05/09/30 労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会 第4回議事録 第4回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 1 日時 平成17年9月30日(金)10:00〜12:00 2 場所 経済産業省別館827号会議室 3 出席者 【委員】 公益委員 今野部会長、石岡委員、勝委員、武石委員、 田島委員、中窪委員 労働者側委員 加藤委員、須賀委員、??石委員、??橋委員、 中野委員、横山委員 使用者側委員 池田委員、川本委員、杉山委員、竹口委員 原川委員、前田委員 【事務局】厚生労働省 青木労働基準局長、松井審議官、 尾澤総務課長、前田賃金時間課長、 名須川主任中央賃金指導官、 山口副主任中央賃金指導官、梶野課長補佐 4 議事次第 (1)地域別最低賃金の在り方について (2)その他 5 議事内容 しろまる今野部会長 ただ今から第4回最低賃金部会を開催いたします。本日の議題は地域別最低賃金の在 り方について議論していただくということですが、まず前回の産業別最低賃金の在り方 について、修正した資料について、事務局から説明をいただきたいと思います。それで はお願いします。 しろまる前田賃金時間課長 それでは資料1−1をご覧ください。前回の部会でのご議論を踏まえて修正した資料 です。まず資料1−1の表紙ですが、表題について「最低賃金制度の現状」としており ます。1枚目は、現状どうなっているかを整理したということで、表題を掲げておりま す。1枚めくっていただいて、下に1頁と書いてありますが、「産業別最低賃金の在り 方に関する意見の整理」ということで、その下に「(注記)」で書いておりますが、「最低賃 金部会及び中央最低賃金審議会における意見、最低賃金制度のあり方に関する研究会の 報告書を整理したもの」ということで、これまでに審議会なりこの部会、あるいは研究 会などで出された意見を整理して、この部会での議論の参考にしていただくということ で、その趣旨を明確にしたということです。 それから、中にありました意見について、(労)とか(使)というふうに書いていた ところがあるわけですが、それについても前回の御議論で、特にそういう表記は不要で はないかということで、削除しております。それから、1頁で見ていただくと、下のと ころに、アンダーラインを引いてある部分が3つありますが、このアンダーラインを引 いてあるところは、前回の部会の中で出された意見を、改めてこの中に追加して整理し たということです。 ですから、産業別最低賃金の在り方のところでいくと、規制改革の議論とか、産業別 最低賃金の現状からみての問題、それから、セーフティネットは必要であるが、国はナ ショナル・ミニマムに徹して、その他は第三者の関与なしに市場に任せるべきといった ようなものを追加しております。 2頁も同様に、下線を引いた部分は前回の部会の中で出された意見を追加して整理し たということです。 例えば地域別最低賃金について、今のような水準ではセーフティネットといえるか疑 問で、産業別最低賃金の下支えが必要であるとか、賃金水準がトップクラスであるとい っても、最低賃金というのは非常に最下層のところにあるので、そういうところの規制 が公正な競争を排除しているということです。 規制改革についても、必要な規制まで緩和する必要はないということで、最低賃金の 規制を外すということが、そもそもの法律の目的を逸脱するということです。 あとは、産業別最低賃金の対象が1割に満たないということは、行政が主導で設定す るものではなく、労使の申出でやっているというようなこと。さらに、労働組合がない ところで、一方的な賃下げ等もあり得るということで、労使交渉の補完というものが必 要だというようなことです。 3頁は、現行の枠組み変更ということで、前回のご議論の中で、例えばものづくり産 業の技術の継承といったようなところから、産業別最低賃金の廃止ということではなく て、基幹的労働者をポジティブに定義していくということが重要ではないか。それか ら、基幹的労働者の定義について、ネガティブ方式であったわけですが、賃金制度も変 わりつつあるといったようなご意見です。 それから、罰則について、これは産業別最低賃金と労働協約拡張適用と両方ですの で、3頁と5頁と両方ですが、団体交渉の補完機能ということで、セーフティネットの 地域別最低賃金と同じ規制、同じような罰則をかける必要はないのではないかというご 意見がありました。そういったところを追加して整理したというところです。 しろまる今野部会長 この資料は、次回以降の議論でまた使って、これをベースに議論していただくことに なると思うのですが、何かご質問があればお受けしたいと思います。よろしゅうござい ますでしょうか。それでは次に、今日の本題に入りたいと思います。地域別最低賃金の 在り方について、事務局で資料を用意してくださっていますので、説明をお願いしま す。 しろまる前田賃金時間課長 それでは資料2−1をご覧いただきたいと思います。先ほどの資料1−1と同じよう に、地域別最低賃金の在り方について、これまで中央最低賃金審議会で出された意見、 あるいはこの部会で出された意見、さらに研究会報告書で出されている意見といった、 これまでに出された意見を、今後の議論の参考にしていただくということで、整理して おります。 まず1頁で、大きな1つとして、「地域別最低賃金の今後の在り方」ということで、 1頁は「安全網としての機能」という、総論的なことで整理しております。1頁の「考 え方」のところで、1つは地域別最低賃金はセーフティネットということで、その一般 的最低賃金として適切に機能するように、決定に当たって様々な要素を総合的に勘案す べきということ。これは、従来からそういうことが一般的に言われております。研究会 報告でも、そう整理されております。 2つ目ですが、地域別最低賃金の水準について、上ともかかわりますが、安全網とし て、適切な機能を果たすにふさわしい水準とすることが必要であるという、これも一般 論でして、研究会でもそういう整理です。 3つ目が、地域別最低賃金の水準の問題ですが、ナショナル・ミニマムであるという ことではありますが、例えばマーケットバスケットで計算した最低生活費とか、パート タイム労働者やアルバイトの賃金、あるいは初任給などと比べても、はるかに低い。そ ういった意味で、賃金実態を十分に反映できていない。 また、影響率などをみても、諸外国と比較しても低いということで、実質的にセーフ ティネットとして有効に機能しているとはいえないのではないかということで、これ は、研究会のヒアリングなどで出された意見で、主に労働側の意見です。 次もそれともかかわりますが、地域別最低賃金の水準について、実質的なセーフティ ネットとして有効に機能させるべきということで、実態賃金に見合って、大胆かつ十分 に引き上げることが重要であるということです。 それに対して、これは使用者側のご意見ですが、地域別最低賃金は生活保護などのよ うに、一定の基準に基づいて決められるものではなくて、決定基準の三要素が法律上規 定されておりますが、それを中心に、様々なデータを総合的に勘案して、公労使による 話合いで、時宜にかなった決定を行ってきたということであります。地域の特性や現実 に即して決定して、それを積み上げてきたということで、未満率も低い結果になってい るという意味で、安全網としての役割を果たしてきているというご意見です。 次も同様ですが、結局、現在の地域別最低賃金は、それぞれ各地域において特性や実 情を踏まえて、これまで積み上げられてきたという歴史があるということで、そういっ た事実を重く受け止めるべき、水準についても妥当であるという意見です。 その次は、地域別最低賃金について、これまで引下げというものがないということ で、下方硬直性が問題として指摘されているというご意見で、硬直性を是正すべきとい うことです。 あと、現在、目安についても、毎年諮問をして審議を行っているということですが、 経済実態を反映して、必ずしも毎年諮問すべきものではないのではというご意見が、従 来、中央最低賃金審議会などで出されております。 一番下は、この部会でも出されましたが、産業別最低賃金の見直しに合わせて、地域 別最低賃金についての水準を、先ほどあったような、これまでの経過を無視して調整す るというようなことについては反対であるということです。 次に2頁で、「決定基準について」ということです。資料2−2という、最低賃金法 の条文を若干抜き出したものがありますが、そちらの方も併せてご覧ください。最低賃 金法の第3条で、「最低賃金の原則」ということで、「労働者の生計費、類似の労働者 の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない」と、決定 に際して考慮すべき大きく3つの要素が規定されていて、それに沿ってここを整理して おります。 1つは「労働者の生計費」ですが、特に生計費ということで、「健康で文化的な最低 限度の生活」ということから、生活保護との関係が、研究会では議論されております。 そこでは、最低賃金について、生活保護が、政策的に一定のルールで決められていると いうことですが、賃金ということなので、ただちにそれに直接にリンクして決定するこ とは、必ずしも適当とはいえないということですが、最低生計費については、同様の考 え方です。 それから、働いている者と働けないで生活保護を受けている者の、就業に対するイン センティブといったようなことから、モラル・ハザードという観点。さらに、生活保護 についても、自立支援ということが重視される方向にあるということで、少なくとも最 低賃金の水準について、単身者についてみた場合に、実質的に生活保護の水準を下回ら ないようにすることが必要であるというような意見が研究会でまとめられております。 生計費の点については、先ほどもありましたように、従来から労働側のご意見として、 最低生計費について、十分検討がなされていないというご意見が出されております。 2つ目に「類似の労働者の賃金」ということで、現在、特に地域別最低賃金の目安審 議などにおいては、賃金改定状況調査ということで、小規模企業の賃金の改定の状況を 調査したものも考慮の要素としてやっているわけですが、そこで、小規模企業の労働者 ということで、特に低賃金の労働者の賃金水準というものが重視されているところもあ ります。研究会の中では、安全網としての機能を重視するということ、あるいは賃金格 差の是正というようなことも考慮するなら、そういった低賃金労働者の賃金水準のみで はなくて、一般労働者の賃金水準も重視することが考えられるというご意見です。 地域別最低賃金の水準と、地域の一般的な賃金水準、それは平均賃金との関係とか、 あるいは低賃金労働者の賃金水準ということで、第1・10分位、第1・20分位といった 特性値でみた賃金などもありますが、そういった関係が、都道府県によって不均衡な面 があるということで、地域的な整合性を保ちつつ、経年的にある程度安定的に推移する ようにということで、一定の見直しが必要ではないかというのが、研究会での整理で す。 3つ目は、中央最低賃金審議会などで出された意見ですが、例えば貧困の度合いとい うことについて、国際的に一般労働者の賃金の中位数の2分の1とか60%といったよう なところを基準に、比較をしているというようなところも考慮すべきというようなご意 見です。 4つ目は、例えば平均賃金との比較ということが、研究会の中で言われております が、そもそも平均賃金というのは、様々な賃金のバラつきの、あくまで平均値というこ とで、最低賃金という、最低保障ラインと比べることの意義が薄いのではないか。特に 我が国において年功賃金といったようなところもあるので、平均賃金との比較というも のがあまり意味はないのではないかということが、使用者側のご意見として出されてお ります。 3つ目の要素の、「通常の事業の賃金支払能力」ですが、例えばILO条約の最近の 条約では、考慮すべき要素として、経済的要素ということで、経済開発上の要請、生産 性の水準、あるいは高水準の雇用を達成することの望ましさを含むといったような規定 になっております。この「支払能力」というものは、個々の企業の支払能力ではなく て、通常の事業に期待される賃金支払能力ということではあるわけですが、表現とし て、個々の企業の支払能力といったような誤解を招きやすいというようなこともありま して、研究会の報告では、経済的な要素として、例えば生産性の水準とか雇用の確保と いったような趣旨であるといったことを明確にすることが必要ではないかというご意見 が出されております。 一方、研究会の中での使用者側からのご意見として、最低賃金決定の中で、特に最も 影響を受けやすい中小零細企業の実情、あるいは支払能力を重視すべきであるといった ようなご意見があります。 3頁で、「任意的設定」ということですが、資料2−2の2頁目に、最低賃金法の第 16条というのがありますが、「厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の事業、職 業又は地域について、賃金の低廉な労働者の労働条件の改善を図るため必要があると認 めるときは、最低賃金の決定をすることができる」ということです。 今、地域別も産業別も、必要があると認めるときは、最低賃金の決定をすることがで きるという規定に基づいて、決定しているということです。 これについて、研究会の中で、最低賃金制度の第一義的な役割というものが、すべて の労働者を不当に低い賃金から保護する安全網ということであるということで、さら に、現在の実態として、すべての都道府県において、地域別最低賃金が設定されている ということで、法律の規定について、「必要があると認めるときに決定することができ る」といったような任意的な規定ではなくて、各地域ごとに、すべての労働者に適用さ れる最低賃金、これは地域別最低賃金ということですが、それを決定しなければならな いということを明確にすることが適当であるということが整理されております。 その次も同じ研究会ですが、それとの関係で、一般的最低賃金としては、地域別最低 賃金の他に多元的に、産業別、職業別というものを設定する必要がなくなるということ ですが、先ほど申し上げたように、今、第16条は、地域別、産業別、あるいは職業別、 すべて同じレベルで、必要があると認めるときに決定することができるということにな っております。もともと法律ができた当初、業者間協定からスタートして、事業に応じ た最低賃金というところからスタートしているわけですが、その当時は、それもやはり セーフティネットとしての意味合いが強かったということです。現在において、地域別 最低賃金が安全網であるということとの関係で、その他に多元的に、一般的最低賃金と しては、産業別とか職業別を設定する必要はなくなるというのが、研究会での整理で す。 次に4頁で、「その他の論点」ということで、やや各論的な論点です。まず最初に、 「減額措置及び適用除外」ということですが、実は今、最低賃金法の中に、適用除外と いうことで、例えば障害者とか試用期間中の者、あるいは能開法の認定職業訓練を受け ている者といった者、あるいは軽易な業務に従事する者については、都道府県労働局長 の許可を受けたときには、適用除外するという規定になっております。 それについての意見ですが、この適用除外について、諸外国においては若年者とか訓 練中の者について、減額措置をとっている国も少なくないということで、適用除外では なく、減額ということも考えられるのではないかというのが、研究会の中で1つ議論さ れたところです。その際に、労使からのヒアリングの中でも出された意見というのがあ るわけですが、1つは、減額措置ということについて、例えば若年者や訓練中の者につ いて減額措置を導入するということに対しては、そもそも今の地域別最低賃金の水準と いうものが、セーフティネットとして十分機能していないという中で、さらに減額措置 を導入するということについては反対するというのが、労働側のご意見です。 一方、その次が使用者側のご意見だったわけですが、外国と日本では、賃金の生い立 ちというものが異なっているということで、どういう基準で減額するのかが難しいとこ ろもあるし、公平性の問題もある。特に年齢によって差をつけるというのがどういう意 味か、というのが難しいのではないかとか、あるいは除外なり減額ということになる と、制度が複雑になるというところもあって、わかりやすい方がいいのではないかとい うご意見です。 一応、研究会の整理としては、そういう諸外国において、若年者や訓練中の者につい て、一定の減額措置をとっているということで、地域別最低賃金について水準の見直し を行いつつ、一定の年齢区分の者等を対象に、減額措置を採用してもよいのではないか というのが、意見として整理されております。 ただ、実際にどういったものを対象にするかというようなことは検討が必要であると いう整理です。 次に、「罰則について」ですが、最低賃金法違反の罰則ということで、最低賃金額以 上の賃金を支払わなかった場合に、罰則がかかるわけですが、これについては、昭和34 年に最低賃金法が制定されて以来、ずっと1万円ということで改正がされていないとい うことです。罰則等臨時措置法によって、一律最低が2万円になっているということ で、最低賃金の安全網としての実効性の確保という観点からは、地域別最低賃金につい ての最低賃金法第5条1項違反の罰則について、引き上げるべきというのが、研究会で 整理されております。 次に、「設定の単位」についてですが、現在、地域別最低賃金は都道府県単位で設定 され、当然47設定されております。産業別最低賃金についても、ほとんどすべてが都道 府県かつ産業別に設定されているということです。 これについて、労働市場の領域が、必ずしも都道府県の領域と合っていないというこ とで、都道府県の境界を越えるものもある。また、近隣で最低賃金額に大きな差がない ような所もあるということも踏まえるなら、この設定単位について、必ずしも都道府県 単位ということではなくて、審議会運営の弾力化を含めて、より労働市場の実情を反映 した単位で設定することが必要ではないかということで、研究会で意見として整理され ております。 その次は、この部会でも出された意見ですが、県単位ということが細かくて、境界線 の問題もあるということで、もう少し大くくりで単純にしてもよいのではないかという ご意見も出されております。 5頁ですが、「派遣労働者に対する最低賃金の適用」についてですが、現在、派遣労 働者については、派遣労働者を雇用しているのは、派遣元であるということで、当然賃 金の支払は派遣元が責任を負うということになっております。そこから、派遣労働者の 最低賃金については、派遣元の事業の所在地の地域別、あるいは派遣元の事業の産業の 産業別の最低賃金が適用されているというのが、現在の状況です。これについて、派遣 労働者については、現に仕事をしているのが派遣先であり、賃金の決定については、ど こでどういう仕事をしているかということを重視すべきであるということからすれば、 最低賃金については、派遣先での最低賃金が適用される。当然支払うのは派遣元の事業 主ですが、金額については派遣先の基準で決定することが適当であるというのが、研究 会での整理です。その下も、研究会でのもので、これは労働側からの意見として出され ましたが、雇用形態の多様化の中で、派遣とか請負の場合に、これは産業別最低賃金の 意見として出されていますが、派遣については、派遣元の事業というのはサービス業に 分類されるということで、製造業に派遣されても、製造業の産業別最低賃金は適用され ないわけですが、その産業の公正処遇の確保とか、公正競争の確保の観点からは、働く 現場でということで、派遣先ということ、あるいは請負を実際にしている事業というこ とですが、そういったところでの最低賃金の適用が必要であるということです。 5番目の、「表示単位期間」ですが、実は法律上最低賃金法の第4条で、今、「最低 賃金額は、時間、日、週又は月によって定める」と規定されております。従来、地域別 最低賃金あるいは産業別最低賃金については、時間額と日額の併用で表示してきたとい う経過があります。地域別最低賃金については、運用上、平成14年度から時間額に一本 化して表示しておりますし、産業別最低賃金についても、時間額への移行というものが かなり進んできているということで、特に就業形態が多様化している中で、最低賃金の 適用の公平の観点、あるいはわかりやすさの観点からは、運用上時間額への一本化がな されているわけですが、ここは制度の問題として、法律上、先ほど申し上げたように、 時間とか日、週、月によって定めるということになっているわけですが、制度上も、時 間額表示に一本化する。そうすると、所定労働時間の特に短い者といったような適用除 外も不要になるということで、そういうことが適当であるというのが、研究会の中で整 理されております。 資料2−2は、この関連の条文ですし、資料2−3、2−4は、地域別最低賃金の制 度及び現状ということで、これまでに部会で出した資料と同じものですが、資料2−4 について、14頁以降に、地域別最低賃金の未満率、影響率がありますが、平成17年度の 最低賃金に関する基礎調査による未満率、影響率が、新たに計算できたので、それを追 加しておきます。14頁を見ていただくと、平成17年度の場合に、未満率が1.4%で、影 響率が1.6%ということです。 資料2−5が、昨年、労働政策研究・研修機構に、都道府県別の賃金分布と地域別最 低賃金との関係について分析をお願いした結果をご紹介しております。これは平成15年 の賃金構造基本統計調査を用いて、一般労働者とパートタイム労働者、それぞれ別々 に、都道府県別に賃金分布を作成して、それと地域別最低賃金との関係についてみたも のです。 ×ばつ115%というものです。 見ていただくと、特に東北とか九州・沖縄といったあたりは、かなり地域別最低賃金 未満とか、それを若干上回る、5%、10%、15%というところの割合が高いということ ですが、一方東京など都市部については、かなり低くなっているというところです。 3頁が、同じくそれをパートタイム労働者についてみたもので、こちらも同様に、北 海道・東北とか九州は、かなり地域別最低賃金未満、あるいは地域別最低賃金から少し 高い部分が多いということです。 さらに、6頁以下は、賃金分布と地域別最低賃金との関係を整理したものです。例え ば30頁で、一般労働者について、青森等が載っているわけですが、上まで突き抜けてあ るところが、地域別最低賃金の水準で、青森の600円ちょっと、という地域別最低賃金 に一定の分布が見られるということです。 一方、それに対して、例えば36頁で見ると、東京など関東近辺があるわけですが、そ の辺りは、地域別最低賃金の700円ちょっとの所には、賃金分布があまり集まっていな いということで、より高い所にかなりいっているというところです。 53頁では、沖縄などがあって、沖縄の場合も、最低賃金のところに、一定の分布の塊 りが見られるということです。 一方、パートタイム労働者については、54頁などで見ると、北海道・青森が、かなり 地域別最低賃金の所に分布が見られるということです。やはり、パートタイム労働者に ついても、例えば60頁などを見ていただくと、関東近辺では、賃金分布が地域別最低賃 金よりも高いところにあって、地域別最低賃金の付近はそれほどないということです。 同じく76、77頁あたりは、九州とか沖縄については、かなり地域別最低賃金のところ に賃金分布が集まっているということで、地域別最低賃金と実際の賃金分布ということ が、都道府県、地域によってかなりばらつきがあるという、1つの参考資料ということ で紹介してあります。ご説明は以上です。 しろまる今野部会長 それではただ今の説明について、ご質問ご意見をお願いいたします。 しろまる中野委員 質問ですが、この意見の整理の2頁の、(1)の「労働者の生計費」のところで、生 活保護の水準を下回らないようにすることが必要というふうに記載されているのです が、これはおそらく研究会報告の中で言われたことだと思いますが、この生活保護の水 準というのは、どういうものを指すのでしょうか。例えば生活保護費なのか、あるいは 保護の基準なのか。生活保護の基準であれば、どの範囲なのか。そういうことを言って いただかないと、この水準というのは、私には、どのように透かしても見えないので す。教えていただきたいと思います。 しろまる前田賃金時間課長 例えば資料2−4の、現状の資料で19頁に、一部生活保護と最低賃金との比較の図が あります。研究会の中での議論として、そもそも就労するかしないかということのモラ ル・ハザードが基本にあるということです。ただ、実際に生活保護とこの最低賃金を比 較するときに、そもそも設定単位が生活保護の場合には、市町村によって異なってくる ということと、地域別最低賃金については、今、都道府県単位でやっているというよう な問題がある。 それから、比較の対象として何を採るべきかということで、生活扶助基準について は、1類費、2類費というのが、少なくとも最低生活ということであるわけですが、住 宅扶助について特別基準額で採るべきなのか、実績値で採るべきなのかということにつ いては、必ずしも十分、最終的な結論までは出ていないということです。 さらに、生活保護との比較においては、例えば、最低賃金でやった場合に、税金とか 社会保険料の問題なども出てくるということもあって、具体的な、技術的な比較につい ては、さらに検討が必要ということになっております。ですので、この研究会で、具体 的に何と何を比較すべきというところまでは、明確な結論には至っていないということ ですが、いずれにしても最低生計費とか、あるいは就労した場合と就労しない場合との モラル・ハザードという観点からいくと、少なくとも実質的に見て、生活保護よりも高 い水準にあるべきという整理がされているところです。 しろまる中野委員 ですから、それは承知しているのですが、その水準が、どのくらいかによって、どう いうふうに考えるかによって、モラル・ハザードが起きるかどうかということがあるわ けです。しかも、研究会だけではなくて、これは、昨年行われた、中央最低賃金審議会 の中の目安制度のあり方に関する全員協議会の第5回で検討しているわけです。その第 5回の検討の中身としては、住宅扶助費の、特に東京の場合には、一級地・二級地・三 級地とあるわけですが、特別加算が付いているので、大体それをならして平均3万円程 度で計算して、確か、最低賃金を下回っていないという結論だったと思うのです。 あえてその後の研究会でこういうご報告が出ているわけですから、研究会としては、 目安制度のあり方に関する全員協議会の中での検討については、不十分と、まだそれで は比較が低いんだということで、こういうことが記載されていると思うのですが、その あたりについて研究会では、全員協議会などとの関係なども含めて、どのように検討さ れたのか、お教えいただきたいのです。 しろまる前田賃金時間課長 目安制度のあり方に関する全員協議会において、最低賃金と生活保護との関係という ことで、おそらくそのときは、住宅扶助については、特別基準額というものが最高限度 ということであって、実際にすべての人がその金額が必要では必ずしもないという中 で、平均値を使って、比較したと承知しております。 ただ、研究会の中では、平均値だけではなく、特別基準額で見た場合にはどうなるか ということも含めて、一応、資料としてはこの19頁にあるようなもので検討したわけで す。 ただ、そのときに、それではどれでやるべきかというところまでは、結論に至ってい ないというのが、その研究会のときの最終的な整理です。 しろまる今野部会長 私もメンバーで入っているのですが、要するに、ここでは一般原則を出した。今、お 話がありましたように、それでは例えば、実際にこれを基準に使う場合には、いろいろ な技術的な問題があるわけです。それは、議論をあまりしていなくて、つまり一般原則 は明確に出しておこうというのが、研究会のスタンスなのです。 ですから、中野さんが言われたことを質問されても、研究会では具体的には検討して いない。 しろまる中野委員 検討していないということですか。はい、わかりました。 しろまる今野部会長 ただ、こういう一般原則を提示するのが重要だというふうに、研究会では考えたと思 います。 しろまる中野委員 もう1回よろしいですか。といいますのは、18頁、19頁で、生活扶助の1類、2類 と、住宅扶助を足したものだけで比較されているのですが、生活保護というのは、たく さんの項目がありまして、本来は生活保護を受ける方は、資産能力とともに、働く能力 もないということで受けるということになっているはずですが、生業扶助というふうな ことも入っているわけです。それは、働くインセンティブを与えよということで出され ていると思いますが、働くインセンティブが出ている生活保護の中で、そういうものが 出ているにもかかわらず、この中に、そういう生業扶助というものが入らないのはなぜ なのかと。 しろまる今野部会長 それは研究会報告ではなくこの資料でですね。 しろまる中野委員 そうです。それは2つしかないわけですからね。そうしたら、そういうものが入らな ければならないのではないか。他にも法律があって、最低生計費のようなものがあるの ですが、例えば、私が調べたところでは、民事再生法でも、同じような話があるので す。民事再生法はどう書いているかというと、「最低限度の生活を維持するために必要 な1年分の費用の額」ということで、これをきちんと金額を書いて定めてあるわけで す。それを足すと、その中には、個人別生計費とか、世帯別生計費で、これも単身者18 歳とか、年齢まで定めて決めてあって、住居費も決めてあって、実額が書いてあるので す。 しろまる今野部会長 それは地域別の。 しろまる中野委員 地域別です。7区分だったと思うのですが。そこに、勤労必要経費というものも実額 が書いてあるのです。東京の場合は、これをざっと出すと、年間220万円くらいなので す。この資料の中に、検討していないというのはわかりました。しかし、そういう基準 も一方でありますから、生活保護を考えるときに、やはりさらにいろいろな資料があっ てよいのではないかと私は思いますので、次回のときには、そういう生業扶助とか、生 活保護を受けている人はNHKの受信料を払わなくてよいとかいうようなことも併せ て、一般的に生活する場合の費用として、きちんと資料を出していただきたいと思いま す。 しろまる今野部会長 どうですか。その前に、私の整理としては、今、中野さんがおっしゃったことは、よ くわかります。ただ、その前に、生活保護の基準をどう扱うかという問題があって、そ の後に、その問題が出てくる。 しろまる中野委員 いや、そうではなくて、その扱い方は議論ですが、質問としてあるところと、資料と しての問題だけ申し上げて、どれを取れという主張はしておりません。 しろまる今野部会長 それでは、そういう資料を準備してくれということですね。どうですか。 しろまる前田賃金時間課長 次回までに、技術的にどうできるか検討して準備したいと思います。 しろまる今野部会長 それでは他にございますか。特に、私は既に1度見ているのですが、今日の、一番最 後に説明していただいた資料2−5というのは、統計や数字がたくさんあり、非常にわ かりにくいのではないかと思うのですが、この辺も含めてご質問があったらどうぞ。 しろまる中窪委員 整理の中に、目安制度については、何も触れられていないのですが、これは、今回我 々が議論する対象には入らないのでしょうかというのが質問です。というのも、やって おりまして、目安制度自体、公益委員見解を示すだけで、ずっとそのものは出ていない わけですが、そういう意味では、十分機能しているのかという懸念もある。一方で、そ れがなくなるとやはり困るというような声を、前に全員協議会で話が出たときに聞いた ものですから、それなりに機能していることは確かだと思うのです。これをこのままの 形で続けていくのか、もう少しこれを改善する方法があるのかということについて、研 究会等で議論されたりはしていなかったのでしょうか。 しろまる前田賃金時間課長 研究会では、どちらかというと制度の議論ということで、目安制度はこれまで賃金の 引上げ額ということで、目安を示して、全国的に整合性を図りつつ引上げを行ってきた ということであるわけですが、研究会の議論の中で、そもそも、そういう引上げだけで はなく、全体的な水準を議論すべきではないかというようなご意見が一方であります。 もう一方で、賃金というのは団体交渉で賃金引上げを決めていくということで、労使に おいて審議会の審議を経て決定されているということで、引上げという手法の枠内でも 一定の改善は可能ではないかというご意見です。 どちらかというと、目安制度をどうするかというのは、これまでも目安制度のあり方 に関する全員協議会なりで議論されてきたということもあって、研究会において、地域 別最低賃金の制度的なあり方を含めた議論の方が中心に行われたという経過で、目安制 度自体をどうすべきかということについては、それほど踏み込んだ検討にはなっていま せん。 そもそも、地域別最低賃金の決め方とか、あるいはここにある決定基準の問題とか、 考慮要素というものが中心に議論されたという経過でございます。 しろまる今野部会長 事務局としては、例えばルールとして今回ここで議論することについては、考えてい らっしゃらないのですね。 しろまる前田賃金時間課長 運用についてはこれまで中央最低賃金審議会の方でずっと議論してきたという経過も ありますので、全く排除するというわけではありませんが、ここでは、制度面を中心に ご議論していただければと思います。 しろまる川本委員 質問というか、意見になるかもしれませんが、今のご説明に絡んで、今この資料2− 5ということで、いろいろな分布がたくさん載っている分厚いものを頂戴したわけです が、この資料をお出しになった意味。つまり、確かにこれは分布がよくわかるわけです が、今これを見て、かなりきちんと最低賃金制度が安全網として機能しているなという ことを見るために示されたのか、いや、さっきお話がありましたが、地域によってはか なり最低賃金の辺にはり付いている割合にバラつきがあるということを示すためであっ たのか。もしも、バラつきの話をされるのであれば、実はさっき、中野さんが言われた ように、目安の話も絡んでくる。資料2−3のところに、目安制度についての資料も書 いてありますが、1頁であれば一番下、できるだけ全国的整合性ある決定が行われる。 それから特に2頁の真ん中辺に、この整合性確保の話があり、平成2年4月27日の(2 )のところで、「最低賃金にはある程度の地域間格差が存在することは許容されよう。 地域別最低賃金は、低賃金層の賃金の地域間格差の拡大を抑えるという役割を果たして きた」という意味合いもあり、要するに目安制度というのは、なるべく地域の整合性を 保ちつつ、かつ格差拡大はなるべく抑制したいというために機能させるシステムになっ ているのだろうと思うのです。 これは質問なのか確認なのかわかりませんが、従って、資料2−5の意味合い、並び に今、中窪先生からもご質問があった、目安制度の絡みというのは、もう1度議論があ るのかないのか、議論があり得るのかないのかということも、お聞きしておきたいと思 います。 しろまる須賀委員 そのことに関連して。 しろまる今野部会長 関連して。そうすると、事務局は質問に同時に答えられますか。 しろまる須賀委員 今、お2人からそれぞれ発言があったのですが、この部会の性格づけにかかわってく る話なので、枠組みの議論をここでは中心にやるとはしていますが、結果的にその枠組 みは、こういうふうなことになったらどうかという結論が仮に出てくれば、それに基づ いて運営されている、特に目安制度の部分というのは、非常にかかわりが深くなってく る話なので、両者はそれぞれ別のものだという扱いをして議論するというのは、やや議 論不足というよりも、もうまるっきり的外れになってしまう議論になるのではないか。 そういう懸念をもちますので、ガッチリ、セットできるようにしようというつもりまで はありませんが、ある程度関連づけながら議論できるようにしていただかないと、制度 全体の仕組みをどう仕組んでいくかということに影響を与えると思いますので、そうい うことに関して、事務局としてどのように考えておられるのかお尋ねしたいと思いま す。 しろまる前田賃金時間課長 目安制度については、現行の最低賃金法の下で、中央最低賃金審議会で公労使でいろ いろご議論いただいて、先ほど川本委員がおっしゃったような運用を、これまでしてき たということです。その中で、特に目安ということで、最低賃金の改定の問題、その引 上げについて、全国的な整合性を図りつつ、それほど格差が開かないようにということ が、今までの中央最低賃金審議会の公労使の合意として踏まえられてきたということで あると。 先ほどの賃金分布などとの関係ですが、こういった現行制度に基づく運用というもの が、これまでなされてきたということですが、特に研究会の中では、こういう現行制度 に基づく運用の中で、引上げ額については、全国的な目安ということで、整合性を図り つつやってきたということですが、もともとの地域別最低賃金の水準自体、毎年引上げ 額は全国的に整合性を図って、ただ、最初に設定した水準がどうだったか。そういうこ とも含めて、改めて検証してみると、ここは地域によってはかなり最低賃金のところに 賃金がはり付いている所と、一方、あまり最低賃金が効いていないような所もあるとい うことで、今までの、現行制度に基づく運用ということで、これまでやってきたこと は、これまでやってきたこととして、改めて最低賃金制度として考えた場合にどうかと いう検討の中で、地域的な不均衡、そもそもの引上げではなくて、水準そのものについ ての地域的な不均衡があるのではないかというような議論がなされて、研究会の中で、 地域的不均衡について一定の見直しが必要という意見が整理されている。 それからあとは、そういうことで、もちろん目安制度というのがこれまでの現行制度 に基づく運用としてやられてきたということなので、それと、実際の地域別最低賃金の 水準なり決め方ということが非常にかかわっているということで、そこは最初に申し上 げたように、全く排除するわけではないので、そこは関連も含めて、ここでご議論して いただくということだと思います。 しろまる今野部会長 今の点だけ、整理させていただきたい。関連している点ですか。 しろまる杉山委員 資料の見方ですが、各都道府県ごとに最低賃金が決まっていて、それから実態経済に よるのだろうと思うのですが、乖離があるわけです。ですから、乖離がたくさんある県 と、たくさんない県、どちらをよしとするのか。そういう点について、ちょっと歪んだ 見方がどうもあるような気が私はいたします。 むしろこの資料は、実態をそのまま表しているので、読み方はそれぞれ読めばいい。 私どもは、やはり、例えば東京のように、最低賃金を決めても、上げるべきところはち ゃんと上げているんだなと。それから逆に、沖縄のような所は、ああ、これは最低賃金 という制度が機能しているんだなというようにみますので、実態との乖離に問題があ る、バラつきに問題がある、これは意見になりますが、そういうものはいかがなものか というふうに考えております。 しろまる今野部会長 整理させていただきたいのですが、今、2つの点が問題になっていて、資料の意味 と、もう1つは目安制度のことですね。目安制度については、今、事務局からお話があ ったような取扱いでよいのではないかと思うのです。ですから、必要があればここで議 論すればいいし、最初から排除するものではないということです。ただ、ルールの骨格 についても、基本骨格、ちょっと運用にかかわる骨格とか、いくつかあると思うのです が、そういう点では、目安というのは後者に当たると思いますが、前者とかかわりが非 常に深いところで考えれば、議論の対象として扱えばいいのではないかというふうに整 理させていただきたいと思います。 もう1つ、資料については、例えば、今日の資料の2−4の、何でもいいのですが、 例えば7頁を見ていただきたいのですが、あるいは8頁でもいいのですが、これを詳し く見たというだけの資料。つまり、今、杉山さんがおっしゃったようなことを、ある意 味では資料7も8も表しているわけです。それを分布にしたらこうなったという、そう いう趣旨だと思います。ですから、杉山さんがおっしゃるように、このデータをどう解 釈するかは、それぞれの人の考え方によるでしょうね。 そういう点で、事務局としては今回の資料7のような状況を、より詳しいデータとし て提示したというように考えればいいのではないかと、私は考えていたのです。 しろまる須賀委員 それは違うのではないでしょうか。最低賃金制度そのものがどういう役割を果たして いるのか、ということを裏付ける資料だとみるべきではないでしょうか。 しろまる今野部会長 しかし、そういう点からすると、例えば7もそうです。つまり指標が違うとか、資料 2の方は詳しく分布を出したということだと私は思います。ただ、この分布の解釈の仕 方には、いろいろあるとは思うのです。これをどう解釈するかについては、研究会でも いろいろありました。それ以上、ここにものすごい素晴らしい情報量が入っているとい うのだったら、教えていただけた方が。 しろまる須賀委員 そうおっしゃると、また別のものになってしまうのですが。 しろまる川本委員 認識ということで言いますと、今の目安制度であれば、地域に対して引上げの目安と いうものをご参考までにお出しして、その地域はあくまでもそれを1つの参考としつ つ、地域の実態額を決めているということで、別に「引き上げる」と言っているわけで はない。そういうことをあえて記録に残したいので申し上げておきます。したがってそ の目安については各地域によって、プラスしている所あるいは目安どおりの所、マイナ スの所とあると。今年で言えば+1円、+2円の所もかなりありましたし、一方で0ま たは−1円という決め方をした所もあります。そういう地域の実態に即して、水準も含 めて決めておられるのだということを申し上げておきたいと思います。 その上で、先ほどの前田課長からのご説明の中に、「地域的不均衡がある」というお 言葉がありましたが、それは県と県とを比べたときのことを言われているのか、あるい は県の中でそういう不均衡があるということで言われているのでしょうか。これは質問 です。 しろまる前田賃金時間課長 少なくともこの資料にある限りにおいて、県と県とを比べたものとしての不均衡で す。 しろまる川本委員 それはどういうことですか。分布の仕方が不均衡なのですか。 しろまる前田賃金時間課長 不均衡という意味が、例えば一般労働者の平均賃金やパートタイム労働者の平均賃 金、一般労働者の第一10分位とか第一20分位といった特性値と、未満率等も含めて最低 賃金との比率などを見た場合、都道府県によってばらつきがありますということを言っ ているのです。 しろまる川本委員 そのばらつきを、「不均衡」という言葉で言われたということですね。 しろまる前田賃金時間課長 はい。 しろまる川本委員 わかりました。 しろまる今野部会長 この資料についてはたくさんありますから、後からまたゆっくりご覧になっていただ けたらと思います。これは大変面白いので、見ていただきたいと思います。今日はその 他にも事務局からまとめとして、いろいろな点が出されておりますので、それ以外につ いてもお願いします。 しろまる勝委員 資料の質問も含めて。前に中野委員が言われた議論とダブるのですが、この部会自 体、やはり最低賃金とは何かという基本的なところを議論する場だと思います。もちろ ん地域でいくら上げたり下げたりするかというのは、この前の目安小委員会でも、地域 別の格差が付かなくなってしまった、そういった基本的なところは、やはりこの部会で 議論するというコンセンサスが、確かあったような気がいたしておりますので、地域格 差というものについても、この部会でしっかり議論して、目安制度で部会の意図を反映 させる形になるのではないかというのが意見です。 もう1つ、先ほどの生活保護のデータの話ですが、法律にある労働者の生計費をどう 考えるかです。先ほどの民事再生法では7区分になっていて、220万円という数字が出 ました。ただ最低賃金を考える場合、何に意味があるかといえば、やはり健康で文化的 な生活を営むという、憲法で保障された部分の最低を表す生活保護の方が上回ってしま うということです。そこはモラル・ハザードの観点から問題があるという認識は、やは り共有すべきなのかと思います。 データとして今日お示しいただいた2−4の19頁は、生計費といいますか、住宅扶助 も含まれているわけですが、例えば県庁所在地の部分よりも、むしろ最低賃金額は下回 ってしまっているわけです。そういったところは非常に問題です。この場合、単に最低 賃金額を176時間で掛けたものですが、これはネットの数字はどのぐらいになっているの ですか。例えば可処分所得として見た場合、さらにこれが下回っているとすると、非常 に大きな問題があるといえるのではないでしょうか。データとしてネットベースのデー タはどのぐらいかということも、併せて知らせていただきたいと思います。 もう1つは、生活保護を受けている世代というのは、今、100万世帯ぐらいあります。 その多くは高齢者とか、障害者とか、母子家庭であるわけですが、近年就労能力のある その他の部分が、かなり増えています。そうしますと保護受給から就労するというとこ ろへの移行が、スムーズに行われるかどうかというのが、非常に重要であるわけです。 これについて、例えばいったん生活保護を受けてしまったら、ずっとそこに留まって しまうのか、卒業していく割合はどの程度なのか、それに対して行政はどのような働き かけをするのか、そういったことを教えていただければと思います。と言いますのは、 厚生労働省さんは生活保護と最低賃金の両方を所管しているわけで、その部分について 両制度の関係というのは、やはり相当注意を払っていく必要があるのではないかと思う ので、その辺のデータの現状というのを教えていただければ、議論もしやすいのではな いかと思います。 しろまる今野部会長 そういう情報を用意していただきたいということですが、いかがですか。今すぐとい うのは難しいですか。これも次回までにお考えいただきたいと思います。 しろまる池田委員 この目安制度自体、生計費、労働者の賃金、支払能力という三原則が、実態をすごく よく表していると思うのです。やはり生計費の高い所は最低賃金も高いので、それで生 活できるということで、実態が表れている。私は現在の目安制度の賃金自体は、非常に 適正に働いているのではないかという解釈をします。 しかし一方でこういう資料を見ますと、見方によっては今の目安が低すぎる、もっと 高くすべきではないか、この前の新聞にもありましたように、もっと上げろという姿勢 も見えます。生計費との関連も、東京の方にいればたくさんかかる。しかし全体的に見 て高すぎるというのは、諮問会議の中でも出ているわけですから、実態より高いという 現実はあるのです。ですから両方がリンクして目安に影響させるのは、ちょっと違うの ではないかという感じが、私はいたしました。 財政制度審議会自体も、高いという結論を出しているわけですから、それに合わせる べきだという主張が出てくると、やはり目安制度をもっと上げたいのかなという観点が 出てきます。しかしこのグラフを見る限りにおいて、私は現在の目安の賃金というの は、それなりに適正に機能しているのではないかという解釈をします。 しろまる今野部会長 今、最後に言われたグラフというのは、例のこの厚いものですか。 しろまる池田委員 はい。 しろまる今野部会長 他にいかがですか。 しろまる池田委員 もう1つは質問です。4−1で、デュアルシステムの訓練中の人たちは適用すべきで はないという主張があるのですが、方向性としてこの減額措置の問題は、現実にお役所 の方はどういう考えになっているのでしょうか。そういう観点からすると、目安という のは下げるべきだと思うのです。 しろまる前田賃金時間課長 現在、法律上は能開法の認定職業訓練を受けた者については、適用除外という規定に なっております。最近はデュアルシステムというものが、かなり重要な問題として、能 力開発行政の方で提起されております。またデュアルシステムの適用を受けている方に ついては、最低賃金の適用を外すべきというご意見も出されています。その辺について は今後、能力開発行政の中でデュアルシステムというものをどう位置づけ、またそれと の関連で最低賃金の問題も含めて、検討を進めていくという段階であります。デュアル システム自体、どういうように位置づけていくかというのができたところで、では最低 賃金の問題をどう考えるかということで、これから検討がなされていくものと承知して おります。 しろまる今野部会長 デュアルシステムについての私の解釈も、明確な方針は持っていないと思います。も し池田委員から、そんなものは減額すべきではないというようなご意見があれば、お聞 かせいただければと思います。 しろまる池田委員 逆に職業能力開発促進法に基づく適用除外は、現実にどういう人が認められているの かというところを、次のデータとして示していただければと思います。 しろまる今野部会長 それはわかると思います。すごく適用人数が少ないですよね。 しろまる前田賃金時間課長 現在の適用除外の実態については、第1回の資料の中に。 しろまる梶野課長補佐 参考資料の3−3、赤いファイルの後ろの方、31頁にあります。報告書の前の資料の 31頁です。 しろまる前田賃金時間課長 その中で第8条3号というのが、「能開法施行規則に基づく職業訓練を受ける者」と いうことで、今、認定職業訓練という認定を受けて、特に基礎的な技能や知識を習得さ せるような職業訓練を受ける方については、許可をして適用除外となっています。現在 の許可人員等はそこにあるとおりです。 しろまる池田委員 企業が受け入れている数からすると、どうしても圧倒的に少ないですね。それが企業 としては非常に問題なのです。範囲がもっと広くなる。 しろまる前田賃金時間課長 そもそも一般的に職業訓練をしている者というのではなくて、認定職業訓練という一 定の要件を満たした者ということと、あくまでも申請に基づいて許可をすることになっ ておりますから、そういう数字になっております。 しろまる杉山委員 この問題について、どう考えるかということですが、この論点は非常に違うものを1 つにまとめております。というのは、「若年者や訓練中の者」ということですが、私の 見解からすると、これは別のものであると思います。若年労働、要するに徒弟労働とい うか、そういうものと一人前労働とを分けて、前者を若干低くして、その分だけ一人前 の方を上げるというような考え方と、今の質問にも出ておりますように、訓練中の者と いうのは、ある意味で言えば現行法の範囲の中の運用の問題とも考えられるので、ここ で論議するときにこれを括って論議するのは、誤解を招くもとであろうと思います。例 えば私は若年者を切り離すことには反対です。しかし訓練中の者、これは適切な現行法 の範囲での運用をさらに若干拡大していただくとか、そういうことはお願いしたい。こ れが我々の意見です。 しろまる川本委員 今のところについては、私も申し上げたいと思います。要するに最低賃金というもの は労働の対価、仕事の対価を公労使の話合いによって決めてきているというのは、もう 根本的なベースだと思います。したがって今の話で言えば、何をもって労働の範囲とし ているかというだけの話で、現行法の範囲の問題の中ですればいいのです。特に今、訓 練の指摘がありましたが、今の除外規定の中の第8条3号の訓練の解釈の話、あるいは そこの修正の部分ではないかと思っております。 一方、若年者云々ということになってまいりますと、そもそも労働の対価を決めてい るのに、年齢でやるのですかといった根本的な問題に立ち入るわけです。いずれにして も私は「仕事の対価」というときに、年齢といった概念を持ち込むこと自体反対です。 労働の対価については、いろいろな企業がいろいろなやり方をしております。それには 単純な仕事を時間として働いてもらう長期のものから、様々な概念の中で、対価として 賃金というものが決められているわけです。それには純粋に仕事の対価だけではなく て、いろいろな期待値を含めての場合も、もちろんあります。全部を総称して賃金にな っているのです。したがって、ここではその中における仕事の対価としての最低賃金と いうものを話し合って決めてきているのです。 それからもう1つ。話し合って決めているということのベースで申し上げますと、先 ほどの生活保護みたいな社会保障費との関係があろうかと思います。そもそもが労働の 対価を決めているのであって、一定基準で決められる社会保障費的な意味合いを決めて いるわけではありませんし、その必要性もないと思っております。また一般労働者の比 較というお話については、私も前に意見を申し上げましたが、一般労働者の賃金という のをどういう見方をするのか、それによって全然違ってくると思いますので、軽々に単 純に比較できるものではないだろうと思っています。 いずれにしても労働の対価については、あくまでも各地域経済に応じて、生活者の実 態に応じて地域の話合いの中で決めてきたのだということを、一番強く認識しておかな ければいけないのではないかと思います。一番最初の整理の所でも、安全網という話か ら入っております。私は、各地域の特性あるいは実態に即して、公労使が話合いを積み 重ねてきたものであって、未満率も低くなっておりますから、安全網として非常に機能 してきたのではないかと思っております。これが持つ意味というのは、労使双方が話し 合ってきたという意味においても、重みがあると思っているところです。 それから水準の話も入っていますが、この資料を見ますと、安全網の所にも「ふさわ しい水準」とか、「水準を引き上げることが」という言葉が入っております。また決定 基準の所にも、それらしき言葉として、「一定の見直し」というのが入っています。我 々中央最低賃金審議会にいますと目安をやっておりますので、どうしても引上げみたい なイメージになりますが、地域が決めているという実態があるので、あくまでもそこで すべての話をして水準を決めているのだということを、再確認しておく必要があると思 います。 まさしくその地域において、今日までこの審議会に携わってきた公労使の先輩方が積 み重ねてきた、決めてきたものを、やはり我々は尊重しなければいけないだろうと思っ ております。また今後とも各地域の審議で、地域の自主性をもって決めていくというの が、一番大事だろうと思いますし、私も今の地方自治の流れであると思います。この地 方自治の流れは、私も大変賛成です。こういう中で地域が自主性を発揮して決定してい る今のシステムというのは、非常に重要だと思っております。私どもが中央の方で高い とか低いと論じるような話ではないのではないかと思っている次第です。 あと、この中で少し意見を付け加えておきたいのは、資料の整理のまとめの4頁の3 に、「設定単位」というのがあります。ここで見ますと1番目の・でも、「労働市場の 実情等を反映した単位で設定する必要がある」となっています。これは多分、研究会報 告からの抜粋かと思います。2つ目の方は大くくりで、単純なものでいいのではないか というご意見があります。しかしながら違う意見も申し上げておきたい。各地域の方の ご意見を聞けば、実は同じ地域の中でも東と西では違ったり、南北でも経済活動の偏り があったりして、実情は違うということがあります。そういう中で今、地域で決定する に当たって、その中の線引きも難しいものですから、各都道府県ごとに1つの地域別最 低賃金というのを、今、話し合って決めているというのが実態であろうかと思います。 したがって、そういう意見も踏まえますと、現行の47都道府県別で地域の自主性によ って決定しているという今の枠組みが、一番いいのではないかと思います。大くくり等 について私は、今の時点においては反対です。今の時点というのは、今日という意味で はありません。ある程度中長期的にみても反対だ、ということは申し上げておきたいと 思います。 しろまる??石委員 今、川本委員は、地方最低賃金審議会の立場も含めて言われましたが、私もある地域 で労働側の地方最低賃金審議会の委員をしておりましたので、そこのところで若干認識 の違いがあります。経営側は地方で水準を決定しているというように認識される、と言 っておられましたが、我々はその水準論議をしよう、水準を決めましょうと言っても、 実態としてはやはり中央最低賃金審議会に基づく目安をベースに、どれだけ引き上げる かということで、水準論議はできないのです。そこのところが認識の違いです。あくま でも目安に基づく引上げ額が、やはり地方最低賃金審議会では決定できない仕組みにな っていると思うのです。 しろまる川本委員 そうであれば目安どおりに決めるという話になりますよね。 しろまる??石委員 ですから目安ベース引上げ額を決めているのであって、水準論はできていないという ことなのです。 しろまる川本委員 額は決まるのですよね。したがって目安はあるけれども、我が地域においてはこの目 安よりももうちょっと上げた方がいいと。上げるというのは、やはり水準を見ながら考 えているわけですから、当然その中に含まれながら相談されているのだろうと、私ども は思っているわけです。 しろまる??石委員 労働側がそういう論議をさせていただこうと。ただ出しても、現実にそれぞれの地域 がそういう論議にはなっていないという実態にあるということです。 しろまる杉山委員 私も企業でベースアップ交渉を長くやってきたものですから。これは単に最低賃金だ けではなくて、企業においても低いから上げろという水準論議はあります。それに対し て現実は、現在ある賃金をどれだけ上げるかということが賃金交渉なのです。これは使 だけが言っているわけではなくて、労側もアップ率ということで要求を決めているとい う状況にあると思います。したがって最低賃金についても、絶対額で120%に上げろと 言ってみても、それは実態にそぐわない。その結果として実際にどう上げたらいいのか という論議になっている、という現実の問題を考えないと、議論が宙に浮くのではない かと思います。 しろまる加藤委員 目安制度の話と関連して、水準の議論が出てきたと思うのです。川本委員のおっしゃ ったとおり、昭和53年以来、目安制度ができて20数年になると思うのですが、確かに目 安というのは引上げ額の目安を示して、それを参考にしながら地方の審議会で、公労使 が話し合って議論をしてきたわけです。その議論の中には当然、水準の高い低いという ことも含めた水準議論もあると思いますが、実態として短時間で最低賃金を決定すると いう中においては、労側の??石委員がおっしゃったように、かなり目安の上げ幅に準拠 した議論が行われていることは確かではないかと思います。一応そういう実態は実態と して、私はこういう部会で地域別最低賃金のあり方、あるいは産業別最低賃金のあり方 の議論をするに当たっては、今の最低賃金の水準そのものが適正なのか、最低賃金法で 定められている決定原則に即して、もう1回改めてきちんと検証する必要があるのだろ うと思っております。 そういう観点でいうと、労働側は一貫して今の地域別最低賃金の水準は低すぎるので はないかという思いでいるわけです。一般労働者の賃金というと、必ずしも平均賃金だ けではなくて、様々な賃金データがあるのだろうと思います。特性値もありますし、パ ートタイム労働者や初任給などの水準もあると思います。そうした様々な賃金データと 比較しても、最低賃金が十分に機能している水準だとは考えていないということを、ま ず申し上げておきたいと思います。そういった意味ではきちんと議論する必要がありま す。先ほどの地域の整合性の問題についても、単に相対的な比較だけではなくて、それ ぞれの地域における水準を議論するに当たっては、その水準そのものが適正なのか適正 でないのかという議論を抜きにして、単純に都道府県間の水準のばらつきなり整合性に ついて、相対的な観点だけで比較することについては、問題があるのではないかと思い ます。 もう1つ、先ほど社会保障費の問題、生活保護の問題についても、川本委員からご意 見が出されました。私も最低賃金は労働の対価としての賃金ですので、生活保護そのも のにリンクさせた議論をすべきではないとは思いますが、最低賃金の決定原則の中に は、生計費ということが謳われているわけで、やはり最低生計費を満たすことが大前提 だろうと思っております。そうした観点から考えれば、生活保護基準を下回るような最 低賃金というのは問題です。そうした認識に立った是正の措置を考えるべきだと思って おります。 しろまる杉山委員 先ほど川本委員が述べたことを、若干補足して申し上げます。この最低賃金の決め方 というのは、既に昭和52年の答申のときに、地方最低賃金審議会が審議決定する方式に よることを基本とするとなっていましたが、しかしながらということで、目安制度がで きたわけです。ですから目安制度というのは、あくまでもこれを補完するものです。こ れが第1点です。次は平成元年のときに、地方最低賃金審議会の自主性拡大の方向を基 本的に進めるということを、また決めているわけです。平成2年にも同様に、ある程度 の地域間格差が存在することは許容されようというのがありました。決定する主体が地 方にあるということを前提として、しかも地方自治、地方分権という流れの中で、地方 の自主的な決定によって適正な最低賃金を決めていくのだと。 先ほど誤解されるような発言として、決定の三要素というのは、中央最低賃金審議会 の目安のための制度であるかのごとき発言があったと思います。そうではなくて、地方 での審議において、まさしくこれが使われていて、しかも1条の安全網というのを踏ま えて地方はやっているわけです。地方がやってきたものを、安全網として役割を果たし ているのか、いかがなものかという僭越な言い方をここでするというのは、地方最低賃 金審議会の公労使の委員からいえば、何を言っているんだということになるのではなか ろうかと思う次第です。 しろまる今野部会長 しかし、この研究会報告で水準の是正が必要みたいなことが書いてあるということ は、研究会に集まった研究者はそう考えていたということです。それが、地方の人たち からは大変不評を買ったということですか。 しろまる杉山委員 そのとおりです。 しろまる今野部会長 しかし、あそこに集まった研究者はそう思っていたということです。 しろまる杉山委員 それは事実ですから。 しろまる今野部会長 それぞれ立場と意見がありますので。 しろまる須賀委員 反論です。今、杉山委員のおっしゃったことは、一方の見方として当たっていると思 います。先ほど水準そのものがどうあるべきかをみるべきではないかと、加藤委員が申 しましたが、??石委員も言ったように、地方の審議はどうしても目安の水準に引っ張ら れるのです。本来、賃金の低廉な労働者をなくすという最低賃金法の目的からすると、 例えば福岡県なら福岡県の最低賃金として、この決定原則にある生計費や類似の労働者 の賃金、通常の事業の支払能力という三原則の内容を見て、その中で妥当な水準とはい くらなのかという議論をすべきですが、やはり目安が出ると、どうしてもそれに引っ張 られて、上積額をいくらにするかという議論になってしまい、そもそもの水準論が飛ん でしまうのです。これが実態であろうと思います。 また一般の企業の労使交渉であっても、結果的にそういうようになっていくわけです から、このことを否定しているわけではないのですが、折角この部会で見直し、あるい は全体としての枠組みをどうしようという議論をするのであれば、そのことをもう一度 大事にした議論が必要ではないか、ということを私どもは言っているのです。ここにつ いては是非ご理解いただきたいと思います。そうでないとこの部会でこれだけのメンバ ーが集まって議論をする意味がないと思いますので、その議論が必要だということは、 ひとつ申し上げておきたいと思います。 それから地方の自主性の話です。これは先ほどの話と少しダブるかもしれませんが、 やはり目安制度にどうしても連動してしまうというのが、実態であろうと考えます。目 安の決め方そのものにはもう触れませんが、目安が出れば出るほど、どうしてもそれを 見て、その中でこのくらいが妥当なのかということを判断します。そのことについて目 安制度は機能しているのですが、そのときに原点に帰った議論がないことについては、 問題があると思っております。そういう意味では、地方で決めておられる地方最低賃金 審議会の委員の皆さん方には、失礼な言い方になってはいけないのですが、これは特に 相手のある交渉ですから、自主性を発揮するというのは、なかなか難しい状況になって いるということを、ご理解いただきたいと思います。以上2点です。 しろまる今野部会長 最低賃金の水準をどう評価するかという問題と、決め方の問題については、労使のご 意見はよく理解できました。今日は他にも事務局から、いくつかの論点がありますし、 このまま放っておくと、目安の議論ばかりするのではないかと心配ですので、他の点も ありましたらお願いします。 しろまる池田委員 生活水準の問題というのは、財政制度審議会というのが国の予算をつくっている所で すから、個人的にはあくまでも国が払うのが生活保護だと思います。最低賃金の原則か らいくと、事業の支払能力という観点と国とをなぜ合体して論議する必要があるのか。 国は予算がたくさんあるから払うのかもしれませんが、国のつくっている予算と、我々 事業主が支払能力、生計費を考えてやっているのとは、基本的に考え方が違うと思うの です。それは高いのだから、国が払えなくなれば最低賃金を引き下げてくるのは当然で あって、そこを一緒に最低賃金の金額が目安より安いよというのは、私は基本的に違う のではないかという感じがします。 それと、派遣労働者の問題については、派遣先の賃金が適用されていれば適当という ことですが、実際にそこまで現実に派遣会社に対して追いかけられるのか。例えばの話 ですが、ゴルフをやったときにキャディーさんがいますね。そのキャディーさんの派遣 会社は、茨城にある会社と千葉県にある会社で、千葉県のゴルフ場に派遣されて来る と、千葉県と茨城県は最低賃金が違うわけですよね。そうすると我々が払っているキャ ディー費は全く同じ金額を払っているのに、実際にキャディーさんに払われる賃金は、 その事業所が隣同士の県だから、茨城県のキャディーさんの方が安いということが、実 態としてあると思うのです。 今度労働法制が変わってくると、企業もいろいろ面倒くさくなってきますから、どん どん派遣にしてしまおうかということで、大企業もどんどん派遣にしてしまいます。今 度の労働法制の問題も、派遣会社に対する縛りがあまり検討されていないというところ がありますから、実際に最低賃金の目安が一番充当してくるのは、地方の中での派遣会 社が自分の所の派遣の短時間労働者に対して、どういう適用をしているかというのが、 非常に大きな要素になってくると思うのです。 払う企業はたくさん払います。例えば600円払っている人でも、4時間単位でレスト ランで雇えば、企業は2,400円を払うわけです。実態的にその人たちがいくら取ってい るかというのは、我々はわからないのですが、事業所のある場所によって違うとか、目 安というのは派遣にとって、非常に大きな要素だと思っています。これからその辺の事 業に従事する人がたくさん増えてくるわけですから、こういう論点の中で適当という論 議の前に、その辺を行政がしっかりとチェックすることが、私は前提ではないかと思い ます。 しろまる今野部会長 今のご主張は、今日の整理の5頁の4ですね。このとおりでいいけれども、きちんと やれという趣旨ですか。最初の・はこれでいいけれども、違反があったら、きちんとコ ントロールできるのかということでしょうか。私の整理は分かっていただけましたか。 しろまる前田賃金時間課長 仮にこういう整理をした場合に、きちんと実際に履行が確保されるかという問題であ ろうかと思います。 しろまる今野部会長 そういうことです。 しろまる前田賃金時間課長 そういう整理をすれば、行政としてもきちんと確保するための手段を考えるというこ とです。 しろまる今野部会長 それができるのかというお話です。 しろまる前田賃金時間課長 今でも賃金は派遣元の会社が支払いますので、そこに対しての指導ということになり ます。そこはどの額を適用するかというだけの違いで、実態上、それほど問題ではない と考えています。 しろまる今野部会長 しかしチェックをするのは面倒くさくなりますね。 しろまる前田賃金時間課長 確かに。 しろまる今野部会長 行き先によって基準額が違うのだもの。 しろまる松井審議官 おっしゃるとおり面倒くさいかもしれませんが、この考え方でいけば、実際に働いて いる者同士で働きぶりを比較して、最低どれぐらいもらえるかというようにみると、仕 組みとして時間当たり表示をするということとワンセットになれば、時間当たり単価と 何時間働いたかを掛けて、派遣元が最低を通算すればいいのです。その最低額がきちん と合っているか、派遣元をチェックすればいい。そういうことが面倒くさいと言われれ ば、確かにそうでしょうけれども、決まれば決まったでできると思います。 しろまる今野部会長 鹿児島で派遣会社をチェックするときには、北海道に行っている人のチェックは、北 海道の最低賃金を見てチェックしなければならないのですね。 しろまる松井審議官 北海道の時間当たりを見て、そこで何時間働いたかで掛け算をして、足してあげてい くというぐらいの演算は要ると思います。それで最低を満たしているかどうか。それを ややこしいといえばややこしいでしょうということです。 しろまる今野部会長 そうすると派遣先まできちんと特定して、データを出させなければいけなくなるので すね。 しろまる松井審議官 それと、どこに派遣したかということですから、事業主は派遣元として管理しておく のが当たり前です。派遣契約があるわけですから。 しろまる今野部会長 しかし単なる賃金台帳には、そんなことは書いていないですよね。 しろまる松井審議官 ですから、そういう台帳を確認するための手間がかかるというのは、おっしゃるとお りかもしれません。 しろまる武石委員 全体のいろいろな論点が出ていますが、基本的に地域別最低賃金というのは、安全網 としてきちんと機能させるべきだと思っておりますので、それにふさわしい、いろいろ な法律の整備は、必要だと思います。前回、産業別最低賃金のお話をしたときに、労働 側の委員の方とは意見が違ったのです。私は、労使協定を補完するものと安全網として の地域別最低賃金というのは、規制のあり方が違ってもいいのではないかということを 申し上げましたが、地域別最低賃金というのは非常に重要な制度だと思いますので、安 全網をきちんと働かせるという意味で、今の最低賃金法は不備があると思っています。 先ほど水準のお話が出ていましたが、賃金ではあるけれど「最低」が付いている賃金 なので、最低ラインをどこにするかという議論はあるにしても、やはりどこかできちん とした最低ラインというのを決めながら、それを上回ると。それが生活保護の水準だと いうのが、1つの考え方だと思いますが、そういうものを決めるべきだと思っておりま す。 この論点の3頁に、「できる規定」というのがありますね。しかし少なくとも地域別 最低賃金に関しては、「最低賃金を決定することができる」というのでは弱くて、決定 しなければならないということをきちんと明確にしてもいいのではないかと思います。 その際、ここにも書いてありますように、前回も議論になった産業別等のものとは、や はり役割が違う面があると思いますので、地域別最低賃金に関しては、決定しなければ ならないということをきちんと明記するべきではないかと思います。 それから4頁に、罰則の話が出てきます。地域別最低賃金に関して今、罰則が2万円 というのはあまりにも低い。最低賃金よりも下の賃金を払って罰金を払った方が得とい うのではおかしいので、罰則についても見直しが必要なのではないでしょうか。 ついでに言ってしまうと、時間給の表示単位については時間、日、週、月のどれでも いいということになっていますが、この法律ができて以降、いろいろな雇用形態ができ てきました。先ほどの資料にもありましたように、最低賃金というのはパートタイム労 働者の賃金に非常に効いているというところを踏まえると、時間額表示というのが一番 妥当ではないかと思います。以上、意見です。 しろまる杉山委員 決定基準の(3)「通常の事業の賃金支払能力」という点です。「誤解を招きやすい 面がある」と言われておりますが、私は決して誤解して運用はされていないと思いま す。要するに「賃金支払能力」と言っておりますが、主に論議しているのは国の経済見 通しから、日銀短観から、いろいろな経済指標を用いて論議をしております。むしろ使 の方に言わせれば、本来「支払能力」と書いておきながら、2番目にありますように、 本当の中小零細企業の支払能力は、考えてくれていないのではないかという意見がある ぐらい、ある意味でいえば幅広く、この言葉が運用されていると思います。 したがって、この言葉に付け加えて「生産性」というように入れれば、他のものは入 れなくてもいいのかという論議になると思うのです。賃金支払能力と生産性の水準だけ でいいのかと。今まで長い期間をかけて論議をしてきているわけですから、ここであま り抽象的にILOの条約の文言だけと比較して、「誤解を招きやすい」というのは、非 常におかしい論議ではなかろうかと思います。非常に広い範囲でやられているのは、部 会長がよくご存じのとおりだと思います。 しろまる今野部会長 それは私が言ったからということですか。これは研究会報告ですよね。 しろまる杉山委員 ですからある意味では、研究会報告に対する意見です。 しろまる今野部会長 私の会社がつぶれそうだからという趣旨ではなく、個々の会社の話が入っていないと いうことです。 しろまる杉山委員 2番目の所の意見は、「支払能力」と法律に書いておきながら、支払能力という話を したら、ちっとも聞いてくれないではないかと。 しろまる今野部会長 いや、すごく考慮しました。 しろまる杉山委員 今年の例でいっていいと思いますが、Dランクは類似労働者のベースアップが0% で、Dランクの企業の実態は、非常に厳しいものがありました。これは全く聞かれない で平均の0.4%で上げて、2円という格好になったわけです。ですから先ほどもありま したように、目安制度はマイナスではなくて底上げという点でも、働いていることは働 いているので、そういう点は評価しますが、むしろこういう誤解を招きやすい表現は、 いかがなものかということです。 しろまる今野部会長 ご意見はわかりました。 しろまる中野委員 2つ申し上げたいと思います。1点目は安全網としての機能についてです。お話を聞 いていますと、いろいろあるのですが、原則に戻った方がいいのかなという感じがいた しました。憲法第25条と第27条の関係で、特に第27条では勤労の権利・義務というのを 決めています。したがって第25条との関係で、勤労できる人には労働規制をかけ、働け ない、能力のない人については社会保障政策で、例えば生活保護のようなことをやると いうように決めているのだと思います。そういう意味からいいますと最低賃金というの は、社会全体の制度の上で、非常に重要なセーフティネットとしてのバランス機能があ るという意味で、生活保護や他の社会保障制度との比較均衡は、一応しなければいけな いだろうと思います。 前回のときに使用者側から、規制改革会議等の問題もありましたが、生活保護法の制 度を調べてみますと、同じように平成4年ぐらいから保護率が、急激に上昇してきてい ます。それは雇用状況の悪化で上昇しているようですが、それで財政が大変になってき て、見直しが始まっているというようにお聞きしております。規制改革会議の意味から いっても、どちらで救済するのか。大きな政府で救済するのか、民間の力で何とか最低 賃金なり、働くインセンティブを高めることによって救済するのかというのは、国の基 本的な大きな方向性にかかわる問題ではないかと思います。そういうことも考えなが ら、今回の最低賃金制度については、考えなければいけないのではないかと思います。 ただ、比較均衡をそういうようにするといいましても、川本委員あるいは加藤委員の おっしゃったように、やはり賃金というのは仕事で決まるわけですから、その仕事に対 応して同一労働同一賃金というか、同一価値労働同一賃金というか、労働の質なり価格 なりというのは、ご案内のとおり様々違うわけです。そうしますと、その労働の対価に 従って、それぞれ決めなければならない。その一番下という意味で、地域別最低賃金な り何なりが必要であるということです。では、これで本当に世の中の仕事が、すべて生 活が賄えるような仕事ばかりかというと、そうではないのかもしれない。そこの実態は きちんと把握しなければいけないのではないかと思います。 そうしますと論点の3頁、一般最低賃金として地域別最低賃金をそういうように決め れば、多元的に他の最低賃金を設定する必要がなくなるというのも、乱暴な議論ではな いかと思います。最低賃金においてどういうセーフティネットで、どういうところがで きればいいのか、なおかつ労働の対価としてきちんと正当に支払われるだけではなく て、それで本当に生活ができるのかというところまで、きちんと検証していただかない と、これをやったから必要なくなるというのは、ちょっと暴論ではないかと思います。 しろまる今野部会長 ごめんなさい、必要がなくなるというのは産業別最低賃金が。 しろまる中野委員 多元的に産業別や職業別の設定が必要なくなるというのは、暴論だと思いますので、 あえてここで意見を申し上げておきたいと思います。 しろまる原川委員 水準論にも関係するのですが、これは研究会報告でしょうか、意見の整理の2頁の (2)に、「低賃金労働者の賃金水準のみでなく、一般労働者の賃金水準も重視するこ とが考えられる」とあります。一般労働者の賃金水準をどう重視するかというのはよく 分かりませんが、最低賃金ですから、平均賃金ではない。川本委員も何回も繰返しおっ しゃっておりますように、そういう最低賃金という性格からすれば、(3)の一番下に ありますように、決定の際の重要な要素としては、最低賃金の影響を一番受けやすい中 小企業の実情、あるいは先ほどから出ております支払能力というのが、最も重視すべき ものではないかと考える次第です。 最低賃金の決定に関係して、もう1つ改定という問題があります。これは中央最低賃 金審議会でも、あるいは研究会のヒアリングでも、私はずっと申し上げてきたわけで す。現在の最低賃金の改定の際には、社会経済の動きとは無関係に、毎年諮問・改定が なされています。この方式は、毎年賃金が右肩上がりの時代に、それに対応して最低賃 金を引き上げるべきだということで引き上げられてきたことから、現在に至っても多分 に最低賃金は引き上げるべきだという上昇志向的な考え方が働いているように思いま す。先ほど今年の改定のお話が出ましたが、こうして毎年諮問・改定が行われる結果、 ここ数年は0円から3円ぐらいのところで攻防が繰り返されています。 近年の国際競争の激化、あるいは賃金決定機構の変化という社会経済環境の変化に照 らしますと、これから賃金が毎年大幅に上昇していくということは考えにくいわけで す。諮問・改定を無条件に毎年行うことの必要性や意義というのは、多分に薄れている と考えます。したがって一定の基準を超えた場合に、諮問改定をするというようなシス テムに変える時期にきているのではないかと考えます。これが1点です。 もう1つは下方硬直的ということです。1頁の下の・ですが、中小企業の事業主は毎 年の賃金改定について、最低賃金としてみた場合に高いという意識を、正直持っている わけです。そういう意味から一歩譲っても、現在の水準でも十分ではないかという意識 は持っております。今いろいろな所でよくいわれておりますように、国際競争の中でコ スト削減ということが、最大の経営課題になっております。また賃金決定機構も、大き く変化しています。そういう中で賃金を定期的に上げる時代から、地域の企業の業績な どの実態経済に応じて、上がり下がりする時代へと変化してきていると考えます。 今年は0.4%の引上げとなりましたが、最低賃金においても、社会経済情勢を踏まえ て時宜にかなった改定が行われるならば、賃金実態調査で−0.4%ということも、十分 お考えいただければと思います。そういうことで上がり下がりというのは当然考えられ るということで、制度としての最低賃金という中で、引下げも決定し得るということを 明確にすべきであろうと考えます。 しろまる田島委員 ただ今のご意見にコメントしたいと思います。もちろん下方硬直的である必要はなく て、最低賃金法第3条の三要件に即して、最低賃金を下げるべきであるという情勢にあ れば、決して下げることを否定するものではないと思うのです。ただ、これまでずっと 最低賃金が上がり続けているのは、一番規模の小さい中小零細企業の賃金水準を目安に して上げてきたと聞いています。ずっと上がり続けてきたということは、そもそも水準 が低いので上がってきているのではないかと、私などは考えているので、水準というも のについて、非常に低いのではないかという気持を持っております。労働者の犠牲にお いて、最も零細な中小企業の使用者側の利益を守らなければならない、ということが大 前提であってはならないと思います。もちろん中小零細企業の経営者の支払能力という ものも考えつつ、労働者の生活水準というのは、やはり維持させるべきですから、類似 の労働者の賃金という要件をみるときは、一番低いレベルの労働者の賃金水準をみるだ けではなくて、一般的な労働者の全体的な平均賃金というのも一応参考にしつつ、地域 別最低賃金を考えていくべきではないかと思います。 それから労働者の生計費という項目を検討するときは、同じ憲法の下で保障されてい る最低の生活水準である生活保護費というものを参考にしながら、地域別最低賃金とい うのを決めていくべきではないかと思いますので、ただ今のご意見について私は賛同し かねます。 しろまる原川委員 ちょっと異議があります。 しろまる今野部会長 申し訳ないのですが、時間がありません。反論し出すと、またこちらからも反論が出 ますので、今日はご意見をいただくという形にしたいと思います。原川委員にはご意見 をいただきましたし、田島委員からもご意見をいただいたということで、そこで一応フ ェアですので。 しろまる加藤委員 今、議論になっている決定基準と言いますか、三要素のうちの通常の事業の賃金支払 能力については、先ほど杉山委員からもご指摘がありましたが、私はこの研究会報告で 指摘している点というか、認識している点には、一定の理解を示したいと思っておりま す。ILOの第131号条約もありますが、フランスとかイギリスなどの諸外国の最低賃 金制度の決定要素などについても、十分参考になるのではないかと思っております。今 日は時間がありませんから、そのことについて議論するつもりはありませんが、是非1 回、諸外国の最低賃金制度における決定基準、決定要素についてもお示しいただければ ありがたいと思います。私どもとしては、やはり経済の成長性や購買力、あるいは雇用 など、そうした観点を重視するような形で、経済の成長性との兼ね合いで議論をすると いう視点が必要ではないかと思っておりますが、詳細はまた次の機会に議論させていた だければと思います。 しろまる今野部会長 前半がおとなしく、後半が盛り上がって時間がなくなってしまって申し訳ございませ ん。前半からもう少し急ピッチでいけばいいかと反省しております。今日はいろいろ貴 重なご意見をいただき、ありがとうございます。今日の産業別最低賃金と同じように、 資料の2−1の改定版を作っていただいて、今日の貴重な意見をここに入れて整理して いただくことにして、また今後の議論の材料にしたいと思います。 次回ですが、今日説明していただいた産業別最低賃金の整理の表と、今、私が言いま した資料2−1で新たに整理した表を基に、またご議論いただきたいと思います。お願 いですが、今まで比較的自由にやってまいりましたけれども、次回は労使各側におかれ ましても、前回及び今回の議論を踏まえて、少し踏み込んだというか、最低賃金のあり 方はこうすべきではないかということを念頭に入れながら、さらにご検討いただければ と思います。最後に次回の日程等について、事務局から連絡をお願いいたします。 しろまる前田賃金時間課長 次回は10月12日の金曜日、午後3時から開催いたします。あと、厚生労働省の内部組 織の改正が10月にあり、賃金時間課が廃止されることになっております。この最低賃金 の関係については、10月からは勤労者生活部の勤労者生活課が引き継ぐことになってお りますので、今後は連絡等もそちらの名前で出させていただくということで、よろしく お願いいたします。 しろまる今野部会長 それでは今日の会議を終わりたいと思います。本日の議事録の署名ですが、??橋委員 と竹口委員にお願いしたいと思います。ありがとうございました。 【本件お問い合わせ先】 厚生労働省労働基準局勤労者生活部 勤労者生活課最低賃金係 電話:03−5253−1111 (内線 5532)

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