委員等発言補助資料(後藤委員)

1法務・検察行政刷新会議での論点について
後藤昭 2020 年8月 27 日第3回会議に提出
この会議で議論すべき点に関する第2回会議での議論をうけて、私の意見の
要旨は以下のとおりです。
1.過去の個別事例を取り上げるべきではないという意見について
過去の個別事例での処分や措置が妥当であったかどうかを議論するのは、こ
の会議の役目ではない。しかし、制度的、構造的な問題は、個別事例の中に現
れる。そのような具体例を抜きにして、制度の適否を考えることはできない。
重要な個別事例には着目するべきである。
2.捜査機関からのリークはないという指摘について
報道を見ていれば、メディアが公式の記者発表以外から情報を得ていること
は明らかである。それをリークと呼ぶかどうかは、本質的な問題ではない。事実
に即した議論をするべきである。
3.刑事手続のあり方について取り上げるべきではないという意見について
日本の刑事手続に対する国際的な批判が誤解に基づくものであれば、誤解を
解く努力をすればよい。しかし、例えば、取調べに弁護人の立ち会いを許さない
というのは、事実である。極東諸国で、この立ち会いを許さないのは、中国と北
朝鮮と日本である。
それが日本に相応しい刑事手続のあり方なのか、
議論が必要
である。
この会議は、
法制審議会のような専門家の集まりではないので、
立法の要綱ま
で作ることはできない。しかし、運用の改善を提案することや、法改正の大きな
方向を示唆することはできる。
『検察の在り方検討会議』でも、取調べの録音・
録画についてそのような提言をして、それが後の運用と立法に活かされた。
とりわけ取調べに弁護人の立ち会いを認めるべきかどうかは、特別な専門知
識がなくても議論できる問題である。この問題については、
『検察の在り方検討
会議』でもその後の法制審議会特別部会でも両論が対立して先送りにされてき
た。専門家同士での議論では、その繰り返しになって、先に進まない。この問題
は、2016 年の改正法附則が求める3年後見直しの論点にも入っていない。この
会議で、刑事法の専門でない方々が、取調べを受けた経験者、現役の検察官、弁
護人などの経験と意見を聴いて、市民の視点から見識を示すことに重要な意味
がある。それによって、このような会議の構成の特色が活きる。元捜査官の委員
は、現役の捜査官よりも自由に議論できるであろう。

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