- 1 -

非訟事件手続法案要綱第一総則一趣旨この法律は、非訟事件の手続についての通則を定めるとともに、民事非訟事件、公示催告事件及び過料事件の手続を定めるものとするものとすること。(第一条関係)二最高裁判所規則この法律に定めるもののほか、非訟事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定めるものとすること。(第二条関係)第二非訟事件の手続の通則一総則1第二編の適用範囲非訟事件の手続については、第三から第五まで及び他の法令に定めるもののほか、第二に定めるところによるものとすること。(第三条関係)2裁判所及び当事者の責務裁判所は、非訟事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に非訟事件の手続を追行しなければならないものとすること。(第四条関係)二非訟事件に共通する手続1管轄
- 2 -管轄が住所地により定まる場合の管轄裁判所
(一)非訟事件の管轄が人又は法人の住所地により定まるものとされている場合において、日本国内に住所がないとき等の裁判所の管轄が人の居所地や法人の代表者の住所地等により定まるものとすること。(第五条関係)優先管轄等
(二)この法律の他の規定又は他の法令の規定により二以上の裁判所が管轄権を有するときは、非訟事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した裁判所が管轄するものとするとともに、その裁判所は、非訟事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるとき等には、申立てにより又は職権で、非訟事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができるものとすること。(第六条関係)管轄裁判所の指定
(三)管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないとき等について、直近上級の裁判所が、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定めるものとするとともに、その裁判に対する即時抗告の可否について定めるものとすること。(第七条関係)管轄裁判所の特例(四)この法律の他の規定又は他の法令の規定により非訟事件の管轄が定まらないときは、その非訟事件は、裁判を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する裁判所の管轄に属するものとすること。(第八条関係) - 3 -管轄の標準時
(五)裁判所の管轄は、非訟事件の申立てがあった時又は裁判所が職権で非訟事件の手続を開始した時を標準として定めるものとすること。(第九条関係)移送等に関する民事訴訟法の準用等(六)非訟事件の移送等について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとし、非訟事件の移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有するものとすること。(第十条関係)2裁判所職員の除斥及び忌避裁判官の除斥(一)裁判官がその職務の執行から除斥される場合について定めるものとし、除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をするものとすること。(第十一条関係)裁判官の忌避(二)裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができるものとするとともに、当事者が裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、原則として、その裁判官を忌避することができないものとすること。(第十二条関係)除斥又は忌避の裁判及び手続の停止
(三)合議体の構成員である裁判官及び地方裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその(1)裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をするものとし、地方裁判所における当該裁判は、合議体で
- 4 -するものとすること。(第十三条第一項及び第二項関係)裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができないものとすること。((2)第十三条第三項関係)除斥又は忌避の申立てがあったときは、原則として、その申立てについての裁判が確定する(3)まで非訟事件の手続を停止しなければならないものとすること。(第十三条第四項関係)非訟事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかであること等を理由として忌避(4)の申立てを却下する裁判をするときは、の規定は適用しないものとすること。(第十三条第(2)五項関係)の裁判は忌避された受命裁判官等がすることができるものとし、この裁判をした場合には、(5)(4)非訟事件の手続は停止しないものとすること。(第十三条関係第六項及び第七項関係)除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることはできないものと(6)し、除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとすること。(第十三条第八項及び第九項関係)裁判所書記官の除斥及び忌避
(四)裁判所書記官の除斥及び忌避については、原則として、裁判官の除斥及び忌避についての規定を準用するものとし、その除斥又は忌避についての裁判は、原則として、裁判所書記官の所属する裁判所がするものとすること。(第十四条関係)専門委員の除斥及び忌避(五)
- 5 -非訟事件の手続における専門委員の除斥及び忌避については、原則として、裁判官の除斥及び忌避についての規定を準用するものとすること。(第十五条関係)3当事者能力及び手続行為能力当事者能力及び手続行為能力の原則等(一)当事者能力、非訟事件の手続における手続行為をすることができる能力並びにこれを欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権について準用する民事訴訟法の規定を明示するとともに、被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)又は後見人その他の法定代理人が、他の者がした非訟事件の申立て若しくは抗告又は職権により手続が開始された非訟事件について手続行為をするには保佐人等の同意その他の授権を要しないものとし、非訟事件の申立ての取下げ若しくは和解又は終局決定に対する抗告若しくは異議若しくは抗告許可の申立ての取下げをするには特別の授権がなければならないものとすること。(第十六条関係)特別代理人(二)裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、非訟事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、疎明に基づいて、特別代理人を選任することができるものとし、その申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとすること。(第十七条関係)法定代理権の消滅の通知
(三)
- 6 -法定代理権の消滅は、本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じないものとすること。(第十八条関係)法人の代表者等(四)法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用するものとすること。(第十九条関係)4参加当事者参加(一)当事者となる資格を有する者は、当事者として非訟事件の手続に参加することができるものとし、その申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとすること。(第二十条関係)利害関係参加
(二)裁判を受ける者となるべき者は、申出により非訟事件の手続に参加することができるものとし、参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとするとともに、裁判を受ける者となるべき者以外の者であって裁判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、裁判所の許可を得て非訟事件の手続に参加することができるものとすること。(第二十一条関係)5手続代理人及び補佐人 - 7 -手続代理人の資格
(一)法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができないものとするとともに、第一審裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができるものとすること。(第二十二条関係)手続代理人の代理権の範囲(二)手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行等に関する行為をすることができるものとし、手続代理人の代理権は、原則として制限することができないものとするとともに、手続代理人が特別の委任を受けなければならない事項について定めるものとすること。(第二十三条関係)法定代理の規定及び民事訴訟法の準用
(三)手続代理人及びその代理権について準用する法定代理権の消滅の通知の規定及び民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第二十四条関係)補佐人(四)非訟事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用するものとすること。(第二十五条関係)6手続費用手続費用の負担
(一)手続費用の負担(1)
- 8 -非訟事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、特別の定めがある場合を除き、原則として、各自の負担とするものとし、また、裁判所が事情により負担させることができる者を明示するものとするとともに、法務大臣又は検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とするものとすること。(第二十六条関係)手続費用の立替え(2)事実の調査、証拠調べ等の非訟事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができるものとすること。(第二十七条関係)手続費用に関する民事訴訟法の準用等(3)手続費用の負担について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとし、この場合において、同法第六十九条第三項の規定による即時抗告及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有するものとすること。(第二十八条関係)手続上の救助
(二)非訟事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、原則として、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができるものとし、この場合の手続上の救助について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第二十九条関係)7非訟事件の審理等 - 9 -手続の非公開
(一)非訟事件の手続は、原則として、公開しないものとすること。(第三十条関係)調書の作成等
(二)裁判所書記官は、非訟事件の手続の期日について、原則として、調書を作成しなければならないものとすること。(第三十一条関係)記録の閲覧等
(三)当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非訟事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本等の交付又は非訟事件の記録中の録音テープ若しくはビデオテープ等の複製を請求することができるものとしつつ、裁判所は、当事者から許可の申立てがあった場合においては当事者又は第三者に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときを除き、その申立てを許可しなければならないものとし、また、利害関係を疎明した第三者から許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときはその申立てを許可することができるものとするとともに、当事者からの記録の閲覧等の許可の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとすること。(第三十二条関係)専門委員
(四)裁判所は、的確かつ円滑な審理の実現のため、又は和解を試みるに当たり、当事者の意見を聴いて、専門的な知見に基づく意見を聴くために専門委員を非訟事件の手続に関与させ、専門委員の意見を書面により又は当事者が立ち会うことができる非訟事件の手続の期日において口頭で述
- 10 -べさせたり、裁判長が専門委員に当事者、証人等に対し直接に問いを発することを許すことができるものとするとともに、専門委員が遠隔の地に居住しているとき等には、裁判所及び当事者双方が専門委員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法により意見を述べさせることができるものとすること。(第三十三条関係)期日及び期間(五)非訟事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定するものとし、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができるものとするとともに、非訟事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができるものとし、また、非訟事件の手続の期日及び期間について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第三十四条関係)手続の併合等(六)裁判所は、非訟事件の手続を併合し、又は分離すること及びその裁判を取り消すことができるものとし、当事者を異にする非訟事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならないものとすること。(第三十五条関係)法令により手続を続行すべき者等による受継
(七)当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって非訟事件の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならないものとしつつ、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格の
- 11 -ある者に非訟事件の手続を受け継がせることができるものとし、また、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該非訟事件の申立てをすることができる者がその事由が生じた日から一月以内にその手続を受け継ぐことができるものとすること。(第三十六条及び第三十七条関係)送達及び手続の中止
(八)送達及び非訟事件の手続の中止について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第三十八条関係)裁判所書記官の処分に対する異議(九)裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をするものとし、その裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとすること。(第三十九条関係)検察官の関与
(十)検察官は、非訟事件について意見を述べ、その手続の期日に立ち会うことができるものとし、裁判所は、検察官に対し、非訟事件が係属したこと及びその手続の期日を通知するものとするものとすること。(第四十条関係)8検察官に対する通知裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより非訟事件の裁判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しな - 12 -ければならないものとすること。(第四十一条関係)9電子情報処理組織による申立て等非訟事件の手続における申立て等について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第四十二条関係)三第一審裁判所における非訟事件の手続1非訟事件の申立て申立ての方式等(一)非訟事件の申立ての方式及び二以上の事項について一の申立てにより裁判を求めることができる場合を定めるものとするとともに、非訟事件の申立書が方式に違反する場合等における裁判長の補正命令及び申立書の却下命令について定めるものとすること。(第四十三条関係)申立ての変更
(二)申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は原因を変更することができるものとするとともに、裁判所は、申立ての趣旨又は原因の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならないものとし、申立ての趣旨又は原因の変更により非訟事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、その変更を許さない旨の裁判をすることができるものとすること。(第四十四条関係)2非訟事件の手続の期日裁判長の手続指揮権(一)
- 13 -非訟事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮するものとするとともに、当事者が裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、裁判所は、その異議について裁判をするものとすること。(第四十五条関係)受命裁判官による手続(二)裁判所は、原則として、受命裁判官に非訟事件の手続の期日における手続を行わせることができるものとすること。(第四十六条関係)音声の送受信による通話の方法による手続
(三)裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、非訟事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができるものとすること。(第四十七条関係)通訳人の立会い等その他の措置(四)非訟事件の手続の期日における通訳人の立会い等及び非訟事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者等に対する措置について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第四十八条関係)3事実の調査及び証拠調べ事実の調査及び証拠調べ等(一)裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べを
- 14 -しなければならないものとするとともに、当事者は、適切かつ迅速な審理及び裁判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとするものとすること。(第四十九条関係)疎明
(二)疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならないものとすること。(第五十条関係)事実の調査の嘱託等
(三)裁判所は、他の地方裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができるものとし、その嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の地方裁判所等において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができるものとすること。(第五十一条関係)事実の調査の通知(四)裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による非訟事件の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならないものとすること。(第五十二条関係)証拠調べ
(五)非訟事件の手続における証拠調べについて準用する民事訴訟法の規定を明示するものとするとともに、同法の規定による即時抗告には執行停止の効力を有するものとし、証拠調べ手続における罰則について所要の規定を整備するものとすること。(第五十三条関係)4裁判
- 15 -裁判の方式(一)裁判所は、非訟事件の手続においては、決定で、裁判をするものとすること。(第五十四条関係)終局決定
(二)裁判所は、非訟事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をするものとし、非訟事件の一部が裁判をするのに熟したとき又は手続の併合を命じた数個の非訟事件中その一が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができるものとすること。(第五十五条関係)終局決定の告知及び効力の発生等
(三)終局決定は、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の裁判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならないものとするとともに、その効力発生時期及び確定時期について定めるものとすること。(第五十六条関係)終局決定の方式及び裁判書
(四)終局決定は、即時抗告をすることができない決定を除き、裁判書を作成してしなければならないものとすること。(第五十七条関係)更正決定
(五)終局決定に計算違い等、明白な誤りがあるときは、裁判所は、いつでも、裁判書を作成して更正決定をすることができるものとするとともに、その更正決定に対する即時抗告について定める - 16 -ものとすること。(第五十八条関係)終局決定の取消し又は変更(六)裁判所が、終局決定をした後に、その決定を不当と認めるときに、職権で、取消し又は変更をすることができる決定、その期間及び手続について定めるものとすること。(第五十九条関係)終局決定に関する民事訴訟法の準用(七)終局決定について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第六十条関係)中間決定(八)裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、裁判書を作成して中間決定をすることができるものとすること。(第六十一条関係)終局決定以外の裁判
(九)終局決定以外の非訟事件に関する裁判について準用する終局決定についての規定を明示するものとするとともに、非訟事件の手続の指揮に関する裁判の取消し等について定めるものとすること。(第六十二条関係)5裁判によらない非訟事件の終了非訟事件の申立ての取下げ(一)非訟事件の申立人は、終局決定が確定するまで、申立ての全部又は一部を取り下げることができるものとしつつ、終局決定がされた後は、裁判所の許可を得なければならないものとし、申立 - 17 -ての取下げについて準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第六十三条関係)非訟事件の申立ての取下げの擬制
(二)非訟事件の申立人が、連続して二回、呼出しを受けた非訟事件の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた非訟事件の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、申立ての取下げがあったものとみなすことができるものとすること。(第六十四条関係)和解(三)非訟事件における和解について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとし、また、和解を調書に記載したときは、その記載は、確定した終局決定と同一の効力を有するものとすること。(第六十五条関係)四不服申立て1終局決定に対する不服申立て即時抗告
(一)即時抗告をすることができる裁判(1)終局決定により権利又は法律上保護される利益を害された者は、その決定に対し、即時抗告をすることができるものとしつつ、申立てを却下した終局決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができるものとし、また、手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができないものとすること。(第六十六条関係)即時抗告期間(2) - 18 -終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならないものとし、その期間の始期について定めるものとすること。(第六十七条関係)即時抗告の提起の方式等(3)即時抗告の提起の方式を定めるとともに、違反する場合等における裁判長の補正命令及び申立書の却下命令について定めるものとし、即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかである場合の原裁判所による抗告却下決定について定めるものとすること。(第六十八条関係)抗告状の写しの送付等(4)終局決定に対する即時抗告があったときは、抗告裁判所は、原則として、原審における当事者及び利害関係参加人に対し、抗告状の写しを送付しなければならないものとし、裁判長が抗告状の写しの送付費用の予納を命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならないものとすること。(第六十九条関係)陳述の聴取(5)抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の裁判を受ける者の陳述を聴かなければ、原裁判所の終局決定を取り消すことができないものとすること。(第七十条関係)原裁判所による更正(6)原裁判所は、終局決定に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その決定を更正しなければならないものとすること。(第七十一条関係)
- 19 -原裁判の執行停止(7)終局決定に対する即時抗告は、原則として、執行停止の効力を有しないものとしつつ、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができるものとすること。(第七十二条関係)第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用(8)終局決定に対する即時抗告及び抗告審に関する手続について準用する第一審裁判所における非訟事件の手続の規定及び民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第七十三条関係)再抗告(9)再抗告をすることができる終局決定、再抗告の事由及び再抗告が係属する抗告裁判所の調査の範囲について定めるものとし、再抗告及び抗告審に関する手続について準用する民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第七十四条関係)特別抗告(二)特別抗告をすることができる裁判等(1)特別抗告をすることができる終局決定、特別抗告の事由及び特別抗告が係属する抗告裁判所の調査の範囲について定めるものとすること。(第七十五条関係)即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用(2)特別抗告及び抗告審に関する手続について準用する即時抗告に関する規定及び民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第七十六条関係) - 20 -許可抗告
(三)許可抗告をすることができる裁判等(1)許可抗告をすることができる終局決定、抗告許可の事由及び許可抗告が係属する抗告裁判所の調査の範囲等について定めるものとすること。(第七十七条関係)即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用(2)許可抗告及び抗告審の手続について準用する即時抗告に関する規定及び民事訴訟法の規定を明示するものとすること。(第七十八条関係)2終局決定以外の裁判に対する不服申立て不服申立ての対象
(一)終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができるものとすること。(第七十九条関係)受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議
(二)受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、原則として、非訟事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができるものとし、その異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができるものとすること。(第八十条関係)即時抗告期間
(三)終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならないものとすること。(第八十一条関係) - 21 -終局決定に対する不服申立ての規定の準用(四)裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する終局決定に対する不服申立ての規定を明示するものとすること。(第八十二条関係)五再審1再審確定した終局決定その他の裁判であって事件を完結するものに対しては、再審の申立てをすることができるものとし、再審の手続に準用される非訟事件の手続に関する規定並びに再審の申立て及びこれに関する手続について準用する民事訴訟の規定を明示するものとすること。(第八十三条関係)2執行停止の裁判再審の申立てがあった場合において、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる場合について定めるものとすること。(第八十四条関係)第三民事非訟事件一裁判上の代位に関する事件債権者は、自己の債権の期限前に債務者の権利を行使しなければその債権を保全することができないとき、又はその債権を保全するのに困難を生ずるおそれがあるときは、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十三条第二項の規定による裁判上の代位の許可を申し立てることができるものと - 22 -し、この申立てに係る事件について、その管轄裁判所、申立書の記載事項、裁判所による代位の許可の裁判及びこれに対する即時抗告、手続費用の負担等について定めるものとすること。(第八十五条から第九十一条まで関係)二保存、供託等に関する事件1共有物分割の証書の保存者の指定民法第二百六十二条第三項の規定による証書の保存者の指定の事件に関し、その管轄裁判所、分割者の陳述聴取及び手続費用の負担について定めるものとすること。(第九十二条関係)2動産質権の実行の許可民法第三百五十四条の規定による質物をもって直ちに弁済に充てることの許可の申立てに係る事件に関し、その管轄裁判所、債務者の陳述聴取及び手続費用の負担について定めるものとすること。(第九十三条関係)3供託所の指定及び供託物の保管者の選任等民法第四百九十五条第二項の供託所の指定及び供託物の保管者の選任の事件に関し、その管轄裁判所、債権者等の陳述聴取及び手続費用の負担等について定めるものとすること。(第九十四条関係)4競売代価の供託の許可民法第四百九十七条の裁判所の許可の事件に関し、その管轄裁判所、債権者の陳述聴取及び手続費用の負担について定めるものとすること。(第九十五条関係)
- 23 -5買戻権の消滅に係る鑑定人の選任民法第五百八十二条の規定による鑑定人の選任の事件に関し、その管轄裁判所及び手続費用の負担について定めるものとすること。(第九十六条関係)6検察官の不関与二に定める非訟事件の手続には検察官は関与しないものとすること。(第九十七条関係)7不服申立ての制限二に定める指定、許可、選任又は改任の裁判に対しては、不服を申し立てることができないものとすること。(第九十八条関係)第四公示催告事件一通則公示催告の申立てに係る事件について、その管轄裁判所、公示催告についての公告、公示催告の期間、除権決定、事件の記録の閲覧等について定めるものとすること。(第九十九条から第百十三条まで関係)二有価証券無効宣言公示催告事件有価証券無効宣言公示催告の申立てに係る事件について、その管轄裁判所、申立ての方式及び疎明、公示催告の内容等、除権決定による有価証券の無効の宣言等について定めるものとすること。(第百十四条から第百十八条まで関係)第五過料事件 - 24 -過料事件について、その管轄裁判所、過料についての裁判の手続、過料の裁判の執行等、所要の規定を整備するものとすること。(第百十九条から第百二十二条まで関係)第六施行期日等一この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。(附則第一条関係)二この法律の施行に伴う経過措置について定めるものとすること。(附則第二条関係)

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /