債権回収会社(サービサー)の業務状況について(概要)
平成29年12月31日現在において営業を行っているサービサーに対し,その業
務状況について調査した結果は,次のとおりです。
第1 サービサーの状況(平成29年12月31日現在)
【表1−1】
1 営業会社数 80社
前回調査時(平成28年12月31日現在)の86社から6社減少しました。
【表1−2】
2 累積取扱債権数 1億7,105万件
うち,当期取扱債権数は1,206万件(譲受債権65万件,受託債権1,141万
件)であり,前期の1,138万件から6.0%増加し,平成25年から4年連続の増
加となりました。
【表1−3】
3 累積取扱債権額 425兆2,981億円
うち,当期取扱債権額は14兆4,471億円(譲受債権1兆1,787億円,受託債権
13兆2,683億円)であり,前期の14兆1,026億円から2.4%増加しました。
【表1−4】
4 累積回収額 50兆2,040億円
うち,当期回収額は2兆61億円(譲受債権1,087億円,受託債権1兆8,974
億円)であり,前期の2兆6,305億円から23.7%減少しました。
(注)1 当期とは,平成29年1月1日から平成29年12月31日までを指し,以下
の項でも同様とします。
2 年次別の取扱債権数,取扱債権額及び回収額(以下,併せて「取扱債
権数等」という。)は【表2−1】のとおりです。また,当期取扱債権
数等の譲受債権及び受託債権別の内訳は【表2−2】のとおりです。
3 出資母体等別の取扱債権数等の累計は【表3】のとおりです。
4 取扱債権数等の累積は,債権管理回収業に関する特別措置法(以下,
「法」という。)が施行された平成11年2月1日から当期末までに,サ
ービサーが管理回収の委託を受けた債権及び譲り受けた債権の累計です。
第2 当期における特定金銭債権の取扱実績
1 全 体
当期における取扱債権数及び取扱債権額の種類別割合は,次のとおりです。
(1) 取扱債権数に占める種類別割合【表4−1】
金融機関等が有する又は有していた貸付債権(1,2号)が59.1%,リ
ース・クレジット債権(4〜7号の2)が32.9%を占めており,その余の
債権が8.0%(流動化関連債権(8〜14号)0.04%,倒産関連債権(16〜1
9号)0.04%,求償権その他の債権(3,15,20〜22号)7.9%)となって
います。
(2) 取扱債権額に占める種類別割合【表4−2】
金融機関等が有する又は有していた貸付債権(1,2号)が94.3%,リ
ース・クレジット債権(4〜7号の2)が2.3%を占めており,その余の債
権が3.4%(流動化関連債権(8〜14号)0.3%,倒産関連債権(16〜19
号)0.1%,求償権その他の債権(3,15,20〜22号)3.0%)となってい
ます。
(注)特定金銭債権とは,サービサーが法により取り扱うことができる債権
です。
2 出資母体等別占有率
当期における取扱債権数及び取扱債権額の出資母体等別(金融機関系18社,
信販・貸金・リース系18社,外資系4社,不動産・独立系・その他40社)に見た
種類別割合は,次のとおりです。
(1) 取扱債権数に占める種類別割合 【表4−3】
ア 金融機関等が有する又は有していた貸付債権(1,2号)
信販・貸金・リース系 57.6%,金融機関系 37.2%,不動産・独立系・その他 5.1%
イ リース・クレジット債権(4〜7号の2)
不動産・独立系・その他 55.8%,信販・貸金・リース系 28.8%,金融機関系 15.1%
ウ 流動化関連債権(8〜14号)
不動産・独立系・その他 84.0%,信販・貸金・リース系 12.6%,金融機関系 3.4%
エ 倒産関連債権(16〜19号)
不動産・独立系・その他 84.3%,信販・貸金・リース系 14.1%,金融機関系 1.6%
オ 求償権その他の債権(3,15,20〜22号)
信販・貸金・リース系 56.6%,金融機関系 27.6%,不動産・独立系・その他 10.8%
(2) 取扱債権額に占める種類別割合 【表4−4】
ア 金融機関等が有する又は有していた貸付債権(1,2号)
金融機関系 74.2%,不動産・独立系・その他 18.9%,信販・貸金・リース系 5.2%
イ リース・クレジット債権(4〜7号の2)
不動産・独立系・その他 39.7%,金融機関系 30.3%,信販・貸金・リース系 25.6%
ウ 流動化関連債権(8〜14号)
不動産・独立系・その他 41.0%,信販・貸金・リース系 30.3%,金融機関系 28.6%
エ 倒産関連債権(16〜19号)
不動産・独立系・その他 66.4%,信販・貸金・リース系 29.5%,金融機関系 4.0%
オ 求償権その他の債権(3,15,20〜22号)
信販・貸金・リース系 64.8%,金融機関系 21.1%,外資系 12.7%
(注)種類別とは,特定金銭債権を法第2条第1項各号に掲げる種類別に区
分したものです。また,括弧内の号数は法第2条第1項に掲げる号数を
表します。
第3 当期における特定金銭債権の回収実績
【表5−1】
1 物的担保付き債権の手法別回収状況
債務者弁済によるものが83.8%,任意売却によるものが7.7%,競売による
ものが4.6%を占めており,その余の回収手法によるものが4.0%(保証人弁済
2.3%,債権譲渡0.4%,第三者弁済0.2%,破産等配当0.1%,その他1.0%)
となっています。
【表5−2】
2 物的担保なし債権の手法別回収状況
債務者弁済によるものが86.0%,保証人弁済によるものが8.5%を占めてお
り,その余の回収手法によるものが5.5%(破産等配当1.3%,強制執行0.9%,
第三者弁済0.7%,債権譲渡0.5%,その他2.1%)となっています。
第4 その他
各サービサーから業況等に関して寄せられたコメントの例は,【表6】のと
おりです。
(問合せ先)
大臣官房司法法制部審査監督課
電話 03‐3580‐4111(内線5914,5915)
【表1-1】
(注記) 各年12月31日現在の会社数です。
【表1-2】
(注記) 数値はいずれも概数です。また,平成26年分から受託債権と譲受債権の別を示しています(【表1-3】及び【表1-4】についても同様です。)。
サービサーの状況(平成11年2月1日〜平成29年12月31日)
988 1,002
1,138 1,20615131254437684791
1,1398721,305
1,398 1,349 1,359
1,20495887502,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,00002004006008001,000
1,200
1,400
1,600
(万件) 取扱債権数
当期取扱債権数
当期取扱債権数(譲受)
当期取扱債権数(受託)
累積取扱債権数累積取扱債権数当期取扱債権数当期取扱債権
【表1-1】274261718089
94 96 100 102 102
96 92 96 93 90 86 8680020406080100120
営業会社数
(社)
【表1-3】
【表1-4】
1.9 2.12.62.00.10.71.31.82.93.14.54.7 4.93.93.33.22.6 2.42.101020304050600.01.02.03.04.05.06.0(兆円) 回収額
当期回収額
当期回収額(譲受)
当期回収額(受託)
累積回収額当期回収額累積回収額18.515.2 14.1 14.47.511.531.923.6
27.3 27.934.329.4 30.328.626.729.120.2
17.9 16.8050100150200250300350400450051015202530354045
(兆円) 取扱債権額
当期取扱債権額
当期取扱債権額(譲受)
当期取扱債権額(受託)
累積取扱債権額累積取扱債権額当期取扱債権額
【表2-1】年次別取扱債権額等 【表2-2】当期取扱債権額等
取扱債権数 取扱債権額 回収額
(件) (千円) (千円)
150,254 7,539,183,825 139,404,505
1,309,016 11,520,834,775 670,382,812
2,539,481 31,911,219,826 1,317,622,317
4,366,856 23,577,134,699 1,776,404,457
6,843,059 27,285,349,212 2,870,559,632
7,909,298 27,896,004,425 3,128,754,871
11,391,685 34,288,358,296 4,523,903,186
8,722,534 29,449,489,363 4,737,414,780
13,045,587 30,295,257,649 4,870,953,734
13,977,327 28,624,988,113 3,867,869,243
13,494,461 26,742,296,425 3,299,039,708
13,590,609 29,102,055,343 3,230,738,460
12,043,845 20,215,089,000 2,632,723,461
9,578,616 17,881,471,925 2,395,644,915
8,744,820 16,787,548,955 2,079,979,519
9,878,798 18,460,609,763 1,965,338,812
10,022,848 15,171,493,280 2,060,676,116
11,377,956 14,102,625,551 2,630,506,081
12,061,886 14,447,064,152 2,006,091,627
H26.1〜12
H27.1〜12
H28.1〜12
H29.1〜12
H20.1〜12
H21.1〜12
H22.1〜12
H23.1〜12
H24.1〜12
H25.1〜12
H19.1〜12
H11.2〜12
H12.1〜12
H13.1〜12
H14.1〜12
H15.1〜12
H16.1〜12
H17.1〜12
H18.1〜12
(千円) (人) (千円)
うち譲受債権(c) 8.2% 4.4% 5.4%
うち受託債権(d) 91.8% 95.6% 94.6%
うち受託債権(b) 13,268,339,655 10,158,711 1,897,406,703
当期取扱債権額等における譲受債権
と受託債権の割合(c)+(d) 100.0%
11,407,311
100.0% 100.0%
当期取扱債権額等(a)+(b) 14,447,064,152 10,629,616 2,006,091,627
108,684,924
取扱債権額 債務者数 回収額
うち譲受債権(a) 1,178,724,497 470,905
100.0%5.4%94.6%
取扱債権数
(件)
12,061,886
654,575
【表3】サービサーの業務状況(出資母体等別・累計)
(平成29年12月31日現在)
(注記) 出資母体等別会社数は調査時現在(平成29年12月31日現在)の営業会社数です。
(現在,管理組合系に分類される会社はありませんが,過去の取扱実績として計上しています。)
80 425,298,074,577 50,204,008,236社合 計 153,024,192
171,048,936
4 66,272,182,360 9,772,033,860
18 62,020,365,845 8,306,270,283社社
67,134,314
867,624
72,470,637
1,071,250
信販・貸金・リース系
外 資 系
40 68,561,646,420 8,292,964,146
0 1,509,060,714 40,013,266社社
3,743,280
36,462,054
3,725,457
38,713,547
管 理 組 合 系
不動産・独立系・その他
回収額
18 226,934,819,238社 業務状況
出資母体等別
債務者数
(人)
44,816,920
取扱債権数
(件)
55,068,045
(千円) (千円)
金 融 機 関 系 23,792,726,681
取扱債権額
1 全体
(注記)
出資母体等及び債権の種類
取扱債権数 取扱債権額 債務者数
(件) (千円) (人)金融機関系金融機関等が有する又は有していた貸付債権 2,735,233 9,920,605,599 2,278,146
リ ー ス ・ ク レ ジ ッ ト 債 権 619,033 97,744,581 525,938
流 動 化 関 連 債 権
求 償 権 そ の 他 の 債 権 270,171 90,459,985 232,241
計 3,624,666 10,120,266,632 3,036,448
154 10,957,786 53
倒 産 関 連 債 権 75 498,681 70・リース系信販・貸金
金融機関等が有する又は有していた貸付債権 4,230,467 699,008,249 3,994,113
リ ー ス ・ ク レ ジ ッ ト 債 権 1,178,316 82,708,239 634,355
流 動 化 関 連 債 権
求 償 権 そ の 他 の 債 権 553,137 278,042,100 523,587
計 5,963,145 1,075,030,690 5,153,202
562 11,605,699 541
倒 産 関 連 債 権 663 3,666,403 606外資系金融機関等が有する又は有していた貸付債権 8,268 214,711,005 6,081
リ ー ス ・ ク レ ジ ッ ト 債 権 12,643 14,241,212 11,947
流 動 化 関 連 債 権
求 償 権 そ の 他 の 債 権 48,770 54,489,618 47,460
計 69,682 283,445,600 65,489
0 0 0
倒 産 関 連 債 権 1 3,765 1
3,755 15,694,394 3,406
倒 産 関 連 債 権 3,956 8,242,411 3,207系・その他不動産・独立金融機関等が有する又は有していた貸付債権 371,286 2,529,862,154 386,694
リ ー ス ・ ク レ ジ ッ ト 債 権 2,281,976 128,169,682 2,251,336
流 動 化 関 連 債 権
リ ー ス ・ ク レ ジ ッ ト 債 権 4,091,968 322,863,714 3,423,576
流 動 化 関 連 債 権
求 償 権 そ の 他 の 債 権 105,737 5,894,477 81,562
計 2,766,710 2,687,863,118 2,726,205
複数の債権の種類に該当するものは,各々の種類に重複して計上しているため,【表2-1】及び【表2-2】に計上されている数値とは一致しません。
[例 金融機関等が有する貸付債権が流動化対象債権となった場合は,「金融機関等が有する又は有していた貸付債権」及び「流動化関連債権」にそれぞれ計上しています。]
当期における特定金銭債権の取扱実績(平成29年1月1日〜平成29年12月31日)
求 償 権 そ の 他 の 債 権 977,815 428,886,180 884,850
計 12,424,203 14,166,606,040 10,981,344
4,471 38,257,879 4,000
倒 産 関 連 債 権 4,695 12,411,260 3,884合計
金融機関等が有する又は有していた貸付債権 7,345,254 13,364,187,007 6,665,034
金融機関等が有
する又は有してい
た貸付債権
94.34%
リース・クレジット
債権
2.28%
流動化関連債権
0.27%
倒産関連債権
0.09%
求償権その他の
債権
3.03%
【表4-2】取扱債権額に占める種類別割合
取扱債権額 14,166,606,040千円
金融機関等が有
する又は有してい
た貸付債権
59.12%
リース・クレジット
債権
32.94%
流動化関連債権
0.04%
倒産関連債権
0.04%
求償権その他の
債権
7.87%
【表4-1】取扱債権数に占める種類別割合
取扱債権数 12,424,203件
2 出資母体等別占有率
【表4-3】取扱債権数に占める種類別割合
【表4-4】取扱債権額に占める種類別割合
金融機関系
21.09%
信販・貸金・リース系
64.83%
外資系
12.70%
不動産・独立系・その他
1.37%
428,886,180千円
求償権その他の債権
金融機関系
27.63%
信販・貸金・リース系
56.57%
外資系
4.99%
不動産・独立系・その他
10.81%
977,815件
求償権その他の債権
金融機関系
1.60%
信販・貸金・リース系
14.12%
外資系
0.02%
不動産・独立系・その他
84.26%
4,695件
倒産関連債権
金融機関系
4.02%
信販・貸金・リース系
29.54%
外資系
0.03%
不動産・独立系・その他
66.41%
12,411,260千円
倒産関連債権
金融機関系
3.44%
信販・貸金・リース系
12.57%
不動産・独立系・その他
83.99%
4,471件
流動化関連債権
金融機関系
15.13%
信販・貸金・リース系
28.80%
外資系
0.31%
不動産・独立系・その他
55.77%
4,091,968件
リース・クレジット債権
金融機関系
74.23%
信販・貸金・リース系
5.23%
外資系
1.61%
不動産・独立系・その他
18.93%
13,364,187,007千円
金融機関等が有する又は
有していた貸付債権
金融機関系
37.24%
信販・貸金・リース系
57.59%
外資系
0.11%
不動産・独立系・その他
5.05%
7,345,254件
金融機関等が有する又は
有していた貸付債権
金融機関系
30.27%
信販・貸金・リース系
25.62%
外資系
4.41%
不動産・独立系・その他
39.70%
322,863,714千円
リース・クレジット債権
金融機関系
28.64%
信販・貸金・リース系
30.34%
不動産・独立系・その他
41.02%
38,257,879千円
流動化関連債権
1 物的担保付き債権の手法別回収状況
(単位:千円)
2 物的担保なし債権の手法別回収状況
(単位:千円)
合 計
合 計
当期における特定金銭債権の回収実績(平成29年1月1日〜平成29年12月31日)
477,593,650
回収の手法
出資母体等
金 融 機 関 系
信 販 ・ 貸 金 ・ リ ー ス 系
外 資 系
不動産・独立系・その他
回収の手法
出資母体等
金 融 機 関 系
信 販 ・ 貸 金 ・ リ ー ス 系
4,488,150 410,638,628 40,773,576 3,382,007 18,311,289
3,266,902
1,562,366 116,216,986 16,438,188 1,497,076 9,217,339 144,931,955
外 資 系 288,256 2,515,079 63,941 40,326 359,300
不動産・独立系・その他
215,470,539
2,440,081 105,577,211 3,600,008 853,202 1,453,752 113,924,254
197,447 186,329,352 20,671,439 991,403 7,280,898
69,850,941 117,014,247 55,141 1,280,765,005 34,702,742 3,536,778 22,573,123 1,528,497,977
物 的 担 保 な し 債 権
合 計
強制執行 債務者弁済 保証人弁済 第三者弁済 その他
9,500 977,706 96,015,666
23,851,569 35,288,755 7,910 785,222,635 2,979,847
1,923,629 8,122,066 - 84,917,909 64,856
441,365 12,693,868 860,485,949
29,265,588 53,036,871 47,231 234,459,355 30,718,835 2,830,235 6,233,669 356,591,784
14,810,155 20,566,555 - 176,165,106 939,204 255,678 2,667,880 215,404,578
物 的 担 保 付 き 債 権
合 計
競売 任意売却 代物弁済 債務者弁済 保証人弁済 第三者弁済 その他
競売
4.57%
任意売却
7.66% 代物弁済
0.004%
債務者弁済
83.79%
保証人弁済
2.27%
第三者弁済
0.23%
その他
1.48%
【表5-1】物的担保付き債権の手法別回収状況
その他(1.48%)の内訳:債権譲渡0.40%,
破産等配当0.06%,その他1.02%
回収額
1,528,497,977千円
強制執行
0.94%
債務者弁済
85.98%
保証人弁済
8.54%
第三者弁済
0.71%
その他
3.83%
【表5-2】物的担保なし債権の手法別回収状況
回収額
477,593,650千円
その他(3.83%)の内訳:破産等配当1.25%,
債権譲渡0.52%,その他2.06%
【表6】
1 業績に係る現状分析及び今後の展望に関するコメントの例
中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律
(以下,「中小企業金融円滑化法」という。)の終了後も,依然としてバル
ク市場における競争は激しく,買取額の高騰傾向は継続しています。譲受債
権については,平成29年は前年に比べ,件数は増加しているものの,請求債
権額は半減しており,債権の小口化が進んでいます。その結果,買取率も大
きく上昇しており,投下資本の回収期間の長期化と利益幅の減少への対策が
急務となっています。受託債権については,地域金融機関を中心に取扱いを
増やしており,今後も継続拡大の方針です。
サービサーを取り巻く事業環境が厳しい状況下において,新規先受託業務
の獲得,買取債権の拡大に注力していますが,受託債権,買取債権ともに,
取扱債権額は前年比で減少しました。中小企業金融円滑化法の終了後も,金
融機関のスタンスに大きな変化はなく,破綻件数,代位弁済件数は減少する
など,不良債権処理マーケットの縮小傾向は続いており,短期的には事業環
境は厳しい状況です。
中長期的には,各金融機関の債権管理回収業務,専門性の高い法律事務,
債権管理業務によってサービサーへのアウトソースニーズがあるほか,業績
が改善されないまま放置されている地方金融機関の法人債権に対する業務に
よって拡大の余地が想定されますが,その実現時期は見通せない状況です。
短期的には,景況感改善の広がりが中小企業まで浸透しつつあることか
ら,不良債権は減少の一途をたどると思料します。雇用も安定している状況
であり,個人向け債権の受託も初期督促段階が中心になると想定します。今
後もサービサー間の価格競争はますます激しくなり,事業収益性の悪化が懸
念されます。
中長期的な展望としては,少子高齢化,人手不足,消費税引上げによる事
業衰退のリスクはあるものの,急激な景気後退はないものと考えます。経営
の安定化を図るべく,引き続きパブリック関連を中心とした受託の推進,金
融機関・管財人等からの債権譲受の拡大に注力します。
2 コンプライアンス態勢の構築に関するコメントの例
コンプライアンス推進室による内部定期監査に加え,各部署の不備・不適
事項の有無を自ら検査するためのセルフチェック(自部署検査)を実施して
います。セルフチェックにおいては,事前にコンプライアンス推進室及び各
部署の管理者と協議の上,セルフチェックシートを作成し,実効性のある検
査態勢を構築しました。また,全役職員を対象とした社内ネットワークシス
テムを用いて発信するコンプライアンス関連クイズの実施により,幅広い業
界関連知識を習得する機会を提供し,新たなコンプライアンス態勢を構築し
ています。
個人情報の取扱いについては,個人情報保護規程を改定するとともに,社
内研修を通じて周知徹底を図り,個人情報の適正な取扱いに努めています。
回収業務における行為規制の遵守については,業務が適正に行われているか
否かを確認するため,内部監査室において,サンプル調査によってモニタリ
ングを継続実施しています。毎月1回開催している業務報告会においては,
過誤事案・不備事案を報告し,取締役弁護士と協議の上,対応策を立案し,
再発防止に努めています。
また,新たな回収施策を実施する場合は,事前に取締役弁護士に報告し,
コンプライアンス及び社会通念上問題がないかについて承認を得ることとし
ています。さらに,全従業員に対して,教育・研修を反復継続して実施し,
コンプライアンス確保の浸透・徹底を図っています。
3 反社会的勢力排除の取組に関するコメントの例
反社会的勢力との取引の排除に向け,特に法第19条第2項の対象となる債
権売却先は無論のこと,債権の購入先,債権の債務者等(保証人・担保提供
者等を含む),業務受託先・外部委託先,新規採用職員等を対象に反社デー
タベースとの照合を励行しています。これに伴う規程整備や,新規契約時の
書面等は適時見直しており,さらに,既取引先からも「覚書」を徴求するな
ど,全ての業務関係先へのもれない対応に配慮しています。また,保有債権
や各種取引業者・役職員等を対象とした反社会的勢力該当性のスクリーニン
グ作業を年2回程度実施しています。
親会社を含めグループとして「反社会的勢力排除規程」を定め,断固とし
て反社会的勢力との関係を遮断しています。具体的には,「反社チェック実
施マニュアル」にてチェック手法,対象,時期等を定めることで,反社チェ
ックを徹底し,未然に反社会的勢力との取引を防いでいます。
購入又は受託債権においても,デューデリジェンスの段階から反社会的勢
力のチェックを行っています。その段階で反社会的勢力の関与が判明した該
当先は,セラーに対し売却対象からの除外要請を行います。
既存債権についても,「反社チェック実施マニュアル」に基づき,年1回
全債務者に対する定期チェックと併せ,債務免除・条件変更の場合にも,債
務者及び保証人等の利害関係者についての反社チェックを行い,反社会的勢
力への利益供与となるおそれのある取引を未然に防いでおり,債務者が反社
会的勢力に該当する疑いがある債権については,事前に取締役弁護士と協議
を行い慎重かつ厳格に利益供与とならない取扱いをしています。また,契約
書や和解書に暴力団排除条項を設け,反社会的勢力が取引先となることを防
止する措置を講じています。加えて,「公益財団法人暴力団追放運動推進都
民センター」の賛助会員として反社会的勢力の排除活動を推進するととも
に,各部署に「不当要求防止責任者」を配置し,速やかに対応できる態勢を
整えています。
4 事業再生(被災地支援を含む)への取組に関するコメントの例
バルクセールで購入した債権の中には,個人の無担保債権,権利関係の複
雑な有担保債権や,事業再生が難しい案件などが含まれている場合もありま
すが,単に担保資産の売却等による即時回収だけではなく,事業者向け債権
に特化した部署において,事業を維持・継続できるよう,可能な限りの支援
に取り組んでいます。企業の損益構造を改善するような事業再生をする場合
には,事業に対する深い理解と経営に関する専門性が要求されるため,より
高い提案能力やコンサルティング能力を備えた人材の確保・教育が必要とな
っています。
事業再生による債務者企業キャッシュフローの改善こそが,回収極大化に
最も寄与するものと考えます。そのため,債務者企業との交渉に当たって
は,当該企業の経営課題にも目を向け,事業の選択と集中や総合的な金融戦
略など,大局的なコンサルティングを行うよう努めています。特に,被災地
債務者に関しては個々の事情を最大限考慮し,足元の返済条件緩和や,場合
によっては,債務免除を行いつつ,長期目線での再生支援を行っています。
自然災害の被災者については,引き続き,通常以上に特に丁寧な対応を心
掛け,任意での交渉を優先しており,債務者の現在の状況を踏まえ,総合判
断の上対応しています。役職員に対しては,「個人債務者の私的整理に関す
るガイドライン」,「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライ
ン」を周知徹底するとともに,災害救助法の適用を受けた自然災害があった
場合には,速やかに当該自然災害の影響を受けた地域の顧客や担保不動産の
把握に努め,上記ガイドラインの適用を申し出た債務者等については,同ガ
イドラインに従い,適宜適切に対応していく態勢を構築しています。

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