06/11/06 第15回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 第15回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 1 日 時 平成18年11月6日(月)15:30〜16:50 2 場 所 厚生労働省労働基準局第1、第2会議室 3 出席者 【委員】 公益委員 今野部会長、石岡委員、勝委員、田島委員、中窪委員 労働者側委員 勝尾委員、加藤委員、??石委員、中野委員 使用者側委員 池田委員、川本委員、杉山委員、竹口委員、原川委員、 前田委員 【事務局】厚生労働省 青木労働基準局長、青木勤労者生活部長、 熊谷総務課長、前田勤労者生活課長、 藤井主任中央賃金指導官、吉田副主任中央賃金指導官、 吉田勤労者生活課長補佐 4 議事次第 (1)今後の最低賃金制度の在り方について (2)その他 5 議事内容 ○しろまる今野部会長 ただ今から、第15回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会を開催いたします。 本日は、武石委員、??橋委員、横山委員が欠席です。委員の交替がありましたので御報 告いたします。労働者側の須賀委員の後任として、日本労働組合総連合会労働条件局長 の勝尾文三委員が就任されました。一言御挨拶をお願いいたします。 ○しろまる勝尾委員 連合の勝尾です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○しろまる今野部会長 議題に入ります。前回の部会で、職種別設定賃金の必要性について、改めて議論した いという御意見がありましたので、まず、それについて議論していただきます。職種別 設定賃金の必要性については、5月の部会で資料を配付して説明し、御議論いただきま した。それに追加する形で本日も資料を用意いたしましたので、それに基づいて私から 説明いたします。 資料1は、5月の部会で提出した資料と、基本的には同じ内容になっておりますが、 一部だけ修正しております。前回もそうでしたが、構成としては、職種別設定賃金の必 要性については、「背景」「必要性」「効果」という3つの観点から考えて、最終的に は一番下にあります「新たな制度の仕組み」ということで書いております。 「背景」については、労働市場の変化、あるいは賃金制度の変化については、前回の 資料と変わっておりません。ただ、賃金制度の変化について、仕事給の導入が進み、あ るいは賃金の構成要素のうちでも、職務、職種などの仕事の内容に対応する部分が拡大 している、ということをここで書いたわけです。それに関連するデータをその下のカギ 括弧の下に追加しております。 このデータは、上段と下段と2つありますが、上段は厚生労働省の「就労条件総合調 査」から持ってきたものです。2001年のデータです。何らかの形で仕事給を持つ企業は、 1,000人以上の規模で68.5%、中小企業の30人から99人規模で45.8%になっているこ とを示しております。 下段は、社会経済生産性本部の、「日本的人事制度の変容に関する調査」です。ここ に示したのは2005年のデータです。調査の対象は上段と違い、上場企業のいわゆる大企 業を対象にした調査です。上場企業の職種別賃金の導入率は19.7%というデータを紹介 させていただきます。 次の四角の「必要性」についても前回とほとんど変わっていませんが、一番最後の○しろまる を追加しております。「企業内における賃金水準を設定する際の労使の取組みの補完、 公正な賃金決定に対して産業別最低賃金が果たしてきた役割については一定の評価」を するというように「一定の評価をする」というのを追加しております。 ここにありますように、産業別最低賃金のこれまで果たした機能というのは、賃金決 定の際の労使の取組みを補完するとか、公正賃金決定に寄与するという点で評価ができ る部分がある。したがって、そういう面から産業別最低賃金のような機能を持つ何らか の制度が必要である、という趣旨で○しろまるを追加してあります。 次の「効果」、あるいはその下の「新たな制度の仕組み」については前回と同じです。 私から追加させていただく説明は以上です。この点について御意見、御質問がありまし たらお願いいたします。 ○しろまる川本委員 「背景」の2つ目の○しろまるの賃金制度の変化のところの説明がありましたので質問させて いただきます。カギ括弧のところにある「何らかの形で仕事給型を持つものは」という ことですけれども、これは賃金の中でこういう仕事給の要素部分を持っていても、それ が入っているということですか。 ○しろまる今野部会長 そうです。 ○しろまる川本委員 もう1つは、下の方の職種別賃金の導入率については、社会経済生産性本部の上場企 業調査ということでしたが、これの回答企業は何社ぐらいありましたか。 ○しろまる前田勤労者生活課長 回答企業は254社です。 ○しろまる今野部会長 ご存じかと思いますけれども、これは毎年やっている調査で、経年変化が追えるよう なデータになっているのが特徴です。ちなみに職種別賃金の導入率については、先ほど 言いましたように、ここにお示しした社会経済生産性本部のデータは2005年のものです。 ここには示していないのですが、2004年だと職種別導入率は12.3%です。いずれにして も時系列で追えるということ、増加傾向にあるということがみられる、というのがこの 調査の特徴だろうと考えています。 ○しろまる川本委員 その場合の職種別賃金の調査を私は今持っていないからあれなのですが、例えば、一 般的に総合職と事務職と分けている所がありますが、そういうのもこの中には含まれて いるということですか。 ○しろまる今野部会長 そこは、調査票で職種別をどう定義しているかなのですが、手元にありますか。 ○しろまる前田勤労者生活課長 ここでいっている職種別賃金は、事務、営業、製造といった職種に応じた異なる賃金 体系や水準を設定する制度ということです。だから、必ずしも総合職とかいうことでは ないです。 ○しろまる川本委員 含んでいるかもしれないということですか。 ○しろまる前田勤労者生活課長 いや、それは含んでいないということです。事務、営業、製造といった職種に応じて 異なる体系や水準を設定する制度として聞いているということです。 ○しろまる今野部会長 先ほど、川本委員が上段の調査結果との関連でおっしゃいましたけれども、製造とか 営業別に職種別賃金を決めているといっても、この賃金全額がそれかどうかというのは 別ですので、その一部でも入っていればここにも入っているわけです。 ○しろまる川本委員 はい、わかりました。 ○しろまる中野委員 「効果」のところで質問します。「企業にとって労働力の一層の有効活用に資する」 という記載がされているのですが、例えば、個別企業の中でということではなくて、社 会的に低生産性分野から、生産性の高い労働市場分野へ移行が進むという意味で「効果」 と書かれているのか、それとも他に別の意味があるのか教えていただきたい。 ○しろまる今野部会長 これを書いたときの意図は、こういう形で公正な賃金決定が進めば、当然賃金に対す る労働者の理解や納得性が高まるわけですから、それによって労働意欲が高まる、とい うようなことも含めて一層有効な活用が進むと考えております。したがって、「企業に とって」というのはそういう意味です。 ○しろまる中野委員 企業の中の人事制度というのは、そういうのを最初から考えるわけです。そうすると、 こういう制度というのは、もう少し社会的な広がりを持たないと、そういうことにはな らないのかなと。例えば、派遣労働者であるとか、そういう移動が割と進んでいるよう な労働者について、そういうことを考えないと、いわゆる正社員と言われる層について は、企業は常にそういう労働意欲を活性化させるような人事制度というのを、当然労使 でいつも考えているわけでありますから、制度として考えるときには、社会的なそうい う部分を含んで考えないとなかなか難しいのかなと思います。 ○しろまる今野部会長 正社員の場合で、企業間を移動することが想定されていないような人たちの賃金であ っても、その賃金を決定するときに、社会的な相場をピッタリとはいきませんけれども、 一定の配慮をしながら決めるというのは非常に重要な点だと思います。賃金に対する労 働者の納得性とか、あるいはそれをベースにしたモチベーションの向上という点など、 そういう意味での社会的な広がりというのは非常に重要だと思います。そういう趣旨で す。 ○しろまる中野委員 それでしたら、こういうふうに考えてよろしいですか。当然人が動くときには、生産 性の高い所では高い処遇をするでしょうし、そうでない所はそういうことはしきれない。 そういうことを含めて移動する。したがって、かなり広い幅の処遇を受けている労働者 に対して、有効活用に資するということが言えるとおっしゃっている、というふうに理 解してよろしいですか。 ○しろまる今野部会長 ちょっと意味がわからなかったのだけれども、今、専ら想定されているのは移動です ね。 ○しろまる中野委員 そうです。移動のときに、私は「効果」のところでこういうふうに思っているのです が、例えば、非常に生産性が低いがために、海外移転だとかいろいろなことがこの間に 起こってきたわけです。そこで持っている職の技能を、新たな生産性の高い分野で、同 様な職の技能があれば、それは活用できるし、そのときの移動のためにも公正な処遇と いうのはやはり必要だろうと。 同時に、先生がおっしゃったような、健全な経営が行われているような企業間におい ても、そういう比較をしながら一定の社会性を持った処遇を行うことによって移動が進 む。そのことが、企業にとっての生産性向上に寄与している、という2つの意味がある と思います。その意味では、これは両方ともそれは考えてよろしいのか、片方なのか。 ○しろまる今野部会長 内容的には両方考えていますけれども、御質問は、この○しろまるの文章の意味はどういう意 味かということですか。 ○しろまる中野委員 そういうことです。 ○しろまる今野部会長 今おっしゃられたようなことは少し広めに考えれば、最後の○しろまると関連がないというわ けでもないということなのです。ですから、今おっしゃられた2つの点を私は否定する わけではなくて、御質問の意味が2番目の○しろまるは特にどういうことを意味していますか、 というふうにおっしゃったので、そのときは先ほど言ったようなことを想定していまし たということでお答えをさせていただきました。 ○しろまる中野委員 わかりました。 ○しろまる池田委員 この「背景」、「必要性」はよくわかるのですが、基本的に疑問なところは、職種別 賃金の導入率が上昇してきたという事実は、企業にとってみると企業間競争として、我 が社は仕事給を導入するよと。それによって他社よりもより良い技術者を確保したいと。 企業間競争であれ、国際間競争であれ、1つの企業にとってみれば企業の中の労使の話 合いによって、より会社の業績を上げて、効率のよい給与体系を作って、他社との差別 化をしていこうということで決める価値は十分あるということで増えてきているのだと 思うのです。 産業別最低賃金の場合は、横断的に一定のセーフティネットみたいに全部決められて しまったわけです。それを経営者側としては、それはセーフティネットなんて意味がな いよ、強制的にそういうふうになるということはですね。それで産業別最低賃金の廃止 をしていただきたいということを主張しているわけです。 この職種別賃金が、逆に企業の中の労使で、特徴的に他社との格差を付けるために決 めていたものが、今度は産業別最低賃金と同じように全産業において、企業間で同じ公 平にそういうことを決めろということになった場合、これは企業の公正取引からいって、 企業間の競争を削ぐことになるのではないか。みんながやるのであれば、うちは労使で 話し合って別の賃金体系を決めようと。組合から見れば、全体的、横断的には公平かも しれないけれども、経営者側からすると、一定に決められることは決して企業の競争と しては公正ではないなという観点からいくと、そこに私どもが思っている職種別設定賃 金というのは必要性もわかるし、これからの将来のやり方としては非常にいいことだと 思います。ただ、それを産業別最低賃金と同じように、一定のランクで決める必要があ るのか。それは、企業間の自主に任せればいいのではないかということを私は感じます。 ○しろまる今野部会長 この職種別設定賃金というのは、まだ詳細まで詰まっていないわけです。どう考える かということですが、今おっしゃられたように、職種別設定賃金で賃金を決めたら、全 部の企業がそれに従うというふうなことを池田委員は想定されていますが、各職種のあ る最低のランクぐらいを決めておいて、それを基準にして、今度は個別企業の問題から すると、それを1つの基準にして、自分の所の支払能力の問題もありますし、人事戦略 の問題もありますし、あるいは人材をどうやって活用して、あるいはどうやって採用し ようかという戦略の問題もあると思います。そういうことを踏まえて、それを基準にし た上で賃金を決めていくというのがたぶん起こるであろう実態だと思います。そのとき に、ある仕事について、企業の人事管理の中で、この仕事はいくらにしようかというこ とを考えるときに、ゼロから考える場合と、今言ったような職種別設定賃金で決まった ような一番下のプラットホームみたいなのがあって、お互いに大体このぐらいかという ところがあって、そこから交渉する場合と2つあると思うのです。 今回こういう提案をしているというのは、後者の方でやった方が、公正な賃金決定に もなるし、あるいは効率的な賃金決定にもなると考えているということです。ですから、 池田委員がおっしゃるように、これ一本決まったら、全部の会社がこれで決まりという ような形にはならないだろうとは思っています。 ○しろまる川本委員 感想で申し上げます。当部会において、今日まで議論してきたわけでありますが、と りわけ前々回には職種別設定賃金の適用対象労働者のイメージと、それから労働協約と いうペーパーも出て議論させていただいたわけです。この意見交換を通じて私が認識し たというか思ったのは、企業において職種別の賃金管理というのが実態として普及して いるとは言い難い状況なのかなと思った次第です。したがって、法的に職種別賃金の概 念を持ち込む必要性ということについては薄いのではないかと思った、ということを感 想として申し上げます。 ○しろまる池田委員 前にも申し上げたように、今、厚生労働省の下部組織で、業界別に職業を分析して制 度を作る、ということでお手伝いをいただいて、いろいろな中小業界もそれに業種別に 作る段階にあるので非常に助かっています。それは1つの流れとして、ホテルならホテ ル、倉庫なら倉庫、トラックならトラックの中で段階を作って、どこまでできるよ、俺 はここまでできるよと。その会社が駄目になったときは、あそこの会社へ行っても俺は ここまでできるよ、年を取ってもそれを持っていけるよ、というようなことを今、厚生 労働省がやっているわけです。 それが制度的に中小企業に浸透するにはもう少し時間がかかるのではないか。それを 大企業の方でボンと決められて、これをボンとやったときに、今度は中小企業がやろう としている所が、もう一定的に先に決められた場合に、もう少しシステムを中小企業と して分析して、それぞれの業界別にそういうシステムができた段階でも、もう少し時間 をかけてからの方がこの職種別というものの理解が得られるのではないかと、現状では 考えを持っています。 ○しろまる今野部会長 今、厚生労働省でのそういう取組みについてお話がありました。その他では、経済産 業省が情報技術者についても、同じように職種別、あるいは職種内ランク別賃金の横断 的な決定を考えていこうではないかということで動き出しております。今、池田委員が おっしゃられたことは、今どの段階にあるかということは別として、そういう方向に確 実に進んでいるというふうに御理解いただいていると考えていいでしょうか。ただ、今、 池田委員がおっしゃられたのは、そのようにトレンドとしては進んでいるけれども、ま だ少し時期が早いんだという御趣旨でしょうか。ゼロから駄目というよりも、トレンド としては進んでいるけれども、早すぎるというのでは、我々としてはだいぶ受け方が違 いますので、後者かなと私は理解させていただきたいと思います。 ○しろまる中野委員 全体の職種別設定賃金の流れ、トレンドとしてお伺いします。10月13日に、経済財政 諮問会議が開催されています。その中で民間議員4委員からペーパーが出ています。そ の中に、労働市場の効率化、労働ビッグ・バンということで4行ほどを読み上げます。 「経済全体の生産性向上のためには、貴重な労働者が低生産性分野から高生産性分野へ 円滑に移動できる仕組みや人材育成、年功ではなく職種によって処遇が決まる労働市場 に向けての具体的施策が求められているのではないか」という文言がございます。 このことと、職種別設定賃金は随分前から議論してきていましたし、経済財政諮問会 議委員会の方には10月13日に出されたわけですから、時間的には我々の議論の方が早い わけです。これから連動しているというふうにはもちろん考えておりませんけれども、 認識としては同じようなものが背景にはあると。この提案と、今申し上げました中身と は共通の認識があると理解してよろしいのでしょうか。 ○しろまる今野部会長 決して連動していません。相談してあちらが書いたわけではありません。その文面が、 民間議員の人たちが、今後の労働市場とか、あるいはその中での企業の賃金決定につい て、どういうふうに具体的に考えてそういうことをされたのか私にはわかりません。公 益委員としては、先ほどから言っているように、それがトレンドである、というふうに 踏まえてこういうのを出しているわけです。もし一緒だったとすると、結果的に認識が 一緒だったということだと思います。 ○しろまる川本委員 別の会合の話が出てしまったので、私もそこに精通しているわけではありません、と いうことを前置きとします。ちょっと意見を言いにくいのですが、たぶんそのペーパー は私も見ました。趣旨としては、年功賃金から違った形の賃金へという趣旨ですから、 職種管理をしたからといって、年功賃金がなくなるわけではないわけです。職種別管理 イコール年功賃金がなくなるわけではなくて、職種なら職種の中で、どういう賃金要素 によって賃金を管理するかです。これが職務給ですとか、そういう概念でやるのだとい うのならまた意味が違いますけれども、職種にすれば年功はなくなるという意味ではな いように思います。したがって、たぶん使っている言葉の意味合いは、職務給概念の話 としてしているのではないのかと個人的には解釈しているところだということを申し上 げておきたいと思います。これは結構大事な話で、随分違うのです。 先ほど池田委員が申し上げて、時期の話として受け取られました。私はちょっと違っ た認識であるということ、池田委員と同じ意見ではありませんということだけ申し上げ ておきます。 ○しろまる今野部会長 いずれにしても、経済財政諮問会議の内容をここで解釈してもしようがないので、そ れについての議論はこれでやめさせていただきます。 ○しろまる池田委員 先ほど先生がおっしゃった時間的な問題と、もう1つは先ほど私が申し上げた、企業 間競争を悪くしないことが必要だと。産業別最低賃金自体が企業間競争を削いできたと いうことですから、それで我々は廃止と言っているわけです。こういうものができたと きに、それを横断的に決めることによって、折角今、企業が自主的にそういう賃金制度 を決めて、よそとの格差、それが国際的な競争力以外に、それがまた産業別最低賃金と 同じような決め方をすることによって、企業間の競争力を削がないような制度のあり方 が必要なのではないか、ということを2つ目に是非とも足していただきたい。 もう1つ足していただきたいのが、この「背景」の中にニート対策とか、高齢者の労 働市場の問題。一方では厚生労働省として大きな問題になっているわけですから、それ をいかに企業の労使でもってそういう人たちを吸収していくか。そのことが大きな社会 的な問題としてあるわけです。こういうことを作ることによって、そういう人たちにど ういう対策ができるのかという観点を1つ入れていただかないと。ただ、労働市場の変 化の中で、今、余ってきている人が、働かない人たちをどう救済していくかということ も、これによってどういう救済ができるなどということも、是非とも厚生労働省の1つ の政策としてあるわけですから、それの解決策としてあるのだというところを明確に見 たいというところです。 ○しろまる今野部会長 今おっしゃられたのは、「背景」の「労働市場の変化」に関連すると、2番目のポツ か3番目のポツですが、2番目のポツに近いでしょうか、そういうお話だと思うのです。 高齢者の活用の問題を考えたときに、あるいはニートにしても新卒では入ってきません ので、そういうことを考えると、広い意味での年齢などの要素で賃金決定をすることは 難しくなっているし、そういう人たちを活用する上で、年齢等のファクターで賃金を決 定するというのは難しいということはかなり合意があると思うのです。そのときに、ど ういう仕事をしてるのかということで、だんだん賃金を決めていかなければいけないと いうことが1つの方向だと思います。 ただ、池田委員がおっしゃられるように、そういう方向でいいけれども、職種別設定 賃金を入れたときに、仕事を軸に賃金を決定するということに関連して、企業間競争を 阻害するような状況になっては困る、というのはまた違う問題ですので、そこについて はそういう御意見であるということでお聞きをしておきます。それでは、資料1を巡っ た、職種別設定賃金の必要性についてはこの辺にさせていただきます。 次は、4月から公益委員の試案を巡っていろいろ議論をしていただいたところです。 ただ、労使の意見がまだまだ隔たっているという状況にあります。そこで、これまでの 御意見を踏まえ、公益委員試案にかかわる論点について、公益委員として改めて考え方 を示して、さらに議論を進めていただきたいと考えております。 資料2は、新たな公益試案として出させていただいたものです。今から、こういう点 が変わりました、ということを説明させていただきますので、それをめぐって御質問な り御意見をいただければと思います。変わっていない部分もありますので、変更した部 分を中心にお話させていただきます。 資料2の一番最初に前文がありますが、ここについては変更はありません。次はIの 「産業別最低賃金等の在り方について」に入ります。1の「基本的考え方」についても、 従来と変更はありません。ただ、前の案では、(1)、(2)ともう1つ(3)という のがあり、それは、法改正に伴う運用事項については関係審議会で検討するという内容 の項目が入っていました。今回の案では、当面の運用方針を提示しておりますので、 (3)は一応削除してあります。 2の「具体的方向」で2頁に(1)(2)(3)となっていますが、これは法律で措置する部分に ついての文面ですが、これについても変更はありません。(2)「当面の運用方針」か らは変更部分が多くあります。変更した部分についてはアンダーラインが付いておりま す。前の案では、「当面の運用方針」については2つに分かれていて、(2)「運用の 基本方針」、(3)「運用の詳細」と分けて記述してありました。前の案の(3)「運 用の詳細」の項目では、関係審議会で検討するということが書いてあったのですが、今 回の(2)「当面の運用方針」の中で、当面の運用方針を具体的に示すことにするとい う構成に少し変えております。 具体的には、(1)の「適用対象労働者」のところで、最初のポツの「適用対象労働者は、 一定の地域の特定の産業内の職種の基幹的労働者とする」という点については基本的に 変えておりません。2つ目のポツの「産業については、現行の産業別最低賃金と同様の くくり方とする」ということで、産業のくくり方は当面現行の産業別最低賃金と同じよ うにするとしております。 3つ目のポツで職種については、大きく2つのことが書いてあります。前半では「当 該産業に特有の又は主要な大くくりの職種とする」ということにしています。これは、 現状の賃金決定の実態を踏まえて、このようにした方が良いだろうということで、今読 み上げたように変更しております。さらに、「なお」以下で、今申しましたように「特 有の又は主要な大くくりの職種」としてありますので、設定賃金の数というのは制限し てもいいだろうということで、「なお、一つの産業における職種別設定賃金の数に制限 を設けることとする」としております。 その次のポツは、基幹的労働者の定義にかかわる部分です。ここも前半と後半があり ます。前半では、基幹的労働者というのはこういう人を言うと定義しております。この 定義の内容は2つあり、1つは、適用除外の対象者については従来どおりとするという ことで、1行目で「現行の産業別最低賃金の適用除外対象者を適用除外とした」と書い てあります。その上で、対象労働者の基幹的労働者というのは一定程度以上の技能を有 する者としてありますので、それを示す指標として、ここでは「経験年数」を用いてい ます。これは、1つの考え方として提示してあります。2行目ですが、「一定の経験年 数以上の者とする」としてあります。さらに、「なお」書き以降は、技能の程度のラン ク数をどうするのかについてです。新しい職種別設定賃金に移行するときの混乱を避け るために、ここでは当面1ランクとするということで、「なお」書きのところで「同一 産業同一職種において複数のランクを設けないこととする」としております。 最後のポツですが、今言いましたようなことを踏まえて、適用対象労働者というのは 決まるわけですが、具体的にはどうするかということについては最後のポツのルールに 従うことにしてあります。つまり、「申出を行う者が特定して申出を行った上で、最低 賃金審議会において審議して決定する」としてあります。以上が適用対象労働者につい ての変更です。 2頁から3頁にかけて「申出要件」です。前回の案では、労働協約があることを申出 の要件とするとしてあったのですが、ここでは現行の産業別最低賃金と同じような形に 変更してあります。 2頁の一番下の行を見ますと、「申出要件は、現行の産業別最低賃金と同じものとす る」と。3頁の一番上の行で、「なお、労働協約については、現行の産業別最低賃金の 申出に用いている労働協約と同様のものを用いることができることとする」としてあり ます。なぜ、現行の産業別最低賃金の申出に用いている労働協約と同様のものを用いる ことができるようにするかということの理由ですが、1つは現状の労働協約の実態を踏 まえたいということ、もう1つは大くくりな職種の設定ということにしてありますので、 以上の点を踏まえると、現行の産業別最低賃金の申出に用いる労働協約と同様のもので いいのではないかということです。 (3)の「決定手続」について、前回の案では、必要性審議と金額審議は分離するという 案にしてありました。それを、今回の案では、当面現行の産業別最低賃金と同様の手続 とするという考え方に変更してあります。したがって、最初のポツでは「最低賃金審議 会における審議については、必要性審議と金額審議を分けて行うこととする」としてあ ります。さらに下2つのポツについては、審議においての合意については、全会一致を 基本とするということですので、「必要性審議については」という文面と、「金額審議 については」という文面になっております。 (4)の「移行期間中の適用の在り方」については、「移行期間中に特定の産業において 職種別設定賃金が設定された場合には、当該産業の産業別最低賃金は廃止されるものと する」としてあります。このことにより、移行期間中に、地域別最低賃金と、産業別最 低賃金と、職種別設定最低賃金の3つが一緒に設定されるというような事態は避けよう と考えて、このような内容にしてあります。以上が産業別最低賃金にかかわる部分の変 更点です。 次は「地域別最低賃金」についてです。1番の「基本的考え方」については、従来の 案と全く同じです。次の「具体的方向」の(1)「基本的な枠組み」の「必要的設定」 についての部分は以前と変更はありません。 (2)の「決定基準の見直し」についてですが、最初のポツは「決定基準については、 「地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力」に改めるも のとする」としています。これは、最低賃金法が地域別最低賃金に特化するということ を想定しておりますので、最低賃金を決める決定基準の三要素である「生計費」、「賃 金」、「支払能力」についてはすべて地域におけるものですので、それを明確にするた めに、今申しましたように、カギ括弧の一番最初のところですが、「地域における」と いうのを付けるというように改めております。 次のポツで、「「地域における労働者の生計費」については、生活保護との整合性も 考慮する必要があることを明確にする」としてあります。このことは、最低賃金の決定 基準として生計費があって、その生計費の1つの要素として生活保護も勘案すべきであ る、ということを明確にするために書いてある文言です。この文言については、前回の 部会でも御質問があったので少し追加させていただきますと、今も申しましたように、 生計費というのは賃金決定要素の1つの要素である。生活保護というのは、その生計費 の1つの要素として考えようという趣旨でここに書いてあります。ただ、いずれにして も、地方の最低賃金審議会で審議をして、最低賃金を決定するという手続がとられます ので、生活保護基準から機械的に最低賃金が決まる、というようなことにはならないだ ろうと思っていますし、今後の運用の詳細は、今後さらに議論すべき点であるとは考え ております。 これに関連して資料3を用意しました。これは、生活保護と最低賃金との関係を示し た図です。現状こんな状況になっています、ということを御理解いただきたいというこ とで資料を用意いたしました。1枚目は、県庁所在地についての生活保護と最低賃金と の関係を示したものです。 右横に線の説明がありますが、下から2番目の四角の黒の実線で、月別の最低賃金額 はこういう形で計算しますとしてあります。これは、最低賃金で働いた場合の名目額を 示していると考えていただければと思います。一番下の白抜きの四角で実線は、今の金 額に0.876を掛けていますが、これは一番下の注5にも書いてありますが、税金や社会 保険料などを考えて、可処分所得ベースで見ようという線です。それが、この中に2本 横に引いてあります。あとは、図の説明の上3つが生活保護の金額を、3つの例、ある いは3つの条件に沿って計算した金額が書いてあります。 今見ていただいたのは県庁所在地でしたが、次の頁は県の平均を出した場合です。図 の意味は全く同じです。県の平均を出すと、ちょっと1枚目とは違う状況が見られると いうことです。例えば三角の点線、つまり右上の図の説明でいくと、生活扶助基準と住 宅扶助の特別基準額の合計金額の県平均というのと、それと四角の黒の最低賃金額で見 ると、東京、神奈川は生活保護の金額がかなり最低賃金を上回っていることがわかりま す。いずれにしても、後でゆっくり見ていただきたいと思います。これが、生活保護と 最低賃金の関係だということです。特に、今回は県平均を出しましたので、ここでは初 めてお示しするデータだろうと思います。 資料2の4頁に戻りまして、(2)の「決定基準の見直し」についてお話をして、それと の関連で資料3の説明をさせていただきました。(3)(4)については変更はありません。(5) についても変更はありません。ただ、前回ですが(5)の最初のポツの派遣労働者の最低賃 金に関連して御質問がありましたので、この点については少し敷衍して説明させていた だきます。 ここでは、「派遣労働者に係る最低賃金は、派遣先の地域別最低賃金を適用するもの とする」としてあります。ご存じのように、現在の最低賃金は、派遣労働者に対しては 派遣元の事業所に適用される最低賃金が適用されるということになっております。ただ、 我々が問題にしたのは、派遣先の事業所の場所と、派遣元の事業所の場所、あるいは地 域が異なる場合、派遣労働者が同じ場所で、同じ使用者の指揮命令の下で働いているの に、派遣先の他の労働者と異なる最低賃金が適用されるということは、どう見ても合理 的ではないと考えておりまして、この点について改善をしたいということで、今申しま したような(5)「その他」の最初のポツのようにさせていただきました。平成14年12月26 日の労働政策審議会の建議でも、この点については検討すべきとされておりますので、 そんなことも含めて、派遣先の最低賃金が、派遣労働者には適用されるべきだろうとい うことで、今申しましたような文面にさせていただいております。 4頁の最後の(2)の「運用の詳細」は、今まで説明してまいりました4頁の上の方 の(1)の「基本的な枠組み」の中の(2)「決定基準の見直し」の修正に合わせた修正で す。ただ、運用の詳細については(2)にも書いてありますように、運用の詳細につい ては関係審議会で検討すべきであるというような基本的な考え方を持っております。 少し長くなりましたが、公益試案の修正案の内容について説明をさせていただきまし た。御質問なり御意見をお願いいたします。 ○しろまる加藤委員 2点質問させていただきます。1点は、2頁の当面の運用方針の適用対象労働者のと ころの、4つ目のポツのなお書き、「同一産業同一職種において複数のランクを設けな いこととする」というのは、当面1ランク1つの設定だということはわかったのですが、 3つ目のポツのなお書きで「制限を設けることとする」というのはどういう意味なのか。 複数の職種別設定賃金の設定もあり得るということで書いているのか、それとも、1産 業に1つの職種だということを指しているのか、その辺を教えてください。 2点目は、地域別最低賃金のところです。説明の趣旨はよくわかりましたが、4頁の 最後の「運用の詳細」のところにある、「「地域における労働者の生計費及び賃金並び に通常の事業の賃金支払能力」を考慮するための具体的な方法」というのがありますが、 これは具体的にはどのようなことをイメージしているのか。現行の最低賃金法の三要素 に基づいて現在は運用しているわけです。具体的には目安審議があり、目安を受けた後、 地方最低賃金審議会でそれぞれ審議が行われているのだと思うのです。そこでの現在の 運用をどのように変える、ということをイメージした方がいいのか、あるいはイメージ しているのかを教えてください。 ○しろまる今野部会長 最初の点は、2頁の(2)の(1)の適用対象労働者のところの3番目のポツのなお書き のところですが、「一つの産業における職種別設定賃金の数に制限を設けることとする」 というところの「制限」というのは1個なのか2個なのか3個なのかという話ですね。 ○しろまる加藤委員 そうです。 ○しろまる今野部会長 我々公益委員の中では、そこをいくつかにするかということは決めておりません。た だ、大くくりな職種とするということにしてありますので、自ずと数は限定されるだろ うということもありますし、あるいは産業別最低賃金からの移行なども考えると、移行 をスムーズにしていきたいということを考えて、当面数を制限してはどうかとは考えて います。 ただ、加藤委員がおっしゃられたように、1個なのですか、2個なのですか、3個な のですかということについては、公益委員の中では数は決めていません。 2点目は、4頁の下から4行目ぐらいの(1)の当面の運用をどうするかという話ですね。 ○しろまる加藤委員 そうです。現行の最低賃金を変えるわけですから、現行と照らしてということです。 ○しろまる今野部会長 それを変えて、ここの部分をこう変えるとか、ここの部分をこう変えるということに ついては、まだ我々は議論していないです。 ○しろまる加藤委員 文章はいいのですけれどもね。 ○しろまる今野部会長 ええ、想定はまだしていないです。 ○しろまる加藤委員 事実上中身をこう変えたいと。例えば、労働者の生計費のところには、生活保護との 整合性も考慮するだとか、それから賃金のところは地域の賃金というふうに変えるわけ ですね。 ○しろまる今野部会長 はい。 ○しろまる加藤委員 それに伴って、運用も見直したいという趣旨だと思うのですが、現在の運用と照らし てどういう見直しが必要だと考えているのですか。 ○しろまる今野部会長 具体的には想定していなくて、つまりそういうことで、今おっしゃられたように、生 活保護との関係をどうするかとか、ここでいうと4頁の一番上の(2)の「決定基準の見直 し」のところがあるわけです。これをしたときに、この変更を考えたときに、どういう ふうになるか。つまり、見直しをしたときに変更する必要があるのだったらそれは考え ましょう、というのがこの趣旨です。ですから、最初から現在ある運用の仕掛けを今度 はこういうふうに変えるぞ、ということは想定していないです。 ○しろまる中野委員 関連でですが、前の修正案のときには、今のところは「「労働者の生計費」について、 生活保護との整合性を考慮するための具体的な方法」というのが(1)に記載されていたの ですが、それが今回は消えているということについては、この(1)の「地域における労働 者の生計費及び賃金並びに云々」という具体的な方法の中に、それは入っているという 理解をしていいのでしょうか。前回は、4頁の(2)の(1)の文章がなくて、「労働者の 生計費について、生活保護との整合性を考慮するための具体的方法」というのが記載さ れていた。それが変わったということは、この生活保護との整合性を考慮するための具 体的な方法というのは、関係審議会において議論しないということなのか、(1)の中の 「労働者の生計費」というところで審議するということが包含されていると理解してい いのかどちらでしょうか。 ○しろまる今野部会長 包含されると考えています。 ○しろまる中野委員 そういうことでよろしいのですね。 ○しろまる今野部会長 ただ、どういうふうに考慮するか、ということについては具体的に想定していない。 ○しろまる中野委員 関係審議会においての検討ということで考えているのですか。 ○しろまる今野部会長 そうです。そのときの公益委員の基本的な考え方は、くどいようですが先ほど言いま したように、賃金決定基準の1つとしては生計費があります。生計費の中の1つの要素 として生活保護があります、そういうことを勘案していきましょうというのが基本です。 具体的にどういう計算式を使うとか、どういうデータを使うということについては考え ていませんし、それは関係審議会で検討してほしいということだと考えています。 ○しろまる中野委員 他にいくつかあるのですけれども、まず1つはこれまでにも何回か主張しているので すが、この時期になりましたのでできれば教えていただきたいと思うのです。1頁の (2)の最後の2行のところです。「別に法的根拠を設け」とある、この「別の法的根 拠」というのは、一体どういう法律を想定しているのかということを1点お聞きします。 2点目は、2頁の(2)の「当面の運用方針」のところで、「職種別設定賃金につい ては、当面以下のとおりの運用方針によることとする」と記載されていますが、この 「当面」というのはどのぐらいの期間を想定しているのかを教えていただきたいと思い ます。 ○しろまる今野部会長 最初の、1頁の(2)に関連した「別に法的根拠を設け」については、特にこの法律 でいくぞと決めているわけではない。ただ、想定としてはここもあり得るかなというこ とはありますけれども、それは決めているわけではないということです。 「当面」というのはいつまでかという話ですが、私どもとしては、職種別設定賃金と いうのは、これは認識の問題もありますけれどもトレンドを考えたら必要であるとは考 えています。ただ、実際にそれをやるときに、現在の賃金決定の状況というようなこと を一応踏まえなければいけない。そういうことを踏まえて、当面はこういう運用にした いというふうにしたわけです。ということは、これから労働市場がどう変わるとか、企 業内賃金決定の実態がどう変わるかということに依存するわけです。 そういう実態の変化を踏まえて、いい時期があったら見直したいというふうには考え ています。したがって、この「当面」というのは2年とか3年とかということではなく て、実態が今言ったような意味で労働市場とか企業内の賃金決定とか、あるいは企業内 の労使関係などがある状況になったときに改めて見直しをしたい、という意味での「当 面」です。 ○しろまる中野委員 そうしたら、3年もあるだろうし。 ○しろまる今野部会長 1年もあるかもしれない。 ○しろまる中野委員 情勢の変化では1年もあるだろうし、3年もあるだろうし、5年もあるだろうし、場 合によっては10年、20年もあると。 ○しろまる今野部会長 ただ、一番最初に私が申しましたように、公益委員として、方向性としては職種別設 定賃金が必要だ、というのは原則です。ただ、現実との折り合いをどうするかという話 ですので、そういう意味で「当面」にしたということです。その原則が提供できるよう な状況になったら、もう一度見直したいと。そういう意味でここでは「当面」と言って おります。他にありますでしょうか。 ○しろまる川本委員 ちょっと質問も含めてですが、まず生活保護についての記述が4頁にあり、今、御説 明もいただきましたけれども、併せて資料3も出てきまして、資料3で、一応この中身 は、県庁所在地と県の平均値と2つ出ておりますけれども、県の中で生活保護が最も低 い地域というのはお作りにはなっていないのですね。 ○しろまる今野部会長 一番低い地域だけで1個図を作るというのはしていないです。これは地域別の形で、 ここにも書いてありますけれども、人口で加重平均して平均を出しています。 ○しろまる川本委員 ある意味で、今出ているのは一番高い所と平均だということですね。 ○しろまる今野部会長 そうですね。 ○しろまる川本委員 高いのがあるのだったら低いのもあってもいいような気がします。それから、あと生 活保護の所ですけれども、資料4でも公益委員の考え方が示されて記述が行われており ますけれども、最低賃金の決定に当たって、様々な要素を勘案する際に、生活保護も1 つの要素だと、こういうお話を今日もう一度改めて御説明されたのだと思いますが、こ の1つの要素というのは、要するに1つの参考資料ですという位置づけでよろしいので しょうか。 ○しろまる今野部会長 難しい質問ですね。参考資料というのは。 ○しろまる川本委員 今、様々なものを全部参考資料として勘案しながらやっておりますね。 ○しろまる今野部会長 はい。今おっしゃった参考資料というのは、それには全く準拠しないで単に参考資料 という意味ですか。それだったら違いますね。単にみるだけという参考だったら、それ は参考ではないですね。いろいろな要素の中の1つとして、勘案する要素として使いま す。 ○しろまる川本委員 それは参考というのですかね。 ○しろまる今野部会長 そういう意味では参考です。言葉の問題です。 ○しろまる川本委員 はい。それから、あともう1つは、派遣元から派遣先も御説明いただいたのですが、 最低賃金を実際に決めるときに3つの要素ということで、生計費、類似の労働者の賃金、 支払能力で決めているわけですが、あえてこの派遣元から派遣先というのは、先ほどの 派遣先の状況を踏まえてということになりますと、これは派遣先の最低賃金でいってい るところの生計費を重視するという意味なのですか。そうではなくて。 ○しろまる今野部会長 御質問の意味は、何で派遣先の地域の最低賃金を使うのかということですね。 ○しろまる川本委員 今までがやはり派遣元だったものですからね。 ○しろまる今野部会長 先ほど言いましたように、同じような場所で働き、同じ使用者の指揮命令で働き、違 う最低賃金が適用されているというのは不合理であると考えておりますので、あえて言 えば、同じような仕事をしていれば同じ最低賃金であるという考え方です。 ○しろまる川本委員 では、3つの要素を勘案して決まっている最低賃金を適用するけれども、ある意味で は、こう持っていく意味はと言えば、類似の労働者というイメージがあるということで しょうか。 ○しろまる今野部会長 はい、そういうことです。 ○しろまる川本委員 それから、もう1つ、今の御説明になかった所の質問なのですが、4頁の(4)「罰則の 強化等」ということで、「地域別最低賃金違反に係る罰金額を労働基準法第24条違反よ りも高いものとする」とあるのですが、ここの所は、今まで金額的な具体的なイメージ を聞いていないものですから、ここはどの程度の金額をお考えなのか、ちょっとお聞き したい。 ○しろまる今野部会長 公益委員の中では、まだ具体的な金額は考えていません。ですから、今のところ公益 委員の合意は、高いものにするというレベルでの合意だということに。いくらにするの とか、何倍にするのとか、そういう話はしていないです。 ○しろまる川本委員 あくまでも24条よりは。 ○しろまる今野部会長 高い。 ○しろまる川本委員 以上ということですね。 ○しろまる池田委員 よろしいでしょうか。生活保護の整合性の問題ですが、最低賃金からいうと整合性と いうことになるのですが、一方では、その生活保護が高すぎるという御意見も地域によ ってはある。その場合に、生活保護を決める根拠として、当然これは生計費から割り出 すのでしょうから、生活保護の方も最低賃金を参考にするとか、そういう改正というの はあり得て当然で、下げろということで。一方的にこちらだけ変えて、最低賃金が安す ぎるから生活保護を基準にしろという、これは非常に一方的で、生活保護を決める方も、 やはり地域別最低賃金を参考にしていただかないと。相互関連からいくと下げるという こともあり得るのではないかと思うのですが、そちらはどうなっているのでしょうか。 ○しろまる今野部会長 ちょっとその辺については私は答えられないです。そういう御意見があったというこ とは議事録に残したいと思いますが。 ○しろまる池田委員 それからもう1つ、基本的なことですが、今度の職種別賃金がどうしても同意できな くて、産業別最低賃金は今のままでいいですよといったときに、地域別最低賃金だけ改 正するということはあり得るのですか。 ○しろまる今野部会長 ちょっと待ってください。今の趣旨は、産業別最低賃金をそのままにしておいて、地 域だけ少し手を加えたらどうかと、そういう御趣旨ですか。 ○しろまる池田委員 そういうこともあり得るのですかと。あくまでも産業別最低賃金が仮に今の現状どお りになった場合、地域別最低賃金も現状のままですよね。 ○しろまる今野部会長 いや、すみません、それはあまり想定してないものですから。今のところ、産業別最 低賃金は廃止して、職種別設定賃金を導入する。同時に、地域別最低賃金を、細かいこ とは別にして部分的に修正するということでやっております。産業別最低賃金廃止はな かった、それと並行して、地域別最低賃金も現行のままということは、まだ全然考えて いないので、ちょっと答えにくいですね。それは、イエスかノーか答えろということで すか。 ○しろまる池田委員 いいえ、そうではないです。 ○しろまる今野部会長 想定していませんというのが私の回答です。他にございますでしょうか。 ○しろまる原川委員 質問ですが、資料2の3頁にある(3)の「決定手続」についてですが、ここで、2つ目 のポツと3つ目のポツのカギ括弧の中の表現が違うのですけれども、必要性審議は「努 力するものとする」、金額審議については「「努力することが望ましい」ものとする」 というふうに、ややニュアンスを変えて書いてあるのですが、この違いはどういうこと かと。ちょっと見ますと、金額審議については全員一致にあまりこだわらないというよ うな感じにも受け取れるのですけれども、ここの差といいますか、違い、それとそのよ うにした理由を教えていただきたいと思います。 それから、もう1つ。4頁の(2)の「決定基準の見直し」ですが、今までいろいろと御 質問が出ているわけですが、しつこくて申し訳ないのですが、ここの所が非常に地方で は心配をしているということでお聞きするのですけれども、先ほど部会長は、全体とし てこの3つの要素によって決定すると。その1つが生計費であり、さらに、生計費の1 つが生活保護というようなお考えを言われたのですけれども、これは、要するにこの3 つの大きな要素、それから、生計費の中の生活保護という要素、これらを勘案して総合 的に判断すると、例えばこの生活保護の方が最低賃金よりも高いのはおかしいという、 そういうことがあえて強調されるということはないのかどうか、もう1回お聞きしたい のですが。どのくらい勘案するのでしょうか。 ○しろまる今野部会長 まず今、御質問が2つありましたので、順番にいきたいと思います。1つは、3頁目 の上の方の(3)「決定手続」の2番目と3番目のポツの所です。これは、先ほども説明し ましたが、基本的には現行の産業別最低賃金と同様の運用をするということが趣旨でし て、何でこういう表現になっているかというと、昭和57年の中央最低賃金審議会の答申 で、必要性審議については、「全会一致の議決に至るよう努力するものとする」とされ ているのですね。さらに、平成14年の産業別最低賃金制度全員協議会報告で、金額審議 については、「全会一致の議決に至るよう努力することが望ましい」と書いてあるので、 これを持ってきたということで、趣旨は、現行の産業別最低賃金と同様の運用をすると いうことです。 それで、2番目の4頁目の「決定基準の見直し」についてですが、おっしゃられたよ うに、決定基準の1つとして生計費があります。生計費の中の要素の1つとして生活保 護があります。そういうことを考えて総合的に決めますということなのですが、そのと きに、今おっしゃられたように、生活保護が何割と言われるとですね、それは、少なく とも先ほども言いましたように、生活保護基準から機械的にこうなりますというように は考えておりませんので、いずれにしても、地方最低賃金審議会で審議をして、最低賃 金というのは最終的に決定されるわけですので、ここでは一応総合的に判断するという ように考えております。運用の詳細については、先ほどの4頁の一番下にありましたよ うに、今後関係審議会で議論すべきというふうに考えております。しつこいようですけ れども、生活保護基準から何か計算式があって、機械的にこうなりますというようなこ とは別に考えておりません。他にございますでしょうか。 ○しろまる川本委員 意見です。本日資料2で改めて試案の再修正案というのをいただいたわけですが、実 は私ども使用者側の意見として、お手元の資料4に、公、労、使、それぞれの意見が整 理されているわけですけれども、資料4の1頁目から2頁目にかけて、見たとおりで、 例えば1頁目ですと、ポツの2つ目の3行目でしょうか、「一定程度以上締結されてい る職種別の企業内最低賃金に関する労働協約を踏まえて決めるべき」とか、あるいは、 3つ目のポツですが、「一定程度以上の技能」については、「経験年数、勤続期間、年 齢、国家資格若しくは検定を採用するのは、業務の内容と関係がなく、適当ではない」 とか、「どれだけの技能を持っているかということではなく、何の仕事をしているのか 具体的な仕事の中身で本来定義すべき」とか、あるいは、2頁目の一番下の右側の使用 者側意見ですけれども、「(1)基幹的な職種、(2)具体的な業務内容・レベル、(3)最低賃金 額について定められた労働協約であることが必要」とか、こういう職種別であるならば という御意見を申し上げてきたわけです。そういう意味からしますと、今回示された再 修正案、職種別設定賃金の運用方針というのがここに書いてありますが、私どもが申し 上げてきた意見とは著しく異なる内容かなと考えております。 そもそも私どもは、全国で地域別最低賃金が定着しているという中で、屋上屋を架す 産業別最低賃金の廃止を訴えてきたわけでして、そういう中で、産業別最低賃金は廃止 し、別の法的根拠による職種別設定賃金を柱とする公益委員試案ということで、それは 昨年の11月に示されましたので、その中身について本日まで議論をしてきたという経緯 があるわけであります。しかしながら、本日改めてこういう修正案が示されたので、持 ち帰りまして、検討させていただいて、次回の部会で御返答を申し上げたいと思ってお ります。 ○しろまる今野部会長 労働者側はいかがですか。 ○しろまる加藤委員 いずれにしろこの部会については、労働者側としては当初から現行の産業別最低賃金 が果たしている役割、機能も踏まえながら、それをやはり継承、さらに発展させていく という立場で審議に当たってきたわけです。そのような中で、公益委員試案が出され、 今年の春からはその運用方針についても議論がなされてきたところです。私たちはその 公益委員試案に対しては、職種別設定賃金が文字どおり実効性の高い制度となるよう、 申出要件であるとか、あるいは審議の在り方などについても意見を述べてきました。そ れは川本委員からおっしゃられた資料4にも労働者側の意見がずっと載っておりますの で繰り返しませんが、そうした内容です。個々の具体的な意見を申し上げて今日労働者 側の意見を述べるということにはなりません。ただ、労働者側の意見は要件を緩和する ことも含めて実効性のある制度を作ろうという趣旨で発言してきた内容から見ると、十 分に反映された再修正案ではないなという印象は持っております。いずれにしろ、まと めに向けて示された公益委員試案の再修正案だというふうに受け止めさせていただいて、 私どもの方も持ち帰って、十分検討させていただきたいと思っております。 ○しろまる今野部会長 それでは、労使各側には、本日我々がお示しした公益委員試案修正案についてお持ち 帰りいただいて検討いただければと思います。次回の部会で労使の御意見をまた伺って 議論を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。次回は11月24日 (金)を予定しております、その間に御検討いただければと思います。詳細については 改めて事務局から連絡をさせますのでよろしくお願いいたします。 それでは本日の会議はこれで終了いたします。本日の議事録の署名ですが、勝尾委員 と杉山委員にお願いいたします。それでは本日はこれで終わります。ありがとうござい ました。 【本件お問い合わせ先】 厚生労働省労働基準局勤労者生活部 勤労者生活課最低賃金係 電話:03−5253−1111 (内線5532)