談 話
令 和 3 年 1 月 6 日
公 安 審 査 委 員 会
当委員会は,公安調査庁長官から令和2年10月26日付けで観察処分の期間更新請
求があったので,慎重に審査を行い,本日,団体規制法(無差別大量殺人行為を行った
団体の規制に関する法律)第5条第4項の規定により,被請求団体(麻原彰晃こと松本
智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め,これを実現することを目的と
し,同人が主宰し,同人及び同教義に従う者によって構成される団体)に対する観察処
分の期間(3年間)を更新することを決定いたしました。
前回の期間更新決定後である平成30年7月6日,無差別大量殺人行為である「松本
サリン事件」及び「地下鉄サリン事件」の首謀者である麻原彰晃こと松本智津夫(以下
「松本」という。
)の死刑が執行され,松本は死亡しましたが,その後も,被請求団体
の活動等に変化は認められませんでした。
具体的には,被請求団体は,前回の決定時と同じく,
「Aleph」
,山田美砂子を中心と
する集団(山田らの集団)及び「ひかりの輪」を中心として活動しているところ,いず
れの集団についても,松本への絶対的帰依を続け,殺人を暗示的に勧める危険な内容を
含むオウム真理教の教義を保持し,松本が創設した組織構造や修行体系を維持するなど,
依然として,松本及び松本の説いたオウム真理教の教義の強い影響下にある状況が認め
られました。
また,地域社会との融和も進んでおらず,公安調査官による立入検査に対し,組織ぐ
るみで非協力的な姿勢をとったり,法令で定められた公安調査庁長官に対する報告事項
を殊更報告しないなど,依然として,閉鎖的・欺まん的な組織体質が認められたほか,
マインドコントロールの手法を用いた勧誘活動を行うなどし,今なお,新たな構成員を
獲得し続けている状況も明らかになりました。
こうした事情等を総合しますと,いずれの集団についても,無差別大量殺人行為に及
ぶ危険性があり,引き続きその活動状況を継続して明らかにする必要があると認められ
たことから,観察処分の期間を更新することを決定するとともに,公安調査庁長官に報
告しなければならない事項として,前回の決定で認めた事項と同じ事項を今回も認めま
した。
これまでの決定の際の当委員会談話でも申し上げたところですが,当委員会としては,
立入検査など観察処分の実施に際しては,今後とも,関係者の基本的人権についての慎
重な配慮が必要と考えております。
「松本サリン事件」及び「地下鉄サリン事件」から四半世紀以上が経過しましたが,
当委員会としては,引き続き,被請求団体の推移について慎重に見守っていく所存であ
り,被請求団体においては,これら一連の事件について,過去の出来事と捉えることな
く,真摯に向き合い,これまでの閉鎖的・欺まん的な態度を改め,観察処分を通じて積
極的に団体の実態を明らかにするよう真剣に努力するべきであると考えますし,悲惨な
被害を受けた方々への補償などについても誠実な対応がなされることを望みます。

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