ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会)> 第8回科学技術部会再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会 議事録(2013年7月26日)




2013年7月26日 第8回科学技術部会再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会 議事録

医政局研究開発振興課

しろまる日時

平成25年7月26日(金)16:00〜17:30


しろまる場所

厚生労働省 18階 専用第22会議室


しろまる出席者

【委員】

永井委員長 伊藤委員 梅澤委員 掛江委員 佐藤委員
澤委員 中畑委員 野村委員 花井委員 松田委員
宮田委員 大和委員

【事務局】

神田審議官 土生医政局総務課長 佐原医療統括管理官 城経済課長
一瀬研究開発振興課長 堀再生医療研究推進室長 佐野研究開発振興課長補佐

鎌田医薬食品局総務課長 宮田医薬食品局審査管理課長補佐

しろまる議題

1)再生医療の安全性確保と推進のための枠組みについて
2)その他

しろまる議事

しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 定刻となりましたので、第8回再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会を開会いたします。先生方には、お忙しい中お集りいただきありがとうございます。
初めに、本会議より新たに委員になられた先生を御紹介させていただきます。
東京大学大学院法学政治学研究科教授、山本隆司委員です。本日は所用により御欠席です。また、事務局において、人事異動がありましたので、新しい事務局の体制について御紹介をさせていただきます。医政局総務課長、土生栄二課長です。
しろまる土生課長 土生と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 医政局医療統括管理官、佐原康之管理官です。
しろまる佐原医療統括管理官 佐原です。よろしくお願いします。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 少し遅れていますが、医政局経済課長、城克文課長。私の隣ですが、医政局研究開発振興課長、一瀬篤課長です。
しろまる一瀬課長 一瀬と申します。どうぞよろしくお願いします。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 医薬食品局総務課長、鎌田光明課長、医薬食品局審査管理課長、佐藤岳幸課長です。最後に、医政局研究開発振興課再生医療研究推進室長、堀裕行です。よろしくお願いします。
委員の御出席状況ですが、本日は同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科特別客員教授、位田隆一委員。日本医師会常任理事、今村定臣委員、立教大学大学院法務研究科教授、辰井聡子委員、京都大学医学部附属病院輸血細胞治療部教授、前川平委員、東京大学大学院法学政治学研究科教授、山本隆司委員から御欠席の御連絡をいただいています。17名の委員のうち、12名の委員に御出席いただいていますので、本会議は成立していることを申し上げます。ここからは、座長の永井先生に司会をお願いします。
しろまる永井委員長 では、まず事務局から本日の資料の説明をお願いします。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 お手元にお配りさせていただいた資料を御覧ください。議事次第、座席表、委員名簿があって続けて資料となります。本日の資料は4種類です。また、参考資料として、1〜8を紙ファイルで机上に配布させていただいています。参考資料については、委員会の終了後に机上に置いたままでお持ち帰りにならないようにお願いします。以上です。
しろまる永井委員長 では、本日の議事を始めます。前回の専門委員会で報告書をまとめて、4月18日に厚生科学審議会科学技術部会で了解され、本報告書を踏まえて厚生労働省に、再生医療等の安全性の確保等に関する法律案としてまとめていただいています。本日は、まず法案について資料の御説明を事務局からお願いしたいと思います。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 それでは、資料1です。昨年9月から7回にわたり、本委員会で御議論をいただき、この4月に報告書をまとめいただいて、報告書の内容も踏まえて、通常国会に法案を提出をしています。現在、継続審議になっていますが、秋以降に御審議いただければと考えていますので、本日はこの新法の法案の説明をさせていただきたいと思います。関連で薬事法の改正案についても提出をされてますので、再生医療に関連する部分について併せて御説明をさせていただければと考えております。
では、「再生医療の現状について」です。法案の中身に入る前に、その現状について改めて説明をさせていただきたいと思います。まず、現在、再生医療については、自由診療で提供されている部分、これについては、どのような実態で行われているのかという実態が不明だということで、死亡事例の報告があったり、また、日本に幹細胞を持ち込んで投与されるといった事例の報告がなされているところです。
真ん中、「臨床研究」部分については、現在、ヒト幹指針に基づいて行われています。これについては、現在下に数字がありますが、7月現在で84件が認められていて、このうち83件については、体性幹細胞を用いたもの、そして、今月に入り新たに承認されたiPSを用いたものが1件で計84件が行われています。
一番右側で、薬事法のもとで製造、販売をされている商品ですが、現在製品として2件で、自家の培養表皮を用いたもの、自家の培養軟骨を用いたものの2製品が承認をされているわけです。また現在、治験中で6件です。このような3分類に分かれて行われているわけですが、安全面のルール化が課題になっているということで、今回法案を準備をさせていただきました。
次のページで、制度の枠組みのイメージですが、本日御説明をさせていただく新法、それから薬事法の改正案に先立ち、議員立法で5月10日に、「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けるための総合的な施策の推進に関する法律」というものが成立をしています。この法律については、いわゆる理念法でして、理念法を受けて具体的な内容を規定したものとして、左側に囲んでいる再生医療に関する新法、それから、薬事法の改正案です。それぞれについて、これから御説明をさせていただきます。
まず、3番目のスライドです。新法に関しては、迅速化を図るという観点からは、細胞培養の加工について、医療機関から外部の企業へ委託を可能にするといったことを規定をしています。
また、安全性に関しては、提供される医療のリスクに応じて3段階に分類し、それぞれに届出の手続、先ほど申し上げた細胞培養加工の施設に出す場合に基準、許可の手続などを定めるということで、安全な再生医療を迅速かつ円滑に提供する枠組みとして新法を定めています。
右側の薬事法を見ていただき、再生医療の実用化に対応できるよう、再生医療製品の特性を踏まえた承認・許可制度を新設するために改正を行うということでして、迅速性に関しては、早期の承認制度を導入する。安全性に関しては、患者への説明と同意、使用の対象者に関する事項の記録・保存など、市販後の安全対策を規定しています。
下側、左側の新法の概要についてです。「法案の内容」を見ていただくと、大きく分けて1〜4番目になっています。まず、再生医療の分類です。対象となる医療についてリスクに応じて、第一種〜第三種まで、3つに分類した上でそれぞれに必要な手続を定めるということです。その対象となる、医療の範囲でイメージをいただくために、スライド5ページを御覧ください。太めの枠線で囲んでいる所が新法の対象となります。基本的には、細胞を用いた治療が新法の対象になるということで、ここについては、臓器や組織の再生を目的としているか、していないかに限らず新法の対象とする。ここに例示をいくつか挙げています。臓器組織の再生を目的とするものとしては、幹細胞を使用したもの。iPS、ES、体性幹細胞と書いてありますが、ヒト幹指針のもとに行われるもの。既に、承認された製品を用いて行われる治療等がこれに当たるということです。
また、疾患の治療目的ではありませんが、現在、例えば美容目的で行われているようなものということで、例示としては脂肪幹細胞による豊胸手術と書いていますが、そういったものについても対象とする。左下ですが、組織の再生を目的としていないものに関しても例えば例示としては、間葉系幹細胞を使用したGVHDの治療やがんに対するリンパ球の活性化療法、樹状細胞療法といったものについても、今回の新法の枠組みで見て、その対象にするということです。
まず、3つの分類ですが、少し飛びますがスライド8番です。第一種〜第三種の指定のイメージです。ここには、左側に主なリスク要因として、1つは投与する細胞のリスクがどうかを見る。2つ目は、治療法の新規性、投与をどこにするか、どんなふうに投与するのかといった、この2つを主なリスク要因として、これらを総合的に判断してリスク分類をしていくということです。
例えば、リンパ球と参考で例に書いてありますが、活性化リンパ球を用いた従来行われているようながんの治療については、第三種とリスクの低いものという分類になるかと思っていますが、例えばこれに新たに遺伝子を導入したリンパ球を用いてがんの治療をすることになると、投与細胞のリスクが非常に新規性が高いということで、第一種相当になるのではないか。また、真ん中の列で、脂肪幹細胞、自己の幹細胞を用いた乳がん術後の再建術のようなものに関しては、第二種相当だろうと考えていますが、同じ細胞を用いても、腎臓に投与して治療するといったものに関しては、しろまる2番の投与部位の新規性が非常に高いことで、これについては第一種になるだろうということです。
また、右側ですが、iPS細胞、ES細胞を用いたもの等については、再生医療としての新規性が現時点では非常に高いということで、第一種相当になるだろうということです。今、例示で挙げさせていただいたものについては、あくまでも現時点のイメージでして、今後、本審議会でこの分類についても御検討いただければと思います。また、このリスクの程度については、ある時点で定めても、その後のデータの蓄積状況や、新たな技術が出てくるといったことにより、変わってくるものです。継続的にこのリスクの分類も見直しをしていく必要があるということです。
スライド4番に戻ります。今、再生医療の分類について御説明をさせていただきました。次に2番で、再生医療の提供に係る手続。今申し上げた第一種〜第三種について、それぞれに応じて必要な手続を定めるということです。
現時点でどういうことになっているか、そして、見直し後どうなるかということですが、まず現時点ですが、6番のスライドです。現時点では、左側のヒト幹指針に基づいて、これは法律に基づかない告示というのが、ヒト幹指針に当たるわけですが、これに基づいて現時点で84件の臨床研究が承認をされてます。この際、研究を行う医療機関においては、実施施設内の倫理審査委員会を通した上で、厚生労働省に対して、申請を行って厚生科学審議会で審議をいただいた上で、2種類のチェックを経た上で実施をいただくということになってます。
一方右側で、自由診療で行われているようなものについては、特にこの定められた手続はないという現状です。これについて、リスクに応じて手続を進めるということで、スライド7番が見直し後のイメージです。左側で、一番リスクの高い第一種については、医療機関が特定認定再生医療等委員会という審査委員会に申請を出して、ここの申請が通ると、更に厚生労働大臣への計画の提出をして、90日以内に厚生科学審議会で審議をして、提供を開始するということで、ここについては現状、ヒト幹指針に基づいてやっているように2回のチェックが入るということで、大きな違いは出てこないということです。
真ん中、二種の再生医療、例えば体性幹細胞を用いた治療の研究等においては、実施する医療機関が同じく特定認定再生医療等委員会に申請をして、ここを通ると厚生労働大臣には、計画の提出をすればいいということで、ここについては現在、臨床研究についても2回のチェックをしてるわけですが、ここについては特定認定再生医療等委員会の審査が終われば、厚生労働省へは計画の提出をするだけでいいと。これで若干軽くなるということです。
右側を見ると、リスクの低いもの、例えば体細胞を加工したもの等については、医療機関が認定再生医療等委員会に申請をして、審査を受けた上で現在、厚生労働省にも何も報告がないわけですが、計画の提出をするということです。現時点では、何も規定をしてないわけですが、2つのステップが追加をされるということになります。
(注1)として、審査を行う認定再生医療等委員会について説明が書いてありますが、この委員会については、再生医療の技術、法律の専門家等の有識者からなる合議制の委員会で、一定の手続により、厚生労働大臣の認定を受けるものということで、特にこの二種、一種の審査を行うものについては、「特定」という言葉が前に付いてますが、特定認定再生医療等委員会で、特に高度な審査能力、第三者性を有する者を認定をして、ここで審査を行っていただくというイメージです。
(注2)ですが、厚生労働大臣への提供計画の提出の手続が義務付けになるので、これに提出をしないで行った場合については、まずは改善命令をするわけですが、それにも従っていただけないときには、罰則の規定が置かれます。以上がリスクに応じた分類ごとの手続で、スライド4番で、2つ目の、手続についての御説明です。
3番目の適正な提供のための措置で、インフォームド・コンセントを適切に行うこと。個人情報保護のための措置等についても、新たに新法で定める。また、再生医療の提供医療機関の管理者は、再生医療の提供に起因するものとして疑われるような疾病や障害、死亡事故、感染症の発生などがあったときには報告しなければならないということでして、厚生科学審議会の意見を聴いて、厚生労働大臣は必要な措置を取るということです。
また、安全性確保のために必要なときには、改善命令を実施することができます。また、改善命令違反がある場合については、再生医療の提供を制限をすることができる。保健衛生上の危機、危害の発生拡大防止のために必要なときには、再生医療等の提供の一時停止など、応急処置を命令することができる。厚生労働大臣は、定期的に各医療機関で行われる再生医療の実施条況について把握をして、その概要を公表するということになっています。
4番目ですが、特定細胞加工物の製造の許可ですが、製造については許可制、医療機関の場合には届出制にして、医療機関が特定細胞加工物の製造を外部に委託する場合については許可を受けた、もしくは届出をした者に委託しなければならない。
これを図示したものがスライド9です。左側に新法の枠組みで行われるもの、右側に薬事法の承認を受けた製品を用いて行われるものです。実施施設の中で行う場合と外部に委託をする場合があるわけですが、加工する施設の基準を規定して安全性を確保することで、新たに外部への委託もできるようにとの規定をしています。以上が新法側の説明です。引き続き、薬事法の部分について医薬局からお願いします。
しろまる医薬食品局審査管理課宮田課長補佐 10ページ目を御覧ください。薬事法等の一部を改正する法律案の概要があります。概要は、医薬品、医療機器等の安全かつ迅速な提供の確保を図るため、添付文書の届出義務の創設、医療機器の登録認証機関による認証範囲の拡大、再生医療等製品の条件及び期限付承認制度の創設等の所要の措値を講ずる、となっています。
ローマ数字1は法律案の概要です。1〜4まであります。3が再生医療等製品の特性を踏まえた規制の構築です。(1)は「再生医療等製品」を医薬品や医療機器とは別に新たに定義するとともに、その特性を踏まえた安全対策等の規制を設けるということになってます。(2)は、次の11ページにイメージがありますが、均一でない再生医療等製品について、有効性が推定され、安全性が認められれば特別に早期に条件及び期限を付して、製造販売承認を与えることを可能とするということでして、市販後に有効性、更なる安全性を検証し、期限内に再度承認申請を行い、引き続き市販を認めるのか、あるいは条件・期限付承認の失効をするのかということを判断することになります。その間、患者にリスクを説明し、同意を得て市販後の安全対策を講じることとなっています。以上です。
しろまる永井委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
しろまる佐藤委員 御説明ありがとうございました。薬事法の再生医療等製品というものが新たに定義されるということなのですが、私の記憶では、法案の中では、細胞に加工を施した物が再生医療等製品の中の定義として含まれていたと思うのですが、そちらの新法では加工について、薬事法では加工を施した物だけを再生医療等製品として定義していて、新法では加工があるかないかでの区切りがないのです。要するに、何を申し上げたいかと言うと、新法は加工をしていなくても再生を目的としていれば網に引っかかると理解してよろしいのでしょうか。
しろまる医政局研究開発振興課佐野課長補佐 お答えします。新法でも、再生医療等技術を今回の法律の対象にしていまして、それは、「細胞加工物を用いるもの」と定義しています。その細胞加工物というのが、法律では「ヒト又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの」ということですので、そこは薬事法と平仄を整えた形でとしています。
しろまる佐藤委員 加工していない物は、移植医療としてやって。
しろまる医政局研究開発振興課佐野課長補佐 そうですね、この法律は、あくまで培養その他の加工を施した物を対象としています。
しろまる佐藤委員 そうですか、ありがとうございます。
しろまる中畑委員 この8ページの第一種の中に、遺伝子導入リンパ球を用いた各種がん治療なども一応入っているわけですが、これは法律ですので、こちらのほうが上位に来ると思うのです。これは、今までは遺伝子治療の範疇でやられてきたと思うのですが、御存じのように、今、遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しが行われていまして、今日も午前中その委員会があったのですが、そこでどういうものを取り扱うかということも今議論していますので、一応、今回の新法の中に遺伝子治療、特に遺伝子を導入したリンパ球療法なども含まれることは委員の皆さんは全然知らなかったので、その辺の情報を十分伝えていただく。この法律の下に、今度恐らく遺伝子治療の臨床研究の改正された指針が来るわけですので、その間にちょっと齟齬がないような形にしていただくことが必要だと思いますし、また、遺伝子治療の立場からすると、非常に多くのものが最近遺伝子治療の対象になっているので、何かその辺をどう含めるかを少し調査をしたり、詰めておいていただきたいと思います。
しろまる永井委員長 その点、事務局はいかがでしょうか。行き違いのないようにしていただきたいということですが。
しろまる佐原医療統轄管理官 スライド番号で言いますと8ページの、このスライド自体は4月までの検討会の中でもお示しをしたものかと思いますが、いずれにしろ、どれがどういうカテゴリーに入るのかというのは、これからこの委員会で御議論いただきたいと思っています。ただ、今回、再生医療新法という法律の範囲は、あくまで細胞を用いた医療ですので、そこに遺伝子導入等の加工を加えているものであっても、細胞を用いているものであればそれは対象としていくし、逆に、単純に遺伝子だけを導入する、それは細胞の中に入れてまた遺伝子導入ではなくて、従前の古典的な遺伝子導入であれば、それは今回のこの法律の範囲の対象ではないと理解して立法を作業しています。
しろまる中畑委員 1つ、この新法に基づいて、この第一種の場合は、特定認定再生医療等の委員会で審査をされて、最終的に厚労大臣に上がっていく形になるわけですが、一方では、遺伝子治療の審査についても、一応中央審査が今行われていますので、その2つの委員会で審査をされて、そこで何か結論が違うということがあると非常に問題ですので、やはりそこの整理をしておいていただかないと、新法の審査にかかっているものはもう遺伝子治療のその審査会には付議しないと、何らかのそういう整理をして一本化して、そうではないとダブルスタンダードになってしまう可能性があるので、それは是非避けるような形で進めていただきたいと思います。
しろまる佐原医療統轄管理官 その点は十分配慮したいと思います。今回のiPSを使った網膜の審査の場合も、ヒト幹の審査委員会と遺伝子のほうと、ある意味合同でやらせていただいたので、そういう連絡調整は当然やって然るべきものと思っています。今度、こちらは、法律に基づいた審査になるので、一方で、遺伝子導入のほうはガイドラインに基づくものなので、その調整は、きちんとやっていく必要はあると思っています。
しろまる澤委員 先ほど佐藤委員のお話で、ちょっと理解がまだ十分ではなかったのでもう一度お聞きしたいのです。加工しなければ再生医療製品にならないとおっしゃったのですか、加工しない細胞については。例えば、細胞を採って直接打つことは余り考えられないですね。そうしたら、何らかの過程で遠心分離とかすると。そういうところで加工がどこまで加工かという議論もまたあると思うのですが、ミニマム・マニプュレーションとして、遠心分離ぐらいはあるとは思うのですが、そういうときは、再生医療製品、出てきた細胞はならない、もしくは機械はどう使うかとか、そこの切り分けというような考え方はどうなるのでしょうか。
しろまる医政局研究開発振興課佐野課長補佐 基本的には、おっしゃったように、遠心分離であれ何らかの手を加えたものは、厳密にどこまで入るかはもう少し精査が必要ですが、基本的には、この法律の対象としている細胞加工物になるという考えです。
しろまる澤委員 そういう遠心分離でもなる。
しろまる医政局研究開発振興課佐野課長補佐 はい。
しろまる澤委員 では、先ほどおっしゃったのは、もう採ってそのまま入れたら、輸血みたいな話だけが、でも輸血も遠心分離をしますね。
しろまる佐藤委員 薬事の審査課の方に御説明いただいたほうがいいのかもしれないですが、薬事では加工の定義はきちんとできていて、要するに、切ったり、それから酵素に分散したり遠心分離したりするというのは、加工の定義の中に入っていないのですよね、確か。ですから、ただ単に遠心分離して打つとか、あるいは、その細胞を分離して打つという形ですと、それは恐らく、今の制度下では移植医療であって、私が先ほど確認した質問は、そこを確認したかったので、移植医療として見なされていて、この法律の範疇外であると認識してよろしいのですよね。
しろまる医政局研究開発振興課佐野課長補佐 そこはちょっと、今回の改正薬事法でも培養加工という定義、同じ定義を使っていますので、そこの整合性が図られるように、よく今後調整していきたいと思います。
しろまる澤委員 ですから、遠心分離しただけだとしたらもう移植法になるのですかね。でも、例えば、そうは言っても、また異所というか、違う部分に違う目的で投与していて、ということですよね。そうしたら、やはりそれはある程度再生を期待しながらやっている、細胞を使いながら、遠心分離していただけなら何の法律にも引っかからないという話がまた大変ややこしくなると思うのです。そのときの遠心分離する機械がどうなるのだとか、いろいろな議論が出てくるので、そこはやはりはっきりとしていただきたいなと。
しろまる医政局研究開発振興課佐野課長補佐 法律上は、単に培養加工をしたものを使った医療ではなくて、この法律による安全性の確保が必要なものとして、政令で定めるものということで、政令で最終的には具体的な技術を定めていきますので、ただ細胞の培養加工をしたものを使っていれば全てこの法律の対象となるわけではないので、そこは、どういう技術を対象とするかについては、厚生科学審議会、の意見を聴いて決めていくことになります。
しろまる澤委員 何かよく分からない。
しろまる宮田委員 今の御説明で、まあ、分かったような気がしていますが、この8ページのスライドの自己脂肪幹細胞を用いた豊胸術というのは、正に今議論しているものでありまして、機械で遠心分離して上澄みに溜った幹細胞を移植する。ですから、薬事法的にはこれは移植であって、今回の法律では、ひょっとしたら政令に定めるところにより再生医療になると。そこをこれから議論しようというところだと思うのです。だから、非常にまだ両方の法律でちょっとアンビギュイティがある感じはします。
それで、先生、1つだけ、改正薬事法のアナロジーでいきますと、これは安全性と有効性の推定ができたら、一応認可をして、市販後に有効性と安全性のデータを更に積み重ねて最終的な認可という形を取っているのですが、今回の再生医療新法に関して言えば、実用化の手続というよりも、再生医療をリスクに応じて、効能は一切問わずにリスクに応じて施行するところだけを多分定めているのだと思うのですが、最終的にはいつまでも自由診療みたいなもので行くのではなくて、あの議論を思い起こすと、先進医療Bみたいなところで、いいものだったら拾い上げていくということがあったのですが、今回の法律の中ではそういった議論の背景が余り明確に出ていないと思いますので、そこら辺は再確認をさせていただいて、いい、本当に効くものに関しては、できれば保険診療のようなものにもっていくような動きが、法律にはうまく書かれていないでしょうけど、前提としてあることは確認したいと思っています。
しろまる佐原医療統轄管理官 まず、宮田委員の御質問については、同じようなことが、4月こちらでまとめていただいて、5月末に法案を閣議決定していただく間に与党の手続があったのですが、そこでもいろいろ同じような御指摘をかなりいただきました。基本的に今回のこの法律は、あくまで安全性を確保することをきちんと書くことですので、有効性の確認をしていく、あるいは、先進医療というこの法律の外の制度をきちんと活用して実用化にもっていく。そういったことについては、これはまた別途、行政的な取組としてきちんとやっていきますということは、そういった与党手続のときにも申し上げていますし、この場でもそれはきちんと確認させていただきたいと思います。
それから、澤先生の御質問の、加工のところはどこまでなのかについては、報告書の中でも、「体細胞や組織に最小限の操作しか行わない場合についても、安全性の確保が必要なのではないか」という御指摘をいただいていますので、そのことは十分理解した上で、法律上の書き方は今のような、「加工した場合」となっていますが、具体的にどこまでを見ていくのかというのは、もう少し技術的な議論が必要だと思っているので、こちらできちんと御議論いただきたいと思っています。
しろまる中畑委員 このヒト幹の指針を作るときに、やはり、我々の体の中にある体性幹細胞を採ってそれを移植するのは、どこまで指針の中に含めるかという、長い議論があったわけです。既に行われている、例えば骨髄移植とか臍帯血移植、それも当然採った細胞をそのまま移植するわけではなくて、洗ったり、遠心分離して濃縮したりと、そういう操作を加えて、それが実際の医療としてもう既に行われているということで、それは血液をつくるという目的で行われているようなものについては、もう対象としないことになったわけです。ただ、同じ造血幹細胞であっても、血液をつくる目的以外の、例えば、心筋に注射をするとか、そういったものはやはり対象にしますが、そういう議論がかなりあって、だから、単に遠心をしたとか分離をしたとか、そういうことだけではなくて、もう既に一般医療として行われていることまで配慮して、今、実際に行われている医療の中にブレーキがかかるような形の法律だと非常に問題になりますので、その辺は十分検討をよろしくお願いします。
しろまる佐原医療統轄管理官 その点も非常に重要なことだと認識しているつもりではあります。例えば、骨髄移植のようなものは、正に体性幹細胞を使った医療でして、この範疇に一見入るように思いますが、ただ、既に安全性も有効性も確立しているものになるので、そういったきちんと定着しているものは、この法律の範囲の外というふうにしていきたいと思っています。具体的には、法律の中でどの再生医療技術が第一種再生医療になるのか、どれが第二種なのか、どれが第三種なのかというのをきちんとリストアップをしていく。あらかじめ政令で定めるとなっているので、そういった定めるポジティブ・リストの中には、既に定着した医療、例えば骨髄移植のようなものは入れないで、この法律の範囲の外ですということを明確に示していく必要があると思っています。ただ、何が確立した医療なのかとか、何が確立していないのかは、正にこれも非常に技術的なことでもありますので、この委員会できちんと御議論をいただきたいと思っています。
しろまる花井委員 若干先取りした議論なのですが、今、宮田委員からの話も出たので、ちょっと確認しておきたいのです。最終的には、国民がより良い再生医療等を享受できるのが狙いですよね。そうすると、議論の先取りなのですが、最終的にはきちんと保険診療に含まれていくことが望まれるのでしょうが、現状は、1つは、もう製品化して薬事をきちんとして、薬事法で認可してくださいよという流れがあって、一方で、評価療養というか、先進医療の部分で、例えば、ある種、そのまま薬事に行かなくても、医療技術として良ければそれはそのまま行く場合もあるわけですよね。そういう流れをどういう見通しで考えているのかとか。あと、保険で言えば、医療材料と医薬品はあるけれど、それを両方含んだ再生医療等製品というのはそもそもどちらに入るのかという感じに、多分今後なっていくのかと思うのですが、薬事にのせるほうがいいということを基本的に考えて全体を構成しているのか、必ずしも最終的に薬事にのせるのではなくて、やはり医療技術として確立しているものであれば、これでエビデンスが積み重なれば保険診療のほうに行くという流れも想定しているのか、その辺の腹積りというか、そういうのをちょっとだけ教えてもらえたらと思います。
しろまる佐原医療統轄管理官 それはこの法律の外の話でありますが、基本的に、役所としては両方あるのではないかと考えています。新しい技術として、きちんと再生医療技術として薬事法の適用を取っていくものと、恐らく院内完結型でやることが非常に現実的な技術もあると思います。例えば、骨髄移植などの技術は、別に薬事法を通っているわけではありませんが実用化されている。しかも、きちんと保険診療にものっているといった技術もありますので、どちらかだけではなくて、両方のルートはあり得るのではないか。ただ、後者の骨髄移植のような道を歩んでいくに当たっては、きちんと有効性や安全性の評価がなされる必要があると思いますので、それは、先進医療Bとか、そういったところできちんと評価をしていくことが必要だと思いますし、現に、再生医療でヒト幹審査に通ったもののうち、いくつかは先進医療Bとして今やっていますので、そういったルートも考えられると思っています。
しろまる花井委員 分かりました。
しろまる永井委員長 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
しろまる宮田委員 これは全然関係なくて自分の興味なのですが、宮田さんに質問なのです。市販後の改正薬事法以降、市販後にデータを集めると書いてありますが、これは市販後臨床試験なのですか、それとも患者調査みたいな、どちらを想定していますか。
しろまる医薬食品局審査管理課宮田課長補佐 それは、具体的な再生医療等製品の品目に応じて製造販売後臨床試験のこともあるでしょうし、全例市販後調査という形もあり得るでしょうし、いろいろなやり方がきっとあるのだろうとは思うのですが、まだ具体的なあり方はありませんので、ちょっと何とも言えませんが、いずれにしても、一律全てを製造販売後臨床試験にしようとか、そういうイメージでは今のところないです。
しろまる宮田委員 ない、分かりました。
しろまる松田委員 9ページのイメージ図ですが、最近、いろいろいわゆる卸さん等と話すと、この新しい再生医療におけるビジネスモデルというのですか、そういうことはよく話題になったときに、輸送、物流ですね、物を運ぶ。それが普及してきますと、非常に加工業者から病院の施設まで距離がある。それをどうやって運ぶかということがよく話題になるのですが、安全性という視点で、物を運ぶ輸送のところにも焦点が当たるようなそんな記述を加えていただけたらと思います。
しろまる永井委員長 よろしいでしょうか。ほかに御意見ございませんでしょうか。もしよろしければ、法案が成立した場合に必要となる政省令について、少し前倒しで御議論していただきたいと思いまして、方針案についての御説明を事務局からお願いいたします。資料の説明をお願いいたします。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 資料2を御覧ください。現在、再生医療等安全確保法案につきましては、国会において継続審議となっていますが、今後法案が成立しますと、順次、再生医療の提供について、また、認定再生医療等委員会、特定細胞加工物の製造に係る規定など、これらを政省令として公布、施行する必要があります。今後、当委員会において政省令で定めるべき事項に関して審議をいただく予定としていますが、それに先立ちまして、主要な項目については研究班を組織しまして、研究班において政省令で定めるべき事項の案を作成した上で、この委員会で御議論いただきたいと思っています。
分野については、3つ考えています。
1つ目は、再生医療の提供に関する事項です。具体的には、先ほどから議論になっています、対象となる再生医療等技術の整理、それから、そのリスク分類です。次に、再生医療等提供基準に関する事項として、施設側の人員・施設要件、それから、細胞の入手方法、その他安全性の確保に関する措置です。次に、計画に記載していただく内容、定期的な報告の内容、それから、有害事象が起きた際の報告の内容です。さらに、再生医療を提供する医師等が作成すべき記録の内容、どれぐらいの期間保存するかといった保存に関する規定です。こういった再生医療の提供に関する事項を、1つ目として考えています。
2つ目は、審査を行う認定再生医療等委員会に関する事項です。具体的には、これを厚生労働省として認定することになりますので、どういった委員会を認定するかという認定の基準に関するもの、例えば委員の構成要件やその他の事項です。次に、委員会の運営基準、どのような基準に基づいてこの委員会を運営していただくかということです。次に、認定・変更認定、更新申請、各種の申請に係る記載の内容に関する事項です。
3つ目は、特定細胞加工物の製造に関する事項です。加工施設が有しているべき構造、設備の基準、遵守事項に関する内容。製造事業者が作成すべき記録の内容・保存期間。届出・許可・認定の申請、変更申請に記載する内容、定期的な報告の内容の事項です。
これら3分野について研究班を置いて、まずその案を作成していただいてはどうかと考えています。
次のページを御覧ください。この3つの事項については、研究班でたたき台を作成していただいて、本委員会で御議論いただきたいと考えています。その他政省令で規定する事項とされているものがほかにもありますので、この部分については事務局で作業しまして、本委員会で今後、政省令で定めるべき事項について御検討いただきたいと考えています。
しろまる永井委員長 ただいまの説明に御質問、御意見をお願いいたします。
しろまる大和委員 しろまる1の2行目の、「人員・施設要件」の後に、「細胞の入手方法」があります。これは、アロジェニックなものをイメージしているという認識でよろしいのですか。それとも違うイメージなのでしょうか。
しろまる医政局研究開発振興課佐野課長補佐 現時点で想定していましたのは、細胞の提供者の選定の話や、採取作業の適切性の確保といった、今のヒト幹指針にあるような事項を念頭に置いています。
しろまる大和委員 ヒト幹もそうなのですが、同種、自家、それから、ES/iPS、同種、自家の5種類の指針を去年でしたか一昨年に出しています。そういうことを鑑みると、アロジェニックを特段に意識しているわけではないけれども排除しているわけでもないという認識でよろしいのですか。Autoだった場合の細胞の入手方法というのは、もし、Autoが前提でそれ以外は考えていないのであれば、表現的には少しどうなのかという気がするのです。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 他家についても当然含めた形でということを考えています。
しろまる大和委員 了解しました。
しろまる伊藤委員 中身に余り関係ないのですが、資料2では「研究班」と書いてあって、研究班しろまる1、研究班しろまる2、研究班しろまる3となっていますが、図ではWGとなっています。「研究班」という言い方にするのですか、「WG」にするのですか。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 平仄が合っておらず大変申し訳ありません。資料2の最初のページのしろまる1、しろまる2、しろまる3がそれぞれWGに対応しているつもりです。研究班としては1つを立てまして、その中に3つのWGを置いてやるということを考えています。
しろまる永井委員長 「研究班」というのは全体を言っているということですね。それで、しろまる1、しろまる2、しろまる3はWGである、そういう理解ですね。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 その通りです。
しろまる中畑委員 WGのしろまる3は、これから細胞専門に加工して作って医療施設に届ける、そのような産業がこれから構築されていくと思います。そういった職種がこれから生まれてくると思いますし、また、それをサポートするような体制を作る必要があると思います。それには、当然、そこで働く人たちの教育とかその資格などの所まで踏み込んで考えていかないと、時代に遅れてしまうのではないかと思います。医療職種の1つに、細胞加工師とか何かそういう特殊な職種がこれから生まれてくる可能性がありますので、資格を持った人がしっかり教育を受けて細胞加工を担っていく、そういったことも議論していただきたいと思います。
しろまる野村委員 少し話が違いますが、再生医療の安全性確保というのは、最終的には患者さんの安全の確保につながっていく、そのために法律があると理解しています。今回、不備があった場合のいろいろな罰則などがありますが、そのような法律違反によって万が一、患者さんにも何か被害が生じた場合についての救済に関わるような表記は、この政省令においても一切記述しないで、既存のもので救済するということなのでしょうか。ここに法律に規定されていることによって、何か違反が起きたときに、最終的に患者さんに被害が生じた場合については、政省令で規定するような予定はあるのでしょうか。
しろまる医政局研究開発振興課佐野課長補佐 法律上、再生医療というのは、法律で定める再生医療等提供基準に従って行わなければならないとされています。再生医療等提供基準の1つの項目として、「再生医療に用いる細胞を提供する者及び再生医療等を受ける者に対する健康被害の補償の方法に関する事項」がありますので、この法律に従ってやっていただく際には、何かあった場合の患者さんへの補償についてもあらかじめ定めていただくという立て付けにしています。
しろまる澤委員 この3つの研究班の項目は大変良いと思いますが、3つはかなり連動しています。1つの班が議論して、違う班では違う感覚になっていても困ると思います。要するに、班が縦割りにならないように、どうやってうまく連携して情報を共有しながら、最終的にこの研究テーマをうまくつないで良い形の省令に持っていけるのか。そこの横のつながりというか、情報共有なり、可能ならば班同士の議論も要るかもしれません。その辺りはどのようにしていただけるのか、非常に重要なことではないかと思います。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 大変重要な御指摘です。まず、始めるに当たって、3つの班の先生方にこちらからも十分に情報提供しなければならないと思いますし、進めていく際のタイムスケジュール管理も気を付けてやっていきたいと考えています。
しろまる永井委員長 よろしいでしょうか。合同WGも必要だということですね。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 はい。
しろまる宮田委員 これはこのWGの範疇外かもしれません。例えば高橋先生のやるiPSでも、あのプロセスで最も危険なリスクがあるのは、移植のところ、移植の手技です。1、2度ここでも議論したと思いますが、移植なさる先生の品質管理のようなもの、誰がどこでやるのかということ。再生医療の、細胞を作る、供給するところまでは必死になって枠組みを作りましたが、最後に少し下手な医者がやるだけで健康被害が出てきてしまいます。それはここの外だと思いますが、学会などの協力をうまくコーディネートしてできるのでしょうか。これは澤先生にお話をお聞きしたいと思います。
しろまる澤委員 今日、ちょうど午前中に再生医療学会でこの議論をいたしました。考え方としては、2階建てというか、再生医療学会としては認定医制度を作ろうと。それは1階建てなのです。そこでは、規制や細胞の培養の方法、安全品質管理的なものなど、どちらかというと、細胞を作ってそれを投与するまでの過程で、特に医療安全の面などを基準として認定医制度を作ろうということです。ただし、いろいろな診療科があって、そこから上はそれぞれ全然異なります。例えば私の心臓と眼科では領域が違う。そうした場合には、そこから上の、2階建ての2階の部分は、やはり、それに関連する学会、眼なら眼科学会でしょうし、心臓なら心臓血管外科学会か日本循環器学会、そのような合同の会議も含めて、そこでクオリファイしていっていただくような形が妥当だろうと。高橋先生も同じ場におられて、高橋先生自身も、宮田さんがおっしゃったような、移植技術のところは非常に重要なのでそこを眼科学会で議論しながら、認定していくかどうかは分かりませんが、そこは、十分な配慮が要るだろうとか、トレーニングなど、そういうことは要る。更に言いますと、これはいろいろなデバイスの技術と一緒なのです。人工心臓でも一緒です。人工心臓を誰でも入れていいかというと、そうではなくて、一定のトレーニングを受けて、一定の施設でというようにしています。やはり同じように、再生医療製品も、人工臓器と同じような考え方でやっていくようにすべきだろうと考えています。
しろまる宮田委員 そうすると、WGしろまる1で多少は議論していただくということになるのでしょうか。これだと施設基準のようなものが中核になっていますが、やはり、再生医療を安全にするためには、Human wareというか、先ほど中畑先生もおっしゃっていましたが、人の質がとても重要なのです。今のところ細胞確保だけに集中していますが、施術に関しても、1行ぐらいだと思いますが、各学会などの協力を取り付けて移植技術の向上に努めてほしい、というようなメッセージを出す必要はあると思います。
しろまる澤委員 ここに、「人員・施設要件」と一言で書いてありますが、この辺りをもう少し拡大したような形ではないかと思います。再生医療学会は、再生医療をいかに安全に普及させるかということに尽力しようという話で議論していますので、そこは、それなりのサブスペシャリティの学会との連携も重要ではないかと考えています。
しろまる永井委員長 ほかに御意見ございますか。よろしければ、次にまいります。先月、政府で様々な戦略等が取りまとめられています。再生医療関連の方針について、資料3、4について、事務局から説明をお聞きいたします。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 資料3、4に基づきまして、先月、各種の戦略が取りまとめられていますので、再生医療に係る部分を抜粋して紹介いたします。
まず、資料3の1ページの下を御覧ください。「科学技術イノベーション総合戦略」です。6月7日に閣議決定をしています。本総合戦略は、経済再生に向けて科学技術イノベーションを活用するということで、総合科学技術会議での検討を踏まえて取りまとめが行われたもので、2030年の我が国のあるべき経済・社会の姿を示すとともに、5つの政策課題を設定しました。この5つの政策課題のうちの2つ目が「健康長寿社会の実現」で、この中に再生医療に関する記載があります。
具体的には上の囲みの中にあるとおりです。「身体・臓器機能の代替・補完」では、iPS細胞、体性幹細胞、胚性幹細胞を用いた再生医療の研究開発を推進すること。また、早期の臨床研究を実現するための環境整備を行うとともに、iPS細胞を活用して創薬研究にも引き続き取り組むこととしています。「社会実装に向けた取組」として下線を引いてありますとおり、細胞・再生医療、医療機器の特性に合わせた規制整備、再生医療の安全性を確保するための法整備についてと、本日御議論いただいた内容についても記載があります。2030年までの成果目標としましては、薬事承認数の増加とされています。
下の囲みの「規制改革の推進」の中では、科学技術イノベーションの創出を促進する規制改革を推進するとして、再生医療関係については、iPS細胞、細胞シートなど再生医療関連の新技術シーズの実用化のため合理的な規制の在り方を検討するとされています。
次のページを御覧ください。6月14日に閣議決定されました「日本再興戦略」の中で、成長実現に向けた3つのアクションプランとして「日本産業再興プラン」「戦略市場創造プラン」「国際展開戦略」があり、この2つ目の「戦略市場創造プラン」の中に再生医療に関する記載があります。「戦略市場創造プラン」は、日本が国際的に強みを持っている分野、グローバル市場での成長が期待できる分野として挙げられている中で、再生医療についても記載があります。具体的には、本日説明いたしました、薬事法の改正案、再生医療の安全性確保のための新法について早期の成立を目指すこと、産官学が一体となって再生医療に用いる細胞培養加工又は製造する際の品質管理等の基準を新たに作成すること、それから、「再生医療実現化のハイウェイ構想」に基づき、研究から実用化までの一貫した支援体制を構築すること等とされています。
6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」のより詳細な記載については、下にあるとおり、官房長官以下9閣僚の大臣申合せとして同日に採択された「健康医療戦略」の中で4ページにわたって細かな規定があります。全部は説明いたしませんが、右のページのとおり、規制ルールの中で、再生医療、医療機器の特性を踏まえた薬事法改正や、再生医療の安全性を確保するため、再生医療等安全確保法による法的措置を行うこととされています。
しろまる永井委員長 いかがでしょうか。今の説明に御質問を頂きたいと思います。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 すみません、資料4の説明を飛ばしてしまいました。資料4は、規制改革の実施の計画です。健康医療分野では、再生医療の推進について2つの項目が挙がっています。1つ目は、細胞培養・加工の外部委託に係る運用ルールの整備です。正にこの案件については、新法の具体的な中身を詰める中で措置をしていくということです。
また、下のほうにありますように、細胞入手の円滑化として、倫理面での配慮を前提に、例えば手術などで摘出された組織により採取された余剰細胞の研究活用が可能であることなどを周知すること、また、併せて、無償で提供された後の細胞を有効に活用できるよう事業として成り立つ仕組みを検討すること、ということで、これらを今年度中に検討するとされています。
しろまる永井委員長 併せて御議論いただきたいと思います。
しろまる松田委員 いろいろな機会に発言していますが、「イノベーション」というのは、これは何も新しい技術を作るのが目的ではなくて、イノベーションというのは「顧客満足度÷コスト」という表現を使いますが、患者さんが満足して、その技術なりが低コストで幅広く普及して初めてイノベーションと呼べるのです。特に新産業創出うんぬんと絡めて議論する場合には、低コスト化、普遍化するような視点をどこかに盛り込んでおかないと、iPS細胞の治療法が非常に特殊な例として散見されるというような程度ではイノベーションとは言えないのです。その辺の視点をどこかに強調しておかないといけないのではないかと思います。
しろまる大和委員 資料4の2つ目の「細胞入手の円滑化」については、私が非常にこだわっているところなので再度コメントさせていただきます。「研究活用が可能であることを周知する」、併せて「無償で提供された」というのは、私の個人的なコメントからすれば、大幅な後退を呈しています。最初から百点満点というのは難しいと思いますので取っ掛かりとしてはこの辺りが妥当だということに関して、私はagreeしますが、この「平成25年度検討・結論」というのは、現状ではまだ始まっていないのですか。それとも、もう始まっているのですか。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 前段の部分と後段の部分は全く違うことを言っていると思います。まず、前段の部分につきましては、今年度中に実施事例についてある程度の取りまとめをして、周知できるようにしたいと考えています。それから、後段につきましては、新法を整備する中で、政省令をまず定めて、その後にガイドライン的なものを整備していくことも必要になるかもしれませんので、そういう中で検討していく必要があるだろうと考えています。
しろまる大和委員 もう1つだけ、短かくお聞きします。JCRさんの例もあるように、製薬企業の開発のステージで、海外から持ってきたヒト細胞を研究若しくは臨床開発目的に使うことは、事例としては多数あると思います。あれについての厚生労働省さんの見解は特に何もないというか、取り締まる対象でもないのですか。言っている意味は、海外からヒト細胞を買ってきて、それをどうこうするときに、何か縛りとかガイドラインがあるのかという質問です。これは、ないという認識でよろしいのですね。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 基本的に現状では、ないと理解しています。
しろまる宮田委員 私見を述べさせていただきます。人間に由来した細胞など、そういったものに値段を付けてはいけないと思っています。ですから、あそこでの価格というのは、ヒトの細胞やヒトの所属物の値段ではなくて、手間賃などの形で処理されるべきものだと思っています。基本的に、人身売買になってしまうのです。値段の構成はしっかり考えて議論しないといけない。我々は値段を付けてはいけない。
しろまる大和委員 いや、そのフィロソフィーは理解します、尊重しますが、現実問題、研究目的でカタログ上にかなりの数の細胞の種類が出ています。ATCCなどの、ああいう公的なものは手数料で、理研セルバンクなどもそうですね、非常に安い価格で、手数料でやっている。一方で、Lonzaなどそれ以外の新興メーカーは正直言ってかなり高い値段を付けています。手間賃なのだといっても、細胞種に起因する手間賃の差が本当にその手間に対応しているのかといえば、現状ではしていない。
しろまる宮田委員 これは法律家を招いてやらなければいけないのですが、人間の体に価格を付けていいかどうかというのは本質的な問題です。彼らがどんな値段を付けているのかは現実に見ていますが、それがその細胞の価格という直接的な取扱いではないと思います。それは、いくらでもリーガルに。
しろまる大和委員 カタログにはPriceと書いてあります。
しろまる宮田委員 それはPriceとは書いてありますが、それは法的に整備しないと。
しろまる大和委員 だから、将来そういう方向に向けて議論すべきだということを申し上げているだけで、それ以上ではありません。
しろまる宮田委員 大和先生が誤解されないようにサポートしていくつもりです。
しろまる花井委員 今の件はこれからの議論だと思います。現実には、血液法は売血は禁止していますが、実際に血液には値段が付いていますね。薬価が付いています。それと、原料血漿も売買されています。その話と、ドナーから買うか買わないかという話は、議論は切り分けてする必要があると思います。これは血液だけでも相当の議論があった話なので、ここではこれ以上は。例えば血液では、実際に人から献血でもらった血液には値段が付いていることと、ドナーから買うという話は切り分けて議論されたということを述べておきたいと思います。
それから、気になることがあります。資料4の1つ目で、この文章も意外なのですが、「委託先の企業等が行う細胞培養加工の全てに責任を負うことがないよう」、これは誰が主語で書いている文章なのでしょうか。医療機関及び細胞、書いてある趣旨はそうだと思いますが。今まで、例えば薬事であれば、あるスペックと違うものが作られましたと。これは場合によってはGMP違反で、それが出てきて、それを医療機関が使った。これは医療機関に責任はないわけです。基本的には、きちんとしたものを供給するのがそのような企業の責任です。ところが、今回の場合は、制度的には医療行為の延長上に委託を想定しているので、CPCがGMP並みのレベルかどうかという議論はあるにせよ、そこは単なる許可を受けたということです。この許可の中身が、例えば薬事の生産のように、ここ自体が何らかのスペックを損ねるようなことをした場合の罰則については、多分今回は議論していない。そもそも医療行為の中身であれば、医療者側が、自分の医療行為の延長線上に委託したのだということになれば、確かにこのような、医療機関の責任が拡大する恐れがあるという懸念があるということが、ここに書かれていると思います。今回、資料1のスライド9にある、委託先の許可を受けた施設について、何らかの規制の枠を新たに創設するお考えがあるということなのですか。資料4のこの点に応えるとすれば。これは今まではっきりと議論してこなかった部分だと思います。どういうお考えなのでしょうか。
しろまる佐原医療統括管理官 新しい法律案の中では、細胞培養加工を企業等に委託する場合には、それについての安全性の基準はきちんと定めていくことになっています。例えば、企業で不適切な形で加工が行われていたような場合に、PL法の適用になるのかどうかという御質問がこの委員会でもありました。そのときには、もちろん今回のこの枠組みでもPL法から外れるものではなく、PL法の対象になる。ただ、本当にそれが細胞に由来する、医療に特殊な事情によって起きた不都合なのか、それとも、製造過程による問題なのかというのは、慎重に考えなければいけないし、その辺の考え方はきちんと整理していく必要があるだろうということまで御議論いただいたと思います。そういった責任分界の考え方など、その辺は、これから研究班やこの委員会できちんと御議論いただくことだと思っています。いずれにせよ、企業と医療者、どちらにも責任はあるし、それをどのように分け合うのか、きちんと契約等をしつつ決めていく必要があると考えています。
しろまる花井委員 今後の議論ということですね。分かりました。
しろまる掛江委員 先ほどの大和委員や宮田委員の御議論の点は私も気になりました。資料4の「規制改革実施計画」の閣議決定には、「無償で提供された後の」と明文化されています。これが規制改革の内容として書かれているということは、これをベースに議論をする。その後、検討することというのは、「無償で提供された後の細胞」うんぬんということに限定されると理解すべきものなのでしょうか。閣議決定の位置付けというか、その辺りがよく分かっていないのです。そもそも、ここに書いてありますが、提供が無償なのか有償なのかとか、手数料はどうなのかといった、提供の在り方についてまで検討することを想定していいものなのか、それとも、もう「無償」と書いてあるので、そこからスタートして検討することが閣議決定されていると読むべきものなのか、どちらなのでしょうか。
しろまる佐原医療統括管理官 この6月14日の閣議決定は、規制改革会議でいろいろな議論がありまして、そこに厚生労働省も呼ばれて、この委員会での議論はどうなっているのかなどヒアリングをしていただいた後に、最終的に規制改革会議としておまとめいただいて、かつ、閣議決定された文章です。その結果として、「無償で提供された後の細胞を有効に活用できるよう、事業として成り立つ仕組み」を検討しなさいということでした。規制改革会議から頂いた宿題はこのような内容であると理解しています。
しろまる澤委員 以前も議論しましたが、この2つ目の、「細胞入手の円滑化」のところですが、「手術等」の「等」の中に、臓器移植の余剰臓器が入るかどうか。これもこれからの議論の中に入っているのか確認させていただきたいのです。これは、臓器移植法である程度議論されていて、この前も議論しました。確か、使ってはいけないとは、はっきりとは書かれていないのですね。せっかくの規制改革ですから、そういう法律もありながら、やはり有効に活用するにおいては検討したい。臓器移植のドナーも最近は有効に使えていない場合もあるのです。Marginal Donorとして、ドナーの年齢は制限していませんので、高齢の方など、ドナーの志を持ってくださる方は増えているのですが、その付託に応えられていなくて、臓器移植が実施されていないケースも増えているのも現状です。活用という意味では、提供してくださった方の志を活かすには、細胞治療で治す人も増えていくというのは、私は、ありだと思っています。この前は、「余剰」という言葉に力が入っていたようですが、ドナー臓器はとても余剰とは言えないと思いますが、そういうことも是非御議論いただきたいと思います。これは以前にも2、3回言っていると思います。
しろまる永井委員長 いかがですか。
しろまる佐原医療統括管理官 その点も、例えば臓器移植法では、委員がおっしゃられたように、臓器移植で余ったものについてどのように扱っていくのかは、この委員会の8回の過程の中で御議論いただきました。規制改革会議でも、その議論を十分に知っている上でこの文章を書いていると思いますが、ただ、私たちが書いているわけではないので、「等」の中に何が入るのかについては確認したいと思います。
しろまる中畑委員 今の所に関係することです。患者さんから余剰検体を頂くということですが、iPSなどは健常人のボランティアの方から血液なり、場合によっては骨髄なり臍帯血も頂くという考え方で進んでいると思います。そういった健康なボランティアから頂くということがこの中に入っていないので、それは片手落ちではないかと思います。その点は、この文章の中からどこかで読み取れるのでしょうか。ボランティアの方から頂いた検体を再生医療に有効に利用していくということが読み取れない。骨髄移植なども日本で今、30何万人のボランティアの方が登録してくれるわけです。そういった形で、再生医療というのもかなりボランティアの方の協力を仰ぎながら一緒にやっていくという姿勢がないとまずいと思います。
しろまる佐原医療統括管理官 ここの文章は「患者の同意を条件として」と書いてありますので、基本的には患者さんが想定されていて、健常な人は入っていないのではないかと思います。これも確認させていただきたいと思います。
しろまる宮田委員 今、ちょっと、私の頭も混乱していますが、この閣議決定というのは重いので上位概念にあると思いますが、上位概念を受けて、我々は一体何を議論すべきかということをもう少し整理して、確認も含めてですが、やっていかないと、天の声に対して我々がどうしていいのかが分かりません。それは誠実に対応したいと思っていますが、そこはもう一度整理して、私たちが何をすべきかをお示しいただきたい。そうでないと、これが延々と続くような気がします。どうぞよろしく御配慮を願います。
しろまる永井委員長 いずれ、こういうものは降りてくるのですね。天の声が降りてきたときにどうするのか、また、どこまでそれに我々が応えられるのか、その辺の枠組みや天の声の届く範囲等について教えていただきたいと思います。そのほか何か御意見等はございますか。よろしければ、御指摘いただいた事項については、次回以降、引き続き検討、報告いただくことにいたします。
少し予定よりも早めですが、本日の議論は以上とさせていただきます。これまで頂いた御意見に基づいて方針を立てていただきたいと思いますので、事務局にはよろしくお願いいたします。最後に、事務局から連絡事項をお願いします。
しろまる医政局研究開発振興課再生医療研究推進室堀室長 次回につきましては、現時点ではまだ予定が決まっておりませんので、決まり次第御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
しろまる永井委員長 では、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局研究開発振興課再生医療研究推進室

TEL: 03-5253-1111(内線2587)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会)> 第8回科学技術部会再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会 議事録(2013年7月26日)

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /