01/10/12社会保障審議会 第2回人口部会議事録 社会保障審議会 第2回人口部会 しろまる日時 平成13年10月12日(金) 16:02〜18:07 しろまる場所 厚生労働省 省議室(9階) しろまる出席委員 廣松 毅部会長 〈委員:五十音順、敬称略〉 秋山弘子、阿藤 誠、岩渕勝好、駒村康平、小宮英美、高橋義哉、 永瀬伸子、長谷川眞理子、向山孝史、山?ア泰彦、山路憲夫 〈事務局〉 石本宏昭政策統括官、河 幹夫参事官(社会保障担当)、 高橋重郷国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部長、 小川 誠政策企画官 しろまる議事内容 1.開会 小川企画官 それでは、ただいまより第2回社会保障審議会人口部会を開会いたします。 議事に入ります前にお手元の資料の確認をさせていただきます。 配席表、議事次第のほか、 ・資料1−1 「将来推計人口の評価と新推計の基本的な考え方」概要 ・資料1−2 同 説明資料 ・資料1−3 同 図表資料 ・資料1−4 同 パワーポイントの参考資料 ・資料2−1 第4回世帯動態調査 結果の概要「要約」 ・資料2−2 第4回世帯動態調査 結果の概要 なお、資料2−1と2−2につきましては、10月2日に国立社会保障・人口問題研 究所が公表しました第4回世帯動態調結果でございます。参考として配布させていただ いております。 この他に、11月の日程調整表がございますので、委員の皆様の日程のご記入をお願 いいたします。なお、日程調整表は、部会終了後、事務局で回収させていただきますの で、机の上に置いたままにしていただきますようお願いいたします。 次に、本日初めてご出席いただきました委員の方を事務局よりご紹介申し上げます。 秋山弘子委員でいらっしゃいます。駒村康平委員でいらっしゃいます。小宮英美委員 でいらっしゃいます。長谷川眞理子委員でいらっしゃいます。 なお、本日は市川委員、小川委員、津谷委員、山田委員は、ご都合によりご欠席との ことです。ご出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成 立しておりますことをご報告申し上げます。 それでは以後の進行については阿藤部会長代理にお願いいたします。 阿藤部会長代理 廣松部会長は、他の審議会がちょっと伸びておりまして、終わり次第駆けつけられる と思いますが、その間私が代理で座長を務めさせていただきます。 本日はご多忙の折、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。 2.報告聴取 阿藤部会長代理 早速、議事に移りたいと思います。本日は「将来人口推計の評価の新推計の基本的な 考え方」について、国立社会保障・人口問題研究所 高橋重郷人口動向研究部長からご 説明を受けた後、質疑を行いたいと存じます。 それでは、高橋部長からご説明をお願いいたします。 高橋部長 国立社会保障・人口問題研究所の高橋です。パワーポイントを使わせていただく関係 で説明はスクリーンの方でさせていただきます。 それでは「将来人口推計の評価と新推計の基本的な考え方」について、ご説明させて いただきます。 資料に関しましては、先ほど政策企画官からご説明ございましたが、まずA3版の資 料1−1をご覧いただきたいと思います。 この資料は、左側が前回の部会で説明した平成9年の推計の方法ということで、人口 推計はどのようにやっているとかということを簡単にまとめたものです。 中段は、今日議論していただく内容の平成9年推計の評価に関すること、その下は、 そうした評価を通じて今回の新しい推計ではどのような改善策を行うのか、ということ がまとめてございます。そして、一番右側には、具体的に新推計はどのようにやってい くのかということを要約しております。 今日の話の全体はそういう流れで説明させていただきます。 具体的にはこれからパワーポイントを用いて話を進めさせていただきます。 まず、最初にご覧いただきたいのは、平成9年推計、中位推計の結果と総務省の人口 推計の結果(1999年)について比較した図です。この図をご覧いただきますと、年 齢別人口全体は比較的よく適合的に推計はされていますが、この図で男女とも5歳未満 のところで誤差が出てきているという結果がございます。これに関して細かな評価をこ れから行います。 平成9年推計の評価の前に、その前の平成4年推計がどうであったかということです が、図2−1は総務省の1999年の推計人口と平成4年推計の1999年の人口を比 較したものです。 これで見るとわかりますように、ピンクがかったポイントで表しているのが中位推計 の結果でありますが、特に5歳未満のところで大きく外れていたということがわかりま す。総務省人口を100とした場合に、推計人口は、0歳のところで115を超えてい ますし、1歳、2歳のところも110〜115の間にあり、10〜15%程度の推計誤 差が生じていたということがわかります。一方、低位推計についてみますと、5%以内 のところにおさまっています。したがいまして、低位推計の仮定の方が人口推計として は精度が高かったということがわかります。 全く同じような図ですが、図表2−2は女性の人口に関してみたものです。これも同 様で中位推計に関しては誤差が大きい。過大推計になっていた。低位推計に関しては比 較的推計誤差は少なかった。他の年齢層のところで見るとどういう結果があったのかと いいますと、75歳以上のところで過小推計になっていた。即ち、人口推計の方が死亡 率の改善というものを厳しめに見ていた。実際上は生存率はもう少し改善していたとい うことです。 図表3 これは平成4年推計のときの出生率仮定であります。このように、中位推計 の仮定値は、推計の数年は現実の実績のデータと合っていましたが、その後大きく外れ ていって、現在では低位推計の道筋をたどって推移しているということがわかります。 ですから、平成4年推計に関しては、中位推計の前提であった結婚の変化とか、あるい は生涯未婚率の動向、将来の夫婦の出生率の見通しに関して相当甘く見積っていたのが 結果としてこういうズレになった。低位推計では極めて厳しめに見込んでおりまして、 例えば、生涯未婚率に関しては、将来16.4%程度に上昇するという仮定を設けてお りましたし、夫婦の産む子どもの数も将来的には1.82人になると予測しておりまし た。したがいまして、そうした極めて厳しい見通しというものが、人口推計では適合し ていたということがわかります。 図表4は平成9年推計との関連で同じような図を作成したものです。これで見ますと 、前回の平成9年推計からそれほど時間は経っていないんですが、年齢層の若いところ 、0〜4歳のところで低位、中位ともに誤差が生じている。ただし、その誤差の範囲は 5%以内におさまっている。さらに年齢層の高いところで見ますと、80歳を超えたあ たりでやや過小推計になっているという実態がございます。 図表4−1によって、スケールを拡大して男女別に見ますと、0歳では男性の人口で 103、つまり3%の推計誤差があった。1歳では1%、2、3歳では1〜2%の範囲 で誤差があった。低位推計に関しては、逆にマイナスの過小推計でこれも1%内外の差 が0歳、1歳のところで存在していたということがわかります。高齢者については、同 じように最大で2%程度の誤差があったということでございます。 図表4−2よって女性を見ますと、出生数に関しては男女とも同じ状態です。死亡率 に関しても最大で1%程度の誤差があったということです。 図表5によって、こうした誤差が一体どこから出ているのかを整理してみますと、1 つには、出生率仮定から生じた誤差があります。出生率の仮定から生じる誤差には2種 類ありまして、1つは、これまでの人口推計においては、出生率というのは、日本人も 外国人も、日本国内においては同じ水準であるという前提に立っておりました。したが いまして、仮に、日本国内に外国人が多くなってしまって、それらの出生率が影響を及 ぼすようになってくると、外国人と日本人の出生率のギャップが影響を及ぼした可能性 があるというのが第1点であります。 第2点目は、出生率の仮定水準が高めであったか、低めであったかという仮定設定の 問題から生じた誤差というものがあります。 それにつけ加えれば、もう1つは偶然変動による誤差も伴っております。 2つ目、国際人口移動の仮定から生じた誤差があります。国際人口移動に関しては、 特に出生数、0〜4歳に関しては2通りの誤差が生じる可能性がありまして、1つは、 生まれた赤ちゃんが1歳になる間に国際間の移動があります。その移動の見積り具合に よる誤差から人口に及ぼす影響、2番目としては、女性の再生産年齢における入国超過 率、つまり、国際移動の状態が、入国超過になっていれば、日本人の女性人口を増やし ますので、それが出生数の多さにつながってきます。逆に、出国が多く入国超過率がマ イナスの場合は、出産子育て期の女性の人口が減っていきますので、それがネガティブ にマイナスに影響を与えるという問題があります。 3番目には出生から4歳までの生残率、死亡率の仮定が若いところでどうだったかに よって誤差が生じる可能性があります。 年齢5歳以上の誤差要因に関しては2つあって、1つは、国際人口移動の仮定から生 じた誤差、2つ目は、死亡率、いいかえれば、生残率の仮定から生じた誤差があります 。 図表6は、これを平成9年推計に関してさまざまなシミュレーション、評価を行って 計量的にどこからどの程度の誤差が生じたかということを検証したものです。 まず、全体を見ますと、0〜4歳の人口の差が全体の1.4%の誤差を生んでいまし た。この誤差がどこから来たかといいますと、出生率仮定による誤差が1.9%存在し ていた。国際人口移動によるものが-0.5%であった。死亡率、生残率による誤差は 0%であった。その差し引きで、相対的な関係を見てみますと、出生率による誤差が1 .9%と最も大きかった。その中でも、先ほど言いました外国人の出生率の見積りが日 本人と同等であると仮定した誤差によってその中の0.7%が起きていた。出生率の長 期的な仮定による誤差から生じたものは1.2%であったというのが、前回推計の特徴 であります。 図表7は、その中の外国人出生率見積誤差0.7%に関して実態を分析したものです 。この図には、年齢別出生率を足しあげた合計特殊出生率の実績値と、それから中位、 低位、高位の仮定値の動きが示してあります。これでどこから誤差が生じたかを見てみ ようというわけです。 図表9のブルーのラインで書いてあるのが全国推計に用いた中位の仮定値の1999 年の年齢別出生率です。これに外国人を加味した出生率に換算してその影響の度合いを 補正しますと、実際の出生率はピンクのカーブのようになります。これを見ますと、差 は微妙なのですけれども、20〜30代にかけて外国人の出生率を補正したときに出生 率が下がってしまいます。ということは、いわばこの補正を行っていなかったがために 出生数が過大に推計されていたという結果になります。 図表10は、相対的に外国人の出生率の影響によってどこの出生率が下がるかを見たも のです。年齢20歳から40歳手前までの範囲においては外国人を考慮して出生率を計 算すると出生率の全体が下がってしまう。ですから、日本人と外国人の出生率が同等で あるという仮定をおいたがために誤差を生じていたということであります。 図表11−1、11−2は、先ほどの外国人の出生率を加味し平成9年推計を再度やり直 すとどうなるのか。その結果を見たものです。赤い線が外国人の出生率を考慮して推計 をやり直したものです。ブルーの線が中位推計、修正前のものです。これで見ますと、 外国人を含む出生率に補正した結果、誤差が1〜2%から0.5%前後に低下をしたと いうことです。ただし、0歳のところはまだ102%のところに誤差の範囲はとどまっ ています。ですから、別の問題はあるにしても、外国人の出生率を考慮するということ は極めて重要であるということをこの分析結果は示唆しております。 これは先ほどと同じ表(図表5)ですが、この次に長期の仮定設定による誤差、偶然 変動による誤差、この部分の1.2%に関して見てみたいと思います。 図表13は、平成9年推計の中位の仮定値と実績値が示してあります。この誤差が一体 どのように生じたかということです。 図表14は、実績値と将来の仮定値を出生順位別に第1子から第5子までについて整合 性を見たものです。これを見ますと、第1子に関しては比較的適合性がある。1998 年のところで若干誤差がありますが、それ以外は全体的に整合性がとれている。第2子 の出生率に関してみますと、1999年(平成11年)と2000年(平成12年)に 関して若干推計値の方が高めになっていることがわかります。第3子に関しては、98 年まではほぼ整合性はとれているんですけども、99年、2000年に関しては水準を 下回っている。第4子に関しても実績の方がやや下めに推移しているという現実がわか ります。 図表15は、年齢別に見たものです。1996年に関しては、赤い線がモデルで予測し た仮定値、グリーンのポイントのカーブが実績値です。29歳、30歳のところでズレ がありますが、これはモデルと実績値の性質の違いが若干ありまして、実績値の方は丙 午のコーホートがここに関係しておりまして、丙午の場合のコーホートのところの出生 率というのは、人口は10月1日人口を使う関係で数値が前後に表れてしまいます。モ デルの方はそのズレを補正しておりますので、ここのところではどうしてもギャップが 出てくる。ただし、面積全体はほぼ等しいということになっております。 97年のデータをみますと、97年もモデルで推定したものと実績はほぼ見合った形 になっている。30歳のところは丙午の影響で若干、モデルと実績との間にギャップが 生じております。 98年に関してみますと、20歳前後のところで、現実の方がモデルよりやや高めに 出ている。30代後半のところで実績が高めに出ているということがありますけれども 、全体としてみれば、モデルとの適合性は高いと見てとれます。 99年に関しては、合計特殊出生率でみても、若干差の大きかった年に当たりますが 、20歳前後のところでのギャップ、それから25歳前後のところのギャップ、推計の 方が高くて実績の方が低い。そして、30歳過ぎのところで実績の方が低く、推計の方 が高めという結果が表われています。 2000年のデータに関しては、20代前後のところにおけるモデルの方が低くて、 実績の方が高いというギャップが存在していますし、さらに上の年齢のところでも微妙 な差が出始めている。さらに、30代半ば以降に関しては微妙な差がそれぞれの年齢で 出ていますが、実績の方がやや下めで、モデルの方が高めであるという結果です。 さらにそれを出生順位別に検証してみますと、96年の第1子に関しては、モデルと の適合性は比較的良好である。ただし、27、28歳のところでややピークのところが 、モデルの方が低くて、現実の方が高いという実態があります。第2子のところも丙午 がからむところでギャップが存在している。それ以外のところではほぼ適合度は高いと 見てとれます。 97年のデータを見ても、適合度は比較的高いということが見てとれます。 98年のデータでは、先ほど全体の出生率を見たときの特徴でもありました20歳前 後において実際の出生率が高くなっているという状況がここでは出ています。さらに、 ギャップの例としては、第2子のところで表れている。第2子では、モデルの方が高め で現実の方が低めであるという結果が表れています。 99年に関しては、相当明白な誤差が出ています。20歳前後における出生率は、実 績データの方がモデルより高めに出ております。そして、第1子に関してですが、30 歳以降ではモデルの方が高めで現実の方が低め、第2子ではモデルの方がだいぶ高めで 現実の方が相当低めであったということがわかります。第3子、第4子に関しても同じ ような傾向が見てとれます。それはどういうことかといいますと、2子、3子の出生率 が人口推計で予想したものよりも子どもが生まれなかった。つまり、出産のタイミング のズレが我々が想定した以上にここでは出ていたのではないかということであります。 2000年のデータに関してはどうかといいますと、20歳前後の出生率でギャップ がまた一段と広がっている。現実の方が高くてモデルが低いという結果です。そして、 高いところでやや現実の方が高くてモデルが低いということがありますが、30歳以降 でモデルの方が高めで、現実の方が低めであると。第2子では、モデルの方が高めで現 実の方が低めであるという結果が出ています。 このように各年次を見ると特徴がありますが、前半においては比較的適合度はよかっ た。98、99、2000年になるにつれて若いところの出生率でギャップが出ている のと、年齢層の高いところ、特に第2子を中心として出産のタイミングにズレが起きつ つあるということが特徴として見てとれるわけであります。 さらにそうしたズレが起きてくる要因の1つは、そもそも出産の前にある結婚の動向 がどうなっているかということが重要になってきます(図表16)。人口推計では、まず 、出生の推定の前に結婚の推定を行っています。96年に関して、実績と仮定にどの程 度誤差があったのかを見てみますと、96年では実績の方が高めで仮定値が低めに出て いました。 97年になりますと、仮定値の方が年齢の高いところで高めに出ているという傾向が 若干出てきました。 98年になりますと、相当明確な形のズレが出てきて、25歳から30歳のところで 、仮定値の方がだいぶ高めになってきた。これはどういうことを意味しているかといい ますと、20代後半の結婚が人口推計の仮定では、相当盛り返しが起こるということで したから、その効果として仮定値が相当高くなってくるんですが、現実のほうは思った ほど20代後半の結婚は盛り返しが起きていなかったということです。 99年に関しても同様の傾向が20代後半のところで起きていた。 2000年になりますと、今度はどういう傾向の違いがあるかといいますと、20歳 前後の出生率が上がっているという話がありました。それは結婚の方にも表れていまし て、10代後半から20代前半の初婚率はモデルで仮定したものよりも高めに出ていま す。そして、20代半ばのところも実際は高めであって、むしろ20代後半のところで 現実が低くて仮定の方が高めであったという傾向が存在していました。 したがいまして、長期的な仮定によって生じた誤差1.2のうち、相当部分は中長期 的な結婚の見通しがこの数年、98、99、2000年にかけて誤差を生じていて、そ れが結果的に出生率の誤差を生んでいた。そのためには、中長期的な結婚行動の変化と 、長期的に夫婦がどれくらい子どもを生むのかというところに関して仮定設定を再検討 しなければならないということを意味しております。 図表17-1は、国際移動に関することであります。平成9年推計においては、どのよう な推計方法を行ったかといいますと、この黒い線で描かれたものですが、推計時点から 前の5年の平均をとりまして、これが将来も一定であるという仮定をおいて、国際移動 に関しては人口推計を行っておりました。それ以降、平成6年から7年、7年から8年 、8年から9年、というようにその後どのように国際移動があったかということを重ね 合わせてみますと、どうやらこれを一定として扱うには誤差が相当大きくなる可能性を 秘めていた。特に0歳から1歳のところでのギャップも相当ありましたし、あるいは3 0代のところでの誤差も相当あったということです。 図表17-2の男性の方は比較的良好ですが、女性の方で見ますと、20代から30代に かけて、モデルで想定しているものに対して現実の値は相当大きなバラつきを伴ってい る。特に20代のところではいわばマイナスを想定しているところでプラスに大きく振 れている部分があります。こうした仮定と現実のギャップが国際人口移動に関しては存 在しております。この修正方法に関しては後ほど述べさせていただきます。 図表18は、高年齢の部分の誤差に関してです。65歳以上の推計誤差に関しては絶対 数で見てみました。80歳を超えたあたりから、特に女性の人口で、人口推計で年齢各 歳別にみて2,000人ほど過小推計になっていた。90歳以上になりますと5,000 人の過小推計になっています。90歳以上がなぜ大きくなるのかといいますと、これは 90歳以上の各年齢を足し上げているからこの部分は大きくなったということです。で すから、死亡率に関しても高年齢の部分に関して改善したモデルを開発する必要がある ということです。 そうしたデータを踏まえてどのような点を改善しながら新推計の基本的な考え方を構 築していくかということに入りたいと思います。 まず、基準人口に関してです。これはこれまでの推計と同様に、基準人口は平成12 年(2000年)10月1日現在の男女年齢別各歳人口です。これは国勢調査の新しい 人口が今月末に出てきますので、その人口に基づいて人口推計を行うということです。 推計期間は、2001年から2100年の期間について人口推計を行うということで す。ただし、仮定設定等を2050年まで行いますので、2051年以降に関して示す 数字に関しては参考推計という形で出したいと考えております。 推計方法は、コーホート要因法という人口学的な人口予測の手法を用います。この方 法自体は国際連合あるいは各国政府の標準的な推計方法として採用されるものと同じも のです。コーホート要因法に基づいて行うには、(1)男女年齢別基準人口 (2)女子の年 齢別出生率の将来における仮定値 (3)男女年齢別の将来の生残率の仮定値 (4)男女年 齢別の国際人口移動に関する将来の仮定値 (5)将来の男女の出生性比の仮定値 この 5つが必要になって参ります。 推計の種類は、高・中・低の出生率の動きに関して3つの将来仮定値をおいて、3種 類人口推計を行うということです。 出生率仮定、すなわち将来の年齢別出生率は、コーホートの年齢別出生率を推定して 仮定する方法を用います。この仮定設定の方法に関しては後ほど別に示させていただき ます。 生残率の仮定は、これまでの人口予測に関しては、死因別死亡率を将来に延長して、 そこから将来の生命表をつくって将来の寿命を予測し、将来の生残率を推定するという 方法をとっておりました。今回に関しては、1つの要因は、人口動態統計における死因 別死亡率の動向が1995年の死因分類の改定以降、死因別死亡率のデータに関して時 系列的な安定性にやや問題が生じています。したがいまして、この方法は今回は用いな い。それに代る方法として欧米の人口学者が提唱して、実際に利用されていますリー・ カーター法という将来生命表を推定する方法を日本に適用して若干修正を行って用いる ということを考えております。 図表20-1に示している方法は死亡率のリレーショナルモデルというもので、いわば回 帰式に基づいて将来の死亡率を推定する方法です。対数をとった年次別、年齢別出生率 を、1つは平均的な年齢別死亡率と、死亡率の一般的な水準を表すパラメータと死亡指 数に関するパラメータによって将来の死亡率を推定するというモデルです。 これを日本のデータに適用して実際に推定してみますと、過去の1960年代以降の 日本の生命表の死亡確率に関して標準的なこのような死亡率パターンが抽出されます( 図表20-3)。それとともにbxという死亡率の変化を示すパラメータは過去のデータに 関してこのように推定されます。 そしてもう1つ、死亡率にさらに影響するモデルのパラメータとしてktというパラ メータがありますが、1965年以降このパラメータを観察してみると比較的良好な一 定の傾向をもっているということがわかります(図表20-4)。したがいまして、今回の モデル生命表においては、リレーショナルモデルを用いた生命表の作成に関しては、こ のパラメータを将来に延長して推定する方法によって寿命を予測したいと思っておりま す。このモデルのいい点は、死因別死亡率を用いた手法よりも高年齢部分の改善がいい ということが既に学会でも指摘されているところですので、このモデルを採用したいと 思っております。 次は国際人口移動の仮定に関してどのように行うかといいますと、近年の国際人口移 動の実態から、日本人の国際移動に関しては、国際間の移動率、つまり入国超過率を用 いて推計を行う。日本人と外国人を分離して、外国人の国際移動に関しては、過去の総 数から外国人の純移動数、入国超過数の総量を推定して仮定を行いたいと考えておりま す。 その理由は、日本人のみで入国超過率(男性)を出してみますと、平均の姿と、各年 次のバラつきは相対的に小さい関係にあるということがわかります(図表21-1)。 図表21-2は、女性のケースですが、日本人に関する入国超過率を見ると、バラつきの ある部分もありますが、外国人も日本人も含めて行うよりも関係のよさがありますので 、これを用いたい。 図表22によって、外国人の入国超過数を時系列的にみますと、1980年代までは入 ってきた人と出ていった人はほぼ均衡していた。つまりほぼ差し引き0の関係にあった 。ところが、バブル経済以降、入国超過で日本にとどまる人の数が格段に増えていった 。そして、バブル経済が終わった以降、おおよそですが、5万〜10万内外の入国超過 が続いているという関係にあります。ですから、将来の外国人の入国超過に関しては、 過去の数を平均的な姿としてとらえて将来に延長したいというふうに考えております。 図表23-2は、女性の外国人人口の年齢分布を見たものですが、外国人の入国超過がど こで起きているかを見ると、平成7年から8年、8年〜9年、9年〜10年、10年〜 11年、11年〜12年と重ねて書いてありますが、パターンは比較的安定的な形を持 っています。ですから、総量を一定として、この年齢パターンによって分配して外国人 の入国超過数をモデルに投入するという手法をとりたいと考えております。 次は出生性比の仮定です(図表24)。出生性比に関しては、過去の趨勢から今後の出 生性比を仮定したいと考えております。過去の出生性比は1970年代以降、比較的安 定している。106をやや下回る水準で上下にぶれながら推移しているという状況があ ります。過去10年の平均値をとってみますと、女性100に対して男の赤ちゃんが1 05.6という数値で比較的安定的である。したがいまして、新しい推計においてもほ ぼその数値を活用したいと考えております。 出生率仮定をどのように設定していくかというテーマです(図表25)。コーホートの 年齢別出生率というものは、将来の出生率の推定に関してどのように推定するかといい ますと、1つはコーホート別にみて50歳時点で生涯未婚率がどれぐらいになるかとい う水準、それから生まれた出生コーホートが産み終えた時点、つまり50歳時点で完結 出生率、結婚して夫婦がどれくらい子どもを産むかという水準、3つめにはその女性の コーホートが平均どれぐらいの年齢で結婚するか、あるいはどれぐらいの年齢で赤ちゃ んを産むか、という情報に基づいて推定していく。4番目、さらには結婚がどのような 分布に基づいて発生するか。あるいはそれぞれの出生順位別出生率がどのような分散と 年齢別形状をもって産むか。そうした情報をパラメータとして統計的なモデルである一 般化対数ガンマ分布モデルを用いて将来の出生率を仮定していきます。 その推定を行う際に、いくつか構造的に分けて推計を行います。おおむね1965年 以前の出生コーホート、2000年で35歳以上になっている人々の出生率の推定方法 です。 図表26は、それを概念的にレキシスの図といわれる図法によって年次の年齢によって 出生率の動きを示したものです。1965年出生コーホートがピンクで描いた生命線で すが、2000年時点で現在35歳に達しています。つまり1965年生まれの人々は 1980年代から結婚、出産に入って、相当時間が経過してある程度子どもを産んでい る世代であります。これより前の世代に該当する出生率に関してはそれぞれのコーホー トの過去の趨勢がありますので、統計的なモデルによって年齢後半の部分の出生率を推 定するということです。1985年出生コーホート(2000年で15歳)をここでは 目標コーホートと呼んで、このコーホートに着目して将来の出生率水準を考えていこう というわけです。 1985年出生コーホートというのは、2000年現在で15歳で、まだ結婚も、出 産活動にも入っていない世代です。この世代の結婚や出産がどうなるのかということを 想定していこうというのがこの人口推計にとっては最も重要な仮定設定ということにな るわけです。 この1985年の目標コーホートの仮定設定の考え方ですが、まず第1には、コーホ ートの出生率はそのコーホートの年齢別初婚率、結婚のしかたによって発生した結婚し た女性の出生行動によって決まるという前提を置きます(図表28)。 2番目に、目標コーホートについて、そのコーホートの平均初婚年齢とその分散なら びに生涯未婚率によって目標コーホートの年齢別初婚率を推定します。 ×ばつ印をうってある部分が1935〜46年出生コーホートの生 涯未婚率と平均初婚年齢を調べたものですが、かつての世代は生涯未婚率も平均初婚年 齢も安定であった。ところが、団塊の世代以降、1947〜60年出生コーホートに関 しては、このように生涯未婚率が上昇しながら初婚年齢も上昇していた。そして、61 年〜65年に関してもこのように上昇している。今回の推計においても、1985年世 代はこのもっと先にあるわけですが、新たにデータが追加されましたので、その初婚率 の分析に基づいてこれを延長して1985年の生涯未婚率と平均初婚年齢がわかるとい うことは、そのもとでの年齢の分布がわかりますので、それらを推定していこうという ことです。 そして、先ほどのような方式で推定された年齢別初婚率と、もう一つ、過去の出生動 向基本調査から得られた初婚年齢と生涯にわたって産む子どもの数に関しては経験的な 関係がありますので、そこから平均出生率を推定するという方法をとります。 これは1977年から1997年の調査のデータに基づいて、何歳で結婚した人々が 結婚15〜19年を経過したときに何人の子どもを産んでいたかということを調べたも のです。これを見ますと、70年代の調査から90年代後半の調査まで結婚の年齢と生 涯にわたって産む子どもの数の水準には比較的安定的な関係が存在しています。ですか ら、結婚年齢が上昇するにしたがって夫婦の産む子どもの数は確実に下がります。かつ ては24歳ぐらいで結婚をしていましたから、平均的に夫婦の産む子どもの数は2.2 人前後であったというのはここを示しているわけです。現在の人口動態統計では平均初 婚年齢が27歳を超えました。ですから、いまや限りなく2に近い水準まで来ている。 今後とも結婚の変動が起きてきますとこの水準がどんどん下がっていくということにな ります。 これは同様のデータに関して、初婚年齢別に出生児数の分布がどうなっているのかを 調べたものです。これも出生動向基本調査から見たものです。これを見ていただくとわ かりますように、子どものいないカップルは結婚が21〜22歳、23〜24歳のとき は3%未満で極めて少ない。ところが、結婚の年齢が29〜30歳になると子どものい ないカップルは7.6%になりますし、31〜32歳になると12%を超える。さらに 子ども数の分布に関しても、1人っ子が結婚年齢が上がるにつれて増えてくる。30歳 を超えると2〜3割方になり、3人産む人々は結婚年齢が上がると極端に少なくなる。 ただし、2人を産むというのは、30歳までのところは安定的な状況を示しております 。このようにして夫婦の産む子どもの数を推定します。 さらにもう1つ、結婚した後、離婚や死別によって出生率は若干の影響を受けますの で、1985年出生コーホートに関する仮定設定を行うときには離婚の影響の効果を別 途係数を計算して指標化して離婚の影響を加味することにします(図表37)。 いま述べたのは1985年出生コーホートに関して、どのような結婚、出産、出生率 を予測するのかという話です。 次に1965〜1984年の出生コーホートの仮定設定の話です。先ほどの1985 年出生コーホートに関して将来の出生率が仮定値として決まります。そして、1965 年出生コーホートに関しては、推定によって数値を持っておりますので、この間の領域 に関しては両者をパラメータレベルで補間をしてこの間の出生率を推定するという方法 をとります。 どういうことかといいますと、パラメータの1つである生涯未婚率についてみますと 、過去の出生コーホートに関してこのような動きをもっています(図表27)。これに関 してモデルによって将来の仮定値を想定します。1985年の生涯未婚率から、この間 の数値をこのモデルから推定をして、年齢別出生率を推定するということです。 次に1986年以降の出生コーホート、2000年で15歳未満であるコーホートに 関する仮定設定です(図表26)。1985年までそれぞれの年齢別生涯未婚率が推定さ れておりました。1985年に関してもまだ変化の途上にありますので2000年のコ ーホートまでこのまま先を延長していく手法を今回は取りたいと思っております。そし て2000年の仮定値が最終値ということになります。 前回推計との一番大きな違いは、前回推計では1980年を目標コーホートとしまし たが、いま仮に1985年ということで言わせていただきますと、前回推計の場合は、 1985年生まれで止めて、将来は一定である、としました。したがいまして、前回に おいては、目標コーホートと呼ばれるものと最終的に実現するものは同じであるという 前提に立って推定を行いました。すなわち、この赤い線のような形になっていた。今回 は、全体の変動が依然として続いていますので、この部分に関しては全体の変動を将来 も見込んでやろうという形で、2000年生まれの人々を最終コーホートと位置付けて 推定を行うことを考えております。 それを言葉でいいますと、平成9年推計では、目標コーホートと変化が収束する最終 コーホートを同じコーホートとしていたが、新推計では変化の持続性を加味して、19 85年の目標コーホートに至る変化の勢いが2000年の出生コーホートまで持続し、 以後一定と仮定する、としました。 直近の年齢別出生率、2001年、2002年、2003年の出生率に関しては、近 年の年齢別の動きがありますので、それを加味して調整を行いたいと思っております。 コーホートモデルの仮定値を補正するということです。 こうして考えていきますと、極めて重要なポイントは、目標コーホート、すなわち1 985年生まれの目標コーホートの結婚行動と出生行動をどう見込むかということが最 も重要なポイントになっていきます(図表29)。 まず、晩婚化ということをどう考えるかといいますと、前回推計においては、198 0年出生コーホートにおいて晩婚化が進む。24.4歳から27.4歳に進むと考えま した。新推計では1985年を目標コーホートとして1955年生まれの24.9歳か らこれがどこに向かうのかということが今後のポイントになります。 図表30の平均初婚年齢ということですが、現在男性は28.8歳、女性は27.0歳 になっています。この勢いが今後どのように進んでいくかということです。 図表31は、女子の年齢別初婚率です。前回推計でもそうですが、30代以上の年齢層 の高いところで初婚率が上がる傾向があります。この勢いがどの程度なのかということ が将来を予測する際に重要になってきます。 次は生涯未婚率です。一生涯を独身で過ごす人々、人口学的に定義すると、50歳の 時点の未婚率ということですが、前回推計では4.6%から13.8%まで見込みまし た。現在ではある世代は5.2%程度になっていますので、これが13.8を超えてど うなるのかというところが見直しのポイントになってきます。 図表33-1にみられますように、生涯未婚率は20代後半では54%に達しました。3 0代前半は26.4%、30代後半は13.9%になっています。 図表34-1によって未婚化の勢いをみますと、各年齢別未婚率の年次間変化の度合いを 増加率によってみたものです。25〜29歳の未婚化の勢いは、1980年代後半で5 .5%の増加率で進行していましたが、90年代になると相当下がってきて、90年代 後半になると2.3%と80年代と比べると未婚化の勢いは大きく落ちています。さら にその上の年齢層、30代前半に関しても、90年代前半までは未婚化の勢いは相当強 いものでしたが、いまでは下がりめになってきているという傾向があります。そうした ことを背景として未婚化が最終的にはどの程度進むのかということが課題になります。 図表35の年次別男女別生涯未婚率の推移をみますと、男性の未婚率がいま急速に増加 しておりまして2000年時点で12%を超えました。女性の未婚率は、男性とだいぶ 違う動きをしておりまして、70年代半ば以降、約4%を超える勢いでほぼ横這い状態 でしたが、90年以降、やや増加傾向になってきています。これが最終的にどの程度進 むのかということです。前回推計ではこれが18.3%ですから、これぐらいの数字ま で高まると予測していましたが、この勢いがどこまで行くかということが課題になりま す。 次は事実婚の見通しです。欧米では出産の多くが事実婚の中から生まれてくるという ことがあります。では、日本の実態はどうなのかということです。前回推計では安定的 という認識をしておりました。 図表36は、出生動向基本調査による同棲経験の有無 同棲を現在しているというのは 、男性で0.9%、1.1%、1.7%と、97年ではやや増加傾向にあります。女性 に関しても増加傾向にあるというのが現状です。しかしながら、絶対的な水準はまだ1 .7%ですから極めて低い水準にあると見てとれます。 もう一つの、離婚や再婚の見通しについてはどうかということですが、離婚件数と離 婚率についてみたものです(図表37)。これをみますと、1990年代以降、日本の離 婚件数、離婚率は上昇傾向にあって、人口1000人当たり2.2ということで、既に フランスを追い越しているという水準です。 離婚がいくら多く発生しても、それが再婚で戻ってくれば、相対的には離婚の影響は 少ないんですが、これは直接的な資料ではないんですが、年間の再婚の発生数が15〜 49歳の離婚の発生数に比べてどれぐらいの比率があるかを見たものです(図表38)。 これで見ますと、1980年代半ばから安定的に推移している。つまり、離婚は増えて いるけれども、再婚もそれに即して増えているということです。さらに別の資料に基づ きますと、現在、初婚のうち、離婚するのが2割、再婚で戻ってくるのが12%、つま りある程度相当数が離婚から再婚に戻ってくるということが安定的にあるということが わかっています。 次の図は、離婚した人々で子どものいる人々は平均的に何人子ども を生んでいるのかを見たものです。1980年代半ば1.8の水準になって、それから やや減少傾向ですが、依然として1.7前後で近年に関しては横這いの状態です。子ど もを持って離婚する人々に関しては相当高い出生率をもって離婚が発生している。離婚 の特徴の一つは、実は結婚直後の離婚が相対的に一番多くて、その人々の多くは再婚で 戻ってきます。したがいまして、離婚の影響は限定的であると見てとることができます 。 次は、夫婦の出生行動の見通しです。 まず、子どものいない夫婦の見通しで、前回推計においては、3.8%から10.7 %に増加すると見ておりました。今回推計ではこれがどうなるのかということです。 子どものいない夫婦、すなわち、子ども0人のパーセンテージは、過去を見ますと3 %内外でありましたが、97年の調査で若干上昇傾向であります。 そして、これは先ほども見た例ですが、結婚年齢が現在どんどん上昇傾向にあります から、この影響を受けて今後は相当子どものいないカップルの数もパーセンテージの上 では増えていく可能性が高いということです。 次は夫婦が最終的に産む子ども数はどうなのかということです。前回推計においては 、2.18人から1.96人に減少すると予想しました。これはとりもなおさず、結婚 年齢の上昇によって夫婦の産む子どもの数が減少すると想定したわけです。 新しい推計ではこうしたことを前提としつつ、さらに1985年以降、結婚した夫婦 で少子化傾向が出ていますので、その点をどう加味するのかということが課題になって います。 図表43は、近年の夫婦の産む子どもの数の水準ですが、結婚0〜4年目のところで子 ども0人という人々が増えてきています。さらに、結婚5〜9年目で子ども0人という 人々も増えていますので、全体として夫婦の産む子どもの数の水準は下がる可能性は大 きいと考えられます。 図表44は、横軸は結婚の年次です。下から結婚0年目の出生率、2列目は結婚1年目 の出生率、というふうに結婚年数別に出生率を表していますが、ちょうどバブル経済が 始まった以降で結婚5年目の出生率に低下傾向が見られるということです。 次は婚外子(非嫡出子)の見通しです。前回推計においては、日本では極めて低い水 準が続くというふうに認識して推計を行いました。 図表47は、全出生数に対する嫡出でない子の割合をパーセンテージで見たものです。 こうしてみますと、1980年代の半ば、全体の出生の1%、件数にして約12,0 00件が非嫡出子でありましたが、80年代半ばから毎年0.1%ずつ上昇傾向にあり まして2000年現在で1.7%になっています。この傾向が将来どうなるのかという ことも課題の1つです。 最終的にまとめますと、晩婚化が今後どうなるのか、生涯未婚が今後どうなっていく のか。同棲といったことが、データでは極めて低い水準でしたが、これに関してどのよ うに認識したらいいのか。さらに、離婚・再婚の見通しに対しては安定的であると我々 は考えておりますけれども、これに関してどのように見込んだらいいのか。夫婦の出生 行動に関しては、子どものいない夫婦がどの程度増加するのか。あるいは夫婦の子ども 数は最終的にどうなるのか。特に近年の夫婦の子ども産み控え現象をどのように考えた らいいのか。さらに、婚外子というものをどうとらえるか。それと、最初の方のデータ 分析でありました、若い年齢層、20歳前後での出生率の上昇がありました。これは前 回推計においては全くなかった現象です。これを今回推計にどのように織り込んでいく のかということが課題になります。さらにもう1つの課題としては、現在データ分析を 進めていますけれども、婚前妊娠の増加ということがデータ的には見られていて、婚姻 届けを出してからの6か月未満の出産が増えているという傾向がありますので、こうし た傾向がただ単に近年の一時的な現象なのか、将来どうなるかといったような課題を抱 えております。 これらの点に関して、さまざまな議論を通じて整理をしながら、将来の仮定値設定と いうことを行っていきたいと考えております。以上が私からの報告であります。 廣松部会長 高橋部長、どうもありがとうございました。前の審議会が伸びまして遅れました、申 し訳ございません。それでは、今ご説明をいただきました平成9年推計に関する評価と 今回推計を行うに当たっての基本的な考え方に関してご意見を伺いたいと存じます。ど うぞご自由にご発言いただければと思います。 高橋委員 前回のときに、今まで行った予測と実績が出ているので、それを比較検討して、それ を新推計でどう取り込むかご説明いただきたいとお願いをしたんですけど、いま私がお 願いした観点で懇切丁寧なご説明がありまして、高橋部長以下、部下の方大変だったの ではないかと、まずもって感謝とお礼を申し上げます。 意見ですけど、今回目標コーホートは1985年ということになっていますけど、最 終目標コーホートということで2000年にトライされているということで、大変チャ レンジャブルで作業は大変だろうと思いますが、もしうまくいけば、相当精度の高い予 測になるのではないかと期待しておりますので、大変お忙しいと思いますが、是非頑張 っていただきたいと思います。細かい点はいくつかありますが、どうもありがとうござ いました。 廣松部会長 ほかに全般的なご意見でも構いませんし、あるいは個別の論点に関するご意見などが ございましたら、ご発言いただきたいと思います。 駒村委員 前回欠席しましたので、いきなりなのでよくわからないところもあったんですけど、 外国人の方の資料、図表22ですが、ここのバブル崩壊以降の動きというのは、私ちょっ と理解し損なったというか、聞きそびれたのかもしれませんが、ここから先はどういう ふうに予測をしているとご説明いただいたんでしょうか。 高橋部長 2000年以降どうなるかということに関してですが、実際のところ、入国超過数に 関してはその時々の法律をどの程度緩めるのかということ、あるいは国の経済の調子に よって外から入ってくる人口に関しては変動する性質があります。それが典型的にはバ ブル期においてたくさんの人が入国超過になっていた原因でもあります。したがいまし て、ここでは総量に関して、将来の動向を想定することが極めて難しい問題があります 。今の日本の法制度がそのままであるとするなら、近年の5年間の数値がほぼ安定的に 推移するものと想定してもよいのではないかというふうに今のところ考えております。 これに関しましては、先生方のご意見等、参考にさせていただきながら検討していきた いと思っております。 廣松部会長 ほかに、いかがでしょうか。高橋委員、先ほど細かい点とおっしゃた点に関しては、 よろしいでしょうか。 駒村委員 じゃあ続けて。図表28のところですが、説明の中で年齢別初婚率を推定する必要があ るわけですが、図表32からみると、未婚率を推計して初婚率を推計するという関係にな っていくんですか。 高橋部長 まず、ベースに将来の平均初婚年齢を推定していくためには、過去の人口動態統計の コーホート別の初婚率に基づいて、これも統計学的な手法なのですが、ガンマ分布モデ ルというものを当てはめまして、まず、年齢別初婚率の将来の数値を予測します。それ に基づいて将来の生涯未婚率、年齢別初婚率を推定していって、最終的に目標コーホー トの初婚率を推定していくという手順で推定自体は行います。 駒村委員 関連して、図表27の生涯未婚率というのは、現在わかっているのは1950年ぐらい までですよ。そうすると、この曲線の推計というのはどういう曲線であるのか、ここか ら先、この曲線はかなり上に行くのか、傾きをどうあてはめるのか、そこだけお願いし ます。 高橋部長 まず図表27を見ていただきたいんですが、1985年のところにカーブの線がぶつか っているところがあります。それがいま約14%になっていますが、中間を推定する前 に、1985年そのものについてそれぞれの人々の生涯未婚率が何%になるのか。そし て、平均初婚年齢がどうなるのかということを別途、初婚率データに基づいて推定を行 います。さして、1985年のコーホートが通るポイントが決まるということです。そ して、左側の方をみていただきますと、1935年から1970年に関してはモデルで 推定された生涯未婚率が既にわかっています。したがいまして、その1985年の点を 通るポイントと、過去のデータとの間で統計学的にカーブフィッテングを行って、その 間の数値を決めていくという手法をとっています。ですから、カーブに関しては、将来 のあてどもないカーブを適当に当てはめるということではなくて、1985年の人々の 結婚行動というものを別のデータに基づいて想定を行ってから、最終的にそれに至るポ イントを推定するという形をとっています。 岩渕委員 5年前の推計も拝聴したんですけれども、5年前と今回では、たしかに指標の出し入 れはあるようですが、全体的に使った指標の種類とか、そういったものはかなり変化が あるんでしょうか。前回もほぼ同じようなことでやったんでしょうか。 高橋部長 出生率の将来を予測する部分に関して、モデル自体は同じものです。同じものですが 、前回推計から5年経っておりますので、その間に新たに出現したデータがありますの で、それを加味してそれぞれの目標値、つまり目標コーホートの生涯未婚率であるとか 、夫婦の産む子どもの数を再設定し直そうということです。ですから、出生率の推計モ デル自体を根本的に変えたというものではありません。 岩渕委員 前回とだいぶ違っているのは、例えば、夫婦の完結出生率の見通しとか、婚外子の動 きなんかも、前回と様子が違う分析をなさっているなという感じで、先ほどどなたかも おっしゃいましたが、今回の方がかなり精度が高くなりそうだなという感じは受けてい ます。そこで、ちょっと感想だけ言わせてもらいますと、未婚率の上昇は見込んでいて 、婚外子の出生率割合も上昇を見込んでいて、夫婦間の出生率の低下も見込んでいらっ しゃって、もちろん生涯未婚率の上昇も見込まれているんでしょうね、ということです 。大まかなところで結構です。 高橋部長 全体的には、前回推計も審議会で審議していただいて、非常に厳しく生涯未婚率、平 均初婚年齢等、見込みましたけれども、現実にそのときに推定したものよりも結婚に関 しては、20代、30代後半で思ったほど上昇していない状況がデータ上ありますので 、そうした点に関しては、もう少しきめ細かくみて、全体的にいえば前回推計よりもう 少し厳しくデータをみながら推計を行いたいと思っております。 廣松部会長 今のご質問に関連して1件私から。前回推計と異なる点として、生残率に関して今回 新しいモデル、リー・カーター法の適用を予定されているということですが、先ほどの お話で、特に高年齢層の死亡率推定に関してはこちらのモデルの方がよさそうだという 評価が既になされているということですので、それでよいと思います。ただし、これは 大変かもしれませんが、例えば、前回と同じ年齢別の死亡数を用いたときの結果と、そ れから新しくリー・カーター法を用いたときの結果との違いというのを実際に計算して 、見せていただく余裕はございますか。 高橋部長 今回、前半のところでは出生率に関して行っておりますので、それと同等の手法に基 づいて生残率を入れかえてやる計算というのは次回資料として出させていただきます。 山路委員 経済成長との関連について、いままでの出生率との因果関係があるのかどうか。例え ば、名目賃金はこの間たしかに減っているんですが、99年、2000年は実質賃金も 減った。手取り収入が減ってくると出生率に関係あるんじゃないかと思われるんですが 、そういうふうなことを推計値に入れることに意味があるのかどうか、そのへんを教え てください。 高橋部長 いわゆる社会経済的な要因と出生率の動向をどう考慮してモデルに入れ込むかという ことですが、我々はいま現実にやっていることは、初婚率の将来推定と、将来の出生率 の推定です。経済要因との関係に関しては、別途、我々が初婚率を推定したあと、経済 変数との整合性が取れているかというシミュレーションを行って、その関係をチェック したいと考えておりまして、それに関しては次回の部会でその部分について報告させて いただきたいと考えております。 永瀬委員 少し観点がずれるかもしれないんですが、私は労働経済学が専門でございまして、最 近のところを見ておりますと、女性の就労の仕方において出産がしにくいような変化が 進んでいる。1つは、正規社員の働き方がかなり厳しくなっている一方で、非正規社員 は賃金水準も低いですし、そういうところで育休等もとりにくい。つまり、出産時期が ずれやすいような働き方の変化が進んでいると思うのです。このへんはなんらかの働き 方の変化を推進する合意がつくられれば、また違う想定もあり得るのではないかという 気がするのですが。今の状況はこのまま続いていくという想定で推計をなさっていると 思うんです。現実にできるかどうかはまた別でしょうが、何らかの対策がとれるかどう かといった視点。また、対策をとることと現実に働きやすく、産みやすい環境がつくれ るかどうかというのは、また話が別かもしれませんが、そのような対策、あるいはその ような変更があった場合に、どういう出生の変化があり得るかといったシミュレーショ ンは可能なものなのでしょうか。それとも、それは全く難しいことなのでしょうか。 高橋部長 これも要するに社会経済的な変数と結婚あるいは出生率の動きがどう変化するか。も し仮に変化するものであるとすると、政策的な介入が想定されて、それがある一定程度 、女性の就業率も高め、出生率も高めるという効果に働いたときに、出生率がどうなる のかを予測することとなると思うんですが、現実問題としては、実際の人口予測でそれ をやるのは難しい。なぜなら、政策の効果が将来どれぐらい効いてきて、どれぐらいに なるのかということを想定することが難しいということであります。ですから、1つの やり方としては、これとは別個に将来のさまざまな経済要因と出生率の関係をモデル化 して、効果係数を入れて、それを変動させた場合に出生率がどう動くかという実験はで きますけれども、現実の人口予測でそれをシナリオとして持ち込むということはなかな か難しいというふうに考えております。 秋山委員 特に若い世代の性行動の変化というふうなものは出生率に影響するというふうに考え ていらっしゃいますか。推計で考慮していらっしゃるのでしょうか。 高橋部長 性行動の変化と出生率の関係に関しては、今までのモデルでは考慮していません。あ くまでも人口動態統計をベースにして年齢別出生率の分析からモデルを推定していまし た。しかしながら、今日お示ししましたデータのように、20代前半のところで明らか に出生率に変化が見られる。それはとりも直さず、20歳前後における性行動の変化、 即ち、妊娠結婚が増えているという実態と完全にリンクしています。ですから、分析レ ベルではそれを考慮しながら、推計で具体的にどうやるかというと、20代前半の出生 率をどういうふうに調整するか、補正するかということが課題になっています。そのへ んの分析をしながら、出生率の安定性と変化の動きをとらえて、今回の推計でもそこは 補正したいというふうにみております。 岩渕委員 この推計とは直接関係なくて事務局にお願いなんですが、ドイツの出生率が1.22 まで落ちたあと、99年に1.36まで回復してるんですね。日本より上になっちゃっ たんですが、それがどういう原因でどういうふうなことなのかというのは、ドイツにア タッシェが、たぶん厚生労働省はいると思いますので、レポートを求めることは可能か どうか。無理だというならしょうがありませんが、ドイツの場合はいろんな要因はある とは思いますけれども、日本にとってみるとドイツというのは非常にいいモデルになり ますので、せっかくいるんだったら報告をしてもらいたいなという希望です。 河参事官 早速に手配させていただきます。 石本政策統括官 経済社会要因というものと、出生なり婚姻というものとの関係ですが、私ども白書等 も含めて、いろいろ勉強、蓄積を重ねているんですが、例えばいま、医療改革で医療費 の問題が出ていますが、高齢者が就業する長野では医療費が低い。北海道、高知では離 婚率が高い。医療費と相関してるんじゃないかと。要するに、相関度があるということ と、じゃあ、そういう傾向であれば、今後晩婚化するとか、出生率が下がるとかいうふ うなことに使えるのかどうかという意味では、たまたま合っているのか、極めて因果関 係が高いのか。これは高橋部長のほうでいろいろ相関度係数とか難しいモデルを使って 考えることは可能なんですが、この会議はオープンで公開されておりますので、私ども の悩みをざっくばらんに申し上げれば、これはこれまで5年に1回人口推計を出したと きに必ず出る問題で、推計は推計でやってるんだけれども、世の中の経済社会の動きを 全然わかってないんじゃないかというご指摘がときどき出ます。そのときに、この部会 は我が国のある意味で権威の方々ばかりでございますから、私どもも成果をできるだけ 部長を通して発表させていただきますが、もし、各委員の間でこれはいままで使われて いなかったけど、結構大きな要因になる分析ではないかというふうなものがありますれ ば、ざっくばらんに教えていただければ、それも十分に参考にしながら新しい推計をつ くっていきたいと思っておりますので、勝手なお願いでございますが、よろしくお願い したいと思います。 廣松部会長 今の統括官のお話は、大変心強い限りですが、特に人口推計といったときに、大変悩 ましいというか、これは必ずしも人口だけに限らないかもしれませんが、今おっしゃっ たような、社会経済的な要因と人口の因果関係を調べる際に、経済学的な言葉では構造 分析というのと、将来推計というのは、ちょっと性質が違うところがあります。将来推 計を行うに当たっては、極端に言うと、必ずしも明確な形で関係のあり方はわからない けど、もしそれが安定しているのであれば、それを前提として推計を行うということは ある程度可能なわけです。それを、それぞれのすべての要因の因果関係まで全部調べ尽 してその上で予測、あるいは将来推計を行おうというと、たぶん大変な労力と時間がか かることになると思います。 それからもう1つは、因果関係の記述というか、分析のしかたにも、定性的なものと 、定量的なものがありますから、たしかに関係はありそうだとしても、それを今この部 会として求められているような形の将来の人口の定量的な推計というところにまで明確 にできるかということになると、定性的な形での因果関係というのはなかなか使いにく い、この点ももう一つ難しい点としてあるような気がいたします。 ただ、私が口幅ったいことを申し上げるのは失礼かもしれませんが、従来の将来人口 推計とは違う考え方を採るということであれば、例えば先ほど永瀬委員とか山路委員が おっしゃったような点をプラスして、将来人口推計というよりも、どちらかといえばシ ミュレーションというか、かなり大胆な仮定をおいた形の予測も可能だと思います。例 えば、もし女性の就業と出生を両立させるような政策がとられた場合に、そこはかなり 大胆な仮定が必要なわけですけど、出生率がこの程度上がるとて、先ほどご紹介いただ いたような高位、中位、低位という3つの将来推計とは違う形の人口の動きというのも 、シミュレーション結果として出せるとは思います。ただ、そのときに当然そういう政 策がとられたとして、それが出生率をこの程度上げるという、その因果関係に関しては かなり大胆な仮定を置かざるを得ないと思います。 岩渕委員 いまごろ聞くのも変なのですが、この部会の位置付けとして、例えば、前の人口問題 審議会なんかとは明らかに違うなという感じは受けているんですが、設置要綱を見ても 、例えば、人口問題を議論する場ではなさそうだな。じゃあ、人口推計がどうなのかと いうことだけを考えるのか、あるいは、人口問題のあり方ではなくて、どうなるのかと いうところの社会経済的な要因の分析までもやる場なのか、それも関係ないのか、その あたりの位置付けが、どうもややはっきりしてないところがあるんじゃないかなという ふうに思うんですが、部会長いかがですか、そのへん。 廣松部会長 その点、私がお答えしてよろしいんでしょうか。最初、この部会の位置付けに関して 参事官からご説明いただいた、私個人の理解として、まず第一にこれはマストとしてと いうか、1970年以降、将来人口推計をずっと積み重ねてきておりますが、今回20 00年の国勢調査の抽出速報、それから今月末には全数の基本事項の確報が出るだろう と思いますが、それらと2000年の人口動態統計の結果が整った段階で、今まで5年 おきにやってきた将来人口推計の条件というか、道具が整った。したがって、せっかく そういう道具というか、材料が整い、かつ、今まで社会保障・人口問題研究所の方でず っと蓄積されてきた知識やノウハウを活用しない手はないだろうという考えでおりまし て、とりあえず、当面この人口部会としては、従来の方針に則って将来人口推計を行う 。まずこれが第一であり、次にそこから先、今いろいろな形でご指摘がございましたよ うな社会経済的な要因と人口との関係、あるいは人口も含んだ社会経済システム全体の 分析ないしその将来予測ということに関しては、おそらく、かなり抽象的な形になろう かと思いますが、将来人口推計を行う過程の中でご意見もいろいろ出てきましょうし、 あるいは発想も出てくるだろうと思いますので、そういうものを参考にしながら、少し 時間をかけてやっていきたいというふうに思っています。ただ、皆様方人口学のご専門 家でいらっしゃいますからご存じのこととは思いますが、もちろん理論的な形ではいろ いろな内生的な経済成長モデルとかが、提唱はされています。それらは、ほぼ20年近 くなるんでしょうか、でも残念ながら実証的な形でそれが実際に使われたというケース は現実にはないようですので、大変野心的な試みなのかもしれませんけど、少し時間を かけて社会経済的な要因も含めた人口モデルも考えてみたいというのが個人的な気持ち です。 おっしゃるとおり、人口問題そのものに関しては、この部会の守備範囲なのか、ある いは範囲外なのか、そこは事務局からご意見いただいた方がいいのかもしれません。 河参事官 いま部会長からご意見を含めてお話がございましたとおりだと私どもは思っておりま す。岩渕委員がおっしゃた中で、人口推計との関わりとしての社会経済問題については 、いま部会長からお話があったわけです。また、昨年までありました人口問題審議会に おいては、例えば、少子化対策をどうしていくんだというようなご議論も行われていた わけであります。この中にも多くの委員が社会保障審議会にお入りになっていらっしゃ いますけど、この親審議会において、この人口部会をつくってご議論いただきたいとい うお話の中心的な課題としては、人口推計ということであったと承知しております。 あと、例えば、少子化問題とか、いま議論が少し出ております、保育所をどうしてい ったらいいんだろうかというような議論も世の中の議論としてあるわけですし、あるい は社会保障審議会としてのご議論ということもあろうかと思いますが、もし、そういう ことが必要になりますれば、あるいは、この部会と児童問題みたいなことを、まだそう いう部会はございませんけども、そういう部会がつくられたときにはそれと一緒にご議 論いただきたいというような、社会保障審議会からの新たなご依頼があろうかと思いま すが、いま現在は当面この人口部会では、皆様方にお話いただいているようなことを中 心に人口推計が差し迫っておりますので、先ほどマストとしてと部会長おっしゃいまし たけど、そのことを中心にご論議いただければ有難いというふうに事務局では思ってお ります。 山?ア委員 社会経済要因を入れてはどうかというお話があるんですが、阿藤先生にお聞きするの が一番いいかと思うんですが、国際的にみて、日本の人口推計の手法というのはスタン ダードなものなのか、あるいは独自なものがあるのか、あるいは今までの推計について 、どのように評価されるのか。つまり、非常に精度が高い部類に入るのかどうか。そん なことについてお伺いしたいんですが。 阿藤委員 おそらく高橋部長もご意見があると思いますけども、出生率に関して話を絞らせてい ただきますと、一種の家族モデルのようなものを考えて行っているのは、たぶんアメリ カとイギリスぐらいではないかと思います。実はフランスが人口研究で有名なところで して、フランスの人口推計はどうやってるのかと思い、担当者に会わせてくれと行った ことがあります。そうしたら、あそこはINSEEという組織がありまして、統計局の ようなところですが、そこでたった一人の人が担当しておりまして、小さなパソコンで やっていました。別に小さい大きいは関係ありませんけども。出生率の見通しなど、将 来も一定ということで横にずっと引っ張ってやるということで、別に家族モデルなどを 複雑に考えるということは全くしていませんでした。ですから、それは国によってほん とに違うと思うんですね。ですから、日本を他の国と比べていえば、日本の場合は大変 いろんな道具立てを我々も考え、そして、世間からも要求され、ずいぶんと複雑なモデ ルになっているという感じがします。 それからもう1つ言えますのは、これは基本的に先進国の話ですけど、日本と日本以 外の先進国との大きな違いは、同棲婚外子の率が大変違うわけです。言いかえれば、結 婚するかしないか、結婚しない人は子どもをほとんど持たない。結婚した人が子どもを 産むということで、今日、高橋部長から話があったモデル、あるいは過去3回、4回ぐ らい続いているモデルの考え方というのは、それに則ってやってるわけです。つまり、 結婚しないで同棲をして、そこで子どもを産むということは今のところ非常に少ないか ら、そこを考える必要はない。それで分析の手法も、あるいは予測の手法もそこにのっ てやっているわけです。それは、ヨーロッパなんかでは非常に考えにくいことなんです ね。ですから、有配偶率とか、有配偶出生率とかいう言い方自体が向こうではあまり使 われなくなっていて、つまり、結婚というファクターはあまり考えない。むしろ、出生 そのものを考える。最初の子どもをいつ持つかということから出発する。そういう認識 の違いも大変大きいですね。だから、日本の場合、日本独自の状況があって、それに基 づいて我々ここ10年ぐらい、独自の推計方法を開発してきた、というふうに言ってよ ろしいかと思います。 精度の問題、当たるか当たらないかという話になると大変難しい。しかも、アメリカ の場合なんかは、いま数字ははっきり覚えていませんが、合計特殊出生率の幅が高・中 ・低で高と中の間がたしか0.5ぐらいありますか、かつてはものすごく大きかったん ですね、今はもう少し小さいかもしれませんけれど。ですから、その間に入るというよ うな発想です。日本の場合はファインチューニングで、非常に狭い範囲に入らないと、 外れたと怒られるというような、これは日本人の国民性といいますか、そういう部分も あろうかと思いますが、そういう世界でいわば推計をしているという事情もございます 。ほかにももちろんあるんでしょうけど、そんな感想を持っています。 山?ア委員 補足的な質問ですが、フランスでは1人の人がパソコン1台でかなり単純な予測をし ているというんですが、その予測が実績と乖離がなければ、おそらく問題にならないの だろうと思うんですが、それはどうなんでしょう。 阿藤委員 もう1つ付け加えれば、いまヨーロッパ、日本も含めて、先進国の出生率の動向は、 国によってというかグループによって特徴があります。比較的高いグループ、英米圏、 北欧、フランス、こういったグループの国の出生率は大まかにいって、1.7〜2.1 の間ぐらいをずっと動いているわけですから、例えば、人口置換水準の2.1までもっ ていくかどうかは別にしても、大体横に引っ張っておいて、それ以上下がることはない だろうというふうに仮定しても、それほど見当違いではないと、現在の段階まででは思 えるということです。ですから、それに乗ってやっているので、ある意味では現実もそ ういうふうに動いたと。だから、大体いいでしょうという話になります。ところが、難 しいのは、出生率が大きく動いている国です。これは南ヨーロッパ、ドイツを筆頭とす るドイツ語圏、それから日本。実はアジアNIESなんかもみんな日本にならって同じ 方向に動いているんですが、とにかく基本的に下がり続けるという方向にきてる。こう なりますと、一体どこまで下がるんだとか、どこかで歯止めがかかるのか、歯止めがか かる条件は何かとかいうことは全く未知の世界なんですね。今まで人類の経験のない世 界ですから、それをいかにして、例えば、50年先まで読むなんていうことは実は不可 能な話なんですけども、せめて数年間でも、ある程度予測ができればそれでいいという ことだと思いますが、ともかくそういう未知の世界に入ってきているということで、そ ういう国では推計は大変難しい。前者のグループであれば、将来一定とみて、大体横に 引っ張っておけば一応当たっていると評価される。そういう違いがあると思います。 高橋部長 ちょっと補足させていただきますと、先ほどのアメリカ政府の出生率、高位と低位で どれくらい差があるかと言いますと、1999年のがアメリカは最新なんですが、出生 率の高位の仮定は2.73、中位が2.18、低位が1.63です。極めて大きな幅を 持っている。フランス政府の場合は2001年、今年公表されたものですが、高位が2 .1、中位が1.8、低位が1.5です。このように、比較的ざっくりとした予測が一 般的な先進国での推計のやり方であるということはいえると思います。 廣松部会長 人口推計ということだけではなくて、もう少し一般的な話で、先ほど遅れましたのは 統計審議会が延びたためなのですが、そこでも議論というか、話題になっている点で、 速報ということに関して、日本の文化というか、社会というのは大変難しい状況にある という点があります。速報と確報がほぼ同じでないと納得していただけないということ です。 一方で速報ということですから、当然早く出さなければいけないという要請も強いと いうことで、我々大きなジレンマに直面しているわけです。いまアメリカの出生率の話 がありましたが、マクロ経済データのGDPなどでもそうですが、アメリカの場合には 、速報と確報が1%ぐらい違っても問題にならないわけですが、日本の場合は0.1% 違うと政治問題にまでなるというところがございます。その点、実際に将来推計を行う 、あるいは統計調査の結果をなるべく早く集計して早く出すということに関しては、当 然専門家として最善の努力はすべきであることは事実なんですが、速報の受け止め方に 関してもう少し、これは我々が言ってもしょうがないというか、なかなかそう大きくす ぐに変わるわけではありませんが、もうちょっと大らかに、予測とか速報とかを見ても いいのではないかなというふうには思います。 阿藤委員 もう1つついでにコメントというか、感想を言わせていただくと、先ほどから出てい ました社会経済的な変数と人口、とりわけ出生率の関係、これは現実問題としてほかの 国の、あるいは国連、アメリカセンサス局などがやっている世界の推計などについて、 そういうものを考慮した推計があるかというと、皆無です。政府なり公の機関がそうい うものを取り入れてやっているところはまずない。もちろん予測のためのバックグラウ ンド研究としては、相関分析をやったり、多変量解析をやったりしてると思いますけど 、それをそのまま推計モデルに取り入れるということはまず私の知る限りではないと思 います。 部会長がさっきおっしゃったように、もともと人口と社会経済、環境とかを全部組み 込んだようなダイナミックモデルで一種の試算をしてみるとか、そういうのはシナリオ 型の社会経済モデルとしてはいろいろあると思いますが、一国なり世界の推計をすると いうときにそういうものを入れるというのはないと言っていいと思います。それはいろ んな理由があると思いますけど、1つは人口の推計と社会経済の変化の推計とどっちが 容易なんだというと、おそらく、常識的に考えて人口の推計のほうが簡単だろうと。人 口のほうが、例えば、子どもの数にしても、0になることはない。そうすると、先進国 であれば、1と2と間ぐらいだなというぐらいのことは大まかには言えますよね。とこ ろが、そういうことを言えない社会経済現象が山ほどあるわけでして、そういうものを 30年先、50年先にどういうふうに設定するんだということになると、人口よりもは るかに予想が難しい。しかし、それができなければ、つまり社会経済変数を説明変数に して人口変数を被説明変数にするような推計というのは基本的にあり得ないということ になりますから、そうすると、ロジカルに考えてもそれは大変難しいということが1つ あるんだと思います。 永瀬委員 先ほどの高橋部長の最初のご説明、精緻で大変わかりやすく、なるほどと思って伺い ました。また、今回の将来人口推計は前回よりも再び下向き修正なんだなと思って伺い ました。そうしますと、年金の財政再計算ですとか、将来予測に非常に大きく響いてい くことになり、またまた新聞紙面に非常に暗いニュースが流れるんじゃないかというこ とを予想します。そういう予想がまた現実に影響してしまうというか、そんなに暗い将 来だったら、ということで、またまた暗い気持ちになるんじゃないかと思ったものです から、もう少し明るいシナリオもほしい。例えば子供を生みやすい社会経済環境がつく られれば、どんな変化がありうるのか。といった点、ほんとのことを言うと、50年先 なんてわかるわけがないと思います。もちろんいまの状態がこのまま続けばこうなると いうこの予想は非常に精緻だと思うんですが、予見の変化、つまりどういうことになる かわからない部分もいろいろあると思いますので。 ちなみにアメリカなどでそれほど人口推計に幅がある場合には、年金が賦課方式のも とでは、きわめて幅広い予想を立てつつ話を進めていくんでしょうか。米国の年金の財 政再計算はどうなっているのでしょうか。これは違うところの話ですが、いま人口推計 が世間の非常に高い関心を集めるのは年金の見通しに大きく影響するような年金の財政 再計算がいままで行われていることと関係するような気がするんですけど。事務局に伺 ってよろしいでしょうか。 山崎委員 いまの永瀬委員のご意見と同じような感想を持っていたんですが、どうも、我々はあ まりにも精度の高い、しかも精緻な推計を求めてきたのではないかなという気がいたし ます。今のお話ですと、外国ではどのような推計を行っているのか。あるいは出生率が 安定している国であれば、極めて単純な仮定をおいて推計しても大きな誤差はない。し かし日本は非常に難しい状況の下で推計してるんだと。そして我々日本人が非常に細か いところまで注文をしているというふうなことを少しオープンにして一般の国民にも知 らせていただいたほうがいいんじゃないかなという気がします。つまり、国際的にみて 、我々がやっている推計というのは、このようなところに位置付けられるんだというこ とを説明していただきたいんですが。阿藤先生、高橋先生のお話で私はもう少し大らか になっていいんじゃないかなという気がしてきました。 秋山委員 全く素朴な疑問なんですが、こういう推計というのはおそらく精度が高ければ高いほ どいいんだと思うんですけども、いまのご意見にもありましたが、例えば、アメリカ程 度の推計をやった場合、どういう問題が生じるのか。というのはどうなんでしょう。 廣松部会長 具体的に、例えば、推計値と実績値がかなり乖離したときにどういう問題が起こるか ということですか。 秋山委員 ええ。ですから、精度を極端に追及することがどこまで必要なのか。ある程度緩めた 場合に、具体的にどういう問題が生じるのかを伺いたいんです。 阿藤委員 これは笑い話みたいな話で、実は本当らしいんですけども、かつてアメリカセンサス 局が人口推計を出していましたと。高位、中位、低位と、出生率の仮定によって推計結 果も3つ出る。ある時期までは中位がアメリカセンサス局の見通しであるということで 発表していたのです。それに基づいて、ある人が、子どもの数が増えるんだな、という ことでチャイルドインダストリーに投資をしたら、ベビーブームが去って出生率が大き く下がって大損をした。それでセンサス局を訴えたという話があると、私は間接的に聞 いたので本当かどうかは定かではないんですが。ともかくそういうことでいうと、民間 の方がもしその推計を信用して利用して投資行動に走るとかすれば、損をしたり、得を したりするということも起こり得るわけです。それで、今ではセンサス局は、これは国 の推計ですということは言わない。しかし、例えば、出生率については高・中・低、死 亡率についても高・中・低、そして国際人口移動についても高・中・低、全部で27通 りの推計を出してどうぞお使い下さいと、基本的なスタンスはそういうことだそうです 。ただ、なんとなくみんな中・中・中をとれば、それがアメリカ政府が考えている推計 なのであろうなと思うけれども、センサス局はそうだとは言っていない、というような ことになったという話を間接的に聞いたことがあります。そういう意味で、日本とアメ リカの推計結果についての受けとり方の違いというのは相当出てるかなと思いました。 長谷川委員 社会経済的な要因と人口の推移は基本的に理論がどうなるかわからないというか、も しも、お金があればあるほど子どもを産むだろうとか、女の人の就業条件が良ければ良 いほど産むだろうといってるのは、基本的に、そういう社会経済的要因とは別に女の人 というのは子どもをうんと持ちたい、それが社会経済的要因によってある時は抑えられ たり、ある時可能になったりするということを想定していて、常にこちら側としてはい っぱい産みたいというのがあるというふうに想定することになるでしょう。そこのとこ ろが、人々はどういうふうに、子どもとか自分の人生の設計をするかということの1つ のファクターにかかっているだろうけど、それが原因で本来的に持っている何かが出た り出なかったりというふうに直接制御されているわけではないでしょうから、そこを結 びつける理論的な何か概念がないかぎり、社会経済的要因といくことをモデルに組み込 んだりすることは非常に難しいと思います。それは何か影響はするんでしょうけど、そ れが原因となって決めているということを理論づける根拠はあまり確かにはないと思い ます。 廣松部会長 ご指摘のとおりだと思いますが、一つの考え方としては、先ほどちょっと申し上げま したが、ご存じのとおり、特に80年代半ば、ちょうどレーガン政権の経済政策をレー ガノミクスなどと言っていたときでしょうか、シカゴグループの人たちがいまご指摘の あったようないろんな要因を一つの理論体系としてまとめて提唱し、政策に適用した時 期はございますけど、結果的には先ほど申しましたとおり、また、阿藤先生もご指摘に なったとおり、それが実証的なモデルとして有効だったということは必ずしも言われて いませんし、ましてやそれが実際の人口推計に使われた例はないんだろうと思います。 ただ、一言だけ、先ほど阿藤先生がおっしゃったようなことは、人口推計だけではな くて、一般の統計に関しても似たようなところがありまして、政府が公表する、あるい は公式に出されたものに基づいてある行動をとった結果、その人が損をして訴える、ア メリカの社会ではそういうことがよくあります。ただ、そこで1つ抜け落ちてるのは、 先ほどおっしゃった人口が増えるだろう、したがってチャイルドビジネスに投資したと して、投資すると決断をしたのは、決断した人の責任であって、決して予測として増え るだろう、あるいは見込みとしてそうなるであろうと言ったほうの責任ではないという ことです。この点をちゃんと明確にしておかないとそこで混乱が起こるように思います 。 そして、人口の場合には、今回もそうですけど100年単位で推計を行うわけですが 、それに対して経済関係の統計の場合には極端にいうと、2か月ないし3か月遅れで新 しいのがどんどん出てきます。それがそれぞれのビジネスの決断に影響を与えるわけで すが、そのときにも、それに基づいて決断するのはあくまで経営者なら経営者の責任で あって、データを公表したほうの責任ではないということは明確にしておくべきだろう と私は思っています。 向山委員 一点教えてほしいんですが、今までの将来人口推計では、65歳以上の人口という部 分については、高・中・低の区別というか、数字が一本になっていますね。そこでかな り乖離が出てきているという実態からすれば、高位、中位、低位をそれぞれ数値を記載 するような仕方ができないものかどうなのか、その点を伺いたいと思います。 高橋部長 高齢者の部分について、高・中・低の違いということですが、この推計では、将来の 生残率、死亡率に関して一つの仮定しか置いておりませんので、違いは全く出て来ない ということになります。なぜかというと、生まれた人が死亡していく率というのはみな 同じですので、高齢者の部分に関しては数値は1つである。その違いをつけるとすれば 、将来の寿命に対していくつかのシナリオを用意して、ですからアメリカ政府のように 出生率について3つの仮定、生残率について3つの仮定を置いていますから、それと同 じように、死亡率に関する仮定の種類を増やしてやらなければその違いは構造的に出て きません。ですから、今回の新しい推計においては、今のところ、死亡率に関しては高 齢者の当てはまり具合の悪いところを直して、1つでやりたいというのが今の基本的な 考え方であります。 3.閉会 廣松部会長 大変積極的なご意見をいただきまして、ちょっと時間が過ぎてしまったんですが、何 かご発言がございますでしょうか。よろしいでしょうか。 それでは本日の議論はこれまでにしたいと思います。 次回は本日、委員の皆様方からご指摘のあった論点等踏まえまして、国立社会保障・ 人口問題研究所で作業を行っていただき、さらに議論を行って深めて参りたいと思いま す。次回の日程ですが、当初の予定では11月開催としております。先ほど申しました とおり、今月末までには国勢調査の全数集計の基本項目の結果がまとめられ、公表され る予定となっておりますので、その結果に関してこの部会でもご紹介いただければと思 います。11月中、委員の皆様方の日程等に関しては、あらためて事務局からご連絡を 差し上げて調整させていただきたいと考えております。 本日の予定は以上でございますが、特にご発言ございますでしょうか。 冒頭遅れまして、誠に申し訳ございませんでした。それでは本日はこれで終了したい と思います。どうもありがとうございました。 〜 以上 〜 照会先 政策統括官付社会保障担当参事官室 地域政策係 代)03−5253−1111(内線7785) ダ)03−3595−2160

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