司法試験の刑法の出題について

平 成 2 7 年 3 月 4 日
司 法 試 験 委 員 会
司法試験の刑事系科目における刑法に関する分野の出題については,これま
で,刑法を中心とし,大学や法科大学院における講義あるいは教科書等で通常
触れられる刑事実体法に係る関連法分野も出題範囲とするとの方針がとられて
きたものであるが,先般,自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に
関する法律(以下「自動車運転死傷処罰法」という。
)が施行され,自動車の
運転上必要な注意を怠り,人を死傷させる行為については,刑法ではなく,自
動車運転死傷処罰法が適用される状況が生じた。自動車の運転に伴い人を死傷
させた事案については,その前後の経過等も含め,作為義務,因果関係,過失
等の刑法総則上の重要な概念に関わる問題を生じることがしばしばあるとこ
ろ,このような基本概念の理解が法科大学院における刑法の学修に際して重要
であることに変わりはないため,今後においても,自動車の運転に伴い人を死
傷させた事案が,自動車運転死傷処罰法第5条の罪の成否等も含め,出題の対
象となり得ることを改めて確認するものとする。

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