議事録


法務・検察行政刷新会議(第2回)
議事録
第1 日 時 令和2年8月6日(木) 自 午後 3時05分
至 午後 5時05分
第2 場 所 法務省20階第1会議室
第3 議 題 1 議事の公表等の在り方について
2 第1回会議における委員等からの要望事項についての追加説明等
3 検討すべき具体的事項についての意見交換
4 その他
第4 議 事 (次のとおり) -1-議 事
しろまる保坂事務局 ただいまから法務・検察行政刷新会議の第2回会議を開催いたします。
座長,お願いします。
しろまる鎌田座長 本日は,皆様大変お忙しい中,御出席賜りまして誠にありがとうございます。
まず,本会議の開催に当たりまして,森法務大臣から御挨拶を頂きます。
大臣,よろしくお願いします。
しろまる法務大臣 皆様,こんにちは。お忙しい中,お時間を割いて参加を頂き,ありがとうござい
ます。
オフラインで参加をしていただいている皆様と,それからオンラインでこちらの方にたく
さんの方々に御参加を頂いておりますが,法務・検察行政刷新会議第2回ということで,あ
りがとうございます。
この会議は第三者会議でございますので,法務大臣である私が御意見を賜ること,委員の
皆様から国民目線で御意見を賜ることを何より重要視しておりますので,第三者性というと
ころを重視し,議題についても,今日委員の先生方から御意見を頂いて決めるということで
ありますし,公開原則についても,議事録は全て公開をするということになっておりますが,
それ以上の公開性を持たせるということを,委員の皆様方の間で御意見を頂いて話し合って,
この後決定するということで,本当に楽しみにしております。
委員の先生方の選定も,一部,私の旧知の方がほとんどと言われまして,委員の先生方が,
「えっ,では,俺以外全員大臣の知り合いか」と思っていらっしゃるとか,不安に思ってい
らっしゃるかと思うので言いますけれども,ほとんどの方が旧知の方ではありません。私が
いろいろな御相談をして紹介を頂いたり,それから,新聞記事に投稿していただいた,この
間の問題についての御意見を見てお願いを申し上げたりした方々でございますので,公正公
平に,そして国民目線で御意見を頂くものと期待しております。
議題については,私から前回,冒頭発言で御説明したのが,もう議事録になってホームペ
ージに公開をされておりますが,その中にも,申し上げましたとおり,政治と検察の距離の
問題など含めて,法務大臣に対して御批判,御指摘,御意見をぶつけてください,私から示
したテーマに拘泥されず,聖域なく何でも御意見くださいと申し上げておりますとおり,本
日も委員の皆様方からたくさんペーパーが提出されていて,議題についての御意見がたくさ
ん出ておりますので,期待をしているところでございます。
「政治と検察の在り方について取り上げないんですか?」と,先日,記者さんが私に取材
に来てくださったんですが,「あれ,この間の冒頭,カメラ撮り来なかったの?」って言っ
たら,「いたんですけど。」っていって,やはり聞き逃してしまうこともあると思いますの
で,本日もう一度申し上げたわけなんですけれども,国会の答弁のときも申し上げましたと
おり,殊,検察の人事に限っては,全て事務方トップである事務次官が法務大臣室に,私の
元へ持ってきたものは,黒川さんのものも含めて,私は全てオーケーとしてきました。本日
も,今日はたくさん,両手ぐらいの検事さんの人事ありましたけれども,全て了としており
ます。ひっくり返したり,止めたり,反対したことは,一度もございません。
と申しますのも,私は,検事さんのことをほとんど知りません。同じ職場でこれまで一緒
に仕事をし,また幹部として育ててきた,よく知っている組織である検察や法務省幹部の皆 -2-様方を信じて,この人事をしているところなんですが,政治との距離や政治の圧力という御
指摘を頂いておりますので,私としても,有識者の皆様方の御意見を承りたいところなんで
す。法務大臣というのはどのようにふるまうべきなのか,私のように,全て事務方を信じて
事務方の人事をしてきましたが,どのようにすることが,つまり検察の独立と民主的統制の
バランスを取ったという形になるのか。検察というのは独立してしっかりと捜査をしなけれ
ばなりません。しかし,一方で,選挙で選ばれた国会議員から,法務大臣としてこちらに来
ている,法務大臣からの民主的統制,これを実務に落とし込んだ場合に,どんなふうに実行
していくのが,もっとよりよく国民にとって適切であり,分かりやすいのか,そういったこ
とをこの会議で御議論いただけたらなと思います。
もちろん,これは私の希望でございますので,それ以外の委員の皆様方の自由な御議論を
期待したいところでございます。
勤務延長についても全く同様でございますし,処分,訓告処分についても,一部,法務官
僚の方で厳しい処分を要求したけれども,政治の力で軽い訓告処分になったと報道をされま
したが,これは逆でございまして,そのプロセスについては,人事のプロセスは言うべきで
はないという法務省の中の考え方でもありますので,私はこれまで申し上げてこなかったで
す。しかも,法務省の中でいろんな議論をするときに,いろんな意見が出ます。実際は,私
1人が最も重い処分を意見としては申し上げましたが,プロとしての法務官僚,検察出身の
検事さんたちが,前例や人事の指針に基づいて意見を言ったことを聞いて,結局みんなで決
めた処分です。決定をしたら,私は法務省の代表,トップである法務大臣として,皆で決め
た訓告処分を外に向けて,この処分が最も私たちが適切と考えた処分ですと申し上げてきま
した。しかし,別の報道があったということで,最近になって,やはり法務省の内部からも,
「大臣があのときにこう言った,ああ言った」という質問をされますが,皆さんが記事を信
じていらっしゃるんですね。ですので,私も,前回委員の皆様,委員の1人から指摘されま
したが,事実と違うことがあったときには,私からも丁寧にこういった公の場で,皆さんの
前で御説明することも,実際に国民の皆様を混乱させないための義務でもあるのかなと思っ
ているところでございます。
委員の選定についても,様々言われておりますが,私が誰か1人の委員候補を降ろしたと
いうこともありませんし,委員の候補であったということもないと思います。この刷新会議
については,全て公正公平に事務方の意見を聞いて,事務方と共に決定をしてきましたので,
委員の先生方も御安心なさって,これからの議論が,中身について,国民にとって最もよい
法務省,最もよい検察の制度が出来上がること,それに注力をしていただくことを,心から
望みたいと思います。
本日もどうぞよろしくお願いいたします。
しろまる鎌田座長 法務大臣は,公務のためにここで退席なさいます。
どうもありがとうございました。
しろまる法務大臣 よろしくお願いいたします。
(法務大臣退室)
しろまる保坂事務局 ここで報道関係者の方に退出いただきますので,しばらくお待ちください。
(報道関係者退室)
しろまる鎌田座長 最初に出席状況ですが,本日は,冨山和彦委員,小林りんオブザーバーは,所用 -3-のため御欠席です。
前回の会議に御欠席でした山本隆司委員から,自己紹介を頂きたいと思います。山本先生,
お名前,御所属,御専門等の自己紹介,よろしくお願いいたします。
しろまる山本委員 山本と申します。東京大学で行政法の教育研究に携わっております。どうかよろ
しくお願いいたします。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
なお,山室惠委員は,一身上の都合により委員を辞任されることとなりました。後任の方
をお願いするかどうかも含めて,対応については大臣と引き続き相談して検討をしていきた
いと考えておりますので,決まりましたら,改めて御説明申し上げることといたします。
それでは,議事に移らせていただきます。
まず,議事の1番「議事の公表等の在り方について」,前回御議論いただいた内容を踏ま
え,方針をお諮りしたいと思います。
前回の会議におきまして,議事の公表の在り方について,「会議自体は公開しないが,発
言者名を明らかにした逐語の議事録を作成し,その議事録を法務省のホームページにおいて
公表するとともに,本会議で用いた資料も法務省のホームページにおいて公表することを原
則とする。」このようにお諮りいたしました。
そのこと自体には特段の御異論はありませんでしたが,この方法に加え,会議の議事を,
報道関係者に対して同時中継して公開してはどうかという御意見もありました。そこで,事
務局を通じて,本日の会議までの間に,委員等の皆様からお考えを伺った上,本日改めて議
事の公表等の在り方につき,お諮りさせていただく次第です。
具体的には,原則として,発言者名を明らかにした逐語の議事録を法務省ホームページに
おいて公表する,これに加えて,この会議の議事を別室に同時中継し,報道関係者の方々を
対象に別室で議事の傍聴を認めるという方法により,議事を公開することを原則としたいと
思います。
ただし,議事の傍聴に際しましては,モニターに映し出される様子を録音・録画するとか,
あるいは直接インターネット上に動画配信するということは御遠慮いただくことといたしま
す。その上で,御議論の状況に応じ,公表することが適切でない議事内容や資料がございま
したら,その都度,例外的な取扱いの要否につき皆様にお諮りし,同時中継を中断するなど
の措置を取らせていただきたいと思います。
また,この方法による場合には,議事の内容をリアルタイムで報道関係者の方々に公開す
ることになりますので,会議終了後の記者ブリーフィングについては,座長,副座長におい
て毎回実施するということはせずに,必要があるときに実施するということとしたいと思い
ます。
このような方法による議事の公表等について,御賛同いただけるか否か,御意見をお伺い
いたします。
しろまる太田委員 オンラインで報道機関に公開するという点が加わったということと理解をいたし
ました。
ちょっと後ほどの議事と関係いたしますが,まず前提として,私自身は,この会議の中で,
過去の個別の事案の調査であるとか真相解明といったものを目的としていない以上は,そう
いったことを取り上げるのは適切ではないと思っているわけでありますが,それが前提とい -4-たしまして,仮に黒川氏をめぐる一連の事案について議題となった場合には,議論の過程の
中において,個人に関わる様々な情報でありますとか,あるいは,特にいわゆる賭けマージ
ャンの問題については,現時点,確か告発事件が不起訴になりまして,検察審査会に係属中
と承知しております。そういう意味では,検察審査会に対して,何らかの予断等を与えるよ
うなことがあってもいけないと思いますが,議論の過程の中で,そういう要素というのが出
てくる可能性というのは排除できないだろうと思っております。
先ほど座長のお話の中で,そのときには中断等とおっしゃいましたけれども,実際に検閲
システムもありませんので,そういう措置が効果的に取り得るかどうかということもありま
すでしょうし。ということからいたしますと,オンラインで公開するという話になりますと,
今申し上げましたような過去の事案に関わるような経緯であるとか,その調査的な話だとか,
そういったものは,もうこの場では取り上げることは,扱いようがない話になるのではない
かなというように感じておりますので,その点,1点コメントさせていただきたいと思いま
す。
しろまる鎌田座長 太田委員,ありがとうございます。
しろまる太田委員 失礼いたしました。
賛否として申しますと,オンラインで公開すること自体について,私,反対するものでは
ありませんが,もし公開するとなれば,そういう帰結になるのではないかということを申し
上げた次第であります。
しろまる後藤委員 今,太田委員がおっしゃった問題については,そういう話になりそうなときは,
あらかじめ,その日は同時中継的なことはしないとすれば,対応できるだろうと思いますの
で,今回の御提案でよろしいと私は存じます。
加えて,私どもが会議に提出する資料の扱いですけれども,発言のメモ的なものはウェブ
サイトで公開されると理解します。それ以外の資料的なものを出した場合,あまり膨大なも
のや,著作権の問題があったりするものは無理としても,それ以外は,参照の便宜という点
からも,なるべくウェブサイトに載せていただければ良いと思います。
しろまる鎌田座長 金指委員が挙手されていらっしゃいますので,御発言いただけますか。
しろまる金指委員 ちょっとよろしいですか。
今の御発言の中に若干気になる部分は,個別の事案に関しても,こういった形の論議の中
に交えていくことについて確認をしたいと思って言います。
なかなか微妙な問題もあろうかと思いますので,始めからずっと問題に関しては,除外し
てという辺りが妥当ではないかと思いますが,いかがでございますか。
しろまる鎌田座長 その点につきましては,後ほどどういうテーマについて,どのような形で議論す
るかということの重要な一部になると思います。
しろまる金指委員 はい,分かりました。了解です。
しろまる鎌田座長 金指委員の御指摘の点については,後ほどの議論の中で取り上げたいと思います
が,後藤委員の御提案は,逆に,そういうものを取り上げそうなときには,その回全体を同
時中継から外すということですか。
しろまる後藤委員 そういうおそれがあるならば,そのように対応したらよいと思います。
しろまる鎌田座長 話の流れの中で,そういうものに言及があり得るという,そういう可能性はある
わけで,その場合には,その都度,対応せざるをえないと思います。先ほどの大臣の御挨拶 -5-のときも,切ってはいないのですか。
しろまる保坂事務局 まだオンラインが始まっていませんから。これが決まったら,次に準備します。
しろまる鎌田座長 そうですね。だから,今もまだ,オンラインにはつながっていないんですね。こ
れは,適宜対応はできるんで,仮にそういうものについての言及もあり得べしということが,
後ほどの議論の中であったときには,それを発言される各委員,オブザーバーの方から,事
前に,同時中継を中断してくださいという趣旨の御提案をこの会議体にしていただいて,会
議体で議論した上で,シャットアウトした上で話す。それがシャットアウトできなければ,
発言を控えていただくと,このような進め方にしてはいかがかなと思いますけれども,ほか
の委員,オブザーバーの皆さん,いかがでしょうか。
よろしいですか。
それでは,御了承いただいたということで,早速,これ以降の議事を別室に同時中継し,
公開させていただきます。
モニターは,地下1階の会議室に設けております。これからその接続準備をさせていただ
きますので,準備のため,5分程度中断をさせていただきたいと思います。よろしくお願い
いたします。
(休 憩)
しろまる鎌田座長 それでは,接続できたようですので,再開いたします。
次に,議事の2「第1回会議における委員等からの要望事項についての追加説明等」に移
ります。
第1回会議におきまして,委員等の皆様から御要望いただいた事項等について,当局から
説明をしていただきます。
まず,前回の会議で委員から御要望のありました検察の在り方検討会議の提言と,その後
の検察改革に係る施策の対応関係につき,説明をお願いいたします。
よろしくお願いします。
しろまる中野刑事局企画調査室長 刑事局の中野でございます。
お手元に「提言の実施状況」と題するA3判のカラーの資料がございますでしょうか。
前回,刑事局から,検察の在り方検討会議の提言及びその後の検察改革の状況等について
御説明させていただきました。その際,委員から,提言の実施状況について表にしてお示し
するようお求めがありましたので,お手元の資料に基づき,御説明させていただきます。
資料1のA3のカラーの資料を御覧ください。
左側のオレンジ色の欄に「検討会議の提言」,中央の黄色の欄に「検察の再生に向けての
取組」,右側の緑色の欄に「実施状況」と記載しております。
前回御説明したとおり,平成22年11月から平成23年3月まで検察の在り方検討会議
が開催され,「検察の再生に向けて」と題する提言が取りまとめられました。これを受けて,
法務大臣は,平成23年4月に「検察の再生に向けての取組」を公表し,検察におきまして
は検察改革が進められて,法務省におきましては,新たな刑事司法制度の構築について法制
審議会に諮問がなされ,検討が進められました。
この資料は,ただいま申し上げた流れに沿って,まず,左側のオレンジ色の欄に「検察の -6-在り方検討会議の提言」で示された事項,右の黄色の欄に「検察の再生に向けての取組」で
示された事項,さらに,その右の緑色の欄にこれに対応する実施状況について記載しており
ます。この資料からお分かりいただけるように,提言で示された事項については,いずれも
法務,検察において実施されてきているものでございます。
それでは,資料について,内容を御説明いたします。
灰色で色塗りされている欄,上から「検察官の使命・役割と検察官の倫理」,続きまして
「検察官の人事・教育」,そして中ほど「検察の組織とチェック体制」,「検察における捜
査・公判の在り方」とございます。これらは,提言で示された大項目に対応しております。
順に提言の内容,「取組」における公表内容,実施状況について,項目ごとに御説明いた
します。
まず,大項目の一つ目です。「検察官の使命・役割と検察官の倫理」を御覧ください。
提言では,検察官の使命・役割を示した基本規程の制定が示されました。
これを受けて,「取組」では,外部の声を聞きつつ,多くの検察官が参加する幅広い議論,
検討を経ることに留意し,6か月以内をめどに基本規程を制定することとされました。
そこで,検察におきましては,平成23年9月に,検察職員が職務を遂行するに当たって,
指針とすべき基本的な心構えを定めた検察の理念が策定されました。この策定の経緯につき
ましては,前回御説明させていただいたとおりでございます。
この検察の理念の実際の業務への反映や浸透を図るために,その後現在に至るまで,研修
やその他の教育,育成の機会,あるいは事件の決裁の場面においてこれを活用するなど,継
続的な取組が行われております。
続きまして,「検察官の人事・教育」,二つ目の項目を御覧ください。
提言では,まず,人材開発・育成・教育の在り方の改革が示されました。
これを踏まえ,「取組」では,最高検においては,3か月以内をめどに分野別の専門委員
会を設置することとされました。
そこで,最高検におきまして,平成23年7月に金融・証券,特殊過失,法科学,知的障
害,国際及び組織マネジメント,こうした各分野について,検察官,検察事務官を構成員と
する専門委員会が設置されました。また,平成24年には,刑事政策分野についての専門委
員会,平成27年には供述証拠についての専門委員会が,それぞれ設置されております。各
専門委員会は,外部専門家である参与との意見交換,あるいは講演会の開催,参考事例や資
料の収集分析,こういったことを通じて,必要な専門的知識を集積して,これを検察現場の
支援,人材育成に活用することを目的として活動しております。現在に至るまで,随時開催
されております。
このほか,こちらには記載ございませんが,法務省におきましては,新たに検事正となっ
た者を対象とする研修を,リーダーシップ涵養の場として改めました。また,若手,中堅検
事に対しては,反対当事者の職務経験を通じて,公益の代表者としての意識を高めることを
目的とした弁護士職務経験制度,あるいは外部経験を積ませて知見を深めさせることなどを
目的とした外部派遣研修を拡大するなどして,現在まで継続的に取り組んでおります。
次の段のオレンジ色の欄を御覧ください。
検察の在り方検討会議の提言では,「より適切な人事政策の推進」が示されました。
これを受けて,「取組」では,有能な人材の幅広い採用,女性の幹部への登用の促進,全 -7-国的な見地での人事配置の実施,可能なものからできる限り速やかに実施することとされま
した。
そこで,法務省におきましては,検察組織における人材の多様化を図るため,平成23年
11月に法務省における女性職員の採用,登用拡大計画を策定しました。平成27年度末ま
でに,検事,検察事務官の採用者に占める女性の割合を3割以上とすることなどを目標とし,
女性の検事や事務官の採用,幹部への登用を拡大することに努めております。その取組は,
現在も続いているところです。
また,専門的な知識や民間企業の経験等を有する者の採用にも努めさせていただいており
ます。これまで,IT,金融等の民間企業の勤務経験を有する者などを,検事として採用し
てまいりました。また,デジタル・フォレンジックの知識,経験を有する者を,検察事務官
として採用して,有能な人材を幅広く確保してまいりました。
次の段のオレンジ色の欄を御覧ください。
検察の在り方検討会議の提言では,「長期的な構想による組織的・継続的取組」が示され
ました。
これを受けて,「検察の再生に向けての取組」では,最高検に専門部署を設置するなど,
改革策の実施状況の定期的な検証が行える体制を直ちに整備することとされました。
そこで,最高検において,平成23年4月に,検察改革を積極的かつ着実に推進すること
を目的として,検察改革推進室が設置されました。こちらにつきましては,組織改編によっ
て,現在も最高検の総務部や,新たに設置された刑事政策推進室がそれぞれの所管事項を担
当するなどして,推進室の事務を引き継ぎ,検察改革が現在も推進されているところでござ
います。
次に,大項目の三つ目,「検察の組織とチェック体制」に移ります。
提言では,「特捜部の組織の在り方の見直し」が示されました。
これを受けまして,「取組」では,特捜部の組織の在り方について,直ちにその見直しの
ための検討に取りかかって,3か月以内をめどに結論を出すこととされました。
そこで,最高検において検討を行って,平成23年7月,関係各庁に対して,財政経済関
係事件への対応をより強化することとして,金融・証券分野をはじめとする専門委員会の活
動と連携して,専門性の向上を図るとともに,国税当局や証券取引等監視委員会,警察とい
った関係機関との連携を一層強め,組織体制編成を整えることとするという通知を出して,
これに従った対応がなされました。この対応は,現在も同様に続いております。
次の段のオレンジ色の欄を御覧ください。
検討会議の提言では,「検察における捜査・公判のチェック体制の構築」が示されました。
これを受けて,「取組」では,特捜部の独自捜査に対する横からのチェック体制を3か月
以内をめどに構築することや,公判段階における組織的なチェック体制を3か月以内をめど
に構築することとされました。
まず,横からのチェック体制ですが,最高検において,総括審査検察官制度を創設して,
平成23年5月から実施されました。この総括審査検察官は,事件の捜査の進行と並行して,
当該事件の全ての証拠を把握して整理分析し,捜査主任検察官とは別の立場で,公判におけ
る弁護人としての視点を持ちながら,捜査主任検察官が事実認定上,法令上の問題点につい
て適正な判断を行っているかどうかを審査して,捜査主任検察官や検事正に対して,必要と -8-認める場合に適宜意見を述べるというものとされ,現在に至っております。
続いて,公判段階における組織的なチェック体制については,最高検においては,特捜部
について平成23年4月に,その他一般事件については平成23年7月に,それぞれ通知を
発出して,新たなチェック体制を構築しております。
この点につきましては,前回,委員から特に御指摘を頂いたところでございますので,立
ち入って若干御説明をさせていただきたいと思います。
特捜部に所属する検察官が起訴した事件であっても,その他の検察官が起訴した事件であ
りましても,有罪立証の重要な柱である被疑者の捜査段階における自白調書が,その任意性
を否定されたり,あるいは証拠調べ請求が却下されるなど,一定の場合には,対応する高等
検察庁の担当検事や起訴検察官,公判担当検察官において,公訴の取消し,無罪論告の必要
性を含めた公判遂行の方針について協議するなどとされております。
その趣旨は,公判段階において,公訴維持に固執せずに,引き返す勇気を持って,公訴の
取消し等を行うべきか否かを検討する必要があります。そうした検討が適切になされるため
に,引き返す勇気を実行化するための仕組みが必要と考えられましたから,こうした組織的
なチェック体制を構築することとしました。
特捜部に所属する検察官が起訴した事件については,これに加えて,まず1点目としては,
公判部長において,特捜部に対して随時適宜の方法でその状況を通知して,対応する高等検
察庁の特捜係検事に報告するなどする,あるいは,一定の事件については,その手続の進行
状況に応じて,適宜対応する高等検察庁の担当検事や起訴検察官,公判検事において,今後
の公判遂行の方針について協議するなどすることとされています。
特捜部に所属する検察官が起訴した事件について,一般事件に言わば上乗せする形で制度
が構築されております。この趣旨は,提言の指摘を踏まえたものであります。すなわち,提
言におきましては,検察官は一般事件,つまり警察等からの送致送付事件においては,警察
等の行う捜査をチェックしつつ,自ら捜査,公訴提起を行うのに対して,従前の特捜部の独
自捜査においては,捜査の始めから公訴提起まで,特捜部に所属する検察官のみが行ってい
たため,言わば一人二役を兼ねることとなっていました。そのため,特捜部の独自捜査では,
検察官の意識が捜査官としての側面に傾きがちになって,捜査に対する批判的チェックとい
う公訴官に期待される役割が軽視されるという危うさが内在していると考えられると,こう
した指摘を踏まえたものでございます。
次の段のオレンジ色の欄を御覧ください。
検察の在り方検討会議の提言では,「監察体制の構築」が示されました。
これを受けまして,「取組」では,違法・不適正行使の監察を3か月以内をめどに実施す
ることとされました。
そこで,最高検におきましては,平成23年7月に監察指導部が設置されました。以後,
現在に至るまで,監察指導部は職務上の非違行為全般に関する,内外からの情報を把握・集
約し,分析・検討を行って,必要に応じて監察を実施し,監察結果報告書を作って,対象者
の所属庁に送付して,同種事犯の再発防止に向けた改善指導を実施しております。
また,この監察制度につきましては,公正性を担保するために,おおむね四半期ごとの定
期あるいは適時に,外部有識者の参与に対して監察結果を報告して,意見,助言を得ること
としています。 -9-次の段のオレンジ色の欄を御覧ください。
検察の在り方検討会議の提言におきましては,「外部から意見等を得る仕組みの構築」が
示されて,これを受けて,「検察の再生に向けての取組」では,検察運営全般に関して,外
部の有識者から意見,助言を得られる仕組みを3か月以内をめどに構築することとされまし
た。
そこで,最高検において,平成23年7月に,検察運営全般に関与する参与会を開催して
いくこととして運営要綱が策定されました。参与につきましては,刑事法を専門とする教授,
元裁判官の弁護士,あるいは組織マネジメントの専門家など,外部有識者の方々8名にお願
いしております。この参与会についても,現在に至るまで随時開催されており,議事要旨に
つきましては,最高検のホームページに公表されております。
続きまして,大項目の四つ目「検察における捜査・公判の在り方」でございますが,これ
につきましては,提言で,取調べの録音・録画の範囲を一層拡大するべきとされましたので,
それを受けて,こちらの実施状況の表に記載があるとおり,その範囲を拡大されることとな
りました。
詳細は,時間の都合上省きますが,現在,検察におきましては,知的障害によるコミュニ
ケーション能力に問題がある被疑者等,あるいは被疑者の属性によらずに公判請求が見込ま
れる事件等について,運用によって,法制度よりも広く取調べの録音・録画を行うこととし
ています。
最後に,検察の在り方検討会議の提言におきまして,新たな刑事司法制度の構築に向けた
検討を開始することが示されましたので,その法制審議会への諮問の準備がされて,さきに
御説明したとおりの法制度が盛り込まれた法改正に至った次第でございます。
以上でございます。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして,質疑応答に移りたいと思います。
委員等,何か御質問がございましたら,挙手をお願いいたします。
なお,ウェブで参加されております委員等に発言者が分かるよう,発言の際にはお名前を
おっしゃっていただくようお願いいたします。
後藤委員。
しろまる後藤委員
今御説明いただいた録音・録画の部分についてです。取調べの録音・録画を,実際には法
律の規定よりも広げて行っていることは分かります。ここに「録音・録画が必要な事件」と
いう表現がありますね。これが,どういう場合に「必要」と判断されているか,基準は何か
あるのでしょうか。
しろまる中野刑事局企画調査室長 運用面につきましての御質問と承知しましたが,現在,公判請求
が見込まれる身柄事件で,被疑者の取調べの録音・録画が必要な事件,あるいは公判請求が
見込まれる事件で,被害者,参考人の取調べの録音・録画が必要な事件,こうしたものとさ
れています。こうしたものを,運用で広く行うこととされています。
しろまる後藤委員 それは分かりますけれども,どういう場合にそれが必要と判断するのかという基
準のようなものがあるのでしょうかという質問です。
しろまる中野刑事局企画調査室長 検察官におきまして必要と認めた場合と考えられております。
-10-
しろまる鎌田座長 よろしいですか。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
紀藤委員,どうぞ。
しろまる紀藤副座長 前回,私,対応表だけじゃなくて,どの程度できたかというレベルの問題も記
述していただかないと,ちょっと分かりにくいんじゃないかという話をして,実施状況の全
部やっているように見える表なんですけれども,いずれも実施状況を見ると,平成23年が
中心になっていて,検察の在り方検討会議の直後に作られた制度ということになりますよね。
そうすると,制度がその後に,具体的に何が問題になって議論になっているか,あるいは,
程度的にどの程度完成したのかということが分からないと,例えば,女性を採用するといっ
ても,どの程度採用しているのかも分かりませんし,パーセンテージがどの程度伸びたかも
分かりませんし,それから,前回セクシャルハラスメントの問題もあったと思うんですけれ
ども,アンケート調査の結果,どういう形でそのハラスメントが分かったのかとか,そうい
うこともないと,ちょっと具体的なところが分からないと分かりにくい表なので,この会議
でなくてもいいと思うんですけれども,取りあえず,ちょっと説明していただかないと分か
らないところが多いので,私は私なりに何か資料を作らないといけないのかなと,逆に思っ
てしまうんですよね。だから,そこは,もう少し具体化をしていただきたいなというふうに
思っております。
それから,あと通知とか,いろんな,何年に通知したとかあるんですけれども,表に添付
されていないものは,例えば,私がこの間話をした引き返す勇気のところについては,特捜
部につき,平成23年4月26日に通知があって,一般公判事件については平成23年7月
8日に通知があったと書いてあるんですけれども,通知の内容はそのまま,前回の資料6に
記述されたとおりの通知になっているのかどうかというのが,ちょっと正直言って分かりま
せんので,こういうものも何か具体的な資料がないと評価できないというか,資料があって
評価するならともかく,資料がなければ評価ができないので,その辺りは明らかにしていた
だきたいなと思っています。
私からは以上です。
しろまる鎌田座長 分かりました。
それでは,当局からお願いします。
しろまる中野刑事局企画調査室長 委員から御指摘いただきました程度,達成度につきましては,当
局でも検討いたしまして,なかなか当局として,検察の取組を定性的に,あるいは定量的に
評価するというのが難しいのではないかという考えに至りましたから,今回,まずこのよう
な表を御提案させていただきました。
また,女性につきまして御質問というか御指摘がございまして,その点につきましては,
今,法務省の方で採用について,女性を増やす取組をしていまして,直近で申しますと,例
えば,検事任官者に占める女性の割合は43.1%となっております。過去10年間遡って
も,大体30%から40%の割合となってございます。
また,組織運営状況調査につきましては,これは,引き続き,組織運営状況調査,あるい
は幹部に対する部下の意見調査,こういったものを行っております。それは適宜,その調査
の結果につきましては,幹部にフィードバックして,振り返りといいましょうか,その自省
を促すという取組をやっておるところでございます。
-11-
通知の内容につきましては,また御相談させていただければと思います。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
しろまる紀藤副座長 今の点ですけれども,なぜ程度問題がないと分かりにくいかというと,例えば,
平成23年9月28日に検察の理念というのが作られたわけですよね。そうすると,検察の
理念が作られていても,結果的に黒川さんの賭けマージャンみたいなことが起こっているわ
けですよね。じゃ,賭けマージャンというのは,検察官にとってどういうものなのかという
ことも考えてみると,倫理的なものがうまく機能していないんじゃないかとも思えるわけで
すよね。
だから,今回のこの会議も,結局検察の在り方検討会議で議論していた,結局検察官の使
命・役割というところが,検察の理念だけではうまく機能しないんじゃないかというところ
にも,国民の批判があったわけであって,そうすると,やはり作ったはいいけれども,結果
的に機能したのかどうかも含めて考えてみないと,私も,批判するのは簡単なんですけれど
も,批判の元になる根拠がないと,何か評論的になってしまうので,具体的にこういうもの
を作っておけばよかったとかいうことがあるんであれば,それは,程度問題として,御自分
たちの改革について,御自分たちで少なくともチェックリストみたいなものは作っていかな
いと,結局フィードバックができませんから,やはりチェックリストが難しいと言われてし
まうと,では,普通の一般企業はチェックリスト作っていないのかと言われたら,多分作っ
ているところもあると思うんですよね。だから,チェックリストを作られていないこと自体
にも問題があるかもしれないので,そこのことも含めて,ちょっと御検討いただければとい
うふうに思っておりますけれども。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
ほかに御質問は,よろしいですか。
よろしければ次に,この会議で検討すべき具体的事項については,議事の3において,委
員等の皆さんに意見交換をしていただくことを予定しております。また,そこでいろいろと
御提案,御指摘を頂ければと思いますが,第1回会議で法務大臣から示された検討の柱の一
つ目として,検察官の倫理というものがございます。これに関連して,基礎的な資料を用意
していただきました。その資料について,当局から簡潔に説明をしていただきます。
しろまる中野刑事局企画調査室長 検察官の倫理に関しまして,関連する国家公務員倫理法等の資料
について,御説明いたします。
資料の都合により,お手元の資料が右つづりになっておるかもしれませんが,御容赦いた
だければと思います。
資料2-1は国家公務員倫理法の条文,資料2-2は国家公務員倫理規程の条文,2-3
は法務省職員倫理規程の条文,2-4は弁護士法の条文,2-5は弁護士職務基本規程の条
文,2-6は日本弁護士連合会会則でございます。この6点を配布させていただきました。
いずれもお手元にございますでしょうか。
まず,法律の適用関係について御説明いたします。
検察官も一般職の国家公務員ですので,他の一般職の国家公務員と同様,国家公務員倫理
法の規定が適用されることになります。
ここでは配布いたしておりませんが,国家公務員法におきましては,例えば,懲戒事由と
して,国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合が定められていたり,99
-12-
条には,官職の信用を傷つけ,又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならないと
定められております。
続きまして,国家公務員倫理法及び国家公務員倫理規程について御説明いたします。
国家公務員倫理法及び倫理規程は,一般職の国家公務員が職務の執行に当たって,一部の
者の利益となるよう行動したり,あるいは,自らの利益のために行動することのないよう,
倫理を保持するためのルールを定めるものです。
国家公務員倫理法の条文を御覧ください。
2枚おめくりいただきまして,二四分の四とあるページ,倫理法の3条を御覧ください。
第3条は,職員が遵守すべき職務に係る倫理原則を規定しております。第1項では,国民
に対して不当な差別的取扱いをしてはならず,常に公正な職務の執行に当たらなければなら
ない旨,第2項では,職務や地位を私的利益のために用いてはならない旨,第3項では,権
限行使に当たって,国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない旨,規定されてお
ります。
そして,第5条は,第1項で倫理の保持を図るために必要な事項に関する政令,すなわち,
国家公務員倫理規程を定めることとし,第3項で,各省各庁の長は,職員の職務に係る倫理
に関する訓令を定めることができると規定されております。これを受けた国家公務員倫理規
程では,利害関係者の範囲や利害関係者との間における禁止行為などについて規定していま
す。
続いて,国家公務員倫理規程の条文を御覧ください。資料2-2となります。
まず,1条で,倫理行動規準として,1号ないし3号に倫理法と同様の規定がございます。
また,1枚おめくりいただきまして,一二分の二とあるページですが,4号には,職員は,
職務の遂行に当たっては全力を挙げて取り組まなければならないことや,5号には,勤務時
間外においても,自らの行動が公務の信用に影響を与えることを,常に認識して行動しなけ
ればならないことなどが定められています。
同じページの第2条を御覧ください。
第2条では,利害関係者について,職員が職務として携わる許認可あるいは不利益処分な
どの相手方を利害関係者とする旨が規定されております。
この点につきまして,資料2-3,1枚紙でございますが,法務省職員倫理規程を御覧く
ださい。
法務省職員倫理規程第3条では,この利害関係者に関して,検察官及び検察事務官につい
ては,捜査を受けている被疑者,公訴の提起を受けている被告人,若しくは刑の執行を受け
る者,又はこれらの弁護人等について,利害関係者とみなす旨,規定されています。検察官
にとって利害関係者に当たる人物は,その業務の内容から,大半はこの訓令が規定する被疑
者,あるいは弁護人となると思われます。
再び資料2-2,国家公務員倫理規程を御覧ください。この一二分の三とあるページをお
開き願います。
第3条では,利害関係者との間の禁止行為が規定されております。具体的には,1号にあ
るとおり,金銭,物品,不動産の贈与を受けることのほか,6号では供応接待を受けること,
7号で遊技又はゴルフ,旅行をすること,8号で利害関係者をして第三者に対してこれらの
行為をさせることを禁じています。
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当然のことではございますが,検察官が自ら担当する被疑者や弁護人から接待を受けたり,
一緒にゴルフすることは禁じられておるところでございます。
続いて,1枚おめくりいただきまして,一二分の五とあるページですが,5条では,相手
が利害関係者でない場合であっても,同じ相手からの供応接待,利益供与について繰り返し
及んだり,著しく高額となるなど,社会通念上相当と認められる程度を超えて受ける場合に
は,禁止行為となる旨が規定されています。
そして,これらの規定に違反した場合は,懲戒処分の対象となります。
なお,検察庁法には,倫理に関する条文は規定されておりません。
以上が,検察官に適用される国家公務員倫理法及び倫理規程の概要となります。これらの
公務員の倫理については,年に1回,全ての検察官が人事院から提供された資料を用いて研
修を受けております。
また,委員からお求めのありました弁護士法,弁護士職務基本規程及び日本弁護士連合会
会則につきましても,参考として配布させていただきました。
御説明は以上となります。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
ただいまの説明について,質疑応答に移りたいと思います。委員等から質問がございまし
たら,挙手をお願いいたします。
先ほどと同様に,ウェブ参加されております委員等に発言者が分かるよう,お名前をおっ
しゃった上で御発言をお願いいたします。
よろしいですか。
では,紀藤委員。
しろまる紀藤副座長 すみません。委員が発言をされないときは,私が発言しようというふうに理解
して,自分の役割だと思っているので発言させていただきますけれども,検察庁法には,第
4条に公益の代表者として,他の法令がその権限に属させた事務を行うという規定があって,
これとても重要だと思うんですけれども,検察庁法には,公益の代表者という規定があるん
ですね。公益の代表者というのはどういうものなのかなと考えたときに,単純に,先ほど言
われていた公務員倫理法の3条ですので,資料2-1の3条ですけれども,「職員は,国民
全体の奉仕者であり,国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し」と,この文
章と,果たして一致しているのか,一致していないのかというのは,とても私は重要な気が
するんですね。
それはどうしてかというと,今日も大臣の話があったし,それから誤解された報道なんか
を見ても,政治と検察の距離とかいう問題を考えるときに,単純に「国民全体の奉仕者であ
り」という言葉が,そもそも検察官に当てはまるのかというか,むしろもっと高次の概念,
公益の代表者という高次の概念の中に検察官は取り込まれていて,それを前提に倫理みたい
なものを考えていくべきじゃないか,あるいはいかないといけないんじゃないかというとこ
ろも,やはり考慮要素にあるんじゃないかと思いまして,検察庁法は配っていただいた方が
よかったと思うんですけれども,4条に公益の代表,専門家ばかりじゃないから言っている
んですけれども,専門家はみんな知っている話かもしれませんが,一般の方は分かりにくい
ので,検察庁法の4条にそういう定めがあると。公益の代表者というのは,これは,定義的
に考えないといけないのかなと思っています。
-14-
それから,あと,私,法律家なので,法律の射程とはみ出しがすごい気になるんですが,
今,公務員倫理規程を見ると,利害関係者と利害関係者外というのが今,説明されましたよ
ね。利害関係者に当たる場合と利害関係者以外の者との間における禁止行為というのが,こ
の倫理規程にあるんですけれども,法務省職員倫理規程を見る限り,そのはみ出し部分はど
こに定まるのかと言われたら,多分はみ出し部分がないですよね。はみ出し部分を配慮して
いないといった方がいいのかもしれませんが,つまり,法務省職員倫理規程の2-3を見る
と,3条というところに利害関係者とみなす者という規定はあるけれども,利害関係者を除
く者との規定はなく,利害関係者以外の者との関係性の規律は非常に曖昧に書かれていると
思うんですよ。
これも,公益の代表者とかかると思うんですけれども,一般の公務員だったら,公務員倫
理で済むと思うんですけれども,例えば,具体的な話をすると,捜査を受けている被疑者は
利害関係者と。じゃ,捜査が終了した被疑者はどうなるのか,あるいは捜査が終了した場合
の,昔被疑者だった人との関係はどうなのかということを考えたときに,やはり公益の代表
者だとすると,捜査が終了しても,それが何年か,10年後とか20年後だったらともかく,
直後だったり何年間かたっている間,まだメディア,国民の関心がある間に,捜査としては
もう終了しているんだけれども,被疑者であった人と検察官,担当捜査検察官,あるいは一
般の検察官もそうですけれども,お付き合いしたらどうなのかと言われると,やはり公益の
代表者としてはふさわしくない感じがするんですよね。それは,公益の代表者という以上,
多分公務員とは違う,例えば,たとえ話しても仕方ないんだけれども,政治家とか,今日は
法務大臣がおられたけれども,法務大臣とか,そういう方と何か比較したときに,もっと違
う射程があるんじゃないかとも思えるので,その辺りを,僕はまだこの倫理規程は足りない
感じがしていて,ちょっと,整理していただいた方がいいのかなと思っているんですね。
しろまる鎌田座長 当局に対して質問というよりも,次の議題の......
しろまる紀藤副座長 今は,質問と意見が重なっていますけれども,つまり,ちょっと射程の関係は,
今度教えてください。
しろまる鎌田座長 それでは,既に御意見も大分出てきているところでございますが,議事の3番目
「検討すべき具体的事項について」の意見交換に移りたいと思います。
しろまる金指委員 御質問をさせていただいていいですか。
今の御説明,よく分かりましたが,正直言って,民間の私にとっては,大変な法律があっ
て,すごいんだなと思いまして,ただ感心いたしました。
1点お伺いしたいのは,こういった倫理規程に引っ掛かっている例というのは,もし仮に,
差し支えなければ,年間何件ぐらいあるんですか。こういった倫理規程違反で,例えば処分
されているという,倫理規程違反があるということについて,もしそういった実態が分かる
ものがあれば,今でなくても結構です,タイミングを見て教えてください。
しろまる鎌田座長 では,当局からお願いします。
しろまる中野刑事局企画調査室長 宿題として引き取らせていただければと思います。
しろまる鎌田座長 ほかに御質問はよろしいですか。
よろしければ,先ほど申し上げましたように,議事の3番目「本会議において検討すべき
具体的事項について」,委員等の皆様に意見交換を頂くことといたします。
-15-
時間の限りがございますので,お一人5分以内で順に御発言を頂いて,その上で,互いの
意見を交換すると,このような進め方にしたいと思います。
発言を希望される委員等の方は,挙手をお願いいたします。
金指委員,お願いいたします。
しろまる金指委員 それでは,お尋ねしたいことというより,むしろ私の意見でございます。
前回と今日にわたって,検察の在り方に関して御説明,大変よく分かりました。そういっ
た意味では,前回お話ししたように,問題の在り方が明確であったことと,その後の進め方,
あるいは外部の目,あるいは外部の風を取り入れてうんぬん含めて,大変いい方向にいきな
がら,一つの成果があるのかなと感じてございます。
今回は,大臣のお話もありましたように,検察の綱紀粛正だとか,あるいは法務行政の透
明化だとか,刑事全般の在り方についての問題があるというような形で御指摘がございまし
た。こういった問題の解決は最も大切で,私ども民間企業でも,レベルの違いはございます
が,相当こういった問題はございます。これは,制度改革だけではなくて,実際に携わって
いる人々の風土,体質の改善がなければ,なかなか定着していかないということが実感でご
ざいます。そういった意味で,法務省,検察庁の中の内部の目,内部の風というのは,一体
今どうなっているのか,こういった課題に関して,どういったような感想,あるいはどうい
ったような意見をお持ちなのかについて,是非タイミングを捉えて教えていただきたいと思
います。
そういったことを踏まえた上で,今おられるような識者の外部の方々の意見を合わせわざ
にした上で,自己改革をしていくことの方向感ができればいいかと思いますので,是非とも
次回以降のところで,内部の風,内部の目をどう取り入れていくか辺りを御論議いただける
と,有り難いかと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
それでは,篠塚委員,お願いいたします。
しろまる篠塚委員 資料3の一番後ろのところに,二つ資料をつけさせていただいています。一つが,
「法務検察刷新会議のテーマの御提案」というものと,さらに,「日本の刑事法に関する国
際的な批判と日本弁護士連合会の提言」という,二つの資料が配布されていると思います。
まず,この御提案の方からですけれども,まず,やはり国内外の批判に応えるということ
で,先ほどから出ていますように3点の批判あるいは疑問があるんだと思います。
検察官の勤務延長の閣議決定,あるいはそれに伴う法律案については,政治が検察の独立
を侵害をするんじゃないかとか,あるいは法律案制定の過程が不明ではないかといった疑問
や批判に応える必要があるんだろうと思います。それから,検察官が,マスコミ関係者と賭
けマージャンをしていたということについての批判,あるいはいろいろなそれに伴う疑問も
あります。それから,先ほども出ていますように,我が国の刑事司法に関する国内外の批判,
国際的な批判というものについても,応えていく必要があるんじゃないかと思います。
それをより具体化するためには,まず,1番目の問題につきましては,法務行政の透明化
というのが大きな課題だと思っております。そのためには,まず,文書管理,文書の保管と
いうものがどういうふうになされているのか,それをどう改善していくのかというのがある
かと思います。
-16-
それから,次が,これに関連して人事の問題なんですけれども,前回もお話がありました
ように,法務省の幹部に多数の検察官が活動しているということなんですけれども,行政官
庁である法務省と捜査訴追機関である検察庁との人事面での関係について,検討をしてはど
うかと考えております。やはり従来,法務省と検察官の関係性があるために,要するに,政
治に関わっている法務省があることによって,検察の動きが政治性を帯びるんじゃないかと
いような批判がありますし,それから,やはり刑事立法が,検察官が中心になっていること
で,法務省の刑事立法が捜査中心になっているという御批判もあるわけで,やはりその点が,
人権の観点から,国際的な批判を浴びる原因ではないかという批判もありますので,この点
も,この透明化という中で検討されたらどうかと思います。
それから,検察官の倫理の問題なんですけれども,やはり行動倫理を明確化していく,そ
れから,幹部行政の再検討も必要ではないかと考えています。
次のページにいきますけれども,やはり今回は,マスコミ関係者との関係も注目しなくて
はいけないんではないかと思います。やはり弁護側から見ますと,リークの問題というのは
非常に大きな問題だと感じています。捜査情報をマスコミにリークされることによって,こ
れは,やはり公務員の守秘義務の問題としていかがなものかという点もありますし,逮捕の
場面を撮影させたりとか,匿名のコメントで検察の筋書を載せたりするという例があります
けれども,これは弁護側から見ますと,無罪推定の原則だとか,公正な裁判を大きく損なっ
ているんではないかという批判がありますので,この点も是非お考えいただきたいと思いま
す。
それから,検察倫理の検証については,先ほど,その時期から10年,現在,検察倫理規
程ができてから9年たっているわけですけれども,これはやはり再検討していただいて,上
記のようなリークの問題について,これを無罪推定の関係でやはり考え直していただきたい
というところがあります。無罪推定がされている被告人の防御権,それから自由だとか相手
方当事者である弁護人の選解任に介入すべきことでないと,当然のことなんですけれども,
これを,やはり倫理的に守られているのか,守られていないんじゃないかという批判があり
ますので,この点も十分御配慮いただきたいと思います。
長くなってはいけませんので,3番目に,日本の刑事司法に対する国際的な批判の問題に
ついて,これについては,国連の拷問禁止委員会や国連の自由権規約委員会から,日本の刑
事司法に対する厳しい批判がありまして,この点については,2番目の資料に,国連拷問禁
止委員会の総括所見,これは仮訳をつけております。それから,自由権規約の第6回の日本
法務に対する総括所見についても,仮訳をつけてはありますので,時間があるときに見てい
ただければというふうに思います。
まず,この批判の問題については,まず広報,情報開示の再点検をまずすべきではないか
と考えております。やはり海外メディアとの接触の機会を増やしていくということが,大事
ではないかと思っています。記者会見等においても,在日の外国人記者クラブからも参加し
やすいような工夫もしてはいかがかと考えております。
それから,刑事司法制度の改革については,長くなってはいけませんので,大きな項目,
この2番目の資料にいった方がいいのかもしれませんけれども,まずは,人質司法の解消と
いわれる問題があります。それから,取調べにおける黙秘権の実質的保障と弁護人の立会い
をさせる権利,こういったものが,先ほど言いました国連の委員会から指摘されているもの
-17-
を反映させたものです。
それから,同様ですけれども,全件,全過程の取調べの録音・録画,それから全面的な証
拠開示といったところに問題が,それを目指してやるべきだというのは,国際的な批判の理
由にもなっている。
それから,1枚目のペーパーの最後に書いておりますけれども,やはり再審請求事件につ
いても,なかなか証拠が開示されないと,後で証拠が出てきて,再審で無罪になるというよ
うなこともありますので,この点についても,時間がどこまであるか分かりませんけれども,
注意を促すとか,対象にしていただければと思います。
以上でございます。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
これは,先ほど後藤委員から御質問のあったことと絡むんですけれども,この資料の取扱
いでございます。元々は,発言の時間が限られているんで,ペーパーで出していただいて要
旨をお話しいただくというふうな,こういうことを御提案申し上げた次第です。その関係で
は,発言要旨的な分量のものを想定していたわけでございます。
今の篠塚委員の1点目の資料は,正にそれを目指されたものですけれども,2点目の資料
も,これも,御発言のための補助資料ということで,今回は,この会議における配布資料扱
いとさせていただこうかと思っておりますけれども,そういう趣旨でお出しいただけたと考
えてよろしいですか。
しろまる篠塚委員 ありがとうございます。
根拠なく言っているわけではないということも含めて,それから,より関心がある方は,
より広い情報を,便利に使えるような情報を提供することが,世論の喚起につながるんでは
ないかと思って提供させていただきました。よろしくお願いいたします。
しろまる鎌田座長 後藤委員の2点目の資料も,同様の発言の補助資料ということでよろしいですね。
しろまる後藤委員 はい,ありがとうございます。
しろまる鎌田座長 今回はそのようなことで,両者とも発言に関連する資料ということで,公式の資
料ですから,ホームページにも掲げさせていただきますし,今,別室の傍聴の人たちにも配
られているわけですね。そういうふうな取扱いにしていますので,必要な資料はそういう取
扱いにしていきたいと思います。ただし,あんまり,常に膨大な資料が出てくると,また困
りますので,それぞれの方,適切にお願いしたいと思います。
しろまる篠塚委員 はい,篠塚です。
そのとおりでして,そうならないように,要するに,ウェブ上で検索できるものについて
は,検索できるところまでを言えばよくて,文章には余りしないで,出せるものはそういう
ふうに出していきたいと思って。要旨みたいなものを,分かりやすい形で出していくという
ことを考えております。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
ちょっと横道にそれてしまいましたけれども,ほかの御意見をお願いいたします。
全員に御発言を頂きたいと思っておりますので,どうぞ進んで挙手をしていただければと
思います。
しろまる後藤委員 むしろ,どんどん指名された方が早いのではないですか。
しろまる鎌田座長 指名でよろしいですか。
-18-
それでは,後藤委員。
しろまる後藤委員 ありがとうございます。
この会議で問われているのは,大きく見ると,検察の独立という要請と,検察に対する民
主的コントロールという要求,これらをどうやって調和させるかということだと,これは何
人かの御発言にもあった,そのとおりだと思います。これは非常に難しい問題で,制度をど
うしたらよいかは,私にもよく分からないです。けれども,少なくとも,これらを両立させ
るためには,検察官たちがしている仕事が,高い透明性を持っていて,事後的な検証が可能
であるという条件が必要になると思います。
その観点から,三つの大きな柱に従って,もう少し具体的な論点を提案させていただきま
す。まず,検察官倫理について,検察の理念自体は正しいことをうたっていると思います。
ただ,かなり抽象的に心構えを説いているものなので,より具体的な行為規範が必要ではな
いかと思います。例えばどういう項目についてそれを定めるのがよいかについては,私が今
回提出しました論文を御覧いただけると,ある程度御参考になるかもしれません。
それから,今回の黒川氏の行動については,賭けマージャンもさることながら,新聞記者
の自宅でそれをしていたということが,重要と思います。ですから,これも行為規範の具体
例の一つですけれども,マスメディアと検察官の関係について,一定の規範が必要ではない
かと思います。
2番目に検察行政の透明化についてです。黒川さんの検事長としての勤務延長の人事は,
今さら,それが良かったかどうかを論じても仕方ないでしょう。しかし,この人事は,それ
までの法解釈を変更してまで行った,極めて特異な人事でした。その決定に至る過程がどう
いうものだったのかを確認することは,法務,検察行政の透明性を考える前提になると,私
は思います。
3番目,刑事手続についてです。ゴーン被告の国外逃亡は,日本の刑事裁判権から逃避す
ることで,それを正当だということはできません。しかし,他方で,この事件後の国際世論
が,かなり彼の主張に味方しているという事実は,やはり重く受け止める必要があると思い
ます。すなわち,日本の刑事手続が国際的な信用を得ていないということです。
既に示された論点案にある「国際的な理解が得られるようにするための方策」というのは,
単に広報活動をうまくすればいいということではなくて,実際に日本の刑事手続が諸外国か
ら見て,確かに公明正大な手続であるという高い信頼を得られる,透明度の高いものに変え
ることが必要だと思います。これまでの証拠開示とか取調べの録音・録画の導入にもよって,
透明度が上がってきているのは確かです。けれども,まだ十分ではないと思います。
具体的には,まず,取調べのいわゆる可視化を更に進めるべきではないでしょうか。これ
を議論したいと思います。現在取調べの録音・録画が義務付けられている範囲は非常に狭い
ので,もっと広げるべきではないでしょうか。
それから,日本の刑事手続に対する批判の中で,最も反論しにくいのは,取調べに弁護人
の立会いを許していないことだと思います。これは,アメリカでもヨーロッパでも,また日
本の近隣の韓国や台湾でも既にやっていることなので,ここで,日本のやり方がいわば国際
標準に合っていないという問題があると思います。
次に証拠開示の問題です。検察官が持っている証拠を弁護人に開示する,証拠開示制度が
あるのですけれども,その適用は公判前整理手続に付される事件に限定されています。そう
-19-
でない,一般的な制度に広げるべきではないか,また,再審請求審でも証拠開示の制度が必
要ではないかと考えます。
3番目の伝聞例外としての刑訴法321条1項2号の問題というのは,技術的なので少し
分かりにくいかもしれませんけれども,この条文は,検察官が作成した供述調書を証拠とし
て特別に優遇しているものです。そのために,被告側と検察側がそもそも対等になっていな
いという問題があります。それからまた,法廷での証言よりも調書が重視されることになっ
て,刑事手続の透明度を下げていると思います。ですから,この2号を削除する,あるいは,
少なくとも要件をより厳格にするようなことが必要ではないかと思います。
この3番目のところは,立法の問題ですけれども,1番目,2番目のところは,立法を待
たなくても,検察の運用でかなりのことができる部分です。
これらの論点を議論する前提として,事情をお聞きしたい方として,まず黒川氏の勤務延
長の決定に至る経過を語れる方の話を伺いたい,それから,村木厚子さんです。村木さんに
は,前の検察の在り方検討会議でも語っていただいて,その議事録は既にいただいています。
けれども,この10年間の検察改革の出発点が,あの村木さんの経験した事件にあったので,
それを生の声でもう一度聴いて共有することが大事ではないかと考えております。
以上です。ありがとうございました。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
それでは,次に太田委員,お願いいたします。
しろまる太田委員 太田でございます。
私からも,2枚ものでちょっとプリントを出させていただいています。申し上げたいこと
は,ほぼこれに尽きるんでありますが,若干補足して申し上げます。検察官の倫理について
は,もう書かせていただいたことにほぼ尽きるかと思います。
それから,法務行政の透明化ということに関連してですけれども,これ,冒頭発言させて
いただいた点と重なりますが,過去の事案についての経緯等を論点とすべきという御意見が
あるようでありますけれども,過去の経緯ということに関しては,例えば,それこそ黒川氏
の一連の事案の決定プロセスのような話,これまでも,国会で幾度となく取り上げられてき
て,その度に政府から答弁がなされているものでして,それ以上の話が出てくるとも思われ
ず,この場で論点にすることが生産的かどうかというのは,多分に疑問がございます。
また,人事の話についても,もう既に申し上げたところと重なりますけれども,人事の,
特に人事配置の適否というのは,後から言うことはできますけれども,その決定プロセスが
どうかということを,これが,一般に公表したり公の場での議論になじまないというのは,
これもう官庁に限らず,民間企業を通じても,社会通念のようなものではないかなというこ
とを思いました。
それから,あと2点ほど申し上げます。
刑事司法制度の関連についても,ペーパーの方に書かせていただいたとおりで,この会議,
タイトルが法務・検察行政刷新会議とありますように,司法制度そのものではなくて,飽く
までも行政の範ちゅうと私は理解しておりましたし,また,民間の出身の委員の方々もおら
れますので,刑事司法制度プロパーの話は,やはりそれにふさわしい場の方に譲るべきでは
ないかなというのを,強く思っております。
それから,最後に1点だけ,マスコミの話がありましたけれども,私も警察に長いことお
-20-
りまして,報道機関とのお付合いは多々ございますが,捜査機関と報道機関との関係,捜査
機関が情報をリークして,マスコミがそれを報じて,世論を捜査機関に有利な方に誘導する
という趣で捉えられている方もいらっしゃるようですけれども,決してそんなことはござい
ません。やはり報道機関というのは独立の存在として,捜査機関との間には常時,相当な緊
張関係がございますし,また,マスコミが取材をして何を報ずるかというと,そこはもう報
道機関独自の判断というものが必ずあるわけであります。
この場で報道との関係というのを論議しますと,例えば,この委員の中に報道機関出身の
方いらっしゃいませんので,どうなっても欠席裁判のような格好になってしまうのもいかが
なものかと思いますし,また,報道,取材の自由といった点との兼ね合いもありましょう。
ちょっとこの構成の会議という場の論点というのは,不適当ではないかなということを感じ
ましたので,以上,申し上げさせていただきます。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
次に,山本隆司委員,よろしいでしょうか。
しろまる山本委員 それでは,私の方から申し上げます。
私の関心といいますか,申し上げたいことは,メモにも若干書きましたけれども,私の専
門分野に関わることで,検察官の職務外の行為に対する規律の問題,それから,法務行政の
意思決定プロセスの文書化,透明化の問題という,2点でございます。3については省略を
いたします。
この二つに関しましては,いずれも一般的な,公務員一般に妥当する法的な枠組み,ある
いは実務上の枠組みができているという事情がございます。前者の職務外の行為に対する規
律につきましては,先ほど詳細な説明がありましたように,国家公務員一般に適用される国
家公務員法,国家公務員倫理法,国家公務員倫理規程に詳細な定めがあるところです。これ
は,一般的な枠組みですので,検察官に特有の事情がある場合に,何かこれに加えて考える
かという問題はもちろんございます。職務,あるいは,更に言えば職位に応じた規律が必要
かということがございます。
ただ,この場合に気を付けなくてはいけないのは,職務外の行為ということになりますと,
個人の行為の規制になります。あるいは,私生活の規制ということになりますので,その点
にはやはり慎重な考慮が必要になると思われます。
先ほど,検察庁法の4条と,それから国家公務員倫理法の3条の規定について御指摘がご
ざいまして,これは,恐らく次回までに事務局の方でおまとめになるかと思いますが,倫理
法の3条は,これは,国民全体の奉仕者という,御承知のとおり憲法15条に書かれている
一般的な行動規範でして,検察庁法の4条の公益の代表者というのは,これは,具体的な職
務の内容です。すなわち,恐らく刑事に対比をして,例えば民事の分野などで検察官にも職
務が,権限があるわけですけれども,それを指しているものでありまして,ちょっとそれは
次元が違うのではないかと思われます。すなわち,検察庁法4条の方が,高次というわけで
はないのではないかと思いますけれども,この点は,多分次回までにおまとめになると思い
ます。
そのような事情がございますので,やはりその点は慎重に議論をすべきではないかと。む
しろ,重点的には,こういった理念を法務省ないし検察において,具体的な体制としてどう
いうふうに実現をしているのか,研修の体制はどうなっているのか,報告の体制はどうなっ
-21-
ているのかといったようなことが,重要ではないかと思います。
それから,第2点の意思決定プロセスの記録の問題でございますけれども,これに関しま
しても,やはり一般的な枠組みがございます。ここに書きましたように,公文書管理法を始
めといたしまして,政府のガイドライン,方針等があるところです。これには,公文書管理
委員会という独立の機関も関わっておりますので,この枠組み自体がどうかということまで
議論することは,ここではやはり難しいのではないかと思います。
ただ,この中で,法務行政において具体的にどのような問題があり,あるいは,どのよう
な課題があるのかということについて,材料を出していただいて議論をしていくと,こうい
った法律やガイドラインの理念が十分に実現をされているのか,あるいは今後実現するため
にどうしたらいいのかという,より具体的なレベルで議論をすることが,生産的ではないか
と思います。
すみません,以上です。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
それでは,鵜瀞委員,次でよろしいでしょうか。
しろまる鵜瀞委員 鵜瀞でございます。
資料を1枚出しておりますので,御覧いただければと思います。
3点ございまして,一つは,まずこの会議を運営して結論に至るまでの制約条件について
確認させていただきたいと思います。これは,事務局への確認でもありますけれども,この
場の皆様方のある種の共通認識があった方がいいのではないかということで,問題提起させ
ていただきました。
例えば,どれぐらいの期間を使って議論をしていくのかとか,それから手法ですね。金指
委員も紀藤委員も後藤委員も,それから今の山本隆司委員も,こういう情報が必要とか,根
拠が必要とか,材料が必要とかいうようなことをおっしゃいました。すぐにある資料であれ
ば出していただけるんだと思いますけれども,それを探したり,調べたり,あるいはヒアリ
ングのお願いをしたりというようなことをやっている余裕というか,リソース,期間がある
のかどうかと。それによって,検討対象の範囲とか深度とかが決まってくるのではないかと
思います。
それから,2番目に問題点ですけれども,検討項目として,当初大臣から検察の綱紀粛正
の話,それから行政の透明化の話,それから刑事手続の在り方の話と,こう三つの柱に分け
て問題提起がありまして,今日の皆様の御発言も,それに即してポイントを指摘されていま
す。これの中で,どこを具体的にしていくかという話を,これからするのだとは思いますけ
れども,私の感じですけれども,いずれの項目も,国民とか,あるいは社会が法務省,検察
庁のやっていることに納得できないところがあるという問題だと考えています。細かく分け
ていかないで,どこが国民や社会の期待値とずれているのか,これから国民や社会にもっと
納得していただくにはどうしたらいいかというような問題設定で,議論を進めるということ
を提案したいと思います。
よくコンプライアンスの世界では,会社の常識は社会の非常識というようなことを言われ
ますけれども,そのような性質の問題があるのではないかということを,そういう視点で議
論をしていけばというふうに考えております。もし個別の項目について議論するとしても,
今回取り上げられている三つの分野に,ある程度コミュニケーション不全の問題が共通して
-22-
いるというような視点で見ていったらどうかと考えています。
そのためには,国民がどういうことを法務省や検察庁に期待しているのかというようなこ
とを把握した方がいいと思うわけで,先ほど太田委員から御提案ありましたけれども,国会
でいろいろ質疑されていると,そういう国会質疑でどのような点が問題とされて,それに対
してどのような説明をして,また,それがどのような反応を呼んでいるのかというようなこ
とを材料にするというのも,一つのやり方ではないかと思います。もちろん,国会質疑だけ
ではなくて,今までどのような広報活動をされてきたのかというようなことを,その過程で
どのような質問や要望が寄せられてきたのかというようなことも見ていくと,国民との認識
ギャップというのが,ある程度浮き彫りになるのかなと思っております。
先ほど来,皆様方の提案を見ていますと,こうしたらいいんじゃないかというような提言
的なものをおっしゃっておりますので,私も,書いていたときには,ちょっと自分だけ先走
っているのではないかと思ったんですけれども,ペーパーの3番に結論の方向性ということ
でちょっと書かせていただいております。
私としては,コミュニケーションの改善を図るというようなことが,一つの結論の方向性
になるのではないかと思っております。これは,一方通行のものではなくて,法務省や検察
庁から国民や社会に向けて説明をする,説明が納得されるかどうか,されないかもしれない
というときに,その反応を見ながら,またよりよい説明の仕方を工夫するとか,あるいは,
その仕組みを少し直した方がいいとか,そういうふうに改善していくということになると思
うんですけれども,コミュニケーションを改善することによって,問題が少し解決されてい
くのではないかと考えています。
その他いろいろ難しい問題も提案されておりまして,かなり細かいお話もあったかと思う
んですけれども,その実行に関しては,その内容によって必要な期間とか手段とかが変わっ
てくるだろうと,そのように考えております。
以上でございます。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
ただいまの御発言の中に,事務局に対する問いかけもございましたので,事務局で説明で
きる部分については御説明をお願いします。
しろまる保坂事務局 事務局の保坂でございます。
先ほど,この会議において,かけられるリソースや時間についてのお尋ね,確認がござい
ましたが,本日,検討すべき具体的事項について御議論を頂きまして,項目が整理されてい
く中で,リソースや時間の必要性について,座長,副座長とも相談しながら,事務当局とし
ては,できる限りのことをしてまいりたいとは考えておりますので,また改めて御検討させ
ていただければと存じます。
しろまる鵜瀞委員 ありがとうございました,承知いたしました。
しろまる鎌田座長 それでは,次に井上委員,お願いします。
しろまる井上委員 井上でございます。
発言の要旨はペーパーで出しましたけれども,まず最初に,検察官の倫理の関係では,今
回の,前検事長の賭けマージャンの問題は,これは大阪事件とはかなり違う性質のものでは
ないかという点を述べております。大阪事件では,刑法犯として検挙された証拠の偽造とか
犯人隠避の事件があったんですが,いずれも職務上の非行でありまして,行為者個人の資質
-23-
の問題に加えて,検察の組織運営上の問題と絡む一連の不祥事という大きな事件であったん
です。
今回の検事長の事案は,これは,私生活における賭けマージャンという職務外の非行であ
ると,これが本質であろうと思っております。加えまして,鵜瀞委員から国民目線と離れて
いるんじゃないかというような指摘がありましたが,そういう要素も非常に大きかった,こ
のコロナのご時世に何やっているんだと,そのような性質のものであったと思います。
検察幹部の非行が検察に対する信頼を毀損したことは,これは重く受け止めて,検察全体
で再発防止の誓いを新たにすることは大変大切であると思いますが,今回の事案をもって,
個人的不祥事と捉えてはならないという御意見はあるんですけれども,かといって,組織と
して検察一般の倫理の問題と捉えることについては,検察庁の現場の感覚,私,当時福岡の
高検におったわけですが,現場の感覚としてちょっと違和感があるというのが,正直な感想
でございます。検察官の不祥事であるからといって,大阪事件と並べて考えるというのでは
なくて,その事案に見合った善後策というものを検討していくべきかなと思っております。
2番目に,私生活領域における非行防止の方策の問題でございます。
私,地検の検事正,高検の検事長,各2か所,それから入管局の局長,それから最高検の
監察指導部長などをやってまいりましたので,組織の運営とか職員の職務内外の非行防止,
撲滅に努めてきたという経歴があるんですが,職員の職務外の非行をゼロにするということ
は,これはとても難しい問題でございます。これ,職場でのこととか職務上のことであれば,
様々な対応の打ちようがあるんですけれども,職場外の私生活上の非行については,本当に
具体的な対応が難しいというのが実感でございます。このことは,ほかの組織の関係者にお
いても,共感されることと思います。
私生活上の非行であっても,もちろん組織の信用を失墜させるという意味では責任はある
んですけれども,職務上の監督権は,私生活領域には基本的には及ばないと思われますので,
そこに詳細な規制をかけることは,やはり慎重であるべきだなと思っております。
このことは,公務員倫理法上で,例外的に一定の要件の下で限定的に私生活領域に及ぶ規
制をかけておりますが,それを超える規制をかけることは慎重であるべきだと,そういう意
味であります。
また,特に,近時はワーク・ライフ・バランスというものが非常に重視されておりまして,
私生活の充実というものがますます重要性を高めていますので,私生活領域の行動の規制と
いうものは,この意味でも相当慎重に考えるべきでありまして,基本的には,本人の自覚に
委ねて,その中で再発防止を図るべきであると思います。そして,本人の自覚をしっかりと
させるために,どのような方策があるかということについては,この会議で様々な組織,団
体における参考の取組などを紹介していただければ,その内容も踏まえて,法務,検察で研
修の在り方も含めまして,再発防止策を真剣に検討していただけるのではないかと,それが
いいのではないかと思っております。
2番目で,法務行政の透明化でございますが,これは記載のとおりでございますので,時
間の関係で省略します。
3番目に刑事手続の国際的な理解の点でございます。
一つ目に検察改革の進捗状況ということで,提言の履行状況という項目を作りまして,本
日当局から説明がございました。
-24-
私,正にこの10年間,検察の現場におきまして,検察改革を身をもって体験してきたわ
けでありますが,自画自賛だと言われるかもしれませんが,真面目な組織だなと,本当に真
摯に一生懸命取り組んできたなという実感があるのも,正直なところでございます。ただ,
それが,改革のメニューが出そろってから,それをルーチンとして行っていく段階にもう既
に入っておりますので,これがどのように定着しているかということを確認する意味はある
と思います。
それから,提言の関係では,具体的な刑事手続の改正に関わる御提案が,本日も幾つかご
ざいましたけれども,これは,新時代の刑事手続とするための,録音・録画を含むパッケー
ジとしての刑事訴訟法改正が行われて施行され,その改正法の附則で,3年後の見直しをす
ることになって,法曹関係者による準備的な検討が既に始まっているということでございま
すので,そこでは,恐らく法制審議会,又はこれに準ずる委員構成の体制の下で十分な調査,
検討の時間も掛けて,しっかり行われると思いますので,基本的には刑事手続の議論はそち
らに委ねるのが適当だと思います。
ただ,もう一つ,国際的な理解を深めるための情報発信につきましては,今回大いに取り
上げるべきかなと思っております。
御承知のように,民事手続と異なって,刑事手続は,各国において大きな違いがございま
す。我が国の刑事手続は,独仏法のベースにアメリカ法が戦後接ぎ木されて,それを日本風
にアレンジして運用してきたといういきさつがありまして,具体的に見れば,相当独自なも
のとなっているだろうと思います。そのため,全体像を正しく,手早く,国際的に理解して
もらうことは,非常に難しい課題だと思います。
これ,逆に我々が外国の法制のことを考えると,法律レベルの調査はある程度できるんで
すけれども,その運用の実態がどうかというところまでは,なかなか分からないというのが
実際でございます。そこで,往々にして,古いデータに基づいていたり,印象や評判で判断
したりしがちだということは,我々も自戒すべきかなと思っております。
しかし,我が国の刑事手続は,実際この10年,15年でものすごく変わってきたところ
があります。その変化も含めて,対外的に正確な理解を得るための努力は惜しむべきではな
いと考えていますので,どのような方策が適当かということにつきましては,会議で大いに
議論していただきたいと思います。
以上です。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
ここで,まだ御発言になっていらっしゃらない方,お三方いらして,それらの方々に1人
5分の発言時間を等しく保障すると,終了予定時刻をオーバーすることになりますので,意
見交換の時間もなくなってしまいましたんで,次回また引き続き意見交換をさせていただく
としましても,終了時間が若干延びてしまうかもしないということをお許しいただければと
思います。よろしいでしょうか。
それでは,徐オブザーバー,よろしくお願いいたします。
しろまる徐オブザーバー オブザーバーの徐でございます。ありがとうございます。
ほかの委員の方々と違いまして,私,見出しだけになってしまうんですけれども,口頭で
補足させていただきます。
まず,私の意見に入る前に,今までの委員の方々の御意見を踏まえて,当初この会議,す
-25-
ごく議論がいろんなところに分散するんじゃないかという,心配だったり不安を抱いていた
ものがあったんですけれども,意外に論点自体は,実はそろってきているんじゃないかなと
いうところを,所感として抱いた次第です。
それを踏まえまして,私はオブザーバーとしての意見なんですが,まず1点目として,法
務省及び検察庁における人事体制についてというのを挙げさせていただきました。
本会議第1回において,冨山委員からの御指摘もありましたし,また,本日篠塚委員から
の御意見にもありましたが,個別具体的なケースに関する人事の妥当性といったものを踏み
込みというよりかは,むしろ法務省と検察庁という両組織におけるシステムとしての人事体
制の在り方といったものが,検討できてもいいんじゃないかなと思います。
あるいは,両組織において,求められる人材像だったり能力,適性,組織が異なっている
にも関わらず,その昇進ルートとして両組織が混合されているというのは,民間感覚からし
てもかなり混乱を招くおそれがあるんじゃないかなと。また,今回,国民の疑念をいろいろ
招いてしまったのは,政治に極めて近い方が検事総長になっていくといったような事案が,
今後再発するかどうかというのは,このシステムがある限りは否定できないかなと思ってい
ますので。
ただ,とはいえ,現行のシステムも,過去様々な工夫があって積み重ねられてきた意思決
定の結果かと思います。ですので,純粋にここで悪しき慣習だと判断するのではなくて,む
しろ法務省の方々だったり,検察庁の方々の御意見や,今のシステムのメリットや理由等も
踏まえた上で,この議論をさせていただければなとは思っております。
第2なんですけれども,法務行政の透明性についてでございます。
この点は,鵜瀞委員と同じ問題意識なんですが,今回,様々国民で疑念を生んでしまった
のは,割とミスコミュニケーションによるところが多いと思っております。人事・綱紀粛正
等についても,冒頭大臣が述べられていましたが,意思決定権者は私ですが,事務方の言う
ことを聞いていましたとか,あるいは,形式と実態が違うとか,そういった発言があったこ
とに対して,国民感覚とずれているところがあるんじゃないかとか,あるいは,民間企業で
も代表取締役が全て把握しているわけじゃないが,ただし,重要事項については,やはり実
質的に意思決定を行うんじゃないかとか,そういったところも踏まえて,現行のシステムだ
ったり,現行の人事や綱紀粛正が一概に間違っているという立場で臨むのではなくて,むし
ろ,今あるシステムが,実は本当は妥当なもので,国民に対してしっかりとした情報提供が
行われていないだけなのではないかと,そういった視点も含めて,人事や綱紀粛正の透明性
をどう実現するかといったところが,委員の皆様と議論できればなと思っております。
最後に,文書作成や管理等の在り方についてでございますけれども,今回,一つ国民の中
で議論になったのが,あるべき文書がなぜ口頭で決裁されているのかといったことが,過去
に,上半期あったかと思います。これについても,恐らく省庁内においては,文書管理規則
等であったり決裁規程等で,適切な省庁内での決裁が行われたという認識ではあるとは思う
んですが,これが国民に理解されていないということで,多大な混乱を招いたのかなとも思
っております。
その辺りで,今までの意思決定の仕組みがどうなっていて,また,これからどうあってい
くのかというところを,未来志向で議論できればなと思っております。
私からは以上でございます。
-26-
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
ちなみに,委員とオブザーバーという区別がなされておりますけれども,発言権について
は全く対等であるという前提でおりますので,今後とも自由に御発言を頂ければと思います。
しろまる徐オブザーバー ありがとうございます。
しろまる鎌田座長 それでは,次に,紀藤副座長。
しろまる紀藤副座長 時間が限られているので,手短に言いますが,資料の中についている「議題」
で,私が書いたことをそのまま読むと時間が掛かりますので,簡単にかいつまんでお話をし
ます。
先ほど,委員からずっと続いていましたが,結局,検察庁,法務省がやはり国民の批判が
あったときに,それをどう受け止めるかという問題は,非常に大きいと思っております。つ
まり,批判を否定的に捉えるんじゃなくて,批判は前向きに捉えて,それを刷新とか改善に
向けて,自分たちの組織を改革していくと,そういう発想で処理をしていただくことが,と
ても大事じゃないかなと,そういう視点でこの問題を考えるべきだと思います。
それから,いろいろ,第1,第2,第3という柱がありますけれども,それは書いたとお
りなんで,読んでいただければお分かりになると思うんですけれども,私としては,検察官
が,また同じ法曹として日頃から努力されていることは,十分に理解してはいるんですね。
ですけれども,場合によって,やはり国民から批判を浴びる場合が時にあるということに関
して,そのプロセスを明確に透明化していくということで,批判を前向きに捉えて,改善し
て努力していくということはとても重要で,結局,個々の検察官で努力しても,なかなか組
織のことについては是正できないことが幾つもあるわけでしょうから,この会議の使命とい
うのは,個々の検察官の努力では是正不可能な問題点について,指摘していくことだろうと
いうふうに思っています。それは,検察官や法務省の倫理しかり,文書管理の方法しかり,
捜査を含めた刑事手続の問題もしかりだと思います。
法務・検察庁は,やはり自分たちに痛い意見ほど,かえって聞く耳を持っていただきたい
と思います。そして,大事にしていただきたいと思っております。批判というものに耳を傾
けない組織というのは,早晩崩壊するとか,批判して全面的に改組されるとか,そういうこ
とになることは,歴史の示すとおりなんですけれども,私は,検察は,皆さん口々に言って
いますけれども,検察の独立が司法の一部を担う者としてとても重要で,先ほど公益の代表
者という議論はしましたけれども,公益の代表者になるような立場の人が,倫理規範が同じ
なのかどうかは,やはりちょっと議論しないといけないことなのかもしれません。
一つだけ資料を説明していただきますと,資料の2-4に,今日,弁護士法が配られてい
ると思います。それで弁護士法の,六三分の二七の56条というのを見ていただければいい
と思いますけれども,弁護士は,ここに書いてあるとおり懲戒を受けるんですけれども,3
行目に,「その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があったときは,懲戒を受け
る」と書いてあって,職務の内外を問わないんですね。これは,弁護士というのはそもそも,
私益業を担う一事業者なんですけれども,なぜ内外を問わず品位を失うべき非行があったと
きは懲戒を受けるかということは,正に司法を担う一員として,何らかの社会正義性がある
と,弁護士法1条とかを見ていただければいいと思うんですけれども,検察庁法とは違う規
定の仕方がされていて,検察庁法で議論しておかないといけないのは,やはり公益の代表者
だと,私は考えていますし,それはよく言われることだと思います。
-27-
ですので,そこも踏まえて,内外の外が検察の理念に定められていないこと,それから,
先ほど指摘しましたけれども,法務員職員規程の中に利害関係人の規定が狭すぎないかとい
うことは,やはり考えていかないといけないんじゃないかなと思っております。
以上です。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
それでは,山本和彦副座長,お願いいたします。
しろまる山本副座長 私自身は,副座長として鎌田座長をお支えする立場でありますので,本日は,
基本的には委員の皆様方の御意見をお伺いしたいということでございます。
ただ,せっかく発言の機会を与えていただきましたので,個々の論点というよりは,検討
すべき事項を考える,あるいは整理するに当たって,留意が必要だと思われる観点に絞って,
若干のことを述べさせていただきたいと思います。
まず第一に,これは既に何人かの委員が御指摘になったところでありますが,この会議自
体は,いわゆる第三者委員会のような調査権限を持っているものではなくて,外部の有識者
が集まって,よりよい法務,検察行政の在り方を,大臣のお言葉を借りれば,未来志向の観
点から議論,検討して,法務大臣に提言するということを目的としているものと理解してい
ます。そうした位置付けからすると,この会議で,例えば,新たに過去の事実関係を調査,
解明したりとか,あるいは,一定の法律の解釈の当否を判断したりということが,そもそも
できるのかということについては,疑問があるように思います。また,仮にそうしたことを
やったとしても,その得られた結論が正しいことを,どうやって担保できるのかということ
にも,疑問があるように思います。そういう何人かの委員の御指摘に,私も共感していると
いうことであります。
それから,もう一つは,今回のこの会議の発足の経緯からすると,元検事長の賭けマージ
ャン等の事案が,国民の法務・検察に対する信頼を損ねたというところから出発した,立ち
上がった会議体であるということからすると,国民の法務・検察に対する信頼を回復すると
いう観点から,ある程度スピード感を持って議論を進めていくということが求められている
のではないかと思っております。もちろん,拙速になってはいけないわけでありますけれど
も,今回の検討の端緒となった問題と関係が薄いような事項にまで,この際だからというこ
とで,過度に議論の戦線を広げていくということには,やはり慎重であるべきではないかと
思って,その結果として,時間が掛かりすぎるということになってはならないのではないか
と思っております。
そういう観点から,例えば,ヒアリング等についても,これはもちろん,必要があれば必
要な範囲でやるべきだとは思いますけれども,それほど多人数,多くの方々からヒアリング
をするということではなくて,今後の論点整理も踏まえて,この会議の具体的な検討事項に
ついて,こういう方向性というものが見えた後,その検討事項との関係に絞り込んだ形で,
ヒアリングの具体的な必要性を検討し,ヒアリングの項目や対象者等について検討をしてい
くというような方向性が,相当なのではないかと思っている次第であります。
以上,本会議で検討すべき具体的な論点を議論して絞り込んでいくに当たっての留意点と
いうことについて,私が考えていることをお話をさせていただきました。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
一応,皆さんの御意見をお伺いしたつもりですけれども,どうしても一言,この機会にお
-28-
っしゃりたい方いらっしゃいましたら,一,二分補足の発言を,よろしいですか。
いずれにしても,十分には意を尽くされていらっしゃらないと思いますので,次回以降に
また,この意見を述べる,あるいは他の意見に対する批判,反論という希望もお持ちだろう
と思いますので,そういう機会を設けたいと考えております。
本日,大変様々な,そして極めて有益な御意見を頂戴をいたしました。全く逆の意見もあ
るわけですから,今後の進め方を考えていく上では,本日頂戴した御意見を一度整理させて
いただいて,副座長,事務局とも相談して,次のステップにどのような形で進んでいくかと,
どういう論点にどのようなアプローチをすることが妥当なのかということについて,少しず
つになるかもしれませんが,御提案をさせていただいて,御了解いただいた形で,この先進
めていきたいと考えております。
なお,本日の議事につきましては,特に公表に適さない内容はないと判断いたしますので,
発言者名を明らかにした議事録を作成し,前回同様法務省ホームページ上で公表することと
させていただきます。それから,先ほど申し上げましたように,配布資料についても,同様
にホームページ上で公表をさせていただくことにいたしますので,御了解いただければと思
います。よろしくお願いいたします。
では,次回の会議の予定につきまして,事務局から説明をしてもらいます。
しろまる保坂事務局 事務局の保坂でございます。
事前に皆様の御予定を照会させていただきました。一部御都合のつかない方には,恐縮で
はございますが,次回,第3回の会議につきましては,本年8月27日木曜日の午後1時か
ら開催することを予定させていただいております。
次回会議の方式等につきましては,追って事務局から御連絡をさせていただきます。
以上です。
しろまる鎌田座長 ありがとうございました。
それでは,本日はこれにて閉会とさせていただきます。
長時間にわたりまして熱心な御議論,大変ありがとうございました。

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