- 1 -民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案要綱第一民法の一部改正一配偶者の居住の権利1配偶者居住権配偶者居住権
(一)(1)被相続人の配偶者(以下一において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次のア又はイのいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下1において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下一において「配偶者居住権」という。)を取得するものとすること。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでないものとすること。(第千二十八条第一項関係)ア遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。イ配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。(2)居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しないものとすること。(第千二十八条第二項関係)(3)二1の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用するものとすること。(第千二十八条第三項関係)審判による配偶者居住権の取得
(二)
- 2 -遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができるものとすること。(第千二十九条関係)(1)共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。(2)配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき((1)に掲げる場合を除く。)。配偶者居住権の存続期間
(三)配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とするものとすること。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによるものとすること。(第千三十条関係)配偶者居住権の登記等
(四)(1)居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下1において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負うものとすること。(第千三十一条第一項関係)(2)民法第六百五条の規定は配偶者居住権について、同法第六百五条の四の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用するものとすること。(第千三十一条第二項関係)配偶者による使用及び収益(五)(1)配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしな - 3 -ければならないものとすること。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げないものとすること。(第千三十二条第一項関係)(2)配偶者居住権は、譲渡することができないものとすること。(第千三十二条第二項関係)(3)配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができないものとすること。(第千三十二条第三項関係)(4)配偶者が(1)又は(3)の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができるものとすること。(第千三十二条第四項関係)居住建物の修繕等(六)(1)配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができるものとすること。(第千三十三条第一項関係)(2)居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、居住建物の所有者は、その修繕をすることができるものとすること。(第千三十三条第二項関係)(3)居住建物が修繕を要するとき((1)の規定により配偶者が自らその修繕をするときを除く。)、又は居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は、居住建物の所有者に対し、遅
- 4 -滞なくその旨を通知しなければならないものとすること。ただし、居住建物の所有者が既にこれを知っているときは、この限りでないものとすること。(第千三十三条第三項関係)居住建物の費用の負担(七)(1)配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担するものとすること。(第千三十四条第一項関係)(2)民法第五百八十三条第二項の規定は、(1)の通常の必要費以外の費用について準用するものとすること。(第千三十四条第二項関係)居住建物の返還等(八)(1)配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならないものとすること。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができないものとすること。(第千三十五条第一項関係)(2)民法第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、(1)本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用するものとすること。(第千三十五条第二項関係)使用貸借及び賃貸借の規定の準用(九)民法第五百九十七条第一項及び第三項、第六百条、第六百十三条並びに第六百十六条の二の規定は、配偶者居住権について準用するものとすること。(第千三十六条関係)2配偶者短期居住権
- 5 -配偶者短期居住権
(一)(1)配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次のア又はイに掲げる区分に応じてそれぞれ当該ア又はイに定める日までの間、その居住していた建物(以下2において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下2において「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下2において「配偶者短期居住権」という。)を有するものとすること。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は民法第八百九十一条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでないものとすること。(第千三十七条第一項関係)ア居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか遅い日イアに掲げる場合以外の場合(3)の申入れの日から六箇月を経過する日(2)(1)本文の場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その他の方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならないものとすること。(第千三十七条第二項関係)(3)居住建物取得者は、(1)アに掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができるものとすること。(第千三十七条第三項関係)配偶者による使用
(二)
- 6 -(1)配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下2において同じ。)は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならないものとすること。(第千三十八条第一項関係)(2)配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができないものとすること。(第千三十八条第二項関係)(3)配偶者が(1)又は(2)の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができるものとすること。(第千三十八条第三項関係)配偶者居住権の取得による配偶者短期居住権の消滅(三)配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は、消滅するものとすること。(第千三十九条関係)居住建物の返還等
(四)(1)配偶者は、に規定する場合を除き、配偶者短期居住権が消滅したときは、居住建物の返還を
(三)しなければならないものとすること。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物取得者は、配偶者短期居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができないものとすること。(第千四十条第一項関係)(2)民法第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、(1)本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建 - 7 -物の返還をする場合について準用するものとすること。(第千四十条第二項関係)使用貸借等の規定の準用
(五)民法第五百九十七条第三項、第六百条、第六百十六条の二、1(2)、1及び1の規定は、配
(五)
(六)
(七)偶者短期居住権について準用するものとすること。(第千四十一条関係)二遺産分割等に関する見直し1婚姻期間が二十年以上の夫婦間における居住用不動産の遺贈又は贈与婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について民法第九百三条第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定するものとすること。(第九百三条第四項関係)2遺産の分割前における預貯金債権の行使各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に当該共同相続人の法定相続分を乗じた額(同一の金融機関に複数の口座を有している場合には、標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して金融機関ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができるものとすること。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなすものとすること。(第九百九条の二関係)3遺産の一部分割 - 8 -共同相続人は、民法第九百八条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、そ(一)の協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができるものとすること。(第九百七条第一項関係)遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないとき(二)は、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができるものとすること。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでないものとすること。(第九百七条第二項関係)4遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意
(一)により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができるものとすること。(第九百六条の二第一項関係)の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人によりの財産が処分されたときは、当該共(二)
(一)
(一)同相続人については、の同意を得ることを要しないものとすること。(第九百六条の二第二項関(一)係)三遺言制度に関する見直し1自筆証書遺言の方式の緩和民法第九百六十八条第一項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(
(一)同法第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部
- 9 -の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しないものとすること。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならないものとすること。(第九百六十八条第二項関係)自筆証書(の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを(二)
(一)変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じないものとすること。(第九百六十八条第三項関係)2遺贈義務者の引渡義務等遺贈義務者は、遺贈の目的である物又は権利を、相続開始の時(その後に当該物又は権利につい(一)て遺贈の目的として特定した場合にあっては、その特定した時)の状態で引き渡し、又は移転する義務を負うものとすること。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従うものとすること。(第九百九十八条関係)民法第千条を削除するものとすること。
(二)3遺言執行者の権限の明確化遺言執行者の任務の開始
(一)遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならないものとすること。(第千七条第二項関係)遺言執行者の権利義務(二)
- 10 -(1)遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するものとすること。(第千十二条第一項関係)(2)遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができるものとすること。(第千十二条第二項関係)特定財産に関する遺言の執行
(三)(1)遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が五1に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができるものとするこ
(一)と。(第千十四条第二項関係)(2)(1)の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、(1)に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができるものとすること。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限るものとすること。(第千十四条第三項関係)(3)(1)及び(2)の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従うものとすること。(第千十四条第四項関係)遺言執行者の行為の効果(四)遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずるものとすること。(第千十五条関係)
- 11 -遺言執行者の復任権(五)(1)遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができるものとすること。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従うものとすること。(第千十六条第一項関係)(2)(1)本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負うものとすること。(第千十六条第二項関係)四遺留分制度の見直し1遺留分の帰属及びその割合兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、2に規定する遺留分を算定するための財産の価額に
(一)
(一)、次の(1)又は(2)に掲げる区分に応じてそれぞれ当該(1)又は(2)に定める割合を乗じた額を受けるものとすること。(第千四十二条第一項関係)(1)直系尊属のみが相続人である場合三分の一(2)(1)に掲げる場合以外の場合二分の一相続人が数人ある場合には、(1)又は(2)に定める割合は、これらにその各自の法定相続分を乗じ
(二)
(一)た割合とするものとすること。(第千四十二条第二項関係)2遺留分を算定するための財産の価額遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にそ(一)
- 12 -の贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とするものとすること。(第千四十三条第一項関係)条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、(二)その価格を定めるものとすること。(第千四十三条第二項関係)3遺留分を算定するための財産の価額に算入する贈与の範囲贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、2の規定によりその価額を算入するものとする(一)こと。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とするものとすること。(第千四十四条第一項関係)民法第九百四条の規定は、に規定する贈与の価額について準用するものとすること。(第千四
(二)
(一)十四条第二項関係)相続人に対する贈与についてのの規定の適用については、中「一年」とあるのは「十年」と
(三)
(一)
(一)、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とするものとすること。(第千四十四条第三項関係)4負担付贈与がされた場合における遺留分を算定するための財産の価額に算入する贈与の価額等負担付贈与がされた場合における2に規定する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負
(一)
(一)担の価額を控除した額とするものとすること。(第千四十五条第一項関係)不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って(二)したものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなすものとすること。(第千四十五
- 13 -条第二項関係)5遺留分侵害額の請求遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指
(一)定を受けた相続人を含む。以下四において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができるものとすること。(第千四十六条第一項関係)遺留分侵害額は、1の規定による遺留分から次の(1)及び(2)に掲げる額を控除し、これに(3)に掲げ(二)る額を加算して算定するものとすること。(第千四十六条第二項関係)(1)遺留分権利者が受けた遺贈又は民法第九百三条第一項に規定する贈与の価額(2)民法第九百条から第九百二条まで、第九百三条及び第九百四条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額(3)被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、民法第八百九十九条の規定により遺留分権利者が承継する債務(6において「遺留分権利者承継債務」という。)の額
(三)6受遺者又は受贈者の負担額受遺者又は受贈者は、次の(1)から(3)までの定めるところに従い、遺贈(特定財産承継遺言による
(一)財産の承継又は相続分の指定による遺産の取得を含む。以下四において同じ。)又は贈与(遺留分を算定するための財産の価額に算入されるものに限る。以下四において同じ。)の目的の価額(受遺者又は受贈者が相続人である場合にあっては、当該価額から1の規定による遺留分として当該相続人が受けるべき額を控除した額)を限度として、遺留分侵害額を負担するものとすること。(第
- 14 -千四十七条第一項関係)(1)受遺者と受贈者とがあるときは、受遺者が先に負担する。(2)受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、受遺者又は受贈者がその目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。(3)受贈者が複数あるとき((2)に規定する場合を除く。)は、後の贈与に係る受贈者から順次前の贈与に係る受贈者が負担する。民法第九百四条、2及び4の規定は、に規定する遺贈又は贈与の目的の価額について準用す(二)
(二)
(一)るものとすること。(第千四十七条第二項関係)5の請求を受けた受遺者又は受贈者は、遺留分権利者承継債務について弁済その他の債務を消
(三)
(一)滅させる行為をしたときは、消滅した債務の額の限度において、遺留分権利者に対する意思表示によっての規定により負担する債務を消滅させることができるものとすること。この場合において(一)、当該行為によって遺留分権利者に対して取得した求償権は、消滅した当該債務の額の限度において消滅するものとすること。(第千四十七条第三項関係)受遺者又は受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰するものとすること(四)。(第千四十七条第四項関係)裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、の規定により負担する債務の全部又は一部の支払
(五)
(一)につき相当の期限を許与することができるものとすること。(第千四十七条第五項関係)
- 15 -7遺留分侵害額請求権の期間の制限遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅するものとすること。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とするものとすること。(第千四十八条関係)8その他民法第千四十四条を削るものとすること。五相続の効力等に関する見直し1共同相続における権利の承継の対抗要件相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分を超える部(一)分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができないものとすること。(第八百九十九条の二第一項関係)の権利が債権である場合において、法定相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該(二)
(一)債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、の規定を適用するものとすること。(第八百九十九条の二第二(一)項関係)2相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使被相続人が相続開始の時において有した債務の債権者は、民法第九百二条の規定による相続分の指
- 16 -定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、法定相続分に応じてその権利を行使することができるものとすること。ただし、その債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りでないものとすること。(第九百二条の二関係)3遺言執行者がある場合における相続人の行為の効果等遺言執行者がある場合には、民法第千十三条第一項の規定に違反してした行為は、無効とするも(一)のとすること。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができないものとすること。(第千十三条第二項関係)民法第千十三条第一項及びの規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産につ(二)
(一)いてその権利を行使することを妨げないものとすること。(第千十三条第三項関係)六特別の寄与1被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び民法第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下六において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下六において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができるものとすること。(第千五十条第一項関係)21の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができるものとすること。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、
- 17 -又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでないものとすること。(第千五十条第二項関係)32本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定めるものとすること。(第千五十条第三項関係)4特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができないものとすること。(第千五十条第四項関係)5相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に当該相続人の法定相続分(相続分の指定がある場合は指定相続分)を乗じた額を負担するものとすること。(第千五十条第五項関係)七その他その他所要の規定の整備をするものとすること。第二家事事件手続法の一部改正一遺産分割前の預貯金債権の仮分割の仮処分家事事件手続法第二百条第二項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができるものとすること。ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでないものとすること。(第二百条第三項関係) - 18 -二特別の寄与に関する審判事件1管轄特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属するものとすること。(第二百十六条の二関係)2給付命令家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができるものとすること。(第二百十六条の三関係)3即時抗告次の又はに掲げる審判に対しては、当該又はに定める者は、即時抗告をすることができる
(一)
(二)
(一)
(二)ものとすること。(第二百十六条の四関係)特別の寄与に関する処分の審判申立人及び相手方
(一)特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判申立人(二)4特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分家庭裁判所(家事事件手続法第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができるものとすること。(第二百十六条の五関係)
- 19 -三その他その他所要の規定の整備をするものとすること。第三附則一施行期日等1この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、第一の三1については公布の日から起算して六月を経過した日、第一の一については公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。(附則第一条関係)2この法律の施行に伴う所要の経過措置を定めるものとすること。(附則第二条から第十二条まで及び第三十一条関係)二関係法律の整備等この法律の施行に伴い、刑法等の関係法律の規定の整備等をするものとすること。(附則第十三条から第三十条まで関係)

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