外国法事務弁護士制度に係る検討会〜報告書〜
主な検討事項は,承認に必要な職務経験要件とB法人制度(検討会設置の経緯,
構成員は別添資料1のとおり)。
H27.3以降,12回の検討会を実施し(別添資料2),H28.7に報告書取りまとめ。
現行制度 報告書
検討会報告書の概要
しろまる 職務経験要件
【内容】
・ 外国弁護士の資格に基づく,資格取得
国又は第三国における3年以上の職務
経験
・ その3年に,我が国における労務提供
期間を1年まで算入可能
【趣旨】
依頼者保護・我が国の法秩序維持のた
め,外国法事務弁護士の能力・資質・倫理
を担保する。
しろまる B法人
(注記) H21,外国弁護士制度研究会において,
A法人(外国法事務弁護士のみが社員と
なる法人)と併せ制度化すべきとされたが,
B法人について,外国法事務弁護士によ
る日本法法律事務への不当関与等の懸
念が示され,H26.4の法改正ではA法人
のみ制度化(H28.3改正法施行)。
(注記) B法人・・弁護士と外国法事務弁護士が
社員となる法人。
設立不可
しろまる B法人
しろまる 職務経験要件
だいやまーく 外国弁護士が一定の要件を満たした場合に,外国法事務弁護士として,我が国
において外国法に関する一定の法律事務を取り扱うことができることとする制度。
・・・ 法務大臣による承認と日弁連の名簿への登録が必要。
だいやまーく 外国法事務弁護士は,外国法(原資格国法等)に関する法律事務のみを取り扱
うことができ,日本法に関する法律事務は取り扱うことができない。
だいやまーく S61に「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法」が成立。
その後,国内外の要望を踏まえ,数次の法改正。
外国法事務弁護士制度とは
【緩和策の案】(1か2のいずれか)
1 職務経験期間については現行の3年
を維持,労務提供期間を2年まで算入し
得ることとする
2 職務経験期間を2年とし,労務提供
期間を1年まで算入し得ることとする
【理由】
職務経験要件自体は外国法事務弁護士
の能力等を担保する観点から現段階では
維持するのが相当だが,社会経済の複雑
多様化・国際化に適切に対応するため,有
能な外国弁護士を積極的に日本に受け入
れる必要がある。
緩和に向けた
前向きな検討
設立可とすべき
(注記) 不当関与等の懸念については,現行の
A法人等に対する規制(懲戒や刑罰)と同
様の規制を設けることで十分抑止し得る。
(注記) ただし,創設に当たっては,懸念の解消
にも配慮しながら,スムーズな組織変更を
可能にするなどの課題について十分な
検討を進めるべき。
平 成 2 8 年 7 月
法 務 省
日 本 弁 護 士 連 合 会
外国法事務弁護士制度に係る検討会について
1 設置の経緯及び趣旨
外国法事務弁護士制度については,これまでも,国内外の要望等を踏
まえつつ,その制度の在り方につき検討がされてきたところですが,
「規
制改革実施計画」
(平成26年6月24日閣議決定)
(別紙1)
において,
「増加する国際的な法的需要等を踏まえ,
外国法事務弁護士制度に関し,
諸外国の制度の状況を勘案しつつ,承認についての職務経験要件の基準
等について,外国法事務弁護士の参画を得て,外国法事務弁護士制度に
係る検討会(仮称)を設置する。
」とされたことを受け,法務省及び日
本弁護士連合会は,
「外国法事務弁護士制度に係る検討会」を設置し,
職務経験要件の基準等を始めとした外国法事務弁護士制度について,弁
護士及び外国法事務弁護士のみならず,各界の有識者からも専門的な知
見に基づく幅広い意見を伺うこととしました。
なお,本検討会においては,
「国家戦略特区における追加の規制改革
事項等について」
(平成26年10月10日国家戦略特別区域諮問会議
決定)
(別紙2)における,外国法事務弁護士制度に関する指摘につい
てもその検討の対象とすることとしました。
2 構成員(敬称略 五十音順 (注記) 役職等は就任時のものを記載)
座長 松下 淳一 東京大学大学院法学政治学研究科教授
委員 出井 直樹 弁護士(第1回から第9回まで)
大村 雅彦 中央大学法務研究科教授
岡田 春夫 弁護士
加藤 裕子 三菱商事法務部企画法務チーム課長
亀井 正博 富士通法務・コンプライアンス・知的財産本部副本部長ケン・レブラ
ン 外国法事務弁護士
上妻英一郎 弁護士
﨑村 令子 外国法事務弁護士
陳 天 華 外国法事務弁護士
中西 康 京都大学大学院法学研究科教授
柳 志 郎 弁護士(第10回から第12回まで)
3 検討事項
(1)職務経験要件の基準
(2)その他外国法事務弁護士制度に関する課題等
資料1
規制改革実施計画
(平成26年6月24日閣議決定・外国法事務弁護士関連部分抜粋)
II 分野別措置事項
5 貿易・投資等分野
(1)規制改革の観点と重点事項
(略)
こうした国益に資する観点から、輸出入や対内外直接投資を促進するため、1対
日投資促進、2空港規制の緩和、3外国法事務弁護士制度の見直し、4相互認証の
推進、5輸出入の円滑化・通関手続の合理化、6入管政策の改定、7国内外投資増
加に向けた金融関連規制の見直し、8貿易に関する物流の効率化に重点的に取り組
む。
(2)個別措置事項
3外国法事務弁護士制度の見直し
事項名 規制改革の内容 実施時期 所管省庁No増加する国際的な法的需要等
を踏まえ、外国法事務弁護士
制度に関し、諸外国の制度の
承認につ
外国法事務弁護士 状況を勘案しつつ、
9 制度に係る検討会 平成 年度措置 法務省
いての職務経験要件の基準等 26
の設置 、外国法事務弁護士
について
の参画を得て、外国法事務弁( )護士制度に係る検討会 仮称
を設置する。
外国法事務弁護士登録手続の
手順及び標準処理期間の透明
外国法事務弁護士 化並びに申請者の利便性向上
の承認・登録手続 について、必要に応じ申請者 平成 年検討開 法務省
10 26
の透明化 側の意見を聴取しつつ、法務 始
省と日本弁護士連合会が協議
を行う場を設け、検討する。
外国法事務弁護士の承認・登
外国法事務弁護士 録に係る手続の簡素化・迅速
の承認・登録手続 化について、申請者側の意見 平成 年検討開 法務省
11 26
の簡素化 を聴取しつつ、法務省と日本 始
弁護士連合会が協議を行う場
を設け、検討する。
外国法事務弁護士が法律事務
外国法事務弁護士 を提供することができる法人
法人の設立のため 組織 外国法事務弁護士法人 平成 年上期措 法務省
12 26( )の環境整備 の設立を可能とするよう所要 置
の措置を講ずる。
別紙1
国家戦略特区における追加の規制改革事項等について
(平成26年10月10日国家戦略特別区域諮問会議決定・外国法事務弁護士関連部分抜粋)
◇ 2015年度までの2年間を集中取組期間とし、いわゆる岩盤規制全般
について突破口を開いていく国家戦略特区については 「日本再興戦略改訂、2014 (平成26年6月24日閣議決定)に基づき、指定した特区の区」域会議や、全国の地方自治体・民間からの提案も踏まえ 「ビジネス環境の、改善・グローバル化 「公的インフラ等の民間開放 「持続可能な社会保」、 」、障制度の構築 「新たな地方創生モデルの構築」等の観点から、必要な規」、
制改革事項を追加する。
◇ 具体的には、引き続き、国家戦略特別区域諮問会議や国家戦略特区ワー
キンググループにおける検討も踏まえ、以下の事項を規制の特例措置として
具体化した上で、今臨時国会に提出する国家戦略特別区域改正法案に必要な
規定を盛り込むなど、所要の措置を講ずる。
1.ビジネス環境の改善・グローバル化
◇ 新陳代謝による経済の活性化を促し、世界で一番ビジネスがしやすい環
境を創出するため 「起業・開業の促進 「外国人の受入れ推進」などに関
、 」、する以下の規制改革事項について、今臨時国会に提出する特区法改正案の中
に、特例措置等の必要な規定を盛り込む。
(6) 外国での弁護士資格取得者の国内での活動推進
・ グローバル化に伴う外国法に関する法律事務の提供を拡大するた
外国での弁護士資格取得者の国内での活動を推進する方策につ
め、
、改正法案施行後半年以内を目途として早急に検討を行い、そ
いて
の結果に基づき必要な措置を講ずる。
【参考】
第9回国家戦略特別区域諮問会議有識者議員提出資料「追加の規制改革事
項について (外国法事務弁護士関連部分抜粋 (平成26年10月10日)
」 )
4、外国での弁護士資格取得者の国内活動推進
(略)
外国法事務弁護士の登録に必要な実務経験に係る特例 弁護士及び外国、などの方策を検討すべきである。
法事務弁護士が社員となる法人制度導入
別紙2
検討会の開催状況
(注記) 役職等はヒアリング時のものを記載
第1回(平成27年3月13日)
しろまる 委員の紹介
しろまる 会議の運営についての説明
しろまる 検討事項及びスケジュールについての説明
しろまる 外国法事務弁護士制度の現状等についての説明
しろまる 意見交換
第2回(同年4月23日)
しろまる 諸外国における外国法事務弁護士制度について委員及び事務局(日弁連)
からの説明
第3回(同年5月20日)
しろまる 職務経験要件についてのヒアリング
・ エリック・セドラック氏(外国法事務弁護士協会共同会長,在日米国商
工会議所副会頭)
・ 別府理佳子氏(欧州ビジネス協会法律サービス委員会委員長)
・ 阿部泰久氏(日本経済団体連合会常務理事)
・ 三宅 弘氏(日本弁護士連合会副会長)
第4回(同年6月26日)
しろまる 職務経験要件についての意見交換
第5回(同年7月22日)
しろまる 職務経験要件についての意見交換
第6回(同年9月18日)
しろまる B法人制度についての説明
しろまる B法人制度についてのヒアリング
・ エリック・セドラック氏(外国法事務弁護士協会共同会長,在日米国商
工会議所副会頭)
・ 別府理佳子氏(欧州ビジネス協会法律サービス委員会委員長)
資料2
第7回(同年11月26日)
しろまる B法人制度についてのヒアリング
・ 洞雞敏夫氏(ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所 弁護士)
・ ブライアン・G・ストラーン氏(ホワイト&ケース外国法事務弁護士事
務所 外国法事務弁護士)
・ 根津宏行氏(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 弁護士)
・ バニー・L・ディクソン氏(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 外
国法事務弁護士)
・ 粕川敏夫氏(日本弁理士会副会長)
・ 塩野谷英城氏(日本弁理士会副会長)
第8回(同年12月15日)
しろまる B法人制度についての意見交換
第9回(平成28年2月2日)
しろまる 「外国法事務弁護士制度に係る検討会取りまとめ骨子(案)
」についての
意見交換
第10回(同年4月5日)
しろまる B法人制度についてのヒアリング
・ 阿部泰久氏(日本経済団体連合会常務理事)
・ 久慈直登氏(日本知的財産協会専務理事)
しろまる 職務経験要件及びB法人制度についての意見交換
第11回(同年6月10日)
しろまる 「外国法事務弁護士制度に係る検討会取りまとめ骨子(案)
」についての
意見交換
第12回(同年7月5日)
しろまる 最終取りまとめ

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