少年法改正Q&A
少年法とは?Q1少年法の仕組みについて
少年法による手続・処分には,どのような特色があるのですか?
少年法による手続・処分には,どのような特色があるのですか?
少年法は,どのような法律ですか?
少年法は,どのような法律ですか?
少年法は,少年の健全な育成を図るため,非行少年に対する処分やその手続などについ
て定める法律です。
少年法は,少年の健全な育成を図るため,非行少年に対する処分やその手続などについ
て定める法律です。
しろまる 少年事件については,検察官が処分を決めるのではなく,全ての事件が家庭裁判所
に送られ,家庭裁判所が処分を決定すること
しろまる 家庭裁判所は,少年に対し,原則として,刑罰(懲役,罰金など)ではなく,保護処
分(少年院送致など)を課すこと
などが挙げられます。
しろまる 少年事件については,検察官が処分を決めるのではなく,全ての事件が家庭裁判所
に送られ,家庭裁判所が処分を決定すること
しろまる 家庭裁判所は,少年に対し,原則として,刑罰(懲役,罰金など)ではなく,保護処
分(少年院送致など)を課すこと
などが挙げられます。
少年犯罪は増加しているのですか?
少年犯罪は増加しているのですか?
少年犯罪は減少傾向にあります。
平成27年〜令和元年の少年の刑法犯の検挙人数は,次のとおりです。
(注)令和2年版犯罪白書による。
少年犯罪は減少傾向にあります。
平成27年〜令和元年の少年の刑法犯の検挙人数は,次のとおりです。
(注)令和2年版犯罪白書による。
期間(年) 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 令和元年
検挙人数(人) 48,680 40,103 35,108 30,458 26,076
少年犯罪は凶悪化しているのですか?
少年犯罪は凶悪化しているのですか?
「凶悪犯罪」の範囲については様々な考え方があり得ますが,例えば,平成27年〜令和
元年の
しろまる 16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件(原
則逆送対象事件)
により家庭裁判所で処分された少年の人数は,次のとおりです。
(注)令和2年版犯罪白書による。
「凶悪犯罪」の範囲については様々な考え方があり得ますが,例えば,平成27年〜令和
元年の
しろまる 16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件(原
則逆送対象事件)
により家庭裁判所で処分された少年の人数は,次のとおりです。
(注)令和2年版犯罪白書による。
少年事件は,嫌疑がある限り,全ての事件が捜査機関(警察・検察)から家庭裁判所に送
られます。
そして,家庭裁判所では,犯罪に関する事実のほか,少年の生い立ち,性格,家庭環境
などについても調査をした上で,処分を決定します。
少年事件は,嫌疑がある限り,全ての事件が捜査機関(警察・検察)から家庭裁判所に送
られます。
そして,家庭裁判所では,犯罪に関する事実のほか,少年の生い立ち,性格,家庭環境
などについても調査をした上で,処分を決定します。
罪を犯した少年は,どのような処分を受けるのですか?
罪を犯した少年は,どのような処分を受けるのですか?
検察官送致(逆送)とは何ですか?
検察官送致(逆送)とは何ですか?
家庭裁判所の決定には,検察官送致(逆送),少年院送致,保護観察などがあります。
家庭裁判所の決定には,検察官送致(逆送),少年院送致,保護観察などがあります。
検察官送致(逆送)は,家庭裁判所が,保護処分ではなく,懲役,罰金などの刑罰を科す
べきと判断した場合に,事件を検察官に送るものです。逆送された事件は,検察官によっ
て刑事裁判所に起訴され,刑事裁判で有罪となれば刑罰が科されます。
検察官送致(逆送)は,家庭裁判所が,保護処分ではなく,懲役,罰金などの刑罰を科す
べきと判断した場合に,事件を検察官に送るものです。逆送された事件は,検察官によっ
て刑事裁判所に起訴され,刑事裁判で有罪となれば刑罰が科されます。
少年犯罪の状況は?Q2どのような処分を受ける?Q3期間(年) 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 令和元年
処分人数(人) 32 24 17 14 10
「保護処分」とは?Q4「逆送」とは?Q5実名報道は禁止?Q6法務省HP
「保護処分」と「刑罰」とは違うのですか?
「保護処分」と「刑罰」とは違うのですか?
保護処分である少年院送致や保護観察は,少年の更生を目的として家庭裁判所が課す特
別な処分であり,刑事裁判所が科す懲役,罰金などの刑罰とは異なるものです。
保護処分である少年院送致や保護観察は,少年の更生を目的として家庭裁判所が課す特
別な処分であり,刑事裁判所が科す懲役,罰金などの刑罰とは異なるものです。
「少年院送致」はどのような処分ですか?
「少年院送致」はどのような処分ですか?
「少年院送致」では,対象者を少年院に収容し,その特性に応じた矯正教育などを行います。
これに対して,「懲役」では,対象者を刑務所に収容し,所定の作業を行わせることと
されています。
「少年院送致」では,対象者を少年院に収容し,その特性に応じた矯正教育などを行います。
これに対して,「懲役」では,対象者を刑務所に収容し,所定の作業を行わせることと
されています。
「保護観察」はどのような処分ですか?
「保護観察」はどのような処分ですか?
「保護観察」では,対象者を施設に収容せず,社会内に置いたまま,保護観察所が指導監
督,補導援護を行います。
「保護観察」では,対象者を施設に収容せず,社会内に置いたまま,保護観察所が指導監
督,補導援護を行います。
「逆送」とは,どのような手続ですか?
「逆送」とは,どのような手続ですか?
「逆送」は,家庭裁判所が,保護処分ではなく,懲役,罰金などの刑罰を科すべきと判
断した場合に,事件を検察官に送るものです。
逆送された事件は,検察官によって刑事裁判所に起訴され,刑事裁判で有罪となれば刑
罰が科されます。
「逆送」は,家庭裁判所が,保護処分ではなく,懲役,罰金などの刑罰を科すべきと判
断した場合に,事件を検察官に送るものです。
逆送された事件は,検察官によって刑事裁判所に起訴され,刑事裁判で有罪となれば刑
罰が科されます。
「原則逆送対象事件」とは,家庭裁判所が原則として逆送しなければならないとされて
いる事件です。
「原則逆送対象事件」とは,家庭裁判所が原則として逆送しなければならないとされて
いる事件です。
「原則逆送対象事件」とは,どのような事件ですか?
「原則逆送対象事件」とは,どのような事件ですか?
現行の少年法では,
しろまる 16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪(殺人罪,
傷害致死罪など)の事件
がこれに当たります。
現行の少年法では,
しろまる 16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪(殺人罪,
傷害致死罪など)の事件
がこれに当たります。
なお,今回の改正で,18歳以上の少年(特定少年)については,原則逆送対象事件が拡大
されることとなりました。詳しくはQ8をご覧ください。
なお,今回の改正で,18歳以上の少年(特定少年)については,原則逆送対象事件が拡大
されることとなりました。詳しくはQ8をご覧ください。
少年の事件は,実名報道が禁止されているのですか?
少年の事件は,実名報道が禁止されているのですか?
少年法(第61条)によって,少年のとき犯した罪については,少年の更生に資するため,
氏名,年齢,職業,住居,容ぼうなどによって犯人が誰であるかが分かるような記事・写
真等の報道(推知報道)が禁止されています。
少年法(第61条)によって,少年のとき犯した罪については,少年の更生に資するため,
氏名,年齢,職業,住居,容ぼうなどによって犯人が誰であるかが分かるような記事・写
真等の報道(推知報道)が禁止されています。
なお,今回の改正で,18歳以上の少年(特定少年)については,推知報道が一部解禁され
ることとなりました。詳しくはQ9をご覧ください。
なお,今回の改正で,18歳以上の少年(特定少年)については,推知報道が一部解禁され
ることとなりました。詳しくはQ9をご覧ください。
少年法が適用される?Q7「原則逆送対象事件」が拡大?Q8改正少年法について
実名報道が解禁?Q9選挙権年齢や民法の成年年齢は18歳なのに,なぜ18・19歳に少年法が適用されるのですか?
選挙権年齢や民法の成年年齢は18歳なのに,なぜ18・19歳に少年法が適用されるのですか?
どのような点がこれまでと変わるのですか?
どのような点がこれまでと変わるのですか?
18・19歳の者は,成長途上にあり,罪を犯した場合にも適切な教育や処遇による更生が
期待できます。
そのため,今回の改正では,18・19歳の者も「特定少年」として引き続き少年法の適用
対象とし,全ての事件を家庭裁判所に送って,原則として,更生のための保護処分を行う
という少年法の基本的な枠組みを維持しています。
18・19歳の者は,成長途上にあり,罪を犯した場合にも適切な教育や処遇による更生が
期待できます。
そのため,今回の改正では,18・19歳の者も「特定少年」として引き続き少年法の適用
対象とし,全ての事件を家庭裁判所に送って,原則として,更生のための保護処分を行う
という少年法の基本的な枠組みを維持しています。
そこで,18・19歳の者については,少年法においても,その立場に応じた取扱いをする
ため,原則逆送対象事件を拡大し,実名等の報道(推知報道)を一部解禁するなど,17歳以
下の少年とは異なる特例を定めることとなりました。
そこで,18・19歳の者については,少年法においても,その立場に応じた取扱いをする
ため,原則逆送対象事件を拡大し,実名等の報道(推知報道)を一部解禁するなど,17歳以
下の少年とは異なる特例を定めることとなりました。
他方で,18・19歳の者は,選挙権年齢や民法の成年年齢の引下げにより,重要な権利・自
由を認められ,責任ある主体として社会に参加することが期待される立場となりました。
他方で,18・19歳の者は,選挙権年齢や民法の成年年齢の引下げにより,重要な権利・自
由を認められ,責任ある主体として社会に参加することが期待される立場となりました。
今回の改正により,特定少年については,原則逆送対象事件に,これまでの
しろまる 16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件
に加えて,
しろまる 18歳以上の少年のとき犯した死刑,無期又は短期(法定刑の下限)1年以上の懲役・禁
錮に当たる罪の事件
が追加されることとなりました。
今回の改正により,特定少年については,原則逆送対象事件に,これまでの
しろまる 16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件
に加えて,
しろまる 18歳以上の少年のとき犯した死刑,無期又は短期(法定刑の下限)1年以上の懲役・禁
錮に当たる罪の事件
が追加されることとなりました。
特定少年の原則逆送対象事件について教えてください。
特定少年の原則逆送対象事件について教えてください。
新たに原則逆送対象事件となるのは,どのような罪ですか?
新たに原則逆送対象事件となるのは,どのような罪ですか?
例えば,現住建造物等放火罪,強制性交等罪,強盗罪,組織的詐欺罪などが新たに対象
となります。
例えば,現住建造物等放火罪,強制性交等罪,強盗罪,組織的詐欺罪などが新たに対象
となります。
特定少年の原則逆送対象事件が拡大されたのはなぜですか?
特定少年の原則逆送対象事件が拡大されたのはなぜですか?
選挙権年齢や民法の成年年齢の引下げにより責任ある立場となる特定少年が重大な犯罪
に及んだ場合には,17歳以下の少年よりも広く刑事責任を負うべきと考えられたことによ
るものです。
選挙権年齢や民法の成年年齢の引下げにより責任ある立場となる特定少年が重大な犯罪
に及んだ場合には,17歳以下の少年よりも広く刑事責任を負うべきと考えられたことによ
るものです。
特定少年は,実名報道が解禁されるのですか?
特定少年は,実名報道が解禁されるのですか?
今回の改正により,特定少年のとき犯した罪も,氏名,年齢,職業,住居,容ぼうなど
によって犯人が誰であるかが分かるような記事・写真等の報道(推知報道)は原則として禁
止されますが,逆送されて起訴された場合は,略式手続(非公開の書面審理で罰金等を科す
手続)の場合を除き,推知報道の禁止が解除されることとなります。
今回の改正により,特定少年のとき犯した罪も,氏名,年齢,職業,住居,容ぼうなど
によって犯人が誰であるかが分かるような記事・写真等の報道(推知報道)は原則として禁
止されますが,逆送されて起訴された場合は,略式手続(非公開の書面審理で罰金等を科す
手続)の場合を除き,推知報道の禁止が解除されることとなります。
特定少年について,推知報道を一部解禁するのはなぜですか?
特定少年について,推知報道を一部解禁するのはなぜですか?
責任ある立場となる特定少年が,起訴され,公開の裁判で刑事責任を追及される立場と
なった場合には,推知報道を解禁し,社会的な批判・論評の対象となり得るものとするこ
とが適当であると考えられたことによるものです。
責任ある立場となる特定少年が,起訴され,公開の裁判で刑事責任を追及される立場と
なった場合には,推知報道を解禁し,社会的な批判・論評の対象となり得るものとするこ
とが適当であると考えられたことによるものです。
刑事裁判での取扱いは?Q10「保護処分」も変わる?Q11適用はいつから?Q12法務省HP
特定少年は,逆送後の刑事裁判では,どのように取り扱われるのですか?
特定少年は,逆送後の刑事裁判では,どのように取り扱われるのですか?
今回の改正により,特定少年は,逆送されて起訴された場合の刑事裁判では,原則とし
て,20歳以上の者と同様に取り扱われることとなります。
今回の改正により,特定少年は,逆送されて起訴された場合の刑事裁判では,原則とし
て,20歳以上の者と同様に取り扱われることとなります。
どのような点が,17歳以下の少年と異なることになりますか?
どのような点が,17歳以下の少年と異なることになりますか?
例えば,判決で有期の懲役が科される場合,
しろまる 17歳以下の少年には,最長15年以下の範囲で,刑の長期と短期を定める不定期刑
(例:懲役5年以上10年以下)
が言い渡されますが
しろまる 特定少年には,20歳以上と同様に,最長30年以下の範囲で定期刑(例:懲役10年)
が言い渡されることになります。
例えば,判決で有期の懲役が科される場合,
しろまる 17歳以下の少年には,最長15年以下の範囲で,刑の長期と短期を定める不定期刑
(例:懲役5年以上10年以下)
が言い渡されますが
しろまる 特定少年には,20歳以上と同様に,最長30年以下の範囲で定期刑(例:懲役10年)
が言い渡されることになります。
また,17歳以下の少年のとき犯した罪で刑罰に処せられた場合,
しろまる 少年法の特例(第60条)によって,資格を制限する様々な法律の規定(例:公務員へ
の就職の制限)について,例えば,執行猶予中は適用されない
などの緩和がされます。
これに対して,特定少年のとき犯した罪については,
しろまる そのような特例は適用されず,20歳以上の場合と同様に資格の制限を受ける
ことになります。
また,17歳以下の少年のとき犯した罪で刑罰に処せられた場合,
しろまる 少年法の特例(第60条)によって,資格を制限する様々な法律の規定(例:公務員へ
の就職の制限)について,例えば,執行猶予中は適用されない
などの緩和がされます。
これに対して,特定少年のとき犯した罪については,
しろまる そのような特例は適用されず,20歳以上の場合と同様に資格の制限を受ける
ことになります。
特定少年の「保護処分」について教えてください。
特定少年の「保護処分」について教えてください。
今回の改正により,特定少年の保護処分は,
しろまる 少年院送致
しろまる 2年間の保護観察(遵守事項に違反した場合には少年院に収容することが可能)
しろまる 6か月の保護観察
とされ,家庭裁判所が,犯した罪の責任を超えない範囲内で,いずれかを選択すること
となりました。
今回の改正により,特定少年の保護処分は,
しろまる 少年院送致
しろまる 2年間の保護観察(遵守事項に違反した場合には少年院に収容することが可能)
しろまる 6か月の保護観察
とされ,家庭裁判所が,犯した罪の責任を超えない範囲内で,いずれかを選択すること
となりました。
少年院には,どれくらいの期間収容されるのですか?
少年院には,どれくらいの期間収容されるのですか?
特定少年の少年院送致における収容期間は,家庭裁判所が,犯した罪の重さを考慮して,
3年以下の範囲内で定めます。
特定少年の少年院送致における収容期間は,家庭裁判所が,犯した罪の重さを考慮して,
3年以下の範囲内で定めます。
なお,特定少年については,民法上の成年となることなどを考慮し,将来,罪を犯すお
それがあること(ぐ犯)を理由とする保護処分は行わないこととされました。
なお,特定少年については,民法上の成年となることなどを考慮し,将来,罪を犯すお
それがあること(ぐ犯)を理由とする保護処分は行わないこととされました。
今回の少年法改正は,民法の成年年齢の引下げと同じく,令和4年(2022年)4月1日から
施行されます。
今回の少年法改正は,民法の成年年齢の引下げと同じく,令和4年(2022年)4月1日から
施行されます。
今回の改正少年法が適用されるのはいつからですか?
今回の改正少年法が適用されるのはいつからですか?

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