08/02/04 厚生科学審議会科学技術部会ヒト胚研究に関する専門委員会 第15回議事録 第14回 科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会「生殖補助医療研究専門委員会」 第15回 厚生科学審議会 科学技術部会「ヒト胚研究に関する専門委員会」 議事録 日時:平成20年2月4日(月) 15:00〜17:30 場所:合同庁舎第7号館東館 5階3会議室 議事: しろまる笹月座長 それでは、時間になりましたので、第14回の生殖補助医療研究専門委員会、それから 第15回のヒト胚研究に関する専門委員会の合同会議を開催いたします。 それでは、まず資料の確認をよろしくお願いします。 しろまる高橋室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。 一番上に議事次第がございまして、その裏に書いてございます配付資料に沿ってご説明 させていただきます。 資料1は、前回の議事録でございます。資料1のほうには(案)が入っておりませんけ れども、議事録の案でございます。資料2、検討事項(たたき台)。資料3−1、検討のた めのたたき台(II−4.研究実施の要件について)。それから、資料3−2、機関内で役職 を兼ねる場合の考え方。カラーのA4の横の資料でございます。それから、資料3−3、 これもカラーのA4の横でございますが、共同研究の考え方。資料3−4は、A3の横で 折り込みになっております、関連指針等における研究実施に係る要件。資料4−1、検討 のためのたたき台(II−5.研究実施の手続きについて)。資料4−2、生殖補助医療研究 における審査の手続。これもA4の横の図になっております。 それから、あとは参考資料といたしまして、参考1、科学技術・学術審議会生命倫理・ 安全部会生殖補助医療研究専門委員会名簿、参考2、厚生科学審議会科学技術部会ヒト胚 研究に関する専門委員会名簿、参考3、特定不妊治療費助成事業の効果的・効率的な運用 に関する検討会報告書、参考4といたしまして、生殖補助医療実施医療機関の登録と報告 に関する見解。それから、お手元のほうに、緑色の紙ファイル、ピンク色の紙ファイル、 水色の紙ファイルが3冊、机上に置かせていただいていると思います。過不足等ございま したら、ご連絡ください。 しろまる笹月座長 どうもありがとうございました。 それでは、最初の資料1、これは前回の委員会の議事録でありますが、既にお送りして ごらんいただいるところですけれども、それでご確認願いたいと思いますが、よろしゅう ございますか。 ありがとうございます。それでは、この議事録の確認をしていただきました。 本日の議事に早速入りたいと思いますが、まず、前回の委員会で検討し、合意した事項 につきまして、事務局よりご説明お願いいたします。 しろまる梅澤母子保健課長補佐 資料2、検討事項(たたき台)10ページ、一番最後のページをご覧下さい。4ポツと いたしまして、「研究実施の要件について」。そして、太枠で囲んでございますところが 前回ご議論いただきました、しろまる研究実施機関の要件です。実績、設備、能力、倫理審査委 員会の設置(倫理的問題に関する検討体制の整備)、研究の体制(機関の長、研究責任者 の役割等)、研究実施機関の長、研究責任者、研究実施者の要件につきましては、ご議論 いただきました。次に、5ポツの「研究実施の手続き」です。くろまるは、前回整理された事項 として、記載してございます。くろまる機関における倫理審査委員会の審査のあり方、倫理審査 委員会の委員の構成について、合意を得ました。 以上でございます。さらなるご指摘等ございました場合は、次にご説明いたします資料 3ともかかわってまいりますので、そちらでも改めてご指摘いただければと存じます。 しろまる笹月座長 どうもありがとうございました。 それでは、前回の議論に続きまして、この「研究実施の要件について」を進めていきた いと思います。これも、資料につきまして、事務局からご説明お願いいたします。 しろまる高橋室長補佐 それでは、資料3−1から3−4に基づきまして、検討のためのたたき台(II−4.研 究実施の要件について)(ヒト受精胚の作成を伴う研究を実施する場合)について、ご説 明させていただきたいと思います。 先ほど資料2のご説明のとおり、前回、この資料3−1につきましては、ところどころ、 終わっている場所と終わってない場所がございまして、前回は16ページ、この資料で言 いますと16ページの卵子の提供機関のところまで終わっております。その手前のところ で後回しになっている部分が何点かございますので、前回の復習も兼ねまして、途中のくろまる になっている部分も含めて、ご説明させていただきたいと思います。 1枚目につきましては、基本的な考え方といたしまして、総合科学技術会議の意見に基 づいて、検討する上での留意点などが書いてございます。 1枚めくっていただきまして、3ページでございますが、まず、2ポツといたしまして、 研究実施機関と研究提供機関は別の機関である場合の研究実施機関の要件についての論点 が書いてございます。 まず、前回の確認事項といたしまして、研究実施機関とは、研究目的でヒト胚を作成・ 利用する機関であり、作成された胚から抽出したDNA、RNA、タンパク質等のみを分 析する機関は除くというふうに整理させていただいております。これは、前回の研究実施 者の要件の際に、こういう直接胚を取り扱わない者は研究実施者ではないという整理であ ったかと思いますので、こちらに移して書かせていただいております。 それから、その下の2つのくろまるも確認事項でございます。研究実施機関は、ヒトの配偶子 を使用してヒト受精胚を作成することを伴う研究を行うために、胚を作成し、培養するた めの設備を備えた培養室等の十分な施設、設備が整備されている必要があることとする。 ヒト受精胚の作成を伴う生殖補助医療研究が、ヒトの配偶子を使用して人の生命の萌芽 として位置づけられる胚を研究目的で作成及び滅失するものであることを配慮した上で、 研究実施機関は、作成されたヒト受精胚の取り扱いを適切に行うための管理体制(管理者 の設置、記録の保存、施錠管理等)及び規則等の整備の措置を講ずることとする。 以下4つのしろまるが、今回の検討事項でございます。 ヒト胚の作成を伴う研究の実験室を考える上での論点ということで、提供者の善意によ る無償提供をもとに、ヒト胚という生命の萌芽を作成し、滅失するという倫理的観点に加 え、作成された胚からの個体産生を事前に防止するという観点及び作成されたヒト胚を無 断で使用したり、持ち出したりすることができないようにするための管理徹底という観点 から、検討することとしてよいか。 次のしろまるですが、ヒト胚を無断で使用したり、持ち出したりすることができないようにす るための管理徹底という観点から、ヒト胚の作成を伴う研究の実験室は、臨床、つまり生 殖補助医療を行う場と分けることとしてよいか。 次のしろまるですが、生殖補助医療研究がヒト胚という人の生命の萌芽を作成し、滅失するこ とに配慮し、人の尊厳を侵すことのないよう、誠実かつ慎重にヒト胚の取り扱いを行わな ければならないという観点から、ヒト胚の作成を伴う研究の実験室は、原則として他の動 物実験を用いる実験室と分けることとしてよいか。 次のしろまるです。ただし、研究において必要不可欠である場合には、他の動物細胞等を当該 実験室内で扱うことができるとしてよいか。 以下は確認事項ですが、研究実施機関は、研究の科学的妥当性や倫理的妥当性について、 第三者的な立場から意見を述べることのできる倫理審査委員会を機関内に設置することと する。 それから、研究実施機関は、ヒトの配偶子及び胚を取り扱った十分な実績とともに、動 物またはヒト受精胚作成に関する十分な実績がなければならないとする。 次のページに移りまして、ヒト受精胚の作成を伴うことから、研究実施機関内につき、 少なくとも1名の医師――これは獣医師ではなくて人を診るほうの医師でございますが、 研究に参画することを必要とする。これは特に診療科を問わないという議論でございまし た。 次のくろまるですが、研究実施機関は、ヒト受精胚の作成を行うことから、教育研修計画(技 術的能力及び倫理的認識を向上させるために必要な教育及び研修を実施するための計画) が定められていることとする。具体的な教育研修の内容といたしましては、指針を作成す るに至った背景や指針の内容等の理解、生命倫理に関する一般的な知識の向上等を目指す ための勉強会、講習会などが想定されております。 それから、共同研究につきましては、後ほど4ポツにおいて別途議論することといたし ます。 1枚めくっていただきまして、(2)研究実施機関の長の要件ですが、ここからは、資料 3−2もご参照いただきながら、ご検討いただければと思います。 最初のくろまるは、前回の確認でございます。研究実施機関の長は、研究責任者から提出され る研究計画の妥当性を確認し、その実施を承認するとともに、研究の進捗状況を把握し、 研究責任者に対し必要に応じて指示を与えることなどの監督業務等の役割が求められる。 また、研究実施機関の長は、機関内倫理審査委員会を設置して、研究責任者から提出され た研究計画の妥当性について意見を求めることについてもその役割を果たす責任がある。 したがって機関の長は、中立性、透明性を確保する観点からも、研究責任者を兼ねてはな らないとする、ということにいたしました。 次からがしろまるで、今回の論点になってございます。 生殖補助医療研究の場合、研究実施機関として極端に規模の小さい研究機関等も考えら れるが、そのような小規模の機関において機関の長としての業務をほかの者に代行させた 場合、監督業務等の機関の長としての業務が代行者によって適切に遂行されるかどうかの 実効性に疑問があること、また、規模の大小の基準を設けることは困難であることにかん がみ、機関の長としての業務をほかの者に代行させることは認めないこととするか。また は、技術的な観点から研究責任者として適当な者がほかにいない場合もあることから、研 究実施機関の長としての業務をほかの者に代行させてもよいこととするか。 それから、次のしろまるは研究実施機関の長をほかの者に代行させることができない場合につ いてでございますが、研究実施機関の長は、機関内倫理審査委員会を設置して、研究計画 の妥当性について意見を求める責任がある。したがって、機関の長は、中立性、透明性を 確保する観点から、研究実施機関の長は研究実施者を兼ねてはならないとするか。 それから、ここには書いてございませんけれども、研究機関の長は、研究の監督の責任 がございますので、研究実施者を兼ねてしまうと自分で自分を監督することがほんとうに できるのかどうかというような意見もございました。 それから、または、研究実施者については、研究の総括を行って責任を負う役割を求め られておらず、研究責任者の指示に従って生殖補助医療研究を実施するということから、 研究実施機関の長は研究実施者を兼ねても構わないとするか。 参考といたましては、ES指針も載せてございます。 それから、次のくろまるは前回の確認事項でございます。研究実施機関の長は、生殖補助医療 研究を行うために必要な教育研修計画(技術的能力及び倫理的認識を向上させるために必 要な教育及び研修を実施するための計画)を策定し、これに基づき教育研修を実施するこ ととする。 次のページでございます。(3)研究責任者の要件でございます。こちらの1つ目のしろまるに ついては、前回もご議論いただいておりますけれども、ここは再度確認の意味でしろまるにさせ ていただいております。前回、3つ目のくろまるのところで研究責任者は必ずしも医師でなくて もよいということで合意いただいているかと思いますけれども、その際に、研究責任者の 資格としては広げていったほうがよろしいのではないかというご意見がございましたので、 ここでは動物またはヒトの実績があればよいというようなご議論であったかと思います。 こちらはもう一度、ご確認の意味も兼ねてしろまるにさせていただいております。 研究責任者は、ヒト配偶子を使用して人の生命の萌芽と位置づけられるヒト受精胚を作 成し、滅失させる生殖補助医療研究を実施するとともに、その研究に係る業務を総括する 責任を負うという役割が求められることから、動物またはヒトの配偶子及び胚を取り扱っ た十分な実績とともに、動物またはヒトの受精胚作成に関する十分な専門的知識及び実績 がなければならないとするか。 2つ目のしろまるについても、一番上のしろまると関係してくるところなんですけれども、もし1つ 目のしろまるくろまるになったということでありますと、動物またはヒトということでございますの で、研究責任者が動物の実績のみでよいということがあり得るかと思います。その場合に つきましては、研究実施者はヒトの実績がなければならないという要件を付すかどうかと いう意味でここは書かせていただいております。といいますのも、前回の議論の中で、研 究機関としてはやはりヒトの実績があることが必要だという意見がございました。そこで、 研究責任者が動物の実績しか有していない場合につきましては、研究実施者の中にヒトの 実績を有する者が含まれていなければならないのではないかというようなご意見がござい ましたので、ここは、確認の意味を込めて、ちょっとわかりにくいですけれども、このよ うな書き方にさせていただいております。 それから、以下3つのくろまるは、前回の確認でございます。 研究責任者は、必ずしも医師であることを要件としない。 2つ目のくろまるといたしまして、胚の作成・利用を伴う生殖補助医療研究は、配偶子を使用 して人の生命の萌芽として位置づけられる胚を作成し、滅失させる研究であり、研究責任 者は、この研究に従事する研究者を指導する立場にあることから、生殖補助医療研究に係 る生命倫理に関して十分な知識を有した者でなければならないとする。 研究責任者は、研究実施者に対し教育研修に参加させることとする。 1枚めくっていただきまして、(4)研究実施者の要件でございます。これも、最初の3 つ目までは、前回の確認事項でございます。 研究実施者は、研究責任者の指導・監督のもとで直接ヒトの配偶子及び受精胚を扱う者 であるから、ヒトまたは動物の配偶子、受精胚の操作等の技術に習熟した者であることを 必要な要件とする。 次のくろまるですが、直接ヒトの配偶子及び受精胚を扱わない者は、研究実施者に含めないこ ととする。 3つ目のくろまるです。胚の作成・利用を伴う生殖補助医療研究は、配偶子を使用して人の生 命の萌芽として位置づけられる胚を作成し、滅失させる研究であることから、研究実施者 は生命倫理に関して十分な知識を有した者でなければならないとする。 次のしろまるですが、生命倫理に関して十分な知識を有した者というものはどう判断するかと いうことで、教育実習を受講した実績で判断してよろしいかというような論点が書いてご ざいます。 2枚めくっていただきまして、(5)説明者の要件でございますが、こちらも前回の資料 では論点を幾つか書かせていただいておりますけれども、説明者の要件につきましては、 インフォームド・コンセントの手続が決まった上で、どのような場面でどのような役割が 求められるかということがはっきりするかと思いますので、その後にまた戻って検討する ことにさせていただければというふうに思っております。 次は、(6)の研究実施機関における機関内倫理審査委員会でございます。最初のくろまる3つ は、前回の確認でございます。 機関内倫理審査委員会は、研究計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性を総合的に審査で きるように、委員の構成は、生物学、医学及び法律に関する専門家、生命倫理に関する意 見を述べるにふさわしい識見を有する者、一般の倫理に立って意見を述べられる者を含む とする。 2つ目のくろまるです。また、この場合、中立的な審査を確保するために、研究機関に属する 者以外の者が2名以上含まれていることとする。 3つ目のくろまるです。男性及び女性がそれぞれ2名以上含まれていることとする。 次のしろまる2つが、今回の論点でございます。 さらに、研究計画の専門性に考慮し、ヒト胚の作成を伴う研究の科学的妥当性を審査す るために、1つ目のくろまるで書いてございます医学に関する専門家として、生殖補助医療研究 に識見がある者を委員として含めることを要件とするか。これは前回、「医学に関する専門 家として」という言葉は入ってございませんで、「生殖補助医療研究または生殖補助医療に 識見がある者」というような書きぶりでございましたけれども、そうなると例えばNGO の方も入るのではないかというようなご指摘がございましたので、ここは、研究の科学的 合理性を判断する役目として入っていただくということで、「医学に関する専門家として」 というふうにあえて明示させていただいております。 それから、次のしろまるでございますが、機関内倫理審査委員会は、研究関係者と常に中立性 を保ち、第三者的立場から意見を述べる立場にあることから、研究実施機関の長、研究に 関係する者(研究責任者、研究実施者、研究責任者との間に利害関係を有する者及び研究 責任者の三親等以内の親族)は、当該案件に関しては倫理審査委員会の委員となってはな らないこととしてよいか。これは、前回、研究に関係する者という内容がわかりにくいと いうご指摘がございましたので、研究に関する者を具体的に括弧内に列挙した形に書き直 させていただいております。 それから、次はくろまるでして、前回の確認でございます。審査の透明性を確保し、社会の理 解を得るために、機関内倫理審査委員会の議事の内容について、知的財産権に関する情報、 個人情報など、公開が不適切であるものを除き、原則として公開するものとする。これは、 公開という意味は議事録の意味でございまして、議事録という意味も必ずしも全部の公開 ではないということで前回ご議論いただいております。 1枚めくっていただきまして、2−2.提供機関についてでございます。提供機関の要件 といたしまして、以下、卵子の提供、精子の提供の場合を分けて検討することとさせてい ただいております。 (1)卵子(卵巣を含む)の提供機関。こちらはすべて、前回の確認事項でございます。 提供機関は、提供者から直接ヒトの卵子の提供を受けることから、採卵室、胚培養室並 びに卵子の保存設備など十分な施設、設備が整っているとともに、管理体制(管理者の設 置、管理記録の保存、施錠管理等)及び遵守すべき規則等が整備されていることとする。 次に、提供機関は、ヒトの配偶子の提供を受ける目的について、科学的妥当性や倫理的 妥当性について、第三者的な立場から意見を述べることのできる機関内倫理審査委員会を 必ず機関内に設置することを要件とする。 次に、提供機関は、十分な臨床経験のある産科婦人科の医師が所属していることを必要 とする。 次のくろまるですが、提供機関は医療機関でなければならないとする。 次のくろまるですが、手術等で摘出された卵巣または卵巣切片からの提供の場合については、 卵子の採取に必要な採卵室のような施設、整備は必要ないとする。ただし、その場合であ っても、管理体制及び遵守すべき規則等が整備されていることとする。 前回は、ここまでの議論で終わってございます。以降、(2)の精子の提供機関からが今回 の新しい検討事項となっております。しろまるですが、以下、基本的には卵子の提供機関の要件 になぞって書かれてございます。 提供機関は、提供者から直接ヒトの精子の提供を受けることから、精子の保存設備など の十分な施設、整備が整っているとともに、管理体制(管理者の設置、管理記録の保存、 施錠管理等)及び遵守すべき規則等が整備されていることとするか。 ただし、卵子との違いという論点で、また、採精室が設置されていることが望ましいと するか。 それから、提供機関につきましては、ヒトの配偶子の提供を受ける目的について、科学 的妥当性や倫理的妥当性について、第三者的な立場から意見を述べることのできる倫理審 査委員会を設置することとしてよいか。 それから、提供機関は、十分な臨床経験のある産科婦人科または泌尿器科の医師が所属 していることを必要とするか。 それから、提供機関は原則、医療機関でなければならないとするか。また、精子の場合 はボランティアが考えられますので、ボランティアの提供も考慮に入れまして、医療機関 ではない提供機関を認めることにするか。 最後のしろまるですけれども、手術等で摘出された精巣または精巣切片からの提供の場合につ いては、精子の採取に必要な採精室のような施設、設備は必要ないとしてよいか。これは、 (2)の2番目のしろまるで採精室が必要であった場合でありますけれども、そのような設備が必要 かどうかという論点でございます。ただし、その場合であっても、管理体制及び遵守すべ き規則等が整備されていることとしてよいか。 2枚めくっていただきまして、提供機関の長の要件でございます。こちらは、資料3− 2を参照いただきながら、ご議論いただければと思います。提供機関の長は主治医と兼ね てよろしいかどうかという論点でございます。 提供機関の長は、研究実施機関の長より依頼された研究計画について、インフォームド・ コンセントの内容も含めてその妥当性を確認し、その実施を了解するとともに、提供の進 捗状況を把握し、主治医に対し必要に応じて指示を与えることなどの監督業務等の役割が 求められる。しかし、研究の実施には直接かかわらないことから、提供機関の長が主治医 を兼ねることを認めるか。または、適切な採取やインフォームド・コンセントの取得の手 続を審査する機関内倫理審査委員会を提供機関の長が設置する役割を持っていることから、 主治医を兼ねてはならないとするか。 それから、次のページに移りまして、(3)提供機関における機関内倫理審査委員会の要 件でございます。 提供機関の機関内倫理審査委員会は、研究実施機関の機関内倫理審査委員会の要件に加 え、研究実施機関が行う研究計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性について、配偶子を提 供する提供機関として審査を行うほか、特にインフォームド・コンセントの手続等につい て審査を行うこととするか。 2つ目のしろまるです。機関内倫理審査委員会は、提供者と常に中立性を保ち、第三者的立場 から意見を述べる立場にあることから、提供に関係する者(主治医等)も、機関内倫理審 査委員会の委員となってはならないこととするか。 次のページでございます。3.研究実施機関と提供機関が同一の場合。これも、資料3− 2の図をごらんいただきながら、ご議論いただければと思います。 (1)機関の要件といたしまして、研究実施機関と提供機関が同一の場合でございます ので、前述の研究実施機関の要件及び提供機関の要件をともに満たすということでよろし いかということです。 しろまるの2つ目ですが、研究実施機関と提供機関が同一である場合、当該機関には提供機関 として提供者の個人情報を有しているため、個人情報の保護のための特段の措置を講じる ということでよろしいか。 個人情報の保護については、別途議論することといたしております。 次のページ、(2)の機関の長の要件でございます。研究実施機関と提供機関が同一の場 合は、当然でございますが、機関の長は同一人物となります。その場合、既に議論をして おります研究実施機関の長の要件及び提供機関の長の要件をともに満たすということでよ ろしいかということでございます。 それから、次のページに移っていただきまして、研究実施機関の長が主治医を兼ねてよ ろしいかどうかという論点を書かせていただいております。これは、既に提供実施機関と 研究実施機関が別の場合の要件によってある程度決まってくるかと思います。 それから、次のしろまるのところも、研究実施機関の長及び提供機関の長は研究実施者を兼ね てもよろしいかどうかという論点ですけれども、これも既に研究実施機関と提供機関の長 が別の場合の要件によってある程度決まってくるところがあるかと思います。同じ論点で ございます。 それから、(3)研究責任者の要件でございますが、これは提供機関と研究実施機関が同 一の場合に初めて出てくる論点かと思います。しろまるといたしまして、研究責任者は、生殖補 助医療研究を実施するとともに、その研究に係る業務を統括するという責任を負うため、 配偶子の提供者に対する心理的圧力などを防止する観点から、主治医を兼ねてはならない とするか。研究責任者が主治医を兼ねてよろしいかどうかというような論点です。 それから、(4)研究実施者の要件。これも、研究機関と提供機関が同一の場合に生じる 論点かと思います。これは、配偶子の提供者に対する心理的圧力などを防止する観点から、 主治医が研究実施者を兼ねてはならないとするか。または、医療機関における一般的な研 究においては、主治医が研究実施者を兼ねる場合があることから、主治医が研究実施者を 兼ねても構わないとするか。 (5)機関内倫理審査委員会の要件。研究実施機関と提供機関が同一である場合に、機 関内倫理審査委員会は1つでよいということになっておりますけれども、その要件につき ましては、研究実施機関の倫理審査委員会の要件と提供医療機関の倫理審査委員会の要件 をともに満たすということでよろしいかということです。 それから、次のしろまるといたしまして、その要件に加えまして、個人情報保護の措置を別途 講ずることとしてよろしいかという論点を挙げさせていただいております。 最後、一番裏のページでございますけれども、4ポツの共同研究について。ここは、複 数の研究実施機関が存在する場合には通常の研究と何が異なるのかということを考えた場 合に、胚の移送が考えられるということで、論点として考えられますのが、まず、胚の作 成をして、それを移送してよろしいかどうかということをここで考えなければいけません ので、胚を作成した研究実施機関は、原則として、その胚を他の機関に移送してよいかど うかということをご議論いただければと思います。本来であれば、ここは資料2などでヒ トの受精胚の作成・利用における禁止事項として既にご議論いただいているところではご ざいますけれども、共同研究の議論を進める上で、ここで論点として挙げさせていただい ております。 それから、複数の研究実施機関が共同で作成した胚を利用することが考えられまして、 その際、胚の移送が考えられるわけですけれども、もし1つ目のしろまるで原則として胚を他の 機関に移送してはならないということであれば、例外として作成された胚の研究実施機関 間での移送を共同研究の場合は認めるかどうかというような論点でございます。 それから、3つ目のしろまるですが、作成された胚からの個体産生を事前に防止するという観 点から、胚の移送を共同研究を行う研究実施機関内では認める、つまり共同研究を行う研 究実施機関以外への胚の移送は認めないということとしてよいか。 ということが、共同研究の論点として挙げられるかと思います。もし共同研究というこ とでそれ以外の論点がございましたら、その場でご議論を追加していただければというふ うに思います。 以上でございます。 しろまる笹月座長 どうもありがとうございました。 それでは、この3−1の資料に従って、ご議論をお願いしたいと思います。3−1の3 ページからですね。研究実施機関と提供機関は別の機関の場合における研究実施機関の要 件ということであります。最初のポツで、説明ありましたから繰り返しませんが、それか らくろまる2つは前回までに決定した。最初のしろまるからご議論願いたいと思います。 ヒト胚の作成を伴う研究の実験室についての要件でありますが、個体産生を事前に防止 するという観点及び作成されたヒト胚を無断で使用したり、持ち出したりすることができ ないようにするための管理徹底という観点から検討すると。これは問題ないと思います。 具体的には、次のしろまるですが、ヒト胚を無断で使用したり、持ち出したりすることができ ないようにするための管理徹底という観点から、ヒト胚の作成を伴う研究の実験室は、臨 床を行う場と分けると。いわゆる生殖補助医療を行っている現場とは分けると。 これはいかがでしょうか。特にご異議はございませんか。よろしいですね、これは。 ヒト胚という人の生命の萌芽を作成し、滅失することに配慮し、しかも人の尊厳を侵す ことのないよう、誠実かつ慎重に云々という観点から、ヒト胚の作成を伴う研究の実験室 は、原則として他の動物細胞を用いる実験室とは分けると。原則としてということで、後 でまた出てきますが、原則としては分けますと。ここもよろしいでしょうか。よろしいで すね。 はい。 しろまる鈴木委員 これ、前回かなり議論になったところだったと思うんですけれども、その前の臨床の現場 と分けるかどうかという話も含めて、こういう文章でいいのかどうか、ちょっと疑問です。 あともう1つ、次の動物細胞を用いる実験室というところですと、例えば私なんかが存 じ上げているところでは、例えばブタの胚を培養するような実験があって、新しい培養液 を開発するために、工夫するためにということだったんですけれども、ブタの胚で非常に 培養がうまくいったから、ヒトの、患者さんのにも使いますという発表をなさっている学 会での論文がありました。となると、その実験室で、同じ実験室で他の動物細胞を扱って いた実験ということにはならないでしょうか。そうすると、そういうことがすべて不可能 になるという。すべてというか、全部分けてやってくださいということになるのではない かと。前回の議論でも、これはちょっと現実的にどうかという話が上がっていたと思うん ですけれども。 しろまる笹月座長 個別のことを言い出すと切りがないので、まずプリンシプルとして、ここに書いてある ような「原則として他の動物細胞を」という、そこのプリンシプルについてのまず合意を したいと思いますけれども、プリンシプルについてはよろしいですか。このプリンシプル のレベルで、そんな必要はないとおっしゃるのなら、それはまた話は別ですが。 「人の生命の萌芽を作成し、滅失する」「人の尊厳を侵すことがないよう」云々として、 動物細胞とは分けると。いかがですか。 はい、どうぞ。 しろまる水野委員 理科系の実験の現場、あるいはその必要性というものについてよくわからないところが ございますので、理科系の先生方にお教えいただきたいと思うんですが、人間の胚なり配 偶子なりについての尊厳を守るところは非常に大切だと思うんですけれども、それを及ぼ し過ぎてしまいますと、いわば全部アンタッチャブルの聖なるものを扱うということで、 動きがとれなくなると思うのです。ちょっと私、ES細胞指針の研究指針なんかも厳し過 ぎるというふうに考えているものですから。つまり、患者から採取するときにはほんとう にその患者に圧力が加えられないかということにはものすごく細心の注意をしなくてはい けないし、それから、人工的に作成した胚から命をつくり出してしまうというような、母 体や動物の胎内に戻すようなことも、これも極力気をつけて、そんなことが万一にも起こ らないようにしなくてはいけないと思いますけれども、研究対象にする形でそこの2つを 守っておけば、胚そのものを研究対象にするときはかなりいろんな自由度を加えるほうが いいように思うのです。そうでないとなかなか研究が進まないのではないかと思いまして、 理科系の先生方をこういうふうに外形からいわば聖なるものを扱うのだという形で攻めて いくことで何もかも縛ってしまうことが現実的ではないような制約になるのだとすると、 それは非常に問題かなと思うのですけれども、その辺は私にはよく実情がわかりませんの で、どうもちょっとそういう観念が非常に現実的ではないところまで走っていろいろなガ イドラインが決められているような危惧を覚えておりますが、いかがでしょうか。 しろまる笹月座長 どうでしょうか。はい、どうぞ。 しろまる小澤委員 今のご意見に賛成なんですけれども、一番大切なのは、やっぱり人の体に戻すものをい ろいろ操作するときは、きちっと臨床用の細胞プロセッシング室みたいなところでやるの がいいと思うんですね。それ以外の研究は、いろんなものがやっぱりあるでしょうから、 いろんなプロジェクトごとに実験室をそろえていくというのは、よほど余裕、スペースと か、いろいろ余裕があるところでないと、実際上は無理のような気がするんですね。僕ら の大学でも一応、人の体に戻すための臨床用細胞プロセッシング室はもうそれ用に用意し て、あとは普通の実験室がいろいろあって、また、ヒトのES細胞を扱う実験室はまた別 に用意してあるんですけれども、これ以上またいろんなのを用意するというのは非現実的 で、研究であれば別に何か大きなトラブルが発生するわけではないと思うんですけれども。 しろまる後藤委員 このオープンサークルの2つですね。4つあるうちの下の2つは、ちょっと相反するよ うな感じがするんですね。一方で原則として分けると言っていて、やむを得ない場合は当 該実験室内で扱うことができるというのは相反する言葉だと思うんですが、先ほどから言 われている先生に私も賛成で、トランスレーショナルリサーチというか、やはり人体に戻 す研究をするかどうかということで分けるということで、倫理指針もかなり変わってきて いますし、そこで線を引いたほうがいいんじゃないかなというふうに思います。 しろまる笹月座長 ほかの委員の方のご意見は。はい、どうぞ。 しろまる秦委員 ES細胞との関連を考慮しなければいけないと思います。ヒトの胚はヒト生命の胚芽で あるという観点から申し上げると、ES細胞というのはやや語弊があるかもしれませんが それは細胞であり、その重要性を尊重する必要があると思います。従って、動物を扱うも のとは別に考える必要があると思います。 しろまる高木委員 私も、これはこれで、もしそういうふうに持っていくんだったらいいと思うんですけれ ども、ES細胞の場合は必ず、他の動物と一緒にしない、実験室を分けろということを 言っていますよね。そうした場合に、ES細胞ではなくて、ヒト胚を扱う実験を同じにし ていいとこっちで言うと、ES細胞の実験指針と何か合わないというか、ESのほうは直 す、こちらはそういうのが出たら、こちらのほうに直してくれるというのならいいんです けど、何かちょっと、あまり変にアンバランスになっちゃうことはちょっとどうかなと思 うんですけど。 しろまる笹月座長 ESのときのほかの動物と同じ部屋ではいけないというときのプリンシプルは、どうい うことでしたか? しろまる長野安全対策官 ES指針のほうでは、ある意味、運用上でなされていることではあるんですけれども、 十分な施設・設備を有するという指針の規定の中で、運用上、ヒトES細胞を扱うときに は専用の実験室で行うと。その際には動物細胞等を扱わないというふうにやってございます。 しろまる笹月座長 そういう意味においては、秦先生がおっしゃったことはいみじくもそれですけれども、 ヒト胚という場合には、生命の萌芽、人の尊厳云々ということからプリンシプルとして動 物の細胞とは一緒にはやりませんという考えが出てくるわけですけど、そういう視点がES の場合にはないわけですね。 しろまる町野委員 昔のことをあまりしゃべると年がわかってしまうようで嫌なんですけど、先ほどご説明 ありましたとおり、ESのときの一番最初の研究計画、ES細胞の使用の計画について、 動物による実験だとか、そういうことで使われるクリーンベンチを共用するというような 計画が出てまいりまして、それに対して、理系の人が反対したわけじゃなくて、文系の人 が、これは人間の尊厳に反するといって反対されたという経緯があるんですね。その考え 方を一応プリンシプルとしてその時点から維持してずっと来ておりまして、ただ、どこま でそれが......。例えば、ややこしい話で、機械を共用したらどうかとか、そういう話まで なって、それは構わんだろうという話になってきたので、徐々に薄れてきているんですけ ど、最初の時点では、ある委員が批判されましたとおり、これはやっぱりおかしいという 考え方がかなりあったんですね。つまり、これはいわば動物病院で人間の手術をすると同 じように見ているんじゃないだろうかと。そういう考え方はやっぱりおかしいので、汚染 されるとか、コンタミネーションだとか、そっちのほうがおそらく問題なんだ。コンタミ ネーションは問題なのかもしれないけれども、倫理上の問題というのはないのじゃないだ ろうかという議論が片方にあったわけですね。だから、徐々にESのほうは緩んできてい ますけれども、考え方としては非常に緩んでいますけれども、先ほどご指摘ありましたと おり、こっちのほうを完全にオーケーにしてしまうということになると、ESの場合と バランスがとれないことは確かなんですね。それはそうです。 しろまる笹月座長 それと、ヒト胚、受精胚ですね。ヒト胚の尊厳とか、命とかいうようなことが、実験に 使うんだから、そういうプリンシプルあるいは観点は要らないんだと。動物と一緒にまぜ ようがどうしようがみたいなことになっちゃうと、これまで議論してきた一つのトーンも 少し崩れるみたいな感じがしますけど、そういうことはありませんか。 しろまる小澤委員 少し話がずれるかもしれませんけれども、ESのほうのガイドラインも、あまりにも厳 しくて、研究者サイドからはもう少し規制を緩めてくれという悲鳴みたいなのは出ていま すね。中内先生がいらっしゃるとほんとうはよろしかったと思うんですけれども。それで、 iPSの出現で少しトーンダウンはしているかもしれませんけれども、ESのガイドライン の見直しの話なんかも少し出てきてはいたのではないかなと思うんですけれども、その辺、 具体的な現在の動きは何かあるんでしょうか。 しろまる長野安全対策官 まず前提としまして、先ほどどなたかからお話ありましたように、ES細胞は胚ではな くて、胚から樹立されたES細胞、それから、それを使用するということの流れであると いうことから比べると、これはヒトの胚そのものを作成し利用する研究ですので、逆に言 うとこちらのほうがより人の生命の萌芽そのものを扱うということですので、そういった 観点でここはご議論いただければというのが、まずございます。 ですので、ES指針そのものの規制についてどう考えるかということについては、なか なかここの場でご議論いただくのは難しいと思いますけれども、そこの点のちょっと違い のことを踏まえた上でご議論いただければというふうに思います。 しろまる笹月座長 どうぞ。 しろまる吉村委員 我々はES細胞におきましても提供機関になったわけですけれども、ESからお話をし ますと、そのときは人の臨床と同じ条件の中で提供いたしました。研究に関しましては、 要するに廃棄ということが決定されたということが、それにクライアント夫婦からおっしゃ るわけですから、廃棄をしてよろしいといった胚につきましては、動物実験と同じ部屋で 研究しました。というのが、今のところ現実でございます。ですから、もし原則として分 けるということになると、そういった部屋をつくらなくてはいけないということになる。 それほど困るとは私は思いませんけれども、ヒトを扱う研究する場所を動物とは違うとこ ろにつくるということについては、特にそれほど大きな問題にはならないと思います。現 実は、廃棄ということが決定しますので、動物実験と同じところでやっています。 しろまる笹月座長 吉村先生のは作成というところも入るんですか。それは入らない? しろまる吉村委員 現実においては、作成という研究はほとんどやっていません。そういった作成のために 配偶子をいただくということはほとんど、研究として今まで1件か2件ぐらいしかないと いう現実があります。もともとは、やっていた研究は、できた胚を廃棄する、そういうこ とが決定された胚を使っての研究が多かったと。ほとんどがそうであったというご理解で 結構です。 配偶子に関しましては、精子に関する研究は多々ありますけれども、未受精卵を使って 胚をつくるといった研究はほとんどやられておりません。 しろまる町野委員 私は、結論的にはこれでいいと、仕方がないなというぐあいに思っていますけれども、 ES指針のほうは、とにかくあれは指針で決まっているわけじゃなくて、運用がそうなっ ているというだけなんですね。ES細胞のとき問題だったのは、ご発言ありましたとおり、 あれは細胞なんですね。ところが、あれを胚と同じように考える人たちがかなりいたため に、さっきのような議論が、非常にややこしい話になったということはあります。こちら ではまさに胚の作成の問題ですから......。 しろまる笹月座長 それは、秦先生がおっしゃったように、あれは単なるセルということで、こちらは胚で すので。 しろまる町野委員 そうです。ですから、こちらのほうではこれでいいんじゃないかと、私は思いますけれ ども。 しろまる秦委員 少なくとも生殖補助医療ということが前提となると、やっぱりそのあたりは慎重にする べきであると思いますね。 しろまる笹月座長 いかがでしょうか。 しろまる高木委員 そのときの議論は、ヒトの胚と動物実験を同じ場所でやると、一般の人たちがそれを気 持ち悪く感じるという議論だったんです。しかし時と共にそういう意識もだんだん変わっ てきている。例えばiPSの出現などで世論も変わってきている。ですから気持ち悪さと か、そういうことではなくて、科学的に分けることが必要なのかどうなのかということを ある程度議論する必要もあるんじゃないかと思います。その当時も、ヒトES細胞の培養 にはマウスのフィーダーを使っているのに、動物のものと分けるということ自体がおかし いじゃないかという話もあったわけです。だから、科学的に、例えばコンタミとか、そう いう意味で分けることが必要なのかを議論してもいいんじゃないかとは思うんですけど。 しろまる笹月座長 もちろんサイエンティフィックな議論も必要ですけれども、ここでは、ヒトの胚という 生命の萌芽とか、人の尊厳、これはヒトの胚を言うときには必ずまくら言葉として出てく るわけですね。だから、これを実験して、最終的には破棄するんだから、胎内に戻さない んだから、これは実験材料ですと、そういうふうにドライに割り切ってしまうのならそれ はそうでいいんだけれども、あくまでもヒト胚というものは生命の萌芽でと言い続けると すると、ほんとうに動物細胞と一緒のところで一緒にやっていいんですかみたいなクエス チョンは必ず出てくると思うんですね。だから、滅失する、もう殺してしまうんだから、 それはまさに実験なので、それまでのプロセスは動物細胞がそばにあろうがというような ことになっちゃう。それでいいのかどうかということですね。だから、それは最初に、繰 り返しですけれども、生命の萌芽とか、人間の尊厳とか、そんなことを言わないのなら、 それでいいと思います。 しろまる町野委員 私は何回も言っていますように人間の尊厳という言葉は非常に嫌いなんですけれども、 非常にブラックボックスの言葉で、問題なのは、私、結論はこれでいいだろうと思います けれど、尊厳ということで片がつく問題では実はないだろうと思うんですね。どうして動 物と同じところでやったら人間の尊厳が侵害されるか、全然そんな理屈はどこにも世の中 に存在しないわけですね。やっぱり問題なのは、つくっているときに、胚を作成している ときに、何らの汚染とか、そういうことが起こるのじゃないか、そのことが結局のところ 人間の尊厳に反するという結果なんじゃないかと、おそらくそういうサイエンティフィック なところはかなり議論だろうと思うんですよ。多くの人たちは、それがかなり議論があっ たところで、そのために、今のように人間と動物とを同じところで扱うのはよくないとい うことから始まって、ヒトES細胞、細胞であるにもかかわらず、動物と同じ部屋で使っ ちゃいけないというぐあいに、どんどんタブーの領域が拡張してきたわけですね。ただ、 今のような議論をしますと、前回のときも、私、あまり記憶がはっきりしてないですけど、 ある委員がおっしゃられたのは、今のような考え方、つまり、およそ動物と人間と同じ場 所で扱うのは人間の尊厳に反するという考え方、それが支持されなくなってきているとい う高木委員のようなお考えというのは、まだエビデンスがないじゃないかということを言 われた委員もありますし、エビデンスのことを言い出すと切りがない話ですけれども、そ ういうことがありますので、私は、これはこのまま置いておいていいんじゃないかという ぐあいに思いますけれども、ただ、今のようなことは、高木委員が言われたり、それから 水野委員が言われたようなことというのは、私たちはあまりにもタブーが多過ぎるんです ね、尊厳という言葉によって。私は、それは将来考え直すべきだと思います。 しろまる笹月座長 そうだと思いますけれども、今、先生がおっしゃった尊厳、2種類使われたんですが、 どうして動物細胞と一緒のところで培養すると尊厳が失われるのかと。一方、汚染されて しまったときには人間の尊厳が失われるじゃないかと、先生がそう言われたので......。 しろまる町野委員 いや、そういう趣旨じゃないです。後で説明します。 しろまる笹月座長 いやいや、言われた事実をちょっと述べているんだけど、尊厳は嫌だと、嫌いだと言っ たにもかかわらず、二度目のときには尊厳を使われたのは、非常に納得できない。(笑) しろまる町野委員 説明させていただいてよろしいですか。 しろまる笹月座長 いや、ちょっと時間がないので、やめましょう。(笑)この手の議論は切りがないんで すね。ですから、一応ここでは、それでだめだと言われれば、ちょっとご意見ください。 要するに、3つ目のしろまる、「原則として他の動物細胞を用いる実験室と分けることとする」 というのが私の一番納得できる最終的な文章ですけれども、それでよろしいか。それでも やっぱり、これはだめだと、おかしいと、分ける必要ないと言われれば、ちょっとそのご 意見をいただけますか。 しろまる木下委員 私たち実際に実験する立場からしますと、ES細胞の指針のところというか、運用のと ころでいろんなご議論あったのはよくわかりますし、現実的には吉村先生が言われたみた いなことも事実ありますし、サイエンティフィックにはやはり、実際に動物を扱うと、そ の場におけるコンタミというのは、別の細胞と、動物の細胞と合わせるということはあり 得ないと思いますし、クリーンでやることに関しては全く交わることはないというような ことからして、現実的には2つの実験室をヒトのために設けるなんていうことは我が国に おいては極めて不可能に近いことだと思いますし、もっとサイエンスを発展させるために は、もうちょっと自由度を与えていただけたらなと。尊厳云々とか、生命の萌芽であると かというふうな、そういう視点は確かにあるにしても、しかし、これはあくまでもそれ以 上のことで、つまり、それをヒトにしていくだとかというようなことは、全くヒトに返す かということは違いますものですから、その意味からしますと、やはりこれは、現実的に は分ける必要は全くないかなという気がいたします。 と申しますのは、4のところで、ただし、研究において必要不可欠な場合には、他の動 物細胞等をヒトの実験室でやってよろしいとなって、これを見たときに、結局構わないん だなと実は思っちゃったんですけど、実にうまく書いてあるなと思っているんですね。そ ういう複雑なこと言わないで、大丈夫だと言ってしまえば、4番のところで認めているわ けですから、必要不可欠だということは、どの場合だって必要不可欠と考えればいいわけ で、つまり、場所がなければそれしかないのでありますので、そういうふうなこととして、 もうちょっとクリアに、明確に、我々の指針としては出していくぐらいの大胆さというか、 そういうのでもいいのではないかなと。ただし、町野先生がおっしゃるような倫理的な視 点というのは非常に大事だと、決して無視するわけじゃありませんけど、もうちょっとそ れが納得いくようなものであるならば当然と思いますが、前向きに考えていただきたいな と思います。 しろまる笹月座長 動物細胞と一緒に培養したら、なぜ人の尊厳が侵されるのかと、そういう議論はそもそ も、もう成り立たないと思うんですね、いわゆる倫理ということを言う場合には。要する に、このヒト胚というものをどういうふうに把握するのかというのは、1人1人違うと思 うんですね。その把握の仕方に準拠して、いやいや動物細胞と一緒でもいいですよという 意見があったり、いやだめだという意見があったりすると思うんですね。だから、この委 員会としては、これはもう全然関係ないから、しかも決して人には戻さないんだから、ヒ ト胚をつくって実験して、動物細胞と一緒でいいじゃないかということであれば、それが 皆さんの合意であれば、それはそれで、私一人固執する気はありませんけど。 しろまる秦委員 研究においてヒトと動物の細胞を同時に扱うことが必要不可欠な場合、たとえばそれは フィーダーの使用などが代表的なものだと思いますが、次の項の但し以下で担保されてい るわけですから、それを適用すれば良いのです。やはりヒト胚を取り扱うのは動物と分け てやるべきだと思います。確かに、人の尊厳を侵すかどうかという問題は科学的な問題で はないので、それは削除するとしても、、、、。 しろまる笹月座長 設定の仕方ですね。そんな設定では答えが出ないので、先生がおっしゃるように、やっ ぱりそれはヒト胚というものに対する把握の仕方でその意見が異なってくるんだろうと思 うんですね。だから、これは議論しても答えは出ないんじゃないかと思います。ただ、例 えば部屋を2つに分けて、こっちはヒトでやります、こっちは動物でやりますというふう にして、現実的な解決はできると思いますね、パーティションか何かで分けてやれば。 しろまる高木委員 現実的な落としどころとして、複雑にしないほうがいいというよりも、複雑にしておい て、研究において必要不可欠な場合にはそこを使用できることをつけ加えておけば、双方 うまくおさまるんじゃないでしょうか。 しろまる町野委員 そうするとポイントは、もう1つ部屋をつくらなきゃいけないかどうかだけですね、こ うなってきますと。 しろまる笹月座長 1つの部屋があって、そこを2つにパーティションか何かで分けてやったらいい。現実 的なやり方としては。 しろまる町野委員 それが不都合だと、これは到底やってられないという話であるならば別ですけれども、 何とかそれがなるなら、ここはというぐあいに思いますけれども、私は先ほど言いました とおり尊厳という言葉が嫌いですけれども、だから、文章、ここは削除してもらいたいと ずっと前から思っていますけれども、それはあえて言いませんけれども、これではぐあい 悪いでしょうか、木下先生。 しろまる木下委員 私は、パーティションというか、ほんとうにクリーンな培養室その他をきちっとした実 験室としてまた1つの部屋をとるかというイメージがあったものですから、1つの部屋で ヒトの場合と動物の場合とで分けてやるというふうなぐらいのことを意味しているとすれ ば、別にこれ以上のことは、何も申し上げることはないと思います。 しろまる笹月座長 いわゆる倫理という問題をどう把握するかということだと思うんですけど、それをサイ エンティフィックに意味がありませんと言っちゃうと、ほんとうに倫理というものが成り 立つんですか。 しろまる町野委員 私に聞いているんですか。 しろまる笹月座長 いやいや、一般論。(笑)どなたでも結構ですが、倫理というものがご専門の方もおら れるわけですね。 しろまる小澤委員 現実的対応の部分で、例えば時間的に分けるとか、せめてヒトES細胞用の部屋は認め てもらうとか、そんなふうにすればまだ実施可能かなと。 しろまる加藤委員 時間で分けるのもいいんですかね。よく、女湯、男湯というのを看板で分けているとこ ろがあるけど。(笑) しろまる笹月座長 逆に言えば、現実的にヒトと動物とを一緒にやっているようなことは多いんですか。 しろまる吉村委員 廃棄する胚については、動物のほうでやっています。胚を捨ててよろしいと、これは研 究に使ってくださいと言われた場合は、動物実験室でやっています。これは胚の作成もあ りますので、そういったお考え方でやってくださいということであるならば、こういった 研究をするような施設は、そういったことの対応はできると。すべきであるという考え方 を皆さんがされれば、私はそれに従うべきだと思いますけど。 しろまる笹月座長 いかがでしょうか。 しろまる後藤委員 それは、設備とか、その辺は全然変えなくて、同じクリーンベンチとインキュベーター を使って、時間で変えるということですか。そういうことになるという......。 しろまる吉村委員 いや、おっしゃっていることはそうじゃない。そうじゃないところにしてくださいとい うことを、文科省はそう思っておられるんじゃないですか。 しろまる後藤委員 そうすると、やっぱり数百万はかかるのかなという感じがするんですけど。 しろまる吉村委員 数百万かかるかどうかわからないですけど、部屋を3つ持っていれば、1個をそうすれ ばいいわけでありますから、そんなに大変ではないと思います。例えばクリーンベンチを ヒト専用にするとか、そういった方策だってあると思うんですね。 しろまる笹月座長 要するに、ヒト胚という生命の萌芽というわけでしょう。それを使って研究をする機関 はやっぱりそれなりの設備を整えなければいけないと。その1つがヒト専用の実験室です ということになるわけですね。だから、それをそうしますと。そして、例えば5年後の見 直しのときに、それはもうナンセンスだということであれば、そこでまた解決する。そう しないと、何かこのヒトの胚、どこから生命と言うかというようなことがまた議論になっ てしまいますけれども、ヒト胚は生命の萌芽であるということでここに挙げられたんだと 思うんですね、総合科学技術会議からここで議論せよと。そうすると、その部分が吹っ飛 んでしまうような感じが私はするんですね。 しろまる石原委員 1つだけ確認しておきたいんですけど、今、座長の発言の中で1つ気になりましたのは、 今議論になっておりますのは、研究目的で配偶子からヒトの胚を作成するから、それにつ いてきちんと考えるべきではないかという話をしていたと思うんですが、今の座長のご発 言は、ヒトの胚を使う研究はというご発言のように聞こえたんですが、そうすると、例え ば今回のようなことを超えた、例えば廃棄する胚を用いる研究というのについても、やは り特別な部屋をつくってということをお考えになっているということなんでしょうか。 しろまる笹月座長 廃棄する胚。廃棄する胚といっても、研究するからには最後は廃棄するわけですね、す べて。 しろまる石原委員 もちろんそうですけど、ただ、研究に用いずに廃棄されている胚がたくさんあるわけで すね、現実の話として。それを研究に用いる場合というのが実際には数としてははるかに 多くて、こういうふうに例えば配偶子から研究目的に胚をつくるというのは、とてもレア ケースだと思うんですね。私たちは今そういう研究をやろうという発想はありません。た だ、先ほどの厳しい考え方ですが、今まで捨てられていた胚を研究に実際に用いられてい る、日産婦で登録されているのが幾つかあるか、ちょっと覚えていませんが、たくさん既 に行われているわけですね。それにもし今座長のおっしゃるような厳しい、これから新た に胚をつくり出すということと同じことを当てはめるという話になりますと、かなりいろ いろな問題が生ずるんじゃないかなと思いまして、ちょっと確認したかったんです。今の 論点とはちょっと違いますが。 しろまる笹月座長 いや、そもそも研究実施機関だから、胚をつくる機関というよりも、実際にどこかから もらって研究をする、つくるところじゃないものもこれには入っているわけですね、実施 機関ということは。 しろまる長野安全対策官 事務局のほうから、一応整理のために。 ここで研究実施の要件ということで今ご議論いただいているのは受精胚の作成を伴う研 究を実施する場合ということで、ですので、また別途、余剰胚の利用についてはご議論い ただくことになるかと思いますが、今、主査がおっしゃったのは、胚の作成を伴う研究を 実施して、さらに、後で出てきますけれども、例えば共同研究なんかの場合に、どこかで 作成した胚をまた別の機関が使うという場合も想定されると、多分そうおっしゃったと。 しろまる笹月座長 はい。 しろまる長野安全対策官 だから、そういう意味では、胚を使うという意味では、場合としてはおそらく違うかも しれません。それは同じかもしれませんし、違うかもしれません。そういった意味で、 ちょっと整理のために。 しろまる笹月座長 さあ、どうでしょうか。廃棄することが決まった胚を使って研究をすると。 しろまる高木委員 差し当たって今は、この部分は飛ばして議論してもいいということですね。 しろまる石原委員 そうしていただきたいと思うんです。それはまた別の機会にということですよね。 しろまる長野安全対策官 もう一度すみません。 今ほど申し上げた余剰胚の利用と申し上げているのは、生殖補助医療の過程で患者さん が受精させてできた胚について、凍結されて保存されているものを、最終的にはもう要り ませんということで廃棄されるような胚を研究のために提供いただいて、利用して研究を するといった場合については、ここではとりあえず別の議論ということで置いておいて、 ここでは、配偶子をいただいて胚を作成するという作成を伴う研究の場合を一通りご議論 いただいて、その後、余剰胚のほうの利用についてはまた検討いただくということで、 ちょっと切ってご議論いただければと。 しろまる笹月座長 吉村委員が廃棄することが決まった胚をと言われたので、ちょっとそっちへ行ってしま ったんですけれども。いずれにしましても、胚を新たに作成し、それを使う研究実施機関 というものが、独自のヒト専門の部屋を必要とするか、しないか。それは、サイエンティ フィックの議論では、別にその必然性はということは出てくるのかもしれません。それに ついても意見はいろいろあるかもしれませんけど、むしろここは、サイエンティフィック にどうかというよりも、倫理ということでどうかというふうに考えていただきたい。 しろまる加藤委員 ほんとうのことを言うと倫理という言葉の使い過ぎで、ただ、例えば人口の30%の人 は、全く合理的な根拠はないのに非常に不愉快だと思うというときに、わざわざそれを強 行することないじゃないかという、いわば英語で言うとharmsに対してoffenseという概念 があって、非常に多くの人というか、かなり多くの人が、普通30%ぐらいという例がよ く教科書的には出るんですけれども、そういう場合には、合理的な根拠はなくても、あえ て不快になるようなことをしないということはあるわけですね。例えば、日本でイスラム 教の教典を廃棄物にして捨てたところ、多くのイスラム教徒が非常に怒ったという事例が ありますけれども、そういう場合にはやはり、イスラム教の教典を一般のごみに捨てない という配慮が要求されるということがあると思うんです。この場合に、日本の一般の人々 の中で、女湯と男湯を一緒にするなとか、それから、焼き場というのは動物の焼き場と人 間の焼き場は区別していますけど、多分、焼き場を区別しないというと、相当多くの人は 抵抗するんじゃないかと思うんですね。ただ、焼き場を区別する合理的な根拠って、ない んじゃないかと思いますね。 今、この胚の実験の場合ですけれども、もし多くの人々が実験ってどういうことをやる のかっていう実情がよくわかれば、これに対して非常に不快感を感じる人が30%ぐらい はいるというようなことは起こらないんじゃないかと。だから、むしろ、こういうことを やるんですから大丈夫ですという説明をすべきことで、ほんとうは、部屋を分けるとか、 看板をつけ直すとかいう必要は、本来はないんじゃないかと思います。 しろまる笹月座長 ありがとうございました。今ので、いわゆる倫理とサイエンティフィックな合理性とい うものがよく峻別されたと思います。 いかがですか。 しろまる鈴木委員 何を言いたいか、今、一瞬わからなくなった。 笹月主査のお話もわかりますので、文面はこれでいくというのであれば、もうこれでい いかなというふうにも思います。しようがないというか、という気はします。 しろまる笹月座長 ほかの委員の方。小澤委員は? しろまる小澤委員 この領域の研究者のサイドからは、それほど不都合というようなお話は出てきませんの で、これでもよろしいかなと思いますけれども、僕は、先ほど、作成だけではなくて、利 用まで含めて考えるのかなと思っちゃいましたので、それで少し慎重な意見を言ったんで すけれども、作成ということに限って......。 しろまる笹月座長 利用も入るわけです、ここは。 しろまる小澤委員 入るんですか。 しろまる笹月座長 ただ、そのときに、先ほど吉村委員がおっしゃった、破棄する余剰胚のところはまた別 途議論しましょうという意味です。 しろまる小澤委員 いずれにせよ、専門家がそれほど不都合ではないというようなご意見のようですから、 これで結構かなと思います。 しろまる鈴木委員 すみません、思い出しました、何を言いたいか。 本来、倫理的かどうか、あるいは感情に反するかということも含めて問われるのは、研 究計画そのものだと思うのですね。現実に実験室が分かれているかどうかはむしろ研究計 画の内容による二次的な問題であろうと思うのですが、先ほど言ったように、文面上で尊 厳ということを大事にしたいからこれでいくというのであれば、それはそれで私はよいか なというふうに考えます。 しろまる笹月座長 どうでしょうか。町野委員がいろいろ言われた後、だけど結論はこれですという、その 根拠は何ですか。 しろまる町野委員 根拠は、先ほど加藤委員が言われたのと全く同じなんですね。私も、要するに倫理とか そういうことで、これでまいったかと言われるのは非常によくない考え方で、多くの人が やはりこれに不快感を覚えているということであるならば、あえて押し切る必要はないだ ろうと。 実はこの問題というのは、前に厚生労働省の委員会のほうでヒトの中絶胎児をごみにし て捨てたのがどうのこうのというときの議論からあるわけですね。あのときに、これは胎 児の尊厳に反するというような主張がされて、じゃあどうしたらいいのかよくわからない まま、最終的には廃棄物処理法違反で、要するにごみの捨て方が悪かったということで片 がついた、考えてみたら非常にわけのわからない事件だったわけですけど、あれと同じよ うな議論というのがやはりあるわけですね、多くの人に。私はそれはある意味で支持いた しますから、皆さん方がこれを不愉快だと思う人はかなりいるというのは理解しますから、 その範囲でこうすべきだと。ただ、倫理的に考えたら必ずこうなるというわけじゃないと いうのは、加藤委員の言われるとおりなんですね。倫理と科学とは違うというのは確かで すけれども、ただ、科学的な裏づけというのは片一方に必ずなきゃいけない。倫理につい ても、みんなが倫理違反と思うというのは、多くの人たちがこれを、このようなやり方、 生命現象についてのこのような対応の仕方を支持しないという、そういう事実があるから こういうことが初めて出てくるわけで、私は、まだその事実は存在すると思いますから、 これでいい。ただ、何回も言いますけど、尊厳という言葉を使うというのは、ちょっと乱 用が過ぎるというぐあいに前から思っています。 しろまる笹月座長 ほかの方はいかがでしょう。よろしいですか。 しろまる水野委員 最初に申し上げてしまったので、ほんとうに事実が、これはまだ国民の意識が全然固まっ ていない領域の問題だと思います、胎児をごみにして捨てるのは嫌だみたいなのもかなり 固まると思いますが、これはほんとうに全然まだ白紙であろうと思うのです。そのときに どういう形で我々が提示するかですが、これを提示したことによって逆に人々の意識がで きていくということもありまして、あまり不合理なこと、つまり、現場でいわばちょっと 大事にするというポーズをするぐらいで何とかなることならばいいんですが、そのために 国費をかなりかけてクリーンルームまでつくらなきゃいけないということだと、そういう ことをする必要はないでしょうし、研究の実施にほんとうに支障がないようなエチケット として、今後、現場でつくっていって支障がないエチケットだったら、私は、つくってい くというのはいいと思うんですが、支障があるようなエチケットを今ここでつくる必要は ないと思います。ですから、ほんとうに現場で支障があるかどうかということなんだと思 います。 しろまる奥山委員 これは一つの指針として各施設の倫理委員会で、その実験というか、いわゆる研究課題 と方法論の中でもう一度、これはそこで最終評価されるものなんですね。私はそう理解し ているんです。ですから、これは「原則」という言葉を入れていらっしゃるので、この委 員会としてはこういう見解だと。必ず各施設レベルでの倫理委員会でもこれが一つの枠と してはまっていくんですけれども、今おっしゃったところで、これぐらいだったら、「原 則」という言葉を入れておられるのと、それから、その下にもう1個設けておられますの で、これで、実際、研究計画が前に進まないとか、不必要な経費を要するとか、そういう 問題は避けられるんじゃないかなと、私は思いますけれども。 しろまる後藤委員 原則として実験室を分けることとするというふうに、こういうふうにわりあいとはっき り言われると、やはり分けなければいけないというふうに思われると思うんですね。私の 感じですと、こういう実験室を設けるというのは、クリーンベンチとか、インキュベーター とか、いろいろ考えると、やはり数百万要るんじゃないかなというふうに思いますので、 実験室を分けることが望ましいとか、そういう表現にしていただけないかなというふうに 思います。「分けることとする」というと、分けないと研究をしてはいけないというよう なことになるのではないかと。 しろまる笹月座長 私の倫理ということに関する把握はまた少し違って、500万かかるからいいでしょう とか、100万で済むからいいでしょうとか、そういうのが出てくると、またちょっと抵 抗があるんですね。ですから、一応全体として、やっぱりヒト胚というものに対する把握 の仕方で、それは言葉でうまく説明できないところもあろうかと思うんですね。だから、 説明できなければだめだと言われれば、それはそれでまたいろいろ説明の仕方を考えると しても、その把握の仕方が結局、動物と一緒でもいいかどうかということになるんだろう と思うんです。ですから、ここはひとつ、金が幾らだからどうこうという議論は、ちょっ とやめたほうがいいんじゃないかと思います。 それで、一応、原則として分けますと。ただしということで、一応ここはこれでよろし いでしょうか。よろしいですか。 7ページの研究実施機関の長の要件。研究実施機関の長は研究責任者を兼ねてはならな いというのが前回の決定で、その次は、研究実施機関の長としての業務を他の者に代行さ せることはどうかと。この点はいかがですか。 しろまる奥山委員 これは、研究機関という位置づけで、例えば生殖センターのセンター長とか、そういう レベルに考えていいのか、あるいはそこの大学の病院長なり、もう一つレベルの上の機関 の長というのを意味するのか、そこがちょっとわかりにくいんですが。 しろまる笹月座長 これもこの間ちょっと問題になりましたね。機関の長と言うときに、大学である学部が あって、そのまた下に何とかセンターという小さなセンターがあって、センター長がいる と。その上の学部の長を言うのか、あるいは大学の機関としての学長を言うのか。 はい、どうぞ。 しろまる梅澤母子保健課長補佐 ここでの議論は、そういうレベルのことよりも、よりクリニック的なところを意識した 議論でございます。例えば機関の長である院長が事務長である奥様等に代行させた場合、 実質的な適切な機関の長としての責務を、代行者によって適切に遂行されるかの実効性の 疑問といったものを問うていることとして整理させていただいております。 しろまる笹月座長 それもちょっと何か......。 しろまる高木委員 これ、結局、小さいところは研究するなという感じにも読めてしまうんです。生殖補助 医療では、小さいクリニックで体外受精するヒトが多いし、そういうところで研究してい るというのも多いと思うんです。しかしこの書き方だと、実質的に小さい研究機関はそう いうことやめなさいと言っているように読めるんですが、どうなんでしょうか。 しろまる笹月座長 この辺の現実的なところは、例えば吉村先生、小さなところ云々という実情をちょっと ご説明いただければありがたいんですが。 しろまる吉村委員 現実に、私も前回この問題で疑問を投げかけたのはそういうことでありまして、研究実 施機関の長と研究責任者は一致することが多いですけれどもいいでしょうかということで した。この前のときに研究責任者と一緒であってはいけないということは決定されたわけ ですから、これだと、これはMDじゃなくてもいいということになります。責任者と実施 者がいるということになりますと、今のクリニック、体外受精をされているクリニックは 大体3名ぐらいの方はおみえになるということを考えますと、現実面で絶対難しいという ことはないと思いますが、小さいクリニックでの研究、今までやっていたような研究はで きなくなるということはあるかもしれませんね。しかし、これはやはり胚を作成するとい うことが主眼に置かれますと、こういった縛りはやむを得ないのかなという感じはしてい ますけど。 しろまる笹月座長 はい、どうぞ。 しろまる石原委員 私も、さっきの話の続きなんですが、今やっている前提が、配偶子を用いて新たに胚を 作成し、それを滅失するような研究を行う施設ということに限定されているという条件で は、この程度厳しくしておいても、現実にあまり困らない可能性が高いと思います。この 時点では、そのあたりに関しては。ただ、研究実施者が研究実施機関の長を兼ねるという パターンは十分あり得ると思いますので、この間、研究責任者と分離する必要があるとい うことを決めた以上は、こっちはオーケーにしていただかないと、これもだめということ になると、なかなか難しくなると思います。 しろまる笹月座長 ほかの方もよろしいですか。ありがとうございました。 それでは、その次、倫理審査委員会。 しろまる高橋室長補佐 7ページの3番目のしろまるについて、ご議論いただければと思います。 しろまる笹月座長 はい。途中を今読んだところなんです。 しろまる高橋室長補佐 あっ、2番目のしろまるについて。 しろまる笹月座長 それを今、単語を1つだけ読んだので、誤解があったんだと思います。「機関内倫理審 査委員会を設置して」というところを読んだので。いずれにせよ、その2番目をやろうと しているんですが。最終的には、研究実施機関の長は研究実施者を兼ねても構わないのか どうかという。これは、責任者としてはだめだけれども、実施者としてはよろしいかとい うことですが。これはよろしいですか。 ご意見ございませんか。はい、どうぞ。 しろまる安達委員 そうしますと、さっきの2番目のしろまるのところは、代行者を立ててよいというふうにとっ てよろしいんですか。そういうことで? つまり、機関の長である者が研究をするときに は代行者を立ててもよいということの理解でよろしいんでしょうか。2番目に戻りますけ れども。 しろまる笹月座長 先ほどはそれでよろしいということというふうに理解したけど、そうじゃないんですか。 機関の長としての......。ちょっと待ってください。 しろまる安達委員 つまり、小さい機関であっても3人ぐらいいるという先ほど吉村委員のお話、それは多 分、研究を実施したりすることができる人が3人ぐらいいてというようなニュアンスにも とれたんですけれども、例えば、人数はともかくとしても、事務、要するに医師でない者 がそのときだけ研究機関の長というふうに代行するというふうにしてもよいという意味で すね。2番目の設問はそういう意味だと思うんですけれども、それが決定されたというこ とでよろしゅうございますか。 しろまる笹月座長 どこが問題なのか、ちょっとご指摘いただければと思います。 しろまる長野安全対策官 まず1番目のくろまるのほうで機関の長は研究責任者を兼ねてはならないというのがあって、 その次のしろまるのほうは、ただし、その場合ということで考えると、機関の長が代行を立てる、 研究実施計画に対しての監督責任ということで代行を立てるということにするのか、また は代行させてはいけないというふうにするのかと、一応両論併記に差し上げていて、その ことについて、先ほどは少々厳しくてもいいんじゃないかというようなお話もありました けれども、結論としてどちら側になったかという確認なんだと思うんですが。代行をもし 立てることができれば、機関の長もその場合に限ってその研究計画の研究責任者にもなれ るということになります。代行を立てられないということであれば、どんな場合でも絶対 に研究責任者を兼ねてはならないということになります。 しろまる笹月座長 代行を立てると研究責任者になれるということですか。 しろまる長野安全対策官 ここで申し上げているのは、例外的にその研究実施計画に関して監督責任をほかの者に 機関の長の責務を代行させることができるであればということでお示ししております。 しろまる笹月座長 ちょっと私、誤解していましたが、機関の長は研究責任者を兼ねてはならない。それは 前回決めたことですね。そうすると、今回、その機関の長がその職務を代行させるとする と、研究責任者を兼ねてもよろしいということになりますよと。それでよろしいかという ことですね。 しろまる安達委員 研究責任者を兼ねてもいいかというよりは、そのとき研究責任者になるということで機 関の長を一時的に退くというか、そういう理解でよろしいですね。 しろまる笹月座長 ええ。以前にもこの系は議論したことがあったと思うんですが。 しろまる安達委員 代行についてはまた別途議論するということで、この間はそういうお話だったと思うの で、きょうここで改めて......。 しろまる笹月座長 ええ。それで、そのときの議論を今思い出そうとしているんですが、要するに、代行を 立てることによって生じる不都合といいますか、アクセプトできない点が幾つか指摘され たんでしたか? 前回の議論がどうっていうのが出ないようですから。この代行を置くということは、い かがですか。 しろまる吉村委員 この書き方が少しまずいんじゃないかなと私は思うんですけれども、例えば、長は責任 者になってはいけないと。責任者に長がどうしてもなりたい場合には代行を立てるという 理解でいけば、非常にわかりやすい。それを認めますかと、そういう書き方すれば、わか りやすいのでは。 しろまる笹月座長 いや、わかりやすいのはわかるんですが、代行を置くと何が不都合かということでしょ う。 しろまる吉村委員 いや、長が責任者になりたい場合はそうですから、別に不都合とか、そういった問題じゃ ないと思います。 しろまる笹月座長 そうすると、代行を置けば責任者になれるということであれば、機関の長は責任者にな れないということ自身がナンセンスということになりますね。 しろまる吉村委員 それは、特別の事例でそういうことを認めるということじゃないんですか。そういうこ とを言われているんじゃないですか、ここでは。 しろまる町野委員 ちょっとよろしいですか。 しろまる笹月座長 ちょっと待ってください。 しろまる石原委員 これはESのをまねしているわけですね、すぐ下にある。 しろまる長野安全対策官 事務局としましては、その下に参考で挙げておりますように......。 しろまる石原委員 なぜこれはこういうふうになったんですか。 しろまる長野安全対策官 ESの指針でも、そもそもただし書きのところはなかったんです。ところが、運用して いる中で、まさに樹立機関のほうで責任者に機関の長が最も適切であるということになっ たときに、それでは機関の長についてどうするかということで、代行を立てるということ であれば大丈夫だということで運用上そうしてきたのを、指針に今回の改正で書き込んだ というものでございます。 しろまる町野委員 それではぐあいが悪いというのは、先ほど厚労省の方が言われたことですね。要するに、 ほんとうは長になるべきような人じゃないのをたまたまそこに据えてやるようなことになっ てしまうのじゃないか。小規模のところだとそうなるよと。だから、できれば慎重に考え てほしいということを先ほど言われたというぐあいに私は理解しますが。 しろまる梅澤母子保健課長補佐 そういう意味でございます。監督業務等の機関の長としての業務が代行者によって適切 に遂行されるかどうかの実効性に疑問があることをかんがみて、代行させることを認めな いとするかにつきまして両論併記しているわけでございます。 しろまる町野委員 そうすると、この書き方が悪いので、AorBと書くから悪いので、やっぱり適切じゃな い場合があるわけですね、おっしゃられるとおり。そういうときはそうなんだけど、普通 のところはできますよというぐあいに書かなきゃ。そういうあれですよね。絶対全部だめ か、全部いいかという書き方が、かなり混乱を招いたんだと思いますけど。 しろまる安達委員 言葉の問題はあるかと思うんですけど、最終的にはやはり、大学のようなところはあま り問題にならないかと思うんですが、ある程度小規模のところを考えれば、私はやはり、 代行を置いて機関の長が研究責任者になれるというところは残しておいていただきたいと いうか、入れていただきたいと思います。 しろまる笹月座長 個別の例で、いいかげんな人を機関の長とその場限りでやりましてというようなことま で推測し出すと、こういうルールはつくれませんね。だから、機関の長の代行にふさわし い人がいて、その人になってもらって、責任者になれますと言っちゃって、実態でこうい う例もあるからとか言い出すと、奥さんをして云々とか言われると、ルールはできません よ。 あともう1つは、機関の長の役割というのが一方ではあるわけでしょう。だから、その 役割を果たせるような人であればいいわけでしょう。どうですか。何か特殊なケースを推 測して云々というのは、なかなか......。 はい、どうぞ。 しろまる町野委員 要するに、文章を直せば済む話ですね。今、主査が言われるような調子で、そういうぐ あいに修文されれば。要するに、適切な人が代行者になるべきであるという話ですよね。 そのことさえ書かれていれば、問題はないだろうと思います。 しろまる梅澤母子保健課長補佐 わかりました。 しろまる高木委員 これは、別に科学者じゃなくても、事務長でも、だれでもいいということですか。 しろまる梅澤母子保健課長補佐 はい、そういう意味でございます。 しろまる鈴木委員 規模の小さいという文面は残っていくのでしょうか。多分、規模が大きい小さいという より、私が気にしているのは、例えば、日本の体外受精というのはほとんどが民間クリニッ クで行われているということと、胚移植数もそちらのほうがむしろ多いわけですね。例え ば民間病院、Aクリニックと、Aクリニックに併設な研究所というのが、かなり違うと言 いつつ、別の機関と言いつつ、ほとんどオーナーは同じという実態もかなりあるというこ とが、何とかきちんと患者に、提供する方々にきちんとした形での研究がそういった中で なされれば、それは多分、代行云々のことよりは、後の議論になる倫理委員会のあたりで 担保していくしかないのかなという気もしています。とりあえず「小さい」という表現は 適切ではないのではと思いますし、とりあえず文面上は代行ということでまずはしようが ないかなというふうに考えます。 しろまる笹月座長 実態をご存じの方が実態に即してこういういろんな不安を思いながらこういうふうにま とめられたんだろうと思うんですけど、一般の人が見た場合には、そういうルールをつくっ たときに、奥さんが云々とかいうようなことはちょっとなかなか出てこないので、機関の 長の役割というものにふさわしい、当然ふさわしい人を代行に置くわけでしょうからみた いなことにしておかないと、各論的にいろいろ述べても、なかなか難しいんじゃないんで すか。 しろまる梅澤母子保健課長補佐 わかりました。実際にこちらにも規模の大小に基準を設けることは困難というふうに記 載させていただいておりますので、ご議論のあったように変えてまいりたいと存じます。 しろまる笹月座長 よろしいでしょうか。 しろまる秦委員 そうすると、代行者の資格という問題になるわけですか。 しろまる長野安全対策官 ここで想定しますのは、まさに主査おっしゃったように機関の長の責務が果たせる者を 代行者として指名するということになろうかと思いますので、資格とか、そういったこと にはならないかと思います。 しろまる秦委員 代わり得る者というのは一体どういう人がかわり得る者になるかということに関して、 それぞれの機関で考え方が違うという可能性はないでしょうか?確かに、機関長が責任者 になれないという前提があって、この条項がもし通れば、そこが抜け穴になる可能性があ るわけです。それをやはり防ぐべきだと思います。そうだとすると、代行者というのは一 体、どういう方がなれるのかというあたりがきちんとしてないといけないということにな るんではないでしょうか。 しろまる笹月座長 機関の長の役割というのは、どこか出てきませんか? 機関の長の要件。 しろまる長野安全対策官 研究実施の手続の中でこの場面場面で機関の長がこんなことをするというのは出てきま すけれども、まとめた形ではまだ、資料としてはつくってございません。機関の長はかく かくしかじかの役割を担うとか、そういうまとめた形には、まだ資料としてはしてござい ません。ただ、手続の中でそれぞれの場面場面での役割があるというふうに認識されてお ります。 しろまる笹月座長 代行を認めれることにすれば、機関の長の要件というのはここに出てきていますね、研 究実施機関の長の要件というのが。 しろまる梅澤母子保健課長補佐 実際には、(2)の一番上のくろまるで記載しているものの要件を満たす方が代行ということ に理解しております。 しろまる笹月座長 このくろまるの前半部分がそうですね。あるいは、これにさらに加えて何か機関の長の要件と いうものが必要であれば、ここに記載してもらえば。それにふさわしい人がいて、それを 代行できれば、その人を代行にするということになるわけでしょうからね。ここに書いて あるわけですね。だから、もっとつけ加える必要があれば、そこにつけ加えていただくと。 一方、機関の長の代行というのは、我々のテーマとは別に、その機関にとって代行にふ さわしいかどうかという要件も当然あるわけでしょうからね。要するに、現実問題として、 小さなクリニックがあって、そこで行われるというようなことを常に念頭に置くのでこう いうことになるんだろうと思うんですけれども、そういうことでしょう。 どうですか、代行でよろしいかどうかという点は。よろしいですか。特に異論がなけれ ば、代行でよろしいと。 しろまる小澤委員 よろしいですか、質問をして。従来の普通の研究と随分、何となくイメージが違うよう な感じがするんですけれども、普通のものであれば、これだけの慎重なガイドラインが用 意されて、実験室もいろいろ用意されて、そして研究の倫理審査委員会も設置されてとい うと、大学とか、研究センターとか、大病院とか、そういうものをイメージして、そうい うところじゃないととても対応できないと思うんですね。でも、この研究は、小さなクリ ニックでも行うことを前提にして議論するようなものなんでしょうか。 しろまる笹月座長 本来は、何か特定のところを想定しながらというものではないと思いますね。どこでも、 その資格に合えばできますということであって。 しろまる石原委員 小さなクリニックということをどういうふうに想定されるかによると思うんです。小さ いとはいえ、小さくないんですね。例えば医師が五、六人いて、エンブロイジスト、その 他、PhDの非常に優秀な人を含めて10人、20人という人を抱えて、看護師その他で 四、五十人の規模でやっているような施設がかなりいろいろな研究をしているという実態 が、現実が存在いたしますので、そういう施設における研究というのもやはりとても重要 な部分がありますので、そこにあまり強い制限をかけるべきではないと思う。その場合、 例えば先ほどの研究実施機関の長と研究責任者を分けるということがきちんとされていれ ば、それは可能なはずであって、しかも、そういうところでインフォームド・コンセント に基づいたきちんとした研究が遂行されるように援助して、あるいはそれをサポートして いくような指針をつくることがむしろ大事だと思いますので、そうだとすると、今議論に なっております代行云々ということにあまりこだわって考える必要はないんじゃないかと いうのが、僕の意見です。 しろまる木下委員 今、小澤委員が言われたように、確かに、仮に個人の小規模の、大学に比べると小規模 のクリニックがあって、そこに研究所があって、しっかりとした研究をやっているところ はあるんですね。だけど、それはあくまで1人ではないので、そういうところでは責任者 になる必要はないと思うんですよ。何人かいるんだったら、研究責任者としてはそれなり の人がなって、代行を置いていいかげんにそのことのためにということは、最初のくろまるのと ころのことをさっき読んだんですけれども、中立性、透明性であるとか、ほんとうにその 役割というのは、きちっとした長としての役割が明確になっておりますので、そう簡単に このことのために代行を置いてなんていうのは、そういういいんかげんなというのは問題 だろうと思うので、むしろ私は、実際の研究を実施するというところで可能にするような ことで十分じゃないかなという気がするんです。研究の長が積極的であるからこそ、施設 の長が積極的に研究したいということである以上は、じゃなければおそらく研究というの はなかなか進まないと思いますだけに、どこかに参画したいということの道としては、実 際にやるというところで部分的にやっていけばいいのであって、議論のところで長みたい な役割はするかもしれませんけど、公の責任者としては、私は、そういう補足的なことを しない形で役割を入れたらどうかなと思います。 しろまる笹月座長 1つのプロポーザルが出ましたが、要するに責任者を兼ねずに実施者を兼ねればいいじゃ ないかということですね。 しろまる木下委員 そうです。ですから、私は、しろまるの最初のところは、代行させないと、認めないというこ とにして、むしろ、実施するというところではできるような形に、これはあまり役割は、 長であったってやっても構わないと思いますので、そういったふうな仕組みにしていただ ければ、この問題は解決できるんじゃないかと思いますが。 しろまる安達委員 私はちょっとまた考え方が違いまして、研究実施機関の長が一番、実際には生殖補助医 療、いろんなことに大変よく知識があって、こういう研究をしたいというふうに思ってい たときは、その人が、実質の細かいことをやるのは別としても、研究責任者になりたいと いう場面は想定されるのではないかと思うんですね。そういうときに、確かに理論的には それはだれかにやらせてという考えもあるかもしれませんが、私はやっぱり、そういう方 が研究責任者になりたいというようなチャンスは、実際にそういうこともあると思います ので、代行を別の者に置くという、そういうふうなシステムがあっていいのではないかと 思います。 しろまる木下委員 だけど、大きな問題じゃないんですけれども、私は、くろまるに明確に研究責任者を兼ねては ならないということの理由として幾つか書いてあるわけでありまして、それを生かすとす るならば、やっぱり、どんなにやりたくても、そういう縛りの中では、実際に実施者では なくても、ほかの研究責任者がいようとも、実際の研究はチームの中でいろんな発言する ということで機能すると思いますので、別に名前にこだわる必要はないのではないかなと。 ですから僕は、1番のくろまるを大事にする限りにおいては、中途半端な代行なんていうことじゃ ないほうが明快じゃないかと考えています。 しろまる笹月座長 いかがでしょうか、今のご意見。 しろまる長野安全対策官 すみません、事務局のほうから。 1番目のくろまるで研究責任者を機関の長は兼ねてはならないとした理由として書いてある部 分というのは、まさに機関の長が求められている役割ということで、研究責任者に対して 計画の妥当性について意見を求めるということで、倫理審査委員会を機関の長が設置する ということ。それから、戻りますけど、その前には、責任者に対して必要に応じて指示を 与えるという監督業務という、大きく分けてこの2つになるかと思いますけれども、これ を代行者にさせるということが適切と考えるかどうか、適切な場合があり得るかどうかと いうことに尽きるのかと思いますけれども、そこのところの論点でご議論いただければと 思います。 しろまる安達委員 機関の長が、自分が企画してやりたいと思う実験を、責任者にならないで機関の長とい う立場でいて、だれか別の人に研究責任者をさせた場合に、その機関の長がその計画に対 して、中立性、透明性、いろいろ客観的にということが、逆に代行者を立てたほうがそう いうものが保てるという考え方もあるのではないかと思います。 しろまる笹月座長 理論的にはそんな感じがしますね。だけども、結局、小澤委員がおっしゃったように、 今こういう議論が出てくるのは、普通の場合の研究の実施機関というよりも、代行に奥さ んが出てくるとか、やはり何か小さな、プライベートな、何かそういうものを想定してい る、あるいは現実がそうだから、こういう議論がどつぼにはまるんじゃないんですか。だ から、研究責任者を兼ねてはならないとすると言って、今の安達委員がおっしゃった問題 さえなければ、木下委員が言われたように、研究責任者にはならないけれども、機関の長 が自分のやりたい研究を研究実施者としてやりながら、責任者は別の人にお願いし、かつ 自分は機関の長であるということが一番シンプルな気がしますけれども、ただそのときに、 機関の長として倫理委員会を開いてそこに諮問したりするという、それが何かちょっとお かしい、法的にとまで言ったら大げさですけれども、理論的にはちょっとおかしいなとい う気も、確かにありますね。 どうですかね。いかがですか。 しろまる吉村委員 これはあまり大きな問題じゃないと思うんです。例えば、倫理委員会なんかで施設の長 が倫理委員長だということがありますね。その場合に、自分の教室から出るときには、自 分の審議には加わらないですね。そのときは代行を立てるわけですね。そういったシステ ムを通常の倫理委員会はつくっているわけですね。 しろまる笹月座長 それは機関の長と倫理委員会の委員長の関係ですね。 しろまる吉村委員 そうです。だから、大小問わずそういった状況がここで起こり得るということがありま す。そうなりますと、その実験計画については、代行を立てて、その代行の人が倫理委員 長をするわけです。自分の当該科から出た場合には。そういったことを考え合わせると、 こういった文章があってもおかしくはないと思います。「又は」以下はあっても、おかし くはないと思います。これ以外の理由もあると思うんですよ。ただ、これはあまり大きな 問題じゃないと思いますね。1番でもう決まっているわけですから。ただ、いろんな状況 を考えると、代行を置かなくちゃいけないような状況もあるからということでこれを書い てあるだけと、私は認識しているんですけど。 しろまる笹月座長 だけど、詰めていくと、ちょっと矛盾はありますね。 しろまる町野委員 ES指針の10条って、先ほどご説明ありましたとおり、改正によってできたわけです から、そのときの例はどのようなものであったかということをご説明いただくと、少しイ メージが皆さんにわくんじゃないかと思いますけれど。10条のこれは後からできた規定 ですね、代行を置くというES指針のほう。そうですよね。これは、つくらざるを得なく なったような経緯があるから、つくったわけでしょう。 しろまる長野安全対策官 先ほどちょっと申し上げましたとおり、ESの場合は、最初は兼ねることができないも のとするということだけだったのが、京都大学のほうで実際に機関の長たる所長が樹立の 責任者になるというケースがあったので、その場合に何らかの手だてを考えるということ で、システム上、代行者を置くというふうにして処理をしたというケースがあったので、 そういったことを踏まえて、指針でもそのようにできるようにしておこうということで、 昨年の改正で加えたというものでございます。 しろまる笹月座長 だから、さっきから申しますように、代行が奥さんでどうとか、そういう各論を言い出 すから、ある小さな組織を推定してそういうことを言い出すのでちょっと事が各論的にな るので、まず一般論として、ここはさらりとということでいかがですか。代行を認めてよ ろしいということ。 どなたかご意見。 しろまる高木委員 これは、大きなところでも代行を認め、「極端に規模の小さい」というのが入っていま すけど......。 しろまる笹月座長 大きいとか、小さいとか、ここで言う必要ないわけですね。 しろまる高木委員 関係ないですよね。 しろまる長野安全対策官 そういう意味では、先ほどから何人か委員がおっしゃっていましたけれども、ここの記 述ぶりのほうは修正をした上でということにさせていただきたいと思います。 しろまる笹月座長 申しわけありません。時間がどんどん迫ってまいりましたが、次の8ページに行きましょ う。研究責任......。 しろまる長野安全対策官 2つ目のしろまる、研究実施者を兼ねてよいかどうかと、研究実施機関の長は研究実施者を兼 ねてよいかどうかという点について、完全に合意できていないかというふうに思ってござ いますが。 しろまる笹月座長 研究責任者を兼ねてよいかどうか。兼ねてはいけないという......。 しろまる長野安全対策官 研究実施者です。 しろまる笹月座長 すみません。機関の長が研究実施者を兼ねてはいけないという何か理由があれば、おっ しゃっていただく。そうじゃなければ、これは兼ねてもよろしいということでよろしいで すか。 じゃあ、兼ねてもよろしいと。 次のページの研究責任者の要件。 しろまる高橋室長補佐 すみません、ちょっと確認なんですが、今の7ページの最後のしろまるの点なんですけれども、 この文章の上では、研究実施機関の長をほかの者に代行させることができない場合に研究 実施者と兼ねてよろしいかどうかという論点で書かせていただいていますが......。 しろまる笹月座長 「研究実施機関の長を他の者に代行させることができない場合、機関の長は」。 しろまる高橋室長補佐 はい。ですので、最初のしろまるのほうで、今、代行させることを認めるということになった かと思いますので、研究実施者を兼ねてよいという意味が、代行させた上で兼ねてよいと いうことか、それとも、代行させなくても兼ねることができるという意味かということを ちょっとご確認いただければと思います。 しろまる笹月座長 それは先ほどの安達委員のコメントが一つ意味があると思うんですが、代行を立ててな くて、自分が機関の長で、かつ研究実施者だとすると、機関の長としての要件として、倫 理審査委員会、あるいはその他、把握し、適切な云々というところで何か支障があるかど うかという、安達委員の懸念がちょっと示されましたけど、そういうことも含めていかが ですか。 しろまる鈴木委員 質問よろしいですか。 しろまる笹月座長 はい。 しろまる鈴木委員 プロジェクトの研究の規模にもよると思うんですけれども、責任者及び実施者というこ とはありますか。1人研究、スタッフが1名。 しろまる梅澤母子保健課長補佐 あり得ます。 しろまる鈴木委員 ありますよね。 しろまる笹月座長 ここはいかがですか。 しろまる安達委員 これ、読みかえるとこういうことですよね。研究実施者にもしなった場合には、今の話 ですと、研究責任者は代行を立てるという形......。 しろまる笹月座長 機関の。 しろまる安達委員 すみません。機関の責任者の代行を立てる。そういう意味ですね。 しろまる鈴木委員 いや、違います。この文体を見ると、例えば長が研究実施者にもしなった場合は、研究 責任者という方は一応形でいるわけですね。責任を持つ、上の管理監督の方がいらっしゃ るということになって、長とは別に代行が立ち上がるということですね。あっ、違う。長 のままになるわけか。そのときにも、さらに代行になるのか。責任者と実施者を兼ねてい る場合は当然、長は代行が立つということになるわけですよね。研究実施者になった場合 に、長はさらに代行になるのか、そこがちょっとごちゃごちゃなんですが、すみません。 しろまる木下委員 1人の施設で自分が研究したいということであるという、理論的には、というか、実際 にあるかもしれませんけど、これだけの指針をつくってやる以上、透明性だとか、中立性 だとか、いろいろとそういう、本来、胚を扱うということの基本的なことからすると、そ れはあり得ないことだと思うんですね。その意味では最低3人以上はいる施設でというこ とがこういったことをするのに大前提になるはずなので、あまり1人のために特別な指針 をつくる必要はないんじゃないかと思うので、研究というのは本来自由にだれでもがやる にしても、せめて倫理的なことも含めた基準はクリアするような体制というのはあると思 うので、無理にそのことのために時間をとってどうだこうだというよりは、もうちょっと、 少し規模の大きい、せめて3人以上はいる施設を前提にしたときどうかということとして 考えていくのが本来の趣旨じゃないか。さっき小澤委員が言われたようなこと、私は、そ れは基本じゃないかと思うんですけれども。 しろまる後藤委員 研究実施機関の長が研究実施者になれないということになると、研究にはすべて参加で きないということになりますね。そうしますと、これは大変なことなので、この文章の 「したがって」から「又は」まで要らないんじゃないかと思うんです。「責務がある。研 究実施者については、研究の総括を行って責任を負う役割を求められておらず」というこ とで続ければいいんじゃないかと思うんです。研究に参加する機会を奪うということにな りますので。 しろまる笹月座長 要件ということから考えると、機関の長は代行を置かずに、そのまま研究責任者にもな れないし、研究実施者にもなれないというのが、僕は筋だと思いますね。そうしないと機 関の長としての、例えばその研究がほんとうに透明性があって、サイエンティフィックに も妥当で、倫理的にも妥当でということに関する機関の長の判断が侵されることになりま す。自分が実施者になっていたり、責任者になっていたら。だから、代行を置くときにの み、責任者にもなれるし、実施者にもなれるということだと、筋が通ると思いますね。だ から、この2番目のしろまるは逆ですよね。 しろまる木下委員 そのとおりなんですけれども、実際に研究をするときに、全体のプロジェクトのほんの 一部分を責任持ってやるということよりは、ちょっとかわりに何か手助けをするというこ とも一切だめかというと、そういうのは許されるのではないかなという意味なんです。で すから、その意味で、だめと言ってしまったら、手も足も出ないということになったので はということで、ある程度、研究実施者というのはいろんな形の実施があると思いますの で、ほんのちょっと片手間にこの部分は手伝ってやるよというところも、こういったもの は規模が比較的小さいところであり得るかなという意味で......。 しろまる笹月座長 だけど、それはさっき先生が言われたように、小さなものを推定して云々より、もっと 大きな......。 しろまる木下委員 もちろんそのとおりなんですけど、それでも、10人、20人の大規模というのではな い、少なくとも複数の人数がいる限りにおいてはということで、それもだめということな らだめでも、こういった研究というのはやっぱりある程度の規模を確保しなくちゃいけな い。先生おっしゃったようなことを大前提にして、だめでもできる研究じゃなくちゃいけ ないというふうなことが大前提であれば、それはあり得ると思うんですけれども。 しろまる笹月座長 いや、ほんとうに大規模じゃなくても、代行を機関の長に置けば、自分は責任者にもな れるし、実施者にもなれるということであれば、そんなに大規模でなくてもいいわけです ね。だから、代行を認める限りにおいては、小さなものも救えていると思います。 しろまる石原委員 趣旨が、例えば研究その他の中立性、透明性を確保するというのがポイントなんだとす れば、これを担保するのは倫理委員会なり別の組織であって、何もこの場所で研究実施機 関の長が研究実施者として研究に関与してはいけないということにはならないと思うんで すね。関与する場合、あるいは関与する必要性が生ずる場合がしばしばあるはずだと思い ますので、これは、研究実施機関の長は、機関内倫理審査委員会を設置して、中立性、透 明性を確保する条件で研究実施者を兼ねることができるみたいな、むしろそっちの方向の 書き方をしたほうがよろしいんじゃないかと思うんですが。 しろまる笹月座長 そうすると、機関の長の役割を少し制限してという。極端なことを言えば。 しろまる石原委員 極端なことを言えば、そうだと思います。先ほどの代行云々という話に持っていかなくたっ てよろしいじゃないかと思うんです、必ずしも。 しろまる笹月座長 だけど、倫理的にも、サイエンティフィックにも、機関の長が最終的な責任を負うこと になっていますよね、ルールから言うとどの場合にも。そうするとやっぱり、あくまでも 倫理委員会は、そこが最終決定機関ではなくて、機関の長の諮問機関であって、そこが出 してきた答申に基づいて機関の長が最終決定をするわけですから、そうするとやっぱり、 透明性とか倫理性ということに、自分が実施者になったり責任者になっていたら、中立性 が保てないという議論は出てくると思います。 しろまる石原委員 そうすると、さっきの研究責任者も絶対だめだという話になっちゃいますね。 しろまる笹月座長 責任者はだめなんです。だめなんだけれども......。 しろまる石原委員 例外もなしということになりますね。 しろまる笹月座長 いやいや、代行を立てればよろしいと。代行を立てれば、責任者でも、実施者でもよろ しいと。理屈からいったら、筋論は、僕はそうじゃないかなと思います。 いかがでしょう。はい、どうぞ。 しろまる小澤委員 やっぱり笹月先生おっしゃるような形で、研究実施機関の長がこの研究の推進者である とすれば、その人がどちらをとるかであって、機関の長としてしっかりこの機関をリーダー として引っ張っていくという形であれば、だれかを研究責任者にすればいいわけですし、 自分は研究の責任者のほうになりたいという事情があれば、かなり例外的な例でしょうけ れども、代行を置くと。それで、研究実施機関の長と研究実施者というのを両方兼ねると すると一人二役という形になるわけですけれども、そういうのはやはり、機関の長として は研究責任者を管理コントロールしないといけませんし、一方で研究責任者の下に研究実 施者として参加するというのは論理的な矛盾がやっぱりありますから......。 しろまる笹月座長 ちょっと待って。機関の長が両方やるんですか。 しろまる小澤委員 ことはやらないほうがよろしいと。 しろまる笹月座長 そんなことは初めから想定していませんよね。 しろまる小澤委員 いや、ここにクエスチョンマークをつけて、両方可能にするかという議論がありますの で。いずれにせよ、どんな形にせよ、今行っている議論はかなりアブノーマルな状況では ありますけれども、先生の言われるような形でよろしいんじゃないかなと思います。 しろまる笹月座長 ただ、その場合に一つ生じる質問は、機関の長の代行者というのは、例えば京都大学の 医学部長が代行者を置きますと。その代行者は何を代行するのかといったら、そのプロジェ クトに関する監督責任のところだけを代行するということですね。そういう理解で代行者 を置けば、責任者、あるいは実施者のどちらかになれますと。それでよろしいですか。 じゃあ、そういうことで。 しろまる吉村委員 複雑にしないつもりで、僕は単純化しようと思って言おうと思っているんです。これ、 基本的に研究実施機関で3人要るんですよ。3人要るというふうに考えればいいんですね。 そうすると、研究機関長がいて、研究責任者がいて、研究実施者がいれば、これは完璧で すね。例えば、長が研究責任者にどうしてもなりたいとき、それは代行を置くということ になります。そのときに研究機関の長は実施者になれるとすれば、3人必要なんです。例 えばですよ。そういう場合が想定されるということです。要するに、代行者を置いたとき には、研究機関の長は研究実施者になれるという。 しろまる笹月座長 代行者を置けばね。 しろまる吉村委員 代行者を置けば。そういうことになると、代行者を入れて3人必要になるわけです。そ ういうふうに考えておけば、物事は非常にスムーズにいける。 しろまる笹月座長 いやいや、先生、代行者が実施者になれるとおっしゃったけれども......。 しろまる吉村委員 そうじゃなくて、代行者を置けば、研究機関の長は研究実施者になれる。そうすると、 それは、代行者、責任者、実施者、その3人になるわけですよ。その場合に、代行者がな い場合は、要するに機関の長は研究責任者になれないわけですね。その際に研究実施者に なれるかどうかという問題点をクリアしていけば、それで問題点は全部解決するというこ とです。 しろまる笹月座長 機関の長は、代行を置かない場合に......。 しろまる吉村委員 代行が置けない場合に、研究実施者になれるかどうかということを検討していけば......。 しろまる笹月座長 それは、私が先ほど申した理論からいけば、なれない。 しろまる吉村委員 なれない。となると、一番初めの、要するにその2つだけで話はおさまるということで す。それだったら、私はそれでいいと思います。 しろまる笹月座長 ですから、機関の長は研究実施者にも責任者にもなれない、まず大前提は。ただし、代 行を置くことができると。代行を置いた場合には、責任者か実施者のどちらかにはなれま すと。 しろまる石原委員 責任者と実施者を兼ねることはできるわけですね、1人研究の場合は。 しろまる町野委員 3人じゃなくて、2人になる。 しろまる笹月座長 そうそう、2人でいい。 しろまる石原委員 その場合は2人で済むんですね。 しろまる吉村委員 そうです。だけど、代行者を入れると3人になりますから。だから、研究機関の長は、 要するに研究実施者になれる場合となれない場合があるということだけ認めていただけれ ばよろしいということです。 しろまる高木委員 代行を立てた場合。 しろまる笹月座長 機関の長は、責任者にも、実施者にもなれない、まず第一は。だけども、代行を立てれば、 そのどちらにもなれますと。 しろまる吉村委員 代行を立てれば。 しろまる石原委員 そう言えばいいです。 しろまる笹月座長 それでいいですね。 しろまる石原委員 それで終わりです。 しろまる高木委員 それで、そこに研究責任者と研究実施者を兼ねることもできるということも入れておい たほうがいいわけでしょう。 しろまる吉村委員 そうですね。 しろまる笹月座長 そうすると、研究者1人......。 しろまる高木委員 2人でいいっていうことですよ。 しろまる笹月座長 どうして2人なの? しろまる高木委員 研究する人と、機関長と......。 しろまる笹月座長 機関の長は必ず研究者である必要はないわけでしょう。 しろまる高木委員 代行を立てたときにね。だから、研究者は1人でいいということです。 しろまる笹月座長 はい。 しろまる高木委員 そういうことですね。 しろまる吉村委員 その場合に、研究責任者と実施者は同一人物であってもいいんですか。そういうことで はないと思う。 しろまる笹月座長 それは今議論すべきところです。 しろまる秦委員 いや、それはだめだ。最低3人要る。 しろまる吉村委員 3人要る。私はそういう理解でいいと思います。 しろまる秦委員 最低3人いないと成り立たない。 しろまる高木委員 いや、責任者と実施者を兼ねれば、成り立つわけですよ。 しろまる笹月座長 いや、どなたか、研究者と実施者を兼ねます、兼ねますとおっしゃった方がいらした。 あっ、そっちは責任者と実施者か。 しろまる鈴木委員 実際にそういう研究があり得るのではないですかということで、あり得るのではないか というお話だったんです。規模の小さい研究。現実には、ほんとうにヒト胚って小さいも のですし、中身によっては、1人の研究申請というのも、スタッフが1人というのもあり 得る......。 しろまる笹月座長 科研費の申請で、研究代表者というのか、1人っきりというのはもちろんありますね。 しろまる鈴木委員 と思いましたので、つまりサイン欄が、責任者欄、実施者欄は同じ人で、代行は別の方 でということがあり得るのではないかという話をしたのですが、それは認めないというふ うに先生方がおっしゃるのであれば、それはそれで......。 しろまる笹月座長 いかがですか、それは。 しろまる吉村委員 それは今までの前提になってないですよ。 しろまる笹月座長 前提といいますと? しろまる吉村委員 この絵の前提になっていない。 しろまる長野安全対策官 すみません、ここでは論点として挙げさせていただきませんでした、研究責任者と研究 実施者との関係は。なぜかといえば、研究責任者がいて、あとプラス実施者がいるかどう かということについては、その当該研究計画の遂行がそのメンバーで可能かどうかという こととの関係で決まるんだろうということだと思いましたので、ここでの個別の者の要件 ということとはちょっと観点が違うんだろうということで、ここでは挙げさせていただい ていませんでした。 しろまる笹月座長 だけども、可能性としては、そういうことはあり得るということですね。 しろまる長野安全対策官 はい。あり得るのかなというふうには思ってございました。 しろまる笹月座長 極端なことを言えば、1人でいいわけですね。代行は何も研究者でなくていいわけだか ら。 しろまる小澤委員 ただ、実際問題としては、やっぱりこういう研究を推進するにふさわしい研究組織が要 求されますから、あり得ないことだと思いますね。 しろまる笹月座長 現実的にはね。 しろまる小澤委員 密室の研究になっちゃいますね。 しろまる長野安全対策官 つけ加えさせていただきますと、その研究チームといいますか、研究責任者プラス研究 実施者がいるのか、いないのか、また、どれぐらいいるのかということについては、まさ に研究計画の中でどういった体制でやるのかといったときに、その体制が適切かどうかと いう判断が行われる際に、その体制、要するに何人、どういうメンバーでやるのかという ことについて判断なされるものだというふうに理解してございます。 しろまる高木委員 密室にはならないと思うのは、そこで倫理委員会を設けなければいけないわけですから。 小さい研究施設は、倫理委員会を設けること自体が無理だと思うので、密室にはならない と思います。 しろまる笹月座長 そうすると、研究責任者が実施者を兼ねることができる云々というのは言及しないとい うことでよろしいですかね。どうですか。要するに禁止しないということ、逆に言えば。 よろしいですか。 次に、研究責任者の要件。「動物又はヒトの配偶子及び胚を取り扱った十分な実績ととも に、動物又はヒトの受精胚作成に関する十分な専門的知識及び実績がなければならないと するか」。 あるいは、次のしろまるは、「動物のみの実績でよいとするか。その場合、研究実施者はヒトの 実績がなければならないとするか」。 ここはいかがでしょうか。この2つのしろまるのところは。 しろまる長野安全対策官 すみません、事務局から補足させていただきますと、ここのしろまるのところは、前回一度ご 議論いただいております。もともとの案は、配偶子及び胚を取り扱った実績というところ では、ヒトの配偶子及び胚を取り扱った実績ということと、受精胚作成のところについて は、動物またはヒトというふうな形でご議論いただいていましたところ、配偶子及び胚を 取り扱った胚の作成ではなくて、配偶子、胚を取り扱った実績のところも、動物またはヒ トということでいいんじゃないかと。実際ほかに実施者がいるのであればというようなお 話もございましたが、そういったことでしたので、ここで確認させていただきたいという ふうに出させていただいたものでございます。ただその際に、一つの想定としては、配偶 子、胚も動物であって、さらに受精胚作成のほうの知見も動物だと。要するに動物だけの すべて知見なり実績だけでもよしとするかどうかというところになりますので、それが 2つ目のしろまるということでございます。 しろまる笹月座長 さあ、いかがでしょうか。 しろまる鈴木委員 ここだけでなくて、くろまるのところにも滅失させる研究というのが繰り返し出てきているん ですけれども、私、ずっと読んでいて、ちょっと違和感があるなというふうに感じていま す。というのは、ES細胞のほうに関してはかなり、滅失する、滅失するという言葉が頻 繁に出てきて、これは受精卵を材料にするというニュアンスで滅失するというのが繰り返 し使われているんだと理解するんですけれども、この場合は、滅失させるのを目的でヒト 胚つくるわけでは、おそらく全部が全部そうではなく、その後、保存するのか、廃棄する のかという論点が出てきていますが、結果として滅失せざるを得ない研究なんだと思うん ですね。そこはちょっと違うのではと。滅失させる研究というのが非常に、提供する側だ としたら、ややちょっと不愉快というか、どうも違うなという感じを受けているんですが。 しろまる笹月座長 わかりました。中身は同じことなので、言葉は後で考えましょうか。 しろまる鈴木委員 はい。 しろまる笹月座長 上のしろまる、下のしろまる、この2つですが、どうですかね。動物しか取り扱ったことがない、配 偶子、胚の取り扱い、あるいは胚の作成についても動物しかやったことがないのを認める か。しかし、その場合には、研究実施者はヒトの実績を持たねばいけない。そのチームの 中にだれか、少なくとも配偶子及び胚の作成に関してヒトの経験がある者がいることが必 須であると。いかがでしょうか。これはよろしいでしょうね。どうですか。動物しかない というのは......。 しろまる秦委員 参考のヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針というのがまさに、当てはまるのでは ないでしょうか。というのは、研究責任者が非医師でもいいということになっているので、 動物胚を使った胚形成に関しては十分な経験を持つけれども、ヒト胚に関しては知識を中 心とした経験でもいいというようなことにしないと、非医師でもよいと言う条項が生きな いと思うのですが、如何でしょうか。 しろまる笹月座長 でも、それとこれとはちょっと違うというのはありますけどね。要するに、非医師であっ てもヒト胚を作成するような研究機関での研究実績があればよろしいわけですね、もしヒ トということにこだわるとした場合に。結論としてみれば、要するに動物だけでよろしい かどうかということですね。チームの中にヒトの胚の作成、あるいは配偶子の取り扱いを した経験がある人がいなくてもいいのかどうかという。いかがですか。 「十分な実績」というのもあまり定量的じゃないので、ヒト胚をつくっているところに 行って、ヒト胚をつくるところだけちょっと学んでくれば、もうそれでいいのか。 しろまる高橋室長補佐 参考ですけれども、3ページの研究実施機関の要件の一番下のところで、研究実施機関 の要件としては、ヒトの配偶子及び胚を取り扱った十分な実績が必要であるという結論に なっておりまして、そして、前回のご議論の中でも、研究チームの中ではやはり1人はヒ トの実績を持った人が含まれていたほうがいいんじゃないかというご議論でございました ので、そことの整合性とか、ご議論の経緯があって、こういう論点にさせていただいてい ます。 しろまる笹月座長 だから、当然そういう実績のある者が1人はいるということでよろしいですか。 じゃあ、そういうふうにさせていただきます。ただ、そのときに、そこを区別して、責 任者と実施者のどちらかが経験があればよろしいということで、これはそれでいいんでしょ うね。よろしいですか。 「日暮れて、道なお遠し」ということで、きょうもちょっといろいろ不手際があって時 間が過ぎてしまいましたが、もう時間が来ましたので、きょうはここまででお許しいただ きたい。 それでは、時間が参りましたので、きょうは、途中ですけれども、議論はこれまでにさ せていただくと。あと、事務局から今後のスケジュールその他、ご連絡お願いします。 しろまる高橋室長補佐 次回第15回生殖補助医療研究専門委員会、第16回ヒト胚研究に関する専門委員会に つきましては、3月3日月曜日、15時から17時30分を予定しております。会場など が決定いたしましたら、また後ほどご案内させていただきます。 ありがとうございました。 しろまる笹月座長 どうも遅くまでありがとうございました。 ―― 了 ―― 事務局:文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室 電話:03−6734−4113(直通) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課 電話:03−5253−1111(内線7938)

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