法務省東京矯正管区更生支援企画課
第7号
令和3年7月12日発行
ホームページ
http://www.moj.go.jp/kyousei1/
kyousei08_00101.html
地方再犯防止推進計画 各地で策定進む
令和2年度以降、新たに39自治体が策定し、管内57自治体が策定済み
☎048-600-1560 (直通)
1.toukyoukyousei.j7u@i.moj.go.jp✉R3.6.1現在 東京矯正管区調べ
(注記)地域福祉計画などに内包しているものも含みます。
関東更生支援ネットワーク、発足しました!
6月2日、関東甲信越・静岡地区の矯正施設を所
管する当管区と、同地区の保護観察所を所管する地
方更生保護委員会がタッグを組んで、「関東更生支
援ネットワーク」を立ち上げました!
このネットワークでは、罪を犯した人達を支える
人・組織をつなぐことを目指し、メールマガジンの
配信やセミナー・スタディツアーの企画・運営を実
施していく予定です。
コロナ禍だからこそ、「つながること」を大切に
活動していきたいと思います。
皆様のご参加、お待ちしております! 刻ご存じですか?「篤志面接委員」
皆様にご好評をいただいている(はずの)
「更生支援を語る」のコーナー、前回までは
矯正施設で働く職員のインタビューを掲載し
てきましたが、今号からは、罪を犯した人た
ちを支える、民間協力者の皆様にフォーカス
を当てていきます。
今回取材した渡辺さんは「篤志面接委員」
なのですが、篤志面接委員のこと、皆様ご存
じでしょうか? 矯正施設で
は「トクメンさん」という
呼び名で親しまれています
が、社会一般の方々には
なかなか知る機会がないの
ではないか、と思います。
篤志面接委員の皆様は、
全国の矯正施設で、法務省
から委託を受けた民間ボランティアとして、
渡辺さんのように受刑者や少年院在院者に対
する相談・助言をしていただいたり、音楽や
絵画、書道など、さまざまな知識・技能を生
かした指導をしていただいたりしており、年
代や職業なども様々です。
受刑者や少年院在院者の立ち直りに、民間
の方ならではの視点からご協力をいただいて
いるのです。
平成3年から、篤
志面接委員として、
矯正施設を訪問し、
受刑者らの相談に
応じてきた。その回
数は、これまでに
1,000回を超える。
保護司、協力雇用
主としても活動し、
令和3年春、瑞宝
双光章を授章。篤志面接委員になったきっかけは何ですか?30年以上前になりますが、「小さい奉仕の会」という財団法人がありました。いわゆる死刑囚に対して、年に一回、クリスマスの日にお菓子などを贈る活動をしている団体で、知り合いの方から誘われて、興味があって参加したんです。当時、「死刑になるような人になんでそんなことをするんだ」と周囲から言われましたが、それでも活動を続けるうちに、死刑になられた方の妹さんからお手紙をいただいたんです。その手紙には、お兄さんの刑が執行されたこと、そして、彼が私たちの活動に対して、「こんな自分にもお菓子をくれる人たちがいるんだ」ととても感謝していたことが書かれていました。その手紙を読んだとき、私は罪を犯した人達の支援を続けていこうと決めました。その後、保護司となり、縁あって篤志面接委員のお話もいただいて、活動を始めたんです。少年院や刑務所に入っている人達って、なかなか外の人とお話する機会がないんですよね。だから喜んでお話をしてくれる。中には、一方的に何時間でもお話をする人もいます。刑務所や少年院を出た人って、社会の人から見ると怖い存在だと思うんですね。でも違うんです。本当は、彼ら自身が一番怖がっている。自分は社会に出てちゃんとやれるだろうか、みんな受け入れてくれるだろうか、って。その気持ちに寄り添うのが篤志面接委員だと思います。少年院を出た子から、街で声をかけられたことがあります。「先生、先生!」って。一瞬だれだかわからなくて。少年院ではみんな坊主頭で、着る服も決まっているけど、おしゃれな髪型と服装で、とっても素敵な青年になっていて。社会でちゃんとやっているんだな、と思えて、すごく嬉しかったです。
古代インドでは、ブランコの往復は天と地を結ぶものとされてい
た。空中ブランコはサーカスの呼び物である。下に置かれたのは、
当初はマットだった。19世紀半ばにネットに替わった。
セーフティネットは、元々は空中ブランコや綱渡りで、身を救う
ための安全網を意味する。労組の組織「連合」は雇用、社会保険、
公的扶助の社会的ネットが「機能不全に陥り」、司法(刑務所)が
「第4のセーフティネット」役を負わされている、としている。
社会福祉に尽くした田島良昭さんは、平成18年、厚生労働省の会
合で語った。刑務所の中の障がい者について「本来なら、このよう
な人を守るのは私たち福祉の関係者の役割です。それができず、法
務省の関係者の皆様に守っていただいた」。実態調査が行なわれた。
調査対象受刑者約27,000人のうち、知的障害がある(疑いを含む)
人が410人いた。このうち療育手帳の所持者はわずか26人。1年未
満再犯が6割。実態が次々と判明していったのだった。
独立行政法人「障害者職業総合センター」によると、知的障がい
者の職場定着率(就職後1年時点、2017年)は68%だ。ところが、
北関東にある高校の特別支援学校卒業生の令和元年までの過去3年
間の離職率は4%だった。集計の違いを考慮しても職場定着の数字
は大きく違う。この高校では、就労の一般的な取組のほかに就労後
の支援を実施していたのだ。卒業生本人、保護者、企業担当者へ電
話を入れるのである。10代で初めて社会に出る。現場実習とは異
なる戸惑いを感じる。働く企業の外から数か月に一度でもサポート
を得られることが、就労を継続する上で重要だったのである。実務
を重ねて編み出した実理がここにある。
ブランコが描く弧は境界でもある。社会は特定の人に厳しい。障
害がある人と更生をめざす人の環境には重なるところがある。社会
復帰の拠点である更生保護施設でも退所後は地域で孤立する怖れが
高い。退所後も訪問型で相談支援を行う事業が4月から始まった
(モデル事業として8施設)。セーフティネットは一本の蜘蛛の糸
ではなく、人間性のつづれ織りとなる。
多摩少年院・立川拘置所 篤志面接委員 渡辺道代さん
「本当は、彼ら自身が一番怖がっているんです」
6セーフティネット篤志面接委員の活動はどうですか?印象に残っているエピソードは?京都コングレスで
作成・配布された
篤志面接委員缶バッジ
少年院在院者の相談に応じる渡辺さん

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /