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1法科大学院集中改革期間の成果の検証
令 和 元 年 6 月 2 7 日
文部科学省高等教育局専門教育課
1.法科大学院改革に関する基本的な考え方とそれに関する状況
【推進会議決定の記述】
1 平成 27 年度から平成 30 年度までの期間を法科大学院集中改革期間と位置付け、法
科大学院の抜本的な組織見直し及び教育の質の向上を図ることにより、各法科大学院
において修了者のうち相当程度((注記))が司法試験に合格できるよう充実した教育が行
われることを目指す。
(注記) 地域配置や夜間開講による教育実績等に留意しつつ、各年度の修了者に係る司法
試験の累積合格率が概ね7割以上。
2 法科大学院生に対する経済的支援の更なる充実や優秀な学生を対象とした在学期間の
短縮により、法科大学院課程修了までに要する経済的・時間的負担の縮減を図る。
<客観的状況>
しろまる累積合格率
(全体)
平成 26 年度(平成 21 年度法科大学院修了者)50.1%、うち募集継続校 58.9%
平成 30 年度(平成 25 年度法科大学院修了者)59.8%、うち募集継続校 65.7%
(法学既修者コース)
平成 26 年度(平成 21 年度法科大学院修了者)69.2%、うち募集継続校 69.8%
平成 30 年度(平成 25 年度法科大学院修了者)74.1%、うち募集継続校 76.5%
(法学未修者コース)
平成 26 年度(平成 21 年度法科大学院修了者)36.3%、うち募集継続校 46.6%
平成 30 年度(平成 25 年度法科大学院修了者)41.0%、うち募集継続校 46.9%
しろまる法科大学院課程修了までに要する経済的・時間的負担
早期卒業・飛び入学による法科大学院既修者コースへの入学者数
平成 26 年度 17 人
平成 31 年度 87 人
【検証】
募集継続校の平成 25 年度法科大学院修了者の司法試験の累積合格率は 65.7%であり、
累積合格率概ね7割以上の目標に近づいているが、法学既修者コースに限ると 76.5%であ
る一方で、法学未修者コースに限ると 46.9%に留まっている。
また、法科大学院志願者数及び入学者数は、集中改革期間中も減少し続けてきたが、
平成 31 年度は前年度よりそれぞれ 1,059 人、241 人ずつ増加し、平成 28 年度の水準を上
回っている。
法科大学院課程修了までに要する経済的・時間的負担の軽減に資する早期卒業・飛び
入学による平成 31 年度の法科大学院既修者コースへの入学数は 87 人と平成 26 年度の約
5倍になっているが、令和元年6月に成立(平成 31 年3月国会提出)した法科大学院関
連法の改正により、早期卒業を前提として法学部3年と法科大学院2年のルート(3プ
ラス2)の制度化と司法試験の在学中受験の導入によって学部入学から最短6年間で法
曹資格が取得することが可能となり、より多くの希望する学生が対象となるように、制
度の詳細を検討することとしている。
資料3-5 22.具体的な方策に対する対応状況
(1)法科大学院の組織見直し
【推進会議決定の記述】
1 平成 27 年度から、文部科学省及び法務省が実施している公的支援の見直し強化策及
び教員派遣見直し方策は、法科大学院の組織見直しの進捗状況を踏まえつつ、平成 28
年度以降においても継続的に実施する。
<集中改革期間中の取組>
(平成 27 年度)
しろまる 推進会議決定で示された今後の司法試験合格者数や法科大学院の累積合格率等を
もとに法科大学院全体の定員規模を当面 2,500 人程度とすることを中央教育審議会
法科大学院特別委員会で決定した。
しろまる 「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」
(以下「加算プログラム」と
いう。
)については、基礎額設定の指標として、平成 29 年度予算より、入学者選抜
の競争倍率に係る指標を追加するとともに、司法試験合格率に係る指標を充実する
ことを決定した。
(平成 28 年度)
しろまる 「加算プログラム」については、基礎額設定の指標として、平成 30 年度予算よ
り、入学定員充足率を削除することを決定した。
(平成 29 年度)
しろまる 加算に係る提案について、これまでのように一つずつ取組を評価するのではな
く、体系的・系統的な取組を促すため、平成 31 年度予算より、5年間の中期的な改
革・取組を、検証可能な目標とともにパッケージとして提案させ、進捗状況を毎年
確認・評価することにより加算率を算出することを決定した。
【推進会議決定の記述】
2 文部科学省は、司法試験合格率(目安として平均の 50%未満)
、定員充足率(目安と
して 50%未満)
、入試競争倍率(目安として2倍未満)などの客観的指標を活用して認
証評価の厳格化等を図るべく、平成 27 年3月 31 日改正に係る「学校教育法第百十条
第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令」に基づき、認証
評価機関における平成 27 年度中の評価基準改正及び平成 28 年度からの認証評価にお
ける積極的な運用を促進する。
文部科学省は、認証評価結果又はその他の事情から客観的指標に照らして課題があ
るものと認められる法科大学院に対し、教育の実施状況等を速やかに調査することと
し、その結果、法令違反に該当する状況が認められる場合は、直ちに是正を求め、そ
れでもなお改善が図られないときは、学校教育法第 15 条に基づき、当該法科大学院に
対し、改善勧告、変更命令、組織閉鎖命令の各措置を段階的に実施するものとする。
また、文部科学省は、前記調査の実効性を確保するため、客観的指標の水準を下回る
法科大学院に対して教育状況の報告又は資料の提出を適時に求めることができる体制
及び手続を平成 27 年度中に検討し、速やかに整備する。 33 文部科学省は、前記取組の状況を適時精査・検討し、その結果、司法試験の合格状
況の低迷が著しいなど課題が深刻な状況について何ら改善が見られないにもかかわら
ず、しかるべき措置が講じられないなど、前記取組の十分な効果を認めることができ
ない場合には、例えば、課題が深刻な法科大学院について客観的指標も活用しつつ適
切な措置が講じられるよう、司法試験の合格状況などの教育活動の成果と関連性の高
い基準について、専門職大学院設置基準の見直しないし解釈の明確化を平成 30 年度ま
での間に検討し、速やかに措置を講じる。
<集中改革期間中の取組>
(平成 27 年度)
しろまる 法科大学院の認証評価を行っている3機関において、求められている客観的指標
を評価基準として追加する改正が行われた。
しろまる 客観的指標に照らして課題があると認められる法科大学院に対して、教育の実施
状況等を文部科学省が、中央教育審議会法科大学院特別委員会の協力の下に調査す
るための体制と手続きを定めた。
(平成 28 年度)
しろまる 新しい基準で2校の法科大学院が認証評価を受審した。適合2校。
しろまる 文部科学省は、教育状況調査(書面調査を 28 校、ヒアリング調査を 14 校、実施
調査を4校)を行い、結果を取りまとめ公表した。
(平成 29 年度)
しろまる 新しい基準で 13 校の法科大学院が認証評価を受審した。適合 10 校、不適合3
校。
しろまる 文部科学省は、教育状況調査(書面調査を 13 校、ヒアリング調査を6校、実施調
査を1校)を行い、結果を取りまとめ公表した。
(平成 30 年度)
しろまる 国会に提出した法科大学院関連法改正案において、
(ア)法科大学院において、法
曹となろうとする者に共通して必要とされる学識及びその応用能力等を段階的・体
系的に涵養すべきこと、
(イ)法科大学院に、教育課程や成績評価・修了認定の基準
等の公表を義務付けること等を規定した。
【推進会議決定の記述】
4 前記の各措置の実施に当たっては、法曹を志す者の誰もが法科大学院で学ぶことが
できるよう、法科大学院の所在する地域の状況や夜間開講状況、ICT(情報通信技術)
を活用した授業の実施状況などの事情を適切に考慮するものとする。
<集中改革期間中の取組>
平成 27 年度以降、
「加算プログラム」の実施に当たっては、基礎額の指標として、夜
間開講や地域配置の状況を活用した。
【検証】
上記の取組を進めた結果、各法科大学院における組織見直しが進み、定員規模につい
ては平成 31 年度に 2,253 人となり、さらに、法科大学院関連法の改正に基づく政省令等
の整備により、法科大学院の教育の充実とともに、法科大学院の定員管理による予測可
能性の高い法曹養成制度の実現を図ることとしている。 4(2)教育の質の向上
【推進会議決定の記述】
1 平成 27 年度以降、文部科学省は、以下の取組を加速する。
・ 法科大学院を修了した実務家教員等を積極的に活用した指導の充実を促進する。
・ 法学未修者に対する法律基本科目の単位数増加など教育課程の抜本的見直し及び
学習支援などを促進する。
・ その他、我が国におけるあるべき法曹像を踏まえ、海外展開や国、地方自治体、
企業などの組織内法務、福祉分野等への対応をはじめ、社会のニーズに応えて様々
な分野で活躍できる法曹の養成に有意義と認められる先導的な取組を支援する。
<集中改革期間中の取組>
しろまる 第一線で活躍する実務家に専門職大学院教育への参画を促すため、平成 29 年度の
告示改正により、みなし専任教員の授業科目の担当単位数を6単位から4単位とし
た。
しろまる 平成 26 年度に法令の運用の見直しにより、各法科大学院の判断で法学未修者に対
する法律基本科目の指導の充実を行うことを可能としたことを踏まえ、
「加算プログ
ラム」により、優れた法学未修者教育と評価されたところに重点的に支援するとと
もに、平成 30 年度には委託調査研究を行い、優れた実例やその手法を分析した。
しろまる 「加算プログラム」により、国際化対応、地域貢献・新たな職域への就職支援な
ど先導的な取組を重点的に支援した。
【推進会議決定の記述】
2 文部科学省は、法科大学院が共通して客観的かつ厳格に進級判定等を行う仕組であ
る共通到達度確認試験(仮称)
(以下「確認試験」という。
)について、平成 30 年度を
目途に本格実施に移すべく、法科大学院関係者を中核としつつ、法曹三者の理解と協
力を得ながら、試行を毎年度行い、その結果を踏まえ、出題内容や難易度等の改善を
その都度図るとともに、その試行対象者を法学未修者から法学既修者に順次拡大する
こととする。
また、文部科学省は、将来的に確認試験の結果に応じて司法試験短答式試験を免除
することを想定し、前記試行と並行して、法務省の協力も得ながら確認試験の試行デ
ータと受験者の司法試験短答式試験合格状況との相関関係を検証・分析し、その結果
を踏まえ、出題内容や難易度等の改善をその都度図ることとする。
その状況に応じて、文部科学省及び法務省は、確認試験実施の安定性及び確認試験
結果の客観的・社会的信頼性等を踏まえ、確認試験がその結果を国家試験たる司法試
験短答式試験の免除と関連させるに足りる実態を有すると認められることを前提に、
確認試験の目的、司法試験短答式試験免除に必要とされる合格水準、確認試験の実施
主体、実施体制等、必要な制度設計を具体的に検討する。
3 文部科学省は、確認試験の定着状況に応じて、当該確認試験と法科大学院統一適性
試験や法学既修者認定試験の在り方について検討する。 5<集中改革期間中の取組>
しろまる 共通到達度確認試験の試行については、平成 26 年度から開始し、出題内容や難易
度、科目について改善を図りながら、対象者を法学未修者から法学既修者に拡大し
て、平成 30 年度まで5回実施した。中央教育審議会法科大学院等特別委員会におい
ては、平成 30 年度に、今年度を最後の試行として、翌年度から、法科大学院協会と
日弁連法務研究財団が実施主体となり、本格実施することが決定された。
しろまる 中央教育審議会法科大学院特別委員会においては、検討の結果、平成 28 年度に適
性試験の平成 30 年度からの任意化を提言し、入学者選抜のガイドラインを作成し
た。また、平成 29 年度に本特別委員会がまとめた「法科大学院等の抜本的な教育の
改善・充実に向けた基本的な方向性」においては、各法科大学院の判断により、入
学者選抜(法学既修者認定)に当たり、共通到達度確認試験の活用も期待されると
している。
【検証】
「加算プログラム」により、国際化対応、地域貢献・新たな職域への就職支援等の先
導的な取組を重点的に支援した結果、各法科大学院の特色を活かして多様な教育が行わ
れた。
法学未修者教育については、
「加算プログラム」により、優れた取組について支援する
ともに、委託研究により、優れた実例や手法を分析した。さらに、共通到達度確認試験
については試行結果を踏まえた検討の結果、法学未修者1年次に限定して、平成 31 年度
より本格実施することを決定するなど、法学未修者教育の質の向上に向けた取組が行わ
れた。
法学未修者の教育課程や学習支援の在り方については、委託研究や法科大学院関連法
を踏まえ、中央教育審議会法科大学院等特別委員会において引き続き審議いただきなが
ら、検討することとしている。 6(3)経済的・時間的負担の軽減
【推進会議決定の記述】
1 文部科学省は、経済的負担の軽減に向けて、意欲と能力のある学生が経済状況にか
かわらず進学等の機会を得られるよう、平成 28 年1月からの社会保障・税番号制度
(マイナンバー制度)の導入を前提に、平成 29 年度以降の大学等進学者を対象に、返
還月額が卒業後の所得に連動する、より柔軟な所得連動返還型奨学金制度の導入に向
けた対応を加速するとともに、総務省と連携して地方公共団体と地元産業界が協力し
て地元に就職する学生の奨学金返還支援のための基金の造成に対する支援及び優先枠
(地方創生枠)を設けて無利子奨学金の貸与を行うなど奨学金制度や、授業料減免制
度など、給付型支援を含めた経済的支援の充実を推進する。
<集中改革期間中の取組>
しろまる 平成 29 年度より所得連動返還型奨学金制度を導入し、制度の着実な実施のための
取組を行った。また、平成 27 年4月より奨学金返還支援のための基金の造成に対す
る支援及び優先枠(地方創生枠)を設けて無利子奨学金の貸与を実施していること
に加え、平成 29 年度に給付型奨学金制度を創設・先行実施し、平成 30 年度から本
格的に実施している。さらに、平成 31 年2月に授業料等減免と給付型奨学金支給を
合わせて措置するための大学等における修学の支援に関する法律案を国会に提出し
た。
しろまる 法科大学院生については、在籍者 4,755 人のうち 1,620 人(34.1%)が授業料減
免等の給付型の支援を受けている。
(平成 29 年度実績)
【推進会議決定の記述】
2 文部科学省は、質の確保を前提として、学校教育法上定められた大学院への早期卒
業・飛び入学制度を活用して優秀な学生が学部段階で3年間在籍した後に法科大学院
の2年の既修者コースに進学できる仕組みの確立及び充実を推進する。
<集中改革期間中の取組>
しろまる 平成 30 年度に国会に提出した法科大学院関連法改正案において、早期卒業を前提
とした法学部3年と法科大学院2年のルート(3プラス2)の制度化と司法試験の
在学中受験資格の導入などを盛り込んだ。
【推進会議決定の記述】
3 文部科学省は、地理的・時間的制約がある地方在住者や社会人等に対する ICT(情報
通信技術)を活用した法科大学院教育の実施について、平成 28 年度までの間に実証的
な調査研究を行い、その結果を踏まえ、平成 30 年度を目途に、法科大学院における本
格的な普及を促進する。
<集中改革期間中の取組>
しろまる ICT を活用した法科大学院教育に関して、平成 27 年度に委託調査研究を行い、平
成 28 年度には普及の促進を図るため、有識者会議において活用に当たっての留意点
等を取りまとめた。
しろまる 「加算プログラム」により、ICT を活用した先導的な法科大学院教育の取組を重点
的に支援した。
【検証】
大学等における修学の支援に関する法律の成立により、授業料等減免と給付型奨学金
の支給を合わせて措置する制度を創設するとともに、法科大学院関連法の改正により、
早期卒業を前提とした法学部3年と法科大学院2年のルート(3プラス2)の制度化と
司法試験の在学中受験資格の導入によって、学部入学から最短6年間で法曹資格を取得
することを可能として時間的・経済的負担を軽減した。 7(参考)
法曹養成制度改革の更なる推進について(抜粋)
平 成 2 7 年 6 月 3 0 日
法曹養成制度改革推進会議決定
第3 法科大学院
1 法科大学院改革に関する基本的な考え方
しろまる 平成 27 年度から平成 30 年度までの期間を法科大学院集中改革期間と位置付け、
法科大学院の抜本的な組織見直し及び教育の質の向上を図ることにより、各法科大
学院において修了者のうち相当程度((注記))が司法試験に合格できるよう充実した教
育が行われることを目指す。
(注記) 地域配置や夜間開講による教育実績等に留意しつつ、各年度の修了者に係る司
法試験の累積合格率が概ね7割以上。
しろまる 法科大学院生に対する経済的支援の更なる充実や優秀な学生を対象とした在学期
間の短縮により、法科大学院課程修了までに要する経済的・時間的負担の縮減を図
る。
2 具体的方策
(1) 法科大学院の組織見直し
しろまる 平成 27 年度から、文部科学省及び法務省が実施している公的支援の見直し強化
策及び教員派遣見直し方策は、法科大学院の組織見直しの進捗状況を踏まえつ
つ、平成 28 年度以降においても継続的に実施する。また、最高裁判所においても
教員派遣見直し方策の実施が継続されることが期待される。
しろまる 文部科学省は、司法試験合格率(目安として平均の 50%未満)
、定員充足率
(目安として 50%未満)
、入試競争倍率(目安として2倍未満)などの客観的指標
を活用して認証評価の厳格化等を図るべく、平成 27 年3月 31 日改正に係る「学校
教育法第百十条第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省
令」に基づき、認証評価機関における平成 27 年度中の評価基準改正及び平成 28 年
度からの認証評価における積極的な運用を促進する。
文部科学省は、認証評価結果又はその他の事情から客観的指標に照らして課題
があるものと認められる法科大学院に対し、教育の実施状況等を速やかに調査する
こととし、その結果、法令違反に該当する状況が認められる場合は、直ちに是正を
求め、それでもなお改善が図られないときは、学校教育法第 15 条に基づき、当該
法科大学院に対し、改善勧告、変更命令、組織閉鎖命令の各措置を段階的に実施す
るものとする。また、文部科学省は、前記調査の実効性を確保するため、客観的指
標の水準を下回る法科大学院に対して教育状況の報告又は資料の提出を適時に求め
ることができる体制及び手続を平成 27 年度中に検討し、速やかに整備する。 8しろまる 文部科学省は、前記取組の状況を適時精査・検討し、その結果、司法試験の合格
状況の低迷が著しいなど課題が深刻な状況について何ら改善が見られないにもかか
わらず、しかるべき措置が講じられないなど、前記取組の十分な効果を認めること
ができない場合には、例えば、課題が深刻な法科大学院について客観的指標も活用
しつつ適切な措置が講じられるよう、司法試験の合格状況などの教育活動の成果と
関連性の高い基準について、専門職大学院設置基準の見直しないし解釈の明確化を
平成 30 年度までの間に検討し、速やかに措置を講じる。
しろまる 前記の各措置の実施に当たっては、法曹を志す者の誰もが法科大学院で学ぶこと
ができるよう、法科大学院の所在する地域の状況や夜間開講状況、ICT(情報通信
技術)を活用した授業の実施状況などの事情を適切に考慮するものとする。
(2) 教育の質の向上
しろまる 平成 27 年度以降、文部科学省は、以下の取組を加速する。
・ 法科大学院を修了した実務家教員等を積極的に活用した指導の充実を促進す
る。
・ 法学未修者に対する法律基本科目の単位数増加など教育課程の抜本的見直し及
び学習支援などを促進する。
・ その他、我が国におけるあるべき法曹像を踏まえ、海外展開や国、地方自治
体、企業などの組織内法務、福祉分野等への対応をはじめ、社会のニーズに応え
て様々な分野で活躍できる法曹の養成に有意義と認められる先導的な取組を支援
する。
しろまる 文部科学省は、法科大学院が共通して客観的かつ厳格に進級判定等を行う仕組
である共通到達度確認試験(仮称)
(以下「確認試験」という。
)について、平成
30 年度を目途に本格実施に移すべく、法科大学院関係者を中核としつつ、法曹三
者の理解と協力を得ながら、試行を毎年度行い、その結果を踏まえ、出題内容や
難易度等の改善をその都度図るとともに、その試行対象者を法学未修者から法学
既修者に順次拡大することとする。
また、文部科学省は、将来的に確認試験の結果に応じて司法試験短答式試験を
免除することを想定し、前記試行と並行して、法務省の協力も得ながら確認試験
の試行データと受験者の司法試験短答式試験合格状況との相関関係を検証・分析
し、その結果を踏まえ、出題内容や難易度等の改善をその都度図ることとする。
その状況に応じて、文部科学省及び法務省は、確認試験実施の安定性及び確認
試験結果の客観的・社会的信頼性等を踏まえ、確認試験がその結果を国家試験た
る司法試験短答式試験の免除と関連させるに足りる実態を有すると認められるこ
とを前提に、確認試験の目的、司法試験短答式試験免除に必要とされる合格水
準、確認試験の実施主体、実施体制等、必要な制度設計を具体的に検討する。
しろまる 文部科学省は、確認試験の定着状況に応じて、当該確認試験と法科大学院統一
適性試験や法学既修者認定試験の在り方について検討する。
(3) 経済的・時間的負担の軽減
しろまる 文部科学省は、経済的負担の軽減に向けて、意欲と能力のある学生が経済状況
にかかわらず進学等の機会を得られるよう、平成 28 年1月からの社会保障・税番 9号制度(マイナンバー制度)の導入を前提に、平成 29 年度以降の大学等進学者を
対象に、返還月額が卒業後の所得に連動する、より柔軟な所得連動返還型奨学金
制度の導入に向けた対応を加速するとともに、総務省と連携して地方公共団体と
地元産業界が協力して地元に就職する学生の奨学金返還支援のための基金の造成
に対する支援及び優先枠(地方創生枠)を設けて無利子奨学金の貸与を行うなど
奨学金制度や、授業料減免制度など、給付型支援を含めた経済的支援の充実を推
進する。
しろまる 文部科学省は、質の確保を前提として、学校教育法上定められた大学院への早
期卒業・飛び入学制度を活用して優秀な学生が学部段階で3年間在籍した後に法
科大学院の2年の既修者コースに進学できる仕組みの確立及び充実を推進する。
しろまる 文部科学省は、地理的・時間的制約がある地方在住者や社会人等に対する ICT
(情報通信技術)を活用した法科大学院教育の実施について、平成 28 年度までの
間に実証的な調査研究を行い、その結果を踏まえ、平成 30 年度を目途に、法科大
学院における本格的な普及を促進する。
3 法科大学院集中改革期間の成果の検証等
文部科学省は、前記2記載の平成 30 年度までの法科大学院集中改革期間の成果につい
ては、その期間経過後速やかに法科大学院生の司法試験の累積合格率その他教育活動の
成果に関する客観的状況を踏まえて分析・検討し、必要な改革を進める。

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