04/10/18 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会第8回議事録 第8回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 日時:平成16年10月18日 16:00〜18:00 場所:霞ヶ関ビル33階富士の間 しろまる出席委員 石井みどり委員、加藤陸美委員、菊田信子委員、北村惣一郎委員、木村?骼汕マ員、 坂本雅子委員、高橋清久委員、多田羅浩三委員、田中平三委員、玉利 齊委員、 土屋 隆委員、富永祐民委員、中村丁次委員、久道 茂委員、松本和夫委員、 村田昌子委員(16名) しろまる次第 I 開会 II 議題 1 第7回(平成15年6月)以降の地域保健・健康増進栄養施策について (報告) (1)生活習慣病対策について (2)地域保健対策について (3)三位一体改革について 2 「健康日本21」の中間評価について 3 今後の検討事項について III その他 IV 閉会 しろまる議事 瀬上参事官 皆様にはお忙しい中お集まりいただきましてまことにありがとうございます。定刻と なりましたので、ただいまから第8回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会を開催 させていただきます。 私、当分司会を務めさせていただきます7月23日付で大臣官房参事官健康担当を拝命 いたしました瀬上と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。 はじめに健康局長のご挨拶でございますが、本日ただいま衆議院の予算委員会が開会 中でございまして、それに出席しております。代わりまして健康局担当の審議官でござ います岡島から一言ご挨拶を申し上げます。 岡島審議官 田中局長に代わりましてご挨拶申し上げます。本日はご多忙中にもかかわらずご参集 いただきありがとうございます。厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会は昨年6月 以来、約1年3か月ぶりの開会になります。この間本年5月には与党におきまして健康 フロンティア戦略が取りまとめられ、健康寿命を延伸することを基本目標とし、平成1 7年度から10年間、生活習慣病対策と介護予防を柱に施策を推進していくこととさま した。こうした流れの中で、2010年度までの国民健康づくり運動である「健康日本 21」につきましては、中間年である2005年を目途に、これまでの取り組み状況等 の中間評価を行うこととしております。本日は後ほど資料に基づきましてご説明し、ご 議論いただきたいと思いますが、本部会におきましては、一次予防、二次予防を含め、 今後の「健康日本21」及び健康フロンティア戦略の推進のための施策の方向性につい て幅広くご議論いただきたいと考えております。 また関連する議論としまして、医療保険制度改革の議論が社会保障審議会医療保険部 会において進められておりますが、その中でも発症予防、重症化予防等による医療費適 正化の観点から生活習慣病対策の重要性が指摘されております。さらに健診をはじめと する老人保健事業につきましては、現在、老人保健事業の見直しに関する検討会での検 討が進められており、今月末には中間報告が取りまとめられる予定となっております。 このように、生活習慣病対策、地域保健対策の重要性を指摘する声が高まる一方、政 府全体の動きとして三位一体改革の議論が進んでいます。その中では、がん対策や循環 器疾患対策、さらには地域保健対策等に関する補助金のほとんどについて廃止要望が地 方6団体から出されており、生活習慣病対策、地域保健対策に関し、今後の国と地方の 役割分担のあり方についても基本的な検討を行うべき大きな節目を迎えていると認識し ております。 このようにさまざまな検討課題が山積しており、今後当部会におかれましては、「健 康日本21」の中間評価を進めつつ、一次予防施策、二次予防施策、さらにはそれらを 支える推進体制について精力的なご議論をお願いしたいと考えております。 お忙しいところ大変恐縮でございますが、生活習慣病対策、地域保健対策の充実に向 け、今後とも貴重なご意見を賜れればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いい たします。 瀬上参事官 審議会でございますので、出欠状況についてご報告させていただきます。委員定数が 24名でございます。本日は遅参されるというご連絡をいただいております方を含め1 7名の委員のご出席を得ることとなっております。出席委員、遅参される委員を除きま しても、過半数に達しておりますので、会が成立しておりますことをご報告申し上げま す。 続きまして、本部会の委員が、これまで1年半の間に交代されておりますので、交代 された方についてご報告申し上げます。 坂井剛委員が退任され、後任の委員として石井みどり日本歯科医師会常務理事がご就 任です。 小林一子委員に代わりまして、菊田信子全国食生活改善推進員団体連絡協議会会長の ご就任です。 矢崎義雄委員に代わりまして、笹月健彦国立国際医療センター総長がご就任です。 櫻井秀也委員に代わりまして、土屋隆日本医師会常任理事のご就任です。 鈴木久乃委員に代わりまして、中村丁次日本栄養士会会長がご就任ですが、遅参され るというご連絡を受けております。後ほど改めてご紹介させていただきます。 児玉更太郎委員に代わりまして、松本和夫佐賀県北方町長がご就任です。 松永敏子委員に代わりまして、村田昌子茨城県保健福祉部子ども家庭少子化対策室長 がご就任です。 私ども事務局にも異動がございました。 健康局総務課長の石井でございます。同じく、生活習慣病対策室長中島でございます 。 以上、委員並びに事務局の交代についてご紹介いたしました。 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。 お手元には、・議事次第 ・委員名簿 ・座席表 に続きまして、資料が5部ほど束 ねられております。 資料1−1 生活習慣病対策関係 資料1−2 地域保健対策関係 資料1−3 三位一体改革について 資料2 「健康日本21」関係 資料3 今後の検討事項 となっております。 ご不足、ご落丁ございましたら、お手を挙げて事務局までお伝えいただければと存じ ますが、よろしいでしょうか。 それでは、これ以降、部会運営につきましては、部会長久道先生にお願いいたします 。よろしくお願いいたします。 久道部会長 それでは早速議事を進めたいと思います。議題の1の(1)生活習慣病対策について 、中島室長からお願いいたします。 中島室長 中島でございます。私からは資料1−1に即しまして生活習慣病対策関係についてご 説明を申し上げます。 基本的に前回、平成15年6月に開催させていただいた以降の主な施策についてご紹 介をするということでございます。 まず1ページですが、生活習慣病関係、大きな出来事として「健康フロンティア戦略 」というものがございます。平成16年5月に与党の幹事長、政調会長の会議が催され まして、そこで、戦略の趣旨として、その4行目、国民の健康寿命を伸ばすことを基本 目標に置き、生活習慣病対策の推進と介護予防の推進の政策を展開する。ということで 、戦略の実施期間としては平成17年からの10年間、政府における重点施策とするよ う、お申し入れがあったわけでございまして、具体的内容といたしましては2ページで すが、大きく4本柱として、1つは、「働き盛りの健康安心プラン」ということで、3 大死因(がん、心疾患、脳卒中)と糖尿病について食育を含む総合的な予防対策をして いくということでございます。 2つ目は、女性を対象とした「がんの緊急対策」で、乳がん、子宮がんについて重点 的に緊急対策を講じていくということでございます。 3つ目は、高齢者層を対象とした「介護予防10ヵ年戦略」でございます。これは現 在、来年国会提出を予定しております介護保険制度の改革の中で鋭意いろいろな施策が 検討されているところです。 4つ目は、「健康寿命を伸ばす科学技術の振興」、生活習慣病予防、介護予防を支え る科学技術の振興ということで、4つの柱を立てて施策を推進していくことを内容とし ている戦略でございます。 こうした与党からのご指示を踏まえまして、本年6月には、いわゆる骨太の方針とい われておりますけれども、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」の中 で、健康フロンティア戦略を重点的に展開していくということを政府としても決定され たところです。 4ページでは、こうした「健康フロンティア戦略」を受けて、厚生労働省健康局とい たしましては、来年度、平成17年度予算の概算要求として、4ページ以下に掲げたよ うな施策を要求させていただいているところでございます。 基本的考え方については、その下から4行目からですが「本戦略については平成18 年度以降、医療保険制度改革も視野に入れて生活習慣病対策等について本格実施をして いくこととし、平成17年度は、介護保険制度の見直しに併せて介護予防を推進し、ま た、ハード、ソフト両面にわたる基盤整備を重点的に行っていくということとなってお ります。 具体的に、生活習慣病対策に関しての主要予算の概要でございますが、まず 「健康フロンティア戦略」に掲げられました個々の各種施策の確実な推進ということで( 1)から(4)に掲げた施策の予算を要求させていただいております。 1つ目が、我々「e−ヘルス」と呼んでおりますけれども、国民一人ひとりがITを 活用して保健師、管理栄養士等の専門家からの健康指導が受けられるプログラムの開発 。 2つ目は、運動、食生活といった生活習慣の具体的改善に資するために、ウォーキン グ等に関する指針、運動所要量、運動指針といったものも改訂いたしまして、ウォーキ ングロードの普及にも努め、いわゆるウォーキング等に努めていただくための環境整備 。さらには、糖尿病予防に重点を置いた栄養指導マニュアルを策定し、普及定着させて いく。 3つ目、たばこ対策については、娯楽施設等、受動喫煙対策が遅れている施設を重点 的に禁煙・分煙指導をしていく。その際には呼気中の一酸化炭素濃度を測定するデジタ ル粉じん計も有効に活用して禁煙・分煙指導をしていただく。さらには、禁煙をお望み の方に対する支援マニュアルといったものの策定普及を図る。 4つ目のがん対策に関しては、第3次対がん10か年戦略にも盛り込まれております 、がん診療にかかわる地域格差の縮小、いわゆる「均てん化」のための経費として地域 がん診療拠点病院の整備計画といったものも要求させていただいているところでござい ます。それとともに、後ほどご説明いたしますが、糖尿病についての戦略的研究という ことで、15億円の予算を計上させていただいているところです。 そして、先ほどもご説明いたしましたが、平成18年度に予定されております医療保 険制度改革を睨みまして、生活習慣病対策の充実強化に向けた基盤整備を17年度はさ せていただきたいということで、5ページの上の枠ですが、大きく2つ、「健康日本2 1」の中間評価を確実に実施していく。それとともに二次予防に関して健診の在り方と いったものを検討していくことを、基盤整備として進めていきたいと思っております。 いわゆる一次予防施策の見直し重点化ということで、「健康日本21」の中間評価に 関しましては、2010年を目標年度とする目標値の現時点における実績の達成度を踏 まえまして、政策手法、施策の有効性を検証して参りたい。 (1)(2)でございますが、ポピュレーションアプローチ、またはハイリスクアプローチ といった組み合わせ、さらにはハイリスクアプローチのより強化した取り組みを考えて おります。また、(3)(4)は、右にあります2次予防も含めてのものでございますけれど も、生活習慣病対策の推進体制という観点から、関係機関、関係団体の役割分担、責任 体制といったものはどうあるべきかという議論。さらには、国民健康・栄養調査に代表 されます諸々の各種データの収集、分析体制の整備といったものも併せて検討していき たいということでございます。 また、右の健診の在り方については、健診の効果的・効率的な実施のための検討と、 その結果を踏まえたモデル事業のようなものを実施したいと考えておりまして、具体的 にはライフステージに応じた健診項目といったものの重点化、健診の精度管理、さらに は健診データの判定基準の標準化、健診データの生涯を通じた継続管理のあり方、そし て、健診を受けた後、確実で的確な保健指導、事後指導を受けていただく体制整備、と いったものについて検討を進めていきたいと思っております。 後ほど述べますように、こうした「健康日本21」の中間評価、健診の在り方、さら にはそれを支える推進体制といったものにつきましては、今後、本部会で鋭意ご審議い ただき、そこでいただいたご意見を踏まえまして着実に推進していきたいと考えている ところでございます。 5ページ、3の具体的内容については省略をさせていただきます。 6ページのイに、がん対策の推進とありますが、17年度要求の大きなもののひとつ として、ここには書いてございませんが、老健局の方で計上しております、乳がん検診 におけるマンモグラフィーの緊急整備ということで79億円の予算を要求させていただ いているということをつけ加えさせていただきます。 8ページからが生活習慣病対策の各論的なものに入りますが、その大きな一つのたば こでございます。たばこに関してはWHOで「たばこの規制に関する枠組条約」という ものがございまして、これまでの経緯のところに書いてございますが、平成15年5月 にはWHO総会において採択され、我が国においては翌年3月に署名、そしてこの6月 に批准をしたところでございます。 現在のところ、署名国168、批准国32ということで、これは10月15日現在も 変わってございません。 本条約は批准国が40ヵ国に達した90日後に発効することになっております。現在 批准国32ヵ国ですけれども、今後EU諸国が一括して批准することが見込まれますの で、本年度内には発効するだろうという見込みを立てて、政府として鋭意対策を強化し ているところでございます。 条約の概要等は2.のところですが、個別事項、全体に係る事項について、このよう な形で整理をしておりますが、条約の批准を睨みまして、既に各種の取り組みを強化し てきたところでございます。 具体的に申しますと、(2)受動喫煙等については条約内に対応すべき旨の措置が規定さ れていますが、健康増進法第25条で受動喫煙の防止措置についての努力義務を規定さ せていただいているところでございます。 (3)たばこの表示のあり方について、警告表示ですが、これについては、昨年、たばこ 事業法の施行規則を改正して、表示の見直しを実施しております。 (4)たばこに関する広告についても、今年、たばこ事業法に基づく告示を改正して、広 告の規制の強化を実施しております。 (5)自動販売機については、未成年者の喫煙防止という観点ですが、これについては1 1ページに「未成年者喫煙防止のための適切なたばこの販売方法の取組みについて」の 要請文をつけさせていただいていますが、既に、警察庁、財務省、厚生労働省の3省で 、平成12年度、14年度、16年度に関係業界向けにこのような未成年者がアクセス できないような形での自販機の設置促進ということについてご依頼を申し上げていると ころでございます。業界の方では、成年識別機能付きのたばこ自動販売機の導入を計画 されておりまして、平成20年の全国一斉稼働を目指して現在モデル事業を実施してお られるところだと伺っております。 (6)含有物規制については、今後、締約国会議が開かれますので、そこで策定される指 針を受けて対応していくことになると心づもりをしているところでございます。 また、たばこ全体に係る事項の(2)国内調整の仕組み等でございますが、たばこ対策は 大変数多くの省庁にまたがる対策でございます。10ページにありますように、これだ けの省庁がたばこ対策に関係しているわけです。従いまして、こうした省庁を網羅する 形で関係省庁連絡会議を6月に設け、既に課長級レベルの幹事会を開催させていただい ているところでございます。近々には局長級の会議も開催いたしたいということで鋭意 準備を進めているところでございます。事務局は財務省のご協力を得ながら我が省で実 施することになっております。 14ページに移らせていただきます。先ほど17年度概算要求でご説明をいたしまし たが、糖尿病対策でございます。(背景)にございますが、平成14年度の糖尿病実態 調査では、糖尿病の可能性を否定できない人を合わせると、約1,620万人の方が糖 尿病の疑いなり、可能性があるということでございまして、当時の5年前と比べて約1 8%増という状況になっています。まさに生活習慣病の典型ですが、「健康日本21」 等で、がん、循環器病と比べますと、若干体系的な取り組みが遅れていた感は否めない 糖尿病でございますので、17年度には下にありますような、予防・診断・治療の面の 戦略的研究を進めていきたいと思っているところでございます。 この糖尿病予防については、日本医師会、日本栄養士会でも積極的に取り組みをして いただけるというお話をいただいておりますので、大変心強く感じているところでござ います。よろしくお願いをいたします。 15ページは「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」でございます。 これは坂口前厚生労働大臣の強いご指示で発足した懇談会で、目的としてはがん医療 の均てん化を推進するために、がん医療における地域間格差の要因につき検討を行い、 その是正のための具体的方策を提言することを目的とするということで、具体的な検討 事項として、(2)がん専門医等の育成 (3)がん専門医療機関の役割分担を踏まえ たネットワーク体制の整備 (4)そうしたネットワークを踏まえたがん専門医等の人 材交流といったことを中心にご審議いただくことを予定しております。 座長には垣添国立がんセンター総長にご就任いただきまして、既に9月9日に第1回 を開催し、この21日に第2回を開催する予定で、本年度内にご提言をおまとめいただ く予定でございますが、おまとめいただき次第、本部会にもご報告を申し上げる予定で おります。 17ページは、健康診査等指針について、ということで、健康増進法の第9条では「 厚生労働大臣は、健診の実施について、医療保険者、老人保健事業を担っていただいて いる市町村、労働安全衛生、学校保健、母子保健等の健康増進の事業実施者に対して、 健診の実施について指針を定め、それを遵守していただく」という根拠規定がございま す。 それに基づきまして、本年6月に健康診査等指針を策定、公表させていただいたとこ ろでございます。 具体的には、指針の概要の一 健康診査の実施に関する事項 (ア)健康診査の在り方として ・未受診者に対する受診の促進 ・検査項目及び検 査方法に関し見直し、有効性等について検討する。検査項目、検査方法のエビデンスが 明らかなものを重点的にやっていく。 (イ)健康診査の精度管理として ・内部精度管理、外部精度管理の適切な実施 二 健康診査の結果の通知及びその結果を踏まえた保健指導に関する事項として ・健康診査の結果を通知するだけでなく保健指導につなげていく ・個人指導と集団 指導の適切な組み合わせ ・地域と職域の連携を図る 具体的には市町村、医療保険者 等から構成する協議会等を設置する。ということを盛り込んでおります。 三、四で、個人情報の取り扱いに留意しつつ、健康診査の結果等に関し、生涯を通じた 継続管理が可能な体制をとっていく、というようなことを健診指針の中で方向性として 明示をしたところです。 五 施行期日は、平成16年8月1日とさせていただいているところでございます。 本指針を受けまして、医療保険者をはじめ各健康増進事業実施者は自らの健診等に関 わる保健事業実施に関する指針等を見直していただいたところでございます。 例えば、健康保険、国民健康保険におきましては、都道府県単位で地域における医療 費分析とともに、健診等の保健事業を保険者が連携し、または共同実施をしていくこと に取り組むための保険者協議会といったものを設置するという方向で施策を講じている ところでございます。 今後はこの健診指針に盛られたそれぞれの事項について、さらにその具体的内容を検 討していくことが課題ではないかと考えておるところでございます。まさにそのことが 先ほどの17年度概算要求でご紹介した健診の在り方の見直しとも軌を一にするもので 、今後こうした点について、本部会でもご審議をいただき、それを踏まえつつ検討を深 めていきたいと考えております。 以上、資料1−1 生活習慣病対策の説明を終わらせていただきます。 久道部会長 どうもありがとうございました。質問とご意見は議題の1の3本の説明が終わった後 に伺いたいと思います。それでは2番目の地域保健対策についての説明を野村室長と横 尾室長から続けてお願いします。 野村室長 保健指導室長の野村でございます。私からは資料1−2の1 地域職域連携について ご説明をいたします。 1ページでは、まず地域保健と職域保健の連携についての経緯でございますけれども 、(1)平成11・12年度から検討会を開始しております。どのような地域保健、職 域保健の連携を進めていけばよいのかといったそもそもの検討から始めまして、2年間 かけて中間報告をいただいております。 (2)13年度に生活習慣病予防のための地域職域連携保健活動検討会を1年間開催い たしまして、この中でどういった連携が必要なのか、連携方策、それから連携推進協議 会を設置、保健計画の策定、健康教育等の保健事業の相互活用や共同実施ができるので はないかという検討結果をいただいております。 (3)この検討結果を受けて、平成13・14年度でモデル事業を行っております。 地域・職域健康管理総合化モデル事業、これは3ヶ所の都道府県で実施しております 。内容は、市町村や事業所等の健診情報を個人の同意の下に都道府県で総合的に管理を して、総合化した健診情報を退職後の継続した保健指導や地域診断に用いるモデル事業 を実施しております。 (4)それを受けて 15年にはこの事業の評価をしております。そしてもう1つ、 (5)地域・職域連携共同モデル事業を全国11ヶ所で実施いたしました。この内容は 、地域保健、職域保健それぞれが有する保健事業をいかに効果的、効率的に活用してい くのかといったことを検討する連携推進協議会を設置して健康教育等の保健事業の相互 活用や共同実施を実際にやっていただいて、問題点を把握し、今後のあり方を検討して いただきました。 (6)平成16年、今年度は15年に行ったモデル事業の評価検討会を開催していると ころでございます。この検討会の要綱は2ページにつけてございます。 15年度に行ったモデル事業をベースに議論をしております。9ヶ所のモデル事業の 詳細は4〜6ページにつけてございます。こういった実際にやっていただいたところか らヒアリングをして、その中で問題点や課題を整理し、今後の連携の普及方策、そして こういったものを基にガイドラインを策定していくことを今年度の事業として考えてお ります。 17年度につきましては、後ほど横尾室長から説明がありますが、全国的にこういっ た連携事業が展開できるような予算要求をしているところでございます。 続きまして7ページでございます。地域と職域との連携、このような検討会、モデル 事業を実施しているところでございますが、これをガイドライン、指針に盛り込んでご ざいます。1つは、1の地域保健法の第4条に基づく基本指針の第六の四 地域保健と 産業保健の連携について、指針として書いてあります。これは平成15年5月の改正で 盛り込んでいます。 2番目には、先ほど中島室長から説明がありました健康増進法の健診指針の中に書き 込んだ地域保健と職域保健の連携の部分でございます。 1についての説明は以上で終わらせていただきます。 横尾室長 続きまして地域保健室長の横尾でございます。どうぞよろしくお願いします。9ペー ジ目の保健所長の資格要件の見直しについてご説明いたします。 平成6年度に従来ありました保健所法を改正しました地域保健法において、保健所は 広域的、専門的かつ技術拠点として機能を担うものとされ、また地域保健法の施行令で 、保健所長は医師であることを規定しております。現在、保健所は127自治体、都道 府県、指定都市、中核市、その他政令市、特別区の自治体で571設置されております が、この保健所長の医師資格要件について、12ページをご覧いただきますと、法的位 置づけについて、ということで、地域保健法の抜粋がございます。地域保健法第10条 に「保健所に、政令の定めるところにより、所長その他所要の職員を置く」となってお り、また、地域保健法施行令第4条で(所長) 保健所の所長は医師であっで、左の各 号の一に該当する技術吏員でなければならない。 一 三年以上公衆衛生の実務に従事した経験がある者 二 国立保健医療科学院の行う養成訓練の課程を経た者 三 厚生労働大臣が、前二号に掲げる者と同等以上の技術又は経験を有すると認めた 者 というふうになっておりまして、さらにその下に関係通知があって、その中で第2 号と第3号で説明があり、国立保健医療科学院の行う養成訓練課程とは、国立保健医療 科学院教育訓練規程第5条に定める「専門課程I」をいう、となっています。 また、厚生労働大臣が、これと同等以上の技術又は経験を有する者というのは、 (1)外国において1に準ずる課程を修了し、公衆衛生修士の学位を取得した者、 (2)医師免許取得後、公衆衛生関係の研究若しくは教育に3年以上従事した者、又は 、診療に5年以上従事した経験を有し、かつ1に定める「専門課程I」の科目のうち別表 に掲げる5科目を受講し、12単位を修得した者 となっております。 9ページに戻って、こういった保健所長の医師資格要件について、平成14年10月 に地方分権改革推進会議より「保健所長の医師資格要件に関する要望書」が出されてお ります。保健所には医師が必置であるが、場合によっては地方自治体の判断で保健所長 は医師でない者を充てるという選択肢も認めるべきである、というような要望でござい ます。 この要望を受けまして、平成14年12月「国と地方に係る経済財政運営と構造改革 に関する基本方針」の中で、保健所長の医師資格要件の廃止について、平成14年度中 に保健所長の職務の在り方に関する検討の場を設ける」こととなりました。 これらを受けて、平成15年3月から10ページにあります11名の委員からなる「 保健所長の職務の在り方に関する検討会」を設け、10回にわたる検討を行い、16年 3月31日に報告書をまとめております。10ページはまとめの概要ですが、結果とし て両論併記ということになったということでございます。 「現行の医師資格要件を維持しつつ、公衆衛生に関する専門的知識及び実務経験並びに 組織管理能力に関して一層の水準の向上を目指す必要があり、医師確保について関係者 がまず努力を行うべきである。最大限の努力をしても医師確保の改善が見られない場合 には、その時点で見直す必要がある」との現在の医師資格要件を維持すべきという意見 と、さらに「保健所長は医師であることを原則とするが、医師の保健所長を確保するこ とが困難な場合には、確保できるまでの一定期間、例外的に、一定の公衆衛生に関する 教育と研修を受け、一定期間以上の公衆衛生の実務経験を有し、当該資質を備えた他の 専門職の者を保健所長に充てることを認めるべきである」との医師資格要件に例外を設 けるべきとした、2つの意見の両論併記となりました。なお、このほかに1名の委員で はありますが、医師資格要件を廃止し、医師以外の者の任用を認め、保健所には必ず医 師を配置する」といった意見も出されております。 9ページに戻って、こうした検討会の検討結果を踏まえて、保健所長に例外的に医師 以外の者を充てるための要件を定めるための地域保健法施行令の改正をすることを現在 進めております。(2)の改正の概要ですが、 近年、健康危機管理への対応を始め、地域の安全・安心の拠点としてより高い管理能 力が保健所に求められており、今後より高い水準の保健所長を確保することを目指す必 要がある。 一方、地方公共団体が公衆衛生に精通した適切な医師の確保に努力したにもかかわら ず確保できない場合には、以下の条件の下、例外的措置として、医師以外の者を保健所 長とすることを可能にしたということでございます。 医師以外の者とは、(ア)公衆衛生行政に必要な医学に関する専門的知識に関し医師 と同等以上の知識を有する者 これは現在、国立保健医療科学院において、養成訓練課 程を実施しておりますが、この受講資格として、公衆衛生行政に必要な医学に関する試 験科目等を選定して試験を行うことを考えております。 (イ)5年以上の公衆衛生の実務に従事した経験のある者 これは先ほど説明しました ように現行、医師の従事年数は3年以上ということで、施行令との均衡を考慮してこの ように定めているということです。 (ウ)国立保健医療科学院の行う養成訓練の課程 を経た者、ということです。 (2)例外の期間は、原則として2年以内の期間とする。 これは例外措置として、常態 化しないように、できる限り短い期間にする必要があるということから、2年以内とい う形で決めております。 (3)は当然のことですが、医師を当該保健所の職員として配置する。 このようなことで、11ページ目としては、「地域保健法施行令の一部を改正する政 令案」に関する御意見募集の結果ということで、9月8日から27日まで、厚労省のホ ームページで意見募集等も踏まえて、地域保健法施行令の改正を行うことにしておりま す。現在、各省協議を行っており、少なくとも今年中には改正したいというふうに考え ているところでございます。 13ページの公衆衛生医師確保推進登録事業、ですが、これは先ほど言いましたよう に、保健所長の職務の在り方に関する検討会でいろいろ問題になったことでございます が、地方で医師の確保が困難であるということから、こういった地方公共団体における 公衆衛生に従事する医師の確保を支援する、あるいは地域における公衆衛生の向上の増 進を図るということを目的として、平成16年3月10日に厚生労働省健康局総務課に 公衆衛生医師確保推進室を設けております。さらに、6月23日から公衆衛生医師確保 推進登録事業を行っております。この事業につきましては、保健所等において公衆衛生 に従事することを希望する医師からの情報、及び保健所等において公衆衛生に従事する 医師を必要とする地方公共団体の情報をそれぞれ厚生労働省に登録していただき、双方 の希望条件に合致する希望医師及び登録自治体についてそれぞれ情報提供を行うという ことでございます。厚生労働省のホームページに掲載して情報提供をするという事業で す。 イメージとしては14ページですが、保健所等で公衆衛生に従事することを希望する 医師、希望医師といっておりますが、保健所等において公衆衛生に従事する医師を必要 とする地方公共団体、登録自治体といっておりますが、それぞれから情報を登録してい ただく。それに基づいて希望条件に合致するものを情報提供するというもので、現在ま でに医師が10名、地方公共団体から9県・市に登録いただいております。既に希望条 件に合致しマッチングした件数は2件という状況になっております。 次の15ページは、公衆衛生医師の育成・確保のための環境整備に関する検討会の開 催要綱でございます。これは先ほど言いましたように、保健所長の職務のあり方に関す る検討会報告書が平成16年3月にまとめられているわけでございますが、その検討会 の中で保健所長の医師資格要件のあり方の議論をしたということでございますが、熱意 のある公衆衛生医師の確保が日本の公衆衛生を向上させる上で極めて重要な問題である 。また、これまで国、地方公共団体及び関係団体による公衆衛生医師育成・確保のため の努力は必ずしも十分でなかったということが指摘されております。併せて、公衆衛生 医師確保の問題解決に向けては、短・中・長期にわたる実行可能なロードマップを早急 に作成すべきではないか、という提言がなされています。 このようなことを受けて、今後の公衆衛生医師の育成・確保に向けて、関係者・団体 が取り組むべき具体的施策について検討するということで、この検討会を開催しており ます。6月10日に第1回目を開催しまして、既に第3回まで実施しております。第4 回目は10月22日に開催する予定になっており、今年中を目途に取りまとめを行うこ ととしております。16ページはこの検討会の委員名簿でございます。 17ページは、平成17年度の予算概算要求について、でございます。これは地域保 健対策の円滑な実施及び総合的な推進を図るということから、人材育成に関する支援、 あるいは地域における健康危機管理体制の機能強化等を行うとともに、保健事業実施に おける地域・職域連携の強化及び、地域の特性に応じた地域保健事業を実施するという ことで、17年度に30億円余りの予算要求を行っているということでございます。 具体的には、ここにありますように、地域保健事業の推進、人材確保・育成対策の推 進、地域における健康危機管理体制の強化、地域・職域連携事業の推進、調査研究の推 進等、その他、保健所、市町村保健センター等の保健衛生施設・設備整備費というよう な予算でございます。これは地域保健法に基づくもの、あるいは、結核予防法に基づく もので、保健所の業務費というようなものがございますが、そういったものについて実 施していくもので、地域保健法では第3条第3項に、国の責務の条文がございますが、 そういった条文を根拠に予算要求しているところでございます。以上です。 久道部会長 どうもありがとうございます。説明の途中で健康局長がお見えですので、ここでご挨 拶をいただきます。 田中健康局長 健康局長の田中でございます。本日は大変お忙しいところ、この健康増進栄養部会に ご出席いただきましてありがとうございます。小生、国会用務のため遅れまして申し訳 ありません。開会のときに挨拶があったと思いますが、「健康日本21」の中間評価、 その他この部会にお願いしていることたくさんございますので、よろしくご審議のほど お願いいたします。 久道部会長 それでは、続いて「三位一体改革について」の説明を中島室長からお願いします。 中島室長 それでは資料の1−3「三位一体改革について」でございます。 三位一体改革については、新聞、テレビ等で報道しており、委員の先生方ご承知のこ とと思いますが、一連の流れ、及び厚生労働省としての考え方を簡単にご説明したいと いうことで用意させていただきました。 1ページが厚生労働省としての基本的な考え方でございます。〈社会保障における国 と地方の関係〉につきましては、国、都道府県、市町村が、重層的な形で協力・分担し ながら社会保障を支えていくということが重要になってきているということです。 2ページでは下から4行目、そうした中で、国が主体的に関わっていく必要がある事 業については、その度合に応じて国が責任を持って施策を推進する手段を確保するとと もに、地方においては、自主性、独自性を活かしつつ、応分の責任を持って取り組んで いただくということが、社会保障における国、地方の役割分担の厚生労働省としての基 本的考え方かと承知しております。 5ページでございます。こうした中で本年8月に地方6団体から社会保障分野にかか わるご提案がございました。具体的には、現在の補助金のうち、対象額として約9,4 40億円相当の補助金を廃止、委譲すべきではないか、というご提言でございます。ペ ーパーにはしておりませんが、地域保健健康増進関係の予算、実は既に、地域保健に関 しましては平成6年度、健康増進関係については平成14年度から既に大幅に一般財源 化されているところではございます。ただ、そうしましても、地域格差の縮小を図って いくという観点からは、例えば、がん・循環器病の診療施設のネットワーク化の事業費 、さらには、地域格差を生じさせない等の観点からは、老人保健事業における健診等の 事業費については補助事業として現在存在しているところでございますけれども、今回 、そうした経費につきましても廃止、移譲対象として地方6団体からはご提案をいただ いているということでございます。 こうしたご提案について、このペーパーは後ほどご説明いたしますが、この12日に 地方6団体とご協議をさせていただいた場で、私どもの大臣からご説明申し上げた際の 資料でございます。 7ページの(1)ですが、国民の安心と安全を守るべき社会保障については、一定水 準のサービスをどの地域においても格差なく保障するという国の責任をどうするかとい う問題がございます。 (2)は、毎年の介護・医療の給付費の相当部分が国税や労使の保険料で賄われている にも関わらず、こうした事業の補助金が廃止された場合には、この給付費適正化につい ての責任がどこまで果たせるのか、といった問題点を指摘させていただいたところでご ざいます。ちなみに9ページですが、平成17年度から与党の10ヵ年計画で重点的に 推進すべきとされております「健康フロンティア戦略」につきましても、現在平成17 年度概算要求で1,130億円を計上させていただいておりますが、この三位一体改革 が地方6団体ご提案のとおりになりますと、370億円という事業費規模になっていく ということになります。 この12日に地方6団体と協議の場を持たせていただいて、私どもの大臣から以上の ような基本的考え方をご説明した上で、14ページの2つ目の・地方6団体ご提案の国 庫補助負担金のうち、一部については廃止の方向で検討するが、大部分については、さ まざまな問題点があり、廃止することは困難である。3つ目の・したがって、代替案を 提示することとし、今後の社会保障制度のあり方を踏まえ、また、地方、とりわけ都道 府県の役割を強化することで一層的確な運営が図られるものとして、国民健康保険、生 活保護、児童扶養手当といったものの事業を対象に、国と地方の役割分担を考え直す代 替案をご提示したところでございます。 12日の場では、前の文部科学省とのご議論が長かったようで、厚生労働省は十分な 時間が取れたとは伺っておりませんが、こうした考え方に対して、地方6団体の代表の 方々からは反論がなされたと伺っております。今後のスケジュールといたしましては、 10月28日に、これは厚生労働省に限りませんが、各省庁として代替案があればそれ を正式にご提示申し上げる予定になっておりまして、11月中旬ぐらいには大方の取り まとめが行われ、その後年末の予算編成に流れていくのではないか、という今後の見通 しとなっているところでございます。以上でございます。 久道部会長 かなり多い資料を手短かに説明いただきました。これまで3つの話題について説明が ありましたが、皆さんからご質問、ご意見はございませんか。 富永委員 資料1−1の9ページですが、たばこ対策関係省庁連絡会議について書いてあります 。これはWHOのたばこ規制枠組条約の内容を踏まえて設置されたもので、10ページ を見ますと非常に多くの関係省庁が参加しておりまして、厚生労働省の生活習慣病対策 室が事務局ということで事業が推進されると思いますが、これだけ関係省庁が多くなり ますと、事務局もかなり機能強化しないといけないし、これまでの体制ではやっていけ ないのではないかと思うんですが、来年度予算に反映する枠組みとしてもたばこ規制枠 組条約を実行するにあたっての青写真、アクションプランをつくって、同時に関係省庁 の中心となる厚生労働省の事務局を強化する必要があると思います。これは質問ではな くて要望です。 久道部会長 要望。何かございますか。 中島室長 激励ありがとうございます。たばこ対策につきましては、関係省庁にまたがっており まして、また枠組条約の関係で計画を策定したりしないといけないということがござい ますので、なかなか組織定員事情、苦しい中ではございますけれども、平成17年度に 向けて、たばこ対策の専門官の増員要求もさせていただいて、いま関係省庁と鋭意協議 をさせていただいているということをご報告申し上げます。 新道委員 保健所長の医師資格要件の見直しについて、ということで、1−2の9ページですが 、改正の概要をご説明いただきました件でございますが、パブリックコメントがありま すが、まだ目を通しておりませんけれども、改正の概要に今後パブリックコメントがど のように反映される予定なのかということが質問の一つでございます。 また、それに関わると思いますが、9ページの(1)の(ウ)ですが、養成訓練の課程を 経た者、として、いま国立保健医療科学院の養成訓練はたしか医師だけに限定のコース になっているのではないかと思いますが、その対象者を拡大された上で、この課程を経 た者、とするのでしょうか。それとも既に国立保健医療科学院では保健師等が受講して いるコースもございます、それらも含めてこの中に入っているのかということをお伺い したいと思います。 (2)の、例外の期間は、原則として2年以内の期間とする、ということの意味は、1人 の方を採用、就任させた場合に、その方を期限を2年とし、そのときに見直して適切に 医師の確保ができない場合には継続もあり得るという意味合いでございましょうか。お 伺いしたいと思います。 久道部会長 いま2つの質問があったと思いますが。 横尾室長 地域保健室長の横尾でございます。まず第1点目のパブリックコメントでございます が、9月8日から27日の間、パブリックコメントというか、意見募集を行いました。 その結果を踏まえて地域保健法施行令の改正ということで、各省協議等も行っておりま すし、法制局等にも説明を行って地域保健法施行令の改正に結びつけるということでご ざいます。 それから、現在国立保健医療科学院で行っております教育訓練規程に定める専門課程I でございますが、来年度、4月以降から国立保健医療科学院で公衆衛生行政に必要な医 学に関する専門的知識に関し、医師と同等以上の医師以外の方もこの中に含めて研修が できるというような形にしたところでございます。 もう一つ、例外の期間は一応2年以内となっていますが、現在、各省協議とか法制局 の審査をするという段階で、2年以内を場合によっては継続するということもあり得る というふうな形で考えております。 久道部会長 この2年の意味についてなんですけども、質問は、制度が起こってから2年以内なの か、ある人を採用してから2年かということかと。 瀬上参事官 補足をさせていただきます。検討会の考え方は極めて限定的な措置として、というこ とを前提にして医師以外の方に対する保健所長として一時的な就業を認めるという趣旨 でございますので、この、原則として2年以内の期間、の原則として、を極めて限定的 に解釈する必要があるというのが法制局の視点でございまして、こうした時期がスター トしてから2年、最大で4年というふうに現時点において、政府の中で検討されている 話でございます。 また、国立保健医療科学院におきまして、医師以外の者も入学要件とした専門のコー スというものを定める、その段階で医師相当の入学資格を有するかどうかについての入 学試験等が行われるというふうに聞いて理解しております。 久道部会長 いまの説明でいいですか。 新道委員 もう一度よろしいでしょうか。 久道部会長 じゃあ、効率的に関連意見を。 松本委員 いまの関連ですが、地方の立場としては保健所というのは、地域保健の推進に当たっ ては、非常に重要な役割を持っているわけです。我々は、保健所の所長と保健センター の保健師とか栄養士とかが、絶えず連絡を受けながら調整をして地域の保健ということ でやっているわけです。そういうことで保健所の所長というのは、やっぱり医師の資格 を持った人がいていただきたいと、地方の町村では思うんです。 先ほどの資料で例外の期間は2年以内とか、また、医師を当該保健所の職員として配 置するというふうになっています。そういうところをもうちょっと考えて、これは医師 の資格を持った人ということでできないのかなという感じで、我々も保健所長と連携を とりながらやるんですが、医師以外の人に替えて大丈夫かなという心配があるわけです 。 新道委員 この2年以内、いまのご説明で、私の解釈が不十分なのかもしれませんが、この改正 が発足してからということは、最大4年までということでしょうか、それとも、改正が 実際に行われた場合には、1人を着任させてその任期を2年以内とし、再任のときに見 直して、最大4年までは任期につけるという意味合いと解釈してよろしいんでしょうか 。医師以外の例外措置は、全国的に4年だけという意味合いでしょうか。そこが理解し にくかったんですが。 瀬上参事官 特定の保健所において、医師の確保ができないという事態が生じたときから原則とし て2年以内。そして、最大でも4年の間しか認められないということです。 多田羅委員 私は検討会に入れていただいて委員を務めましたので、一言いわせていただきたいん ですが、特にいま松本町長さんがおっしゃった点で、今回の検討会でも、議論が分かれ 、熱心な伯仲した議論が行われました。しかし、基本的に、10ページにあるように両 論併記ではあるんですが、一方の意見でも保健所長は医師であることを原則とするが、 という点では一致しているわけです。今回例外ということが非常に大きくいわれている わけですが、基本として保健所長は医師である、という点については確認されたという ことは非常に大事な点だと思います。しかし、それが確保できない場合ということが、 私はあってはならないと思いますけれども、例外として示されているのであって、です から、例外規定は厳しく、あくまで保健所長は医師であるというのが原則としては確認 されているわけです。ですから、今日取り組む最も重要な課題は、医師の確保に全組織 全体が取り組むという方にあるということになります。厚生労働省でもそういうことで 記述いただいているのであって、例外ということで、それが堰を切ったように大きな動 きということになりがちなのではありますが、あくまで、保健所長は医師でないといけ ないということについては、原則としては確認されておりますので、ここでもその点は 委員の皆さんにご確認いただきたいと思います。 そのために特に重要なことは、適切な医師の確保を図ることに全力を挙げるというこ とであるという理解をしていただきたいと思います。 松本委員 いまの先生のお話は、理解はしたんですが、保健所長が医師免許を持たない場合、医 師が少ないからといって、公衆衛生医師確保推進登録事業のこともありますが、これは 大丈夫なんでしょうね。そういうところの心配もあるわけです。 久道部会長 この問題だけをやると時間がなくなりますので。多田羅委員、どうぞ。 多田羅委員 おっしゃるとおりです。そういう体制の強化ということで検討会の委員の大方の意見 は一致していたと思います。特に保健所の役割については、この間、地域保健法が成立 して10年になるわけですが、阪神・淡路大震災、また、SARS、BSE、その他、 非常に大きな健康のリスクに直面する中で、保健所の役割はますます大きくなっている んじゃないか、ということから、地域保健体制全体についてももう一度見直すといいま すか、その体制のあり方については、検討していかないといけないのではないかという 点は検討会の中でも大方の意見は一致していたと思いますので、そういう点も委員会で ご確認いただければと思います。 新道委員 ひとことだけ。医師以外で大丈夫だろうかというご発言でございましたが、そのこと については、十分検討会で議論されたと思います。保健師等は公衆衛生の知識をもとに 保健師の資格を持っておりますし、そして、公衆衛生に永年勤務していますし、公衆衛 生に永年勤務しているという実務経験の中で、公衆衛生に関してはかなりリーダーシッ プがとれるというふうに私どもは考えております。 そして、国立保健医療科学院の1年コースとなっております。そこの門戸を拡大して いただければ、十分役割は務められるのではないか、というふうに解釈しております。 久道部会長 それでは時間の関係もありますので、次の議題の説明を受けた後にまた戻って質問等 、いただきたいと思います。 「健康日本21」の中間評価についての説明を中島室長からお願いします。 中島室長 資料2「健康日本21」関係でございます。 冒頭の審議官、そして先ほどの局長のご挨拶にもございましたが、本部会は「健康日 本21」の中間評価といったものを中心に今後ご議論を進めていただくということでご ざいますので、今後の具体的な進め方についてご説明をするということでございます。 1ページは、中間評価の進め方について、ということでございますが「健康日本21 」は、中間年に当たります2005年度に中間評価を行い、そして最終年である201 0年度に最終評価を行うということになっておりまして、2005年度を目途とする中 間評価の年が控えているということになるわけです。 1.「中間評価について」でございますが、そのやり方といたしましては、国民健康・ 栄養調査等により収集されたデータ(直近実績値)に基づきまして、中間評価を実施 するということでございます。 その際には、本年3月におまとめいただきました「健康日本21評価手法検討会」 のご報告内容も踏まえつつ進めていくことになるのかなと思っております。 そして、(参考)のところに書いてございますが、国民健康・栄養調査のデータの 集計及び解析状況でございますが、14年に実施したものについては既に集計解析済 みで、本年5月に公表しているところでございますが、昨年実施いたしました調査に ついてはこの秋、11月を目途に現在、健康栄養研究所で鋭意集計、解析作業をお進 めいただいているところでございます。また、16年、本年実施しております国民健 康・栄養調査については来年中にその結果が出てくるということでございます。従い まして、こうしたデータは、16年調査の実績値の集計、解析を待って作業を開始し たのでは、いささか着手として遅いのかなと思っておりますものですから、基本的に は、ここに掲げております14年以降のデータが揃った目標項目、9分野70項目の うち、その目標項目から順次、分析・評価に着手していくという形で進めていきたい と考えているところでございます。 2.「データの分析及び評価について」でございますが、それではその中間評価となる データの分析及び評価のたたき台といったものにつきましては、平成12年にスター トした「健康日本21」を策定したときの策定検討会で、それぞれ分野毎に分科会の 委員さんに集まっていただいてご議論いただき決定したわけですが、その委員の皆様 を中心といたしまして、目標分野ごとの分析及び評価レポートをまずは作成していた だくということでございます。そして、そうしたレポートを当部会において提示させ ていただいて、それを基に「健康日本21」の推進にかかわる今後の施策の方向性に ついてご検討いただきたいということを考えているところでございます。 なお、「健康日本21」において、実はいまだ目標値が未設定の項目がございます 。栄養・食生活分野、歯の健康分野、糖尿病分野については、若干まだ目標値が未設 定なものもございますので、これについても同様のやり方で分科会等の委員にご検討 いただき、その結果を本部会にご報告して審議、ご決定いただくというストーリーで 考えているところでございます。 2ページからは、ちなみに、現時点において、「健康日本21」の進捗状況はどの程 度になっているかということを簡単にご紹介いたします。 暫定直近実績値というのが右から2つ目にあります。黒の網掛けをしてある項目が、 残念ながら目標値に近づいているというのではなくて、逆に目標値から離れていってい るという、実績が悪くなっていっているというものです。具体的には2ページでいきま すと、20代女性の痩せ過ぎ、さらには、男性、女性、それぞれの年齢別の肥満状況、 そして、野菜の摂取量、豆類・緑黄色野菜の摂取量といったものも進捗状況はかんばし くない。男性30歳代の朝食欠食者の割合も悪化しております。こうした栄養・食生活 の状況でございますし、3ページの運動分野では、成人、高齢者とも日常生活における 歩数の増加という観点からは歩かなくなっている。より一層歩くことがなされない生活 になっているというデータ結果となっております。5ページのアルコール分野、多量飲 酒の男性の割合も7.1%と上昇しているというところでございます。6ページの糖尿 病の有病者、糖尿病による透析導入になった患者さんの数、さらには7ページ、循環器 病における高脂血症、そして虚血性心疾患の死亡数、特に男性ですけれども、これらの 悪化傾向が読みとれるわけでございます。8ページ、がんですが、がん検診については 、子宮がん、乳がんの検診受診者が必ずしも増えていないということですが、これにつ いては、先ほどご説明いたしました健康フロンティア戦略の中で、女性のがんの緊急対 策という中でも取り組ませていただいているところでございます。 9ページ、こうした国レベル、マクロレベルの数値ですが、「健康日本21」は都道 府県及び市町村においての地方計画に基づく取り組みと両輪となって国民運動として展 開している施策でございます。都道府県におきましては、都道府県健康増進計画の策定 が健康増進法で義務づけられておりますので、14年3月末の時点で既に全都道府県に おいて策定いただいているところでございます。市町村、特別区につきましては、法律 上、策定努力義務にとどまるということでございまして、この7月1日現在では全市町 村、特別区3123の中で既に策定いただいている数が1,222、本年度中に策定い ただけるとご回答いただいている数が423となっております。1,222という数字 ですが、実は昨年7月の段階では815でありましたので、1年間の間に400強の市 町村、特別区で計画を策定していただいたということで増加傾向にあると読み取れるの ではないかと思っております。 地方計画の策定状況はこのような状況ですが、地方計画そのものについては、いつ策 定したのか、いつを計画の開始年度とするのかということについては、都道府県、市町 村、特別区ごとにばらつきがあるというのが現状でございます。以上でございます。 久道部会長 いま、室長さんは、ケンコウニホン21と言っていましたね。ケンコウニッポン21 ということになっているんですね。平成11年度の3月の当時の公衆衛生審議会の栄養 増進部会で議論になりました。ニッポンとニホン、どう違うかということで辞書まで持 ってきていろいろ検討したんですね。そのときに、オリンピックの応援のときに、「ニ ッポン、ニッポン」と言うから、その方が元気が出るから、ニッポンということにしよ うということになったんですね。それで私はあちこちで、室長さんみたいな言い方をさ れると、いつも直しているんです。野村室長さんはそれを知ってるでしょう。 野村室長 はい。 久道部会長 そういうことですので。ということで、いまの説明に何かご質問ございませんか。「 健康日本21」に関連して。 それでは次も報告いただいて、残ってる時間で、先ほどあまり質問の余裕がなかった ところをまとめてご意見いただきたいと思いますので、今後の検討事項というところま で、お願いいたします。 中島室長 資料3でございます。本部会における今後の検討事項の案として素案を用意させてい ただいたところでございます。 今後、本部会においてご検討いただけないかと考えております事項は大きく1次予防 、2次予防、そして、それを支える推進体制といった柱を事務局としては考えていると ころでございます。 一次予防につきましては、先ほど資料2でご説明しましたように、「健康日本21」 の9分野についての中間評価、そして、それを踏まえた今後の施策の方向性といったも のをお願いできれば、と思っております。 また、二次予防につきましては、具体的には今後の健診及び健診結果を踏まえた事後 指導の在り方の検討をお願したいと思っておりますが、これにつきましては、17年度 に予定されております介護保険制度改革、それと密接に関係する老人保健事業の見直し に関する議論といったものが、現在老健局で展開されております。この25日には老人 保健事業の見直しの報告書も取りまとめられる予定と聞いておりますので、そうした議 論の流れといったものも見据えながらご議論いただきたいと思っております。 また、18年には医療保険制度改革が予定されております。これにつきましては、社 会保障審議会の医療保険部会の方で、これまで諸々の医療保険制度改革に関わります論 点について一巡の議論を7月28日に終えたところでございますけれども、そこでの論 点としては、生活習慣病対策を中心とする健康づくりについては、地域と保険者が一体 的に取り組む体制を構築し、両者の役割分担と連携を明らかにしつつ、保険者自らがよ り積極的に推進していくべきではないか、という方向性も示されているところでござい ます。 こうした、地域と医療保険者の連携、さらには医療保険者の役割、責任といったもの が今後、医療保険部会でも議論されていくだろうということでございまして、この22 日には第10回の部会が開かれまして、2周目の議論に入る予定となっておりますので 、この医療保険部会での生活習慣病対策、医療保険者の取り組む保健事業についての議 論の趨勢も見据えつつ検討していく必要があるのかなと思っております。 3つ目の論点としては、こうした一次予防、二次予防施策を支える推進体制の問題で す。先ほどご説明申し上げました三位一体改革の議論を睨みつつ、生活習慣病対策、さ らには地域保健についての国、都道府県、市町村、保健所、さらには医療保険者といっ たものの責任と役割といったものをどう考えて体制を組んでいくのかという議論が一つ ございましょうし、もう一つは、こうした政策の基本となりますデータの収集、とりわ け、国民健康・栄養調査等について、どのような形で充実していく必要があるのか、な いのか。もし充実していくとすると、どういうことかといった検討も必要かと考えてい るところでございます。 今後はこうした一次予防、二次予防、推進体制といった3つの柱について、できます れば月1回程度のペースで順次本部会においてご審議を進めていただければ有難いと考 えているところでございます。以上でございます。 久道部会長 どうもありがとうございます。今日はこの部会1年数か月ぶりにやった関係もあって 、話題が豊富で急ぎ足で議論していまいましたので、結果的にはまだ25分ぐらい余裕 がありますので、どうぞご質問、ご意見をいただきたいと思います。 先ほど「健康日本21」の中間評価のデータで、前よりも悪くなったというのも出て 参りましたけれども、加藤委員、何かご意見ございませんか。 加藤(陸)委員 ご指名でおそれ入りますが、何か申し上げたくてうずうずしていた面もありますので お許しを願いまして、「健康日本21」の民間側の推進役ということで、全国連絡協議 会のお世話役をしておる関係で、最近身にしみて感ずるんですけれども、少子・高齢化 、これは病気で悩まれる高齢者ご本人ももちろん大変ですけども、その介護、看護に当 たっている関係者とか肉親も大変な苦労で、そしてまた、社会の負担、保険の負担はま すます大きくなる。これは釈迦に説法を申し上げたみたいですが、だから、健康で長寿 がいいと。こんなことで一生懸命にご説得にあちこちまわったりいたしておるわけでご ざいますが、そのときに、これはある意味で細かいのかもしれませんけれども、今日ご 説明いただいた項目は多方面にわたっておりますが、その中で感じたことを2つ、お願 いというのか、主張というのか、申し上げておきたいと思います。 まず第1点ですが、医療保険の保険者さんはそれぞれ保健事業ということで健診等に も力を入れていただいているわけですけれども、それが市町村の関係者と連携を取りな がらやっていっていただけないものだろうか。実際、そういうことは昔からいわれてい るのはよく承知しているわけでございますが、現実にはなかなかうまく実行されていな い。どういうわけだろうかと思うぐらいでございますが、当たり前のことかもしれませ んが、ぜひ連携プレーでお願いしたい。私ども「健康日本21」の推進協議会、民間の 側では非常に幅広い団体が連携を取りながら、すべてというわけに参りませんが、結構 うまく機能して運営している団体さんが相当あるわけでございますので、役所の方と保 険者がうまく連携をとってぜひやっていっていただきたい。 なお、1年、2年でなく、社会の負担の軽減につながるまでにはもうちょっと長めに 見ていただかないといかんと思いますので、関係者、委員の一員としては、中長期にわ たっての考え方でいっていただきたい。役所の予算のように単年度の考え方では困ると いうのが第1点でございます。 第2点はそれの関連でございますが、保険者と市町村の連携をとって進めていってい ただく場合には、いままでなかなかうまく機能してきてなかったんじゃないかなあと心 配しておる部分なんですが、都道府県が具体的にまとめ役を果たしていただきたい。ま とめ役はもちろん果たしていただいているわけですけれども、具体性をもって、もっと いえば、各地域の特性を踏まえた具体的なプランをつくって進めていってほしい。そう すると、私ども民間団体の側でもそれぞれ特色を持った団体がいっぱいありますので、 また、協力したいという方も多いようですので、まとまっていけるのではないか。ばら ばら施策では困るという点でございます。 もう少し具体的に、立ち入って申し訳ございませんが、目標を定めたり、それから事 業の実施方針や、どこまでやるかということを明確にコーディネート役の県がつくり上 げていってほしい。 それから、地域内の関係者もいろいろあると思います。具体的な名前は全部浮かびま せんが、それぞれの関係者を連携プレーに参加させるように、これも都道府県の立場で リードしていってほしいというお願いでございます。 これには厚生労働省の担当局の方でも、例えば、健康増進法の中で県の役割について 指導していただくとか、お金の面でも、三位一体のお話もいろいろ出ておりますけれど も、面倒をみていただけてこそ、動き出すのではないか。こんなことを考えております 。 「健康日本21」地方計画については先ほどもご説明いただきまして、だいぶ進んで きているようですが、これも都道府県段階と市町村段階の噛み合わせをぜひお願いいた したい。以上でございます。 久道部会長 どうもありがとうございます。ほかにございませんか。 木村委員 日本薬剤師会の木村ですけれども、いま加藤委員のご意見の関連ですが、まず、「健 康日本21」の地方計画の策定状況について、市町村計画が進まない理由を分析されて いるかということを伺いたい。また、いま全国を歩いていて感じることですが、「健康 日本21」全国大会を開催して、ものすごくいいメニューが発表されても、それが47 都道府県の共有の財産になっていないような感じがします。都道府県の意識はあり、計 画はあるんですけど、市町村の意識がものすごく低いんじゃないかと思うんですね。 数字が出ていますが、3,123市町村、それぞれ色が全部違うと思うんですね。同 じ市でも東の端と西の端では食習慣が違うところもあるわけです。9分野70項目の目 標値の意味を理解し、各市町村にストンと落とした形で早くつくらなければ、地域住民 個人個人の意識は変わらない。そろそろ5年になるわけで、5年間何してたんでしょう 、という感じがするわけです。 何を言いたいかというと、市町村計画をきっちり進めることと、その評価を進めてい かなければ、狙っているとおりいかないんじゃないか、という思いをしております。 昨年、国保中央会のご配慮で、各県の国保の「健康日本21」担当の保健師の皆さん と勉強会をやりましたけど、全国大会等で使われたスライド、写真を持って歩きますと 、とても重宝がられますので、そういうことで健康づくりメニューの情報の共有も図っ ていただければと思います。 繰り返しますが、市町村計画の策定がなぜ進まないのかだけ教えていただきたいと思 います。 中島室長 正直言って、これという答えは申し上げられないんですが、まず一つは、制度的に市 町村、特別区は策定する義務がないので、ある意味ではつくらなくて済むということで すね。じゃあ、だからどうだとかという委員のお話で、こうしたことも含めて、まさに 本部会でご議論いただきたい。即ち、今後の検討課題のところの推進体制に書いてござ いますけれども、国として、大きな三位一体改革の議論の中で、三位一体改革の考え方 であれば、市町村はそれで済むということですが、委員のお話では、それでは困るので はないかということ。また、加藤委員のご発言では、都道府県というものがしっかりそ こに1枚噛んで市町村を指導または支援していくという体制づくりがいるんじゃないか とのお話でございました。従いまして、今後、事務局としても地方計画の策定状況につ いてもう少し勉強いたしまして、いまおっしゃられたような方法で健康づくりがきちっ と進んでいくには、国、県、市町村のそれぞれの責任と役割をどうあるべきなのかとい うことをこの部会でもご議論いただければ有難いと思っております。回答になっており ませんで、申し訳ございません。 松本委員 実は私のところもまだ計画の策定はできておりません。しかしながら、健康増進部門 というのは、食生活、日常生活関係であって、保健所長と話し合いながらやっているん ですね。老人対策でも配食サービスまでやったり、ここまでしなければいけないかな、 というぐらい、やっております。計画の策定はしていなくても、実際には個々の項目に 当たれば結構やっていると思うんです。いまなんとかはやく策定しようとしているんで すが、いま市町村は合併でがたがたなんです。我々のところもこの間、郡内6町の合併 をしようとしました。しかし、崩れまして、次に3町での合併も崩れてしまって、新た に模索している段階です。町村で単独でも結構やっている分野もあります。そういうこ とで、町村は町村で頑張っているということでご理解願いたいと思います。 それから一点だけお尋ねしたいんですが、我々の立場として、三位一体のところで、 廃止ということがよく出てくるんです。移譲して一般財源化ということで、事業の廃止 かなというような勘違いをしないかなあという心配があるわけです。廃止ではないんで す、移譲して一般財源化になるわけですから、そのへんの言葉の綾がもうちょっと何か ないでしょうかね、事業の廃止ではないんですよね。 中島室長 いま町長さんのお話、たしかに廃止ではないんで、厚生労働省としては、廃止、移譲 と書いてございますので、廃止だけを言っているのではなくて、移譲・廃止というべき なのか、廃止・移譲というべきなのか、ですけれども、事業そのものが廃止されるとい う認識では必ずしもございません。 石井総務課長 補足をさせていただきますと、たしかに松本委員のご指摘は大事な点だと思うんです が、私どもが理解しております地方6団体のご提案では、個別の補助金の廃止が適当だ というものをリストアップしておられます。その基本になる考え方は、別途税源移譲な りで、地方に自主的な財源が来ること。その上で地方の裁量を最大限活かした形でそれ ぞれの自治体が事業を進める。こういうことだと思っておりまして、私どもの大きな懸 念は、移譲という言葉を使いました場合には、いま、例えば、「健康日本21」もそう ですが、全国的に進めたいと考えております事業、これをそのまま自治体でお進めにな る、というイメージが移譲というと出てくるんですが、私どもが理解しております地方 6団体のご提案はそうではなくて、進めるか、進めないか、どの程度進めるかというこ とも基本的に各自治体に任せてくれと。任せて貰った前提で税源もちゃんとよこせよと いうご主張であると理解していますので、移譲と言い切ってしまいますと、そのへんの 意味合いがやや落ちてしまう。 松本委員のおっしゃるように、たしかに、廃止とはおっしゃってないんでしょうが、 地方の裁量にお任せをする。そこで私どもの懸念は、私どもが考えるところまですべて の自治体でおやりいただけないのではないか。で、ついつい廃止ということを心配して しまう。こういうことでございます。 土屋委員 先ほどのご説明の中で、生活習慣病対策関係の健康診査等指針について、という17 ページの一番下のところで、地域・職域の連携を図る。(都道府県単位等で関係機関等 で構成される協議会等を設置する)と。これは、先ほどの加藤委員さんのご意見とどこ かリンクしてると思うんですが、これは例の保険者協議会のことですか。 中島室長 ここは直接的には地域・職域の連携を図るということで、ここでいう、我々にとって の地域というのは老人保健事業をやっている市町村を念頭に置いておりますので、ここ でいう協議会というのは、いま保険局が設置を進めている保険者協議会と必ずしも一致 するものではないということです。 土屋委員 担当課ではないようなんですけれども、保険者協議会なるものですが、これは加藤委 員さんおっしゃったけれども、国保連合会に実際はやらせようということで、もう既に 2つの県でモデル事業をやっています。ですから、保険者が実施する保健事業というこ となんですが、これは前倒しして今年度中に全都道府県で実施されるというやに聞いて おりますが、その進捗状況はここではわからないですか。 中島室長 正確なことは担当から聞いておりませんが、いま土屋先生おっしゃったように本年度 中に設置することを計画しているというふうに聞いております。 土屋委員 先発のモデル事業の進捗状況について、いまここで何か伺っておくようなことはあり ませんか。 中島室長 申し訳ございませんが、その情報、手元にはございません。 土屋委員 これが本当はその保健事業が本意なのか、同時に時系列的に老人医療に及ぼす影響を 併せて見ていくということになっています。これが本当に有意義な保健事業であるなら ば、先ほど加藤委員さんがおっしゃったことと、これは市町村単位の仕事になってきま すので、うまい具合にリンクすれば、そのあたりが少し整理されるのかなあと思うんで すが、次の回にでもご説明いただければよろしいんじゃないか。要望しておきます。 富永委員 また「健康日本21」に戻りたいと思います。先ほど、加藤委員ほか何人かの方が「 健康日本21」の市町村計画策定が進んでいないということで、市町村合併という話が あって策定を見合わせているところもありましょうけれども、私の見るところは、国が 策定された「健康日本21」の項目が延べで70項目、実質56項目あるわけです。都 道府県計画では、都道府県の実情も考慮してさらに上積みして、私のおります愛知県で は90項目、三重県も90項目になっているんですね。こういう都道府県の計画を市町 村に直したりしますと、市町村では項目が多すぎて、どうしていいか茫然としてしまう 。市町村計画の策定は義務づけられておりませんけれども、市町村の実態をよく考慮し て、これぐらいだったら市町村もできるんじゃないかというような重点項目だけを示す とか、市町村が独自の事業をやっていれば、それを焼き直して市町村計画としていいと か、そういう指導をすることも必要じゃないか。 もう一つ痛感しておりますのは、ある保健所管内の市町村の保健所担当者が、「健康 日本21」の中間評価が来年に迫っているのでどうしたらいいか意見を聞きたいという ことで話をさせていただきましたが、保健所長さんの考え方に相当開きがありまして、 非常に熱心に市町村を指導されている所長さんもおられれば、あれは市町村の自由だか らといって済まされているところもあるので、厚生労働省から都道府県に、市町村計画 の策定を支援するようにということをこの際言ってもらったほうがいいのではないかと 思いますので、ぜひお願いします。 玉利委員 資料1−1の5ページの右側の囲み「健診の在り方の検討」というところでございま す。その最後の(5)効果的な事後指導のあり方 等とございます。この、効果的な事後指 導のあり方というのが、私は健康づくりに一番大事じゃないかと思っております。二次 予防と一次予防は裏表で、二次予防の結果が一次予防の具体的な方法に反映されて来な ければいけないと思うのです。それで、それをどういうふうに具体的に持っていくか。 例えば、医療機関でメディカルチェックをしていただく。その数値だけを聞いても、素 人ではなかなか生活にどう反映させればいいかということはつかみにくい。 「健康日本21」で一番標榜しているのが、意識と行動の変容ということをいってい ます。その意識と行動の変容をどういうふうに具体的に、個人個人にわからせていくの か。そこらの問題を今後、ぜひ検討材料に入れていただきたい。 と同時に、施設的な問題からいっても、委員で仮にあなたは運動が足りないから運動 をやりなさい、といわれても、個人で運動ができる能力があればいいんですけど、そう でない場合は、どういう運動機関に行って運動をやったらいいか。科学的に医学的に、 客観性のある運動指導を受けられるところとの連携、これを図るようなことを今後検討 していただきたいと思います。 久道部会長 どうもありがとうございます。いまのご意見も踏まえて、今後の検討課題の中にぜひ 入れてください。ほかにございませんか。 村田委員 いま団塊の世代の人たちがここ3、4年で職場から地域に戻っていくということで地 域・職域連携ということが非常に大事になってくる。大事だということは、地域でも、 職場の中でも言われているんですが、職場から地域への連携がスムーズに行かないとい うような問題があるわけです。今年度ガイドラインを作成されるということですので、 これから作成されたものが地域に提示されると思いますが、ぜひこのガイドラインが地 域でうまく活用できるような形でぜひぜひお願いしたい。また、市町村と保険者の連携 がうまく機能していないというお話はありましたけれども、このガイドラインがうまく 活用されて、地域と職域がうまく連携できるような体制が定着することが、「健康日本 21」の推進にも非常に影響があるのかなと思います。 それともう一点、「健康日本21」の中で、若い人たち、学校保健の分野との連携が 非常に大事になってくるかと思います。成人になってからの対策ということがメインに なってしまっているので、そのへんのところでも、地域の中でももちろん考えていかな ければいけないんでしょうけれども、学校とか職域とかそれぞれのライフスタイルに応 じたこれからの対策を考えながらやっていくことも重要と考えます。 久道部会長 どうもありがとうございます。時間がきましたけども、どうしても一言言わないとと いう方があれば。よろしいですか。 どうもありがとうございました。長時間にわたりまして貴重なご意見をいただきまし た。今日は盛り沢山の議題でしたのでまだ不十分だと思いますけれども、先ほど説明が ありました今後の検討事項ということの中でこれから皆さんと議論していきたいと思い ます。 最後に今後のスケジュールについて、事務局からお願いします。 中島室長 次回につきましては、11月中にできれば開催させていただきたいと考えております 。11月中に1度、12月中に1度ということでございます。次回、11月中につきま しては、「健康日本21」の中間評価のたたき台の整備に若干時間を要するということ もございますので、二次予防のあり方からご議論いただければという腹積もりで考えて おります。 お手元に11月、12月のいくつかの日のしろまる×ばつ表の置かせていただいておりますので 、お持ち帰りいただき、ご都合をご記入の上ご返送いただければ早急に調整をさせてい ただいて日程を確定させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます 。 久道部会長 それでは本日はこれで閉会します。どうもありがとうございました。 (了) しろまる問合せ先 健康局総務課生活習慣病対策室 調査総務係 山本・森山 電話 03−5253−1111 内線2346・2342

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