議事録(第9回)


法務・検察行政刷新会議(第9回)
議事録
第1 日 時 令和2年12月24日(木) 自 午後 1時30分
至 午後 2時20分
第2 場 所 法務省第1会議室(20階)
第3 議 題 1 報告書(案)についての議論
2 その他
第4 議 事 (次のとおり) -1-議 事
しろまる保坂事務局 それでは,予定の時刻でございますので,ただいまから法務・検察行政刷新会
議,第9回会議を開催いたします。
座長,お願いいたします。
しろまる鎌田座長 本日は,大変御多用中のところを御出席賜りまして誠にありがとうございます。
まず,本日の委員等の出欠状況について確認いたします。本日は,金指委員,冨山委員,
小林オブザーバーにおかれましては,所用のため御欠席であります。また,山本隆司委員に
おかれましては,少々遅れて御参加になる予定と伺っております。
それでは,議事に移らせていただきます。
本日は,前回に引き続き,報告書(案)についての議論を行います。
最初に,前回の会議の結果を踏まえ,報告書(案)の改訂版をお示ししていますので,前
回の会議でお示ししたものからの主な変更点について私から説明いたします。
まず,前回の会議で熱心に御議論を頂きました国連の恣意的拘禁作業部会の意見書に関し,
その経緯や意見書の内容,政府のこれまでの対応等に関する当局からの説明の概要を盛り込
みました。
また,前回の会議で示された個別の意見につきましては,従前から記載しておりましたも
のの書きぶりに関する修正の御意見を含め,全体のバランスを見ながら,できる限り改訂版
に盛り込みました。
さらに,本会議として方向性について委員等の意見が一致した部分に枠囲いを付したこと
や,「5 結び」の部分で,本会議として法務大臣に望むことを丸数字を付けて分かりやす
く記載するなどの体裁の修正を施しました。
加えて,本日の会議に際しましては,事前に,委員の皆様等に報告書(案)の改訂版の案
を御覧いただいた上で,更なる案文の修正・調整について御意見を頂き,そのうち,これま
での御議論の状況を踏まえて,全体のバランスも見ながら,盛り込むことが適正であると判
断したものについては,本日お配りした報告書(案)の改訂版に既に盛り込んでおります。
ただ,1点,机上配布資料で,報告書(案)の見え消し版に更にもう2点修正をさせてい
ただくということを記させていただいているところでございます。
それでは,議論に入ります。
本会議におきましては,これまで,森前大臣から示された3つの検討の柱に沿って,8回
にわたり十分な議論を行い,皆様からの意見も出尽くした状況にあるものと理解いたしてお
ります。
そこで,事前にお伝えしておりますとおり,本日の会議においては,報告書(案)改訂版
に基づいて,本会議としての取りまとめを行いたいと考えています。
そこで,まず,報告書(案)の改訂版につき,更に御意見がございましたらお伺いをいた
します。
なお,本日御欠席の委員等から事前に御意向を伺っておりますので,ここで紹介いたしま
すと,金指委員からは,報告書(案)に対する更なる修正の御意見はなく,また,本日の会
議で取りまとめを行うことに賛成である旨の御意見を頂いております。
冨山委員からも,報告書(案)に対する修正意見はなく,御欠席の中,本日の会議で取り -2-まとめを行うことに御異論はない旨の御意見を頂きました。
小林オブザーバーからは,報告書(案)に対する意見はなく,本日の会議で取りまとめを
行うことについても,委員の皆様の御意見を尊重する旨の御連絡を頂いております。
それでは,御発言を希望される委員等におかれましては,挙手をお願いいたします。
よろしいですか。
特に御議論がないようでしたら,一応ここまでで議論は終了したということにさせていた
だきます。
本日お示しした報告書(案)の改訂版に,先ほど申し上げました机上配布資料での修正点
を盛り込んだものをもって,本会議としての取りまとめとすることでよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
では,本日お示ししました,先ほど申し上げました報告書(案)の改訂版をもちまして,
本会議としての取りまとめとさせていただきます。
珍しく御意見がなかったですけれども,本日は,最後の会議となりますので,言い足りな
かったこと,あるいは今後についての御要望等がございましたら,お伺いをしておきたいと
思います。
それでは,鵜瀞委員,どうぞ。
しろまる鵜瀞委員 鵜瀞です。半年間,非常に精力的かつ丁寧に議論を進めていただけたことに,座
長と事務局にお礼を申し上げたいと思います。この会議では,意見の相違の部分に多くの時
間が使われたわけですけれども,意見が一致する点について,このような形で取りまとめが
できて,提案できるということでまとまったのは大変によかったというふうに思っておりま
す。
私としては,2点申し上げたいんですけれども,1つは,法務・検察行政に対する信頼が
損なわれたということを踏まえて,この会議が始まっております。信頼が損なわれたという
ことは,法務・検察御当局それ自体として非常に重要な問題と認識されるべきものであって,
どうしたらいいのかというのは,既に主体的に御検討されていると思うわけです。私たちも
検討しましたけれども,省内でも,あるいは庁内でも,どういうふうに対処したらいいのか
という検討はされていると思いますので,この取りまとめ内容がその主体的な当局の御努力
をサポートするものであることを強く期待するものです。
それから,もう1つは,ここでの議論で私は時々感じることがあったんですけれども,何
というか,法曹資格を持っていらっしゃる方たちの言わば仲間うちの議論のようなことに結
構多くの時間が使われておりました。ですが,法務・検察行政のステークホルダーというの
は,一般の国民,あるいは日本社会ですよね。ですから,これからどうあるかを考えるとき
には,日本社会,あるいは国民にとって何が重要なのか,何が求められているのかというこ
とから方向性とか優先順位を考えていっていただきたいなというふうに思っております。
いろいろ御都合もあるとは思うんですけれども,やはり世の中どんどん変わっているので,
不断の進化をしなければいけないと,そういう姿勢で取り組まれることを期待しております。
その点,この取りまとめを受け取られた大臣のリーダーシップにも大いに期待しているとこ
ろです。
以上です。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。 -3-それでは,篠塚委員,どうぞ。
しろまる篠塚委員 発言が多くて大変御迷惑を掛けたかもしれませんけれども,座長,副座長,そし
て会議の運営を支えていただいた法務省の関係者の皆さんの御尽力に,まずもって御礼を申
し上げたいと思います。
検察官の倫理,法務行政の透明化,そして刑事司法の現状に危機感を持って,本会議に臨
んだわけですが,刑事の専門家でない委員が参加するこの会議で,刑事手続の在り方,取り
分け取調べへの弁護人の立会いについて活発な議論が行われ,その中で改革を求める積極的
な意見も表明されたことの意義は大変大きいと思っております。
他方,殺人などの重大事件が裁判員裁判で現在審議される時代になっているこの時代にお
いて,刑事の専門家でない委員が参加していることを理由に,刑事手続の議論を避けようと
したこと,あるいは事実に基づいて議論するためのヒアリングが実施されなかったことは大
変残念なことだと思っております。
次は,私どもも含めた反省なのですけれども,法務・検察を含め,刑事司法に関わる専門
家のこうした姿勢が,憲法と国際人権法に適合しない,国際的な理解の得られない刑事司法
を温存しているのではないかという批判が各方面から出ていると思います。私たち専門家は,
本当にここの点を省みる必要があると考えています。
そして,この報告書が広く国民の皆さん,さらには国連の関連委員会や作業部会にも理解
を広げ,今後の法務・検察行政の刷新に活かし,その信頼を回復するために寄与するよう,
引き続き私たちも力を尽くしていきたいと考えております。
どうもありがとうございました。
しろまる鎌田座長 どうもありがとうございました。
井上委員,お願いいたします。
しろまる井上委員 座長にはかなりストレスフルな会議のかじ取り,本当に御苦労様でございました。
私がやったら,とっくに座礁して沈没している会議を見事にゴールまで導いた,その力量に
本当に感服いたしております。
私は立場として,現場を卒業してすぐだったもので,ちょっと立ち位置の取り方が難しく
て,うまいこと説明できたかなという反省と,ちょっと言い足りなかったかな,遠慮したか
なというところと両方あるんですけれども,最後ですから,2点だけ付け加えさせていただ
きます。1点目が,今回の会議を通じて,私が現場にいたときからそうでしたけれども,事
件の関係のことは対外的にあまり説明しないというのが検察の伝統であったわけですが,た
だ,最近,検察の中の人たちから話を聞くと,やはりもっと説明すべきだという意見が大分
出てきているようですので,今後は,少し時間は掛かって徐々にという進行になると思いま
すけれども,これまでよりももう少し説明する部分が増えていく方向に行くんじゃないかな
と期待しておりますので,それは御紹介させていただきたいと思います。
もう1点は,今回,特に刑事手続の立会いを中心とした議論のところで,人権とその真相
解明のバランスというのでしょうか,あっちが立てばこっちが立たない的な対立構造的な把
握の捉え方を私もして説明しましたし,そういう関係にもあるのも確かなんでしょうけれど
も,そういう発想で議論がなされてきましたが,仮に今後,本当に立会いを入れていくとい
うことを考えるとすれば,両者のバランスを失するときっと不幸な結末になるので,人権の
方も最高のレベルに達する,真相解明の方も最高のレベルに達するという,いろんな技術革 -4-新を取り入れるといいますか,工夫を重ねることによって,両方ともに高いレベルで両立し
ているという,そういうところを目指していくしかないんじゃないかなと思います。
ちょうど今,いろんなIT関係の技術革新の時代で,それをやることによって,かなりい
ろんなものが新しくできるようになるだろうと思うんですね。だから,諸外国でいろんなこ
とをやっている,それを参考にしていろいろ検討するのはいいんだけれども,やはり日本的
なもの,日本の風土とか国民性とか,そういうものも考えて,新たな技術も取り入れて,何
かもっとうまい解決方法がないかという,そういう技術革新的なテクニック,弁護手法とか
捜査手法とか,そういうものも含めていろいろ考えていって,何かいい解決ができればいい
なというふうに思ったという,そんな次第でございます。
以上です。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
それでは,ほかに。
後藤委員,お願いします。
しろまる後藤委員 いろいろ申し上げたいことがあるので,一言では済まないかと思います。私とし
ては,本当はこれで終わらないで,もっと議論を続けましょうと言いたいところです。けれ
ども,そう提案しても,大勢はそのように動かないと思うので,あえてそれは言わないでお
きます。十分に議論できたという満足感が残念ながらないです。篠塚委員もおっしゃったよ
うに,事実を見て問題意識を共有しようとする姿勢がもっと必要だったと思いますし,特に
刑事手続の部分では,改革に向けた明確な一歩を求めるような提案をしようという,積極的
な意欲がもっとこの会議体にはあるべきだったのではないか,それが残念でした。
議論の経過も,三つの主題についてひとわたり議論して,もう一度,第2ラウンドがある
のかと思ったら,第一読会だけで終わってしまった感じがあって,それもやり切ったという
感じがしない理由です。その結果,報告書の体裁としては,意見を列挙した部分が目立って
しまうという形にとどまったと思います。もし,私が問題を出して答案を採点する教員だと
すれば,これに合格点は付けないだろうと思います。
それでも,この報告書をよく読んでいただけば,参考になる点はあると思いますし,意見
が一致して提言している部分もあるので,それを活かしていただけたら,この会議にも意味
があることになるので,それを期待します。
話が変わりますが,今後のことです。この会議が始まったときに,10年前の在り方会議
の議事録を見ようとしたら,ホームページから消えていて,最後の報告書だけになっていま
した。今は法制審の特別部会の資料のリンクからまた見られるようになっていると思います
が,それも一時は切れていました。この刷新会議の記録も後に残して振り返る意味があると
思います。これがいつまでホームページで見られるのか不安になりました。前の会議の記録
は知らないうちに消えていたので,掲載期間について明確なルールがないのであれば,それ
があった方がよいと思います。更に言えば,ホームページにいつまでも載せておくのは難し
いとしても,今やデジタル化した情報を蓄積,保存することは非常に安いコストでできるこ
となので,ホームページから消えても,法務省に頼んだらデジタルデータでそれをもらえる
ような仕組みができたらよいと思います。これは法務省だけの問題ではなく,今,政府がや
ろうとしている行政のデジタル化ですか,その一環として,そういう仕組みができてくれた
らよいと思います。 -5-最後に,おそらくこれから法務官僚の方々と議論する機会も余りないだろうと思いますの
で,遺言的なことを申し上げておきたいと思います。比喩的な言い方ですけれども,建前と
いう城の中に立て籠もらないで,事実の戦場で戦ってくださいということです。戦場で戦う
という意味は,けんかしろという意味ではなくて,問題意識を共有して,どうしたらよいの
かを本音で議論することです。それがもっと大事なのではないでしょうか。今までの法務省
には,建前論が多過ぎた。ですから,これから法務・検察の幹部の方々にそういうことを考
えていただければ幸いです。
しろまる鎌田座長 ほかに御意見いかがでしょうか。
太田委員,お願いします。
しろまる太田委員 私からも,これまでの8回,今日9回目ですけれども,会議の運営と報告書の取
りまとめに当たっていただいた座長,副座長,そして事務局の皆様,厚く御礼を申し上げた
いと思います。意見の隔たりが大きい中で,よくここまで報告書をまとめていただいたもの
と感服をしております。
この会議を通じて感想を若干付言させていただくと,3つの柱がございました。
倫理と,それから法務行政の透明化ということ,この2点共通に,皆様の御意見などを伺
って思ったのは,特に法務・検察というのは中立性,公平性,そして幹部の廉潔性,公務員
共通の倫理事項ではあるんですけれども,こういった点が非常に強く求められる立場である
ということ。その点を自戒していただいて,今後,疑いが差し挟まれないような,そういう
運営をされていくことが大事であろうということを強く思った次第であります。
それから,刑事司法制度について国際的理解を得るための方策という点に関しては,やは
り国際的な発信力の強化というのが一番の鍵になろうかと考えています。刑事司法制度その
ものを議題とすることに強く反対していた立場ではありますけれども,個人的には,刑事司
法制度の更なる見直しは不断に続けていくべきものと考えています。この会議では,刑事司
法制度に関して言えば,無実の人を処罰しない,このことは大事でありまして,「検察の理
念」にも書かれているわけですけれども,こういう方向からの御意見が非常に数多く出たと
思います。
ただ,私,思いますのは,刑事司法制度というのは,もう一つ,犯罪者が罪を免れないよ
うにする,犯罪者が罪を免れて,結果として国民の安全が脅かされないようにするというの
も大事な柱であって,無実の人が処罰されないということと両立しなければいけない課題で
す。ですから,議題とすることに反対していたというのは,単に反対するということではな
くて,この両者のバランスとか,あるいはそういうことを議論する会議体の構成であるとか
いったようなものも十分勘案して,是非,議論が先に進むような方向での御努力を法務・検
察当局にお願いをしたいと思います。
その際に,私の法曹ではない警察OBという立場から付言しますと,検察も現場はありま
すけれども,より国民に近いところで日夜動いている警察の現場は様々な苦労を抱えている
わけでして,そういった点についても十分踏まえて検討が進められることを期待したいと思
います。
本当に,半年にわたってありがとうございました。
しろまる鎌田座長 では,河合委員,お願いします。
しろまる河合委員 このような取りまとめを頂いた座長,副座長,事務局の方に感謝申し上げます。 -6-一言だけ,倫理の関係について申し上げますと,倫理の在り方についてもっと議論しても
よかったんじゃないのかなというのが私の感想なんですが,といいますのは,倫理の取組と
いうのは,その問題が起こったときは熱心にやるんですが,やっぱりマンネリ化しやすいん
ですね。今回検察庁でのいろんな取組のペーパーを頂きましたが,どうもそういう取組も今
マンネリ化しつつあるんじゃないかということを危惧しております。
今回の会議で,民間の有識者の皆さん方から非常に貴重な御意見が出ております。そうい
った御意見を参考にして,より実効性のある研修等の取組について,法務・検察でこれから
行われていくことを期待したいと思います。
以上でございます。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
山本先生,お忙しい中,御参加いただきましてありがとうございます。この報告書の取り
まとめについては御賛成を頂いたところなので,最後に委員等の皆さんに一言ずつお伺いし
ているところです。
山本委員からも一言お願いいたします。
しろまる山本(隆)委員 他省庁で案件がございまして,遅れまして大変失礼をいたしました。
今回の報告書には,私は重要な指摘がされていると思います。第1の柱に関しては,研修
等を社会の目にさらす形で行うということ,第2の柱に関しては,最近行政機関に対して求
められている透明性,あるいは文書管理の在り方等を十分考慮し,それを反映した形で行政
を進めていただきたいということであり,第3の柱に関しては,国際的な目というものが1
つあるわけではなく,今回議論されたもので言えば,作業部会は1つの立場を示したと思う
のですけれども,さらにいろいろな国際機関,あるいは国際的な層の目というものがあり,
それに対して十分な説明をするようにということであったと思います。
そういう意味で有益な議論ができたのではないかと思います。もちろん,いろいろ更に議
論をすれば掘り下げられるのではないかという点もございますけれども,今後に向けて重要
な報告書になったと思います。
私は,いろいろ行政機関の審議会等に出席する機会がございますけれども,まず任務が定
まっていて,それに応じた人選をして,組織を構成して,一定の計画を立てて審議を進めて
いくのが普通のやり方であり,それをすることが合議制の行政機関に対する民主的なコント
ロールという点からも,また,特定の公的機関が権限を拡張していくことがないようにする
という点からも重要であると思います。その点で,この会議は率直に言って私にとって驚き
の会議でした。その中で,座長におかれてはそこをうまくおまとめいただいて,大変な御苦
労があったのではないかと思います。この場でお礼申し上げます。どうもありがとうござい
ました。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
では,徐オブザーバー,御意見あるいはその他御要望等ございましたら一言お願いいたし
ます。
しろまる徐オブザーバー ありがとうございます。皆様,委員の先生方もおっしゃっていただいたと
おり,座長と事務局の皆様におかれましては,大変な議事運営と,日常業務に追加してこの
ような当局の説明の準備も含めまして多大なる御苦労と御負担を掛けてしまいまして,本当
にありがとうございました。 -7-その上で,1点だけ私も述べさせていただきますと,特に第2の柱については,法務省・
検察庁の方々のみならず,政府全体についても重要な示唆的な意見が含まれているのではな
いかなというふうに思っております。本会議が開かれている間も,他の省庁において,法解
釈について国民とのコミュニケーションがうまく取れていないんじゃないかというような事
案が起きたり,そういった中で,今後,国民が何か諸政府に対する信頼を損なうような法解
釈をしたりとか,あるいはそういったコミュニケーションが取れなくなってしまうという事
態が起こることは容易に想定できますので,そういったときに,この報告書(案)の第2の
柱がほかの省庁の皆様にも御参照いただければと思った次第ではございます。
半年間,ありがとうございました。
しろまる鎌田座長 ありがとうございます。
紀藤副座長。
しろまる紀藤副座長 まず,この会議が終了するに当たって,報告書を取りまとめられた座長の御努
力に深く敬意と感謝を申し上げます。私から見ても,座長の力量は非常に大きなものがあっ
たと思います。そして,白熱した議論をこの会議で展開していただいた委員の皆様の熱意に
も,副座長として深く感謝いたします。
今回の報告書は,対立の意見も明示するなどして,議論というレベルとしては,平成23
年3月の検察の在り方検討会議の提言書,それから平成25年1月の法制審議会の新時代の
刑事司法制度特別部会の「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」以上の,現時のレ
ベルでの最高の報告書にはなっていると思っています。むしろ,法曹でない委員の皆様が参
加されたことで闊達な議論が行われたということが重要だと思います。
ただ,その中で議論を通じて,議論の前提である事実を明らかにする調査をすることが益
がないがごとき意見が特に刑事実務に携わる専門家の中から少なからず出たことに関しては,
正直,同じ法曹として驚きを隠さない思いです。評価は事実によって変わってきます。法曹
当事者は,その点は裁判を通じて痛いほど分かっていると思われます。法曹三者は,判決理
由は具体的な事実においてのみ意味があることも十分承知していると思われますので,その
点は,同じ法曹としてとても残念なことだと思います。現時のレベルで最高の報告書とお話
ししたことは,その趣旨であります。3か月後には,もっと良い報告書が出せたのではない
かと,その点では残念に思っているところです。
とはいえ,迅速にという要請があったことも事実です。その意味で,私は,自分の意見の
みならず,委員の皆様の闊達なる議論の前提となる,エビデンスとなる資料を副座長として
この会議に提供することを努めてきました。証拠に基づいて議論するのは法曹としてあるべ
き姿だと思いますし,一見無駄に見えても,議論を尽くすことこそが人間の英知の帰結だと
思います。その意味で,日弁連にも事務局に入っていただいて,エビデンスとなる資料を多
数提供いただきました。日弁連及び日弁連選出の委員の篠塚委員の御努力にも敬意と感謝を
表させていただきます。私だけでは,エビデンスの提供は不十分だったと思います。この点
を大きく感謝いたします。
そして,この会議の重要性に深く御理解いただいた法務省にも,その英断に深く感謝をい
たしますし,法曹以外の立場の委員を多く選任し,刑事事件の専門家でない方を多数,委員
に入れていただいたという点にも深く感謝します。法務省には,エビデンスの提供という意
味では,国連の恣意的拘禁作業部会の意見書の翻訳を出していただけないなど,不十分な点 -8-はあったものの,この会議にエビデンスを多数提供していただき,エビデンスは議論の前提
となるものですので,とても重要なことですので,この点は大きく感謝するところです。エ
ビデンスのない評論的意見は,私は実りが余りないものだというふうに思っています。
ちなみに,私自身は,第二東京弁護士会の刑事弁護委員会の委員に一時期選出されたこと
はありますが,日弁連の刑事弁護関係の委員会の委員ではなく,必ずしも日弁連の意見,日
弁連から見ると意見が一致していないところもあったとは思いますけれども,それは私の本
籍は消費者問題対策委員会にあって,今現在,日弁連の消費者問題対策委員会の筆頭副委員
長もやっているところなんですけれども,むしろふだんは,毎年のように起こる詐欺的投資
被害等の捜査対象になる被疑者・被告人の民事責任の追及の立場から,多く実務を行ってき
ているところです。その立場から言いますと,弁護人立会いは,場合によっては,むしろ被
害者から見れば,より情報公開が早く行われるという意味ではそれなりに意味があるのでは
ないかというふうに思っておりますし,それから,証言よりもたった一つの客観的証拠の方
がよほど重要な場合が,民事でも刑事でも実務的には多数経験するところです。つまり,そ
うした議論も本当は必要であって,事実公表の在り方のみならず,証拠の開示の在り方など
も,本当はこの会議で検討すべきだったというふうに,被害者の立場から見ると,そう思っ
ております。
今回,この会議で行われた議論及びエビデンス,そしてこの報告書は,既に歴史的であり,
しかるべき場所で,法曹でない第三者も入れた形で,国際社会における日本の刑事手続の在
り方について更に一層闊達な議論がなされていくことを,大臣,法務省・検察庁関係者各位,
国民,マスメディア等の関係者各位に対して強く望んでおります。多少,法務省に対しては
耳の痛いことも話させていただきましたけれども,これは会議の正に目的として御理解いた
だければと思いますし,国民の信頼を確保する,国際社会での信頼を得るという点では,私
は法務省・検察庁の強い応援団ですので,その点は御理解いただければと思っております。
私からは以上です。
しろまる鎌田座長 それでは,山本副座長,お願いします。
しろまる山本副座長 最初に,この会議に出席して数回,私も山本隆司委員と同様に,私がふだん参
加している会議と比べて大変に驚きを持って,本当に最終的にまとまるのだろうかというこ
とは,副座長という立場もありましたので,大変懸念をしておりました。しかしながら,最
終的には,委員の皆様の御理解を得て,本日,取りまとめに至ることになったことについて
は,座長,事務局を始めとした取りまとめに当たられた皆様に感謝を申し上げたいと思いま
す。
報告書それ自体については,どうしてもこういうものについては,まとまった部分よりも
まとまらなかった部分に注目されることが多いとは思います。しかし,このまとまった,こ
れだけ多様な委員が集まったところで一定の事項についてはまとまって提言がされたという
こと,それ自体,私は非常に大きな価値があると思いますし,その内容も非常に重要なもの
であるというふうに思っています。
また,まとまらなかった部分,多様な意見が提示された,これも私は,こういう形でまと
めたこと,まとまらなかったということをこういう形でまとめて報告書にしたことは,私は
非常によかったのではないかと思っています。本当に多様な意見が提示され,また,私から
見ても非常に新しい視点,本日は御欠席ですけれども,金指委員や冨山委員といった民間の -9-ビジネスに携わっているような方々から,新たな観点でこの法務・検察の問題について御意
見を頂けて,新しい視点というものが示された。そういう意味では,個別的な意見として示
されている部分も,宝の山といいますか,そこから多くのことを学べるものではないかとい
うふうに思っております。
是非,法務・検察当局には,この報告書,まとまった部分はもちろんですけれども,個別
意見の部分にも真摯に向き合っていただいて,何よりもやはり法務・検察が自律的に自らを
省み,そして改革をしていっていただくと,その手掛かりに十分なり得る報告書が作成でき
たものというふうに思いますので,是非,自律的な改革を進めていっていただくということ
を期待したいと思います。
以上です。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
まだ時間もあるようですので,私からも一言,主として,委員,オブザーバー,事務局の
皆さんへのお礼を申し上げたいと思います。
既に御指摘がありましたように,この会は,法務・検察について失われた信頼をいかにし
て回復するかということで,非常に幅広い課題を与えられました。これも御指摘がありまし
たように,一般にこういう役所の会議は,具体的な制度改革というふうに一定の到達点を見
通して,そこへ最短距離でどう歩みを進めていくかという会議体でありますけれども,ここ
では幅広い課題を与えられて,自由にこれを議論し,まとめていくということで,大変困難
ではありましたが,逆に,法務・検察の根幹に関わるようなところに触れていくことができ
るという会議体でもあったと思っております。その点につきましては,幅広い分野,取り分
け法律専門家以外の委員等から非常に示唆に富んだ御意見を頂くことができたと思っており
ます。
この会を発足させるについて,森前法務大臣も,そういった外からの声を取り込むことに
よって,法務・検察行政の在り方について新しい風を吹き込んでほしいということを期待さ
れていたと思っております。私自身の進行や議事運営の不手際によって,十分にその成果を
上げたとは言えないのかもしれませんが,しかしながら,できるだけ,この会議体を通じて,
個別の具体的な課題を超えた,より本質的で根源的な議論ができるように努めてきたつもり
ではあります。
その結果として,いろいろと御議論が錯綜した部分もございますけれども,少なくとも刑
事司法に関わる今までの会議体の報告書と比べれば,前例を見ないような異例の報告書が出
来上がったというふうに思っておりますけれども,それも先ほど申し上げましたように,幅
広い視点からの意見が取り込まれている,そして少数の意見であっても,それをきちんとこ
の公式の記録の中へ残していって,将来の議論につなげていくというようなことができたと
思っています。この会議体が,先ほど申し上げたように,与えられた使命が普通の制度作り
の会議体とは違うものであるといったところの特色,それから構成員が幅広く異分野から集
まっているということの特色をいかせたのではないかと考えているところでございます。
法務・検察当局におかれましては,これからも法務行政・検察行政のより一層の改善に向
けて努力をされていかれることと思いますけれども,ここで取り上げました倫理とか透明化
の問題というのは,外部からの意見もありますけれども,何といっても法務・検察御当局の
主体的で自律的な自己点検,自己改革が継続されていくことによって,最も実効性のある改
-10-
革ができるのだろうと思いますし,刑事司法手続に関わる部分に関しましては,これはここ
で大変話題になりました立会いの問題にしても,やはり刑事司法手続全体についての専門的,
体系的な検討抜きには議論できないと思っておりますので,改めて,そういった専門家の皆
さんも交えた会議体でしっかりと御議論を頂きたいと思っておりますが,そういった改革の
御努力を続けていかれる際にも,この会議体の中で示された様々な御意見,取り分け国民的,
あるいは市民的な感覚からの示唆に富んだ御意見を踏まえて御検討を進めていっていただく
ことを強く期待したいと思います。
いずれにしましても,委員,オブザーバーの皆さんの非常に熱心で,そしてまた理性的な
御協力を頂戴したことによって,何とかここにこぎ着けることができたことに,心からお礼
を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
事務局は何も言うことないですか。
よろしいでしょうか。ほかにまだ御発言ありましたらお伺いしますけれども,よろしいで
しょうか。
しろまる紀藤副座長 公表の仕方,後藤委員から発言されていました。
しろまる鎌田座長 いろいろな御意見を頂いてきたところですね。これは事務局からお話ししていた
だいた方がいいと思いますので,よろしくお願いします。
しろまる保坂事務局 先ほど御指摘のあった検察の在り方検討会議の議事録がホームページの当該会
議のコーナーにはアップされない状態になっているというのは御指摘のとおりでして,ちょ
っとその当時の経緯を調べてみたのですが,よく分からないところもございます。法制審議
会の議事録等はずっとアップされた状態にありますので,先ほどの御指摘を踏まえて,どう
いうものをどれぐらいアップしたまま残していくのかということを改めて点検した上で対応
していきたいと考えております。
しろまる紀藤副座長 一言よろしいですか。
しろまる鎌田座長 はい。
しろまる紀藤副座長 現時点で,検察の在り方検討会議の議事録と,それからそのとき出された資料
に関しては,法制審の特別部会の方のホームページを見れば閲覧できるようには,この間見
たらなっていたんですけれども,本来は,検察の在り方検討会議の議事録と基礎資料は,検
察の在り方検討会議のホームページに公表すべきだというふうに思うんですね。
それは理由があって,知っている人しかアクセスできないところのホームページに公表さ
れていても,それは専門性がなければ分からないんですよね。検察の在り方検討会議という
ものを見たい人がホームページにアクセスしたときに,簡単にアクセスできないようになっ
ているという,そのレベルがやはり公表の在り方として疑問がありますので,そこはリンク
切れしたり,あるいはサーバーを切り替えたときにホームページから削除するということは
行政実務上もあるし,企業でもあると思うんですけれども,その場合にどういう形で公表を
続けるかも含めて,何らかの内部的な事務手続を作っていただいて,その場その場でサーバ
ーの都合とか,そういうことが起こらないようにしていただきたいし,国民から見てアクセ
スしやすいような仕組みをできるだけ早期に作っていただきたいと思っております。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
過去の会議体の報告書や,その場に提出された資料等を参照したいと思うと,どこの役所
のホームページでも非常に難しい,あるいは見つからないということが多いのですけれども,
-11-
先ほど来御指摘ありますように,デジタル化の時代でございますので,きちんとしたデジタ
ルアーカイブを作っていただいて,それに優れた検索エンジンを整えていただくことで,検
索,資料への到達が容易になるんじゃないかと思います。取り分け今回の報告書におきまし
ては,将来に多くを委ねているわけでありまして,今後の審議をする際に参考にしてくださ
いということを提言しているわけですので,ずっと参考にし続けていただけるような体制を
是非取っていただくことを重ねて御当局にはお願いしておきたいと思います。
ほかに何かございますか。
よろしいですか。
それでは,本日予定した議事はこれで終わりますし,同時に,この会議体としても一応の
使命を終えたということで終了をさせていただければと思います。
この後は,午後3時半をめどに,座長としての私において,表紙を付けるなど報告書の体
裁を整えた上で,責任を持って上川法務大臣に提出をさせていただき,本会議における議論
の結果を御報告させていただきます。
また,それに続けて,報道機関に対するブリーフィングも行う予定で,こちらは両副座長
にも御同席いただこうと考えております。
構成員の皆様には,なるべく速やかに,本会議の報告書の微修正の部分を織り込んだ確定
版を事務局を通じてお届けするようにいたします。
また,本日の会議の議事につきましては,特に公表に適さない内容はなかったと思われま
すので,発言者名を明らかにした議事録を作成し,法務省のホームページ上で公表をするこ
ととさせていただきます。また,配布資料につきましても公表をさせていただきたいと思い
ますが,よろしいですね。
委員等の皆様におかれましては,大変お忙しい中,本年7月から9回にわたり本会議に御
参加を頂き,また,大変熱心に御議論を頂くとともに,議事進行にも本当に最大限の譲歩を
していただくなど御協力を賜りましたことに心より御礼を申し上げたいと思います。どうも
ありがとうございました。
以上をもちまして,本会議を閉会とさせていただきます。
どうも長い間御協力いただきましてありがとうございました。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /