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  5. 2025年8月18日 第28回社会保障審議会福祉部会 議事録

2025年8月18日 第28回社会保障審議会福祉部会 議事録

1.日時

令和7年8月18日(月)14:00〜16:00

2.場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F

3.出席者

出席委員(五十音順)
  • 井口委員
  • 石踊委員
  • 稲垣委員(代理出席:杉浦参考人)
  • 及川委員
  • 小笠原委員
  • 鏑木委員
  • 川井委員
  • 菊池委員
  • 佐保委員
  • 新保委員
  • 鈴木委員
  • 高橋英委員
  • 髙橋秀委員
  • 谷村委員
  • 鳥田委員
  • 中村委員
  • 則武委員
  • 樋口委員
  • 堀田委員
  • 松原委員
  • 宮本委員
  • 山下委員
  • 山本委員(代理出席:高橋参考人)
  • 吉田委員

4.議題

  1. (1)「地域共生社会の在り方検討会議」中間とりまとめについて(報告)
  2. (2)「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会とりまとめについて(報告)
  3. (3)身寄りのない高齢者等への支援に係る関係者ヒアリング
  4. (4)今後のスケジュール(見込み)について(報告)

5.議事録

しろまる菊池部会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第28回「社会保障審議会福祉部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お盆明けという中で大変お暑い中、またお忙しいところ、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
本日は対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての実施とさせていただきます。
まずは、事務局より、新たに就任された委員の御紹介と、本日の委員の出欠状況について御説明をお願いいたします。
しろまる池上総務課長 7月8日付で、山口の後任として社会・援護局総務課長を拝命いたしました池上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
前回開催時から委員の変更がございましたので、新たに就任された委員の御紹介をさせていただきます。
7月15日付で、西島善久委員の後任として、山下康委員に新たに当部会委員に御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
しろまる山下委員 よろしくお願いいたします。
しろまる池上総務課長 続きまして、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、全国市長会の刈谷市長 稲垣武委員、東洋大学国際学部教授の沼尾波子委員、全国知事会の群馬県知事 山本一太委員から御欠席の御連絡をいただいております。
また、稲垣委員の代理といたしまして、刈谷市福祉健康部政策監の杉浦隆司参考人に、山本委員の代理といたしまして、群馬県健康福祉部福祉局長の高橋淳参考人にオンラインで御参加いただいてございます。
また、本日の議事のうち、3番目の「身寄りのない高齢者等への支援に係る関連者ヒアリング」に関連いたしまして、6名の参考人の皆様に御参加いただいております。御紹介いたします。
まず、枚方市健康福祉部健康福祉総合相談課課長の奥田和彦様、課長代理の石田有紀子様。
続きまして、枚方市社会福祉協議会生活支援課課長 天川尚高様、係長の延原慎哉様。
続きまして、特定非営利活動法人知多地域権利擁護支援センター理事長 今井友乃様。
それから、豊中市社会福祉協議会身寄り問題を考える意見交流会担当副会長 齋藤杏子様に御参加いただいております。
なお、奥田参考人、石田参考人、天川参考人、延原参考人及び齋藤参考人にはオンラインで御出席いただいております。
杉浦参考人、高橋参考人、奥田参考人、石田参考人、天川参考人、延原参考人、今井参考人及び齋藤参考人の御出席につきまして、部会の御承認をいただければと思いますけれども、皆様、いかがでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
しろまる池上総務課長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
本日は御出席の委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
以上となります。
しろまる菊池部会長 ありがとうございました。
次に、前回の福祉部会以降、事務局にも人事異動がございましたので、御紹介をお願いいたします。
しろまる池上総務課長 それでは、御紹介させていただきます。
まず、社会・援護局長の鹿沼でございます。
しろまる鹿沼社会・援護局長 鹿沼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
しろまる池上総務課長 それから、大臣官房審議官の林でございます。
しろまる林審議官 林です。よろしくお願いいたします。
しろまる池上総務課長 地域福祉課長の野﨑でございます。
しろまる野﨑地域福祉課長 野﨑でございます。よろしくお願いします。
しろまる池上総務課長 同課成年後見制度利用促進室長の占部でございます。
しろまる占部成年後見制度利用促進室長 占部です。よろしくお願いいたします。
しろまる池上総務課長 それから、福祉基盤課福祉人材確保対策室長の芦田でございます。
しろまる芦田福祉人材確保対策室長 芦田です。よろしくお願いいたします。
しろまる池上総務課長 障害保健福祉部企画課長の乗越でございます。
しろまる乗越企画課長 乗越です。よろしくお願いいたします。
しろまる池上総務課長 それから、私、総務課長 池上でございます。よろしくお願いいたします。
以上となります。
しろまる菊池部会長 ありがとうございました。
カメラは入っておりませんね。
続きまして、議事に入る前に資料の確認と会議の運営方法について、事務局から御説明をお願いいたします。
しろまる池上総務課長 本日は資料といたしまして、資料1〜4を配布させていただいております。会場にお越しの皆様におかれましては、机上に用意してございます。オンラインにて御出席の委員におかれましては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。もし不足等ございましたら、省のホームページにも掲載してございますので、ダウンロードいただくなどの御対応をよろしくお願いいたします。
資料については、
まず、資料1「「地域共生社会の在り方検討会議」中間取りまとめについて」
資料2「「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会とりまとめ(概要)」
資料3-1「身寄りのない高齢者等への支援に係る関係者ヒアリング」
資料3-2「奥田参考人、石田参考人、天川参考人、延原参考人提出資料」
資料3-3「今井参考人提出資料」
資料3-4「齋藤参考人提出資料」
資料4「今後のスケジュール(見込み)」
となってございます。
もしお手元になければ、お気づきのときでも結構ですので、係の者におっしゃっていただければと思います。
それから、発言方法等について、オンラインで御参加の委員の皆様には、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思いますので、会議の進行中は、基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきます。御発言をされる際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックいただき、部会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。
御発言が終わりました後は、ツールバーの「リアクション」から「手を下ろす」をクリックいただきまして、併せてマイクを再度ミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、時間が限られておりますので、御発言いただく際には、極力簡潔にお願いいたします。
以上となります。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
議事(1)及び(2)は、前回4月の本部会での報告以降の各検討会での議論について、事務局からの報告になります。(1)「地域共生社会の在り方検討会議」中間とりまとめ、(2)「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会とりまとめにつきまして、事務局から資料に沿って御報告をお願いいたします。
しろまる南地域共生社会推進室長 よろしくお願いいたします。地域共生社会推進室長です。
私から、資料1に沿って「地域共生社会の在り方検討会議」の中間とりまとめについて御報告をさせていただきます。
資料1の2ページ目から御覧ください。「地域共生社会の在り方検討会議」につきましては、4月にその検討状況については部会にも御報告いたしております。4月以降、5月20日に議論を行いまして、5月28日に中間とりまとめという形で公表しております。
内容については、3ページ目がとりまとめの概要です。
上の箱のところですが、人口減少・単身世帯の増加等の社会構造の変化や、令和2年の社会福祉法改正の検討規定を踏まえまして、昨年の6月から10回にわたる議論を経てとりまとめたものです。2040年に向けて地域共生社会の深化を図るための提言という位置づけです。
また、2つ目ですが、平成29年の法改正で位置づけられております市町村に対する包括的な支援体制の整備を、2040年に向けて、全ての市町村で取り組んでいくということも入っております。
内容については、下の方、大きく5点あります。
まず、1ポツの地域共生社会の更なる展開ということで、こちらはこれまで2回の法改正を通じて強化を図ってきているところですが、さらにこちらを強化していくということで、1地域共生社会の理念の再整理・連携協働の強化として、他分野との連携とか地域住民等との連携・協働の強化といったことを進めていくべきというとりまとめをいただいております。
もう一つが2、先ほど申し上げました包括的な支援体制の整備に向けた対応ということで、令和2年の法改正で重層的支援体制整備事業を創設しておりますが、こうした事業を使わない市町村に対しても、支援会議という制度的な支援や財政支援の対象を拡大していく。あるいは、既存制度であります生活困窮者自立支援制度あるいは地域包括ケアシステム等も含まれますが、こういった既存制度の活用を推進して包括的な支援体制をつくっていくということ。
それから、3点目、これから人口減少が進む中で、担い手が不足する、深刻化する地域が出てくることが想定されますので、そういった人口減少が著しい、あるいは担い手不足が著しい過疎地域等において、既存制度、これは高齢・障害・困窮・こどもの4分野を想定していますが、こういったそれぞれの制度をそれぞれ置くのではなく、ある程度機能集約して、そういった地域の実情に応じて柔軟に対応できるような特例を創設してはどうかという御提言をいただいております。併せて、そういった特例を実施していくに当たっては、都道府県のような広域の取組の支援強化も図るべきということです。
それから、5点目、5年前の改正で創設されました重層的支援体制整備事業につきまして、包括的支援体制の整備を図るための一つの手段として位置づけられたわけです。こちら、実施箇所数は増えてきていますが、他方、質の向上に向けた課題もあり、機能・取組評価に応じた支援等への見直しを図っていくといったことが提言されております。
また、包括的な支援体制の中で、こども・若者支援が弱い部分があるということで、こちらの強化も図るべきといったことを提言いただいております。
大きな2点目としましては、真ん中に行きまして、身寄りのない高齢者等への対応ということで、本日、この後、ヒアリングもありますが、1つ目は、まず、生活困窮の相談事業所でありますとか地域包括支援センターみたいな既存の総合支援機関を活用して、そういった方への相談支援を強化していこうという内容です。
それから、2については、日常生活支援、入院入所手続支援、死後事務支援等を提供する第二種社会福祉事業を新設すべきということも提言いただいております。
3点目は、身寄りのない高齢者等を支える地域のネットワーク構築についても御提言をいただいております。
右に行きまして、3ポツで成年後見制度の見直しへの対応ということで、今、法制審議会のほうで成年後見制度の見直しの検討が進んでいますが、例えばスポット利用とか期間付の成年後見制度ということになりますと、成年後見制度が外れた後の支援をどう地域で行っていくかということが課題になってきます。判断能力が不十分な方の地域生活を支援するための事業として、先ほど2ポツのところで申し上げた2の事業を活用して、そういった方の支援をしていくということを御提言いただいています。
また、2として、権利擁護支援推進センター、中核機関について法定化するということを提言いただいております。
加えて、4ポツで社会福祉法人・社会福祉連携推進法人の在り方です。
また、5ポツで社会福祉における災害への対応ということで、平時からの備え、あるいはDWATの平時からの体制づくり・研修等の実施についても提言をいただいております。
これらの内容について、今後また福祉部会で議論いただければということで考えております。
4ページに進んでいただきまして、今、申し上げました5月の中間とりまとめを踏まえまして、政府では、骨太の方針あるいは地方創生の基本構想というのを6月に閣議決定しており、こちらに反映されております。先ほどの中間とりまとめに触れられておりました内容についても、4ページ目、骨太の方針では、地域共生社会の実現が掲げられ、その中で、生活困窮者自立支援制度、こういった既存制度を軸とした包括的な支援体制の整備を推進するということも決定しております。
また、下のほうですが、身寄りのない高齢者等への支援や総合的な権利擁護支援について検討するということも決定しております。
5ページに進んでいただきまして、地方創生2.0基本構想におきましても、先ほど御説明いたしました過疎地域等における機能集約の特例制度、さらには、それに向けたモデル事業の実施といったことを決定しております。
さらに、上の方に、線は引いておりませんが、他分野との連携・協働をしっかり進める。それを通じて地域共生社会を実現していくということを閣議決定したというところが大きいポイントかと思っております。
6ページ目、最後ですが、中間とりまとめの議論と並行いたしまして、この見直しの方向に向けて、1として、先ほど申し上げた重層事業の質の評価に向けた調査研究。それから、2として地域住民と協働した取組を進めるということで、地域住民等との連携体制の構築に関する調査研究。今年度、この2本の調査研究を並行して進めております。これらの状況も踏まえまして、また御議論いただければと思っております。
事務局からの説明は以上です。
しろまる村中企画官 続きまして、資料2を御覧ください。老健局総務課企画官の村中でございます。「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会のとりまとめについて御報告させていただきます。
本年1月にこの検討会がスタートいたしまして、まず、高齢者施策について議論を行い、4月10日に中間とりまとめをまとめたところです。この中間とりまとめにつきましては、4月24日の福祉部会において御報告させていただいたところです。
当該検討会においては、中間とりまとめ以降、その中間とりまとめの内容を踏まえた福祉サービスの共通課題について、引き続き議論を行いまして、7月25日に最終的なとりまとめを公表したものでございます。とりまとめの内容といたしましては、中間とりまとめをベースに、障害福祉・こども分野の内容を含め、福祉サービスの共通課題に係る対応の方向性を追記したものとなってございます。
資料2がとりまとめの概要でございますが、中間とりまとめから、一番上と一番下の四角囲いを追記してございます。
具体的に申し上げますと、まず、冒頭の四角囲いでございますが、とりまとめ全体の共通の考え方として、2040年に向けて、高齢化・人口減少のスピードが異なる中、地域の実情を踏まえつつ、介護、障害福祉、保育のそれぞれの分野で事業者間、関係者間の連携を進めるにとどまらず、分野を超えた連携・協働を通じて福祉サービス提供体制を構築することが必要であることとしています。
また、2ポツ目にありますが、併せて、地域住民を包括的に支えるための包括的支援体制の整備を進めることで、地域共生社会の実現につなげることが重要という方向性を示していただいたところです。
中段の方向性等のところにつきましては、中間とりまとめからは基本的に変更ございませんが、改めて何点か申し上げますと、先ほど申し上げたとおり、高齢化・人口減少の度合い、スピードは地域に差がございますので、そういった差を踏まえながらサービス提供体制を構築していくことが必要であることとしています。
また、3つに地域を分けまして、例えば中山間・人口減少地域では、サービス維持・確保のために配置基準の弾力化等の柔軟な対応を取っていくことが必要ではないかという方向性が示されたところです。
そのほか、(2)人材確保・生産性向上・経営支援、(3)地域包括ケアシステム、医療介護連携等についても幅広く議論を行っていただきまして、方向性をまとめたところでございます。
最後に、(4)の部分が前回の中間とりまとめから追加したところでございますが、それぞれポツにございますように、社会福祉連携推進法人の活用を促進するための要件緩和。地域の中核的なサービス主体が間接業務をまとめることへの支援、地域の実情に応じた既存施設の有効活用、人材確保等に係るプラットフォーム機能の充実、福祉医療機構による法人の経営支援、分析スコアカードの活用による経営課題の早期発見などが方向性として示されたところです。これらの点につきまして、今後、この福祉部会をはじめとした各部会で御議論いただくことになると考えておりまして、介護保険部会では既に議論を開始しているところでございます。
資料2の説明につきましては、以上になります。
しろまる菊池部会長 ありがとうございました。
以上、事務局から「地域共生社会の在り方検討会議」の中間とりまとめ、そして「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会のとりまとめについて御報告をいただきました。皆様、大変御関心がおありかと思うのですが、いずれも報告事項とさせていただいておりまして、中身については、次回の部会以降で個々の論点について議論を深めていくということに加えて、本日はヒアリングを予定してございます。
ですので、まずはヒアリングのほうを優先させていただきまして、全体の時間も限られておりますので、ただいまの事務局の御報告内容についての御質問については、残りの時間でお受けしたいと考えてございます。「地域共生社会の在り方検討会議」の宮本座長もいらしておりますので、ぜひコメントいただきたいのですが、そういうことですので、まずはヒアリングのほうを先に議題にさせていただきたいと存じます。よろしくお願いします。
ということで、次に「身寄りのない高齢者等への支援に係る関係者ヒアリング」を議題とさせていただきます。まずは、事務局より資料の説明をお願いいたします。
しろまる占部成年後見制度利用促進室長 成年後見制度利用促進室長でございます。
資料3-1に沿って、本日のヒアリングについて簡潔に御説明させていただきます。先ほど御説明のありました「地域共生社会の在り方検討会議」の中間とりまとめにおきまして、身寄りのない高齢者等への対応についても盛り込まれたところですけれども、本日はこれに関連しまして、今後検討する新たな事業の制度設計の参考とするために、関係者の皆様からの御意見を伺うものでございます。
令和6年度から、身寄りのない高齢者等が抱える生活上の課題に対応するためのモデル事業を実施しているところでございますけれども、本日は、このモデル事業を活用して取組を行っている関係者といたしまして、枚方市・枚方市社協から奥田参考人、石田参考人、天川参考人、延原参考人に御出席をいただいております。
また、独自の終活支援事業を実施されている団体といたしまして、知多地域権利擁護支援センターから今井参考人に御出席をいただいております。
また、身寄りのない高齢者等への支援を考えるに当たりまして、当事者の観点からのお話を伺うため、豊中市におきまして、身寄り問題を考える意見交流会を実施されている齋藤参考人に御出席いただいております。
各参考人へのヒアリング項目につきましては、資料3-1の右側に記載のとおりでございます。
なお、持ち時間の終了の3分前、それから1分前に事務局から鐘を鳴らせていただきますので、参考人の皆様におかれましては御承知おきいただけますと幸いでございます。
事務局から以上でございます。
しろまる菊池部会長 それでは、これより本日御出席いただいております参考人の皆様から、それぞれの取組の御説明や、その取組を通じて感じていらっしゃる課題などについて御発表いただきたいと存じます。
なお、時間の兼ね合いがございますので、各団体10分ということで御説明をお願いできれば幸いでございます。
では、まず、奥田参考人、石田参考人、天川参考人、延原参考人からお願いいたします。
しろまる奥田参考人 大阪府枚方市健康福祉総合相談課の奥田です。本日はどうぞよろしくお願いします。
初めに、本市の概要及び取組に至った経緯を簡単に説明させていただきます。本市は大阪と京都のちょうど中間に位置しておりまして、現在の人口は約39万人、高齢化率は29.2%となっております。本市でも、これまで終活に関する支援や権利擁護の取組について実施してきたところではありますが、御自身の死後についての各種手続について、身寄りのない方への支援が求められていた状況にありました。そうした中で、国において実施されてきた持続可能な権利擁護支援モデル事業において、令和6年度から新たに死後事務委任等の取組が追加されたことを受けまして、本市におきましても、令和6年10月より本モデル事業を活用し、意思決定支援を確保しながら、入院・入所時の身元保証を代替する支援や死後事務における支援を併せて提供する取組を実施させていただきました。
それでは、事業の詳細について、枚方市社会福祉協議会より説明させていただきます。
しろまる延原参考人 では、ここからは枚方市社会福祉協議会、私・延原のほうから説明させていただきます。
ひらかた縁ディングサポート事業は、「あなたとの「ご縁」を最期まで大切に 円満なエンディングをサポート」をキャッチコピーにいたしまして、身寄りのない高齢者の方が、住み慣れた地域で最期まで安心して生活ができるように、見守りや安否確認サービスをはじめ、預託金をお預かりした上で、入退院時の支払い代行やお亡くなりになった後の葬儀、納骨、家財処分、行政官庁への届出等を行っております。
具体的なサービス内容といたしましては、まず「もしも」に備え、自身に何かあったときに連絡してほしい方の確認であったり、医療情報、延命や医療的ケアをどうしたいか、リビングウィルといった終活情報を事前に登録していただく終活情報登録サービス。
2つ目に、月1回の電話や半年に1回の定期訪問などで見守りを行う見守り・安否確認サービス。
3つ目に、入院時や退院時の付添いであったり、枚方市社会福祉協議会が緊急連絡先となって対応するほか、必要に応じて医療説明時の同席といったことを行っていく入退院時等支援サービス。
そして、4つ目に、事前に預託金をお預かりした上で、必要に応じて入退院時の支払い代行や、契約者の方がお亡くなりになった後に発生する葬儀であったり、納骨、家財処分といったものに対応していく預託金によるサービス。
この4つで展開しております。
なお、この利用要件といたしましては、事業概要の利用者の要件のところにもありますとおり、この8つを全て満たす方が対象となっております。
相談は、新規相談とか継続相談を合わせ、毎月30件以上いただいておりますが、契約者の方は現在4人となっておりまして、預貯金の合計額が500万円以下のところで対象外になることが多いかなというのが現状です。
そして、利用の流れといたしましては、ちょっと上に戻っていただいて、こちらに表示されているとおりになっておりますが、特に審査通過後、終活情報の内容であったり、納骨先の検討、遺言書の作成といったものをこの事業、対象にやっておりますので、常勤の行政書士の先生と丁寧に御本人の意思を確認しながら対応しております。なので、審査通過後でも、契約まではある程度お時間をいただいているかなという状況です。
そして、この事業の今後の課題といたしましては、先ほど説明したとおり、利用要件、特に預金のライン、500万円以下というところをどうしていくのか。また、死後事務支援を行っておりますので、葬儀家財処分を行った後、親族が現れてクレーム等の法的課題が発生した場合の対応であったり、あと、緊急連絡先にも社会福祉協議会がなっておりますので、夜間・休日を含む24時間365日の対応を職員がどこまでできるのか。また、その際の個人情報の取扱いといったところが課題となっております。
そして、続いて、もう一つヒアリング項目をいただいております。現在検討されている新しい事業に関する意見や実施に際して課題と考えられることにつきまして、新日自事業と言われたりしているかなと思うのですが、枚方市の現行の日常生活自立支援事業の状況を御説明させていただきますと、令和7年7月末時点で利用者が142名、高齢者が28、知的障害が53、精神障害が61、合計142名の方を、専門員が2人、支援員7人で対応させてもらっております。なお、この142名のうち、実質身寄りがいらっしゃらない方は約半数近くいらっしゃって、生活保護を受給されている方も約6割いらっしゃいます。そして、利用したいが、日常生活自立支援事業を待っていただいている待機の方々も、7月末時点で40名以上ありまして、大阪府下では正直多い状況です。
そういった現状も踏まえた上で、今、検討されている新日自事業について御意見させていただくと、まず、この新日自事業、判断能力がある人も低下している人も対象なのか。
あと、年齢制限とか所得制限、親族関係といったところも含めて、どこまで本当に対象者として定めていくのかがすごい大事になってくるだろうなと考えております。
また、民間業者も既にいろいろなところが展開されておりますので、そういった民間業者、民間サービス事業者とのすみ分けもすごい大切になってくるのかなと思っております。
あと、利用者によっては、日常の支援だけでよいとか、死後事務もお願いしたいとか、様々な御希望があるかなと想定されておりますので、そのサービスを選択制にするというところがすごい大事かなと思っています。
また、死後事務支援も含まれることなので、本人の意思決定支援がより重要になるかと思います。そこをどう確保していくのか。本人と社協だけではなくて、第三者の立会いはもちろん必要かなと思いますし、また医学的知見も場合によっては必須にする必要もあるのかなと思います。
そして、4つ目が、死後事務支援を行うには、一定の預託金も必要じゃないかなと考えておりますが、実際、生活保護受給者の方も多く、現行の日常生活自立支援事業を利用されている中で、果たしてそういった預託金をどこまで御準備できるのかであったり、死後支援を行う場合、葬儀、納骨、家財処分だけじゃなくて、残された本人の財産も最終的にどうしたいのか。具体的に誰に相続したいのか、遺贈したいのか、そういった意思確認も必然的に必要になるのかなと思いました。
あと、3つだけ。現状でも枚方市は特に待機者が多くて、人件費やマンパワーも足りていないので、そういった中で日常生活自立支援事業の中身を拡充すると、より多くの利用希望者が増えるのかなと思っています。そういったところで、職員体制とか財源がちょっと気になるなというところであったり、緊急連絡先の指定を社会福祉協議会が受ける場合、24時間365日の対応をどうしていくのか。特に、高齢の方であったり、精神障害をお持ちの方は、結構入退院を繰り返されたり、緊急対応が求められることが多いので、そこが気になるかな。
最後、この新日自事業は、福祉職だけではなくて、法律職の方とか医療とか居住法人とか民間サービス事業者といったところとの協力も必須と考えております。既に展開されております権利擁護支援の地域連携ネットワークなど、そういった既存のネットワークを活用して、こういった地域で連携体制を取れるようにしていくのは大切なのかなと思っております。
以上、まだまだありますが、一旦これで終了させていただきます。ありがとうございました。
しろまる菊池部会長 ありがとうございました。
次に、今井参考人、お願いいたします。
しろまる今井参考人 ありがとうございます。「成年後見制度に限らないおひとりさま支援」ということで、互助会連動型くらしあんしんサポート事業を中心に話をさせていただきます。知多地域権利擁護支援センターで理事長をしております今井と申します。
まず、うちがどういうところで、成年後見と言いながら、何でおひとりさまというところに手を出しているかということで、うちの法人について説明させていただきます。愛知県の知多半島4市5町から行政委託をいただいております。ちょっと資料が多いので、かなりはしょってしゃべらせていただきます。
4ページ目になります。知多地域権利擁護支援センターとは、2003年に、知多半島で知的障害の25歳の若者のお母さんががんで余命半年になりました。それで、2004年に、この地域では民間NPOで法人後見を始めております。それで、2008年にはNPO法人と半田市社会福祉協議会が一緒になって、行政とも話し合いをしまして、知多地域成年後見センターというのができました。そういう地域です。成年後見に関しては、とても早くから動いている地域で、2008年4月から行政委託をいただいて、2022年4月には知多地域権利擁護支援センターと名称変更して、同時に中核機関として活動しております。
財源は、行政委託のお金と、プラスアルファ、報酬で成り立っている法人です。
次、お願いいたします。職員体制ですが、正規職員が10名、非常勤が43名、24時間365日で対応しております。
体制ですが、この図の中で、民間NPOですから理事会とかあるのですけれども、私どもにとって大切なのは運営委員会と言って、行政の4市5町の課長レベルとの会議を年4回ほど行っておりますので、常に行政との連携が取れている団体でございます。
次、お願いいたします。知多地域権利擁護支援センターの主な業務は、成年後見制度の中核機関です。成年後見制度に関するあらゆる相談や後見人支援などを行っております。成年後見だけではなく、今では、虐待や差別、身寄り問題、成年後見人受任候補者の推薦など、多岐にわたっております。あと、一般市民を対象としたまちづくりの研修とか人材育成も行っております。
次、お願いします。フォーラムなども行っておりますし、多分、中核機関としては、研修を日本一、いっぱいやっている団体ではないかと思っております。年間の相談件数が873件です。
あと、法人後見も行っております。この法人後見に関しましては、この地域で後見人が必要なのに誰も受けないなら、ここは全部受けますというような体制になっております。
次、お願いいたします。なぜこういう法人でくらしあんしんサポート事業が生まれてきたかというところです。
次、お願いいたします。私どもの相談の中で、成年後見ではなく、死んだら相続はどうするのかとか、葬儀がどうなるのかとか、私どもには関係ない相談もたくさん来るのです。けれども、私どもの方針として、来た相談を断るな、ちゃんとしたところにつなげましょうというのがうちの法人のポリシーなのですが、そこで2017年から「ろうスクール」と言って、正しい知識をみんなで得ましょう。この「ろう」は、老いる「老」と法律の「ロー」を掛けております。こういうもので、地域の方にいろいろなことを知ってもらおうという研修を始めております。
次、お願いいたします。この地域では、2018年からは日本福祉大学さんがニッセイ財団のプロジェクトで、おひとりさまの研究をなさっている藤森先生が中心になられているのですが、この地域で、知多半島でおひとりさまのことを行政と一緒に研修しよう、研究しようというプロジェクトが起きまして、私どももここに呼ばれております。その理由は、私どもはお仕事の中で、判断能力がなかったら権利擁護センターに頼める。生活保護も行政が絡むのだけれども、普通の人が家で亡くなるという相談を行政から幾つも受けております。そうすると、行政はばたばたして大変なことになる。どうしたらいいのだろうという御相談を受けておりました。
これはとても大きな問題だなということを感じておりまして、知多半島は、実は高度経済成長の時期に、全国からお仕事を求めて人がやってきている地域なのですね。ですから、それが終わった後、会社にいられなくなって寮を出てしまうと、行き先がなくなる方がたくさんいらっしゃるという地域でもあります。
次、お願いいたします。くしくも国の成年後見制度利用促進法ができて、計画ができてというところで、うちの地域でも2019年から成年後見制度利用促進計画をつくろうじゃないかということで、私どもは中核機関の機能をずっと果たしていると思いますが、見える化して、これを行政計画に載せて、行政さんにも考えてもらおうということで計画をつくった中に、見にくいですけれども、ライフエンディング事業の整備というのも入れてしまいました。ここでおひとりさまのことを地域で考えてしまおうということなのですね。これは行政計画ですので、私どもとしてはとても大きなことなのですね。
次のページ、お願いいたします。この計画が走り出す中、ライフエンディング(おひとりさま)事業ということで、藤森先生に来ていただいたり、鹿児島の芝田さんに来ていただいたり、先進地のことを地域の方に知っていただくという機会を設けております。
その次のページ、お願いいたします。行政支援を得るより先に、私どもは民間のニッセイ財団の助成金を勝手に得てモデル事業を始めて、くらしあんしんサポート事業キックオフイベントというのを去年に始めております。参加者216名ということで、結構皆さんの関心が結構高いなということです。
次、お願いいたします。実際のくらしあんしんサポート事業ですが、基本のサービスはお金もちゃんと頂きます。入会金のようなものが3万3000円、月会費が5000円、預託金が20万円ということで、週2回、電話による見守り。これは機械のようなものを使っています。月1回の訪問による見守り。あと、緊急連絡先の受取りや死後のサービス。預託金により火葬を執り行うという事業を始めました。
次、お願いいたします。対象者は、知多半島4市5町に住んでいて、40歳以上で、明確な契約能力があること。生活保護を受給していないこと。あと、ライフエンディング喜楽会、互助会に加入することが決まりになっております。詳細はいろいろ書いてあります。
次、お願いします。くらしあんしんサポート事業の現状ですが、2025年7月30日現在で、ただいま10人の方が契約されております。こどもはいない、甥から金銭搾取を受けていて、親族は頼れない。こどもは離婚した妻についていった。疎遠である。こどもが病気であり、親の面倒を見ることはできない。家族や親族がいても頼りたくない、頼れない。疎遠で連絡が取れない。このような方が使われております。
次、お願いいたします。くらしあんしんサポート事業を実施するに当たり工夫することは、こういうことかなと思っています。
一時金の預託金が支払えない人がいて、契約ができないかもしれないので、保険契約を活用するとか工夫が必要であろう。
あと、個別に動いてもらうにはお金が必要となるが、生活保護にならないぎりぎりの人は、個別に動くときに必要なお金が支払えない可能性があるので、互助会のようなお互いさまのボランティア組織を構築する準備も必要である。
あと、対象者本人の相談に乗り、寄り添う人材が必要であるが、この人材に関しては、特別の専門性が必要なわけではない。例えば、成年後見の地域連携ネットワークには専門家がそろっているので、そこの専門家につなぐことができるコーディネーターのような役割の人材が必要である。
4新しい取組を地域で展開するには、今ある既存のネットワークをどのように活用するかを工夫することが大切であると感じております。
次、お願いいたします。私ども、結構、これを大事にしているのですが、ライフエンディング喜楽会は互助会なのですけれども、おしるこ会とか、身寄り問題を語ろうと前面に出して、こういう集まりを求めたのですね。そうしたら、そこそこ人が集まって、みんなでおしるこを食べながら身寄り問題を語るなどを行っております。互助会設立準備、2024年4月にはライフエンディング喜楽会という名称も決まりました。助成金をもらいながら、毎月、私ども広域ですので、いろいろなところを回りながら喜楽会を周知しております。
この互助会の入会条件は、ろうスクールの受講者・受講予定者、くらしあんしんサポートの事業を利用している方という条件があります。
抱える課題は、会員の親睦と融和を図るためにどのような活動をしていくか。助け合い、見守り合うにはどうしていくのか。あと、広域であるので、ここをどういうふうに補完していくかということが問題になっております。
喜楽会の運営目標は、会員同士の困り事の解決を自分たちでできることが目標になっております。普通の人たちの集まりなので、とても大変なのですが、この普通の人たちが今後おひとりさまになっていくということが問題であるので、これは地道に取り組んでいく課題かなと思っております。
以上です。
しろまる菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、齋藤参考人、お願いいたします。
しろまる齋藤参考人 豊中市の齋藤杏子です。よろしくお願いいたします。
私は、豊中市の社会福祉協議会で身寄り問題を考える会議のほうに出席させていただき、担当しておりますので、身寄り問題を考える意見交流会のことについてお話ししたいと思います。
豊中市は、社会福祉協議会を中心に、障害者であったり、老人介護者の家族とか一人暮らしの老人の会とか、いろいろな組織の方が皆さん集まりまして、今後のこういう問題について考え、話し合いをいたしました。私は市民後見人を務めさせていただいて、今はもう終了しましたけれども、後見人を経験したことを踏まえて、身寄りのない高齢者のことをずっと心にかけておりますので、その視点からのお話しをさせていただきます。
市民後見人をさせていただいたのですけれども、後見人のお仕事、今までずっと長いこと高齢者に関わってきておりましたので、皆様のお力を借りて何とかすることができたのですけれども、お亡くなりになった後の死後事務が非常に大変だということを経験上、知りまして、生きている間も大変だけれども、自分が亡くなった後、自分でどうすることもできないことがこんなにも大変なのかなということを実感しました。
それで、身寄りのない方、あるいは家族がいても家族と疎遠になっていたり、自分のことが自分でできなくなったりという不安というものはとても大きいものがありまして、これから自分が年を取っていって何も分からなくなるような、いわゆる認知症になったら、私の今後はどうなるのだろう、亡くなった後はどうなるのだろう、そういうことを不安に思っている高齢者の方はとてもたくさんいらっしゃいます。
それで、豊中の社協さんも、安心サポーターであったり、いろいろな組織を組んでおりまして、いろいろなサポートをしてくださっているので、そういう人材がたくさんあり、現在、何とか生活できていらっしゃる方は何とかやっていけていますけれども、これが認知症が進んでしまったら、後は後見人さんをつけて、後見人さんにやってもらうみたいな感じだったらちょっとつらいところがあるし、後見人もスポット後見などのように少しずつは変わってきていますけれども、今まで私が後見人をやっていたときだと、一度後見人さんをつけたら、その後見人さんは変わることができないとか、一度つけたら、亡くなるまでその後見人さんに面倒を見ていただかなければいけないとか、そういうことが後見人をつけるということの抵抗に結構なっていたように思います。
そうすると、自分のこれからの老後、もし一人になったときの不安はどうしたらいいか。中には、民間のサービス、死後の問題を請け負ってくださる事業とかもありますけれども、ちょっと失敗した事業とかがありましたので、民間の業者に委託するのはちょっと不安に思ったり、敷居が高いように感じていらっしゃる方が非常に多いように思っております。そうなると、社協さんのような組織が主になって、こういうことをやっていただけたら、私たち市民はうれしいなと思う反面、今、権利擁護さんのほうで日常生活支援事業とか、いろいろなことで手いっぱいなのに、これ以上、こういうことに参画していくには、人材と費用がとても重要になってくるのではないかなというふうに思います。
その人材確保という面では、結局はその人たちのお給料とか費用を、どこが、どれだけの負担をするかということが非常に大きな問題になってくると思うので、こういう審議会でいろいろなことが決まっていくことは、とても心強く思っている反面、豊中社協なんかはとても活発に動いているし、社協さんの中のボランティアの一員として、私もかなりボランティアの方面では活動させていただいていますけれども、社協にお任せすればいい、できないところはボランティアにしてもらえばいいというような考えに流れないで、しっかりとした経済的な基盤とか人材の基盤をつくって、より長く、いいものにするにはどういうふうに動いていくことがいいのかなと私自身は感じていますし、考えています。
協力することは全然いやではないのですけれども、何もかも社協がやればいいみたいな雰囲気は、これは持続していいものにしていくには、そういった踏み込みたくないような面もしっかりと検討して、これから続けて発展していいものにしていくためには、考えていく大事な視点かなと考えております。
特に死後の問題は、自分がどんなふうに生きてきても、自分が亡くなった後、どうすることもできなく、本当に人さまにお世話にならなければいけないことなのです。でも、身寄りがなくて、いろいろな事情で、仮にあったとしても頼れない人。それから、本当に身寄りのない人。それから、もし制度ができたときに、制度をうまく簡単に利用して、面倒くさいところだけはそちらにお任せしようみたいな方が出てこないとも限らないので、その辺の精査、しっかりとよりよい仕組みづくりをして、安心して年を重ねて、安心して認知症になっても助けてもらえるのだなという社会になったらうれしいなというふうに、こういう検討会などでいろいろな御意見を聞いたりしておりますと、一個人としては、本当にそこのところが強い願いです。
以上です。ありがとうございました。
しろまる菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ここで30分ちょっと、質疑応答の時間を取らせていただければと思います。参考人の皆様への御質問がございましたら、委員の皆様からお願いいたします。なお、御質問の際には、冒頭でどなたに向けた御質問なのかについてもおっしゃっていただきますようお願いいたします。限られた時間の中で多くの皆様に御発言いただきたいと思いますので、御質問はできるだけ簡潔に、そしてできれば項目を絞ってお願いできれば幸いでございます。
それでは、まず会場からいかがでしょうか。では、私の右サイドの皆様からお手をお挙げいただきたいのですが、谷村委員、鳥田委員、宮本委員、吉田委員ですね。それから、すみません、逆サイドでお願いしたいのですが、及川委員、鏑木委員。あとはよろしいですか。6名様からお手が挙がっております。
あいうえお順じゃなくていいですね。谷村委員からお願いしてよろしいですか。
しろまる谷村委員 全国経営協の谷村です。ありがとうございます。
国がどう考えているかという質問にさせていただきたいと思うのですが。
しろまる菊池部会長 ちょっと待ってください。参考人の方ではないのですね。
しろまる谷村委員 参考人の方ではなくて、今のを受けた形で、現時点で。
しろまる菊池部会長 仕組みとか、そういうことに関わってくるので、まずは参考人の方を優先させてください。
しろまる谷村委員 後ほどにさせていただきます。
しろまる菊池部会長 それでは、鳥田委員、お願いします。
しろまる鳥田委員 いろいろ御説明ありがとうございました。皆さん、非常に丁寧な説明で、いろいろ勉強になりました。
身寄りのない高齢者への対応についてですけれども、私、社協に勤めているのですが、今、出ているのは日常生活自立支援事業に、入院とか入所の手続とか死後の支援を加えるというようなことで、それを拡充・発展させた新しい事業の方向性というのが中間まとめや何かで示されていると思います。それを福祉サービス利用援護事業である当該事業で実施することに対しては、私のほうでは、支援の対象とか範囲とか専門性が大きく異なっているのではないかなということで、都道府県の社協とか実際の日常生活自立支援事業をやっている市区町村の社協さんから幾つか不安の声なんかをいただいているので、そういったことの中から質問というか、私どもの考え方に関してどうかなということを、特に枚方の方にお伺いしたいなと思っているところです。
身寄りのない高齢者への対応は、社会福祉協議会としても取り組むべき非常に大きな課題だということは認識していまして、先ほど齋藤参考人がおっしゃられたように、高齢者の方々に最も役に立つ制度になっていくということが必要ではないかなと思っているのですが、私どもは5つのことが課題なのかなと思っているところ、あるいは5つのことをやるべきではないかなと思っているところを、枚方の方々に伺いたいと思うのです。
まず、身寄りのない高齢者等への対応は、先ほどもちらりとおっしゃっていたことの再確認みたいなことなのですけれども、福祉の領域を超えた多くの医療とか、そういった主体の方たちも取り組むべき案件なのではないかなと思っています。また、その対応は、枚方市さんはモデル事業なので、市町村の委託という形で行われたのですけれども、市区町村を中心とした主体で行い、都道府県及び市区町村は、社協がやる場合でも実情に応じた支援体制を構築するべきではないかなということ。
さらに、現行の日常生活自立支援事業とは、支援の内容とか領域が異なるとともに、先ほど枚方市さんもおっしゃったように、専門的な知識などが求められるので、日常生活自立支援事業とは別の仕組みのほうがいいのではないかなということ。
あと、高齢者等が適切な支援を受けられるように、民間事業者がやる場合、高齢者等の終身サポート事業を行う方々が、都道府県や市区町村のチェックを受けて、今の権利擁護のところとも同じなのですけれども、民間の方がやられることに対して、高齢者の方々への支援の適切性というのですか、そういうのを誰かがチェックする仕組みが必要なのではないかなということ。
それと、これはちょっと現行の話に寄ってしまうのですけれども、現行の日常生活自立支援事業は、都道府県から市区町村の社協さんへ委託しているのですけれども、先ほど齋藤参考人もおっしゃっていましたし、枚方市の方もおっしゃったと思うのですけれども、人手不足とか、そういう中で非常に厳しい状況もある。仕事がなかなか進まないというところも見られていますので、こういった日常生活自立支援事業を新しくするときの検討に当たっては、都道府県とか区市町村といった自治体の関わりも含めて、社協へのヒアリングとか、あるいは今日を含めた実態ヒアリングとか意見聴取をもっとやられたほうがいいのではないか。最後のことは若干意見なのですけれども、このことに関して、枚方の、特に市の方、どう思われているか教えていただけますでしょうか。
しろまる菊池部会長 それでは、枚方市さん、お願いできますでしょうか。
しろまる延原参考人 すみません、5つお聞きしていて、全部把握できていないかもしれませんが。
福祉職以外の協力は必須じゃないかなというところに関しては、今まさにモデル事業でやらせてもらっていて、枚方社協は、ありがたいことに行政書士の先生が常勤で常にいていただけますので、特に死後事務に関することに関しては、そういった法律職の先生の御意見とかアドバイスとか。特に縁ディングサポート事業に関しては、遺言書の作成を必須にしておりますので、そういったところの内容にどうこうは言えないのですけれども、遺言書として成立するかどうかとか、作成に関してのポイントとか注意点といったところはすごく御意見いただいています。
また、そういった手続をしていく中で、不動産業者とか葬儀会社、もちろん医療関係者といったところとの連携とか情報共有というのもすごい大事だなと感じておりますし、お一人暮らしされている方で、僕たち、見守り安否確認サービス、電話を月1回しますとか、半年に1回訪問しますとか、していますけれども、正直、それでは全然足りないとも思っているので、そういったところで、例えば民生委員さんとか、ケアマネジャーさんがついていたらケアマネジャーとか、そういったところとの連携とか情報共有も大事なのだろうなと。そういったネットワークは、この新しい事業をする上では必要なのだろうなとは思っています。
ごめんなさい、全て聞き取れなかったのであれなのですけれども、日自とは別のほうがいいのではないかという御意見に関しては、今、難しいですね。
あと、民間サービス事業者への不安の声があるというのは、実際、僕たちも相談を聞かせてもらって、対象外になる方とかもいらっしゃる中で、民間でもどこの業者がいいですというのを僕たちは言えないので、様々ありますよというお話しをしていく中でも、倒産とか新聞沙汰になるような報道が過去にあったといったところで、二の足を踏まれてしまう方もいらっしゃるとは聞いています。
ですので、例えば、静岡県さんがされていたような、行政がある程度チェックした上で、ここは優良の民間業者ですよといった指定とかがあるような業者であれば、少しは安心されたりもするのかなとかを考えたりしたことはありました。
すみません、全ては回答できていないかもしれませんですが、一旦は以上になります。
しろまる菊池部会長 端的にお願いできれば。
しろまる鳥田委員 1つ、どうしても教えていただきたいところなのですけれども、今の新しいスキームは、枚方市さんはモデル事業として、枚方市から枚方市の社協さんに委託事業ということで、ある意味行政が主体を持ちつつ、社協が事業実施部隊みたいな形になって、これはとてもすばらしい形の一つなのだなと思っているのですけれども、今の日常生活自立支援事業は、都道府県社協に来て、それからということになっているので、先ほど言ったように、いろいろな主体が関わるのであれば、ぜひモデル事業に当たるような形がいいのではないかなと思っているのですけれども、やっておられる枚方市さんとしての感想というか、意見というのを教えていただけたらなと思っています。
しろまる菊池部会長 いかがでしょうか。
しろまる延原参考人 今、御質問いただいているのは、日自であれば都道府県社協が実施主体ですが、モデル事業みたいに、枚方市みたいに、行政との連携が取れるような関係性のほうがいいのかなという御質問でよかったですか。
しろまる鳥田委員 そうです。行政のほうが幅広く、いろいろ関係者がいっぱいいますので、そういうほうがいいのではないかなということですけれども、御感想などあれば教えていただきたいと思います。
しろまる延原参考人 ありがとうございます。
まさにおっしゃるみたいに、特に死後事務の辺りは、行政にいろいろな手続とかもさせてもらう中で、委託元である枚方市さんと密に連携を取っておれば、行政内でも様々なところで調整とか連携もいただいたりしておりますので、そういったところはすごい助かるなというのは感じているところです。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、宮本委員、お願いします。
しろまる宮本委員 ヒアリングに御協力いただき、また中身の大変濃いお話を伺えて、ありがとうございました。
座長のほうから、まず質問を明確にということでしたので、お三方、それぞれ伺いたいところはあるのですけれども、絞り込みたいと思います。この分野でいろいろ議論が広がっています。先週の月曜日の朝日新聞でしたか、1面で身寄りのない高齢者に安心をということで、ある意味で非常に国民に期待を持っていただけるような報道がされているわけです。そのようななか、お三方ともベストプラクティクスと言っていいと思うのですけれども、印象的だったのは、こういう取組を先駆的に進めつつ、国民の期待が高まっている中で、不安といいますか、このままどうなってしまうのかという御懸念も強くあったのではないか、という点です。
枚方市さんが最後のほうで、もっとあるのですけれども、ここでやめておきますというお話だったので、不安について、御懸念についてお話しをされていて、特に民間の事業者団体との境界線とか、枚方市の今の取組は預金500万円以下でしたか、資産の制限をしているわけですけれども、逆に預託金がなくなってしまったら、預託金を請求できないような状況だと新事業では厳しいかもしれないとか、境界線の引き方等を含めて、いろいろ不安・御懸念があったと思うのですけれども、最後まで、あまり忖度せずにお話しいただければなというふうに思います。
と申しますのも、私自身を含めて、これは非常に大事な事業である。進めていかなければいけないと思いつつ、この問題に限らず、厚労省が汗を流しながらいろいろな新しい事業を始めていく現場を拝見してきた経験からすると、今度のこの事業というのは制約が大きいというか、まず国連の権利委員会からいろいろ対日勧告があって、それに対して、やや受け身の対応として進んでいる。
また、医療・居住あるいは就労等に関わって、何から何まで身元保証が求められる状況の中で、そうした制度がどうなっていくのか、そうした制度をどう変えていくのかという見通しがないまま、既存の身元保証の仕組みを前提に進められているとか、あるいは事業者団体との境界線、事業者団体のマーケットになるべく踏み込まないような形で議論が進んでいる。これは難しいのかというと、決してそうではなくて、例えば愛知県の岡崎市などでは、終活支援事業という形で、地元の事業者団体と協定を結んで、利用者に対してきちんとサービス内容を明らかにする、その契約の中身についても精査をするような形で自治体がフィールドをつくっているわけですね。
ただ、現行の議論の中では、その事業者団体との関係をどうしていくかというところもなかなか見えてこないし、何よりも現在の日自が抱えている様々な困難について、まず掘り下げることが十分でないまま進んでいるという、議論の枠組みがかなり手狭になっていて、福祉部門の人たちは役所も現場も含めて真面目ですから、ともかく既存の枠組みの中で何とかできることをしようとする。それは大事なのですけれども、既存の枠組みの中でつくっていってしまうと、かなりの負荷をいろいろな方面に課してしまうことになりはしないかという心配も個人的にはありました。
そういう流れの中で、ちょっと解説が長くなってしまいましたけれども、枚方市さんのほうから、先ほど途中で抑えられた不安というのを、ぜひ最後までお話しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
しろまる菊池部会長 枚方市さん、忖度せずということですが、全部おっしゃっていただくと時間にも限りがありますので、先ほど言い残された部分で、ここはちょっと言っておきたいなという部分をぜひお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
しろまる延原参考人 すみません、変な言い方をしてしまって。
実際やっていて、いろいろ不安に思っているところが、今、成年後見制度自体の見直しも進んでおりまして、無期から有期になるという話も恐らく出ているかなと思うのですけれども、スポットで利用された方が、もう必要なくなったからやめましょうとなっても、金銭管理とか福祉サービスの援助とか支援が必要になるというのが、多分ほとんどじゃないかなと思っているのです。そうなると、次の支援先となると、この日常生活自立支援事業。特に、新日自になると死後事務までカバーしてくれるのだったら、成年後見制度はそこまで原則的にはできないけれども、そっちにお願いすれば最後までやってくれるし、お願いしようかなというパターンで、課題の中で御説明したことともつながるのですけれども、利用希望者がすごい増えるのではないかと思っています。
対象者の方を判断能力のあるなし関係なしにいくのかとか、生活保護の方も対象にするのかしないのかとか、年齢制限とか様々ある中で、ここの対象者の部分であったり、成年後見制度から帰ってくる方々とかも一定想定しながら、ちょっと検討していただかないと、そういったところで、利用希望者は多いのに、実働、契約というか、お手伝いがなかなか難しい状況になってしまうのではないかなというのが1つあるのと。
死後事務が関わってくる中で、葬儀、納骨、家財処分、多分、新日自でも項目としてあるかなと思うのですけれども、処分する、葬儀、納骨するというのは、やり直しが利かないことにもなっております。特に、家財なんかも、契約しているから処分しますねというのも結構リスクがあって、その方の家財は相続財産になるので、勝手に処分したら何してくれるというので後々クレームにならないように、僕たち、縁ディングサポート事業でも、親族がいらっしゃるのであれば事前に御説明とか御協力、こういう事業をこの方が御利用されるのです。こういったところだけは御理解いただきたいとか、そういったところをできる限り潰して対応しています。
ですので、特に日常生活自立支援事業のほうでもそういったことをしていくとなると、そういった身寄りのない方とか、親族がいらっしゃっても疎遠な方、協力が難しい方に対して、死後事務のその辺のリスクをどう解消していけばいいのかなというのが課題です。
あとは、今、社会福祉協議会が先頭を切って日常生活自立支援事業を各市町村でやられていますけれども、この見直し、拡充することによって、ほかの社会福祉法人さんがもし新日自を担っていただけるような環境になるのであれば、いずれは社会福祉協議会がどちらかというと先頭を切るというよりかは、監督というか、アドバイス的なところに回れたらうれしいのかなとか、いろいろそういったことを思っておりました。
すみません、以上です。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。大変貴重な御意見を伺えたと思います。
それでは、吉田委員、お願いいたします。
しろまる吉田委員 吉田でございます。
先にコメント、それから御質問を1点させていただきます。御質問は、枚方市さんの取組にお尋ねしたいと思います。
いずれの3つの取組も、将来不安を除いて自分らしく生きていこうというような住民の方々を伴走的に支援されているものというふうに認識させていただきました。特に、社会福祉の新しいニーズは、いわゆる狭義の福祉の対象ではないけれども、それでも懸命に生きておられる方々であり、その方をどう受け止めていくのか。そこに踏み込んでおられる、本当に新しい取組と受け止めておりました。きっと手探りのことでしょうから、本当に御苦労もあったと思います。大変心打たれるように聞いておりました。あったらいいなという思いが形になっているのだなと思え、改めて敬意を表します。
その上で枚方市さんに質問したいところがございます。資料3-1の1枚目の裏側にございます事業の実績というところでございまして、相談者の延べ件数があります。審査の通過が7名ということですから、令和7年度を母数にしますと4%から5%です。実人数にすればもうちょっと上がるわけです。その残りの90%ぐらいの方は審査で外れたのか、落ちたのか、ここはよく分かりませんけれども、お聞きしてみたいのは、今後、利用される方を拡大していこうとなると、このパーセンテージがきっと上がっていくのだろうと思うのです。
今回は審査で外れた、通過しなかったけれども、こういうようなニーズがあるのだな、こういったような人たちまで審査の枠を緩和して拡大すると、よりいいのではないかと思われたのは、どういうような人たちだったのだろうか、という疑問・関心を持ちました。経験的なところでも結構ですし、記憶に残っているところでも結構でございます。今回審査から外れた、通過しなかったという方々はどういった方々だったか、御紹介いただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。
しろまる菊池部会長 いかがでしょうか。
しろまる延原参考人 御質問ありがとうございます。
このひらかた縁ディングサポート事業、令和6年10月からスタートしておりまして、実は令和7年4月に一度要件の改定をしたのです。変わったところが、資料の上のページに行っていただいて要件があるかなと思うのですけれども、上から4つ目、市民税非課税、もしくは税等を引いた月収額が16万円以下の方が、スタート当時は市民税非課税世帯の方のみを対象にしていました。
もう一つが、下から3つ目、不動産を所有していない方(ただし、現在居住している自分名義の不動産を除く)というところは、持ち家も不可。賃貸住宅のみを対象にして令和6年10月からスタートしたのです。
この2つを変えた理由としては、よくあったエピソードが、女性の方は遺族年金とか自分の年金で非課税世帯にはなっているけれども、月収13万円とか14万円あります。ただ、男性陣が、自分の年金14万円ぐらい、ほぼ同じぐらいなのに課税になるから対象外とか、そういったケースが何件か発生して、これは不公平だなというところで、課税のラインを市民税非課税、もしくは税等を引いた月収額16万円以下というところに修正しましたというのと。あと、御相談の中で、この65歳以上の方々は持ち家の方が多くて、そこで持ち家まで対象外にしているというのは厳しいところがあるのかなというところで、この2点を改正して、令和7年4月から改めてスタートしたところです。
ただ、おっしゃるみたいに、御相談は多いですが、改正したところで、預貯金のライン、500万円を超える方からの御相談、1000万円とか2000万円とかからの御相談も実際多くて、現状はうちの要件を改定したとはいえ、対象にはならず、ほかの一般相談というのですか、死後事務を準備するならこういったことが大事ですよとか、エンディングノートとかを準備してくださいよとか、そういった相談対応に徹するというケースが今は多いという状況です。
このことは枚方市さんとも随時共有して、どうしていこうかという話はしているのですけれども、新たな国のほうでの動きとかもある中で、ここの要件をまた見直そうかというところまでは現状は至っていないです。
以上です。
しろまる吉田委員 ありがとうございました。
しろまる菊池部会長 それでは、及川委員、お願いします。
しろまる及川委員 ありがとうございます。日本介護福祉士会の及川でございます。
私のほうからは、大阪の枚方市の方と知多地域権利擁護支援センターの方に対しての御質問でございます。
まず、枚方市のほうですが、資料の2ページに基本指標ということで日常生活支援ということが置かれております。この説明の中に待機待ちが多いという言葉があったと記憶しているのですけれども、ヘルパーさんたちが多分派遣されている事業だと思われるのですが、この待機が多いということについて、もしかしたら今、訪問介護事業というのが不足しているような状況が続いておりますので、そういうことが待機の理由になっているのかどうか、そこのところのお話をいただきたいと思います。
それから、知多地域権利擁護支援センターのほうですけれども、本当に先進的で積極的な事業であるなというふうに聞かせていただきました。この資料の5ページにあります、地域には様々な専門職の方々がいらっしゃると思うのですけれども、それも地域の財産であるかと考えられますが、4市5町が1年に1回以上、お話し合いもされていて、意見交換ができているというお話があったと思うのですけれども、私、介護福祉士という専門職ですけれども、専門職との意見交換があるのかないのかということと。
あとは、17ページにあります、くらしあんしんサポート事業を実施するにあたり工夫することの3つ目の最後に、コーディネーターのような役割の人材が必要であると書かれています。一般の市民というところだと思うのですけれども、ここに、私はほかのところでも意見申し上げておりますが、退職した介護福祉士等、専門職がいると思うのですが、その方々に担ってもらうということは考えられないでしょうか。以上について御質問させていただきます。
以上でございます。
しろまる菊池部会長 まず、枚方市さんからお願いします。
しろまる延原参考人 御質問ありがとうございます。
ごめんなさい、私の説明が分かりづらかったかもしれませんが、ひらかた縁ディングサポート事業においては、待機とかは特に今のところはなくて、2ページ目に書いてある身元保証代替とか日常生活支援・死後事務支援対応者の体制というところのお話しをされていたのかなと思うのですが、あくまでこれはひらかた縁ディングサポート事業の体制です。
御質問があったのは待機のお話だったのかなと思うのですが、それは現行の社会福祉協議会がしている日常生活自立支援事業の話になっておりまして、そちらのほうが専門員が2人、支援員という、福祉サービスの手続のお手伝いとかお金の管理のお手伝いとかをさせてもらっている職員になるのですけれども、7人、合計9人で142名の対応をしている状況ですが、順番待ちが40人以上いらっしゃいますというお話を途中でさせてもらいました。
待機が発生している理由というのは様々あるのですけれども、今、私が一番感じているのが、地域の中で、特に枚方市は大きな精神病棟もたくさんある中で、地域移行という形で、地域で生活していく体制を整えましょうねという、国のほうからもそういった動きがあるかなと思うのですけれども、その中で、お金の管理とか手続に不安を持っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃる中で、そういった相談が増えている状況です。
あとは、社会福祉協議会が全てではないと思うのですけれども、様々な事業を展開している中で、職員が兼務で対応している状況が多いのかなと思うのです。そうなると、日常生活自立支援事業にのみ力を注いでというのがなかなか難しくて、そういったところで職員の負荷とかも、ちょっと言い訳がましく聞こえるかもしれませんけれども、あるのかなというのが、実際、私もこの縁ディングサポート事業と日常生活自立支援事業の専門員もやっておりますので、現場としては感じているところです。
以上です。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、今井様、お願いいたします。
しろまる今井参考人 知多地域権利擁護支援センターの今井です。
行政だけの連携じゃなく、専門職との意見交換はどうかということですが、実はここには書いてございませんが、私ども、今、600件を超える法人後見をやっておりますので、個別支援会議というところで日常的に専門家というか、本人を囲んでいろいろな関係者の方が常に連携を取っているので、特別連携を取らなくても日々連携を取っているというのが現状なのと。あと、地域の自立支援協議会とか、そういうものに関しても全部出席しておりますので、そういうところでもすごいつながりがあるのかなと思っております。
次、コーディネーターのようなところに、リタイアされた介護福祉士さんとか、どうですかというお話ですが、うちは非常勤が43名と書いている中に常勤パートのような方もいらっしゃったり、それこそ、リタイアされて次にという方も含んでいて、上は75か80近い方も非常勤で働いてくださっているので、もちろんそういう方もやっていただけるならありありという感じで、人材については考えております。
以上です。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、鏑木委員、お願いします。
しろまる鏑木委員 ありがとうございます。
参考人の皆様、大変貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。皆様のお話を聞いての感想と、枚方市さんに1点質問をさせていただきたいと思います。
まず、皆様のお話を伺った感想ですが、身寄りのない高齢者等への対応となりますと、対象者像は非常に広く、必要な専門性も多岐にわたる中で、新たな事業の中で全てを担保していくのは非常に難しいだろうと感じた次第です。
他方で、包括的支援体制の取組とは非常に親和性が高いのではないかと感じました。いわゆる身寄りがない方でも、比較的元気なうちは、参加支援であるとか、今井参考人がおっしゃった学びや知る機会づくりなどが中心になりますし、ちょっとした困り事が生じた場合には、住民に身近な圏域の互助的な関わりの中で受け止める部分も多いと感じました。
また、病気とか介護といった何らかの生活上の変化が生じたときには、福祉をはじめ、皆様からも御指摘のある司法とか医療といったような専門機関と連携していくわけです。その時には、今井参考人や及川委員がおっしゃったようなコーディネート機能が必要であり、これは包括的支援体制の基本的な考え方と共通する部分が多いと感じた次第です。
したがいまして、自治体はもちろんのこと、市域をまたぐ広域的な対応のために、都道府県もしっかりと関わりながら、民間とも一体となって、既存のネットワークという言葉も参考人の皆様から非常に出ておりましたが、そういった地域資源と共に、齋藤参考人がおっしゃっていた、新たな事業単独ではない推進方法を体制として検討する必要があると強く感じました。
その上で枚方市さんに伺いたいのは、包括的支援体制の整備は社会福祉法上で自治体に努力義務が課せられています。また、モデル事業は自治体が実施主体となって進めている中で、日自のスキームで新たな事業を進める場合、自治体の役割をどのように位置づけていくといいのか。あるいは、ここでは御回答が難しいかもしれないですけれども、医療との連携を考えると医療圏となるため、都道府県の役割も求められてくると思うのですけれども、新たな事業における自治体の役割をどのように考えるかという点、モデル事業の中から見えてきたことも含めて、ぜひ教えていただければと思います。
以上です。
しろまる菊池部会長 いかがでしょうか。
しろまる延原参考人 枚方市さん、隣におるので、なかなか本音で話しづらいところもあるのですが、現行の日自で言うと、枚方で言うと大阪府社会福祉協議会が実施主体として相談とかはさせてもらっていますし、枚方市さんはどちらかというと大阪府社協から頂いたお金で足らずを、枚方市さんが補てんいただいているみたいなお金の関係といいますか、それ以上はないのが現状です。
ただ、先ほどもお伝えしたとおり、エンディング、死後事務支援等も関わってくると、行政の協力であったり、連携というのは必須になるので、そういったところで、お金の関係だけじゃなくて、事業運営、もちろん監督という立ち位置としても、枚方市さん、協力はいただいていますけれども、そういった部分であったり、スムーズな手続、死後事務の手続も含めて協力ができれば理想的なのかなと思っています。
しろまる菊池部会長 すみません、突然Zoomから落ちてしまわれたので、待っている間に、オンライン参加の皆様で御質問の委員の方、いらっしゃいますか。おられたら合図していただきたいです。特におられないですか。分かりました。それでは、少しお待ちください。
この間、さきほど谷村委員から、委員というよりは、事務局に対する質問ということでしたので。
しろまる谷村委員 ありがとうございます。
今もこの中で何回か出ていた話なのですが、枚方市の社会福祉協議会の方もおっしゃいましたけれども、いわゆる社会福祉協議会でない社会福祉法人、ケアワークを中心としている社会福祉法人が、24条2項「地域における公益的な取組」に位置づけてやっていくべき役割だということをずっと考えておりました。宮本先生がおっしゃったようにいろいろな制約がある中でありますけれども、これを推進していくということで、コロナのときもそうでありましたけれども、生活福祉資金の窓口で生活困窮者等の社協さんが抱え切れない部分をトリアージしていただいて、我々が受け皿となってということを全国的にも呼びかけてやっていたわけであります。
同じように、この部分については、ケアワークを中心にやっている我々、一番住民に近いですから、そういうことをやっていくべきではないかということを、今の時点で国のほうではどうお考えか聞きたいということでの冒頭の質問でありました。
以上です。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。
では、ここで事務局から答えられる範囲でお願いできますか。
しろまる占部成年後見制度利用促進室長 御指摘ありがとうございます。
現在、この新たな第二種事業ということでお示ししている内容として、先ほどの説明の中にもありました中間とりまとめの中でどのように記載しているかと申しますと、身寄りのない方が抱える生活上の課題に対する支援策の在り方として、民間事業者によるサービスに頼れない場合があることを踏まえてとあって、日常生活自立支援事業を拡充・発展させて、日常生活支援と手続支援、死後事務支援などを提供することができる新たな事業として、第二種社会福祉事業として法に位置づけてはどうかということでございます。
第二種社会福祉事業として法に位置づけた場合は、これは実施主体について制限はございませんので、多様な主体が参入するということも当然想定されるということでございますけれども、本日のヒアリングの中でいただいた御意見ですとか、あるいはこの中間まとめの内容も踏まえまして、より具体的な内容については、今後整理して本部会にお示しさせていただければと考えてございます。
しろまる谷村委員 ありがとうございます。
我々も実践に向けて啓発してまいりますので、戦略的に考えていきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
しろまる菊池部会長 ここで枚方市さん、枚方市社協さんが、また復旧されました。ほかの質疑をやっておりましたので、すみませんが、先ほどの続きからお願いしてよろしいでしょうか。
しろまる奥田参考人 このモデル事業につきましては、一定、要件を設定して、その中で利用者から決定していくというものになっていまして、予算規模もある中での実施というものにはなっています。日自をその中に含めてということになってきますと、先ほど枚方市社会福祉協議会から説明がありましたとおり、待機者の問題というのがうちの課題でもありますので、その辺に大きな影響が出てくる可能性があるのかなということは、ちょっと心配しているところであります。
一旦切れてしまって、すみませんでした。
しろまる菊池部会長 どうもありがとうございます。
それでは、かなり時間も押してまいりましたので、この辺で一旦締めさせていただきます。単身で生活を送る高齢者の方の支援について、利用者・支援者双方の立場から、現場が抱えるニーズ・課題について、枚方市さん、枚方市社協さん、そして知多地域権利擁護支援センターさん、豊中市社協さんの皆様からお話を伺うことができました。
枚方市さんに質問がちょっと集中した感がありましたけれども、私、1点だけ感じたことを述べさせていただくと、齋藤さんから、何でも社協にお願いすればよいとなってしまわれては困るというお話があって、そうだなと思いました。社協でなくて行政でも同じでしょうけれども、私、法学者ですが、ひと昔前だと非常に緊張感のある仕組みであるように思います。要するに、市民の私的領域に対する公権力の介入という、言葉を換えるとそういう面があることをやろうとしているわけで、その中で問われるのは、本人個人の主体性とか自立とか、そういうものを中心に据えていかないといけないのだなと、齋藤さんのお話から感じました。そういう本人中心であるからこそ、今井さんのお話にあった互助会といった活動を重視していくといった取組も必要になってくるのかなというふうに学ばせていただきました。本当にお忙しい中、本日、貴重なお話をお聞かせくださいまして、どうもありがとうございました。
事務局におかれましては、本日のヒアリングを踏まえ、現場の実態に即した新たな制度の創出につながっていくように、次回以降のここでの検討の参考にしていただきたいと思います。本当にどうもありがとうございました。最後、拍手で終わりたいと思います。(拍手)
それでは、引き続きまして、少し時間が限られてきましたけれども、最初に事務局から御報告いただきました中間とりまとめ、とりまとめの2つにつきまして、御質問などのある方は御発言をお願いできればと思います。まず、会場のほうからいかがでしょうか。お手をお挙げいただければと思います。鳥田委員、樋口委員です。宮本委員、座長として一言お願いしたいと思います。それから、逆サイドでいかがですか。特によろしいですか。それから、オンラインの皆様、いかがでしょうか。
では、まずお手を挙げいただいた方からお願いいたします。鳥田委員からお願いします。
しろまる鳥田委員 では、手短にお願いします。
私のほうからは、包括的支援体制整備のことについて意見を言わせていただきます。包括的支援体制整備というのは、地域の住民とか社会福祉の関係者、専門機関とか行政など、幅広い人たちの連携というのが必要だと思っておりまして、そのためには多くの市区町村が、地域の連携に強みがある区市町村社協に重層の事業を委託していることが多いと認識しております。東京では、その例として、重層の事業が今年度、30ぐらいの自治体に広がりまして、包括的支援体制整備を行う1つの有力な手段として浸透してきているところでございます。
一方、国は今年度、当該事業の交付金の見直しなどを含めまして、この事業の今後の見直しを示唆しているところがございます。包括的支援体制整備に関する、こうした見直しに当たっては、自治体がつくり上げてきた住民や社会福祉関係者などとの地域での連携の仕組みが後退しないように、制度の改善と十分な予算確保など、各市町村が安定的に事業の運営ができるように、地域の実情に合わせたものをつくっていただきたいなと思いますので、これはお願いでございますので、よろしくお願いします。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、樋口委員、お願いします。
しろまる樋口委員 日本知的障害者福祉協会の樋口でございます。
地域共生社会の在り方検討会議の中間まとめについてですが、包括的な支援体制と重層的体制整備事業は、地域共生社会の実現のためにどちらも大変重要な事業であると考え、理解できます。しかし、まだ取り組んでいない自治体もかなり多くあるように聞いております。どうして取組の進んでいない自治体があるのか、財政的な部分なのか、仕組みが分かりにくいのか、現状の課題を国と自治体でしっかりと共有して、国においては自治体が主体的に取り組めるように支援を行っていただきたいと思っています。
また、現在、法務省で成年後見についての議論が進んでいますが、期限付の利用やスポットでの利用が検討されていることについては、多くの利用者の方がそうしたことを望まれているということからすれば、望ましい方向だと考えていますが、一方で、成年後見が外れた後の地域での受け皿、先ほどもそういうお話がありましたが、その体制整備が一層必要になると考えています。
成年後見制度利用促進の中核機関である権利擁護支援推進センターを法定化するということだけではなくて、実質的に地域共生社会の推進において中核的役割を担うのが、各地の相談事業と日常生活自立支援事業と考えられます。そうした機能が十分発揮できるように、両事業を社会福祉法に基づく社会福祉事業として法的な位置づけを整えていくことが、その機能強化を図ることにつながるのではないかと思いますので、その検討も進めていただきたいと思っています。
また、私は、社会福祉法人、法人後見について一層推進していただきたいという話をしたいと思っております。障害分野では、特に施設からの地域移行が推進されて、民間のグループホームが急速に増加し、ホームを利用する人が増加し続けております。ますます地域における権利擁護事業へのニーズが高まる一方で、その担い手不足は深刻さを増しています。社会福祉法人は、言うまでもなく地域公益活動に積極的に取り組むことが責務とされております。こうした待ったなしの状況に対して、社会福祉法人による法人後見の取組を推進する必要性を強く感じております。
社会福祉施設事業所の職員は、社会福祉士の資格保持者が非常に多く、対人援助職としての現場での豊富な経験等に基づいた就労や生活、発達相談業務を行い、日頃から権利擁護に係る業務を担っています。しかし、令和2年度の厚労省の調査によれば、法人後見に取り組む法人は極めて少ないというのが現状です。その大きな理由として、サービス提供者と利用者との利益相反に関する問題が挙げられているわけですが、今日の利用者と事業者の関係は、一昔前のサービス提供事業者が極めて限られていた時代と大きく違って、一人の利用者が幾つもの事業主体の異なるサービスを受容されており、その関係は多面的・重層的となっているのが現状だと思います。
そうした中で、利益相反という形で法人後見を一律に消極的、後ろ向きに捉えるのではなくて、利用者御本人、家族、法人にとって、法人後見の実施による予測される課題やリスクを個別に検討する必要があると考えております。これまでも様々な意見が出ましたが、社会福祉協議会が後見監督人となることとか、合同で法人後見を担い、それぞれの課題によって役割分担をしています。さらに、社会福祉連携推進法人や社会福祉法人を中心として取り組む方法等、様々なアプローチが可能と考えております。国におかれては、ぜひそのような多様なアプローチや柔軟な取組を推し進めていただきたいと思っております。
また、障害分野の法人は、約6割が小規模法人ということで、財政的・経営的な問題もありますので、法人後見に取り組みやすい経営面も含めた環境整備をお願いしたいと考えております。
以上です。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、すみません、私からの指名になってしまうのですが、在り方検討会議の座長でいらした宮本委員から。
しろまる宮本委員 ありがとうございました。
前回の福祉部会でも、この検討会議の議論の進行についてはコメントさせていただいたところですけれども、その後、御報告のあった南室長、菊池座長代理等、大変な御尽力をいただきまして、中間とりまとめができ上がったということです。これについては、地方に伺うと、皆さん、非常に御関心が高くて、これまでのこの種の会議の報告とはちょっとトーンが違うということにお気づきなのではないかなと思います。
と申しますのも、国と地方の関係としては、これまでのように国がいろいろな事業を提起して、それを地方に遂行していただくという形では必ずしもなくて、新しい1つの社会契約というか、お約束ごとを国と地方が共に取り組んでいくという、そうした時代への一つのターニングポイントになっていくのではないかなというふうに個人的には思っています。ちょっと座長としての立場を超えて、個人的な思い入れも含めてお話しすることになってしまうのですけれども。
と申しますのも、恐らくこの時代に地域が持続可能性を担保していく。あるいは、人口減少とか、これまでの福祉体制、人員面でも財政面でも維持し切れないという状況の中で、どうやって福祉の持続可能性を高めていくのかということを考えたときに、重層的支援体制整備事業のように、国が掲げた事業をそのままやっていただければ、地方の持続可能性が維持できるということではないわけですね。もうそういう時代ではないということだと思います。そうではなくて、地方が実現していくべき幾つかの条件あるいは機能のようなものがあって、それはどういうことかというと、元気をなくしている人たちがきちんと声を挙げられる、そういう人たちとつながっていく条件。
それから、どうやって元気を出していただくかというと、元気が出る場に身を置いていただいて、そこで人に認められ、自己肯定感を高めてもらうという場づくり。そして、つながった人をそうした場につないでいく。つながる、場をつくる、つなげるという機能がきちんと満たされていくということがまず大事である。その上で、そうした機能を満たしていく道具として、重層的支援体制整備事業のような仕組みが国から提起されていくということだと思います。地域づくり支援とか場をつくる事業ですね。それから、包括的相談。さらには、アウトリーチのようなつながる事業。参加支援とか多機関協働のようなつなげる事業。その3つだけでは決してないのですけれども、例えば3つの機能を満たしていくための支援あるいは道具になっていくということだと思います。
あくまでツールであって、現場では福祉の領域にとどまらない、いろいろな機会を使って人々とつながっていく。それから、ケース会議なんかにとどまらない、いろいろな回路で人々を場につなげていく。それから、場をつくっていくというのも、福祉にとどまらず、雇用・居住・教育の多様な場づくりを行っていく。そうした地域づくりのための道具立てが重層事業であるということだと思います。
逆に言うならば、重層事業を行っていくということは、必ずしもその条件を全て実現していくことを保障するものではないということですね。そういう意味では、事業をあくまでツールとして活用してもらう。だけれども、活用する場合は、これは国からお金を出すということもあって、きちんと評価も受けていただくということが大事になってくる。そういう新しいお約束事、新しい契約関係の始まりになるのではないかなというふうに思っています。
もう一点、先ほど身寄りのない高齢者の支援。新日自という言葉が枚方市からも、またここでの議論でも飛び交っていたわけですけれども、新日自という言葉は、この中間とりまとめには全くないのですね。だから、逆にその言葉が一人歩きすることがちょっと心配になっていて、先ほど申し上げたように、これは法制審との関係もありますし、民間の営利事業者団体等との交渉や議論の場も必要でしょうし、仮に新日自なるものがあるならば、どこで、どんなふうにその議論が進行していくのかというのが、検討会議の中ではちょっと見えていなかったという面もあります。
そういう意味では、これは事務局へのお願いになるのですけれども、この福祉部会はその議論の重要な場にもなると思いますので、透明性を維持していく。それから、今日のヒアリングのような、本当に現場からの声を酌み上げていくということも含めて、議論がどこで、どんなふうに進行しているかということを見えやすくしていただくために工夫いただければなと思います。
以上です。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
それでは、山下委員、お願いいたします。
しろまる山下委員 日本社会福祉士会の山下です。
地域共生社会の在り方とかサービス提供体制のあり方の両方に関わるところですけれども、地域共生社会を進めていくには、地域の中での権利擁護の担い手として社会福祉士の活躍が必要だと思っています。先ほど枚方市をはじめ、参考人の方々の説明の中でも、専門的な支援に関わっていくというような意味では、有資格者、専門職である社会福祉士が必要だと思っております。
それから、このあり方検討会の中で出されている連携法人に関して一言だけ申し上げたいと思っておりますけれども、連携法人がなかなか進まない中で、要件緩和をしてというところに踏み出したということはすごく評価できることだと思いますし、もっと進めてもらいたい、進めていきたいというような考え方を持っておりますけれども、逆に地域の中で、今どういう話になっているかというと、連携推進法人がますます進んでいくと、法人同士の連携・協力を超えて、法人合併というような話になってくると。そうすると、今、現場の中で私の耳に聞こえてくるのは、国は社会福祉法人を減らしていく方向性にかじを切ったのかというような話がされています。適正な数はどういうことを考えているのとか、そういったことが現場の中では話が進んでいます。
私は、社会福祉法人同士の合併は悪いことではないと思いますし、数が少なくなっていくことも悪いことではないと思っています。持続可能な法人運営であるとか、経営の安定化であるとか、採用の問題であるとか、研修の問題であるとか、そういう観点から連携法人が進んでいくと、法人の合併もあり得るのだというような観点も必要かと思っております。そういう意味で、国が社会福祉法人を減らしていこうという方向にかじを切ったのではないということに関しても、改めて国として明確な説明が必要ではないかなと現場から思っております。
以上です。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。
オンラインから松原委員から手が挙がっております。お願いします。
しろまる松原委員 ありがとうございます。
2040年についてですけれども、とりまとめ、報告書と言わせていただきますが、報告書のグランドデザインは地域包括ケアをイメージしておりまして、地域包括ケアをさらに進化させて、対象者を広げて包括的なサービスを扱っていきました。今まで、いかにサービスを確保するかの議論に重きがあったのに対して、規模の縮小や退出戦略についても一部検討されて、補助金を受けた施設に条件をつけた上での使途変更などの要件緩和やM&Aの課題についても触れられました。従来、縦割りで検討してきた内容が、この検討会では横串を刺して、多面的かつ内容も多く検討されました。その一方で、何でもカバーするのはそもそも不可能なので、そのため重要な課題として残った点として、私が考えている点についてもちょっと触れさせていただきたいと思います。
1点目は、サービスの提供の包括化がいろいろ議論されたのですけれども、同一法人が異なる種別事業を実施する場合の問題については、課題の指摘でとどまっております。介護・障害・保育の職員の賃金を見ますと大きな格差があり、特に介護が最も低いです。このような状況では処遇に格差があり過ぎて、同一法人なのに人材交流ができない、共通の運用ができずに効率化が図られないといった問題が生じております。国は、大規模化を奨励しております。私は、大規模化が効率化につながるとは限らないと思いますけれども、重要な方策の一つであることは間違いなく、それを阻害するような現行の仕組みについては、改善されるべきだと考えます。
また、同一人物が異なる事業に携わる多能工化が求められる時代になっておりまして、そのためにはそれぞれの資格の取りやすさをさらに進める必要があります。特に、保育側から高齢者側の資格を取るための施策の充実が求められます。また、一人暮らしの85歳以上の高齢者比率が増えて担い手が減る中では、既存の資源やテクノロジーを活用することはもちろん、先ほどの成年後見制度を、利用者を守りながら使いやすくする必要があり、例えば福祉事業者が担いやすくする工夫と、それへのチェック機能、牽制機能、両方求められると思います。
高齢・障害・こどもを包括的に見ることは、質の面でも効率の面でも欠かせず、従来の縦割りの行政側に合わせずに、利用者と直接対峙する事業者側が質の高い効率的サービス提供が可能となるように、包括的に検討する場の創設が求められると考えています。
最後、財源確保についてです。このとりまとめでは、サービス提供体制の話に当然ながら限定され、財源の話は管轄外ですが、検討の中心項目であった処遇改善などは財源が必要です。もちろん、サービス提供体制側の効率化を最大限図ることは当然なのですけれども、社会の賃上げに合わせた財源が求められます。
今回の選挙結果を見ますと、例えば社会保障に対する国民負担率はOECDの平均以下だとか、消費税もヨーロッパの半分程度、中国よりも消費税率が低いとか、事業者の負担比率が非常に低いとか、介護人材不足が進めば介護離職が激増して経済を悪化させる点など、まずは事実を社会に分かりやすく示す必要があると思います。
負担の話をする以上、それと同時に、どこで、どのように働くか、個人の社会保険の負担に大きな格差がある現状の改善も、この部会の範囲を超えますけれども、早急に取り組むべき喫緊の課題だと考えております。
以上です。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。松原委員、2040の委員会の委員でもいらっしゃいまして、その内容も踏まえて御発言いただけたかと思います。ありがとうございます。
ほぼ時間が参っておりますが、特段御発言をお求めの方はいらっしゃいますでしょうか。小笠原委員、ほかにはよろしいですか。それでは、最後に小笠原委員からお願いします。
しろまる小笠原委員 私は、日本介護福祉士養成施設協会から参っておりますので、養成教育の中に、2040年問題について、どう取り入れるかということが学生指導で非常に重要になっていく点だと思っておりますが、地域福祉を学ばせるというところの中で、私たちが学生と地域の接点というのが、どうしても実習になってくるのですが、実習は施設中心になってしまいがちということで、特にコロナ以降、在宅支援を学ぶ場というのが非常に減少しております。そのような中で、地域福祉をどう学ばせるかというところに大変苦慮しているところでございます。
また、地域のほうで、そういう成年後見制度の支援であったり、施設福祉に行ってしまうと、成年後見制度の支援を実際受けている方がいらっしゃったとしても、施設の中の職員がその支援をしているわけではありませんので、なかなか接点がないというような課題がありますので、養成教育の中で地域福祉をどう学ばせ、一人で暮らしている世帯の方々をどう支援していくかということを学ばせる上で、実習の取り組み方というところについても、今後、制度的な支援等も必要ではないかと考えているところです。
以上でございます。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。
本日はどうもありがとうございました。様々な御意見をいただくことができました。これらの御意見、事務局におかれましては、今後の議論の参考にしていただければと思います。その上で、次回以降、具体的な制度設計に向けて各論の議論をしていくことになると思いますので、皆様からの忌憚のない御意見をどうぞお願いいたします。
本日、実はもっと御質問、御意見が殺到して、とても2時間で終わらないだろうと思っておりましたが、皆様の御協力によりまして、ちょうど時間となりまして、ありがとうございました。
それでは、最後に、事務局から「今後のスケジュール(見込み)」について御報告がありますので、資料の御説明をお願いします。
しろまる池上総務課長 時間を過ぎておりますので、手短に御紹介させていただきます。資料4を御覧ください。今後のスケジュールの見込みでございます。
本日は、2つの検討会の報告をいただきましたのと、身寄りのない高齢者等への支援に係るヒアリングをさせていただきました。今後は、ヒアリング、それから、2つの検討会での議論も踏まえつつ、とりまとめに向けた各論の議論をお願いしたいと思います。項目としては、そちらに書いてありますけれども、これらの議論をしていただくことを想定してございます。また、秋頃には「福祉人材確保専門委員会」のほうで御議論いただいている話が合流する形で、報告いただいた後、部会としても御議論いただいて、とりまとめに向けての御審議をお願いしたいと思います。
欄外に書いてありますけれども、議論の内容に応じまして、介護保険部会、障害者部会、こども家庭審議会など、関係審議会とも連携を進めてまいりたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
説明は以上となります。
しろまる菊池部会長 ありがとうございます。福祉人材確保については、松原委員がとりまとめで進めていただいていると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、これをもちまして、本日の審議を終了させていただきます。
次回の開催について、事務局からお願いします。
しろまる池上総務課長 次回の具体的な日時、開催場所につきましては、追って調整の上、御連絡させていただきます。
しろまる菊池部会長 それでは、本日の審議を終了いたします。本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

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