令和3年度予算概算要求の概要について(養育費関係)
法務省民事局
養育費と面会交流の取決め等について解説する
パンフレットを作成し,各市区町村へ配布する
ことを予定
また,養育費及び面会交流の重要性等に関す
る動画を作成し,配信することを予定
養育費・面会交流パンフレット/動画作成
【要求額:458.9万円】
養育費や面会交流の民間支援団体や関係機関を
集めて情報交換会を開催し,また,それらの情
報交換会の成果を踏まえて公開シンポジウムを
実施することなどを予定
専門機関へ委託して,養育費の取決めについ
ての課題や自治体が行っている先進的で実証的
な取組等を調査分析し,離婚当事者に対する効
果的な支援策を取りまとめることを予定
父母の離婚後の子の養育に関し,立案担当者
が諸外国における法制度や運用実態を直接調査
することを予定
一部新規
養育費不払い解消に向けた調査研究委託
【要求額:833.8万円】
新規1養育費・面会交流支援団体等の情報共有
【要求額:263.4万円】
新規
諸外国における法制度及び運用実態
に関する調査旅費
【要求額:38.9万円】
継続 2【要求額:458.9万円】
しろまる平成24年4月,民法改正
父母の離婚の際に協議で定める事項として,養育費の分担が明示され(民法第766条第1項),離婚届書に養育費の分担取決めの有無をチェックする欄が追加された。
しろまる「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」
(平成27年12月21日,「すべての子どもの安心と希望の実現に向けた副大臣等会議」で決定)
養育費に関する法的な知識を分かりやすく解説したパンフレット・合意書のひな形の作成及び離婚届書との同時交付の取組を,全市町村で実施することなどが決定された。
しろまる「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月2日閣議決定)
「養育費の取決めに関する合意書のひな形や養育費の支払がされない場合に取り得る法的手段等を周知する。」とされ,「周知を通じた離婚届書のチェック欄にチェックする者
の割合の向上」を図るものとされた。
令和3年度においてもパンフレットを作成し,市区町村に配布,
離婚届書との同時交付を行うとともに,新たに養育費の取決め
等についての解説動画を作成する。
養育費・面会交流パンフレット/動画作成
現 状
対 策
平成28年度,「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」を作成し,
市区町村に配布,離婚届書との同時交付を開始
しろまる離婚届の養育費の分担について取決めをしているという欄にチェックをされているものの割合は,
60パーセント台前半で推移
しろまる離婚届は毎年20万件以上提出されており,単年度の取組では不十分
割合を70パーセン
トにすることを目標
継続的に取り組む必要
養育費の分担取決め率の上昇効果
問題点
ひとり親家庭支援の一助 3【要求額:833.8万円】
しろまる養育費の取決めがされない要因として,離婚当事者の法的知識やこれに対する支援が不十分であるとの指摘もあることから,養育費制
度の見直しに当たっては,その前提となる環境整備として,離婚当事者への法的支援の充実が図られていくことが不可欠。
しろまるひとり親世帯における養育費の支払の現状(厚労省:平成28年度全国ひとり親世帯等調査)
「現在も養育費を受けている」世帯は母子世帯で24.3%,父子世帯で3.2%にすぎず,ひとり親の4分の3以上が支払を受けていない状況にある。
しろまるそもそも養育費の取決めがされていない事例が多い(厚労省:同調査)
母子世帯の42.9%,父子世帯の20.8%しか養育費の取決めをしておらず,特に協議離婚において取決め率が低い。
しろまる重大な社会問題化
養育費不払い問題については,ひとり親世帯の貧困の原因となるとともに女性の社会進出を阻害しているとして,国会質疑や与党の議論において重大な社会問題として注目
され,養育費制度を所管する法務省に対応が強く迫られている。
令和3年度において,専門機関に委託し,養育費の取決めに
当たっての課題や隘路,自治体が行っている先進的で実証的な
支援の取組などを調査・分析し,支援策を取りまとめる。
養育費不払い解消に向けた調査研究委託
現 状
対 策
養育費の取決めを促進・確保するための制度の見直しを幅広く検討中
養育費の取決めを促進・確保する
制度改正効果
問題点
子どもの健やかな成長や
未来への一助 4【要求額:263.4万円】
しろまるひとり親世帯に対する養育費の支払いの現状(厚労省:平成28年度全国ひとり親世帯等調査)
「現在も養育費を受けている」世帯は母子世帯で24.3%,父子世帯で3.2%にすぎず,ひとり親の4分の3以上が支払いを受けていない状況にある。
しろまるそもそも養育費の取決めがされていない事例が多い(厚労省:同調査)
母子世帯の42.9%,父子世帯の20.8%しか取決めをしておらず,特に協議離婚において取決め率が低い。
〇面会交流についても行われていない事例が多い(厚労省:同調査)
「現在も面会交流を行っている」世帯は母子世帯で29.8%,父子世帯で45.5%にとどまっている。
しろまる民間団体等による支援
父母間のみのやり取りで解決を図ることが容易でないこれらの問題について,養育費及び面会交流を支援する民間団体は複数存在しているが,いずれも有志の民間団体が
個々に自助努力による支援を実施している状況であり,団体間の連携や情報提供も必ずしも十分に行われていない状況にある。
法務省において,民間団体や関係機関等が一堂に会する機会を
設け,取組状況やノウハウの共有を図る。また,それらを関係者に
広く還元する。
養育費の支払や面会交流の実施を支援する団体等の情報共有
現 状
対 策
しろまる民間団体間の交流はほとんど無く,団体間の取組状況やノウハウの共有も満足に行われていない。
しろまる有志の民間団体の活動であるため,団体間の連携等について自発的な取組を期待するにも限界がある。
養育費の支払や面会交流の実
施率の向上効果
問題点
ひとり親家庭支援の一助 5【要求額:38.9万円】
諸外国における法制度及び運用実態に関する調査
対 策
所要の法整備の要否の
検討に必要な情報や資
料の収集等を行う。
離婚後の子の養育の在り方について,立案担当者が諸外国に直接赴き,学者,
裁判官,弁護士等からのヒアリングを中心に,法制度及び運用実態についての実
地調査を実施
離婚後の親権制度について,民法では,
単独親権制度が採用されている(民法第
819条第1項,第2項)。
また,父母が離婚をするときは,その協
議により,面会交流や養育費等を定め,
協議が調わないときは,家庭裁判所が
定めるとされる(民法第766条第1項,
第2項)が,これらを定めなくても離婚を
することはできる。
現 状
現行制度
問題点
子どもの最善の利益を図る観点から,我が国における離婚後の子の養育の在り方について幅広く検討することは必須
(指摘される問題点の例)
しろまる離婚後の親権制度の見直しについては,仮に現行制度を見直せば,父母の意見が一致しない場合は適時に適切な決定がされないのでは
ないか,離婚後もDV被害が継続・拡大するおそれがあるのではないか。
しろまる養育費や面会交流については,離婚時の取決め率が十分でない上,取決めがあっても任意に履行されないことがある,養育費の支払を求
める強制執行手続をとる場合には負担が少なくない。
しろまる面会交流は,親子のみでなく,第三者として適切な支援機関が関与しなければ実施が難しい事例もある。
児童の権利委員会による総括意見
平成31年2月に採択された児童
の権利委員会による総括所見に
おいて,我が国に対して必要な措
置を講じることを求める勧告がされ
た。
平成23年に成立した改正民法の附帯決議
親権制度については,今日の家族を取り巻く状況や改正法施行
後の状況等を踏まえ,離婚後の共同親権・共同監護の可能性な
ど,多様な家族像を見据えた制度全般にわたる検討を進めていく
こと。
面会交流及び養育費について,児童の権利利益を擁護する観
点から,面会交流の円滑な実現及び継続的な養育費支払い等の
履行を確保するための制度の検討等,必要な措置を講ずること。

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