共有私道の保存・管理等に関する事例研究会 最終とりまとめ概要


しろまる いわゆる共有私道につき,補修工事等を行う場合に,民法の共有物の保存・
管理等の解釈が必ずしも明確でなく,事実上,所有者全員の同意を得る運用
私道所有者の一部の所在を把握することが困難な事案において,必要な
補修工事等の実施に支障が生じているとの指摘
所有者を特定することが困難な土地に関して,地域の実情に応じた適切な利用や管理
が図られるよう,共有地の管理に係る同意要件の明確化について,関係省庁が一体と
なって検討(経済財政運営と改革の基本方針2017)
座長 慶應義塾大学大学院法務研究科教授 松尾 弘
委員 早稲田大学大学院法務研究科教授 秋山靖浩
上智大学法学部教授 伊藤栄寿
神戸大学大学院法学研究科教授 角松生史
司法書士 白井聖記
弁護士 野村 裕
土地家屋調査士 丸山晴広
関係省庁 法務省,国土交通省
具体的支障事例を収集するなどして実態
を把握し,代表的な支障事例につき,民法
等において同意を得ることが求められる者
の範囲を明確化するための検討
1平成29年8月2日 2平成29年9月25日
3平成29年10月25日 4平成29年11月29日
4回の会議を経て
ガイドラインを作成・公表
保存 管理に関する事項 変更・処分
内容 共有物の現状を維持す
る行為
共有物の性質を変えない範
囲での利用・改良行為
共有物を物理的に改
変,処分する行為
要件 各共有者が単独で可能
(民法第252条ただし書)各共有者の持分の価格に従
い,その過半数で決する(民
法第252条本文)
共有者全員の同意が
必要(民法第251条)
共有物に関する民法のルール
背景
共有私道の保存・管理等に関する事例研究会
共有私道の保存・管理等に関する事例研究会
最終とりまとめ概要
(共有物の使用)
民法第249条 各共有者は,共有物の全部について,その持分に応じた使用をすることが
できる。
共同所有型私道とこれに接する宅地が客観的に見て一団地を
構成する場合,区分所有法が適用され,工事が共有物の変更
に当たる場合でも,一定の多数決で可能
民法の不在者財産管理制度等を利用し,家庭裁判所により選任
される財産管理人から私道の工事等の同意を得ることが可能ほ舗装の修復 私有水道管の新設 公共下水管の新設
保存行為であり,単独で可
(事例1) (事例11)
持分に応じた使用として
単独で可
共有物の管理に関する事項
に当たり,共有者の持分価格
に従い,過半数で決する
(事例21)
今後に向けて
しろまる 本ガイドラインにより,共有私道の法律関係と工事に当たっての対処方法は相当程度明らかに
しろまる 共有地の保存・管理,財産管理制度の在り方等の所有者不明土地問題に関わる民事基本法制上の
諸課題については,更に要検討
関係省庁が連携して,迅速かつ適正な対策を講じる必要
1共同所有型私道
私道敷全体を複数の者が所有し,民
法第249条以下の共有の規定が適用
されるもの
2相互持合型私道
私道敷が複数の筆から成っており,
隣接宅地の所有者等が,私道敷の各
筆をそれぞれ所有し,相互に利用させ
合うもの
所有者不明私道への対応ガイドライン 目次概要
第1章 共有私道とその実態
1 共有私道の意義
2 実態調査
第2章 共有私道の諸形態と民事法制
1 民法上の共有関係にある私道(共同所有型私道)
2 民法上の共有関係にない私道(相互持合型私道)
3 団地の法律関係
4 財産管理制度等
第3章 ケーススタディ(全35事例)
1 私道の舗装に関する事例(10事例)
2 ライフラインに関する事例(17事例)
【上水道関係】【下水道関係】
【ガス事業及び導管関係】【電気事業及び電柱関係】
3 その他(8事例)
第4章 今後に向けて
ケーススタディ(共同所有型私道の検討例)

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