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遺伝子治療臨床研究に関する指針について
科発第0327001号
平成14年3月27日
関係大学の長
都道府県知事
指定都市の長
中核市の長
関係団体の長
日本医学会会長 殿
遠藤 昭雄
佐?蛛@進
遺伝子治療臨床研究については、遺伝子治療臨床研究に関する指針(平成6年厚生省告示第23号)及び大学等における遺伝子治療臨床研究に関するガイドライン(平成6年文部省告示第79号)(以下「旧指針等」という。)により、その適正な実施を図ってきたところであるが、今般、旧指針等を廃止し、新たに、遺伝子治療臨床研究に関する指針(平成14年文部科学省・厚生労働省告示第1号。以下「指針」という。)を定め、平成14年3月27日に告示したところである。指針の制定の趣旨及び旧指針等からの変更点等は下記のとおりであるので、御了知の上、関係者に対する周知方お願いする。
第1 制定の趣旨
旧指針等の策定後、これらに従って遺伝子治療臨床研究が実施され、現在まで、特段の副作用の報告もなく、また、対象疾患や導入遺伝子が同一の研究も数例行われるなど、一定の研究実績が得られてきたところである。
しかしながら、旧指針等においては、過去に同様の手法による研究事例があったとしても、すべての研究計画について一律に、厚生労働大臣に(大学等にあっては文部科学大臣にも併せて)意見を求め、両大臣において関係審議会の審議を経ることが必要とされ、また、当該研究が薬事法上の治験に該当する場合には、これらの手続に加えて、治験依頼者である企業等が、同法の規定に基づく治験届を厚生労働大臣に提出することが必要であった。
この審査手続に関しては、平成11年5月18日の厚生科学審議会答申において、ある程度普及した遺伝子治療臨床研究については、迅速な取組みが行えるよう、審査準則の制定と自主審査体制の充実を検討すべきであるとの提言がなされたほか、規制緩和推進3カ年計画(再改定)(平成12年3月31日閣議決定)及び規制改革推進3か年計画(平成13年3月30日閣議決定)において、「より迅速に治療が実施できるよう科学的・倫理的な側面からの専門家による審議を踏まえ、引き続き検討する」等とされた。
これらを踏まえ、文部科学省及び厚生労働省は、遺伝子治療臨床研究の医療上の有用性及び倫理性を確保しつつ、審査手続の簡素化及び迅速化を図ることその他遺伝子治療臨床研究の適正な推進を図ることを目的として、旧指針等を廃止し、新たに共同で、遺伝子治療臨床研究に関する指針を策定することとしたものである。
第2 旧指針等からの変更点
1.指針の目的に関する事項
遺伝子治療臨床研究が「治療」の側面を有する研究であることにかんがみ、医療上の有用性の確保を指針の目的として明示するとともに、その社会的な影響等を踏まえ、情報公開や普及啓発の推進等により、遺伝子治療臨床研究が、社会に開かれた形で実施されるべきことを規定した。
2.対象疾患に関する事項
(1)遺伝性疾患については、致死性のもののみが遺伝子治療臨床研究の対象疾患として規定されていたところであるが、生命を脅かす疾患が対象となることを明らかにするため、重篤な遺伝性疾患を対象疾患として規定した。
(2)「身体の機能を著しく損なう疾患」については、例えば、閉塞性血栓血管炎など四肢の欠損に至るような疾患、視聴覚機能に著しい障害を及ぼすような疾患等が考えられる。
3.品質等の確認に関する事項
人体に投与される遺伝子、ベクター等について、その品質、有効性及び安全性の確保のため、当該遺伝子治療臨床研究が薬事法上の治験に該当するか否かにかかわらず、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)に基づく「治験薬の製造管理及び品質管理基準及び治験薬の製造施設の構造設備基準(治験薬GMP)について」(平成9年3月31日薬発第480号厚生省薬務局長通知)を満たす施設において製造されたものでなければならないことを明示した。
4.遺伝的改変を禁止すべき細胞に関する事項
従来より、遺伝子治療の対象を体細胞に限定する趣旨から、生殖細胞については遺伝的改変を禁止していたところであるが、この趣旨をより明確化するため、精子及び卵子のみならず、受精卵及び胚についても、遺伝的改変が禁止されることを明示したものである。なお、胚については、ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(平成12年法律第146号)にいう胚と同義である。
5.被験者に対する説明及びその同意に関する事項
(1)旧指針等においては、被験者の同意は口頭によることも認められていたが、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成13年3月文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)におけるインフォームド・コンセントに係る規定等を踏まえ、口頭による同意は認めず、すべて文書によることとした。
(2)代諾者については、実質的に被験者の意思及び利益を代弁できると考えられる者でなくてはならないこととした。
(3)被験者に対する説明については、被験者の十分な理解が得られるよう行わなければならない旨を明示した。
6.実施施設の長の業務に関する事項
(1)大学、大学共同利用機関、文部科学大臣の所管する特殊法人、認可法人、独立行政法人、公益法人等(以下「大学等」という。)に係る施設については、遺伝子治療臨床研究の実施に当たり文部科学大臣の意見を求めることを不要とし、厚生労働大臣に対してのみ意見を求め、その意見を求めた文書の写しを文部科学大臣に提出するのみでよいこととした。
ただし、大学等においては、
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(1) 必要に応じて行う進行状況及び結果の報告
(2) 総括報告書の写しの提出
(3) 重大事態や実施に影響を及ぼすおそれのある情報の報告(下記(2)参照)については、従来どおり、厚生労働大臣のほか、文部科学大臣に対しても行う必要がある。
(2)被験者の死亡、重篤な副作用の発現等の重大事態については、従来から厚生労働大臣(大学等にあっては、厚生労働大臣及び文部科学大臣)への報告を求めていたところであるが、これに加え、内外の情報から遺伝子治療臨床研究の実施に影響を及ぼす可能性のある治験を発見した場合には、当該研究との因果関係の有無にかかわらず、厚生労働大臣(大学等にあっては、厚生労働大臣及び文部科学大臣)に報告しなければならないこととした。
7.審査委員会に関する事項
(1)審査委員会において、より幅広い観点からの審査を行うことができるよう、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針における取扱いを踏まえ、新たに、男性委員及び女性委員双方から構成されること及び複数の外部委員を加えることを要件とした。
(2)情報公開を推進するため、審査委員会の手続に関する規定のみならず、個人情報や知的財産権等の保護に配慮しつつ、審査の記録を公開しなければならないこととした。
8.厚生労働大臣の意見に関する事項
(1)実施施設の長が遺伝子治療臨床研究の実施に関し厚生労働大臣に意見を求めた場合、厚生労働大臣がすべて厚生科学審議会に諮問する手続を改め、まずは厚生労働大臣が複数の有識者の意見を聴き、当該遺伝子治療臨床研究において、ベクター、遺伝子投与方法又は対象疾病が新規性を有するか否かなど遺伝子治療の方法が新規性を有するか否か、その他個別審査の必要な事項を有するか否かを判断し、これを有しない場合は30日以内に速やかに意見を述べることとし、有する場合にのみ厚生科学審議会に諮問することとした。
なお、ここでいう新規性とは、海外では使用実績があっても国内では最初に使用されるベクターであること等、日本国内における新規性をいうものである。
(2)厚生労働大臣は、(1)の意見又は重大な事態等に関する意見を述べた場合には、その写しを文部科学大臣に送付することとした。
9.記録の保存に関する事項
遺伝子治療臨床研究に関する記録については、保存期間を定めていなかったところであるが、これは実施施設に必要以上に長期間の保存を義務づけることとなり過剰な負担となることから、診療録の保存期間等を踏まえ、研究終了後少なくとも5年間保存することとした。
10.秘密の保護に関する事項
研究者、審査委員会の委員及び実施施設の長のほか、研究者の補助者なども研究対象者個人の秘密を知りうることから、個人情報の保護の徹底を図るため、研究に携わる関係者すべてが守秘義務を負うこと及びこれらの者が職を辞した後も守秘義務が継続することを明確にした。
11.適用除外に関する事項
薬事法に定める治験に該当する遺伝子治療臨床研究は、薬事法に基づく規制に委ねることとし、基本的に指針の対象外として手続の重複を排除した。 ただし、指針第1章並びに第6章第1及び第3の規定は、薬事法に定める治験にも等しく適用されるべきであることから、これらを適用することとした。
第3 施行期日及び経過措置
平成14年4月1日からの指針の施行に伴い、旧指針等は廃止され、これらに基づいて行った行為であって指針に相当の規定があるものは、指針に基づいて行ったものとみなされる。
したがって、審査委員会への付議など既に旧指針等に基づき実施した手続きについては、改めて指針に基づき実施する必要はなく、指針の施行日以後に行う行為について指針に従うことで足りるものである。
第4 実施計画書の記載事項等に関する事項
実施計画書の記載事項等については、次によることとする。
(1)指針第4章第1の2及び3の「実施計画書に記載すべき事項」及び「実施計画書に添付すべき資料」の具体的な内容は、各々別表1及び別表2のとおりである。
(2)指針第3章第4の1により実施施設の長が厚生労働大臣に意見を求めようとする場合は、別紙様式第1に、指針第5章第1の2に掲げる書類を添付して申請することとする。なお、大学等にあっては、これらの書類の写しを文部科学大臣にも送付する。
(3)指針第3章第4の2により実施施設の長が厚生労働大臣(大学等にあっては、厚生労働大臣及び文部科学大臣)に報告を行う場合は、報告する内容に応じて次の各々の様式によることとする。
(4)指針第3章第4の3により、実施施設の長が厚生労働大臣(大学等にあっては、厚生労働大臣及び文部科学大臣)に総括報告書の写しを提出する場合には、上記(3)の研究の終了の場合の報告(別紙様式第4)に当該総括報告書の写しを添付することとする。
(5)指針第3章第4の4により、実施施設の長が厚生労働大臣(大学等にあっては、厚生労働大臣及び文部科学大臣)に報告を行う場合は、別紙様式第5によることとする。
なお、重大な事態を生じ、又は研究の実施に影響を及ぼすおそれがある情報を入手したため、当該遺伝子治療臨床研究を中止する場合は、別紙様式第3によることとする。
(6)上記(2)から(5)までによる厚生労働大臣への意見照会、厚生労働大臣及び文部科学大臣への報告等の送付先は、下記のとおりである。
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(1) 厚生労働省
大臣官房厚生科学課
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2
電話 03−3595−2171
FAX 03−3503−0183(2) 文部科学省(大学等の場合)
研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室
〒100-8966 東京都千代田区霞が関1−3−2
電話 03−5253−4113
FAX 03−5252−4114
第5 その他
1.遺伝子治療臨床研究の実施に当たり、次の事項に留意することが必要である。
(1)厚生労働大臣が差し支えない旨回答した遺伝子治療臨床研究の実施計画に従い、適切に研究を実施すること。
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(1) 指針第3章第2の4において、「総括責任者は遺伝子治療臨床研究が実施計画書に従い適切に実施されていることを随時確認すること。」とされているところであり、総括責任者は、遺伝子治療臨床研究が適切に行われていることを定期的に確認すること。
なお、実施計画を逸脱して遺伝子治療臨床研究を実施していたことが判明した場合、総括責任者は実施施設の長等に必要な報告を行い、実施施設の長はその旨を上記連絡先に速やかに報告すること。(2) 実施計画を変更する必要が生じた場合は、指針第3章第4の2により、厚生労働大臣(大学等にあっては、厚生労働大臣及び文部科学大臣)に対し報告すること。
(2)遺伝子治療臨床研究の実施に際し生じた重大な事態等に関し、速やかに厚生労働大臣(大学等にあっては、厚生労働大臣及び文部科学大臣)に報告すること。
指針第3章第4の4に基づき、実施施設の長が厚生労働大臣(大学等にあっては、厚生労働大臣及び文部科学大臣)に対し報告しなければならない事態とは、被験者が死亡した場合、被験者に重篤な副作用が生じた場合、内外の情報から遺伝子治療臨床研究の実施に影響を及ぼす可能性のある知見を発見した場合などである。これらが生じた場合は、速やかにその概況及び対処の方針を第一報として上記連絡先に報告し、15日以内を目安に、別紙様式第5により厚生労働大臣(大学等にあっては、厚生労働大臣及び文部科学大臣)に対し報告すること。また、総括責任者は、実施している遺伝子治療に関連する内外の情報収集に努めること。
2.既存通知の廃止等
(1)「遺伝子治療臨床研究に関する指針について」(平成6年2月8日厚科第54号厚生省大臣官房厚生科学課長通知)は、平成14年3月31日をもって廃止する。
なお、上記第2に記載する事項を除き、同通知に示されている「趣旨」及び「基本的考え方」は指針にも承継されるものであるので、別添のとおり、同通知の該当部分を参考までに添付する。
(2)「大学等における遺伝子治療臨床研究のガイドラインの制定について」(平成6年6月21日文学助第195号文部省学術国際局長通知)は、平成14年3月31日をもって廃止する。
別添
※(注記)「遺伝子治療臨床研究に関する指針について」(平成6年2月8日厚科第54号厚生省大臣官房厚生科学課長通知)より抜粋
第1 趣旨
近年の組換えDNA技術の進歩は、医薬品の開発等、国民の保健医療の分野へ大きく貢献してきた。本技術の進歩の延長線上に位置している遺伝子治療は、現在有効な治療法の乏しい疾患に対して画期的な治療法となる可能性を秘めており、その実用化に向けた研究の推進は重要な医学的かつ社会的な課題である。
しかしながら、遺伝子治療臨床研究が患者を対象として行われる以上、その安全性及び有効性を確保することは最も重要な前提となる。このため遺伝子治療臨床研究に使用される遺伝子その他の人に投与される物質の有効性、安全性、品質及び生体への投与方法の安全性の確保は、最新の科学的知見に基づいて確認される必要がある。また、人を対象とする臨床研究共通の課題として、被験者の選定や適切な説明に基づく被験者の同意の確保が社会的に妥当な手続で行われる等の倫理面の配慮も必要である。
このように遺伝子治療臨床研究の実施に当たっては配慮すべき多くの重要な課題があり、これらの課題が十分に検討された上で、正当かつ公正に行われることが必要である。また、そのことを広く確認できるようにすることが国民の遺伝子治療臨床研究に対する幅広い理解を形成し、さらには遺伝子治療の確立に資することになる。
指針は、こうした観点から遺伝子治療の確立を目的とする臨床研究が、国民の保健医療の向上を目的として科学的、社会的に妥当な方法等により適正に実施されるよう、遺伝子治療臨床研究の実施に際して配慮すべき事項について定めるとともに、厚生大臣に対し意見を求める手続等について定めたものである。
第2 基本的考え方
1 遺伝子治療の範囲
指針における遺伝子治療とは、疾病の治療を目的として遺伝子又は遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与することをいう。また、疾病の治療を目的としない遺伝子導入は遺伝子治療とはいえないが、例外的に治療法の開発を目的として標識となる遺伝子又は標識となる遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与する遺伝子標識は、遺伝子治療として取り扱うこととした。
2 対象疾患
遺伝子治療臨床研究の対象となる疾患としては、致死性の遺伝性疾患、がん、後天性免疫不全症候群等の生命を脅かす疾患や致死性ではないが遺伝子治療により得られる治療又は予防効果が他の治療法と比較して優れていることが十分に予想される疾患がある。
指針では、未だ世界において遺伝子治療臨床研究が開始されたところであり、いかなる疾患に対しても適用可能な段階に至るまでには一層の研究の積み重ねが必要であることを考慮し、当面、対象疾患を生命を脅かす疾患であり、かつ他の代替可能な治療法と比較して遺伝子治療臨床研究を実施する利益が十分にあると予想されるものに限定した。
遺伝子導入技術の発達により、上記の対象疾患以外の疾患の治療を行ったり、その他の目的で遺伝子又は遺伝子を導入した細胞を導入することも理論的には可能である。しかし、このような遺伝子導入は科学的妥当性や倫理性からみて問題があることから、指針の対象から除外した。
3 有効性及び安全性の確保
遺伝子治療臨床研究の実施に当たっては、使用される遺伝子その他の人に投与される物質の有効性、安全性、品質及び生体への投与方法の安全性が確保されるべきことは言うまでもないが、これらの評価法等については確立されたものが存在していないのが現状である。このためこれらの有効性、安全性の確認は、現時点における最高の知見に基づいて行われることが必要である。なお、これらの確認は培養細胞、実験動物等で十分な実験を経て行われる必要があることは言うまでもない。
4 生殖細胞の遺伝的改変の禁止
遺伝子治療には体細胞を対象とするものと生殖細胞を対象とするものとがあるが、生殖細胞に対するものは、現時点では、個体に与える影響について科学的に未解明の部分が多いこと、導入された遺伝子が次世代に受け継がれる可能性が高く、その影響が被験者だけにとどまらない恐れが大きいこと等から、更に慎重な取扱いが必要と考えられる。
したがって、指針は体細胞を対象とする臨床研究に限ることとし、生殖細胞に影響を与える恐れのあるものは実施してはならないこととした。
5 適切な説明に基づく被験者の同意の確保
適切な説明に基づく被験者の同意(インフォームド・コンセント)を得ることは、我が国でも一般の医療の領域においてその重要性についての認識が普及しつつある。遺伝子治療は未確立の治療法であることから、その実施に当たりインフォームド・コンセントが確保されることは不可欠である。また、その手続についても患者の人権を尊重する観点から、公正かつ厳格な手続が求められる。
したがって、指針にインフォームド・コンセントの確保の必要性、説明すべき事項及び第三者による確認が可能な際の手続等についての事項を盛り込むこととした。
6 公衆衛生上の安全の配慮
遺伝子治療臨床研究は被験者の疾病を治療し、社会復帰させることを目的としている。このため組換えDNAである遺伝子若しくは組換え体である細胞を投与された被験者は、一般社会で自由に行動することになる。
したがって、遺伝子治療に使用される物質(組換えDNA等)が周辺の人及び環境に与える影響を確認するとともに、生物学的封じ込め等適切な対策を講じることが必要である。
7 国民の理解
遺伝子治療臨床研究は画期的な医療技術の開発であり、人類が夢としているがん、後天性免疫不全症候群等の致死性の疾患の制圧を可能にするものと期待されている。
しかし、遺伝子治療がどのような医療技術であるかについては、必ずしも国民に十分理解されていないのが現状であり、遺伝子治療の対象疾患やその効果等についての正確な情報を国民に提供し、その理解を得ることが重要であり、このことが将来にわたる研究の進歩にも大きく資するものと考えられる。このため、研究者を始めとする関係者は、平素から遺伝子治療に関する社会的、倫理的問題についても把握してこれらに配慮した研究を計画実施し、個々の臨床研究の事例について被験者に十分説明するとともに、国民に対しても遺伝子治療を分かりやすく説明し、適切な情報の公開を図る等、国民の理解を得るための努力を尽くす必要がある。
8 その他
指針に定める事項は、遺伝子治療臨床研究に関する情報の増加、知識の蓄積、新しい技術の開発等に応じて改訂、追加されるべき性格のものであり、指針をより完全なものとするために、各事項に対する自然科学的、社会科学的根拠に基づいた意見が各方面から提起されることが望まれる。
別表1 実施計画書に記載すべき事項及びその内容
(2)総括責任者以外の研究者の氏名及びその担当する役割
その選定理由 (1)治療を直接の目的とした遺伝子治療臨床研究を行う場合
(2)治療法の開発を目的とした遺伝子標識臨床研究を行う場合
(2)本計画で使用するその他の組換えDNAの構造と性質
(3)標的細胞とした細胞の由来及び生物学的特徴並びに当該細胞を標的細胞とした理由
(4)遺伝子導入方法の概略及び当該導入法を選択した理由
(5)ウイルスベクターを用いて遺伝子導入を行う場合
(6)ウイルスベクター以外の方法を用いて遺伝子導入を行う場合
(2)遺伝子産物の安全性
(3)細胞の安全性
(2)被験者の選択基準及び除外基準
(3)被験者の同意の取得方法
(4)実施期間及び目標症例数
(5)遺伝子治療臨床研究の実施方法
別表2 実施計画書に添付すべき資料
(4)培養細胞を用いた実験の評価
(2)実験動物を用いた研究の成果
(4)動物実験の評価
(3)関連する研究の成果
(2)その他必要な資料
別紙様式第1
別紙様式第1の別添
別紙様式第1の別添
別紙様式第1の別添
別紙様式第2
別紙様式第2の別添
別紙様式第2の別添
別紙様式第3
別紙様式第3の別添
別紙様式第3の別添
別紙様式第4
別紙様式第4の別添
別紙様式第4の別添
別紙様式第5
別紙様式第5の別添
別紙様式第5の別添
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