
きは、この限りでない。
(3) (1)及び(2)の規律は、(1)の参加をした者に法第92条第1項の申立てに係る
秘密記載部分の閲覧等をさせることについて同項の申立てをした当事者の
全ての同意があるときは、適用しない。
6 IT化後における住所、氏名等の届出の方法等
IT化後における住所、氏名等の届出の方法等に関し、次のような規律を設
けるものとする。
(1) 1の(1)の申立てをするときは、秘匿対象者の秘匿事項その他最高裁判所規
則で定める事項について、書面その他最高裁判所規則で定める方法による届
出をしなければならない。この場合において、当該届出については、第1の
2の規定は、適用しない。
(2) 裁判所は、2(2)の申立てがあった場合において、必要があると認めるとき
は、訴訟記録中秘匿事項記載部分に係る訴訟記録の閲覧等を書面をもってす
るものに限る措置その他の当該事項の安全管理のために必要かつ適切なも
のとして最高裁判所規則で定める措置を講ずることができる。ただし、当該
申立てを却下する裁判が確定したとき又は当該申立てに係る決定を取り消
す裁判が確定したときは、この限りでない。 26第2部 民事訴訟費用等に関する法律の見直し
第1 手数料の電子納付への一本化
民事訴訟に関する手続の手数料の納付方法について、次のような規律を設け
るものとする。
手数料は、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織を使用
する方法その他の情報通信技術を利用する方法であって最高裁判所規則で定
めるものをもって納めなければならない。ただし、申立てを書面をもってする
ことができる場合であって、やむを得ない事由があるときは、訴状その他の申
立書又は申立ての趣意を記載した調書に収入印紙を貼って納めることができ
る。
第2 郵便費用の手数料への一本化
民事訴訟に関する手続においては、郵便費用の予納の制度を廃止し、別途、
郵便費用に相当する所要の金額を、手数料として徴収する規律を設ける。
第3 過納手数料の還付等の書記官権限化
過納手数料の還付等(費用法第9条)並びに証人等の旅費、日当及び宿泊料
の支給(費用法第21条から第24条まで)については、裁判所の権限とする
現行の規律を改め、裁判所書記官の権限とするものとするとともに、所要の整
備を行うものとする。 27第3部 その他
第1 被害者の氏名等を相手方に秘匿する制度に対応する改正
1 民事執行法の改正
民事執行の手続については、第1部第15の規律が準用されることを前提に、
第三債務者の供託及び取立訴訟に関し、次のような規律を設けるものとする。
(1) 民事執行法第156条第1項の規定にかかわらず、差押債権者について第
1部第15の1の(1)
(他の法律において準用する場合を含む。)の決定がある
場合において、差押債権者の申立てがあるときは、裁判所は、第三債務者に
対し、同項に規定する方法による供託を命ずることができる。
(2) (1)の規定により供託の義務を負う第三債務者に対する取立訴訟において、
原告の請求を認容するときは、受訴裁判所は、請求に係る金銭の支払は供託
の方法によりすべき旨を判決の主文に掲げなければならない。
2 人事訴訟法の改正
人事訴訟の訴訟手続については、第1部第15の規律が適用されることを前
提に、事実調査部分の閲覧等に関し、次のような規律を設けるものとする。
事実調査部分については、
第1部第15の2
((1)を除く。
)及び3の規律は、
適用しない。
3 家事事件手続法の改正
家事事件に関する手続における当事者に対する住所等、氏名等の秘匿に関し、
次のような規律を設けるものとする。
家事事件の手続における申立て等については、第1部第15の1、2の(1)及
び4((4)のイを除く。
)の規律を準用する。この場合において、第1部第15の
1の(1)中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(家事事件手
続法第42条第7項
(第258条第1項において準用する場合を含む。)に規定
する利害関係参加人をいう。
以下3において同じ。)又はこれらの者以外の審判
を受ける者となるべき者(同法第10条第1項第1号に規定する審判を受ける
者となるべき者をいう。)」と、第1部第15の4の(1)中「秘匿決定、2の(2)の
決定又は3の決定(以下第15において「秘匿決定等」という。
)に係る者以外
の者」とあるのは「秘匿決定(家事事件手続法第277条第1項に規定する事
項以外の事項についての家事調停の手続におけるもの及び同法第289条第
1項の規定による調査及び勧告の事件(同条第7項において準用する場合を含
む。
)の手続におけるものを除く。以下4において同じ。
)に係る者以外の当事 28者又は利害関係参加人」と、同4(2)中「秘匿決定等に係る者以外の当事者は、
秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定に係る者以外の当事者又は利害関係参加人
は、秘匿決定」と、同4(4)のア中「秘匿決定又は2(2)の決定」とあり、及び同
4(7)中「秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定」と、同(7)中「当事者」とあるの
は「当事者若しくは利害関係参加人」と読み替えるものとする。
第2 その他
その他所要の規定を整備するものとする。

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