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上申書
1 C 型 肝 炎 訴 訟 の 経 緯
いわゆるC型肝炎訴訟については,平成20年1月11日,特定フィブリ
ノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済
するための給付金の支給に関する特別措置法(以下「C肝特措法」という。
同月16日施行)が制定され,立法による解決が図られました。
これを受けて,同訴訟における損害賠償請求の要件事実の一部が認められ
る場合にC肝特措法に基づく給付金の支給が受けられることとなったため,
国(厚生労働大臣)は,同月15日,薬害肝炎全国原告団・弁護団との間で,
C肝特措法に基づく給付金の支給を受けることにより紛争を解決するための
基本合意書(以下「基本合意書」という。
)を締結し,各地の裁判所に係属す
る同種訴訟において,上記基本合意書を前提として,所要の要件を満たす原
告らとの間で,裁判上の和解を成立させることとしています。
2 C肝特措法 に 基 づ く給 付 金 の 支 給 要 件 及 び 支給 手 続
C肝特措法は,獲得性の傷病について,C肝特措法2条1項に定める特定
フィブリノゲン製剤又はC肝特措法2条2項に定める特定血液凝固第IX因子
製剤(以下「本件各血液製剤」という。
)の投与を受けたことによってC型肝
炎ウイルスに感染した者及びその者の胎内又は産道においてC型肝炎ウイル
スに感染した者(いわゆる母子感染者)を特定C型肝炎ウイルス感染者と定
義し(C肝特措法2条3項。いずれも過去の感染事実を含む。),独立行政法
人医薬品医療機器総合機構が,特定C型肝炎ウイルス感染者又はその相続人
に対し,その者の請求に基づき,医療,健康管理等に係る経済的負担を含む
健康被害の救済を図るためのものとして給付金を支給することを定めていま
す(C肝特措法3条)。上記給付金の額については,各症状ごとの特定C型肝炎ウイルス感染者の
区分に応じ,C肝特措法6条1ないし3号に定められています(いずれも過
去に該当した場合を含む。)。
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そして,C肝特措法は,給付金の支給手続につき,その請求をするには,
当該請求をする者又はその被相続人が特定C型肝炎ウイルス感染者であるこ
と及びその者が同法6条1号,2号又は3号に該当する者であることを証す
る確定判決又は和解,調停その他確定判決と同一の効力を有するもの(当該
訴え等の相手方に国が含まれているものに限る。)の正本又は謄本を提出しな
ければならないとしており
(C肝特措法4条),これら事実関係に係る司法の
認定を必要としています。
なお,C肝特措法7条規定の追加給付金の支給については,医師の診断書
の提出によることとされており
(C肝特措法8条),改めて司法認定を経る必
要はありません。
3 基本合意書を前提とする和解
基本合意書は,上記2記載の所要の要件の認められる者につき,国との間
で,当該事実関係の確認及び弁護士費用の支払を内容とする和解を成立させ
ることとしています(基本合意書2項)。また,基本合意書は,上記2記載の投与事実,因果関係及び症状の認定に
ついて,医療記録その他の証拠をもって行い,これらの事実関係に争いがあ
る場合は,証拠調べを経て,裁判所の所見を求め,当事者双方は,その所見
を尊重すること等を定めています(基本合意書3項)。4 今後の進行について
以上を踏まえ,国は,今後,まず基本合意書に基づく和解の可否を検討す
るため,請求原因に対する認否を留保した上,上記2記載の投与事実,因果
関係及び症状の事実関係に係る審理を先行し,適切な証拠によって当該事実
関係を認めることのできる者との間では,基本合意書に基づき,和解に応じ
る方針でありますが,これを認めることのできない者については,当該事実
関係についての裁判所の所見を求めることになります。

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