【表6】
1 業績に係る現状分析及び今後の展望に関するコメントの例
中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律
(以下,「中小企業金融円滑化法」という。)の終了後も,依然としてバル
ク市場における競争は激しく,買取額の高騰傾向は継続しています。譲受債
権については,平成29年は前年に比べ,件数は増加しているものの,請求債
権額は半減しており,債権の小口化が進んでいます。その結果,買取率も大
きく上昇しており,投下資本の回収期間の長期化と利益幅の減少への対策が
急務となっています。受託債権については,地域金融機関を中心に取扱いを
増やしており,今後も継続拡大の方針です。
サービサーを取り巻く事業環境が厳しい状況下において,新規先受託業務
の獲得,買取債権の拡大に注力していますが,受託債権,買取債権ともに,
取扱債権額は前年比で減少しました。中小企業金融円滑化法の終了後も,金
融機関のスタンスに大きな変化はなく,破綻件数,代位弁済件数は減少する
など,不良債権処理マーケットの縮小傾向は続いており,短期的には事業環
境は厳しい状況です。
中長期的には,各金融機関の債権管理回収業務,専門性の高い法律事務,
債権管理業務によってサービサーへのアウトソースニーズがあるほか,業績
が改善されないまま放置されている地方金融機関の法人債権に対する業務に
よって拡大の余地が想定されますが,その実現時期は見通せない状況です。
短期的には,景況感改善の広がりが中小企業まで浸透しつつあることか
ら,不良債権は減少の一途をたどると思料します。雇用も安定している状況
であり,個人向け債権の受託も初期督促段階が中心になると想定します。今
後もサービサー間の価格競争はますます激しくなり,事業収益性の悪化が懸
念されます。
中長期的な展望としては,少子高齢化,人手不足,消費税引上げによる事
業衰退のリスクはあるものの,急激な景気後退はないものと考えます。経営
の安定化を図るべく,引き続きパブリック関連を中心とした受託の推進,金
融機関・管財人等からの債権譲受の拡大に注力します。
2 コンプライアンス態勢の構築に関するコメントの例
コンプライアンス推進室による内部定期監査に加え,各部署の不備・不適
事項の有無を自ら検査するためのセルフチェック(自部署検査)を実施して
います。セルフチェックにおいては,事前にコンプライアンス推進室及び各
部署の管理者と協議の上,セルフチェックシートを作成し,実効性のある検
査態勢を構築しました。また,全役職員を対象とした社内ネットワークシス
テムを用いて発信するコンプライアンス関連クイズの実施により,幅広い業
界関連知識を習得する機会を提供し,新たなコンプライアンス態勢を構築し
ています。
個人情報の取扱いについては,個人情報保護規程を改定するとともに,社
内研修を通じて周知徹底を図り,個人情報の適正な取扱いに努めています。
回収業務における行為規制の遵守については,業務が適正に行われているか
否かを確認するため,内部監査室において,サンプル調査によってモニタリ
ングを継続実施しています。毎月1回開催している業務報告会においては,
過誤事案・不備事案を報告し,取締役弁護士と協議の上,対応策を立案し,
再発防止に努めています。
また,新たな回収施策を実施する場合は,事前に取締役弁護士に報告し,
コンプライアンス及び社会通念上問題がないかについて承認を得ることとし
ています。さらに,全従業員に対して,教育・研修を反復継続して実施し,
コンプライアンス確保の浸透・徹底を図っています。
3 反社会的勢力排除の取組に関するコメントの例
反社会的勢力との取引の排除に向け,特に法第19条第2項の対象となる債
権売却先は無論のこと,債権の購入先,債権の債務者等(保証人・担保提供
者等を含む),業務受託先・外部委託先,新規採用職員等を対象に反社デー
タベースとの照合を励行しています。これに伴う規程整備や,新規契約時の
書面等は適時見直しており,さらに,既取引先からも「覚書」を徴求するな
ど,全ての業務関係先へのもれない対応に配慮しています。また,保有債権
や各種取引業者・役職員等を対象とした反社会的勢力該当性のスクリーニン
グ作業を年2回程度実施しています。
親会社を含めグループとして「反社会的勢力排除規程」を定め,断固とし
て反社会的勢力との関係を遮断しています。具体的には,「反社チェック実
施マニュアル」にてチェック手法,対象,時期等を定めることで,反社チェ
ックを徹底し,未然に反社会的勢力との取引を防いでいます。
購入又は受託債権においても,デューデリジェンスの段階から反社会的勢
力のチェックを行っています。その段階で反社会的勢力の関与が判明した該
当先は,セラーに対し売却対象からの除外要請を行います。
既存債権についても,「反社チェック実施マニュアル」に基づき,年1回
全債務者に対する定期チェックと併せ,債務免除・条件変更の場合にも,債
務者及び保証人等の利害関係者についての反社チェックを行い,反社会的勢
力への利益供与となるおそれのある取引を未然に防いでおり,債務者が反社
会的勢力に該当する疑いがある債権については,事前に取締役弁護士と協議
を行い慎重かつ厳格に利益供与とならない取扱いをしています。また,契約
書や和解書に暴力団排除条項を設け,反社会的勢力が取引先となることを防
止する措置を講じています。加えて,「公益財団法人暴力団追放運動推進都
民センター」の賛助会員として反社会的勢力の排除活動を推進するととも
に,各部署に「不当要求防止責任者」を配置し,速やかに対応できる態勢を
整えています。
4 事業再生(被災地支援を含む)への取組に関するコメントの例
バルクセールで購入した債権の中には,個人の無担保債権,権利関係の複
雑な有担保債権や,事業再生が難しい案件などが含まれている場合もありま
すが,単に担保資産の売却等による即時回収だけではなく,事業者向け債権
に特化した部署において,事業を維持・継続できるよう,可能な限りの支援
に取り組んでいます。企業の損益構造を改善するような事業再生をする場合
には,事業に対する深い理解と経営に関する専門性が要求されるため,より
高い提案能力やコンサルティング能力を備えた人材の確保・教育が必要とな
っています。
事業再生による債務者企業キャッシュフローの改善こそが,回収極大化に
最も寄与するものと考えます。そのため,債務者企業との交渉に当たって
は,当該企業の経営課題にも目を向け,事業の選択と集中や総合的な金融戦
略など,大局的なコンサルティングを行うよう努めています。特に,被災地
債務者に関しては個々の事情を最大限考慮し,足元の返済条件緩和や,場合
によっては,債務免除を行いつつ,長期目線での再生支援を行っています。
自然災害の被災者については,引き続き,通常以上に特に丁寧な対応を心
掛け,任意での交渉を優先しており,債務者の現在の状況を踏まえ,総合判
断の上対応しています。役職員に対しては,「個人債務者の私的整理に関す
るガイドライン」,「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライ
ン」を周知徹底するとともに,災害救助法の適用を受けた自然災害があった
場合には,速やかに当該自然災害の影響を受けた地域の顧客や担保不動産の
把握に努め,上記ガイドラインの適用を申し出た債務者等については,同ガ
イドラインに従い,適宜適切に対応していく態勢を構築しています。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /