少年法等の一部を改正する法律案要綱第一少年法の一部改正一特定少年の特例1保護事件の特例検察官への送致についての特例(一)(1)家庭裁判所は、特定少年(十八歳以上の少年をいう。以下第一において同じ。)に係る事件については、第二十条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもって、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならないものとすること。(第六十二条第一項関係)(2)(1)の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、(1)の決定をしなければならないものとし、ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでないものとすること。(第六十二条第二項関係)イ故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものロ死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であって、その罪を犯すと き特定少年に係るもの(イに該当するものを除く。)(3)家庭裁判所は、公職選挙法(他の法律において準用する場合を含む。)及び政治資金規正法に規定する罪の事件((4)に規定する場合に係る(4)に規定する罪の事件を除く。)であって、その罪を犯すとき特定少年に係るものについて、(1)の規定により検察官に送致するかどうかを決定するに当たっては、選挙の公正の確保等を考慮して行わなければならないものとすること。(第六十三条第一項関係)(4)家庭裁判所は、公職選挙法第二百四十七条の罪又は同法第二百五十一条の二第一項各号に掲げる者が犯した同項に規定する罪、同法第二百五十一条の三第一項の組織的選挙運動管理者等が犯した同項に規定する罪若しくは同法第二百五十一条の四第一項各号に掲げる者が犯した同項に規定する罪の事件であって、その罪を犯すとき特定少年に係るものについて、その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと認める場合には、(1)の規定にかかわらず、(1)の決定をしなければならないものとし、この場合においては、(2)ただし書の規定を準用するものとすること。(第六十三条第二項関係)保護処分についての特例(二)(1)第二十四条第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、第二十三条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、少年が特定少年である場合には、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内において、決定をもって、次のイからハまでに掲げる保護処分のいずれかをしなければならないものとし、ただし、罰金以下の刑に当たる罪の事件については、イの保護処分に限り、これをすることができるものとする こと。(第六十四条第一項関係)イ六月の保護観察所の保護観察に付すること。ロ二年の保護観察所の保護観察に付すること。ハ少年院に送致すること。(2)(1)ロの保護観察においては、(6)に規定する場合に、(6)の決定により少年院に収容することができるものとし、家庭裁判所は、(1)ロの保護処分をするときは、その決定と同時に、一年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して(6)の決定により少年院に収容することができる期間を定めなければならないものとすること。(第六十四条第二項関係)(3)家庭裁判所は、(1)ハの保護処分をするときは、その決定と同時に、三年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して少年院に収容する期間を定めなければならないものとすること。(第六十四条第三項関係)(4)勾留され又は第十七条第一項第二号の措置がとられた特定少年については、未決勾留の日数は、その全部又は一部を、(2)又は(3)の規定により定める期間に算入することができるものとすること。(第六十四条第四項関係)(5)(1)の保護処分においては、保護観察所の長をして、家庭その他の環境調整に関する措置を行わせることができるものとすること。(第六十四条第五項関係)(6)第二の二7の申請があった場合において、家庭裁判所は、審判の結果、(1)ロの保護処分を受けた者がそ の遵守すべき事項を遵守しなかったと認められる事由があり、その程度が重く、かつ、少年院において処遇を行わなければ本人の改善及び更生を図ることができないと認めるときは、これを少年院に収容する旨の決定をしなければならないものとし、ただし、(6)の決定により既に少年院に収容した期間が通算して(2)の規定により定められた期間に達しているときは、この限りでないものとすること。(第六十六条第一項関係)(7)(8)に定めるもののほか、(6)の決定に係る事件の手続は、その性質に反しない限り、この法律((7)を除く。)の規定による特定少年である少年の保護事件の手続の例によるものとすること。(第六十六条第二項関係)(8)(6)の決定をする場合においては、(7)の規定によりその例によることとされる第十七条第一項第二号の措置における収容及び第二の二8の規定による留置の日数は、その全部又は一部を、(2)の規定により定め
(一)られた期間に算入することができるものとすること。(第六十六条第三項関係)適用除外
(三)(1)第三条第一項(第三号に係る部分に限る。)の規定は、特定少年については、適用しないものとすること。(第六十五条第一項関係)(2)第十二条、第二十六条第四項及び第二十六条の二の規定は、特定少年である少年の保護事件(第二十六条の四第一項の規定による保護処分に係る事件を除く。)については、適用しないものとすること。(第 六十五条第二項関係)(3)第二十七条の二第五項の規定は、少年院に収容中の者について、(1)ロ又はハの保護処分を取り消した(二)場合には、適用しないものとすること。(第六十五条第三項関係)2刑事事件の特例第四十一条及び第四十三条第三項の規定は、特定少年の被疑事件(同項の規定については、第二十条第一(一)項又は1(1)の決定があったものに限る。)については、適用しないものとすること。(第六十七条第一項(一)関係)第四十八条第一項並びに第四十九条第一項及び第三項の規定は、特定少年の被疑事件(第二十条第一項又
(二)は1(1)の決定があったものに限る。)の被疑者及び特定少年である被告人については、適用しないものと(一)すること。(第六十七条第二項関係)第四十九条第二項の規定は、特定少年に対する被告事件については、適用しないものとすること。(第六
(三)十七条第三項関係)第五十二条、第五十四条並びに第五十六条第一項及び第二項の規定は、特定少年については、適用しない
(四)ものとすること。(第六十七条第四項関係)第五十八条及び第五十九条の規定は、特定少年のとき刑の言渡しを受けた者については、適用しないもの(五)とすること。(第六十七条第五項関係) 第六十条の規定は、特定少年のとき犯した罪により刑に処せられた者については、適用しないものとする(六)こと。(第六十七条第六項関係)3記事等の掲載の禁止の特例第六十一条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しないものとし、ただし、当該罪に係る事件について刑事訴訟法第四百六十一条の請求がされた場合(同法第四百六十三条第一項若しくは第二項又は第四百六十八条第二項の規定により通常の規定に従い審判をすることとなった場合を除く。)は、この限りでないものとすること。(第六十八条関係)第二更生保護法の一部改正一地方更生保護委員会の所掌事務等1地方更生保護委員会(以下「地方委員会」という。)の所掌事務として、仮退院を許す処分を取り消すことを加えるものとすること。(第十六条第四号関係)2地方委員会は、収容中の特定保護観察処分少年(第一の一1(1)ロの保護処分に付されている者であって、
(二)第一の一1(6)の決定により少年院に収容されているものをいう。以下第二において同じ。)について、少年
(二)院法第十六条に規定する処遇の段階が最高段階に達し、退院させて再び保護観察を実施することが改善更生のために相当であると認めるとき、その他退院させて再び保護観察を実施することが改善更生のために特に必要であると認めるときは、決定をもって、その退院を許すものとすること。(第四十七条の二関係) 二保護観察1保護観察の対象者保護観察処分少年として、第一の一1(1)イ又はロの保護処分に付されている者を加えるものとすること。(二)(第四十八条第一号関係)2一般遵守事項一般遵守事項の内容として、特定保護観察処分少年(保護観察処分少年のうち、第一の一1(1)ロの保護(一)
(二)処分に付されているものをいう。以下同じ。)がの規定により住居を特定された場合に当該住居に居住12(一)することを加えるものとすること。(第五十条第一項第四号関係)保護観察対象者があらかじめ保護観察所の長の許可を受けるべき転居の対象から、特定保護観察処分少年(二)が一2の退院の決定又は第一の一1(2)の規定により定められた期間(以下「収容可能期間」という。)の(二)満了により釈放された場合にその居住すべき住居に転居する場合を除くものとすること。(第五十条第一項第五号関係)3特別遵守事項の設定及び変更保護観察所の長は、第一の一1(1)イ又はロの保護処分に付されている者について、当該保護処分をした家(二)庭裁判所の意見を聴き、これに基づいて特別遵守事項を定め、又は変更することができるものとすること。(第五十二条第一項関係) 4一般遵守事項の通知保護観察所の長は、第一の一1(1)イ又はロの保護処分があったときは、当該保護処分に付された者に対
(一)
(二)し、一般遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならないものとすること。(第五十四条第一項関係)刑事施設の長又は少年院の長は、一2の退院の決定又は収容可能期間の満了により収容中の特定保護観察(二)処分少年を釈放するときは、その者に対し、一般遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならないものとすること。(第五十四条第二項関係)5特別遵守事項の通知刑事施設の長又は少年院の長は、一2の退院の決定又は収容可能期間の満了により収容中の特定保護観察処分少年を釈放するときは、その者に対し、特別遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならないものとすること。(第五十五条第二項関係)6家庭裁判所への通告等保護観察処分少年(少年法第二十四条第一項第一号の保護処分に付されているものに限る。)について、保護観察所の長が新たに少年法第三条第一項第三号に掲げる事由があると認めて通告した場合において、当該通告に係る保護観察処分少年が十八歳以上であるときは、これを十八歳に満たない少年とみなして、同法第二章の規定を適用するものとすること。(第六十八条第二項関係) 7第一の一1(6)の決定の申請(二)保護観察所の長は、特定保護観察処分少年が、遵守事項を遵守せず、その程度が重いと認めるときは、第一の一1(6)の決定の申請をすることができるものとし、ただし、当該特定保護観察処分少年について、その収
(二)容可能期間が満了しているときは、この限りでないものとすること。(第六十八条の二関係)8留置保護観察所の長は、引致状により引致した特定保護観察処分少年について、7の規定による申請をするか
(一)否かに関する審理を開始する必要があると認めるときは、当該特定保護観察処分少年を刑事施設又は少年鑑別所に留置することができるものとすること。(第六十八条の三第一項関係)の規定による留置の期間は、引致すべき場所に引致した日から起算して十日以内とし、ただし、その期(二)
(一)間中であっても、7の規定による申請をする必要がなくなったときその他留置の必要がなくなったときは、直ちに特定保護観察処分少年を釈放しなければならないものとすること。(第六十八条の三第二項関係)保護観察所の長は、の規定により留置されている特定保護観察処分少年について、7の規定による申請(三)
(一)をしたときは、の規定にかかわらず、当該申請に係る家庭裁判所からの決定の通知があるまでの間又は第(二)一の一1(7)の規定によりその例によることとされる少年法第十七条第一項第二号の観護の措置がとられる(二)までの間、継続して留置することができるものとし、ただし、留置の期間は、通じて二十日を超えることができないものとすること。(第六十八条の三第三項関係) の規定による留置については、審査請求をすることができないものとすること。(第六十八条の三第四
(四)
(一)項関係)9収容中の特定保護観察処分少年の保護観察の停止特定保護観察処分少年について、第一の一1(6)の決定があったときは、一2の退院の決定による釈放ま(一)
(二)での間又は収容可能期間の満了までの間、当該特定保護観察処分少年の保護観察は、停止するものとすること。(第六十八条の四第一項関係)特定保護観察処分少年の保護観察の期間は、第一の一1(6)の決定によってその進行を停止し、一2の退
(二)
(二)院の決定により釈放された時又は収容可能期間が満了した時からその進行を始めるものとすること。(第六十八条の四第三項関係)収容中の特定保護観察処分少年に係る特別遵守事項の設定等10地方委員会は、収容中の特定保護観察処分少年について、一2の退院の決定による釈放の時又は収容可能
(一)期間の満了の時までに、決定をもって、特別遵守事項を定め、又は変更することができるものとすること。(第六十八条の五第一項関係)地方委員会は、収容中の特定保護観察処分少年について定められている特別遵守事項につき、必要がなく(二)なったと認めるときは、一2の退院の決定による釈放までの間又は収容可能期間の満了までの間に、決定をもって、これを取り消すものとすること。(第六十八条の五第二項関係) 収容中の特定保護観察処分少年について、第一の一1(6)の決定があったときにその者に対する保護観察(三)
(二)をつかさどっていた保護観察所の長(地方委員会により、当該収容中の特定保護観察処分少年の住居が特定された場合には、その地を管轄する保護観察所の長)は、その保護観察の実施状況その他の事情を考慮し必要があると認めるときは、特別遵守事項の設定、変更又は取消しに関し、地方委員会に対して意見を述べるものとすること。(第六十八条の五第三項関係)収容時又は収容中における特定保護観察処分少年に係る少年院の長との連携11特定保護観察処分少年が第一の一1(6)の決定により少年院に収容されたときは、当該決定があったとき(一)
(二)にその者に対する保護観察をつかさどっていた保護観察所の長は、その保護観察の実施状況その他の事情を考慮し、少年院における矯正教育に関し、少年院の長に対して意見を述べるものとすること。(第六十八条の六第一項関係)の保護観察所の長は、収容中の特定保護観察処分少年について、少年院における矯正教育の状況を把(二)10(三)握するとともに、必要があると認めるときは、一2の退院の決定による釈放後又は収容可能期間の満了後の保護観察の実施に関し、少年院の長の意見を聴くものとすること。(第六十八条の六第二項関係)収容中の特定保護観察処分少年の住居の特定12地方委員会は、収容中の特定保護観察処分少年について、収容可能期間の満了の時までに、保護観察所の
(一)長による住居の調整の結果に基づき、決定をもって、その者が居住すべき住居を特定することができるもの とすること。(第六十八条の七第一項関係)地方委員会は、の決定をした場合において、当該決定を受けた者について、収容可能期間の満了までの
(二)
(一)間に、当該決定により特定された住居に居住することが相当でないと認められる事情が生じたと認めるときは、決定をもって、住居の特定を取り消すものとすること。(第六十八条の七第二項関係)第一の一1(1)ハの保護処分に付されている少年院仮退院者の仮退院の取消し13
(二)地方委員会は、保護観察所の長の申出により、少年院仮退院者(第一の一1(1)ハの保護処分に付されて
(一)
(二)いるものに限る。において同じ。)が遵守事項を遵守せず、少年院に収容するのを相当と認めるときは、15決定をもって、仮退院を許す処分を取り消すものとすること。(第七十三条の二第一項関係)の規定により仮退院を許す処分が取り消されたときは、仮退院中の日数は、第一の一1(3)の規定によ(二)
(一)
(二)り定められた期間に算入するものとすること。(第七十三条の二第二項関係)決定の執行14地方委員会は、の決定をしたときは、保護観察官をして、その決定を執行させるものとし、ただし、
(一)13(一)必要があると認めるときは、刑事施設の長、少年鑑別所の長又は保護観察所の長にその執行を嘱託することができるものとすること。(第七十三条の三第一項関係)地方委員会は、の執行のため必要があると認めるときは、の決定を受けた者に対し、出頭を命ずる
(二)
(一)13(一)ことができるものとすること。(第七十三条の三第二項関係) 地方委員会は、の決定を受けた者について、正当な理由がないのに、の規定による出頭の命令に応
(三)13(一)
(二)ぜず、又は応じないおそれがあるときは、裁判官のあらかじめ発する引致状により、当該者を引致することができるものとすること。(第七十三条の三第三項関係)第一の一1(1)ハの保護処分に付されている少年院仮退院者の留置15
(二)地方委員会は、引致状により引致された少年院仮退院者について、の申出がありの決定をするか否13(一)13(一)かに関する審理を開始するときは、当該少年院仮退院者を刑事施設又は少年鑑別所に留置することができるものとすること。(第七十三条の四第一項関係)第三少年院法の一部改正一少年院の種類の新設少年院の種類として、第五種を加え、第一の一1(1)ロの保護処分に付されている者であって、第一の一1
(二)
(二)(6)の決定を受けたものを収容するものとすること。(第四条関係)二第五種少年院在院者の個人別矯正教育計画少年院の長は、第五種の少年院に収容されている者(以下第三において「第五種少年院在院者」という。)について、個人別矯正教育計画を策定しようとする場合又は策定した個人別矯正教育計画を変更しようとする場合には、第三十四条第三項に規定するもののほか、保護観察所の長の意見を踏まえ、策定又は変更するものとし、策定又は変更をしたときは、その内容を相当と認める者及び保護観察所の長に通知するものとすること。(第三 十四条第四項、第五項及び第七項関係)三第五種少年院在院者の成績等の通知1少年院の長は、第五種少年院在院者について、成績の評価を行ったときは、その結果を相当と認める者及び保護観察所の長に通知するものとすること。(第三十五条第三項関係)2少年院の長は、第五種少年院在院者について、1の規定による通知をする場合その他適当と認める場合には、その在院者の生活及び心身の状況を相当と認める者及び保護観察所の長に通知するものとすること。(第三十五条第四項関係)四第五種少年院在院者の退院の申出少年院の長は、第五種少年院在院者について、第十六条に規定する処遇の段階が最高段階に達し、退院を許すのが相当であると認めるときは、地方委員会に対し、退院を許すべき旨の申出をしなければならないものとすること。(第百三十六条の二関係)第四その他一その他所要の規定の整備を行うこと。第五附則一この法律は、令和四年四月一日から施行するものとすること。(附則第一条関係)二この法律の施行に伴う所要の経過措置を定めること。(附則第二条から第七条まで関係) 三政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定及び民法の一部を改正する法律による改正後の規定の施行の状況並びにこれらの規定の施行後の社会情勢及び国民の意識の変化等を踏まえ、罪を犯した十八歳以上二十歳未満の者に係る事件の手続及び処分並びにその者に対する処遇に関する制度の在り方等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。(附則第八条関係)四関係法律について所要の規定の整備を行うこと。(附則第九条から第十九条まで関係)

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