02/07/26 第7回社会保障審議会議事録 第7回社会保障審議会 しろまる日時 平成14年7月26日(金)10:00〜11:55 しろまる場所 厚生労働省 省議室(9階) しろまる出席者 貝塚啓明 会長 〈委員:五十音順、敬称略〉 青木 久、浅野史郎、阿藤 誠、糸氏英吉、岩男壽美子、翁 百合、 鴨下重彦、京極高宣、清家 篤、??木 剛、高久史麿、永井多惠子、 中村博彦、西尾 勝、 長谷川眞理子、廣松 毅、星野進保、堀 勝洋、渡辺俊介 〈臨時委員:敬称略〉 ??梨昇三 〈事務局〉 石本宏昭政策統括官(社会保障担当)、河 幹夫参事官(社会保障担当)、 小林和弘老健局総務課長、石井信芳老健局計画課長、 外口崇老健局老人保険課長、仁木 壯障害保健福祉部企画課長、 石井博史年金局運用指導課長、 高原正之統計情報部企画課長、大谷泰夫医政局総務課長、 森山幹夫社会・援護局総務課長、渡辺芳樹保険局総務課長、 西村 淳政策企画官、中原正裕年金局年金課企画官 しろまる議事内容 1.開会 西村政策企画官 定刻になりましたので、ただいまから第7回社会保障審議会を開会させていただきま す。 議事に入ります前に、委員の交替がございましたので、事務局の方からご紹介させて いただきます。 高秀委員が退任され、本日付で新たに全国市長会会長の青木 久委員が就任されまし た。 本日は、稲上委員、岩田委員、奥田委員、小宮委員、樋口委員、宮島委員、山本委 員、若杉委員がご欠席でございます。 また、本日は臨時委員の??梨委員にもご出席をいただいております。 出席いただきました委員が3分の1を超えておりますので、会議は成立しております ことをご報告申し上げます。 それでは以後の進行は貝塚会長にお願いいたします。 貝塚会長 本日はお忙しいところ、非常に暑い日にもかかわらず、出席いただきありがとうござ います。 最初に、本日の議事についてお諮りしたいと思います。この審議会にはいく つかの分科会と部会がございまして、審議会自体の開催頻度としては回数は多くないの ですが、分科会、部会でいろいろご議論されたことがございますので、その報告と、各 分科会あるいは部会の最近の審議状況について報告を受けたいと思います。 それから後半の部分では、前回の審議会の最後に「次回以降の審議会の進め方」とし て、事務局から説明がございました「社会保障制度の制度横断的な議論に関しての検討 項目」について、順次審議したいと考えております。それでは早速議事に移りたいと思 います。 2.介護給付費分科会報告「介護報酬体系の見直しについて」 貝塚会長 議題1の介護給付費分科会報告「介護報酬体系の見直しについて」、事務局から資料 の説明をお願いいたします。 外口老人保健課長 老人保健課長の外口でございます。私からは介護給付費分科会の報告といたしまし て、次期介護報酬改定に向けた報酬体系の見直し等について、説明させていただきま す。 資料1−1、介護給付費分科会の審議スケジュールをご参照願います。介護給付費分 科会におきましては、平成13年10月から介護報酬に関しての審議を行っているところで あります。現在までの審議経過でございますが、13年10月から14年3月にかけての審議 は、訪問介護や通所介護等の各介護保険サービスについて、順次、報酬に関する論点を 中心に議論してまいりました。 4月には関連事業者団体からのヒアリングと、一般からの意見公募を行いました。14 年5月からは、さらに各介護保険サービスについての議論を進め、7月1日に開催され ました第13回の介護給付費分科会におきまして、資料1−3にありますように、介護報 酬体系の見直し案をもとに、電算システム用コード案の準備を始めることについて、分 科会として了承する旨の意見書をとりまとめていただきました。個別の介護保険サービ スについて、その単価を上げる必要性あるいは下げる必要性についての議論は、介護事 業経営実態調査の結果等がまとまる秋から年明けまでかけて行う予定であり、15年1月 に介護報酬新単価の諮問答申を行う予定であります。 次に、現在までに議論された介護報酬体系の見直しについての主な内容について報告 させていただきます。資料1−2、介護報酬体系の見直しについて(概要)をご参照願 います。 最初に(1)訪問介護、これはホームヘルプサービスとも言われるものでございます が、現行の体系では、身体介護型、家事援助型、その中間の複合型の3類型に分かれて おります。訪問介護についての介護現場からの意見としては、家事援助型の単価が低 い、あるいは家事援助型でもなんらかのかたちで日常動作の援助をすることが多いの で、複合型という体系が分かりにくいなどのご意見や、複合型を廃止して2類型にすべ きであるという報酬区分見直しのご提言等をいただいております。今回の改正案は、そ れらの意見を踏まえたものであり、また、従来の家事援助という名称は、生活支援に改 める予定でございます。 次に、3級訪問介護員に係る減算であります。現在は身体介護型や複合型のサービス を3級訪問介護員が行う際には、5%の減算となっておりますが、改正案でも3級訪問 介護員については、一定率の減算を行う予定であります。 次に(2)通所介護・通所リハビリテーションについてであります。改正案では、こ れらの通所サービスが現行では8時間までの設定であったのが、さらに2時間、これは 見守りサービス等が主体となると思いますが、延長サービスができるようにすることを 考えております。なお、この延長サービスについては、石川県等の先進的な自治体です でに独自の補助事業として行われているものであります。なお、通所リハビリテーショ ンでは、グループで行うリハビリテーションでも、個別に行うリハビリテーションで も、同じように包括された単位の中で評価されておりましたが、個別に行うリハビリ テーションの重要性から、改正案では別途加算として評価することとし、包括単位を見 直すこととしています。 次のページの(3)居宅療養管理指導でございますが、このサービスは医師や歯科医 師等が通院が困難な要介護者の自宅を訪問して、介護方法や介護サービスについての相 談や助言を行い、ケアマネージャー等にも必要な情報提供を行うものであります。改正 案では、算定回数を増やす方向で、報酬の単位を見直すものであります。 次に(4)居宅介護支援、いわゆるケアマネージャーの報酬体系でございますが、現 行の報酬体系では、要介護度の高い方が利用サービス種類数が多くなり、連絡調整の手 間がかかるだろうとの仮説のもとに、要介護度別に3類型の報酬を設定しております。 しかしながら実態調査をしてみますと、確かに要介護度が高いほど利用するサービス種 類が多いわけでありますが、ケアマネジメントの時間に影響する要因は複数あり、タイ ムスタディ調査ではバラツキもあります。また、公募意見の中でも、業務量は必ずしも 要介護度と比例しないので、一本化したほうがよいというご意見を多くいただいており ます。改正案では、これらの意見をもとに一本化する案を提示しております。なお、こ の一本化が質の向上を逆に阻害することにならないかという意見もいただいており、質 の向上については実務研修、情報開示、第三者評価、リーダーによる支援なども含め、 多角的な検討を進めていきたいと考えております。 次に(5)退院・退所時の支援についてでありますが、現行の報酬体系では、施設退 所時に施設が相談援助や療養上の指導を行うとともに、退所後、居宅介護支援事業所等 へ必要な情報提供を行った場合、施設へ報酬加算をすることとなっておりますが、改正 案では、この加算要件を分割し、さらに退所前からの施設と居宅介護支援事業所等が連 携することを評価しようとするものであります。 次に(6)痴呆対応型共同生活介護、いわゆるグループホームについてであります。 これは痴呆の要介護者で、比較的安定状態にある方が5人〜9人、小規模な施設や住宅 でいわば大家族のイメージで介護の世話を受けながら、今まで暮らしていたような家庭 生活を続けようとするものです。このグループホームは他の介護施設と違って、食事の 準備や掃除、洗濯物の整理等にも参加して共同生活を行うことに意味がありますし、そ ういった共同生活のできる方を想定しておりましたので、あまり重度の方が入ることは 考えておりませんでした。したがって夜間は宿直体制を基本に考えておりました。しか しながら痴呆の方の中には、夜もお世話の必要な時がありますし、高齢の方ですから、 次第に重度になってくる方もおられますので、夜間勤務の体制をとってお世話するとこ ろが、現在では約4割を数えています。そこで改正案では、夜勤体制をとる場合に報酬 加算をすることを提案しております。 次のページにまいりまして、(7)全室個室・ユニット型の特別養護老人ホーム、い わゆる新型特養についてであります。新型特養の場合は、居住環境が抜本的に改善さ れ、在宅に近いものになりますことから、その入居者からは在宅との負担の均衡という 観点から、従来の介護や食事にかかわる利用者負担に加えて、居住費に係わる利用者負 担をいただくことを考えております。ただし、利用者負担が増えることについては、所 得の低い方への配慮が必要になりますので、所得の低い方は程度に応じて1万円ないし 2万円を負担軽減される仕組みを考えております。またさらに社会福祉法人による負担 軽減制度も併用できるようにすることを提案しております。 次に(8)介護療養型医療施設の人員配置ですが、看護職員6:1、介護職員3:1 の配置については、介護保険制度を設けた時の経過措置が切れますので、15年度から は、看護職員6:1、介護職員4:1の評価として算定されることになります。介護給 付費分科会では、この人員配置の評価の在り方についても引き続き検討することとして おります。 同じく介護療養型医療施設についてですが、(9)重度の入院患者への対応として、 新たに重度療養管理という加算項目を創設する予定です。介護保険ができてから療養病 床は医療保険適用のものと、介護保険適用のものに分かれ、医療密度の高い患者は医療 保険、医学的管理下で介護の必要度の高い患者は介護保険へと機能分化が進んでおりま す。しかしながら患者は高齢者でありますから、医療も介護も長期に必要な患者では医 療密度や介護の必要度が変動いたします。そこで医療保険の介護保険の機能分化を厳密 に進めすぎますと、制度の狭間でボーダーラインにある患者の行き場がなくなって、現 場の対応に困る場合がでてくる可能性があります。それを防ぐためには、両方の制度が 工夫して制度間で相互乗り入れするような部分がある程度必要であると考え、この「重 度療養管理」の項目を提案いたしました。 対象となる患者は要介護度4以上で、頻回の喀痰吸引の必要な患者や、持続点滴の必 要な患者など、一定の医療処置を要する重度の管理が必要な患者を想定しております。 なお、この「重度療養管理」については、介護療養型医療施設の行う短期入所サービス においても算定できるようにしたいと考えております。 次のページにまいりまして、(10)介護タクシーについてであります。介護保険制度 ができた時には想定していなかったサービスでありますが、タクシーの運転手さんがヘ ルパーの資格もとって、医療機関への通院時にタクシーで移送の際のお世話をし、訪問 介護の身体介護型として介護報酬を請求するサービスを行う事業者が増えてまいりまし た。しかしながらこの請求を訪問介護の身体介護、30分未満では約2,100円となります が、これを請求し、タクシー料金を請求しない場合が約3割、減額する場合が約5割と いう調査結果もありますので、サービス内容と報酬のバランスがとれていないのではな いかと思われます。また、介護給付費分科会の議論では、介護タクシーを介護保険に入 れることについての異論もありましたが、訪問介護の特別な類型として、乗車・降車の 介助行為について、身体介護型と別に適切な単価を設定するというのが改正案でありま す。 以上が介護報酬体系の見直しの主な内容でございますが、在宅重視という基本コンセ プトに関連するものといたしましては、訪問介護で生活支援型を設け、3類型を2類型 とすること。通所サービスの時間延長、通所リハビリテーションにおける個別リハビリ テーションの評価、居宅療養管理指導の回数増、居宅介護支援の評価、退院・退所時の 居宅介護支援事業者との連携の評価、介護療養型医療施設の短期入所の重度療養管理な どが上げられると思います。 最後に、4ページの2の施設の入所・入院に関する運営基準に見直しでございます が、現行の制度では入所者については施設が判断することとなっておりますが、特別養 護老人ホームについては、申込順で入所させる場合が多いようであります。しかしなが ら、入所希望者が多いと、すぐ入る必要がなくても、とりあえず申し込んでおく場合、 あるいはとりあえず複数の施設に申し込んでおく場合等も増えております。そこで入所 希望者が多い場合には、申し込みの順番だけでなく、要介護度の重い場合や一人暮らし で介護者のいない場合など、入所の必要度が高い場合には優先入所できるように基準を 見直す予定であります。 資料1−3は、7月1日に介護給付費分科会で介護報酬体系の見直し案についての意 見を取りまとめたものであります。1−3の次の1ページから14ページに添付した見直 し案。その主な内容については、先ほど説明させていただきましたが、この見直し案を もとに電算システム用コード案の準備を始めることについては、了承することとすると しております。併せて3級訪問介護員の2級以上への移行について、居宅介護支援の報 酬体系について、人員配置の評価の在り方や重度療養管理についての意見、さらには制 度見直しの議論も進めるべきであるとの意見についてもまとめたものであります。 資料1−4は、先ほど概要を説明させていただきました施設の入所、入院に関する運 営基準の見直しについての諮問書、答申書であります。以上でございます。 貝塚会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、介護給付費分科会会長の西 尾委員から、何か補足されることはございますか。どうぞよろしくお願いいたします。 西尾会長代理 介護報酬体系の見直しについて分科会が行ってきた審議の結果につきましては、ただ いま老人保健課長がご説明したとおりでございまして、その点について付け加えること はございませんが、ただいま説明に使われました資料1−3をちょっと見ていただきた いと思います。「介護報酬体系の見直しについて」という表題がついておりますが、そ の1枚目の一番最後のところに4行ほど「なお」書きがついております。「なお、介護 と医療の役割分担、施設サービスと居宅サービスの体系の在り方、保険料等の在り方な ど制度面の検討の必要も生じてきており、介護報酬の見直しも制度の在り方と関連する 面もあることから、関係者を含めた制度見直しの議論を進めるべきである」と特に付記 しているわけであります。この点について、少しご説明を申し上げたいと思います。 ご承知のように介護報酬については、3年毎に見直すということになっておりますけ れども、介護保険制度の見直しは、施行後5年を経過したところで見直すというふう に、報酬の見直しの時期と制度の見直しの時期が当初から少しずれた設定になっている わけであります。そこでこの介護給付費分科会がスタートをいたしました時に、この介 護給付費分科会ではもっぱら介護報酬の見直ししか議論ができないのか、その前提とな る制度の見直しについて、この場で議論はできないのかといった質問がメンバーから 次々と出されまして、制度まで含めて議論をしなければ十分な審議ができないのではな いかというご意見がかなり多かったわけであります。 介護保険制度が施行されましてから、介護給付費分科会とか社会保障審議会がスター トするまでの間に、審議会制度について大きな政府の与党の政策変更がございまして、 審議会等の整理統合というようなことが行われてきたわけでございます。その過程で新 たに設けられました介護給付費分科会という分科会は、もっぱら介護報酬の見直しとし て限られた事項について、法令で定められている事項についてのみ審議する権限を持っ ておりまして、その他のことについてまで意見具申をする権限は与えられていないわけ であります。したがって介護給付費分科会の中で、制度問題について議論をし、なんら かの意見のまとまりが出たとしましても、この分科会から政府に対して意見具申をする という権限は与えられていないという構造になっております。 一方、この社会保障審議会の本体は、政府から諮問があったものについて審議すると いうことはもちろんでありますが、社会保障審議会として政府に意見を具申するという 権限が与えられているわけであります。しかしこの社会保障審議会で議論をするのだと すれば、どこかの部会で議論をしなければならないということになりますから、仮に介 護保険制度について議論をする場を設けようということになると、社会保障審議会の中 に介護保険制度の部会のようなものを設けて、そこでご議論がまとめられれば、社会保 障審議会の本体にそれが持ち出され、そこでご了承いただければ、政府に対して意見具 申するという道はあるのかと思われます。 そこでこういう問題をこれからどう処理していったらいいのかということは大変悩ま しいわけでありますが、私といたしましては、分科会でこういう見直しの意見書の最後 のところにこういうことも付記することになりましたので、秋口以降、冒頭で、介護報 酬に密接に係わる制度問題について、少し率直にご議論いただこうかと思っておりま す。しかし介護給付費分科会の任務そのものは、今度は介護報酬の単価を設定するとい う仕事が中心でございますので、制度問題にいつまでも時間をかけているわけにはまい りません。そこで冒頭何回か1〜2回、制度問題について議論した後は、また本来の任 務に戻らなければならないのではないかと思っておりますけれども、その時出てきた議 論によりましては、もしかしたら給付費分科会とは別個に介護保険制度についての部会 の設置を当審議会にお願いするようなことになるのかなということをちょっと予想して おります。その際は是非この審議会でご議論をいただきたいと思っているのですけれど も、これは明年ぐらいの冒頭からご議論いただくことになるかという気がしております ので、予め少し申し上げておきたいと思います。 貝塚会長 どうもありがとうございました。それでは報酬体系の見直しについてのご説明、ある いはそれと関連して、西尾会長代理から問題提起がございましたが、何かご意見等ござ いましたらどうぞご自由にお願いします。 浅野委員 要望も含め3点ですけれども、まず1点目は新型特養について。先ほどの資料1−2 の3ページですけれども、ユニットケアの特別養護老人ホームが大変人気を呼んでおり まして、例えば宮城県の場合は、これから新設するのはすべてユニットケアということ にしておりますというか、なっております。大変に入居者にも好評ですし、また働いて いる人にとっても好評であります。その費用ですけれども、改正案を見ますと、今年ユ ニット部分の建築費、光熱水費等、これを少し上げるということですね。いわゆるホテ ルコスト部分についてというか、ハード部分について通常の従来型特養よりも高めに設 定をするということですけれども、ヒューマンウエアの部分については配慮されていな いわけです。つまり従来型特養と同じということなのですが、実際はユニットケアにな りますと、当然ながらケアの密度が高くなります。これは実態でもそういうことになっ ているので、これはソフト部分でも報酬を引き上げる。一般の従来型特養よりも少し高 めに設定をする必要があるのではないか。 確かに問題は、そういうことをチェックできるかと。つまり実際、ハード的な部分だ けユニットまたは個室型にして、実際、人の配置は増やさないということの脱法という か、ソフトを伴わないユニットケアというのがあるのかどうか分かりませんけれども、 性悪説に立てばそういうことなのでしょうけれども、ここは是非実態に対応して、なん らかのかたちのチェックというか、それは必要になると思いますけれども、ユニットケ アのヒューマンウエアが濃いめになっているという部分に対応した報酬の設定というも のを考えるべきではないかと思います。8月3日にユニットケアのついての研修だった か研究会が千葉県で行われますが、ここに7県知事が結集します。これについて多分共 同で要望することになりますので、予めお願いをしておきます。 もう1点目は4ページの一番最後に2として、施設の入所(入院)に関する運営基準 の見直しというのがありました。それから資料1−4の諮問書にもそんなことがありま すけれども、優先的な入所に努めることとするとありますけれども、この「努めること とする」ということの主語が実ははっきりしませんが、多分「それぞれの施設は」とい うことなのでしょうけれども、「施設は優先的な入所に努めることとする」ということ で、こういうことが全うできるのかというのが非常に疑問であります。これは措置制度 でないということからくる当然の制度的な限界でもあると思うのですが、実態は大変問 題なっているわけです。ですから、これで努めることとするということと、これをどう いう具体的な方法で担保するのかということも、ちょっともしできればお示しをいただ きたいと思います。 最後はちょっと私の誤解かもしれませんし、あまりはっきりしないのですけれども、 グループホームですね。1−3の2ページにありますが、痴呆対応型共同生活介護グ ループホーム。改正案で夜勤体制をとる場合の報酬加算。ご説明では夜間になんらかの ケアを必要とする人もいるでしょうと。その人の対応のためにと言うのですが、グルー プホームですから複数入っています。そうすると全然ケアの必要でない人もそこに入っ ているわけですね。1人でも入っているとケアが必要になる。これは結局、報酬で一人 ひとりに分散された報酬というかツケになるのだと思うのですけれども、そうすると何 ともない人は損なのではないでしょうかという細かい話なのですけれども、このへんに ついてのご配慮はいかがですか。最後は私はよく分からない誤解かもしれません。 以上3点です。 貝塚会長 いまのご質問について事務局の方からよろしいですか。 外口老人保健課長 まず最初にグループホームの点数のことでございますけれども、夜勤加算がついた場 合には、やはり5〜9人の入所者の方で分散されることになりますので、確かに夜寝た ままで全然問題がない方については、少し高くなるわけでございますけれども、そう いったケアワーカーがいて、夜対応できる体制というものについての評価でもあります ので、そこのところはある程度割り切っていく考えも、仕方がないのではないかなと 思っております。その他の質問については、計画課長から説明させていただきます。 石井計画課長 施設の運営基準についてのお話がございました。介護給付費分科会の中でも、今回の ねらいどおりに、きちっと改正後の基準省令が施行されるようにすることが大切だとい うご意見がありました。また、透明性、公平性の確保が大事というご意見がありまし た。そこで、この1−4の3枚目、4枚目にありますように、審議会から私どもに答申 するにあたって付記しておられますご意見の中で、基準省令をどういう指標で、どうい う手続きで活かしていくのかということを明らかにする現場での指針を作成・公表すべ きであり、国はそのためのガイドラインのようなものを作るべきであるという宿題をい ただいております。いまその作成作業を進めておりまして、来月になってしまうと思い ますけれども、近く通知のかたちでお示しをし、都道府県にもご協力いただきながら、 きちんとしていきたいと考えております。 以上でございます。 浅野委員 いま内容についてお答えがなかったですね。ユニットケアはどうなのですか。それか ら優先入所の考え方はどうですか。 石井計画課長 優先入所の考え方は2枚目に載っておりますが、特養ホームの場合でいいますと、省 令上は、具体的な勘案事項として介護の必要の程度と家族等の状況をお示ししておりま す。先ほど申し上げましたガイドラインの中では、介護の必要の程度ということでいえ ば、やはり要介護度が指標として考えられるだろうということ、それから家族等の状況 ということで言いますと、先ほども老人保健課長から少し出ましたけれども、一人暮ら しかどうか、あるいは同居家族がおられても、いわゆる高齢者夫婦であるかどうかなど を勘案することが考えられること、といっちたある程度のイメージをお示ししていこう ということで考えております。 それからユニットケアの職員配置の方ですけれども、従来型特養でこれまで通常行わ れておりましたケアのやり方と、それから新しいタイプの特養で行われるユニットケア でのケアの提供の仕方は大きく変わると思います。その大きく変わることが職員配置に どういった影響を及ぼすかということですけれども、職員の方々にとって負担が増える という要素ばかりではないという実証研究があります。例えば従来型特養では1日3 度、施設の中に1か所しかない大きな食堂に入居者の方を車椅子なりで移動介助をして お連れをして食事をとっていただく。また食事が終われば、居室に戻っていただく。こ れに対して個室ユニットタイプであれば、お一人おひとりの居室のすぐ近くにリビン グ、食事をとっていただくスペースを設けるわけですので、こうした食事の度の移動介 助などは必要なくなる。これは1例に過ぎませんけれども、職員の方にとっての負担と いうのが、従来型と新型を比べた場合に、増える要素ばかりではなく、減る要素もある という研究レポートもございますので、新型であるから、直ちに職員配置を増やす必要 があるという考え方には立っておりません。 浅野委員 入所のあれはサンクションは何ですかと聞いたのですよ。つまり特養がガイドライン はありますと。それに沿わないで軽い人から入れたという時に、どういうサンクション があるのですかという担保の仕方についてはどうなっているかということがなければ、 ガイドラインは承りました。やりませんということになるでしょうということです。 もう1点目のユニットケアは、是非これは実態をもうちょっと研究して欲しいと我々 からも申し上げます。明らかに人の配置が多めになければ、ユニットケアというのは運 営できないのですね。ですからそういう実態に沿って、問題はそれをどうチェックする かということであって、今のように、「いや、従来型と比べて必ずしも多くなるわけで ない」というのは、ちょっと我々の現に把握している実態とだいぶ違いますので、引き 続きそれは申し上げますけれども、これは延長線です。 石井計画課長 サンクションのご質問がありましたが、今回、改正する省令は、施設に守っていただ くべきいわゆる運営基準省令と呼ばれているものです。したがいまして、それは当然施 設に守っていただく必要があるわけですから、各都道府県で施設の指導に入ったとき に、この新たなルールに則った入所の決定が行われていない場合には、施設に対して是 正を指導することで担保していきたいと考えております。 中村委員 今の個室ユニットケア型導入の件でございますけれども、これはまさに21世紀型だと 思います。しかしながら、このホテルコスト導入に伴う個室ユニットケア型づくりに は、当然資金調達能力も入所者獲得能力も必要になってまいります。いま浅野委員さん がおっしゃるとおり、必ずしも今の社会福祉法人では挑戦しえない部分が出てきていま す。7月23日に総合規制改革会議で企業参入が提示されていますが、企業参入を阻止す るためにも、早急に個室とユニットケア型特養が受け入れられる社会福祉法人に大改革 するか、新しく介護保険型法人を作るか、西尾委員がおっしゃったように制度改革の議 論をしていただかないといけないと思います。 ??木委員 2点、お願いというか、3点になるかもしれませんが、1つは介護報酬体系の見直し 全般について、この内容が全部細部まで確定したものではないという認識に立っていい ということで良いのですね。ということは、逆に9月以降も引き続き十分な議論を必要 に応じてやっていただけるという、そういう認識で受け取りたいと思うのですけれど も、それでいいのかどうかですね。 こそれから2点目は、いま浅野知事からもあり ましたが、施設介護への優先入所の問題、これは施設内に設けた合議機関でというよう なご議論のようですが、施設がまったく介在しないような判断はもちろんないのかもし れませんが、透明性なり優先入所の結果についての説明責任といいますか、そういう面 も含めまして、第三者の人たちがこの判断に当然関与すべきだという、その部分をかな り強めた運営でなければ、いろいろなもめ事が起こるのではないか。そういう意味では 第三者関与は是非きちんと担保して欲しいという意見でございます。 3つ目の最後に、西尾先生がおっしゃった部会などを設けて、制度論についても早急 に議論を進めるべきではないかというのは、まったく賛成でございますので、早くそう いう段取りに入って欲しいという、以上3点でございます。 貝塚会長 ただいまの話について、私も伺っておりまして、かなり相当制度的な問題がいろいろ なところにあって、会長代理が言われましたように、やはりどうしても今後ある段階 で、制度それ自身の補修の話だけでは済まないような気が個人的にはしています。 3.分科会および部会における審議の進捗状況の報告 貝塚会長 それでは、その他の分科会、部会の審議状況に移りたいと思います。事務局の方から 資料2について、ご説明をいただきたいと思います。 河参事官 社会保障参事官の河でございます。私の方から分科会及び部会におけますそれぞれの 審議状況について、ご報告させていただきます。先ほど会長代理の方からお話もござい ましたように、当審議会では分科会と部会がございますが、分科会は今の介護給付費分 科会で見るとおり、法律政令におきまして審議事項が定められておりまして、この審議 会の設置とともに設けられた分科会でございます。それについてのご報告を4つさせて いただきます。部会につきましては、この審議会が昨年1月に設置されて以来、この場 においてご議論をいただき設置されたものでございまして、それぞれの議論を発展させ るというかたちにされているところでございます。それでは、分科会そして部会につい ての現在の審議状況あるいは進捗状況について、資料の2に沿ってご報告申し上げま す。 限られた時間でございますので、資料をめくるかたちになることをお許しいただきた いと思います。 最初に医療分科会、鴨下分科会長でございますけれども、審議事項は書いてあるとお りでございますので、省略させていただきます。検討状況の中では、東京女子医科大学 病院の安全管理体制の確保状況について検討をされておられまして、参考資料1は今の 資料の後についてございますけれども、特定機能病院としての取り扱い等についてとい うことを、去る7月12日にとりまとめをされておられます。今後、所要の手続きをとれ まして厚生労働大臣からの諮問あるいは答申という手続きに入られるということになっ ております。 2番目の福祉文化分科会でございます。永井分科会長のところでございますけれど も、審議事項は省略させていただきますが、文化財の推薦というものをされておられま して、7月11日に児童福祉文化財の推薦を行っております。参考資料2に出版物あるい は映像メディア、演劇等の舞台芸術等のものがそれぞれ推薦を行われているというご報 告をいただいております。11月にもまた児童福祉文化財についての推薦が行われるとい うことでございます。 3つ目の介護給付費分科会につきましては、ただいまご報告等がございましたので、 省略させていただきます。 4つ目の年金資金運用分科会でございますけれども、積立金の運用状況あるいは業務 概況等のヒアリングというのをされておられるということでございまして、近く第8回 として、平成13年度の資金運用業務概況書の報告を受けられるということでございま す。 以上が分科会についての状況でございますが、以下、部会についていくつか設けられ ておりますけれども、4つの部会についての今の審議状況をご報告させていただきま す。 児童部会、岩男部会長のところでございますけれども、ここでの審議事項はここの社 会保障審議会の場でこういうことを審議していただこうということをお決めになられた ものでございます。検討状況は第5回までこのような議論が行われており、秋になりま してまた第6回の審議をされるということでございます。児童に関わる施策等について の基礎的で広範な検討が行われているということでございます。 障害者部会、京極部会長のところでございますが、審議事項というもので2つに審議 の項目を分けられまして、身体障害・知的障害分会、それから精神障害分会ということ です。身体障害・知的障害分会につきましては、平成15年度からの支援費についてのご 議論をされていらっしゃいます。それから精神障害分会につきましては、精神病患者全 般に対する保険・医療・福祉の充実強化ということで、いわゆる処遇問題等々のお話を されていらっしゃるということでございます。検討状況はそこに挙げられているとおり でございます。8ページに今後の予定として7月31日あるいは8月23日それぞれ分会の 議論をされる予定にされておられます。 9ページ、年金数理部会、堀部会長のところでございますけれども、審議事項はそこ に列挙されているとおりでございます。年金の数理について財政再計算等のことでござ いますけれども、ご検討されるということでございまして、検討状況はそこに掲げられ ているとおりでございますが、平成12年度の厚生年金、国民年金、あるいは国家公務員 共済等々のご議論を、決算状況について、財政状況についてご審議されているというこ とでございます。 10ページ、年金部会は部会の最後のご報告になりますけれども、宮島部会長のところ でございます。平成16年までに実施される次期財政再計算に向けた年金制度全般にわた る議論ということでございまして、検討状況としては今年1月に発足されて以来、6つ のそこに掲げられているような論点に沿いまして、開催状況に列挙されておりますけれ ども、公的年金制度の役割等々についてのご議論をされていらっしゃるということでご ざいます。前回、この社会保障審議会が開かれました5月17日の午前に、新人口推計に 基づく厚生年金、国民年金の財政影響のご議論をされたということが、ここに記載され ておられます。最後のページになりますが、今後の予定ということで、この年金部会は 10月を目途に、改革の骨格的事項について方向性と論点の整理を行われる予定であると いうことは記載されております。 以上、分科会および部会における審議の進捗状況について、私の方から全体のご報告 をさせていただきました。 貝塚会長 どうもありがとうございました。非常にいろいろな分科会あるいは部会がございます が、どうぞご質問がございましたら。それからもし関係されている部会で、特に付け加 えることがありましたら、どうぞご自由にご発言ください。浅野委員どうぞ。 浅野委員 障害者部会、京極部会長のところのいま審議事項をざっと拝見をいたしました。お願 いということになると思うのですけれども、支援費制度に移行いたします。これはやは り2つあって、支援費という措置から変わるということと、それから基本的に市町村が 実施主体になるということですけれども、原資が支援費となるわけですね。心配してい るのは、その原資というかお金の問題です。高齢者については介護保険が動いていま す。同じように介護というか、そういったものが必要になる障害者については、支援費 制度でいきます。この2本立てでずっと今後とも行くのかどうかということなのです ね。具体的には介護保険の中に障害者を取り組むということについて、もうすでにタイ ム・イズ・アップということではないでしょうかと。もう真剣に検討がされなければな らないのではないか。 その論点は、結局こういうかたちで支援費ということにし、実施は市町村ということ になると、相変わらず障害者についてはこういったサービスをしてもらうことは、まず は恩恵というまま続きます。それからそれぞれの市町村のサービスの内容というのは、 そこの財政状況なり、これに対する意欲の関数ということになります。それでいいのだ ろうか。まさにその反省の上に、反省というかそういう問題点の上に介護保険というの ができたわけですね。先行しました。それはやっぱり新しい歴史的な経過だと思いま す。それを踏まえて障害者の部分についてのサービスの費用の負担の体系をどうするの かということで、私は提言として是非介護保険について、5年後の見直しがもうすぐ来 るわけですけれども、その際にということは、今ですね。真剣にしかも早急に検討され なければならない。私はこれは当然含むと。介護保険に包摂をするという方向で考える べきではないか。最後の部分は意見ですけれども、いずれにしても、これはどこで検討 するのか。介護保険の方で検討するという部分もあるでしょうけれども、障害者部会の 方でも検討がなされるべきではないかなということで意見として申し上げます。 貝塚会長 ほかにご意見ございましたら、どうぞ??梨委員。 ??梨委員 意見になるのですが、ただいまご報告があったのは、すでに設置されている分科会、 部会についての審議の状況ということなのですが、健康保険改正法案が通るとすれば、 高齢者医療等についての基本方針を作るという、こういう問題が出てまいります。そう いう課題を議論する場というのが当然必要だと思います。また、総合規制改革会議でい ろいろ提案されているような問題について、議論をする場というものも必要だと思うも のですから、具体的に申し上げれば、3月まで医療保険部会、あるいは医療部会という のがございました。そういうものを近々やっぱり再開をしなければならない、そういう 情勢に来ているのではないかなと思いますので、意見として申し上げておきたいと思い ます。 4.制度横断的検討の論点について 貝塚会長 それでは次の議題に移らせていただきますが、第3の「制度横断的検討の論点につい て」ということになりますでしょうか。前回、いろいろ多少ご議論いただいた点で、私 自身の理解するところでは、かつて小渕内閣の時に社会保障全体の話をある程度横断的 にやりまして、そのある種の課題は、ある部分はすでに実行に移され、しかし、いまも うすでに次の段階に社会保障は移りつつあるので、その点についてやはり横断的な議論 をする必要があるのではないかということで、こういう話になったのではないかと思い ます。それでは最初に事務局からご説明をお願いしたいと思います。 河参事官 それでは多少のお時間をいただきまして、資料3−1、3−2を私の方から説明させ ていただき、併せて資料3−3を西村の方からご説明をさせていただきたいと思いま す。 資料の3−1でございますけれども、これは先ほどの年金部会の中でのご報告、ある いは介護給付費分科会の中でのご報告と多少重複いたしますけれども、右の3つという のはそれぞれのいわば制度、あるいは部会においていろいろ議論されてきた課題で大き な柱になろうかと思います。年金、医療、介護というものが大きな制度として、この審 議会の場でもいろいろ議論がされているところでございますが、それぞれについての概 ねのスケジュールというのが、どのように定められているか、また一方、それぞれにつ いてどのような議論を進めていこうと厚生労働省はしているのか、あるいは審議会の部 会等はお考えであるのかというのを、非常に大ざっぱにまとめさせていただいたもので ございます。 まず年金につきましては、先ほど、年金部会についてご報告もさせていただきました が、新人口推計に基づく年金の将来見通しの試算について、5月17日の年金部会でも議 論されたところでございます。これから秋口にかけて総論的な論点を議論されるという ふうに承知しております。先ほどの資料にもございましたが、改革の骨格的事項につい て方向性と論点の整理を10月頃に行い、さらに来年の4月、5月に向けてのいろいろな 議論がありまして、来年の9月頃を目途に、厚生労働省として案がまとめられないだろ うかということが議論されていると承知しております。前回の年金財政再計算からのス ケジュールによりまして、また、その一番下にカッコ書きで書いてございますけれど も、現在の年金改正法、平成12年の年金改正法の附則第2条に、「基礎年金について は、給付水準及び財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成16年までの間 に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の2分の1への引上げを図るものとする」 こういう規定、基礎年金国庫負担の問題も法律にこのように「図るものとする」という 規定が設けられていることもございまして、来年12月までに改革案をとりまとめていく 必要があるというふうに承知しております。 医療につきましては、先ほども少しお話がございましたけれども、医療保険制度の体 系の在り方についての基本方針を策定して、1〜3まで、あるいはその他の事項につい ても順次改革を推進という状況になっております。必要なものについては、できるだけ 速やかに所要の措置をとるということでございます。 介護につきましては、先ほどの説明と重複しますけれども、第2期事業計画期間が来 年から始まりまして、介護保険事業計画、あるいは先ほどご議論がありました介護報酬 の見直し等々が、いま作業が行われているということでございます。先ほど西尾分科会 長・会長代理がおっしゃったことでございますけれども、介護保険法の附則の第2条に 「法律の施行後5年を目途として、その全般に関して検討が加えられ、その結果に基づ き、必要な見直し等の措置が講ぜられるべきものとする」というスケジュールが定めら れております。 一番左の欄は、社会保障全体をトータルにご議論される場として、この社会保障審議 会でございますが、前回までもいろいろなご議論をいただき、特に前回5月の時には新 人口推計に基づく社会保障の将来の見通しの試算について事務局から提出させていただ き、社会保障に関する制度横断的なご議論というものを行っていただいたらどうだろう かということが、この一番左に書いてあるわけでございます。 全体的な流れにつきましては、来年の12月頃までにご議論いただいて、とりまとめて いただいたらどうだろうか、その間、いろいろな事項も出てくるのではないかと思いま すので、必要に応じ適宜中間的にとりまとめをしてはどうかというのが、この資料3− 1でございます。 資料3−2でございますが、この社会保障審議会において制度横断的なご議論をいた だこうとした場合に、どのような検討項目があるだろうかということで、これまで社会 保障論としての共通的なものとして議論されてきたもの、あるいは先ほど会長がおっ しゃいました有識者会議等で指摘されているもの、あるいは各界各会議等から指摘され ているような重要な課題とされているものを、多少アトランダムかもしれませんが並べ させていただきました。僣越ですけれども、社会保障制度の議論というのは基本的には 給付の議論があって、負担の議論がある。そのバランスをどうするのかという議論にな るかもしれませんが、給付の方の議論というのはそれぞれの部会等でもかなり精緻なご 議論が行われておられるようでございますので、共通性あるいは制度横断的という場合 になりますと、給付のご議論と負担の議論の在り方という時に、負担の問題がどうして も共通性というかたちで括られる場合が多いわけでありまして、多少、そういう意味で は傾きがあろうかと思いますけれども、アトランダムに列記させていただいたものがこ の資料3−2でございます。 細かな議論につきましては、皆様方のご議論をいただきながら私どもも考えていくべ きだと思いますけれども、一応資料に書かせていただいたことを、ポイントだけ申し上 げさせていただきます。「社会保障の給付と負担の在り方」はいま申し上げましたよう に、社会保障給付の議論があって、負担の議論があるということでありますけれども、 そこの例示で書いてあるものにつきましては、どちらかというと負担の問題という話に なっておりますが、家計や国民所得における負担の限界、あるいは公平、あるいは分野 間のバランスというような議論かと思います。 それから、これはここの多くの方が参画された有識者会議の時以来のご議論でありま すけれども、「社会保障の支え手」をどう増やしていくか、あるいは堅実にしていくか ということで、例えば次世代支援の在り方(少子化対策)、あるいは女性・高齢者・外 国人についてなどということかと思います。 それから、特に社会保障の負担の議論になりますと税制の議論と非常に密接につな がっておりまして、近年そういうような議論も多いわけでありますので、社会保障と関 連する税制の在り方、社会保障給付への課税あるいは社会保険制度における公費の役割 などということかと思います。基本的にはこれらいろいろなところでの議論というの は、この3つに尽きる部分があるわけであります。それ以外に例えば社会保障における 地域社会、あるいは地方公共団体という部分もあると思いますけれども、地域の役割、 それから社会保障全体についての情報提供の在り方、あるいは給付の重複の調整、雇用 と社会保障制度の在り方、特に年金等でもご議論がなされているところでもありますけ れども、パートタイム等への社会保険適用等とその他ということになろうかと思いま す。これまでのいろいろなご議論というものを事務局なりに簡潔に整理してみると、こ のような項目なのかなということで、一応書かせていただきましたけれども、これはあ くまでもいま申し上げましたように、世の中での議論等々を含めた事務局なりの整理で ございますので、まさに制度横断的な議論をこの場において行うとして、これが適切か どうかということも踏まえてご検討いだければありがたいと思います。 では続きまして資料の3−3につきまして、西村の方からさせていただきます。 西村政策企画官 資料の3−3は、いまの制度横断的検討項目のイメージを少しお分かりいただくため に、多少の資料を用意したものでございます。まず資料3−3の1ページは、社会保障 給付費の推移でございまして、社会保障給付費の現在国民所得比の20.3%になっている という数字でございますが、分野間のバランスということについて言いますと、一番右 側で見ますと、現在、社会保障給付費のうち53%が年金、32%が医療、福祉その他が 15%ということになっておりますけれども、このバランスをどういうふうにするかとい うことも、1つの論点になるのではなかろうかというふうに考えているところでござい ます。 2ページは国民負担率というかたちで表したものでございまして、諸外国との比較で ございます。 3ページは前回の審議会でもご提出させていただきました今後の社会保障の給付と負 担の見通しの数字でございます。 それからめくっていただきまして、6ページでございます。これは世代間の公平とい う項目に関するものでございまして、棒グラフの方は1世帯あたりの所得ということ で、高齢者の場合、一世帯あたりの平均所得というのは、現役世代に比べて低いわけで ございますが、1人あたりでは、この折れ線グラフの方を見ていただきますと50代は ちょっと高いわけでございますが、高齢者と現役世代ではさほど大きな違いはないとい うようなことがお分かりいただける数字でございます。 7ページは世帯主の年齢階層別試算ということでございまして、高齢者世帯は実物資 産を中心としまして、現役世代に比べてかなり資産の残高としては多い額を持っている というようなことで、この資産にどう注目していくかという議論が世の中にあるところ でございます。 それから8ページは世代内の公平ということでございまして、所得格差でございま す。ここにありますジニ係数というのは1に近いほど所得格差が大きい、不均等だとい うことでございますが、一番左側の当初所得を見ていただきますと、年を追って所得格 差が開いている。1に近くなっているということがお分かりいただけると思います。再 分配所得につきましては、税による再分配の改善度が下がっており、社会保障による改 善度が上がっているということがお分かりいただけるかと思います。 9ページはよく出てきます高齢化と少子化の状況でございますが、これもご説明させ ていただいたところでございます。特に前回の新しい人口推計では、真ん中にあります 現在の出生率1.36というものが、今後ほぼ横ばいで推移していくだろうという推計があ るわけでございまして、これを受けまして現在少子化社会を考える懇談会で少子化対策 についての検討が行われているところでございます。 10ページはそのうち社会保障についてのものでございますけれども、現在、社会保障 給費のうち、高齢者関係が67%を占め、一方、児童・家族関係は3%になっているとこ ろでございます。社会保障における次世代支援の在り方という場合に、現在、かなり高 齢者関係に比重が大きいこの社会保障給付費を児童関係にもう少し比重を高めるべきで はないかというような議論もあり、分野別の在り方の議論ということで、今後検討の課 題になろうかと思っているところでございます。 11ページは社会保障の支え手という関係で、女性及び高齢者の就業の状況でございま す。おそらく就業そのものは労働政策審議会の方のご議論になろうかと思いますが、社 会保障の支え手ということで考えますと、女性及び高齢者の就業ということで、上の方 はいわゆるM字カーブが今でもあるということで、ただ多少改善がされていると。下の 方を見ますと、高齢者の就業率がかなり高まっているということがお分かりいただける と思います。 12ページは外国人の在留状況でございまして、引き続き外国人の在留は増えていると いうことがお分かりいただけるかと思います。 13ページ、14ページは社会保障と税制との関係で、とりわけ社会保障とかかわりの深 い税制である扶養控除、配偶者控除、公的年金等控除などについての現状でございま す。 15ページは社会保障制度における公費負担の在り方という論点に係わるものでござい ますが、左側を見ていただきますと、現在、社会保障財源のうち、25%が公費いわば税 財源になっていまして、社会保障料と税財源の組み合わせになっているというようなこ とでございます。これを今後どう考えていくかという議論があろうかと思います。 16ページ、17ページは社会保障における地域の在り方ということで、16ページは保 健・医療・福祉の連携のあるべき姿、それから17ページは地方分権改革推進会議などで 議論されております国・都道府県・市町村の役割分担の問題で、厚生労働省としてはこ のような基本的な役割分担を今後徹底していくべきではなかろうかというようなことで 考えているペーパーでございます。 18ページ、19ページは雇用就業の変化と社会保険ということで、18ページは現在の厚 生年金ないし健康保険の適用区分でございますけれども、現在のようないわば自営業者 と被扶養者に分かれている保険制度が、就労形態の変化に伴っていろいろな難しい問題 を生じて来ているということで、そのうちの1つとして、パート労働者などの取り扱い の問題が議論されているところでございます。19ページは現在の体系図でございまし て、基本的に年金も医療も介護も、自営業者と被扶養者の保険は分立し、それに対して 財政調整等によって修正が行われているというような状況でございまして、今後の就 労、行動形態の変化に伴って、どういうふうにこれを考えていくかということも、1つ の論点であろうかということでございます。 参考資料については項目、タイトルだけご紹介させていただきます。 参考資料3は「社会保障負担等の在り方に関する研究会」の報告書ということで、国 立社会保障・人口問題研究所の研究ということで、昨日まとめられたものでございま す。これでは社会保障の制度横断的な論点、とりわけ負担という観点からの論点につい て整理が行われているところでございまして、今後の社会保障審議会での制度横断的検 討にも参考になるものではないかということで配らせていただきました。 参考資料4は、経済財政諮問会議の報告を受けまして今年6月に閣議決定をされた 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」の社会保障分野の抜粋でございます。 参考資料5は、地方分権改革推進会議の中間報告の社会保障関係の抜粋でございま す。 参考資料6は、総合規制改革会議の7月の中間とりまとめの関係分の抜粋でございま す。 これらの会議等で社会保障についての議論が並行的に行われているわけでございまし て、社会保障審議会におきましても、これらの議論を踏まえ、また参考にしながらご議 論をいただけるものであろうと考えているところでございます。資料の説明は以上でご ざいます。 貝塚会長 どうもありがとうございました。それでは、今後、社会保障に関する制度横断的な問 題を検討する必要があるということで、その際のいろいろな視点、基本的な柱、それに 関連する資料、あるいは今までの研究会その他のご議論を簡単にご紹介いただいたわけ ですが、資料3−2にございますが、社会保障に関する制度横断的な検討項目案を事務 局で一応こういうポイントが重要ではないかという、そういう項目が挙がっております が、これ以外にも重要なポイントがあるのではないか、あるいは考え方でもう少し積極 的に踏み込むべき点もあるのではないか、その他この社会保障に関する制度横断的な検 討項目について、皆さんの率直なご意見を聞かせていただければと思います。どなたか らでもご自由にご発言ください。清家委員お願いします。 清家委員 それではいくつかコメントさせていただきたいのですが、その前にちょっと先ほど私 はコメントしそびれてしまったのですが、浅野委員が言われた「介護保険について、障 害者に適用を拡大することを考えた方がいい」というコメントは、私もそのとおりだと 思います。特にどんな年齢層でも介護を要する人というのはいるので、高齢者は単にそ の比率が高いというふうに考えれば、これは連続的に制度を設計した方がいいという意 味で、浅野委員の意見に私も賛成でございます。 それからいまご説明になったところに少し入るのですけれども、特に社会保障の負担 と給付の関係について、すでに社人研の研究会の報告書等も提出されておりますけれど も、もう1つ多分大切な視点は、これは確か有識者会議の時に宮島委員がご提案になっ た純社会支出といいますか、つまり社会支出あるいは負担に考えてもいいのですが、こ れをネットで考えるべきだという視点で、特に例えば1つの例を言えば、スウェーデン なんかは年金の給付等も手厚いわけですが、一方で年金に対する課税等もかなりあるわ けですね。ですからそのネットの部分をどういうふうに考えるかということで、これは 3番目の社会保障と関連する税制の在り方とも関連するわけですが、その点についても きちっと押さえる必要があると思います。実はこれについても、阿藤委員のところの社 人研で今このネットの社会的支出についての国際比較の研究を精力的に進めているとい うことを知っておりますので、このへんも是非成果が出次第、参照されることがいいの ではないかと思います。 ここでまとめられたうち、8のその他もございますけれども、1から7までの項目は すべて横断的に考える場合に大切なポイントだと思います。特にご説明にありましたよ うに、1、2、3の点というのが基本的には横串に刺される大きな基本的視点だと思い ます。特に1については、私は先ほど申し上げた国際比較との関連で言えば、先進国と してふさわしい給付水準であるとか、あるいは制度ですね。特にミーンズテストなしで 老後の保障がきちっとなされるものを担保するためには、どの程度の負担が必要かとい うことを、これはきちっと詰めておく必要があると思います。もちろん誰でも負担は少 ない方がいいし、給付は多い方がいいわけですけれども、基本線はやはり先進国として ふさわしい水準と制度ですね。特に社会保険制度に基づいたミーンズテストなしの所得 保障というものがどれだけ担保されるか。そのためにどういう制度や負担の水準が必要 かということがポイントになると思います。 それから2番目の社会保障の支え手の問題は、これはいろいろな議論がありうるわけ ですが、最も大切なポイントの1つは、少なくとも女性や高齢者の就労を社会的な制 度、これは年金とか税制とかも含むわけですが、これが阻害しないような、つまり社会 的な制度がこの就労やあるいは雇用に対して、少なくとも中立的な線まで改善されると いうことが大切だろうと思います。そういう観点から言うと、年金制度で言えば、現在 の"在老"の問題等も検討する必要があるかと思っています。 3番目の社会保障と関連する税制の在り方については、もうここに具体的に書き込ん でございますので、一言だけコメントいたしますと、私はやはり年金について言えば、 給付の課税の適正化は避けられないと思います。つまり年金給付というのは、ある部 分、公的年金は賦課方式ではあるわけですけれども、賃金の後払い的な部分もあるわけ ですから、年金給付についても勤労所得と同じような課税にするというのが、適正化と いう観点から望ましい。一方で先ほどの純社会支出のところでもちょっと申しましたけ れども、年金給付についての課税と、年金財源の確保という点を関連付けて、少し考え ていく必要もあるのではないかと。基礎年金の公費負担については、消費税等が主とし て議論されているわけですが、こういう年金給付に対する課税等についても、そことリ ンクして議論する必要があるのではないかなと思います。 最後にこの7番目のところですが、これは2の社会保障の支え手との関連で、やはり 中立性、特に就労や雇用への中立性を担保するという観点からいっても、やはりできる だけこの社会保険の適用の範囲を拡大する。例外をできるだけ小さくしていくという視 点が必要だと思います。 なお、もう1つ少しこれは大きなテーマになってしまうかもしれませんが、現在の社 会保険制度というのは、基本的には産業社会の産物といいますか、製造業の生産労働者 の福利厚生というような観点から当初の設計がなされているわけで、そういう面からい うと、いま私はそちらの方で基本的にはいいと思いますけれども、考えられていること は従来の社会保険制度の中に新たな新しいタイプの労働者をできるだけ取り込んでいこ うという考え方でありますけれども、おそらくもう1つ考慮すべき考え方としては、 もっと抜本的に新しいタイプの労働者が増えてきたのであれば、やはり従来の産業社会 における従来型の工業社会といいますか、産業社会における労働者を前提とした社会保 険制度の制度自体の抜本的な制度改革といいますか見直しを図ることによって、皆保険 を維持していくというような視点も、これから必要になってくるのではないかというふ うに思っております。以上です。 貝塚会長 続きまして京極委員、その次に??梨委員の順番でどうぞ。 京極委員 この検討項目に関する1つひとつのコメントは避けまして、2つだけ申し上げたいと 思います。 1つは、旧労働省・旧厚生省は1つになりまして厚生労働省になったので すけれども、審議事項はかなり分かれておりまして、相当連携して議論しなければいけ ないことがあると思います。将来的に6とも関連がありますけれども、例えば旧労働省 は今もあるわけですけれども、例えば労災保険とかありますけれども、これも分解して みますと医療保険の中の労災による事故だということで、負担率等を変えれば医療保険 に吸収できる面だとか、あるいはその手当てについても別途考えられますので、給付そ のものの何か統合化みたいなことが将来的には考えられないかと。 それからもう1つは事務でございますけれども、社会保険事務所がございますけれど も、そういう事務的なものをなるべく縦割りではなくて、新しい省庁再編によるメリッ トを活かすというようなことの議論もどこかでできないかということでございます。 2点目は、子育て支援でいろいろ議論されておりまして、大変結構なことだと思うの ですけれども、社会保障として一体全体どう体系化するかということについてはパーツ になりまして、どうしても保育所だとか児童手当ということになりますけれども、もう 少し抜本的な何か社会保障の在り方は、私なんかは児童年金など考えているわけですけ れども、児童関係に関してはほとんど税金による体制でございますので、もう少し社会 保険というものを適用できないかというようなことの議論もどこかでできればと思って おります。以上です。 ??梨委員 日本経団連の奥田会長が都合が悪くて欠席をいたしておりますが、社会保障の制度横 断的な検討のあり方について、本日参考資料の後ろに意見書を出しておりますので、 私、臨時委員の??梨でございますが、読み上げさせていただきたいと思います。 第1に経済社会の活力の維持・向上を前提とした制度改革についてであります。社会 保障制度を維持可能なものとしていくための最も重要な前提条件は、経済社会の活力を 維持・向上させていくことである。しかしながら、その担い手である現役世代や企業の 社会保険料負担は、すでに相当に重く、制度に対する不安感が高まっている。現行制度 を前提に、安易に社会保険料を引き上げることなく、税負担を含めた国民負担率の上昇 を極力抑制しつつ、わが国の経済基調の変化、少子高齢化の急速な進行を直視した持続 可能な社会保障制度の構築に向けた抜本改革が急がれます。 第2に、社会保障制度の抜本改革の視点についてであります。社会保障制度の抜本改 革にあたっては、国民の信頼と共感が得られるよう、次のような視点について本審議会 での議論が必要であると考えております。すでに政府与党の関係機関において、各制度 毎の議論が開始されているため、本審議会の議論が現実の改革として結実するよう、早 急に結論を示すことが重要であります。 視点が4つございますが、まずその1つ目であります。トータルの負担に軸足を置い た横断的な検討の必要性であります。経済社会の活力を維持・向上させ、中長期的に持 続可能な制度を構築するためには、まず現行制度の給付と負担について、厳しい経済的 条件等の前提をおいてシミュレーションを行い、制度の持続可能性について厳格な検証 を行う必要があります。その上で、現役世代や企業の社会保障制度に係るトータルの負 担の限界について検討を行い、その結論の下で、個別制度の負担についての限界を定 め、個々の給付もその負担の範囲内としていく必要があります。このようなかたちで国 民に社会保障制度全体の保障の範囲を明確にすることが、国民の安心感につながるもの と考えます。 2つ目ですが、自助・共助の適切な組合せ。自立・自助の精神に立脚するわが国の経 済社会にあっては、社会保障制度だけで国民の生活の全てを保障することは適当でな く、基本的な保障を上回る部分は個々人の自助努力や共助に委ねるべきものである。こ のため、個々人の自助や共助を促すよう、税制上の支援などの政策的なインセンティブ を積極的に付与する必要があります。 3つ目ですが、世代間・世代内の公平の確立と財源のあり方の見直しであります。現 行の社会保障制度の中には、世代間、世代内の負担と給付の関係に不公平があり、その 是正が必要であります。特に、基礎年金や高齢者医療制度等においては、そもそも保険 原理だけでは対応できず、国民全体で公平・公正に支える必要があります。国民全体で 支える部分については、所得捕捉の問題が解決されていない現状を踏まえると、間接税 方式へ移行していくべきである。 4つ目でありますが、制度の効率性の確保であります。限られた資源を真に必要とす る人に効率的に配分し、制度への信頼を高めていくため、制度横断的な給付調整を行う 必要があります。また、徴収コストの削減、「小さな政府」を目指す観点から、労働保 険料を含めた社会保険料と租税の一体的徴収を早期に実現するべきであります。以上で あります。 貝塚会長 それでは他の委員の方でご意見ございますか。どうぞ青木委員。 青木委員 ただいまいろいろご説明なり、ご意見がございましたが、この際、全国市長会の会長 として、また介護保険及び国民健康保険の保険者として、以下の2点に絞って発言させ ていただきたいとこのように思います。 まず介護保険制度について、平成12年度の制度導入以来、各自治体では介護保険制度 の普及と円滑な運営を目指して、様々な工夫を行い、制度の定着に努めているところで あります。こうした中で現在平成15年4月からの保険料の改定に向けて、鋭意作業を進 めておりますけれども、高齢化の進行、基盤整備の充実、制度の普及などに伴い、サー ビスの提供量の上昇が予想され、市民が納める保険料の引き上げが必要となるととも に、各自治体の財政負担も多大なものになることが見込まれます。 一方、国におかれては、一定の条件の下に低所得者対策を講じておられますけれど も、現場を抱える立場からしますと、低所得者の定義を含め抜本的な検討を行い、国の 制度として財政措置を行いつつ、保険料及び利用者負担に関する総合的かつ統一的な低 所得者対策を確立することが必要であるとこのように考えます。厳しい財政状況ではあ りますが、介護保険制度を高齢社会を支える重要な制度として機能させていくために は、従来から当市長会が申し上げておりますように、調整交付金については、国負担の 25%の外枠とすることと、抜本的な低所得者対策を講じていただき、第2の国保となら ないよう制度の見直しについて議論賜りますよう、お願い申し上げたいと思います。 次に国民健康保険についてでございますが、我が国の医療保険制度は国民皆保険制度 を採用して、世界的にも優れた制度として評価されております。このうち国民健康保険 に概ね全人口の3分の1が加入しておりますが、その財政運営は危機的な状態となって おります。具体的に申しますと、平成12年度の市町村国保財政は法定分の一般会計繰入 金として約4,000億円の他に、法定外負担として約3,200億円が投入されているにもかか わらず、1,000億円を超える赤字となり、3,300の保険者の6割余りが赤字運営を強いら れております。加えて今日の厳しい経済情勢や介護保険の導入に伴い、国保加入者に とって負担感が増大し、国保保険料の収納率の低下が見られ、制度を維持するために一 般会計からの赤字補填は拡大の一途にあります。国保加入者の平均年齢は他の保険制度 よりも高く高齢化が進んでおり、一世帯あたりの年間所得はもっとも低い状況にありま すが、一方で、一世帯あたりの保険料は3つの保険ともほぼ同じ水準にあります。ま た、各医療保険制度の法定給付率は政府管掌保険と組合健保では、本人と家族の入院が 8割となっているのに対して、国保はすべて7割となっており、国民健康保険制度は脆 弱な財政基盤と様々な制度矛盾を抱えております。私ども全国市長会をはじめ、国保関 係者はこうした構造的問題を解決するため、従来から医療保険制度の一本化、当面は保 険財政の一元化を主張しているところでありますが、昨年末の政府与党の医療制度改革 大綱では我々の主張も踏まえ、医療保険制度の一元化を将来の方向にする旨の考え方が 示されまして、具体的に検討し、一定の期間内に結論を得るとされたところでございま す。今回の健康保険法改正案では、政府は14年度中に医療保険制度の体系の在り方につ いて、基本方針を策定することとされております。策定の際には一元化の実現に取り組 まれることを強く要望するものであり、併せて国民健康保険が一般会計から多額の繰入 を余儀なくされている運営の実態に鑑み、国保財政の基盤の強化にもさらに一層のご尽 力を賜りますよう、お願い申し上げたい。このように思っております。よろしくお願い いたします。 貝塚会長 それでは渡辺委員どうぞ。 渡辺委員 6番目の社会保障の給付の重複の調整という問題は、私は大変重要なテーマだと思い ます。現在も確かにすでに介護保険料、特に被保険者の場合には、年金からの徴収、あ るいは先ほど来、話題になっておりますユニット化、ユニットケアのホテルコストの問 題も一部これは重複調整の動きかと思います。ただもうちょっとこの重複調整を進める 必要がありますが、私はこれで1つ要望したいのは、例えば資料の要求として、デン マークの国ではご承知と思いますけれども、例えば日本でいう社会的入院があった場合 には、それが福祉の分野で受け入れない場合には、県が市町村に対してホテルコストを 要求すると。つまり医療で受けている間は市町村に対してそういった行政間の重複調整 があります。あるいはフィンランドでは、現実に日本でいう特別養護老人ホームに入れ ば、年金の一定割合をこれは個人から、言葉は悪いのですが没収といいましょうか、強 制的に取り上げて、それを介護費用に充てるといった重複の仕方をしています。もちろ んデンマークでは、特に医療・福祉の場合は税制を中心にやっていますから、日本のよ うな社会保険料中心では一概に論じられないかもしれませんが、それはちょっとここも 今も資料がございませんが、そういった重複調整の具体的な、特に諸外国の例等のデー タがあればと思います。 最後の1点は、例えば私自身これは重複調整になるかどうか別として、社会保障の横 断的な話としましては、例えば日本の場合の老人保健拠出金の計算の在り方というの は、もうご承知と思いますが、被扶養者分の老人60歳以上加入者の割合でありますが、 こうしますと、例えばどこの健保組合でも、どこの共済組合も、どこの保険者でもいい のですが、子供が生まれれば生まれるほど老健拠出金の金額が増えるという仕組みに なっていますね。そうしますと、どこの会社でもいいのですが、そこの従業員がうんと 子供を作ると、老健拠出金がどんどん増えていくと。これを少子化に対する阻害とまで は言いませんけれども、同じ社会保障としてちょっとおかしいのではないかと。つまり 少子化を何とか改善していこう、子供を生み育てやすい環境を作ろうとしている時に、 いわば一方の老人保険制度の中では、子供を生めば生むほど変な言い方ですが損する。 現実には健保組合では相当、拠出金の問題が深刻な問題になっていますから、こういっ た点も含めて、社会保障全体の在り方というものを考えていただきたい。以上でありま す。 貝塚会長 他に、堀委員どうぞ。 堀委員 1点だけ申し上げたいと思います。社会保障制度は、それぞれ時代の要請に応じて作 られてきたので、極めてバラバラであるわけですね。国民にとっても非常に分かりにく い。各分野毎に国民に情報提供がなされたり手続きもバラバラで、今おっしゃられまし たが給付の調整も必ずしも行われていない。そういうことで、総合化のための何か手段 を考える必要があるのではないか。諸外国を見てみると、わりと法典化ということがや られていますね。例えばアメリカでは社会保障法といってこれは第20編まであって、メ ディケア、メディケイド、OASDIなどすべて統一的な法典に盛り込まれている。イ ギリスは国民保険法という法で、社会保険でやっているものは全部1つにまとめている わけですね。ドイツも法典化を進めていて、今は介護保険で11編になっているのです かね。その他に総則ができている。これは民法でいう、総則、物権、債権、親族、相続 とありますが、そういう法典の総則に当たるわけですが、そういうところでいろいろな 手続きだとか給付の調整だとか、あるいは第10編だったですかね、情報の提供につい て、まとめている。だから国民に分かりやすい情報提供という、ここに出ている5番目 ですか、それから給付の調整という6番目、それを具体的に国民に分かりやすいかたち にするには、そういう法典化も1つの方法ではないかと思います。そういった点につい ても諸外国の状況を調べて、議論することもいいことではないかなというふうに思いま す。 糸氏委員 ちょっと気がついた点を二、三、発言させていただきます。この社会保障審議会の議 論を今まで見ておりますと、やはり非常にたくさんの分科会があるわけですね。それぞ れに非常に実りある議論をなさっておられると。やはり私はこの全体会議というのは、 まさに今日出されましたように、やはり制度横断的な議論というものをする場所が必要 である。その時間というのは、むしろ分科会の報告でかなりの時間が取られているとい うことで、非常に時間のロスが大きいのではないかと思います。これだけの方々が集 まっておられるのですから、分科会から上がってきたいろいろな報告についても、さら に追加的な意見もあるでしょうし、もっと大事なことはすべての制度横断的な議論とい うのは、もっともっと十分な時間でやられるべきだと。そういう意味で事務局にお願い したいのは、分科会のいろいろな結論が出たら、可及的速やかに個々の各委員に郵送し て読んでおいていただきたい。我々もそれを十分読んでおけば、次の時に追加的な議論 もできるのではないかと。そういう意味で時間の節約というか有効利用ということを、 是非事務局にもお願いして、ここでの議論は事務局の報告を聞くのではなしに、即議論 ができるという体制に是非持っていっていただきたいということが第1点でございま す。 それと私はこの審議会の議論を見ていますと、ちょうどいま医療の問題で我々が医療 といいますか医学といいますか、こういう問題で抱えている問題とよく似ておりまし て、現代の医療というのは非常に臓器別で、肝臓なら肝臓とか、脳なら脳とかいった、 まさにこれは審議会の分科会・部会に相当するのではないですか。人として見ないとい う問題がありますね。これがやはりこの審議会でも同じような反省が必要ではないか。 そういった意味で横断的議論というのが今日出されましたけれども、まさに国の政策と してすべてがかかわっているわけですから、トータルの議論というものが是非必要であ ろう。そういう意味で今日たまたま出されました例えば介護給付費分科会で、制度の問 題はできないというご発言がございましたが、なぜそれはできないのか。私はやっぱり 限られた人員の中で、やはり効率的な議論を進めるために、是非とも融通を利かせて やっていただきたいということが1つでございます。 最後に1つ申し上げたいのは、今日もおそらく医療保険改革、健康保険の改革が国会 に出ているかどうか、通るという予定になっているそうですけれども、いずれにしても 今度の改革で我々が評価できる面もあるし、非常に困ったなと思う面もあるわけです が、例えばこれが通りますと、早速この10月から老人には大変な負担が係ってくる。あ る程度の高齢者の負担というのは仕方がないと思うのですが、高齢者でも非常に中でも 困っっている人。例えば寝たきりで動けないような人とか、あるいは高齢者でもがんな どかなり高い医療費のかかる人。こういう医療費のかさむ人とか、常時重症の程度に置 かれている、高齢者の中でも本当に困っていることが、まともに負担が3倍4倍という ふうに集中的にかかるという制度は、我々もずいぶん反対したのですが、聞き入れても らえず、結局それが通ると。国民は全然知らないわけですよ。 10月に何が起こってくるかということ。そういうことを国民に対する情報サービスと いうのを、私はなぜ厚生省がもっときちんと国民のために丁寧に、10月からこうなりま すよと。実際、患者さんは何が起こるのか分かっていない。来てからびっくりというよ うなことになりますので、そういう患者さんに対する制度改正、「こうなればこうな る」ということの国民への説明をきっちりやってほしいと思います。10月からこういう ことになりますよということ、例えば高齢者の中でもそういう特別高額の人。例えば寝 たきり老人の場合は、やはり在宅訪問診療や看護をやりますと、普通の一般の高齢者の 医療費というのは、外来へ来ている医療費というのは、もう2万円足らずですから、1 割を厳密にあてはめても2,000円足らずで済むわけです。ところが寝たきりの人たちは やっぱり10万円から20万円かかるわけです。この人たちは現に1割になりますと、1万 から2万になってくるわけですね。ところが今の制度では、いくら高くても3,000円でい いとか、あるいは5,000円でいいとかいう1つの上限が決められているのですが、この上 限が全部外されますから、そういう重症で寝たきりの人は、全部これは今までの3倍と か4倍とかいう大変な負担になる。2倍くらいだったらいいのですけれども、3倍、4 倍になると、これはもう安心して看護婦さんにも来てもらえない。お医者さんにも来て もらえないという大変な負担になるということが、あまり全部ご存じないことなのです ね。こういうことのPRというのは、やはり国がそういう制度を動かすからには、責任 をもって事前に国民にそういうことを知らせてあげないと困るのではないか。 特に介護保険がスタートしてもうかなりになります。今度医療費の、今度の健康保険 法の改正案で、特徴的なのはやはり受益者負担ということで、患者さんの負担がかなり 引き上げられた。若い人も2割から3割、それから高齢者も全部1割定率。特にひどい 人はより多く負担してもらうという、非常に高齢者の特に困った人たちに非常に重い負 担がかかっているということについては非常に問題だし、それに加えて介護というもの は、一方で介護保険料も払わなくてはならない。介護、医療、こういう2つのトータル の負担というものは、これから医療費あるいは介護費、この両方の負担として、実際ど れだけ国民にのしかかってくるかと。やはり大変な不況の中で、これから高齢者に集中 的に負担がかかってくるということになると、これはやっぱり地方自治体も大変だろう と私は思うのですね。そういうところの真剣な議論というのは、ここで十分なされるべ きだというふうに思っていますし、是非行政の方でも国民サービスという観点から、実 態を国民に明らかにPRして欲しいということをお願いしておきたいと思います。以上 です。 貝塚会長 ??木委員どうぞ。 ??木委員 この7項目を拝見しますと、どういう社会保障を通じて、どういう社会を求めるのか という総論みたいなところをあまり議論しないまま、こういう結論に入った時にうまく 整理ができていくのかなと思います。もちろん抽象的な哲学論ばかりだという意味では ございませんけれども、国なり行政が関与する国民の相互の支え合いみたいな社会保障 のルーツについて、それが国民生活に対してどういう役割を果たしているのか。あるい はそのことについて、この中でどのレベルまで価値観といいますかコンセプトを共有で きるかによって、議論から導き出されるものはだいぶ違ってくるのではないかなと思い ます。 例えば先ほど??梨さんが奥田さんの代わりに読まれたペーパーに流れているコンセプ トは何かと。企業負担をできるだけ少なくしたい。その気持ちは分からんでもないです が、ただ競争や自己選択、自己責任、自助・共助といったことをどこまで強調した議論 をされるのかによって、あるいは財政的な視点のみが強くでてくる、あまりにも過度に でてくるような給付と負担の関係論、いずれもみんな無視はできない要素だと思うので すが、そういう中で、ユーザーというか負担者であり、受給者でもある国民が、いま日 本の社会保障の現状について、どういう点に不安を感じ、あるいはどういう点に不満を 持ち、どういう点に例えば不信感を持っているかというようなことについて一度きちっ と検証をして、そういったことも踏まえた議論も、先ほどのコンセプトに関する意思統 一というのでしょうか、統一は無理でも、ある概念を共有して議論しようじゃないかと いう、その2つを申し上げたいと思います。いま申し上げました不信感と2つの問題 を、是非この項目の中に放り込んで議論の対象にして欲しいと思います。 貝塚会長 岩男委員、その次に星野委員どうぞ。 岩男委員 糸氏委員からも効率的な議論をするということについてお話がございました。私もこ れだけたくさんの項目、また他にもあると思うのですけれども、限られた時間の中で議 論するということを、どういうふうにうまくやっていくか。ただいまのご発言にもあり ましたけれども、目指すべき社会というか、あるいは基本的な社会保障の理念のような ことについては、有識者会議でもずいぶん議論をしたようにも思います。ああいうとこ ろで散々時間をかけて議論をしたにもかかわらず、また最初からここで議論をするとい うのは、ずいぶん無駄があるような気がいたします。もちろん新しい面もありますし、 あそこに入っているものについて、違う意見をお持ちの方もあると思うのですけれど も、何かもう少し、すでに議論されたものについて、ある程度それを踏まえてコンセン サスができて、そしてその先を議論するというようなやり方ができないだろうかという ことが1つです。 それからそれとも関連するのですけれども、例えば清家委員も言われました雇用や税 制の中立というようなところで、女性の雇用を阻害するような税制の在り方について は、男女共同参画会議の影響調査専門調査会がごく最近中間まとめを出されました。こ この分科会の資料だけを皆さんにお配りするだけではなくて、そういう非常に関連のあ る問題を時間をかけて議論して、報告書を出されたものは是非皆さんに予め読んでおい ていただいた方がよろしいのではないかというふうに思います。 星野委員 ??木委員のお話を聞きまして突然思い付いたのですけれども、ここの審議会で例えば 道路特定財源を福祉の方に使えということまで言えるのかどうかですね。おそらくそこ まで言えないのじゃないか。確かに私もまったく??木委員と同じ意見で、これからは多 分道路の時代じゃなくて、社会保障の時代だと思うのですね。だからそういう大きい本 当に基本的なところから本当は着想をしなければいけないのじゃないだろうかと個人的 には思うのですけれど、月に一遍か二遍ぐらい開いて、こういう資料で検討しろと言わ れても、とても詰まる話ではないだろうと思うのです。となると先ほど堀先生が言われ たように、社会保障と言われる領域の中で、多分、制度がバラバラに作られていますか ら、重複したり、ここはこうやったらいいのじゃないかというようなところがたくさん あるのだろうと思うのです。今日の最初のテーマで言うと、介護保険の中で重度医療管 理というようなことで従来から、介護保険ができてから医療と介護の財布はどっちが面 倒を見るのかと言うことは、未だに年中議論あるいは喧嘩しているところですね。そう するとあれは多分介護保険で面倒を見ていただくだろうと思いますが、今日出ていたの は医療の財布は使わないのだろうと思いますけれどもというようなことは、かなり具体 的に入ってみると、たくさんあるのじゃないかと思うのですね。そういうのは厚生省の 事務局はそういことについては一番のプロフェッショナルですから、本当はよく分かっ ているわけでしょうから、まずそういう重複分についてきちんと詰めてみて、この制度 はどことどこの制度がこうなるとうまく行きそうだと。無駄もなくなるということが分 かってきた上で、それをまず詰めて、その後、これなら事務局ができると思いますか ら、そのアンケートでいよいよ??木先生がおっしゃったような、それではこれでも全然 これから高齢化する中で、とても賄い切れないということが分かってきたら、いよいよ 最後に来年の12月までに何か制度が全部滔々と詰まっていくようですから、来年の夏ぐ らいにはそこにかかっていけるようなことにすると。要するに「特定財源もこっちへよ こせ」と言えるくらいの迫力をもって言えるような段取りをしていくというようなかた ちで詰められないと、おそらく議論倒れに終わってしまうのではないかというような気 がしましたので、余計なことですが申し上げました。 貝塚会長 他に何かご意見はございませんか。高久先生どうぞ。 高久委員 私もいま岩男委員がおっしゃったことに賛成です。すでに別なところで非常にインテ ンシブに議論をしていることについては、その報告をちゃんとしていただければ、それ で良いのではないか。もちろん議論する必要はあると思いますが、例えばこの7つの項 目を見ましても、これの1つひとつが非常に大きな問題で、この中の1つ議論するだけ でもおそらく2時間ぐらい、皆さんいろいろ議論がお好きですからかかってしまう。他 のところで議論したものについては、整理をしていただく必要があるのではないかと思 います。 貝塚会長 何か他にございますか。??木委員どうぞ。 ??木委員 他のところで議論したものがあるじゃないかというお話も分からないでもありません が、議論のけりが付いていないまま、先へ行っているものもいろいろあるので、岩男さ ん、高久先生もいまおっしゃいましたが、そのへんは精査していただいて結構ですか ら、ともかくは最近骨太という言葉がいろいろありますが、骨が太いやら細いやらそれ ぞれ見方もありますし、そういうことも含めて現実論ばかりで走る議論になった時に、 それで皆の不安なり不信が解消できるのかということを、よく見極めて議論する必要が あるのではないかと思います。 貝塚会長 ご議論いただいて、私自身、多少の今後の会合の持ち方について、すでにやったこと をもう一度繰り返すというのは全く時間の無駄ですので、どこまで今まで議論が進んで いて、そしてしかも賛否両論が分かれている問題がたくさんあって、その賛成の議論は 何を理由にして賛成していて、反対の議論は何を理由に反対しているかというあたり、 これは結構それほど簡単ではないのですが、そういうところをある程度、論点の整理と して皆さんに素材を提供するというふうに出来ればしたいと思いますし、それからあと は、多分何かある種のやっぱりどこかにウェートを付けてやらなくてはいけないという ことも当然あって、これだけ総花的には多分やれないということで、どこにウェイトを 付けるかということ自身もやはりそういうことですね。??木委員の言われましたよう に、社会保障の理念というのは一体どうなってしまったのだろうかというのは、そうい うかなり全体像の話もやはり必要で、もう少しこの検討項目は事務局の方で今日のご意 見を踏まえて整理していただいて、これから以降の会合になるべく、経済学者の言葉を 使えば効率的に議論をやっていきたいということであります。 とりあえず今後、社会保障に関する横断的な議論をする場をどの時期に設定して、ど ういうことから始めるかということを詰めていきたいと思います。 5.閉会 貝塚会長 今日はいろいろ率直なご意見を聞かせていただきましてありがとうございました。こ れで終わらせていただきます。 − 以上 − 連絡先 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室 政策第一係 代)03−5253−1111(内線7691) ダ)03−3595−2159

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