交野女子学院
交野女子学院は,近畿地方及び中部地方の各家庭裁判
所において,少年院送致の決定を受けた14歳以上20歳未
満の女子を収容する施設です。
当院は昭和23年に交野市倉治に開設され,昭和27年に
現在の交野市郡津に移転し,現在の建物は,昭和56年に
改築されたものです。
施設外観写真
施設の教育方針及び特色について
交野女子学院には12の矯正教育課程の在院者を対象にしていますが,各矯正教育課程の特
色を持たせた少年院矯正教育課程を策定しています。
教育方針には,基本的な対人関係スキルや自己表現の方法を学び,円滑に社会適応できる
力を身に付けること,非行に関わる自己の問題性を理解し,堅実な生活態度を身に付けること,
継続して課題に取り組む姿勢をかん養し,就労,修学等の進路に応じた必要な知識や技能を習
得することなどを掲げ,それらを実現できるよう矯正教育の実施方法を工夫しています。
特定生活指導(薬物非行防止指導)
治療的指導(マインドフルネス)
当院の特定生活指導は5つあります。その
一つである薬物非行防止指導では,認知行
動療法をベースにした全12回のグループ
ワーク(J.MARPP)の他,民間の依存回復
支援施設のスタッフによる薬物ミーティング
を組み合わせた指導を行っています。在院
者にとって,薬物ミーティングは,自分の内
面や考えを安心して話せる場であり,薬物
依存からの回復の希望を抱くことのできる場
となっています。
当該在院者の保護者に対しても保護者講
習会を行い,薬物依存メカニズム,薬物依
存からの回復,子どもに対する関わり方等
を学んでいただく機会を設けています。
心情の安定を図るための治療的指導として,
全在院者を対象にしたマインドフルネスに取
り組んでいます。毎朝,各寮で瞑想を実施す
る他,マインドフルネスの理解を促すための
指導を月2回実施しています。
また,薬物非行防止指導の周辺プログラム
として位置付けています。
在院者は物事に集中できるようになった,
ぐっすり眠れるようになった,落ち着いた心情
が続くようになった等,述べています。
平成30年度から高等学校卒業程度認定試
験の重点指導施設に指定されたため,「高認
コース」を開講し,外部講師を招へいする等,
同試験の受験指導体制の充実を図っています。
高認コース開講後,科目合格率は,飛躍的
に向上しています。
職業指導(介護福祉科)
体育指導
当院では,職業指導として,職業生活設計
指導科,手芸科,農園芸科,情報処理科,
サービス科及び介護福祉科を実施していま
す。
介護職は在院者に人気のある職業で,在
社会時に介護職に従事していた者や,出院
後の就労先に介護職を希望する者も少なく
ありません。介護福祉科は,年1回の開講で,
令和元年度から,他の少年院からも受講生
を募集し,集合研修として実施しています。
体育指導では,教官も在院者と共に体を動か
し,在院者の体力強化,運動能力向上に力を入
れています。
各体育指導の最終日には,バレーボール大会,
水泳大会,持久走記録会,駅伝大会を開催してい
ます。チーム対抗では,各寮が団結して試合に取
り組み,また,記録会では各在院者の取り組みの
成果が表れています。
修学支援(高認コース)
傷つき体験を抱え,繊細で,集団処遇よりも,
個別的な関りが有効に働くと思われる在院者
に対してはきめ細やかな個別処遇を行ってお
ります。
個別的な関わりが有効な在院者に対しては,
それぞれに応じた課題を設定しています。地
道に取り組む姿勢,完成することで達成感を
持たせるため,作品の制作を課題として設定
することもあります。
左の写真は,課題として制作した作品を集
めて,ある在院者の個展を開催した時のもの
です。在院者が職員一人ひとりに招待状を作
成し,訪れた職員から「すごいね。」と,ほめて
もらえたことで,在院者の自信や自己肯定感
をはぐくむことにも効果がありました。
一人ひとりを大切にする処遇

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