令和2年度「子どもの人権SOSミニレター」事業の実施内容
全国の法務局・地方法務局及び都道府県人権擁護委員連合会では,平成18年度か
ら,料金受取人払の便箋兼封筒「子どもの人権SOSミニレター」(小学生用及び中
学生用の2種類)を全国の小・中学校の児童・生徒に配布することにより,身近な人
にも相談できない子どもたちの悩みごとを的確に把握し,学校及び関係機関と連携を
図りながら,子どもをめぐる様々な人権問題の解決に当たっています。
1 対象者
全国の小学校及び中学校(中等教育学校(前期課程)及び特別支援学校(小学部及
び中学部)を含む。)の児童・生徒全員
2 実施時期
令和2年6月15日(月)から9月下旬にかけて全国の小中学校に「子どもの人権
SOSミニレター」を配布
3 実施機関 法務局・地方法務局及び都道府県人権擁護委員連合会
4 対応する相談員 法務局職員及び人権擁護委員
5 想定される相談内容
(例)・学校で「いじめ」を受けている。
・学校で「体罰」を受けている。
・家庭で「暴行・虐待」を受けている。
など。
(注記) 事案によっては,学校・児童相談所などの関係機関と連携しながら被害者の速や
かな保護に努めるとともに,人権侵害の疑いのある相談については,人権侵犯事
件として調査を開始する場合もあります。(過去の救済事例は別添1のとおり)
(参考)
(1) 相談件数の推移・内訳(別添2のとおり)
(2) 児童・生徒(その保護者)からのお礼の声(別添3のとおり)
(3) 子どもの人権問題に関する「子どもの人権SOSミニレター」以外の相談窓口
子どもの人権110番(全国共通フリーダイヤル)
くろまる
0120-007-110(ぜろぜろななのひゃくとおばん)
子どもの人権SOS-eメール(24時間受付)
くろまる
(パソコン,携帯電話,スマートフォン共通)https://www.jinken.go.jp/kodomo
「子どもの人権SOSミニレター」を端緒に救済措置を講じた主な事例
2.母親による子に対する虐待
1.小学校におけるいじめに対する不適切な対応
別添1
だいやまーく小学生から,同級生からいじめを受けているとして,「子どもの人権
SOSミニレター」が送付された事案である。
法務局の調査において,学校は加害児童の行為を把握し,担任が指
導するなどの対応を行っていたが,それがいじめであるとの認識がな
いことが分かった。
そこで,法務局は,学校にいじめとして対応することを要請したところ,
学校はこれを了承し,いじめとして加害児童を指導するとともに被害者
に対する見守り体制の充実を図った。
その後,人権擁護委員が被害者に学校の状況を確認するミニレター
を同封して送ったところ,クラスは楽しい旨のミニレターが返送され,被
害者が安心して学校に通っていることが確認できた。(措置:「調整」)
だいやまーく小学生から,母親から食事を満足に与えられない,長時間ベランダ
に締め出されるなどの虐待を受けているとして,「子どもの人権SOSミ
ニレター」が送付された事案である。
緊急性が高い事案であると判断した法務局は,直ちに小学校と児童
相談所に連絡を取り,被害者の状況を聴取するとともに,情報提供を
行い,必要な対応を要請した。その後,児童相談所は被害者を一時保
護するに至った。
後日,一時保護された被害者の状況を児童相談所に確認したところ
,健康状態は良好であり,法務局からの被害者に対するミニレターの
返信について「励まされた気がする。」と述べている旨を確認すること
ができた。(措置:「援助」)
4.中学校教諭による体罰
3.父親による子に対する性的虐待
だいやまーく中学生から,父親から性的虐待を受けているとして,「子どもの人権
SOSミニレター」が送付された事案である。
緊急性が高い事案であると判断した法務局は,直ちに中学校及び児
童相談所に連絡し,その後の方針について協議するとともに,学校に
おいて,児童相談所担当者とともに被害者との面談を行うこととした。
法務局がミニレターを受領した2日後,被害者は児童相談所に一時保
護されるに至った。
その後,被害者の両親が離婚し,被害者は母親と共に転居して生活
していることや,学校,犯罪被害者支援センターなどの関係機関から
適切な支援を受ける体制が構築されていることが確認された。(措置:
「援助」)
だいやまーく中学校教諭が体罰を行っている旨の「子どもの人権SOSミニレ
ター」が複数の生徒から法務局に送付された事案である。
法務局が調査した結果,当該教諭が,複数回にわたり,忘れ物
をするなどした生徒に対し,授業中に椅子の上で一定の時間,正
座をさせた事実が認められた。
そこで,法務局は,教諭に対して,当該行為は教育上の指導の
限度を超える体罰に該当するものであり,その不当性を認識し,今
後,二度と体罰を行わないよう説示するとともに,校長に対して,
職員に対する指導をより一層徹底するよう要請した。(措置:「説
示」「要請」)
別添2
1.児童・生徒からのSOSミニレターの受領通数(単位:通)
平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 令和元年度
受領通数 16,823 14,092 12,975 12,016 13,685
2. SOSミニレターを端緒とする人権相談の受理件数(単位:件) (注記)
平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 令和元年度
受理件数 19,107 16,845 16,005 14,410 15,594
3.相談内容内訳(単位:件)(注記)
平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 令和元年度
体罰 109 84 82 46 61
虐待 591 582 522 541 566
いじめ 6,762 6,200 5,859 5,204 5,546
その他 11,645 9,979 9,542 8,619 9,421
「子どもの人権SOSミニレター」統計資料(平成27年度〜令和元年度)
(注記)注 1通のミニレターに複数の相談内容が含まれている場合,それぞれを人権相談として受理している。05,000
10,000
15,000
20,000
平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 令和元年度通数
児童・生徒からのSOSミニレターの受領通数05,000
10,000
15,000
20,000
25,000
平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 令和元年度件数
受理件数
体罰
虐待
いじめ
平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 令和元年度700主な相談内容内訳60050040030020010008,000
7,000
6,000
5,000
3.000
4.000
別添2
1.学年別相談受理件数(単位:件)
小学1年生 小学2年生 小学3年生 小学4年生 小学5年生 小学6年生 中学1年生 中学2年生 中学3年生 不明 合計
件数 1,449 1,817 2,459 2,547 2,296 1,946 885 963 804 428 15,594
2.学年別相談内容内訳(単位:件)
小学1年生 小学2年生 小学3年生 小学4年生 小学5年生 小学6年生 中学1年生 中学2年生 中学3年生 不明 合計
体罰 5 6 3 11 8 17 1 4 5 1 61
虐待 33 36 75 91 102 97 34 43 48 7 566
いじめ 536 811 1,059 1,045 819 611 236 202 113 114 5,546
その他 875 964 1,322 1,400 1,367 1,221 614 714 638 306 9,421
「子どもの人権SOSミニレター」統計資料(令和元年度)
1,449
1,817
2,459 2,547
2,296
1,946
885 96380405001,000
1,500
2,000
2,500
3,000
小学1年生 小学2年生 小学3年生 小学4年生 小学5年生 小学6年生 中学1年生 中学2年生 中学3年生
学年別相談受理件数536811
1,059 1,045819611
236 2021130200400600800
1,000
1,200
小学1年生 小学2年生 小学3年生 小学4年生 小学5年生 小学6年生 中学1年生 中学2年生 中学3年生
いじめに関する相談の学年別内訳5631181714 5051015202530小学1年生 小学2年生 小学3年生 小学4年生 小学5年生 小学6年生 中学1年生 中学2年生 中学3年生
体罰に関する相談の学年別内訳33367591
102 973443 48020406080100120小学1年生 小学2年生 小学3年生 小学4年生 小学5年生 小学6年生 中学1年生 中学2年生 中学3年生
虐待に関する相談の学年別内訳
別添3
児童・生徒からのお礼の声
しろまるしろまるさんに報告です。アドバイスをいただいて,服を汚されていることを先生に話しました
ら,かいぎになって,その子からあやまってくれました。こんな子どものいじめのことで,そ
うだんにのってくれてありがとうございました
3 同級生から意地悪をされていることに悩んでいた女子児童
から
小学3年生(当時)の女子児童から,前の席の子から意地悪をされて嫌な思いをしている,どうしたらいいかとのミ
ニレターによる相談が寄せられた事例
お手紙ありがとうございます。とても,うれしかったです。しろまるしろまるさんからの手紙,とてもう
れしく思います。心強いです。元気が出ました。本当にありがとうございます。
中学1年生(当時)の女子生徒から,小学生の頃から続くいじめや,母親との不和などから,自分の居場所がない
といった内容が書かれたミニレターが送付された事例
1 いじめや母親との不和に悩んでいた女子生徒から
送付されたミニレターに対しては,法務局職員や人権擁護委員が必ず返事をしています。
ここでは,送付した返事や法務局の対応に対して相談者から寄せられたお礼の声を紹介
します。
今では,すっかり解決し楽しい学校生活を送ることができています。「SOSミニレター」で
法務局の方に手紙を出したことは間違っていなかったと思います。私は,最初あのお手
紙を読んだ時には,涙がにじんでくるほどとってもうれしかったです。本当にありがとうご
ざいました。
中学1年生(当時)の女子生徒から,学校で変なあだ名をつけられたり,陰口をたたかれたりしていて,学校に行き
たくないといった内容のミニレターが送付された事例
2 いじめで悩んでいた女子生徒から

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