被災マンション法Q&A.indd


法 務 省
改正被災マンション法
Q&A
改正被災マンション法
Q&A
地震などの大規模な災害で分譲マンションが倒壊するなどの重大な損害を受け
た場合について特別の措置を定めた「被災区分所有建物の再建等に関する特別
措置法」
(被災マンション法)
の一部を改正する法律が,
平成2
5年6月26
日に公布・
施行されました。
このパンフレッ
トは,今回改正された被災マンション法について理解していただ
くため,その概要をQ&
A方式で説明したものです。
改正被災マンション法は,被災地の健全な復興に資すること等を目的として,大規模
な災害によりマンションが被害を受けた場合に,以下のとおり,マンションを所有して
いる者等の多数決でマンションの取壊し,再建,敷地売却等の決議ができるようにする
特別な制度を設けています。
(1)マンションを再建するためには,敷地共有者による集会を開く必要があります。
再建決議を目的とする集会は,管理者を選任していた場合には管理者が,管理者を選
任していない場合には敷地共有者の議決権(通常は敷地共有持分の割合によります。)の5分の1以上を有する者が招集します。この集会は,マンションの全部が滅失した後に
されるものであり,区分所有者による集会とは異なるものですから,管理者は,敷地共有
者による集会で改めて選任する必要があります。
再建決議を目的とする集会を招集するには,集会の日の2か月前までに,決議案の要領
及び再建を必要とする理由を敷地共有者に通知するとともに,
集会の日の1か月前までに,
決議案の要領及び再建を必要とする理由について説明を行うための説明会を開催しなけ
ればなりません。
(2)再建決議を目的とする集会では,敷地共有者の議決権の5分の4以上の多数決で,
マンションを再建する内容の決議をすることができます。
ただし,
この決議は,
被災マンショ
ン法を適用する災害を定める政令の施行日から起算して
3年以内
(東日本大震災の場合は,
平成2
8年7月30
日まで)にしなければなりません。
再建決議においては,
1再建する建物の設計の概要,
2建築費用の概算額,
3建築費用
の分担に関すること,
4再建する建物のどの部分を誰が所有することになるのかを決める
ことになります。
(3)再建決議がされると,集会を招集した者は,決議に賛成しなかった敷地共有者に対
して,敷地の売却に参加するかどうかを2か月以内に回答することを求める文書を出さな
ければなりません。この文書を受け取ってから
2か月以内に再建に参加するという回答を
しなかった者は,再建に参加しないことになります。
(4)再建決議に賛成した者若しくは再建に参加するという回答をした者又はこれらの者
の全員一致で敷地の権利を買い取ることを認められた者は,再建に参加しない敷地共有
者に対し,
その権利を時価で売り渡すよう請求することができます。この請求がされると,
再建に参加しない敷地共有者の権利は,請求をした者に時価で売り渡されたことになり
ます。こうして敷地の権利を取得した者たちが,実際に再建を行うことになります。
改正被災マンション法は,どのような制度を定めていますか。
全部滅失の場合Q4被災マンション法は,なぜ改正されたのですか。
従前の被災マンション法では,大規模な災害によりマンションが全部滅失した場合,
その敷地を共有している者の5分の4以上の多数決でマンションを再建することができ
るとされていただけで,マンションの一部が滅失した場合について定めた規定はありま
せんでした。そのため,
そのような場合にマンションを取り壊すには,
民法の原則により,
マンションを所有している者全員の同意が必要でした。
しかし,マンションが全部の滅失にまでは至ら
なくても,災害により重大な損壊が生じて危険
な状態になっているような場合には,マンション
を所有している者の大多数がマンションの取壊
しを望んでいれば,その取壊しを認めるのが適
当であると考えられます。
そこで,今回,被災マンション法が改正され,
マンションを所有している者の5分の4以上の多数
決でマンションの取壊し等ができるようにされま
した。
Q1 被災マンション法は,どのような場合に適用されますか。
マンションの再建をするための手続を教えてください。
被災マンション法は,これを適用する大規模な災害が政令で
定められた場合に,当該災害によって全部が滅失し,又は重
大な被害を受けた(その価格の2分の1超に相当する部分が滅
失した)マンションに適用されます。
なお,平成2
5年7月3
1日には,上記の災害として東日本大
震災を定める政令が公布・施行されました。これにより,同日
から,被災マンション法は,東日本大震災によって全部が滅失
し,又は重大な被害を受けたマンションに適用されています。Q3 マンションの敷地を共有している者(敷地の利用権が借地権等であるときは,その権利を
共有している者。法律では「敷地共有者等」といっていますが,ここでは「敷地共有者」と
略称します。
)は,5分の4以上の多数決により,
1マンションを再建する決議(4条関係,Q4)
2敷地を売却する決議(5条関係,Q5)
をすることができます。
マンションを所有している者(法律では「区分所有者」といっています。
)は,5分の4以
上の多数決により,
1マンションを敷地と共に売却する決議(9条関係,Q9)
2マンションを取り壊し,かつ,敷地を売却する決議(1
0条関係,Q9)
3マンションを取り壊す決議(1
1条関係,Q8)
をすることができます。
1. マンションの全部が滅失した場合
2. マンションが重大な被害を受けた
(マンションの価格の2分の1超に相当する部分が滅失した)
場合Q2 再建や敷地売却に参加する者がこれらに参加しない者に売渡しを請求すると,参加
しない者は,
参加する者に自分の権利を売り渡さなければなりませんが,
この場合には,
時価相当額の代金が支払われることとなりますから,参加しない者に経済的な損失は
生じません。なお,この請求を受けて権利を売り渡した場合でも,再建・敷地売却の
各決議から
2年を経ても正当な理由がないにもかかわらず再建や敷地売却がされないと
きは,権利を売り渡した者は,権利を売り渡した金額と同一の金額でその権利を買い
戻すことができます。
(1)取壊し決議をするためには,区分所有者による集会を開く必要があります。
集会は,管理者を選任していた場合には管理者が,管理者を選任していない場合
には区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有する者が招集します。
(2)取壊し決議を目的とする集会を招集するには,集会の日の2か月前までに,
1決議
案の要領,
2取壊しを必要とする理由,
3復旧や建替えをしない理由,
4復旧をする場
合に要する費用の概算額を区分所有者に通知しなければなりません。
また,集会を招集した者は,集会の日の少なくとも1か月前までに,上記1から4
までの事項について説明を行うための説明会を開催しなければなりません。
(3)取壊し決議を目的とする集会では,区分所有者の人数及び議決権の双方の5分の
4以上の多数決で,マンションを取り壊す内容の決議をすることができます。ただし,
この決議は,被災マンション法を適用する災害を定める政令の施行日から起算して1年以内(東日本大震災の場合は,平成2
6年7月3
0日まで)にしなければなりません。
取壊し決議においては,
1マンションの取壊し費用の概算額,
2取壊し費用の分担に関
することを決めることになります。
(4)取壊し決議がされると,集会を招集した者は,決議に賛成しなかった区分所有者
に対して,マンションの取壊しに参加するかどうかを2か月以内に回答することを求め
る文書を出さなければなりません。この文書を受け取ってから2か月以内に取壊しに
参加するという回答をしなかった者は,取壊しに参加しないことになります。
(5)取壊し決議に賛成した者若しくはマンションの取壊しに参加するという回答をした
者又はこれらの者の全員一致で権利を買い取ることを認められた者は,取壊しに参加
しない区分所有者に対し,その権利を時価で売り渡すよう請求することができます。
この請求がされると,取壊しに参加しない区分所有者の権利は,請求をした者に時価
で売り渡されたことになります。こうしてマンション及び敷地の権利を取得した者たち
が,実際にマンションの取壊しを行うことになります。
再建や敷地売却に参加しない者の権利はどうなりますか。
一部滅失の場合Q6敷地を共有している者の一部の所在が分かりません。再建や敷地売却
の集会を招集するためにはどのようにすればよいですか。Q7敷地売却決議をするための手続を教えてください。
敷地売却決議をする場合の手続は,
基本的に再建決議の場合と同様です(Q
4参照)。 もっとも,この場合には,マンションの再建ではなく,敷地の売却が議案となります
から,集会の招集に当たっては,決議案の要領及び売却を必要とする理由を通知し,
説明会においてもこれらの事項を説明することになります。また,敷地売却決議では,
1敷地を誰に売却するか,
2売却による代金の見込額はどの程度かを決めることになり
ます。
なお,敷地の売却による代金は,別途の合意がない限り,敷地共有者が有する敷地
の権利の割合に従って分配されることになります。このため,敷地売却決議において
代金の分配に関する事項を決めることとはされていません。Q5取壊し決議をするための手続を教えてください。Q8 再建決議や敷地売却を目的とする集会を開くには,集会の日の2
か月前までに敷地共
有者に招集の通知をしなければなりません。この通知は,敷地共有者が所在する場所
に宛ててすることが原則ですが,敷地共有者の所在が分からない場合には,敷地内の
見やすい場所に掲示をしてすることができます。
もっとも,この掲示による通知が認められるのは,合理的に期待される程度の所在
調査を尽くしたにもかかわらず,
所在が分からない場合に限られていますので,
まずは,
所在が分からなくなっている者についての情報を収集する必要があります。
なお,掲示による通知をして
集会を招集する場合であっても,
所在が分からなくなっている者
を含めた敷地共有者全員の議決
権の5分の4以上の賛成がなけれ
ば決議をすることはできません。
取壊しや建物敷地売却,建物取壊し敷地売却に参加する者がこれらに参加しない者
に売渡しを請求すると,参加しない者は,参加する者に自分の権利を売り渡さなけれ
ばなりませんが,この場合には,時価相当額の代金が支払われることになりますから,
参加しない者に経済的な損失は生じません。なお,この請求を受けて権利を売り渡し
た場合でも,取壊し・建物敷地売却・
建物取壊し敷地売却の各決議から2年を経ても正当な理由がないにもかかわ
らずこれらの処分がされないときは,
権利を売り渡した者は,権利を売り渡
した金額と同一の金額でその権利を買
い戻すことができます。(1)取壊し・建物敷地売却・建物取壊し敷地売却の各決議を目的とする集会を開くには,
集会の日の2
か月前までに区分所有者に招集の通知をしなければなりません。
通常時には,専有部分に宛てて通知をするなどの方法をとることが一定の場合には認
められていますが,大規模な災害が発生して上記各決議を目的とする集会を開くため
には,区分所有者がマンションから避難している場合もあると考えられることから,
原則として,
区分所有者の所在する場所に宛てて通知をする必要があります。
もっとも,
区分所有者が,災害発生後に管理者に対して通知を受ける場所を伝えたときは,その
場所に宛てて通知をすれば足ります。
(2)合理的に期待される程度の所在調査を尽くしたにもかかわらず,区分所有者の所
在が分からない場合には,マンション又はその敷地内の見やすい場所に掲示をするこ
とによって通知を行うこともできます。ただし,まずは,所在が分からなくなっている
者についての情報を収集しなければならないことは,Q7の場合と同様です。
また,掲示による通知をして集会を招集する場合であっても,所在が分からなくなっ
ている者を含めた区分所有者全員の議決権の5分の4以上の賛成がなければ取壊し決
議等を行うことはできないことも,Q7の場合と同様です。
取壊し,建物敷地売却又は建物取壊し敷地売却に参加しない者
の権利はどうなりますかQ10建物敷地売却決議や建物取壊し敷地売却決議をするための手続に
ついて教えてください。また,これらの手続は,取壊し決議を行う
ための手続とはどのような点で異なりますか。
マンションを所有している者の一部の所在が分かりません。
取壊し,建物敷地売却又は建物取壊し敷地売却の集会を招集する
ためにはどのようにすればよいですか。
(1)建物敷地売却決議や建物取壊し敷地売却決議をする場合の手続は,基本的に取壊
し決議の場合と同様です(Q
8参照)。 もっとも,
これらの場合には,取壊し決議とは異なり,建物敷地売却決議においては,
1決議案の要領,
2建物と敷地の売却を必要とする理由,
3復旧や建替えをしない理由,4復旧をする場合に要する費用の概算額が,また,建物取壊し敷地売却決議にお
いては,1,3,
4の事項のほか,
5マンションを取り壊した上で敷地を売却することを
必要とする理由が,それぞれ通知をすべき事項や説明会において説明すべき事項にな
ります。
また,建物敷地売却決議や建物取壊し敷地売却決議をするには,区分所有者の人数
及び議決権の5分の4以上に加え,敷地利用権の5分の4以上を有する者が決議に賛成
しなければなりません。これは,これらの決議においては,マンションのみならず,敷
地の処分も行うことになるためです。
(2)建物敷地売却決議においては,
1建物と敷地を誰に売却するのか,
2売却による代
金の見込額,
3各区分所有者が得ることができる金銭の額の算定方法を,建物取壊し
敷地売却決議においては,
1マンションの取壊し費用の概算額,
2取壊し費用の分担に
関すること,
3敷地を誰に売却するのか,
4売却による代金の見込額を,それぞれ決め
ることになります。
Q9 Q11
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(代)
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