05/06/16 第1回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 第1回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 1 日時 平成17年6月16日(木)10:00〜11:35 2 場所 経済産業省別館第827号会議室 3 出席者 【委員】 公益委員 今野部会長、石岡委員、勝委員、武石委員 労働者側委員 加藤委員、須賀委員、??石委員、??橋委員 中野委員、横山委員 使用者側委員 池田委員、川本委員、杉山委員、竹口委員 原川委員 【事務局】厚生労働省 青木労働基準局長、松井審議官、尾澤総務課長、 前田賃金時間課長、名須川主任中央賃金指導官、 山口副主任中央賃金指導官、梶野課長補佐 4 議事次第 (1) 労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会運営規程(案)について (2) 検討の進め方について 5 議事内容 ○しろまる前田賃金時間課長 皆様お揃いですので、ただ今から第1回労働条件分科会最低賃金部会を開催いたしま す。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。私、賃金時間課 長を務めております前田と申します。部会の進行につきまして、部会長が選出されるま での間、議事進行を務めさせていただきます。まず、事務局を代表して労働基準局長の 青木よりご挨拶申し上げます。 ○しろまる青木労働基準局長 おはようございます。第1回の最低賃金部会ということでございます。皆様におかれ ましては、大変お忙しいところを、この最低賃金部会の委員にご就任いただきまして誠 にありがとうございました。また、今日はお忙しい中ご出席を賜りまして誠にありがと うございます。 この最低賃金制度につきましては、昭和34年に最低賃金法が制定されまして、昭和43 年に法改正がなされました。その後、目安制度の改善だとか、産業別最低賃金の再編な ど、運用面での改善が行われてまいりました。運用もかなり経験を積み重ねてきたと思 います。しかし、産業別最低賃金につきましては、従来から中央最低賃金審議会でも、 あるいは規制改革・民間開放推進会議からも見直しが求められております。 一方、昭和34年、昭和43年当時と比べまして、労働者あるいは働く場を取り巻く状況 というのはずいぶんと変わってまいりました。ご承知のように、サービス経済化などの 産業構造の変化もありましたし、パートタイム労働者が急激に増加をして、いまや労働 者の4分の1ということで、主たる働き方になってきていると言っても過言ではないと 思います。その他にも派遣労働、あるいは製造現場においても請負の形態での働き方が 増えてくるなど、就業形態が非常に多様化してまいりました。 そういった観点からすると、最低賃金制度というものが今後とも適切に機能していく ということをもう一度きちんと検証してみる必要があると思ったわけであります。そう いうことがあり、厚生労働省では学識経験者にお集まりいただきまして研究会を開催 し、最低賃金制度について研究をしていただき、今年の3月に報告書をまとめていただ きました。 こういった現況を踏まえまして、今年の4月には厚生労働大臣から労働政策審議会に 対し、最低賃金制度のあり方について検討を求める諮問がなされました。こうしたこと から、この最低賃金部会を設置し、皆様方にご審議をお願いしたいということでござい ます。本部会での議論が実り多きものとなりますように、ご協力をお願い申し上げま す。よろしくお願いします。 ○しろまる前田賃金時間課長 続きまして第1回目の会合でありますので、まず、委員及び臨時委員の方々をご紹介 いたします。資料1で名簿を配付しておりますので、本日出席の方をご紹介させていた だきます。 この最低賃金部会の委員は、労働政策審議会の委員又は臨時委員として任命された方 の中から、労働条件分科会長が指命された方であります。まず、公益代表委員ですが、 職業訓練法人日本技能協会開発センター理事長の石岡慎太郎委員、学習院大学経済学部 教授の今野浩一郎委員、明治大学政治経済学部教授の勝悦子委員、ニッセイ基礎研究所 上席主任研究員の武石恵美子委員です。続いて労働者代表委員ですが、電機連合賃金政 策部長の加藤昇委員、連合総合労働局長の須賀恭孝委員、UIゼンセン同盟副書記長の ??石修委員、情報労連中央執行委員の??橋洋子委員、金属労協事務局次長の中野治理委 員、日本サービス・流通労働組合連合中央執行委員の横山陽子委員です。続いて使用者 代表委員ですが、東運レジャー株式会社代表取締役社長の池田朝彦委員、日本経団連労 働政策本部本部長の川本裕康委員、三菱重工業株式会社特別顧問の杉山幸一委員、株式 会社総合印刷新報社取締役会長の竹口茂子委員、全国中小企業団体中央会調査部長の原 川耕治委員です。 なお、本日公益代表の田島優子委員及び中窪裕也委員、使用者側代表の前田薫委員は ご欠席です。今回、新しく労働政策審議会の臨時委員となられた方の辞令については、 本来ならば大臣からお渡しすべきところでありますが、席上に配付させていただいてお りますので、よろしくお願いいたします。 続いて事務局側ですが、先ほどご挨拶いたしました労働基準局長の青木、審議官の松 井、私、賃金時間課長の前田、主任賃金指導官の名須川、副主任賃金指導官の山口、課 長補佐の梶野です。 続いて部会長の選出に入ります。部会長については、労働政策審議会令第7条第6項 の規定により、公益を代表する労働政策審議会の委員のうちから選挙することとされて おります。労働政策審議会委員の名簿を参考1−1でお配りしておりますが、最低賃金 部会の委員の中で労働政策審議会の委員は今野委員のみでありますので、今野委員に部 会長にご就任いただくことになりますので、よろしくお願いいたします。今後の議事に ついては今野部会長にお願いします。 ○しろまる今野部会長 今野でございます。進行役を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたしま す。 それでは、早速議事に入ります。まず、会長代理ですが、労働政策審議会令第7条第 8項の規定により、部会に属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから、部会長 があらかじめ指名することになっております。私としては石岡委員にお願いをしたいと 考えておりますが、よろしいですか。 (異議なし) ○しろまる今野部会長 今日の第1番目の議題に入ります。労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会運営 規程(案)について事務局から説明をお願いいたします。 ○しろまる前田賃金時間課長 資料2、最低賃金部会の運営規程(案)ですが、まず次の参考2−1、労働政策審議 会の構成について示しております図をご覧ください。この最低賃金部会は、労働政策審 議会労働条件分科会の下に部会として設置されています。参考2−2は労働政策審議会 に関する法令の参照条文であり、労働政策審議会は厚生労働省設置法第6条の規定によ り設置されており、第9条にその所掌事務が定められております。審議会の組織、運営 については労働政策審議会令で定められており、それが2頁目以降であります。労働政 策審議会令第6条で労働条件分科会の設置が決まっており、第7条に部会を設置できる 旨の規定があります。この規定に基づいて最低賃金部会が設置されています。 参考2−3、参考2−4というのが労働政策審議会の運営規程及び労働条件分科会の 運営規程です。参考2−4の労働条件分科会の運営規程をご覧ください。第5条で、最 低賃金に関する専門の事項を審議させるため、最低賃金部会を設置するということが規 定されております。最低賃金部会の議事運営については、厚生労働省設置法、労働政策 審議会令及び労働政策審議会の運営規程、あるいは労働条件分科会の運営規程によって 部会の公労使各委員の定数や定足数、あるいは委員・臨時委員の数、それから部会の議 決をもって分科会の議決とすること、更に分科会の議決をもって労働政策審議会の議決 とすることが規定されています。それ以外の必要な事項について、部会長が部会に諮っ て定めるとなっております。 資料2がそれに関わる最低賃金部会の運営規程(案)です。第1条は当部会の議事運 営が先ほど申し上げた厚生労働省設置法あるいは労働政策審議会令、労働政策審議会運 営規程及び労働条件分科会運営規程に定めるもののほか、この規程の定めるところによ る、というように位置づけを示したものです。 第2条で委員等は代理者を出席させることができる。ただし、代理の者については、 定足数、議決の際には欠席したものとして取り扱うということです。第3条でこの部会 の運営規程の改廃について定めております。 運営規程の他に、この会議の公開についてもお諮りいただければと思います。最低賃 金部会の資料及び議事録については、労働政策審議会運営規程第6条第3項によって準 用する同条第2項の規定により、原則公開となっております。会議そのものについては 特に規定はないわけですが、原則公開とし、ただし、公開することによって個人情報保 護に支障を及ぼすおそれがある場合、個人、あるいは団体の権利利益が不当に侵害され るおそれがある場合、あるいは率直な意見の交換、意思決定の中立性が不当に損なわれ るおそれがある場合には、部会長は会議を非公開とすることができることとすることと し、。また、部会長は会議における秩序維持のため、傍聴人の退場を命ずるなど、必要 な措置をとることができる、ということにしたいと考えております。そういった取扱い も併せてご審議いただきたいと思います。以上です。 ○しろまる今野部会長 ただ今の運営規程、会議の公開についての説明にご意見、ご質問はありますか。よろ しいですか。 (異議なし) ○しろまる今野部会長 それでは、運営規程については提案どおりということにしたいと思います。また、会 議の公開についても原則公開にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 それでは、今日の第2番目の議題に入ります。今後の検討の進め方について事務局か ら説明をお願いいたします。 ○しろまる前田賃金時間課長 資料3「最低賃金部会の進め方(案)」という資料をお配りしています。その前に、 この最低賃金制度の概要及びこれまでの経過等をご説明します。 参考3−1に「最低賃金制度の概要」という資料があります。この資料は、最低賃金 制度の概要を簡単にまとめたものです。1頁は、制度の趣旨・目的です。最低賃金制度 は、国が法的な強制力をもって賃金の最低額を定めて、使用者はその金額以上の賃金を 支払わなければならないという制度であるということです。2は、最低賃金の決定方式 ですが、大きく分けて、最低賃金審議会という公労使の審議会の調査審議に基づいて最 低賃金を定める方式を最低賃金法第16条に基づく「審議会方式」といいます。もう1つ は、一定の地域内の同種の労働者を対象とする労働協約を拡張適用する決定方式で、最 低賃金法第11条で定められている「労働協約拡張方式」です。大きく分けて、その2つ の決定方式があります。 1つ目の最低賃金審議会の調査審議に基づく最低賃金ですが、その中で地域別最低賃 金と産業別最低賃金の2つがあります。地域別最低賃金は各都道府県ごとに決定されて いますので、全国で47件ありまして、原則としてその都道府県内のすべての労働者を対 象とするということで、適用労働者が約5,000万人で、現在加重平均額は1時間で665円 という水準です。 産業別最低賃金は、ほとんどが「○しろまる○しろまる県○しろまる○しろまる業最低賃金」として、都道府県内の特定 の産業について決定されているということで、それが249件です。1件だけ、「全国○しろまる ○しろまる業最低賃金」というものがあります。産業別最低賃金については、後ほど説明させて いただきますが、昭和56年及び昭和61年の答申によりまして、現在の「新産業別最低賃 金」ということで、関係労使が労働条件の向上又は事業の公正競争の確保の観点から、 地域別最低賃金より高い水準の最低賃金が必要と認めたものについて設定することとさ れ、それに基づいて設定されています。それが247件です。それ以前のものを「旧産業 別最低賃金」といって、それが現在3件残っています。 大きな2つ目の決定方式の「労働協約の拡張方式」に基づく最低賃金ですが、一定の 地域内の同種の労働者及び使用者の大部分ということで、現在3分の2程度と解されて いますが、そういったものに賃金の最低額に関する労働協約が適用される場合で、その 労働組合又は使用者の全部の合意による申請があったときに、最低賃金審議会の意見を 聴いて最低賃金として決定するものということです。現在、全国で2件あるだけで、適 用労働者数が約500人で、加重平均額が868円という水準です。 最低賃金の決定基準については、最低賃金法第3条で労働者の生計費、類似の労働者 の賃金、通常の事業の賃金支払能力の3つの要素を総合的に勘案して定めると規定され ています。 最低賃金額の改定については、地域別最低賃金については、昭和53年度から全国的な 整合性を図るということで、中央最低賃金審議会が毎年金額改定について引上げ額の目 安を示しまして、地方最低賃金審議会でその目安を参考にしながら各都道府県の実情に 応じて、地域別最低賃金の改正の審議を行っています。産業別最低賃金については、労 働者又は使用者の全部又は一部を代表するものの申出に基づいて、最低賃金審議会が必 要と認めた場合に、最低賃金審議会の調査審議を経て改正されるということです。 最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金ということで、ここに書 いてある6つが除外されます。臨時に支払われる賃金、賞与など1ヶ月を超える期間ご とに支払われる賃金、所定労働時間外の労働に対して支払われる賃金、所定労働日以外 の休日労働に対して支払われる賃金、深夜の割増賃金、さらに最低賃金において算入し ないことを定める賃金ということで、現在の最低賃金では精皆勤手当、通勤手当、家族 手当の3つは算入しない形になっています。 最低賃金の表示単位ですが、現在、地域別最低賃金及びほとんどの産業別最低賃金 は、時間額で表示されています。ただ法律上は、日額あるいは月額といったような決め 方も前提とされています。ただ、運用上、時間額への移行が進んでいるということで す。 最低賃金の適用対象となる労働者及び使用者は、原則として事業場の常用・臨時・パ ートタイムなどすべての労働者に適用され、労働者を1人でも雇っているすべての使用 者に適用されるということです。ただ、一般労働者と労働能力が異なるなどのために、 一律に適用することが適当でないような者については、都道府県労働局長の許可を条件 に個別に適用除外が認められていて、ここにある障害者や試用期間中の者、能開法に基 づく認定職業訓練を受ける者のうち一定の者、所定労働時間の特に短い者、軽易な業務 に従事する、断続的労働に従事する者について適用除外という制度があるということで す。 最低賃金の効力ですが、まず刑事的な効力として、使用者は最低賃金額以上の賃金を 支払わなければならず、それを支払わなかった場合には2万円以下の罰金に処せられる ということです。民事的効力は、最低賃金額に達しない賃金を定めた労働契約の規定は 無効とされまして、無効とされた部分は最低賃金と同様の定めをしたものとみなされま す。最低賃金の競合ということで、現在、地域別最低賃金と産業別最低賃金といったよ うな形で、ある労働者について2つ以上の最低賃金の適用を受けることがある場合に は、最低賃金額のうち高い方が適用されます。 5頁は、最低賃金の決定の手続です。地域別最低賃金は、都道府県労働局長が諮問を して、最低賃金審議会において調査審議を経た上で答申が出されまして、それを公示 し、異議申出の手続等が法律上規定されていますが、それを経て決定され、最低賃金の 公示がされて、それによって効力が生ずるということです。新産業別最低賃金は、まず 労使から決定の申出がありまして、それを受けて最低賃金審議会において必要性がある かどうかについて審議を行う。必要性がありとなった場合に、さらに金額についての諮 問をして調査審議を経た上で答申が出され、それが公示された上でさらに異議申出など を経て決定されるという手続です。「労働協約拡張方式」は決定申請がなされたあと、 異議申出の手続を経た上で最低賃金審議会に諮問して、審議を経て答申が出され、決定 されるという手続です。 6頁は一般的な流れですが、地域別最低賃金は毎年5月に中央最低賃金審議会に目安 の審議についての諮問がなされまして、6月から7月にかけて調査審議が行われ、大体 7月下旬に答申が出され、地方最低賃金審議会にその目安を伝達ます。地方最低賃金審 議会においては、4月から5月に諮問されて、6月から8月に調査審議がされ、目安も 参考にしながら各都道府県で審議会の審議を経て、地域別の最低賃金の効力が大体10月 ごろに発生します。産業別最低賃金は、そのあとに審議が行われて秋以降に答申がなさ れるのが一般的な流れです。 7頁は、現在ある最低賃金を種類別に分けたもので、8頁は現在の最低賃金につい て、適用労働者数等で整理したものです。 参考3−2は、最低賃金制度のこれまでの変遷です。最低賃金制度は、昭和22年に労 働基準法が制定されました。その中に最低賃金に関する規定が設けられていて、最低賃 金制度を定めることができることになっていましたが、戦後、インフレ等の混乱等もあ りまして、直ちに最低賃金についての具体的な措置は採られなかったということです。 ただ、その後、最低賃金制度について様々な議論がなされ、特に昭和30年前後にかなり 関心も高まってきました。一方、この最低賃金について当初は業者間協定ということ で、事業主の間の協定によって最低賃金を定める形のものが現れてきたことも受けて、 昭和32年に中央賃金審議会で「最低賃金制に関する答申」が出され、最低賃金法の法制 化をすべきということがそこで謳われています。その際には、最低賃金の決定について は、経済力や賃金に著しい格差があるという実情に即して、業種、職種、地域別にそれ ぞれの実態に応じて最低賃金制を実施して、それを漸次拡大していくべきというスタン スが取られています。 決定の方式として、1つ目は、当時あった業者間協定を最低賃金として決定する方 式。2つ目は、それをさらに一定の要件の下に拡張する方式。3つ目は、労働協約の最 低賃金に関する定めを拡張して決定する方式。4つ目は、それ以外の場合として最低賃 金審議会の調査によって国が最低賃金を決定する、という4つの方式で実施すべきとい う中身です。 その答申を受けて、最低賃金法が昭和34年に制定されたということです。その後、最 低賃金の普及を図っていきましたが、当初は先ほど申し上げた業者間協定というものを 中心に徐々に適用を拡大していったということで、昭和36年は250万人とするべく計画 が立てられています。昭和39年は、重点的な業種として88業種、510万人という形で計 画的な適用拡大を図っていったということです。 その後、昭和43年に最低賃金法の改正が行われますが、1つはILO第26号条約とい う最低賃金に関する条約があるわけですが、その条約の批准の問題がありまして、その 中で労使が最低賃金の決定について、平等に参加するといったような条約の規定になっ ている問題がありました。また、中小企業の実態や最低賃金の普及状況等を総合的に勘 案して、改正を行うべきということ。さらに、このころ労働側から全国全産業一律最低 賃金といったような主張もなされていた。こうした中で、昭和42年に中央最低賃金審議 会の答申が出されて、業者間協定に基づく最低賃金を廃止するということ。最低賃金審 議会の調査審議に基づく最低賃金は、従来はそれ以外の方法で決定することが困難ある いは不適当な場合に限り設定するということでしたが、そういった制限を除いて、必要 によって最低賃金審議会の審議に基づいて設定できる形に改めるということです。 2頁です。昭和43年に最低賃金法の一部を改正する法律が成立しまして、昭和42年の 答申を反映したということと、国会修正で審議会方式による最低賃金の新設又は改正・ 廃止の決定について、関係労使からもその申出ができるという最低賃金法第16条の4の 規定を追加したということです。その後、全国全産業一律最低賃金制度の問題等最低賃 金制度のあり方についてさらに議論がなされたということですが、昭和45年に中央最低 賃金審議会の答申が出されており、その中では最低賃金について全国全産業の労働者が あまねく適用を受ける状態が実現されるようにすべきということで、労働市場に応じて 産業別、職業別、地域別に最低賃金を設定することを基本とすべきということです。そ のために年次計画を推進して、積極的に適用拡大を図っていくこととされています。 ILO条約は、26号条約、及び131号条約という最低賃金に関する条約を昭和46年に 批准しています。昭和46年から、すべての労働者に最低賃金の適用を図ることを目標 に、さらに適用拡大を図っていったということです。その際には、1つは産業別で最低 賃金の適用を図るということ、もう1つは地域別最低賃金の設定を進めるという2つの 方法が主に採られています。その中で、地域別最低賃金の設定が進んでいった場合に、 当該地域の産業別最低賃金については、職種や年齢区分を設けるというような工夫を加 えて、基幹的労働者や一人前の労働者についてより実効性ある最低賃金が設定されるよ うに努めるということで、この頃から産業別最低賃金と地域別最低賃金との役割分担と いったような問題が提起されています。その後、地域別最低賃金の設定が進められまし て、昭和51年にすべての都道府県で地域別最低賃金が設定されたというところです。 一方、昭和50年前後に特に労働組合を中心に、全国一律最低賃金制度という動きが活 発になりまして、野党4党からの法案が提出されたという状況がありました。高度成長 から安定成長へ移行する中で、今後の最低賃金制度のあり方がどうあるべきかというよ うな議論がなされまして、昭和52年に中央最低賃金審議会の答申が出されています。全 国一律最低賃金の問題については、(1)にあるように地域間、産業間等の賃金格差が かなり大きく存在し、依然として地域特殊性を濃厚に持つ低賃金の改善に有効であると いうことで、現在の地域別あるいは産業別といったような、最低賃金の決定方式を続け ることを基本とするということです。ただ、全国的整合性の確保の見地から、(2) (3)の措置を講ずるということで、(2)は地域別最低賃金と産業別最低賃金の性格 あるいは機能分担を整理すべきということです。(3)は、最低賃金額の改定について できるだけ全国的整合性がある決定が行われるように、中央最低賃金審議会が目安を作 成してこれを提示するということで、その後毎年中央最低賃金審議会で目安を提示して きているということです。 この中で残された問題として、地域別最低賃金と産業別最低賃金の性格と機能分担に ついての整理というものがありましたが、産業別最低賃金制度の再編について、産業別 最低賃金が労働者構成や賃金実態の異なる様々な労働者、業種・業務を包含しているこ と、あるいは地域別最低賃金が本来対象とすべきようなものも包含して、ある労働者は 高すぎて、ある労働者は低すぎるといったような問題があったということで、産業別最 低賃金制度の再編についての議論がなされて、昭和56年に中央最低賃金審議会において 答申が出されました。 それまでの産業別最低賃金は産業分類でいくと大きなくくりで産業別に設定していま した。そういう「大くくり産業別最低賃金」は、「最低賃金の効率的適用拡大」を図る という意味では役割を果たしてきたわけですが、地域別最低賃金がすべての労働者に適 用される段階になって、そういう「経過措置的役割・機能」を見直す必要があり、今後 の産業別最低賃金については、最低賃金法第11条(労働協約の拡張適用によるもの)の 規定に基づくものの他は、関係労使が労働条件の向上又は事業の公正競争の確保の観点 から、地域別最低賃金より高い最低賃金を必要と認めるものに限定すべきである。これ が基本的な考え方です。 それに基づいて、産業別最低賃金の産業の「くくり方」は、大くくりから「小くくり 」に変え、対象は、「基幹的労働者」にすべきということです。設定の契機について、 従来は都道府県局長の諮問を契機に設定していたものが、「関係労使の申出」というも のを契機に設定するということです。設定産業は、関係労使が労働条件の向上又は事業 の公正競争の確保の観点から必要ということで、1つは労働協約ケースで、同種の基幹 的労働者の相当数に最低賃金協約が適用されているような産業を設定、もう1つは公正 競争ケースで、事業の公正競争の確保の観点から、同種の基幹的労働者に最低賃金を設 定する必要が認められる産業に設定するということで、この2つのケースを設定するこ とになりました。 従来の大くくりの産業別最低賃金は、業種・業務の適用除外や年齢の適用除外等を行 って改善して、昭和60年に廃止の時期と方法について決定するということとしました。 以上が昭和56年の答申です。 昭和57年に、さらに「新しい産業別最低賃金の運用指針」が定められていて、産業の くくりは日本標準産業分類の小分類あるいは必要に応じ細分類ということで、産業のく くりを小さくするということです。4頁は、基幹的労働者を対象として産業別最低賃金 を設定するということですが、その基幹的労働者とは当該産業に特有の又は主要な業務 に従事するものをいうということです。基幹的労働者の規定の方法は2つで、1つは基 幹的労働者に該当するような職種・業務を規定するポジティブリストの方式、もう1つ は、該当しないような職種・業務を規定するネガティブリスト方式の方法があるという 整理がされています。 申出の要件について、労働協約ケースは労使の基幹的労働者の概ね2分の1以上に協 約が適用されていて、労又は使の全部の合意による申出があるということであり、公正 競争ケースについては、公正競争確保を理由とする申出であって、その産業別最低賃金 が適用する労又は使の全部又は一部を代表する者の申出によるというような要件が整理 されました。それに基づいて、審議会において必要性の有無というものをまず審議し て、必要性がありという場合に金額をさらに審議するということです。 こういう形で、新産業別最低賃金の運用指針が定められましたが、その後、旧産業別 最低賃金の改善がなかなか進まず、この新しい産業別最低賃金の設定ができなかった状 況があります。一方で、旧産業別最低賃金の中でも、少し工夫をすれば新産業別最低賃 金として設定できるのではないかということ、あるいは、旧産業別最低賃金が実態とし ては、民間の賃金決定にある程度影響をしているということで、できるだけなだらかな 形で新しい産業別最低賃金が設定できるようなものは、そういう形で設定したらどうか ということで、昭和61年に「新産業別最低賃金への転換についての答申」が出されてい ます。 基本的には、昭和56年の答申を踏襲するということですが、(1)の(2)に賃金秩序 に対する急激な変化を回避し、業種によっては新産業別最低賃金への転換の準備期間を 考慮する。整理に当たっては、(2)の(1)で年齢・業務・業種の適用除外等を計画的 ・段階的に行う。5頁の(2)は、そういう中で転換ができるようなものは、転換に必要 な準備等を行っていくということで、旧産業別最低賃金から新産業別最低賃金への転換 を図っていくことが決められました。その転換については一定の経過措置を設けるとい うことで、(3)にあるように労働協約の適用率の要件を3分の1にするとか、労使い ずれか一方の3分の1以上の合意に基づく申出があった場合には、公正競争上必要性が ある場合に扱うというような形での経過措置等が設けられた。これによって旧産業別最 低賃金が、新産業別最低賃金に転換が進んだということです。 その後、この新産業別最低賃金の設定について、特に公正競争ケースについてその申 出要件や取扱いの議論がありまして、平成4年に中央最低賃金審議会「公正競争ケース 」検討小委員会の報告が出されています。この中で基本的な考え方として、昭和61年答 申を尊重するということと、(2)にあるように新産業別最低賃金は、1つは「労働協約 ケース」を中心に想定していたものと理解することが適当であり、「関係労使が労働条 件の向上又は事業の公正競争の確保の観点から地域別最低賃金より金額水準の高い最低 賃金を必要と認めるものに限定して設定すべき」とされているということです。 6頁は、「公正競争」の概念です。公正競争の確保については「労働条件の改善を図 る」という第一義的な目的とは異なって、最低賃金の設定により達成される副次的な目 的であるという整理がなされています。それから、公正競争の確保というのは地域別最 低賃金が既に全都道府県に設定されているということで、それによって一定の公正競争 が確保されており、「公正競争ケース」で申出される新産業別最低賃金というのは、" より高いレベルでの公正競争"の確保を主たる目的とするということです。 ただ、公正競争ケースの取扱いについて、申出要件について、例えば一定の定量的な 要件を一律に付すことは適当ではないということとされています。ただ、なお書きのと ころで、労働者又は使用者の概ね3分の1以上の合意による申出があった場合には受理 ・審議会への諮問を円滑に行うことが望ましいとされています。 賃金格差が存在するということが、この公正競争の必要な要件とされていますが、6 頁の(3)以下で賃金格差というのはどの産業でもあるということで、どの程度の賃金 格差があれば新たな産業別最低賃金の設定が必要であるかということについて、一定の 定量的な基準を定めることはなかなか適当ではないという整理がされています。 一方、昭和53年から目安制度ということで、中央最低賃金審議会は目安を提示してい ますが、その目安制度のあり方について平成7年に全員協議会において、報告が出され ています。ここでの問題として、パートタイム労働者が非常に増加してきたということ で、目安制度を出す際の一つの重要な参考資料である賃金改定状況調査(30人未満の非 常に小さな規模の企業の賃金の改定状況を毎年調査するもの)における賃金上昇率につ いて、「パートタイム労働者の賃金水準とそのウェイトの変化」が反映されるように、 一般労働者とパートタイム労働者双方の全労働者についての賃金上昇率を求め、「男女 構成の変化」は、その影響が反映された賃金上昇率にすることとされています。このこ ろ、労働時間短縮あるいは週休2日といったことの影響が、必ずしも最低賃金に反映さ れていないのではないかという議論もありまして、「就労日数の増減」が反映されるよ うに賃金上昇率を算出すべきということが言われています。 現在、目安については各都道府県をA、B、C、Dの4つのランクに分けて目安を提 示していますが、各都道府県のランクの振分けについて、経済状態に応じて見直しを行 うということです。 8頁です。最低賃金の表示単位については、この当時は日額・時間額の両方で表示さ れていたということですが、平成7年は当面現行どおり、日額・時間額併用方式を維持 すべきという形で整理がされています。 平成10年に、さらに産業別最低賃金制度について、その後も使用者側からの問題提起 もありまして、中央最低賃金審議会で産業別最低賃金のあり方についての検討がなされ て、全員協議会報告が出されています。ただ、この中では労使の意見がなかなか一致せ ず、基本的な考え方として産業別最低賃金のあり方について、今後時機をみてさらなる 議論を深めて審議していくことが適当ということとされ、運用面の一定の改善を図るこ とということで、審議参考資料を参考として十分に審議を行うとか、労働協約ケースに よる申出に向けての関係労使の努力を期待する。審議手続上の取扱いとして、中小企業 関係労使の意見が反映されるように配慮し、あるいは、賃金格差疎明資料の添付徹底を 行うとか、審議会の効率的運営を図るということで、運用面の一定の改善を図ることと しました。 平成12年は、目安制度のあり方についてその後さらに検討が行われたということで、 ランクは従前どおり4つとする。また、各都道府県のランクの振分けについて、経済情 勢に応じてランクの変更を行いました。目安の決定のあり方は、賃金改定状況調査を重 要な参考とする取扱いを基本とすべきということですが、公労使各委員の真摯な意見交 換を通じて、凍結事業所割合の状況を含む各種の経済社会情勢に係る指標について十分 に検討を加え、その時々の状況に応じた適切な目安を示しておくことが重要ということ が言われています。 さらに平成12年に、目安制度のあり方に関する全員協議会報告が出されています。そ の中では目安制度については基本的に維持していくということですが、表示単位につい て従来の日額・時間額併用から時間額単独方式へ一本化することが適当であるというこ とで、それに向けて検討すべきということ。参考資料については、参考資料の一層の整 備・充実を図るということです。 時間額一本化についてその後検討を進めまして、平成14年に時間額表示問題全員協議 会報告で、時間額単独方式への移行を行うということで、平成14年から地域別最低賃金 は、時間額へ一本化されたということです。 先ほど、平成10年の産業別最低賃金の検討の中で、時機をみてさらに検討とされた産 業別最低賃金のあり方について、平成14年にさらに全員協議会報告が出されています。 ただ、ここでも労使の意見の対立等がありまして、基本的な考え方としては関係労使の イニシアティブ発揮を中心とした改善のあり方について検討する。法改正を伴う事項を 含めた産業別最低賃金制度のあり方については、時機をみて新たな検討の場を設け、議 論を深めることが適当とされていて、関係労使のイニシアティブを発揮することで、運 用面の改善が行われたということです。 昨年12月に、目安制度のあり方についての全員協議会報告が出されていて、当面ラン ク制度を維持するということですが、(2)の賃金改定状況調査のあり方について、パ ートタイム労働者の構成比の年々の変化によって賃金上昇率が影響を受けることは望ま しくないということで、パートタイム労働者構成比の変化による影響を除去して、賃金 上昇率を計算する方法を採用するということが決められています。最低賃金制度の変遷 については、そういったものがこれまでの概括的なところです。 参考3−3は、現在の制度の現状です。簡単に説明します。1頁目は、地域別最低賃 金の引上げの推移で、時間額表示の地域別最低賃金のこれまでの経過です。2頁目は日 額ですが、先ほど申し上げたように平成14年からは時間額に一本化されたということ で、平成13年までの経過です。3頁目は、地域別最低賃金額改定について、中央最低賃 金審議会が毎年目安を出しているということで、平成13年までは日額によってA、B、 C、Dランク別に目安を出し、平成14年以降は、時間額によって目安を提示していると いうことです。4頁目は賃金改定状況調査で、先ほど申し上げた目安改定の際に参考と なる調査ですが、それの賃金上昇率のこれまでの推移です。5頁目は、現在の各都道府 県別の地域別最低賃金の一覧表です。 6頁以下、地域別最低賃金の水準についての問題です。1つは一般的な賃金水準との 比較ということで、「賃金構造基本統計調査」のパートタイム労働者以外、一般労働者 の賃金の時間額に対する地域別最低賃金の比率ですが、平成16年で36.6%で、従来から 大体36、37%あたりで推移しているところです。7頁は同じく賃金構造基本統計調査 で、パートタイム労働者の時間給に対して最低賃金額の割合を見たものですが、平成16 年で71.7%という比率で、70%前後で推移しています。8頁目は、都道府県別、地域別 の最低賃金の所定内給与に対する比率で、都道府県別に地域別最低賃金が決められてい ます。一般労働者の賃金水準と比べた場合の比率は、全国平均では先ほど見たように 36.6%という比率ですが、都道府県別に見ると地域によってかなりばらつきがあるとい うことで、左にある特に都市部では低くなって、右の方の地方が高くなっている状況で す。 9頁は、パートタイム労働者について見たもので、パートタイム労働者の場合は一般 労働者と比べると格差は縮まりますが、やはり地域によってばらつきがあるということ です。10頁は、同じく地域別最低賃金について、所定内給与に対する比率を昭和53年と 平成16年で比べています。地域によるばらつきというものが昔からありますが、より拡 大しているような状況もあります。11頁は、低賃金労働者の賃金との比較です。「最低 賃金に関する基礎調査」で、製造業ですと100人未満、その他の業種は30人未満という 小規模の企業の賃金を調べているものですが、それの第1・10分位、第1・20分位とい う非常に低い所と最低賃金との比率をみたものの地域別のばらつきです。 12頁は、高卒初任給に対して最低賃金の比率がどうなっているかということで、男子 は時間額でみた場合に大体7割前後で、13頁は、女子についてみたものです。14頁は、 地域別最低賃金の未満率と影響率です。未満率はこのイメージ図にあるように、最低賃 金の改定前に、その最低賃金を下回っている労働者の割合のことを言っています。未満 率を「賃金構造基本統計調査」によってみると、平成16年ですと1.1%ということで、 最低賃金額を下回っている労働者の割合がその程度です。影響率とは、最低賃金を改正 したあとに最低賃金を下回ることとなる労働者の割合ということで、平成16年は1.2% です。15頁は、その未満率、影響率について「最低賃金に関する基礎調査」によってみ たものです。これは規模が小さくなるということで、若干未満率と影響率が高くなると いうことです。16頁は、その未満率、影響率を都道府県別にみたものです。都道府県別 にみると、かなりばらつきがあります。17頁は、それを平成2年と平成16年で比較した ものです。18頁は、未満率について同じく平成2年と平成16年で比較したものです。 19頁以下が生活保護と最低賃金との関係です。生活保護は、市町村によって扶助基準 等が異なります。あるいは年齢によっても異なるところもあります。19頁は、最低賃金 について1日8時間で1ヶ月22日働いたときの各都道府県別の最低賃金がいちばん上に 出ています。それに対して、各都道府県の県庁所在地と、その県内で最も低い所の生活 扶助基準、1類費、2類費というものを加えたものを比較したものです。20頁は、さら にそれに住宅扶助を加えたもので、住宅扶助も特別基準額を加えると、最低賃金を上回 るようなところがかなり出てきます。 21頁は、現在の産業別最低賃金の産業別の決定件数等です。産業別最低賃金につい て、都道府県別に決定されているということで、電気機械器具製造業が46件で最も多 い。さらに、輸送用機械器具、各種商品小売業、鉄鋼業、自動車小売業などがかなり多 く決定されているということです。22頁は、産業別最低賃金の時間額について業種別に みた平均の額です。23頁は、産業別最低賃金と地域別最低賃金の水準を比べたもので す。平成16年は、産業別最低賃金の時間額の加重平均が758円、地域別最低賃金は665円 ということで、地域別最低賃金と比べると14%ぐらい高い。経年的にみても、平成4年 以降は大体13〜14%ぐらい上回っている状況です。 24頁は、それを産業別あるいは労働協約ケース、公正競争ケース別で分布をみたもの です。25頁は、産業別最低賃金について労働協約ケースへの移行が中央最低賃金審議会 の産業別全員協議会の報告などで謳われているわけですが、平成6年度に全部で250件 のうち、労働協約ケースが約5分の1であったものが、平成16年度末で247件のうち89 件(36%)ということで、徐々に労働協約ケースが増えてきている状況です。26頁以下 は、各都道府県で産業別最低賃金が現在設定されているものの一覧です。 30頁は、労働協約の拡張適用方式という最低賃金法第11条に基づくものですが、現在 全国で2件だけということで、いずれも塗料製造業で現在効力を有しています。31頁 は、最低賃金の適用除外の許可状況です。一番多いのが精神障害の方で、平成16年に許 可されているものが大体5,800件で、人数的には6,000人程度で、かなり限定的な許可に なっています。32頁は、最低賃金の履行についての監督指導結果です。32頁は平成16年 で、33頁はそれの経年的なものです。平成16年ですと約1万2,000事業場に監督を実施 しまして、最低賃金違反が約5.5%という状況でした。 参考3−4が、規制改革・民間開放推進3か年計画で閣議決定されたものです。地域 別最低賃金について、この時点では平成16年9月以降研究会で検討が行われていました が、引き続き意見集約に向けて検討を進めることとされています。研究会の報告が、参 考3−5以下です。 参考3−6に、研究会報告のポイントがありますのでご覧ください。まず、最低賃金 制度に求められる意義・役割が何かということで、左上に、最低賃金制度に求められる 第一義的な役割は、すべての労働者を不当に低い賃金が保護する安全網としての「一般 的最低賃金」の役割であるという整理がされています。公正な賃金決定の役割を担わせ るとしても、それはあくまで第二義的、副次的なものという整理です。 こういった意義・役割に照らして、現行の最低賃金制度の問題点は、産業別最低賃金 について、実態として、基幹的な業務に従事しているとはいえないような低賃金層の者 までをも対象とするとともに、その水準が地域別最低賃金を14%程度上回っているにと どまるということで、本来の機能を果たしておらず、役割が地域別最低賃金と重複して いると指摘されています。労働協約の拡張適用による最低賃金については、労働協約ケ ースと役割的に重複していること、我が国の労使関係の実情からみて実効が上がってい ないということが指摘されています。地域別最低賃金については、一般的な賃金水準と 比較した最低賃金の比率などが、各都道府県によって不均衡がみられ、一般的最低賃金 として適切に機能しているかどうかという観点から問題があるとされています。また、 最低賃金の水準が生活保護の水準より低い場合には、最低生計費の保障という観点から 問題があり、更に、就労に関するインセンティブ、モラルハザードといったような観点 からも問題があるとされています。 一方、一番右の「最低賃金制度を取り巻く環境変化に伴う問題点」として、産業別最 低賃金は小さなくくりの産業についてさらに地域別に設定することになっていますが、 産業のボーダレス化の進展の中で、公正競争の確保あるいは公正な賃金決定の面におい て存在意義が低下しているのではないかという問題が指摘されています。 就業構造の変化については、派遣・請負といったような就業形態が増加する中で、就 業形態が異なるということで最低賃金の適用が区々になるという事態が生じて、その従 事する職務に応じた公正な賃金決定が困難になっており、地域別でみた場合にも、派遣 先の事業上の地域の最低賃金が適用されないといったような問題があるということで、 最低賃金制度の見直しが必要であるとされています。 賃金格差について、時間当たり賃金ごとあるいは年収階級別の雇用者の分布を見る と、分散が拡大していて、低賃金労働者の安全網として最低賃金制度が真価を発揮すべ き時期にあるとされています。また、仕事給の導入や職務・職種など、仕事の内容や業 績成果に対応した賃金というものが拡大している中で、最低賃金の決定に際してそうい った要素をどう考慮し反映させるかということも課題であるとされています。労働組合 の組織率が低下している中で、賃金が団体交渉によって決定されないような労働者が増 加しているということで、最低賃金制度の安全網として果たすべき役割がますます重要 になってきているともされています。 以上のような指摘を踏まえて、「今後の最低賃金制度のあり方」の、一番左の「体系 のあり方」についてです。まず、最低賃金制度の第一義的役割が一般的最低賃金という ことで、地域別最低賃金については各地域ごとにすべての労働者に適用される最低賃金 を決定しなければならないということを法律上明確にすべきであるとされています。現 在の法律では、必要がある場合に設定できるというような規定になっている関係で、そ ういった指摘がされています。 産業別最低賃金については、廃止を含めて抜本的な見直しが必要とされています。1 つは、そもそも産業別最低賃金を廃止すべきという意見があったということです。もう 1つは、公正競争ケースを廃止して、労働協約ケースについてはより大きなくくりの産 業で設定するものに改めて、基幹的労働者についてもその産業を代表するような職務に 就く労働者に限定するようなものに改めるべきであるというような意見です。その場合 にも、国が罰則をもって産業別最低賃金の履行を担当する必要はないのではないかとい う意見もありました。 労働協約の拡張適用については、労働協約ケースと役割的に重複しているようなこと もあって、廃止しても差し支えないという整理がされています。 真ん中の「安全網としての最低賃金制度のあり方」ですが、1つは決定基準という最 低賃金法第3条で、類似の労働者の賃金、支払能力、生計費という3要素があるわけで す。「類似の労働者の賃金」について、低賃金労働者の賃金水準のみでなく一般労働者 の賃金水準も重視することが考えられるという意見がありました。「支払能力」につい ては、個々の企業の支払能力ではなくて、生産性の水準や雇用の確保といった趣旨が含 まれることを明確化することが必要であるというような意見がありました。 最低賃金の水準については、1つは、地域別最低賃金の水準と地域の一般的な賃金水 準等の関係が地域的に不均衡があるということで、それについて見直しが必要であると いうことです。生活保護との関係については、最低賃金の水準が直接生活保護の水準に リンクして決定することは必ずしも適当ではないわけです。しかしながら、生計費など の観点から、単身者について少なくとも実質的にみて生活保護の水準を下回らないよう にすることが必要であるとされています。最低賃金の減額措置ということで、諸外国に おいて一定の年齢区分の者等を対象に減額措置を採用している例もあるということで、 水準の見直しを行いつつ、一定の年齢区分の者等を対象に減額措置を採用することが考 えられるという意見が出ています。 履行確保の問題については、地域別最低賃金違反の罰則が2万円と非常に低いという ことで、罰則を引き上げるべきだということです。 一番右のその他の問題です。現在地域別最低賃金は各都道府県ごとに設定されている わけですが、その設定単位について、より労働市場の実情を反映した単位で設定する方 向で検討する必要があるという意見です。就業形態の多様化に対応した最低賃金という ことで、1つは派遣労働者に対する最低賃金の適用について、派遣先の地域別あるいは 産業別の最低賃金を適用すべきであるとされています。最低賃金の表示単位について は、現在運用上時間額表示が進んでいるわけですが、法律上も時間額に一本化すべきで あるということです。 研究会報告は、このような形でまとめられています。これまでの経過を踏まえて、参 考3−8にありますように、今年4月8日に厚生労働大臣から労働政策審議会あてに、 今後の最低賃金制度のあり方についての調査審議を求める諮問が行われているというこ とです。産業別最低賃金については、従来から中央最低賃金審議会でも制度のあり方を 含めた検討を行うべきとされています。それから、先ほどの規制改革・民間開放推進3 か年計画においても、制度の見直しについての指摘を受けています。一方、産業構造の 変化や就業形態の多様化の中で、最低賃金の水準の引上げにより最低賃金制度が安全網 として一層適切に機能すべきという意見があります。先ほど言いましたように、厚生労 働省において学識経験者による研究会で検討いただき、報告書が取りまとめられたとい うことです。こうした実情を踏まえて、産業別最低賃金の見直し及び地域別最低賃金の 水準等の見直しを含めて、労働政策審議会の調査審議を求めるという形で諮問が行われ たということです。これを受けて、最低賃金について、労働条件分科会で最低賃金部会 を設置して検討を進めるということが決められ、この最低賃金部会での検討を行ったと いうことです。 資料3、「今後の進め方」に戻っていただきます。このような形で労働政策審議会あ てに諮問がなされているということで、これに対してこの部会でご検討いただいて答申 をまとめていただきたいということです。 今後の進め方としては、第2回目を8月に予定しています。ここでは、現行の最低賃 金制度、産業別最低賃金、労働協約拡張方式の最低賃金、地域別最低賃金について、総 論的にどのような評価があるかということを労使の方を含めて、その意義・役割等、現 状の問題点があるかといったことについての評価をご議論いただければと思います。そ の後、9月から10月にかけてそういった現行の制度についての評価を踏まえて、今後の 最低賃金制度のあり方について論点ごとに月2回程度のペースでご検討いただいて、11 月以降議論の取りまとめに向けた検討をして、年内に今後の最低賃金制度のあり方につ いての答申を取りまとめていただければと思います。以上です。 ○しろまる今野部会長 ただ今、最低賃金制度のこれまでの変遷と現状について説明をいただき、それを踏ま えて最低賃金部会の今後の進め方についてご提案をいただきました。どちらでも結構で すので、ご意見、ご質問がありましたらお願いします。 ○しろまる武石委員 データの質問を2点させていただきます。参考3−3の8頁、一般労働者の賃金に対 する最低賃金の比率が出ています。先ほど資料の中で、最低賃金においては例えば精皆 勤手当や家族手当を算入しないという取扱いになっていると思うのですが、賃金構造基 本統計調査の一般労働者の所定内給与というのは、それが入っていたかなという気がし ます。その計算の仕方で、除外されているものとされてないものとがミックスして計算 されているのかどうかをお聞きしたいのが1点です。 もう1つは、20頁の生活保護との関連を見ているデータで、最低賃金のところが最低 賃金額掛ける176時間で1ヶ月の賃金を出しているのだと思います。これを12倍すると 2,100時間ぐらいになります。要は、この最低賃金の労働時間が多くカウントされてい るとすると、生活保護との関連でより最低賃金が過大評価されるのではないかという気 がします。例えば、年間2,000時間ぐらいを12で割るとか、そういうやり方があると思 うのですが、この176時間という時間の算出が妥当なのかどうか。多分、最低賃金のセ ーフティネットとしての役割が重要で、一般労働者あるいは生活保護との乖離というの は重要だと思います。そのデータがどのような形で出されているかを教えていただきた いと思います。 ○しろまる今野部会長 どうですか。 ○しろまる前田賃金時間課長 まず、8頁の賃金構造基本統計調査の所定内給与の問題ですが、ご指摘のようにいわ ゆる三手当について賃金構造基本統計調査の一般労働者の所定内給与の方にはそれは含 まれています。統計表として出ているものとしては除外できていないので、そこは含ま れているので、そちらの方が多くなっているということは確かにそういう問題はあると いうことです。 それから、20頁、1ヶ月で見た場合に何時間と見るのかどうかということも、確かに 難しい問題です。通常、週40時間を前提に考えるべきであろうと思います。その場合 に、月によって所定日数が違うことも出てくると思います。一方で、年間労働時間が 2,000時間という問題もあるわけですが、1つは年次有給休暇などについては労働時間 としてみるべきであろうということで、実労働時間とは少し違ってくるのではないか と。ただ、176時間が妥当かどうかというのは、問題としてあることは確かです。 ○しろまる今野部会長 はい。他にありますか。 ○しろまる加藤委員 最後にご提案のあった部会の進め方に関連しての意見です。私からは、最後に説明の あった研究会報告に関連して、今度の部会の論議に当たっては端的に申し上げますと、 研究会報告に縛られないというか、研究会報告を前提とした議論ではなくこれまでの中 央最低賃金審議会での論議の経過なども含めて、幅広く課題や問題点などを議論しなが ら検討を進めていただきたいという要望を申し上げたいと思います。 ○しろまる今野部会長 要望ということで、よろしいですか。 ○しろまる加藤委員 ちょっとお考えがあればお聞かせいただければと思います。 ○しろまる前田賃金時間課長 労働政策審議会の部会の審議ですので、当然研究会の報告に拘束されるというわけで はありません。研究会報告は、これまでの議論の経過や最低賃金制度の現状等につい て、一応問題点を分析して、部会での審議での参考になるような論点を整理したという ようなものであります。そのようなものも参考に、この部会においてもご検討していた だければと思います。 ○しろまる今野部会長 参考にはするということですね。他にありますか。特に、最低賃金制度の経過につい ては、詳しく長く時間を割いて説明をしていただきましたので、その点についても何か ありましたらどうぞ。 ○しろまる池田委員 もう一度お聞きしたいのですが、中央最低賃金審議会の目安と産業別最低賃金に対す る影響は、特に定めたものはないのでしょうか。地域は目安に基づいてそれぞれ検討な さるのでしょうが、産業別最低賃金が最近できたからということで、産業別最低賃金に 対する影響力を目安にするとか、今の説明の中で特別決められたことはないのですね。 一方的に向こうがこちらを単に目安としているのか、それとも一方的に向こうがもとも とできている格差を法律的に目安にしろというように定めたものはないのですね。 ○しろまる前田賃金時間課長 目安制度は、地域別最低賃金の改定についての目安ということで、制度的にそれが産 業別最低賃金制度についてそれに則てやるというルールにはなっていません。あくま で、産業別最低賃金についてどういった水準で設定するのが適当かということを、審議 会でご審議いただいて金額を決めていただくということです。 ○しろまる今野部会長 よろしいですか。要するに、法的には何も書いてないということです。 ○しろまる池田委員 全然縛られるものでも参考にするものでもないということですね。 ○しろまる今野部会長 法的な問題と実態の問題と両方あるということですから、ご質問の法的に何か書いて あるかということについては、ありませんということだと思います。 ○しろまる中野委員 2つ質問したいのですが、最低賃金法は船員法の関係で船員の最低賃金も決めている と思いますが、その資料が全く出ていません。それについては、ここでの議論としては 無視していいのかどうか。同様に、最低賃金制度といますと、家内労働で決められてい る最低工賃も最低賃金制度の中に入るのではないかと考えます。その点については、こ の審議の中に入るのかどうか、その2点についてお伺いしたいと思います。 ○しろまる前田賃金時間課長 まず船員の関係ですが、労働関係がかなり特殊だということで、最低賃金法の中で船 員についても当然適用されるということですが、1つは、最低賃金については船員労働 委員会で決めているということです。現時点において、具体的に制度について特に私ど もとして見直し等についてのご指摘を受けていないということで、これまで特に検討し ていません。もし何か問題点等があれば、ご提起いただければと思います。 家内労働の関係については、基本的には最低賃金法は雇用労働者に対して適用される というものですが、最低賃金法の制定当時、その中に最低工賃についての規定があった ということです。それについては、家内労働というものが委託者に従属した存在という ことで、雇用労働に類似であります。一方、最低賃金が決定された場合に、それとの均 衡で雇用労働者と同じような労働実態にある家内労働者を規制しないと、最低賃金の有 効な実施を図ることができなかったというような最低賃金法制定当時の状況があったと いうことです。その後、家内労働法が昭和45年に制定されたわけですが、その中で最低 工賃が家内労働法で規定されることになりました。従来最低工賃というのは最低賃金が 設定された場合に最低工賃を設定できるということで、最低賃金とリンクしていました が、家内労働法の中では最低工賃は最低賃金を前提とせずに工賃の低廉な家内労働者の 労働条件の改善を図るという目的で、独自に決定できるようになりました。その段階 で、最低賃金との関係はかなり薄くなってきているということがあるかと思います。 家内労働者が家内労働法制定当時180万人程度いたということですが、現時点で20数 万人ということで実態的にも減っています。現時点において雇用労働者の最低賃金との 関係で、最低工賃というものを検討するという意義は薄くなってきているということで はないかと思います。ただ、一方で情報通信の高度化等で家内労働法の対象にならない ような請負的な役務の提供というようなものが増えてきています。そういったものをい かに保護するかというような問題はあるかと思います。この点については、現在労働契 約法制のあり方についての議論も行われているところですが、そもそもこちらの方で対 象者の範囲をどうするかといったような議論の問題として検討されるべき問題ではない かと思います。 それから、家内労働についてはこの労働政策審議会の中で、家内労働部会というもの がありまして、形式的にそちらの所掌になっています。ですから、この最低賃金部会の 議論としては、最低工賃についての部分は入らないと考えています。 ○しろまる今野部会長 いろいろ説明がありましたが、考え方としては船員の最低賃金について必要があれば 提起します。家内労働については原則としてはここで議論することは予定していないと いうことだと思います。 ○しろまる中野委員 承知しました。ただ、研究会の報告の中で時間額一本化ということが書かれています が、現行の船員の最低賃金も月額で決まっています。そのようなことからいいますと、 最低賃金法で検討する場合には、船員の最低賃金についても所掌が違うということは承 知はしていますが、議論の中にはきちんと入れておかないと差し障りが出てくる場合が あるのではないかと思っています。 ○しろまる前田賃金時間課長 その件に関しては、特に船員の方は時間額ではないということですので、確かにその 部分については十分検討すべき問題であると思います。 ○しろまる須賀委員 その点に関して、先ほどの家内労働の関係でかなり雇用形態を含めて、これは労働者 性の問題も問われる労働もあります。そのような労働が結構増えているときに、おっし ゃるように部会が違いますから、私どもの最低賃金部会の中で検討の対象にしないとい う考え方はわからなくはありません。そのような大きな変化が出てきている中で、最低 賃金制度そのものをどうするかということを検討する場というように承知していますの で、できればそういう状況についても実態を少しお調べいただいて、この場で議論がで きるような素材を提供いただきたいと思います。取扱いをどうするかは議論の経過を見 ながら決めても構わないのではないかと考えていますので、そういうことも1つ検討の 対象に加えていただければと思います。 ○しろまる今野部会長 いかがですか。絶対議論しないということをいう理由もあまりないのではないかと思 います。今の問題提起はいろいろな幅があると思うのですが、1つの問題点として議論 してもいいのではないかというご提案だと思います。 ○しろまる青木労働基準局長 今の研究会報告でも、派遣について触れています。自ずとそれについて議論するとな れば、おっしゃったような新しい就業形態の話も当然必要により議論になると思いま す。それは決して排除するわけではないと思います。一方で、もう1つ労働契約法の議 論があります。お互いに議論の経過を交換し合っていけばいいのだろうと思っていま す。そういう意味では、部会長がおっしゃったように限定的に狭める必要はないと思い ます。 ○しろまる今野部会長 勉強になるかもしれませんが、内容のある議論になるかはわかりません。それはどう なるかわかりませんが、よろしいのではないですか。 ○しろまる勝委員 進め方についてですが、この予定表を見ますと年内に答申を取りまとめるということ でかなりタイトなスケジュールになっているとは思います。先ほどの説明を聞いていま すと、非常に難しい問題が多く含まれています。例えば、産業別最低賃金の見直しある いは廃止に関しては、合意形成はかなり難しいのではないか。議論する前にこんなこと を言っては何なのですが、という感想をもっています。このデットラインというのは、 取りまとめはどのような形にせよ12月に出す、ということは決まっていると理解してよ ろしいのでしょうか。 ○しろまる前田賃金時間課長 諮問が4月になされたということで、今後のあり方、特に制度のあり方について検討 いただくということです。制度のあり方ということで、当然法律事項等も含まれるとい うことを前提にしますと、年明けに法案要項等の諮問答申などを経て、3月ぐらいには 国会に提出すると。そのようなことを考えれば、年内に答申を取りまとめていただくの が1つのスケジュールの区切りということで、そこを目指して取りまとめていただけれ ばという趣旨です。 ○しろまる須賀委員 もしその段階で取りまとまらなかったら、どうなりますか。 ○しろまる今野部会長 それは、そのとき考えます。計画表ですから、事務局としてはこういう方向で努力し たいということだと思います。 ○しろまる須賀委員 もう1つ、要望があります。第2回が8月に予定されるという進め方の提案を受けた わけですが、事前に事務局の皆さんと議論をさせていただく中で第2回目を8月に設定 していただけないかというお願いをしてきた経過も、実は労働側としてはあります。そ れは1つの目的がありまして、ご案内のようにこれから中央最低賃金審議会の場で目安 の議論がされ、それに基づいて先ほど日程の説明もありましたが、地方において地方最 低賃金審議会の審議あるいはそれに続いて産業別最低賃金の審議が動いていきます。私 どもも労働者側の地方の委員に徹底はしているのですが、この部会の議論と目安に基づ く地方最低賃金審議会の審議あるいは産業別最低賃金の審議は別物だということを強調 してきています。そうはいっても、部会の審議状況は地方における審議にいろいろ影響 を与えることは非常に懸念をされますし、現時点でもそういうことを水面下で労使で話 し合っているときに、中には誤解をされている使用者側の委員の方も一部におられると いうことを現に指摘を受けています。つまり、この部会の議論があるから産業別最低賃 金の検討はしなくていいというようなことを堂々とおっしゃっている使用者側の委員の 方もおられると聞いています。これは、基本的にはあくまでも部会として最低賃金の制 度のあり方をどうするかということを検討する場ですので、それを目的にこれから議論 を重ねていくわけですから、地方における地方最低賃金審議会の審議あるいは産業別最 低賃金の審議には関わりがないということを是非指導徹底をいただいて、地方の審議に この部会の議論あるいは検討が影響を及ばさないようにご配慮をいただきたいと思いま す。 ○しろまる今野部会長 では、そのような要望があったということでよろしいですか。 ○しろまる前田賃金時間課長 これまでも含めまして、地方に徹底しているところで、また来週も全国会議を予定し ています。この部会あるいは審議会で出された意見も含めて、各労働局に指示をしてい ますので、今後もそのようなことを徹底していきたいと思っています。 ○しろまる今野部会長 今度の8月の日程はよろしいですか。私も含めて中央最低賃金審議会のメンバーが多 いので、これより前にやられるのはたまらない、時間が取れないというのもあると思い ます。 ○しろまる須賀委員 先ほどの12月との関係もありますが、双方ギリギリのところでしょうから、第2回は 8月でよろしいのではないかと思います。 ○しろまる今野部会長 他にありますか。よろしいですか。 ○しろまる池田委員 高校卒の比率の表があるのですが。 ○しろまる今野部会長 参考3−3の12頁ですか。 ○しろまる池田委員 はい。これは、60歳を過ぎた高年齢者の時間額に対する例もあるのですか。 ○しろまる前田賃金時間課長 例えば、60歳の方で定年でやめられた方ということですか。 ○しろまる池田委員 パートタイム労働やアルバイトをやっていらっしゃる方のですね。 ○しろまる前田賃金時間課長 ちょっとどういったデータが取れるかを、統計を見て工夫してみたいと思います。 ○しろまる今野部会長 他にありますか。よろしいですか。それでは、次回の会議について、事務局から連絡 をお願いします。 ○しろまる前田賃金時間課長 次回は、8月3日午後1時から開催を予定しています。また正式には追って通知させ ていただきますが、よろしくお願いします。 ○しろまる今野部会長 それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。議事録についてですが、労働 政策審議会運営規程第6条第3項、準用する同条第1項の規定により、部会長の私と、 私の指名する委員お2人の署名をいただくことになっています。署名は、労使代表1名 づつお願いしたいと考えています。本日の議事録の署名については、加藤委員と池田委 員にお願いしたいと思います。それでは終わります。ありがとうございました。 【本件お問い合わせ先】 厚生労働省労働基準局賃金時間課最低賃金係・法規係 電話:03−5253−1111 (内線 5532・5530)