Taro-1要綱.jtd

- -1国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律案要綱第一総則一目的この法律は、不法な連れ去り又は不法な留置がされた場合において子をその常居所を有していた国に返還すること等を定めた国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「条約」という。)の的確な実施を確保するため、我が国における中央当局を指定し、その権限等を定めるとともに、子をその常居所を有していた国に迅速に返還するために必要な裁判手続等を定め、もって子の利益に資することを目的とするものとすること。(第一条関係)二定義この法律における用語の意義について定めるものとすること。(第二条関係)第二子の返還及び子との面会その他の交流に関する援助一中央当局の指定我が国の条約第六条第一項の中央当局は、外務大臣とするものとすること。(第三条関係) - -2二子の返還に関する援助1外国返還援助外国返還援助申請( )一日本国への連れ去りをされ、又は日本国において留置をされている子であって、その常居所地国が条約締約国であるものについて、当該常居所地国の法令に基づき監護の権利を有する者は、連れ去り又は留置によって監護の権利が侵害されていると思料する場合には、必要な事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出し、日本国からの子の返還を実現するための援助を外務大臣に申請することができるものとすること。(第四条関係)子の住所等に関する情報の提供の求め等( )二外務大臣は、外国返還援助申請があった場合において、必要と認めるときは、申請に係る子及びその子と同居している者の氏名及び住所又は居所を特定するため、国の行政機関等の長、地方公共団体の長その他の執行機関並びに子及びその子と同居している者に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その氏名又は住所若しくは居所に関する情報の提供を求めることができ - -3るものとし、外務大臣は、一定の場合には、都道府県警察に対し、その情報を提供して、その所在を特定するために必要な措置をとることを求めることができるものとするほか、得られた情報の開示又は通知は、一定の場合に限り行うことができるものとすること。(第五条関係)外国返還援助の決定及び通知( )三外務大臣は、外国返還援助申請があった場合には、その申請を却下する場合及び日本国以外の条約締約国の中央当局にその申請に係る申請書等の写しを送付する場合を除き、外国返還援助の決定をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知をしなければならないものとすること。(第六条関係)外国返還援助申請の却下( )四外務大臣が外国返還援助申請を却下することができる場合を定めるほか、外国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならないものとすること。(第七条関係)外国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付( )五外務大臣は、外国返還援助の決定をした場合において、申請に係る子が日本国以外の条約締約国 - -4に所在していることが明らかであるときは、その申請に係る申請書等の写しをその条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならないものとすること。(第八条関係)合意による子の返還等の促進( )六外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、子の返還又は子と申請者との面会その他の交流を申請者及び子を監護している者の合意により実現するため、これらの者の間の協議のあっせんその他の必要な措置をとることができるものとすること。(第九条関係)子の虐待に係る通告( )七外務大臣は、申請に係る子が日本国内に所在している場合において、虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由があるときは、市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に対し、その旨を通告しなければならないものとすること。(第十条関係)2日本国返還援助日本国返還援助申請( )一日本国以外の条約締約国への連れ去りをされ、又は日本国以外の条約締約国において留置をされ - -5ている子であって、その常居所地国が日本国であるものについて、日本国の法令に基づき監護の権利を有する者は、連れ去り又は留置によって監護の権利が侵害されていると思料する場合には、必要な事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出し、日本国への子の返還を実現するための援助を外務大臣に申請することができるものとすること。(第十一条関係)日本国返還援助の決定及び通知( )二外務大臣は、日本国返還援助申請があった場合には、その申請を却下する場合を除き、日本国返還援助の決定をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知をしなければならないものとすること。(第十二条関係)日本国返還援助申請の却下( )三外務大臣が日本国返還援助申請を却下することができる場合を定めるほか、日本国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならないものとすること。(第十三条関係) - -6日本国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付( )四外務大臣は、日本国返還援助の決定をした場合において、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかであるときは、その申請に係る申請書等の写しをその条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならないものとすること。(第十四条関係)子の社会的背景に関する情報の条約締約国の中央当局への提供( )五外務大臣は、日本国への子の返還に関する事件が日本国以外の条約締約国の裁判所等に係属している場合において、一定の要件に該当する場合には、当該条約締約国の中央当局に提供するために、政令で定めるところにより、国の行政機関等の長、地方公共団体の長その他の執行機関及び子に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、子の社会的背景に関する情報の提供を求めることができるものとすること。(第十五条関係)三子との面会その他の交流に関する援助1日本国面会交流援助日本国面会交流援助申請( )一 - -7日本国に所在している子であって面会その他の交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、その国又は地域の法令に基づき面会その他の交流をすることができる者であって、日本国以外の条約締約国に住所又は居所を有しているものは、子との面会その他の交流が妨げられていると思料する場合には、必要な事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出し、子との面会その他の交流を実現するための援助を外務大臣に申請することができるものとすること。(第十六条関係)日本国面会交流援助の決定及び通知( )二外務大臣は、日本国面会交流援助申請があった場合には、その申請を却下する場合及び日本国以外の条約締約国の中央当局にその申請に係る申請書等の写しを送付する場合を除き、日本国面会交流援助の決定をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知をしなければならないものとすること。(第十七条関係)日本国面会交流援助申請の却下( )三外務大臣が日本国面会交流援助申請を却下することができる場合を定めるほか、日本国面会交流 - -8援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならないものとすること。(第十八条関係)日本国面会交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付( )四外務大臣は、日本国面会交流援助の決定をした場合において、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかであるときは、その申請に係る申請書等の写しをその条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならないものとすること。(第十九条関係)日本国面会交流援助に関する準用規定( )五外国返還援助申請の規定は、外務大臣に対し日本国面会交流援助申請があった場合について準用するものとすること。(第二十条関係)2外国面会交流援助外国面会交流援助申請( )一日本国以外の条約締約国に所在している子であって、面会その他の交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、その国又は地域の法令 - -9に基づき面会その他の交流をすることができる者であって、日本国に住所又は居所を有しているものは、子との面会その他の交流が妨げられていると思料する場合には、必要な事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出し、子との面会その他の交流を実現するための援助を外務大臣に申請することができるものとすること。(第二十一条関係)外国面会交流援助の決定及び通知( )二外務大臣は、外国面会交流援助申請があった場合には、その申請を却下する場合を除き、外国面会交流援助の決定をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知をしなければならないものとすること。(第二十二条関係)外国面会交流援助申請の却下( )三外務大臣が外国面会交流援助申請を却下することができる場合を定めるほか、外国面会交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならないものとすること。(第二十三条関係)外国面会交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付( )四 - -10外務大臣は、外国面会交流援助の決定をした場合において、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかであるときは、その申請に係る申請書等の写しをその条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならないものとすること。(第二十四条関係)外国面会交流援助に関する準用規定( )五日本国返還援助申請の規定は、外務大臣に対し外国面会交流援助申請があった場合について準用するものとすること。(第二十五条関係)第三子の返還に関する事件の手続等一返還事由等1条約に基づく子の返還日本国への連れ去り又は日本国における留置により子についての監護の権利を侵害された者は、子を監護している者に対し、この法律の定めるところにより、常居所地国に子を返還することを命ずるよう家庭裁判所に申し立てることができるものとすること。(第二十六条関係)2子の返還事由 - -11裁判所は、子の返還の申立てが次のいずれにも該当すると認めるときは、子の返還を命じなければならないものとすること。(第二十七条関係)子が十六歳に達していないこと。( )一子が日本国内に所在していること。( )二常居所地国の法令によれば、当該連れ去り又は留置が申立人の有する子についての監護の権利を( )三侵害するものであること。当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に、常居所地国が条約締約国であったこと。( )四3子の返還拒否事由等裁判所は、次の事由のいずれかがあると認めるときは、原則として、子の返還を命じてはならないものとし、の事由の有無を判断するに当たっては、裁判所は、常居所地国において子が申立人から( )四身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無、相手方及び子が常居所地国に入国した場合に相手方が申立人から子に心理的外傷を与えることとなる暴力等を受けるおそれの有無、申立人又は相手方が常居所地国において子を監護することが困難な事情の有無を考慮す - -12るものとすること。(第二十八条関係)子の返還の申立てが当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時から一年を経過した後にされたも( )一のであり、かつ、子が新たな環境に適応していること。申立人が当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に子に対して現実に監護の権利を行使してい( )二なかったこと(当該連れ去り又は留置がなければ申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く。)。申立人が当該連れ去りの前若しくは当該留置の開始の前にこれに同意し、又は当該連れ去りの後( )三若しくは当該留置の開始の後にこれを承諾したこと。常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況( )四に置くこととなる重大な危険があること。子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において、子が常( )五居所地国に返還されることを拒んでいること。常居所地国に子を返還することが日本国における人権及び基本的自由の保護に関する基本原則に( )六 - -13より認められないものであること。二子の返還に関する事件の手続の通則1子の返還に関する事件の手続子の返還に関する事件の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによるものとすること。(第二十九条関係)2裁判所及び当事者の責務裁判所は、子の返還に関する事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に子の返還に関する事件の手続を追行しなければならないものとすること。(第三十条関係)3最高裁判所規則この法律に定めるもののほか、子の返還に関する事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定めるものとすること。(第三十一条関係)三子の返還申立事件の手続1総則 - -14管轄( )一管轄(1)子の返還申立事件の管轄は、東京家庭裁判所及び大阪家庭裁判所に属するものとし、その管轄は、子の住所地等により定まるものとすること。(第三十二条関係)併合申立てによる管轄(2)一の申立てにより数人の子についての子の返還を求める場合には、一人の子についての子の返還の申立てについて管轄権を有する家庭裁判所にその申立てをすることができるものとすること。(第三十三条関係)管轄裁判所の指定(3)管轄裁判所が法律上若しくは事実上裁判権を行うことができないとき等について、最高裁判所が、申立てにより、管轄裁判所を定めるものとすること。(第三十四条関係)管轄の標準時(4)裁判所の管轄は、子の返還の申立てがあった時を標準として定めるものとすること。(第三十 - -15五条関係)管轄の合意(5)当事者は、第一審に限り、合意により東京家庭裁判所又は大阪家庭裁判所のいずれかを管轄裁判所と定めることができるものとすること。(第三十六条関係)移送等(6)裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、原則として、これを管轄裁判所に移送するものとしつつ、その例外について定めるとともに、移送についての裁判に対する即時抗告及びその執行停止について定めるものとすること。(第三十七条関係)裁判所職員の除斥及び忌避( )二裁判官の除斥(1)裁判官がその職務の執行から除斥される場合について定めるものとし、除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をするものとすること。(第三十八条関係) - -16裁判官の忌避(2)裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができるものとするとともに、当事者が裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、原則として、その裁判官を忌避することができないものとすること。(第三十九条関係)除斥又は忌避の裁判及び手続の停止(3)除斥又は忌避の裁判をする裁判所及びこれに関与する裁判官について定めるものとするとともに、その例外について定めるものとし、除斥又は忌避の申立てについての裁判に対する不服申立ての可否等について定めるものとすること。(第四十条関係)裁判所書記官の除斥及び忌避(4)裁判所書記官の除斥及び忌避については、原則として、裁判官の除斥及び忌避についての規定を準用するものとし、その除斥又は忌避についての裁判は、原則として、裁判所書記官が所属する裁判所がするものとすること。(第四十一条関係)家庭裁判所調査官の除斥(5) - -17家庭裁判所調査官の除斥については、原則として、裁判官の除斥についての規定を準用するものとし、その除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官の所属する裁判所がするものとすること。(第四十二条関係)当事者能力及び手続行為能力( )三当事者能力及び手続行為能力の原則等(1)当事者能力、子の返還申立事件の手続における手続行為をすることができる能力、これを欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとするとともに、未成年者及び成年被後見人は、法定代理人の同意を要することなく、又は法定代理人によらずに、被保佐人又は被補助人は、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意を要することなく、それぞれ自ら手続行為をすることができるものとするほか、後見人が他の者がした子の返還の申立て又は抗告について手続行為をするには、後見監督人の同意を要しないものとし、後見人、後見監督人の同意がなければすることができない手続行為を定めるものとすること。(第四十三条関係) - -18未成年者又は成年被後見人の法定代理人(2)親権を行う者又は後見人は、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができるものとすること。(第四十四条関係)特別代理人(3)裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、子の返還申立事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、疎明に基づいて、特別代理人を選任することができるものとし、その申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとすること。(第四十五条関係)法人の代表者等への準用(4)法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用するものとすること。(第四十六条関係)参加( )四 - -19当事者参加(1)当事者となる資格を有する者は、当事者として子の返還申立事件の手続に参加することができるものとし、その申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとするとともに、当事者は、他の当事者となる資格を有する者を手続に参加させることができるものとすること。(第四十七条関係)子の参加(2)子の返還申立事件において返還を求められている子は、その申出により、子の返還申立事件の手続に参加することができるものとし、この申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとするとともに、家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、返還を求められている子を、子の返還申立事件の手続に参加させることができるものとすること。(第四十八条関係)手続からの排除(3)裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を子の返還申立 - -20事件の手続から排除することができるものとし、この排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとすること。(第四十九条関係)手続代理人及び補佐人( )五手続代理人の資格(1)法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、原則として、弁護士でなければ手続代理人となることができないものとするとともに、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができるものとすること。(第五十条関係)裁判長による手続代理人の選任等(2)未成年者、成年被後見人、被保佐人及び被補助人が手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより又は職権で、弁護士を手続代理人に選任すること等ができるものとすること。(第五十一条関係)手続代理人の代理権の範囲(3)手続代理人は、委任を受けた事件について、参加及び強制執行に関する行為をし、かつ、弁済 - -21を受領することができるものとし、手続代理人の代理権は、原則として制限することができないものとするとともに、手続代理人が特別の委任を受けなければならない事項について定めるものとすること。(第五十二条関係)手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用(4)手続代理人及びその代理権について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第五十三条関係)補佐人(5)子の返還申立事件の手続における補佐人について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第五十四条関係)手続費用( )六手続費用の負担(1)手続費用(子の返還申立事件の手続の費用をいう。以下同じ。)は、各自の負担とするものとし、また、裁判所が事情により手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負 - -22担させることができるものとすること。(第五十五条関係)手続費用の負担の裁判等(2)裁判所は、事件を完結する裁判において、原則として、職権で、その審級における手続費用(裁判所が事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならないとするとともに、裁判所が事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、子の返還申立事件の手続費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担するものとすること。(第五十六条関係)手続費用の立替え(3)事実の調査、証拠調べ等の子の返還申立事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができるものとすること。(第五十七条関係)手続費用に関する民事訴訟法の準用等(4)手続費用の負担について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとし、この場合において、同法第六十九条第三項の規定による即時抗告及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てにつ - -23いての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有するものとすること。(第五十八条関係)手続上の救助(5)子の返還申立事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、原則として、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができるものとし、この場合の手続上の救助について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第五十九条関係)子の返還申立事件の審理等( )七手続の非公開(1)子の返還申立事件の手続は、公開しないものとするとともに、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができるものとすること。(第六十条関係)調書の作成等(2)裁判所書記官は、子の返還申立事件の手続の期日について、原則として、調書を作成しなければならないものとすること。(第六十一条関係) - -24記録の閲覧等(3)家庭裁判所は、当事者から子の返還申立事件の記録の閲覧等の請求があった場合には、外務大臣から提供を受けた相手方又は子の住所又は居所が記載され、又は記録された部分を除き、原則として、これを許可しなければならないものとし、利害関係を疎明した第三者から請求があった場合においては、相当と認めるときにこれを許可することができるものとするとともに、当事者がした記録の閲覧等の許可の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとすること。(第六十二関係)期日及び期間(4)子の返還申立事件の手続の期日は、裁判長が職権で指定するものとするとともに、期日の変更をすることができる場合について定めるものとし、子の返還申立事件の手続の期日及び期間について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第六十三条関係)手続の併合等(5)裁判所は、子の返還申立事件の手続の併合又は分離及びその取消しをすることができるものと - -25し、当事者を異にする子の返還申立事件についての手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならないものとすること。(第六十四条関係)法令により手続を続行すべき者による受継(6)当事者が子の返還申立事件の手続を続行することができない場合(当事者の死亡による場合を除く。)には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならないものとしつつ、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に子の返還申立事件の手続を受け継がせることができるものとすること。(第六十五条関係)他の申立権者等による受継(7)子の返還申立事件の申立人の死亡によってその手続を続行することができない場合には、当該子の返還申立事件において申立人となることができる者は、子の返還申立事件の申立人が死亡した日から一月以内にその手続を受け継ぐことができるものとし、また、子の返還申立事件の相手 - -26方の死亡によってその手続を続行することができない場合には、裁判所は、申立てにより又は職権で、相手方が死亡した日から三月以内に限り、相手方の死亡後に子を監護している者に、その手続を受け継がせることができるものとすること。(第六十六条関係)送達及び手続の中止(8)送達及び子の返還申立事件の手続の中止について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第六十七条関係)裁判所書記官の処分に対する異議(9)裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をし、その裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとすること。(第六十八条関係)電子情報処理組織による申立て等( )八子の返還申立事件の手続における申立て等について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第六十九条関係) - -272第一審裁判所における子の返還申立事件の手続子の返還の申立て( )一申立ての方式等(1)子の返還の申立ての方式等について定めるものとするとともに、子の返還申立書が方式に違反する場合等における裁判長の補正命令及び申立書の却下命令について定めるものとすること。(第七十条関係)申立ての変更(2)申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、原則として、申立ての趣旨を変更することができるものとするとともに、家庭裁判所は、その変更が不適法であるときは、これを許さない旨の裁判をしなければならないものとし、また、その変更により子の返還申立事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができるものとすること。(第七十一条関係)申立書の写しの送付等(3) - -28子の返還の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、原則として、子の返還申立書の写しを公示送達以外の方法によって相手方に送付しなければならないものとするとともに、これをすることができない場合等における子の返還申立書の却下命令について定めるものとすること。(第七十二条関係)子の返還申立事件の手続の期日( )二裁判長の手続指揮権(1)子の返還申立事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮するものとし、当事者が裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をするものとすること。(第七十三条関係)受命裁判官による手続(2)家庭裁判所は、原則として、受命裁判官に子の返還申立事件の手続の期日における手続を行わせることができるものとすること。(第七十四条関係)音声の送受信による通話の方法による手続(3) - -29家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、子の返還申立事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができるものとすること。(第七十五条関係)通訳人の立会い等その他の措置(4)子の返還申立事件の手続の期日における通訳人の立会い等について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第七十六条関係)事実の調査及び証拠調べ( )三事実の調査及び証拠調べ等(1)家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならないものとするとともに、申立人及び相手方は、それぞれ一の2の子の返還事由についての資料及び一の3の子の返還拒否事由についての資料を提出するほか、事実の調査及び証拠調べに協力するものとするものとすること。(第七十七条関係) - -30疎明(2)疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならないものとすること。(第七十八条関係)家庭裁判所調査官による事実の調査(3)家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができるものとし、家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとするものとすること。(第七十九条関係)家庭裁判所調査官の期日への立会い等(4)家庭裁判所は、必要があると認めるときは、子の返還申立事件の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせ、その家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができるものとすること。(第八十条関係)裁判所技官による診断等(5)家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状 - -31況について診断をさせることができるものとすること。(第八十一条関係)事実の調査の嘱託等(6)家庭裁判所は、他の家庭裁判所に事実の調査を嘱託することができるものとし、その嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができるものとすること。(第八十二条関係)調査の嘱託等(7)家庭裁判所は、必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の心身の状態及び生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができるものとすること。(第八十三条関係)事実の調査の通知(8)家庭裁判所は、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び手続に参加した子に通知しなければならないものとすること。(第八十四条関係)陳述の聴取(9) - -32家庭裁判所は、原則として、当事者の陳述を聴かなければならないものとし、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くときは、原則として、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができるものとすること。(第八十五条関係)証拠調べ(10)子の返還申立事件の手続における証拠調べについて準用する民事訴訟法の規定を明示するものとするとともに、準用する同法の規定による即時抗告は執行停止の効力を有するものとすること。(第八十六条関係)不法を証する文書の提出(11)家庭裁判所は、不法な連れ去り又は不法な留置があったことを証する文書を常居所地国において得ることができるときは、申立人に対し、当該文書を提出することを求めることができるものとすること。(第八十七条関係)子の返還申立事件の手続における子の意思の把握等( )四家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による - -33調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、終局決定をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならないものとすること。(第八十八条関係)審理の終結等( )五審理の終結(1)家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、原則として、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならないものとすること。(第八十九条関係)裁判日(2)家庭裁判所は、審理を終結したときは、裁判をする日を定めなければならないものとすること。(第九十条関係)裁判( )六裁判の方式(1)家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、決定で、裁判をするものとすること。 - -34(第九十一条関係)終局決定(2)家庭裁判所は、子の返還申立事件が裁判をするのに熟したときは終局決定をするものとし、子の返還申立事件の一部が裁判をするのに熟したときはその一部について終局決定をすることができるものとすること。(第九十二条関係)終局決定の告知及び効力の発生等(3)終局決定は、原則として、当事者及び子に対し、相当と認める方法で告知しなければならないものとするとともに、その効力発生時期及び確定時期について定めるものとすること。(第九十三条関係)終局決定の方式及び裁判書(4)終局決定は、裁判書を作成してしなければならないものとすること。(第九十四条関係)更正決定(5)終局決定に誤記その他これに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、いつでも、裁判 - -35書を作成して更正決定をすることができるものとするとともに、その更正決定に対する即時抗告について定めるものとすること。(第九十五条関係)終局決定に関する民事訴訟法の準用(6)終局決定について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第九十六条関係)中間決定(7)家庭裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができるものとすること。(第九十七条関係)終局決定以外の裁判(8)終局決定以外の裁判の告知の方法及び効力の発生について定めるとともに、この場合に準用する子の返還申立事件の手続についての規定を明示するものとし、子の返還申立事件の手続の指揮に関する裁判の取消し等について定めるものとすること。(第九十八条関係)裁判によらない子の返還申立事件の終了( )七子の返還の申立ての取下げ(1) - -36子の返還の申立ては、終局決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができるものとしつつ、終局決定がされた後にあっては相手方の同意を得なければ、その効力を生じないものとし、申立ての取下げについて準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第九十九条関係)和解(2)子の返還申立事件における和解について準用する民事訴訟法の規定を明示するとともに、子の返還申立事件において和解をすることができる事項を明示し、また、和解を調書に記載したときは、和解の事項に応じて確定した子の返還を命ずる終局決定、家事審判又は確定判決と同一の効力を有するものとすること。(第百条関係)3不服申立て終局決定に対する即時抗告( )一即時抗告をすることができる裁判(1)当事者は、終局決定に対し、即時抗告をすることができるものとするとともに、子は、子の返 - -37還を命ずる終局決定に対し、即時抗告をすることができるものとし、手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができないものとすること。(第百一条関係)即時抗告期間(2)終局決定に対する即時抗告は、原則として、二週間の不変期間内にしなければならないものとし、その期間の起算について定めるものとすること。(第百二条関係)即時抗告の提起の方式等(3)即時抗告の提起の方式を定めるとともに、その方式に違反する場合等における裁判長の補正命令及び申立書の却下命令について定めるものとし、即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかである場合の原裁判所による抗告却下決定について定めるものとすること。(第百三条関係)抗告状の写しの送付等(4)終局決定に対する即時抗告があったときは、抗告裁判所は、原則として、原審における当事者及び手続に参加した子に対し、抗告状の写しを送付しなければならないものとし、抗告状の写し - -38の送付費用の予納を命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならないものとすること。(第百四条関係)陳述の聴取(5)抗告裁判所は、原則として、原審における当事者の陳述を聴かなければならないものとすること。(第百五条関係)抗告裁判所による裁判(6)抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、原則として、自ら裁判をしなければならないものとすること。(第百六条関係)第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用等(7)終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する第一審の手続の規定及び民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第百七条関係)終局決定に対する特別抗告( )二特別抗告をすることができる裁判等(1) - -39特別抗告をすることができる終局決定、特別抗告の事由及び特別抗告が係属する抗告裁判所の調査の範囲について定めるものとすること。(第百八条関係)原裁判の執行停止(2)特別抗告は、執行停止の効力を有しないものとしつつ、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができるものとすること。(第百九条関係)即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用(3)特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する即時抗告に関する規定及び民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第百十条関係)終局決定に対する許可抗告( )三許可抗告をすることができる裁判等(1)許可抗告をすることができる終局決定、抗告許可の事由及び許可抗告が係属する抗告裁判所の調査の範囲等について定めるものとすること。(第百十一条関係) - -40即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用(2)許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する即時抗告等に関する規定及び民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第百十二条関係)終局決定以外の裁判に対する不服申立て( )四不服申立ての対象(1)終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができるものとすること。(第百十三条関係)受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議(2)受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、原則として、子の返還申立事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができるものとし、その異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとすること。(第百十四条関係)即時抗告期間等(3)終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならず、その即時 - -41抗告は、原則として、執行停止の効力を有しないものとしつつ、抗告裁判所又は原裁判所は、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができるものとするほか、原裁判をした裁判所、裁判官又は裁判長は、即時抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならないものとすること。(第百十五条関係)終局決定に対する不服申立ての規定の準用等(4)裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する終局決定に対する不服申立ての規定を明示するものとするとともに、終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審の手続について準用する即時抗告に関する規定及び民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第百十六条関係)4終局決定の変更終局決定の変更( )一子の返還を命ずる終局決定をした裁判所は、その決定が確定した後に、事情の変更によりその決定を維持することを不当と認めるに至ったときは、当事者の申立てにより、原則として、その決定 - -42を変更することができるものとするとともに、その具体的な手続について定めるものとすること。(第百十七条関係)執行停止の裁判( )二終局決定の変更の申立てがあった場合において、強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる場合について定めるものとすること。(第百十八条関係)5再審再審( )一確定した終局決定その他の裁判であって事件を完結するものに対しては、再審の申立てをすることができるものとし、再審の手続に準用される子の返還申立事件の手続に関する規定及び民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第百十九条関係)執行停止の裁判( )二再審の申立てがあった場合において、強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既に - -43した執行処分の取消しを命ずることができる場合について定めるものとすること。(第百二十条関係)四義務の履行状況の調査及び履行の勧告子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所等は、権利者の申出があるときは、その決定で定められた子の返還の義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができるものとするとともに、これらの調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができるものとすること。(第百二十一条関係)五出国禁止命令出国禁止命令1子の返還申立事件が係属する家庭裁判所は、子の返還申立事件の一方の当事者の申立てにより、他方の当事者に対し、出国禁止命令(子を出国させてはならないことを命ずる裁判及び子が名義人となっている旅券の外務大臣への提出を命ずる裁判)をすることができるものとするとともに、その手続について、申立ての方式、申立人による資料の提出及び申立ての取下げについて定めるものとするこ - -44と。(第百二十二条及び第百二十三条関係)陳述の聴取2出国禁止命令は、原則として、出国禁止命令事件の相手方の陳述を聴かなければすることができないものとすること。(第百二十四条関係)記録の閲覧等3出国禁止命令事件について、当事者から記録の閲覧等の許可の申立てがあった場合における許可の要件の特則を定めるものとすること。(第百二十五条関係)出国禁止命令の告知及び効力4出国禁止命令は、出国禁止命令事件の当事者に対し、相当と認める方法で告知しなければならないものとするとともに、その効力発生時期について定めるものとすること。(第百二十六条関係)即時抗告5出国禁止命令の申立てについての裁判に対して当事者が即時抗告をすることができるものとすること。(第百二十七条関係) - -45即時抗告に伴う執行停止6出国禁止命令の申立てについての裁判に対する即時抗告が提起された場合において、原裁判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原裁判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、原裁判の執行の停止等を命ずることができるものとするとともに、この場合における供託及び担保について特別抗告における規定を準用するものとすること。(第百二十八条関係)出国禁止命令の取消し7子を出国させてはならないことを命ずる裁判が確定した後に、当該裁判を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、子の返還申立事件が係属する裁判所は、申立てにより、当該裁判の取消しの裁判をすることができるものとし、その場合には、旅券の提出を命ずる裁判をも取り消さなければならないものとすること。(第百二十九条関係)調書の作成8裁判所書記官は、出国禁止命令事件及び出国禁止命令取消事件の手続の期日について、原則として - -46調書を作成しなければならないものとすること。(第百三十条関係)外務大臣による旅券の保管9外務大臣は、旅券の提出を命ずる裁判を受けた者から旅券の提出を受けたときは、当該旅券を保管しなければならないものとするとともに、出国禁止命令が効力を失ったときは、旅券の提出を行った者の求めにより、当該旅券を返還しなければならないものとすること。(第百三十一条関係)過料の裁判10旅券の提出を命ずる裁判を受けた者が当該裁判に従わないときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処するものとすること。(第百三十二条関係)子の返還申立事件の手続規定の準用11出国禁止命令事件及び出国禁止命令取消事件の手続について準用する子の返還申立事件の手続に関する規定を明示するものとすること。(第百三十三条関係)第四子の返還の執行手続に関する民事執行法の特則一子の返還の強制執行 - -47子の返還の強制執行は、確定した子の返還を命ずる終局決定又はこれと同一の効力を有するものの正本に基づいて、民事執行法第百七十一条第一項の規定により執行裁判所が第三者に子の返還を実施させる決定をする方法により行うほか、同法第百七十二条第一項に規定する方法により行うものとすること。(第百三十四条関係)二子の年齢による子の返還の強制執行の制限子が十六歳に達した場合には、子の返還の代替執行(民事執行法第百七十一条第一項の規定による子の返還の強制執行をいう。以下同じ。)は、することができないものとするとともに、民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による子の返還の強制執行の手続において、執行裁判所は、子が十六歳に達した日の翌日以降に子を返還しないことを理由として、同項の規定による金銭の支払を命じてはならないものとすること。(第百三十五条関係)三間接強制の前置子の返還の代替執行執行の申立ては、原則として、民事執行法第百七十二条第一項の規定による決定が確定した日から二週間を経過した後でなければすることができないものとすること。(第百三十六条 - -48関係)四子の返還の代替執行の申立て子の返還の代替執行の申立ては、債務者に代わって常居所地国に子を返還する者(以下「返還実施者」という。)となるべき者を特定してしなければならないものとすること。(第百三十七条関係)五子の返還を実施させる決定民事執行法第百七十一条第一項の規定により執行裁判所が第三者に子の返還を実施させる決定をする場合には、債務者による子の監護を解くために必要な行為をする者として執行官を指定し、かつ、返還実施者を指定してしなければならないものとすること。(第百三十八条関係)六子の返還の代替執行の申立ての却下執行裁判所は、申立てにおいて返還実施者となるべき者として特定された者を返還実施者として指定することが子の利益に照らして相当でないと認めるときは、申立てを却下しなければならないものとすること。(第百三十九条関係)七執行官の権限 - -49執行官は、債務者による子の監護を解くために必要な行為として、原則として債務者の住居その他債務者の占有する場所において、立入り等の行為をすることができるものとし、この場合において、抵抗排除のために威力を用いることができるものとしつつ、子に対する威力の行使や、子の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある当該子以外の者に対する威力の行使はできないものとすること。(第百四十条関係)八返還実施者の権限返還実施者は、常居所地国に子を返還するために、子の監護その他の必要な行為をすることができるものとするほか、子の返還の代替執行について民事執行法第百七十一条第六項を適用しないものとすること。(第百四十一条関係)九外務大臣の協力外務大臣は、子の返還の代替執行に関し、立会いその他の必要な協力をすることができるものとすること。(第百四十二条関係)十執行事件の記録の閲覧等 - -50子の返還の強制執行に係る事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、子の返還申立事件における記録の閲覧等の規定を準用するものとすること。(第百四十三条関係)第五家事事件の手続に関する特則一子の返還申立事件に係る家事調停の手続等1付調停家庭裁判所及び高等裁判所は、当事者の同意を得て、いつでも、職権で、子の返還申立事件を家事調停に付することができるものとすること。(第百四十四条関係)2家事事件手続法の特則裁判所は、子の返還申立事件を家事調停に付する場合に原則として家事調停事件を自ら処理しなければならないものとするほか、子の返還の合意が成立し、これを調書に記載した場合の子の返還の合意に係る記載部分及び調停に代わる審判中子の返還を命ずる部分は、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有するものとすること。(第百四十五条関係) - -513子の返還申立事件の手続の中止裁判所が子の返還申立事件を家事調停に付したときは、当該裁判所は、家事調停事件が終了するまで子の返還申立事件の手続を中止することができるものとすること。(第百四十六条関係)4子の返還の申立ての取下げの擬制裁判所が子の返還申立事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、又は家事事件手続法第二百八十四条第一項の規定による審判が確定したときは、子の返還申立事件について申立ての取下げがあったものとみなすものとすること。(第百四十七条関係)二面会その他の交流についての家事審判及び家事調停の手続等に関する特則1管轄の特則外国返還援助決定若しくは日本国面会交流援助決定を受けた者又は子の返還の申立てをした者が、子との面会その他の交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は家事調停の申立てをする場合には、子の住所地等により東京家庭裁判所又は大阪家庭裁判所にも申立てをすることができるものとすること。(第百四十八条関係) - -522記録の閲覧等の特則子との面会その他の交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判の申立てに係る事件の記録中に外務大臣から提供を受けた相手方又は子の住所又は居所が記載され、又は記録された部分がある場合には、裁判所は、原則として当該部分については記録の閲覧等を許可しないものとし、子との面会その他の交流について定め、又はその変更について定める審判書又は調停調書の正本に基づく強制執行の申立てに係る事件の記録中に外務大臣から提供を受けた子及び子の住所等に関する情報が記載され、又は記録されたものがある場合には、当該強制執行に係る事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については子の返還申立事件における記録の閲覧等の規定を準用するものとすること。(第百四十九条関係)第六過料の裁判の執行等過料の裁判は、裁判官の命令で執行するものとするとともに、過料についての裁判に関して準用する非訟事件手続法の規定を明示するものとすること。(第百五十条関係)第七雑則 - -53一審理の状況についての説明子の返還申立事件の申立人又は外務大臣は、子の返還の申立てから六週間が経過したときは、当該子の返還申立事件が係属している裁判所に対し、審理の状況について説明を求めることができるものとすること。(第百五十一条関係)二親権者の指定等についての審判事件の取扱い親権者の指定若しくは変更又は子の監護に関する処分についての審判事件が係属している裁判所に対し、不法な連れ去り又は不法な留置と主張される連れ去り又は留置があったことが通知されたときは、その裁判所は、原則として、その審判事件について裁判をしてはならないものとすること。(第百五十二条関係)三総合法律支援法の適用に関する特例条約締約国の国民又は条約締約国に常居所を有する者(日本国民又は我が国に住所を有し適法に在留する者を除く。)であって、連れ去り又は留置に係る子の返還、子との面会その他の交流その他条約の適用に関係のある事項について民事裁判等手続を利用するものは、当該事項に関する限り、総合法律支 - -54援法の適用については、同法第三十条第一項第二号に規定する国民等とみなすものとすること。(第百五十三条関係)第八施行期日等一この法律の施行期日について定めること。(附則第一条関係)二この法律の施行に伴う所要の経過措置について定めるものとすること。(附則第二条関係)三この法律の施行に伴う関係法律の規定を整備すること。(附則第三条から第七条まで関係)

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