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2016年10月7日 第3回新たな社会的養育の在り方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

しろまる日時

平成28年10月7日(金)13:00〜16:00


しろまる場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール3A


しろまる出席者

構成員

奥山座長 松本座長代理 相澤構成員 井上構成員
加賀美構成員 上鹿渡構成員 塩田構成員 伊達構成員
西澤構成員 林構成員 藤林構成員 山縣構成員

事務局

吉田雇用均等・児童家庭局長 山本内閣官房内閣審議官 川又総務課長
川鍋家庭福祉課長 竹内虐待防止対策推進室長

しろまる議題

(1)各検討会・ワーキンググループの開催状況の報告及び
法改正後の進捗状況の確認
(2)論点の中の社会的養護に関する議論
1)「家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう」に関する定義とそのあり方
2)「できる限り良好な家庭的環境」の定義とそれを利用する場合の条件
3)里親支援事業体制の在り方
4)子どもの立場にたった継続性を重視したソーシャルワークのあり方
(3)関係団体等からのヒアリング
1)前半
・全国保育協議会
・大阪市
・公益社団法人 家庭養護促進協会
・全国自立援助ホーム協議会
2)後半
・「非行」と向き合う親たちの会(あめあがりの会)
・CVV(Children’s Views and Voices)
・特定非営利活動法人 IFCA(International Foster Care Alliance)
(4)その他

しろまる議事

しろまる事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから第3回「新たな社会的養育の在り方に関する検討会」を開催いたします。

構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、構成員の皆様、全員御出席いただいております。

15時半過ぎぐらいに山縣構成員が御退席をされると伺っております。

まず、資料の確認をさせていただきます。配付資料といたしましては、右上に番号を付しておりますけれども、資料1が各検討会・ワーキンググループの開催状況で横長のもの。

資料2が法改正後の進捗状況の横長のもの。

資料3が議論のポイントの縦長のもの。

資料4が議事(2)に関連する資料ということで、事務局で作成した資料です。

資料5が藤林先生から御提出いただいた資料です。

資料6が今回ヒアリングに来ていただいた団体の方から御提出いただいた資料です。

それに加えまして、机上配付の資料といたしまして、1つ目が事前質問事項ということで法改正後の進捗状況に関連しまして構成員の先生方からいただいた御質問の紙でございます。

2つ目は、事務局で作成した資料でございます。地域小規模児童養護施設と小規模グループケアの本園型と分園型について簡単に図で描いたものと、ファミリーホームの自営型と法人型について図で描いたものでございます。

3つ目が、全国自立援助ホーム協議会から御提出いただいた実態調査報告書の冊子、4つ目が、「非行」と向き合う親たちの会の会報を御提出いただきました。

5つ目が、一番下に、右上に「取扱注意、会議後回収」と書いている資料がございます。これにつきましては家庭養護促進協会の岩崎先生から御提出いただいた資料です。これについては会議後に事務局で回収をさせていただきますので、会議後これは机の上に置いて帰っていただきたいという資料でございます。

資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。

それでは、これより先の議事は、奥山座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

では、さっそく議事に入りたいと思います。

議事次第がございますので、この1番から4番までの順番で進めていきたいと思います。なお、今回は、議論に当たりまして、小規模な単位で、あるいは家庭的な単位での養育が必要ということで、これまで、厚生労働省がいろいろな通知を出して誘導してきておりますので、その通知がどんなものであったのか、そして、誘導した結果がどんな形になっているのかということに関して、事務局に非常に重要な、そして丁寧な資料をおつくりいただいております。この資料をつくっていただいたことに、大変感謝したいと思います。

この資料をよく読むと非常に多くの分析が出てくるのだと思うのですけれども、これを全部通読する時間が足りないと思いますので、今後、二、三回にわたってこれをベースにしてまた議論を進めていかれればと思っております。是非皆さん、お帰りになって、よくお読みいただいて、分析をしていただければと思います。

ということで、まず1つ目の議題からいきたいと思います。各検討会・ワーキンググループの開催状況及びその御報告について、よろしくお願いいたします。

しろまる事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

事務局でございます。

資料1をごらんください。「各検討会・ワーキンググループの開催状況等について」という資料でございます。

左から2番目の枠をごらんいただきますと、児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会でございます。直近は9月26日に第3回を開催しておりまして、議論が進むように、この後ろに参考ということで9月26日の検討会に出された資料1と、15ページからが資料2-1ということでおつけしております。

司法関与につきましては、この資料1にございますように、個別の論点について、例えば右下のページ数で6ページ目を見ていただきますと、下の方に「目指す方向性(案)」ということで、個別の論点につきまして事務局から提示をして、構成員による議論を行ったということでございます。特別養子縁組制度につきましても、同じように個別の論点について、こちらの方は「今後の対応方針(案)」ということで事務局から御提示しまして、構成員による議論を行ったという状況でございます。

また、特別養子縁組につきましては、検討を行うために必要な情報を収集するということで、全国の児童相談所と民間の養子縁組あっせん団体に対します調査を行うということにしておりまして、第3回の際に調査の事項のたたき台をお示しして、次回までに先生方から御意見をいただいて、第4回のときに議論をするということにしております。第4回は1014日に開催予定でございます。現在実施しております司法関与に関する児童相談所に対する調査の結果を御提示して、引き続き、構成員の皆様によります議論を行っていく予定にしております。特別養子縁組につきましては、先ほど申し上げましたように、構成員の先生の意見を踏まえて、調査票の案をお示しして、それについて御議論いただく予定にしております。

続きまして、その右隣の子ども家庭福祉人材の専門性確保ワーキンググループでございます。こちらにつきましては、本日の午前中に第3回を開催いたしております。開催に先立ちまして、具体的な研修の中身を詰めるということで、このワーキンググループとは別に非公開の会合を2回実施しております。午前中の第3回では、ここにありますように、児童福祉司任用前講習会と、児童福祉司任用後研修についての到達目標案の確認と研修カリキュラムについての御議論をいただいております。また、児童福祉司スーパーバイザーの研修の到達目標案の確認と、あまり時間がありませんでしたけれども、要対協調整機関専門職任用後研修の到達目標などにつきまして、御議論をいただいたということでございます。

第4回につきましては、11月下旬に開催予定ということにしておりまして、その間にまた非公開のワーキングも重ねていくということで、第4回の際には研修カリキュラム等の素案をお示しして、議論をいただく予定としております。

続きまして、一番右でございます市区町村の支援業務のあり方に関する検討ワーキンググループでございます。こちらにつきましては、直近9月16日に第2回を開催しております。その際に今後の進め方、論点の整理案、市区町村支援拠点の運営に関する検討事項(案)をお示しして、御議論いただきました。第3回につきましては、1021日に開催予定でございまして、その際に市区町村支援拠点の運営指針のたたき台をお示しして、議論をいただく予定にしております。


しろまる奥山座長

では、どなたかワーキングのこの進め方等に関して御質問ございますでしょうか。

私の方から1つ、専門委員会の委員であったという立場で質問させていただきます。一時保護の司法関与ということに関しましては、一時保護が子どもの権利の問題にかかわるということで、その判定に関して司法がかかわったほうが良いということの御意見が多かったと思うのですけれども、これを見させていただいて、気になる点があります。実は議事録も見させていただいたのですけれども、私の見方がよくわからないのかよくわからないのですが、なぜかこの「(一時保護後)2カ月」というのが突然登場しているのですね。私達としては、一時保護の成否、よいかどうかに関して司法に関与してもらうべきだと考えていたのが、2カ月というと延長に関してよいかどうかの判断みたいなことになりかねないのではないかということで、ちょっと危惧するのです。しかも、その御意見がどこから出てきたのかが、議事録の私の見方が悪いのかもしれませんけれども、見ていてもよくわからないのです。

先程、事務局としての提案であるとのご説明がありました。私は、最初にこの資料をいただいたとき、青い矢印がついているので、皆様の議論の結果、出てきた目指す方向性案なのかと思ったら、事務局からの目指す方向性案だということで、その辺だとすると、なぜそうなっているのかがちょっとわからないものですから、そこについて御説明いただければと思うのですが、いかがでしょうか。

しろまる竹内虐待防止対策推進室長

虐待室の竹内でございます。

今、奥山座長から御質問いただいた一時保護についてのお尋ねでございますけれども、今日お配りしている、今、御紹介のあった資料1の右下の5ページということになります。くれぐれも誤解のないようにまず申し上げておかないといけないのは、まだ児童相談所への調査の結果、要は一時保護が果たしてどんな期間、実態として行われているのかといったようなことについても調査をしてございます。次回までにその調査結果を踏まえて検討ということでございますので、今の時点で2カ月という期間を決めて、それを超えるもの、それより短いものといったようなものについて、何か結論を得ているという状況では決してありません。今回、事務局として方向性としてお示しした2カ月ということについては、今、申し上げた右下のページ番号で5ページの一番上のところにありますけれども、一時保護については、2カ月を超えるケースはそれほど多くない。そうであれば、2カ月を超えるケースに司法関与を導入しても、現在の裁判所の体制でも対応可能ではないかということで、これはむしろ、恐らく現在の体制なども考慮した上で、2カ月というところが一つ考えられるのではなかろうかということで構成員の先生から御意見いただいたことを踏まえてお出ししたものでございますので、2カ月の期間の問題も含めて、司法関与の検討会で御議論いただければと考えております。これはたしか山田構成員の方からも当日、司法関与の検討会でも、要は2カ月というものをあらかじめ決めたような形で議論されることについてはいかがかというような御指摘もあったところだと理解しております。

しろまる奥山座長

だとすると、2カ月という意味が1つと、2カ月以外のところがもう少し書き込まれていてもいいのかなと思います。この方向性案の中に、3日間、1週間、2カ月まであって、どこにするかを検討するぐらいの方がいいのではないかと思うのですが、なぜ2カ月が最初にぼんと出てくるのかというのは、子どもの権利ということで考えてきた我々としては、気になったので御質問させていただきました。

以上です。

よろしいでしょうか。何か構成員である藤林先生からありますか。よろしいですか。

他にどなたか御意見ございますでしょうか。よろしいですか。

では、先に進ませていただきます。また何か気がついたことがあったら、御連絡をいただければと思います。

引き続きまして、進捗状況について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

しろまる事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

事務局でございます。

資料2をご覧ください。今回、平成2810月1日現在の状況ということで資料をまとめさせていただいております。右側の進捗状況の欄の赤字で示していますところが、前回から修正をした点でございます。これにつきまして、追記できるものについて、できるだけ追記をしてございます。

駆け足で御説明いたしますと、1ページ目でございますが、「1.理念」の1)の理念の啓発状況のところを赤字で直しております。前回、公布通知による周知ということを記載しておりましたけれども、今後、機会を捉えて周知していくということを追記しております。

理念の2)の家庭支援のあり方のところでございます。これに関しまして、先生方からの事前の御質問の中に、運営指針の改定のやり方について御質問いただいております。これにつきまして、運営指針の改定を2回に分けて行う予定ということで、1回目は、先般、情報提供をさせていただいていると思いますが、条文の修正など機械的な改定について9月末までに通知を改正して、発出をしております。2回目につきましては、来年4月の全面施行に向けまして、検討会での御議論の経過ですとか有識者の方の御意見も踏まえまして、見直しの作業を行うということにしております。

3番の2)のアセスメントツールのところでございます。アセスメントツールにつきましては、併行して開催しております子ども家庭福祉人材の専門性確保ワーキンググループと市区町村の支援業務のあり方に関する検討ワーキンググループでも御意見をいただきながら、12月までに都道府県等に対し提示をしまして、29年1月以降、各自治体においてアセスメントツールをもとに地域の実情に応じた役割分担を検討していただく予定ということにしてございます。

4の1)の自立援助ホームにつきましては、質の向上という部分が前回少し書けていませんでしたので、平成29年度の概算要求を書いております。

2ページ目でございます。一番上が4の2)でございます。社会的養護自立支援事業につきまして、29年度の概算要求の内容でございますけれども、この事業につきましては、概算要求におきまして、22歳の年度末まで引き続き必要な支援を受けることができるように、継続支援計画の作成を行う支援コーディネーターを配置しまして、居住支援、生活費支援、社会的に自立するために必要な生活相談ですとか就労相談などを行うということを内容としてございまして、事業の詳細につきましては、予算編成過程で検討していくこととしています。

前回、これは契約でやるのですかということで御質問いただいておりまして、これについては実施主体と対象者、お子さんとの契約ということを想定してございます。あと、病気などで休学ですとか留年とかやむを得ない事由によりまして、22歳の年度末を超えて支援を必要とする場合等についても柔軟に対応すべきではないかという御質問、御意見をいただいてございます。これにつきましては、そういう特別な場合については例外的に卒業まで支援を継続するというような柔軟な対応を検討したいと思っております。

2ページ目、5の(1)の1)の市区町村の拠点機能の部分でございますが、市区町村への財政支援について御質問いただいておりました。これにつきましては、28年度の第2次補正予算案におきまして、既存の施設の修繕等に要します費用を補正予算案に計上しております。それと、平成29年度の概算要求に人件費等を含めました運営に要する費用を予算として盛り込んでおりまして、ハード面及びソフト面、両面からの支援を行うということにしております。

また、平成29年度の地方財政措置におきまして、常勤の市町村職員の増員要望を行う予定でございます。

あと、母子保健における虐待予防ということで、ちょっとこれは個別の話になりますけれども、5の(2)の1)でございます。御質問いただいておりましたのは、乳幼児健診におきまして、「強く揺さぶっていませんか」ということなど、虐待対策関連の問診項目を追加したことにつきましての御質問でございました。これにつきましては、「健やか親子21の最終評価等に関する検討会」における検討結果を踏まえて、問診項目の追加というのをしております。この追加につきましては、平成28年4月から適用されたところでございますので、まずは実施状況等を注視していく必要があると考えております。

3ページの5の(4)の2)産前産後ホームでございます。これにつきましても、概算要求において、モデル事業ということで予算要求をしているという状況でございます。事前の御質問の中で、これは母子生活支援施設とか産科医療機関に機能を追加するということなのか、ホームを新設するということなのかという御質問がございました。これについては、あくまでモデル事業ということで平成29年度以降実施しまして、その成果を踏まえて、そういった機能の追加ですとか、ホームを新設することなども含めまして、どういう方法が最も適切かということを検討する予定におります。

次が、5の(5)の通所・在宅措置のところでございます。運営指針の改正の内容を反映しましたということを赤字で書いております。これにつきまして、児童相談所の業務を都道府県が市町村に委託する場合に何か費用が出るのかという御質問がありました。あくまで児童相談所の業務を市区町村に委託する仕組みということでございますので、国からの委託費という形での財政支援は予定してございませんけれども、都道府県から適切に市区町村に委託費という形で必要な費用が支払われるように、会議等の場で働きかけをしてまいりたいと考えております。

4ページでございます。他のページにも関連する部分でございますけれども、5の(7)の下の方、児童相談所の機能分化の一時保護に関する部分でございます。これにつきまして、一時保護里親制度をつくるべきではないかという御質問、御意見をいただいております。これにつきましては、どのような場合に一時保護里親の制度を活用できるのかということを考えるに当たりまして、今年度から施設の一時保護委託専用スペースでの一時保護ができる仕組みにしておりますので、そちらの実施状況も踏まえまして、今後検討してまいりたいと考えております。

5ページ目は、赤字で検討会の状況を追記しております。

6ページ目でございます。里親に関することをいくつか御質問、御意見いただいてございます。6ページ目の7の(1)の1)は、29年度の概算要求の内容を少し追記させていただいております。概算要求に盛り込んでおります里親支援事業でございますが、これは里親の開拓、児童と里親とのマッチング、委託児童の自立支援計画の策定、里親等への訪問支援を一貫した事業ということで里親支援の内容を事業に組み込んでおります。これについて委託は想定しているのかという御質問もいただいておりまして、全部または一部を自治体が適当と認める団体に委託できるということも想定しております。御質問の中に児童養護施設等、施設を運営するような社会福祉法人も入るのかというような御質問がございましたが、そういうのも含まれるようにしたいと考えております。

この里親支援事業につきまして、今、施設に配置されております里親支援専門相談員との効果的な連携ということが重要だと考えておりますので、その活用方策につきまして、里親支援事業によります里親支援の拡充とあわせて、予算編成の中で検討してまいりたいと考えております。

7の(1)の4)のところは、先ほど言いました一時保護委託をする里親の制度について追記をしております。適当と考えられるケースや条件整備などについて、今後検討してまいりたいということでございます。

7の(3)の1)につきましては、前回少し書けてございませんでしたので、児童相談所あるいは民間のあっせん機関の実態の把握につきまして、平成2627年度に、林先生にやっていただいておりました厚生労働科学研究の成果などもございますので、そういったものを踏まえつつ、運営指針の改定等を行ってまいりたいと考えております。

7ページの8の3)は、特に書きかえている内容ではございませんけれども、CDRに関する調査研究によるモデル的取組を実施するということで書いております。これにつきましては、御質問をいただいていた部分ですけれども、CDRに関する調査研究によるモデル的取組につきまして、医療機関からの情報収集の在り方ですとか、全国展開可能な方策について検討しまして、子どもの予防可能な死亡の実態を明らかにするということを考えております。

御質問の中に、警察情報を含めた実態を把握できるようにすべきではないかということがございました。これにつきまして、まずはモデル的な取組を実施いたしまして、その結果を踏まえて、また別途、他省庁の関係もございますので、警察情報も含めた実態を明らかにするような情報の内容ですとか収集方法を検討してまいりたいと考えております。

9の1)のところは、他との並びで少し文言を変えただけで、内容の変更はございません。

9の2)の親子再構築支援につきまして、これまでの取り組みについても少し追記をさせていただいております。

駆け足で申しわけありません。私の説明は以上でございます。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

どなたか御質問ございませんでしょうか。

加賀美構成員。

しろまる加賀美構成員

加賀美でございます。

質問の中身について、すぐ回答をいただけるかどうかわからないと思いつつ、質問させていただきます。

基礎自治体の支援拠点の、特に市区町村の財政の問題等々を考えるということは極めて重要なところになるだろう。そういう観点からいうと、当然、個別のここにある補助金体制以外に、国として地方交付税等々の問題を考えているのであろうかどうかということ。

もう一点、次の(5)の通所・在宅措置のところで、これはそもそもかつての専門委員会からの議論で、保護し切れない90%以上の子ども達の在宅措置、通所措置というような構造をどうつくるかという話があったと思うのです。ここで挙げられているのは、児童相談所の指導委託という形でそれを行うというレベルの話になっているのですが、実際問題として、その費用問題として考えても、費用をつけるとしても、児童相談所の指導委託費レベルでそれが可能だとは当然思えないので、この点を今後どうするのかということを私はとても心配しているということでございます。

以上でございます。

しろまる奥山座長

いかがでしょうか。事務局の方、何か回答できますでしょうか。

しろまる竹内虐待防止対策推進室長

2つ御質問をいただきました。

まず、前段の方ですけれども、支援拠点について補助金の仕組みを今回、概算要求の中で考えているということですが、これに加えて交付税措置についても想定されているかという御質問でございます。この点については、市町村の職員、体制の強化ということについて、いわゆる常勤職員については交付税の措置で賄うということになりますので、この補助金に加えまして、総務省に対しては交付税措置の要望もしていきたいと考えております。

もう一点、通所・在宅措置についての財政的な問題ですけれども、今回、この通所・在宅措置については、児童相談所のまさに指導措置を市町村の方にも委託ができるという仕組みを法律の中で入れたわけでございますが、指導にかかわる部分については児童相談所からの委託を受けて行うということになりますので、その点については先ほど申し上げたかと思いますけれども、委託費のような形で県の方から市町村の方に支払われるようなことが考えられないだろうかということで呼びかけをしていきたいと考えておりますが、具体のサービスの部分については、例えば子育てサービスを活用するとか、さまざまあろうかと思いますけれども、その点については、現在も財政負担はそれぞれ国、都道府県、市町村それぞれについての負担がもう既に入ってございますので、既存のそうしたサービスについては、当然そうしたサービスのルールにのっとったというか、財政負担に応じた負担をしていくことになろうかと思っております。

しろまる奥山座長

藤林構成員。

しろまる藤林構成員

3ページの(6)中核市の設置に向けた支援の状況ということで、聞き漏らしたかもしれませんけれども、現在、中核市さんで児相を設置する予定のあるところを把握していらっしゃるのかどうか。

それから、これは前回も聞きましたけれども、そういう中核市で設置していくことに対して支援するための研究グループとか、そういうものがあればお教えいただきたいと思います。

しろまる奥山座長

いかがでしょうか。

しろまる竹内虐待防止対策推進室長

今回、特別区は新たに児相が設置できるようになったわけでございますけれども、中核市はもともと一般市も含めまして、手挙げ方式で要望すればできるという仕組みになっておりました。今回、法改正を踏まえた上で動きがあるかということについては、私ども、具体的に承知しているところでは、今、施行時特例市でいらっしゃいますけれども、兵庫県明石市さんが今度、中核市に移行されるということで、その中核市移行の1年後だったと思いますけれども、児童相談所を設置するということで既に対外的にも公表されているかと思っております。

特別区の方は、今それぞれ東京都も各区の方で児童相談所設置に向けて、一部慎重な特別区もあるようでございますけれども、協議を進められていると認識してございます。

それから、具体的な中核市・特別区に設置する児童相談所のあり方について、何か特別に調査研究事業をやっているのかということについては、特に行っておりませんけれども、今回新たに中核市・特別区に児童相談所を設置していただくに当たっての設置促進に向けたマニュアルの作成といったものを考えてございまして、今年度、調査研究の中で実施をする予定にしてございます。

しろまる奥山座長

もう今年度、調査研究をされているということですか。

しろまる竹内虐待防止対策推進室長

はい。今、まさに2次公募をかけているところでございまして、例えば中核市で申し上げれば金沢市、それから横須賀市が既に先行して設置をされてございますけれども、まず、事務的にも設置をするに当たっては、準備室をつくられたり、県の方へ職員を研修に出したりと、いろいろな準備が必要になろうかと思いますので、新たにつくろうと思ったときの最低限こういうことはやっていかないといけないのだなということがイメージできるようなマニュアルみたいなものがあることが、設置促進に向けた一助になるのではなかろうかということで、そうしたマニュアルをつくることを今、考えてございます。

しろまる奥山座長

藤林構成員。

しろまる藤林構成員

そのマニュアルは、厚労省の内部でつくられるということなのですか。それとも、何か有識者を集めた研究班か何かをつくられて、そこでつくっていくということなのでしょうか。

しろまる竹内虐待防止対策推進室長

厚生労働省が直接ということではなくて、調査研究で実施をしようと思っておりまして、そうした業務を担っていただける団体さんを今、公募してございます。まだ具体的にどちらの団体にやっていただくかというところまでは決まっておりませんけれども、そうしたところで恐らく先行事例のヒアリングなどをしながら、そうしたマニュアルをつくっていただけると思っております。

しろまる奥山座長

いつごろまでにそのマニュアルをつくるというイメージでいらっしゃるのでしょうか。

しろまる竹内虐待防止対策推進室長

一応今年度の調査研究でございますので、今年度中には。

しろまる奥山座長

今年度、これから。相当大変ですね。

しろまる竹内虐待防止対策推進室長

これからヒアリングをし、必要な設置に向けたマニュアルをつくっていただくということになります。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

先ほど加賀美先生の方にお返ししなかったのですけれども、加賀美先生の方はよろしゅうございますでしょうか。

しろまる加賀美構成員

現実的に考えて、指導委託というようなレベルで、多分、在宅措置のボリュームのことを考えると、今の地方の財政、ましてや児童相談所の費用負担というレベルのところで到底賄える話ではなくなるだろうと予測をしているのですが、そういう点について、従来の指導委託ということを行っていた、実施した数で予算見積もりみたいなことだと到底間に合う話ではないということは当然うかがえるわけですから、もうちょっと大きな予算措置をしていかざるを得ないであろうと。というのは、例えば在宅措置の中に養育の指導プラス家事援助といったような具体的なサービスも想定しなければならないので、今、行われているメニュー事業を並べても、とてもそんな具合にはいかないだろうと思うし、かなり思い切った予算措置が必要になるだろうということを考えておりますので、多分、そういう意味では、今のお答えの範囲でできるかなというのはちょっと疑問があると思います。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

これから先も、この会議でも前回皆さんとの御議論の中で、子どもを中心に、子どもがどういう形で養育されていくのか、社会的な養育を考えようということですから、当然在宅から施設あるいは里親さんへの今の狭義の意味の社会的養護、そして、自立というところまで縦横に全体広く、子どもの立ち位置というところでつないで考えていかなければならないと思っております。例えば在宅で養育が難しければ、次はどこへ行くのかというようなことも含めて縦横で考えるということです。恐らく今、先生がおっしゃったような家事援助とかそういうところをどういう形でしていかなければいけないのかというところが抜けてきている可能性はあると思います。ですから、要保護・要支援の状況によった家事援助がどのぐらい必要で、どういうところからお金を回してくるのかということを考えていかなければならないことは確かだろうと思います。そういうことを含めて、今後もこの検討会で議論をしていけたらと思います。

ほかに御意見、御質問はございませんか。

しろまる山縣構成員

山縣です。

細かい話で申しわけないのですけれども、聞き間違えたのかもしれませんが、2ページの4の新たな事業の社会的養護自立支援事業(仮称)ですけれども、これは子どもとの契約制度と言われたように聞いたのですが、間違いないですか。これは20歳未満も子どもとの契約制度を想定しておられますか。20歳以上は簡単に理解できるのですけれども、20歳未満の部分の契約制度導入をもしできたら、ほかの部分もかなり保護者に振り回されない、子ども自身の意向を尊重した対応が可能になりそうな気がして、その突破口になるのかどうかでちょっと聞いてみたのです。

しろまる川鍋家庭福祉課長

まず、この事業は利用契約という形で考えていまして、今おっしゃった部分については、どういう形にするかを今、詰めております。というのは、対象になる子どもというのはいろいろなケースがあると思っていまして、例えば進学したり、就職したり、あるいは途中で中退してしまった場合もあります。それから、進学も就職もしていない子どももおります。そういう形で考えたときに、この事業をどういう形にしたらスムーズにいくかということについて現場の方の意見もお聞きしている中で詰めているところです。基本的には利用契約で考えたいと思っておりますけれども、何か問題があるのかどうかということを確認しながら今進めているところです。

しろまる山縣構成員

ありがとうございます。

20歳未満の契約制度ができたら、少し世の中変わるかなと思いながら、今、聞いていました。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

他にいかがでしょうか。

西澤構成員。

しろまる西澤構成員

この進捗状況を伺っていて、児童相談所の機能分化で一時保護所に関する記述があって、ただ、ちょっと教えてほしいのですが、一時保護所には運営指針はあるのですか。児童相談所の運営指針の中に、一時保護所に関する部分というのは入っているのですか。すみません、不勉強なのですが。

しろまる事務局(百瀬総務課課長補佐)

児童相談所運営指針の中に、一時保護のことについても含まれております。

しろまる西澤構成員

今度の児福法の改正で、一時保護所の機能として安全確保とアセスメントという2点が明記されたのですね。それを反映する形での修正は行われたのですか。

しろまる事務局(百瀬総務課課長補佐)

今般の10月発出の改正の中では、一時保護の明確化といったいわゆる法律条項に関しまして、それを機械的に盛り込んでおります。また、一方で、一時保護の具体的な保護の仕方といったものに関しましては、今後、「子ども虐待対応の手引き」とかがいわゆる運用面のところになりますので、そうしたところで検討していきたいと思っております。

しろまる西澤構成員

なるほど。何でそんな質問をしたかというと、最近、某児童相談所の一時保護所において、一時保護所の職員が3歳の子どもに布団の上げおろしをさせているということを知ったためです。それは理由を尋ねると、家庭とか施設よりも居心地が悪くないと子ども達が一時保護所から出ていきたがらないのだとのことでした。そういう実態を受けたときに、ケアの基準といいますか、そういったものを明確に提示するべきではないかと考えました。今回、アセスメントと子どもの安全・安心の確保ということを一時保護所の機能として特記したわけですから、それにつながるようなケア基準というものをどこかで示す必要があるのではないかと思いました。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

それに関しまして、私の方からの事前の質問で、児相に関してですが、「ローカルルールが多過ぎて、全体として統一がとれていないのではないか?」ということを御質問させていただいております。そういうことが沢山あるのだろうと思うのですけれども、そういうことをなくすためのシステム。以前の委員会では、英国のオフステッドのようなシステムも必要ではないかという意見もございましたけれども、子どもの権利を守るという点から、どういう形でその均てん化をきちんとやっていくのかが重要と考えます。均てん化は国の役割ですので、その点に関しても、この検討会でも議論しなければならないでしょうし、事務局の方でも是非お考えいただければと思います。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

では、まず本質的な議題ということで、以前に論点について整理をさせていただきました。その中で、先ほどの運営指針の改定などいろいろなことを考え、また、前回の全養協の方からも早く決めてほしいという形で、「家庭」、「家庭的」養護といったところをどうするのかというお話がございましたので、今回、「家庭における養育環境と同様の養育環境」とはどのような環境なのか、そして、「できる限り良好な家庭的環境」とはどういうものなのか。つまり、改正児童福祉法の第三条の二、に書かれている内容をきちんと定義し、分類をもう一度考え直すというところを先に行い、それから、里親支援事業体制のあり方、あるいは子どもの立場に立った継続性を重視したソーシャルワークのあり方というところを11月までにできれば御議論いただいて、大体の方向性を示していくことができればと考えております。

まず、1番と2番のことは非常にかかわりがございますので、「家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう」と書かれておりますが、それをどう考えるのか。そして、それがだめなときには「できる限り良好な家庭的環境」となされているのですけれども、それはどのようなものを指すのかというところを議論していきたいと思います。

それに関しまして、藤林構成員から資料を提出していただいておりますので、藤林構成員の方からお願いいたします。

しろまる藤林構成員

では、資料5をごらんいただきたいと思います。前々から、家庭養護とか家庭的養護という言葉がどこを指すのかということについて、ずっと問題意識を持っておりましたから、今回この機会にまとめてきました。

ただ、私の勝手な考えだけでたたき台をつくってもよくないと思いましたので、やはり考える際の物差しになるのは国連ガイドラインではないかと思いますので、このガイドラインの定義に沿って、皆さん、御議論いただければと思います。

この定義に関係するところはガイドラインの2923なのですけれども、29のところには代替的養護の類型が5つあります。特に今回の定義に関係するところは、(3)と(4)に書いてあります「Other forms of family-based or family-like care placements」、この概念をどう考えるのかというところに関係してくると思います。

もう一つ、23のところも非常に重要なことが書かれておりまして、これはガイドラインですけれども、今後、各国の社会的養育、代替的養育をどういう方向に進めていくのかという方向性が示されているわけですが、基本としては施設養護、residential careFamily-based careは相互に補完しつつ満たしていくということであるけれども、大規模な施設養護、large residential care facilities(institutions)と書いていますが、このような施設は進歩的な廃止を視野に入れた全体的な脱施設化方針ということが国連のガイドラインとして出されているわけです。

では、その大規模なinstitutionsを廃止していった後に残るのは、個別的な少人数での養育、individualized and small-group careなど、「児童に役立つ養護の質」を策定すべきであるとなっています。

ですから、今後の施設養護について、下から2行目に書いてありますように、residential careの新設または新設の許可に関する決定は、この脱施設化の目的及び方針を考慮すべきであるというのが国連のガイドラインの書き方です。

2ページを開いていただきますと、ガイドラインを読んでいても、このfamily-based careFamily-like careは一体何を指しているのかがなかなかわからなかったのですけれども、Moving Forwardという、これはスコットランドの団体がつくり、ここにはユニセフとかSOSキンダードルフなどが一緒につくった、ガイドラインの解釈の文書があるのです。これをざっと見てみますと、Other family-based careというのは、正式な里親養育ではないけれども、家庭で子どもを迎えてという形なので、やはり家族、家庭がベースになっているケアということがわかるのですけれども、Family-like careは、基本的にはresidential care、施設ケアなのだと。下から2行目に書いていますように、1人か複数の親がわりの大人が養育者となるが、その養育者自身の住む家で養育されるわけではないということですから、親がわりの職員はいるけれども、そこに住んでいるわけではない。やはりそこのホームに通ってくるというのがFamily-like careというふうに解釈されています。

このガイドラインの定義を日本の里親・ファミリーホーム、各種施設類型に当てはめていきますと、このaからiまで、これ以外にもいろいろなタイプはあるかもしれませんが、どれに当てはめていくのかと考えると、当然、養育里親さんと里親さんがされているファミリーホーム、これはFoster careでいいかと思うのですが、ファミリーホームの中には、よく聞くのは、職員が通ってくるファミリーホームもあるのだと、こういうタイプのファミリーホーム、これはガイドライン的にはFamily-like careになるのではないかということで、通いのファミリーホームはやはり施設ケアの一類型であり、里親委託率には含まれないのではないかということで、ここは「家庭における養育環境と同様の養育環境」ではなくて、「家庭的環境」の中に含むべきではないかというのが私の意見です。

次は、3ページの3、4に書いておりますけれども、もう一つの問題は、どこまでが国連ガイドラインとして規定しているresidential careなのか、または指針23におけるinstitutionsに当てはまるのはどの部分なのか。特にinstitutionsに当てはまるものは、国連ガイドラインとしては今後廃止していこうとなっているわけなので、ここの線引きは非常に重要になっていくのかと思うのです。これを2ページに書いてあるから、どこから先がinstitutionsなのか、またはそんなに簡単に線が引けないものであれば、どのような形態のものがinstitutions、大規模施設として今後縮小していくということなのかというのを、是非この場で議論していただきたいと思います。

また、もうちょっと考えますと、この指針29におけるindividualized and small-group careというのと、多分、児童福祉法3条の2のできる限り良好な家庭的環境というのはイコールと考えていいのかなと思うのですけれども、そうした場合にどのタイプが当てはまるのかという、同じことになりますけれども、そこは議論していくべきではないかと思います。

これに関連して(5)に書いていますけれども、社会的養護の課題と将来像では、グループホームが3分の1で、本体施設3分の1で平成41年まで残すとなっていますけれども、この場合の本体施設は全て小規模グループケア化した本体施設となっています。現在はそうなっていない大舎制施設がたくさんあるわけなのですけれども、平成41年にでき上がっている全て小規模グループケア化した本体施設、これは「institutionsではない」のか、または「institutions」なのか。どういった場合にinstitutionsと呼ぶのか、呼ばないのか。また、そのような全て小規模グループケア化した本体施設は、改正児童福祉法における、「できる限り良好な家庭的環境」と呼べるのかどうか。ここも非常に重要なところではないかと思っています。

そこを是非議論していただきたいのですけれども、ここから先は私見になるのですが、机上に配付されてある第1回目の資料の中に平成28年7月時点の「新たな社会的養育のあり方に関する検討のための関係資料」というのがあるのです。小規模化の意義と課題というのが13ページに書いてありまして、これは一個一個、確かに小規模化の意義と課題なのですけれども、この5番目に「近所とのコミュニケーションのとり方を自然に学べる」というのが小規模化の意義と課題となっています。要するに、地域の中に分散している、点在しているということが、やはり小規模化としてとても意味があり、それが本来の「良好な家庭的環境」ではないかと私は思っております。そうすると、例えば100人規模の大舎制施設を、その同じ土地の中で6人、8人の小規模グループケアをつくったところで、それは「良好な家庭的環境」と言えるのだろうか。その中で「小規模化の意義と課題」にあるような近隣とのコミュニケーションのとり方を学ぶことができるのだろうか。大人になったときに、インフォーマルサポートをうまく活用していくというスキルが当然必要になってくるわけなのですけれども、本当に学ぶことができるのだろうか、ということを考えると、その視点で、この「将来像」における本体施設のあり方というのを是非考えていければと思っています。

以上、私の方から、用語の整理の意味で問題提起させていただきました。

しろまる奥山座長

ありがとうございます。

今、かなり明確に国連の指針と一緒にお話をいただきましたけれども、いかがでしょうか。

林構成員。

しろまる林構成員

林です。

以前、里親及びファミリーホーム養育指針の中で、家庭の要件というのが、総論部分のところに5つ提示されているかと思います。何を具体的に実行すれば家庭養護と言えるのかという5本柱だったと思います。一般家庭が多様化する中で、当たり前の生活ということをどう捉えて、どの範囲を当たり前として捉えて、何を具体化することが大事なのかということを非常に深く検討した覚えがあります。

先ほど藤林構成員からもありましたように、非常にファミリーホームのあり方が多様化している中で、その要件を踏まえて厚労省が通知に、「養育者の家庭に児童を迎え入れて養育を行う」という表現を使われたと思います。つまり、養育者と生活基盤を共有しているということが家庭養護の要件であろうということが、そこで合意がとれていたかと思います。5本柱というのは、是非ここで挙げていただいて、方向性を余り拡散化して時間をかけるよりは、それをたたき台にして具体的な要件というものを定めたらどうかと感じております。

以上です。

しろまる奥山座長

伊達構成員。

しろまる伊達構成員

大事な論点だと思っていますし、それは私達、施設にいても感じているところなのですけれども、実は今一番、日本の社会的養護が困っているところは、10万人の児童相談所から発表された虐待の対応件数ではないですけれども、その現実的に迫ってくるニーズからどのように我々は考えたらいいかということを毎日対応するのが里親さんであり、施設であり、そういう現場だと思うのです。

そのときに、3年前の大阪の里親の世界大会のときに主催者側から発表された基本的な考え方がすごく気になっているのですが、要するに、里親か施設かの議論も大事だと思いますけれども、その前に、いかにして社会的養護の必要性みたいなものをなくしていくかという必要性の原則。それからもう一つ、本当に代替養護が必要な子どもに対してどのような最大の適切な対応をしていくかという2つの原則があると思うのです。そのことが話されて、そのことをベースにしながら社会的養護の仕組み、あるいは社会的養育の仕組みをつくっていくということが基本的な物の捉え方として押さえられていないで、家庭的養護をめぐる位置づけみたいなものだけでやってしまうと、結局は総量の問題がいつも危うくなって、最終的なつけは、残念ながら、私は経験的に言うと、里親さんのところに行ってしまう。今のままだと里親さんを潰すような形になってしまうということを非常に恐れています。それをそうしないでやっていくためにどういうことができるのかということが、ここで議論されなければならないと考えております。

しろまる奥山座長

ありがとうございます。

伊達構成員がお話しくださったことはそのとおりだと思います。先ほどお話ししましたように、狭義の社会的養護というと、今おっしゃったような里親さんか施設かといった話になるわけですけれども、在宅措置という言葉が出てきたのは、在宅支援からある意味の社会的養護と考えて、支援を強制的にでも入れて、それがだめなときに一時的にどこかでお預かりする、あるいはそれがだめったら、パーマネンシーを考えてどうするのだという流れができていないというのが今までの大きな問題なのではないかと思います。そこをつくっていかなければいけないというのは、この検討会の最終目標だと思ういます。ただ、いろいろ物事が進んでいく中で、ここを先取りして決めておかないと、いろいろなことがうまく進まないよということが、ほかの付随するところで出てくる。

つまり、法の施行に合わせて、先ほどの指針の改定などが必要になりますので、まず言葉の整理をしておく必要があると考えています。特に3条の意味というのを明確にしておかないといけないのではないかと思います。伊達構成員のおっしゃったことは非常に重要なところだと思います。総量のことも確かにそうで、日本はほかの国の5分の1ですね。その総量が5分の1のままでいいのかというのを考えつつ、本来はきっと5倍要るはずなので、その5倍の子ども達を一体どうしていくのかということを考えていかなければいけない。そこも含めて、伊達構成員のおっしゃるとおりだと思うのですけれども、今日は3条の解釈というところで、まず御議論をいただこうかと思うのですが、よろしいでしょうか。

しろまる伊達構成員

基本的にその議論は必要だと思っています。その議論がだめだということを言うつもりはありません。

しろまる奥山座長

ありがとうございます。

非常に重要な点なので、必ずこの先で大きな図を描いて、大きく考えていかなければならない問題だと思っています。

ほかに御意見、いかがでしょうか。

加賀美構成員、お願いします。

しろまる加賀美構成員

今回の法改正は、まさに今、伊達構成員のおっしゃったとおりで、まず在宅の問題を中心にしてというところからスタートしていることなので、それは後ほどということにして、今回、課題と将来像の見直し云々という話もあるので、それにつながる話を今ここでしてしまうとまた話がごちゃごちゃしてしまうから、それは置いておいて、とりあえず、ただし、この家庭に近い、あるいは家庭的な環境といったところの基準になっている家庭の問題、言ってみれば家庭の定義づけみたいなものは大変難しいのですが、これも最終的には必要になってくるだろう。それをするかしないかということと、例えば藤林構成員からお話のあった、いわゆるユニット型の施設。私は、その中に、変な言い方をしますが、形骸的な小規模様態の施設がたくさんあるのは、前回の塩田構成員からの質問の中にもあったように、大きな食堂で一緒に食事をしている小規模グループケアみたいな話があったと思うのです。そのようなものもきちんと枠組みをつくって整理をしなければいけなくなるのだろうなと思っています。

そういう意味で、全てがそうかというと、必ずしもそうではなく、いわゆるそういう形で同じ敷地の中に小さいグループをいくつもつくってやっておられるところでも、それぞれのグループが切磋琢磨して、子どもに個別的な養育をどうできるかという努力をしているところもあるという観点も検討の中に入れなければいけなくなるのかもしれませんけれども、それを言うとまたもとに戻ってしまうので、そのときにもやはり家庭なるものの定義、つまり家庭の役割というのは、子どもの発達にとってどうなのかというようなところをしっかりと定義して議論していかなければいけなくなるだろうなと思っていますが、ここでは形態論といったところをまず整理をするということで言うと、先ほどからのファミリーホームの形の問題について御指摘のあったもの、あるいはユニット型の施設をinstitutionsとして位置づけるべきではないかという議論。これはきっちりと整理をしておかないと、今回の法改正の趣旨と多分矛盾していくところがたくさん出てくるので、そこは藤林構成員の発言について、私は一応肯定をしておきたいと思っています。

以上です。

しろまる奥山座長

ありがとうございます。

ほかに。

上鹿渡構成員、お願いします。

しろまる上鹿渡構成員

私も、藤林先生が示してくださった具体的な項目について、この場で一つずつ検討ができたらなと思います。特にこのファミリーホームの2つの形での違いというところは非常に重要かなと思います。今後、ファミリーホーム協議会からのヒアリングもあるので、具体的に聞いてみるということも必要だと思いますし、ファミリーホーム内でもここは意見が分かれるところかもしれませんが、国連の指針に沿うと実は家庭養護と家庭養護ではないものとは、ここで線引きできるというそのラインが、現在の日本では家庭養護と呼んでいる中に入っているかもしれないというのは、注意しなければならないことだと思います。

今、家庭養護委託率3分の1を目指していろいろな自治体で施設がその形態を変えていく中で、ファミリーホームをつくることで家庭養護になるという形をとろうとしているところもあると思います。この家庭養護とそうでないものを分けるラインの判断が変わると、その方向性も、今、立てている計画も変えなければならないということになり、これが家庭養護なのかということを早く示さないとその間にも現場ではそれぞれの考えに基づいて家庭養護への移行がどんどん進むということがあり得るかと思います。ですので、是非この場で、どこがラインになるのかということについて検討会として意見を示せたらいいのではないかと思います。

しろまる奥山座長

ありがとうございます。

事務局がおつくりいただいた資料4の12ページにファミリーホームを、一応、個人と法人別に分けていただいております。その分類だけが今わかるのです。ただ、法人の中に、先ほど藤林先生がおっしゃっていたように、家族がそこに住んで迎え入れているファミリーホームと、通いでやっているファミリーホームとがどうもあるらしいということになると、この数字だけでは判断がつかないのですけれども、一応、個人と法人でこのぐらいできてきているということは、御参考にしていただいてもいいのかなと思います。そんなに爆発的に増えているわけではないのですけれども、法人も少しずつ増えてきている県があるということになります。

先ほど一番先に申し上げましたように、厚生労働省でどのように誘導されて、そのアウトカムがどうなっているのかというのをお示しいただきたいということで、これだけ資料をおつくりいただいたのですけれども、この資料の後ろの方に、32ページの上からポチの2つ目に、1本体施設につき6カ所まで小規模グループケアが指定できるとかかれています。更に、3カ所を超えて指定できる場合には、施設の小規模化、地域の分散化を計画することが必要となっています。要するに、ファミリーホーム2カ所以上の開設を法人としてするか、また、ファミリーホームを開くことを支援しなさいと書いてあるのですね。そういう形で誘導されているのだと思うのですけれども、この中に、では法人としてやるのだったら、通いの中でファミリーホームをつくってしまいましょうという話が出てくる危険性があるというところも1つ押さえておかなければいけないところなのかと思うのです。

しろまる林構成員

ちょっと混乱があるかと思うのですけれども、ファミリーホームに通われている方というのはあくまでも補助人であって、主たる養育者が自分の家庭に迎え入れるというのは通知レベルで規定されています。この藤林構成員が書かれているファミリーホーム職員の生活基盤が外にあって通ってくる場合というのは、あくまでも補助人であって、養育者であった場合は、通知に基づいてそれをきちんと指導していくという方向性が明確化されていると思います。だから、職員という表現がちょっと誤解を招く。生活基盤を有している主たる養育者が少なくとも1人存在している。それが法人であろうと、里親さん家庭であろうと、そういう人が1人存在する。一部ファミリーホームで養育者でさえ単身赴任状態で、外部に家族がいてという方がいるという指摘もあって、主たる養育者は少なくとも生活基盤をそこに有して、そして、生活体験を共有するということがきちんと通知されているわけでして、補助人と養育者をごっちゃにして議論すると、非常にファミリーホームに対する誤解を生み出す要因にもなるかと思います。

しろまる奥山座長

ありがとうございます。

ただ、実態の中でどうもあるみたいなので。

しろまる藤林構成員

そこは林構成員が言われるのももっともで、やはり主たる養育者が通っているという実態があるのかどうかというのは調べていただいた方がいいのではないかと思います。

しろまる奥山座長

加賀美構成員、お願いします。

しろまる加賀美構成員

私の知る範囲の情報でございますが、いわゆる施設の指導員、保育士で小規模グループケアをやろうと思った施設をファミリーホームというところに誘導したという経緯もあったと思いますし、現にそういう形で運営している施設があることは事実です。したがって、そういったものは整理して小規模グループケアに指定すればいいわけでして、それは本来、やや施策的に里親推進を装った形になってしまったのだろうと。そんな感じをあえて申し上げざるを得ないわけですけれども、それはそういう過渡的な時期において起こったことだという解釈であれば、それは修正するべきだろうと思います。

しろまる奥山座長

西澤構成員。

しろまる西澤構成員

今のファミリーホームについての議論とかみ合うのかどうかわかりませんが、藤林先生がこうやって整理していただいて、とても感謝しています。授業で使えるなと思っているのですが、それはいいとして、これを今ざっと読んだだけなのですけれども、例えばfamily-basedFamily-likeの違いというのは、既存の家族を前提とするかどうかによる違いであると書いてあるので、その人がそこに施設職員から移ってきてファミリーホームに住みましたからオーケーではないと思います。だから、既存の家族を前提にしたのが家庭養育であって、既存の家族を前提としない、例えばそのために職員が2人住み込みました、これはFamily-likeだという整理の仕方なので、そうするとやはりファミリーホームの今の話に関係してくるかなと思いました。

それから、藤林先生はとてもきれいな発音なので、なかなか耳に入ってこなかったのですけれども、1つ、institutionsresidential care facilitiesというのはどこが違うのかというのが、これはいつも私もわからないところですが、これを読むと、residential care facilitiesはあくまでも最大グループホームなのだと思います。それ以上の規模になってくると、institutionsに分類されると読めるので、そうすると、先ほど言っていたなんちゃって小規模というか、小規模ユニットというのはresidential careではなくてinstitutionsなので、廃止すべきものということになってくるのだなと素直に思いました。

しろまる奥山座長

residential treatment centerはアメリカだとinstitutionsであるので、混乱はするのかもしれないと思うのですけれども、ここに書かれているresidential care facilitiesというのは小規模らしいです。

しろまる西澤構成員

最大グループホーム。

しろまる奥山座長

そうです。

もう一つ、話し出したついでに言うと、やはり日本で「小規模グループケア」という言葉を使っているのはまずいのだというのがよくわかりました。小規模個別グループケアなのだということがきちんとしていなかったなというのが藤林先生の提示ですごくよくわかったところなのですけれども、他にいかがでしょうか。

はい。

しろまる加賀美構成員

先ほど触れなければいけなかったのですが、私は全養協という組織の中で近未来像パート2というのを議論しました、その議論の中で、実はその当時の全国の児童養護施設の状況は8割以上が大舎という状況の中で、それをどう小規模化へ導くかという議論をしました。そのときのキャッチが、個別化、小規模化、地域化。つまり、子ども一人一人を丁寧に育てるための小規模化をする、それをさらに地域化していく流れをつくろうということだったのです。その過程で、今ある大舎をいきなり外へ分散していくというのは大変だから、その過程でユニットにしていくということを経由として、将来の地域分散化を図っていこうという提起をしたということでありまして、課題と将来像で15年計画でそれをまさに進めようという意図をもって国が働きかけ、今、進めているという現実からいって、そういった意味では、将来的にそういう施設もやがて地域化していくということを前提に議論していくことも必要だろうと、あえて申し上げておきます。

しろまる奥山座長

時間が迫ってまいりました。皆様にご説明しておきたい点があります。今日の配付資料の中で、実は私自身が事務局の方にお教えいただきたいということでお願いしたのですけれども、藤林先生が書かれている里親・ファミリーホームの類型の中でも、地域小規模児童養護施設というのと分園型小規模グループケアというのがあって、これがどう違うのかというのが私には全くわからなかったので、どう違うのかお教えいただきたいということでお書きいただいたのがこの図です。ただ、これを見ても、子どもから見てどこが違うのか、私にはよくわからないのが実情です。

どちらかというと、これは施策的なところで名前がついてきてしまったのではないかという気がします。子どもの方が、僕はあそこへ行ったらどういうケアが受けられるのかという視点で名前がついていないのだと思います。ですから、子どもだけではなくて国民、つまり一般の人が聞いたら、こういうところだろうなとイメージができるような名前のつけ方を考え、グルーピングを考えて、その中でその基準を考えて、その基準に当てはまるものをもう一度分類し直していくという作業が必要なのではないかと思いました。

というところで、今日はここで問題提起ということで、この部分を終わりにしたいと思います。

相澤構成員、最後に。

しろまる相澤構成員

やはり子どものための継続性、連続性の養育環境ということですので、形態論ということよりも、継続的に一貫してかかわる人の存在が大事だということを中心に据えて、小規模だから職員がころころかわっていいという話ではなくて、やはり継続性、一貫性、連続性のある養育環境をどうつくっていくかという意味での家庭的な養育環境ということを考えるべきだと私は思います。

しろまる奥山座長

基準の中にその点も多分入っていくという形になるのだろうと思います。

ということで、問題提起がされました。今日は事務局が非常に努力してくださって答えてくださいまして、いろいろな資料が出ております。是非それにお目を通していただいて、今後の議論につなげていただきたいと存じます。また、他にもこんな資料もあるから、これも皆で議論の参考にして欲しいということがあったら、是非出していただきたいと思います。できるだけ全体を見ながら進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

はい。

しろまる藤林構成員

里親支援事業体制の在り方についても、パーパを提出しましたので、もう時間がないので紹介だけさせてもらってよろしいですか。私の資料の4ページなのですが。

しろまる奥山座長

議論するときにもう一度紹介していただけますか。

しろまる藤林構成員

わかりました。

しろまる奥山座長

次回議論するときにその時間を設けたいと思います。皆さん、資料を持ってこない人も結構多いので、もう一度、その資料をお出しいただけますように、よろしくお願いいたします。

今日はお忙しい中、また、非常に短い時間で申しわけないのですけれども、10分のヒアリングということでお願いをしております。では、団体の方々にヒアリングをさせていただきたいと思います。

では、ヒアリング団体の方は前にお進みいただいてよろしゅうございましょうか。

しろまる松本座長代理

今のは継続議論ですね。それは何かおっしゃっていただいたほうが。

しろまる奥山座長

すみません、抜けていましたでしょうか。今の4つのテーマは次回以降も継続して議論をしていって、先ほど申しましたように、あと二、三回の間に方向性を出していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

まず、全国保育協議会、大阪市、家庭養護促進協会、全国自立援助ホーム協議会の方々にヒアリングをさせていただいて、4つの団体のヒアリングが終わったところで御質問などをさせていただきたいと思います。

大変申しわけないのですけれども、参考という意味で、9分で事務局がベルを1回鳴らしますので、ベルが鳴ったら1分ぐらいでラップアップをしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、全国保育協議会の奥村副会長、どうぞよろしくお願いいたします。

しろまる全国保育協議会(奥村副会長)

恐れ入ります。私、全国保育協議会の副会長を務めております奥村尚三と申します。よろしくお願いいたします。

本日は、お手元の配付資料の一番後ろの方にございます「関係団体等提出資料」の中の全国保育協議会提出資料という形で挟ませていただきましたので、部分的なところだけ読ませていただく形で、その他の部分は口頭で補足させていただきます。

1で囲みました「今般の児童福祉法改正をふまえ、社会的養育について、実践の場においてどのような課題があると認識しているか」ということで私達が考えたのは、一番最初にあります、私達は子どもの育ちにおける権利の保障がうたわれたことへ、全ての児童の福祉関係者が認識を深めることが重要だと考えております。私達保育がそういうところも今後踏まえていかなくてはいけないと、今の御議論をいただきながら考えたところでございます。

また、しろまるの4つ目にあります保育所、認定こども園等の利用児童数は、1、2歳児を中心に大きく増加しております。一方、家庭や地域環境の変化によって、子育てに対する助言、支援や協力を得ることが困難な度合いは増し続けております。保育所、認定こども園等を利用する児童だけではなく、その保護者、さらには保育所を利用していない地域のお子さん方、子育て家庭への支援を複層的に確保することが課題と考えている所存でございます。その中であります私達は、幅広い家庭に、入所されていない家庭に、また、いろいろな地域の方々と御相談させていただきながら子どものことを見ていこうという形で保育を考えていく場かなと思っております。

また、囲みました2番の「今後、どのような取組が必要と考えるか。また、制度等の環境整備について何が必要か」というところでは、子どもへのかかわりの充実が、その子の一生を決める要素であるように、保護者とかかわり、受けとめることができる相談体制の充実が必要だと考えております。具体的には、育児について気軽に相談できる場所や、子育て家庭同士の交流の場所として保育所、認定こども園を適切に利用していただけるような形がいいのかなと。今も保育所では園庭開放、室内開放、あとは交流の場、またはいろいろな自分達の行事に対してお子さんや保護者を招いて交流を持っております。通所児童も、地域のお子さん達も関係なく、その中に一緒に取り込みながら子ども達に少しでもなじんでいただいて、その中でお子さんに対する悩み等を保護者からその場で聞ければ、少しでも子育てに役立つのかなと。

そういう中で、保護者からよく聞こえてくるのは、例えば食事の面とか、排せつの面とか、そういう面に対して、保育所内で一緒に体験をしながら子どもと保護者双方の成長を促す、または成長を確認いただくようなことが非常に大切だと思っています。

しろまるの一番下、上記の専門性を備えるため、関連の研修プログラムの確立と研修機会の担保が必要です。私達、日常的に子ども達を保育している中での日々の努力にプラスアルファして、知的、学術的なことも習わないと、保護者からの相談を、また、相談いただいたことを関連の専門機関へどうつなげていくのかというような対応を可能にしていくことが非常に大事なのかなと思います。

また、囲みました3番、4番の児童虐待等、在宅支援における保育としてどのような支援が可能かというようなテーマの中では、児童虐待の予防のために、保育所、認定こども園等が重要な役割を担うことを保育関係者は十分に意識しております。こちらに関しても、日々研修等もさせていただきながら、いろいろなお子さんの対応、虐待の早期発見または早期通報、早期対応という形でいろいろな面でさせていただいている部分だと思っております。

これまでの保育指針における保育は、家庭養育の補完と言われてきました。また、養護と教育を一体化して提供する、この養護と教育ですが、通所施設のお子さん以外の一般の家庭のお子さん達にも、養護と教育というような機会を何かしら与えていくのが必要なのかなと考えております。そういう中では、音楽会とか、プロのミュージシャンに来ていただいたり、劇団に来ていただいたり、そういう鑑賞等も園を利用していない一般の御家庭のお子さん達にも一緒になじんでいただくような、一緒に保護者さんにもリラックスして見ていただくような、また、お子さん達が見ている間に保護者からの相談事も後ろで聞いてあげられるような環境整備が必要なのかなと思って、日々考実践しております。

また、下の段の方になりますが、保育所、認定こども園が在宅支援を進めていく上で、上記の2において書いております、先ほども言いましたが、専門性というのは実際に自分達がいろいろなお子さんとかかわって、また、保護者とかかわって肌で感じていく部分、それに関しては経験的なものも非常に必要です。また、それに上乗せした研修プログラム、やはりこれは何度も言うようですけれども、研修の面をきちんとやっていかないと今の保護者とはなかなかお話ができませんよと。そういう研修の機会を担保して、全員の職員がいろいろなお子さん達、また、保護者と接していく中で、それに関しては本当に家庭環境が違う、また、家庭の通園状況が違う、そういう経済的なものも含め、保護者の背景的なものも含め、そこら辺も含めたものを理解して、子ども達に対応し、保護者に対応していくのが必要なのかなと常に思っております。

以上でございます。

しろまる奥山座長

非常に端的におまとめいただきまして、どうもありがとうございました。

引き続きまして、大阪市こども相談センター岸本所長、よろしくお願いいたします。

しろまる大阪市(岸本所長)

ただいま御紹介いただきました大阪市こども相談センター所長の岸本でございます。

当センターは、特別養子縁組の取り組みが他の児相に比べて多いということで、今回ヒアリングの対象になったと聞いております。このたび私ども、児童相談所を開設して60年になるのですけれども、開設当初から力を入れてきたことですので、先輩の体験談ですとか、非常に古い資料も改めて見まして、この間の取り組みと現状について御報告したいと思います。

申し訳ございません。こういったことに慣れていないもので、私、レジュメという形で資料をつくらせていただきましたので、その点は御了承ください。

まず、私どもが特別養子縁組の取り扱いが多い背景なのですけれども、大阪市は大都市特例ができまして、昭和3111月に大阪府から事務移譲を受けております。初代の所長が林脩三という精神科のドクターでして、京都の少年院のドクターをされていた方をヘッドハンティングして、なっていただいたのですが、その所長のお考えが、第1次世界大戦後のヨーロッパの孤児の養育の研究で、やはり施設ではなく家庭で育つ方が子どものためにいいのだというのを踏まえて、やはり施設より里親であると。親が引き取れる目途のない子どもについては、永久の親子関係をつくる養子縁組を進めていくことが大事なのだという理念をお持ちで、最初から取り組まれてきております。

その背景といたしまして、大阪市は非常に棄児が多かったと。改めて統計を開いてみたのですけれども、昭和32年度から昭和41年度までの10年間で平均して69人、一番多い昭和32年は115人の棄児がいたということです。これは大都市ならではの状況かと思うのですけれども、そういったことを背景に、まさに棄児というのは親に引き取られる目途のないお子様ですので、早く親を見つけてあげたいということで、当時は特別養子縁組という制度はございませんので、普通養子縁組なのですけれども、代諾する者がおりませんので、児童相談所長が個人で後見人となられて、普通養子縁組を進めていったと聞いております。

昭和32年度から昭和41年度まで平均しまして約30人の子どもが普通養子縁組されております。しかも、これ以外に親権者が大阪市外に転出しているとか、あるいは親権者がいなくて大阪市外の里親さんに委託されているような場合は、先方の児童相談所と協議の上、ケース移管という形でそちらの方で縁組まで見ていただくというのも年10件程度ございましたので、養子縁組の成立件数としては平均して40件ぐらいあったものと推測されます。

そして、昭和39年度からは、次に発表されます家庭養護促進協会と連携して、大阪市内の所管の里親にとどまらず、広く育ててくださる方を見つけていこうということで、全国紙を活用して里親を探すという取り組みもこの間ずっと実施しております。

では、こういう養子縁組を進めるに当たってどういう体制でやっているかということなのですけれども、開設当初から、里親の専任の児童福祉司3名を配置しております。そして、当初から養子里親と養育里親を分けて対応しておりました。長らくは児童福祉司3名だったのですけれども、平成17年度には里親委託が増えてまいりましたので、非常勤ではございますが、里親支援事業の相談員1名、この者は今も継続して勤務しておりますけれども、増員いたしましたのと、平成20年度には、やはり里親を増やしていくために広報啓発であるとかいろいろな取り組みが必要であるということで、これも非常勤ですけれども、里親委託推進員1名を雇用しております。平成22年度からは児童福祉司を5名に増員しまして、これはスーパーバイザーも含んでおりますけれども、全く専任で里親担当グループというものをつくって、養育、養子、両方の里親の業務をやっております。

実は私ども、この10月に2カ所目の南部こども相談センターを開設したのですけれども、里親に関しましては、中央であるこども相談センター1カ所で集中してやっていくという体制でおります。

特別養子縁組という制度ができたのが昭和63年度ですけれども、それ以降の実績なのですが、平成27年度までの制度創設当初からの平均をとりますと、1年当たり17.9人で、ただ、やはり少しずつ傾向として減っておりますので、この10年間で平均してみますと13.4人となっております。

御注目いただきたいのは、管外委託率が非常に高いということなのです。昭和63年度以降も、この10年間も77%を超えておりまして、これは実は昭和50年代ですと管外委託率は養子でも40%程度だったのです。ですので、この間、よその児童相談所の方との連携というか、御協力をお願いすることが非常に多くなってきているということです。

普通養子のときにそんなにたくさんあったのが、随分過去と比べると減っているなと改めて思いまして、理由をいろいろと考えてみたのですけれども、私達も正確な分析ができるわけでもありませんので、不妊治療が進んだからかな、出生数が全体として減っているからかなとかいろいろ考えたのですが、やはりいろいろ援助方針会議とかをやっている中で、産んですぐ、育てられないから養子に出したいという保護者の方はかなり少ないのです。大体5件で、後でも述べさせていただきますけれども、我々も、このお母さんは難しいなと思っても、基本的には在宅支援を入れて、あるいは一旦お預かりするけれども、おうちで見られるように練習していきませんかという御提案をするのが我々の仕事ですので、なかなか最初から特別養子縁組でいきましょうという進め方はしませんので、そういうこともあって減っているのかな。在宅サービスが整ってきたから、20年、30年前はおうちで育てられなかった方が、今は育てられるようになっているのではないかなというのが実感としてあります。かなり養育能力の低い方も在宅で保育所サービスなどを使いながら養育されている例はたくさんございます。

ここでちょっと里親の委託率について言及したいのですけれども、本市では、平成27年度末の里親委託率は13.52ということで、全国平均を下回っております。ところが、私どもは特別養子縁組に力を入れておりますので、特養の成立した年齢の中央値をとってみますと2歳なのです。そうしましたら、この子達が養子縁組されなくてそのまま長期養育里親として預かられていたと換算してみますと、18歳まで委託されたとして、委託率は26.1%まで上がります。ですので、委託率を3分の1までというのはあるのですけれども、特養の取り組みというのもやはり考えていただければなと思っております。

我々もなかなか取り扱い件数も減っておりますし、特養を進めるのにどんなことをやっていったらいいかということで、現在も試行錯誤しております。最近の新たな取り組みといたしましては、これまでは出向いた形での相談会ではなくて、相談に来られたらお話しするような形だったのですけれども、やはりアウトリーチで行こうということで、27年度からショッピングモール、人がたくさん来るところで年8回程度、児童相談所の職員と施設の里親支援専門相談員と家庭養護の方と来ていただいて、個別相談というのをやっております。これは多いときで10組ぐらい来られたりしますけれども、登録にまで至るケースは今のところ2件程度です。

鐘が鳴りましたので、課題でどうしてもお伝えしたいことだけ申し上げます。7つほど書いているのですけれども、特に申し上げたいのは、親権者の同意が非常に得にくい。先ほど申したとおりで、私達はそもそも親が育てられるように支援するというのが第一の役割ですので、なかなか特養の同意というのはとりにくいです。ただ、やはり面会に来なかったり、行方不明とか連絡がとれなくなったら、子どもさんのために特別養子を進めるよと、そういう承諾をとることは多いのですけれども、逆にそういったこともあって、新生児委託というのは少ないです。中央値は2歳になっています。

もう一点、是非申し上げたいのは、最後に書いてある民間あっせん事業者によるあっせんです。あっせん事業に関する法律がまだ成立していないのですけれども、大阪市内にも1カ所事業所がございますが、この2年半で25件あっせんされていますが、大阪市内の保護者にあっせんされた例は一つもなくて、北は東北地方から、南というか西は九州まであっせんされていて、しかも、大阪市内のお子さんがあっせんされたのは4例にすぎないのです。だから、事業所は確かに一自治体の中にあるのですけれども、活動はインターネットを媒体にしておりますので、全国にまたがっております。

この事業というのは人のアイデンティティーにかかわる非常に重要な事業ですので、一刻も早く全国統一のきちんとした、業務停止命令が速やかに出さるような明確な基準を持った法律の制定を望んでおります。

以上です。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

では、続きまして、今、お話が出ました家庭養護促進協会の岩崎理事、よろしくお願いいたします。

しろまる家庭養護促進協会(岩崎理事)

家庭養護促進協会の岩崎です。

特に特別養子縁組の促進に係る問題について、4つの項目について意見を申し上げたいと思います。

まず、今日この会議に出て改めて、議論にはなっているのだということがわかりましたけれども、とりあえず私達は50年この仕事をしてきて思うのは、本当に予防的な活動が前提にちゃんとなければならないと思っています。特に、たしか平成20年でしたでしょうか、アメリカのヘルシースタートの考え方を取り入れた乳児家庭全戸訪問事業と養育支援訪問事業ができたのですけれども、どんな活動が、どの程度効果をおさめているのかという報告が余り私の耳にも入ってきません。でも、今ここがちゃんと取り組まれていないと、私達の仕事はどんどん増えるばかりだということになります。

私の友人もやっているのですが、本当に手とり足とりしてお母さんに子どもの育て方を指導していきますと、愛着が深まり、子どもが可愛く思え、子育てを楽しんでくれているお母さんが生まれているようで、その労力は非常に大変なのですけれども、それ以上に、そういう風には育てられなかった子どもを育て直すという作業は、施設職員が行おうと、里親さんが行おうと、養親が行おうと、その何倍もの労力を必要とするということを申し上げたいと思います。

2番目に、今の養子縁組を必要とする子どもについて、やはりリストアップをしてみることが必要ではないかと思います。現在、社会的養護下にいる子ども達の中で養子縁組が必要な子どもがどれだけいるのかということをちゃんとリストアップするためには、養子縁組を必要とする子どもだと判断するための条件を明確にしなければなりません。それは、親が親であるためには最低限何をしなければいけないのかを明確にすることにもなります。リストアップされた子どもの親が養育できない理由、子どもの年齢、その子どもの発達上の問題、病気、障害の有無、気質や性格などを明らかにして、その一人一人の子どもを託せるために養子縁組前提里親がどれぐらい必要なのか、あるいは今私達の手元にいる里親でどれぐらい対応できるのかということを現実的に考えていかなければ、なかなか養子縁組を進めることはできません。そして、実際には安心して託せる里親はそう多くありません。

3つ目、社会的養護としての養子制度を考えたときの現在の特別養子法の問題点について2点ほど申し上げたいと思います。

は、特別養子法ができ上がりました、施行された翌日から、私は改正を訴えてまいりました。30年近くたって、法学者からも、現場の方からも誰からの支援も受けず、相変わらず改正と叫んでおります。それは何かというと、実親との法的親子関係が終了するということと、新しい養育者との親子関係をつくり上げるという審判が一つの裁判で行われていることの問題を指摘したいと思っております。特別養子法が施行された当初、ある大阪家裁の裁判官が、「特別養子縁組という仕事は僧侶と神主の役割を同時にさせられているのだ、とても大変なのだよ」という感想を述べられたことがあって、一つの裁判であるということの問題性をある種、裁判官が述べられたのだと私はとっておりました。一つの裁判でするということは、全ての関係者の氏名、本籍、現住所、生年月日等々が審判書に書かれるということであり、実親の養育できなかった理由から、養親の財産あるいは病気、夫婦関係に至る個人情報が審判理由として書かれる可能性があるわけで、その審判書が実親と養親側の双方に渡され、その上で即時抗告が認められるという今の審判のあり方で、一体子どもの福祉の何を守るということになるのだろうかというところが私はよく理解ができておりません。

一応、養子縁組が必要な子どもというのは、養育の義務を返上したい親と、親権者として家庭裁判所と児童相談所等が認めがたい親の子どもが養子縁組、リーガル・パーマネンシーを必要とする子どもだと通常考えるわけです。そして、欧米の場合だと、先に親権が終了されて、国家による後見下に変わり、そこから養子縁組先を探すという手順がとられているわけで、どうして日本はそのような形にはならないのだろうかと思っています。

ただ、私も声を大きく上げて言えなかった理由は、そういう形で国家による後見下におかれた子どもの全てに養子縁組里親を探せる自信が当然なかったからです。アメリカのソーシャルワーカーに探せているのかと聞きますと、苦労はしているけれども、少なくとも必要な子どもに養子縁組先を探しているというお答えをなさるので、なかなか日本ではそこまで養子縁組を子どものためにするという文化もありませんし、とても自信がありませんでした。しかし、これはやはり今、真剣に考えないといけないことではないかと思います。

それから、子どもの福祉のための養子縁組であるとするのなら、養子縁組を必要とする子どもに当然に特別養子縁組が認められることが本来でありますのに、特別養子縁組には年齢制限があります。それは福祉制度の恩恵を受けることが全ての子どもに保障されていないということになるのではないかと思っています。できれば年齢制限の撤廃を考えていただきたいと思っております。

もう一つは、特別養子の出自を知る権利が明確なものとして認められていません。まず、記録の保存が短すぎます。児相の記録の保存は、一応子どもが25歳になるまでとなっていると聞いておりますが、大阪府市は養子縁組のケースに関しては永年保存を考えてくれております。審判書が30年間の保存です。これはゼロ歳の子どもが30歳になると、もう審判書の閲覧さえできないということになります。家庭裁判所の調査官が行います一番客観的にこの審判のありようのもとになる状況を調査したと思われる記録は、何と5年しか保存されていません。子ども達がいつ実親について知りたいと思うのかは、子どもによって異なることであり、何歳になったとしてもたどれるシステムが用意されていなければならないと私は考えます。

特別養子法は、法的な実親子関係を終了する法律であり、その適用が子どもにとって福祉のために必要だということは、行政、司法関係、私達が判断したことであって、子どもには了解をさせていません。その上に婚姻障害が認められました。そのかわりに、出自を知る権利を認めるために、要するに戸籍を追うことができる日本の社会の中にあって、戸籍を追える方法をいかにして保障するかということが立法時のとても大きな問題だったと聞いております。そのとき、法務省の役人の方々がB戸籍という新しい戸籍のありようをつくってくださいました。実親の本籍地に養親の姓となった子どもの本人だけの戸籍をつくり、そこから養親の戸籍に移る。なおかつ、その戸籍から実の親がその後、結婚したり転籍した場合に戸籍をたどっていける、あるいは戸籍の附票をたどっていけるということのために、この面倒くさいB戸籍をおつくりになったにもかかわらず、時代の変化とともに、今、子ども達が戸籍謄本を請求に行きますと、特別養子が認められたということは、あなたのお母さんとあなたとは既に赤の他人になっています、お母さんの結婚先の例えば戸籍謄本など、お母さんの個人情報にかかわることは私達は出せませんというふうに言われまして、実親の戸籍が追えない、附票が負えないケースが何ケースか私のところにも報告されています。間違って出してしまった戸籍をもう一度取り戻され、目の前で破られた子どもがいたぐらいです。個人情報保護法が時代の変化の中で必要な法律だということはわかりますが、それをもってして出自を知る権利が脅かされていいとは思いません。何とぞ早急に、これは今でも解決しようと思えば解決できることですし、改めて子どもの権利条約だけが出自を知る権利を明快にしているのではなく、日本の法律の中でしっかりと出自を知る権利を位置づけることができるのかどうかを検討していただきたいと思っております。

4点目、社会的養護としての養子縁組であるからこそ考えてもらいたいことがあります。

養子縁組に対する経済的な援助を求めることと、それから、どの年齢の養子をもらったとしても、育児休業法が適用されることを切にお願いしたくて挙げました。ちょっと時間が超過いたしますが、平成27年3月以前100件までの協会が推薦をいたしました養父母の年齢と月収と貯金高を一覧表にしてみました。それによりますと、里父の年齢は30代が33%、40代前半が47%、40代後半が12%、50代が8%です。里母の年齢は、30代が32%、40代前半が42%、40代後半が24%50代が2%です。

これをつらつらと見ますと、少なくとも里父の月収は20万円台までが54%を占めております。少なくとも半数は里父の月収が20万円台まであるということです。30万円台までを含めますと、推薦時の段階ですけれども、養父となる人の80%もが月収30万円台までということになります。

里母の方に空欄が多いのは、一応働いていないということになるのですが、大半はパートタイムを含めて働いていらっしゃいます。ただ、協会では、子どもを引き取っていただくと少なくとも最初の半年、1年は共働きをやめていただくことになっております。お父さんなりお母さんなりが24時間子どもに張りついていただくことを前提にいたしますので、これは推薦時における働いていたお母さんの月収で、平均して11万円ぐらいです。 貯金高を見てみますと、35万から8,000万円まで非常に幅広くあるのですが、貯金額が400万円台までの家庭が38%です。600万円台以下で見ますと47%になり、約半数近くもになります。子どもを育てるのに2,000万円要ると言われている世の中であって、2,000万円以上の貯金がある家庭は21%しかないというのが実態であります。

養子縁組前提里親が社会的養護の中に位置づけられたにもかかわらず、なぜ里親手当が20年の改正のときにカットされたのかということに対して、私は納得ができません。子ども達の状況に応じて、例えば病気や障害を持っている子どもに対する何らかの経済的な支援だとか、里親手当だとかを考えていただきたいと思うのです。なぜなら、養子縁組をすることは相当な節税効果があるわけです。その子どもが18歳まで施設に預けられるとする計算を一度厚労省の人達は全部してみていただきたと思います。養育里親で18歳まで里親委託をしたら、どれだけの経費がかかっているのか。それが特別養子に必要な6カ月間の試験養育期間のみが里親委託の対象で、措置費が出ているのです。それを1年間認めていただいたとしても大した金額ではないのにもかかわらず、手当がカットされることは問題だと思っています。

それから、養子を育てたら育休が認められないというのは納得がいきません。ここにも書いてありますけれども、特にヨーロッパの育休では、子どもの年齢のいかんを問わず、養子を迎えた夫婦に育休制度が認められています。恐らくほとんどの国が何らかの形でしておりますし、中には産前産後休暇に当たる養子のための休暇が認められているところがあります。一番いいのはスウェーデンです。でも、EU関係のところでも原則としてこれが適用されているにもかかわらず、日本がやっと来年から実親と同じく1歳から1歳半までの育休を認めるという段階であることは、私からすれば誠にお粗末な状態だということを指摘させていただいて、ちょっと時間を超過いたしました。申し訳ございません。

以上です。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

続きまして、全国自立援助ホーム協議会、平井副会長、よろしくお願いいたします。

しろまる全国自立援助ホーム協議会(平井副会長)

よろしくお願いします。自立援助ホームの平井でございます。

資料は簡潔にパワポの中でまとめたものがございますので、ごらんいただいて、その前に、構成員の方々には、今回、全国自立援助ホームの実態調査報告書というのをお渡ししていると思います。ここの構成員でもあります松本先生にもお手伝いいただいて、この報告書を作成しておりますので、ここに子ども、職員の状況、それと運営状況も詳しく調査内容の中に入っておりますので、またゆっくりとお目通しいただければと思います。

それでは、今回の法改正の中で自立援助ホーム、22歳の年度末という年齢のことがございます。今、一番最初の26ページに少し挙げておりますが、これまでの自立援助ホームというのは、もともと就労を前提として受け入れた就労型なのです。これが本来の今の自立援助ホームなのです。3番目にございます混合型、ここは今、21年の法改正後、自立援助ホームは委託措置が可能になりまして、措置費が入ってくるようになりました。そうしたことによって、今度は児相の方が高校生、これは全日制の高校生も含めてですので、入り交ざった形ですから、今、就労型の自立援助ホームと混合型の自立援助ホームが存在しているような感じなのです。

それで、22歳までの大学等ということが入ってきますと、就学型というのがやはり必要ではないかなと。現在、高校生もおります。やはり高校生、大学生を対象とした機能分担したホームも必要ではなかろうかと。というのは、やはり子ども達の生活状況が違ってきますので、各ホームでも、子どもにとってもそうですけれども、職員のやりにくさというのも多少出てくるのではなかろうかと思っております。

一番下のシェルターというのは、一類型ということで存在しておりますので、これは緊急保護とか一時保護を対象として機能がなされていると思います。

次のページに、時間もございませんので、そこもお目通しいただければいいのですが、1つは、今生きているのは委託措置が20歳未満ということですので、このあたりがとりあえず20歳の年度末まで、22歳の年度末というのもございますので、自立援助も19歳で入ってくる子も結構おります。そうすると期間が短いのです。ですから、できれば20歳の年度末ということを加えていただければ助かるなというところがございます。

あとは、厚労省の方でも考えていただいていると思いますけれども、22歳の年度末は大学等ということが対象になってきますので、それ以外の福祉的な措置というか対応が必要な入居者については、同様に22歳の年度末まで延長可能とすることが必要かなというところです。

あと、今、自立援助ホームに入居している高校生については、特別育成費で高校の費用を出していただいてはおります。今後、高校生、大学生が在籍するようになった場合、シェルターもそうかもしれませんけれども、現在、自立援助ホームの一般生活費というのは月1万770円だけなのです。そうではなく、やはり児童養護施設と同様の一般生活費。就学が対象になりますと、どうしてもアルバイトで頑張りなさいというのもあるのですが、できるだけ一般生活費も少し上げていただければと思っております。

もう一つ、一番下ですが、やはり自立援助ホームにも自立支援の担当職員の配置が必要ということで、これはやはり退去から、社会生活の枠の中で、そういった社会生活支援が必要な子ども達もおります。ですから、アフターケアと言えばそれまでなのですが、特に自立援助ホームの場合は、入居中はいいのですが、退去してからまたいろいろな困難がございます。その中で我々は社会生活支援専門相談員という名前で勝手に呼んでおりますが、こういった配置が必要ではなかろうかというところがございます。

最後のページでございます。これは児童養護施設での問題でもございますが、特別育成費、高校生、3年間なのです。うちの自立援助ホームに入所している子でもいますが、高専とか高校の看護科、これは3年ではないですね。5年間なのです。そのあたりも考えた特別育成費の継続支給というのが必要かなということが、そこに書かれております。

あとは児相との問題です。児相とのかかわりの中で、20歳以降、22歳までということが明記されるのであれば、児相も情報共有しながら、入居から退所までの支援をちゃんとやっていただきたい。

それと、一時保護中に18歳を超えたケースは施設の措置ができるというふうに今度、児福法の改正の中でございます。そうすると、児童養護施設というよりも、やはり18歳を超えたケースは自立援助ホームへの入居が多くなると想定されます。ですから、ここでもさらなる児相との連携が必要と。

最後の方になりますが、自立援助ホームから出るに当たって、社会生活をするに当たって、やはり自立援助ホームと連携した住居の確保というか、ステップ的な住居を確保して、そこで少し社会生活を行いながら完全な自己生活に移していく。そういった意味で、住宅を借りる賃貸補助を適用していただければ助かるということです。

最後に、このように年齢の問題が出てきておりますので、自立援助ホームと児童養護施設のすみ分けです。このあたりをどう考えていくかということをまた御検討いただければと思っております。

最後にすみません、ちょっと星の方から少し。

しろまる全国自立援助ホーム協議会(星会長)

自立援助ホームも措置制度の中に組み込まれて、まだ日も浅いものですから、多様性と言えば聞こえはいいのですけれども、混乱の最中で、まだ統一した意見がなかなか出せない部分がありますので、3人も来ましてすみません。ちょっとだけ言わせてもらいます。

1つ目は、大学に進学する子達の自立援助ホームへの措置変更は必要不可欠なものかということを問いかけたいと思います。議論のポイントに書いてありましたけれども、継続性を重視という考え方の原則に反するのではないかという気がします。人間誰でもふるさとというか帰るべきところが必要だし、ただのいい人、優しいだけの人ではなくて、特別な人が必要である。そういう人を与えるのが社会的養護の責任だと思っているのですけれども、中には、うちにいた子ですけれども、乳児院から里親に行き、里親から児童養護施設に行き、児童養護施設から児童自立支援施設に行き、おまけに最後に少年院に行って、そして自立援助ホームに来ると、フルコースというようなことだったのですけれども、そういう子がいたりするのです。

要するに、誰が必要とするから移行するのかということを考えないで、子どもを安易に次から次へと措置変更することがよくないという話がなされていたと思うのですけれども、それに触れるのではないかと、私はそのように思っているので、もう一回考え直してもらいたいと思います。もちろん、それを平井さんが言ったように2つに分けて、進学型と就労型とに分けて、それで自立援助ホームというのも混乱すると思うのですけれども、その最後の段階で自分の家が変わってしまうみたいなことは避けたほうがいいのではないかと思います。

2番目に、必要なときに必要な支援をというふうに思うのですけれども、自立援助ホームは御存じのように養育の仕上げではなくて、やり直し、あるいは取り戻し、そういう子達が来るわけで、またそれを10代後半になってから行うことが自立援助ホームの困難性だと思っております。それは18歳であろうが、20歳であろうが、30歳であろうが、とにかく必要な限り、やはり私達は支援していかなければいけないと思います。それを社会的養護がやるかどうかはまた別問題ですけれども、それはほかの違う枠組みの関係も含めて考えなければいけないことですけれども、とにかくいつまでというのは一律には決められないことでして、年齢で切るということは愚かしいことだと思います。必要な子はだめになってしまうし、必要としない子にはもったいないわけですから、そこのところをよく考える必要があるのではないかと。

私達は方法としては、社会内処遇という言葉がありますけれども、要するに社会に出して、主体性の保証という言葉もありますが、出してみなくてはわからないというところで切らずにつき合っていくというのが自立援助ホームのやり方だと思っています。

最後に、自立援助ホームをこれからどのようにしていったらいいのかと思うのですけれども、私達の望んでいるのは普通の生活なのですね。普通の生活の中で、泣いたり笑ったりしながら、よいことばかりではないことで、そういう生活の中で情緒的な紐帯や絡み合いがだんだんできてきて、それがお互いにすごく太くなっていく中で、のっぴきならない関係というか、特別な関係が形成されていって、それに依拠しながら支援を続けていくということを私達は考えているので、要するに普通の生活というのは、普通でないことがそこそこ少ない。何かよくわからないですけれども、いいことばかりではない。とにかく健全な生活と言っても違うし、豊かな生活と言っても違うと思うのですけれども、普通の生活を頑丈なものにしたい。いろいろな大きな問題を抱えている子が来ても、それが壊れないようなホームにしたい。それを壊れないようなホームにしたいというところでいろいろあるのですけれども、時間がないのでこれで終わりにします。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

それでは、15分ほど議論をさせていただきたいと思います。構成員の方から質問のある先生、いかがでしょうか。

林構成員。

しろまる林構成員

1つ資料の確認なのですけれども、厚労省から本日配られました資料4の10ページです。養子縁組里親の数がそこに出ております。それで、先ほど大阪市さんは特養に力を入れていると、非常に手厚い職員配置をされている。ところが、この養子縁組里親の資料ですと、大阪市のところをごらんいただきますと、平成26年の委託里親数が1人になっているのですね。これは、恐らく家庭養護促進協会に乳児院ケースは全部委託されていたと思います。そうした委託業務で担われた部分が数値で反映されていないという理解でよろしいのでしょうか。

そのことと、それから、大阪市さんにお聞きしたいのですけれども、専任職員を5人置いているというのはかなり手厚いと思います。恐らく非常勤の職員の方々もそれにプラスアルファしておられて、多分8人から10人ぐらいの体制で縁組、里親にかかわっておられる。

ところが、先ほど言われたように、縁組の部分にすごく力を入れていて委託率には反映されないということをおっしゃっていたのですけれども、でも、その業務の多くは家庭養護促進協会に委託されているわけですね。あとでかかわれる部分というのはそれ以外の里親さんの業務の部分だと思うのです。養育里親の委託率が13.何がしかとなると、一体その5人プラスアルファの職員体制というのは、かなり手厚いけれども、それが委託率に反映されないとなると、全国で我々も専任化ということを提言はしているわけですけれども効率性ということを考えると、逆に家庭養護促進協会は少ない職員の中で、たしか私の記憶では大体十五、六件の縁組を前提とした里親委託をやられていると思います。それもすごく委託料の少ない中でやっておられるということを考えると、児相の体制を充実させることに対する効率性ということからすると非常に限界を感じることがありますので、ちょっと大阪市と家庭養護の方から、そのあたりについてお聞きしたいです。

しろまる大阪市(岸本所長)

里親担当は、養育も養子も両方やっておりますので、養育里親の委託児童も150人を超えておりますし、養子縁組里親も調査ですとか、あとは当然、普通の養育里親さんと同じ研修も受けていただきますので、そのあたりの企画ですとか、決して業務量は少なくないですし、委託の部分は家庭養護促進協会にもちろん委託していますけれども、お任せし切りということではなくて、一緒にフォローに入ったりもあります。ただ、もっと長い意味でのケアというのは共管にしていただいているのですけれども、どうお答えしたらいいかわからないですが、別に決して暇にしているわけでもないですし、養育里親の対応も大変ですし、研修であるとか、啓発とか、それと、数は少ないですけれども、新生児で直接協会を通さずにマッチングしている例もありますので、年に1件ぐらいですけれども、そのあたりの見定めであるとか、実際には養育里親さんの対応というのが、どちらかというと業務量的には養育里親さんの方が多いのは間違いないです。

しろまる家庭養護促進協会(岩崎理事)

一応、養育里親さんのことについて言えば、大阪市がはっきりしているのは、養育里親は短期でなければならないと思っていますので、短期の里子の委託が多いのです。それは年度末段階で計算しますと非常に率が低くなるのです。だけれども、例えば皆様御存じのように、永井さんというNHKのドキュメンタリーに出た里親さんは、今だともう100人以上の子ども達を見ておられますが、短い子だと3日から4日の一時保護委託から、長い子どもでも四、五年というぐらいで子どもがかわりますので、それは措置日と措置解除日が年内であれば件数に上がってこないのです。延べにすると養育だけで23%ぐらいの委託率になります。何人の子どもが行ったかということを数えましたら、1人の里親さんのところに年間に複数人の子どもが必ず委託されていますので、それなどを計算すると率は高くなるのですが、3月31日現在で養子縁組が済んでいれば養子里親の委託率は上がりませんし、それから、大阪市の子ども、大半は協会で養子縁組をやっておりますけれども、ほとんど地方に委託されます。要するに、大阪市の里親の委託率にはならない。子どもにとって委託されたことにはなりますけれども、里親さんのありどころが地方だということもあります。ちょっとよくわかりませんけれども。林構成員のご指摘の表は、委託中の里親ですので、市内では1件しかない、ということもあります。

しろまる奥山座長

ありがとうございます。

事務局にお伺いしたいのですけれども、この事務局資料の委託里親数というのは、3月31日時点とか、何月何日時点の委託数ということでございましょうか。

しろまる事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

そうです。年度末現在の委託数ということです。

しろまる奥山座長

わかりました。

ただ、それにしても養子縁組里親が大阪市は平成26年度で1組ということなのですが。

しろまる大阪市(岸本所長)

ですので、先ほども申し上げましたけれども、管外委託率が高いのです。特養の試験養育期間は6カ月ですから、私達、外泊から始めますけれども、委託して6カ月たって順調であれば速やかな申し立てを助言しますので、カウントには上がらないですね。

しろまる奥山座長

数字のマジックみたいなことが起きていたのだということがよくわかりました。ありがとうございました。

他にいかがでしょうか。

加賀美構成員。

しろまる加賀美構成員 全国保育協議会にお伺いします。

最初のページのしろまるの4つ目の保育所、認定こども園の利用児童数は、1、2歳児を中心として大きく増加しているというくだりの中で、一方、家族や地域環境の変化によって、子育てに対する助言、支援や協力を得ることが困難な度合いは増し続けていますという極めて遠慮っぽい表現をしておられると私は思ったのですが、つまり、家族の養育問題は非常に縮小あるいは低下をしているという現状の中で、極めて養育困難な子ども達が保育所に入所してくるという現実があると思うのです。そういう中で、さきの新システムによって量の問題を中心にして改善するという方向が強化された一方で、質の問題はほとんど手をつけず据え置かれた。3歳児のところだけちょっとというような程度だったわけですけれども、そういった観点から、職員の量の問題、配置基準の問題等についての御意見をいただけますか。

しろまる全国保育協議会(奥村副会長)

ありがとうございます。

実際にゼロ、1、2歳という乳児といわれるようなお子さん達のところには、非常に手がかかる。今のお子さん達というのは、いろいろなものを実は日ごろの中で抱えている部分が多いのですね。御家庭でいろいろなことを体験してくる。場合によっては、おむつを外すとちょっとお尻にあざがある、ちょっとひっかき傷がある、この傷は何からだろう。ちょっとおなかがへこんでいる、おなかを下している、いろいろなものを感じ取って保育士はやっているわけですけれども、そういう中で現状としては、正直、手は足りません。やはり国基準では足らない分、各自治体の補助をいただいて増員をしているところもいいのですが、例えば現状として、1歳児のところを5対1でやっています、4対1でやっていますというような自治体もありますが、国基準の6対1では非常に足りない。まして今、2歳児から3歳児に上がる子ども達の成長というのは非常に微妙なものがあるわけですね。

そういう中で、本当にクラスにもう一人、もう二人の職員がいれば子ども達が次の段階に進めるのにという形では、もう少し支援をいただきたい。また、確かに保育士が今は足りなくて、そんなことを言って、君達大丈夫なのですかと逆に言われてしまうこともあるのですが、子どもの立場からいったら、保育士の増員というのは是非お願いしたいところだと思っております。ありがとうございます。

しろまる加賀美構成員

もう一点。そのことと関連するのですが、保育ソーシャルワークという言葉を使っておられた。さきの専門委員会の中では、保育所にソーシャルワーカーの設置をというようなことも提言の中にあったと思うのですが、そういったような観点についてどうかということと、もう一つ、保育所が家庭を補完するというレベルから、むしろ補完がすごく拡大していて、まさに代替というところまで進んできている家庭もおありなのではないかということも含めてお話をいただければと思います。

しろまる全国保育協議会(奥村副会長)

ソーシャルワークというところでは、子ども達の成長のみならず、保護者の精神面的なものを支える相談事業などもあります。子どもが集団生活をすると、必ず障害のお子さん、ボーダーのお子さん、いろいろなお子さんに気づきます。そういうお子さん達を早期発見したときにどのようにケアをするか、または保護者に伝えるか、または関係機関につなげるか。これは非常に難しくて、親の心情としては、自分の子どもが常に健常児であるという思いというのは絶対強いところでございます。そういう中で、ちょっとした些細な部分を伝えていかなくてはいけないというのが、この話術、または保護者とのコミュニケーションをとる中でもソーシャルワークというのは非常に大切ですし、また、職員間でこれをどう対応していくかというような先駆的な指導をしていくにも、このソーシャルワークというのが非常に大切でして、単純に保育士が資格を取っていれば何でもできるというわけではないわけですね。そういうリードしていただけるような専門性を考えた、または勉強した、または自分達で育てた職員がそういう立場として日々かかわっていくというのが必要だと思っております。

そして、そういうソーシャルワーカーの保護者へのかかわりが虐待を防ぐというのは非常に多いことでございます。先生が先ほど保育所が全部というような形でお話しされたように、今、保護者からは、保育所に本当に育てていただきました、おむつも食事も全部保育所で教わりました、認定こども園で教わりましたというのが現実的にも多いところです。

また、早い時期から利用されているお子さん達には好き嫌いなども少ないわけです。いろいろなものを食べる機会、いろいろなことに接する機会がありますから、そういう中では子ども達の成長のかなりの部分を保育所が担っている。また、言語の発達においても、やはり今の保護者はお子さんと話を進めるのが非常に苦手な方が多く、「どう遊んだらいいのですか」、「何を話したらいいのですか」といような保護者に対しても、子どもを育てることで逆に保護者にフィードバックして、「お子さん達は人間としてしゃべり始めましたよ」というところから愛着が湧く、「やっぱり可愛いわ」というようになる保護者も非常に多くおられます。そういうところを上手に進めていくのは、先ほど言ったソーシャルワークでもあれば、保育所が全部ある程度は賄っていって、上手に御家庭に返すというような役割も果たしているというのは事実だと思っております。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

では、最後に井上構成員。

しろまる井上構成員

井上です。

今、とても大事なところを言ってくださっていると思うのですが、先ほど質問にもありました社会的養育と社会的養護の違いが、まさにそれではないかなと思っています。社会的養育のところで保育所が今後担わなければいけない仕事は増えてくると思うのですけれども、質問を2点します。

1点は、ある市町村において15の保育所があったとします。公立が3、民間保育所が9、認可外保育所が3あったとします。この中で私達が考える、今言われましたような家庭的な養育ができる園だなと判断できる園が現時点で3施設あったとします。少し研修を積めば2施設ぐらい増えたとします。ここ直近の1〜2年でです。そのときに、15の施設のうちの5施設でそれができるとなったときに、とりあえずこの5施設に対して専門的なかかわりを増やして、そこに特別に金銭的なバックアップをするというような制度をしたときに、全体の15の園がそういった施設のことを認めることができるかどうかということを、今の段階での感覚で結構ですが、教えていただければと思います。

これを全体にしてしまうとものすごく時間がかかって大変になってしまうので、ある程度セレクトしたところをやっていかなければいけないというのが私達の今の考えなのですけれども、いかがでしょうか。

しろまる全国保育協議会(奥村副会長)

今のようなご例示の場合、公立園があった場合には、1つをモデル園というかセンター的な形として、そこを拠点として、いろいろな園の保育士がフォローに行く、またはスキルを持った職員達がフォローに行くというような形で行えれば、公立保育所の活用・役割発揮というところと考えていることもございます。また、公立がないところでは、やはり民間の中で主となるスペース的なものが確保されるところをセンター的に使わせていただいて、そのような研修等も含めたことをやっていくのが必要だと思っております。

しろまる奥山座長

申し訳ありません。司会の不手際なのですけれども、10分ほど延ばせるということなので、お二人の御質問を受けたいと思いますが、松本構成員からよろしくお願いします。

しろまる松本座長代理

松本です。

自立援助ホームの方にお伺いしたいと思います。

最初の資料のところでいくつかのタイプに分けておられます。これはこういうタイプ分けをしていくことが方向として大事だとおっしゃっているようにも聞こえたのですけれども、このことについてお伺いします。

実態として、例えば地域的にあまり多くない、その地域に1カ所というところも結構多いと思います。もう一つは、例えば就労しているけれども、途中で進学したいとか、進学しているけれども、やはり中退して働くとか、変化があると思うのです。そうすると、現実的には両方の子どもがいるということにならざるを得ないのではないかという気もするのですけれども、そういうことと、こういうタイプ分けをして制度を考えていくということと、どのようにもう少し踏み込んでお考えかということをお聞かせいただければと思います。

しろまる全国自立援助ホーム協議会(平井副会長)

ありがとうございます。

一応今回こういった形で機能分担というような感じで、A型、B型とかではないですけれども、おっしゃるとおり、現状の自立援助ホーム、120ぐらいあるのですが、大体のところはやはり混合型、昔からやられているところは就労型を中心にやられていると思いますが、先ほど私が申しましたように、やはり高校生とかで大学に行きたいという子もおります。また、高校に行っている子が今度は就労ということで中退してしまうということもございますので、はっきり言って、今の状況では混合型で行かざるを得ないのかなと。ましてや、もう一つは司法絡みの子もまだまだおります。これは今は委託措置になっているものですから、ほぼ児相の措置ということで入ってくる子が多いのですけれども、昔は、少年院から仮退院で来るとか、家裁で試験観察になって委託されてくるという子が今もまだおります。データでも見ていただければそうなのですけれども、児相の措置ということで、これは変な話ですが、措置費というかお金絡みもあるのですね。やはり今、措置費になって、1人につき月20万ぐらい措置費が入ってきます。家裁などはいまだに月14万ぐらいなのですね。そういったことの兼ね合いもあって、いろいろと自立援助ホームの入居対象も変化はしてきております。

そんな中で、松本先生がおっしゃるように、どうしていきたいかということなのですが、確かに就学型という部分、これはやはり先ほど申し上げたように高校生などは全日制がいますね。今までは18歳を超えた児相の保護された子どもは、児童養護施設は18歳を超えているものですから入れなかったのです。ですから、自立援助ホームが措置になって、それから特別育成費が出るようになったものですから、高校生の3年生の時点で退学して自立援助ホームというのは気の毒なものですから、そのまま高校生のまま、全日制のまま自立援助ホームに委託されて、そこから大学に行きたいとか、高校を卒業してきちんと正規の就労をしたいとか、そういった子も結構おりました。

ですから、本当にこれから先、やはりどういった形で自立援助ホームが、また、この自立援助ホームの質の向上ということで、今回いろいろと考えていただいているお金、予算も含めて、また、こういうシステムも含めて考えていただいている。

この中で我々も、この法改正の中身をきちんと精査した上で、協議会としてどういった持っていき方がいいのかというのは、はっきり言って、今まさに検討中なのです。申し訳ございません。ですから、構成員の皆様方でも自立援助ホームのあり方、私は先ほど申し上げたように、児童養護施設もこの22歳の年度末までという事業を今度立ち上げられるということで、そこら辺の機能分担も含めて、すみ分けも含めて、子ども達がどの道へ行けばベストなのかというようなことも考えながらやっていただければと思います。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

藤林構成員、手短によろしくお願いします。

しろまる藤林構成員

同じく自立援助ホームの就学型について1点と、もう一つ、2点お伺いしたいのですけれども、実際に就学ニーズの子どもさんで自立援助ホームにお願いしたいケースというのは本当に最近増えています。その場合、利用料をどうしたらいいのか、どうされているのかという現状をお話しいただきたいのと、実際に全日制高校に行っている子どもが利用料を払うというのはほぼ無理なので、中には利用料を取らないという考え方もあるのではないかと思います。その辺の考え方をお示しいただきたい。

もう一点。提案の中で退居後の賃貸住宅補助を書かれていると思うのですけれども、児相の現場では集団生活そのものが難しい子どもさんがいて、自立援助ホームに入所したけれども2日で出てしまったとかいう子どもさんもいらっしゃる。では、その子はひとりで暮らせるかというと、到底暮らせない。何とか生保をとってひとりで暮らしたり、住み込み就労をするけれども、うまくいかない。こういうことを考えると、単なる賃貸住宅補助だけではなくて、そこには「ケアつきの自立生活」というのもあるのではないかと思うのですけれども、その辺についてお考えがありましたら、お教えいただきたいです。

しろまる奥山座長

申し訳ありませんが、手短にお答えいただきますよう、お願いします。

しろまる全国自立援助ホーム(平井副会長)

それでは、手短に。

今、自立援助ホームで利用料を取っております。大体3万円から3万5,000円というのが相場です。確かにおっしゃるとおり、なかなか就労できない、働けない子、それと、高校生でアルバイトをしてもなかなか稼げない、ですから利用料を払えない。

先ほど申し上げたように、3万から3万5,000円の利用料で、払える子、払えない子というのは、やはり中の子ども達で不平等感が生じたりして、なかなか難しい部分があるのです。ですから、ホームによって違うと思います。それは一応いいよというところもあれば、シェルターはほとんどいいよという部分がありますが、自立援助ホームはやはりその利用料というか、最低限の生活費は入れてくださいということですので、その中で食事を提供したり光熱水費。今、措置費の中では一般生活費が先ほど言いました1万ちょっとです。それは本当に入所するときに布団を買ってあげたり、あと通常の日用品ですね。トイレットペーパーとかそういった部分に使ってしまうと、すぐなくなってしまう。ですから、食費なんかは1万では絶対に足りませんので、寮費を取らざるを得ない。そこら辺はどうしていくかなのですけれども、先ほど言いました一般生活費、そこを子ども達の状況によって少し色をつけてあげるとか、そういった部分が必要かなと思います。

もう一つはケアつきということがございました。本当に自立援助ホームの中で生活している部分ではいいですが、なかなか外へ出せない子も結構おります。ですから、そういった部分では、ちょっとワンステップさせるために、自立援助ホームの近くにアパート、もしくは公営住宅、市営とか県営の住宅で空きがあれば、そういったところを利用させていただいて、少しケアしていく、支援していくということが必要かなと思っております。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

限られた時間の中で非常によくおまとめいただきまして、目が開かれるような御発言も沢山ございまして、大変参考になりました。皆様どうもお忙しい中、ありがとうございました。今後ともまたいろいろとこちらから御質問させていただくこともあるかと存じますけれども、是非御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。本日は本当にありがとうございました。

(ヒアリング発表者交代)

しろまる奥山座長

引き続きまして、今、前の方にお越しいただくことになりますけれども、次のグループのヒアリングに入りたいと思います。

「非行」と向き合う親たちの会、Children s Views and Voices IFCAの日本ユースチームの方に来ていただいておりますので、お一方ずつ、10分ずつで申し訳ないのですけれども、御発表をお願いしたいと思います。

まず、「非行」と向き合う親たちの会の代表で、特定非営利活動法「非行克服支援センター」副理事長でもございます春野代表、よろしくお願いいたします。

しろまる「非行」と向き合う親たちの会(春野代表)

初めまして。こういう場所になれておりませんで、心臓が飛び出そうな思いでおります。今、紹介いただきました「非行」と向き合う親たちの会の代表の春野すみれといいます。

私達の会の活動の概要を初めにお話ししたいと思いますが、お手元には私達の月報をお配りしてありまして、後でゆっくり読んでいただけたらと思います。

私達の会は、1996年に結成されまして、今年でちょうど20年になります。会が誕生したきっかけというのは、大変恥ずかしいのですけれども、私の子どもが中学校に入ってから荒れ始めまして、大変悩み苦しみまして、自分自身の生活を保つことがぎりぎりの状態になりました。いろいろなところに相談したのですけれども、ぴんとくるような感触を得られず、同じような体験をした方と話がしたいということが始まりです。不登校の子を持つ親御さんの会のような非行の子の親の会はないものかと探したのですけれども、どうやらないということがわかりまして、声を上げました。

当時は、子どもの問題は自分の育て方の問題、夫婦の問題だという思いが強かったので、とても今日のようなこういう場に顔を出せる自分の状況ではありませんでした。今もその思いは消えているわけではないのですけれども、後に続く人達のためにも、少し勇気を出して発言もしていかなくてはならないかなと思っている次第です。

当初、数人で始めた会なのですけれども、今は、「非行」と向き合う親たちの会が正式名称で、通称あめあがりの会といいますが、この会の会員が約650人います。また、その他に全国各地に同様の会が、規模は小さいのですけれども30ほど生まれて、連絡会をつくって活動もしています。

主な活動は、その通信にもありますが、例会と呼んでいる親達の語り合いの場の設定です。ピアカウンセリング的な場になっていると思います。あめあがりの会では、現在は月に5回の例会を場所を変えて行っています。その中には、最初は10代だった子も数年後には20代に入り、成人になってまいります。成人になったからといって、もう問題はないというふうにはなりませんので、数年前から成人の子を持つ家族の例会というものもやっています。ほかに個別相談ですとか、その時々の関心に沿った学習会なども行っています。

では、どのような親が、どんな悩みを抱えて私達の会に参加してくるかをお話しします。非行ということがテーマですので、始まりの時期としては14151617歳あたりになります。つまり、思春期の子ども達です。内容としては、特にうちの会に来ている人達の特徴というものはないと思います。夜遊びから始まって、不良的なグループに入っていく子ですとか、万引きや薬物や振り込め詐欺、強盗、暴行、傷害、性犯罪、傷害致死の場合もありますし、女の子で言えば援助交際、風俗産業の問題、男女を問いませんが入れ墨の問題、さまざまな依存の問題など、一般的に言われている少年犯罪のほとんど全てが来ております。

この会に来た親達は、最初は本当に一様に年齢が10歳以上老けて見えます。子どもが事件を起こして親が自殺をしてしまうといったようなことも少なくありません。会員の中にも、話をしていくと、手首を切りました、要するに自殺未遂をしましたですね。車で崖っぷちまで走っていって思いとどまったというような話はたくさん出てきます。会にたどり着くことで、そのパニックになっている時期を乗り切って、不幸が連鎖していくことを実際に食いとどめているなということは大変実感しています。

今回の法改正でも、児童が家庭において心身とも健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならないということがありますけれども、私達の会に来る人達は、ひとり親も多いですし、病気を抱えたような方もいらっしゃいますが、それまで福祉のお世話にならずに暮らしてきた方が大半だと思います。そういう中で、福祉のお世話にならずに暮らしてきたのだけれども、今、子どもの問題の困難を抱えてしまったというような方達です。こういう人達は、公的機関の支援の対象にはなかなかなりにくく、本当に孤独に陥りがちだなと思っています。同じような経験をしてきたちょっと先輩の保護者達と出会って、うちもそうだったというような話を聞く中で、パニック状態ですとか、絶望の状態から抜け出て、そして、子どもと向き合う自分自身の力を持っていくというのですかね。そういう力を得ていく姿を私もたくさん見てきました。

相談の中では、この間、いろいろな事件もありましたが、例えば一刻も早く児童相談所に相談に行くようにということを個別の相談では私が勧めることも少なくないです。ただ、現状としては、児相で子どもを連れてくるようにというような無理なことを言われて、ちょっとそれはできなかったとか、今、虐待事案が多いので、その程度の非行のことにはかかわれないというような対応だったということは、少なからず実際にはありました。警察に相談に行っても、事件にならないとかかわれないということで、事件にならないようにと必死な親の思いと、実際の支援という点ではギャップを感じています。

親達が悩んでいるのは、例えば子どもが帰ってこないとか、何かよくわからないけれどもおかしいとか、そういう子どもの変化を親は敏感に感じて、とても不安になっています。こういう状態のときというのが、大きな事件が起きる手前には大体あるわけなのですけれども、そこのところで一緒に寄り添って考えてくれる人がいると、実際の事態というのはかなり変わると思います。そういう点では、なかなか非行の問題は、元気であるということもありますので、理解されていないなということを感じています。

思春期の子どもの変化の背景には、もちろん家庭の諸問題も少なくないのですけれども、それらに加えて、学校ですとか、友人関係ですとか、そういう中で子どもが自己肯定感をなくしてすさんでいくということがたくさんあります。子どもの変化を親達が敏感に感じたとしても、実はどうしていいかわからないと、そのような場合が多いです。私も参加して、数年前に子どもの非行で悩んだ親へのアンケート調査をしたのですけれども、その結果でも、ほとんどの親は、早く非行を止めたかったと答えています。しかし、同時に、どうしたらいいかわからなかったというのも本当に大半の方の答えでした。先ほども述べましたけれども、親自身が自分は価値のない人間だと思ったりしておりますし、死にたいと思ったことがあると回答したアンケートの回答では60%もありました。しかし、世間からは、そういう親も何もしないだめな親と見られたり、逆に文句ばかり言うモンスターと言われたりしていることもあります。親のこういう状態を理解できる相談員や支援機関が身近にあったら、最近起きているような大きな悲惨な事件はもちろん、非行の問題はさらに減っていくのではないかと思っています。

こういう子ども達や親達が立ち直っていく過程ではどのような困難があるのか、アンケートの他に子ども達自身へのインタビューもしましたので、その結果も踏まえつつ簡単にお話ししたいと思います。

思春期の子ども達が荒れていく背景には、やはり大人不信、人間不信があると思います。親から離れていく時期でもありますので、子どもにとっては、親の評価よりも他人の評価がとても気になる時期です。ですから、立ち直った非行少年達の話からも、かつていじめの被害者だったという経験がある子も少なくありませんでした。学校からはみ出したとき、その時期で親の叱責というのは本当に効果がないわけですけれども、ただ、親だけが褒めても、子ども達は肯定的に自分を受けとめることができない。やはり第三者とのよき出会いが重要だと思っています。

少年院に送致された少年達は、大変強がっている子ども達でも、少年院送致という処分を言い渡されたときに、人生終わったと絶望を感じて涙が出たということをほとんどの子が語っています。しかし、少年院で初めて信頼できる大人に出会った、初めて褒めてもらった、勉強の楽しさを始めて知った。そういうことも大半の子が語ってくれました。

親も少年院の中での子どもの変化を感じて、最初はこんなところに子どもを入れてしまったというショックを感じつつも、最終的には入れてよかったと思うということを答えています。ただ、その期間、親は何の支援もなく、どのように何を学んでいったらいいのかわからず、出てきてからのことが不安でならなかったということも言っています。少年院に限りませんけれども、児童自立支援施設などの施設でも、やはり出てからの環境調整の課題がとても重要ですので、こういう点では司法と福祉が連携して、子どもと家族を守って支援していく体制を検討していただけたらと思っています。

あとは、子ども達も少年院を出院した後の社会の受け入れ体制というのはやはり不十分です。例えば出院した子どもの中には、親がいたとしても親元に帰ることがいいとは言えない場合もありますし、そういう相談を受けても、生活の場を確保するということは大変困難な状態です。そういう子ども達は、早くから学校から落ちこぼれていますので、学歴も仕事の経験もないし、ブランクの期間が逆にあるというような子どもで、スムーズに同世代のよきグループというか、よき仲間に入っていくことは難しくて、よい大人とめぐり会う機会というのもなかなかありません。ですから、再非行や再犯を防ぐ上でも、やり直しをしようとする子ども達の、先ほど議論になっておりましたが、居場所とか生活の場となるような施設を是非充実していただけたらなということを感じています。

いろいろな事情から子ども達、1819ぐらいから、自分の生き方はこれでいいのかなということを考えるようになっていきます。そういう時点で、子ども達に立ち直る上で障害になったことは何かと尋ねましたら、一般常識を知らなかったということを言っていますので、ここからやり直す、本当にゼロからやり直すみたいなことが比較的10代後半から行われることがあるのではないかと思います。そういう彼らが気おくれしないで相談できるような、そういう相談窓口や制度をつくっていただきたいと思っています。

以上です。

しろまる奥山座長

どうもありがとうございました。すみません、急がせて申し訳ありませんでした。

引き続きまして、Children s Views and Voices の中村副代表、よろしくお願いいたします。

しろまるCVV(中村副代表)

私もすごく緊張していますが、今の10分でちょっと気持ちがほぐれたような気がします。

CVVの副代表をしています中村といいます。

2001年に大阪で児童養護施設経験者5名と立ち上げたグループです。このCVVで日々かかわっている若者とか、施設で生活している子ども達の声を聞く中で、皆さんにお伝えできることがあるのではないかなと思いまして、今日、参加させていただきました。

子ども達が今、どんな思いで里親家庭や乳児院、児童養護施設で生活しているのかということと、困っていることとか、今いじめられていることとか、不安や恐怖に感じることはどういうことなのだろう。それを聞く大人がいるのかなということを考えています。というのも、CVVに参加する若者達が、やはりそういう気持ちを聞いてもらえなかったということをみんな口々に言いますので、その辺の子どもの権利が主体になったという部分では、何かこの制度で、今生活している子ども達の声を支援者に伝えることはできないのかなということも思って、提案もさせていただけたらと思っています。

まず1つは、この制度をつくっていく上で、社会的養護経験者の声の反映をさせることができないのかなと。具体的には委員会とかに当事者の参加というのができないのかということを検討していただけたらと思っています。今日も午後から参加させていただいていたのですが、たくさん検討事項があるということで、制度づくりは簡単ではないとわかっていますが、だからこそ、子どもの視点というのが見過ごされてしまう事もあると思います。皆さんもちろん子どものことを考えておられての発言だと思うのですが、その辺を経験者が代弁するということができるのではないかと思っています。

2つ目は、子どもの最善の利益の代弁者の確保というところです。やはり子ども達の中には、自分自身で声を上げて、自分はこういうことは嫌だということは言えずにいます。大人の助けは絶対に必要だと思っています。特に保護者や親権者と意見が対立する、例えば、私は施設に入りたくない、おうちにいたいとか、おうちから出たいというような対立する思いであったり、あとは児童相談所との対立です。もうこのまま里親家庭とか施設にはいたくないという思いや、まだまだもっと継続して過ごしたいという気持ちがあります。そういう気持ちを、その子ども達の意見に寄り添って、その意見を「一緒に、じゃ、この人に言ってみよう」という役割を果たしている人は、多分いないと言うとちょっと語弊があるかもしれないですが、特に一時保護をされたときとか、施設や里親家庭に措置されたときに気持ちに寄り添ってくれる大人がいないのではと感じています。ですので、そのような措置の部分や一時保護の部分で全ての子ども達が寄り添って、自分達の声を児童相談所のワーカーや親権者、保護者に一緒に伝えてくれる大人の存在ということを是非創設していただけたらいいかなと思っています。

次のページに、アドボカシー制度の創設というので視点を2つ用意しています。1つは、日々の生活の中で子どもの声を聞く仕組みです。やはり養育者に言えないこと、里親にも施設職員にも言えないことがたくさんあると思います。そこを日々のかかわりの中で第三者がきっちり聞いてあげるということが必要かなと思います。これは後の自立につながっていくのですが、自分の気持ちを言う、聞いてくれる人がいるという関係性ができていくという経験をすると、自立をして困ったときに人に相談するという経験につながっていくと思っています。日々の生活の中で、同室の子とどうしてもうまくいかないとか、職員や里親に伝えたいことが言える、聞いてくれる大人で、なおかつ利害関係がない人がいいと思います。養育者や施設長に直接言うというのは実質難しいかなと思っています。

あと、特に一時保護をされるという状況であったり、措置されるというときに、弁護士の関与ということが必要ではないかと思っています。全ての子どもに弁護士さんがいて、特に親権者との対立とか、児童相談所の対立とかは、特に子どもだけで立ち向かえない部分で、なおかつ専門的な支援が必要な部分だと思います。そういう時には弁護士の支援が必要です。弁護士の方から頂いたアドバイスですが、国選少年付添人制度とか国選弁護人とかがあるよという話から、社会的養護のもとで生活する子どもたちにそのような力強いサポートがあるといいという思いで挙げさせていただいています。継続的なかかわりということで、保護されたその瞬間だけではなくて、継続的に自立していくという部分も含めたかかわりをしていただけたらと思っています。

もう一つ、よく聞かれるのが、小規模化したら子ども達は大人に意見を言いやすくなるとか、子どもの意見を聞きやすくなるということを聞くのですが、そうでもないかなというのが私の意見です。大人に聞く準備があるか、体制があるかということもすごく大きくかかわってくるかなと思っています。

3つ目が、自立支援の拡充です。先ほども自立援助ホームの方からお話があったと思いますが、やはり孤独、孤立感とか、金銭管理、人間関係に困っている若者は本当に多いです。窓口をつくって、ここに行きなさいと言って行く若者はあまりいないです。やはり寄り添い型支援、パーソナルサポートというような支援。説教をされず、とにかくしっかり聞いてくれる、具体的なガイドラインをもとに、「じゃ、こうしようか」と寄り添ってかかわってくれる大人がいないと、なかなか窓口を設置しても利用が難しいかなと思っています。また、東京だったらこういうサービスがあるけれども、大阪にはサービスがないというような自治体間格差というのはすごくあると感じています。島根県で育っても、北海道で育っても、同じようなサービスが受けられるようにしていただけたらと思います。

今、施設や里親家庭から出た後、バトンを渡す先がない。自立援助ホームだけとなってしまうと、孤立してしまったり、悩みを言えないという若者もでてきます。皆さんも御存じかもしれないですが、経験者の中には、人間関係を簡単に切ってしまう方もいます。うまくいかなかったらとりあえず連絡先を全部変えてしまうとか、切っていく人間関係を取ってしまいますので、そうではない人間関係のつくり方、寄り添い型支援というサポートがあればいいなと思います。当事者団体が全てができるわけではないのですが、この辺のかかわりは御協力できるのではないかと思っています。

自立支援の住まいの確保についてですが、CVVの参加者の中には、自立援助ホームでどうしてもうまくいかなくなったとか、住居つきの就職をしても仕事をやめてしまって、すぐに寮から出ないといけないという若者がいます。そのときに、食べ物は提供できるのですが、おうちは突然提供できないので深刻な状況になります。先ほどお話がありましたけれども、市営住宅とか公営住宅を一時的に貸していただけたり、CVV

経験者の話し合いの中では、同じアパートにいろいろな社会的養護経験者が住んでいる、この人に聞いたらサポートを得られるらしいといった、ケア付きとまではいかないですが、つながりのある住宅があるといいかなという話がでました。具体的には、公営住宅とか、どこのエリアに住んでいても利用できるようなサービスは必要かなと思っています。

最後ですが、これは是非していただきたいと思うのですが、とにかく児童相談所のケースワーカーと子どもの面会回数を増やして欲しいと思います。現在では、特に悪いことをしていないと、1年に1回ぐらい会いに来るとか、多くて1年に2回。私は児童養護施設ではすごくいい子でしたので、児童相談所のワーカーと会ったと記憶しているのは1回だけです。お父さんが亡くなったときだけです。さすがに現在はないと思いますがやはり現状で1年に1回、1年に2回となると、誰に自分の気持ちを言えばいいのかとか、自分の将来の不安とかを誰にも言えないということがあると思います。ここは何とかできないかなとお願いしたいと思っています。

声を下に載せていますので、またお読みいただけたらと思います。

以上です。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

続きまして、IFCA(International Foster Care Alliance)の日本ユースチームの山之内さんと佐藤さん、よろしくお願いいたします。

しろまるIFCA(山之内さん)

皆さん、こんにちは。この度はこのような場にお招きいただき、そして、複数での発言の機会をいただき、ありがとうございます。

私達は、日米共同の社会的養護の当事者団体のInternational Foster Care Alliance(IFCA)と申します。グローバルなレベルでの児童福祉の改善を目指し、ユース・ボイスを通して活動しています。資料6の39ページから私達の資料があります。本日は時間も限られているので、それぞれから特にお伝えしたいことだけを話しますが、ほかの項目についても是非御一読ください。

自己紹介が遅れましたが、私は、IFCA東京ユースの山之内歩といいます。現在、21歳で、大学で数学を主に勉強しています。私は、生まれてから乳児院と2カ所の児童養護施設で過ごし、小学1年生の夏から現在に至るまで約15年間、里親のもとで生活しています。私は20歳になるまで措置延長をしてもらいました。これから私の経験を通してお話しさせていただきます。

2ページの当事者のケアの参画の一時保護の7番に関してですけれども、里親さんと措置児が必ずしもうまくいくというわけではなくて、やはりどうしても里親さんとの関係がうまくいかなかったりとか、生活しづらいというときに、そうなった場合は大体施設に戻されたりとか、一時保護に戻ってということが基本的にあると思うのですけれども、ただそれだけではなくて、本当に里親さんと離れてみて初めてその里親さんのよさ、大切さとか重要さに気づくということがあると思うのです。そういうときに、もう一度その里親さんのもとに戻ってやり直しをする、生活するということも一つ選択肢としてあるといいのかなと思っていて、実際、私自身がそういう経験をしたわけではないのですけれども、近くに住む子がそういう経験をしていて、そのときはその子は戻ってこられて、戻ってみて本当に生き生きとしてまた生活できたということもあったので、施設に戻るというだけではなくて、1回本当に離れてみて、クールダウンをさせて、また戻って生活するという方法もあるのかなと思います。

それから、措置中に関してなのですけれども、5番の生みの親についての共通理解ということで、そもそも自分の生みの親に対して知らないことが多かったりとか、私達里子であったり、施設で生活していてそれを知らない、または里親さんすらそのことをきちんと聞いていない、わかっていないという状況がよくあります。それに対して、本当に生みの親と会いたいのかどうか。自分は会いたいけれども里親さんが会わせたくないとか、児童養護施設の職員から会ったほうがいいとか、会わないほうがいいとかと言われたりして、自分自身にかかわることなのに、大人に、里親さんであったり担当の職員によって、させられたり、または拒絶されたりということがあります。それに関して共通理解と、本当にどうしていきたいのか、子どもの意見をきちんと聞くということが大事なのかなと思います。

あと、簡単に措置延長に関してなのですけれども、私自身、10月頃に大学が決まって、その頃から措置延長を20歳になるまでしてくれないかと児相に頼みました。実際はすぐにオーケーはもらえませんでした。というのも、高校がアルバイト禁止で所持金、高校卒業後に自立するためのお金がなかったという以外は特に措置延長する理由がないということで、かたくなに断られて、進学支度金が出るからそれを使って大学生活を送りながら自立しろとか、ひどいときは本当に大学を休学してアルバイトをして、お金を稼いでまた復学して大学に行って勉強しろとか、そういうことを言われて、結局3月末、高校を卒業した後に措置延長が認められました。その措置延長というのも、最初は1カ月ごととか、2カ月に1回ヒアリング担当の人と会って、また措置延長を続けるのかどうかを検討していくという感じで、20歳という許可は出ずに、それも何度もお願いして、結局1年ごとの更新ということで、1年間たってもう一度またお願いして20歳になるまでという、結局何回も担当の職員と会って措置延長に関してどうかというのを話し合いました。

それも、ただ特に理由がないからというだけで措置延長を最初は断られていたのですけれども、そうではなくて、希望する全ての子ども達が措置延長を認められて、また、苦しい状況の子どもこそが措置延長を必要としていますので、そういった子ども達に対して支援、措置延長の許可を出していただければいいのかなと思っています。

また、措置延長だけではなくて、措置延長しない場合にも措置延長の分の費用というのを自立生活に使えるような選択肢であったりとか、支度金の金額を少し多くしたりとか、各都道府県によって支度金プラスアルファで上乗せされる金額も違っていて、東京だと少し多いとは思うのですけれども、東京だから多いというのもある意味差別、格差にはなっていて、もともと皆マイナスのスタートを始めているのに、さらにその中でも東京だから少し多く余裕を持って自立できるとか、他の県だから少し苦労するということはなくて、本当にどの県であっても、誰であっても皆が平等に自立に向かって生活できるような体制ができればいいのかなと思っています。

私の方からは以上です。

しろまるIFCA(佐藤さん)

皆さん、こんにちは。私の名前は佐藤智洋と申します。児童養護施設で15歳から19歳までの4年間を過ごしました。現在22歳で、奨学金をいただき、大学に通っています。私は、IFCAで日本チームのユースリーダーとして現在活動させていただいております。

私は、自分の児童養護施設で暮らした経験を通して、社会的養護の中で子どもの声、つまり当事者の声が大切にされていないと感じることが多くありました。お手元の資料で、措置、インケア、アフターケアと分けて当事者参画について書かせていただいておりますが、本日はお時間の関係上、自分の社会的養護の経験の中で最も苦労した2点に焦点を当ててお話しさせていただきたいと思います。

まず初めにお話しさせていただきたいのは、措置についてです。お手元の資料の「1)自身のケアへの参画」、「一時保護・措置」の2に書いてあるとおり、私は親権に振り回され、児童相談所に保護されてから施設に正式に措置されるまで、長い時間がかかりました。また、正式に措置するために必要だからと、ある日突然児童相談所に呼び出され、実親と面会させられたこともありました。

そして、もう一つ、これは感情的な話なのですけれども、私は一時保護という言葉を非常に怖く感じていました。一時ということは、もしかしたらまた実親のもとに戻されてしまうのではないかという気持ちになってしまい、いつまで一時保護が続くのだろう、いつになったら私は施設にいる他の子ども達と同じように措置という言葉でここに住む許可をもらえるのだろうというふうにすごく悩んでいました。

確かに親権は子どもと親にとって非常に大切なつながりだと思いますが、私のケースは虐待で保護されたケースなのですけれども、私達のように虐待で保護された場合は、そのつながりが命の危険にかかわることがあります。私は、この措置と一時保護の間で何でこんなに長い時間がかかったのか、児童相談所の方にお伺いしたところ、やはり親権の問題があって、なかなかあなたのことをすぐに措置することができないというふうに、いつも親権親権ということを言葉質をとられたかのように毎日毎日言われていたので、本当にすごく親権というものが必要なものなのかどうかわからず、怖かった覚えがあります。

もちろん簡単に判断できることではありませんが、身体的にも精神的にも子どもに安心できる環境を整えるために、今、子ども自身がどういう状況に陥っているのかをしっかりと説明して、そして、その子がどうしていきたいのかという意見を聞いて、大人達だけでその子の将来を判断することのないように、当事者自身も巻き込んで、どのようにしていくのかを決めていただければと思います。

次に、資料の「2)自身の「自立」への参画」の5に書いてある措置解除後のお話について、お話しさせていただきます。私は、措置解除後の親からの保護の面でも非常に苦労をしました。なぜこのような事態になったのかというと、卒園を控えたある日に、私自身もあまり福祉司の方と面会したことがなくて、1年に1回くらい、たまにいらっしゃるという感覚だったのですけれども、ある日お電話があって、福祉司の方から、規則にのっとって、あなたがどの大学に合格したのか実親に伝えさせていただきましたというふうに、それだけ言われて電話を切られてしまったので、私は大学を親に教えられてしまったのだということですごく怖くなってしまって、もし大学の帰り道とかで待ち伏せされていたらどうしようとか、尾行されて自分の家を知られてしまったらどうしようというふうに本当に毎日怖くて、施設を出てからの1カ月間は毎日いつも夜帰るとき、後ろを振り返りながら帰っておりました。

また、自分の身を守るために住居が特定されないように、戸籍謄本、住民票の閲覧制限を自分自身でかける必要性が出てきてしまいました。児童相談所の管轄から離れてしまうと、自分が虐待で保護された児童ではなくなってしまうので、自分で閲覧制限をかけるために役所に行って手続をしなければなりません。その場合は、児童相談所からの書類は効果がなくなってしまうので、自分で警察に行って被害届を提出して、自分はこういう状況なので閲覧制限が必要ですという旨の書類を作成していただく必要性があります。学生であっても日中に時間をつくるのは非常に難しいものがありまして、毎年4月に、1年でその閲覧制限更新をかけなければいけないので、新学期が始まってばたばたしている中で時間をつくらなければならず、非常に苦労しています。

私は、このような事態が起こらないためにも、施設の退所を控えた子どもと個人情報や進路、各役所の手続をどうしていくのかなどを話し合う会議を持ち、事前にその子がどう生きていきたいのか、どういったサポートが必要になるのかなど、その子を交えて話し合っていただき、本人の知らないところで情報が開示されることのないようにしていただきたいと思います。

申し訳ございません。時間が過ぎてしまっているのですけれども、最後に1点。私達IFCAは、当事者ユースは社会的養護のエキスパートであると考えています。「3)措置解除後の当事者参画」の1に書かせていただいたのですけれども、制度策定のプロセスに当事者の声を反映させていただきたいと思っております。例えば委員や構成員として当事者を巻き込んで、社会的養護というものを一緒に改革させていただければと思っております。

最後になりますが、本日はこのような貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

では、時間が予定より10分も過ぎてしまったのですけれども、あと10分ということで、どうでしょうか。御意見あるいは御質問ございますでしょうか。

今、飛行機の時間で帰られた藤林先生からの一言。「司法関与としてアドボケーターが必要である。」これはみんなの意見として考えましょうというお話でした。

ということで、いかがでしょうか。

では、皆さんがお考えになっている間に私の方から、「非行」と向き合う親たちの会の方に御質問させていただきたいと思うのですけれども、私自身も結構患者さんの中に、いつ何どき大事件を起こすのではないかというお子さんがいます。私達のような子どもの心理をやっている者は大抵そのようなお子さんを抱えています。地域の方と連携して、何かあったとき親御さんが駆け込む場所、そして、警察と児相とうまくつながってというのネットをつくりたいのですけれども、実を言うと、つくれるときもありますが、つくれないときも多くあるのです。

予防ということを先ほどおっしゃったのですけれども、親御さんたちの中で、どういうことがあったらもっとよくできたのにということがあるのか、是非教えていただければと思います。

しろまる「非行」と向き合う親たちの会(春野代表)

ありがとうございます。

それぞれ多分個性も違いますし、いろいろ違いはあると思うのですが、今、全体に親自身が少子化の中で育てられていまして、そういう点では子育ての経験というか、子どもにかかわる経験というのがとても少なくて、やはり私が相談を受けていても、学校の競争社会の中にかなり影響を受けてしまっていると思います。ですから、体での虐待でなくても、しつけと称した厳しい学習へのそういうものとかもたくさんありまして、やはり早いうちに予防的にということで言えば、そういった少年達の思春期の問題ですとか、子どもの育ちの問題ですとか、親が手放す時期、自立の時期というのがあるのだということとか、そういうことについて親自身が学んできた経験というのがほとんどないのです。ですから、そういったことを学べるような機会、いい学校に入って、少しでもいい生活をしてということでないことができたらいいなと思います。

しろまる奥山座長

ありがとうございます。

いかがでしょうか。

しろまる松本座長代理

松本といいます。

CVVの方とIFCAの方にそれぞれお伺いしたいのです。

本当に具体的にいろいろなことをおまとめいただいて大変ありがたいと思っています。日頃から本当にこういうことをよくお考えで、どうしたらいいかということも含めてお考えになっているということが大変よくわかりました。大変勉強になりました。ありがとうございました。

それで、2つの団体から似たようなことがいくつか出てきたと思うのです。その中で参画を保障するアドボケイトの問題がありました。私の考えで、一つは、やはり身近で寄り添ってくれる人、もう一つは、公的機関が公的機関としてきちんと責任を果たせるような司法の問題も含めて両方が必要なのかなと思っているのですけれども、そういうアドボケイトをする人が身につけておくべき必要なこと、あるいはどういう人がそれにふさわしいかというようなこと。それはどんなことでも結構です。資格要件でもいいですし、所属でもいいですし、あるいはこういう人であってほしいということでもいいですけれども、お考えのことがきっとおありでしょうから、教えていただけませんでしょうか。

しろまるCVV(中村副代表)

では、中村から先にお話しさせていただくと、私の資料の次のページ、35ページから「児童福祉施設への訪問アドボケイト導入研究の概要と提言」という、この研究会にCVVも参加させていただいています。その中で、実際に今、施設で生活している子ども達の年齢別にも聞き取り調査をしていて、まさしく松本先生が今おっしゃったような項目で質問を投げかけています。優しい人とか、よく話を聞いてくれる人という項目の中に、同じような経験をしている人もいてくれるといいなということが子ども達の声として上がっていますし、私も、とにかく説教をせずに聞いてくれる人をと、私の個人的な考えとしては思います。

しろまるIFCA(山之内さん)

私達IFCAは、日本だけではなくてアメリカにも支部があって、アメリカにもユースがいるのですけれども、アメリカのユースの中では、IFCAを通して知ってきたこと、発言したことというのを、似たような自立援助ホームみたいなところで働くというユースもいまして、そういう中で実際に経験をした若者達が構成員であったり、そういう機関の中に一人でもいればいいのかなと思います。そういう人だからこそ安心して言えることもありますし、ただ専門的なことを知っている人と実際に経験してきた人に話すのであれば、私からすると経験した人のほうが共感してもらえるところはあるのかなと思うので、そういう人がいるといいのかなと思います。

しろまる奥山座長

松本構成員。

しろまる松本座長代理

その人と、具体的に例えばどの程度、どういう形で話ができるといいか、具体的な形です。あるいはその人達はどういうところに所属をしているといいのかということも含めて、何か考えていることがあればお聞かせください。

しろまるCVV(中村副代表)

すみません、私から。

質問が飛んでしまいました。

しろまる松本座長代理

例えば児童相談所のワーカーがもうちょっと関与しろという話がありましたね。一方で、やはり児相のワーカーには言いにくいこともあるということで、施設の職員ももうちょっときちんと話を聞かないといけないと思うけれども、一方で、施設の職員に言いにくいこともあるというときに、第三の利害関係のない人で、かつ代弁のできる人ということと、もう一つ、そういう人がきちんと代弁をしたときに受けとめてくれるような公的なセクターと両方要るのだと思うのです。そういうことがお話を聞いていて私は大変勉強になったのですけれども、どのようなところにいるといいのかなとか、どういうふうに社会で、こういう人ですねと認められるといいのかなということです。それでお考えがあればということです。

しろまるCVV(中村副代表)

二度も言っていただいてすみません。

私は、やはりきっちりした団体に所属しているというところで、行政機関とかでもいいのかなとは思いますが、多分実際は公的機関がそれを担うというのは難しいかなと思っています。そうなると民間の団体で子どもの権利であるとかをきっちりこれまで研究されてきたり、今まさにそのような活動をされている団体にアドボケイトが所属しているということが、最低限でもお願いしたいと思っています。

しろまる奥山座長

いかがですか。

しろまるIFCA(佐藤さん)

IFCAは日米共同の団体ですので、必ず毎年日本のユースがアメリカに行って、アメリカのユースが日本に来るということをやっているのですけれども、私達が渡米した際に、そういったアドボケイトのいわゆるスペシャリストの団体といいますか、CASAという団体がございまして、Court Appointed Special Advocateという団体なのですけれども、13歳以下の子どもにつく、いわゆる代弁人といいますか、そういった団体がございます。そちらが多分団体をつくる上で基盤として考えられるものなのかと思うのですけれども、そのように団体を設立して、それがワシントン州にある団体なのですが、そこに入るためには、誰でもなれるのですけれども、ちゃんとレクチャーを受けて、テストを受けて、バックグラウンドチェックも受けてという形できちんとした資格として認められているものですので、資格としてつくるとなかなか難しいかと思うのですけれども、一定の例えば何か勉強会に参加したりとか、そのような制度を設けて、CASAのような団体としてアドボケイトを助ける団体をつくるのが一番シンプルな形でわかりやすく、子ども達にも、私達はこういう団体で、このようなことをしているので、あなたの話をちゃんと聞けますよというふうに、子どもにとっても安心できる形になるのではないかと思います。

しろまる奥山座長

ありがとうございます。

上鹿渡構成員、お願いします。

しろまる上鹿渡構成員

今日はありがとうございました。上鹿渡といいます。

両団体に伺いたいのですけれども、お二方とも制度への社会的養護者の声の反映の必要性について述べられたと思います。両団体とも海外の団体とのやりとりがあったり、様々な事情、日本以外の社会的養護経験者がこういった場面でどう活躍されているかということを聞いたりするなかで、今日この場に来ていただきその役割を日本で果たすという思いでお話ししてくださったと思います。それぞれの団体で関係のある海外ユースの役割、特にこういった制度を検討するにあたっての取り組みについて具体的に何かあれば教えていただければと思います。

しろまるIFCA(山之内さん)

アメリカでは、御存じのとおり社会的養護についてそういうのが進んでいると認識されているというか、意識されていると思うのですけれども、やはりそれなりの歴史があって、最初は本当に小さな団体から始まっていると思うのですけれども、それが何百年も続いて今のような形ができていて、当事者だから発言すればいいというものでもないし、やはりそれなりの準備は必要ですし、本当に何がいいたいのかとかを伝えるためにどうすればいいのかというのが、アメリカの当事者団体の中でもそういうのがあります。

一つ紹介したいのは、ストラテジック・シェアリングというリーダーシップになるための必要不可欠なものがありまして、当事者団体、そういう団体に入るときに、必ずそういうストラテジック・シェアリングの勉強をして、発表するためにどうすればいいのか、何をしゃべればいいのか、具体的に誰に対して話すのかとか、目的は何なのかとか、そういうのをきちんと勉強して、しゃべるためにはどうすればいいのか。例えば結構話しているとつらくなってしまったりということがあるではないですか。誰にも言えないことというか、つらい体験をしてきたこと、そういうのをどうやって伝えていくのか、どのようにしゃべればいいのかというのをきちんと勉強して、そういう団体に入ってからそういう勉強をすることができるので、日本にもそういう制度、仕組みというのがあればいいのかなと思います。

しろまるCVV(中村副代表)

CVVの設立のベースはカナダのユースとの交流というのがありました。そこから経験者同士でしゃべれる場ということで設立にいたりました。カナダも州によって異なるのですが、必ずユースの参画が制度を考えるときには必要であったり、あと、オーストラリアも大きなクリエートという団体がありまして、そこが必ずその政策にかかわりますし、当事者団体といっても全国的な里親組織であったりとか、そのような支援機関の団体とか、いろいろな関係団体が協議して、サインをするというシステムが構築されています。イギリスも当事者の声の運動というのが歴史的にあります。いまお伝えした国では、制度に声を反映させていくということが取り組まれていると思います。

しろまる奥山座長

他にいかがでしょうか。

では、伊達構成員、その次が相澤構成員。

しろまる伊達構成員

両方の団体の人にお聞きしたいのですけれども、先程里親さんでうまくいかなかったときに、もう一回同じ里親さんに戻れるような道筋みたいなものもあるのではないかというお話がありました。私は施設ですけれども、施設でも同じようなことがあって、例えばうまくいかなくなったときに、結局その判断をするときに、本人達がどう考えているかという判断ではなくて、例えば虐待めいたことがあったのではないかとか、そういう判断の中から次の場所に移されてしまうということが今、起きているような気がしています。だとすると、当事者の人達というのは、仲直りの線というか、そのような考え方は結構大事ではないかと思っておられるのでしょうか。そこら辺を聞かせていただきたいと思います。

しろまるIFCA(佐藤さん)

私は施設にいたのですけれども、もちろん施設という毎日同じ人と過ごす環境ではあるので、私は結構いい子だったと自分では思うのですが、あまり施設を出たいとか出てください話は聞いたことがなかったですけれども、もちろん施設との関係がうまくいかなくて途中でいなくなる子というのは何人かいたと思うのですが、仲直りといいますか、やはりどんな人間関係においても距離を置くことは大切なときがあると思うのです。ですが、里親さんも施設も含め、距離を置く場所がそもそも今ない状態で、例えば中間の施設といいますか、ちょっと大変だから1週間だけあなたはここで生活をして、これからのことをゆっくり考えましょうということができる場所がそもそもないので、施設が嫌なら出ていってください、一回児相に戻しますという形で、本当に一回嫌だと言ったら、すぐ、はい、さようならという状態になってしまっていると私はすごく感じていたので、お答えになっているかどうかわからないのですけれども、私は、距離を置ける場所をつくっていただけたらなというのはすごく感じていました。

やはり私も、いい子でいなければいけないと思っていたので、どうしても疲れてしまうときがあって、職員に余り文句を言ってはいけない、嫌なことは我慢しなければいけないということがあったので、そのように気軽に使える距離を置ける場所というものがあれば、私ももう少し楽に施設でも生活できたのかなと思います。

しろまる奥山座長

ありがとうございます。

では、相澤構成員、最後によろしくお願いします。

しろまる相澤構成員

今日はどうもありがとうございました。

当事者グループで、10年ぐらい前は数としてはそんなに多くなかったと思うのですけれども、最近は少しずつ増えてこられて、全国的にそういう当事者団体の組織があるのかどうかということと、ないのであれば、そういう当事者団体の組織は必要なのかどうか、というのこともお聞かせいただけたらありがたいなと。というのは、やはり当事者の声というのはすごく大切なので、当事者同士が集まっていろいろな議論をする場みたいなものがあってもいいのではないかと私はずっと前から思っていまして、その辺のことについての御意見をいただければなと。

しろまる奥山座長

いかがでしょうか。

CVVの方から。

しろまるCVV(中村副代表)

全国組織の様な団体はあります。しかし、十分に当事者の声を反映させるような仕組みとして機能していないかと思います。CVVはその組織を脱退しましたが、改めて横のつながりを作っていくことの必要性、全国の組織を再度作っていきたいという思いが個人的にはあります。

IFCAの方は。

しろまるIFCA(山之内さん)

私自身も実際に中村さんと会って、そういう活動の一歩をしたことがあったのですけれども、やはりどの団体にもそれぞれの方向性があって、結局いくつかがまとまると、みんな方向性が違うものだからこそ、ちょっとうまくいかないということがあって、それこそ抜けてしまったり、そういうことも起きてしまうので、つくればいいというのもまた難しいのです。あればいいかなとは思うのですけれども、なかなか難しいのが現状かと思います。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

本日はとても貴重なお話を伺わせていただいたと思います。またいろいろとこちらからお伺いをするとか、御意見を伺うこともあると思います。そのときにはどうぞよろしくお願いいたします。本当に今日はどうもありがとうございました。

しろまるIFCA(山之内さん)

すみません、1点だけいいですか。

直接これには関係ないのですけれども、先ほど配らせていただいた「すけっち」という番組についてなのですけれども、「すけっち」というのはテレビ東京の番組なのですが、今日、今週のテーマが養育里親に関するテーマで放送されて、実際、私と里親さん、お母さんがテレビに出るので、もしよければということでお配りさせていただきました。時間が今週だけ変わっていて、午後1048分からなのですけれども、もしよければ見ていただければと思います。すみません。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。

座長の不手際で長々と延びてしまいましたが、これで今回の会議を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

では、事務局の方にお返しします。

しろまる事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

どうもありがとうございました。

次回につきましては、1021日金曜日の9時半から12時半まで3時間を予定しております。今回と同じように関係団体の方のヒアリングと、個別の論点に関する議論をしていただきたいと思っております。

あと、会議後回収と書いてあります資料だけは置いて帰っていただきますようによろしくお願いいたします。

私の方からは以上でございます。

しろまる奥山座長

ありがとうございました。


(了)

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