法制審議会 第150回会議議事録 第1 日 時 平成18年9月6日(水) 自 午後1時36分 至 午後2時11分 第2 場 所 法務省大会議室 第3 議 題 1 保険法の見直しに関する諮問第78号について 2 民事訴訟における付添い等の措置に関する諮問第79号について 3 犯罪被害者等の保護に関する諮問第80号について 第4 議 事 (次のとおり) 議 事 (開会宣言の後,法務大臣から次のようにあいさつがあった。) 法制審議会第150回会議の開催に当たり,一言ごあいさつ申し上げます。 委員及び幹事の皆様方におかれましては,公私ともに御多用中のところ御出席をいただき,誠にありがとうございます。 さて,本日新たに御検討をお願いしたい議題の第1は,保険法の見直しに関する諮問第78号についてです。 保険契約に関しては,商法典の一部として規定が設けられておりますが,一世紀近くもの間,実質的な改正を経ることなく,今日に至っております。そこで,広く社会に定着している保険契約について,保険者,保険契約者等の関係者間におけるルールを現代社会に合った適切なものとするため,保険契約に関する規定の見直しについて御検討をお願いするものです。 つづきまして,議題の第2は,民事訴訟における付添い等の措置に関する諮問第79号についてです。 昨年12月に閣議決定されました「犯罪被害者等基本計画」では,刑事訴訟法に規定されている,証人への付添い等の措置を,民事訴訟法上も認めることを検討することとされております。そこで,犯罪の被害者の方等の権利利益の保護を図るとの観点から,民事訴訟法においても,付添い等の措置を認める規定を設けることについて,御検討をお願いするものです。 最後に,議題の第3は,刑事手続において犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るための法整備に関する諮問第80号についてです。 先ほど申し上げた基本計画においては,損害回復・経済的支援等への取組など,刑事手続における犯罪被害者等の保護を図るための施策の充実も求められています。 そこで,刑事手続において,犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るための法整備を早急に行う必要があると思われますので,そのための御検討をお願いするものです。 それでは,これらの議題につきまして,どうぞよろしく御審議をお願いいたします。 (法務大臣の退席後,引き続き,本日の議題について次のように審議が進められた。) くろまる しろまるしろまるでございます。本日はよろしくお願いいたします。 それでは,早速審議に入らせていただきます。 先ほどの法務大臣あいさつにもございましたように,本日は,1,保険法の見直しに関する諮問第78号について,2,民事訴訟における付添い等の措置に関する諮問第79号について,3,犯罪被害者等の保護に関する諮問第80号について,以上の審議事項につきまして御審議いただきたいと存じます。 まず初めに,本日の第1の議題でございます保険法の見直しに関する諮問第78号,及び第2の議題でございます,民事訴訟における付添い等の措置に関する諮問第79号につきまして,御審議をお願いいたします。 では,事務当局に諮問事項の朗読をお願いいたします。 くろまる 民事局参事官をしておりますしろまるしろまるでございます。 諮問を朗読させていただきます。 諮問第78号 広く社会に定着している保険契約について,保険者,保険契約者等の関係者間におけるルールを現代社会に合った適切なものとする必要があると思われるので,別紙「見直しのポイント」に記載するところに即して検討の上,その要綱を示されたい。 別紙 見直しのポイント 第一 規律の内容の現代化について 一 商法が定める保険の類型を見直すとともに,損害保険契約及び生命保険契約に属さない傷害又は疾病により保険金が支払われる保険契約について,典型契約としての位置付けを与え,その適切な規律を法定するものとする。 二 損害保険契約に関し,物を保険の対象とする物保険についてその機能に応じて規律を見直すとともに,現代社会で重要な役割を果たしている責任保険についてそのルールを整備するものとする。 三 生命保険契約に関し,今後の高齢化社会における役割の重要性等にかんがみ,多様なニーズにこたえることができるように規律を見直すものとする。 四 その他,保険契約の成立,変動及び終了に関する規律について,保険契約者の保護,保険の健全性の維持,高度情報化社会への対応等に配慮し,その内容を見直すものとする。 第二 現代語化その他の改正について 片仮名・文語体の法文を平仮名・口語体の法文に改めるとともに,所要の規定の整備を行うものとする。 くろまる 民事局参事官をしておりますしろまるしろまるでございます。 諮問を朗読させていただきます。 諮問第79号 犯罪の被害者等の権利利益の保護を図るとの観点から,証人尋問及び当事者尋問の際の付添い,遮へい及びビデオリンクの措置等を民事訴訟法上認める必要があると思われるので,その要綱を示されたい。 くろまる 続きまして,この諮問の内容,諮問に至る経緯,及びその理由等につきまして,事務当局から説明してもらいます。 くろまる 幹事のしろまるしろまるでございます。保険法の見直しに関する諮問第78号,及び民事訴訟における付添い等の措置に関する諮問第79号について,提案に至りました経緯,諮問の趣旨等を御説明申し上げます。 始めに,保険法の見直しに関する諮問第78号について御説明申し上げます。 保険契約に関しましては,商法典の商行為法の一部として規定が設けられておりますが,これらの規定は明治32年に現行の商法が制定された後,明治44年に一部改正が行われたものの,その後は実質的な改正を経ておらず,その表記も片仮名・文語体のまま今日に至っているわけでございます。 現代において,保険契約は一般の国民生活に深く根ざしており,国民にとって身近で重要な契約の代表的なものといえると思いますが,大正,昭和,そして平成へという時代の移り変わりに伴う社会経済情勢の変化に応じて,保険に対する社会のニーズも変化いたしまして,医療保険やがん保険などの傷害・疾病保険,それから自動車保険に代表される責任保険など商法典では想定されておらない類型の保険契約が増えておりますし,また多様化した保険約款の解釈を始めとする契約内容をめぐる紛争も決して少なくないという状況にあります。 そこで,会社法の制定に続く商法典の現代化の一環といたしまして,広く社会に定着している保険契約について,保険者,保険契約者等の関係者間におけるルールを現代社会に合った適切なものとする必要がある,このように考えまして,今回の諮問に及んだものでございます。 次に,この保険契約に関する規定の見直しのポイントと考えられるところについて,御説明を申し上げます。別紙「見直しのポイント」を御覧ください。 まず,第一の規律の内容の現代化についてでありますが,これには四つの点がございます。 一つ目は,商法の定める保険の類型が株式会社等の商人や相互会社等が保険者となることを前提としたものになっておりますが,共済等の普及を踏まえまして,これを見直すとともに,損害保険契約及び生命保険契約のこの二つのいずれにも属さない,一般に第三分野の保険といわれておりますけれども,傷害・疾病に関する保険契約,これが近年の医療保障ニーズの高まりに応じて増加しておりますことから,この傷害・疾病保険契約について,典型契約としての位置付けを与え,その適切な規律を法定するというものでございます。 二つ目は,損害保険契約に関しまして,建物等を保険の対象とする物保険について,その損害てん補機能を十分に果たすことができるように規律を見直すとともに,損害賠償の責任を負うことによって生ずる損害をてん補する責任保険については,現行の商法に規定がないことから,そのルールを明確化するために規定を整備するというものでございます。 三つ目は,遺族の生活保障という機能を有する生命保険契約に関しまして,今後の高齢化社会における役割の重要性にかんがみ,国民の多様なニーズにこたえることができるように,保険金の受取に関する規律等を見直すというものでございます。 四つ目は,その他,保険契約の成立,変動及び終了に関する規律について,保険契約者の保護,保険の健全性の維持,高度情報化社会への対応等に配慮し,その内容を見直すというものでございます。 次に,第二の現代語化その他の改正についてでございますけれども,これは片仮名・文語体の法文を平仮名・口語体の法文に改めるとともに,所要の規定の整備を行うとするものでございます。 本審議会において,以上の見直しのポイントに即して十分御議論いただいた上,御意見を賜りますようにお願いを申し上げるところでございます。 続きまして,民事訴訟における付添い等の措置に関する諮問第79号について,御説明を申し上げます。 刑事訴訟におきましては,犯罪の被害者の方などが証人として被告人や傍聴人の前で供述すると,強い精神的な不安や緊張を受けるという場合,その不安や緊張を緩和するための措置が刑事訴訟法に規定されているところでございまして,これは御案内のとおりでございます。具体的には,証人の不安や緊張を和らげるのに適当な人を尋問中付き添わせる付添い,証人と被告人,傍聴人との間につい立てを置くなどとする遮へい,証人を法廷外の別室に在席させて,その別室と法廷等とを回線で接続して,テレビモニターを介して尋問を行うビデオリンク,これらの措置でございます。 ところで,民事訴訟におきましても,犯罪の被害者の方などが,加害者に損害賠償を求める訴えを提起し法廷で供述を行う場合がございます。このような場合について,民事訴訟法には刑事訴訟法で認められている各措置に関する規定はございませんけれども,付添いと遮へいの措置はこれまでも運用上不可能ではないとされてきたところでございまして,これに対しましてテレビモニターを介した証人尋問,これについては証人が遠隔地にいる場合にしか法律上認められておりません。しかしながら,犯罪の被害者の方などの権利利益の保護を図る観点からは,刑事訴訟と同様に民事訴訟においても証人等の精神的な不安や緊張を緩和するためにテレビモニターを介した尋問を可能とするとともに,これまで運用上可能とされてきた措置についても法律上明確な規定を設けて,より円滑な実施が図られるようにすることが相当であると考えられます。 昨年12月に閣議決定されました「犯罪被害者等基本計画」においても,民事訴訟法上これらの措置を導入することを検討するとされているところでございます。このような状況にかんがみますと,付添い等の措置を民事訴訟法上認める必要があると考えられますので,本審議会においてこれも十分御議論いただいた上,御意見を賜りますようお願いを申し上げるところでございます。 以上でございます。 くろまる それでは,ただいま説明のありました諮問第78号及び第79号につきまして,まず御質問がございましたら,御発言をお願いいたします。御質問ございませんでしょうか。 御質問がないようでございますので,続きまして本日の第3の議題でございます,犯罪被害者等の保護に関する諮問第80号につきまして,御審議いただきたいと思います。 まず初めに,事務当局に諮問事項の朗読をお願いいたします。 くろまる 刑事法制企画官をしておりますしろまるしろまるでございます。諮問を朗読させていただきます。 諮問第80号 犯罪被害者等基本法の趣旨及び目的にかんがみ,刑事手続において,犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るため,早急に法整備を行う必要があると思われるので,左記の事項に関して,その整備要綱の骨子を示されたい。 第一 損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度 第二 公判記録の閲覧及び謄写の範囲の拡大 第三 犯罪被害者等に関する情報の保護 一 公開の法廷において性犯罪等の被害者の氏名等を明らかにしないようにする制度 二 証拠開示の際に,相手方に対して,性犯罪等の被害者の氏名等が関係者に知られないようにすることを求めることができる制度 第四 犯罪被害者等が刑事裁判に直接関与することのできる制度 以上でございます。 くろまる 続きまして,この諮問の内容,諮問に至る経緯及びその理由等につきまして,事務当局から説明してもらいます。 くろまる 幹事のしろまるしろまるでございます。 それでは,諮問第80号につきまして,提案に至りました経緯及び諮問の趣旨等について御説明申し上げます。 犯罪によって傷付いた被害者やその遺族の方々の保護・支援を図っていくということは極めて重要でございまして,法務省におきましては,これまでも,平成12年に制定されましたいわゆる犯罪被害者保護二法によりまして,意見陳述制度,公判記録の閲覧・謄写の制度,刑事和解の制度の導入等を行ってまいりました。 しかし,多くの犯罪被害者等にとって,その被害から回復して平穏な生活に戻るためには依然として様々な困難があることが指摘されております。このような状況から,平成16年12月には,犯罪被害者等のための施策の基本理念や各種の基本的施策等を定めた「犯罪被害者等基本法」が成立いたしました。昨年12月には,この基本法を受けまして,先ほどしろまるしろまる幹事からもお話がございましたが,「犯罪被害者等基本計画」が策定されたわけでございます。そして,この基本計画の中では,刑事手続に関するもので立法的手当てが必要であると考えられるものとして,「損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度」等,今回諮問した4つの事項についての検討及び施策の実施が求められております。 これらの施策につきまして,「犯罪被害者等基本計画」では2年という検討期限が示されておりますが,法務省としては,犯罪被害者等の保護・支援をより一層充実させるため,我が国にふさわしい新たな制度を一日も早く導入することが重要であると考えております。そこで,できるだけ早期に所要の法案を提出できるよう,この段階で,法制審議会に対し,これらの事項に関する諮問を行うこととしたものでございます。 次に,諮問の趣旨等について,御説明いたします。 第1の事項は,「損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度」であります。これについては,基本計画にもあるように,「多くの犯罪被害者等にとって,損害賠償の請求によって加害者と対峙することは,犯罪等によって傷付き疲弊している精神に更なる負担を与えることになり,また,訴訟になると高い費用と多くの労力・時間を要すること,訴訟に関する知識がないこと,独力では証拠が十分に得られないことなど,多くの困難に直面することなどから,現在の損害賠償請求制度が犯罪被害者等のために十分に機能しているとは言い難い」との指摘がございます。そこで,附帯私訴,損害賠償命令等,犯罪被害者等の損害賠償の請求に関して刑事手続の成果を利用することにより,犯罪被害者等の労力を軽減し,簡易迅速な手続とすることのできる,我が国にふさわしい新たな制度について,御審議をお願いしたいのであります。 第2の事項は,「公判記録の閲覧及び謄写の範囲の拡大」であります。これについては,現行法上,公判係属中の刑事被告事件の訴訟記録,いわゆる公判記録については,当該被告事件の被害者等から申出がある場合において,裁判所が,当該被害者等の損害賠償請求権の行使のために必要があると認める場合その他正当な理由がある場合であって,かつ,犯罪の性質,審理の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときに,その閲覧・謄写をさせることができることとされております。この公判記録の閲覧・謄写につきましては,犯罪被害者等が損害賠償の請求をするに際して直面する証拠収集の負担や立証の負担を軽減することができるという側面と,犯罪被害者等が自ら被害に遭った事件に関する情報を取得することができるという側面がございますが,例えば,単に事件の内容を知りたいという理由であっても閲覧・謄写を認めるべきではないかとの御意見もあることから,閲覧・謄写が認められるための要件を緩和することができないかなどといったことにつきまして,御審議をお願いしたいのであります。 第3の事項は,「犯罪被害者等に関する情報の保護」でございます。これにつきましては,基本計画にもございますように,「犯罪被害者等の多くが,再び危害を加えられることに対し深刻な不安を抱いており,このような不安は,被害の申告を躊躇させる原因ともなるなど,犯罪被害者等の大きな負担となっていることから,これを解消する取組が必要である」との指摘がございます。そこで,1つには「公開の法廷において性犯罪等の被害者の氏名等を明らかにしないようにする制度」,もう1つは「証拠開示の際に,相手方に対して,性犯罪等の被害者の氏名等が関係者に知られないようにすることを求めることができる制度」について,御審議をお願いしたいのであります。現行法の下でも,訴訟当事者の同意や協力が得られる場合には,このような措置を採ることは可能であり,実際にも行われている例があるものと承知しておりますけれども,このような措置を採り得ることを法律上明記することにより,訴訟当事者の注意を喚起し,被害者の名誉等が害されることなどを未然に防止することができる上,これが法律上明記されていること自体が,被害者の方々に安心感を与え,被害の申告や十分な供述の確保にも資することとなると考えられるところでございます。 第4の事項は,「犯罪被害者等が刑事裁判に直接関与することのできる制度」であります。これについては,基本計画にもあるように,「『事件の当事者』である犯罪被害者等が刑事手続の推移及び結果に重大な関心を持つのは当然であるが,現状について,『事件の当事者』にふさわしい扱いを受けていないという批判があり,自ら手続に関与することを望む犯罪被害者等も少なくない」との指摘がございます。そこで,刑事裁判に犯罪被害者等の意見をより反映させるべく,公訴参加制度を含め,犯罪被害者等が刑事裁判手続に直接関与することのできる,我が国にふさわしい新たな制度について,御審議をお願いしたいのであります。 提案に至りました経緯及び諮問の趣旨等は,以上のとおりでございます。 十分御審議の上,できる限り速やかに御意見を賜りますよう,お願い申し上げます。 以上でございます。 くろまる 刑事法制企画官をしておりますしろまるしろまるでございます。 引き続きまして,配布資料の御説明をさせていただきます。 まず,番号刑1でございますが,先ほど朗読いたしました諮問第80号です。 次の番号刑2は,内閣府において作成された資料であり,「犯罪被害者等基本法の概要」をまとめたものでございます。 番号刑3は,「犯罪被害者等基本法」の条文でございます。 番号刑4は,同じく内閣府において作成された資料であり,「犯罪被害者等基本計画の概要」をまとめたものでございます。 番号刑5は,「犯罪被害者等基本計画」の抜粋ですが,この基本計画において法務省において検討・実施すべきとされた施策のうち,刑事手続に関するもので立法的手当てが必要であると考えられるものを抜き出したものでございます。 番号刑6は,「犯罪被害者等基本計画」の全文です。 最後,番号刑7でございますが,平成12年に成立したいわゆる犯罪被害者保護二法において導入された,証人尋問の際の付添い及び遮へいの措置,ビデオリンク方式による証人尋問,意見陳述制度,公判記録の閲覧・謄写,刑事和解の制度につきまして,平成12年から平成17年までの実施状況をまとめたものでございます。 以上,簡単でございますが,配布資料の説明をさせていただきました。 くろまる ありがとうございました。 それでは,ただいま説明のありました諮問第80号につきまして,まず御質問がございましたらお願いしたいと思います。ございませんでしょうか。 御質問がないようでございますので,ここで諮問第78号,第79号及び第80号の審議の進め方について御意見を伺いたいと存じます。御発言をお願いいたします。 しろまるしろまる委員,どうぞ。 くろまる しろまるしろまるでございますが,諮問第78,79,80号はいずれも専門的,技術的な内容を含んでおりますので,できればそれぞれ専門の部会を設置していただいて,その部会で十分な調査,審議をされた上で原案をおつくりいただいて,この法制審議会にお示しいただいて,そこで審議をするというのが適当ではないかというふうに思っております。 くろまる ありがとうございました。 ただいましろまるしろまる委員から部会設置等の御提案がございましたが,これにつきまして御意見がございますでしょうか。御意見ございませんか。 特に今のしろまるしろまる委員の御意見に対して御異議がないようでございますので,諮問第78号,第79号及び第80号につきましては,新たに部会を設置して調査,審議することに決定いたします。 次に,新たに設置する部会に属すべき総会委員,臨時委員,及び幹事に関しましては,会長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんでしょうか。 よろしゅうございますか。それでは,この点は会長に御一任願うということにいたします。 次に,部会の名称でございますが,諮問事項との関連から諮問第78号につきましては「保険法部会」,諮問第79号につきまして「民事訴訟法部会」,諮問第80号につきましては「刑事法(犯罪被害者関係)部会」と呼ぶこととしたいと存じますが,いかがでございましょうか。御異議ございませんか,よろしゅうございますか。 特に御異議がないようでございますので,そのように取り計らわせていただきます。 総会委員として,諮問事項の中身についてほかに御意見がございましたら,御発言をお願いしたいと存じます。 どうぞ,しろまるしろまる委員。 くろまる すみません。ここで言うのが正しいかどうか分からないんですけれども,ぜひ部会の方で話していただきたいと思うこととして,保険法の見直しの第78号諮問に関しましては,金融審議会でも同じように保険法,様々な証券も含めて金融サービス法などで進行しておりますので,私が言うまでもないと思いますけれども,きちっと連携をとって無駄のないような審議ができることをお願いしたいと思います。 それから,私はこの保険の契約に関しての見直しの中でぜひ御審議いただきたいというか,ポイントとして,法定相続人というのが今受取人のところで必ず書かれるようになっていて,そうでない場合だけ受取人を明記するようになっておりますけれども,それを初めからきちっと契約をする際にだれなのかということを本人が書いた方がよいのではないかといつも思っております。理由等を述べると長くなるのであれなんですが,保険のそもそもの意味と,それから今のライフスタイルで共働きの夫婦が増えているなどで,必ずしも法定相続人に受け取らせることが趣旨でない場合というのが大変多く出てきているんですが,大変手続が面倒であるということもありますし,そもそも受取人がだれだかわからないで契約をするというトラブルもありますので,受取人に関しての契約の見直しをされていただく部会の中で,ぜひ自動的に法定相続人になるのではなく,自ら書き入れるというようなことも含めて検討していただけたらよいと思っております。 それから,第79号と80号に関しては,ぜひいろいろと御審議いただきたいんですけれども,私は法律の素人ですのでこういう疑問を持つのかもしれませんが,証人などが法廷に入ったときに本人かどうかという確認を本人にしているわけですが,そもそも法廷に入る前に関係者が当然本人であることを確認して入れているはずで,本人が答える,そして個人情報を,住所や氏名を述べるということは大変不自然だと常々思って,今回もそのことなんですけれども,第三者が確認するべきではないのかなといつも思っておりまして,第三者が責任を持ってこの人がそうであるということを保証したからこそ,法廷に入って証言台に立つということがまず前提で,違う確認の仕方をしていただいて,本人は名前が公表できる場合,そうでない場合を今回審議されると思うんですけれども,一言そうだというだけでその身の保証はほかの人がするということを含めて考えていただけたらいいなと思っております。 くろまる どうもありがとうございました。 ただいまの御意見は部会設置後の部会の審議において考慮していただきたいと思っております。どうもありがとうございました。 ほかにございませんでしょうか。 それでは,諮問第78号,第79号,及び第80号につきましては,部会で御審議いただき,それに基づきまして総会においてさらに御審議を願うということにいたしたいと存じます。これで本日の審議は終了いたしました。 ほかにこの機会に御発言いただけることがございましたら,お願いいたします。本日の議題以外のことでも結構でございます。ございませんでしょうか。 どうぞ。 くろまる ここでそういうことを話していいのかどうかちょっとわかりませんけれども,一昨日の最高裁判決で凍結精子を用いて生まれた子供と父親との親子関係が現行法上は認められないという判決が出ておるわけですけれども,その中でこれは立法の不備であるということが指摘されております。昨日の法務大臣の記者会見も立法,法制審議会や厚生労働省の審議会をメンションしながら立法の整備をするというような御発言があったように,私は新聞の小さな記事で拝見しただけでございますが,そういうことを承知しております。 そこで,今の段階で立法を事務局としてどういうお考えがあるのかどうか,法制審議会としてどういうお考えがあるのかどうかということをもし聞かせていただければ聞かせていただきたいというのが私の趣旨でございます。 くろまる 事務局から,よろしくお願いします。 くろまる ただいましろまるしろまる委員から御発言がございましたとおり,最高裁判決についての質問が昨日の法務大臣の記者会見でもございまして,法務大臣の方からは基本的に法制審議会の人工生殖に関する身分,親子法制について,法制審議会での検討が中断しているけれども,厚生労働省の審議会の動きとよく連携をとって,厚生労働省の審議会がこれについての審議を再開して動き出せば,それに見合った検討を法制審議会の方でもさせていただきたいという発言をいたしたわけでございます。 一昨日の最高裁の判決は,特に補足意見において立法を促す部分もございますので,私どももそれは非常に重く受け止めているところでございます。大臣からも今御紹介申し上げました発言のとおりでございまして,この問題は非常に難しい問題でありますけれども,解決しなければならない問題だということで,我が国としてどういう人工生殖のあり方が正しいものかという枠組みということを前提に法制審議会で親子法制をできるだけ速やかに決めてまいりたいという立場でございますので,これについては厚生労働省とよく連絡協議をいたしまして,審議についてどういう段取りで今後進めていけるか検討してまいりたい。また,先生方にも必要に応じて本件についての御連絡を差し上げたいと思っております。 くろまる ありがとうございました。 しろまるしろまる委員,よろしゅうございますか。 くろまる 結構です。 くろまる ほかに何か御意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。 それでは,本日はここまでということでよろしゅうございますでしょうか。 どうもお忙しいところお集まりいただきまして御議論いただき,ありがとうございました。本日の総会を終了いたします。 -了-

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