法務省東京矯正管区更生支援企画課
第9号
令和3年12月9日発行 ホームページ
http://www.moj.go.jp/kyousei1/
kyousei08_00101.html
東京都は、「ソーシャル・インクルージョン」の
考え方に立ち、就労に困難を抱える方を多く受け入
れる社会的企業「ソーシャルファーム」の創設を促
進し、就労を希望する全ての都民がその個性と能力
に応じて働くことができるよう応援するための条例
を制定しました(令和元年12月施行)。
この条例に基づき、東京都は独自にソーシャル
ファームを認証しており、その創設と経営を様々に
サポートされているところ、本年11月8日、認証
ソーシャルファームと、就労に困難を抱える方を支
援する機関とのマッチング会が実施され、東京矯正
管区も参加してきました!
東京矯正管区には、「コレワーク関東」という、
刑務所や少年院に入っている人たちの情報を集約・
管理し、彼らの採用を希望する事業主の方に情報を
提供する機関があります。
マッチング会では、コレワーク関東室長が、認証
ソーシャルファームの皆様に、コレワークの利用方
法をご案内し、その後ブースにて個別の相談にも応
じさせていただきましたが、時間いっぱいまで、多
くの事業者様にブースに来訪いただき、出所者雇用
の関心の高さを感じました!
2012年7月、内閣総理大臣が主宰する
「犯罪対策閣僚会議」は、再犯防止施策を政府
全体で推進していくため、「再犯防止に向けた
総合対策」を決定しました。「再犯防止」を前
面に押し出したこの総合対策においては、ある
数値目標が掲げられることになります。
それが、「出所後2年以内に再び刑務所等に
入所する者等の割合(2年以内再入率)を今後
10年間で20%以上減少させる」という目標
です。
具体的には、総合対策策定前5年間の2年以
内再入率の平均値である20%を基準値とし、
そこから20%減らす、つまり16%以下にす
ることを目指すことになりました。
その後、2016年の再犯防止推進法施行な
どにより、再犯防止施策の実施主体は、国から
地方公共団体の皆様へと波及し、2018年か
らは、多くの地方公共団体において「地域再犯
防止推進モデル事業」が実施されるなど、着実
に再犯防止施策は広がっていきました。
その結果として、2019年に刑務所を出所
した人の2年以内再入率は15.7%となり、
初めて政府目標たる16%を下回ることができ
ました。
これは、再犯防止・更生支援に携わっていた
だいた皆様のご尽力の成果と考えております。
今後とも、再犯防止・更生支援にご協力のほ
ど、よろしくお願いいたします。更☎048-600-1560 (直通)
1.toukyoukyousei.j7u@i.moj.go.jp
再犯防止 政府目標達成!
2019年出所者 2年以内再入率 15.7%まで低下
地方公共団体による事業 ご紹介コーナー
東京都・(公財)東京しごと財団主催 ソーシャルファームマッチング会に参加しました!15171921
2年以内再入率の推移
政府目標 16%
更生
刻々
平成17年から協
力雇用主として登
録し、罪を犯した人
たちを150人以上
雇用してきた。
現在も社員のうち
30人以上がかつ
て罪を犯した人た
ちであり、15年以
上働いている人も
いる。私が先代の父のもとで、白石工業に入社したのは、もう41年前になります。当時、仲良くしていた同僚が、実は殺人を犯して刑務所に入っていたということを知ったんです。仕事はまじめにこなしていて、とてもそんな風には見えなかったんですが。当時から、父は、警察などからの依頼に応じて、罪を犯した人を雇っていたようです。なので、協力雇用主という制度ができる前から、罪を犯した人と一緒に働くということは、私にとっては「自然なこと」でした。私は、保護観察所やコレワークからの依頼に応じて、これから協力雇用主になろうとする方の相談に乗ることもあるのですが、その方たちにいつも言うのは、単に労働力が欲しいから、という理由で雇っても、彼らはすぐに辞めてしまう、ということです。そして、会社の代表として、彼らとどのように接するのか、彼らが罪を犯したという事実を社内でどのように扱うのかなどをきちんと考えた上で雇ってほしい、とお願いしています。罪を犯した人を雇うというのは、結構大変です。再び罪を犯してしまう人もいて、警察から呼び出されて迎えに行くことや、ケガをさせた被害者の方への弁償を会社で立て替えたこともあります。それでも、採用して、苦労して、育てていくと、うちに居場所を見つけてくれる人も出てきます。どこにも居場所がなかった人が、うちで居場所を見つけ、家庭を持って、独り立ちしていく。その場に立ち会えるのは、何よりの楽しみです。
「1年生になったら、友達100人
できるかな♪」というこどもの歌では
ないですが、本年6月に立ち上げた
「関東更生支援ネットワーク(更生
刻々第7号参照)」、この度、会員数
が100名を超えることができました。
矯正・保護の関係者のほか、地方公
共団体の皆様、福祉、教育、医療関係
者、民間のNPO団体、学生などなど、
再犯防止・更生支援に興味・関心があ
る方を中心にご加入いただいています。
活動内容はメルマガ配信が中心です
が、コロナも落ち着いてきましたので、
更生支援を会員の皆様と一緒に考える
セミナーなども開催していきたいと
思っています!
どなたでも無料でご参加いただけま
すので、加入を希望される方は、「ご
所属、お名前、メールアドレス」を明
記の上、当課宛てメールにてご連絡く
ださい。
右のQRコードからも
お申込みいただけます。⇒
(読み込むとメールが
立ち上がります)
関東更生支援ネットワーク
会員100名突破しました!
41年にわたる活動を、湧き出るように語
る白石宏行さん
協力雇用主 白石工業相談役 白石 宏行 さん
「採用して、苦労して、育てていく」協力雇用主になったきっかけは何ですか?協力雇用主としてのやりがいとは?パラリンピック期間中のこと。あるツイッター投稿が話題になった。選手村の
横断歩道を、義足や車いすの選手たち7人が一列になって渡る写真。ビートルズ
のアルバム「アビイ・ロード」のジャケット気分で撮った。IOC総会の大会招
致でスピーチした谷真海さんが、「みんなちがって、みんないい」との言葉を添
えて投稿した。童謡詩人金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」の中の一節だ。
福祉的な活動というと、ある枠組み内でのものとのイメージが強い。ところが、
多様性をもって根付いた活動がある。民間生まれの子ども食堂だ。運営するのは、
個人、NPO、生協、社協、寺や檀家、飲食店など様々だ。大手コンビニも乗り
出したし、秋田ではプロバスケットチームが運営者になっている。
「子ども食堂」は、東京都大田区の「気まぐれ八百屋だんだん」が発祥とされ
る。「だんだん」は店主の出身地、出雲地方の方言で「ありがとう」。「見えな
い貧困」に気づいた店主が、「人と人のつながりが出来ていけば」と始めた。
「ごはんが足りていない子どもは、ほかのことも足りていない」と関係者はみ
ている。子どもの貧困が問題なのは、社会的孤立や格差拡大、虐待、非行と結び
つきやすいから。よく考えると、子ども食堂の役割の多くは、家庭や学校に求め
られてきたものと重なることに気づく。子どもたちのセーフティネットといえる。
家庭の外に家庭を緩やかにつくり、乾いた地域の中にコミュニティをつくる。
子ども食堂の間口は広い。食材の調理、後片付けなどで、学生から高齢者まで
あらゆる年代が運営に関わることができる。スタッフを務める女子学生が、ある
テレビの番組でこう話していた。「コロナ禍で大学のキャンパスにも行けなくて、
子ども食堂が私の『こころの居場所』になっています」。
「私と小鳥と鈴と」は題名とは違い、詩の後段では「鈴と、小鳥と、それから
私」となっている。「私」の位置が動いているのだ。その後に「みんなちがって、
みんないい。」。すべてを包み込むまなざしで詩がくくられる。それぞれの存在
に気づいたのは「私」。それに気づかせてくれたのは「あなた」。みすゞの詩は
見えないものに気づかせてくれる。そこにあるのは、禅でいう隻手の音だろうか。
子ども食堂

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