1要 望 書
平成29年12月15日
共生社会を創る愛の基金
女子刑務所のあり方研究委員会 2平成29年12月15日
法務大臣 上川 陽子 殿
共生社会を創る愛の基金
女子刑務所のあり方研究委員会
委員長 堂 本 暁 子
委 員 小 畑 輝 海
委 員 鈴 木 眞 理
社会福祉法人南高愛隣会
顧 問 田 島 良 昭
要 望 書
大臣におかれましては、日頃、法務行政の適切な執行に尽力されていること
に敬意を表しますとともに、今後とも国民の安全・安心のために活躍されます
よう期待申し上げております。
「共生社会を創る愛の基金」の「女子刑務所のあり方研究委員会」は、これま
で女子刑務所や更生保護施設などのあり方について調査・研究を行い、女子刑
務所の改革を要望してきました。なかでも女子刑務所が地域の各種団体や人材
の協力・支援が受けられる枠組の構築を要望したところ、国におかれましては
直ちに女子刑務所を地域の刑務所と位置づけ、平成26年度から「女子施設地
域支援モデル事業」の開始に踏み切り9箇所のすべての女子刑務所において事
業が実施され、本年度から本格実施されたことに敬意を表します。 3また、昨年「再犯の防止を推進する法律」が成立施行され、現在、再犯の防
止のための推進計画を策定し、国、地方公共団体が連携し再犯の防止を推進す
ることは、画期的なことであり、高く評価するものです。
しかしながら再犯を防止するためには、覚せい剤犯、障害者、摂食障害など
受刑者も多様化しており、矯正施設内から地域社会内まで一貫した支援が必要
です。特に、女子受刑者にとっての最大の課題は社会復帰であり、再犯を防止
する観点からも、社会の理解と受け入れ体制の整備が求められています。
つきましては、女子受刑者の矯正、更生、再犯防止のために、今後とも、矯
正施設での処遇改善や環境整備さらには地域社会での支援体制の整備・充実に
ご尽力いただきたく、下記事項について要望いたします。記1.女子施設地域連携事業について
この事業の改善・拡大を推進し、さらに女子受刑者の処遇向上、薬物依存離
脱指導を始めとする更生プログラム、職業訓練などを充実させるとともに、退
所後も継続的に各種の必要な支援が得られるよう、地域社会の支援につなげる
システムとして継続すること。
2.刑事施設内における子の養育について
子どもの権利保護・最善の利益の観点から、良好な母子関係を構築させ、子
どもの心身の健やかな成長及び女子受刑者の改善更生のために、刑事施設内に
おける女子受刑者による子の養育のモデル事業の実施について、厚生労働省の
協力を得ながら、検討すること。
3.薬物依存者対策について
(1)薬物依存者に対する治療システムの構築
女子刑務所における20・30代の受刑者の50%以上が薬物事犯であり、
再犯率も6割を超え、再犯の防止は喫緊の課題である。諸外国においては、出
所者、仮釈放者などが入所する治療共同体 TC(Therapeutic Communities)と称
される薬物依存回復施設が定着し、
効果を上げている。
我が国においても司法、
福祉、医療、看護など各分野からなる検討会を設置し、海外事例を参考に、矯
正施設内から保護観察期間中の社会内処遇、その後の地域生活においても、一
貫した日本型の薬物依存回復システムを構築すること。 4(2)地方公共団体など地域力の活用
地域において回復拠点となる更生保護施設、社会福祉法人、NPO、医療機関な
どを整備すること。
(3)効果的な回復措置の司法的観点からの検討
薬物事犯者の再犯の防止等に向け、刑法の一部の執行猶予制度の運用状況や
薬物依存症からの回復支援を行う組織・団体などの整備状況等を踏まえ、海外
において薬物依存症からの効果的な回復措置として実施されている各種拘禁刑
に代替する処遇のあり方も参考にしつつ、新たな取組を試行的に実施すること。
4.再犯防止推進計画
再犯防止推進法の目的である再犯防止を実効性のあるものとするためには、
地方自治体の協力が必要不可欠であり、各地方自治体に、住民への啓発・周知
とともに、再犯防止推進計画策定を強く要請すべきである。DV 防止法の加害者
の再犯を防止する観点から、DV 加害者に対する指導等も充実すべきであり、今
後、再犯防止推進計画に基づき施策を実施する上でその重要性を十分認識する
とともに、
今後の同計画の見直しにおいて、
「ストーカー加害者に対する指導等」
と同様に、
「DV 加害者に対する指導等」を明記することを検討すること。
5.刑の在り方について
受刑者の再犯防止の実現に即した刑罰のあり方について、研究・検討するこ
と。
以 上 5女子刑務所のあり方研究委員会名簿
平成28年6月30日現在
医師、
日本性差医学・医療学会 理事 天 野 惠 子
ジャーナリスト、作家 江 川 紹 子
国際医療福祉大学大学院 教授 大 熊 由紀子
リカバリー理事長 大 嶋 栄 子
法政大学現代福祉学部臨床心理学科 教授 小 野 純 平
(株)朝日エル 社長 岡 山 慶 子
更生保護法人両全会 理事長、元東京矯正管区長 小 畑 輝 海
弁護士 川 島 志 保
立教大学兼任講師、社会デザイン研究所特別研究員 菊 地 栄
千葉大学大学院 専門法務研究科 教授 後 藤 弘 子
元参議院議員、
元厚労省職業能力開発局長 坂 本 由紀子
東京女子医科大学名誉教授、公益社団法人日本女医会前副会長 澤 口 彰 子
厚生労働省国立保健医療科学院 統括研究官 澤 口 聡 子
家庭子どもセンター理事長、九州リハビリテーションぬくもりの家代表
篠 崎 正 美
前日本看護連盟会長、元参議院議員 清 水 嘉与子
元法務省職員 清 水 博 子
政策研究大学院大学 保健管理センター 教授 鈴 木 眞 理
弁護士 高 木 真智子
社会福祉法人 南高愛隣会 顧問 田 島 良 昭
女性と健康ネットワーク代表、
元参議院議員、
前千葉県知事 堂 本 暁 子
元法務大臣、元参議院議員 南 野 知惠子
女性と健康ネットワーク副代表、城西国際大学 客員教授 原 ひろ子
勇気の翼インクルージョン2015 理事長 細 川 佳代子
弁護士 松 原 敏 美
星ケ丘病院精神科ソーシャルワーカー 松 原 弘 子
和歌山県地域生活定着支援センター まーる所長 松 本 一 美
前厚生労働省事務次官 村 木 厚 子
全国シルバー人材センター事業協会 専務理事 村 木 太 郎
自治医科大学看護学部 助教 望 月 明 見
琉球大学法科大学院 教授 矢 野 恵 美
(以上 30名)

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