05/09/06 独立行政法人評価委員会年金部会第2回議事録 厚生労働省独立行政法人評価委員会 第2回年金部会 日時 平成17年9月6日(火)17:00〜19:07 場所 厚生労働省 省議室 出席委員:安達委員、大野委員、大和委員、佐野委員、光多委員、山口委員、山?ア委員 (五十音順) しろまる部会長 定刻になりましたので、ただいまから、第2回独立行政法人評価委員会年金部会を開 催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただき まして、ありがとうございます。 今日はじめて御出席の委員がおられますので、御紹介をさせていただきます。光多委 員でございます。 しろまる光多委員 前回は欠席いたしまして失礼しました。光多でございます。よろしくお願いいたしま す。 しろまる部会長 なお、本日は安達委員が10分程度遅れられるということでございます。また、佐野委 員が30分程度おくれて来られる予定であります。したがって全員出席ということになり ます。それでははじめに事務局から、本日の議事について簡単に御説明をお願いしま す。 しろまる政策評価官 議事の御説明をさせていただきます前に、一言、ごあいさつを申し上げたいと存じま す。私、8月26日付、省内の人事異動におきまして、このたび、政策評価官を担当する ことになりました、吉田と申します。年金部会の先生方、また評価委員会の先生方をは じめ、大変お世話になっており、また、独立行政法人の政策評価という、霞ヶ関全体と しても新しい試みについて、これまで先生方にもいろいろ御意見をいただきながら、な んとか形になってまいりました。ただ、実際にやってみると、いろいろな課題も多いの で、よくよくこれからも、先生方の御意見を伺って進めるようにというアドバイスを、 前任者からもいただいております。きわめて微力ではございますけれども、一生懸命、 事務局を務めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 部会長よりお話がございましたように、部会としては第2回ということでございます が、はじめての委員もお見えになるということですので、冒頭、簡単にというお話でご ざいましたが、少しこの部会の位置づけ、あるいは今回および次回において御議論いた だく点について確認しながら、本日の議事を御説明させていただきたいと思っておりま す。 まず、机の上にファイルを置いてございますけれども、これは前回と同様、この青フ ァイルは常に置いてございます。レファレンスとして、必要に応じて御参考にしていた だくということでお使いいただければというふうに思います。また、クリップ留めの資 料を用意させていただいておりますが、これをはずしていただきますと、中に資料番号 の1―1から1―2、2―1、2―2、2―3、2―4、参考資料3―1、3―2と、 資料がございます。これに沿って、後ほど議事を進めさせていただきます。途中でもし 資料に不備等がございましたら、お声をかけていただければというふうに思います。 まず、本日の議事ということでございますが、そもそもに返りまして、本年金部会で 独立行政法人を評価いただくにあたりまして、3つの法人の評価をお願いしておりま す。ひとつは「農業者年金基金」、2つが「年金積立金管理運用独立行政法人」、3つ が「年金・健康保険福祉施設整理機構」ということでございます。このうち「農業者年 金基金」につきましては前回、第1回の部会において概要を御説明させていただきまし たので、本日はまずイントロダクションとして、残る2法人、「年金積立金管理運用独 立行政法人」、これは来年の4月に設立を予定しております新設法人でございます。そ して2つ目に「年金・健康保険福祉施設整理機構」、略称として「整理機構」と呼ばせ ていただいておりますが、これは今年の10月に設立を予定しております。この2つの新 設予定法人について、まず所管課より、資料に基づきまして御説明をさせていただきま す。 その上でということになるわけでございますけれども、この部会において、それぞれ 委員の御就任をお願いにまいりましたときに御説明申し上げたかとも思いますが、独立 行政法人の評価をいただくにあたりまして、独立行政法人の通則法という法律など、い ろんな各種ルールに基づいて、部会としてお願いいたしますことは、大きく3つの柱が あろうかというふうに思っております。 大変恐縮でございますが、クリップをはずしていただいた本日の資料の中で、資料2 ―4と書いた横位置のポンチ絵がございます。この、お手元の資料2―4は、本日この あと議題2として御審議をいただきます、年金・健康保険福祉施設整理機構に関しての 資料ではございますが、これをひとつの例として、御説明をさせていただきますと、独 立行政法人につきましては、この図で申し上げますと真ん中に厚生労働大臣という点線 の枠がございますが、すべからく、どの独立行政法人につきましても、まずは所管をし ております、私ども厚生労働大臣が、通則法に基づきまして、各独立行政法人に対して 中期の目標というものを定めて示す。まず大臣の方から、独立行政法人に対して当該法 人の活動についての目標を、中期という形でお示しするというのが、ワンアクションご ざいます。この、厚生労働大臣が目標を定めるにあたりまして、法律は、この評価委員 会の先生方の意見を聞かなければならないという形になっておりますので、それぞれの 独立行政法人ごとに中期目標を、大臣が定めさせていただく際には、この部会、この独 立行政法人評価委員会に御意見を伺う、それをまた委員会の先生方としては御審議をい ただくというのが、この部会としてお願いを申し上げております、1つ目の柱でござい ます。 大臣の中期目標を示された独立行政法人側は、この資料2―4でごらんいただきまし て、一番上にございますが、中期計画(通則法30条)というのがございます。大臣が目 標を定めたのを受けて、独立行政法人側が中期の計画を、自らのアクションの計画を定 めるということになっておりまして、独立行政法人が、この計画を定めるにあたりまし ても、同じくこの部会、評価委員会の意見を聞かなければならないということになって おりますので、法人側の中期計画にあたりましても、この部会において御審議をいただ くというのが、2つ目の柱でございます。 それぞれの独立行政法人につきまして、中期の、それぞれ節目ごとに目標を立て、計 画を策定して活動をする、その際に、当部会に御意見を伺うという形で、業務が始まり ました以降は、それぞれの各年度ごとに、いわば実績を、業務実績として独立行政法人 から報告を受け、その実績に対してこの独立行政法人評価委員会、この部会の先生方 が、各年の実績を評価していただく。また、今申しました中期目標というのが、ある程 度、中期になっておりますので、その節目ごとには、その中期目標期間中の業務実績を あらためて各年の実績評価を踏まえて評価をしていただく。実績の評価という形で、そ れぞれの節目、節目に、毎年である部分と中期目標の節目の年というときと、2種類ご ざいますが、法人が実際に活動をし始めた以降、この部会において、3つの独立行政法 人ごとに、この部会で御審議をいただく、そして評価をいただくというのが、この部会 として御審議をお願いしております3つ目の柱でございます。 こういう位置づけの中で、具体的に今回と次回に予定をしておりますものは、先ほど 御紹介申し上げました、この10月に設立を控えております年金・健康保険福祉施設整理 機構、これはいわば新設法人でありますので、新設にあたりまして、中期目標を厚生労 働大臣から示す必要がございますし、それを受けて年金・健康保険福祉施設整理機構の 方から、いわば第1期の中期計画を立てる必要があるということになっておりますの で、この第1期というべき大臣の中期目標と、年金・健康保険福祉施設整理機構の中期 計画についてお諮りをし、その案に対しての御意見を賜ることを、今回および次回のこ の部会における議題として審議をいただきたいというふうに思っております。 後ほどそれぞれの所管課の方から、今回お諮りをいたします年金・健康保険福祉施設 整理機構の中期目標なり中期計画なりの概要を御説明するときにも触れるかと思います が、法律のもともとのところにさかのぼって、一度、入口において確認をさせていただ きますと、通則法に基づく中期目標というのは、それぞれ法人の業務なり状況に応じま して3年から5年の間において定めるという、幅のあるものでございますが、今般、御 議論をいただきます年金・健康保険福祉施設整理機構について申し上げれば、これは一 番はじめの、年金・健康保険福祉施設整理機構を設立するにあたっての国会の法律にお いて、5年の、いわば時限の法人という形で決まっておりますので、今般、御審議をい ただくにあたりましての中期目標は、大前提として5年間の中期目標であるということ は、もう、この部会との関係で申し上げると、与件として、前提として御審議を賜れれ ばということを、一点、申し上げたいと思っております。 また、中期目標という形で、本日このあと、案の御説明をさせていただきますが、そ の中期目標に盛り込むべき内容につきましても、それぞれ通則法において規定をされて おります。その、いわば柱立て、枠組みに沿って、この年金・健康保険福祉施設整理機 構という個別法人の事情を踏まえた目標を、大臣として定めるにあたって、どういうこ とがいいのか、どういうふうに気をつけるべきかについて、このあと御審議を賜れれば ということでございます。 お手元の資料の後ろの方にある参考資料3―1をごらんください。いま申し上げまし たようなことを、少し、いわば法律に書いてあるような記述の仕方で整理をさせていた だきましたのが参考資料3―1の1枚目でございます。それぞれ年金積立金管理運用独 立行政法人、および年金・健康保険福祉施設整理機構、そして農業者年金基金と3つご ざいますが、この2枚目、当面のこの部会のスケジュールといたしましては、前回、7 月21日に御審議をいただきました部会を踏まえて、本日、9月6日に第2回として、あ らかじめ先生方の御予定をいただいておりますのは、第3回を9月16日、来週に予定を させていただいたうえで、審議にもし必要があれば予備日という形で9月22日に向け て、予定を確保させていただいておりますので、2回、3回と、そこに書いてございま す中期目標、中期計画、あるいはもう一歩進んで次回には、業務方法書というところま での案を御説明し、御意見を賜ることを予定させていただいております。 なお、今ご覧いただきましたついでと言っては何ですけれども、参考資料3―2とい う、判子のついた1枚紙が次にございます。これは表題にございますように、16年度独 立行政法人農業者年金基金の業務実績にかかる意見ということで、前回、7月の際にこ の部会において御審議をいただきました結果を文書にし、農林水産省の評価委員会の方 にお示しをしたものを、確認のためにお配りしてございます。 いろいろな話をして申し訳ございませんけれども、この先を少し頭の中で整理をして いただくために、この際、申し上げさせていただきますと、いま申し上げましたよう に、当座、この部会としては、10月1日に予定しております年金・健康保険福祉施設整 理機構の設立に向けて、中期目標および中期計画を御審議いただくということを、先ほ どご覧いただきましたような日程で予定をしておりますが、その後についてでございま す。当部会、3法人のうちの3つ目の法人、年金積立金管理運用独立行政法人につきま しては、冒頭申し上げましたように、来年4月1日に設立を予定してございますので、 これにつきましても、その4月1日の設立に先立ちまして、しかるべき時期に、また先 生方の御予定をいただいて、第1期の中期目標と中期計画というものを、この部会にお いてお諮りすることを予定しております。 その次になるわけですが、いわば10月1日の法人の新設前の中期目標、中期計画、4 月1日に新設いたします年金積立金管理運用法人の中期目標、中期計画の御審議をいた だきましたあとは、ある意味で、年次の事業実績を御評価いただくというプロセスに入 るわけでございまして、年金・健康保険福祉施設整理機構につきましては、1年、実績 を積ませていただいてから御評価をお願いするという形ですので来年になりますし、18 年4月から立ち上がります管理運用法人につきましては、1年過ぎた16年度、ですから 再来年に、18年度の実績について評価をお願いする、そういうサイクルで、今後、まわ っていくということでございます。 第1回でお願いいたしました農業者年金基金という法人につきましては、これは前回 にも御説明を申し上げたかと思いますが、農林水産省と共管になっておりまして、共管 法人の評価ということで、きわめて変則的であります。この部会で御審議いただきまし た内容を、主管であります、主たる所管であります農林水産省さんの方に、わが厚生労 働省の評価委員会の先生方からいただきました意見をお送りする形で、最後、あわせて 独立行政法人の方の評価に伝えるという形になっておりますが、これから新設いたしま す2つの法人、年金・健康保険福祉施設整理機構と管理運用法人につきましては、これ は厚生労働大臣所管でございますので、これまでやっていただいています農業者年金基 金とは、ちょっと違いまして、それぞれ、この評価委員会、部会で完結する形で、それ ぞれの法人の評価事項について、S、A、B、C、Dという5段階の評価、あるいはコ メントをいただくということを、この次のクールにおいて、お願いをするということ を、少し、あらかじめ申し上げて、評価にあたっては、シートによる点数づけと、それ を総括する形で文章をいただく。文章編とシートという形で、今後、2つの法人につい て御評価をいただくということをお願いしたいと思っています。いわば、そういう、こ れからの年次の評価をいただくにあたっての基本ともなります、厚生労働大臣として法 人に示すべく、中期目標、そしてそれを受けての、法人として各年度の事業計画のもと となります中期の事業計画の案について、今回と次回、年金・健康保険福祉施設整理機 構については御審議をいただくということでございます。 非常に長々と御説明を申し上げましたけれども、全体、この部会において、審議をお 願いしておりますことを、あらためて申し上げますとともに、今後、この部会におい て、今回、次回、またそれ以降、御審議をいただくことは、こんなことだということ を、冒頭、御説明させていただきました。長くなりましたけれども、部会長の方に進行 をお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。 しろまる部会長 どうもありがとうございました。それでは議事に移ります。はじめに、年金積立金管 理運用独立行政法人および年金・健康保険福祉施設整理機構の概要につきまして、年金 積立金管理運用法人、年金・健康保険福祉施設整理機構の順で、事務局から御説明をい ただき、その後、まとめて委員の皆様から御質問等をいただきたいと思います。まず最 初に、管理運用法人の概要について説明をお願いします。 しろまる大臣官房参事官 資金運用担当の参事官をしております、松田と申します。私の方から、年金積立金の 管理運用独立行政法人の概要について、説明をしたいと思います。 お手元の資料1―1をごらんください。公的年金の積立金、これは厚生年金と国民年 金の積立金でございますけれども、この積立金の運用の管理につきましては、現在、年 金資金運用基金という特殊法人で実施しておりますけれども、この1枚目の、最初の設 立の経緯のところに書いてございますように、この年金資金運用基金の組織形態につき まして、平成13年、特殊法人等整理合理化計画ということで閣議決定がされておりまし て、その際に、組織のあり方を検討しなさいという宿題をいただいていたわけでござい ます。これを受けまして、厚生労働省におきましても、いろいろ検討してきたわけでご ざいますけれども、昨年の通常国会に法律案を出しまして、成立したということでござ いまして、これを受けまして、来年の4月に、この法人を設立していくということでご ざいまして、現在、鋭意、準備作業をしているところでございます。 法人の中身に入ります前に、積立金の基本的な仕組みについて、まず、ちょっと説明 をしたいと思います。資料の4枚目をごらんください。年金積立金の運用の仕組み、横 になっている資料でございます。現在、公的年金の積立金の基本的な運用の仕組みでご ざいますけれども、上下に2段、図が書いてございます。現在の仕組みは、上の方に書 いてある図に示しているものでございます。平成13年度に財投改革がされておりまし て、それ以前は、公的年金の積立金は、全額、資金運用部に預託をすることが義務づけ られておりましたけれども、13年度の財投改革によりまして、この預託義務が廃止され ているということでございまして、上の図にありますように、年金特別会計から、下 に、年金資金運用基金の方に、実線の矢印が出ておりますけれども、積立金を直接、大 臣の方から特殊法人であります運用基金の方に寄託をして、基本的には市場運用をす る、こんな仕組みになっているわけであります。 次のページをご覧ください。実際、今どのような形でこの積立金の運用がなされてい るか、この基本的な仕組みでございますけれども、先ほど申し上げましたように、この 積立金につきましては、旧資金運用部への預託義務は廃止されておりますけれども、15 年度末の姿がここに書いてございます。この預託義務が廃止されましても、一気に、こ の旧資金運用部から預託をしていた積立金が特別会計の方に戻るわけではございません で、これは基本的には預託した際に、7年間の約定期間で預託をしております。したが いまして、7年間の満期が来る都度、預託金が特別会計に戻ってきて、これが年金資金 運用基金の方に寄託をされて、市場運用にまわっていく。こんな仕組みになっておりま す。したがいまして、15年度末の姿で見ますと、積立金が上の方でございますけれど も、147.3兆円ございまして、このうち93.1兆円、これは15年度末の数字でございます けれども、約90兆円が旧資金運用部、現在の財政融資資金に預託をされているというこ とになっております。残りの54.2兆円が年金資金運用基金の方に寄託をされまして、基 本的には市場運用にまわっているという形になっております。 この図の中に、年金資金運用基金の右の方ですけれども、旧年金福祉事業団からの承 継資産というのがございます。これは実は、現在の年金資金運用基金は、財投改革があ った13年4月に設立されておりまして、それ以前は年金福祉事業団というところが旧資 金運用部から資金を借り入れて運用をしている事業をやっておりました。その資金が15 年度末でまだ17.7兆円あるという状況になっております。したがいまして、年金資金運 用基金の運用資産としましては、この54.2兆円と17.7兆円が運用資産という形になって おりまして、これが一部、財投債で引き受けをしている部分がございますけれども、こ の部分を除いたものが、基本的には市場運用されているという形になっております。 なお、この年金資金運用基金の実際の運用でございますけれども、一部、債券の運用 を除きまして、残りはすべて民間の運用機関、信託銀行ないしは投資顧問会社に委託を して運用している、こんな実態になっているところでございます。これが積立金の運用 の基本的な仕組みでございます。 ちょっと戻っていただきまして、資料の3枚目をごらんください。冒頭、申し上げま したように、現在の特殊法人年金資金運用基金につきまして、13年に閣議決定がなされ ております。これをご覧いただきますと、まず事業について講ずべき措置ということ で、3点の御指摘をいただいております。年金資金運用基金は運用業務の他に、グリー ンピアという、いわゆる施設の設置をした事業をやっております。それから住宅融資の 事業をやっております。この3本の事業をやっておりますけれども、まず運用業務につ きましては、ここに書いてありますように、運用のあり方について、安全かつ効率的な 運用を行うため、リスク運用の位置づけを含め検討し、決定する、ということが指摘さ れております。これは背景には、12年度から14年度、この時点ではあれですけれども、 大変デフレが進行する中で、株式の運用が非常に悪かったということもございまして、 ここで言っているのは、特に株式運用をどうするのかということで、リスク運用の位置 づけを含め検討し、決定するということの指摘をいただいております。 運用以外の、グリーンピアの業務、それから住宅融資の業務につきましては、17年度 までに廃止をするという御指摘をいただいたところでございます。これを受けまして、 組織につきましては、一番下の丸でございますけれども、年金資金運用方針に即して、 廃止を含め、組織のあり方を検討し、決定する、こんな閣議決定がなされたところでご ざいます。組織につきましては、「廃止を含め」ということで、ちょっと強い指摘をい ただいているところでございます。これを受けまして、冒頭、申し上げましたように、 昨年、法律を提案し、成立したわけでございます。 法人の中身でございますけれども、2枚目の資料をご覧ください。図で書いてござい ますけれども、現行と改革後ということで、ご覧いただければと思います。現行の仕組 みでございますけれども、実際の積立金の管理運用につきましては、下の方でございま すが、年金資金運用基金で実際の運用をやっているということでございます。今回の改 革によりまして、この年金資金運用基金につきまして、既存のグリーンピアの業務、住 宅融資の業務につきまして、これは廃止をし、新しく独立行政法人をつくるということ でございますけれども、運用に特化をした法人をつくっていくということでございま す。 これに伴いまして、運用の基本的なルールについての仕組みでございますけれども、 現行は、運用のルールにつきましては大臣の方で、審議会の意見を聞きながら、株式等 の投資割合、いわゆるポートフォリオでございますけれども、こういったものを含めた 基本的な運用ルールを大臣の方でつくって、これを実際に運用をする法人の方に示し、 積立金の管理運用をこの法人の方でやっている、と。こんな仕組みになっておりました けれども、法人の器を独立行政法人にするとともに、この運用の基本的なルールづくり につきましては、独立行政法人という器を使っておりますので、大臣の方から中期目標 を示しまして、これを受けて法人の方で、株式等の投資割合などの運用ルールを定めて いくという形になっております。そのために、法人に運用委員会というものを置いて、 ここで専門的な議論を十分いただきながら、運用の基本的なルールを法人の方でつくっ ていく。こんな仕組みになっております。この、基本的な運用ルールにつきましては、 中期計画の中に盛り込んでいくということで考えているところでございます。 1枚目に戻っていただきまして、だいたい、いま、基本的な法人の概要について説明 したところでございますけれども、2番目の法人の概要の(2)、役員でございます。 新法人におきましては、役員はここにありますように理事長、理事1人、監事2人とい う形になっておりまして、理事長につきましては、現在、4月1日に、新しく理事長が 就任されておりますけれども、この方は来年4月に設立されます新独立行政法人の理事 長予定者ということで、この4月1日に就任いただいたものでございます。ちなみに新 しい理事長につきましては、日銀のOBの方に就任いただいているところでございま す。 それから(3)の業務等について、これは先ほど説明したとおりでございますけれど も、2番のところに書いてあります運用委員会は、法人の方で、いろんなルールづくり をする際に、専門的な議論をいただく委員会であり、これは11人の委員から構成する委 員会ということで考えております。この運用委員会の委員につきましても、この7月1 日に、委員になる予定者ということで指名をしておりまして、既に第1回の会合も開い ており、現在、中期計画に盛り込む運用ルール等について検討を進めていただいている という状況でございます。 それから、この資料には書いてございませんけれども、職員の体制でございます。現 在の年金資金運用基金につきましては、17年度で141人の職員数になっております。現 在の年金資金運用基金の業務につきましては、グリーンピアの業務を廃止する、それか ら住宅融資の業務については、廃止をしますけれども、既に貸し付けた融資債権につい ては回収の業務があるということでございまして、この業務については、独立行政法人 の福祉医療機構の方に承継をするということで考えております。したがいまして、現在 の141人の職員のうち、何人かの方は、福祉医療機構の方に行っていただくということ で考えております。運用の独法について、どのぐらいの職員の体制にするか、まだ決ま っておりませんけれども、これから関係方面との調整をしながら、人数について固めて いくということで考えております。 6ページ目、7ページ目には、現在の基本的な運用のルールといいますか、運用のあ り方についての基本的なところを書いておりますので、少し説明をしておきます。まず 6ページ、年金積立金の運用にあたっての基本的なあり方でございます。これは法律に 書いてあることでございますけれども、まず1番目としまして、もっぱら被保険者の利 益のために、安全かつ効率的に行うということ。それから2番目の丸でございますけれ ども、金融市場等への影響に留意する。こんなことを基本的なあり方としながら、下の 方にも書いてございますけれども、分散投資なり市場影響への配慮といったことを踏ま えながら、具体的なルールを定めているところでございます。 それから7ページ。先ほども申しましたけれども、運用にあたって各資産の基本的な 構成割合というものを定めております。ポートフォリオと言っておりますけれども、こ れにつきましては、現在のポートフォリオとしては、この図の一番右にあるものでござ いますけれども、国内債券67%、国内株式11%と、こんな資産構成割合を定めて、分散 投資を基本にしながら、この資産構成割合を維持するような形で、現在は運用をしてい るということでございます。 以上が、運用の独立行政法人の概要でございます。 しろまる部会長 どうもありがとうございました。佐野委員がいらっしゃっておりますので御紹介いた します。 しろまる佐野委員 遅参いたしまして失礼をいたしました。佐野でございます。よろしくお願いいたしま す。 しろまる部会長 続きまして、施設整理機構の概要について、説明をお願いします。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 施設整理推進室長の朝浦でございます。資料1―2に沿って御説明をさせていただき ます。独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構という新しい法人を、この10月1 日から立ち上げて、施設の譲渡または廃止業務を行うこととしております。この機構が できます、設立の趣旨でございますけれども、さきの年金制度改革の際に、年金の保険 料を保険給付以外に使っているということにつきまして、いろんな御指摘を受けまし て、今後、年金の保険料につきましては、年金給付以外には使わないということが決ま りました。あわせて、これまで施設整備に投入してきた保険料を、できるだけ適正な価 格で回収をして、将来の年金の原資に投入するということが決まったわけでございま す。その整理をする機関として、民間の方の参画を得て、専門の機関をつくっていこう ということで、独立行政法人という形態で設立することとしております。 この機構法案につきましては、さきの通常国会で、お陰様で成立をいたしまして、6 月15日に衆議院の厚生労働委員会を通り、そのあと本会議を通りまして、設立の運びと なっております。それでまず、法人の名称でございますけれども、独立行政法人年金・ 健康保険福祉施設整理機構というふうになっております。当初は年金の保険料を使って 整備をした施設についての整理ということで作業を進めていたわけですけれども、社会 保険庁が持っている、もうひとつの保険である政府管掌健康保険の保険料を使用して、 同じように施設の整備を行ってきたという経緯がございます。この政府管掌健康保険に つきましても、今後、保険料を施設整備に投入しないこととしておりますので、この 際、あわせて、年金の施設、健康保険の施設を整理していくこととしたものでございま す。 法人の目的につきましては、御説明しましたとおり、年金の保険料あるいは健康保険 の保険料を使って建てた施設で、厚生労働大臣が定めるものの譲渡または廃止を行っ て、厚生年金、国民年金、健康保険の適切な運営に資するということを目的としており ます。 役員は、常勤でございますけれども理事長1人、それから理事が1人、監事が2人と なっております。理事と監事につきましては、非常勤としております。理事長につきま しては、7月1日に、理事長予定者として、三井住友銀行の副頭取の方――現在、顧問 でいらっしゃいますけれども、この方を理事長として、就任を予定しております。それ から役職員の身分でございますけれども、非公務員型としております。 法人の業務は譲渡または廃止を行うことでございます。ただ、これは既に廃止したも のもございますけれども、経営をそのまま続けているものもございますので、譲渡また は廃止を行うまでの間は、福祉施設の運営または管理を行うことも、あわせて業務のひ とつとしております。それから付帯業務としましては、ここで働いていらっしゃる方の 雇用への配慮といったものを想定しているものでございます。 それから機構の解散ということで、5年間の有期の法人となっております。通常、独 立行政法人の解散にあたりましては、別に法律を定めて解散するという規定を設けるよ うになっているわけですけれども、本機構におきましては、この機構法案の中で、5年 をもって解散することとしております。それとあわせて、仮に施設が譲渡または廃止で きなかったケースが想定されますので、その際には、解散のときにおいて国が承継する ということで、現在の法制度を前提にすれば、年金、それから健康保険の会計の方に戻 るという規定を手当てしているところでございます。 それから次のページでございます。国会の審議の過程において、衆議院の厚生労働委 員会で付帯決議がつけられております。また後ほどの説明と重複するわけですけれど も、ひとつは厚生年金病院の整理合理化については、地域の医療体制を損なうことのな いように、十分に検証したうえで策定するということ。それから2点目は、終身利用型 の老人ホームについて、これは1か所、千葉市にございますけれども、終身利用の老人 ホームですので、その事情を踏まえて、適切な結論を得ることが必要である。それか ら、老人ホームの譲渡または廃止にあたっては、入居者の生活の場の確保というものに 十分配慮をすること。それから施設の売却にあたっては、地元自治体とも事前によく相 談すること。それから施設に従事する者の雇用に十分配慮すること。こういったことが 国会の審議において、重要な事項として検討されております。 それから3ページ目、今回の独立行政法人の設立後の姿と現行の姿を比較したもので ございます。現在は社会保険庁が福祉施設を所有して、公益法人に経営委託をしている という形態をとっており、いわば国有民営という形で事業を行っております。社会保険 庁として保険料を投入してきたのは、建物の建設費および修繕費、いわゆるイニシャル コストでございまして、経営に関わる部分については、公益法人の独立採算ということ で、これまでやってきております。独立行政法人になりますと、社会保険庁から独立行 政法人に施設を現物出資いたします。独立行政法人は売却または廃止するまでの間、こ れまでの委託先公益法人を中心に経営委託をすることとしております。独立行政法人が 自治体あるいは民間に譲渡をして、その購入代金を国庫納付することとしております が、その際にかかったコストについては、その必要経費は差し引くこととしておりま す。独立行政法人にかかる経費については、一般会計からの交付金あるいは保険料から の交付金といったものは、一切ございませんで、売却収入の中から手当てをすることに なっております。 次のページでございますけれども、独立行政法人への出資対象施設でございます。5 ページ以降、それぞれの施設類型ごとに、若干、詳しめの事業内容の説明がございます けれども、厚生年金保険、国民年金、それから制度共通、政府管掌健康保険といった類 型ごとに、あわせて年金の施設、政府管掌健康保険の施設、381の施設がございます。 これは時点でいえば16年の4月1日現在の数字で表しております。この中で社会保険病 院以外の施設について出資対象としようというものでございます。328施設でございま す。社会保険病院につきましては、実は平成14年に医療保険改革がございまして、その 際に大きなテーマとして取り上げられておりまして、平成14年12月に厚生労働省の方針 を示しております。平成15年から3か年計画で経営改善を図っていただいたうえで、平 成18年度に整理合理化計画を立てるという、こういった考え方で進んできておりました ので、今回の出資対象からは一応はずしております。ただし、社会保険病院が18年度の 整理合理化計画の中で譲渡または廃止という整理をされた場合には、この機構に追加出 資をすることとしておりまして、法律上の手当てもとっているところでございます。そ こは注1のところで書いております。 それから注2に書いておりますけれども、社会保険庁が持っている保険制度としまし ては、もうひとつ船員保険という制度がございます。この船員保険の制度の中で、福祉 事業というものがございますけれども、すべて事業主負担という整理になっておりまし て、これまで船員保険の被保険者の数がどんどん少なくなる中で、事業主負担は1,000 分の6パーミルでございますけれども、その財源も縮小する中で、船員保険の福祉施設 が整理合理化されてきたという経緯がございまして、これは事業主、被保険者、そして 私ども保険者が、三者一体となって、これまで整理合理化をしてきております。そうい う意味で、ここは今回の対象からはずしているものでございます。 それから8ページに、参考資料として「年金・健康保険福祉施設(病院を除く)にか かる整理合理化計画」というものをつけさせていただいております。これはまた後ほ ど、中期目標、中期計画を説明する際に、あわせて御説明をさせていただくこととなろ うかと思いますけれども、この中では、基本的に譲渡の考え方がうたわれております。 1枚、参考としてポンチ絵がございますけれども、それで簡単に御説明したいと思い ます。施設譲渡の基本的な考え方としましては、年金資金等への損失の最小化を図ると いうことが大命題となっております。したがいまして、その大命題を達成するために、 基本的には公正な競争で、できるだけ高く売却をするということで、一般競争入札を原 則としております。宿泊施設等、261施設がこの対象になるものでございます。 ただし、なかなか無条件の一般競争入札には馴染まないようなものもあるだろうとい うことで、ひとつは厚生年金病院、この10病院につきましては、病院の譲渡にあたって 病院機能の公益性を損なうことがないよう十分に検証したうえで、適切な方法によって 結論を得ることとしております。社会保険診療所、健康管理センター、保養ホーム、こ れは医療系の施設でございますけれども、これも施設の機能の維持というものを一定期 間、用途指定したうえで一般競争入札をかけることとしております。それから終身利用 型老人ホームについては先ほど申し上げましたように、終身利用という事情を踏まえ て、譲渡のあり方を適切に判断することとしております。有料老人ホームについても、 その長期入居機能というものの維持を条件とした一般競争入札というふうにしておりま す。 3月31日につくりました整理合理化計画でございますけれども、これは厚生年金病院 を対象としておりません。8ページの目的のところに、なお書きで書いておりますけれ ども、厚生年金病院にかかる整理合理化計画は別途、平成17年度に定めることとしてお りまして、今回お示しした整理合理化計画からは、基本的にははずれているというもの でございます。以上でございます。 しろまる部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、御質問をお願いしま す。 しろまる山口委員 先ほど、積立運用の方でお話がありました、147兆円でしたか、そういう特別会計の 大きさがありますけれども、その中にこの不動産は入っているのですか。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 147.3兆円というのは積立金として持っているということでございまして、特別会計 上、これは実は固定資産という形で計上されておりまして、その147.3兆円の外という 整理をしております。 しろまる山口委員 そうすると、年金の財政を考えるときに、この不動産、固定資産は、資産として評価 して、それで債務に対してこれだけの資産があるというような認識はされていたのでし ょうか。 しろまる大臣官房参事官 いま保険庁で持っている、まさに社会福祉施設ですね、これは予算上、固定資産とし て見ているということでありまして、言われている趣旨は、多分、年金財政上のバラン スシートという意味あいだと思うのですけれど、そういう意味では入っていないと思い ます。 しろまる山口委員 これまで、再計算等を5年に1度やってこられたわけですよね。将来の保険料をどう するかというようなことを決める際には、この不動産の部分は考慮の外ですか。 しろまる大臣官房参事官 そうですね、そういう意味では考慮の外です。 しろまる山口委員 そうすると、ある意味で言えば、価値はゼロだというふうに考えても、財政上は、い まの整理だと影響を受けないというふうに考えることができるわけですね。 しろまる大臣官房参事官 そうですね、要するにいまの年金財政の再計算上は、それは考慮外ですから影響はな いということだと思いますけれども、ちょっと私から言うのも変ですけれども、今回、 おそらく売却をして、要するに収入になれば、特会上の収入にはなってまいりますの で、単年度ごとの収支という意味では、それはプラスには働いてくるという効果はある と思います。それは年金財政再計算上の考慮外ではあります。 しろまる山口委員 わかりました。 しろまる部会長 民間の保険では、その辺はどうなっていますか。 しろまる山口委員 多分、例えば厚生年金基金というものが、もう、いまはだいぶ減ってしまいましたけ れども、そういうものがありました。その場合には、先ほどの船員保険と同じような考 え方で、別の保険料を出して、それで別の会計を使って、年金経理と別の福祉施設会計 というのをつくりまして、経理区分を別にして、財政とは違うんですよというやり方で やっているわけです。そのために必要な保険料というのは別に払っている。そういうふ うな位置づけだったのですが、ただ、厚生年金基金を解散するといったような場合に は、その経理区分をはずしてしまって、すべての財産を年金受給者で分配するといった ようなやり方だったように記憶しております。 しろまる部会長 厚生年金病院の整理合理化計画は別途、17年度に定めるということですが、その計画 を定められる際には、またこちらにお示しいただけるということでしょうか。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 17年度中に、整理合理化計画を立てたうえで、中期目標あるいは中期計画を変更する ということになれば、当然、御意見を伺うということになろうかと思います。 しろまる部会長 他にないようでしたら、次に移りたいと思います。年金・健康保険福祉施設整理機構 の中期目標および中期計画の、それぞれの案について、事務局より説明をお願いしま す。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 資料2―1、2―2に基づきまして、御説明をさせていただきます。先ほど御説明が ありましたようなスキームで、中期目標、中期計画をお諮りしているわけですけれど も、資料2―4で、整理合理化計画を3月31日に策定いたしまして、これを踏まえて国 会審議などでも厚生労働省、社会保険庁の考え方を示してきたわけでございます。今回 の中期目標を策定するにあたりましては、整理合理化計画の内容を下敷きにいたしまし て、国会審議で明らかになった問題点、あるいは指摘された事項、付帯決議の趣旨等を 踏まえて、この中期目標を策定しております。 まず、第1から第5まで、項目立てになっておりますけれども、これは通則法上の整 理をさせていただいたものでございまして、それにしたがって必要な事項を書かせてい ただいております。まず、中期目標の期間でございますが、平成17年10月1日から22年 9月30日までの5年間でございます。御説明したとおり、この機構は5年間の有期の法 人でございまして、中期目標といいましても、この1回の目標がすべてというものでご ざいます。 それから第2、業務運営の効率化に関する事項でございますけれども、独立行政法人 として設立する趣旨を十分に踏まえ、機構に期待される社会的使命を果たすことができ るよう、効率的な業務運営体制を確立するとともに、あわせて業務管理の充実を図るこ と、とうたっております。1番目、効率的な業務運営体制の確立のところで、特に民間 の知見を最大限活用することとしております。法案の審議にあたりましても、民間の幅 広い知見を活用して適切な価格で適切な譲渡を行うということが求められておりまし て、現在、理事長は民間の金融機関から来ていただくことになっておりますし、そのス タッフにつきましても、特に施設の譲渡部門のスタッフについては、民間の専門家に参 画していただけるよう、いま、人選を行っているところでございます。 それから施設が譲渡または廃止されるまでの間の施設運営でございますけれども、こ れは従来どおり、公益法人等への委託という形で運営をしたいというふうに考えており ます。この際の委託契約の中身につきましては、現在もそうですけれども、機構設立前 に社会保険庁と委託先公益法人が交わしている委託内容を基本とすることとしておりま す。 2番目、業務管理の充実でございます。業務の計画的な推進を図るとともに、継続的 な業務改善あるいはリスク管理の徹底を図ることとしております。 それから3番目、業務運営の効率化に伴う経費節減でございます。この機構は、でき るだけ多く、年金資金等へ保険料をお返しすることとしておりますので、年金資金等の 損失の最小化を図るという観点に立って、機構の運営経費、コストをできるだけ節減す ることに努めていく必要があります。特に一般管理費については、中期目標期間の最終 の事業年度において、対平成17年度比10%以上の額を節減することとしております。 それから次のページでございます。第3、国民に対して提供するサービスその他の業 務の質の向上に関する事項でございます。機構の売却業務の基本的な考え方を書いたも のでございます。年金福祉施設等の譲渡または廃止でございます。年金資金等の損失を 最小化するという考え方に立ち、多様な譲渡方法を通じ、中期目標期間の最終の事業年 度までに終了させるべく、的確な施設の譲渡または廃止に努めるとともに、毎事業年 度、年金福祉施設等の譲渡の見通しを年度計画で示し、各事業年度終了時に進捗状況を 勘案して業績を評価し、次事業年度以降の業務に反映させること、としております。 それから、「また」以降で書いておりますけれども、譲渡後の施設の用途について は、買受先およびその転売先等において、公序良俗に反する使用等が行われることがな いよう十分に配慮すること、としております。これは国会の審議においても、公序良俗 に反する使用、例えば暴力団の活動に利用されるといったようなことがないように、十 分配慮するということが指摘されておりまして、それを踏まえた記述でございます。 それから譲渡施設の選定および譲渡時期でございます。毎事業年度の譲渡施設の選定 にあたっては、各施設の経営実績、今後の経営見通しおよび建物の老朽度等を総合的に 勘案して行うものとして、機構が策定する年度計画において定めるものとする。この施 設は、既に廃止したものもございますけれども、実際に事業を展開している施設でもご ざいますので、建物の老朽度だけではなくて、それ以外の経営実績等も踏まえて、その 組み合わせ、あるいは順番等を考えていく必要があるというものでございます。 それから、譲渡する施設名、競争執行の場所および日時を官報で公告するというこ と。譲渡する施設の公表については、できるだけ早く公表するという考え方もあります けれども、公表をすると、一方で、やはり風評被害にあうという副作用もございますの で、官報によって競争入札を行うということをもって、正式の公表としたいという考え 方でございます。公告時期につきましては、委託先公益法人等における清算業務あるい は従業員の雇用に配慮する必要がある、ということでございます。 それから(2)の契約方法でございます。施設の譲渡にあたっては、公正で適正な譲 渡を行う観点から、一般競争入札とする。ただし、借地上にある施設について土地所有 者が建物の購入を希望する場合は、随意契約により譲渡すること、としております。現 在、例えば有料老人ホームを建てている場合につきまして、地方公共団体からの借地上 に建っているというケースがございます。その借地上の契約、借地契約におきまして は、目的外使用を禁止したり、あるいは第三者への転売を禁止するといった規定が盛り 込まれているのが通常でございまして、土地所有者が同意しなければ他に譲渡すること はできなくて、建物を取り壊して更地にして、地方公共団体にお返しするという道しか ありません。ただ、土地の所有者がその建物を購入してもいいといったような場合に は、随意契約によって譲渡することの方が、より、年金資金への貢献が図れるというこ とで、一般競争入札が原則ではございますけれども、この場合に限って随意契約という ものを認めていこうというものでございます。 それから譲渡条件ですけれども、次の施設については譲渡にあたり一定期間施設の中 心的な機能を維持することを譲渡条件とすること。なお、施設の機能廃止が適当とされ た施設については、この限りではないこと、ということで、先ほど絵で御説明しました ように、地域医療に貢献している施設、社会保険の診療所、健康管理センター、保養ホ ーム、この3つの類型に該当しているものについては、一定期間、機能を維持するとい うことを条件に一般競争入札にかけるというものでございます。社会保険診療所は、戦 後間もない頃、寄生虫の予防あるいは結核の予防など、そういったものが非常に社会問 題化したときに、政管の被保険者のために外来診療を行う場として設置されたものでご ざいます。健康管理センターは、生活習慣病対策として、健診事業を被保険者のために 行うということで、社会保険庁所有で、いわゆる健診センターを設置しているものでご ざいます。それから保養ホームは、厚生年金病院に付置されておりまして、食事の指導 や、あるいは厚生年金病院と一体となってリハビリテーションを行うことによって、い わゆる病気の治療は終わったけれども、家庭に帰るまでの十分な訓練をまだ受けられて いないという方に対する、いわゆる中間施設として設けられているものでございます。 全国で4つの施設がございます。それから入居者に配慮すべき施設。これは先ほど申し 上げました、終身利用型の老人ホーム、長期入居型の老人ホームについては、その機能 を維持することを条件に一般競争入札をすることとしております。 国会の審議の中で、ひとつ議論がありましたのは、これ以外の施設であっても、非常 に公益性の高いような施設については、それが地元からなくなっては困るということ で、かなり議論があったわけですけれども、そういう、例えば同じ都道府県内にかわり のないような施設をどうしていくのかといった問題について、現在、検討をしておりま す。本日、この場でお示しはできないのですけれども、そういった問題意識がございま して、そういう代替施設のない機能を有している施設について、一定期間の事業継続を 条件とするという可能性について検討している最中でございます。 それから譲渡価格でございますけれども、施設の譲渡にあたっては、年金資金等の損 失を最小化する観点から、不動産鑑定評価の手法に基づいて、適正な価格の設定に努め ることとしております。これは、いわば一般競争入札を行うにあたっての予定価格の設 定をどうするかということでございます。不動産鑑定評価の手法は、皆さん御承知のと おりでございますけれども、原価法とか、あるいは近隣の取引事例の比較とか、あるい は最近はキャッシュフローベースの収益還元といったものを組み合わせて評価が行われ ておりますけれども、その不動産鑑定評価の手法に基づいて、それを参考にしつつ、予 定価格を設定するということをうたったものでございます。 それから、譲渡の対価の支払い方法でございます。基本的には即時支払いということ にしますけれども、ただし施設の譲渡先が地方公共団体の場合は、譲渡の対価の支払い 方法の弾力化に配慮する。具体的には、国会の審議において、地方公共団体が仮に一般 競争入札に入ってきて買い受けるといったような場合には、入りやすい環境を整備して ほしいといった要望もございまして、支払い方法の弾力化ということで、いわゆる分割 払いといったものを認める余地を残しておこうというものでございます。 それから老人ホーム入居者への配慮については先ほど申し上げたとおりでございま す。 3ページ目、委託先公益法人等の従業員雇用への配慮でございますけれども、具体的 には委託先公益法人の従業員の雇用について、再雇用することを譲渡条件とすること は、なかなか困難であるというふうに考えております。再雇用を条件にしますと、譲渡 価格にかなりの影響を与えてまいりますし、あるいは買受人が出てこないというケース もございます。したがって、それを条件とすることはできませんけれども、施設の買受 者が実際に決まった場合には、機構の方から雇用の依頼等を積極的に行っていきたいと いうふうに考えております。 それから(8)、地方公共団体との相談というものをうたっております。これまで、 年金福祉施設等を設置するにあたっては、地方公共団体の土地を提供していただいた り、あるいは地元の地権者との交渉に協力していただいたり、あるいは施設の周辺の整 備――取付道路を含めた施設の整備をしていただいたりしておりますし、あるいは現 在、既に各施設の譲渡について、地元の地方公共団体から事業の継続の要請がかなり来 ております。地元の地方公共団体と十分に相談をさせていただいて、一般競争入札の中 で、どういった仕組みで対応できるのか、考えていきたいというふうに考えておりま す。 それから2番目の、年金福祉施設等の運営および資産価値の保全でございます。これ につきましては、できるだけ資産価値を保全し、あるいは資産価値を高めて、できるだ け高い価格で譲渡するということが基本でございますので、効率的な経営あるいは効果 的な運営に努めるということをうたっております。 それから施設の管理でございます。ハード面の対応でございますけれども、施設の管 理については適切な維持管理に努めるということ。それから、施設の整備にあたっての 考え方でございますけれども、社会保険庁が所有している施設について、現在、既に保 険料を投入することができないということで、現実問題としては委託先公益法人の負担 において、いろんな修繕なりを行っていただいているのが実情でございます。この施設 を独法に持っていったという場合に、どのような対応ができるのかということですけれ ども、一方で、国庫納付金への貢献をしないといけないという要請もございますので、 緊急災害時における復旧――屋根が壊れた、あるいは壁が壊れて当面の運営ができない といったような場合に、予算面の限界もあろうかと思いますけれども、機構全体の財務 を総合的に勘案して、必要最小限の措置を講じたいというふうに思っております。それ 以外の維持管理につきましては、現在の社会保険庁と委託先公益法人との関係と同じよ うに、委託先公益法人の負担において行うこととしたいと思っております。 それから(3)、運営の停止等でございますけれども、施設のうち、経営状況が非常 に厳しい、あるいは老朽度が非常に高いといったものについては、できるだけ早急に運 営を停止することとしております。施設を廃止してから譲渡するまでの間、かなり期間 がありますと、施設そのものが傷んでまいりまして、財産価値が減殺してしまうという こともありますので、そういうことがないように、適切な維持管理に努めるということ を、ここでうたっております。 3番目、買受需要の把握および開拓でございます。この譲渡対象施設にかかる買受需 要につきましては、全国に官報で公告して、一般競争入札を促すわけですけれども、そ の前に、できるだけ多くの方々に、施設の内容を情報提供するとともに、どのような施 設として運営したいのかといったようなことを、いろんな方面から把握をすることが必 要だろう、と。それによって、ひいては事業価値なり、あるいは資産価値を適切に評価 する方を多く見つけることができるというふうに考えております。そういう意味で、こ こに買受需要の把握および開拓といった項目を起こしております。 それから4番目が、情報の提供でございます。機構の運営状況に関する情報提供につ いては、当然のことながら、明らかにする必要がございます。それから(2)の、譲渡 の対象となる年金福祉施設等に関する情報提供については、譲渡する施設に関する情 報、入札手続きに関する情報、入札結果に関する情報を、積極的に提供する必要がある と考えております。それから年金福祉施設等の運営に関する情報提供でございます。施 設の収支状況や利用状況等に関する情報についても、積極的に提供することとしており ます。 それから4ページ目になりますけれども、財務内容の改善に関する事項でございま す。財務につきましては、先ほど第2でも申し上げましたけれども、経費の節減を見込 んだ中期計画の予算を策定して、その予算によって運営を行うこととしております。 それから第5の、その他業務運営に関する重要事項で6項目起こしておりますけれど も、1番目は、職員の専門性を高めるということと、勤務成績を考慮した人事評価をす るということでございます。民間の参画を得て行いますので、実績評価を踏まえた人事 評価、成果主義に立った人事評価を目指していきたいというふうに考えております。 それから国庫納付金の納付に関する事項につきましては、これは毎年度ごとに収益か ら必要経費を除いた部分、必要な控除を除いた部分を、毎年度、それぞれの特別会計に 納付するということになっておりまして、この機構の決算終了後、すみやかに納付をす ることとしております。 それから3番目の、外部の有識者からなる機関に関する事項でございますけれども、 施設の具体的な譲渡方法について、専門家の方々の助言を受けて、理事長の独断専行に ならないような形で意見を聞いて、その方法について検討していくということをうたっ ております。 それから、個人情報の保護については、昨今の個人情報保護の重要性に鑑み、この規 定を設けております。それから厚生年金病院については、先ほど申しましたように17年 度中に整理合理化計画を策定しますので、それを踏まえて、機構においても対応するこ ととしております。終身利用型老人ホームについても、厚生労働省、社会保険庁におい て、その適切な結論を得るとされておりますので、その結論を踏まえて機構において対 応することとしております。 続きまして、中期計画でございます。資料2―2でございますけれども、基本的には 中期目標で定められたことに対して中期計画でどのようにするかという、対応関係にな っておりますので、中期計画において追加的に書いたところを中心に御説明したいと思 います。第1の、業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置という 中で、2番目の業務管理の充実のところでございますけれども、業務遂行において生じ 得る多様な事業リスクを的確に把握・管理することとしておりまして、それぞれの組織 においては、事業を行ううえで、様々な事業リスクが伴うわけでございますけれども、 機構におきましては、例えば災害リスクであるとか、あるいは民間の方が中に入ってま いりますので、売る方と買う方の利益相反関係をどういうふうに守っていくのか、そう いったリスクをどう管理していくのかといったことが重要になってくるだろうと思いま すが、今後、その事業リスクの中身についても詰めていきたいというふうに考えており ます。 それから2ページ目の第2のところでございます。第2の1の(1)、譲渡施設の選 定および譲渡時期でございます。中期目標においては、計画的な業務執行を行うことと いう記述がございましたけれども、具体的に機構において、どういう計画をつくって、 何年度にどのぐらいの数の施設を譲渡または廃止するのかというところが、まだ十分に 見えていないわけでございます。現在300ある施設をどのように――どういう順番で、 どういう組み合わせで売却していくのかということを検討することとなるわけですけれ ども、まず、各施設のいろんな状況について把握することが先決であろうというふうに 考えておりまして、その状況を把握した結果、年度ごとの譲渡施設の見通しを早急に立 てることとしております。それから、その譲渡施設の見通しを踏まえて、各年度ごとの 具体的な施設を確定していくといったような作業になるというふうに考えております。 それから3ページ目でございます。(7)、委託先公益法人等の従業員の雇用への配 慮というものでございます。先ほどは施設の譲渡に関して、施設の買受者に対して従業 員の雇用を依頼するということを御説明しましたけれども、それに加えまして、施設の 譲渡または廃止に関する情報を、厚生労働省職業安定局を通じて公共職業安定所等に提 供することによって、いわゆるハローワークから、どういったところに、どういった失 業者、あるいは求職活動を行っている方が発生しているかということを、機構の方から 情報提供することによって、その求職活動の支援が図れるようにしたい。そういったル ートを構築させていただきたいということで、厚生労働省の関係部局と、現在、調整を しているところでございます。 それから、地方公共団体との相談のところでございますけれども、地方公共団体の相 談の結果、聞きっぱなしということではなくて、その結果につきまして、買受者を募る 際に情報提供を行うこととしております。いわば対象施設の、施設の付帯情報のひとつ として、地方公共団体はこの施設についてはこういうことを考えている、あるいはこう いう支援策を考えているといったようなところが情報提供できればというふうに思って おります。 それから次のページでございますけれども、第3の、予算、収支計画、資金計画。こ れは中期計画の必須事項としてお示ししなければいけないのですけれど、現在、まだ数 値が本日の時点では固まっておりませんので、恐縮ですけれども、次回、お示ししたい というふうに思っております。 それから第4の短期借入金の限度額でございます。これも、限度額は調整中でござい ますけれども、先ほど御説明いたしましたように、この法人は一般会計からも、保険料 からも、運営交付金という手当てがなされておりませんので、当初、立ち上げの段階で は、市中銀行から運営経費について借入をするということを、せざるを得ないというこ とになっておりまして、どのくらいの借入金であれば、当面の運営をまかなっていける かというのを、現在、調整中で、これにつきましても、次回、お示しをしたいというふ うに思っております。 それから第5、重要な財産を譲渡し、または担保に供しようとするときは、その計 画、ということとなっております。機構の主たる事務所が置かれる土地および建物につ いても譲渡することとする、と書いておりますけれども、現在、機構の事務所は千葉市 の稲毛区にある千葉社会保険センターの1階に入ることとしております。この千葉社会 保険センターも、年金福祉施設の共通施設のひとつとして建てられたものでございまし て、最終的には譲渡をすることとしております。これは法人の事務所でもございますの で、重要な財産というふうに整理をさせていただいております。それ以外のものにつき ましては、いわば商品になりますので、流動資産という整理をさせていただいておりま す。 それから第7、その他主務省令で定める業務運営に関する事項の中でございますけれ ども、施設および整備に関する計画については該当がないという整理を、現在、させて いただいております。 資料といたしましては、これ以外に年金の福祉施設の一覧として、個別の施設名と所 在地を書いたものを用意させていただいて、お手元に配布しておりますので、御参照い ただければと思います。以上でございます。 しろまる部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして、御意見、御質 問等はございますでしょうか。 しろまる部会長代理 2つほど伺いたいのですけれど、第1点は、この第2以下の書き方、表現についてで す。すべての独立行政法人、厚生労働省関連の独立行政法人は、これまでも事業活動を しており、その内容は調査にしろ医療サービスにしろ、国民が利用する、いわば国民に 提供するサービスという内容のものだと思うのですけれど、また、そういう継続して事 業をしてきているし、今後もするというようなサービス内容について、過去の経費との 関連で、もっと効率化しろということも、よくわかるのですが、この行政法人はまった く特殊な目的のためのものであって、国民が利用するサービスの提供をしているわけで もありませんし、にもかかわらず、この「業務運営の効率化に関する事項」という表現 とか、あるいは「国民に対して提供するサービス、その他業務の質の向上」といった表 題は、何かそぐわない。この事業目的は、損をしないように、あるいはいくつかの制約 条件があって、それを注意しながら、なるべく譲渡し廃止しろということですよね。そ ういう目的を、何か隠しているような表現に見えて、もうちょっとそれは、業務の内容 とか、そういうふうにはっきりと書いた方がいいのではないかという気がしているので すけれど、それができない事情というのがあるのかということが1点です。 特に一番重要なことは、この譲渡・廃止を、どういうふうにスムーズに、期限内に終 えるかということだと思いますが、それが、あまりはっきりと、この表題からは伝わっ てこないので。内容は、こういう内容でいいと思うのですけれど、それは何か工夫の余 地がないのかということ、それが第1点です。 第2点は予算のことです。多分、この法人は、現物で出資を受けて、それは時価評価 をしたものということですね。時価評価をした現物出資で受けて、それが資本金になっ て、まあバランスシートで言いますと、こういう法人の場合、どういう会計をするの か、ちょっとわかりませんが、それが資本金になって資産も同額の資産が立って、その 中から運営経費を引いていくと、損失が立っていく。あるいは当初、利益がないまま で、売却益がないままで、借入をすると借入利息も少し追加されるかもしれませんが、 そういう構造で、年度をずっと繰り越していくという形になるわけですね。そうします と、当初の出資額以上の売却益をあげることによって経費をまかなって、かつ最終年度 でどのくらい譲渡益が出るかというような事業計画のように思うのですけれども、そう いう予算という意味なのでしょうか。 そのときに、普通の民間企業ですと、資産価値の洗い替えをするとか、評価をし直す とか、そういうことが必要ですけれど、その辺をどうするのか。それから経費のことに 関して、この予算の中には運営経費のことが入るということですが、これは過去にずっ と事業をしていた法人が、過去に対していくら経費を節減しろという目標はわかるので すけれど、初年度の経費に対して5年度までにいくら経費を減らせという目標は、何 か、いくらでも操作できるものを予算に入れるということですよね。過去の実績が何も なくて、初年度を高くしておけば、5年度は、経費を削減できたと言えてしまうような ことですから。それでは意味がないのではないか。新設の法人であり、かつ5年間で終 えてしまう、そういう特殊な目的を持つ事業法人であるのに、そんな、経費をこの5年 間で、初年度に対して何%減らすというような目標を掲げる意味はないのではないか。 これは目標の書き方の問題にもなりますけれど、以上2点について伺いたいのですが。 しろまる政策評価官 全体のこの中期目標という枠組みなり表現ぶりの問題と、個別具体的な御指摘がござ いましたので、まず、横断的なといいましょうか総論的なところを、まず私の方から、 答えられる限り申し上げたうえで、引き続き所管課の方で補足といいましょうか所管課 の立場からのコメントをさせていただくことになろうか思います。 まず、確かに、いま御指摘をいただきましたように、私ども厚生労働省全体を見渡し たときに、今回のこの整理機構というのが、きわめて特徴的な法人であるということ は、私どもも、そのとおりだと思っております。既存事業の、例えば特殊法人で先行し ていた、あるいは国立でやっていたものが、いわば転換していくという形ではございま せんので、今回の中期目標という柱立てをつくるにあたっても、そのあたりの工夫をも うひと工夫、ふた工夫すべきではないかという御指摘と受け止めました。 そこの部分につきましては、きょうの御指摘を踏まえて、私どもなりに、また考えな ければいけないところで、まさにそういう御指摘をいただくべく、こういう御意見を伺 っている部分もございますので、そこはきちっと受け止めさせていただこうかと思いま すけれども、一方で、きわめて形式的なといいましょうか、お役人的なことを申し上げ るようなことで申し訳ございませんけれども、冒頭、担当課の方からも、一言触れさせ ていただきましたように、この中期目標の柱立てそのものは、通則法29条――お手元の このファイルの中にも、いくつか出ておりましたが、ファイルに何が入っているかとい うのを御確認いただくだけで、いちいち御参照いただくことまで求めるわけではござい ませんが、その中の2番というところにも、通則法をお手元にリファレンスいただける よう、用意をさせていただいております。その29条なるものを、あらためて確認いたし ますと、具体的に中期目標においては、これを定めろという、いわば法律によるオーダ ーが出ておりまして、その中に、いま、確かに私も率直に、虚心坦懐に見たときに、若 干、違和感のある、委員の御指摘の、「国民に対して提供するサービスその他の業務の 質の向上に関する事項」という文言もございまして、なかなか、大臣として定めます中 期目標のワーディングとしては、この法律にとらわれざるを得ないという側面も、一方 ではあろうかと思います。 また、あまりこれを、私自身、それが当然だと思って申し上げているわけではありま せんので、牽強付会というふうに受け止められると、私の趣旨に反するのですが、いま 御指摘いただいていますように、直接的に一般国民の方々を相手にするサービス事業を 担う独立行政法人とは言い難いものの、そもそもの出発点において、国民の皆様方から お預かりしております年金保険料なり、あるいは政府管掌健康保険の保険料の使い道と して、これまで使ってきたものを、どのように見直すか、手仕舞するかという一連の流 れの中で、今回の独立行政法人に、法律によって使命を与えた、あるいは国会から与え られたということでございますので、広く国民の方々に対して意識しているということ も、また、逃れ難い部分もございますので、決してそれを強く申し上げるつもりは私も ございませんが、そういう制約の中で、ワーディングについては、この法律に基づくと いうことを前提にしながらも、ただ、他の法人とは若干性格が違うのではないか、ある いは、ならばそれで、この法律なり何なりで与えられた使命をもう少し中期目標に色濃 く出すべきではないかという御指摘については、中期目標という形に書かせていただく のがいいのか、あるいは、そういうのは、ある意味で法律のレベルで、この独立行政法 人の根拠法となっております法律の時点でも、いろいろと書かれております。あるいは その提案理由として大臣が国会に申し上げたことにも入っているかと思いますけれど も、どういう形で言葉の整理をするのか。あくまでも中期目標というものが、それ自 身、単体としてあるわけではなくて、法律に基づいて独立行政法人が活動をする、その 活動に対して、もうひとつ、所管大臣として注文をつける中期目標ということでもござ いますので、どういう整理がいいか、委員の趣旨は私どもも受け止めさせていただきま す。少なくとも私は、先生が何を趣旨としておっしゃっているのかは受け止めたつもり ですので、次回までに工夫をしてみたいと思います。ただ、制約がある、あるいは全体 の枠組みの中で、中期目標にどこまで法律なり、あるいはそれ以外のいろんな、前にあ る枠組みに重ねて言葉を足すかというところは、ちょっと整理の必要があるのかなあと いうふうに思っております。 また、2点目で御指摘いただいた最後に、予算について、どういうことを――本日、 提案といいましょうか、案としてお示しし得なかった部分について、いまの時点での考 え方を、所管課の方から、このあと御報告させていただくと思いますが、そこはそこと して、では、評価をどういう規準にするのか。いわば発射台がないぶんだけ、発射台が 高めになれば、やったと言えるではないかという話も、それは評価をしていただく立場 からすれば、誠にもっともな御指摘でございますので、委員の方からも御指摘がありま した、目標の定め方と、その目標に対する評価の視点というものを、どう考えるか。単 純に対前年度比だけでものごとを見るのではなくて、それなりに、やはり類似を並べて みたところの――なかなか、比較は難しいかと思いますが――絶対評価とは申しません が、どういうものだろうかという、その、時系列でない評価の仕方があるのか、あるい はそういう、いろんな評価をしていただけるような形で、予算なり、あるいはそれを踏 まえた目標が設定できるのか。これもまた、いまの御指摘を踏まえて、次回までに少し こなしてみたいと思いますし、またその辺も踏まえて、きょうここでというわけにはま いりませんけれども、整理をしてみたい。また、それで御意見を伺いたい。まず前段の 部分については、そう思います。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 まず、かかる経費を何でまかなうかということですけれども、時価評価を超える部分 の収益からまかなうということではなくて、収入をもって経費にあてるということにし ております。 それから2点目は、資産の減価部分をどう評価するかということ。これは非常に大き な問題ではありますけれども、一応、私どもの整理といたしましては、資産についての 減額の評価は損失には反映させないこととしておりまして、バランスシート上、減価部 分を資本から落としていく、こういう整理をさせていただいております。流動資産でず っと持っておいて、どんどん減価償却をされると、そこの部分だけが損失として膨らん できますので、いろいろと経営をしているところもございますし、5年間ですべて売却 するという観点から、毎年毎年の減価を損失として見るのではなくて、財産から落とし ていくという手法で経理をしていきたいというふうに思っています。 それから、一般管理費についての10%削減目標でございますけれども、御指摘のとお り、初年度にかかる経費を高く積み増せば、結果的に最終年度との比較で10%をクリア するのは簡単ではないかという御指摘はもっともでございまして、比較をする際には、 初年度のみにかかる、例えば備品等の費用については比較の対象から落としていこうと いうふうに考えておりまして、17年度においても22年度においても、同じようにかかる 経費、特別にかかる経費ではなくて、恒常的にかかる経費を比較していくというふうに 考えております。例えば、役人の言葉で言えば庁費――初度庁費ではありませんが、消 耗品とか会議費とか光熱水料といったものの比較で見ていきたいというふうに思ってお りまして、できるだけ経費の削減に努めるということを、機構のひとつのスタンスとし て持っていく必要があるのではないかというふうに思っております。 しろまる部会長代理 予算の立て方ですけれど、収入というのは、例えばいま維持している施設の収入とい うことですね。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 そこで申し上げます収入というのは、譲渡収益という意味です。 しろまる部会長代理 そうすると譲渡益ということですか。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 例えば時価で10億だったものが、一般競争入札で15億で売れたという場合には、15億 が収入というふうに考えております。 しろまる部会長代理 わかりました。それに加えて運営している施設の中の収入というのも、いくらか見込 むんですか。例えば診療所の......。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 そこの運営については、公益法人の会計の中で処理をされておりますので、独立行政 法人からは別の会計処理を行うということにしております。 しろまる部会長代理 委託料と、その収入との相殺をしているような形で、独立行政法人からは出ていかな い、と......。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 独立行政法人から委託する際には、委託料を払っているわけではなくて、経営を全面 的に委託しておりますので、独立採算で委託先公益法人は処理をするというふうに考え ております。 しろまる部会長代理 わかりました。 しろまる部会長 他にいかがでしょうか。 しろまる佐野委員 総論的なことで、まず1点、伺いたいのですけれど、この法人の目的で、譲渡・廃止 等を行って、整理をして、「適切な財政運営に資することを目的」という大きな目的が 掲げられています。その目的達成のために、細かい、ミクロ的に経費削減をしようと か、そういうことはわかるんですが、トータル的に私たちが評価をするウェイトといい ますかポイントとして、最終的に全部を売却もしくは譲渡するように整理がされるとい うところに最大の目標値を置くのか、それとも損をしてまでもやることはなくて、最後 は国に承継するからいいんだというところにウェイトを置くのか。その辺はどちらなの かというのを、まず、お伺いしたいのですが。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 私どもといいますか機構に求められておりますのは、できるだけ高く、できるだけ多 く、譲渡をするということです。そこの両方を達成できるような工夫と知恵を出してい かなくてはいけないというふうに思っておりまして、どちらかということには、ならな いと思っております。 しろまる政策評価官 所管課、法人担当課としては、いま、お答えしたような形になりますし、厚生労働省 としてお尋ねがあれば、いまのようなことを申し上げるのだと思います。問題は、当部 会といいましょうか、評価委員会の先生方の、事務局としての立場で申し上げますと、 そこが一番、多分、この評価の悩ましいところであろうと思いますし、それは厚生労働 大臣あるいは独立行政法人整理機構に聞くというよりも、ある程度、非常に悩ましい二 律背反、アンビバレントなところを、状況をよくよく評価委員の先生方にお知らせを し、また、いろいろとまた足らざるところは御質問をいただきながら、まさに第三者と して、有識者として、これをどう見るかということを――委員の中でも、それぞれ局面 が出てくるかと思いますので、個別評価をいただくときに議論をしていただくというこ とが、まさにこの部会としてお願いしなければいけないし、私ども、所管課とは別に、 評価官室としてこの部会の事務方を預かる者として、心していきたいというふうに思っ ております。 しろまる佐野委員 そうしますと、機構の解散のときに、資産と債務は国に承継するということは、これ はいわゆる残余債務というよりも、資産も当然あるだろうという前提を含んでいると思 いながら評価してよろしいということですね。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 この規定を設けましたのは、この独立行政法人整理機構が、5年間でなくなってしま いますので、万が一のことを考えて――本当は、あってはいけないことなのですけれど ――仮に、万が一、そういったものが残った場合の手当てをしなくてはいけないとい う、法制的な観点からの整理でございまして、実質的に、こういう規定があるから残し ていいということではなくて、基本的にはすべて譲渡または廃止をすることとしており ます。 しろまる佐野委員 細かいことで何点か、よろしいでしょうか。資料2―1のところで、2ページ目の、 第3の(3)、譲渡条件のところに「譲渡にあたり、一定期間施設の中心的な」云々と ございます。これは中期計画にもその旨が反映されているわけですけれども、この一定 期間というのは、この機構の裁量権の範囲なのか、それとも所与の、何か、一定期間と いうのが定められているのかを伺いたいというのがひとつ。 それから2つ目は、同じページの(4)の譲渡価格のところですけれども、「年金資 金等の損失を最小化する観点から、不動産鑑定評価の手法に基づき、適正な価格の設定 に努める」とあります。これは国からの承継財産を受けるときの評価も、この不動産鑑 定の手法に基づく時価評価がされると思うのですが、これは時点採用を想定して益が出 るという意味で「不動産鑑定評価の手法に基づき」という表現になっているかどうかを 確認したい。これが2つ目です。 それから3番目が、3ページの2番のところに該当するんでしょうか、2番の(1) では、運営にあたっての基本方針として、「資産価値を高めるための方策を講じる」と あります。(2)のところでは、施設の管理に関して、緊急災害時の復旧のときに必要 なものは、最小限の措置を施設に対して講じることができて、その他については、委託 先の公益法人が行うとなっております。そうすると、これは、資産価値を高めるための 追加投資はできない、すなわち施設に対する追加投資はできないと読んでよろしいのか どうか。これを確認したいというのが3番目です。 それから、これにちょっと関連するんですけれども、資産価値を高めるとなると、当 然、先ほど部会長からお話がありましたけれども、公益法人の相手先がその業務の委託 を受けているわけですから、そこに収支構造を全部把握されている資料があろうかと思 うんですけれど、各施設の収支計算――損益計算書であるとか貸借対照表に該当するよ うな収支計算の明細が入手可能なのかどうか。もしくは、これまで入手できていたのか どうか。これを確認したいというのが4番目です。 それともうひとつが、いま、最後に申し上げたことに関連するのですけれど、資料2 ―2の中期計画のところの2ページの第2の(1)の1番の中で、「各施設の状況につ いて把握するとともに」という記載がありますが、これは先ほど、公益法人の方で持っ ているPL等があるのかという質問をさせていただきましたが、これに関連して、各施 設の状況については、まだ把握していらっしゃらないのですか。それとも、これからす るということで、これから把握すること自体が独法に課せられている業務のスタートに なるのかどうか、いま現在あるのかどうか。これを確認させていただきたい。以上でご ざいます。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 5点ほどお尋ねがございました。1点目の、用途指定の期間でございますけれども、 これは、それぞれの施設ごとに、機構において決めるということになろうかと思います が、ただ、決める際には、国有財産の場合の、こういったケースの取り扱いですとか、 あるいは同じような不動産の譲渡を行っている先行独法の事例等を参考にして対応して いくことになるのではないか、と。基本的には、その機構の裁量ということとしており ます。 しろまる佐野委員 いまのは、一定期間の話ですよね。他の独法とは違って、これは施設の中心的な機能 を維持することになっていますよね、その機能についても、例えば相手先へ譲渡すると きの条件などに盛り込む、その一定期間というのは、この独法の裁量権の範囲というこ とで、よろしいのですね。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 はい。 しろまる佐野委員 国から、ある程度、例えば5年であるとか7年であるとかは維持するように指導が入 っているとか、そういうことはないわけですね。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 機構の裁量で設定することにしております。 しろまる佐野委員 わかりました。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 それから2点目、出資価格と予定価格との関係でございますけれども、現在、出資を するにあたって、簿価ではなくて現在の時価で評価をして、独立行政法人に出資をする という、そういう決まりになっておりますので、現在、不動産鑑定士に委託をして、時 価評価の数字を確定している最中でございます。 それで出資価格は時価で決まりますけれども、そのあと、実際に譲渡をする際に、そ の際の予定価格というものも決めなくてはいけませんので、出資価格をもって予定価格 にするということにはならなくて、やはり、その時点での価格を、もう一度、不動産鑑 定をしていただいたうえで、予定価格を設定する際の参考にするということです。 しろまる佐野委員 ということは、いまのは、時点補正が入るだけのお話に聞こえるのですけれど、例え ば、いわゆる「のれん」のようなものというのは、そこの評価に入るんですか。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 そこは不動産鑑定の鑑定評価の中で、どの程度反映されるのか、あるいはキャッシュ フローベースの収益還元という考え方に則って、不動産鑑定として、そこの不動産とし てどのくらいの評価がされるのかということになるだろうと思います。 しろまる佐野委員 懸念されるのは、いま、そんなに右肩上がりに不動産価格が上がっていない中で、現 状で不動産鑑定士による時価評価がされて、それで出資財産の評価額が決まる。先ほど のお話で、それが10億だったとして、実際に15億で売れたら、その15億が収益で、そこ から経費を引くというお話がありましたけれども、10億で出資を受けて9億でしか売れ ないという場合も出てくる可能性があろうかと思います。時点評価をしたからといっ て、高くなることを前提にお考えになっている、この文章立てというのは、ちょっと無 理があるのかなあという気がして、伺っているわけですが。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 時点修正をして、高くなるだけではなくて、下がることも当然あるわけです。その時 点での評価が下がるということもありますので、ここで言っているのは、出資時の評価 ではなくて、譲渡時の予定価格をどう設定するのかということを記載しているものでご ざいます。 それから、資産価値を高めるということに関して、設備投資などはしないのか、でき ないのか、ということですけれども、御指摘のとおりでございます。ここで言っている 資産価値を高める方策ということについては、設備投資ということではなくて、事業の 運営の仕方を変えることによって、事業価値として資産価値が高まるということを念頭 に置いております。 しろまる佐野委員 いまの資産価値のところで、運営は公益法人がやっていますので、こちらの方では、 経営効率の中身について、価値を高めるような手だてというのは、できないんじゃない ですか。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 委託先公益法人との関係ですけれども、いま行っている事業についての委託関係がご ざいます。さらにもう一歩進んで、事業価値を高める、あるいは資産価値を高めるとい うことを、委託先公益法人と相談しながらといいますか、協力を得てやっていくという ことも考え得るのではないかというふうに思っております。要するに、できるだけ資産 価値を高めて、事業体として引き継いで、できるだけ高い買受先を探して、事業体とし て引き渡すというのが望ましい方向だというふうに考えておりますので、その辺は、委 託先公益法人とも、今後、十分、協議をしながら検討していきたいというふうに思って おります。 それから4点目でございますけれども、公益法人の収支状況、あるいはバランスシー トについては、これまでも公益法人に対して、毎年度、求めておりますし、実際、毎年 度の状況は把握をしております。公益法人が委託をする場合であっても、同じように、 その収支状況あるいはバランスシートの数字については把握ができるというふうに考え ております。 それから第5点目ですけれども、「各施設の状況について把握するとともに」という ことで、まだ把握していないのかということですけれども、機構がまだ立ち上がってお りませんので、機構としては、まだ把握をしておりません。機構においては、自らそう いう事業内容、あるいは収支状況を把握する専門家に参画していただくとともに、ある いは詳細な調査については、業務委託、外部委託を行って、専門の企業あるいは団体 に、その詳細な分析などをお願いしたいというふうに思っております。 しろまる佐野委員 ありがとうごさいました。 しろまる光多委員 時間の関係もありますので、お答えは来週でも結構でございます。一応、論点を整理 するためにだけ、お話をしたいと思います。ひとつは、いま御議論がありましたが、こ の1ページの、現在の、公益法人に委託している、この経営状況についても、やはり評 価の対象とするんだろうなあというふうに思います。そこについては、ちょっとまた、 次週にでもお答えいただきたいと思います。これはきわめて重要な話で、これをきちん としないと、ちゃんとしたものが売れませんので、そこをどうするか。私はこれは評価 の対象にすべきものではないかと思います。 2番目に施設の売り方ですけれど、これは次回、業務方法書を御説明いただくので、 私はそこに大いに期待したいと思いますが、うまい組み合わせをいかにやるかというの が非常に大事だと思います。例えば、いくつかのものを組み合わせて、1個1個を売る よりは高く売れるとか、そういう形の組み合わせの方法というのが、この場合は非常に 重要なので、そういうところの考え方について、業務方法書のところでも、その辺はぜ ひ御検討いただきたい。その辺もまた、ひとつの評価の軸ではないかと思います。 それから先ほどの、雇用とか地方への配慮ということですが、どの程度配慮するの か、これはおそらくケースバイケースだと思うのですが、そこについては、例えば地方 自治体が買いたいと言っている、しかし、それよりも高く、例えば外資が買いたい、 と。そういうときに、じゃあ、どういう形でやるのか。単純に価格だけでやるのか、そ の辺についても、次回の業務方法書で、また説明していただきたいと思います。 それから一番大きいのは、やはり処分の仕方ですが、これはやはり一般競争入札とす ると、いろんな状況がありますが、全部並べて価格だけ出して、とにかく一番高いもの というのは、ちょっと、本当にそういう形でいいのかどうか。やはりそこにあるよう に、例えば、雇用についてはこれだけ配慮しました、と。例えば自治体の意向につい て、これだけ配慮しました、と。そういう部分をある程度配慮したところと、価格と を、いかに組み合わせるか。ただ、これは確かに会計法上難しいというのは重々存じて いますが、ひとつはこの入札の資格者をどうするかですね。入札の資格をどういう形で 規準設定するのか。それから、そのときに、そういう価格とその他のファクターを、ど ういう形で組み合わせるのか。おそらく会計法上、かなり制約があるとは思いますけれ ども、そこのところを、どういう形でやるのか。これも次回の業務方法書でまた御説明 いただきたいと思います。 それから、この情報提供のやり方ですが、具体的にどういう形でやるのか。これは三 百何施設かあるわけですよね、例えばその三百何施設について、個々の施設について、 全部、情報を出してしまう。言葉は悪いですが、夜店みたいに全部出してしまって、 「皆さん、買いたい人はこれから持っていってください」という形の情報提供をするの か、それとも、今年はこれを売りますよといって、その、売るものについて、順次、情 報公開していくのか。この情報公開の仕方というのは重要で、特にこれは外資が来たと きには、とにかく「おまえは懐に何を持っているんだ?全部出せ」という話になってし まうと思うんです。その情報の公開の仕方についても、次回にまた、お答えいただきた いと思います。 それから先ほどの、やはりこれも次回の議論だと思いますが、実際にこの評価委員会 で評価するわけですが、もし私が整理機構の職員とすれば、どういう形で評価するのか というのを事前に示していただきたいと、私だったら要求すると思います。いきなり1 年後に評価されても困る。やはりその評価の視点を出してくれ、と。それに応じて自分 たちも仕事をしていくということになると思うんです。 これは例えばですけれど、いくつかの評価の視点があると思うんです。処分につい て、実際にいくら売れたのか。それから、実際にどういう形で処分の工夫をしたのか。 どういう形で処分の方法を工夫したのか。それから例えば実際の処分のスピード。それ から、例えば社会的な状況への配慮とか、いろんなファクターがあると思うんです。そ れはおそらく、この評価委員会といいますか、こちらの方で、我々の方でこれは議論を して、こういう形でこれは評価しますよという形で、我々は提示しなくてはいけないと 思うんです。 おそらくそれも次回だと思うんですが、これは中期計画で、5年ですよね、これは1 年ごとに出るんでしょうか。例えば、この中期計画を見て、これで、例えばいま私が申 し上げたような切り口で評価をするとしても、ちょっと、しようがないわけです。です から1年で、例えば具体的な数値があって、そういう数値目標があって、それで具体的 に評価するという形でやるのかどうか。具体的にそういう形で行っても、やはり何らか の評価の視点が必要ではないか、と。ちょっと、すみません、意見と質問とを一緒に申 し上げました。 しろまる部会長 次回でもいいということでしたが、簡潔にお願いします。 しろまる政策評価官 最後の点だけ、きょう御説明させていただいたことの関係で申し上げたいと思いま す。中期計画そのものは、5年間のものを一番頭に立ててということでございますが、 いま、委員からお話がありましたように、毎年度、具体的には中期計画の中の、第2の 1の1の1のところ、先程来、議論にありますように、把握しながら年度ごとにやって いきましょうというところが、まだ把握ができておりませんので、立ち上げのときには 明確になっておりません。それは先ほど、冒頭に部会長の方からも、今後の話、厚生年 金病院の話などがありましたけれども、逐次動きがあればという御指摘もいただいてお りますので、そのあたりをやっていく中で、この中期計画の内容をより具体的にしてい くのかなあということで思っております。 ただ、評価そのものは事後評価という形で、毎年、毎年、締めて、この冒頭に申し上 げたように、この評価委員会として御評価をいただくということになっておりますの で、また、そこでの御注文もあろうかと思います。 また、評価をするにあたっては、レビューアーの思いをレビューイーに、きちっと伝 えるべきだという委員のお話につきましては、評価委員会、この部会の事務局として、 また部会長とも御相談しながら、今後の運営を考えていきたいというふうに思います。 しろまる部会長 ありがとうございました。その他に、どうしてもということがありましたら。 しろまる大野委員 簡単なことですけれど、まず第1点は、5年後に残ってしまった場合の、国に継承す るという点ですが、これは、残ってしまって国に継承された場合も、その後に、例えば 単純に不動産として売却するというような形で、その後に検討は続くというようなこと が、一応、前提としてあって、継承するというような形になっているのか。それとも、 もう、赤字たれ流しの状態で、事業はそのまま、国によって継承されるというような状 況を想定されているのか。これが1点です。 あとは、いろいろ計画を出していただいて、この評価委員会の中で、いろいろ議論を 出すといっても、議論は、何か、制約を課すというような拘束力というか効力という か、そういったものを持ち得るようなものになるのでしょうか。仮に特別なケースとし て、例えば地域に1つしかない施設を、廃止するのではなくて、特別なケースとして検 討するというようなことが出てくるかもしれないといったお話がありましたが、そうい ったものがいくつも出てきたときに、それをやはり、収益とかそういったものと照らし 合わせながら、やはり、こういった条件のもとでなければ存続はできないといったよう な制約を課すのか、もしくは、そういった注文をこの評価委員会の中で出した場合に、 それがどのぐらい拘束力を持ち得るものなのかどうか、そのあたりについてお話しいた だければと思います。 しろまる社会保険庁運営部施設整理推進室長 第1点目の、仮に残った場合、国に承継するということについてですけれども、私ど もとしては、そういうことはないというふうに考えておりますが、仮にそういう、売却 なり廃止ができなかったものが出てきた場合の対応というのは、その時点で考える必要 があるだろうと思います。基本的には、年金の保険料を使って、あるいは年金の福祉施 設事業、あるいは政府管掌健康事業の福祉施設事業が、こういう箱ものについては、い ま、国としては、やらないこととしておりますので、基本的には、承継したあとも不動 産として売却するということになろうかと思いますけれども、ただ、その時点で、どう しても特別な事情があって、事業として引き継がざるを得ないといったことが、現時点 では、あるともないとも言えないので、その時点で適切に判断されるのではないか、 と。ちょっと、現時点で責任を持った回答はできないのですけれども、そういう考え方 になろうかと思います。 しろまる政策評価官 2点目につきましては、評価一般に言えることでございますけれども、拘束力という よりも、こういうところで、しかるべき法律に基づいて御評価をいただくということ が、デファクトでものごとを決めていくんだろうというふうに、私としては思っていま す。それが法律的に云々ということではなく、こういうプロセスそのものが、国民の皆 様方に対して、この独立行政法人の活動、あるいはそれに委ねている厚生労働大臣の仕 事というものが評価をされ、次のアクションにつながっていくというふうに理解をして おります。 しろまる部会長 よろしいでしょうか。 しろまる大野委員 はい。 しろまる部会長 それでは、時間が既に過ぎております。一応、予備日が確保されておりますが、でき れば今回の審議は次回で終えたいと思っております。皆さん、御多忙な方ばかりなの で、そうしたいと思いますが、それでもし、次回までに事務局で用意してほしいような ことがありましたら、事務局の方に、後日、申し出ていただければというふうに思いま す。また、事務局には、きょうの各委員の意見を十分に反映させた説明を、次回、お願 いしたいと思います。以上で、予定されていた議事はすべて終了いたしました。事務局 から連絡事項等がありましたら、お願いします。 しろまる事務局 次回、第3回年金部会につきましては、9月16日、金曜日でございますが、経済産業 省別館にて、13時から15時という予定でございます。本日に引き続きまして、年金・健 康保険福祉施設整理機構の中期目標案、中期計画案、および業務方法書の案について御 審議いただく予定でございます。開催通知につきましては、あらためて送付させていた だきますので、よろしくお願いいたします。以上です。 しろまる部会長 長時間にわたり御審議いただきまして、ありがとうございました。 しろまる政策評価官 ありがとうございました。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 政策評価第二係 電話 :03-5253-1111(内線7780)

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