09/08/06 第1回社会保障審議会少子化対策特別部会保育第二専門委員会議事録 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第二専門委員会 (第1回) 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第二専門委員会 第1回議事録 日時:2009年8月6日(木) 15:00〜16:50 場所:厚生労働省 省議室 出席者: 委員 岩渕委員長、山縣委員長代理、安藤委員、坂?ア委員、篠原委員、庄司委員 須貝委員、菅原委員、鍋島委員、西田委員、前田委員、宮島委員、山口委員 内海委員(少子化対策特別部会) 事務局 伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長 今里保育課長、朝川少子化対策室長 議題: (1) 委員長の選出について (2) 社会保障審議会少子化対策特別部会保育専門委員会について (3) 今後の保育制度の検討について 配付資料: 資料1 社会保障審議会少子化対策特別部会保育専門委員会開催要綱 資料2 第1次報告を踏まえた今後の主な検討課題 参考資料1 今後の保育関係の検討の場の設置について(案) (第24回社会保障審議会少子化対策特別部会資料) 参考資料2 社会保障審議会少子化対策特別部会 第1次報告 参考資料3 経済財政改革の基本方針2009(抜粋) (第24回社会保障審議会少子化対策特別部会資料) 参考資料4 持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた「中期プログラム」 (第24回社会保障審議会少子化対策特別部会資料) 参考資料5 安心社会実現会議報告 (第24回社会保障審議会少子化対策特別部会資料) 参考資料6 社会保障改革推進懇談会報告【概要】 (第24回社会保障審議会少子化対策特別部会資料) 参考資料7 社会保障改革推進懇談会報告 (第24回社会保障審議会少子化対策特別部会資料) 議事: ○しろまる今里保育課長 定刻になりましたので、ただ今から「第1回保育第二専門委員会」を開催いたします。保 育課長の今里でございます。委員長が選出されるまでの間、議事進行役を務めさせていただ きます。よろしくお願いいたします。 議事に先立ちまして、雇用均等・児童家庭局長の伊岐より、ご挨拶申し上げます。 ○しろまる伊岐雇用均等・児童家庭局長 大変お暑いところ、ご参集いただきまして誠にありがとうございます。雇用均等・児童家 庭局長の伊岐でございます。 委員の皆さまにおかれましては、日本の子どもの健やかな育ちのために日々ご尽力賜りま して、誠にありがとうございます。また、厚生労働行政なかんずく雇用均等・児童家庭局の 行政にさまざまな角度からご支援・ご助力を賜りますことを、あわせて御礼申し上げます。 皆さまご案内のように、少子化対策につきましては平成19年につくられました「子ども と家族を応援する日本」重点戦略に基づき、一連の政策展開を図らせていただいているとこ ろでございますが、その中でもすべての国民が安心して子育てと仕事を両立できるための社 会基盤の整備を目指し、社会保障審議会少子化対策特別部会におきまして制度体系の設計に ついての検討を進めてまいりました。今年2月には第1次報告を大変なお骨折りをいただい て取りまとめていただいたところでございます。 この報告におきましては、すべての子どもの健やかな育ちの支援を基本といたしまして、 人口減少地域を含めた保育機能の維持、選択できるだけの「質」の確保された「量」の保障、 財源確保が不可欠であることなどを前提として、保育をとりまく近年の社会環境の変化を踏 まえ、今後の保育制度の姿を中心として中間的な取りまとめを行っていただいたわけであり ます。また、昨年末にはこれらの議論を後方から支援する形で、持続可能な社会保障構築と その安定財源確保に向けた「中期プログラム」が策定されたところでございます。ここでは、 「少子化対策に係る確立・制度化された対策については、消費税を充てる」との税制抜本改 革の基本的方向性が示されたところでございます。 少子化対策特別部会では、第1次報告をしていただいた後、制度体系の詳細設計のための 具体的な検討を行うこととなり、既にそれもご検討を始めていただいているところでござい ますが、特に保育の分野につきましては、数々の次世代育成支援策の中でも中核的な位置を 占めておりますし、また検討科目が専門的かつ分量が非常に多いということでございますの で、少子化対策特別部会の下に二つの専門委員会を設けさせていただき、そこに少子化対策 特別部会の委員の先生方にも加わっていただいて、今後の保育制度に関する議論を進めてい ただくことにいたしました。今般、新たな次世代育成支援のための保育制度に関し、保育を 行う主体に係る仕組みなどを中心に検討を深めていただく場として「保育第二専門委員会」 を開催するに至りました。 なお、「保育第一専門委員会」は昨日、開催させていただきました。少子化対策特別部会 の委員の先生方には大変お忙しいところ連日で恐縮でございますが、ぜひ実りある議論を進 めていただきますよう、お願いいたします。冒頭に当たりまして、簡単ではございますが、 御礼方々お願いの挨拶でございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○しろまる今里保育課長 続きまして、委員の皆さまのご紹介をさせていただきたいと思います。資料1に「社会保 障審議会少子化対策特別部会保育専門委員会開催要綱」がございます。その3枚目「別紙2」 という紙に名簿が添付されておりますので、ご参照ください。お名前の五十音順にご紹介さ せていただきます。 安藤哲男委員です。資生堂人事部ダイバーシティ推進グループ所属でいらっしゃいます。 ○しろまる安藤委員 どうぞよろしくお願いいたします。 ○しろまる今里保育課長 岩渕勝好委員です。東北福祉大学教授でいらっしゃいます。 ○しろまる岩渕委員 よろしくお願いします。 ○しろまる今里保育課長 坂?ア隆治委員です。日本保育協会保育問題検討委員会委員長・野木保育園理事長でいらっ しゃいます。 ○しろまる坂?ア委員 よろしくお願いいたします。 ○しろまる今里保育課長 篠原淳子委員です。日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長でいらっしゃいます。 ○しろまる篠原委員 篠原と申します。よろしくお願いいたします。 ○しろまる今里保育課長 庄司洋子委員です。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授でいらっしゃいます。 ○しろまる庄司委員 よろしくお願いいたします。 ○しろまる今里保育課長 須貝 隆委員です。宮城県子育て支援室長でいらっしゃいます。 ○しろまる須貝委員 よろしくお願いします。 ○しろまる今里保育課長 菅原良次委員です。全国私立保育園連盟常務理事・たんぽぽ保育園長でいらっしゃいます。 ○しろまる菅原委員 よろしくお願いします。 ○しろまる今里保育課長 鍋島佳代子委員です。柏市児童家庭部次長兼保育課長でいらっしゃいます。 ○しろまる鍋島委員 鍋島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○しろまる今里保育課長 西田泰明委員です。全国保育協議会副会長・わかば保育園長でいらっしゃいます。 ○しろまる西田委員 よろしくお願いいたします。 ○しろまる今里保育課長 前田正子委員です。財団法人横浜市国際交流協会理事長でいらっしゃいます。 ○しろまる前田委員 よろしくお願いいたします。 ○しろまる今里保育課長 宮島香澄委員です。日本テレビ報道局解説委員でいらっしゃいます。 ○しろまる宮島委員 宮島です。よろしくお願いします。 ○しろまる今里保育課長 山縣文治委員です。大阪市立大学生活科学部教授でいらっしゃいます。 ○しろまる山縣委員 よろしくお願いします。 ○しろまる今里保育課長 山口 洋委員です。株式会社JPホールディングス代表取締役でいらっしゃいます。 ○しろまる山口委員 山口 洋でございます。どうぞよろしくお願いします。 ○しろまる今里保育課長 失礼いたしました。本日はご欠席ですが、大妻女子大学家政学部の岡 健准教授にも委員 へのご就任をお願いしております。 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。雇用均等・児童家庭局長の伊岐典子で ございます。 ○しろまる伊岐雇用均等・児童家庭局長 伊岐でございます。あらためまして、どうぞよろしくお願いいたします。 ○しろまる今里保育課長 審議官の香取照幸でございます。 ○しろまる香取審議官 よろしくお願いします。 ○しろまる今里保育課長 総務課長の田河慶太でございます。 ○しろまる田河総務課長 よろしくお願いします。 ○しろまる今里保育課長 少子化対策企画室長の朝川知昭でございます。 ○しろまる朝川少子化対策室長 よろしくお願いいたします。 ○しろまる今里保育課長 よろしくお願い申し上げます。 続きまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第がございまして、資料1はただ 今ご紹介しました「社会保障審議会少子化対策特別部会保育専門委員会開催要綱」、資料2 が「第1次報告を踏まえた今後の主な検討課題」、そして参考資料1として「今後の保育関 係の検討の場について(案)」、参考資料2「社会保障審議会少子化対策特別部会第1次報告」、 参考資料3「経済財政改革の基本方針2009」、参考資料4「持続可能な社会保障構築とその 安定財源確保に向けた『中期プログラム』」、参考資料5「安心社会実現会議報告」、参考資 料6、7は「社会保障改革推進懇談会報告」の概要と本体でございます。以上、お手元にご ざいますでしょうか。 それでは、議事に入らせていただきます。まず、議題1の「委員長の選出について」でご ざいます。本専門委員会の委員長でございますが、事前に委員の方々ともご相談させていた だいた上で、本専門委員会の親部会である少子化対策特別部会の部会長代理でいらっしゃる 岩渕委員にお願いしたいということを提案させていただきます。 いかがでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○しろまる今里保育課長 ありがとうございます。ご異議がないようですので、岩渕委員に委員長をお願いすること にいたしまして、委員長席への移動をお願いいたします。 それでは、以降の議事運営につきましては、委員長にお願いしたいと思います。よろしく お願いいたします。 ○しろまる岩渕委員長 岩渕でございます。一昨年の「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議で主査を 務めた関係上、引き続き少子化対策特別部会に参加しております。もともと新聞記者でござ いますので言葉はきついのですが、根は純朴な東北の青年でございますので、ひとつよろし くお願い申し上げます。 それでは、まず部会の例に倣いまして、委員長代理を決めておくこととしたいと思います。 私といたしましては、山縣委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございます。では、山縣委員、よろしくお願いいたします。 次に、委員の皆さま方がご欠席される際に、代わりに出席される方の取扱いをお諮りして おきたいと思います。これも部会の例に倣いまして、本専門委員会でも、委員の皆さま方が ご欠席される際に、代わりの方が出席される場合は、事前に委員長の了解を得た上で、当日、 専門委員会において承認を得ることにより「参考人」として議論にご参加いただくことを例 外的に認めるという取扱いとしたいと思います。その場合は参考人として意見を述べていた だくことを認めますが、定足数には算入せず、議決権はないという取扱いとしたいと思いま す。 以上のような取扱いでよろしいでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございます。 なお、本専門委員会は少子化対策特別部会における検討に資するため、専門的な議論を行 うものであるという性格に鑑み、少子化対策特別部会の委員につきましては、適宜、本専門 委員会に出席していただきたいと思います。 本日は、少子化対策特別部会から内海委員、篠原委員が出席しておられます。 それでは、議題に入らせていただきます。議題2は「保育専門委員会について」というこ とですので、事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○しろまる今里保育課長 「保育専門委員会について」ということで、資料1と参考資料1に基づきまして、簡単に 説明させていただきます。まず、参考資料1でございますけれども、これは6月25日の少 子化対策特別部会で「今後の保育関係の検討の場の設置について」ということで決定された ものでございます。1の「設置の趣旨」にございますように、少子化対策特別部会の第1次 報告を踏まえた今後の検討に向けては、特に保育関係の検討項目が専門的かつ分量が多いた め、少子化対策特別部会の下に二つの専門委員会を設置することとすると決せられたところ でございまして、これに基づいて開催要綱が決定され、本専門委員会が設置されたというこ とでございます。 資料1の開催要綱ですけれども、1の「目的」の最後の3行にありますように、この第1 次報告を踏まえた「少子化対策特別部会における保育に係る検討に資するため、専門的な見 地から」この専門委員会で議論を行うというものとして、少子化対策特別部会の下に二つの 専門委員会を設置するという位置付けでございます。 「構成」は、先ほど委員の皆さまをご紹介させていただいたとおりでございます。 「検討事項」は、「新たな次世代育成支援のための保育制度に関する検討等」ということ で、開催要綱が決せられ、本日の開催に至っているということでございます。 以上、大変簡単でございますけれども、保育専門委員会について事務局より説明させてい ただきました。 ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございました。ただ今の説明について、何かご質問・ご意見はございませんか。 よろしいですか。 それでは、続きまして議題3の「今後の保育制度の検討について」に移らせていただきま す。議題3について、事務局より資料の説明をお願いすることとし、その後、委員の皆さま 方に意見交換をお願いしたいと考えております。 ○しろまる朝川少子化対策室長 それでは、説明させていただきます。資料の順番が若干前後して恐縮ですが、まず、参考 資料4をお開きいただければと思います。これまでの専門委員会設置に至るまでの経緯、流 れを若干申し上げておきたいと思います。これは先ほど局長の挨拶にございましたが、昨年 末に「中期プログラム」というものが閣議決定された文書でございますが、これの8ページ 目に「工程表」がありますが、この一番下の方が少子化対策のパーツになっています。もと もと少子化対策についての政府全体の方針は、一昨年末の重点戦略で大きい方向性が示され ておりまして、それを踏まえて社会保障国民会議を昨年1年間やりまして、それを踏まえて できた「中期プログラム」ですが、その工程表を見ていただきますと、足元では「安心子ど も基金」でありますとか「児童福祉法の改正」、「育児・介護休業法の改正」などの取組が進 んでいます。その下に、点線で「新たな制度体系の制度設計の検討」とありますが、こちら が重点戦略を受けて現在、次世代育成支援の分野を幅広くとらえて新しい制度づくりをして いこうと。その際にはしっかり1〜2兆円ぐらいの財源の追加投入を図りながら、従って、 それぐらいの規模になりますと税制改革で財源の確保を図りながら検討を進めていこうと しているところで、この矢印を追っていただきますと、2013年ぐらいの下に「新制度体系 スタート」という丸がありますが、概ねこれぐらいの時期に制度をスタートさせることを念 頭に置きながら、制度設計の検討を進めていきましょうという工程が示されているものでご ざいます。この工程に従いまして議論を進めてきているという状況でございます。 次に、参考資料3をお開きください。これは、いわゆる「骨太の方針」といわれているも のの今年のもので、6月に取りまとめられたものでございます。保育に関する部分のみを簡 単にご紹介申し上げます。右下にページが振ってありますが、1ページ目ですが、第3章「安 心社会の実現」という大きい項目の中に、1「生活安心保障の再構築」というものがありま して、その(1)の下から3行目を見ていただきますと「人生前半の安心保障について、若年 層の雇用を軸とした生活安心保障を再構築するとともに、子どもの成長過程や生活に対応し て少子化対策を抜本的に拡充し」云々とあります。その上で、(2)の2行目ですが、「新たな 費用負担を伴う施策については、国民の納得が得られるよう税制抜本改革を実施する前まで に、改革内容や費用額を具体的に明らかにする」と。従いまして、保育についてこの専門委 員会でご議論いただくのは、この流れの一つでございますので、税制抜本改革の前までに、 改革内容あるいは費用額を具体的に明らかにしていく。その一環のものであるということに なります。 その上で、9ページ目をお開きください。別紙1の表題を見ていただきますと、先ほどご 紹介した「中期プログラム」の工程表で示された諸課題のうち2011年度までに実施する重 要事項という表がございます。 さらに1枚おめくりいただいて、10ページが少子化対策についてでございまして、その 少子化対策の中の一つ目のポツですが、1行目の後半のところですが「新しい子育て支援制 度の在り方の検討を進め、税制改革の動向を踏まえつつ、必要な法制上の整備を図る」とい うことで、これは全体が2011年度までに実施する重要事項ですので、それまでに必要な法 制上の整備を図るということがスケジュール化されているということになります。 次に、参考資料5をお開きください。それ以外に、政府全体の中で幾つかこの少子化対策 について取扱った会議の報告書がございます。その一つが「安心社会実現会議」という、官 邸で開かれておりました会議で6月25日にその報告書が取りまとめられています。少子化 対策についても、かなり記述していただいていますが、その一部を、この専門委員会との関 連だけをご紹介申し上げます。 5ページ目ですが、項目としては「安心して子どもを産み育てる環境」という項目の中の 一番上ですけれども、「『社会保障国民会議』が提起した『次世代支援新システム』の構築を すすめ、子育てを社会全体で支援する制度条件の整備を急ぐ」と記述していただいています。 その上で、10ページ目でございますが、大きい4番に「取り組むべき優先課題」という 項目がございます。これの最初の段落の下から3行目の文末のところから「現役世代および 次世代を対象とした給付の比重を拡大していく必要がある」ということで、少子化対策の分 野への給付の比重の拡大ということも挙げられています。 同じページの下の方に「10の緊急施策」が挙げられています。そのうちの(1)〜(3)の辺り が関係するところですが、(1)は子育て世帯あるいは低所得世帯に対する給付付き児童・勤 労税額控除の創設。(2)は、子育て支援サービス基盤の計画的整備。(3)は、就学前教育の導 入およびその保育や育児休業制度との総合化ということが緊急施策として提言されていま す。 もう一つは参考資料6、7でございますが、6の概要でご説明申し上げますが、社会保障 改革推進懇談会の報告がやはり6月に取りまとめられています。この概要の一番最後の下を 見ていただきますと、これは昨年行っていました社会保障国民会議の分科会のそれぞれの座 長さま方が構成員になって取りまとめられたものですが、1ページ目の下の箱に、まさにこ の専門委員会とも密接にかかわることが書いてあります。「さらなる改革の前進に向けて」 ということで、「新しい子育て支援制度の下での給付・サービスの抜本的拡充」ということ でございます。その一つ目で、まず「目標」を三つ書いておりますが、「すべての子どもが 支援サービスを受けることができるシステム」を目標にする。二つ目は利用者のニーズ、括 弧書きにありますような多様なニーズに合ったサービスを提供するシステムを目標とする。 三つ目は、女性でも男性でもひとりで子育てできるシステムを目標とするという整理がされ ております。 2番目の「守るべき3つの基本姿勢」の一つ目としまして、「サービス提供者中心の行政 からサービス利用者中心の行政へ」、二つ目として「サービス利用者のニーズに十分に応え るサービス提供体制へ」、三つ目として「これから子どもを産み育てる世代のニーズの正確 な把握に基づく政策へ」ということでございます。 3番目の「具体的な制度設計」としまして、「利用者がサービスを選択し、サービス提供 者と直接契約」、二つ目が「サービス提供者の多様化と提供主体ごとのイコールフッティン グの確保」、三つ目として「サービスの良し悪しを利用者が判断できるよう、サービス内容、 経理内容等の情報公開と第三者による評価を徹底」、四つ目が「地域の事情に応じた規制緩 和」、五つ目が「利用者保護のためのサービス提供者の廃業規制・破綻処理制度の検討」と いったことが、社会保障改革推進懇談会においても提言されているということでございます。 最後に、少子化対策特別部会とこの専門委員会の関係で、専門委員会でご検討いただく事 項について、若干ご説明申し上げます。資料2と参考資料2の両方をご用意いただきまして、 資料2は、2月に少子化対策特別部会でお取りまとめいただいた第1次報告の保育の部分に ついて大項目を整理したものです。小さい字で書いてありますのは、その中で今後の検討課 題として書いてあるものをピックアップしたものですが、真ん中に破線を入れていますけれ ども、この専門委員会は第一と第二ということで二つ設置させていただいていまして、この 第二専門委員会では主に下の方のテーマを扱っていただくということを念頭に置いており ます。その関係で、具体的にはどういうことかということを、今日は新しい委員もいらっし ゃいますので、参考資料2の方で第1次報告のまとめがどうなっているかということを、駆 け足で少し振り返らせていただきたいと思います。 まず1ページ目の(2)でございますが、第1次報告では検討に際しての前提として五つぐ らいまとめていただいおります。その一つ目が「すべての子どもの健やかな育ちの支援」を 基本に置くということで、まず「子どもの健やかな育ち」であるということで、さらに「す べての子ども」であるということです。二つ目は、一般的なサービスの売り買いとは違う「保 育の公的性格・特性を踏まえる」ということ。三つ目は、とかく保育の問題は都市部を中心 とした待機児童の問題、これは非常に深刻な問題ですので、そちらのみに目が向きがちです が、一方で地方にいきますと児童の人口減少が既に始まっている地域もあり、今後そういう 地域も広がってくることが見込まれますので、そういう児童人口減少地域も含めた保育機能 の維持をどうやって図っていくかということもしっかり視野に入れて検討していこうとい うことです。四つ目は、「量」の保障は重要ですが、その際「質」も確保しながら保障して いこうということ。五つ目は、何よりも財源確保を前提として議論をしていこうということ でございます。 その上で、4ページ目の「今後の保育制度の姿 新たな保育の仕組み」です。(1)と(2)は第 一専門委員会で具体的な検討をお願いする事項でございますが、簡単に見ていきます。まず、 (1)の「保育の必要性等の判断」について、この新しい提案の中身としましては、市町村は必 要性と優先度の判断を受入保育所の決定と独立してやるということ。受入保育所の決定を市 町村は今後やらない仕組みにしましょうという提案をしています。そのための手法として 「認定」という方法を使ってはどうかという提案になっております。?A)の「判断基準」に つきましては、どこまでを対象範囲とするか、あるいはどのような子どもを優先するかとい う基本的事項は、国が基準を設定し、その上で地域の実情に応じた部分は自治体にというこ とをまとめていただいています。?B)の「判断基準の内容」については、パートタイムの家 庭を幅広く対象としていきましょうということや、早朝・夜間等とかく認可保育所になかな か入りづらいといわれている家庭の子どももしっかり保障できるようにしていきましょう とか。あるいは求職者も同様で、同居親族については、祖父母が一緒に暮らしている家庭な どは、今は「保育に欠けない」という原則ですが、そこを対象にしていきましょうというこ とでございます。さらに、専業主婦家庭については、通常保育というよりは一定量の一時預 かりの保障をしっかりやっていきましょうというまとめになっています。?C)の「保障上限 量」のところは、今回の制度は「子どもに着目して子どもに対する保障」という考え方へ変 えていこうとしています関係で、一人一人の子どもにどれぐらいの保育を保障するかを決め ていく必要が出てきます。その際、フルタイムのご家庭とパートタイムで比較的短い働き方 の人で全く同じ保障でよいのかという問題がありますので、ある程度区分をした方がよいだ ろうということですが、あまり細かく区分しますと細切れのサービスになってしまうという 問題がありますので、2〜3区分程度の大くくりにしていきましょうという提案になってお ります。?D)は、どのような子どもを優先するかということです。?E)は「欠ける」要件とい う用語について見直しをしましょうということです。 (2)は(1)を前提として、新しい「保育の提供の仕組み」について、まず一つ目として、市町 村の公的責任の後退を招かないように、むしろ充実していく方向で実施責務を課していきま しょうということです。その具体的なところは四つ書いていますが、一つ目は、必要な子ど もには、例外なく保育を受けることができる地位を付与して公的保育を保障していきましょ うということです。二つ目は保障をするだけでは実際にサービスに結びつかない可能性があ りますので、市町村にしっかりサービス提供基盤を確保していただきましょうということ。 三つ目は、利用支援の責務ということで、当事者同士の契約の仕組みにしたらどうかという 提案をしていますが、当事者同士だけに任せますと、いろいろな混乱、あるいは必要な子ど もで、なかなかサービスの利用に結びつかないような子どもが、利用からはじかれてしまう 可能性もありますので、そういったことがないように市町村がしっかり利用調整をするとい う利用支援の責務を果たしていただきましょうということです。四つ目は費用の支払い義務 です。?A)は、当事者同士で公的保育契約を締結する仕組みを新しく導入しましょうという ことですが、今?@)で見ていただいたような、市町村が公的責任を果たす枠組みの中でそう いう仕組みを導入しましょうということです。 1枚めくりまして、5ページ目です。(3)は、当保育第二専門委員会でより議論を深めてい ただくところですが、「参入の仕組み」ということで、(1)(2)はどちらかというと潜在化して いる需要を表に出していきましょうということですが、それに対応して事業者、サービス量 が増えていかないと、制度的に増えていく仕組みを入れておかないと、需給のバランスが今 でもしていませんが、今後もより大きく乖離していく可能性がありますので、そのための参 入の仕組みとして、一方で質の確保を図りながら参入を促していくという意味で、最低基準 を客観的に満たしていれば、この制度の対象にしていきましょうという提案になっています。 その際の手法として、「指定制」という手法を基本としながら検討していきましょうという ことです。二つ目は施設整備です。保育所は施設という箱物があって、その中でサービスが 提供されますので、初期投資の部分ですが、今は社会福祉法人に対しては、施設整備補助が 出ますが、NPO法人や株式会社などは参入ができる仕組みに今でもなっていますが、その 施設整備費のところの措置がないので、そこをどう考えていくかという論点です。もともと 社会福祉法人にも共通ですが、施設整備費というのは、その時々の市町村あるいは国の財政 状況にも左右されるところがありますので、もう少し安定的に初期投資費用を賄えるような 仕組みとして、減価償却費相当分を運営費に上乗せして、ここの部分については設置主体に かかわらず支援の対象にしていくことを検討したらどうかという提案になっています。一方 で、現在は施設整備を集中的にやっていこうという期間ですし、一方で30年くらい前にで きた保育所については改修の時期も迎えています。そういうことで経過的な形での社会福祉 法人に対する施設整備費は引き続き維持していきましょうという内容です。三つ目は「運営 費の使途制限」について、他制度の例を参考に見直しの検討をしていきましょうということ で、具体的な検討についてはまさにこの専門委員会でのご議論を、まずしていただくところ になると思います。その議論の一環として、株式会社がやる場合の配当の可否といったこと についても議論をしていただければと思います。四つ目は多様な提供主体の参入を促しなが らサービス量を確保していくわけですが、一方で突然撤退をするということになりますと、 子どもも困るし保護者も困るので、基本的にそういうことが起きない仕組み。起きた場合に も、しっかり引き継ぎが行われるような仕組みを、あらかじめインプットしておいた方がよ いだろうということで、その具体的な内容についてご議論いただければと思っています。 (4)は(3)と同様ですが、客観的基準を満たした事業者を制度の対象にしていきましょうとい うことです。 (5)(6)は主に第一専門委員会で取り扱いいただく内容ですが、(5)の「費用設定」については 公定価格を基本としながら、さらに利用量に応じた単価設定。しかしながら、経営の安定に も配慮して、月額単価を基本として検討していきましょうということです。保育料について は所得に対して十分配慮していきましょうということです。 (6)は市町村が保育の費用の支払義務を負うという仕組みです。ただ、誰に対して費用の支 払義務を負うかというのは、今後の検討ということになっています。さらに、保育料徴収に ついては、市町村と保育所がどのような役割分担でやっていくかということも今後の検討と いうことになっています。 (7)も主に第一専門委員会で検討していただく予定ですが、「認可保育所の質の向上」、職員 配置の充実や保育士の処遇の改善、あるいは専門性の向上といったことについて議論してい ただくことにしています。 (8)(9)はこちらの第二専門委員会でご議論を深めていただきたいところですが、(8)は「認可 外保育施設の質の引上げ」ということで、まずは最低基準を満たした施設を客観的にそこで 判断して費用の支払の対象にしていくことを基本にしたらどうかというのが一つです。これ は現在、最低基準を満たしていても必ずしも認可されない場合があるということが前提とな っていますが、そういうことがないような仕組みにしていきましょうというのが一つです。 二つ目は最低基準に達していない認可外保育施設についてはその到達に向けて、一定水準以 上の施設に対しては一定期間の経過的な財政支援。そういったことが必要であるということ をまとめています。三つ目は「小規模サービス類型の創設」ということで、20人を超えた 所は認可保育所の認可がおりますが、それより下回りますと制度的に認可保育所にはならな いということになっていますので、その下回った所について、小規模のサービス類型を創設 していったらどうかという提案です。実はこれは概要版ですので、ここまでしか書いていま せんが、本体の資料の方にはもう少し、さらにそれでもまだ穴が開いていると思いますので、 その穴の開いているところをどうしようかということも論点であると報告書本体には書か れています。 (9)は地方における保育機能の維持・向上をどうやって図っていくかということで、こちら も児童人口が減少している地域ですので、小規模の類型を創設して支援をしていく必要があ るだろうということ。あるいは保育所の機能だけではなくて、小学校に入った後の放課後の 預かりであるとか、その他のいろいろな多機能な機能を担っていただくことを示していった らどうかということ。さらに幼稚園がないような地域で、今までの制度でいう「保育に欠け ない」子どもを保育所が受け入れている実態も踏まえながら、保育所の機能のあり方を検討 していく必要があるのではないかということです。 (10)(11)は、第一、第二の専門委員会で、それぞれテーマごとにそれぞれご議論いただきたい ということですが、(10)は通常保育以外の休日・夜間あるいは延長保育、病児・病後児保育と いったものについても通常保育の制度の見直しに併せて、充実する方向での具体的な検討を ご議論いただきたいということです。 (11)は情報公表の仕組み、あるいは第三者評価の仕組みの充実を制度的にどうしていくのか という論点です。 資料2にお戻りいただいて、以上が第1次報告の概要の説明ですが、この第二専門委員会 では、この資料2の下の部分です。「参入の仕組みの詳細」と「認可外保育施設の質の引上 げの詳細」、あるいは「地域の保育機能の維持・向上の詳細」といったところを中心に、今 後テーマごとに議論をしていただければと考えています。よろしくお願いします。以上です。 ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございました。それでは、事務局からの説明を受けまして、説明に対するご質 問を含めて、委員の皆さまで意見の交換をお願いしたいと思います。時間が100分くらい ありますので、少なくともお一方1回は思いのたけを話していただく時間は取れると思いま す。どなたからでもかまいませんので、一つご意見・ご質問を含めてお願いしたいと思いま す。どうぞ。 ○しろまる篠原委員 ありがとうございます。意見と決意表明も含めてお話しさせていただきたいと思います。 今、説明をいただきました参考資料2の5ページ目のところです。今回は非常に専門的な委 員会になりますので、いろいろ論議を深めていきたいと思っています。今説明をいただきま した特に「参入の仕組み」のところで、基本的な仕組みの部分になりますが、前段のところ で「質」の確保されたスピード感のある充実のためうんぬんとありますが、「質」を確保する ということは、保育労働者の労働条件の維持・向上を確保することが前提となると思ってい ます。その上で参入の仕組みがどうあるべきかを考えるべきだと思っています。特に、細か いところになりますが、株式配当の可否も引き続き慎重に検討ということで、この5ページ 目の(3)の三つ目にもあります「運営費の使途制限」の見直しという部分について、保育の運 営費というのは人件費相当が大きなウェートを占めているということになりますので、保育 士の方々の賃金や労働条件に大きな影響を与えることになるのではないかと思います。いず れにしても、これから具体的に細部まで詰めていくことになりますけれども、保育の多様な ニーズですとか、待機児童の潜在的なニーズということもありますので、そういうことに応 えていくためにもサービスを増やさなければならないということもありますし、この論議は 避けて通れないのではないかと思います。この第1次報告をベースにしながら、その報告の 内容が後退することのないように、前向きな論議をしていきたいと、決意を含めて述べさせ ていただきます。以上です。 ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございました。他に、いかがですか。 ○しろまる宮島委員 宮島です。よろしくお願いいたします。私もこの少子化対策の議論に少し前から携ってい ますが、一般の、親になろうとしている人たちを取材や自分の周りで見ますと、根本のとこ ろで、どうして皆が必要だと言っているのに、こんなに保育園は増えないのだろう。どうし て子どもを産んで働いてほしいと皆言うのに、周り中にこんなに壁だらけなのか。そこの疑 問に誰も答えてくれないということで、皆ものすごく苛立っているように思います。そうや って時が経つうちに、迷っていた30代半ばだった後輩たちが30代後半になり、タイミン グが合わないといって産むのをあきらめることにしたり、そういうのを目にすると、それぞ れの事情はともかくとして、やはりスピーディな受入れの拡充は、すぐに必要なことだと思 っています。社会保障国民会議の結論からも、あれは確か10月ですから、もう10か月く らい経っているのです。少なくとも外から見て、進まない状況を、我々が変えるのだと。皆 にこの後子どもを産んでも大丈夫な状態になると実感していただけるような形にならない と意味がないと思います。 保育の量もですが、私が一番気になっているのは、今の体制で一番弱い子どもたちに手が 届いていないように見えるところです。それは今の認可保育所などの受入先は、主にフルタ イムでかつ17時ごろに帰れる親にとっては、比較的受入れは広がってきたと思います。で も今この不況の中で突然解雇されたり、ご主人が解雇されたり、離婚したり、さまざまな理 由で昼でなく夜の仕事しか見つからなくて子どもを育てている人もいます。労働者はそんな に立場が強くないので、17時に帰りますと言える人ばかりではないと思います。そうでは ない人が本当に子どもを育てられると思えるかというと、私の周りは今、子どもをほしいと 思っても、実はそれが可能なのは条件限定で、ちゃんと5時に帰れて、ちゃんと子どものた めに全力を尽くせる人は産んでよいけれども、そうではない人は、まるで産んではいけない ということなんじゃないかと思うくらい、ある一定の働き方を外れると、本当に預け先が見 つからないと感じます。一番気になるのは、親の収入や経済基盤が十分ではない、ある意味 で本来支援が必要な人たちの子どもに、本来必要なはずの支援が届いていないところです。 それから、地方で幾つか取材などをして気がついたことがあるのですが、地方は待機児童が いないといわれます。それは確かに数字の上でそうです。ですけれども、地方を実際に取材 をしてハローワークに行くと、ハローワークには19時までの販売員とか、いろいろな就職 の場所があるのです。そこに若い母親が来たりするわけです。でもそこで19時までという 条件を見て、これは子どもがいる私には無理だわと思って、働くことそのものを諦めたりす るわけです。そうするとその人は働くのを諦めますから、決して待機児童の数にはなりませ んけれども、もしもその人に別の受け皿があったら、その人は19時までの労働に就きなが ら子どもをしっかり育てられるかもしれないし、結果的に家庭の収入が増えることで、もう 1人産もうという気持ちになるかもしれないと思います。数字の上で待機児童というものが 出てこない地方においても、今は労働市場が変わっている状態と、今の制度とにミスマッチ はあるのではないかと思います。 そういうことも含めて、いろいろな報告書にも既に書いてあります多様な参入、多様な受 け皿、誰が産んでも安心してどこかで育てることができると思えるような状態を、スピーデ ィに整備するためには、どうすればよいのか。保育の受け入れが十分に増えないハードルは どこにあるのかということを見つめて、そこを壁があるのならば取り払ってすぐに変えない と、もうベビーブーマーは40歳になります。ですから、本当に状況を動かす現実的な議論 をしていきたいと思います。 ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございました。建設的なご意見をいただきましたが、他の皆さまはいかがです か。 ○しろまる前田委員 あまり建設的でない意見を申し上げてよろしいでしょうか。私は2003年から4年間、横 浜市で子育て支援をしていまして、今は主に外国人の子どもたちの子育て支援をしています。 宮島委員がおっしゃる問題意識もわかりますし、私自身も保育園に子どもを預けて働いてき ましたので、保育園が増えないことは非常に残念なのですが、はっきり申し上げて、地方に はもう保育園をつくる財力は全くありません。横浜市は今一般会計が1兆4,000億円をきっ ています。最盛期には1兆6,000億円近くありました。2003年になってからでも一般会計 が1,000億円以上縮んでいますが、子ども関係にはその11%、1,500億円をかけています。 2003年から認可保育所を約160か所以上増やしまして、現在横浜市には認可保育園が421 か所。横浜型保育室129か所。いわゆる認可外保育園が230か所あります。横浜型保育室 と、いわゆる保育所運営事業費に1,500億円のうち570億円かけています。その間にいろ いろなことが起こりました。例えば児童手当ですが、2003年横浜市が支給している児童手 当は80億円台でした。その後猪口少子化担当大臣が就任され、児童手当の大加算が行われ て、現在229億円の児童手当を払っていますが、その間に地方負担が3分の1から3分の2 になりました。ということは、横浜市は財政がどんどんシュリンクしていく中で、児童手当 も増やし保育所を増やすお金を出さなければいけないのです。かつ、今年妊婦健診が14回 まで無料になりました。横浜市はこのために新たに17億円の予算が必要になりました。国 が地方交付税でお払いしていますと言われますが、横浜市は地方交付税の不交付団体になり ましたし、ご存じの通り、地方交付税は計算式を変えるだけなのです。子ども関係はお払い していますと言われますが、地方交付税の算定式、私たち地方には知りようのない複雑な算 定式を変えられるだけで、実際に出てくる地方交付税は減少しています。さらに少なくなっ たお金で、国はどんどん地方に負担を回して、少子化対策を進めていると言うのですが、実 際に地方には少子化対策をするお金がないのです。国からは来ていません。もう一つの問題 は、都心部の場合は国単価ではできませんので、大体横浜市は国単価に認可保育園の場合は 3割増しの補助金を付けていますし、いろいろなことをやっているのですが、土地と建物も ありません。残念ながら、保育園がなぜスピーディにできないかといいますと、土地や建物 があった場合も、大変意識の高い住民の方が多いので、子どもの声がうるさいと。夜間まで 保育して周りの一般の家庭がくつろいでいる時間に、子どもの送り迎えの車の音がうるさい とか、いろいろな反対がありますので、ビルの中の一室でさえお借りしてやるのも、非常に 難しい状態です。 まずお金がない。それから首都圏の悩みは介護と同じです。保育資格者の人手が足りない。 親御さんたちはもちろん質の高い保育をお望みなので、横浜市は認可の場合は園長先生は経 験何年以上、その他の保育士の経験年齢構成を決めるわけです。それは保育園は開けられれ ばそれは素晴らしい。一方では、経験のある保育士は首都圏では取り合いなのです。横浜市 の場合は青森県や宮崎県から保育園が社宅を設置して保育士を呼んでいます。そういう状態 です。いつも資格要件を緩めて保育士を集めれば、資格のない人も何割までオーケーといえ ば人は集まるかもしれない。しかし、それは質と量をどうするのかという常に現場の悩みで す。入った人はもっとお金をかけて質を上げろという。入れない人はとにかく何でもよい、 庭がなくてもよいから認可保育園をつくってくれという状態で、しかも財政的にも非常に苦 しい。繰り返しになりますけれども、今年は421か所認可保育園と横浜型保育室を570億 円かけて運営するつもりで予算を組んでいますが、既に税収は今年の段階で235億円足り ませんので、どこかの事業をやめて集めてこないと、この現状保育園の570億円を確保で きない。もちろん今も土地と建物を買って、新しい保育所をつくる準備を進めていますが、 現実的な議論で一番要るのは、はっきりいってお金です。それと人手。それがなくてはスピ ーディには無理ということをはっきりと申し上げたいと思います。 ○しろまる岩渕委員長 深刻なお話をいただきました。事務局の方は、まだ「寂として声なし」という感じで。 他に、ご意見・ご質問は。 ○しろまる西田委員 よろしくお願いします。私の保育園は金沢市ですが、パートで働いている母親も何人かい ますが、クビを切られてしまうのです。100年に一度の不況で、パートの仕事がなくなった と。待機児童は地域的に発生はしていますが全市的には発生していませんので、都市部から 比べれば少し柔軟なところがあるのですが、入所の要件は、母親が働かなくなると、家で子 どもを見なさいというシステムになっていますので、そういう母親が職を失うことによって、 子どもの保育の継続性が図れないということが、現実にもう起きています。そして、いろい ろな制度はあるようですが、保育料を払えない。去年は仕事があったけれども今年はという ことで、所得が40%ダウンしたら保育料の階層変更の制度はあるようですが、現実的に保 育園をやめざるを得ないということも目の当たりにしています。また、ちょうど保育園の子 どもたちの発達に即した、例えば9時から15時ごろまでのパートをしている人が、18時半 からとか夜間のあまり誰もやりたがらない時間帯のパートに移されてしまう。このような現 実に向けて、保育現場では頑張って対応はしているのですが、子ども自体を見ますと、非常 に無理がかかっていると思います。これまでの検討の中でも、子どもの発達といいますか、 子どもを中心に置こうという検討であったと思います。ですから、ぜひこの「すべての子ど もの健やかな育ち」を支える制度を構築していくという観点は守っていただきたいと思いま す。現場は今、そのような子どもたち、そして保護者に真正面に最前線として対応はしてい るのですが、非常に現場も無理をしているというのが現実です。 それから、現実に対応するだけではなくて、子どもの育ちをどう支えていくのかという、 先ほどから話が出ていますが、質の担保とその質を向上していくということも、これまでの 検討の大前提にあったと思いますので、これもこれからの検討を進める上においては、基本 的な考え、基本姿勢として据えてほしいと思います。待機児童が発生しているということは 大変な問題ですが、市場原理に基づく量の拡大ではなく、子どもの育ち、はぐくみを中心に して、保育の内容あるいは環境を担う人たちの質、最低基準や改定された保育所保育指針に 示された保育を推進していくとか、第三者評価を受けるとか、情報を開示するとか、担う人 たちの社会的評価を今以上に高めていくとか、将来に向けて保育というものが継続して発展 をしていく、そのための質の担保、そういうものがあって、量の拡大ということを考えてい ただければと思います。とかく質といったときにはいろいろなとらえ方があると思いますが、 国として、その質はどのように科学的な根拠があるのかということも、そろそろ検証が必要 ではないかと思います。最低基準も昭和23年から全然変わっていない。その間そういう科 学的な検証が行われているということもありませんので、しっかりと国民の理解を得るとき には、そういう検証も必要ではないかと思います。 もう少し話してもよろしいですか。前回も主張させていただきましたけれども、ナショナ ル・ミニマムとして国が支えていくのだと、未来を担う子どもたちの育ちを支えるのだとい う視点のために、大規模な財政投入も必要であるということ。市町村あるいは都道府県にお いても、保育利用の実施主体の位置付け、行政の責務がきちんと責任として明確化され、公 的関与が担保されるということも、それを今から実現していくためには必要かと思います。 保育事業者検討会にも参画させていただきましたが、第1次報告がまとまるまでには、大 変丁寧な検討が進められたと思います。この第1次報告の確認事項を基に、詳細設計を進め ていただきたいということと、昨日も私どもの全国保育協議会の委員が発言しましたけれど も、保育現場は今2万3,000か所弱ですか。私どもの会員保育所は2万600弱ですが、そ の保育事業に大変影響する検討ということになりますので、保育現場がこの改革の内容をし っかりと理解していけるように、結論を急ぐことなく慎重に検討を進めていただきたいと思 います。冒頭にお話ししましたけれども、今の保育現場、保育の現実、現状というものをし っかりとご理解いただいて、その現場からかけ離れた議論にならないように、お願い申し上 げたいと思います。以上です。 ○しろまる岩渕委員長 他に、いかがですか。順番にきていますので、次は鍋島委員。 ○しろまる鍋島委員 柏市から参りました。初めて参加させていただきまして、皆さまのお話を伺いながら、非 常にドキドキしていましたところ、順番ということでご指名いただきましたが、柏市も待機 児童が非常に多くなってきておりまして、この4月で国基準で122名あります。毎年年度 末になりますと250名近い待機児を抱えるような状態で、毎年施設整備として民間の認可 保育園を整備しているところですが、解消にはほど遠い状況です。先ほどお話がありました が、民間事業者に土地が見つかりましたということで、お話を進めていたところ、せっかく 老後に家を求めたのに、どうして子どもたちのうるさい声を聞かなくてはいけないのだとい う住民の反対がありまして、予定していた保育所整備を他の場所に移さざるを得ない状況は 結構あります。幸いなことに、柏市は保育園をやりたいという事業者の申し出が多くて、そ れに市が市の負担も考えながら、整備を進めていければよいのですが、何せ柏市も財政状況 が非常に厳しくなっていまして、なかなか整備が実施計画の中でも1か所、2か所という状 況で、解消が進まなくなっています。幸いなことに、今年は「安心子ども基金」をいただき ますので、それを活用しまして、今年度、来年度は施設整備を図っていきたいと考えていま す。そのような状況ですので、やはり基になるのは財源ということではないかと。公立保育 園も含めまして一般財源化されてしまいましたけれども、その辺りの問題も出てくると考え ております。それから私は今は行政におりますが、保育士資格を持っておりまして、28年 間ぐらい保育現場で仕事をしてまいりました。それから行政に入ったということで、保育現 場の様子も見せていただいておりますけれども、私の考えとしては、保育園あっての保育行 政という思いが大変強うございますので、常に保育現場の様子を見させていただいておりま す。その中で一番感じますのは、西田委員や前田委員からもお話がありましたように、保育 士の労働環境が大変厳しくなってきていると感じます。さらに、待機児解消のために保育士 を募集しましても、なかなか応募がございません。保育士を育てる専門校等はたくさんあり、 資格をお持ちの方はたくさんいらっしゃるのではないかと考えますが、どうもその方々から 手が挙がってこない。というのは、保育士の業務が3K、5Kとは言いませんけれども、な かなか厳しいということがわかっているからではないかと、そのようなことも考えます。や はり、保育の「量」だけではなく「質」も上げていく上では人的な配慮も大変重要になって くるのではないかと思います。保育士もある程度の余裕が出てくれば保護者との対応とか、 そういったトラブルの元になるようなことにもゆとりを持って対応していけるのではない かと思いますので、この委員会の中で保育従事者の労働環境がどこまで論議されるか読めま せんけれども、ぜひとも保育士の労働環境の辺りも考えていただければありがたいと思いま す。私は以上のようなことを考えております。よろしくお願いいたします。 ○しろまる岩渕委員長 では、並びで山口委員。 ○しろまる山口委員 山口でございます。できれば後出しじゃんけんをさせていただきたいと思っていたのです けれど、ご指名ですのでお話しさせていただきます。昨年の秋から私も保育事業者検討会の 方に参加させていただきまして、種々の議論をさせていただきました。その中で私は株式会 社という立場で随分お話をさせていただいておりますが、それに対する多少の偏見等も解消 したのではないかという気もしております。その上で、2月に今回の第1次報告が出たもの と考えておりますが、ぜひそこで議論された方向で今回の制度設計の方にも、子どもや保護 者のために一生懸命勉強させていただいて議論させていただければというのが前提でござ います。まだまだ株式会社に対する幾らかの疑問であるとか、場合によっては偏見も残って いるやもしれません。そういったものを、今回は私一人で孤軍奮闘させていただきまして、 頑張って皆さまにご理解いただくよう努めてまいる所存でございます。以上です。 ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございました。それでは、こちらに回りまして菅原委員から行きましょうか。 ○しろまる菅原委員 今日は最初の会議で、必ずしも準備はしてきておりませんけれども、私どもは去年1年間 事業者検討会に参加させていただきまして、その中で、かなり苦労しながら第1次報告がま とめられました。あの中身は非常にいろいろな議論がされた経緯もありますし、第1次報告 はやはり基礎と申しましょうか、あれをさらに良いものに練り上げていく、つくり上げてい くという議論をしていただければと思っております。 それからもう一つは、私は東京都ですけれども、待機児童問題でいろいろな形で報道され ていますが、現に今、待機児童になっている人たちはどういう方かと申しますと、やはり仕 事を探している方、それからいったん育児休業で休んでさらに職場に復帰する方、それから 自営業で働く人たち、こうした人たちのほとんどで、なかなか保育園に入れない人たちが待 機児童の中にかなり大量に発生しているのではないかと、数字的な実態から見ても感じ取っ ております。そういう意味で、こういう場では待機児童に対する具体的な対応あるいは制度 的な仕組み・設計をどうしていくかという検討も非常に大事な課題だと思っています。です から、そこのところも絡めながらどのような制度をつくっていくかということをぜひ検討し ていただく必要があるのではないかと思っています。しかし、この委員会はやはり持続的と 申しましょうか、制度設計あるいは制度のやり方をどうしていくかということが基本的な役 割ですので、先ほどから出ているように質の担保と、あるいは量の問題と、それからそれを 保障する財源の問題、この辺の基本的な、将来につながる制度設計をどうつくっていくかと いうこと。特にこの第二専門委員会は参入の仕組みの議論ですので、株式会社問題を含め、 NPO法人を含めてさまざまな参入をどう考えていくのかということが、非常にこの委員会 の役割になろうかと思います。ですからその中でやはり、公的な仕組み、公的な関与をしっ かりさせた上でどのような仕組みをつくっていくかということで、非常に重要な役割を担っ ているのではないかと思います。ですから、喫緊の課題である待機児童問題の議論と併せて、 将来に向けた制度設計をどうするか、その二つの絡みをどう設計するかは問題だと思います。 その辺の議論はぜひしていくことが必要なのではないかと思って参加しているところです。 以上です。 ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございました。それでは須貝委員。 ○しろまる須貝委員 宮城県の仙台市からまいりました須貝です。どうぞよろしくお願いいたします。最初に、 こんな席で不謹慎かもしれませんが、本日から仙台の七夕が始まっております。今日から3 日間、仙台の七夕は和紙を使っておりまして大変風流ですので、機会がありましたらぜひお 運びいただければと思います。宣伝はそのくらいにしまして、私は宮城県でございますけれ ども、宮城県は以前、浅野史郎知事がおりました際は福祉先進県を目指しておりまして、福 祉についての予算は実は結構付けていただきました。それで福祉策については頑張ってやっ ていたわけでございますけれども、浅野知事が辞めまして現在村井知事という知事が立って おります。村井知事のスローガンは「富県宮城」というもので、富というのは「とみ」の富 です。富県宮城ということで、まずは経済政策ということで、実は若干の成果も上がってお ります。自動車産業が最近だいぶ集積しておりまして、そういう意味では少し見通しが明る くなっておりますけれども、そんなことがありまして実は福祉についてはなかなか予算が付 きません。先ほど前田委員から横浜市の自治体の状況ということで、だいぶ詳しく数字など も含めてお話がありましたけれども、横浜市同様、宮城県仙台市につきましても、大変財政 的には厳しい状況でございます。そのこともありまして、実はわが宮城県は合計特殊出生率 にしましても、保育所の待機児童数にしましても、待機児童数は実は全国ワースト5なので すけれども、そういう数値的なものもあまり良い状況にはございません。何とか少しずつで も上げていきたいと考えているところです。その中にありまして、実はお金という問題では、 国の方で平成20年度の補正予算において、先ほど少しお話が出ました「安心こども基金」 の増設がありました。昨年度は全国で1,000億円、そのうちわが宮城県には22億6,000万 円の金額が回ってまいりました。あと、ご承知のように今年度に入りましても、先の大型補 正で1,500億円、そのうち宮城県につきましては23億6,000万円。合わせて何と46億円 のお金が回ってまいりました。そういうことで、最初にお話ししたように「お金がなくて何 もできません」、「ではお金をあげますよ、やりましょう」ということになると、実はなかな かそうもまいりませんで、今回の「安心こども基金」はいろいろなメニューを国からお示し いただいて、保育所整備についてはそこそこ進んでおりますけれども、特に後半の今年度の 大型補正の方のメニューが使い勝手が良くないと申しますか、いわゆるソフト事業に何千万 円、何億円付いても仕方がないのです。そういうソフト事業のいろいろなメニューがありま すけれども、肝心なところのメニューをなかなか示していただけないことがあって、現場か らはあまり使い勝手が良い基金ではないという話が出ております。そのような話も後ほどで きればという考えでおりました。そのようなことで、本日は私も場違いな所に来たような気 がしているのですけれども、出来の悪い自治体の代表ということでお呼びいただいたと思っ ていますので、現場の状況などをお話ししていければと考えておりました。よろしくお願い いたします。 ○しろまる岩渕委員長 本日は、後はありませんので、今どうしても先ほどの使い勝手の悪い点でおっしゃりたい ことがあれば。 ○しろまる須貝委員 次の機会にさせていただきます。 ○しろまる庄司委員 庄司でございます。勤務先が大学ですので、ここにお集まりの多くの方々が、なにがしか 現場に近い課題に常に向き合いながら仕事をしておられるという点では、私のような者は臨 場感を欠くような議論をしないように努めていきたいと非常に強く感じています。いろいろ なご意見の中に、順番にきましたので、もうほとんどのことが言い尽くされようとしている のですけれども、私自身も長い間この少子化をめぐって、あるいは保育をめぐっていろいろ な発言の機会があって、何かもう言い尽くした感じというか言い疲れた感じといいますか、 だんだんこういう機会を与えられれば与えられるほど、何かこう絶望感が募ったりするとい うのが正直言ってないわけではないのです。ですから、自分がそうならないように頑張ろう という気持ちでおります。 特に第1次報告が出まして、現場の方々のいろいろな反応を耳にする機会がありますが、 その中で相当疑問とか不安とか、そういうものがぶつけられているという感じがしますので、 やはりここではそれに答えていく、具体的に答えていく必要を非常に強く感じています。例 えば参入の仕組みとか、その他ここの課題とすべきことの中にはいろいろ重要なことが出て おりますので、それを一つ一つ具体的にしていくということが極めて重要だと思うのです。 しかし、全体を通してみると、二つほど非常に重要な柱があると思います。一つは、やはり お金です。今後の保育制度の姿のまとめのところに※(注記)印でわざわざ「その実現には財源確保 が不可欠」と書いていいただいていますので、それを考えると、やはり国際比較データなど を見るにつけ、子どもにお金をかける国にしか未来はないのだと、そういうことがあります ので、私たちも議論を進めるに当たって、やはりお金のことを非常に現実味を持って考えな がら、絵に描いた餅を語らないで何らかの知恵を絞り抜いた仕組みづくりをやっていかなけ ればいけないと思います。お金をかけないでもやれることはあるわけですけれども、多くの ことはお金をかけなければやれない。そこのところを強く意識していきたいと思います。 それからもう一つは、多くの議論をするときに、どちらかというと少子化対策特別部会の 中でも少し後ろに引いた形で出てきている働き方の見直しというかワーク・ライフ・バラン スです。ここでワーク・ライフ・バランスをいくら強く主張しても、ここでの本来の課題で はないと扱われる可能性もありますが、それこそ日本中の人がどこでも言える場所ではすべ てこのことを言い抜いていかないと、この保育の議論もやはり一方で虚しいものになるので はないか。つまり、ワーク・ライフ・バランスの中で、日本社会はどちらかというとワーク とライフを男女で分業するような形でワークの担当とライフの担当というように男と女の 役割をずっとやってきた中で、今ワーク・ライフ・バランスというものを掲げていった。最 初は女性の問題として、しかしライフというのはすべての人間の最も根源的な重要なものと して、私たちはやはりこのワーク・ライフ・バランスの中の「ライフ」を強く強く主張しな がらこの議論に参加していかなければいけないのではないかと、今はそのようなことを考え ております。よろしくお願いします。 ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございました。絶望感を振り払って頑張っていただきたいと思います。では、 次に坂?ア委員。 ○しろまる坂?ア委員 坂?アでございます。日本保育協会を代表して来ております。今回はたくさんの事業者の 方々が参加しているのだと思いますが、ほとんどの方々は大都市もしくは非常に大きな都市 の方ですが、私は青森県北津軽郡鶴田町大字野木字東松虫3-2というところです。先ほどか ら前田委員や須貝委員のお話を聞いて非常に大変だなと思う反面、財源のことになると来年 からわが町の子育て支援のお金がないので子育て支援センターをやめてほしいと、それを町 長さんがわざわざ1時間かけて説得しにくるのです。世の中は多分たくさんのお金をいただ いていると思いますが、地方のお金のなさというのは非常に現実に身に染みるわけです。そ うするともうその段階で、来年春の段階で1人辞めさせなければならないという状況にあり、 そういうことが普通にかかわってくる地方の保育所というのは非常にそういうところにあ るものだと思います。先ほど宮島委員がベビーブーマーが40代で終わってしまうとおっし ゃいましたが、そのとおりだと思います。15〜22歳の方々、今の高校生から大学生の方々 を超えると、今40代から20代ぐらいまでの90万人いる女性の方々が60万人減って、約 30万人ぐらいになります。その少子化、ある意味では非常に二極化されていく中で、一方 では何かの補充をしなければならないということと、一方ではある種の見据えた形での施設 の整備、その施設の整備というのは廃止という意味です。廃止縮小という形での整備。そう いうことが現実には非常に大きな問題として二極化しているのだと思います。 話を戻したいと思います。今回の第二専門委員会の方は参入をどう考えていくかというこ とだと思いますから、まずは第1次報告に沿った中で参入の質をきちんと担保した中で進め ていけたらと思います。残念ながら、現状の認可保育所の場合においてその質の多くは保育 士そのもの、人的なことそのものを指します。例えば企業でありましたら人的予算が例えば 50%とか40%。50%だったら企業が成り立たないというところだと思いますが、こと保育 所に関しましては70%、社会福祉法人など、ある程度大きい所になると80%という所も出 てきます。そういうパーセントの中で保育所保育指針にしたがって最低以上の保育をしよう とするわけです。ですから、それらのことが給食費を除いたところでどれだけ財源が確保さ れているかというと、非常に不思議な気もします。質の確保と、やはり量の拡充というもの になっていくのだと思います。基本的なところでいうと、先ほど前田委員がおっしゃった現 実に保育所を建てられない状況にあるというのは、私たち地方も同じです。それこそ特別保 育事業がカットされなければいけないような状況にある中で保育所は建ちません。それらの ことを考えていくと、非常に大きな形で今回は二つのことをきちんと考えていくべきところ にあるのだと思います。参入ということに関してと、もう一つは私もやはり働き方の見直し を相当進めていくことが裏にはあるのではないかと思います。先ほどの、ある種の形で不況 になり19時以降でなければ駄目なのだという話になったときに、確かにそうだと思います。 延長保育は20〜21時くらいが限界です。夜間保育が進んでいない現状だと思いますが、し かしながら今の多くの認可保育所、特に社会福祉法人はほとんどが延長保育に対応している わけです。しかしながら、やはりそういう状況にあるということは、制度そのものに問題が あるのか、その中身の問題、財源的な問題があるのか、そこは非常に難しいところだと、多 分長年保育所をやっている方々はよくおわかりだと思いますが、そういうところの細かい部 分、現実にできないのはどうしてなのかということもたくさんあると思います。 いずれにいたしましても、基本的な話にもう一回戻せば、現状の保育の仕組みが多くの功 績を上げたということは昨日も委員の中から出ておりまして、今よりも良い制度設計にする のが基本で、そうすれば今のものよりも落ちることはないのだと。今よりも保障されないこ とはない、子どもたちの人権も保育もきちんと守られることが基本であるということでこの 専門部会が進んでいくのだと考えています。その上に、ある種の非常に宮島委員が困ってい るようなところをどうしていくのか、地域として人口減少があるところにはどうしていくか に、やはりきちんと対処していく仕組みを考えていく。その多くは財源なのだと思いますが、 財源以外のところは何とか知恵を皆さま方で出し合って進めていきたいと思います。最後に、 非常に危惧することがあります。参入をどうするかということが第一専門委員会の基本的な、 例えば必要量やそういうところに大きくかかわってくると思いますので、それらのことをフ ィードバックしながら進めていけるような形にならないと、ここで決まったこととあちらで 決まっていることがリンクしない、もしくはかけ離れてしまうようなことでは非常に困ると いう思いがあります。参入の仕組みということを今回は話し合うのだと思いますが、それら が第一専門委員会ともきちんとつながっていけるような形になれば幸いだと思います。以上 です。 ○しろまる岩渕委員長 承りました。安藤委員、どうぞ。 ○しろまる安藤委員 資生堂の安藤です。初めての参加でございまして緊張しているのですが、最後に答弁しろ ということでさらに緊張しておりますので、お茶を飲ませてもらいます。今、いろいろお話 を伺いました。いろいろなデータ等も読ませていただきました。10年前からいろいろな議 論がされていて、大変良いことが言われているのだけれども、なぜ一歩も進んでいないのか というところが現実の感触です。そういったことも見まして、私の希望、ならびに今の率直 な気持ちを述べたいと思います。少子化対策は子育て世代が大幅に減少する前に早急な対策 を打たなければ意味がない。今が勝負の時だということです。多くの時間をかけて議論して いる暇はないということです。2013年ということでしたけれども、もっと前倒しにしてで も取り組むべきものだ。それはなぜかというならば、日本の国がこれから存続するか、繁栄 していくかというところに大きくかかわってくる問題だからであります。そのためには、出 産・子育てに伴う不安や閉塞感、これをまず解消する。そして経済的・精神的な負担という ものの軽減を実現することが、今、いの一番に必要なことであり、有効な対策だと考えてお ります。対策が遅きに失しないように、決まったときにはもうそのタイミングを過ぎていた ということにならないように、そうしたときにいろいろな財源を投資したとしても、それが 実を結びにくいということにならないように。日本を背負って立つ子どもたちの保育の仕組 みづくり、それに対する投資ということは、私たち大人の重大な責任であると考えておりま す。特に多様な就労形態がございますけれども、その就労形態に従事している人たちの保育 ニーズに応えられていないという現実がある。そのために待機児童の問題にもつながってま いりますし、保育を受けられないということがございます。これをまず解決しなければいけ ないというところで、財源がどうだということは大事なのですけれども、今までの発想、現 状からの発想ではなくて、これをするためには幾らの財源が要るのだ、これをするためには こうするのだという目標設定から財源等についても落とし込んでいって、これだけのものを 国家の重大政策として国を挙げて取り組むのだと、そのためにこれだけの財源が必要だとい う形に、取り込みといいますか、そういったことをやっていくべきだと思いますし、そのた めの具体的な手法をここで議論していきたいと思っております。 ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございました。内海委員はよろしいですか。 ○しろまる内海委員 昨日はベネッセから、今日は資生堂で、女性が働きやすい企業の結構上の方ですよね。金 沢の西田委員がおっしゃったように、私は小児科医ですけれど、文京区の公立保育園の園医 をしていて、普通の区立の公立保育園二つと東京都認証のA型B型一つずつと、私立の小 さな保育園と大きな幼稚園などをたくさん回っているのですけれど、毎日のように行ってい ます。外来では小さい子どもを抱えた母親と毎日のように接触していますし、保育園の状況 も、自分も保育園に預けていましたので現場を知っているつもりですが、子どもたちにひず みが来ているのは確かです。これは言っておきます。子どもたちは守られているとは思えま せん。多様な就労の仕方といえども、発達している小さな子どもにひずみが来るような働き 方をそのまま。小さな子ども育てている世代こそ企業は守ってほしい。国も守ってほしい。 夜間保育も必要な人には必要でしょうけれど、必要でない働き方もその年代に限っては「あ り」だと思うのです。そういう工夫をしないで保育の形態ばかりそろえたら子どもたちの育 ちは守れないと思います。そこの工夫も歩みつつ、先ほど庄司委員がおっしゃったようにワ ーク・ライフ・バランス。この10年、保育のことはは何も進んでいないというお話もあり ましたけれど、企業側も育児休暇の取り方一つにしてもほとんど何も進んでいないと思うの です。その辺をじっくり、庄司委員もおっしゃったように、ここで言うことではないと私も 思うのですけれども、他に言う場所もないので、このことは子どもの立場から絶対に忘れて はならない。子どもたちは夜間に預けられたらやはり育たないです。やむを得ない場合は仕 方がないですけれど、大人の都合で子どもが犠牲になった上で大人の就労を守るということ は、やはりあり得ないと思うのです。大人の就労を守らなければ子育てができないというの はわかるのですけれど、結局つけを回されるのは子どもの発達なのです。ですから、その辺 を十分加味して、もしいろいろな病児保育とか多様な保育に応えるようなことを進めるので あれば、それこそ科学的に検証して、それをやった結果、5年後子どもたちはどうなったの かなどということを加味しながら、科学的に検証しながら保育のあり方を十分に検討する。 新しく変わるわけですから、その辺のところは専門的な立場の人をたくさん入れて検証しつ つ、ある程度やってみたらきちんと見直してみる、そのようなことをしていただいて、働く 母親たちを守ってほしいと思います。特に育休切りやパートが切られるなど、子どもたちが そのようなことのしわ寄せを受けるべきではないと思うのです。いろいろとあるでしょうけ れど、現場を見ていてそう思います。 毎年の入園児健診では、ある程度育児休業を持った母親たちが7〜8か月で3月の健診に 来て4月から入っていました。ところが今年は入園児健診に来たほとんどが3か月の赤ちゃ んでした。こんな小さな赤ちゃんたちが入園児健診に来た例は、私は10年間健診をやって いて、ないのです。「どうしたの」と言ったら、「育休なんて取ったらクビを切られる」と言 うのです。民間の保育園では2か月の赤ちゃんも来ています。小児科的に言えば、0歳児保 育をすれば感染の機会はグッと増えます。1歳児とはまるで違います。生活リズムも狂って しまいます。その辺のところを、子どもを守っている立場、特に現場の保育園で子どもたち の様子を見ている人たちは、母親の支援ももちろん必要ですけれども、そういうところを十 分に考えた上で、国は、子どもは国の宝物という意味でしっかりと意識して、ここの部会の 議論を進めて、それを踏まえた上で、少子化対策特別部会でやっていきたいと思います。よ ろしくお願いいたします。 ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございました。 それでは、お待たせいたしました山縣委員長代理。 ○しろまる山縣委員長代理 冒頭で岩渕委員長が、「言葉はきついけれども根は優しい」とおっしゃいましたけれども、 今その優しさを実感しております。前に来たらしゃべってはいけないのかと思っていたので すけれども、話をさせていただく時間をいただきましてありがとうございます。 保育第二専門委員会の守備範囲に限定して4点だけ私見を述べさせていただきたいと思 います。1点目は「参入のあり方」に関してです。イコールフッティングではない状態、あ るいは最低基準が参入の障壁になっているという意見があるのは承知しております。日本の 保育の質に対する評価は、国際的に見ても、仕組みに対する評価は非常に高いと思います。 しかし、内実を構成する最低基準に対する評価は結構低いのです。とりわけ職員配置、面積 基準、保育環境に対する評価というところは結構国際的には厳しい目を向けられている気が します。そういう意味では、今でも十分とは言えないと何人かの委員の方もおっしゃってい ましたけれども、この最低基準を下げてまで参入促進を図るのは何か問題があるのではない かという考え方をしています。しっかりとした財源の投入による参入促進。参入していただ かないといけませんので財源の投入をしていくということ。この委員会の大前提でもありま すけれども、そのことはあらためて意見として言っておきたいと思います。社会保障の身内 の中で譲り合いをしてもお互いの足の食い合いだけですので、国家全体の財源の中で、国民 の意見を汲みながら譲っていく、あるいは新たな財源をつくっていくことが必要なのではな いかと思っています。 2点目は、私の非常に大きな関心事であり、前の委員会からの関心事であります「地方の あり方」です。人口1万人を切る市町村では幼稚園が50%しかないということで少子化対 策特別部会にも国から提示をいただいておりました。保育所は5%ぐらいになるのですけれ ども、幼稚園が基本的に人口1万人を切ると、どんどんなくなってくる状況下で、この委員 会でも保育所あるいは保育サービスが中心であるということは認識しておりますけれども、 地方の状況を考えましたら、幼稚園あるいは認定こども園を含めた就学前施策全体で考える 必要があるのではないか。保育施策だけで考えるとやはり限界があると地方の状況を考えた ら感じております。一方、都市部でも幼稚園は既に減少に入ってきています。そうしますと、 単につぶれていく状況が起こってくるわけですけれども、せっかく子どもたちのために社会 がつくった資源を単につぶれるという方向で見逃していくのか、都市部では待機児が多くて 困っているわけですから、待機児対策として幼稚園という資源を組み込んでいくということ を、今でも可能ですけれども、もっと積極的な支援を幼稚園側に対してしていくこともあり 得るのではないかというのが私の考え方です。 3点目は「多様な保育サービスのあり方」に関する意見です。これも国からいただいた資 料の中に、就学前の子どもたちの40%ぐらい、3歳未満の80%ぐらいが保育所および幼稚 園を利用していない子どもたちであるというデータがあります。すべてが在宅子育て層だと は思いませんが、認可外の保育所や障害児の施設などがありますけれども、それでもせいぜ い3歳未満で4〜5%ぐらいではないかという感じがします。そうしますと75%ぐらいが在 宅子育て層ということですので、プレママも含めたこのような在宅子育て層への支援という のもきちんと視野に入れていく必要があるのではないか。私はここが出生率向上に対しても 大きな貢献をする可能性があると思っています。偶然だと思いますけれども、参考資料2 の5ページに「多様な保育サービス」として(10)に例示されているものがすべて基本的に就労 支援型の多様な保育サービスになっておりまして、ぜひこの中に意識的に一時保育や地域子 育て支援拠点事業などの地域支援を意識した検討をしていきたいというのが私の意見です。 最後の4点目です。これはほとんど各委員から意見が出ていなかったと思いますが、この 保育第二専門委員会では情報の公表や評価についても視野に入れるべしという提案をいた だいておりますので、この点に関して申し上げて最後の意見にしたいと思います。情報の公 表や評価。特に評価といいますのは、ご承知のように保育の質を上げていくということを一 つの眼目にしております。それから2点目は、公表も含めて選択に資するということを目標 にしているわけですけれども、現在行われている第三者評価制度というのは、評価のところ で現場を見ておりましたら終わっている部分がかなりあるという気がいたします。その評価 を受けて自らが自己変革をする力、そういう手法をきちんと現場の人たちに伝えていく必要 があるのではないか。これは財政支援というよりもむしろ知恵といいますか、方法の支援で はないかと思っております。評価を受けることに目的があるのではなくて、評価を受けたも のを通じて質を上げていくというところのつながりをもっと強化すべきではないかと思い ます。選択に資するという面では、今、行われている情報提供は10年前の児童福祉法の改 正以降かなり保育現場および市町村の両方で進んでおりますけれども、利用者の人たちから は、「自分たちが求めているものが十分提供されていない」という声を聞きます。情報の内 容や提供方法、あるいは情報の新鮮さといいますか、そういうところについても、これもお 金の話ではなくなるわけですけれども、利用者が選択に資するようなあり方もどこかの段階 で意見を言うことができたらと考えております。以上4点です。ありがとうございました。 ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございました。 山口委員は先ほど後出しじゃんけんをしたいとおっしゃっていましたが、もしありました ら短時間に。 ○しろまる山口委員 次回にさせていただきます。 ○しろまる岩渕委員長 ありがとうございました。時間もだいぶ押し迫りました。本日の皆さまの貴重なご意見を ベースにこれから議論を進めてまいりたいと思いますが、今日聞いていて、やはりグサリと 胸に刺さったのは、言い疲れ、絶望感、それからこの10年保育は全く進んでいないと。こ のような結構否定的なワーディングがあったように思います。少子化対策特別部会の方も、 一昨年の暮れからで足掛け3年やっておりますけれども、いよいよこれから制度設計という 段階に入ってきました。昨日の保育第一専門委員会を聞いていましても、それぞれの立場あ るいは角度によって意見や考え方はだいぶ違うという印象を受けました。しかし、これから 政局の影響も懸念されるところではありますけれども、私どもは場外の雑音に惑わされずに、 すべての子どもが健やかに育つ保育制度を可及的速やかに構築したいと念じております。皆 さまの意見をできるだけ少子化対策特別部会に反映させるつもりですので、どうぞ今後とも 活発なご議論をお願いしたいと思います。本日はこの辺りで打ち止めにしたいと思います。 事務局から、次回の日程についてご説明をお願いいたします。 ○しろまる今里保育課長 本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては追って事務局よりご連絡 させていただきます。お忙しいところ恐縮ですが、ご出席いただきますよう、よろしくお願 いいたします。 ○しろまる岩渕委員長 それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課企画法令係 代表 03−5253−1111(内線7920)