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2016年1月7日 社会保障審議会児童部会保育専門委員会(第2回)

雇用均等・児童家庭局

しろまる日時

2016年1月7日(木)13:30〜15:30


しろまる場所

中央合同庁舎第5号館 12階 専用第14会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


しろまる出席者

委員

汐見座長 秋田委員 安達委員 大方委員 岡村委員 木戸委員 清水委員 鈴木委員 (砂上委員 寺田委員 橋本委員 松井委員 三代川委員 村松委員 山縣委員 和田委員)

事務局

朝川保育課長 楠目企画官 里平課長補佐
加藤課長補佐 馬場保育指導専門官

しろまる議題

(1)乳児保育、3歳未満児の保育について
(2)その他

しろまる議事

議事

しろまる加藤課長補佐 では、定刻より少し前ですが、皆様、おそろいになりましたので、ただいまから「社会保障審議会児童部会保育専門委員会」の第2回を開催させていただきます。

委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

では、初めに、専門委員会の運営に当たりまして、委員の皆様へは、改めてのお願いですけれども、視覚、聴覚障害をお持ちの方などへの情報保障の観点から、御発言などをされる際には、まず、挙手をいただきまして、挙手をした発言者に対して、委員長から指名をさせていただきまして、そこで、その発言者は、氏名を名乗ってから発言いただくという形での運営を徹底したいと考えておりますので、御協力をお願いいたします。

資料の確認ですが、まず、配付資料は議事次第、資料1から6までと、参考資料1、2となっております。欠落等ございましたら、事務局までお申しつけください。

では、本日は、第2回目の委員会になりますが、今回、初めて御出席される委員の方がいらっしゃいますので、委員の御紹介をさせていただきます。

まず、東京大学大学院教授の秋田喜代美委員です。

次に、香川大学准教授の松井剛太委員です。

なお、前回、第1回保育専門委員会におきまして、汐見委員長より、本専門委員会の副委員長を秋田委員にお願いする方向との御発言をいただいておりましたけれども、改めまして、秋田副委員長から一言御挨拶をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

しろまる秋田副委員長 改めまして、このたび、保育専門委員会の副委員長を仰せつかりました、秋田でございます。委員のそれぞれの皆様方の御協力をいただきまして、汐見委員長とともに、当委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思っております。

やはり、今、戦後一番の大きな制度改革の後の保育所保育指針でございますので、幅広く、さまざまな保育士の方々が満足いただけるような、そういう指針ができたらと思っておりますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

しろまる加藤課長補佐 ありがとうございます。

なお、本日は、所用により、阿部委員におかれましては、1530分の少し前あたり、和田委員におかれましては、15時ごろに中途退席と伺っておりますので、御了承いただければと思います。

また、堤委員におかれましては、本日は、所用により御欠席と伺っております。

それでは、カメラは、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

しろまる加藤課長補佐 それでは、以降の議事進行につきましては、汐見委員長にお願いさせていただきます。お願いいたします。

しろまる汐見委員長 それでは、一言、皆さん、明けましておめでとうございます。ことし、大変な大事な年になりますので、気を引き締めて頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、本日は、主に乳児保育、3歳未満児保育についての議論をしていただくわけでありますが、その前に、事務局のほうから前回の議論に基づいて、論点を整理していただいています。それら、この資料に基づいて、少し御説明いただきたいと思います。よろしいでしょうか。

しろまる朝川保育課長 資料1、2、3について御説明いたしますが、まず、資料2からご覧いただければと思います。

本日のメーンテーマは、乳児保育と、3歳未満児の保育についてでございますので、その関係のところを少し見ていただきますと、資料2の3ページ目を、まず、見ていただいて、1枚めくっていただいた上の図ですけれども、これは、前回も見ていただいておりますけれどもグリーンのラインが、1、2歳児の保育の利用率です。分母は、子どもの人数全体で、分子が保育を利用している子どもの数ですけれども、ご覧いただいてわかりますとおり、平成20年から数えても、かなりのハイペースで、この利用率が上がってきています。

それをもう少し時系列を長く見てみますと、5ページ目でございますけれども、赤いラインが、1、2歳児の保育所の利用率ですけれども、平成10年ぐらいのときは、17.5%ぐらいで、平成1213年に5人に1人が利用しているという状態でしたけれども、それが、平成18年ぐらいに4人に1人、最近、平成25年ぐらいですかね、3人に1人ということで、直近、昨年の4月の段階では、38.1%という状況になっています。今後、さらに受け皿拡大が進んでいく予定であり、かつ、青いライン、ブルーのラインの女性の就業率は、現在上がっている最中で、まだ、今後も上がっていくことが見込まれますので、今、待機児童解消加速化プランで進めている受け皿整備が進みますと、平成29年度末には、46.5%、2人に1人ぐらいのお子さんが保育を利用される。そういう状況になってきているということでございます。

1枚おめくりいただきまして、就学前の保育・教育、なかんずく3歳未満の乳幼児期の保育の重要性について、海外の調査研究から幾つか重要であるということが、近年、明らかになってきておりますので、それの御紹介をしております。

8ページ、これは、OECDなども頻繁に引用されるデータでございますけれども、グラフを見ていただきますと、縦軸は脳の機能の発達の程度、横軸が年齢ですけれども、特に、エモーショナルコントロールのところなどは、3歳未満のところで、かなり高い数値を示しておりますし、言語の赤いラインも同じような傾向、さらに、紫のところと、緑のところ、こういったところも、3歳未満のところで、急に上がっていくということで、幼少期からさまざまな機能を発達させる。環境を充実させていくことが重要であるということが、データとしても示されているということでございます。

9ページ、2目の調査、米国のNICHDの調査でございますけれども、保育の質の高さ、特に、保育者の言葉がけなどのプロセス面での質の高さが、乳幼児の知的能力や言語発達と関連性があるということ。

3歳になるまでに、質の高い保育を受けた子どもは、ここは、ちょっとワープロミスがあって恐縮です。ちょっと言葉を補ってほしいのですけれども、そうでない保育を受けた子ども、質の高い保育を受けた子どもは、そうでない保育を受けた子どもに比べて、3歳になるまでの期間を通して、やや高い知的能力と言語発達がみられた。

特に保育者の言葉の使い方、応答性とかが重要であるということ。

さらに、3歳になるまでに質の高い保育を受けた子どもは、そうでない子どもと比べて、4歳半のときの言語能力や数字の理解といった標準テストの成績もよかったという調査結果です。

ここで言う保育というのは、(注記)印の2つ目で書いております、小さい字で恐縮ですけれども、母親以外の者が業として行うものをいうということでございます。

10ページ目、右側のグラフ、緑色のところが、いわゆる保育所などにおける保育の質が高いところと、そうでないところを比べているものですけれども、右が質の高いところで、この棒が長くなっている、高くなっているのが見てとれると思いますが、白いほうの棒グラフのほうは、ペアレンティング・クオリティーなので、家庭における保育の質をあらわしているわけですが、当然といえば、当然かもしれませんが、そちらのほうが強く影響度が出ていますけれども、緑のほうも、やはり、質の高いところは、影響があるという結果が示されているということでございます。

上に戻っていただいて(2)のところですけれども、保育者と子どもとの良好な関係が小学3年時の学業成績にも影響するという調査結果でございます。

11ページ、調査の3つ目でございますけれども、英国のEPPEの調査でございます。

これは、縦断調査をしているものですけれども、1)のところで、保育のよりよい質あるいは期間の長さが子どものリテラシー、数の発達と関連するという結果でございます。よりよい質の保育をより長期間受けた子どものほうが、そうでない子どもよりも、小学校入学時点でのリテラシーが高い。

2)のところは、この調査で、優れていると評価された12のプリスクールでは、以下の5つの領域の共通の特徴が確認されたということで、1つは、保育者と子どもの言語的かかわり、2つは、カリキュラムに関する知識と理解、3つ目が、乳幼児期が、どのように学ぶかに関する理解、4つ目が、子どものいざこざ解決を支援するスキル、5つ目が、子どもたちの家庭学習を行う保護者への支援ということでございます。

関連する調査として、12ページ目のほうは、英国のREPEY調査ということで、今、見ていただいた調査結果を踏まえて、上にあります1から5のうち優れているプリスクールの特徴を分析した結果、共通点が確認されたということで、1つは、保育者の子どもたちへのかかわりが温かく、応答的であるということ。

2つ目は、ともに考え、深め続けることと呼ばれるかかわりを含む、保育者と子どもたちの質のよいかかわり、そういったことが共通に確認されたということでございます。

2)のほうは、ほかにも優れているプリスクールほど、子ども主導の遊びや活動、子どもが中心で教師がつなぎ発展させる遊びや活動が多いという特徴があるということでございます。

5つ目が13ページ目、米国の調査でございますけれども、マシュマロテストというものを小さいときにやって、その我慢強いお子さんが、年を経るに従って、そうでない子どもたちと比べてどういう発達をしていったかということを調査した結果でございます。

14ページ目は、有名なペリーの就学前調査でございます。

資料2の説明は、以上でございまして、資料1に戻っていただいて、きょう、主に御議論いただきたいことを論点の形で例示ですけれども、少し委員の先生方のお力を借りまして、事務局のほうで整理を試みてみたものでございます。

大きく分けて3つですけれども、まず、1つ目、乳児・3歳未満児の保育の意義の位置づけについてということでございます。

その1つ目でございますが、今、資料2で見ていただきましたとおり、乳児、3歳未満児の時期は、自己が形成され、他者とのかかわりを初めて持つなど、心身の発達に重要な時期であり、この時期の保育のあり方は、その後の成長や社会性の獲得、自己肯定感の形成等に大きな影響を与えるものと考えられている。

こうしたことを踏まえ、乳児・3歳未満児の保育について、より積極的な位置づけが必要ではないかというのが1つ目でございます。

2つ目は、少し指針の形にかかわってくるものですけれども、現行の指針では、乳児・3歳未満児に関する保育の記載が3歳以上児に比べて少ないほか、関係する内容が各省に点在していること等について、何らかの見直しが必要ではないかということです。

この後段のところについて、資料3のほうを1回見ていただきますと、これは、現行の保育指針の3歳未満児のところにかかわる記述を抜粋したものでございます。

まず、第2章のところに「子どもの発達」という項目がありまして、その中に、1番として「乳幼児期の発達の特性」。次のページの2番に「発達過程」ということで、年齢区分ごとにどういう発達過程を経るのかということが、まず、ここで整理して書かれてございます。

3ページ、第3章の「保育の内容」というところで、これは、年齢の区分が特段なく記述をされているわけですけれども「1 保育のねらい及び内容」ということで、(1)が養護にかかわるもの。

4ページ目の下のほうから(2)で、教育にかかわるものという形で、(2)のほうについては、いわゆる5領域のことが書かれてございます。

主に3歳以上児のことが念頭に置かれていると思いますが、年齢の区分なく書かれているということでございます。

最後、9ページ目のところで、その後、2番として「保育の実施上の配慮事項」という形で、(1)で、まず、保育にかかわる全般的な配慮事項か書かれ、(2)のところで、乳児保育にかかわる配慮事項が書かれ、さらに最後(3)として3歳未満児の保育にかかわる配慮事項が書かれていると。

そういうような形で、現行の保育指針は規定されてございます。

戻っていただいて、資料1の2つ目の論点の例でございますけれども、乳児、3歳未満児の保育の内容についてということで、4つほど書かせていただいております。

1つ目は、乳児・3歳未満児の発達段階の特性を踏まえつつ、応答性の重要性や家庭での保育や子育てとの連続性、集団的な触れ合いの中での遊びや生活、これらのための適切な環境のあり方など、具体的にどのような内容を規定するべきかというのが1つ目でございます。

2つ目は、保育士との愛着や信頼関係の形成や、基本的な生活習慣の獲得が重要視される乳児期と、他の子どもとも関係性の構築や、言語の獲得などが重視される低年齢児、ここは3歳未満を念頭に置いていますが、など、どういうふうに年齢の区分を考えるべきかということでございます。

これは、今、資料3で見ていただきましたとおり、資料3の2ページ目から3ページ目にかけて、年齢の区分がされながら、その発達過程が記述されているということで、例えば、(2)のところは、おおむね6カ月から1歳3カ月未満とか、そういうような年齢の区分が、一応、現行の指針ではされている。そういった年齢の区分をどう考えるかという論点でございます。

なお、ここに関連して、この指針は満年齢で書いてございますけれども、実際、保育の現場では、年齢別のクラス編成がされているところが多いと承知しておりますけれども、そういったところとの関係性も含めて、どう考えていくかというのが2つ目の論点でございます。

資料1に戻っていますけれども、3つ目、乳児・3歳未満児の保育では、特に養護と教育の一体性が強く、養護的な側面が強く意識される一方で、教育的意義については誤解も根強く見られることなどを踏まえ、どのように教育について規定するべきかということでございます。

先ほど、資料3で見ていただきましたとおり、5領域について、特に年齢の区分はされずに書いてございますけれども、主に3歳以降のことが中心に意識されて書かれていると思いますけれども、この3歳未満児のところの教育について、どう規定していくべきかというのが3つ目の論点でございます。

4つ目は、逆に3歳以上では、教育の5領域が注目される傾向にあるわけですけれども、養護は、保育活動全体を通じて重要なものであり、どのように養護について規定するべきかという論点でございます。

大きい3つ目として、その他として、その1つ目でございますが、3歳未満における保育から、より集団的な3歳以上への保育への移行をスムーズに行うために、どのような方法が考えられるか。

これは、特に、今年度から施行されております子ども・子育て支援新制度では、3歳未満を主に対象としたサービス類型、小規模保育とか、そういったものも今後ふえてくる仕組みになってございますので、そういったことも意識しながら、3歳未満から3歳以上への移行の問題をどうしていくかということでございます。

最後は、幼保連携型認定こども園、教育・保育要領というものが、既に作成されておりますけれども、この保育指針の見直し、あるいは文科省で検討が進められている幼児教育の教育要領、そちらの見直しと並行して見直しの議論が、この教育保育要領についても行われていきますので、それとの整合性をどのように確保していくべきかという論点でございます。

資料の説明は、以上でございます。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

これは、前回の議論に基づいて論点を整理していただいて、その論点の深化のために必要なデータ等をこういう形で説明していただいたということになっていますが、次回以降も、なるべく効率的に議論するために、こういう形で論点を整理していただいた上で、場合によっては、また、必要な資料等を用意していただくという形で進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、皆様のほうから、乳児保育の、これからのあり方、それから、指針に何を書き込むべきかということを中心に御意見をいただきたいと思います。

時間はかなりありますので、きょうは、そのことに絞って自由に御発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。

では、清水委員、お願いいたします。

しろまる清水委員 失礼します。清水です。

私のほうで口火を切らせていただきながら、論点をいろんな形の切り口で切った形の案を提出させていただいています。

資料4の15ページをごらんいただけたらと思います。

意見としまして、これは、きょうの議論では、直接ないのですけれども、章のタイトルを含む、指針の構造そのものをうまくこれに絡めてしまうほうがいいかなと思います。

といいますのは、現行の指針では、第3章、保育の内容という表現になっております。児童福祉施設の設備及び運営の基準の第35条の見出しも同じですし、これでは、何かほかの章の価値の部分が、ちょっと弱くなるかなと思うからです。指針の冒頭に保育の内容というのが指針全体だというのを示す、そんな形にすると、もっと指針全体の重みも出てくるような気がします。

私は、保育所保育という表現を仮称として考えてみました。仮称としましたのは、まだちょっと、と私のほうでもどういう表現がいいのかというのは、よくわからない部分もあるからです。ただ、今の表現だと、ちょっとややこしいと思うわけです。児童福祉法の6条の3の第7項の一時預かり保育、家庭における保育が養護及び教育を行うことという形で定義されていますし、省令の中で、保育所の保育は養護及び教育を一体的に行うとされています。「一体的に」という部分しか違わないのではないかという気がいたします。

幼稚園は、学校教育法に基づいて教育をやっていますし、認定こども園は、認定こども園法に基づきまして、保育と教育を一体的に行っています。

そうすると、認定こども園法の保育は、児童福祉法の一時預かり事業という形ですし、保育所における保育、特に3歳未満をうまく定義しないと、家庭における保育と同じになってしまうような気がします。

保育所で専門的知識及び技術を持った保育士が行う保育が家庭における保育と同じになってしまうと、保育士の専門性という点でややこしいような気がします。地位向上ということにも結びつきません。

年末に中教審の答申が出ましたし、まさに、保育士の専門性を指針の中でうまく定義できたらいいかなと思います。

これは、私が言うよりも、保育士会の方の言うことかもしれませんが、そこでちょっと違った表現として、保育所保育という表現にしてみました。

すみません、長々と話しましたが、もとのほうに戻ります。

内容を充実させるためにどうしたらいいのかということで、独立した章をつくったほうがいいのではないかと思います。

下のほうで囲ませていただきましたように、3歳以上児における保育所保育の内容、これは幼稚園教育要領とそのまま同じでもいいという気がします。

それで、3歳未満児における保育所保育の内容、乳児における保育所保育の内容という形であれば、1つの章という形になりますので、こういう形になると、かなり充実したものになるかなと思います。

(2)のほうに行きます。そうするにあたって、ねらいと内容は、子どもの姿として記述すると、各保育所の工夫がいろいろやりやすいかなという気がいたします。

幼稚園教育要領や幼保連携型認定こども園教育・保育要領もこの形ですし、あと、保育士のかかわりについては、配慮すべき事項の中で書いていくと形が整うかなと思います。

(3)ですけれども、いついつまでに保育所保育の中で育ってほしい姿、そういう形で考えていくと、3歳までに保育所保育の中で育ってほしい姿と、乳児期の終わりまでに、3歳保育の中で育ってほしい姿となります。

後で少し見ていただきますが、(5)の後に、それぞれの例を少し考えてみました。

(4)としまして、育ちだけではなく、学びといいますか、学習とか経験を意識するような書き方が、より広がるかなという気がいたします。発達とか教育の意味というのを要領とある程度そろえておくほうが、我々養成校のほうとしても教えやすいですし、何か意味が違ってくると、どうもずれがあるような気がしてなりません。

そうすると、3歳以上の1日4時間については、学校教育とほぼ同等でやるというのをもっと強調できるという気がいたします。

(5)ですけれども、3歳未満で5領域まではこだわらないのですけれども、ほかの事業等のことを考えまして、できれば、それを用いて保育の質が担保できるようにすればいいかなと思います。

ここで、下のほうにちょっと例を書いてみました。5領域にこだわらないと書きましたけれども、3歳未満児の中の、特に2歳児に関しましては、5領域をある程度意識するほうがいいかなと思います。それで、3歳までにのほうにも、ちょっと意識したにしました。幼稚園のほうは、ひょっとしたら今後、2歳というところまで年齢が下がってくる可能性があるような気がいたします。

そのときに、やはり、5領域がしっかりしているほうが整合性がとりやすいと思います。

3歳未満児の保育とか教育に関しては、保育所には歴史がありますので、指針が当時通知でしたので、若干法的には弱かったかもしれませんが、逆に実績という形で、積み重ねられてきています。

その実績をもっと前に出せば、どのように3歳未満児を保育していけばよいのかに関しても、確たることが言えるのではないかなと思います。

16ページの例は、それを意識して少し考えてみました。もちろん、これら以外にも現行の指針から、きょう配っていただきました資料3の中で、例えば、人間関係の領域、5ページの内容の1とか2あたりは、幼稚園教育要領に入っていない部分ですので、こんなものは、ぜひ、新しい指針の3歳未満児に入れていただけたらどうかと思います。

私から口火を切らせていただきました。

以上です。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

ちょっと確認ですけれども、今の御意見で、全体の章立てそのものを変えて、第何章というのは、また別として、第2章の3歳以上児のところは、現代のあれと余り変わらないという解釈でよろしいのでしょうか。

しろまる清水委員 第2章ですか。

しろまる汐見委員長 御提案の第2章、3歳以上児における保育所保育の内容と、名前が保育所保育になっていますけれども、これは、今のあれと余り変わらないということ。

しろまる清水委員 はい。今のあれと変わるとすれば、幼稚園教育要領が恐らく変わってくるでしょうから。

しろまる汐見委員長 それにあわせてという形ですか。

しろまる清水委員 はい、それにあわせてやると、ある意味、ここでは余り検討しなくてもいいかなという気がいたします。

しろまる汐見委員長 それで、第3章のところが、通則の後、ねらい及び内容については、今、1つ案が出ていましたけれども、3歳未満児にふさわしいねらい及び内容を新しくつくろうということになりますか。

しろまる清水委員 はい。

しろまる汐見委員長 わかりました。乳児も同じですね。

しろまる清水委員 はい。

しろまる汐見委員長 わかりました。ありがとうございました。

そういう形で、どんどん御意見をいただければと思います。

たくさんの方が御意見を載せていただいていますので、それを御説明していただく形で結構ですので、よろしくお願いいたします。

では、三代川さん、お願いいたします。

しろまる三代川委員 浦安市の三代川です。よろしくお願いします。

私の資料が、本当に簡素な資料で申しわけございませんが、31ページになります。

今、保育園で実践しているようなことをお話しできたらと思いまして、こういうような資料にさせていただきました。

まず、今、現に実践している内容なのですけれども、乳児・3歳未満児の保育の実際としまして、保育室の環境ということなのですが、これも、子どもたちの発達に応じた環境設定をそれぞれ保育でしているということなのです。子どもの発達に応じた環境設定を既に整えていて、視覚でわかりやすく、自分のマークのシールを張って、それを卒園までに使用しましょうとか、子どもの目線に合うよう玩具を置いたり、その玩具も発達にあわせたものを用意して、いつでも手にとれる場所にあるということ自体が、もう既に保育園自体が、教育の場ではないだろうかと考えました。

例として、片づけというのを挙げさせていただいているのですけれども、例えば、乳児の保育士であっても、どこに片づけるかというような場所も決まっていて、それが、ここに片づけますというのがわかりやすいように写真などを貼り、子どもが片づけやすいように配慮しています。

保育士が繰り返し子どもと一緒に片づけ方を示していく中で、その片づけ1つをとっても、物の名前とか、色、形、大小などの認識が生まれてきているというような、だから、養護だけではないのですよというところを、ちょっとお話ししました。

次に、保育士のかかわりなのですけれども、活動、それ以外の生活面であっても、子どもたち一人一人に対して、今、この子は何が困っていて、何が必要なのかというのを見きわめて保育をしています。

例えば、着脱についてということなのですけれども、着脱の意欲が弱い子には、なぜ意欲が弱いのかというところも考えていまして、例えば、衣類を脱ぐときの手の力が弱いために、やろうとしないのではなくて、できないのではないか。それであるなら、指先や手に力が入れられる活動を取り入れてみるとか、また、ロッカー着脱のスペース、着脱にかかる子どもと大人の人数バランスなど、着脱しにくい環境ではないかということも検証しています。

このように、保育士が、子どもの発達を踏まえ、何を伸ばすためのという目的意識をはっきりとさせて、そして、大人が先回りしたり、手出ししたりすることなく、時と場合にもよりますけれども、子どもが自分自身で課題を解決できるように、生活面であってもしていますので、それも教育とつながっているのではないかと感じています。

続いて、乳児・3歳未満児の保育の大切さというところなのですけれども、乳児からの保育の積み重ねや連続性が重要であるということです。

指針を、先ほどお配りいただきましたけれども、第3章の保育の内容の「1 保育のねらい及び内容」では、養護に関するねらいと、教育に関するねらいというように、(1)(2)というふうに分かれています。どうしても乳児とかとなると、大人の手を多く必要とする保育になりますので、どうしても現場としても養護面に重きを置いて保育をするかなとなっていると思います。

しかし、3歳以上児の年齢に到達したからといって、急に教育が始まるわけではないので、むしろ、乳児期からの環境設定や保育士のかかわりで子どもの愛着が形成され、活動を経験していく中で、未熟であった養護と教育が分けられないところから、それぞれが分化して、なおかつ自我形成していくという極めて重要な時期であると考えています。

なので、そこをどう保育士がかかわって保育をして、その子の力を伸ばしていくのか、乳児からの保育の積み重ねこそが重要だと思います。

それで、先ほどもお話にありましたけれども、第2章の子どもの発達の中では、乳児期の発達の特性と発達過程というのがありますが、第3章とどうつなげていくのかというところが、現場でも見えにくかったと感じています。

特性だけの記載ではなく、こういう特性だから、どこを観点に保育をすればいいのかというふうに書かれていると、保育のぶれが少ないように感じます。

なので、例えば、これからもどんどん時代が変わっていきますが、その時代に沿った保育をする中で、でも、どうしてもここだけは外せないとか、子どもにとって必要な段差を妨げないというような軸になるものがあると、保育が見えやすくなってくるかなと思います。

それを積み重ねることで、3歳以上児の教育の基礎ができ、また、乳児保育というくくりで切断されずに、何か3歳以上児にも連続した養護と教育と連続性が見えてくるといいかなとも考えました。

以上です。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

ちょっと確認させてください。今、キーワードとして、保育の環境と保育士のかかわりというのが、まず、最初に出されていますが、指針に落とし込んでいくということを考えた場合、現在の指針では、総論のところに環境の大事さというのが書いてありますけれども、3章の保育の内容のところに、とりわけ環境をどうだこうだということについては、特立てはしていないわけですね。

それで、この保育士をどう、つまり、捉えようによっては環境をどう構成していくかということは、実は、保育の中身、内容にはなるのだということであれば、保育の内容というところに、むしろ、こういう項目を立てるということが必要だという、そういう御提案なのかどうかということですが。

しろまる三代川委員 そういう項目を改めて立てなくとも、こういうふうなことをしているのだというのが、でも、ありますものね。

しろまる汐見委員長 保育士のかかわりでもありますね。保育士のかかわりというところは、今の保育指針の中では、必ずしも各保育の中身が明示的に書かれていないですね。だから、例えば、幼稚園教育要領のような形で、配慮事項のようなところで書いていくかとか、そういうことについての御提案がありますかということです。そういうことで、それは、後で考えてほしいということで、何か書いていくべきだということですね。

しろまる三代川委員 はい。

しろまる汐見委員長 わかりました。ありがとうございました。

いずれ論点が狭まっていくと、これがどういう形で生かされるかという議論になっていくと思いますが、そういう形で、少しこういうことを書き込んでいくべきだという御意見だということです。

では、鈴木委員、お願いいたします。

しろまる鈴木委員 ありがとうございました。今、拝聴していて、やっぱり、みんな章立てを考えているなと思って、ちょっとほっとしました。

私は、清水委員の後からの19ページからになりますが、1つは、乳児・3歳未満児保育の意義というのをきちんと、やっぱり今度は書き込んだほうがいいのではないかと思っています。

章立てが、清水委員がおっしゃるように、3歳以上があっておりてくるのか、乳児から上げていくのかというところは、ちょっと議論があるところかなと思いますが、少なくとも、やはりきちんと章立てはしたほうがいいのではないかと考えています。

やはり、集団保育の中で、個々の特定の保育士とのかかわりとか、保護者と共同するという連携であるとか、そういうようなことで、やはり、多様で温かな人とのかかわりを通して愛されているという実感が育つのではないかと思っているので、そこの意義をきちんと、保育の専門性と同時として考えていくということが必要ではないかと思います。

先ほど、三代川委員のほうから環境のお話がありましたけれども、私も、やはり身体の諸感覚というのを使った遊びとか、生活の体験というものが、非常に子どもの心地よさとか、そういうようなものを感じる中で、集団での体験が積み重ねていかれるとき、やはり、環境構成は非常に重要だと思っていて、室内であったり、戸外であったり、あと、1つは、子どもの発達にあわせた教材研究であるとか、そういうようなことは解説書かもしれませんけれども、そういうところできちんと押さえておく、そして、そのための研修というのが必要になっていくのではないかと考えております。

それで、養護と教育のことなのですけれども、私は、やはり、人との間に交わされる暖かな情緒的な交流で、やはり、繊細で穏やかな気配りと自分では書いたのですけれども、そのために、保育士の専門性として、私は養成課程で実習に出す前に、学生には、とにかく5Wを注目してといつも言うのです。乳児さんだったり、未満児さんが、今、何を持っているの、どこを見ているの、誰に言おうとしているのというところに、ちゃんと気配りを持ってねというふうにしています。だから、やはり、保育士の専門性をきちんと打ち立てていくということが大事なのではないかと。だからこそ、最後、その他になりますけれども、小規模保育所からの移行とか、移動とか、いろいろ今後の課題として考えたときに、やはり、情報の共有と交流が必要ではないかと思います。子どもの姿であったりとか、家庭の状況であったりということに対する理解を深めていくということが大事かなと思います。

幼保連携型認定こども園教育・保育要領との整合性なのですけれども、研修を、これは指針とはあれですけれども、キャリアステージごとに置くとか、そういうような整合性はちゃんと置いておいたほうがいいかなと考えています。

以上です。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

では、村松委員、お願いします。

しろまる村松委員 保育士会の村松です。よろしくお願いいたします。

私のほうからは、資料33ページのところに意見をつけさせていただきました。

先生方のように、章立てというところにまではいっていないのですけれども、私たち保育士たちが一番こだわっているところを、ちょっと出させていただきました。

1つは、やはり教育ということになります。私たちが保育所、もちろん乳児からの教育はあるねとずっと言ってきているのですが、そのエビデンスがどこにあるのかというところをお示しするのは、やはり、非常に弱いのかなと思っております。

でも、やはり、私たちが実践していく中で、私たちのやっている保育というものは、子どもたちをお守りすることではなくて、子どもたちの習慣をどういうふうに形成づけていくか、育てていくかというところに毎日努力をしているわけで、だとすると、乳児期の保育の核というものは、やはり、習慣形成の部分だなとも思っています。

その習慣形成といっても、やはり、健康的な体づくりの習慣だとか、仲間関係の習慣だとか、それから、集団としての習慣だとか、そのようなものが全て含まれている習慣形成だと考えています。それを繰り返し、繰り返しすることで、子どもたちは自分の力にしていくわけです。ですので、全ての力を総合的に保障するのが、私たちの役割であるとするならば、やはり、一つ一つのわらべ歌だとか、絵本の読み聞かせだとか、ミルク飲ませる、御飯食べさせる、全てのことに、そのような深い意味を持って対応しているのは、皆さん、御存じのとおりだと思っています。

やはり、養護と教育という言葉が、どういうふうに理解されるかということが一番大きいかなと思うのですけれども、やはり、養護というのは、私たち保育士が子どもにどう向き合うかという気持ちの部分の養護だと思っていますし、それを受けとめた子どもが、自分の力をどういうふうに育てていきたいよ、だから、ここを助けてねというのは、やはり教育の部分なのかとすると、やはり、保育所保育における教育は、どういう役割を果たしているのかというところが、一言、教育のところについてくると、乳児期における習慣形成のための教育だとか、そのような言葉が一言入ってくるだけでも、随分教育に対するポイントがわかりやすくなるのかなと思っています。

それから、発達に関してですけれども、今、すごい大きなくくりで書かれています。もちろん、それをもって、各園が年間計画などを立てる、保育課程を立てるわけですけれども、それが各園の個性になっていくと言われてしまえば、それまでかもしれません。ただ、もう少しそこを、今後、地域的な保育だとか、いろんなところに利用されていくのであるとすれば、そして、保護者もこれを利用しながら子育てを共有していくのであるとするならば、もう少し細かな書き込みがあってもいいのかなと思っています。それは、どのようなくくりでいくのか、そのところは先生方の御専門があるかと思いますけれども、やはり、私たち現場のものとしては、この3つのくくりというのは、若干大き過ぎるのかなと思うところでもあります。

ただ、先ほど、汐見先生が教育の部分のところに書かれている内容は、若干、幼児に傾いているかもしれませんとおっしゃっておられましたけれども、私たち現場の側からすれば、この教育の部分、5領域のところを一つ一つ読み込めば、0からの狙いがちゃんとそこにありますので、そこに関しての違和感は余りないです。ただ、発達におけるくくりの部分では、もう少し丁寧に書き込まれるとありがたいかなと思っています。

それから、いわゆる指針の中には応答性に努めるとか、そのような言葉で書かれていますけれども、そこに大事な愛着関係だとか、自己肯定感だとか、そのような言葉が盛り込まれることによって、何のための応答性なのか、何のための私たちのかかわりなのかというところの目的意識みたいなものが出てくるかなと思います。

若干、現行の指針では、マニュアルという言い方はおかしいのですけれども、そのような方法論みたいなところが強く出ているような気もして、だとしたら、もう少し何のためにという目的、私たち保育士と子どもとのかかわりの中に、何を目的として、そういうかかわりをしなければいけないのかというところが盛り込まれてくることによって、私たちの保育も非常にねらうところがわかりやすくなっていくのかなとも思っています。

ぜひ、今回の指針の中に愛着関係だとか、自己肯定感だとか、そのような言葉が盛り込まれることを私は希望します。

ちょっと時間が長くなるかもしれませんけれども、例えば、今、うちの園の乳児、0歳児の保育士が書いたエピソードを持ってきましたので、ちょっとお読みしてもよろしいですか。

0歳児の4月のエピソードです。午前のおやつを、お名前を出しますが、Rちゃんにあげようと、私の膝に入れた。Rちゃん、リンゴ食べようねと声をかけながら、Rちゃんの手を片方ずつ拭いていた。両手を拭き終え、手がきれいになったから食べようねと声をかけると、Rちゃんは、手をぱちんと、一瞬であったが合わせてくれた。手をぱちんするのを覚えてくれたのだね、うれしいよと答えると、にこっとほほ笑み、すりリンゴをおいしそうに食べるRちゃんなのだった。

4月16日です。0歳児で入所した赤ちゃん、16日の時点で、既にこのような性格の見通しを立ててきています。まさしく、これが教育の部分だなと、私は思っていて、そういうところを私たち保育士が大事に、大事に保育をしているということをぜひ御理解いただいて、教育というところにもう少し厚みを持たせた言葉をいただけるとありがたいなと思っています。

そして、何よりも、こういう保育をリードしていくべき施設長、そこのリーダーシップ、それから、責務といいますか、資格云々ではなく、園長として、そして、主任保育士としてというような、いわゆる管理者的な者たちのリーダーシップというか、そういうところがきちんとその園にあるか、ないかということは、こういう丁寧な保育をしていくか、していかないかの非常に大きな変わり目になるのかなと思っていますので、ぜひ、その保育士の役割、それと同時に施設長の役割もどこかに明記をしていく。それは、総論でいくべきなのかなとも思いますけれども、やはり、必要な文言は書き加えて、私たち保育の現場が納得のできるというか、保育指針にしていただけることが、私は非常にありがたいかなと思っています。

私たち保育士会としては、毎年のように保育研究を重ねております。メンバーの先生方にも力いただいていますけれども、そこの紀要にも幾つかの乳児保育における論文も出されておりまして、その中で、どんなことが大事なのか、研究をしてみてわかったこと、そして、実践の中から積み重なって整理ができたことということが、たくさん盛り込まれています。それらは、私たちの宝物でもありますし、そういうことを、やはり、みんなが共有をして今の保育を進めているわけですので、保育所保育指針のもとにとはいえ、保育所保育指針を凌駕するものはたくさんあるかと思っております。ぜひ、そこのところを御理解いただけるとありがたいかなと思っています。

以上です。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

今、33ページのメモのところに書かれているような言葉をキーワードとして、何とか反映させていただければという御意見だったと思います。ありがとうございました。

では、阿部委員、お願いします。

しろまる阿部委員 大妻女子大学の阿部でございます。ただいまの松村委員のお話に続けてですけれども、3歳未満児の教育ということに関しての話ですが、余りにも基本的なことで申しわけないのですが、例えば、教育ということを意図的に他者に働きかけるというふうに考えたときに、そこには、学び手がいて、その働きかけたそのことが、学び手にとってどうかと。つまり、教育はあっても学びがないということもあり得るかもしれないし、それから、教育が意図的に働きかけなくても、そこには子どもの学びがあるかもしれないということをちょっと考えてみまして、それで、ですから、多分、当たり前のことだと思うのですが、教育と学びがセットになっているものだというふうに思います。

そこに養護という考え方を入れていこうとすると、教育と学びを結びつけるものということで養護、つまり、養護というのは、メイヤロフをちょっと引用させていただくと、人の成長を助けるということ、ケアをそう言っていますので、そういう視点が入ってくると、当然、生まれたときから教育はあるということが言えるかなと思っております。

そして、では、養護とは、人を助けるというのは具体的にどういうことかと考えたときに、年齢が低いところは養護で、高いとちょっとという言い方がずっと今出ていますが、私は、それに対して、もう少しじっくり考えてみたいなと思っているのは、年齢が低ければ、当然、発達的に身体あるいは行為を伴ったケアというか、養護というのは重要になってくるのですが、年齢が上になったら、それがなくなるかというと、そうではなくて、先ほど鈴木委員がおっしゃったように、気を遣うだとか、見続けるだとか、気をそこに集中させていくだとか、そういう見えないような形で、養護というものがあるのだと思います。

当然、そういう見えない形の養護というのは、0、1、2歳にもありますし、それから、身体的に行為を伴うというものは、少なくなるかもわからないですが、3、4、5、ずっと大きくなるまであるだろうと考えますと、すみません、4ページと5ページのところです。

そういうふうに考えますと、村松委員がおっしゃったような養護というのは十分に成り立つと考えます。

そして、現場のそういう意見を反映した指針にしていくために、私は3歳未満の内容を大くくりにとかではなくて、今、村松委員がおっしゃったように、領域はあってもいいかなと思っています。

そこら辺は、例えば、ミルクをあげたりするときに、ただ、赤ん坊はミルクを飲んでいるわけではなくて、そこでさまざまなことを経験しているわけですね。言葉のことだったり、それから、人との心地よいかかわりだったり、それから、さまざまな5領域につながるようないろんなことをそこで未分化に経験しているので、ただ、誤解があるといけないなと思いながらの発言なのですが、だからといって下に5領域をそのままおろしてきていいのではなくて、やはり、一応、3歳前後を境にして、自己が形成される時期と、それから、形成された後の時期のかかわりだったり、保育の内容というのは変わっていかなければいけないと思いますので、3歳未満の経験、今、教育と言われる部分で話をさせていただいたところを、つまり切れないでつながっていくものだという視点を入れて書き込んでいけると、十分に5領域という言葉を使ってでも、3歳未満の内容が表現できて、教育の重要性というのが強調できるかなと、注意しなければいけないのは、3歳以上の内容をそのまま、3歳未満におろしてきて、それをやっていけばいいのだという、そこだけが心配なのですけれども、そこがクリアできれば、村松委員がおっしゃったような形がいいのかなというふうに思います。

ちょっと長くてすみませんでした。

しろまる汐見委員長 多様な論点が、今、もう既に出されていますので、また、整理するのは大変だと思うので、ちょっとだけ確認させてください。常に確認しながら先に進もうと思います。

今、阿部委員がいろいろ論点を出してくださったのですが、例えば、きょうのメモの中で、4ページのところに、一番上のところに、9カ月、1歳6カ月、3歳前後という時期区分がございますね。先ほどの村松委員の御意見の中にも、乳児のところはもう少し細かに区切るべきではないかという御意見がございましたね。

これは、例えば、こういう形で乳児の保育のところにも、こういう形の区切りというのは、ある程度入れていったほうがいいのかという御意見ではないのですね。

しろまる阿部委員 はい。ちょっとそこが悩ましいところで、きちんと区切ると、そこが到達目標みたいな形になってしまうので、私は、ここを踏まえて、0、1、2でいいのかなという感じを持っています。

しろまる汐見委員長 ただ、今のところ、なぜ、こんなことを聞いているかというと、1歳3カ月という区切りが入っているのですね。これが、はっきり言いますが、よくわからないのですが、ここでも、9カ月、1歳6カ月というのがありますね。

しろまる阿部委員 はい、1歳6カ月についてですか。

しろまる汐見委員長 現在の指針です。

しろまる阿部委員 私が、1歳6カ月とそこに書かせていただいたように、内面の世界ができてくるのかなと、象徴機能が発生するというところで、質的に発達が変わっていくところだろうと思うと、区切りかなという感じがして、もし、1歳3カ月とするのでしたら、1歳6カ月がいいのかなとか、そういう感じがします。

しろまる汐見委員長 だから、ここも論点になるのかなということで、お二人が、今。

しろまる阿部委員 はい、そういうことです。

しろまる汐見委員長 そういう区切り方の問題もあるということですね、ありがとうございました。

では、大方委員、お願いします。

しろまる大方委員 大阪総合保育大学の大方です。よろしくお願いいたします。

先ほどから、皆さんおっしゃっていることに、それぞれ、私も同じようなことを7ページから13ページのところで書かせていただいています。全部を言うと、長くなるので、論点だけを整理して述べたいと思いますが、最初の項目のところで、乳児、3歳未満児の保育の意義の位置づけというところで、積極的な位置づけは必要だと、私も思っています。

特に、これだけ子育ての支援や、乳児の保育所の利用が高くなってきた中では、時代の変容の中で、今までの保育指針と大きな着眼点の違いになっていくと思いますので、ぜひ、その辺のところは、できれば、別立ての章であってもいいかなと思うぐらい、きちんと整理をしたいと思っているところです。

その中で、一番大事にしたいところは、乳児さんの大きな特徴は、自分でものを申せない、自分で身体性を使って、まだ動けないというところが大きな特徴、発達的な特徴になりますので、そのときに、出会う大人である保育者の役割ということが、非常に重要になっていきますので、もちろん、環境を通してということですし、5領域ということも入ってくるのですけれども、保育者の気づく、応答性、先ほども出ていますけれども、どう気づいていくかということ、どう働きかけるということをよほど細やかに書かないと、それは、ガイドブックにするのかどうかは別にして、少なくとも、大人との関係性が軸となって、全ての保育が行われるということを、ぜひ、書いていただけたらありがたいなと思っています。その上での遊びであったりということにつながっていくと思っているところです。

もう一つは、先ほど、おっしゃっているように、あくまでも保育所保育であって、家庭保育ではなくて、集団保育であると、ですから、個別指導計画とは言うけれども、クラス運営ということの前提に、それをするということの保育者の困難性というのは、もちろん入ってきますので、そのクラスの中でどうしていくかということが、とても書きぶりとしたら、あくまで、これは保育所保育なのだということを、やはり意識した指針になっていかなければいけないのかなと思っています。

そうしないと、家庭養育と同じことをしようと思っても、結果的には、3対1から含めて難しいという前提があるかなと。

そのときに、もう一つ言うのは、家庭養育との協働ということで、生活文化、これは小学校との段差ということが、今、言われているのと同じように、今度、乳児の場合には、家庭養育との段差という、この生活文化の段差をどう受け入れ側が意識しておくかということが非常に重要で、きょうから保育所の子ですよというスタートではなくて、生活文化の違いということは、食べるものももちろん違ってきますし、かかわり方も違いますし、結果として、言語の発達から全て、今までどういう生活をしてきょうから保育所に来たのかということを少しカリキュラムで言えば、受け入れて、初めは気づいて伝えていくというようなところも大事で、そういう意味では、指導計画への配慮事項というところら辺も、個別指導計画を書きましょうということだけではうまくいかないところがあるのではないかと思っているところです。

それから、やはり、乳児といえども、当然、一人一人の子どもの生活文化を背景にした子どもの人権というものが非常に重要になってくると思いますので、赤ちゃんだから、乳児だから、しゃべらないから、自分で動けないからということではない部分は、今の指針にも書いてあるところですけれども、ぜひ継承していっていただきたいと思っているところです。

それから、発達のことが先ほど出ましたけれども、どうしても発達段階というと、歩けたとか、首がすわったということになりがちなのですけれども、そういうことではなくて、さっき鈴木委員もちょっとおっしゃいましたけれども、あらゆる微細な運動から精神性から、情緒性から、乳児保育の難しさは、それが一つ一つ順番にではなくて、全体として統合して育ってくるという視点を発達のところに書いておいていただかないと、今は歩くことだけ、今ははうだけ、今はしゃべることだけではなく、それが複合して育っていく時期であるということ全体として見なければいけないという、そういう面では、養護というのは、領域ではなくて、生活活動全部にかわる、むしろ根幹を成すものであるというような理解で書いていただくといいのかなと思っていますので、前回、安達委員か何かもおっしゃったと思うのですけれども、3歳の保育が下におりてくるのではなくて、きょうも最初から出ているように、むしろ0歳の誕生から上がっていく、その生活活動全てが養護といえば、養護の気づき、そこから上がっていき、だんだん分化していくというような、それが最終的に5領域に当然分化していくということはあってもいいですけれども、それが、上から下におりていくような形にならないことでお願いしたいなと思っています。

それと、その他にもなるのですけれども、幼保連携型と、もちろん、幼稚園教育要領と全部整合性がついたほうが同じ国の子どもとしては、一緒のほうが望ましいと思うのですけれども、ただ、1号、2号、3号の子どもさんの生活背景の違いというものは、どこかに位置づけておかないと、生活が違う中での教育であるというのは、どこかに書いていただけたらいいのかなと思っています。

それから、さっきの月齢の9カ月ということと、1歳6カ月ということと、それから、いわゆる3歳に向かうということは、10ページのところに、私も書いていますけれども、阿部委員や鈴木委員と同じなのですけれども、現在の1歳3カ月というのは、保健所の健診としては、多分、1歳とか、1歳3カ月健診、1歳6カ月健診というのはあるのですけれども、全体的な発達過程上から言うと、むしろ、歩く前の9カ月ということの意識をよほどしないと、人間が歩くということは、すごいことだと思うので、そこへの配慮とか、1歳6カ月前後ですけれども、きっちりきょうから1歳6カ月誕生日だからというわけではないのですけれども、その前後を含んだ上での言葉の獲得や象徴機能や、僕のもの、私のものというのに気づくという視点というのは、後の環境、遊びにも全部影響していくことなので、そこの押さえの中での遊び、生活活動ということにつながっていくようなことで、だから、つながっていく、発達は発達、遊びは遊び、生活ではなくて、それがつながって保育者が気づいていくという養護的なケアということでお願いできたらいいかなと思っています。

担当制とか、継続的な保育者の関係というのは、現実的に難しいところもあったり、多分、いろんな誤解もあるのではないかと思うのですけれども、ただ、その辺のところもガイドブックなり、何なりのところで、どうしても最低基準で書いてありますので、何対何というと、30人に3対1であっても、10人に3対1でもあり得てしまうので、その辺のところも細やかなケアが要るというセンシティブの応答性みたいに、私は書いているのですけれども、どこかに配慮事項として記載していただけたらありがたいかなと思っています。

以上でございます。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

今の御意見も、たくさんの論点がございましたので、また、改めてゆっくり読ませていただいて、整理させていただきたいと思いますが、幾つか、それぞれに絡み合った形で御意見が出ていますが、きょうは、ともかく全て乳児保育については言っていただきたいと思いますので、では砂上委員、お願いします。

しろまる砂上委員 千葉大学の砂上です。

私は、きょうの資料4でいきますと、鈴木先生の後、23ページに意見を箇条書きでまとめてあります。

資料1の3つの論点にかかわっていきますと、恐らく、乳児・3歳未満児保育における養護及び教育の内容というところに強くかかわりがあるかと思うのですが、先ほど来、先生方からたくさんお話をいただいていますように、養護というものの意義と位置づけというところをよりしっかりと確認した上で、また、新しい指針に反映していくべきと思っています。

生命の保持、情緒の安定を図るために、保育士等が行う援助やかかわりを養護と位置づけられていますが、それは、教育の前提であり、基礎となるものであって、養護なくして教育は成立しないということが、養護と教育の一体化ということの意味でもあるかと思います。

今の現指針ですと、第3章、保育の内容の中に、養護にかかわるねらい及び内容があって、その後に5領域の教育にかかわるねらい及び内容というのがあるのですが、この並びだと、養護と教育の一体化というところがちゃんと理解されていれば、誤解にはならないと思うのですが、やはり、横並びであるよりは、養護が基盤なのだというところを、より確認して強調するのであれば、第1章総則のほうに、養護に関することを位置づけるほうが、5領域との関係性が明確になるのではないかと思います。

第3章の保育の内容に並べてしまうと、養護が第6の領域であるような印象になってしまわないかという危険性もあるので、やはり、養護が何においても基本、3歳以上児においても、先ほど来、先生方からお話があったように、養護的なかかわりの具体的なあらわれは変わるけれども、養護的なかかわりが、3歳以上児になって弱まったり、なくなったりということでは決してないということがあります。それは、恐らく、幼児教育、幼稚園であれ、こども園であれ、幼児教育というのは、やはり養護が基盤というところは、しっかり位置づけるべきだと思うので、もし、章立て云々で言えば、第1章のほうに養護にかかわることをよりしっかり書いておくことがいいと思っています。

養護にかかわるねらい及び内容は、現指針で、かなりきめ細かく書かれているかと思うのですが、きょう御説明いただいた資料2の海外の研究等にもありますように、やはり、保育の質とは何かと言ったときに、やはり、保育士と子どもの実際のやりとり、相互作用の質、コミュニケーションの質なのだというところは、しっかり押さえた上で、だから、養護というところは特に重要だと、意義を明確にする必要があるかと思います。保育の質を担保しているのは、その保育士と子どもの相互作用の質である。

だとしたら、生涯にわたる人格形成の基盤というか、一番生涯の中で重要な時期である、乳幼児期というのは、人生の中で、一番質のいいコミュニケーションを経験するべきだというぐらいに強く思う必要があって、では、最も質のいいコミュニケーションというのは、どこにあるのかといったときに、それは、保育士のかかわりを見ればいいのですと、全国民にとって、乳幼児期の最も質のよいかかわりは保育士のかかわりに現れているというふうに言えるぐらいにしっかり位置づけるべきだと思います。

そういう1つの手本というか、見本になっていくものだという重要性を明確にする必要があって、保育士の相互作用の質、コミュニケーションの質というのは何かというと、先生方がさまざまな形で表現してくださっているように、やはり応答的であるということが一番要であるかと思います。

応答的というのは、何かというと、一方的に、こちらから子どもをかわいがる、愛玩的なかかわり方ではなくて、相手のニーズを読み取った上で、反応していくということが応答的であるということになって、それを子ども一人一人のニーズに合わせてやっていくということが応答的である。

それに並列して、温かさとか、需要とか共感というものが、やはり保育士の専門性なのだというところをしっかり書いていくことが大事ではないかと思います。

専門性とは何かというと、要するに、学習しなくては身につかないものであるし、自覚して行うもの、あるいは反省して対象化され得るものということと、もう一つは、絶えず向上していく、最低限のラインはあるけれども、一番上はないということで、高めていけばいくというところに天井はないと、そういうものが専門性なのだと、しっかり押さえていくべきだし、その根拠は、やはり、科学的なエビデンスということと、もう一つは、人権意識ということをすごくしっかりと言っていかなければいけないのではないかと思います。

ここに関しては、やはり、保育士の専門性ということが、やはり、まだ社会の中でしっかり了解されていなかったり、アピールされていないのではないかというところは、少し危惧も感じています。保育士を目指す若者と接することは多い仕事についていますが、どうして、保育士、幼稚園教諭になりたいかというときに、子どもが好きだからということを言う。それは、わかるし、その意味において、保育士の先生、幼稚園の先生は、子どもが好きであるとは思うけれども、それと保育士という専門職ということの結びつきが、やはり弱いというか、例えば、医師や看護師が、どうしてその仕事を選んだからというときに、患者さんが好きだからと言うだろうか、臨床心理士やカウンセラーをやっている人が、その仕事をどうしてやりたいかというときに、心のケアを必要とする人が好きだからと言うだろうかということです。だから、対象に対する愛着ではなくて、やはり、やっている行為の専門性にやりがいを感じる、生涯において一番重要な乳幼児期の子どもの成長を支えることにやりがいを感じるからとちゃんと言わないといけないけれども、それが好きだからということで、何となく通ってしまうということに対して、やはり危惧を持つ、もっと専門性なのだよということは言っていく必要があるであろうということを感じています。

ですので、ここのところは、養護を強調する上で、また、それが専門性で行われる。ともすると、人柄と情熱でやっているみたいに誤解されがちではあるのですが、保育を担う人の人柄と熱意がすばらしいということに疑問はないけれども、それだけでやっているわけではなくて、やはり、専門職として、専門性を身につけてやっているのだということを、今回の指針を、また改訂していくときに1つ軸として通していただければとも感じています。

今度は、乳児・3歳未満児保育の教育ということに関してなのですが、ここは、乳幼児の育ちというものを、特に教育的な観点で考えたときに、乳幼児が生活や遊びを通して育つ。その育ちの中に、それぞれの発達段階における学び、あるいは学びの芽生えというものが見られるということ。

特に、乳幼児期は、先ほどもお話があったエモーショナルなコントロール、感情的なコントロールの力や、粘り強さなど、非認知的能力が育つ重要な時期だというところが、1つ押さえておく必要があるかと思います。

ただ、先ほど紹介していただいた、ミッシェルのマシュマロ課題ですね。今、すごく話題になっているのですが、やはり、ここでしっかりと専門職である保育士だったら見きわめられることは何かというと、ここでミッシェルのマシュマロ課題で行われていた我慢するというのは、させられている我慢ではなくて、子どもが自分で選んで工夫している我慢だということですね。だから、育ちにつながる我慢と、そうではない我慢の質の違いが見分けられなければいけないし、それが見分けられる専門職は保育士あるいは幼稚園教諭しかないのだというところにもっと自負を持っていただきたいと思っています。

このマシュマロ課題が、今、すごく評判になっていることは、乳幼児期の重要性を示唆する上ではいいと思うのですが、これが表面的に受けとめられて、とにかく乳幼児期は我慢させればいいのだなどとまかり通ったら、それはむしろおかしいし、保育所、幼稚園のおやつの時間がディストピアにならないことを祈るばかりなのですが、やはり、そうではなくて、自分で選んで工夫する我慢ということ、そういう質のいい我慢を経験させられる専門職というのは保育士しかいないのだという自負が、この非認知的というところにも1つかかわってくるかと思います。

乳幼児期の学びの特徴は、幼稚園教育要領あるいは認定こども園教育・保育要領とも共通ですが、環境を通して学ぶということがあります。

その子どもが、意欲的、効果的に学ぶのは、子どもにとって意味がある活動や状況というのが生まれたときに、子どもは最もよく学ぶ、だから、そういう環境をつくり、構成することが大事とあります。

それで、子どもにとっての意味は、大人は、それが将来役に立つからというような目線で見てしまいがちですが、子どもは、今、ここでおもしろいか、楽しいか、あるいは親しみを感じるかというようなことがすごく大事で、それは、子どもの中にあるのではなくて、環境から引き出されていくのかという観点で、環境が大事だというところをしっかり押さえていく必要もあるし、それは、乳児であれ、3歳未満児であれ、3歳以上児とは学びの原理は変わらないと感じています。

そう考えますと、これは、3歳以上児のところとも重なってくると思うのですが、保育の方法にある乳幼児期にふさわしい体験が得られるように、生活や遊びを通して、総合的に保育することというところに、それが、乳幼児期の発達にふさわしい教育の実践であり、学習の保障なのだというようなことをもう少し積極的に明記することで、乳児期からしっかりと教育というものも行われているのだということが、より強くアピールできるのではないかと考えます。

ここで、保障という言葉を使っているのは、それは、あって当たり前というか、それがあることが子どもの乳幼児期のふさわしい発達を支えるという意味で、もう少し強くそういうことを遊びであるとか、そういうことを保障するべきだと言う必要があるかと思います。

それで、保育の方法というところに関して、幼稚園教育要領や認定こども園教育・保育要領とも共通して、やはり遊びということが子どもの活動の中核に置かれていると思うのですが、やはり、この遊びという概念の整理は、それぞれの要領、指針を通して整理は必要ではないかなと思います。

それで、遊びと一言で言っても、非常に定義が難しい概念であるということがあります。

それで、心理学的には、遊びというのは、活動というよりは、むしろ情動として辛うじて定義され得るというようなことがあって、恐らく、子どもの生活を見ていると、大人が思っている遊びの時間だけが、子どもにとっての遊びでもないということもわかるかと思います。むしろ、どんな場面でも遊べるのが子どものよさであり、すばらしさ、言いかえると、どんな場面でも学ぶこともできるということになります。

それで、遊び概念も、いわゆるフリープレーと呼ばれる自由遊びから、ガイデットプレーと呼ばれる誘導された遊び、あるいはディレクテッドプレーと呼ばれる指示された遊びとでは、大人がどのように計画しているかとか、大人の意図性でかなり層が違ってきています。

我々、自由遊びと呼んでいるものも、そこには前提として大人の環境構成があるので、ある意味、フリープレーというよりは、ガイデットプレーの概念で捉えて整理することも大事ではないかと考えています。

ただ、そのガイドが明示的か、非常に暗黙的かということの違いだったり、年齢に応じてということになるかと思います。

最後、少し章立てのところにかかわってくるのですが、以上から基本的には教育の方法は、3歳未満児と3歳以上児で、学びの原理は変わらないだろうと思います。

ただ、発達過程区分等の特徴から、3歳未満児などは、より養護と教育の一体性は強く切り分けられないということ。

あと、個人差に応じるというようなことも含めて、個別性の重視ということはあると考えます。

最後、章立てのことに関して、発達過程区分を示す、現指針の中の第2章です。発達過程がきめ細かく書かれています。

先程来、1歳3カ月で切るか、1歳6カ月で切るかという話も出てきてはいますが、これは、認定こども園教育・保育要領等との整合性も踏まえて、また、ここがすごく大事なところでもあり、よりきめ細かく、最新の知見でこう書いていくという必要もあるので、指針よりは、指針の解説のほうなどに回したほうが、より充実して書いていけるのではないかと考えています。

以上、長くなりました。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

ある程度、指針にどう落とし込んでいったらいいかという形での御提案でしたので、大変わかりやすかったと思いますが、幾つかの論点を新たに出していただいています。どうもありがとうございました。

では、松井委員、お願いいたします。

しろまる松井委員 香川大学の松井です。資料は、29ページになっております。

ちょっとピントがずれた話になってしまいそうな気がしているのですが、資料に沿ってお話をさせていただきたいと思います。

先ほどから、章立ての件ですとか、さまざま出ているのですが、そこまで、私のほうでは、まだ考えられていない状態です。

今回の論点に合わせて、ちょっとお話をまとめてまいりました。

まず、乳児・3歳未満児の保育の意義の位置づけについてということなのですが、1つ、先ほど、科学的な根拠もというふうなお話が出てきたのですが、前回の改訂から今回にかけてという中で、1つ挙がってきたのが、貧困の問題ということがあるのかなということで、指針にどう落とし込むかというところで、非常に難しい面はあるのですが、その親の社会経済状況と、子どもの発達という視点から、欧米のほうで、さまざまな横断研究ですとか、コホート研究というのはされておりまして、その結果の中からでも、子どもの発達に影響があるという結果と、影響がないという結果、さまざま上がっているところです。

ただ、全体的に総じて見てみますと、やはり、身体発達とか、運動面について、あとは、言語についてという面では、特に影響が強いという方向での結果が出てきているかなと思いますし、そこの保育の質との関連で申しますと、保育の質というものが、特に、社会経済状態があまりよくない家庭において、非常に大きい影響があるということがあって、その保育の質が高い場合には、そういった家庭のお子さんの発達を保障するという面が非常に見られるのではないかという結果も出ているかと思います。

そういった面から、特に乳児、3歳未満児という年齢の時期において、家庭の中で見られるような環境というのを支えていくという形での保育の位置づけという面が、どういった形になるかわかりませんが、表現できたらいいのではないかという部分というのもございます。

家庭での育児資源の少なさというところも、お子さんの発達と関連しているということも言われておりますので、そういった視点ということを、大きな意義の位置づけというところで考えた次第です。

それは、実際に保育所に行っても少し感じるところがありまして、さまざまな保育所に行かせていただく機会があるのですが、その中でも、特に地域的に、そういった課題の大きいような地域に行きますと、非常に経験に飢えているお子さんというのがたくさんいて、遊んでくれそうな人がいたら、群がって遊んでくれ、遊んでくれというふうなアピール合戦が始まるような状態というのが見られています。

そういった中でも、先ほど、発達の区分というところでのお話もあったのですが、発達上は、恐らくテストとかをしても全く問題がないようなお子さんであっても、生活上の課題というのが見られてくるような部分というのがありまして、例えば、ハサミの使い方とかというのも、年中、年長になってもぎこちない使い方をしているようなお子さんというのがいて、それは、家庭にハサミを使うような状況がないとか、それまでの保育の中でも、余り目立って課題が見られたような子どもではないので、そこら辺の経験というのが、余り保障されてこなかったというふうなお子さんが、年長、年中でもなかなかうまいことハサミが使えないという事例とかもあります。

そういったお子さんに、じっくり、ほんの5分、10分、しっかりかかわってあげるだけで随分使えるようになるという部分が見られたりいたします。

発達は、やはり結果として見えるものとして、提示されるべきことかなとは思うのですけれども、それに至るまでの経験という部分で、どういった経験がお子さんにとって必要なのかという部分を示していって、後々3歳以上の保育につなげていくというふうな視点というのも必要なのではないかということを思っています。保育の量というよりも、そのかかわりの質というところで考えていくという部分というのも、意義の位置づけとして必要な視点ではないのかなと思います。

実際の内容に関しましては、先ほどから応答性ということが、非常に出てきているのですが、応答性が大切なことは、もちろん、いわずもがななのですけれども、応答という言葉の解釈というところで、当然、子どもからの何かのサインが出て、それに対して、大人が答えるという部分というのが、非常に出てきていると思うのです。

それだけではなくて、もっと大人から積極的に語りかけていくような態度も必要なのではないかということを思っています。

と申しますのは、家庭とか、保育所で見られていくような乳児保育での保育者さんのかかわりの中で、積極的にお子さんに話しかける場面というと、身辺処理ですとか、何かやってほしいときには、積極的にお子さんに話しかけていくのだけれども、応答というか、何気ない、本当に会話とかという部分でいうと、お子さんのサインを受け取って応答するというふうな形のかかわりが形式としてあるのではないかということだと思います。

実際に、先ほどお話があった、お子さんにとって意味があるような状況において、大人から乳児あるいは3歳未満児に対して、温かく、何気ない会話でいいので、語りかけていくような姿というのも、お子さんの言葉の発達において非常に大切なのではないかということを思います。

語弊があるのですが、応答というふうに言いますと、ちょっと手を抜こうと思えば抜けてしまうという部分もあるのではないかということを思いまして、実際に、いろんなことを仕事としてやっているので、サインを受け取れなかったという部分で、応答というところの言葉の解釈として、保育者のほうから積極的にお子さんに語りかけていくような部分というのも記載してもいいのではないかということを考えていました。

あとは、2歳から3歳以上に向けての以降についてなのですが、それについては、先ほど小規模保育ということがあったのですが、実際に保育所のほうで考えますと、異年齢の中で、まず、教育というふうな要素を感じとっていくという部分あるいは集団での教育という部分を感じとっていくというところもあるのではないかと思います。

特に、2歳児が年長児へかかわっていく場面において、多くの異年齢交流では、年長さんが年少のお子さんに思いやりを見せるような形でかかわっていくということが多いかと思うのですが、3歳以上のお子さんたちが受けているような保育というのを、2歳児がじっくり見て感じとっていくような場面というのもあっていいのかなと思います。

以前は、恐らく兄弟がたくさんいたときには、家庭で、そういった部分というのも感じとっていたお子さんがたくさんいたと思うのですが、現在の保育ということを考えていきますと、そういった年少のお子さんが、上のお子さんが受けている保育というのを見て感じとるような場面というのをつくっていってもいいのではないかと思いました。

まとまりがないお話ですが、以上になります。

しろまる汐見委員長 ありがとうございます。

ちょっと確認させてください。前半のところで、また、新しい第2の論点が出されているのですが、貧困問題と、どう保育として立ち向かっていくかというときに、そのことをそのまま指針にはなかなか書きづらいということで、ここでは、特に未満児、乳児の保育においては、保護者支援だとか、家庭支援というのと、もう少し積極的にセットにしていくような視点が必要ではないかと、そういう御意見だと、お伺いしてよろしいでしょうか。

しろまる松井委員 はい。保育所でやっていることを家庭にどう啓発していくか、発表していくかということともかかわってくると思うのですが、家庭の保育の質というものと、あと、保育所の質というもの、並行して進められていくような形での連携というのがとられていくといいのかなと思っています。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

それでは、和田委員が3時に御退席だということで、一言、御発言いただけませんでしょうか。

しろまる和田委員 ちょっとお話をさせていただきたいと思います。

保育所における保育の基本的なあり方というところで、小規模保育事業等や家庭保育事業等における保育のあり方を含むということで考えるところは、1つは小規模保育事業等や家庭的保育事業における保育のあり方としては、複数職員の構成にて、適切な員数の乳幼児の保育を実施すべきであり、あるいは保育者、保育士あるいは看護師が1人で複数以上の乳幼児の保育を行うことは避けるべきであると考えます。

次、乳幼児保育の在り方についてお話ししたいと思います。

乳児保育における延長保育、長時間保育は、乳幼児の健全な発達にとっては望ましくない、それから、乳児保育において慣らし保育は極めて重要であると考えます。

それから、虐待、保護者の疾病、貧困などの多くの問題を抱える保育環境を考えますと、乳児保育での保育所の役割は重大であります。生命の維持、情緒の安定、愛着形成と、人見知り等が形成される環境の提供が重要であると考えます。

特定の大人と密接な関係で信頼関係を提供すること。すなわち、担当制の重視が重要である。

それから、自己肯定感の育み。延長保育、長時間保育は、母親との愛着形成に支障を来す可能性があり、一定の歯止めをかけることも必要ではないか。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

それでは、山縣委員、お願いいたします。

しろまる山縣委員 時間をありがとうございます。

私の資料は、35ページ以降にあります。今回のこと限らず、全体像をまず理解して、幾つかの意見を書いています。

今回は、特に1番と3番が中心になろうかと思います。これは、文書でも提出しておりますので、若干の補足はしますけれども、今までの議論を聞いていて、さらに思いついたことなどを加えさせてください。

まず、きょうは、実質的な議論が始まったばかりだから、この形で、私は別にいいと思うのですけれども、議論をし始めると、あれも入れたい、これも入れたいという話になってしまうと思うのです。私は、前回やられた大綱化というのは尊重してほしい。という意味では、いっぱい提出して指針に残すべきものは何なのかというところ、それが、解説という形がいいかどうかは、ちょっとまた別の話なのですが、指針として、残す根幹のものを、もう一回絞り込む作業をやらないと、結局、大綱化から外れてしまうと思います。

それで、3つの指針、要領を、冬休みに結構読んで、あれこれ考えてみたのですけれども、この認識のところにも示していますが、非常に失礼な言い方なのですけれども、保育所保育指針を読む人あるいはそれを直接的に対象とする子どもはどんどん減っていくということですね。認定こども園に変わっていきますから、そうすると、きょうの課題で、その他の位置づけになっている幼保連携認定こども園の要領にどう引き継ぐか、あるいは、今の幼保連携認定こども園の教育・保育要領へ抜けているものは何なのかというところを、しっかり書き込む必要があるのではないかと思いました。

それで、一番出てくるのは、やはり、3歳未満のところではないかと。3歳未満についての記述が、これからは非常に読みづらい、特に保育の内容というふうな部分のところからは、非常に読みづらい構造になっていると思います。

1つは、先ほど、砂上委員の意見もなるほどなと思いながら聞いていたのですけれども、分離をしてしまうと、この保育所保育指針が定義している保育の定義が揺らいでしまうと思うのです。養護と教育の一体的提供と定義しているわけですから、書き場所を変えてしまうと、一体化という提供のイメージが、ますます理解しづらくなる。今でも、私は分離して書いてあるから理解しづらくなっていると感じています。

何が一体なのというふうに、言葉としてはあるけれども、中身は養護のねらいと教育のねらいと分けて書いていますから、それが、一体化するということの意味合いが、なかなか伝わりづらいような気がする。一体化とは何かについて、私は書くべきではないかと思います。

それから、特に3歳未満では、より強調され、ここにも書いていますけれども、記述をどう分けるか、私も専門外なのでよくわからないのですけれども、私は、0と1、2歳と3歳ぐらいと緩やかなイメージを出していますけれども、例えば、0歳児のところにおいて、5領域を丁寧に書くことにどれだけの意味があるのだろうかというふうなことになるのです。

3歳以上は、私は意味があると思うのですけれども、それでも、今回の養護の記述について言うと、保育指針では、養護のねらいは何かというと、生命の維持と情緒の安定、養護とは、それだけでいいのか。

一方で、保育士さんは、社会的養護に関しても学ぶ、そこの養護というのは、もっと広い意味合いを持っている。他の科目との関連で考えたときに、保育指針が使う養護と、保育士養成で使う養護の意味合いが相当ずれてしまっている。ここの関係性も見ていかないといけないと思うのです。

3歳未満については、分離して書いているために、これは私は専門外で、皆さんのほうがよっぽど専門なのですけれども、5領域について言うと、中身はほとんど変わらないですね。一番最初に出てくるねらいは、3つがほぼ共通していて、中に出ているのは、10から1213の項目に分かれていますけれども、例えば、健康のところで言うと、ほぼ一緒なのですよ。保育指針のところ、1項目を3点に分離しているから多目に見えるけれども、中身的には一緒であると。

ほかのところも、ずれているところが2つか3つしかなくて、そうなってくると、幼稚園教育要領は3歳以上を対象にしていますから、3歳未満が何なのと、それが、3歳以上と同じ中身を3歳未満にも展開するのかどうかというふうに読めてくる、そこら辺を、育ちについては分けて書くことができるけれども、教育とか保育のねらいというふうになったときに、どう書くかというのも、そこがむしろ、3歳未満の検討課題ではないだろうかと思って、この間、いろいろ考えていました。

もう一つは、一体的であるということの意味合いを書くためには、先ほど、これは砂上委員もおっしゃっていましたけれども、遊びとか、生活という視点をきっちり、全体が一体何なのかということを、5領域が、この文章を読むと、独立して存在しているように見えてしまうと、それは、場合によっては小学校の科目のように思われてしまう。科目ではないのだという位置づけは、しっかりしているけれども、読むだけ読んでしまうと、独立して読めてしまうと。それぞれが全て関連しながら生活なり、遊びが成り立っている、1つの項の中に5つが入り込んでいるのだという意味合いをしっかり位置づけていく必要があるのではないか。それが、3歳未満のより大きな特徴になってくるのではないだろうかと思いました。

最後ですけれども、きょうのデータにもありましたが、NICHDの調査、私なりの解釈かもしれませんけれども、研究、何を言ったのかというと、保育士が環境であるということを言っているのではないかと思います。「保育士という環境が、非常に大きな意味を持っています」と。それがかかわりという言葉であったり、応答という言葉でもあるわけですけれども、言葉は二重にあるので、新しい言葉を使うなり、何なりしたほうがいいと思うのですが、子どもの育ちにとって、非常に大きな環境は、保育士という存在そのものであると、あるいは保育士との出会い、接点そのものが環境なのだというところが、この環境からは読めないのですね。自然環境とか、そういうものにしかなっていなくて、保育士そのものが環境あるいは保育士の存在そのものが意味がある。

特に、3歳未満については、3歳以上も共通ですが、とりわけ3歳未満について言うと、それが個人ではなくて、チームとして存在している。そのあたりの書きぶりも、今までのものでは弱い。こういうところのポイントを、3歳未満を中心に書き込むことが重要ではないか。

それが、本当に最後になりますけれども、特にデータを示していますが、待機児エリアを中心に、3歳未満児の保育所だけの、いわゆる一般に乳幼児保育所と呼ばれるものができ上がってきている。

今回、直接の対象にしていないけれども、事務局の説明によると、小規模保育事業の方々にもぜひ読んでいただきたいとなってきたら、それも3歳未満児になります。

そうすると、3歳のところでいって、かかわりが終わる仕掛けが出てきてしまう。その部分で、3歳と3歳以上のところの関係性、連続性というところをどう図っていくのか、そういう視点も、細かい中身のところに書く必要はないと思うのですけれども、総論のあたりに、私は必要になってくるのではないだろうかと思いました。

以上です。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

メモには、まだたくさんありますけれども、きょうのテーマにかかわって3点お話しいただきました。

それでは、寺田委員、お願いいたします。

しろまる寺田委員 それでは、お話をさせていただきたいと思います。私の資料は、25ページにございます。

この中で、ポイントとなるところを少しお話しさせていただきたいと思っています。

それで、1番のところですね。全体の指針の中では、保育所の位置づけだとか、それから、小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育との関係だとか、保育連携についてふれていく必要があるかなと思っています。

これからの保育所の重要な役割となることを認識していくことの理解が必要ではないかと考えます。

もう一点は、3歳の壁ということが言われていますが、0、1、2歳児保育のニーズが高いことから、大変、その保育所がふえて、ところが3歳になると、なかなか保育園に入れない、別の園に行くということや、それだけではなく、1つの保育園の中で、乳児と幼児の、なかなかスムーズな連携ができにくいというような現状から、ここの乳児と幼児の壁のところをうまくスムーズにいくために、2歳児クラスの後半ですね、1月ぐらいから幼児クラスに毎日2人ずつ園児が入っていて、慣れていくような形をとっている保育園であるとか、それから、午前の保育を乳児担当してきた保育者が、午後には幼児の保育をするというような入れかえ式の保育をすることによって、保育者自身が替わるということですね。それによって1人の保育者が、園全体のことをニーズできる。つまり、1人の保育者が2役、3役をやることによって、スムーズな運営をしているというような保育園の例なども参考になるかなと思っています。

ですので、新たな、その制度の中で、保育の連携であるとか、小学校の接続機能の観点も重要ですが、3歳のこの壁をうまく接続するという点も大事かなと思っています。

3番ですが、現指針の施行後、新制度の施行によって養護と教育の一体性は一層重要性を増していますので、第1章総則で、保育の基本としての養護と教育の意義や意味をより一層強調することが必要であると考えます。

また、3歳未満児だけでなく、3歳以上の章、節でも繰り返し、教育の前提となる養護の側面を明記することが必要でないかなと考えています。

続いて、2番の現在の第2章の子どもの発達でございますけれども、26ページのところ、ここのところで、特に3番の幼児保育の重要性について、少しお話をさせていただきたいと思います。

先ほど、朝川課長から、乳児及び3歳未満児の時期が大変重要であるということを、データをお示しいただきながら、丁寧に解説していただきましたけれども、オキシトシンの量と、その受容体の量は、1歳のころに決まると言われています。つまり、この時期をとても大事に保育するということが大事だと思うのです。内発的な動機づけや遊びが学びを促し、意欲が育っていきます。周囲の大人が行き過ぎた先取りをすることなく、子どもの個性に柔軟に対応することが大切です。

乳児期の保育を通して、さまざまな養護と教育の一体的営みがされることについて、関心をより深めていく必要があると思います。

例えば、知的教育を例にすると、知的教育とは、手の届くところのものへのかかわりでありますけれども、乳児は、ものの特徴についてかかわりを通していろんなことを感じることができると思うのです。

さらに、今度は、ものから人へというふうに興味、関心を高めていき、そして、活動を進める際のこつとして、ほかの子ども、周囲の他者に対して、さらに保育者の模倣というものがあると思うのです。一緒にいるという楽しさ、そばにいるという楽しさから一体感を感じ、ともにする行動から生まれて展開していきます。

これも、先ほど汐見先生もおっしゃっていましたけれども、まさに環境の1つではないかと思います。

人生の最初の学びである乳児保育、この時期、この学びは、ささやかな子どもの経験から生まれる次の芽生えでありますし、この乳児期の遊びを学びの芽生えの視点から考えますと、それは、生涯の学びの出発点であると思うのです。

この時期の遊びを、小学校以降の教育の準備として捉えているのではなくて、人生の基礎、土台と捉えて一人一人の子どもに対して長期的な視野を持った援助をする必要があると感じます。

これらのことが、つまりは、全体の子ども自身が学びを発展させていく、学びの芽生えにつながるし、それを大事にしていき、それらを大事にしながら、カリキュラムや保育課程、教育課程を再構築して、園の中でカンファレンスをしていく必要があると思います。

続いて、4番の自己主張と5番の3歳未満児の保育についてなのですが、乳児とか3歳未満児の保育では、愛着関係の構築が重要項目ですけれども、具体的には、指導上の留意事項で、特定の保育士とのかかわり方を挙げることが重要でないかなと考えます。

愛着のことについては大変重要であり、保育者が応答的なかかわりをするということも皆さんおっしゃっていらして、私も大事なことだと思うのですけれども、現在の保育の中で、1歳のころから明確にあらわれる自己主張、つまり、自らの思いや願いを明確に他者に示す自己主張という行為が、ともすると、一部の保護者や保育者にとって、反抗というふうに受けとめられる現状があります。

このような保育観とか子ども観は、保育所保育指針の精神とはかけ離れたものではないかなと考えます。子ども主体の保育、子どもに寄り添う保育というのが重要な点であるのではないかと思います。

さらに、6番の保育の専門性についてなのですけれども、ここに書かせていただいたことに加え、科学的なエビデンスであるとか、人権を重視すること、これらも大事なことではないかなということをつけ加えさせていただきます。最後に、この保育所保育指針の改定が、現場の保育者が誇りを持ち、そして、元気が出るような、そのような改定保育所保育指針であればと願っております。

以上です。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

以上で、レポートを事前に提出くださった方の御発言は一とおり終わったのですが、もうそれで大分時間が来てしまって議論にならないのですが、レポートを出さなかったけれども、発言しておきたいという方がいらっしゃると思いますので、安達委員からお願いいたします。

しろまる安達委員 資料がなくて申しわけございません。

3点ほどあるのですけれども、養護というのは、私は、幼稚園には養護がないという言われ方をしますが、決してそんなことはなくて、心持ちとしては同じで、やはり、全ての教育活動に養護の視点というのがあったり、抜きには語れないので、私は総則の中に入れて、しかも、養護の視点の中に、ここは肯定的なまなざしを向けるというようなことがとても必要ではないかと思っています。

何十年前に、1年生を担任した子で、そのときに困った子だなと思っていたことがよくなるということを、本当に何十年経って経験しますと、こだわりの強い子が、例えば、5歳になったお見せ屋さんごっこでこだわって本物らしくつくるというようなことが間々ありますので、やはり、その子の、その姿というのは、肯定的に常に受けとめる、例えば、かみつきであっても、やはり、子どもがかみつかざるを得ない、1つの、でも、それはいろんな、阿部先生から出ていたように、やはり、1つの発達の姿として、2歳のああいう姿も、1歳のかみつきも、やはり、全てにおいて、肯定的なまなざしを向けたものになったらいいなということを考えております。

それと、前回、もう少し具体的にということをお話しさせていただいたのですけれども、やはり、大綱化を崩すべきではないと思うのですけれども、やはり、具体的に外形の育ちだけを書き過ぎてしまうと、そうなったらいいということになってしまうので、やはり、外形的な、そのとき、そのときの1歳3カ月、6カ月は、非常に難しいところだったのですけれども、順序性ということが、きちんとあって、こういう育ちの次には、こうなるよという順序性は、きちんとある程度具体的に書いた上で、しかも、それに内的な子どもの思いですとか、育ちが、やはり、きちんと書き込まれたものになったらいいのかなと思います。

それと、主体性が、やはり、子どもたちにとって大変大切だと思うのですけれども、となると、やはり、保育者の応答性も大変重要で、先ほど、松井委員もおっしゃっていましたように、受けとめるだけではなくて、こちらからの、本当にかかわりもとても大切にしないといけませんし、どこかに主体性が、子どもが育ってくると、保育者は大変になるということも書いておいてもいいのかなと思って、何か、最近、つらい思いを何回かいろんな園でしたのですけれども、ある保育所で、1歳の子が、18人全員がそろって、いただきますをしているような場面ですとか、壁ぺったんよ、壁ぺったんよと、でも、それを待っていることが悪気なく保育者の方がされているときもあったのです。待てるようになったと。やはり、そこが非常に難しいところで、先ほどのマシュマロもすごくそこが、とりようによっては、ちょっと難しいところだなと思ったのですけれども、やはり、本当に自分から、みずから見通しを持って待てるのか、待たされているのか、やはり、乳児のところでは、集団ではない、やはり、待たせない保育というか、そういうことをきちんと書き込んではどうかなということを思ったりしております。

最後になのですけれども、やはり、大綱化するということで、相反するのですけれども、どこかで事例みたいなことを、しかも、この現代ですので、うちで今、教育課程の補足資料として、そのとき、そのときの毎月の子どもの姿、一人一人つくっているのですけれども、それを並べた写真の教育課程みたいなものをつくって、それをまた、保護者とも共有するようにして、やはり、言葉だけでは限界があって、事例も必要で、やはり、そういう具体的な事例ですとか、こういう応答、やりとりがあって、子どもが育ったというようなものがあってもいいのかなと、すごく思ったりしますので、そういうことも並行してやってはどうかと思ったりしております。

しろまる汐見委員長 それでは、岡村委員、お願いします。

しろまる岡村委員 認定こども園、ポプラの木の岡村です。現場からの発言ということにこだわって、ここでは発言させていただきたいと思っています。

養護が重要だということは、先ほどから、ずっと御意見が出ているところですけれども、認定こども園教育・保育要領でも、これまで保育の内容のほうに書かれてきた養護というものが、総則のほうに書かれた。これは、5領域と並ぶようなものではなくて、全てに包み込むようなものとして、底辺にあるようなものとして養護があると。子どもの生命の保持と情緒の安定というものがあってこそ、5領域が生きる、考え方が生きてくるということですので、今回も書きぶりとしては、5領域と並べるのではなくて、やはり、総則のほうに書いていただいて、なお、そこでも3、4、5歳児、幼稚園教育要領のほうでは、養護があって、今のお話もありましたけれども、ないわけがないのですが、幼稚園教育要領では、保育の内容のことに集中して書いているけれども、保育所保育指針のほうは、保育の内容とともに、援助のあり方であるとか、運営のあり方であるとか、もっと総合的なことが書いてある、その違いがある中で、大綱化をしていくというところの無理が少しあったのかなと思うのです。

でも、そこで、本当に大事なことを大綱化し、明確に書くということを今回はやったほうがいい、そして、解説書等のほうにきめ細かい配慮事項を書いていったほうがいいと、私は感じています。

ここで、保育所保育指針ができたとして、これは、私たちが、さまざま意見を出し合って、国として言語化したものですけれども、それは、決して完全なものではなくて、いつも検証され、そして、時代や社会が変われば、変えていかなければならない。そして、現場では、それを用いて、子どもに当てはめて、子どもを育てるのではなくて、子どもの現実が先にあって、その中でどうすればいいかと、通しながら、ここから大事なことを読み取って保育をしているわけですから、現場から学ぶということをやはりやっていかなければいけない。

その中で、私は現場では、職員に何か困ったことがあったら保育指針、教育・保育要領、ヒントがあるから、そこから見ていこう、そして、気づいたことがあったら出し合っていこう、ないことがあれば、一緒に工夫していこうということを出し合いながら保育をしているところです。

特に、きょう、1つ例として出させていただきたいのは、今の18人の1歳児が我慢よと言われた、私の園では考えられないことなのですが、1対1の人間関係の中で、基本的な信頼関係が育まれていく、アタッチメントが形成されていくということを本当に大事にしなければいけないということを、前回、家庭の中でアタッチメントがうまくいかない状況をお話ししましたけれども、危機的な状況にあるということを、実際に私も感じながら、本当に1対1で、子どもが安心してここにいられる、僕は誰、ここはどこということをしっかりと安心して過ごせる場所にということを考えているわけで、例えば、離乳期、離乳食が始まって、離乳食の前期のときには、子どもは1対1です。当然、ミルクを飲む授乳のときは1対1ですね。同じように、その延長線上で、1対1で離乳食の前期は、子どもが食事をしていきます。3対1で見ていますけれども、3対1のグループが、例えば3つあるとすれば、あとの2人の保育者が、それぞれ順番に見ながら、子どもが1対1で食べられるようにゆったりということをやっていきますし、離乳期の中期、後期というところで、次第に2人、2対1で過ごすようになっている。1歳児になっても、6対1ですけれども、4対1以上の人数では食べません。3対1か、多くても4対1です。それぐらい、やはり、子どもと言葉をやりとりしながら、おいしいね、辛いね、甘いね、いろんなことをやりとりしながら、子どもたちが徐々に誰かと一緒にということが当たり前になっていくようなことをやっていく。

そして、先ほどの3歳未満児、3歳以上児という分け方も、やはり、これは、言葉化する上での限界性があるのだろうと思います。未満児の特性と、以上児の特性というものも当然あるのだろうと思いますが、子どもにとってみれば、そんなものはなくて、連続的に大きくなっていくわけですから、2歳児高月齢の子どもたちの部屋では、だんだん6対1から超えて14人ぐらいが一緒に過ごしているような時間があったりというふうなことを経て、3歳の生活ということがありますので、そういうところを大綱化するところで書けないものを、解説書のほうで書きながら、アタッチメントの流れをどう卒園するまで続けていくのか、つなげていくのか、そこで、自己肯定感を持って、他者とともに生きる力を身につけていくのかということをぜひ書きあらわしていただきたいと思うのです。

きょうは、もう一つ、前回もそうでしたけれども、現場の話なのですが、0から3歳の保育のことで、本当にもっと一番根っこにあるのは、命を守るということなのだと思うのです。

そのことは、本当に、今回、平成26年6月30日の子ども・子育て会議で特定教育施設等の重大事故発生再発防止についての取り組みの検討をすべきだというので、平成26年9月8日に重大事故の再発防止策に関する検討会が設置されて、12月に最終の取りまとめがなされたものが現場にもおりてきているわけです。

このことを私たちは、0から3歳の、特に乳児の保育を考えるときに、重く受けとめておかなければいけないと思うのです。

私たち、認可保育所という場所では、当然やっているような、5分おきに呼吸をしているかどうか確認をするとか、仰向けに寝かせるとか、そんなことが当たり前ではない世界があるということ。

そして、今回、新しい制度が始まっていったときには、今まで認可外で、例えば、0歳を、6人を1人で見ていたりとか、そういう当たり前に認可施設では配慮していたことがわからない中でされていたようなところが、市町村の基準をクリアして、地域型保育給付、20人未満の保育施設として入ってきたときに、そこにも、この安全な場所というものが確保されるような努力が必要ですし、そのためにも、この保育指針は用いられるべきだと思います。

実は、2010年の1月に郡山市の認可外保育所で、1歳の女の子が泣きやまないということを理由にされて、うつ伏せ寝にされて、1時間後に心肺停止状態で発見されました。4つ折りにした大人用の毛布が、その子の上にはかけられて、重石のように、枕が2つ乗せられていた。

当時は、発見したときに、顔を下向けにしていたのですが、口の周りには吐しゃ物、吐いたものがついていたということで、死体検案をした医師は、乳幼児突然死症候群の疑いというふうに書いて、警察は病気で終わらせる様子だったのですが、両親は納得しないで、理事長、園長、保育士、これは、認可外の施設でしたが、3名を業務上過失致死罪で告訴して、そして、規制権限を適正に行使しなかった郡山市を相手に提訴もした。

実は、このお母さんが、私が今運営している4つの認定こども園の1つの認定こども園に、下のお子さんを預けてくださっていて、私が、こういう役割をいただいているということは、誰にも言っていないのですけれども、厚労省のホームページから、それを見つけて、ぜひ、このことを伝えてくれということで、この間、わざわざ私のところにいらしたのですね。これは、私もそう思うので伝えましょうということで、今、発言させていただいているのですが、子どもたちの命が十分に守られていない、そのための配慮が行き届いていない場所があるということを、私たちはよく知らなければいけないし、もし、大綱化するということであれば、そこには、こうでなければならないというものを、子どもの命の安全というふうなことは、どこかで書く必要がある。

そして、できれば、例えば、乳児期は何カ月までになるでしょうか、自分で体を動かして、寝返りを打ってということができない間は、うつ伏せ寝を禁止するとか、そういう厳しい文言も、もしかすると、必要なのではないか。そんなことも考えさせられています。

私たちは、そういう意味では、目の前の命が、本当に元気で、そして、健やかに育ってくるために、このことを考えているわけですから、ぜひ、そのことも含めていただければと思います。

以上です。

しろまる汐見委員長 時間を若干オーバーしてよろしいですか。

木戸委員、お願いします。

しろまる木戸委員 倉敷市立短期大学の木戸と申します。よろしくお願いします。

先生方の御意見も、全てが、指針の中に入ればいいなと思いながら、参加させていただきました。

重複することも多いのですけれども、まず、何より、やはり乳児保育のことを考えれば、現行の指針、それから、前回の11年度の指針にも書かれているように、特定の大人とのかかわりというものが、全てのスタートになるように思っています。その特定の大人とのかかわりから、広く複数の大人へかかわっていく、それから、子ども同士かかわっていくということが、何かわかりやすく書かれていたらいいなと思っています。

本学で預かっている学生は短期大学ですので、違う言い方をすれば、高校を卒業して2年間で現場に立つものですから、今もお話に出ましたけれども、具体的な保育の中での事例などが、もちろん、ほかの授業でもやりますけれども、解説書なり、どこに入るかわかりませんけれども、具体的に、この部分が応答性だとか、この部分が教育に当たる部分だ、養護に当たる部分だということが示されると、見やすい、保育をしながらでも、現場の保育者がひも解けるようなものになるのではないかと思っています。

特に、小学校の課題を考えれば、考えるほど、乳幼児の教育ということが、もちろん、0歳児のスタートがどれだけ大事かということが明確に示されるとありがたいなと思っています。

そのためには、何よりも、認定こども園になっていくことも考えると、保育所での研修制度ということもより強く書いていただければありがたいなと思います。

以上です。

しろまる汐見委員長 ありがとうございます。

それでは、橋本委員、お願いします。

しろまる橋本委員 資料はございません。申しわけございません。4点、意見を述べさせていただきたいと思います。

まず、1点目は、保育所保育指針に0歳から小学校就学前までの一貫した保育を行うというように対象を明確に記載してはどうかということです。

現在の保育所保育指針は、その対象保育に欠ける子どもの保育を行いということが記載されておりますが、その対象年齢というものが、総則のところには記載されておりません。

一方で、教育・保育要領のほうは、0歳から就学前までの一貫した教育保育を園児の発達の連続性を考慮して展開するということで、明確にされております。

そこを明確にすることによって、今、委員の皆様が、お話をされていたような、生後3年間の発達が、その後の発達の基盤になるということや、発達の連続性を考慮した保育の重要性ということが、読み取りやすくなるのではないかと考えます。

2点目は、家庭との連携ということで、3歳未満児保育における家庭との連携の内容を、より具体的に明記するということでございます。

現在の保育所保育指針におきましても、生活の連続性の保障ということは記載されておりますが、それが、家庭との連携によって連続性を保障するということが、これは、文章の構成上の問題かもしれませんが、明確には書かれておりません。

一方で、教育・保育要領のほうは、家庭との連携のもと、園児一人一人の生活の仕方やリズムに十分に配慮して、一日の自然な生活の流れをつくり出していくことということが、明確に記載されておりますので、同じように、保育所保育指針のほうでも、家庭との連携による生活の連続性を確保するということを明記してはどうかと考えております。

前回の委員会におきましても、お話をさせていただいておりましたが、現行の保育所保育指針は、やはり、保護者に対しての支援というところが強調されておりますが、もう少し家庭との連携ということを前面に出して書いていってはどうかと考えております。

3点目は、現行の保育所保育指針の第3章の保育の内容のところですが、保育士等という言葉が使われております。保育士等という等が入ることによって、保育士の専門性が不明確になっているのではないかと考えます。

清水委員や砂上委員のほうから専門性を軸として構成していくという話もございましたが、専門性を軸として構成していくのであれば、まずは、保育士が何をすべきかということを明確にして、その他の職員が、それに準ずるというような書き方をしてはどうかと考えます。特に保育の内容のところに関しては、そのように整理してはどうかと考えました。

4点目は、用語の整理にございます。先ほどから養護であるとか、保育、それから教育という用語が、いろいろな解釈で取り扱われているということがございました。

今回、厚生労働省からいただきました乳児保育、3歳未満の保育に関する論点の例というところにおきましても、2点目の中で、応答性の重要性や家庭での保育や子育てとの連続性という言葉がございまして、保育と子育てが並列して書かれております。

これは、法律も整理されていないというところから来ていることとは思うのですけれども、保育所保育指針の中では、用語を一つ一つ整理して、提示していくことが必要ではないかと思います。

保育所保育に限らずですが、曖昧なものを共有して、ことを進めていくということが、これまでよくも悪くもあったかなと思いますので、そこの整理が今回必要ではないかと考えました。

以上です。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

時間がちょっとオーバーしていますが、秋田委員に一言発言をいただきたいと思います。

しろまる秋田副委員長 では、ごく簡単に、すみません、私のほうでも4点ですけれども発言させていただきます。1点は、やはり大綱化という原則は、大綱化することによって、指針と解説書はきっちり分けて書く。それによって大綱化ということが、保育士が専門的で自立的であるからこそ、それをいろいろな実態に合わせて読み取ることができるという保育士への信頼のあらわれとして、きちんと大綱化と解説書というものを分けるのが大事だと思います。

その中のポイントになる1つは、養護について書き込むことです。小学校以上は、養護教諭しか養護の言葉は出てこない。それに対して、保育所保育の専門家として養護という語を皆様も言われていたように、総則に書くと同時に、この内容のところでもきちんと書くことは必要であろうと思っています。

その上で、2点目として、思うところですが、先ほど、最初に清水委員からも御提案がございましたけれども、前回の改定の委員会の時に、子どもの発達の特性というのが、告示行為となじむのかという議論がありました。むしろ保育所保育の特徴を理解する上での子どもの発達と、特性があり、それが、それぞれの時期にこうあるのは、こういう保育が保障されるからであるというような、つながりがわかるような章立てにしていくほうがよろしいのではないかと思います。

その上で、多分、乳児保育の重要性、特に、乳児保育の実施上の配慮事項が、もう少し今後、要望が多いところだと思うので、大綱化しても厚く書いていくのが良いと思います。

乳児は、先ほどもありましたように、虐待の問題があったり、それから、やはり、乳児と保護者をセットで、やはり考えていくようなことの配慮事項のところをもう少し厚く書くということが必要だと思います。

第3点に、乳児期からの教育とか、学びが重要だと思っております。そこのところについて遊びにおける保育士と、物と、環境の関係についてもう少しきちんと書き込めないのだろうかと思います。

乳児期に、乳児は物を片づけられないので、大勢で忙しくなると、物は出さないほうがいいという園があったりします。また、室内砂場だと、手を洗ってから砂場の砂を触らないとならないというような園も現実に出てきて、砂は遊べるはずが、まず、きれいにお手てを洗ってからでないと、さらさらの砂の感触を楽しめないというような道具が出てきたりもしています。ある園の御報告だと、1歳児が、こうやって砂場でカップに入れる、これを繰り返すことが次の2歳以降だったりの砂場や、3歳以降の砂というような遊びに物すごく大事なのに、それを取り上げられてしまうと、子どもは、砂場で遊ばなくなってしまうという報告も聞きました。やはり、乳児期には、乳児期固有のものが大切です。単に乳児用の出来合いのものを与えるのではなくて、保育士さんは、そこを物すごくいろんな素材、教材の研究をして、準備されているわけで、そのあたりがもう少し専門性として書き込み、乳児期の遊びを保障することの必要性が書き込めるとよろしいのではないかというように思ったりしております。

4点目に、乳児期から3歳以降へつなぐことが発達的にも重要です。さっきご意見も出ていましたが、特に海外を見ると、今、2歳半から3歳の時期が、移行というだけではなくて、実行制御機能と言われるような注意とか、自分の制御の機能が育つ段階が2歳の後半から3歳ぐらいで、そこをターゲットにした研究がものすごくたくさん出てきているので、やはり、そのあたりの育ちの重要性というものも、改めて最新の知見を出すのであれば、現在、ここで御紹介いただいている研究は、10年ぐらい前から、定番のものだと思うのですが、もう少し、いわゆる科学的な研究というのは、もっと進んでいるので、そのあたりをきちんと入れ込んだ知見の上でわかりやすく保育の、そんな知見を解説する必要はないので、保育のあり方としての指針の中に入れ込めるとよろしいのではないかと思います。

以上です。

しろまる汐見委員長 ありがとうございました。

ちょっとオーバーしてしまって申しわけございませんが、ちょっとオーバーついでに2、3分ください。

論点を改めて事務局と私も整理しなければいけないと思ったのですが、1つは、例えば、きょうのレポートの砂上委員のところ、今、たまたまあいているのですが、23ページ1行目のところに、養護と教育の改めた定義、これが引用されていますけれども、先ほど、山縣委員からも出ましたけれども、養護と教育の一体的展開ということは、皆さん、当たり前のように語られるのですけれども、厳密に、これはどういうことなのかということについては、意外と曖昧なところがあるような気がするのですね。私などは、これが混乱の原因の1つだと思っているわけです。

例えば、情緒の安定を図るというのは、養護というのは、生命の保持と情緒の安定、情緒の安定というのは、子どもが、きょう、家庭でお父ちゃんとお母ちゃんがけんかしていて落ち着かないとか、いろいろあって、それで、きょうは抱っこしていてやろうかということですけれども、基本的には、子どもが、自分で自分の気持ちをコントロールできるようにしていくための働きかけですね。つまり、これは、心を育てるための発達の援助なのですね。

ところが、その後ろに教育とは、発達の援助であると書いてあるわけです。そうすると、この教育というのは、発達の援助、心の発達の援助というのは、子どもが何かしてほしいと、きょうは、抱っこしてほしいというように甘えてきたときに、では、抱っこしてあげようというところでやらない限りできないわけですね。それを養護と言っているわけです。

そうすると、養護というのは、発達の援助でもあるのではないかと。それで、教育が発達の援助となったら、これは、もう能力心理学みたいなものになってしまったり、能力の発達みたいになってしまって、心は養護、操作は教育というような、現場が混乱する、だから、子どもが自分らしくなりたいとか、自分の生きる気持ちを何とか満たしたいと思って、子ども自身がみずから要求していることに対して、それにどう丁寧に応答するかということが、つまり、子どもが主体になったときに、それに応答するのが養護であって、我々がこういう力を持ってほしいとか、よかったらできるようになってほしいなと思って、少しそういうのを出していくのが教育だとしたら、もっとわかりやすいですね。

それで、これは、1つの例なのですけれども、つまり、ちゃんとしっかり食べる子になってほしいとか、生活リズムをしっかりとってほしいとか、このぐらい歩けるようになってほしいとかと思って、子どもが願っていることを、いわば、どうそれに応答してあげるかというときの、応答の中に、私たちの願いが入ってくるとなると、そこに教育が入ってくるわけです。だから、そういう意味では一体なのだけれども、こういう分け方をすると、養護のときに、また、一領域できてしまうということが起こってしまうので、私などは、前々から、これはこんなのがいいのだとずっと言っていたのですが、そういう意見もあるということがあって、その上で、もう一回改めて、今回の指針で、どういう形で整理していくのかということを、総論の中に入れるという意見が出て、大変ありがたかったのですが、そういうことを考えてみたいと思いました。

それと、きょうは、乳児保育がテーマでしたけれども、先ほど、松井委員と橋本委員のほうから出ましたけれども、家庭との連携という視点が、子育て支援という形になっていますね。

それで、最初に課長のほうから、説明がありました資料の10ページのところに、NICHDの、まだ続いている調査がございますね。

この下に、有名なあれなのですが、緑のものと白い表がございますね。これは、何を示しているかというと、保育の質によって、この差が出てくるということと同時に、白いところが問題なのだと思っているのです。白いところは、家庭的な養育の差なのです。

これによって、何が示されているかというと、家庭のほうが、影響力は強いということを示しているとよく使われるわけです。

つまり、幾ら保育で頑張っても、それも差はあるのだけれども、やはり、家庭に教育力、養育力、応答力がなければ、子どもは、うまく育たない。

ということで、中心になったサラさんは、NICHDのこれを離れて、貧困家庭の支援ということが一番大事だと、そっちに移ってしまったのです。

それで、先ほど松井委員もあったけれども、結局、家庭的な養育が不十分な家庭に、丁寧な保育をすることが一番効果が高いと、その社会で人材をレベルアップできるということですね。

そうすると、家庭支援というのを、実は、平面的な言葉で書いてあるけれども、家庭が十分子どもを養育できなくなっている家庭を保育所がどう支援するかというあたりが、実は、乳児保育ではとても大事だということですね。

ですから、そのあたりを書き込めるかどうかわかりませんけれども、乳児保育という中には、テーマとして入ってきているのだと、私はきょう思って、理解をさせていただきました。

そのことを含めて、きょうは章立ての案も出てきましたので、もう一回練って事務局から提案していただくことにしたいと思います。

きょうは、ちょっとオーバーしてしまいましたけれども、ありがとうございました。

それでは、次の日程の調整をお願いいたします。

しろまる加藤課長補佐 では、日程ですけれども、資料6に今後のスケジュールを載せておりますが、次回、第3回は2月16日火曜日、10時から12時の間で、場所を含め、詳細については調整中ということです。

それで、議題としては、健康及び安全についてと、あと、関係団体からのヒアリングを行おうと思っております。

以上になります。

しろまる汐見委員長 それでは、ほかに、残されたことがございませんでしたら、なかなか十分な議論にならなかったのですけれども、大事な論点がたくさん出されたと思いますので、頑張って整理していただきたいと思います。

どうも、きょうは、ありがとうございました。


(了)

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