1第8回水害サミットの開催について
The 8th round of Mayor’s summit on the flood disasters
―被災地からの情報発信―
-Send out signals of information from disaster areas-
水害サミット実行委員会事務局
The Flood Damage Summit Executive Committee Office
I.はじめに
水害サミットは、平成17年9月に水害経験の少ない他の自治体に情報発信し、防災・
減災意識を高めることを目的として、第1回水害サミットを開催し、その後毎年開催して
おります。昨年は東日本大震災により未曾有の被害が発生するとともに、台風等による大
規模な水害も多発しました。東日本大震災を教訓とした防災対策の重要性は言うまでもあ
りませんが、毎年必ずやってくる出水期には、風水害に対して万全の備えを行っていかな
ければなりません。
今回のサミットは、2部構成とし、1部においては、
「水害への対応」ということで、昨
年は水害が多発したことから、
「新潟・福島豪雨」、「台風12号」の被災事例を踏まえた中
で、洪水・浸水被害への対応と対策について意見交換を行いました。また、2部では、
「災
害時の情報の伝達について」、「改めて考える自助・共助・公助の連携と体制について」と
いうことで、被災者はもちろん、帰宅困難者なども含め、防災・減災に活用できる情報伝
達手段について、個人に確実に届く方法を考え、事例を踏まえ、来るべき東海・東南海・
南海地震への対応も考慮に入れるとともに、昨年の被害事例と情報伝達を踏まえ、改めて
自助・共助・公助の体制についても意見交換を行いました。
II.第8回水害サミットの概要
1.日 時 平成24年6月5日(火)15時〜18時30分
2.場 所 マイナビルーム2F-S(東京都千代田区一ツ橋1-1-1)
3.主 催 ・水害サミット実行委員会
水害サミット実行委員会発起人会
(新潟県見附市長、福井県福井市長、兵庫県豊岡市長、新潟県三条市長)
・毎日新聞社
4.出席者 コーディネーター:松田 喬和(毎日新聞論説室・専門編集委員)
オブザーバー:関 克己(国土交通省水管理・国土保全局長)
出 席 者:三輪 茂 (北海道 日高町長)
津谷 永光(秋田県 北秋田市長)
國定 勇人(新潟県 三条市長)
久住 時男(新潟県 見附市長)
大平 悦子(新潟県 魚沼市長)
東村 新一(福井県 福井市長)
牧野 百男(福井県 鯖江市長)
奈良 俊幸(福井県 越前市長)
望月 良和(静岡県 伊豆の国市長)
森 延彦(静岡県 函南町長)
西田 健(三重県 紀宝町長)2中貝 宗治(兵庫県 豊岡市長)
來住 壽一(兵庫県 西脇市長)
更谷 滋禧(奈良県 十津川村長)
大橋 建一(和歌山県 和歌山市長)
真砂 充敏(和歌山県 田辺市長)
田岡実千年(和歌山県 新宮市長)
玉置 俊久(和歌山県 日高川町長)
寺本 眞一(和歌山県 那智勝浦町長)
安東 美孝(岡山県 美作市長)
塩田 始(高知県 いの町長)
橋田 和実(宮崎県 西都市長)
隈元 新(鹿児島県 伊佐市長)
米満 重満(鹿児島県 湧水町長)
渋谷 俊彦(鹿児島県 出水市長)
(敬称略)
5.会議のテーマ
(1)水害への対応について
(2)災害時の情報の伝達について
(3)改めて考える自助・共助・公助の連携と体制について
6.会議の内容
≪実行委員会発起人代表挨拶≫
國定三条市長: 今回は近年では一番多い25名の市町村長さんに参加いただいた。初めて
の参加市町村も9名の方から参加していただいている。
水害サミットに例年参加させてもらい、各市町村長さんから生のお話を聞かせてもらって、
生のハード面・ソフト面での課題、あるいは、それを克服すべく具体の対策について大いに学
ばせていただいている。その結果が、まだ不十分とはいえ、この7年間の間にハード・ソフト
両面とも着じつに進歩を遂げることができたのではないか。この水害サミットの役割というも
のは決して減ることなく、逆に自然災害が多発し始めた我が国だからこそ、余計役割が増して
いくと思う。
≪情報提供≫
森北治水課長: 水害サミット参加市町村における近年の水害発生状況について、後で各市
町村長からもご紹介等があるかもしれませんが、情報提供をさせていただきます。
(水害サミット参加市町村における近年の水害発生状況、降雨データ等について紹介)
≪初参加自治体挨拶≫
大平魚沼市長: 魚沼市も昨年、新潟・福島豪雨災害にあった。市内の南から北に一級河川
魚野川が流れている。今回は、この上流からの豪雨が下流の魚野川に大きな被害を与え、堤防
決壊、内水被害、土砂災害が発生した。
今回の水害において、職員の情報収集体制のぜい弱さや被害情報などの伝達の方法の不備、
自主防災組織の活動等の課題が残った。情報が一度に大量に寄せられて、情報の整理がうまく
いかなかった。3森函南町長: 総合治水という点から言うと、まだまだ進めなければならない点がある。ぜ
ひ総合治水という視点の中で、
さまざまな視点でアクションプランをつくって、
国、
県、
市町、
あるいは地元と、それぞれやるべき分担を、しっかりとしたプログラムの上で計画的に治水対
策を進めることがきわめて肝要だと考えている。
西田紀宝町長: 三重県の最南端にあり、大変大きな熊野川が流れている。私どもは、たび
たびこの暴れ川に大変な目にあってきた。国土交通省のご協力をいただいた。輪中堤を日本で
初めて、モデルケース的に造っていただき、これまでもその輪中堤ができたおかげで水害につ
いて対応することができた。
それぞれの地域の中で自主防災組織がしっかりと形成されて、日ごろの訓練をしていただい
た。これからも災害に向けて、どうしてもハード的に公共事業として取り組むレベルと、はる
かに想定を越える状況の中で、これからも災害に対する対応を検討していく必要があるという
ことを改めて感じている。
更谷十津川村長: 台風12号で、多いところでは2000ミリを越える降雨があり、山は
崩れ、
川は荒れ、
道路はいたるところで寸断した。
当然、
ライフラインはまさに壊滅的状況で、
村民と役場とが10日間余り一切の連絡がとれなかったのがいちばんの苦しみだった。
山の崩壊が260ヘクタール、いちばん大きな山の崩壊が1か所で60ヘクタールで、それ
が土砂ダムを形成した。土砂ダムが越流することによって土石・流木の被害が起こるため、多
くの村民を避難させた。3ヵ月余り多数の住民の避難を続けたことが、一つの課題であった。
96%が山であり、やはり林業の振興が大切である。山を守ることが川を守ることである。
そして、道路を守る。そんな中で、いかにライフラインが大切であるのか、それらの整備が本
当に急がれると思っている。
真砂田辺市長: 私どもの町も台風12号で大変な被害をこうむった。一自治体の対応を超
えた災害だと感じている。私どもの町でも5日間で総雨量が2000ミリ近くに達し、発災の
あくる日、
中貝市長さんから、
この水害サミットでいろいろ議論された首長さんの率直な意見、
要は災害にどう対応すべきというFAXをいただいた。それと、いかに遠隔地の自治体との連
携が必要かということも痛感した。今後の東南海・南海地震等も懸念される中で、この水害サ
ミットが広域のいろいろな情報交換となって、少しでもこの経験が生かせることができたら思
うし、大変意義あることだと思っている。
田岡新宮市長: 台風12号、紀伊半島大水害災害では、世界遺産でもある熊野川が大氾濫
して、尊い命と貴重な財産が多く失われた。水害サミットからの発信は、これまでの経験から
得られた非常に重要で、すぐに対応できる貴重な情報であると思っている。
玉置日高川町長: 「防災に強い町」という公約で、
「職員全員に防災士を取らせる」とい
うことで、5年計画で、既に行っている。
日高川ですけれども、実は日本一長い二級河川である。昭和28年に大きな水害があり、二
度と経験をさせたくないということで、京大防災研究所および立命館の工学部、それに地元の
高専を巻き込んで新しい河川の点検をしていきたいと考え、いま進めている。
寺本那智勝浦町長: 昨年9月の台風12号の災害による土石流と河川氾濫により、多くの
尊い人命と財産を失った。死者は28名、行方不明1名。家屋の全壊は103棟、大規模半壊
が105棟、半壊が800棟、床上浸水が440棟、床下は正確な把握がもうできなかった。
1000棟以上だったと思われる。こういう過去にも経験したことのない本町の出来事であっ
た。
道路や橋など、本当に多くのものを災害で失なったが、その状況の中で、我々の町は小さな4町なので、業者が不足している。そういった中で、災害の査定を受けてから完了するまでの期
限があり、期限内に完了することができるか議論しているところである。このサミットの中で
皆さんのいろいろなお考えや、どのように対応されているかもお聞きしながら、我々の今後の
まちづくりの復旧復興の参考にさせていただきたいと思っている。
隈元伊佐市長: 私どもの町を流れている川内川というのは暴れ川で、平成9年にも大きな
豪雨があった。平成18年の被害は、豪雨というものを本当に初めて本格的に経験し、パニッ
クになりそうにもなった。それで激甚災害の指定を受け、そのあと築堤あるいは掘削等の工事
を実施した。平成23年7月の一日の雨量は、ピーク時の雨量としては同じような雨量でした
が、おかげさまで被害のほうは激減したのは、やはりこの整備の結果だと思っている。
災害対応については、上下流・中流の隣近所というのも大事だが、遠くにある方とも交流を
していけたらと思っている。
(1)水害への対応について
松田編集委員: テーマ1で、
「水害への対応について」
、見附市長と新宮市長それぞれご報
告いただいて、そのあと皆さんで意見を交換していきたい。
久住見附市長: この8年間、本当にいろいろな皆さんからアドバイスいただき、率直に自
分たちのアイデアを出して思い切ってやったことが、昨年の新潟・福島豪雨では被害を最小限
に収めることができた。
土砂崩れは平成16年の87か所から162か所に増えたが、床上、床下浸水が2033戸
から460戸に減った。被害総額も平成16年184億円から14.3億円に減った。市を流
れる刈谷田川の改修が進んだ結果だ。刈谷田川ダムの貯水機能の改善や遊水地の創設、内水対
策として田んぼダムによる流出抑制策や市街地での直径2.6メートルの雨水貯留管の整備で
床上、床下浸水が減った。上中下流域が連携した整備が功を奏した。
田岡新宮市長: 台風12号で熊野川をはじめすべての河川が氾濫し土石流も発生した。被
害が広がるほど、情報が入らなくなるということも経験した。集落が孤立し、市街地が広範囲
に浸水した。避難勧告などの避難伝達マニュアルを見直した。地区を限定し、避難を呼びかけ
た。避難地区が浸水したので見直しを進めている。孤立住宅は行政が支援できない期間が発生
する。
「自分の命は自分で守る。自分が無事なら地域を守る」という教育を進めたい。昨年の台
風12号は大被害をもたらした明治22年と同じ進路をたどった。過去の台風の進路を確認し
ておくべきだ。
松田編集委員: 体験談に基づいての意見交換を進めていきたい。
奈良越前市長: 平成16年の福井豪雨に直面した。一点目は自助・共助体制の確立の問題
であり、現在238の自主防災組織が立ち上がっている。今年度から3年間にすべての町内で
避難マニュアル、防災マップ作りを行いたいと考えている。二点目は情報伝達体制の強化の問
題であり、区長のお宅に個別受信機を配備し、屋外拡声子局、あるいはモーターサイレンなど
を整備し、地元のケーブルテレビ、あるいはFM放送などと協定を結んで災害発生時には市の
情報を発信してもらっている。昨年度は緊急速報メールの配信を行うことができるようになっ
た。三点目は、高齢者等への配慮の問題で、昨年の補正予算でアルファ米を購入し、折りたた
みマットを導入して、高齢者の方々、障害を持った方々への配慮を進めている。
最後に、長期広域避難対策で、大震災の前には、県外五つの市と防災協定を結んでいた。大
震災以降に新たに五つの市と協定を結び、現在10の市とで協定を結んでいる。
渋谷出水市長: 昨年7月の豪雨で消防団が出動するなど対応したが、平成18年の水害を5受けての激甚災害対策特別緊急事業で河床の掘削が進み越水がなかった。森林の再生を図り、
山の保水力も高めたい。耕作放棄が増えているが、田んぼダムは参考になる。自助、共助、公
助の連携が大事だ。市民が自分の命は自分で守るという意識付けが大事だ。
津谷北秋田市長: 昨年の8月、今まで水害がなかった北秋田市の鷹巣という市街地で、ピ
ンポイントで集中豪雨がおき、大変な短時間に町の中に水があふれてきた。避難誘導のあり方
について、大変面積が広いことから、いろいろな意味で情報伝達の仕方を考えていかなくては
いけない。
牧野鯖江市長: 見附市、三条市を参考に「逃げ時」
「逃げ道」
「逃げ所」の災害時ガイドブ
ックを作成し、各戸配布させていただいた。この1冊ですべてがわかるような、常に自分が逃
げるところはどちらがよいか、
逃げ場所はどこか、
そして自分の命を守るための自分の助け方、
そういったものでの地域の自助というものをこの冊子の中で常に勉強していただきたいという
ことでつくった。
(2)災害時の情報の伝達について
(3)改めて考える自助・共助・公助の連携と体制について
松田編集委員: 第2部のテーマに移り、NTTドコモの執行役員でネットワーク部長の入
江さんより、
「東日本大震災への対応と新たな取組について」ということで、新たな情報伝達手
段というのはどういうふうに変わっているのか、これからそれをどう活用できるのかなどにつ
いて講演願いたい。
入江((株)NTTドコモ執行役員ネットワーク部長)
: 災害時には通信、携帯電話に対する
期待が非常に高い。3月11日以降、東北地区の基地局が中断したが、4月30日には震災前
のエリアにほぼ復旧した。平常時に比べ発災直後の50〜60倍の通信への対応を含め、初動
の大切さを改めて認識させられた。更なる安心・安全な通信サービスを提供するために「新た
な災害対策」10項目を計画し、今年2月に概ね完了した。
主な対策として重要エリアにおける通信を確保するため大ゾーン基地局を104局設置し、
全国の自治体の市役所、役場をカバーする約1900基地局の無停電化、または24時間の通
信を維持するためのバッテリーの増設、避難所などにできるだけ早く衛星携帯電話を提供する
ため3000台を配備、衛星の可搬基地局の増配備などを行った。音声通信より比較的つなが
りやすいバケット通信を使った
「災害用音声お届けサービス」
も今年3月より開始した。
また、
エリアメールも1000を超える自治体でご利用いただいている。
松田編集委員: 「災害時の情報の伝達」、「改めて考える自助・共助・公助の連携と体制」
それぞれについてご意見をお聞かせ願いたい。
來住西脇市長: 平成16年の台風23号で1400戸程度被害が出て、激特の指定を受け
事業が完成した。
昨年9月に発生した台風12号では、
改修していただいた箇所は一切無事で、
10年前と今との災害以外の河川の状況を考えると、山が荒れているから、ほとんどが土砂で
埋まっており、本流も、その中に流れ込んでいる支川も、かなり土砂がたまってきた。それに
よって内水がはけないということがいま起こっている。
大橋和歌山市長: 昨年の台風12号の発生直後に、被害の出た近隣の市に消防団を応援に
出したら必要ないと断られた。被災市町村側に応援要請に踏み切ることに逡巡があるのではな
いか。応援を受ける側も申し入れる側もルール作りが必要だと思う。
田岡新宮市長: 初めての大災害、大水害の中で、災害対策本部をはじめパニック状態にな
った。要請の電話を誰が受けたのか曖昧だった。災害対策本部へ情報が集まるシステム、体制6が必要だ。
望月伊豆の国市長: 市内を流れる狩野川は落差がなく災害を起こしてきた。静岡県と伊豆
の国市、函南町で狩野川の中流域の豪雨の災害対策アクションプランを策定した。市としては
貯水池を造る事業を進めている。韮山城の城池を災害時に活用している。情報伝達では、コミ
ュニティーのFM放送局の開設をやっている。デジタル無線の公民館や公共施設への配備も始
めている。
橋田西都市長: 平成17年の台風14号で大変な被害を受けた。市を流れる河川は2級河
川で、本川の整備をしないと破堤や越水の被害が出る。1級河川に比べ2級河川はおろそかに
されている。1人暮らしの人や災害時要援護者は早めに避難させておくことが大事だ。
塩田いの町長: 衛星携帯電話を購入した。豪雨時には水防会議を開き、災害対策本部を素
早く設置し、台風の進路を知ることも大事だ。災害時要援護者を地震の時にどうするのかがい
まの課題である。
米満湧水町長: 平成17年と平成18年に大水害があった。水害時の情報はほとんど国土
交通省からもらっている。気象台のデータも合わせ、県境を越えて宮崎県との情報交換をして
いる。総合的な冠水の被害軽減対策はやっと半分くらいできたかと思うが、さらに内容を充実
させて、サミットで習ったことを実際に取組んでいきたい。防災無線が全戸にあり、情報をす
ぐ伝達できる。
松田編集委員: 主催の國定市長と久住市長よりコメントをいただき、関局長から国土交通
省としてのコメントをいただきたい。
國定三条市長: 三条市では、3・11で「釜石の奇跡」といわれる群馬大学の片田敏孝先
生と一緒になって住民アンケート調査を実施した。昨年の7.29水害では、三条市全域に避
難勧告を発令した。
8000を超える方々からご回答をいただきその分析の結果、
主観的な我々
の勝手な感覚だけではなくて、住民の皆さんが実際に避難情報を受けとめたときに何を思い、
どのように行動したのか、あるいは、行動に至らなかったとすれば、それは何がきっかけだっ
たのかということが、この水害のアンケート結果からも出てくると考えられる。これは全国の
住民の皆さんの共通な肌感覚でもなかろうかということで、参考に配付させていただいた。こ
うした、我々が一生懸命取り組んだ後、住民の皆さんが自助・共助の世界でどのような具体の
アクションを起こしていくのかということも、これから先の水害サミットのまた大きなテーマ
になっていくと思っている。
久住見附市長: 「天皇陛下のお誕生日に際し」ということで宮内庁のホームページにお言葉
が掲載された。今年の7月の新潟・福島、9月の和歌山の台風12号、こういうことで被災の
方々に対して本当に心が痛むというお話があり、最後に、
「ただ注目したいのは、7月に新潟県
を襲った豪雨災害では、7年前に同地域が受けた豪雨災害時の雨量よりさらに多くの降雨量が
あったにもかかわらず、前回に比べ犠牲者の数が少なかったことです。これは前回の災害を教
訓として、治水や住民の避難に対しさまざまな対策が講じられた結果であり、防災に力を注ぐ
ことがいかに命を守ることになるかを教えてくれます」というお言葉をいただいた。これはす
べて、今日来ていただいている皆さんのご協力を含めて、この水害サミットでいろいろな知恵
を出すことによってできた一つの証なのだろうと思う。
関水管理・国土保全局長: 災害時に重い責任を負う市町村長と国が一緒になって取り組ん
でいくことが原点だ。3点ほど話したい。一つはハード面の整備は、その進捗に応じた効果が
あることをしっかり受け止めたい。昨年の新潟・福島豪雨では阿武隈川を改修していたので被
害が大幅に軽減できた。全国の堤防の液状化対策を進めており、液状化対策をした堤防は東日7本大震災時に避難路として機能した。ソフト面では、ハザードマップは津波などに対する危険
度情報としても重要であり、住民の経験、知識を加えながら、より進化と深化を図らなければ
いけない。
今回の紀伊半島の水害・土砂災害では地元自治体と現地対策協議会で、情報共有し、対策を
協議した。これを一般化させていきたい。情報を連絡しあうリエゾン協定を市町村と結んでい
るので、職員を派遣し情報の共有化を進めたい。TEC-FORCEという広域的な支援部隊
も早く投入できる。
国土交通省が持っている専門性や、
技術、
経験をさらに生かしていきたい。
松田編集委員: 今日の会合を総括させていただくと、サミットも8回目になり、自治体が
作成した資料が充実してきた。それぞれの自治体の防災に対する、水害に対する認識が高まっ
てきた一つの証ではないかと考える。水害や3・11を経験し、ここの地域の海抜はどれくら
いだろうか、
この前の水害で水はどのくらいの高さまできたのか。
住民の関心は高まっている。
我々が提起した、人を動かすには具体的なイメージを抱かせる言葉が必要ということが、常識
化されている。
中貝豊岡市長: 出水期に入り、私たちは緊張の糸を緩めることなく、しっかりと体制を組
んで、住民の安全・安心を住民と一緒に守り抜いていく必要がある。東日本大震災があって、
その復興が進まない理由はいろいろあるが、市町村の行政機能がやられているためである。
今回で水害サミットも8回目になるが、次の課題については、自助・共助・公助と言ってき
たが、実は自助のところがほとんど手をつけられていない。自助のところの災害対応能力を高
めてもらうため、
豊岡では、
災害環境の第一人者の方に、
1回5分、
そして5回で1シリーズ、
月曜日から金曜日まで、
地元のコミュニティーFMと防災行政無線を使って80回ほど流した。
危機意識を植え付けていくことが大きな仕事だ。
III.おわりに
今年度の水害サミットは、
1部で
「水害への対応」
を2部で
「災害時の情報の伝達について」、「改めて考える自助・共助・公助の連携と体制について」
というテーマを掲げました。
これは、
もう一度原点に立ち返って、先ずは、ハードについて考えるということから始めました。その
中で、ハードは、やはりやっただけの効果があるということを認識した中で、ソフトの対策を
実施していくこと、そして、災害対策本部へ情報が集まるシステム、体制の構築の必要性や行
政の取り組みの後、それを住民の皆様からどのように具体的にアクションを起こしていただく
かが、今後の課題として上げられました。
また、オブザーバーとして参加された関水管理・国土保全局長以下、国土交通省の皆様から
も貴重なご意見をいただき、一緒になって取り組むということで、非常に意義深いものであり
ました。
第8回目の水害サミットを振り返り、その実施に当たって様々なお力添えをいただいた国土
交通省及び毎日新聞社の関係者の皆様方に対して、
改めて深甚なる感謝の意を表するものです。8