民法の一部を改正する法律案新旧対照条文

1民法の一部を改正する法律案新旧対照条文
(傍線部分は改正部分)
しろまる 民法(明治二十九年法律第八十九号)
改 正 案 現 行
目次
第一編 (略)
第二章 (略)
第二節 意思能力(第三条の二)
第三節 行為能力(第四条―第二十一条)
第四節 住所(第二十二条―第二十四条)
第五節 不在者の財産の管理及び失踪の宣告(第二十五条
―第三十二条)
第六節 同時死亡の推定(第三十二条の二)
第七章 (略)
第三節 消滅時効(第百六十六条―第百七十四条)
第三編 (略)
第一章 (略)
目次
第一編 (同上)
第二章 (同上)
(新設)
第二節 行為能力(第四条―第二十一条)
第三節 住所(第二十二条―第二十四条)
第四節 不在者の財産の管理及び失 踪
そ う
の宣告(第二十五
条―第三十二条)
第五節 同時死亡の推定(第三十二条の二)
第七章 (同上)
第三節 消滅時効(第百六十六条―第百七十四条の二)
第三編 (同上)
第一章 (同上) 2第二節 (略)
第一款 債務不履行の責任等(第四百十二条―第四百二
十二条の二)
第二款 債権者代位権(第四百二十三条―第四百二十三
条の七)
第三款 詐害行為取消権
第一目 詐害行為取消権の要件(第四百二十四条―第
四百二十四条の五)
第二目 詐害行為取消権の行使の方法等(第四百二十
四条の六―第四百二十四条の九)
第三目 詐害行為取消権の行使の効果(第四百二十五
条―第四百二十五条の四)
第四目 詐害行為取消権の期間の制限(第四百二十六条)第三節 (略)
第三款 連帯債権(第四百三十二条―第四百三十五条の二)第四款 連帯債務(第四百三十六条―第四百四十五条)
第五款 保証債務
第一目 総則(第四百四十六条―第四百六十五条)
第二目 個人根保証契約(第四百六十五条の二―第四
百六十五条の五)
第二節 (同上)
第一款 債務不履行の責任等(第四百十二条―第四百二
十二条)
第二款 債権者代位権及び詐害行為取消権(第四百二十
三条―第四百二十六条)
(新設)
第三節 (同上)
(新設)
第三款 連帯債務(第四百三十二条―第四百四十五条)
第四款 保証債務
第一目 総則(第四百四十六条―第四百六十五条)
第二目 貸金等根保証契約(第四百六十五条の二―第
四百六十五条の五) 3第三目 事業に係る債務についての保証契約の特則(
第四百六十五条の六―第四百六十五条の十)
第四節 債権の譲渡(第四百六十六条―第四百六十九条)
第五節 債務の引受け
第一款 併存的債務引受(第四百七十条・第四百七十一条)第二款 免責的債務引受(第四百七十二条―第四百七十
二条の四)
第六節 債権の消滅
第一款 (略)
第一目 総則(第四百七十三条―第四百九十三条)
第二款 相殺(第五百五条―第五百十二条の二)
第五款 混同(第五百二十条)
第七節 有価証券
第一款 指図証券(第五百二十条の二―第五百二十条の
十二)
第二款 記名式所持人払証券(第五百二十条の十三―第
五百二十条の十八)
第三款 その他の記名証券(第五百二十条の十九)
第四款 無記名証券(第五百二十条の二十)
第二章 (略)
(新設)
第四節 債権の譲渡(第四百六十六条―第四百七十三条)
(新設)
第五節 債権の消滅
第一款 (同上)
第一目 総則(第四百七十四条―第四百九十三条)
第二款 相殺(第五百五条―第五百十二条)
第五款 混同(第五百二十条)
(新設)
第二章 (同上) 4第一節 (略)
第三款 契約上の地位の移転(第五百三十九条の二)
第四款 契約の解除(第五百四十条―第五百四十八条)
第五款 定型約款(第五百四十八条の二―第五百四十八
条の四)
第七節 (略)
第三款 賃貸借の終了(第六百十六条の二―第六百二十
二条)
第四款 敷金(第六百二十二の二)
第五章 不法行為(第七百九条―第七百二十四条の二)
第一節 (同上)
(新設)
第三款 契約の解除(第五百四十条―第五百四十八条)
(新設)
第七節 (同上)
第三款 賃貸借の終了(第六百十七条―第六百二十二条)(新設)
第五章 不法行為(第七百九条―第七百二十四条)
第二節 意思能力 (新設)
第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を
有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
(新設)
第三節 行為能力 第二節 行為能力
(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の
同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定す
(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の
同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定す 5る行為については、この限りでない。
一〜九 (略)
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被
後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助
人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
2〜4 (略)
る行為については、この限りでない。
一〜九 (同上)
(新設)
2〜4 (同上)
(制限行為能力者の相手方の催告権)
第二十条 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行
為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)
となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その
期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを
確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、
その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認
したものとみなす。
2〜4 (略)
(制限行為能力者の相手方の催告権)
第二十条 制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人
及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ
。)の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力
の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者
に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消
すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告
をすることができる。この場合において、その者がその期間内
に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2〜4 (同上)
第四節 住所 第三節 住所
第五節 不在者の財産の管理及び失踪の宣告 第四節 不在者の財産の管理及び失 踪
そ う
の宣告 6第六節 同時死亡の推定 第五節 同時死亡の推定
(不動産及び動産)
第八十六条 (略)
2 (略)
(削る)
(不動産及び動産)
第八十六条 (同上)
2 (同上)
3 無記名債権は、動産とみなす。
(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効と
する。
(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法
律行為は、無効とする。
(心 裡り留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知っ
てしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを
知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効と
する。
(心 裡り留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知っ
てしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができた
ときは、その意思表示は、無効とする。
2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者
に対抗することができない。
(新設)
(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって
(錯誤)
第九十五条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは 7、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして
重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が
真実に反する錯誤
、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、
表意者は、自らその無効を主張することができない。
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法
律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、
することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次
に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しを
することができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失
によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失が
ない第三者に対抗することができない。
(詐欺又は強迫)
第九十六条 (略)
(詐欺又は強迫)
第九十六条 (同上)
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合
においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができた
ときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合
においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その
意思表示を取り消すことができる。 83 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意で
かつ過失がない第三者に対抗することができない。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の
第三者に対抗することができない。
(意思表示の効力発生時期等)
第九十七条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からそ
の効力を生ずる。
(隔地者に対する意思表示)
第九十七条 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到
達した時からその効力を生ずる。
2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨
げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達し
たものとみなす。
(新設)
3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を
喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのた
めにその効力を妨げられない。
2 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡
し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその
効力を妨げられない。
(意思表示の受領能力)
第九十八条の二 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に
意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見
人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗す
ることができない。ただし、次に掲げる者がその意思表示を知
った後は、この限りでない。
一 相手方の法定代理人
二 意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方
(意思表示の受領能力)
第九十八条の二 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に
未成年者又は成年被後見人であったときは、その意思表示をも
ってその相手方に対抗することができない。ただし、その法定
代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。
(新設)
(新設) 9(代理行為の 瑕疵
か し)第百一条 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の
不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若し
くは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を
受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決す
るものとする。
2 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受
けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつ
き過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その
事実の有無は、代理人について決するものとする。
3 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為を
したときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知
らなかったことを主張することができない。本人が過失によっ
て知らなかった事情についても、同様とする。
(代理行為の 瑕疵
か し)第百一条 意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある
事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失が
あったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有
無は、代理人について決するものとする。
(新設)
2 特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理
人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人は、自ら
知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張する
ことができない。本人が過失によって知らなかった事情につい
ても、同様とする。
(代理人の行為能力)
第百二条 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力
の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為
能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為につ
いては、この限りでない。
(代理人の行為能力)
第百二条 代理人は、行為能力者であることを要しない。 10(削る)
(復代理人を選任した代理人の責任)
第百五条 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したとき
は、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。2 代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、
前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不
適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知
し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでな
い。
(法定代理人による復代理人の選任)
第百五条 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任すること
ができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは
、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
(法定代理人による復代理人の選任)
第百六条 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任すること
ができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは
、前条第一項の責任のみを負う。
(復代理人の権限等)
第百六条 (略)
2 復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内に
おいて、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。
(復代理人の権限等)
第百七条 (同上)
2 復代理人は、本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利
を有し、義務を負う。
(代理権の濫用)
第百七条 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の (新設) 11範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、
又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない
者がした行為とみなす。
(自己契約及び双方代理等)
第百八条 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又
は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者
がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじ
め許諾した行為については、この限りでない。
2 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相
反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみな
す。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この
限りでない。
(自己契約及び双方代理)
第百八条 同一の法律行為については、相手方の代理人となり、
又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務
の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限
りでない。
(新設)
(代理権授与の表示による表見代理等)
第百九条 (略)
2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、そ
の代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をし
たとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において
、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をした
ときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると
信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責
(代理権授与の表示による表見代理)
第百九条 (同上)
(新設) 12任を負う。
(権限外の行為の表見代理)
第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為
をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき
正当な理由があるときについて準用する。
(権限外の行為の表見代理)
第百十条 前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした
場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な
理由があるときについて準用する。
(代理権消滅後の表見代理等)
第百十二条 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその
代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為に
ついて、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してそ
の責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知ら
なかったときは、この限りでない。
2 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権
の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれ
ば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他
人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、
第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき
正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。(代理権消滅後の表見代理)
第百十二条 代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することがで
きない。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかっ
たときは、この限りでない。
(無権代理人の責任) (無権代理人の責任) 13第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権
を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の
選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないこと
を相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないこと
を相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の
代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っ
ていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受け
ていたとき。
第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権
を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができ
なかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又
は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を
有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によっ
て知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が
行為能力を有しなかったときは、適用しない。
(取消権者)
第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為
は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人として
した行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又は
その代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り
、取り消すことができる。
2 錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、
瑕疵
か し
ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限
(取消権者)
第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為
は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をす
ることができる者に限り、取り消すことができる。
2 詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵
か しある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取 14り、取り消すことができる。 り消すことができる。
(取消しの効果)
第百二十一条 取り消された行為は、初めから無効であったもの
とみなす。
(取消しの効果)
第百二十一条 取り消された行為は、初めから無効であったもの
とみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に
利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
(原状回復の義務)
第百二十一条の二 無効な行為に基づく債務の履行として給付を
受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
2 前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履
行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効
であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効
であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時
その行為が取り消すことができるものであること)を知らなか
ったときは、その行為によって現に利益を受けている限度にお
いて、返還の義務を負う。
3 第一項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなか
った者は、その行為によって現に利益を受けている限度におい
て、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者
についても、同様とする。
(新設) 15(取り消すことができる行為の追認)
第百二十二条 取り消すことができる行為は、第百二十条に規定
する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。
(取り消すことができる行為の追認)
第百二十二条 取り消すことができる行為は、第百二十条に規定
する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。た
だし、追認によって第三者の権利を害することはできない。
(追認の要件)
第百二十四条 取り消すことができる行為の追認は、取消しの原
因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知
った後にしなければ、その効力を生じない。
2 次に掲げる場合には、前項の追認は、取消しの原因となって
いた状況が消滅した後にすることを要しない。
一 法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が
追認をするとき。
二 制限行為能力者(成年被後見人を除く。)が法定代理人、
保佐人又は補助人の同意を得て追認をするとき。
(削る)
(追認の要件)
第百二十四条 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し
た後にしなければ、その効力を生じない。
2 成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知し
たときは、その了知をした後でなければ、追認をすることがで
きない。
3 前二項の規定は、法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若
しくは補助人が追認をする場合には、適用しない。
(法定追認)
第百二十五条 追認をすることができる時以後に、取り消すこと
ができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認を
したものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限り
(法定追認)
第百二十五条 前条の規定により追認をすることができる時以後
に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があっ
たときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめた 16でない。
一〜六 (略)
ときは、この限りでない。
一〜六 (同上)
(条件の成就の妨害等)
第百三十条 (略)
(条件の成就の妨害)
第百三十条 (同上)
2 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にそ
の条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなか
ったものとみなすことができる。
(新設)
(時効の援用)
第百四十五条 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、
物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益
を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによっ
て裁判をすることができない。
(時効の援用)
第百四十五条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれ
によって裁判をすることができない。
(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
第百四十七条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了
する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによっ
て権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては
、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、
完成しない。
一 裁判上の請求
(時効の中断事由)
第百四十七条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
二 差押え、仮差押え又は仮処分
三 承認 17二 支払督促
三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(
昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法
(平成二十三年法律第五十二号)による調停
四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を
有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号
に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。
(強制執行等による時効の完成猶予及び更新)
第百四十八条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了
する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取
消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の
時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 強制執行
二 担保権の実行
三 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百九十五条に規
定する担保権の実行としての競売の例による競売
四 民事執行法第百九十六条に規定する財産開示手続
2 前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した
時から新たにその進行を始める。ただし、申立ての取下げ又は
法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終
(時効の中断の効力が及ぶ者の範囲)
第百四十八条 前条の規定による時効の中断は、その中断の事由
が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を
有する。 18了した場合は、この限りでない。
(仮差押え等による時効の完成猶予)
第百四十九条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了
した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。一 仮差押え
二 仮処分
(裁判上の請求)
第百四十九条 裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合に
は、時効の中断の効力を生じない。
(催告による時効の完成猶予)
第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過する
までの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の
催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。
(支払督促)
第百五十条 支払督促は、債権者が民事訴訟法第三百九十二条に
規定する期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりそ
の効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。
(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)
第百五十一条 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされ
たときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は
、完成しない。
一 その合意があった時から一年を経過した時
二 その合意において当事者が協議を行う期間(一年に満たな
いものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時
(和解及び調停の申立て)
第百五十一条 和解の申立て又は民事調停法(昭和二十六年法律
第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律
第五十二号)による調停の申立ては、相手方が出頭せず、又は
和解若しくは調停が調わないときは、一箇月以内に訴えを提起
しなければ、時効の中断の効力を生じない。 19三 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨
の通知が書面でされたときは、その通知の時から六箇月を経
過した時
2 前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再
度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を
有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかった
とすれば時効が完成すべき時から通じて五年を超えることがで
きない。
3 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第一項
の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない
。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催
告についても、同様とする。
4 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式
、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができな
い方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の
用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは
、その合意は、書面によってされたものとみなして、前三項の
規定を適用する。
5 前項の規定は、第一項第三号の通知について準用する。
(承認による時効の更新)
第百五十二条 時効は、権利の承認があったときは、その時から
(破産手続参加等)
第百五十二条 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は 20新たにその進行を始める。
2 前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき
行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要し
ない。
、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたと
きは、時効の中断の効力を生じない。
(時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲)
第百五十三条 第百四十七条又は第百四十八条の規定による時効
の完成猶予又は更新は、完成猶予又は更新の事由が生じた当事
者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。
2 第百四十九条から第百五十一条までの規定による時効の完成
猶予は、完成猶予の事由が生じた当事者及びその承継人の間に
おいてのみ、その効力を有する。
3 前条の規定による時効の更新は、更新の事由が生じた当事者
及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。
(催告)
第百五十三条 催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促
の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事事件手続法
による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続
参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断
の効力を生じない。
第百五十四条 第百四十八条第一項各号又は第百四十九条各号に
掲げる事由に係る手続は、時効の利益を受ける者に対してしな
いときは、その者に通知をした後でなければ、第百四十八条又
は第百四十九条の規定による時効の完成猶予又は更新の効力を
生じない。
(差押え、仮差押え及び仮処分)
第百五十四条 差押え、仮差押え及び仮処分は、権利者の請求に
より又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときは
、時効の中断の効力を生じない。 21第百五十五条から第百五十七条まで 削除 第百五十五条 差押え、仮差押え及び仮処分は、時効の利益を受
ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなけれ
ば、時効の中断の効力を生じない。
(承認)
第百五十六条 時効の中断の効力を生ずべき承認をするには、相
手方の権利についての処分につき行為能力又は権限があること
を要しない。
(中断後の時効の進行)
第百五十七条 中断した時効は、その中断の事由が終了した時か
ら、新たにその進行を始める。
2 裁判上の請求によって中断した時効は、裁判が確定した時か
ら、新たにその進行を始める。
(未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予)
第百五十八条 (略)
(未成年者又は成年被後見人と時効の停止)
第百五十八条 (同上)
2 (略) 2 (同上)
(夫婦間の権利の時効の完成猶予)
第百五十九条 (略)
(夫婦間の権利の時効の停止)
第百五十九条 (同上)
(相続財産に関する時効の完成猶予)
第百六十条 (略)
(相続財産に関する時効の停止)
第百六十条 (同上) 22(天災等による時効の完成猶予)
第百六十一条 時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避け
ることのできない事変のため第百四十七条第一項各号又は第百
四十八条第一項各号に掲げる事由に係る手続を行うことができ
ないときは、その障害が消滅した時から三箇月を経過するまで
の間は、時効は、完成しない。
(天災等による時効の停止)
第百六十一条 時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避け
ることのできない事変のため時効を中断することができないと
きは、その障害が消滅した時から二週間を経過するまでの間は
、時効は、完成しない。
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅
する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から
五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができ
る時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を
占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が
進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新
するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
(消滅時効の進行等)
第百六十六条 消滅時効は、権利を行使することができる時から
進行する。
(新設)
2 前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占
有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進
行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断す
るため、いつでも占有者の承認を求めることができる。 23(人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効)
第百六十七条 人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の
消滅時効についての前条第一項第二号の規定の適用については
、同号中「十年間」とあるのは、「二十年間」とする。
(債権等の消滅時効)
第百六十七条 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2 債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは
、消滅する。
(定期金債権の消滅時効)
第百六十八条 定期金の債権は、次に掲げる場合には、時効によ
って消滅する。
一 債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を
目的とする各債権を行使することができることを知った時か
ら十年間行使しないとき。
二 前号に規定する各債権を行使することができる時から二十
年間行使しないとき。
(定期金債権の消滅時効)
第百六十八条 定期金の債権は、第一回の弁済期から二十年間行
使しないときは、消滅する。最後の弁済期から十年間行使しな
いときも、同様とする。
2 定期金の債権者は、時効の更新の証拠を得るため、いつでも
、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる。
2 定期金の債権者は、時効の中断の証拠を得るため、いつでも
、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる。
(判決で確定した権利の消滅時効)
第百六十九条 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するもの
によって確定した権利については、十年より短い時効期間の定
めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。
2 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権につ
いては、適用しない。
(定期給付債権の短期消滅時効)
第百六十九条 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その
他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、
消滅する。 24第百七十条から第百七十四条まで 削除
(三年の短期消滅時効)
第百七十条 次に掲げる債権は、三年間行使しないときは、消滅
する。ただし、第二号に掲げる債権の時効は、同号の工事が終
了した時から起算する。
一 医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権二 工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権第百七十一条 弁護士又は弁護士法人は事件が終了した時から、
公証人はその職務を執行した時から三年を経過したときは、そ
の職務に関して受け取った書類について、その責任を免れる。
(二年の短期消滅時効)
第百七十二条 弁護士、弁護士法人又は公証人の職務に関する債
権は、その原因となった事件が終了した時から二年間行使しな
いときは、消滅する。
2 前項の規定にかかわらず、同項の事件中の各事項が終了した
時から五年を経過したときは、同項の期間内であっても、その
事項に関する債権は、消滅する。
第百七十三条 次に掲げる債権は、二年間行使しないときは、消
滅する。
一 生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の 25代価に係る債権
二 自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の
仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に
関する債権
三 学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿
の代価について有する債権
(一年の短期消滅時効)
第百七十四条 次に掲げる債権は、一年間行使しないときは、消
滅する。
一 月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係
る債権
二 自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供
給した物の代価に係る債権
三 運送賃に係る債権
四 旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料
、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権
五 動産の損料に係る債権
(削る)
(判決で確定した権利の消滅時効)
第百七十四条の二 確定判決によって確定した権利については、
十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効
期間は、十年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同 26一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様
とする。
2 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権につ
いては、適用しない。
第二百八十四条 (略)
2 共有者に対する時効の更新は、地役権を行使する各共有者に
対してしなければ、その効力を生じない。
3 地役権を行使する共有者が数人ある場合には、その一人につ
いて時効の完成猶予の事由があっても、時効は、各共有者のた
めに進行する。
第二百八十四条 (同上)
2 共有者に対する時効の中断は、地役権を行使する各共有者に
対してしなければ、その効力を生じない。
3 地役権を行使する共有者が数人ある場合には、その一人につ
いて時効の停止の原因があっても、時効は、各共有者のために
進行する。
(地役権の消滅時効)
第二百九十一条 第百六十六条第二項に規定する消滅時効の期間
は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時
から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を
妨げる事実が生じた時から起算する。
(地役権の消滅時効)
第二百九十一条 第百六十七条第二項に規定する消滅時効の期間
は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時
から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を
妨げる事実が生じた時から起算する。
第二百九十二条 要役地が数人の共有に属する場合において、そ
の一人のために時効の完成猶予又は更新があるときは、その完
成猶予又は更新は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。第二百九十二条 要役地が数人の共有に属する場合において、そ
の一人のために時効の中断又は停止があるときは、その中断又
は停止は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。 27第三百十六条 賃貸人は、第六百二十二条の二第一項に規定する
敷金を受け取っている場合には、その敷金で弁済を受けない債
権の部分についてのみ先取特権を有する。
第三百十六条 賃貸人は、敷金を受け取っている場合には、その
敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ先取特権を有す
る。
(設定行為に別段の定めがある場合等)
第三百五十九条 前三条の規定は、設定行為に別段の定めがある
とき、又は担保不動産収益執行(民事執行法第百八十条第二号
に規定する担保不動産収益執行をいう。以下同じ。)の開始が
あったときは、適用しない。
(設定行為に別段の定めがある場合等)
第三百五十九条 前三条の規定は、設定行為に別段の定めがある
とき、又は担保不動産収益執行(民事執行法(昭和五十四年法
律第四号)第百八十条第二号に規定する担保不動産収益執行を
いう。以下同じ。)の開始があったときは、適用しない。
第三百六十三条 削除
(債権質の設定)
第三百六十三条 債権であってこれを譲り渡すにはその証書を交
付することを要するものを質権の目的とするときは、質権の設
定は、その証書を交付することによって、その効力を生ずる。
(債権を目的とする質権の対抗要件)
第三百六十四条 債権を目的とする質権の設定(現に発生してい
ない債権を目的とするものを含む。)は、第四百六十七条の規
定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債
務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他
の第三者に対抗することができない。
(指名債権を目的とする質権の対抗要件)
第三百六十四条 指名債権を質権の目的としたときは、第四百六
十七条の規定に従い、第三債務者に質権の設定を通知し、又は
第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者
その他の第三者に対抗することができない。 28第三百六十五条 削除
(指図債権を目的とする質権の対抗要件)
第三百六十五条 指図債権を質権の目的としたときは、その証書
に質権の設定の裏書をしなければ、これをもって第三者に対抗
することができない。
(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第三百七十条 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その
目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して
一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めが
ある場合及び債務者の行為について第四百二十四条第三項に規
定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限り
でない。
(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第三百七十条 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その
目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して
一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めが
ある場合及び第四百二十四条の規定により債権者が債務者の行
為を取り消すことができる場合は、この限りでない。
(根抵当権)
第三百九十八条の二 (略)
2 (略)
3 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、
手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録
債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電
子記録債権をいう。次条第二項において同じ。)は、前項の規
定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができ
(根抵当権)
第三百九十八条の二 (同上)
2 (同上)
3 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権又
は手形上若しくは小切手上の請求権は、前項の規定にかかわら
ず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。 29る。
(根抵当権の被担保債権の範囲)
第三百九十八条の三 (略)
2 債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手
上の請求権又は電子記録債権を根抵当権の担保すべき債権とし
た場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取
得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができ
る。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知
らないで取得したものについては、これを行使することを妨げ
ない。
一〜三 (略)
(根抵当権の被担保債権の範囲)
第三百九十八条の三 (同上)
2 債務者との取引によらないで取得する手形上又は小切手上の
請求権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に
掲げる事由があったときは、その前に取得したものについての
み、その根抵当権を行使することができる。ただし、その後に
取得したものであっても、その事由を知らないで取得したもの
については、これを行使することを妨げない。
一〜三 (同上)
(根抵当権の被担保債権の譲渡等)
第三百九十八条の七 (略)
2 (略)
3 元本の確定前に免責的債務引受があった場合における債権者
は、第四百七十二条の四第一項の規定にかかわらず、根抵当権
を引受人が負担する債務に移すことができない。
4 元本の確定前に債権者の交替による更改があった場合におけ
る更改前の債権者は、第五百十八条第一項の規定にかかわらず
、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。元本の確定
(根抵当権の被担保債権の譲渡等)
第三百九十八条の七 (同上)
2 (同上)
(新設)
3 元本の確定前に債権者又は債務者の交替による更改があった
ときは、その当事者は、第五百十八条の規定にかかわらず、根
抵当権を更改後の債務に移すことができない。 30前に債務者の交替による更改があった場合における債権者も、
同様とする。
(特定物の引渡しの場合の注意義務)
第四百条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は
、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取
引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって
、その物を保存しなければならない。
(特定物の引渡しの場合の注意義務)
第四百条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は
、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その
物を保存しなければならない。
(法定利率)
第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がない
ときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法
定利率による。
2 法定利率は、年三パーセントとする。
3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めると
ころにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により
変動するものとする。
4 各期における法定利率は、この項の規定により法定利率に変
動があった期のうち直近のもの(以下この項において「直近変
動期」という。)における基準割合と当期における基準割合と
の差に相当する割合(その割合に一パーセント未満の端数があ
るときは、これを切り捨てる。)を直近変動期における法定利
(法定利率)
第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がない
ときは、その利率は、年五分とする。
(新設)
(新設)
(新設) 31率に加算し、又は減算した割合とする。
5 前項に規定する「基準割合」とは、法務省令で定めるところ
により、各期の初日の属する年の六年前の年の一月から前々年
の十二月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月
において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が一年未満のも
のに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を六十で除し
て計算した割合(その割合に〇・一パーセント未満の端数があ
るときは、これを切り捨てる。)として法務大臣が告示するも
のをいう。
(新設)
(不能による選択債権の特定)
第四百十条 債権の目的である給付の中に不能のものがある場合
において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであ
るときは、債権は、その残存するものについて存在する。
(削る)
(不能による選択債権の特定)
第四百十条 債権の目的である給付の中に、初めから不能である
もの又は後に至って不能となったものがあるときは、債権は、
その残存するものについて存在する。
2 選択権を有しない当事者の過失によって給付が不能となった
ときは、前項の規定は、適用しない。
(履行期と履行遅滞)
第四百十二条 (略)
2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、そ
の期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到
来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う
(履行期と履行遅滞)
第四百十二条 (同上)
2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、そ
の期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う。 32。
3 (略) 3 (同上)
(履行不能)
第四百十二条の二 債務の履行が契約その他の債務の発生原因及
び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、
その債務の履行を請求することができない。
2 契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であっ
たことは、第四百十五条の規定によりその履行の不能によって
生じた損害の賠償を請求することを妨げない。
(新設)
(受領遅滞)
第四百十三条 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受
けることができない場合において、その債務の目的が特定物の
引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその
引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもっ
て、その物を保存すれば足りる。
2 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることが
できないことによって、その履行の費用が増加したときは、そ
の増加額は、債権者の負担とする。
(受領遅滞)
第四百十三条 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受
けることができないときは、その債権者は、履行の提供があっ
た時から遅滞の責任を負う。
(履行遅滞中又は受領遅滞中の履行不能と帰責事由) 33第四百十三条の二 債務者がその債務について遅滞の責任を負っ
ている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によ
ってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は
、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。
2 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることが
できない場合において、履行の提供があった時以後に当事者双
方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行
が不能となったときは、その履行の不能は、債権者の責めに帰
すべき事由によるものとみなす。
(新設)
(履行の強制)
第四百十四条 債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権
者は、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に
従い、直接強制、代替執行、間接強制その他の方法による履行
の強制を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質
がこれを許さないときは、この限りでない。
(削る)
(削る)
(履行の強制)
第四百十四条 債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権
者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし
、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が
作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者に
これをさせることを裁判所に請求することができる。ただし、
法律行為を目的とする債務については、裁判をもって債務者の
意思表示に代えることができる。
3 不作為を目的とする債務については、債務者の費用で、債務 342 前項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。
者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をす
ることを裁判所に請求することができる。
4 前三項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。
(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないと
き又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによっ
て生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債
務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通
念に照らして債務者の責めに帰することができない事由による
ものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合に
おいて、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損
害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示した
とき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その
契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発
生したとき。
(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないと
きは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求するこ
とができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をする
ことができなくなったときも、同様とする。
(損害賠償の範囲) (損害賠償の範囲) 35第四百十六条 (略)
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事
情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求す
ることができる。
第四百十六条 (同上)
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事
情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、そ
の賠償を請求することができる。
(中間利息の控除)
第四百十七条の二 将来において取得すべき利益についての損害
賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時まで
の利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じ
た時点における法定利率により、これをする。
2 将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定め
る場合において、その費用を負担すべき時までの利息相当額を
控除するときも、前項と同様とする。
(新設)
(過失相殺)
第四百十八条 債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは
拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを
考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。
(過失相殺)
第四百十八条 債務の不履行に関して債権者に過失があったとき
は、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を
定める。
(金銭債務の特則)
第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については
、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時
(金銭債務の特則)
第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については
、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約 36点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定
利率を超えるときは、約定利率による。
2・3 (略)
定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2・3 (同上)
(賠償額の予定)
第四百二十条 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を
予定することができる。
2・3 (略)
(賠償額の予定)
第四百二十条 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を
予定することができる。この場合において、裁判所は、その額
を増減することができない。
2・3 (同上)
(代償請求権)
第四百二十二条の二 債務者が、その債務の履行が不能となった
のと同一の原因により債務の目的物の代償である権利又は利益
を取得したときは、債権者は、その受けた損害の額の限度にお
いて、債務者に対し、その権利の移転又はその利益の償還を請
求することができる。
(新設)
第二款 債権者代位権
(債権者代位権の要件)
第四百二十三条 債権者は、自己の債権を保全するため必要があ
るときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。
第二款 債権者代位権及び詐害行為取消権
(債権者代位権)
第四百二十三条 債権者は、自己の債権を保全するため、債務者
に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身 37)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する
権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を
行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでな
い。
3 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできな
いものであるときは、被代位権利を行使することができない。
に専属する権利は、この限りでない。
2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位
によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただ
し、保存行為は、この限りでない。
(新設)
(代位行使の範囲)
第四百二十三条の二 債権者は、被代位権利を行使する場合にお
いて、被代位権利の目的が可分であるときは、自己の債権の額
の限度においてのみ、被代位権利を行使することができる。
(新設)
(債権者への支払又は引渡し)
第四百二十三条の三 債権者は、被代位権利を行使する場合にお
いて、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とする
ものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己
に対してすることを求めることができる。この場合において、
相手方が債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、被
代位権利は、これによって消滅する。
(新設)
(相手方の抗弁) 38第四百二十三条の四 債権者が被代位権利を行使したときは、相
手方は、債務者に対して主張することができる抗弁をもって、
債権者に対抗することができる。
(新設)
(債務者の取立てその他の処分の権限等)
第四百二十三条の五 債権者が被代位権利を行使した場合であっ
ても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処
分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も
、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げ
られない。
(新設)
(被代位権利の行使に係る訴えを提起した場合の訴訟告知)
第四百二十三条の六 債権者は、被代位権利の行使に係る訴えを
提起したときは、遅滞なく、債務者に対し、訴訟告知をしなけ
ればならない。
(新設)
(登記又は登録の請求権を保全するための債権者代位権)
第四百二十三条の七 登記又は登録をしなければ権利の得喪及び
変更を第三者に対抗することができない財産を譲り受けた者は
、その譲渡人が第三者に対して有する登記手続又は登録手続を
すべきことを請求する権利を行使しないときは、その権利を行
使することができる。この場合においては、前三条の規定を準
(新設) 39用する。
第三款 詐害行為取消権
第一目 詐害行為取消権の要件
(詐害行為取消請求)
第四百二十四条 債権者は、債務者が債権者を害することを知っ
てした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし
、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受
益者」という。)がその行為の時において債権者を害すること
を知らなかったときは、この限りでない。
2 前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用
しない。
3 債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基
づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(
以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
4 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできな
いものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。(新設)
(新設)
(詐害行為取消権)
第四百二十四条 債権者は、債務者が債権者を害することを知っ
てした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。た
だし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為
又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったと
きは、この限りでない。
2 前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、
適用しない。
(新設)
(新設)
(相当の対価を得てした財産の処分行為の特則)
第四百二十四条の二 債務者が、その有する財産を処分する行為 (新設) 40をした場合において、受益者から相当の対価を取得していると
きは、債権者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に
限り、その行為について、詐害行為取消請求をすることができ
る。
一 その行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分によ
る財産の種類の変更により、債務者において隠匿、無償の供
与その他の債権者を害することとなる処分(以下この条にお
いて「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさ
せるものであること。
二 債務者が、その行為の当時、対価として取得した金銭その
他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこ
と。
三 受益者が、その行為の当時、債務者が隠匿等の処分をする
意思を有していたことを知っていたこと。
(特定の債権者に対する担保の供与等の特則)
第四百二十四条の三 債務者がした既存の債務についての担保の
供与又は債務の消滅に関する行為について、債権者は、次に掲
げる要件のいずれにも該当する場合に限り、詐害行為取消請求
をすることができる。
一 その行為が、債務者が支払不能(債務者が、支払能力を欠
くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的
(新設) 41かつ継続的に弁済することができない状態をいう。次項第一
号において同じ。)の時に行われたものであること。
二 その行為が、債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害
する意図をもって行われたものであること。
2 前項に規定する行為が、債務者の義務に属せず、又はその時
期が債務者の義務に属しないものである場合において、次に掲
げる要件のいずれにも該当するときは、債権者は、同項の規定
にかかわらず、その行為について、詐害行為取消請求をするこ
とができる。
一 その行為が、債務者が支払不能になる前三十日以内に行わ
れたものであること。
二 その行為が、債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害
する意図をもって行われたものであること。
(過大な代物弁済等の特則)
第四百二十四条の四 債務者がした債務の消滅に関する行為であ
って、受益者の受けた給付の価額がその行為によって消滅した
債務の額より過大であるものについて、第四百二十四条に規定
する要件に該当するときは、債権者は、前条第一項の規定にか
かわらず、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に
ついては、詐害行為取消請求をすることができる。
(新設) 42(転得者に対する詐害行為取消請求)
第四百二十四条の五 債権者は、受益者に対して詐害行為取消請
求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を
転得した者があるときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それ
ぞれ当該各号に定める場合に限り、その転得者に対しても、詐
害行為取消請求をすることができる。
一 その転得者が受益者から転得した者である場合 その転得
者が、転得の当時、債務者がした行為が債権者を害すること
を知っていたとき。
二 その転得者が他の転得者から転得した者である場合 その
転得者及びその前に転得した全ての転得者が、それぞれの転
得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知って
いたとき。
(新設)
第二目 詐害行為取消権の行使の方法等
(財産の返還又は価額の償還の請求)
第四百二十四条の六 債権者は、受益者に対する詐害行為取消請
求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為に
よって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。
受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権
者は、その価額の償還を請求することができる。
(新設)
(新設) 432 債権者は、転得者に対する詐害行為取消請求において、債務
者がした行為の取消しとともに、転得者が転得した財産の返還
を請求することができる。転得者がその財産の返還をすること
が困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求するこ
とができる。
(被告及び訴訟告知)
第四百二十四条の七 詐害行為取消請求に係る訴えについては、
次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める者を
被告とする。
一 受益者に対する詐害行為取消請求に係る訴え 受益者
二 転得者に対する詐害行為取消請求に係る訴え その詐害行
為取消請求の相手方である転得者
2 債権者は、詐害行為取消請求に係る訴えを提起したときは、
遅滞なく、債務者に対し、訴訟告知をしなければならない。
(新設)
(詐害行為の取消しの範囲)
第四百二十四条の八 債権者は、詐害行為取消請求をする場合に
おいて、債務者がした行為の目的が可分であるときは、自己の
債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求するこ
とができる。
2 債権者が第四百二十四条の六第一項後段又は第二項後段の規
(新設) 44定により価額の償還を請求する場合についても、前項と同様と
する。
(債権者への支払又は引渡し)
第四百二十四条の九 債権者は、第四百二十四条の六第一項前段
又は第二項前段の規定により受益者又は転得者に対して財産の
返還を請求する場合において、その返還の請求が金銭の支払又
は動産の引渡しを求めるものであるときは、受益者に対してそ
の支払又は引渡しを、転得者に対してその引渡しを、自己に対
してすることを求めることができる。この場合において、受益
者又は転得者は、債権者に対してその支払又は引渡しをしたと
きは、債務者に対してその支払又は引渡しをすることを要しな
い。
2 債権者が第四百二十四条の六第一項後段又は第二項後段の規
定により受益者又は転得者に対して価額の償還を請求する場合
についても、前項と同様とする。
(新設)
第三目 詐害行為取消権の行使の効果
(認容判決の効力が及ぶ者の範囲)
第四百二十五条 詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務
者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
(新設)
(詐害行為の取消しの効果)
第四百二十五条 前条の規定による取消しは、すべての債権者の
利益のためにその効力を生ずる。 45(債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利)
第四百二十五条の二 債務者がした財産の処分に関する行為(債
務の消滅に関する行為を除く。)が取り消されたときは、受益
者は、債務者に対し、その財産を取得するためにした反対給付
の返還を請求することができる。債務者がその反対給付の返還
をすることが困難であるときは、受益者は、その価額の償還を
請求することができる。
(新設)
(受益者の債権の回復)
第四百二十五条の三 債務者がした債務の消滅に関する行為が取
り消された場合(第四百二十四条の四の規定により取り消され
た場合を除く。)において、受益者が債務者から受けた給付を
返還し、又はその価額を償還したときは、受益者の債務者に対
する債権は、これによって原状に復する。
(新設)
(詐害行為取消請求を受けた転得者の権利)
第四百二十五条の四 債務者がした行為が転得者に対する詐害行
為取消請求によって取り消されたときは、その転得者は、次の
各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行
使することができる。ただし、その転得者がその前者から財産
を取得するためにした反対給付又はその前者から財産を取得す
(新設) 46ることによって消滅した債権の価額を限度とする。
一 第四百二十五条の二に規定する行為が取り消された場合
その行為が受益者に対する詐害行為取消請求によって取り消
されたとすれば同条の規定により生ずべき受益者の債務者に
対する反対給付の返還請求権又はその価額の償還請求権
二 前条に規定する行為が取り消された場合(第四百二十四条
の四の規定により取り消された場合を除く。) その行為が
受益者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとす
れば前条の規定により回復すべき受益者の債務者に対する債権第四目 詐害行為取消権の期間の制限
第四百二十六条 詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権
者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時か
ら二年を経過したときは、提起することができない。行為の時
から十年を経過したときも、同様とする。
(新設)
(詐害行為取消権の期間の制限)
第四百二十六条 第四百二十四条の規定による取消権は、債権者
が取消しの原因を知った時から二年間行使しないときは、時効
によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同
様とする。
(不可分債権)
第四百二十八条 次款(連帯債権)の規定(第四百三十三条及び
第四百三十五条の規定を除く。)は、債権の目的がその性質上
(不可分債権)
第四百二十八条 債権の目的がその性質上又は当事者の意思表示
によって不可分である場合において、数人の債権者があるとき 47不可分である場合において、数人の債権者があるときについて
準用する。
は、各債権者はすべての債権者のために履行を請求し、債務者
はすべての債権者のために各債権者に対して履行をすることが
できる。
(不可分債権者の一人との間の更改又は免除)
第四百二十九条 不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は
免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全
部の履行を請求することができる。この場合においては、その
一人の不可分債権者がその権利を失わなければ分与されるべき
利益を債務者に償還しなければならない。
(不可分債権者の一人について生じた事由等の効力)
第四百二十九条 不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は
免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全
部の履行を請求することができる。この場合においては、その
一人の不可分債権者がその権利を失わなければ分与される利益
を債務者に償還しなければならない。
(削る) 2 前項に規定する場合のほか、不可分債権者の一人の行為又は
一人について生じた事由は、他の不可分債権者に対してその効
力を生じない。
(不可分債務)
第四百三十条 第四款(連帯債務)の規定(第四百四十条の規定
を除く。)は、債務の目的がその性質上不可分である場合にお
いて、数人の債務者があるときについて準用する。
(不可分債務)
第四百三十条 前条の規定及び次款(連帯債務)の規定(第四百
三十四条から第四百四十条までの規定を除く。)は、数人が不
可分債務を負担する場合について準用する。
第三款 連帯債権 (新設)
(連帯債権者による履行の請求等) 48第四百三十二条 債権の目的がその性質上可分である場合におい
て、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して
債権を有するときは、各債権者は、全ての債権者のために全部
又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権
者のために各債権者に対して履行をすることができる。
(新設)
(連帯債権者の一人との間の更改又は免除)
第四百三十三条 連帯債権者の一人と債務者との間に更改又は免
除があったときは、その連帯債権者がその権利を失わなければ
分与されるべき利益に係る部分については、他の連帯債権者は
、履行を請求することができない。
(新設)
(連帯債権者の一人との間の相殺)
第四百三十四条 債務者が連帯債権者の一人に対して債権を有す
る場合において、その債務者が相殺を援用したときは、その相
殺は、他の連帯債権者に対しても、その効力を生ずる。
(新設)
(連帯債権者の一人との間の混同)
第四百三十五条 連帯債権者の一人と債務者との間に混同があっ
たときは、債務者は、弁済をしたものとみなす。
(新設)
(相対的効力の原則) 49第四百三十五条の二 第四百三十二条から前条までに規定する場
合を除き、連帯債権者の一人の行為又は一人について生じた事
由は、他の連帯債権者に対してその効力を生じない。ただし、
他の連帯債権者の一人及び債務者が別段の意思を表示したとき
は、当該他の連帯債権者に対する効力は、その意思に従う。
(新設)
第四款 連帯債務 第三款 連帯債務
(連帯債務者に対する履行の請求)
第四百三十六条 債務の目的がその性質上可分である場合におい
て、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して
債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対
し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部
又は一部の履行を請求することができる。
(履行の請求)
第四百三十二条 数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、
その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべ
ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することが
できる。
(連帯債務者の一人についての法律行為の無効等)
第四百三十七条 (略)
(連帯債務者の一人についての法律行為の無効等)
第四百三十三条 (同上)
(削る)
(連帯債務者の一人に対する履行の請求)
第四百三十四条 連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の
連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。 50(連帯債務者の一人との間の更改)
第四百三十八条 連帯債務者の一人と債権者との間に更改があっ
たときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。(連帯債務者の一人との間の更改)
第四百三十五条 連帯債務者の一人と債権者との間に更改があっ
たときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅す
る。
(連帯債務者の一人による相殺等)
第四百三十九条 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有す
る場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債
権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
(連帯債務者の一人による相殺等)
第四百三十六条 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有す
る場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債
権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。
2 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、そ
の連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、
債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
2 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、そ
の連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者が相殺を
援用することができる。
(削る)
(連帯債務者の一人に対する免除)
第四百三十七条 連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、
その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利
益のためにも、その効力を生ずる。
(連帯債務者の一人との間の混同)
第四百四十条 (略)
(連帯債務者の一人との間の混同)
第四百三十八条 (同上)
(連帯債務者の一人についての時効の完成) 51(削る) 第四百三十九条 連帯債務者の一人のために時効が完成したとき
は、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も
、その義務を免れる。
(相対的効力の原則)
第四百四十一条 第四百三十八条、第四百三十九条第一項及び前
条に規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事
由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。ただし、
債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したとき
は、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。
(相対的効力の原則)
第四百四十条 第四百三十四条から前条までに規定する場合を除
き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者
に対してその効力を生じない。
(削る)
(連帯債務者についての破産手続の開始)
第四百四十一条 連帯債務者の全員又はそのうちの数人が破産手
続開始の決定を受けたときは、債権者は、その債権の全額につ
いて各破産財団の配当に加入することができる。
(連帯債務者間の求償権)
第四百四十二条 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財
産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その
免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず
、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産
の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっ
(連帯債務者間の求償権)
第四百四十二条 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財
産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の
連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。 52ては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の
求償権を有する。
2 (略) 2 (同上)
(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)
第四百四十三条 他の連帯債務者があることを知りながら、連帯
債務者の一人が共同の免責を得ることを他の連帯債務者に通知
しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得
た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することが
できる事由を有していたときは、その負担部分について、その
事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができ
る。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務
者に対抗したときは、その連帯債務者は、債権者に対し、相殺
によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができ
る。
(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)
第四百四十三条 連帯債務者の一人が債権者から履行の請求を受
けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自
己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債
務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたとき
は、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た
連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺
をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、過失の
ある連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきで
あった債務の履行を請求することができる。
2 弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た連帯
債務者が、他の連帯債務者があることを知りながらその免責を
得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の
連帯債務者が善意で弁済その他自己の財産をもって免責を得る
ための行為をしたときは、当該他の連帯債務者は、その免責を
得るための行為を有効であったものとみなすことができる。
2 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共
同の免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠った
ため、他の連帯債務者が善意で弁済をし、その他有償の行為を
もって免責を得たときは、その免責を得た連帯債務者は、自己
の弁済その他免責のためにした行為を有効であったものとみな
すことができる。 53(償還をする資力のない者の負担部分の分担)
第四百四十四条 連帯債務者の中に償還をする資力のない者があ
るときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び
他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負
担する。
(償還をする資力のない者の負担部分の分担)
第四百四十四条 連帯債務者の中に償還をする資力のない者があ
るときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び
他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負
担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の連帯債務者
に対して分担を請求することができない。
2 前項に規定する場合において、求償者及び他の資力のある者
がいずれも負担部分を有しない者であるときは、その償還をす
ることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で
、等しい割合で分割して負担する。
(新設)
3 前二項の規定にかかわらず、償還を受けることができないこ
とについて求償者に過失があるときは、他の連帯債務者に対し
て分担を請求することができない。
(新設)
(連帯債務者の一人との間の免除等と求償権)
第四百四十五条 連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ、
又は連帯債務者の一人のために時効が完成した場合においても
、他の連帯債務者は、その一人の連帯債務者に対し、第四百四
十二条第一項の求償権を行使することができる。
(連帯の免除と弁済をする資力のない者の負担部分の分担)
第四百四十五条 連帯債務者の一人が連帯の免除を得た場合にお
いて、他の連帯債務者の中に弁済をする資力のない者があると
きは、債権者は、その資力のない者が弁済をすることができな
い部分のうち連帯の免除を得た者が負担すべき部分を負担する。第五款 保証債務 第四款 保証債務 54(保証人の責任等)
第四百四十六条 (略)
2 (略)
(保証人の責任等)
第四百四十六条 (同上)
2 (同上)
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたと
きは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、
前項の規定を適用する。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁
気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方
式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に
供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約
は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用す
る。
(保証人の負担と主たる債務の目的又は態様)
第四百四十八条 (略)
(保証人の負担が主たる債務より重い場合)
第四百四十八条 (同上)
2 主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重された
ときであっても、保証人の負担は加重されない。
(新設)
(主たる債務者について生じた事由の効力)
第四百五十七条 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由
による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効
力を生ずる。
(主たる債務者について生じた事由の効力)
第四百五十七条 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由
による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
2 保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもっ
て債権者に対抗することができる。
2 保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に
対抗することができる。 553 主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を
有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がそ
の債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して
債務の履行を拒むことができる。
(新設)
(連帯保証人について生じた事由の効力)
第四百五十八条 第四百三十八条、第四百三十九条第一項、第四
百四十条及び第四百四十一条の規定は、主たる債務者と連帯し
て債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。(連帯保証人について生じた事由の効力)
第四百五十八条 第四百三十四条から第四百四十条までの規定は
、主たる債務者が保証人と連帯して債務を負担する場合につい
て準用する。
(主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)
第四百五十八条の二 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証
をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は
、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務
に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全て
のものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのう
ち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなけれ
ばならない。
(新設)
(主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提
供義務) 56第四百五十八条の三 主たる債務者が期限の利益を有する場合に
おいて、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し
、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知
しなければならない。
(新設)
2 前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、
保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同
項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪
失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務
の履行を請求することができない。
3 前二項の規定は、保証人が法人である場合には、適用しない。(委託を受けた保証人の求償権)
第四百五十九条 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をし
た場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財
産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」と
いう。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、
そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅
行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては
、その消滅した額)の求償権を有する。
(委託を受けた保証人の求償権)
第四百五十九条 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をし
た場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言
渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自
己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、そ
の保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。
2 (略) 2 (同上) 57(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権)第四百五十九条の二 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証
をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為
をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債
務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。こ
の場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相
殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権
者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を
請求することができる。
(新設)
2 前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利
息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避ける
ことができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
3 第一項の求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければ、こ
れを行使することができない。
(委託を受けた保証人の事前の求償権)
第四百六十条 (略)
一・二 (略)
三 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡し
を受けたとき。
(委託を受けた保証人の事前の求償権)
第四百六十条 (同上)
一・二 (同上)
三 債務の弁済期が不確定で、かつ、その最長期をも確定する
ことができない場合において、保証契約の後十年を経過した
とき。 58(主たる債務者が保証人に対して償還をする場合)
第四百六十一条 前条の規定により主たる債務者が保証人に対し
て償還をする場合において、債権者が全部の弁済を受けない間
は、主たる債務者は、保証人に担保を供させ、又は保証人に対
して自己に免責を得させることを請求することができる。
(主たる債務者が保証人に対して償還をする場合)
第四百六十一条 前二条の規定により主たる債務者が保証人に対
して償還をする場合において、債権者が全部の弁済を受けない
間は、主たる債務者は、保証人に担保を供させ、又は保証人に
対して自己に免責を得させることを請求することができる。
2 (略) 2 (同上)
(委託を受けない保証人の求償権)
第四百六十二条 第四百五十九条の二第一項の規定は、主たる債
務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした
場合について準用する。
(委託を受けない保証人の求償権)
第四百六十二条 主たる債務者の委託を受けないで保証をした者
が弁済をし、その他自己の財産をもって主たる債務者にその債
務を免れさせたときは、主たる債務者は、その当時利益を受け
た限度において償還をしなければならない。
2 (略) 2 (同上)
3 第四百五十九条の二第三項の規定は、前二項に規定する保証
人が主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をした場合におけ
る求償権の行使について準用する。
(新設)
(通知を怠った保証人の求償の制限等)
第四百六十三条 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をし
た場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務
の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗する
(通知を怠った保証人の求償の制限)
第四百六十三条 第四百四十三条の規定は、保証人について準用
する。
2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合におい 59ことができた事由をもってその保証人に対抗することができる
。この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したとき
は、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきで
あった債務の履行を請求することができる。
て、善意で弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅さ
せるべき行為をしたときは、第四百四十三条の規定は、主たる
債務者についても準用する。
2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合におい
て、主たる債務者が債務の消滅行為をしたことを保証人に通知
することを怠ったため、その保証人が善意で債務の消滅行為を
したときは、その保証人は、その債務の消滅行為を有効であっ
たものとみなすことができる。
3 保証人が債務の消滅行為をした後に主たる債務者が債務の消
滅行為をした場合においては、保証人が主たる債務者の意思に
反して保証をしたときのほか、保証人が債務の消滅行為をした
ことを主たる債務者に通知することを怠ったため、主たる債務
者が善意で債務の消滅行為をしたときも、主たる債務者は、そ
の債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。
第二目 個人根保証契約 第二目 貸金等根保証契約
(個人根保証契約の保証人の責任等)
第四百六十五条の二 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる
債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって
保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)
(貸金等根保証契約の保証人の責任等)
第四百六十五条の二 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる
債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって
その債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることに 60の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違
約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保
証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、
その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負
う。
よって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれ
るもの(保証人が法人であるものを除く。以下「貸金等根保証
契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務
に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべ
てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害
賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その
履行をする責任を負う。
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、
その効力を生じない。
2 貸金等根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ
、その効力を生じない。
3 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人根保証契約
における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。
3 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、貸金等根保証契
約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。
(個人貸金等根保証契約の元本確定期日)
第四百六十五条の三 個人根保証契約であってその主たる債務の
範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担
する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(以
下「個人貸金等根保証契約」という。)において主たる債務の
元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定
めがある場合において、その元本確定期日がその個人貸金等根
保証契約の締結の日から五年を経過する日より後の日と定めら
れているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じ
ない。
(貸金等根保証契約の元本確定期日)
第四百六十五条の三 貸金等根保証契約において主たる債務の元
本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定め
がある場合において、その元本確定期日がその貸金等根保証契
約の締結の日から五年を経過する日より後の日と定められてい
るときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。 612 個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場
合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じな
い場合を含む。)には、その元本確定期日は、その個人貸金等
根保証契約の締結の日から三年を経過する日とする。
2 貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(
前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場
合を含む。)には、その元本確定期日は、その貸金等根保証契
約の締結の日から三年を経過する日とする。
3 個人貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場
合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から五
年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の
変更は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日の前二箇
月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元
本確定期日が変更前の元本確定期日から五年以内の日となると
きは、この限りでない。
3 貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合に
おいて、変更後の元本確定期日がその変更をした日から五年を
経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更
は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日の前二箇月以
内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確
定期日が変更前の元本確定期日から五年以内の日となるときは
、この限りでない。
4 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人貸金等根保
証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その個人貸
金等根保証契約の締結の日から三年以内の日を元本確定期日と
する旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定
期日とする変更を除く。)について準用する。
4 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、貸金等根保証契
約における元本確定期日の定め及びその変更(その貸金等根保
証契約の締結の日から三年以内の日を元本確定期日とする旨の
定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とす
る変更を除く。)について準用する。
(個人根保証契約の元本の確定事由)
第四百六十五条の四 次に掲げる場合には、個人根保証契約にお
ける主たる債務の元本は、確定する。ただし、第一号に掲げる
場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があ
ったときに限る。
(貸金等根保証契約の元本の確定事由)
第四百六十五条の四 次に掲げる場合には、貸金等根保証契約に
おける主たる債務の元本は、確定する。 62一 債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とす
る債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたと
き。
二 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
三 (略)
一 債権者が、主たる債務者又は保証人の財産について、金銭
の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実
行を申し立てたとき。ただし、強制執行又は担保権の実行の
手続の開始があったときに限る。
二 主たる債務者又は保証人が破産手続開始の決定を受けたと
き。
三 (同上)
2 前項に規定する場合のほか、個人貸金等根保証契約における
主たる債務の元本は、次に掲げる場合にも確定する。ただし、
第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の
手続の開始があったときに限る。
一 債権者が、主たる債務者の財産について、金銭の支払を目
的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立
てたとき。
二 主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
(新設)
(保証人が法人である根保証契約の求償権)
第四百六十五条の五 保証人が法人である根保証契約において、
第四百六十五条の二第一項に規定する極度額の定めがないとき
は、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に
係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。(保証人が法人である貸金等債務の根保証契約の求償権)
第四百六十五条の五 保証人が法人である根保証契約であってそ
の主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、第
四百六十五条の二第一項に規定する極度額の定めがないとき、
元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若し
くはその変更が第四百六十五条の三第一項若しくは第三項の規 632 保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範
囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、元本確定期日の定め
がないとき、又は元本確定期日の定め若しくはその変更が第四
百六十五条の三第一項若しくは第三項の規定を適用するとすれ
ばその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保
証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務と
する保証契約は、その効力を生じない。主たる債務の範囲にそ
の求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする。
3 前二項の規定は、求償権に係る債務を主たる債務とする保証
契約又は主たる債務の範囲に求償権に係る債務が含まれる根保
証契約の保証人が法人である場合には、適用しない。
定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、
その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権につい
ての保証契約(保証人が法人であるものを除く。)は、その効
力を生じない。
第三目 事業に係る債務についての保証契約の特則 (新設)
(公正証書の作成と保証の効力)
第四百六十五条の六 事業のために負担した貸金等債務を主たる
債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担
する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先
立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証
人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していな
ければ、その効力を生じない。
(新設)
2 前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなけ 64ればならない。
一 保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の
区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に
口授すること。
イ 保証契約(ロに掲げるものを除く。) 主たる債務の債
権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する
利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのも
のの定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債
務を履行しないときには、その債務の全額について履行す
る意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯し
て債務を負担しようとするものである場合には、債権者が
主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者
がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保
証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行
する意思)を有していること。
ロ 根保証契約 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債
務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定
めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履
行しないときには、極度額の限度において元本確定期日又
は第四百六十五条の四第一項各号若しくは第二項各号に掲
げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに
生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、 65違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの全
額について履行する意思(保証人になろうとする者が主た
る債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場
合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどう
か、主たる債務者がその債務を履行することができるかど
うか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その
全額について履行する意思)を有していること。
二 公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これ
を保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させるこ
と。
三 保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した
後、署名し、印を押すこと。ただし、保証人になろうとする
者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付
記して、署名に代えることができる。
四 公証人が、その証書は前三号に掲げる方式に従って作った
ものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
3 前二項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合
には、適用しない。
(保証に係る公正証書の方式の特則)
第四百六十五条の七 前条第一項の保証契約又は根保証契約の保
証人になろうとする者が口がきけない者である場合には、公証
(新設) 66人の前で、同条第二項第一号イ又はロに掲げる契約の区分に応
じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を通訳人の通訳により
申述し、又は自書して、同号の口授に代えなければならない。
この場合における同項第二号の規定の適用については、同号中
「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」と
する。
2 前条第一項の保証契約又は根保証契約の保証人になろうとす
る者が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第二
項第二号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により保証人
になろうとする者に伝えて、同号の読み聞かせに代えることが
できる。
3 公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったと
きは、その旨をその証書に付記しなければならない。
(公正証書の作成と求償権についての保証の効力)
第四百六十五条の八 第四百六十五条の六第一項及び第二項並び
に前条の規定は、事業のために負担した貸金等債務を主たる債
務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担す
る貸金等債務が含まれる根保証契約の保証人の主たる債務者に
対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約について
準用する。主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれ
る根保証契約も、同様とする。
(新設) 672 前項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合に
は、適用しない。
(公正証書の作成と保証の効力に関する規定の適用除外)
第四百六十五条の九 前三条の規定は、保証人になろうとする者
が次に掲げる者である保証契約については、適用しない。
一 主たる債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行
役又はこれらに準ずる者
二 主たる債務者が法人である場合の次に掲げる者
イ 主たる債務者の総株主の議決権(株主総会において決議
をすることができる事項の全部につき議決権を行使するこ
とができない株式についての議決権を除く。以下この号に
おいて同じ。)の過半数を有する者
ロ 主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社
が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権
の過半数を有する者
ハ 主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社
及び当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する
者が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決
権の過半数を有する者
ニ 株式会社以外の法人が主たる債務者である場合における
イ、ロ又はハに掲げる者に準ずる者
(新設) 68三 主たる債務者(法人であるものを除く。以下この号におい
て同じ。)と共同して事業を行う者又は主たる債務者が行う
事業に現に従事している主たる債務者の配偶者
(契約締結時の情報の提供義務)
第四百六十五条の十 主たる債務者は、事業のために負担する債
務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のため
に負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を
受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなけれ
ばならない。
一 財産及び収支の状況
二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及
び履行状況
三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとす
るものがあるときは、その旨及びその内容
(新設)
2 主たる債務者が前項各号に掲げる事項に関して情報を提供せ
ず、又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者が
その事項について誤認をし、それによって保証契約の申込み又
はその承諾の意思表示をした場合において、主たる債務者がそ
の事項に関して情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供し
たことを債権者が知り又は知ることができたときは、保証人は
、保証契約を取り消すことができる。 693 前二項の規定は、保証をする者が法人である場合には、適用
しない。
(債権の譲渡性)
第四百六十六条 (略)
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(
以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても
、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたこと
を知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の
第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことがで
き、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由
をもってその第三者に対抗することができる。
4 前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同
項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催
告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者について
は、適用しない。
(債権の譲渡性)
第四百六十六条 (同上)
2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適
用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗する
ことができない。
(新設)
(新設)
(譲渡制限の意思表示がされた債権に係る債務者の供託)
第四百六十六条の二 債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金
銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全
額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現
(新設) 70在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を
含む。次条において同じ。)の供託所に供託することができる。2 前項の規定により供託をした債務者は、遅滞なく、譲渡人及
び譲受人に供託の通知をしなければならない。
3 第一項の規定により供託をした金銭は、譲受人に限り、還付
を請求することができる。
第四百六十六条の三 前条第一項に規定する場合において、譲渡
人について破産手続開始の決定があったときは、譲受人(同項
の債権の全額を譲り受けた者であって、その債権の譲渡を債務
者その他の第三者に対抗することができるものに限る。)は、
譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によ
って知らなかったときであっても、債務者にその債権の全額に
相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託させることができ
る。この場合においては、同条第二項及び第三項の規定を準用
する。
(新設)
(譲渡制限の意思表示がされた債権の差押え)
第四百六十六条の四 第四百六十六条第三項の規定は、譲渡制限
の意思表示がされた債権に対する強制執行をした差押債権者に
対しては、適用しない。
(新設) 712 前項の規定にかかわらず、譲受人その他の第三者が譲渡制限
の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知ら
なかった場合において、その債権者が同項の債権に対する強制
執行をしたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことがで
き、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由
をもって差押債権者に対抗することができる。
(預金債権又は貯金債権に係る譲渡制限の意思表示の効力)
第四百六十六条の五 預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金
に係る債権(以下「預貯金債権」という。)について当事者が
した譲渡制限の意思表示は、第四百六十六条第二項の規定にか
かわらず、その譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は
重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗
することができる。
2 前項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた預貯金債権に対
する強制執行をした差押債権者に対しては、適用しない。
(新設)
(将来債権の譲渡性)
第四百六十六条の六 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が
現に発生していることを要しない。
2 債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が
現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に
(新設) 72取得する。
3 前項に規定する場合において、譲渡人が次条の規定による通
知をし、又は債務者が同条の規定による承諾をした時(以下「
対抗要件具備時」という。)までに譲渡制限の意思表示がされ
たときは、譲受人その他の第三者がそのことを知っていたもの
とみなして、第四百六十六条第三項(譲渡制限の意思表示がさ
れた債権が預貯金債権の場合にあっては、前条第一項)の規定
を適用する。
(債権の譲渡の対抗要件)
第四百六十七条 債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を
含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾を
しなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。2 (略)
(指名債権の譲渡の対抗要件)
第四百六十七条 指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし
、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対
抗することができない。
2 (同上)
(債権の譲渡における債務者の抗弁)
第四百六十八条 債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対し
て生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
2 第四百六十六条第四項の場合における前項の規定の適用につ
いては、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十
六条第四項の相当の期間を経過した時」とし、第四百六十六条
(指名債権の譲渡における債務者の抗弁)
第四百六十八条 債務者が異議をとどめないで前条の承諾をした
ときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これ
をもって譲受人に対抗することができない。この場合において
、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したも
のがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務 73の三の場合における同項の規定の適用については、同項中「対
抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条の三の規定によ
り同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。
があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。
2 譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、そ
の通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受
人に対抗することができる。
(債権の譲渡における相殺権)
第四百六十九条 債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲
渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することが
できる。
2 債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債
権であっても、その債権が次に掲げるものであるときは、前項
と同様とする。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人
の債権を取得したときは、この限りでない。
一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権
二 前号に掲げるもののほか、譲受人の取得した債権の発生原
因である契約に基づいて生じた債権
3 第四百六十六条第四項の場合における前二項の規定の適用に
ついては、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「
第四百六十六条第四項の相当の期間を経過した時」とし、第四
百六十六条の三の場合におけるこれらの規定の適用については
、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六
十六条の三の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた
(指図債権の譲渡の対抗要件)
第四百六十九条 指図債権の譲渡は、その証書に譲渡の裏書をし
て譲受人に交付しなければ、債務者その他の第三者に対抗する
ことができない。 74時」とする。
(削る)
(指図債権の債務者の調査の権利等)
第四百七十条 指図債権の債務者は、その証書の所持人並びにそ
の署名及び押印の真偽を調査する権利を有するが、その義務を
負わない。ただし、債務者に悪意又は重大な過失があるときは
、その弁済は、無効とする。
(削る)
(記名式所持人払債権の債務者の調査の権利等)
第四百七十一条 前条の規定は、債権に関する証書に債権者を指
名する記載がされているが、その証書の所持人に弁済をすべき
旨が付記されている場合について準用する。
(削る)
(指図債権の譲渡における債務者の抗弁の制限)
第四百七十二条 指図債権の債務者は、その証書に記載した事項
及びその証書の性質から当然に生ずる結果を除き、その指図債
権の譲渡前の債権者に対抗することができた事由をもって善意
の譲受人に対抗することができない。
(削る)
(無記名債権の譲渡における債務者の抗弁の制限)
第四百七十三条 前条の規定は、無記名債権について準用する。 75第五節 債務の引受け
第一款 併存的債務引受
(併存的債務引受の要件及び効果)
第四百七十条 併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、
債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負
担する。
2 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によっ
てすることができる。
3 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によっ
てもすることができる。この場合において、併存的債務引受は
、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力
を生ずる。
4 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のために
する契約に関する規定に従う。
(新設)
(新設)
(新設)
(併存的債務引受における引受人の抗弁等)
第四百七十一条 引受人は、併存的債務引受により負担した自己
の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張すること
ができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。
2 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、
引受人は、これらの権利の行使によって債務者がその債務を免
(新設) 76れるべき限度において、債権者に対して債務の履行を拒むこと
ができる。
第二款 免責的債務引受
(免責的債務引受の要件及び効果)
第四百七十二条 免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対
して負担する債務と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己
の債務を免れる。
2 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によっ
てすることができる。この場合において、免責的債務引受は、
債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、そ
の効力を生ずる。
3 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債
権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもする
ことができる。
(新設)
(新設)
(免責的債務引受における引受人の抗弁等)
第四百七十二条の二 引受人は、免責的債務引受により負担した
自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張する
ことができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。
2 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、
(新設) 77引受人は、免責的債務引受がなければこれらの権利の行使によ
って債務者がその債務を免れることができた限度において、債
権者に対して債務の履行を拒むことができる。
(免責的債務引受における引受人の求償権)
第四百七十二条の三 免責的債務引受の引受人は、債務者に対し
て求償権を取得しない。
(新設)
(免責的債務引受による担保の移転)
第四百七十二条の四 債権者は、第四百七十二条第一項の規定に
より債務者が免れる債務の担保として設定された担保権を引受
人が負担する債務に移すことができる。ただし、引受人以外の
者がこれを設定した場合には、その承諾を得なければならない。2 前項の規定による担保権の移転は、あらかじめ又は同時に引
受人に対してする意思表示によってしなければならない。
3 前二項の規定は、第四百七十二条第一項の規定により債務者
が免れる債務の保証をした者があるときについて準用する。
4 前項の場合において、同項において準用する第一項の承諾は
、書面でしなければ、その効力を生じない。
5 前項の承諾がその内容を記録した電磁的記録によってされた
ときは、その承諾は、書面によってされたものとみなして、同
(新設) 78項の規定を適用する。
第六節 債権の消滅
(弁済)
第四百七十三条 債務者が債権者に対して債務の弁済をしたとき
は、その債権は、消滅する。
第五節 債権の消滅
(新設)
(第三者の弁済)
第四百七十四条 債務の弁済は、第三者もすることができる。
2 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、
債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債
務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この
限りでない。
3 前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をする
ことができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて
弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたとき
は、この限りでない。
4 前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さない
とき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する
(第三者の弁済)
第四百七十四条 債務の弁済は、第三者もすることができる。た
だし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反
対の意思を表示したときは、この限りでない。
2 利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済を
することができない。
(新設)
(新設) 79旨の意思表示をしたときは、適用しない。
(弁済として引き渡した物の取戻し)
第四百七十五条 (略)
(弁済として引き渡した物の取戻し)
第四百七十五条 (同上)
(削る) 第四百七十六条 譲渡につき行為能力の制限を受けた所有者が弁
済として物の引渡しをした場合において、その弁済を取り消し
たときは、その所有者は、更に有効な弁済をしなければ、その
物を取り戻すことができない。
(弁済として引き渡した物の消費又は譲渡がされた場合の弁済
の効力等)
第四百七十六条 前条の場合において、債権者が弁済として受領
した物を善意で消費し、又は譲り渡したときは、その弁済は、
有効とする。この場合において、債権者が第三者から賠償の請
求を受けたときは、弁済をした者に対して求償をすることを妨
げない。
(弁済として引き渡した物の消費又は譲渡がされた場合の弁済
の効力等)
第四百七十七条 前二条の場合において、債権者が弁済として受
領した物を善意で消費し、又は譲り渡したときは、その弁済は
、有効とする。この場合において、債権者が第三者から賠償の
請求を受けたときは、弁済をした者に対して求償をすることを
妨げない。
(預金又は貯金の口座に対する払込みによる弁済)
第四百七十七条 債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みに
よってする弁済は、債権者がその預金又は貯金に係る債権の債
務者に対してその払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を
(新設) 80取得した時に、その効力を生ずる。
(受領権者としての外観を有する者に対する弁済)
第四百七十八条 受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の
意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をい
う。以下同じ。)以外の者であって取引上の社会通念に照らし
て受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、そ
の弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限
り、その効力を有する。
(債権の準占有者に対する弁済)
第四百七十八条 債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済
をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、そ
の効力を有する。
(受領権者以外の者に対する弁済)
第四百七十九条 前条の場合を除き、受領権者以外の者に対して
した弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度において
のみ、その効力を有する。
(受領する権限のない者に対する弁済)
第四百七十九条 前条の場合を除き、弁済を受領する権限を有し
ない者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受け
た限度においてのみ、その効力を有する。
第四百八十条 削除
(受取証書の持参人に対する弁済)
第四百八十条 受取証書の持参人は、弁済を受領する権限がある
ものとみなす。ただし、弁済をした者がその権限がないことを
知っていたとき、又は過失によって知らなかったときは、この
限りでない。
(差押えを受けた債権の第三債務者の弁済) (支払の差止めを受けた第三債務者の弁済) 81第四百八十一条 差押えを受けた債権の第三債務者が自己の債権
者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度
において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することがで
きる。
2 (略)
第四百八十一条 支払の差止めを受けた第三債務者が自己の債権
者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度
において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することがで
きる。
2 (同上)
(代物弁済)
第四百八十二条 弁済をすることができる者(以下「弁済者」と
いう。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて
他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場
合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給
付は、弁済と同一の効力を有する。
(代物弁済)
第四百八十二条 債務者が、債権者の承諾を得て、その負担した
給付に代えて他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一
の効力を有する。
(特定物の現状による引渡し)
第四百八十三条 債権の目的が特定物の引渡しである場合におい
て、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照ら
してその引渡しをすべき時の品質を定めることができないとき
は、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を
引き渡さなければならない。
(特定物の現状による引渡し)
第四百八十三条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁
済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡
さなければならない。
(弁済の場所及び時間)
第四百八十四条 (略)
(弁済の場所)
第四百八十四条 (同上) 822 法令又は慣習により取引時間の定めがあるときは、その取引
時間内に限り、弁済をし、又は弁済の請求をすることができる。(新設)
(受取証書の交付請求)
第四百八十六条 弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領
する者に対して受取証書の交付を請求することができる。
(受取証書の交付請求)
第四百八十六条 弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受
取証書の交付を請求することができる。
(同種の給付を目的とする数個の債務がある場合の充当)
第四百八十八条 債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目
的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供
した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないとき(次条第
一項に規定する場合を除く。)は、弁済をする者は、給付の時
に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。
2・3 (略)
4 弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも第一項又は第
二項の規定による指定をしないときは、次の各号の定めるとこ
ろに従い、その弁済を充当する。
一 債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがある
ときは、弁済期にあるものに先に充当する。
二 全ての債務が弁済期にあるとき、又は弁済期にないときは
、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。
(弁済の充当の指定)
第四百八十八条 債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目
的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供
した給付がすべての債務を消滅させるのに足りないときは、弁
済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定
することができる。
2・3 (同上)
(新設) 83三 債務者のために弁済の利益が相等しいときは、弁済期が先
に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。
四 前二号に掲げる事項が相等しい債務の弁済は、各債務の額
に応じて充当する。
(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当)
第四百八十九条 債務者が一個又は数個の債務について元本のほ
か利息及び費用を支払うべき場合(債務者が数個の債務を負担
する場合にあっては、同一の債権者に対して同種の給付を目的
とする数個の債務を負担するときに限る。)において、弁済を
する者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をした
ときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければな
らない。
2 前条の規定は、前項の場合において、費用、利息又は元本の
いずれかの全てを消滅させるのに足りない給付をしたときにつ
いて準用する。
(法定充当)
第四百八十九条 弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも
前条の規定による弁済の充当の指定をしないときは、次の各号
の定めるところに従い、その弁済を充当する。
一 債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがある
ときは、弁済期にあるものに先に充当する。
二 すべての債務が弁済期にあるとき、又は弁済期にないとき
は、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。
三 債務者のために弁済の利益が相等しいときは、弁済期が先
に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。
四 前二号に掲げる事項が相等しい債務の弁済は、各債務の額
に応じて充当する。
(合意による弁済の充当)
第四百九十条 前二条の規定にかかわらず、弁済をする者と弁済
を受領する者との間に弁済の充当の順序に関する合意があると
きは、その順序に従い、その弁済を充当する。
(新設) 84(数個の給付をすべき場合の充当)
第四百九十一条 一個の債務の弁済として数個の給付をすべき場
合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに
足りない給付をしたときは、前三条の規定を準用する。
(数個の給付をすべき場合の充当)
第四百九十条 一個の債務の弁済として数個の給付をすべき場合
において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足
りない給付をしたときは、前二条の規定を準用する。
(削る)
(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当)
第四百九十一条 債務者が一個又は数個の債務について元本のほ
か利息及び費用を支払うべき場合において、弁済をする者がそ
の債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、こ
れを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。
2 第四百八十九条の規定は、前項の場合について準用する。
(弁済の提供の効果)
第四百九十二条 債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行し
ないことによって生ずべき責任を免れる。
(弁済の提供の効果)
第四百九十二条 債務者は、弁済の提供の時から、債務の不履行
によって生ずべき一切の責任を免れる。
(供託)
第四百九十四条 弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のため
に弁済の目的物を供託することができる。この場合においては
、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒ん
(供託)
第四百九十四条 債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領す
ることができないときは、弁済をすることができる者(以下こ
の目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の
目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が過 85だとき。
二 債権者が弁済を受領することができないとき。
2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同
様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでな
い。
失なく債権者を確知することができないときも、同様とする。
(供託に適しない物等)
第四百九十七条 弁済者は、次に掲げる場合には、裁判所の許可
を得て、弁済の目的物を競売に付し、その代金を供託すること
ができる。
一 その物が供託に適しないとき。
二 その物について滅失、損傷その他の事由による価格の低落
のおそれがあるとき。
三 その物の保存について過分の費用を要するとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、その物を供託することが困難
な事情があるとき。
(供託に適しない物等)
第四百九十七条 弁済の目的物が供託に適しないとき、又はその
物について滅失若しくは損傷のおそれがあるときは、弁済者は
、裁判所の許可を得て、これを競売に付し、その代金を供託す
ることができる。その物の保存について過分の費用を要すると
きも、同様とする。
(供託物の還付請求等)
第四百九十八条 弁済の目的物又は前条の代金が供託された場合
には、債権者は、供託物の還付を請求することができる。
2 (略)
(供託物の受領の要件)
第四百九十八条 (新設)
(同上) 86(弁済による代位の要件)
第四百九十九条 債務者のために弁済をした者は、債権者に代位
する。
(削る)
(任意代位)
第四百九十九条 債務者のために弁済をした者は、その弁済と同
時に債権者の承諾を得て、債権者に代位することができる。
2 第四百六十七条の規定は、前項の場合について準用する。
第五百条 第四百六十七条の規定は、前条の場合(弁済をするに
ついて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を除く。
)について準用する。
(法定代位)
第五百条 弁済をするにつ いて正当な利益を有する者は、
弁済によって当然に債権者に代位する。
(弁済による代位の効果)
第五百一条 前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の
効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使
することができる。
(削る)
(削る)
(削る)
(弁済による代位の効果)
第五百一条 前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の
権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権
の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行
使することができる。この場合においては、次の各号の定める
ところに従わなければならない。
一 保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の
登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質
権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権
者に代位することができない。
二 第三取得者は、保証人に対して債権者に代位しない。
三 第三取得者の一人は、各不動産の価格に応じて、他の第三 87(削る)
(削る)
(削る)
2 前項の規定による権利の行使は、債権者に代位した者が自己
の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲
内(保証人の一人が他の保証人に対して債権者に代位する場合
には、自己の権利に基づいて当該他の保証人に対して求償をす
ることができる範囲内)に限り、することができる。
3 第一項の場合には、前項の規定によるほか、次に掲げるとこ
ろによる。
一 第三取得者(債務者から担保の目的となっている財産を譲
り受けた者をいう。以下この項において同じ。)は、保証人
及び物上保証人に対して債権者に代位しない。
二 第三取得者の一人は、各財産の価格に応じて、他の第三取
得者に対して債権者に代位する。
三 前号の規定は、物上保証人の一人が他の物上保証人に対し
取得者に対して債権者に代位する。
四 物上保証人の一人は、各財産の価格に応じて、他の物上保
証人に対して債権者に代位する。
五 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、
債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、
保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応
じて、債権者に代位する。
六 前号の場合において、その財産が不動産であるときは、第
一号の規定を準用する。
(新設)
(新設) 88て債権者に代位する場合について準用する。
四 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、
債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、
保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応
じて、債権者に代位する。
五 第三取得者から担保の目的となっている財産を譲り受けた
者は、第三取得者とみなして第一号及び第二号の規定を適用
し、物上保証人から担保の目的となっている財産を譲り受け
た者は、物上保証人とみなして第一号、第三号及び前号の規
定を適用する。
(一部弁済による代位)
第五百二条 債権の一部について代位弁済があったときは、代位
者は、債権者の同意を得て、その弁済をした価額に応じて、債
権者とともにその権利を行使することができる。
2 前項の場合であっても、債権者は、単独でその権利を行使す
ることができる。
3 前二項の場合に債権者が行使する権利は、その債権の担保の
目的となっている財産の売却代金その他の当該権利の行使によ
って得られる金銭について、代位者が行使する権利に優先する。4 第一項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、
(一部弁済による代位)
第五百二条 債権の一部について代位弁済があったときは、代位
者は、その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利
を行使する。
(新設)
(新設)
2 前項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、債 89債権者のみがすることができる。この場合においては、代位者
に対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければな
らない。
権者のみがすることができる。この場合においては、代位者に
対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければなら
ない。
(債権者による担保の喪失等)
第五百四条 弁済をするについて正当な利益を有する者(以下こ
の項において「代位権者」という。)がある場合において、債
権者が故意又は過失によってその担保を喪失し、又は減少させ
たときは、その代位権者は、代位をするに当たって担保の喪失
又は減少によって償還を受けることができなくなる限度におい
て、その責任を免れる。その代位権者が物上保証人である場合
において、その代位権者から担保の目的となっている財産を譲
り受けた第三者及びその特定承継人についても、同様とする。
2 前項の規定は、債権者が担保を喪失し、又は減少させたこと
について取引上の社会通念に照らして合理的な理由があると認
められるときは、適用しない。
(債権者による担保の喪失等)
第五百四条 第五百条の規定により代位をすることができる者が
ある場合において、債権者が故意又は過失によってその担保を
喪失し、又は減少させたときは、その代位をすることができる
者は、その喪失又は減少によって償還を受けることができなく
なった限度において、その責任を免れる。
(新設)
(相殺の要件等)
第五百五条 (略)
2 前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限
する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者が
これを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り
(相殺の要件等)
第五百五条 (同上)
2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適
用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗する
ことができない。 90、その第三者に対抗することができる。
(不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第五百九条 次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に
対抗することができない。ただし、その債権者がその債務に係
る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。
一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲
げるものを除く。)
(不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第五百九条 債務が不法行為によって生じたときは、その債務者
は、相殺をもって債権者に対抗することができない。
(差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第五百十一条 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に
取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することは
できないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗
することができる。
2 前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が差押え
前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者
は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することが
できる。ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得し
たときは、この限りでない。
(支払の差止めを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第五百十一条 支払の差止めを受けた第三債務者は、その後に取
得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することがで
きない。
(新設)
(相殺の充当) (相殺の充当) 91第五百十二条 債権者が債務者に対して有する一個又は数個の債
権と、債権者が債務者に対して負担する一個又は数個の債務に
ついて、債権者が相殺の意思表示をした場合において、当事者
が別段の合意をしなかったときは、債権者の有する債権とその
負担する債務は、相殺に適するようになった時期の順序に従っ
て、その対当額について相殺によって消滅する。
2 前項の場合において、相殺をする債権者の有する債権がその
負担する債務の全部を消滅させるのに足りないときであって、
当事者が別段の合意をしなかったときは、次に掲げるところに
よる。
一 債権者が数個の債務を負担するとき(次号に規定する場合
を除く。)は、第四百八十八条第四項第二号から第四号まで
の規定を準用する。
二 債権者が負担する一個又は数個の債務について元本のほか
利息及び費用を支払うべきときは、第四百八十九条の規定を
準用する。この場合において、同条第二項中「前条」とある
のは、「前条第四項第二号から第四号まで」と読み替えるも
のとする。
3 第一項の場合において、相殺をする債権者の負担する債務が
その有する債権の全部を消滅させるのに足りないときは、前項
の規定を準用する。
第五百十二条 第四百八十八条から第四百九十一条までの規定は
、相殺について準用する。 92第五百十二条の二 債権者が債務者に対して有する債権に、一個
の債権の弁済として数個の給付をすべきものがある場合におけ
る相殺については、前条の規定を準用する。債権者が債務者に
対して負担する債務に、一個の債務の弁済として数個の給付を
すべきものがある場合における相殺についても、同様とする。
(新設)
(更改)
第五百十三条 当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であっ
て次に掲げるものを発生させる契約をしたときは、従前の債務
は、更改によって消滅する。
一 従前の給付の内容について重要な変更をするもの
二 従前の債務者が第三者と交替するもの
三 従前の債権者が第三者と交替するもの
(削る)
(更改)
第五百十三条 当事者が債務の要素を変更する契約をしたときは
、その債務は、更改によって消滅する。
(新設)
(新設)
(新設)
2 条件付債務を無条件債務としたとき、無条件債務に条件を付
したとき、又は債務の条件を変更したときは、いずれも債務の
要素を変更したものとみなす。
(債務者の交替による更改)
第五百十四条 債務者の交替による更改は、債権者と更改後に債
務者となる者との契約によってすることができる。この場合に
おいて、更改は、債権者が更改前の債務者に対してその契約を
した旨を通知した時に、その効力を生ずる。
(債務者の交替による更改)
第五百十四条 債務者の交替による更改は、債権者と更改後に債
務者となる者との契約によってすることができる。ただし、更
改前の債務者の意思に反するときは、この限りでない。 932 債務者の交替による更改後の債務者は、更改前の債務者に対
して求償権を取得しない。
(新設)
(債権者の交替による更改)
第五百十五条 債権者の交替による更改は、更改前の債権者、更
改後に債権者となる者及び債務者の契約によってすることがで
きる。
2 (略)
(債権者の交替による更改)
第五百十五条 (新設)
(同上)
第五百十六条及び第五百十七条 削除 第五百十六条 第四百六十八条第一項の規定は、債権者の交替に
よる更改について準用する。
(更改前の債務が消滅しない場合)
第五百十七条 更改によって生じた債務が、不法な原因のため又
は当事者の知らない事由によって成立せず又は取り消されたと
きは、更改前の債務は、消滅しない。
(更改後の債務への担保の移転)
第五百十八条 債権者(債権者の交替による更改にあっては、更
改前の債権者)は、更改前の債務の目的の限度において、その
債務の担保として設定された質権又は抵当権を更改後の債務に
移すことができる。ただし、第三者がこれを設定した場合には
、その承諾を得なければならない。
(更改後の債務への担保の移転)
第五百十八条 更改の当事者は、更改前の債務の目的の限度にお
いて、その債務の担保として設定された質権又は抵当権を更改
後の債務に移すことができる。ただし、第三者がこれを設定し
た場合には、その承諾を得なければならない。 942 前項の質権又は抵当権の移転は、あらかじめ又は同時に更改
の相手方(債権者の交替による更改にあっては、債務者)に対
してする意思表示によってしなければならない。
(新設)
第七節 有価証券
第一款 指図証券
(新設)
(新設)
(指図証券の譲渡)
第五百二十条の二 指図証券の譲渡は、その証券に譲渡の裏書を
して譲受人に交付しなければ、その効力を生じない。
(新設)
(指図証券の裏書の方式)
第五百二十条の三 指図証券の譲渡については、その指図証券の
性質に応じ、手形法(昭和七年法律第二十号)中裏書の方式に
関する規定を準用する。
(新設)
(指図証券の所持人の権利の推定)
第五百二十条の四 指図証券の所持人が裏書の連続によりその権
利を証明するときは、その所持人は、証券上の権利を適法に有
するものと推定する。
(新設)
(指図証券の善意取得) 95第五百二十条の五 何らかの事由により指図証券の占有を失った
者がある場合において、その所持人が前条の規定によりその権
利を証明するときは、その所持人は、その証券を返還する義務
を負わない。ただし、その所持人が悪意又は重大な過失により
その証券を取得したときは、この限りでない。
(新設)
(指図証券の譲渡における債務者の抗弁の制限)
第五百二十条の六 指図証券の債務者は、その証券に記載した事
項及びその証券の性質から当然に生ずる結果を除き、その証券
の譲渡前の債権者に対抗することができた事由をもって善意の
譲受人に対抗することができない。
(新設)
(指図証券の質入れ)
第五百二十条の七 第五百二十条の二から前条までの規定は、指
図証券を目的とする質権の設定について準用する。
(新設)
(指図証券の弁済の場所)
第五百二十条の八 指図証券の弁済は、債務者の現在の住所にお
いてしなければならない。
(新設)
(指図証券の提示と履行遅滞)
第五百二十条の九 指図証券の債務者は、その債務の履行につい (新設) 96て期限の定めがあるときであっても、その期限が到来した後に
所持人がその証券を提示してその履行の請求をした時から遅滞
の責任を負う。
(指図証券の債務者の調査の権利等)
第五百二十条の十 指図証券の債務者は、その証券の所持人並び
にその署名及び押印の真偽を調査する権利を有するが、その義
務を負わない。ただし、債務者に悪意又は重大な過失があると
きは、その弁済は、無効とする。
(新設)
(指図証券の喪失)
第五百二十条の十一 指図証券は、非訟事件手続法(平成二十三
年法律第五十一号)第百条に規定する公示催告手続によって無
効とすることができる。
(新設)
(指図証券喪失の場合の権利行使方法)
第五百二十条の十二 金銭その他の物又は有価証券の給付を目的
とする指図証券の所持人がその指図証券を喪失した場合におい
て、非訟事件手続法第百十四条に規定する公示催告の申立てを
したときは、その債務者に、その債務の目的物を供託させ、又
は相当の担保を供してその指図証券の趣旨に従い履行をさせる
ことができる。
(新設) 97第二款 記名式所持人払証券 (新設)
(記名式所持人払証券の譲渡)
第五百二十条の十三 記名式所持人払証券(債権者を指名する記
載がされている証券であって、その所持人に弁済をすべき旨が
付記されているものをいう。以下同じ。)の譲渡は、その証券
を交付しなければ、その効力を生じない。
(新設)
(記名式所持人払証券の所持人の権利の推定)
第五百二十条の十四 記名式所持人払証券の所持人は、証券上の
権利を適法に有するものと推定する。
(新設)
(記名式所持人払証券の善意取得)
第五百二十条の十五 何らかの事由により記名式所持人払証券の
占有を失った者がある場合において、その所持人が前条の規定
によりその権利を証明するときは、その所持人は、その証券を
返還する義務を負わない。ただし、その所持人が悪意又は重大
な過失によりその証券を取得したときは、この限りでない。
(新設)
(記名式所持人払証券の譲渡における債務者の抗弁の制限)
第五百二十条の十六 記名式所持人払証券の債務者は、その証券 (新設) 98に記載した事項及びその証券の性質から当然に生ずる結果を除
き、その証券の譲渡前の債権者に対抗することができた事由を
もって善意の譲受人に対抗することができない。
(記名式所持人払証券の質入れ)
第五百二十条の十七 第五百二十条の十三から前条までの規定は
、記名式所持人払証券を目的とする質権の設定について準用す
る。
(新設)
(指図証券の規定の準用)
第五百二十条の十八 第五百二十条の八から第五百二十条の十二
までの規定は、記名式所持人払証券について準用する。
(新設)
第三款 その他の記名証券 (新設)
第五百二十条の十九 債権者を指名する記載がされている証券で
あって指図証券及び記名式所持人払証券以外のものは、債権の
譲渡又はこれを目的とする質権の設定に関する方式に従い、か
つ、その効力をもってのみ、譲渡し、又は質権の目的とするこ
とができる。
2 第五百二十条の十一及び第五百二十条の十二の規定は、前項
の証券について準用する。
(新設) 99第四款 無記名証券 (新設)
第五百二十条の二十 第二款(記名式所持人払証券)の規定は、
無記名証券について準用する。
(新設)
(契約の締結及び内容の自由)
第五百二十一条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、
契約をするかどうかを自由に決定することができる。
(新設)
2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由
に決定することができる。
(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入
れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承
諾をしたときに成立する。
(新設)
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面
の作成その他の方式を具備することを要しない。
(承諾の期間の定めのある申込み)
第五百二十三条 承諾の期間を定めてした申込みは、撤回するこ
とができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したと
(承諾の期間の定めのある申込み)
第五百二十一条 承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回
することができない。 100きは、この限りでない。
2 (略) 2 (同上)
(削る)
(承諾の通知の延着)
第五百二十二条 前条第一項の申込みに対する承諾の通知が同項
の期間の経過後に到達した場合であっても、通常の場合にはそ
の期間内に到達すべき時に発送したものであることを知ること
ができるときは、申込者は、遅滞なく、相手方に対してその延
着の通知を発しなければならない。ただし、その到達前に遅延
の通知を発したときは、この限りでない。
2 申込者が前項本文の延着の通知を怠ったときは、承諾の通知
は、前条第一項の期間内に到達したものとみなす。
(遅延した承諾の効力)
第五百二十四条 (略)
(遅延した承諾の効力)
第五百二十三条 (同上)
(承諾の期間の定めのない申込み)
第五百二十五条 承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者
が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回
することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保
したときは、この限りでない。
(承諾の期間の定めのない申込み)
第五百二十四条 承諾の期間を定めないで隔地者に対してした申
込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過す
るまでは、撤回することができない。
2 対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわら (新設) 101ず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することがで
きる。
3 対話者に対してした第一項の申込みに対して対話が継続して
いる間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込
みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその
申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない。(新設)
(削る)
(申込者の死亡又は行為能力の喪失)
第五百二十五条 第九十七条第二項の規定は、申込者が反対の意
思を表示した場合又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為
能力の喪失の事実を知っていた場合には、適用しない。
(申込者の死亡等)
第五百二十六条 申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意
思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を
受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその
申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はそ
の相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを
知ったときは、その申込みは、その効力を有しない。
(隔地者間の契約の成立時期)
第五百二十六条 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成
立する。
2 申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要
としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実
があった時に成立する。
(承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期) (申込みの撤回の通知の延着) 102第五百二十七条 申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾
の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認
めるべき事実があった時に成立する。
第五百二十七条 申込みの撤回の通知が承諾の通知を発した後に
到達した場合であっても、通常の場合にはその前に到達すべき
時に発送したものであることを知ることができるときは、承諾
者は、遅滞なく、申込者に対してその延着の通知を発しなけれ
ばならない。
2 承諾者が前項の延着の通知を怠ったときは、契約は、成立し
なかったものとみなす。
(懸賞広告)
第五百二十九条 ある行為をした者に一定の報酬を与える旨を広
告した者(以下「懸賞広告者」という。)は、その行為をした
者がその広告を知っていたかどうかにかかわらず、その者に対
してその報酬を与える義務を負う。
(懸賞広告)
第五百二十九条 ある行為をした者に一定の報酬を与える旨を広
告した者(以下この款において「懸賞広告者」という。)は、
その行為をした者に対してその報酬を与える義務を負う。
(指定した行為をする期間の定めのある懸賞広告)
第五百二十九条の二 懸賞広告者は、その指定した行為をする期
間を定めてした広告を撤回することができない。ただし、その
広告において撤回をする権利を留保したときは、この限りでな
い。
(新設)
2 前項の広告は、その期間内に指定した行為を完了する者がな
いときは、その効力を失う。 103(指定した行為をする期間の定めのない懸賞広告)
第五百二十九条の三 懸賞広告者は、その指定した行為を完了す
る者がない間は、その指定した行為をする期間を定めないでし
た広告を撤回することができる。ただし、その広告中に撤回を
しない旨を表示したときは、この限りでない。
(新設)
(懸賞広告の撤回の方法)
第五百三十条 前の広告と同一の方法による広告の撤回は、これ
を知らない者に対しても、その効力を有する。
2 広告の撤回は、前の広告と異なる方法によっても、すること
ができる。ただし、その撤回は、これを知った者に対してのみ
、その効力を有する。
(懸賞広告の撤回)
第五百三十条 前条の場合において、懸賞広告者は、その指定し
た行為を完了する者がない間は、前の広告と同一の方法によっ
てその広告を撤回することができる。ただし、その広告中に撤
回をしない旨を表示したときは、この限りでない。
2 前項本文に規定する方法によって撤回をすることができない
場合には、他の方法によって撤回をすることができる。この場
合において、その撤回は、これを知った者に対してのみ、その
効力を有する。
3 懸賞広告者がその指定した行為をする期間を定めたときは、
その撤回をする権利を放棄したものと推定する。
(同時履行の抗弁)
第五百三十三条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務
の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)
を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。た
(同時履行の抗弁)
第五百三十三条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務
の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができ
る。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りで 104だし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。 ない。
第五百三十四条及び第五百三十五条 削除
(債権者の危険負担)
第五百三十四条 特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約
の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰するこ
とができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その
滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
2 不特定物に関する契約については、第四百一条第二項の規定
によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。
(停止条件付双務契約における危険負担)
第五百三十五条 前条の規定は、停止条件付双務契約の目的物が
条件の成否が未定である間に滅失した場合には、適用しない。
2 停止条件付双務契約の目的物が債務者の責めに帰することが
できない事由によって損傷したときは、その損傷は、債権者の
負担に帰する。
3 停止条件付双務契約の目的物が債務者の責めに帰すべき事由
によって損傷した場合において、条件が成就したときは、債権
者は、その選択に従い、契約の履行の請求又は解除権の行使を
することができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨
げない。
(債務者の危険負担等) (債務者の危険負担等) 105第五百三十六条 当事者双方の責めに帰することができない事由
によって債務を履行することができなくなったときは、債権者
は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することが
できなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むこと
ができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れ
たことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなけ
ればならない。
第五百三十六条 前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責
めに帰することができない事由によって債務を履行することが
できなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有
しない。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することが
できなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失
わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって
利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
(第三者のためにする契約)
第五百三十七条 (略)
2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又
は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効
力を妨げられない。
3 第一項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務
者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発
生する。
(第三者のためにする契約)
第五百三十七条 (同上)
(新設)
2 前項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者
に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生
する。
(第三者の権利の確定)
第五百三十八条 (略)
2 前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がそ
(第三者の権利の確定)
第五百三十八条 (同上)
(新設) 106の第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第一項の契
約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除す
ることができない。
第三款 契約上の地位の移転
第五百三十九条の二 契約の当事者の一方が第三者との間で契約
上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の
相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第
三者に移転する。
(新設)
(新設)
第四款 契約の解除 第三款 契約の解除
(催告による解除)
第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合にお
いて、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その
期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすること
ができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履
行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるとき
は、この限りでない。
(履行遅滞等による解除権)
第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合にお
いて、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その
期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすること
ができる。
(催告によらない解除) (定期行為の履行遅滞による解除権) 107第五百四十二条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告を
することなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表
示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務
の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において
、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができ
ないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は
一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達するこ
とができない場合において、債務者が履行をしないでその時
期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせ
ず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するの
に足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく
、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表
示したとき。
第五百四十二条 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定
の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を
達することができない場合において、当事者の一方が履行をし
ないでその時期を経過したときは、相手方は、前条の催告をす
ることなく、直ちにその契約の解除をすることができる。 108(債権者の責めに帰すべき事由による場合)
第五百四十三条 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由に
よるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の
解除をすることができない。
(履行不能による解除権)
第五百四十三条 履行の全部又は一部が不能となったときは、債
権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の
不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるもの
であるときは、この限りでない。
(解除の効果)
第五百四十五条 (略)
2 (略)
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは
、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。4 (略)
(解除の効果)
第五百四十五条 (同上)
2 (同上)
(新設)
3 (同上)
(解除権者の故意による目的物の損傷等による解除権の消滅)
第五百四十八条 解除権を有する者が故意若しくは過失によって
契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することができな
くなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他の種類
の物に変えたときは、解除権は、消滅する。ただし、解除権を
有する者がその解除権を有することを知らなかったときは、こ
の限りでない。
(解除権者の行為等による解除権の消滅)
第五百四十八条 解除権を有する者が自己の行為若しくは過失に
よって契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することが
できなくなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他
の種類の物に変えたときは、解除権は、消滅する。 109(削る) 2 契約の目的物が解除権を有する者の行為又は過失によらない
で滅失し、又は損傷したときは、解除権は、消滅しない。
第五款 定型約款
(定型約款の合意)
第五百四十八条の二 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者
を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が
画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以
下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」
という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型
取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の
者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の
条項についても合意をしたものとみなす。
一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。
)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方
に表示していたとき。
2 前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利
を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定
型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして
第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方
(新設)
(新設) 110的に害すると認められるものについては、合意をしなかったも
のとみなす。
(定型約款の内容の表示)
第五百四十八条の三 定型取引を行い、又は行おうとする定型約
款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期
間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方
法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定
型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を
交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは
、この限りでない。
2 定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒
んだときは、前条の規定は、適用しない。ただし、一時的な通
信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限
りでない。
(新設)
(定型約款の変更)
第五百四十八条の四 定型約款準備者は、次に掲げる場合には、
定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項に
ついて合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をする
ことなく契約の内容を変更することができる。
一 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
(新設) 111二 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更
の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型
約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容そ
の他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。
2 定型約款準備者は、前項の規定による定型約款の変更をする
ときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する
旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をイン
ターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければな
らない。
3 第一項第二号の規定による定型約款の変更は、前項の効力発
生時期が到来するまでに同項の規定による周知をしなければ、
その効力を生じない。
4 第五百四十八条の二第二項の規定は、第一項の規定による定
型約款の変更については、適用しない。
(贈与)
第五百四十九条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手
方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、
その効力を生ずる。
(贈与)
第五百四十九条 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相
手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって
、その効力を生ずる。
(書面によらない贈与の解除)
第五百五十条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をするこ
(書面によらない贈与の撤回)
第五百五十条 書面によらない贈与は、各当事者が撤回すること 112とができる。ただし、履行の終わった部分については、この限
りでない。
ができる。ただし、履行の終わった部分については、この限り
でない。
(贈与者の引渡義務等)
第五百五十一条 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈
与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転するこ
とを約したものと推定する。
2 (略)
(贈与者の担保責任)
第五百五十一条 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵
又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者が
その瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは
、この限りでない。
2 (同上)
(手付)
第五百五十七条 買主が売主に手付を交付したときは、買主はそ
の手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解
除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着
手した後は、この限りでない。
2 第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しな
い。
(手付)
第五百五十七条 買主が売主に手付を交付したときは、当事者の
一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し
、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。2 第五百四十五条第三項の規定は、前項の場合には、適用しな
い。
(権利移転の対抗要件に係る売主の義務)
第五百六十条 売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の
目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を
負う。
(他人の権利の売買における売主の義務)
第五百六十条 他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、
その権利を取得して買主に移転する義務を負う。 113(他人の権利の売買における売主の義務)
第五百六十一条 他人の権利(権利の一部が他人に属する場合に
おけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、
売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
(他人の権利の売買における売主の担保責任)
第五百六十一条 前条の場合において、売主がその売却した権利
を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契
約の解除をすることができる。この場合において、契約の時に
おいてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損
害賠償の請求をすることができない。
(買主の追完請求権)
第五百六十二条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関
して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主
に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しに
よる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買
主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した
方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものである
ときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をするこ
とができない。
(他人の権利の売買における善意の売主の解除権)
第五百六十二条 売主が契約の時においてその売却した権利が自
己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取
得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を
賠償して、契約の解除をすることができる。
2 前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受け
た権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買
主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨
を通知して、契約の解除をすることができる。
(買主の代金減額請求権)
第五百六十三条 前条第一項本文に規定する場合において、買主
が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履
(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)
第五百六十三条 売買の目的である権利の一部が他人に属するこ
とにより、売主がこれを買主に移転することができないときは 114行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代
金の減額を請求することができる。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同
項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することが
できる。
一 履行の追完が不能であるとき。
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は
一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達するこ
とができない場合において、売主が履行の追完をしないでそ
の時期を経過したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履
行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであ
るときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をす
ることができない。
、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求
することができる。
2 前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれ
を買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をする
ことができる。
3 代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の
請求をすることを妨げない。
(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
第五百六十四条 前二条の規定は、第四百十五条の規定による損
害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定
による解除権の行使を妨げない。
第五百六十四条 前条の規定による権利は、買主が善意であった
ときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から
、それぞれ一年以内に行使しなければならない。 115(移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の
担保責任)
第五百六十五条 前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が
契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に
属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む。
)について準用する。
(数量の不足又は物の一部滅失の場合における売主の担保責任)第五百六十五条 前二条の規定は、数量を指示して売買をした物
に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた
場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときに
ついて準用する。
(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合
しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不
適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないとき
は、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代
金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることが
できない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又
は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
第五百六十六条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留
置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず
、かつ、そのために契約をした目的を達することができないと
きは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合にお
いて、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請
求のみをすることができる。
2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称
した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記を
した賃貸借があった場合について準用する。
3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、
買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。
(目的物の滅失等についての危険の移転)
第五百六十七条 売主が買主に目的物(売買の目的として特定し
(抵当権等がある場合における売主の担保責任)
第五百六十七条 売買の目的である不動産について存した先取特 116たものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合
において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双
方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損
傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行
の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の
解除をすることができない。この場合において、買主は、代金
の支払を拒むことができない。
2 売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの
債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受け
ることを拒み、又は受けることができない場合において、その
履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することが
できない事由によってその目的物が滅失し、又は損傷したとき
も、前項と同様とする。
権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、
買主は、契約の解除をすることができる。
2 買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主
に対し、その費用の償還を請求することができる。
3 前二項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その
賠償を請求することができる。
(競売における担保責任等)
第五百六十八条 民事執行法その他の法律の規定に基づく競売(
以下この条において単に「競売」という。)における買受人は
、第五百四十一条及び第五百四十二条の規定並びに第五百六十
三条(第五百六十五条において準用する場合を含む。)の規定
により、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請
求することができる。
2・3 (略)
(強制競売における担保責任)
第五百六十八条 強制競売における買受人は、第五百六十一条か
ら前条までの規定により、債務者に対し、契約の解除をし、又
は代金の減額を請求することができる。
2・3 (同上) 1174 前三項の規定は、競売の目的物の種類又は品質に関する不適
合については、適用しない。
(新設)
(抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求)
第五百七十条 買い受けた不動産について契約の内容に適合しな
い先取特権、質権又は抵当権が存していた場合において、買主
が費用を支出してその不動産の所有権を保存したときは、買主
は、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。
(売主の瑕疵担保責任)
第五百七十条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五
百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、こ
の限りでない。
第五百七十一条 削除
(売主の担保責任と同時履行)
第五百七十一条 第五百三十三条の規定は、第五百六十三条から
第五百六十六条まで及び前条の場合について準用する。
(担保責任を負わない旨の特約)
第五百七十二条 売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百
六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特
約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自
ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利について
は、その責任を免れることができない。
(担保責任を負わない旨の特約)
第五百七十二条 売主は、第五百六十条から前条までの規定によ
る担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知り
ながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第
三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることがで
きない。
(権利を取得することができない等のおそれがある場合の買主
による代金の支払の拒絶)
(権利を失うおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶) 118
第五百七十六条 売買の目的について権利を主張する者があるこ
とその他の事由により、買主がその買い受けた権利の全部若し
くは一部を取得することができず、又は失うおそれがあるとき
は、買主は、その危険の程度に応じて、代金の全部又は一部の
支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保を供した
ときは、この限りでない。
第五百七十六条 売買の目的について権利を主張する者があるた
めに買主がその買い受けた権利の全部又は一部を失うおそれが
あるときは、買主は、その危険の限度に応じて、代金の全部又
は一部の支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保
を供したときは、この限りでない。
(抵当権等の登記がある場合の買主による代金の支払の拒絶)
第五百七十七条 買い受けた不動産について契約の内容に適合し
ない抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手
続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる。この場
合において、売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求を
すべき旨を請求することができる。
2 前項の規定は、買い受けた不動産について契約の内容に適合
しない先取特権又は質権の登記がある場合について準用する。
(抵当権等の登記がある場合の買主による代金の支払の拒絶)
第五百七十七条 買い受けた不動産について抵当権の登記がある
ときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代
金の支払を拒むことができる。この場合において、売主は、買
主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求すること
ができる。
2 前項の規定は、買い受けた不動産について先取特権又は質権
の登記がある場合について準用する。
(買戻しの特約)
第五百七十九条 不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻し
の特約により、買主が支払った代金(別段の合意をした場合に
あっては、その合意により定めた金額。第五百八十三条第一項
において同じ。)及び契約の費用を返還して、売買の解除をす
ることができる。この場合において、当事者が別段の意思を表
(買戻しの特約)
第五百七十九条 不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻し
の特約により、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して
、売買の解除をすることができる。この場合において、当事者
が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の
利息とは相殺したものとみなす。 119示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺した
ものとみなす。
(買戻しの特約の対抗力)
第五百八十一条 売買契約と同時に買戻しの特約を登記したとき
は、買戻しは、第三者に対抗することができる。
2 前項の登記がされた後に第六百五条の二第一項に規定する対
抗要件を備えた賃借人の権利は、その残存期間中一年を超えな
い期間に限り、売主に対抗することができる。ただし、売主を
害する目的で賃貸借をしたときは、この限りでない。
(買戻しの特約の対抗力)
第五百八十一条 売買契約と同時に買戻しの特約を登記したとき
は、買戻しは、第三者に対しても、その効力を生ずる。
2 登記をした賃借人の権利は、その残存期間中一年を超えない
期間に限り、売主に対抗することができる。ただし、売主を害
する目的で賃貸借をしたときは、この限りでない。
(書面でする消費貸借等)
第五百八十七条の二 前条の規定にかかわらず、書面でする消費
貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し
、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物を
もって返還をすることを約することによって、その効力を生ず
る。
2 書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受
け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合におい
て、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借
主に対し、その賠償を請求することができる。
3 書面でする消費貸借は、借主が貸主から金銭その他の物を受
(新設) 120け取る前に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは
、その効力を失う。
4 消費貸借がその内容を記録した電磁的記録によってされたと
きは、その消費貸借は、書面によってされたものとみなして、
前三項の規定を適用する。
(準消費貸借)
第五百八十八条 金銭その他の物を給付する義務を負う者がある
場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを
約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみな
す。
(準消費貸借)
第五百八十八条 消費貸借によらないで金銭その他の物を給付す
る義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸
借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによっ
て成立したものとみなす。
(利息)
第五百八十九条 貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を
請求することができない。
2 前項の特約があるときは、貸主は、借主が金銭その他の物を
受け取った日以後の利息を請求することができる。
(消費貸借の予約と破産手続の開始)
第五百八十九条 消費貸借の予約は、その後に当事者の一方が破
産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う。
(貸主の引渡義務等)
第五百九十条 第五百五十一条の規定は、前条第一項の特約のな
い消費貸借について準用する。
2 前条第一項の特約の有無にかかわらず、貸主から引き渡され
(貸主の担保責任)
第五百九十条 利息付きの消費貸借において、物に隠れた瑕疵が
あったときは、貸主は、瑕疵がない物をもってこれに代えなけ
ればならない。この場合においては、損害賠償の請求を妨げな 121た物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであ
るときは、借主は、その物の価額を返還することができる。
い。
2 無利息の消費貸借においては、借主は、瑕疵がある物の価額
を返還することができる。この場合において、貸主がその瑕疵
を知りながら借主に告げなかったときは、前項の規定を準用す
る。
(返還の時期)
第五百九十一条 (略)
2 借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返
還をすることができる。
3 当事者が返還の時期を定めた場合において、貸主は、借主が
その時期の前に返還をしたことによって損害を受けたときは、
借主に対し、その賠償を請求することができる。
(返還の時期)
第五百九十一条 (同上)
2 借主は、いつでも返還をすることができる。
(新設)
(使用貸借)
第五百九十三条 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡す
ことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及
び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約するこ
とによって、その効力を生ずる。
(使用貸借)
第五百九十三条 使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収
益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け
取ることによって、その効力を生ずる。
(借用物受取り前の貸主による使用貸借の解除)
第五百九十三条の二 貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契 (新設) 122約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借に
ついては、この限りでない。
(貸主の引渡義務等)
第五百九十六条 (略)
(貸主の担保責任)
第五百九十六条 (同上)
(期間満了等による使用貸借の終了)
第五百九十七条 当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用
貸借は、その期間が満了することによって終了する。
2 当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用
及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的
に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
3 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
(借用物の返還の時期)
第五百九十七条 借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還を
しなければならない。
2 当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に
定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなけ
ればならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であって
も、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸
主は、直ちに返還を請求することができる。
3 当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかっ
たときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。
(使用貸借の解除)
第五百九十八条 貸主は、前条第二項に規定する場合において、
同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を
経過したときは、契約の解除をすることができる。
2 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めな
(借主による収去)
第五百九十八条 借主は、借用物を原状に復して、これに附属さ
せた物を収去することができる。 123かったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができ
る。
3 借主は、いつでも契約の解除をすることができる。
(借主による収去等)
第五百九十九条 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属さ
せた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その
附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離
することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物
については、この限りでない。
2 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去
することができる。
3 借主は、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場
合において、使用貸借が終了したときは、その損傷を原状に復
する義務を負う。ただし、その損傷が借主の責めに帰すること
ができない事由によるものであるときは、この限りでない。
(借主の死亡による使用貸借の終了)
第五百九十九条 使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を
失う。
(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第六百条 (略)
2 前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時
から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第六百条 (同上)
(新設) 124(賃貸借)
第六百一条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を
相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を
支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還
することを約することによって、その効力を生ずる。
(賃貸借)
第六百一条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を
相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を
支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
(短期賃貸借)
第六百二条 処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、
次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を
超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたとき
であっても、その期間は、当該各号に定める期間とする。
一〜四 (略)
(短期賃貸借)
第六百二条 処分につき行為能力の制限を受けた者又は処分の権
限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃
貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができな
い。
一〜四 (同上)
(賃貸借の存続期間)
第六百四条 賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができな
い。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期
間は、五十年とする。
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その
期間は、更新の時から五十年を超えることができない。
(賃貸借の存続期間)
第六百四条 賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができな
い。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期
間は、二十年とする。
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その
期間は、更新の時から二十年を超えることができない。
(不動産賃貸借の対抗力)
第六百五条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不
(不動産賃貸借の対抗力)
第六百五条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後 125動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗すること
ができる。
その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を
生ずる。
(不動産の賃貸人たる地位の移転)
第六百五条の二 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第
十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要
件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、そ
の不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃
貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が
譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、
譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又は
その承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保さ
れていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、
賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ
、賃借人に対抗することができない。
4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人
又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費
用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定によ
る同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承
(新設) 126継人が承継する。
(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)
第六百五条の三 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃
貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人
との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合
においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。
(新設)
(不動産の賃借人による妨害の停止の請求等)
第六百五条の四 不動産の賃借人は、第六百五条の二第一項に規
定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるとき
は、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
一 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき その第三
者に対する妨害の停止の請求
二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対
する返還の請求
(新設)
(賃貸人による修繕等)
第六百六条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をす
る義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によって
その修繕が必要となったときは、この限りでない。
2 (略)
(賃貸物の修繕等)
第六百六条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をす
る義務を負う。
2 (同上) 127(賃借人による修繕)
第六百七条の二 賃借物の修繕が必要である場合において、次に
掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
一 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸
人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内
に必要な修繕をしないとき。
二 急迫の事情があるとき。
(新設)
(減収による賃料の減額請求)
第六百九条 耕作又は牧畜を目的とする土地の賃借人は、不可抗
力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に
至るまで、賃料の減額を請求することができる。
(減収による賃料の減額請求)
第六百九条 収益を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によっ
て賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで
、賃料の減額を請求することができる。ただし、宅地の賃貸借
については、この限りでない。
(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)
第六百十一条 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び
収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人
の責めに帰することができない事由によるものであるときは、
賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の
割合に応じて、減額される。
2 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をする
(賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等)
第六百十一条 賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失し
たときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料
の減額を請求することができる。
2 前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借を 128ことができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃
借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人
は、契約の解除をすることができる。
した目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解
除をすることができる。
(転貸の効果)
第六百十三条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人
は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範
囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履
行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって
賃貸人に対抗することができない。
2 (略)
3 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借
人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に
対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が
賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限
りでない。
(転貸の効果)
第六百十三条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人
は、賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては、
賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
2 (同上)
(新設)
(賃借人による使用及び収益)
第六百十六条 第五百九十四条第一項の規定は、賃貸借について
準用する。
(使用貸借の規定の準用)
第六百十六条 第五百九十四条第一項、第五百九十七条第一項及
び第五百九十八条の規定は、賃貸借について準用する。
(賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了) 129第六百十六条の二 賃借物の全部が滅失その他の事由により使用
及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、こ
れによって終了する。
(新設)
(賃貸借の更新の推定等)
第六百十九条 (略)
2 従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、そ
の担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、第六百二十
二条の二第一項に規定する敷金については、この限りでない。
(賃貸借の更新の推定等)
第六百十九条 (同上)
2 従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、そ
の担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金につい
ては、この限りでない。
(賃貸借の解除の効力)
第六百二十条 賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来
に向かってのみその効力を生ずる。この場合においては、損害
賠償の請求を妨げない。
(賃貸借の解除の効力)
第六百二十条 賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来
に向かってのみその効力を生ずる。この場合において、当事者
の一方に過失があったときは、その者に対する損害賠償の請求
を妨げない。
(賃借人の原状回復義務)
第六百二十一条 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じ
た損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並び
に賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)があ
る場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に
復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰する
(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第六百二十一条 第六百条の規定は、賃貸借について準用する。 130ことができない事由によるものであるときは、この限りでない。(使用貸借の規定の準用)
第六百二十二条 第五百九十七条第一項、第五百九十九条第一項
及び第二項並びに第六百条の規定は、賃貸借について準用する。第六百二十二条 削除
第四款 敷金
第六百二十二条の二 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを
問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃
貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、
賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同
じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃
借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生
じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額
を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目
的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充
(新設)
(新設) 131てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対
し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができ
ない。
(履行の割合に応じた報酬)
第六百二十四条の二 労働者は、次に掲げる場合には、既にした
履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 使用者の責めに帰することができない事由によって労働に
従事することができなくなったとき。
二 雇用が履行の中途で終了したとき。
(新設)
(期間の定めのある雇用の解除)
第六百二十六条 雇用の期間が五年を超え、又はその終期が不確
定であるときは、当事者の一方は、五年を経過した後、いつで
も契約の解除をすることができる。
(期間の定めのある雇用の解除)
第六百二十六条 雇用の期間が五年を超え、又は雇用が当事者の
一方若しくは第三者の終身の間継続すべきときは、当事者の一
方は、五年を経過した後、いつでも契約の解除をすることがで
きる。ただし、この期間は、商工業の見習を目的とする雇用に
ついては、十年とする。
2 前項の規定により契約の解除をしようとする者は、それが使
用者であるときは三箇月前、労働者であるときは二週間前に、
その予告をしなければならない。
2 前項の規定により契約の解除をしようとするときは、三箇月
前にその予告をしなければならない。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ) (期間の定めのない雇用の解約の申入れ) 132第六百二十七条 (略) 第六百二十七条 (同上)
2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申
入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解
約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期
以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは
、当期の前半にしなければならない。
3 (略) 3 (同上)
(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
第六百三十四条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕
事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受け
るときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において
、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求す
ることができる。
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を
完成することができなくなったとき。
二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。
(請負人の担保責任)
第六百三十四条 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、
請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求す
ることができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、そ
の修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損
害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五
百三十三条の規定を準用する。
第六百三十五条 削除 第六百三十五条 仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約を
した目的を達することができないときは、注文者は、契約の解
除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物に
ついては、この限りでない。
(請負人の担保責任の制限) (請負人の担保責任に関する規定の不適用) 133第六百三十六条 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適
合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡し
を要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物
が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注
文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図に
よって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の
減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができ
ない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であること
を知りながら告げなかったときは、この限りでない。
第六百三十六条 前二条の規定は、仕事の目的物の瑕疵が注文者
の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたと
きは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適
当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでな
い。
(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第六百三十七条 前条本文に規定する場合において、注文者がそ
の不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しな
いときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の
請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をす
ることができない。
(請負人の担保責任の存続期間)
第六百三十七条 前三条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の
請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年
以内にしなければならない。
2 仕事の目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、
仕事が終了した時から起算する。
2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その
引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)におい
て、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知
らなかったときは、適用しない。
第六百三十八条から第六百四十条まで 削除 第六百三十八条 建物その他の土地の工作物の請負人は、その工 134作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後五年間その担保の責
任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コン
クリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物につい
ては、十年とする。
2 工作物が前項の瑕疵によって滅失し、又は損傷したときは、
注文者は、その滅失又は損傷の時から一年以内に、第六百三十
四条の規定による権利を行使しなければならない。
(担保責任の存続期間の伸長)
第六百三十九条 第六百三十七条及び前条第一項の期間は、第百
六十七条の規定による消滅時効の期間内に限り、契約で伸長す
ることができる。
(担保責任を負わない旨の特約)
第六百四十条 請負人は、第六百三十四条又は第六百三十五条の
規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであって
も、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れ
ることができない。
(注文者についての破産手続の開始による解除)
第六百四十二条 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、
請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。た
だし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後
は、この限りでない。
(注文者についての破産手続の開始による解除)
第六百四十二条 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、
請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。こ
の場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に
含まれていない費用について、破産財団の配当に加入すること 1352 前項に規定する場合において、請負人は、既にした仕事の報
酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当
に加入することができる。
3 第一項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は
、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、
請求することができる。この場合において、請負人は、その損
害賠償について、破産財団の配当に加入する。
ができる。
(新設)
2 前項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、
破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請
求することができる。この場合において、請負人は、その損害
賠償について、破産財団の配当に加入する。
(復受任者の選任等)
第六百四十四条の二 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又は
やむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任する
ことができない。
(新設)
2 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復
受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その
権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負
う。
(受任者の報酬)
第六百四十八条 (略)
2 (略)
(受任者の報酬)
第六百四十八条 (同上)
2 (同上)
3 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じ 3 委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履 136て報酬を請求することができる。
一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事
務の履行をすることができなくなったとき。
二 委任が履行の中途で終了したとき。
行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に
応じて報酬を請求することができる。
(成果等に対する報酬)
第六百四十八条の二 委任事務の履行により得られる成果に対し
て報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡し
を要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わ
なければならない。
(新設)
2 第六百三十四条の規定は、委任事務の履行により得られる成
果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。
(委任の解除)
第六百五十一条 (略)
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合に
は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを
得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを
除く。)をも目的とする委任を解除したとき。
(委任の解除)
第六百五十一条 (同上)
2 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたとき
は、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければなら
ない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りで
ない。 137(寄託)
第六百五十七条 寄託は、当事者の一方がある物を保管すること
を相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、そ
の効力を生ずる。
(寄託)
第六百五十七条 寄託は、当事者の一方が相手方のために保管を
することを約してある物を受け取ることによって、その効力を
生ずる。
(寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等)
第六百五十七条の二 寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで
、契約の解除をすることができる。この場合において、受寄者
は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対
し、その賠償を請求することができる。
2 無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をす
ることができる。ただし、書面による寄託については、この限
りでない。
3 受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による
寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過
したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合にお
いて、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内
に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。
(新設)
(寄託物の使用及び第三者による保管)
第六百五十八条 受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物
を使用することができない。
(寄託物の使用及び第三者による保管)
第六百五十八条 受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物
を使用し、又は第三者にこれを保管させることができない。 1382 受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由
があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることがで
きない。
3 再受寄者は、寄託者に対して、その権限の範囲内において、
受寄者と同一の権利を有し、義務を負う。
2 第百五条及び第百七条第二項の規定は、受寄者が第三者に寄
託物を保管させることができる場合について準用する。
(新設)
(無報酬の受寄者の注意義務)
第六百五十九条 無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同
一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。
(無償受寄者の注意義務)
第六百五十九条 無報酬で寄託を受けた者は、自己の財産に対す
るのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。
(受寄者の通知義務等)
第六百六十条 寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に
対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分を
したときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しな
ければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているとき
は、この限りでない。
2 第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受
寄者は、寄託者の指図がない限り、寄託者に対しその寄託物を
返還しなければならない。ただし、受寄者が前項の通知をした
場合又は同項ただし書の規定によりその通知を要しない場合に
おいて、その寄託物をその第三者に引き渡すべき旨を命ずる確
定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)があっ
(受寄者の通知義務)
第六百六十条 寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に
対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分を
したときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しな
ければならない。
(新設) 139たときであって、その第三者にその寄託物を引き渡したときは
、この限りでない。
3 受寄者は、前項の規定により寄託者に対して寄託物を返還し
なければならない場合には、寄託者にその寄託物を引き渡した
ことによって第三者に損害が生じたときであっても、その賠償
の責任を負わない。
(新設)
(寄託者による返還請求等)
第六百六十二条 (略)
2 前項に規定する場合において、受寄者は、寄託者がその時期
の前に返還を請求したことによって損害を受けたときは、寄託
者に対し、その賠償を請求することができる。
(寄託者による返還請求)
第六百六十二条 (同上)
(新設)
(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第六百六十四条の二 寄託物の一部滅失又は損傷によって生じた
損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還
を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
2 前項の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた
時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
(新設)
(委任の規定の準用)
第六百六十五条 第六百四十六条から第六百四十八条まで、第六
(委任の規定の準用)
第六百六十五条 第六百四十六条から第六百五十条まで(同条第 140百四十九条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、寄
託について準用する。
三項を除く。)の規定は、寄託について準用する。
(混合寄託)
第六百六十五条の二 複数の者が寄託した物の種類及び品質が同
一である場合には、受寄者は、各寄託者の承諾を得たときに限
り、これらを混合して保管することができる。
2 前項の規定に基づき受寄者が複数の寄託者からの寄託物を混
合して保管したときは、寄託者は、その寄託した物と同じ数量
の物の返還を請求することができる。
3 前項に規定する場合において、寄託物の一部が滅失したとき
は、寄託者は、混合して保管されている総寄託物に対するその
寄託した物の割合に応じた数量の物の返還を請求することがで
きる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。
(新設)
(消費寄託)
第六百六十六条 受寄者が契約により寄託物を消費することがで
きる場合には、受寄者は、寄託された物と種類、品質及び数量
の同じ物をもって返還しなければならない。
2 第五百九十条及び第五百九十二条の規定は、前項に規定する
場合について準用する。
3 第五百九十一条第二項及び第三項の規定は、預金又は貯金に
(消費寄託)
第六百六十六条 第五節(消費貸借)の規定は、受寄者が契約に
より寄託物を消費することができる場合について準用する。
2 前項において準用する第五百九十一条第一項の規定にかかわ
らず、前項の契約に返還の時期を定めなかったときは、寄託者
は、いつでも返還を請求することができる。 141係る契約により金銭を寄託した場合について準用する。
(他の組合員の債務不履行)
第六百六十七条の二 第五百三十三条及び第五百三十六条の規定
は、組合契約については、適用しない。
2 組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしな
いことを理由として、組合契約を解除することができない。
(新設)
(組合員の一人についての意思表示の無効等)
第六百六十七条の三 組合員の一人について意思表示の無効又は
取消しの原因があっても、他の組合員の間においては、組合契
約は、その効力を妨げられない。
(新設)
(業務の決定及び執行の方法)
第六百七十条 組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、
各組合員がこれを執行する。
2 組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところによ
り、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる。3 前項の委任を受けた者(以下「業務執行者」という。)は、
組合の業務を決定し、これを執行する。この場合において、業
務執行者が数人あるときは、組合の業務は、業務執行者の過半
(業務の執行の方法)
第六百七十条 組合の業務の執行は、組合員の過半数で決する。
2 前項の業務の執行は、組合契約でこれを委任した者(次項に
おいて「業務執行者」という。)が数人あるときは、その過半
数で決する。
(新設) 142数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する。
4 前項の規定にかかわらず、組合の業務については、総組合員
の同意によって決定し、又は総組合員が執行することを妨げな
い。
5 組合の常務は、前各項の規定にかかわらず、各組合員又は各
業務執行者が単独で行うことができる。ただし、その完了前に
他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りで
ない。
(新設)
3 組合の常務は、前二項の規定にかかわらず、各組合員又は各
業務執行者が単独で行うことができる。ただし、その完了前に
他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りで
ない。
(組合の代理)
第六百七十条の二 各組合員は、組合の業務を執行する場合にお
いて、組合員の過半数の同意を得たときは、他の組合員を代理
することができる。
2 前項の規定にかかわらず、業務執行者があるときは、業務執
行者のみが組合員を代理することができる。この場合において
、業務執行者が数人あるときは、各業務執行者は、業務執行者
の過半数の同意を得たときに限り、組合員を代理することがで
きる。
3 前二項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者は、
組合の常務を行うときは、単独で組合員を代理することができ
る。
(新設) 143(委任の規定の準用)
第六百七十一条 第六百四十四条から第六百五十条までの規定は
、組合の業務を決定し、又は執行する組合員について準用する。(委任の規定の準用)
第六百七十一条 第六百四十四条から第六百五十条までの規定は
、組合の業務を執行する組合員について準用する。
(業務執行組合員の辞任及び解任)
第六百七十二条 組合契約の定めるところにより一人又は数人の
組合員に業務の決定及び執行を委任したときは、その組合員は
、正当な事由がなければ、辞任することができない。
2 (略)
(業務執行組合員の辞任及び解任)
第六百七十二条 組合契約で一人又は数人の組合員に業務の執行
を委任したときは、その組合員は、正当な事由がなければ、辞
任することができない。
2 (同上)
(組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査)
第六百七十三条 各組合員は、組合の業務の決定及び執行をする
権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況
を検査することができる。
(組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査)
第六百七十三条 各組合員は、組合の業務を執行する権利を有し
ないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査する
ことができる。
(組合の債権者の権利の行使)
第六百七十五条 組合の債権者は、組合財産についてその権利を
行使することができる。
2 組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分
担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる。
(組合員に対する組合の債権者の権利の行使)
第六百七十五条 組合の債権者は、その債権の発生の時に組合員
の損失分担の割合を知らなかったときは、各組合員に対して等
しい割合でその権利を行使することができる。
(新設) 144ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失
分担の割合を知っていたときは、その割合による。
(組合員の持分の処分及び組合財産の分割)
第六百七十六条 (略)
2 組合員は、組合財産である債権について、その持分について
の権利を単独で行使することができない。
3 (略)
(組合員の持分の処分及び組合財産の分割)
第六百七十六条 (同上)
(新設)
2 (同上)
(組合財産に対する組合員の債権者の権利の行使の禁止)
第六百七十七条 組合員の債権者は、組合財産についてその権利
を行使することができない。
(組合の債務者による相殺の禁止)
第六百七十七条 組合の債務者は、その債務と組合員に対する債
権とを相殺することができない。
(組合員の加入)
第六百七十七条の二 組合員は、その全員の同意によって、又は
組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させるこ
とができる。
2 前項の規定により組合の成立後に加入した組合員は、その加
入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負
わない。
(新設)
(脱退した組合員の責任等) 145第六百八十条の二 脱退した組合員は、その脱退前に生じた組合
の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を
負う。この場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は
、脱退した組合員は、組合に担保を供させ、又は組合に対して
自己に免責を得させることを請求することができる。
2 脱退した組合員は、前項に規定する組合の債務を弁済したと
きは、組合に対して求償権を有する。
(新設)
(組合の解散事由)
第六百八十二条 組合は、次に掲げる事由によって解散する。
一 組合の目的である事業の成功又はその成功の不能
二 組合契約で定めた存続期間の満了
三 組合契約で定めた解散の事由の発生
四 総組合員の同意
(組合の解散事由)
第六百八十二条 組合は、その目的である事業の成功又はその成
功の不能によって解散する。
(新設)
(新設)
(新設)
(新設)
(組合の清算及び清算人の選任)
第六百八十五条 (略)
2 清算人の選任は、組合員の過半数で決する。
(組合の清算及び清算人の選任)
第六百八十五条 (同上)
2 清算人の選任は、総組合員の過半数で決する。
(清算人の業務の決定及び執行の方法)
第六百八十六条 第六百七十条第三項から第五項まで並びに第六
(清算人の業務の執行の方法)
第六百八十六条 第六百七十条の規定は、清算人が数人ある場合 146百七十条の二第二項及び第三項の規定は、清算人について準用
する。
について準用する。
(組合員である清算人の辞任及び解任)
第六百八十七条 第六百七十二条の規定は、組合契約の定めると
ころにより組合員の中から清算人を選任した場合について準用
する。
(組合員である清算人の辞任及び解任)
第六百八十七条 第六百七十二条の規定は、組合契約で組合員の
中から清算人を選任した場合について準用する。
(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)
第七百二十二条 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、
不法行為による損害賠償について準用する。
2 (略)
(損害賠償の方法及び過失相殺)
第七百二十二条 第四百十七条の規定は、不法行為による損害賠
償について準用する。
2 (同上)
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げ
る場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時か
ら三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又
はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使
しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十
年を経過したときも、同様とする。
(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の
消滅時効) 147第七百二十四条の二 人の生命又は身体を害する不法行為による
損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用
については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。(新設)
(遺言執行者の権利義務)
第千十二条 (略)
2 第六百四十四条、第六百四十五条から第六百四十七条まで及
び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。
(遺言執行者の権利義務)
第千十二条 (同上)
2 第六百四十四条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の
規定は、遺言執行者について準用する。
(遺言執行者の復任権)
第千十六条 (略)
(削る)
(遺言執行者の復任権)
第千十六条 (同上)
2 遺言執行者が前項ただし書の規定により第三者にその任務を
行わせる場合には、相続人に対して、第百五条に規定する責任
を負う。
(遺言執行者の報酬)
第千十八条 (略)
2 第六百四十八条第二項及び第三項並びに第六百四十八条の二
の規定は、遺言執行者が報酬を受けるべき場合について準用す
る。
(遺言執行者の報酬)
第千十八条 (同上)
2 第六百四十八条第二項及び第三項の規定は、遺言執行者が報
酬を受けるべき場合について準用する。

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