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  5. 第119回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

第119回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

1.日時

令和7年9月2日(火) 10時00分〜12時00分

2.場所

厚生労働省専用第22〜24会議室((注記)一部オンライン)
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 18階)

3.出席委員

公益代表委員
  • 京都大学大学院人間・環境学研究科教授 小畑 史子
  • 明治大学法学部教授 小西 康之
  • 慶應義塾大学医学部・大学院健康マネジメント研究科教授 武林 亨
  • 名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
  • 大阪大学大学院高等司法研究科教授 水島 郁子
労働者代表委員
  • 日本科学エネルギー産業労働組合連合会副事務局長 金井 一久
  • 日本労働組合総連合会総合政策推進局総合政策推進局長 冨髙 裕子
  • 全国建設労働組合総連合書記次長 松尾 慎一郎
  • 全日本海員組合中央執行委員政策局長 立川 博行
使用者代表委員
  • 三菱マテリアル株式会社イノベーションセンター長 足立 美紀
  • 一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹 笠井 清美
  • 東京海上ホールディングス株式会社人事部シニアマイスター 砂原 和仁
  • 日本通運株式会社人財戦略部次長 武知 紘子
  • 日本製鉄株式会社人事労政部部長 福田 寛
  • 西松建設株式会社安全環境本部安全部担当部長 最川 隆由

4.議題

  • (1)労働政策審議会労働条件分科会運営規程の改正について(報告)
  • (2)労災保険制度の在り方について

5.議事

しろまる小畑部会長 それでは、ただいまから「第119回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」を開催いたします。本日の部会は、会場及びオンラインの両方で実施いたします。本日の委員の出欠状況ですが、宮智委員、白山委員、平川委員が御欠席と伺っております。出席者は現在15名ですが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がありますので、定足数を満たしていることを御報告いたします。カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
それでは、議題に入ります。1つ目の議題は「労働政策審議会労働条件分科会運営規程の改正について」です。事務局から資料の御説明をお願いいたします。
しろまる労災管理課長 それでは、資料1を御覧ください。労働基準法第8章の災害補償に関する事項と労働者災害補償保険法は、その趣旨・目的が類似しております。制度的にも密接な関係にあって、両者を一体として検討することが適切ですが、従前、労基法第8章については、労災保険部会ではなく労働条件分科会の所掌事務となっていました。このため、これらをまとめて労災保険部会で議論できるよう、今年6月16日に開催された第200回労働政策審議会労働条件分科会において、資料記載の新旧のとおり、労働条件分科会の運営規程が改正され、同日から施行されたところです。簡単ですが、説明は以上です。
しろまる小畑部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、御意見、御質問等ありましたら、会場からの委員におかれましては挙手を、オンラインから御参加の委員におかれましては、チャットのメッセージから「発言希望」と入力いただくか、挙手ボタンで御連絡をお願いいたします。何かありますでしょうか。特にありませんか。ありがとうございました。
それでは、次の議題に移ります。2つ目の議題は「労災保険制度の在り方について」です。まずは、事務局から今後の議論の進め方について、御説明をお願いできればと思います。
しろまる労災管理課長 それでは、資料2を御覧ください。労災保険部会における今後の議論の進め方(案)です。労災保険制度の在り方に関する研究会中間報告書では、適用関係、給付関係、徴収等関係という柱立てがなされていますが、各論点については、1研究会委員の意見が一致又はおおむね一致したもの、2委員の意見がまとまらなかったが、労使を含めて更に議論すべきとされたもの、3引き続き専門的見地から議論を行うことが必要とされたものがあります。このため、労災保険部会では中間報告書の柱立ても参考にしつつ、特に12を中心に議論を行うこと、併せて3についても必要に応じて意見を頂くことについて御意見をいただければと思います。
なお、上記を踏まえた当面の進め方の案ですが、本日以降10月上旬まで、労災保険制度の具体的課題について議論をし、10月下旬以降、引き続き議論が必要な事項について議論できればと考えております。資料の説明は以上です。
しろまる小畑部会長 ありがとうございました。事務局より、今後の議論の進め方についての御説明がありました。こちらについて、御意見等ありますでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
しろまる冨髙委員 今後の議論の進め方については、事務局提案に特段異論はありませんが、1点意見を申し上げます。具体的には、研究会の中間報告書によって部会の議論に枠をはめるべきではないということです。事務局資料では「3引き続き専門的見地から議論を行うことが必要なもの」も必要に応じて議論と記載していただいておりますが、それ以外にも、例えば災害補償給付などの給付の水準自体が被災労働者の保護という点で十分なのかどうかという点も含めて、研究会で触れられていない論点についても必要に応じて議論するべきではないかと思っております。
また、研究会で意見が一致したものであっても、研究会の結論を追認するということではなく、労使で議論を尽くして、しっかりと結論を導くことが重要であると考えておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。以上です。
しろまる小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
しろまる笠井委員 議論の進め方について、事務局の提案に賛同いたします。中間報告書に盛り込まれた内容は多岐にわたり、各論点はいずれも重要なものです。3の引き続き専門的見地から議論を行うことが必要とされたものに対しても、必要に応じて意見を述べるという整理には賛同します。ただし、3については、労災保険制度が抱える現代的な検討課題である一方、その多くは、制度の根幹に関わり、研究会でも学識経験者から多種多様な意見が出ております。これらは中長期的な検討課題と位置付け、専門的な議論の蓄積を待つのが適切であると存じます。
事務局の御提案のとおり、研究会中間報告書の整理に沿い、喫緊の課題である1と2を議論の中心にすべきと考えます。以上です。
しろまる小畑部会長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。ありませんか。ありがとうございます。他に御意見がなければ、事務局から御説明いただいた基本線で今後の議論を進めていくということでよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように進めてまいりたいと思います。
早速、労災保険制度の具体的課題について、議論してまいります。まずは、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
しろまる労災管理課長 それでは、資料3を御覧ください。家事使用人についてです。2ページ、家事使用人に係る災害補償・労災保険の適用についてです。現行制度では、労災保険法は労働基準法の適用対象である労働者を使用する事業を適用対象としており、労働基準法の適用がない家事使用人については、労災保険法の特別加入による補償を行っています。
論点として、1仮に労働基準法が家事使用人に適用される場合には、使用者である私家庭の私人が同法に定める災害補償責任も負うことについてどのように考えるか。また、労災保険法を強制適用することについてどのように考えるか。2労災保険法や徴収法を私家庭の私人に適用するに当たっては、履行確保の可能性、また私家庭の私人が負う保険関係の手続に係る事務負担の軽減も含めた運用上の課題についてどのような対処が必要となるか。この2つを記載しています。
これらの論点については、下にあります研究会中間報告書で、労災保険法や徴収法を私家庭の私人に適用するに当たっては履行確保の可能性、また私家庭の私人が負う保険関係の手続に係る事務負担の軽減も含めて、運用上の課題を検討することが必要であるとされたこと等を受けての論点であります。
3ページです。家事使用人の労基法と労災保険法の適用についてです。「家事使用人」とは、一般的には個人宅に出向いて、私家庭の私人と直接労働契約を結び、その指示のもと家事一般に従事する者のことをいうとされております。労働基準法第116条第2項において、適用除外とされております。
その趣旨としては、家事使用人の労働の対応は、各事業における労働とは相当異なったものであり、一般的な事業で使用されている労働者の方と同一の規制を施すことが適切ではないとされてきました。労働基準法の適用がない家事使用人については、労災保険法の特別加入により補償を行っているところです。
4ページです。家事サービスの提供形態と労災保険法等の適用関係です。家事使用人の類型のうち、赤枠の部分が今回の議論と関係する部分です。1つは、私家庭と直接に雇用関係を結んだ上で、その指揮命令のもとで仕事をされる方。もう1つは、家政婦紹介所等を通じて、私家庭に赴いて仕事をする方です。右側は、労働基準関係法制研究会の報告書の中での家事使用人に関する言及についてまとめたものです。
住み込みの使用人という働き方をする家事使用人は減少し、実質的な働き方が一般的な労働者と変わらなくなってきており、家事使用人を特別視して労働基準法を適用除外する事情は乏しくなっているとされています。
一方で、私家庭に公法的な規制をどう及ぼしていくのか、私人に対して使用者責任を負わせるとか、私家庭に対して監督指導を及ぼすことが適切なのか、あるいはどのような履行確保が考えられるのかといった課題も多く、慎重な検討が必要であるとされております。
5ページです。労働保険徴収法と労災保険法に規定する事業主の責任を列挙しております。1番目、徴収法ですが、保険関係成立の届出、概算保険料・確定保険料を申告・納付する年度更新、未納付の保険料・追徴金の納付などが規定されております。また、2番目の労災保険法ですが、事業主が故意又は重大な過失により保険関係の成立を届け出ていない未加入期間中に生じた事故などについて、保険給付に要した費用の金額の全部又は一部を徴収する費用徴収のほか、報告・出頭義務や立入検査についても規定されており、これらが規定に反した場合には刑事罰の対象となります。
6ページです。家事使用人の業務上災害の状況です。2023年にJILPTが実施したアンケート調査の抜粋ですが、全国の家政婦紹介所に登録され、個人家庭と契約して働いたことのある家事使用人1,997人の回答結果ですけれども、業務中に病気やけがなどをした経験については、15.2%の方が「はい」と回答しております。また、病気やけがの内容は、骨折・ヒビ・切傷・腰痛・打撲が比較的高い割合を占めております。また、けがの発生時点は、掃除中・通勤時・調理中の順になっております。
7ページです。特別加入の状況・業務上災害の補償状況についてです。特定作業従事者の1つである「介護作業従事者及び家事支援従事者」として特別加入している方は、令和5年で1,714人となっており、JILPTのアンケート調査によれば、労災保険に特別加入している割合は34.3%となっております。また、補償状況については、療養補償給付、休業補償給付などの給付実績が見受けられるところです。
8ページです。労災保険に特別加入していない理由と民間保険の加入状況です。こちらもJILPTのアンケート調査の結果になりますが、特別加入していない理由は「民間保険に入っているから」という回答が最も多く57%、「制度を知らなかったから」という回答も19.3%となっています。また、民間保険に加入されている場合、障害補償保険とか、医療費助成保険などに加入されている方が比較的多い結果となっております。
9ページです。家事使用人に係る保険料の負担についてです。まず下の半分に、家事使用人については、職業安定法等により、家政婦紹介所など有料職業紹介事業者が求人者である私家庭から特別加入の保険料に充てる金銭を徴収するという制度の記載をしております。
この本制度を前提として、上半分のJILPTのアンケート調査の結果では、特別加入の保険料は、一般的には個々の加入者が負担しておりますが、職業紹介所が負担していると認識しているという回答が35.3%となっております。保険料の徴収に当たっては、このようなスキームを活用することが可能ではないかと考えております。
10ページですが、ただいま御説明した職業安定法の参照条文になります。
11ページです。労働保険事務組合制度の概要です。労働保険事務組合は、中小事業主等が特別加入する際に、事務負担の軽減のため、商工会など事業主団体に保険料の申告・納付や各種届出等の事務を委託できる制度です。私家庭が、仮に家事使用人の使用者として保険料の納付等を行う場合、こうした何らかの団体に委託し、その事務を担うことも考えられるのではないかと思います。
13ページです。特別加入制度です。現行制度ですが、特別加入団体として承認を受けるためには、通知で定める要件を満たす必要がありますが、令和3年4月から、近隣の都道府県の区域を超えるブロックにおいて、災害防止等に関する研修会等を実施する場合には、当該ブロックを超えて事務処理を行うことを認めております。また、令和6年に特定フリーランス事業が特別加入の対象に追加された際、当該事業に係る特別加入団体については加入者に対する災害防止のための教育を行い、その結果を厚生労働省に報告するとの要件が追加されております。
論点として、1特別加入団体の承認や取消しの要件について、特別加入団体の性質を明らかにする上でも法令上に明記しておくことについてどのように考えるか。また、承認の取消し(保険関係の消滅)に直結することは特別加入者に対して大きな影響をもたらすことから、承認の取消し等に先立って、改善を要求する等、段階的な手続を設けることについてどのように考えるか。2特定フリーランス事業に係る特別加入団体については、災害防止のための教育の結果を厚生労働省に報告するとの要件が追加されているところ、他の団体にも同様に災害防止措置に関わる役割や要件を求めることについてどのように考えるか。また、災害防止措置に関わる役割や要件を求めるに当たっては、法令的根拠を設けることについてどのように考えるか。この2つを記載しております。
こちらも研究会中間報告書で特別加入団体の承認や取消しの要件については、特別加入団体の性質を明らかにする上でも法令上に明記しておくことが適当、その際、承認の取消しに直結することは特別加入者に対して大きな影響をもたらすことから、承認の取消し等に先立って、改善を要求する等、段階的な手続を設けることが必要といったことを受けての論点です。
14ページです。特別加入制度の趣旨と、最近その対象となった事業又は作業についてまとめております。3種類の特別加入制度のうち、第2種特別加入については、令和元年12月の労政審の建議において、制度創設時にはなかった新たな仕事が創設されたことなども踏まえて、特別加入の対象範囲等について見直す必要があるとされました。
これを受けて、令和3年以降、特別加入制度の対象を順次、拡大してきました。最近では、令和6年11月のフリーランス新法の施行に伴い、特定フリーランス事業が対象となっております。
15ページです。特別加入制度の対象者についてです。3種類のうち、その対象が広いのが第2種であり、一人親方、その他の自営業者と特定作業従事者が対象として施行規則で規定されております。
16、17ページは、第2種特別加入に関する参照条文となります。
18ページです。第2種特別加入についてです。一人親方等の方々については、特別加入団体を事業主とみなして労災保険を適用していますが、加入者については、労働者とみなされます。特別加入団体はあくまで保険技術上のみなし事業主であるため、一般的な事業主が負っているような労働安全衛生法等に基づく業務災害防止の義務は基本的には課せられていません。この点、通常の労働者との均衡を考慮して、省令で特別加入団体の承認を申請する際、あらかじめ業務災害の防止に関して講ずべき措置を定めなければならないとされております。
19ページです。特別加入団体の要件です。現状に記載がありますが、承認要件としてア〜オまでの5つを通知により課してきたところですが、最近の見直しでは、地域要件に関しては、特別加入団体が災害防止等に関する研修会を実施する場合には、ブロックを超えた事務処理を認めることにしております。また、特定フリーランス事業に係る特別加入団体については、最近の見直しの記載のとおり、1〜4の要件を更に課しているという状況です。
20ページです。特別加入制度の状況についてです。対象業務ごとの加入者数、団体数をまとめております。特別加入者の合計は190万人強、労災保険が適用される就労者約6,200万人ですので、約3%が特別加入を占めていると言えます。
21ページです。特別加入者の令和5年度の新規受給状況の実績値です。加入者が多い業種については、新規受給者も多いことが分かります。また、下の参考の枠内と22ページは、特別加入団体が実際に行っている災害防止に関する取組事例です。研修会の実施、テキストや動画、メールマガジンなどの提供、加入者が守るべき事項の設定、遵守の呼び掛けなどをやっていただいております。
続いて、24ページ、社会復帰促進等事業です。現行制度ですが、労災就学援護費と同様の性質を有する給付的な社復事業については、局長通知により処分性があるものとして取り扱われている一方、特別支給金は処分性がないものとして取り扱われています。また、労災保険法に基づく処分のうち、保険給付に係る決定に対する不服申立ては、労働保険審査官及び労働保険審査会法によることとされ、不服申立ての一般法である行政不服審査法の手続の一部が適用除外とされている一方、社復事業による労働者やその家族への給付に対する不服申立ては、このような規定はなく、行審法によることとなっております。
論点として、1社復事業として実施されている労働者やその家族に対する給付について、従来は処分性が認められてこなかった特別支給金も含めて処分性を認め、審査請求や取消訴訟の対象とすることについてどのように考えるか。2労働者等に対する給付的な社復事業に対する不服申立てについては、保険給付と同様に労審法の対象とすることについてどのように考えるか。この2つを記載しております。
こちらについても研究会中間報告書で、社復事業として実施される労働者等に対する給付については、従来は処分性が認められなかった特別支給金も含めて処分性を認め、審査請求や取消訴訟の対象とすることが適当、労働者等に対する給付的な社復事業に対する不服申立てについては、国民の分かりやすさや利便性の観点から、保険給付と同様に労審法の対象とすることが適当とされたことを受けての論点です。
25ページです。保険給付と社復事業の給付との関係です。社会復帰促進等事業は、労働基準法等に定められている事業主責任の履行の促進に資する事業として創設された「労働福祉事業」が前身でしたが、「行政改革の重要方針」や労働福祉事業見直しに関する検討会を経て、平成19年に「社会復帰促進等事業」に名称変更されました。現在、社会復帰を促進するために必要な事業など3事業を実施しておりますが、具体的な事業内容は、下の表に記載のとおりです。
26ページです。社復事業の給付に係る審査請求の在り方です。社復事業は、当初は行政処分ではないと。すなわち、審査請求や取消訴訟の対象ではないという取扱いがされていましたが、労災就学援護費に関する平成15年の最高裁の判例を踏まえて取扱いが変更されました。労災就学援護費やこれと同様の性質を有する社復事業については、局長通知の中で処分性があることを明らかにしています。また、処分性のある社復事業については、厚生労働省令に定める必要があるとの平成29年度の行政不服審査会の答申を受けたことを踏まえ、省令である労災則の改正も行われております。
27ページです。社復事業の現状です。一番左の制度の横ににじゅうまるが付いているものは処分性があるものとして取り扱われていますが、下の特別支給金と一酸化炭素中毒特措法に基づく介護料支給費の2つについては、現状でも処分性がないものとして扱われております。
28ページです。社会復帰促進等事業の給付に係る審査請求についてです。労災保険法に基づく処分のうち、保険給付に関する決定については、労審法に基づいて処理を行うとされています。他方、社復事業については、現状は不服申立ての一般法である行審法で審査請求等が行われています。このため、具体例に記載のとおり、業務上外を争っている同一の事案で、争点が同一であった場合でも、審査主体が違うことで結論が異なる可能性があり、行政実務上の矛盾が生じかねないという状況です。このため、保険給付の本体の審査請求を先に処理をし、その判断を待って社復事業に係る審査請求を処理することで判断の齟齬を生じないようにするということも考えられますが、その場合、裁決までの期間が長期化する結果となります。
29ページです。このような課題に関して、総務省行政不服審査会の答申において審査請求人の負担となっているため、1つのプロセスの中で争えるように制度の変更を検討すべき旨が複数回にわたり勧告されているという状況にあります。
30ページです。審査手続が行審法と労審法の二手に分かれていることについて、審査請求人を中心に図式化した資料です。
31ページ以降は労災保険制度の概要ですので、個々の説明は割愛をさせていただければと思います。説明は以上です。
しろまる小畑部会長 ありがとうございました。それでは各テーマについて、議論を進めたいと思います。多岐にわたるテーマがありますので、家事使用人、特別加入制度、社会復帰促進等事業の3つに区切りたいと思います。まずは家事使用人について、資料3の2ページ目にある論点に沿って御意見をお伺いできればと思います。御意見はいかがでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
しろまる冨髙委員 家事使用人については、強制適用の対象とし、労災保険法の保護を適切に受けることができるようにすることが重要であると考えます。資料の4ページの右側に、労働基準関係法制研究会の報告書における家事使用人の論点の整理がされていますが、家事使用人と言っても、もはやかつての住み込み型は減り、今は一般労働者と変わらないような働き方も多くなっています。そうした中で労災のリスクという点に着目しますと、6ページの1つ目のマルにもあるように、家事使用人のうち15%の方が業務中のけがや病気を経験されています。家事使用人の業務災害時の保護の必要性も高いにもかかわらず、仕事中や通勤中のけがに対する補償が一般労働者と異なり、何ら保証されていないという点は問題であると考えております。したがって、家事使用人については、労災保険の適用に向けた見直しが必要だと考えております。
また、資料の2ページの論点1に、「仮に労働基準法が家事使用人に適用される場合には」と記載されております。たしかに労働基準法の議論の必要性はあるものの、本部会としては受け身ではなく、家事使用人を積極的に労災保険制度の適用対象としていく姿勢を見せていくことが重要だと思っております。この点を意見として申し上げておきます。以上です。
しろまる小畑部会長 他にいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
しろまる笠井委員 論点2について発言いたします。仮に労災保険法や労働保険徴収法を私家庭の私人に適用する場合、運用面での検討課題は多岐にわたると考えます。5ページで現行法に規定する事業主の責任が列挙されておりますが、私家庭の私人による保険関係の成立の届出や、保険料の申告・納付手続をどのようにサポートするのか、行政機関による私家庭の私人への様々な命令や立入検査の実効性を担保できるのか、法の適用に当たり、私家庭を事業、私人を事業主と見なす場合、保険関係の成立の届出と、その前提となる事業が開始された日とはどの時点を指すと整理するのか、こうした技術的な課題を丁寧に検討していくことが大切です。併せて、家事使用人のニーズや既存の職業紹介所や労働保険事務組合の活動実態を踏まえた上で、外部機関や組織が手続面でサポートする仕組みを検討することも一案と考えます。なお、8ページに記載のとおり、家事使用人が労災保険に特別加入しない理由の2番目は、制度を知らなかったというものです。労働条件分科会や当部会での検討の結果、仮に労基法や労災保険法を強制適用するとの結論になったとしても、法令改正や通達の整備、関係者への周知・広報等を含め、施行までに一定の期間を要するものと考えられます。その間、家事使用人が特別加入制度を通じて、業務上災害や通勤災害に伴う必要な補償を受けられるよう、厚生労働省には引き続き現行制度の周知・広報に注力いただきますよう、よろしくお願いいたします。以上です。
しろまる小畑部会長 他にいかがでしょうか。金井委員、お願いいたします。
しろまる金井委員 私からは保険料負担の観点から、家事使用人の労災保険法の強制適用の必要性について意見させていただきたいと思います。
基本的にはこれまでの意見に賛成で、家事使用人も労災保険の強制適用の対象にすべきと考えております。現在、家事使用人については「介護作業従事者及び家事支援従事者」として特別加入制度の対象となっていますが、特別加入の割合は7ページに記載のとおり34.3%と低い状況にあると認識しております。言うまでもなく特別加入においては、保険料は家事使用人自身が負担する必要があります。また、8ページの表を見ますと、家事使用人の方が特別加入をしない理由の中では「民間保険に入っているから」と回答が一番多く57%にのぼり、結局は自分自身で保険料を払っているということとです。
つまり家事使用人は雇用労働で働いていたとしても、保険料を自分で負担して特別加入や民間保険に加入して、仕事の災害リスクに備えているということになるのです。同じ仕事をしていて働き方も近いのに、労災事故リスクへの備えが一般労働者と異なることは、合理的とは言えないと考えています。この点も踏まえて、家事使用人はしっかりと労災保険の強制適用の範囲に含めていくべきであると考えます。
また、家事使用人の強制適用に関しては、保険料の納付も含めた私家庭の事務負担を考慮すべきという意見もあると思います。この点は一定程度理解はしますが、事務負担が大きいから適用除外を続けるというのは道理が立たないと思いますので、資料の11ページにある労災保険事務組合などの仕組みも活用して、しっかりと強制適用をワークさせていくという、前向きな制度設計を行っていくべきと考えております。以上です。
しろまる小畑部会長 他にいかがでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
しろまる松尾委員 同じように実際に運用するときの形では、先ほども出たように特別加入で入っていらっしゃる方もいるし、知らない方もいらっしゃる中での関係で、救済の道がなかなかないというのが現状だと思います。その中で、こういうことに関しては賛成です。ただ、もし具体的にやるときの労災の適用の事務や実際の現認者の問題など、様々なところが出てくるのではないかと思います。今までのように救済されないで、対象になっても実際に給付が受けられないなどということがないようにしなければならないと考えております。そうした意味でも運用については、慎重に取り計らいをするべきだと思っております。以上です。
しろまる小畑部会長 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。オンラインの委員の皆様もよろしいでしょうか。特にないということでしたら、次の課題へと移りたいと思います。よろしいですか。ありがとうございます。
続いて、特別加入制度について議論をしていきたいと思います。資料3の13ページにある論点に沿って、御意見をお伺いできればと思います。いかがでしょうか。金井委員、お願いいたします。
しろまる金井委員 意見と質問の両方があります。まず、論点1の特別加入団体の承認取消し要件の法令上の明記についてです。論点1にある特別加入団体の承認や取消しの要件を法令上明記していくことについては賛成です。また特別加入団体の数は、一人親方と特定作業従事者を足すと4,000超になりますが、特別加入団体の中には誇大広告と思われるような過大な宣伝で加入者集めを行っていたり、労災発生時のサポートが十分に受けられるか不明と思われる団体もあると聞いております。こうした課題が生じている実態を踏まえると、現在、通知にとどまっている特別加入団体の承認取消し要件を法令に格上げして、法令を根拠に厚生労働省によって指導監督を行っていくことが、特別加入制度の健全化と発展につながると考えております。
加えて論点1については、「承認取消し等に先立って、改善を要求する等、段階的な手続を設けることについてどう考えるか」とあります。段階的手続きを否定するものではありませんが、事案によっては即時取消しという選択肢も排除すべきではないと考えております。
その上で質問です。特別加入団体の承認取消しを行った場合でも、現に特別加入している方が突如無保険になったり、納めた保険料や手数料の払戻しが受けられないといった不利益を被るようなことがあってはならないというのは、言うまでもありません。承認取消しが行われた場合でも、労働局などで他の団体への加入勧奨や保険料の日割返却の指導といったフォローアップをするべきと考えております。この点について、今回の承認取消し要件の法令化と併せ、事務局としてどう考えているのかをお聞かせいただければと思います。
しろまる小畑部会長 御質問ですが、事務局のほうはいかがでしょうか。
しろまる補償課長 御質問、ありがとうございます。ただいまの取消しというのは、いわば職権の取消しの場合の対応です。現在、職権で取り消した事例はないのですけれども、一般的には解散するというケースがあります。その際はその団体に対し、もし継続して特別加入に入りたいという希望者がいる場合には、他の団体に勧奨しなさいという実質的な指導を行っていますし、特別加入者から連絡があれば、そのように誘導しているところです。今後はどうするかというお話ですが、規模感ですね。ものすごく大きな団体が突然停止となった場合、そこまで負えるかどうかはなかなか技術的に難しいところもあろうかと思いますが、方向としては特別加入者が不利益を被らないように何らかの措置をする。一般的には問題があれば事前に指導をして、まずは改善を図らせるというのが重要かと思っております。以上です。
しろまる小畑部会長 金井委員、いかがでしょうか。
しろまる金井委員 ありがとうございます。職権による取消しのほうが解散よりも急な判断も対応も迫られることもあると思いますので、その点も踏まえて対応を検討いただきたいと思います。また、繰り返しになりますけれども、団体の承認取消しによって加入者が不利益を被ることがないことが一番だと思いますので、承認取消し要件の法令化とセットで、労働局のフォローアップの仕組みについても事務局で御検討いただき、適宜、部会にも御提示いただければと思います。よろしくお願いいたします。
しろまる小畑部会長 それでは最川委員、お願いたします。
しろまる最川委員 西松建設の最川です。私も金井委員と同じような意見です。承認取消し要件を法令上に明記するというのは賛成ですけれども、事前説明の中で過去10年間の団体の推移を頂き、令和3年度末で4,821団体、令和4年度で4,753団体、令和5年度で4,693団体ということで、ここ2年間は約60〜70団体がなくなっているのです。この原因をちゃんと理解していないと、金井委員が言われたように、せっかく保険料を払っていても途中で団体がなくなって、そのまま他団体に加入しなかったら補償されないということも出てきているはずです。そういう引継ぎと団体がなくなるときの理由を確認しておくのと、そのときに他の団体への移行と言いますか、再加入を必ず伝えるような制度をちゃんと付けないと、せっかく入っていても意味がないと思いますので、特に理由はしっかりつかんでいただきたいと思います。以上です。
しろまる小畑部会長 ありがとうございます。お願いいたします。
しろまる補償課長 今、特別加入団体がここ3年程度減少気味だというお話がありました。建設業の一人親方というのは、特別加入の中の6割ぐらいを占めております。ここ3年ぐらいの傾向でいきますと、建設業の一人親方の団体の件数が下がっているというのが、1つの大きな要因かと思っております。なぜ解散するのかという話は、統計を取っているわけではありませんので、数字的なところは申し上げにくいのですが、労働局の感覚からすると特別加入者がいなくなったことと、他の類似の特別加入団体とくっつくので、1つが不要になったというのが大きな2つの要因かという感覚を得ております。以上です。
しろまる小畑部会長 最川委員、よろしいでしょうか。
しろまる最川委員 特に問題がなければいいのですけれども、理由は確認していただければと思います。よろしくお願いします。
しろまる小畑部会長 他にいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
しろまる笠井委員 論点1と2のそれぞれについて発言いたします。まず論点1です。特別加入団体の承認や取消しの要件を法令上明記することと、承認の取消し等に先立ち、段階的な手続を設けることの双方に賛成いたします。団体の要件や手続を法令上明確化することで、団体の適格性の確保につながると考えられます。
次に、論点2に関して2点発言いたします。1点目です。特定フリーランス事業に係る特別加入団体以外の団体にも、災害防止措置に関わる役割や要件を求めるとともに、法令的根拠を求めることに賛成いたします。御案内のとおり、先の通常国会において個人事業主等に対する安全衛生対策の推進を盛り込んだ労働安全衛生法の改正案が成立しました。労働者だけでなく、全ての働き手が安全で健康に働ける環境の整備は、我が国の重要課題です。全ての特別加入団体は、第2種特別加入者の業務災害を防止するために講ずべき措置を定めることが省令で規定されています。特定フリーランス事業に係る特別加入団体の追加的な承認要件にある、災害防止教育の実施と厚労省への結果報告は、正に労災則第46条の23第2項が求める業務災害防止措置に該当しますので、一般の特別加入団体の承認要件に含めることが適切と考えます。
2点目です。御案内のとおり、当部会では特定フリーランス事業に係る特別加入団体に対し、都道府県労働局長の承認後にヒアリングを実施しています。ヒアリング自体に一定の意味はあると受け止めておりますが、団体の承認後に実施するために、部会における委員からの指摘事項が団体の活動にどのように反映されていくのか不透明な状況です。また、これまで6つの団体にヒアリングを実施しましたが、各団体の説明の粒度や資料の充実度にかなりのばらつきが生じていたと記憶しております。ヒアリングの実効性を高める観点から、労働局長の承認前の時期に実施するとともに、各団体による説明事項を統一することを要望いたします。以上です。
しろまる小畑部会長 他にいかがでしょうか。立川委員、お願いいたします。
しろまる立川委員 まず、論点1の関係については、各委員から賛成の方向性の意見が述べられております。私も特別加入団体の承認と取消要件の法令への格上げについては、行うべきだと考えております。
次に、それを踏まえて論点2の災害防止措置に関わる役割や要件についてです。これも法令上の根拠を設けるべきであると考えております。資料の18ページにあるように、特定フリーランス事業でなくても、特別加入団体には今でも労災則の第46条23の第2項で災害防止措置が義務付けられているところです。この義務の履行状況を行政として確認し、監督指導を行っていくためにも、「特定フリーランス事業」だけでなく全ての加入団体に災害防止措置の報告義務を課した上で、労働局が報告内容を審査していくことが肝要だと考えているところです。
加えて特別加入団体の役割という観点から具体的な意味を申し上げるとすれば、特別加入団体に対しては、入口となる加入時の段階で、しっかりと加入時審査を行う義務を課すべきであり、それを法令で明記する必要があると考えています。直近で行ってきた「特定フリーランス事業」の特別加入団体のヒアリングにおいて、一部に特別加入の対象者として疑義があるのではないかと考えられる職種の方も加入されている状況の説明がなされていたことが記憶に残っております。そういう意味でも、加入時点の審査の重要性や課題が浮かび上がってきているということもあります。
また、前回部会での特別加入団体のヒアリングにおいても、ヒアリング対象者から、「万が一特別加入団体から加入者が事故に遭ったとき保険給付がなされないということがあってはならないので、特別加入団体は加入時に出口もしっかり見据え、しっかりと加入時審査を行うことが重要である」との意見が出されていました。これは非常に重要な意見だと考えています。残念ですけれども、特別加入団体の中には加入者の拡大に注力し、他の特別加入制度の対象者や、本来、労働者として労災保険の本体で保護すべきなのに、特別加入対象者として扱っているケースもあると聞き及んでおります。こうしたことを防止するためにも、特別加入団体の要件や役割を法令へ格上げするに際して、法令の中身として特別加入団体の責務として加入時の審査を適切・厳格に行うべきことを明記していただければと思います。よろしくお願いします。
しろまる小畑部会長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。足立委員、お願いいたします。
しろまる足立委員 足立です。これまで笠井委員や立川委員からお話があったように、私も1については皆さんと一緒で賛成です。2については、強く思いを持っています。やはり、この法令は必要ですし、この事業、団体については一定の質の担保が労働者の方々へのサービスの実施に寄与するものと考えていますので、これは既存の団体についても承認の過程が今の流れだったということを踏まえても、数が多いという点でも、一定の検討をしていくべきではないかとも思っています。新規の団体については、やはり承認とそのヒアリングの順番やその内容の確認は、きちんとやっていくべきではないかと考えています。以上です。
しろまる小畑部会長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
しろまる松尾委員 我々建設業の関係では、昭和22年にできてから、第2種の事務組合の関係も含めて進めてきました。厚労省では取っていない第2種の一人親方等の疾病で、けがの状況についても、こと細かく把握をし、それを厚労省には提示をしてきた歴史もあります。そうした意味で、特別加入団体の役割というのは今後も大きいと思います。今日的な状況と併せて、この論点については必要なものだと考えていますが、引き続き歴史的な役割も含めて、特別団体を有効に機能させるということは、労働者も含めた全ての働く現場で労働災害をなくしていく、健全な働き方をしていく、そういうことが大切だと思います。この間の歴史的経過も踏まえて、是非、新たなこういう論点で進めるという形では、一定の配慮ともう1つはうまく機能できるような形の施策も、具体的なところを聞き取りながら進めていただきたいと思っています。以上です。
しろまる小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
しろまる冨髙委員 ありがとうございます。私からは「特定フリーランス事業」の特別加入団体の要件について意見を述べたいと思います。この件については、制度施行前の2年前の部会で、「特定フリーランス事業」が幅広い業種や地域的に全国を対象としている点も踏まえ、既存の特別加入団体以上の要件が必要であるとの共通認識のもと、資料19ページの下段にある追加的な4つの要件を課したと認識しています。この要件の適合状況も含めて、先ほどからもありましたように特別加入団体のヒアリングをしてきたわけですが、その内容を踏まえると、改めて持続可能で信頼性のある団体運営が重要であると認識したところです。そういう意味では、入口である「特定フリーランス事業」の特別加入団体の承認要件は厳格化する必要もあるのではないかと考えているところです。
先ほど、笠井委員からもヒアリングにおける各団体の粒度のばらつきについての意見もありましたが、特別加入団体がどのような災害防止措置をしているのか、また、全国的な相談窓口の設置状況や、手数料がどれぐらいなのかというようなところは、必ず確認の対象となるわけです。そのため、必ず確認対象となる事項については一覧化するなどして、労災保険部会として特別加入団体を承認、選定するための参考材料として提示するということは、明確にしていただいたほうが良いと考えているところです。
それから、体制面の部分です。これもヒアリングの状況等を踏まえると、災害防止教育をきちんと行えるのかというところも含め、団体の体制面は非常に重要なポイントになると考えています。「特定フリーランス事業」については、幅広い業種かつ加入者が全国にいるということを考えると、体制面はもう少し踏み込んだ要件を設ける必要があるのではないかと考えているところです。
それから、災害防止教育については、特定業務を対象とする既存分野の団体と異なり、「特定フリーランス事業」は多様な業務に従事する方が加入をするという実態がありますので、加入者属性に応じた教育もしっかり視野に入れていかなければいけないのだろうと考えています。現在、中災防が作成されている災害防止テキストを活用し全分野共通の災害防止教育を行っている団体が多いと思いますが、一定の時期が経過した後には加入者属性に応じたテキストの再編集なども必要なのではないかと考えているところです。
それから、最後もう1件、事務所要件について意見を申し上げたいと思います。前回部会で特別加入団体ヒアリングを行った際にも、ヒアリング対象者から事務所要件が緩和されたことについて疑問視する趣旨の発言がありました。この点、厚生労働省は、緩和ではなく解釈を明確化したと考えているのかもしれませんが、労働側としても事務所要件は緩和されており、その緩和は安易に行うべきではなかったと考えています。そもそも訪問相談が可能な事務所の設置要件を設けた目的は、もともとは対面相談を希望する方への対応が第一義だと思いますが、副次的にはその全国単位で相談窓口をきちんと設置できるような十分な事務の体制と能力があるということを担保するという意味で効果もあったのではないかと考えています。そういった趣旨で設置されたにもかかわらず、行政通達であるとして、労災保険部会での議論も経ずに変更されてしまった点は問題であると考えているところです。もちろん「特定フリーランス事業」の特別加入団体が複数参入して、公正競争の中で切磋琢磨して特別加入の裾野を広げていくということ自体は、非常に重要だと考えていますが、それは要件緩和によって広げていくということではないと思います。安易に要件を緩和してしまうことで、十分な体制や能力を持っている団体以外の参入を許すことになりかねない。そうなった場合には、結果的に加入者の方にとっても不利益になりますし、特別加入制度自体の信頼性も失われてしまうと思います。今回の見直しで「特定フリーランス事業」を含めた特別加入団体の承認や取消し要件を法律や省令に格上げし、法令を見直す上ではこの労災保険部会できちんと議論をして結論を得るというプロセスを担保していくことが必要だと考えています。また、緩和された事務所要件については見直しを図っていくべきであると考えているところです。以上です。
しろまる小畑部会長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
しろまる笠井委員 ただいま冨髙委員から御発言がありました点について、特別加入団体へのヒアリングについては、私の申し上げたことと類似のお話をいただけたものと理解していますが、通達の記載について御意見がありました。私としては、特定フリーランス事業に係る特別加入を希望する方々が、適時適切に団体を訪問し、相談できる体制を整える。そのことを確認することが重要であり、物理的な専有スペースの確保を必須とすることまでは、過剰な対応ではないかと考えていますので、厚労省による解釈の明確化は理解できるところです。以上です。
しろまる小畑部会長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。特にないようでしたら、次に移りたいと思いますが、よろしいですか。お願いいたします。
しろまる労災管理課長 笠井委員、冨髙委員から特定フリーランスのヒアリングについて御意見をいただきました。これまで何回か行ってきたところです。特定フリーランス事業ができる前、この資料の14ページに書いてあります令和3年以降拡大をしてきましたが、令和3年4月からの拡大に当たっては省令改正が必要でしたので、特別加入団体として認める前にこの場できちんと議論をして、団体の業界の実情など、そういったものについて議論をして認めてきたというところがありますが、令和6年の11月1日、特定フリーランス事業が認められた以降は省令改正等は必要ありませんので、新たな団体についてこの審議会に事後的に来ていただいてヒアリングをしている状況です。
特定フリーランス事業を認める際の令和5年の12月22日の審議会においても、今回、新たに追加した4つの要件については、その要件を満たす団体に対して、その都度、労災保険部会においてヒアリングを行うこととするとしまして、新たに追加された4要件について議論をするということになっています。当然、加入者数や手数料などの基本的な情報は必要だと思いますので、今後、新たにヒアリングをする際には、指摘があった事項についてはあらかじめ団体に対して情報提供をしていただくよう通知をした上で、できるだけヒアリング趣旨にのっとったヒアリングができるように事務局としても努めていきたいと考えています。
しろまる小畑部会長 よろしいでしょうか。他に御意見はありませんか。もしないようでしたら、次の議題に移りたいと思います。
最後は、社会復帰促進等事業です。資料3の24ページ目にある論点に沿いまして、御意見をお伺いできればと思います。いかがでしょうか。
しろまる立川委員 社復事業については、資料24ページにある論点1、2とも基本的には研究会の中間報告書の整理のとおり見直しを行うべきだと考えています。
まず論点1の社復事業の処分性についてですが、最高裁判決を機に社復事業の処分性が広く認められるようになっている中、27ページの下段にある特別支給金などの2点だけが処分性が認められず、不支給であったり、金額に不満があったとしても被災労働者が審査請求できないというのは不合理であると考えています。これらについて、処分性を認めて、被災労働者に対して審査請求の機会を保障すべきであると考えています。
また、論点2の労働者に対する給付的な社復事業に対する不服申立ての方法についても、被災労働者に二重の負担を強いるべきではなく、保険給付と同様に労審法の対象としてということは適当であるということです。ただし、これに伴いまして労働保険審査会などの負担が相当増えることが予測されます。そういう意味では、見直しを踏まえて、審査会の体制整備も必要ではないかとも考えています。以上、よろしくお取扱いをいただければと思います。
しろまる小畑部会長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
しろまる松尾委員 これは要望です。先ほど特別加入団体の話もありましたが、実際に災害が起こった後の防止措置も含めて、特別加入団体にも求めるというような話もありました。それについて反対するということはないのですが、実際に特別加入団体も含めて、自らが保険料を払っているということも含めて、特別加入団体もそういう措置がされるということでしたら、この間、私たちが主張しているこの事業に対する検討会の参加を是非、要望したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
しろまる小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。特にありませんか。もしないようでしたら、本日、議論をしました点、全てについて何かありませんか。全体を通して何か御意見のある方はいらっしゃいますか。松尾委員、お願いいたします。
しろまる松尾委員 これに関することでなくて、労災保険制度の見直しに当たって、実際にけがをしたときに4日以上、4日未満も含めて、安衛法の改正があって「個人事業者等も」と加わりました。そうしますと、いわゆる一人親方等も含めた傷病の管理が必要になってくるかなと思っています。実際にこの給付のデータの管理というのは、いつからされて、その一人親方の関係が整備されて活用していくのか。
もう1つは、一元管理がきちっとされるのかということです。当然、特別団体の関係では擬制適用ですから、個人的な番号があるわけではないので、多分、データとしてはなかなか難しいのではないかなと思っていますが、何かをしないとデータの管理ができないと認識しています。それらも含めてデータの一元管理を要望するとともに、先ほどの実際に今後、起こり得るようなことの関係の計画、具体的な形では検討されているのかをお聞きしたいと思います。以上です。
しろまる小畑部会長 ありがとうございます。御質問ですので、事務局からお答えをお願いできますか。
しろまる労災管理課長 データの集約などについては、安全衛生部署とも連携しながら、どういったことができるかどうかを検討していきたいと考えています。要望として、我々としても受け止めたいと思います。
しろまる小畑部会長 松尾委員、お願いいたします。
しろまる松尾委員 どういった管理というのは、管理をする前提なのかどうなのか確認したいと思います。
しろまる労災管理課長 そこも含めまして安全衛生部署と相談して、進めたいと思っています。
しろまる小畑部会長 最川委員、お願いいたします。
しろまる最川委員 西松建設の最川です。今、松尾委員から意見が出た件、私も同じ要望をいろいろな検討会や分科会などでお願いしています。今、ちょうど安全衛生分科会で個人事業者の報告制度の議論をこれから開始すると思いますが、労災保険で提出されている個人事業者の災害データが災害分析に全くいかされていないのです。今後、松尾委員が言われたように一元化して、この特別加入の労災保険のデータも含めた災害データを災害防止につなげていただければと思います。、安全衛生分科会の事前説明で労災保険が持っているデータも含めて一元化をしていくことと、連携をしてくださいというお願いをしたのですが、連携は考えていないという返事があったので、是非、連携できるようにだけでもしていただきたいのですが、それにはやはり特別加入の労災保険番号などを記入させないと連携できないはずなのです。そこすらも考えていないという話を聞いたので、安全衛生部会で決まってしまうので、決まってから制度変更するのはものすごく大変なので、やはり連携や紐付け等ができる前提で、データ管理を是非、検討していただきたいと思います。以上です。
しろまる小畑部会長 ありがとうございます。他に全体を通して何かありませんか。特にないということでよろしいでしょうか。
本日、議題とした各テーマについて、委員の皆様方から様々な貴重な御意見、御指摘を頂戴しました。いずれの御意見も非常に重要なものと存じます。事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて整理し、次回以降の資料に反映していただくようにお願いしたいと思います。
それでは、本日、予定した議題は以上ということになりますので、部会は終了とします。事務局より次回の日程についてお知らせをお願いいたします。
しろまる労災管理課長 次回の日程については、事務局より追って連絡をさせていただきます。
しろまる小畑部会長 本日は以上とします。皆様、お忙しい中、どうもありがとうございました。

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