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町田市における法曹有資格者の活動状況について
1.弁護士を職員として採用した時期と採用することとした理由
2009年に、当時の総務部法務課(現在の総務部法制課)の課長が、
「法
務部門に配置する弁護士を職員として採用したい。」と市長に相談したことが
きっかけだったと聞いています。当時、法務課長は、日々の業務の中で、市
の職員はよく仕事はするが、今ひとつ法務に関する知識と理解が足りないと
感じていたようです。
そして、
市長も、
日頃、
職員からの決裁文書の説明や、
会議でのやり取りの中で、法務課長と同様の感想を持っていたそうで、すぐ
に法務課長の意図を理解して弁護士の採用を了承したと聞いています。
それから、市長が当時、弁護士の採用に踏み切った具体的な理由を補足す
ると、二つあったそうです。
一つは、行政経営上のリスク管理を継続的にしっかりと行う体制を整備す
ることを意図したということ。
もう一つは、法律の専門家である弁護士の指導、助言の下で、市職員の法
務能力を向上させるということです。
こうして、2010年度から弁護士を採用することになりました。
2.採用した弁護士の配属部門,担当業務。当該弁護士が他の部門から
の相談を受けている場合などは,その件数や実績等
総務部法制課に担当課長として勤務していただいております。
採用後の主な仕事は、行政法律相談、争訟法務、職員研修等です。
行政法律相談は、行政処分に関する住民とのトラブルや、学校での生徒間
トラブルなど、市役所内の様々な部署からありとあらゆる相談が寄せられて
います。市役所は、市民との関係がかなり近いところで仕事をしていること
もあって、相談内容も市民生活全般に係わるものになっています。相談件数
は、記録を付けているものだけも年間400から500件に上りますが、電
話等で寄せられたちょっとした相談など、記録を付けていないものもありま
すので、実際のところは、もっと多くの相談が寄せられています。
2016 年 3 月 18 日
町田市総務部法制課長
浦田博之
【資料 9】 23.任期付職員として弁護士を採用したことによる,市の行政運営に当
たっての利点
採用後の効果として、訴訟リスクに気づく感覚が職員に育ってきていると
実感しています。
例えば、これまでは、行政法律相談などでも、紛争が起こってから相談に
来るということが多かったのですが、最近では、契約を締結する前に、後の
紛争を回避するために事前に相談しに来るということが増えてきました。事
前に紛争の芽を摘み取るという感覚が職員の間にも芽生えてきた証拠ではな
いでしょうか。
4.顧問弁護士を契約すれば職員としての弁護士を採用する必要はない
のでは,という指摘について
顧問弁護士との契約だけでは、相談できる時間も限られており、日々の業
務で突発的に起きる事案に即応できない場合があります。その点、役所内に
弁護士がいることで、突発的に起きる事案に即応できるようになりました。
また、訴訟になった場合、外部の弁護士に訴訟代理人を委託する際に、役
所の仕事内容の翻訳者として威力を発揮していただき、訴訟の際に、円滑に
手続きが進められるようになったという効果があります。
さらに、最近では、簡単な事案であれば、職員として勤務する弁護士が中
心となって、庁内の職員だけで裁判を進められるようになるなどの効果があ
ります。
5.弁護士を職員として採用すると人件費が高くつくのでは,という指
摘について
年収については、1000万円弱というところですが、責任や仕事
の内容からすれば、けっして高いとはいえないと考えています。
【資料 9】

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