05/07/29 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会第16回議事録 第16回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 日時:平成17年7月29日(金)10:00〜12:00 場所:虎ノ門パストラル 鳳凰の間西(新館1階) しろまる出席委員 石井みどり委員、加賀谷淳子委員、加藤陸美委員、神田真秋委員、菊田信子委員、 北村惣一郎委員、木村隆次委員、坂本雅子委員、澁谷いづみ委員、新道幸惠委員、 多田羅浩三委員、田中平三委員、土屋隆委員、富永?ハ民委員、中村丁次委員、 久道茂委員、松田晋哉委員、渡邊昌委員(18名) しろまる厚生労働省出席 (健康局)田中健康局長、岡島審議官、瀬上参事官、 中島生活習慣病対策室長、北地域保健室長、野村保健指導室長、 藤井健康フロンティア戦略推進室長 しろまる次第 I 開会 II 議題 (1)「健康日本21」代表目標項目について (2)これまでの議論を踏まえた中間とりまとめの骨格について (3)生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会について (4)都道府県健康増進計画の見直しの方向性について (5)その他 III 閉会 瀬上参事官 定刻となりました。御出席の御連絡をいただいている委員があと2名、まだ到着され ておりませんが、ただいまから第16回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会を開催 させていただきたいと存じます。 初めに本日の出欠状況でございますが、委員定数25名のところ、現在17名の委員の御 出席をいただいております。なお、本日、愛知県知事の神田真秋様に初めて御出席をい ただきました。御紹介を申し上げたいと存じます。 次に配付資料の確認でございますが、議事次第、委員名簿、座席表に続きまして資料 の1から5がございます。不足、乱丁等ございましたらお手を挙げていただければ事務 局の方で対応させていただきます。 それでは以後の部会につきまして部会長にお願い申し上げます。よろしくどうぞ。 久道部会長 それでは早速議事を進めたいと思います。最初の議題ですが、「健康日本21」代表目 標項目について、議題2の、これまでの論議を踏まえた中間とりまとめの骨格につい て、中島室長より一括してお願いいたします。 中島生活習慣病対策室長 おはようございます。生活習慣病対策室長でございます。私の方から議題1、「健康 日本21」の代表目標項目について、議題2、10月以降のこれまでの議論を踏まえた中間 とりまとめの骨格についてということでまず説明を申し上げたいと思います。 資料1でございます。「健康日本21」における代表目標項目ということにつきまし て、「健康日本21」は現在、中間評価を進めているわけですが、そのために富永委員を 座長といたします作業チームをつくって作業をさせていただいております。その作業の 過程で、今後「健康日本21」を推進していくに当たっては9分野70項目、いずれも大切 ではあるけれども、幾つか代表目標項目に絞った形で選定をして、それに力点を置いて ピーアール、または施策の強化に努めていった方がいいのではないかという御指導をい ただいて、偶然なのかあれかは別にして、21項目ということで選ばせていただきまし た。 その部会での御審議の中で渡邊委員の方から、食塩摂取量の減少といったものも極め て重要なのではないかという御指摘がありまして、本部会で議論がございまして、最終 的にはその後、久道部会長、富永作業チームの座長、渡邊委員と事務方の方で調整をさ せていただきまして、基本的には原案どおりの21の項目を代表目標項目とさせていただ くということで御了解が得られましたので、ここに報告をいたします。 資料1に付けておりますのが一次予防、二次予防という形での計21項目でございま す。御参考までに、それぞれの項目ごとの「健康日本21」策定時のベースライン値、そ して2010年に達成すべき目標値、そして直近の実績値といったものを表の形で整理をさ せていただいて、事実上の確定版ということで提示申し上げているということで、これ は報告ということでございます。 次に資料2でございます。これまでの議論を踏まえた中間とりまとめの骨格について ということで、昨年10月に本部会を再開して、月に1度のペースで御審議をいただいて おりました。前回の部会で、これまでの議論の整理、その確定版ということで、10月以 降の議論を論点ごとに整理したものをお配りしたところでございます。 前回の最後にも申し上げたところでございますが、繰り返させていただきますと、本 年度、介護保険の制度改革をやらせていただきましたが、来年は医療制度の改革を厚生 労働省でさせていただきたいと思っております。高齢者医療制度の創設の問題、保険者 単位の広域化の問題という、いわゆる医療保険にかかわる問題のほかに、地域医療の在 り方、医療供給の在り方、それと並びまして生活習慣病対策といったものを柱の1つに して、医療保険、医療供給、健康づくりといった形で、それら3つを柱として医療制度 改革といったものを来年の通常国会に提出申し上げたいと思っております。そのプロセ スにおいて、この秋口には厚生労働省としての改革試案といったものを御提示できれば と思って、今、省の中で準備をしているところでございます。 そういう中で、その柱の1つとしたいと思っております生活習慣病対策につきまし て、厚生労働省としては本部会での御議論も十分踏まえた形で改革試案に盛り込んでい きたいと思っておりますので、ついては本部会においてこれまで御議論いただいたこと について改めて中間とりまとめといった形のものを9月にも御整理いただけるとありが たいなということを前回の最後に申し上げたところでございます。 本日はその大まかな骨格といったものでして、実質的に中間とりまとめの章立て、節 立てをどのようにするかということはまた改めて御相談を申し上げますが、こういうよ うな方向で改革をしていきたいというイメージといったものを改めて確認させていただ きたいと思っております。7月11日にお配りいたしましたこれまでの議論の整理(確定 版)といったものの内容を下敷きにしつつ、中間とりまとめ原案を今後、事務局の方で 作成させていただきたいと存じますが、本日はその大まかな骨格といったものを再度確 認させていただきたい。その中でさらに具体的な議論がまだ十分行われていないのでは ないかと思われる部分について、本日改めて資料を用意させていただいて御議論をいた だきたい。そういう段取りでおります。 1ページおめくりをいただければと思います。1ページはこれまでの御議論を踏まえ た中間とりまとめの骨格についてということでございます。これまで本部会でさまざま な御議論をいただきましたが、まず上の箱で、「健康日本21」の中間評価ということで ございます。これにつきましては9分野70項目の目標の中から21の代表目標項目を選定 するということで本日も報告申し上げましたが、先般の本部会でも、本日御欠席です が、町村会の松本委員から御意見をいただいて、こうした代表目標項目については、都 道府県の健康増進計画にも地域の実情に応じた目標値をしっかり設定してもらうという ことが望ましいのではないかと。そのためには、これは後ほど説明をいたしますが、都 道府県が地域の実情を踏まえた現状値を把握するというための調査ガイドラインといっ たものを国としても作っておく必要があるのではないかといった御意見もいただいてお りますので、そういう方向で進めていければと思っております。 具体的な各論としての栄養、運動、たばこといった施策につきまして、栄養につきま しては「食事バランスガイド」といったものをツールとして、今後の食生活の改善に向 けた普及啓発、指導を徹底していくということで、これは先般、報告書等について本部 会で説明を申し上げたところでございます。 運動につきましては、新たに「運動指針(エクササイズガイド)」といったものを作 りたいということで、この検討会を設置させていただきたいということを報告申し上げ まして、この8月に入りましたら第1回検討会を早速開きたいと思っております。 たばこにつきましては、たばこのシンポジウム等で活発な問題提起もいただきました し、本部会でも大変集中的な御議論をいただきましたが、今後の具体的施策としては、 本年度中に「禁煙支援マニュアル」の策定といったものに着手したいと思っております し、今後の中間評価の作業を進めていく中で、本部会では喫煙率を下げていく目標とい ったものを新たに設定すべきではないかといった御意見もございましたので、今後は中 間評価の作業チームで、そうした御意見も踏まえつつ作業をしていただくことになるの かなと思っております。 健診、事後指導という真ん中の箱であります二次予防でございます。これにつきまし ては11月の本部会で健診・保健指導の問題点について御議論をいただいたところでござ いますが、まだ必ずしも十分な御議論をいただいているとは思っておりません。後ほ ど、私どもの藤井の方から説明を申し上げますが、今後、健診・保健指導といったもの の中身について、健診といったものを重層化し、保健指導の対象者を階層化していくと いう形で確実に保健指導を必要とする人を抽出できる健診、そしてその人たちに確実に 効果の上がる保健指導を通じて行動変容をしていただくと。そういう一連の流れといっ たもの、かつメタボリックシンドロームといった概念を導入して進めていくという考え 方で、健診・保健指導の中身を改めていくべきではないかということも考えておりま す。それは後ほど改めて本部会でも御議論いただくべく資料を用意させていただいてお ります。それとともに、具体的に糖尿病予防のための栄養・運動指導をどのような形で やっていけばいいのかというスタンダードな指導プログラムにつきましても、17年度中 に策定をさせていただきたいということは本部会でも報告を申し上げているところでご ざいます。 健康づくり、とりわけ健診・保健指導といったものの制度的枠組み、システムであり ます。だれが実施責任を有し、どうした財源で健診・保健指導をしていくのかというこ とについては、老人保健事業の見直しの必要性というものが指摘されておりますし、医 療保険者により保健事業への取り組みを強化していただきたいという方向性も一定程度 出ておりますが、こうした老健事業の見直しと医療保険者の保健事業への取り組み強 化、これをどのような形で制度として仕組むのかということについては現在、全省的 に、省内で検討させていただいております。現時点においては、このような形で今後や っていきたいということは残念ながら省内で取りまとめている段階ではございません が、これについては取りまとめられ次第、本部会でも御意見をいただくということにな ると思います。 いずれにせよ、「健康日本21」、健診・保健指導を含めましたその目標値を達成して いくには医療保険者、市町村、さらには労働安全衛生法に基づく事業主等の責任や役割 分担といったものをある程度整理しておく必要があるのではないかと。今は制度がばら ばらで、個人にとっては幾つかの制度の対象にはなり得るけれども、必ずしもだれが最 終的に責任をとってやっていくのかということがはっきりしない。その結果、健診の受 診率もなかなかアップしないし、保健指導の徹底にもつながらないということでござい ます。この部会で重ねて御意見が出ておりますのは、目標値の達成を目指すには医療保 険者と市町村の責任・役割分担をはっきりし、それらが具体的に連携をして取り組んで いくことが重要だろうと。そういう意味では、そこのコーディネート役といったもの に、都道府県にしっかり総合調整機能を発揮していただくということが重要ではないか といったものがこれまでの御議論ではなかったかと思っております。 そういう意味では、本部会でも御議論が出ておりましたが、健康増進法に基づきます 都道府県の健康増進計画の内容を充実させていくということが大変重要なのではないか ということでございまして、幾つか具体的な御提言も本部会でいただいておりますの で、それを改めて整理をして、本日また説明を申し上げて一定の方向性を示していただ ければと思っております。私どもとしては、来年度には都道府県の方に、健康増進計画 の内容を充実させていただくにはこうした方向で、こうしたやり方でやっていただけれ ばありがたいなというマニュアルのようなものも作りたいと思っているところでござい ます。 そういう意味では、基本的には健診・保健指導の中身を見直す。それが真ん中のとこ ろの右から2つ目の欄ですが、健康増進法第9条に基づく健診指針の見直し、内容充実 ということで一つの取り組みとしてやっていく。制度的な枠組みというものについては 都道府県の総合調整機能といったものに期待をさせていただいて、都道府県の健康増進 計画の内容充実を図っていく。その中で「健康日本21」の代表目標項目の選定、さらに は医療保険者、市町村の役割分担の明確化と具体的連携方策、そういうものを健康増進 計画に織り込んでいくということなのではないかというのが、これまで10月以降御議論 していただく中で浮かび上がってきた方向性ではないかと私どもは思っているところで ございます。 それとともに、こうしたプログラム、さらにはシステムをつくっていく際に重要とな るのがエビデンスでございますので、そのエビデンスを確立する研究・調査を推進して いくという重要性に変わりはないと。食事摂取基準については田中委員の方に大変御尽 力いただいて昨年の12月にまとまりましたし、運動所要量については運動指針とともに 検討会を立ち上げさせていただきます。糖尿病につきましては数億円の大型な戦略研究 を組ませていただいているということも報告を申し上げましたし、国民健康・栄養調査 の充実についても、これまた田中委員の方に座長を務めていただいて、企画・解析委員 会ということで、その内容の充実を図ってきているということでございます。また、疾 病の早期発見と対策に関する研究班といったものも設けて進めておりますが、これにつ いては後ほど健診・保健指導の中身の議論のところで改めて紹介をさせていただくとい うことになっております。 2ページでございます。今申し上げたような取り組みの方向性に従って、それぞれの プログラムなり、エビデンスといったものをそれぞれ委員会、検討会等を設けて、この 2ページに示させていただいたような形でパーツを組み立てさせていただいて、最終的 にはこれまでさせていただいてきたことと同様、この部会で報告、御審議をいただい て、より内容を充実させると。そういう中でそれぞれのプログラム、システムといった ものを整備して、そうしたものを活用した改革につなげていきたいと思っているところ でございます。 前回、7月11日にお配りしておりますこれまでの議論の整理の確定版といったものを 下敷きにして、本部会で私ども事務局から報告させていただいていた内容も踏まえ、先 ほどの1ページで説明したような大きな方向性といったものを念頭に置きながら、今 後、中間とりまとめ案といったものの作成に着手いたしたいと思っております。 その中でさらに御議論をいただきたいと思っておりますのが健診・保健指導の内容の 問題でございますし、もう一つは今後の健康づくりにおいて都道府県健康増進計画とい ったものの内容充実の方向性と、それに対して国としてどのような形でお役に立てるの かという、国による支援方策といったこの2点について本日はお諮りを申し上げて、御 議論をいただければと思っております。本日御議論をいただいたことも含めまして、次 回の本部会までに事務局として久道部会長の方と相談を申し上げながらとりまとめ案と いったものを用意させていただければと思っているところでございます。私の方からの 説明は以上でございます。 久道部会長 どうもありがとうございます。ただいまの中島室長の説明に御質問、あるいは御意見 はございませんか。次の議題と関連して、そちらの説明を聞いてからでもよろしいです が、今の時点でいかがですか。ここで聞いておきたいということは。 富永委員 ただいま資料2で、「健康日本21」の代表目標項目も含めて、その後、健康づくりと 生活習慣病対策をいかに進めていくかという、主として国の立場からの具体的な指針が 示されまして、これは非常によくできていると思います。健康づくりにしろ、生活習慣 病の予防にしろ、行政は一般的に国民の人たちの健康づくり、生活習慣病を支援する立 場にありますので、いわば主役は国民ではないかと思うんですね。今回はこのような行 政の立場の指針のようなものをつくって、これを具体的に推進し、合わせて国民一人一 人が簡単にこれをやればいいというのがわかるような、非常にわかりやすい国民向けの 健康づくりと生活習慣病の指針というか、10項目ぐらいにまとめて何か提案するといい と思いますので、これはまだ将来の検討課題として、作業チームなり、適当な場で検討 すればいいのではないかと思います。 久道部会長 どうもありがとうございます。ほかにございませんか。なければ次の議題の説明を聞 いた上でまた御意見をいただきたいと思います。それでは議題3の生活習慣病健診・保 健指導の在り方に関する検討会について、藤井室長よりお願いいたします。 藤井健康フロンティア戦略推進室長 お世話になります。健康フロンティア戦略推進室の室長をしてございます藤井でござ います。座って説明させていただきます。よろしくお願いいたします。 健康フロンティア戦略につきましては皆様御存じでいらっしゃると思うのですが、昨 年の5月に与党の方から、健康寿命を2年延ばしましょうということで、介護予防の推 進と生活習慣病対策の推進という2本柱で施策を実施していくようにという御指示をい ただきまして、厚生労働省といたしましても関係省庁と連携をいたしながらこの戦略を 進めていくこととしております。ことしの1月、その特命室として私たちの室ができま して、検討させていただいております。特に生活習慣病対策の部分につきましては生活 習慣病対策室と十分に連携をとりながら内容を考えさせていただいているということで ございます。 資料3をお手元に置いていただければ幸いなのですが、今回、生活習慣病健診・保健 指導の在り方に関する検討会というものを設置させていただきましたので、その内容に つきまして御報告と御説明を申し上げたいと思います。 1枚おめくりいただきまして1ページをごらんください。第1回の検討会、先日、7 月25日に開催させていただきました。内容的には議事次第のとおりでございますが、次 のページをごらんいただけますでしょうか。今回、配付資料につきまして、その検討会 で使用させていただいたものほぼすべてをつけさせていただいております。この中で資 料2−2につきましては当部会におきます議論の整理(確定版)、15回で出させていた だいたものだと思いますが、それをつけさせていただきましたし、資料2−3につきま しては13回の資料としてこちらの方でおまとめいただきました総合的な推進について、 いわゆるカラー版のアジビラといったようなものですが、こちらの方を説明に使わせて いただきました。資料がだぶりますので、今回は割愛をさせていただいております。 次のページをごらんいただきたいのですが、5ページになろうかと思います。生活習 慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会、目的、検討事項等を書かせていただいて おります。この検討会におきましては、特に発見後は適切な生活習慣の獲得、継続が特 に重要と言われております糖尿病、高血圧、高脂血症等につきまして、いわゆる基本健 診をきっかけとした保健指導の在り方、先ほど中島室長の御説明もありましたが、中身 のお話につきまして、これまでの研究成果等を取りまとめさせていただきまして、基本 的な方向性につきまして一定の取りまとめをさせていただきたいということで設置をさ せていただいたものです。したがいまして、各論につきましてはまた詰めていく機会が 必要かと考えてございますが、この検討会におきましては基本的な考え方、基本的な方 向性につきまして一定の取りまとめをしていただく予定としてございます。 3のスケジュールでございますが、7月25日に一回開催させていただきまして、8月 中ということになろうかと思いますが一定の方向性を取りまとめたいと考えてございま す。この検討状況につきましては今回のように適宜、当部会に御報告、御議論いただき たいと考えてございます。 次の6ページ、委員でございますが、この委員につきましても、これまでの生活習慣 病健診・保健指導に関係する研究をお願いしている先生方を中心にお願いをしてござい ます。そのほか関係する部局、例えば労働衛生ですとか、老人保健、実際の現場で健診 ・保健事業に携わっていただいている方たちなども推薦していただきまして、構成をさ せていただいているという次第でございます。 次のページ、資料2−1からは恐らく当部会でもお示しさせていただいた機会もあろ うかと思いますので、細かい説明につきましては割愛をさせていただきますが、18ペー ジ、各制度の健康診査の受診者数等と書いてございますが、これが新しい数字に置きか わってございます。中段、一般健康診断、人間ドックの辺りが恐らく今回検討の対象に させていただいている健診の部分でございますが、内容を見ますと、被保険者につきま しては一定の受診率がございますが、被扶養者につきましては1桁台という受診率であ ることは変わってございません。 新しいデータとしましては20ページですが、平成16年の国民生活基礎調査の結果をつ けさせていただきました。健診の受診率ですが、これを見ますと女性の受診率が低いな と。あるいは青壮年、25歳、35歳、45歳といったところでは男女の差が随分大きいなと いったようなこと。21ページでございますが、会社・団体の役員ですとか、一般常雇者 等、職域で機会を設けていらっしゃる方は比較的健診の受診が高いけれども、自営主、 あるいは家庭内にいらっしゃる方につきましては健診というものの受診率が低いなとい うことのデータが出てございました。 23ページでございます。受けなかった理由ということのデータも出てございました。 右の方、時間がとれないですとか、めんどう、あまり必要性を感じていないといわれた ような方、すなわち受けられる方のインセンティブや関心、優先度が低いという理由で 受けていらっしゃらない方が約半分を占めていらっしゃるなというデータが出てござい ます。 次の24ページでございますが、今のような理由がどういう年代層に多いかと見ます と、やはり時間がとれない、めんどうといったようなことは特に今後、生活習慣の改善 等が必要だと思われます20代、30代、40代にかけて、このような理由で健診、あるいは 保健指導を受けていらっしゃらない傾向があるということが示されてございます。 というような基礎データをもとにいたしまして25ページ、資料3と書いてございま す。生活習慣病健診・保健指導に関する厚生労働省で行っております研究についての御 説明を若干申し上げます。25ページに書かせていただいたように、16年度に実施してい ただいたものなのですが、まず1つが最新の科学的知見に基づいた保健事業に係る調査 研究ということで、健診、保健指導等につきましてエビデンスを、ペーパー等をもとに いたしまして有効性の評価を行っていただきました。 その結果でございますが、健診につきましては有効性が示された項目というのも多々 ございました。例えば喫煙の問診ですとか、血圧、糖負荷試験などがそうでございます が、有効性が疑われる項目、あるいは必ずしも有効性が示せなかった項目などがありま すということが結果として書いてございます。 保健指導につきましてはハイリスク者に対する強力な生活習慣の介入というものは非 常に効果があったと。しかしながら、集団全体を意識して行動レベル等をきちんと階層 化するなどして評価したというペーパーがあまり見つからずに、今後、対象集団という ものをちゃんと意識して、行動レベル等で階層化し、そのレベルに応じた複合的な手法 で保健事業の効果を実証していく必要があるんだといったような御提言をいただいたも のでございます。後ろの方にその報告書をつけてございますので、また後ほどごらんい ただければと思います。 2番目の新しい検診モデルの構築と検診能力の向上に関する研究というものは、健診 データとレセプトデータとを結合して少し解析をしていただいたものでございます。内 容といたしましては健診データと確定診断というものがうまく結合し、健診のデータを もとにして確定診断というもので評価していただこうとしたのですが、なかなか確定診 断と健診データがうまく結びつくような仕組みになっていないといったようなことで一 つの問題提起をいただいたと考えてございます。 3番目、これはDisease Managementの調査研究をしていただきました。米国におきま しては、御案内ように、メディケア・メディエイドなどが疾病管理プログラム、いわゆ るDisease Managementを取り入れて行ってございます。これについての調査ですが、対 象者をリスクごとに階層化して、それぞれに対応したサービスを標準化しながら提供し ていくというシステムであったと。民間の管理会社へ委託をして、対面だけではなくて 電話ですとかITなど、対象者に応じた手法を工夫していると。さらに、評価をする仕 組みを内包して、自立的にそのサービスが向上していくような形でサービスが提供され ているといったような御報告をいただいてございます。 次の27ページになりますが、これが平成17年からスタートさせていただいている研究 でございます。この(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、4つのグループ、(エ)につき ましては地域と職域、松田先生にも主任研究者をしていただいておりますが、今後、健 診あるいは保健指導のエビデンス固めということをお願いしている研究でございます。 今申し上げましたのは、研究をベースにいたしまして、この検討会のたたき台を少しつ くらせていただこうということにさせていただいた次第でございます。 29ページ以降は研究報告書の一部をつけさせていただいておりますので、また後ほど ごらんいただければと思います。 そこで83ページまで飛んでいただきたいのですが、今回の検討会で議論をいただきま したポイントのペーパーが83ページ以降になります。83ページ、資料4−1ですが、生 活習慣病健診・保健指導に関する論点メモということで、実はこれ、検討会を開かせて いただく前から委員の先生方とやりとりをさせていただきまして、論点メモを整理して いただいたものを当日出させていただきました。 論点メモといたしましては、当部会でもお取りまとめいただきました課題等、ほとん ど同じ方向性の論点メモになってございますが、まず1番目としまして、健診でチェッ クすべき疾病とはということで、虚血性心疾患、脳卒中等の発症予防を念頭に置きなが ら、その重要なリスクファクターであるメタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧 症、高脂血症、内臓脂肪型肥満等への充実・強化ということを念頭に置くべきであると いったようなこと。2番目のところですが、健診は保健指導を必要とする者、特に予備 群をスクリーニングして、確実に保健指導につなげることが必要なんだという趣旨をき ちんと理解するべきだというようなこと。次の84ページになりますが、健診で異常を指 摘された者はもちろんのこと、予備群や異常を指摘されなかった者についても健診の機 会を最大限に活用して、健全な生活習慣の獲得の動機づけや保健指導に結びつけること が重要だというようなこと。 下の丸に移りまして、対象者、サービス内容の(1)、健診、保健指導が呼びかけに応 じた者を中心に一部の者にのみ繰り返し実施されている現状があるのではないかと。そ のため、必要性が高いにもかかわらず健診や保健指導を受けていない者というのが存在 している可能性があるのではないかということ。2つ目ですが、特に地域で生活する者 につきましてはインセンティブが弱いのではないかということ。4つ目ですが、保健資 源、マンパワーというのは限りがございますので、効率性と効果を両立した健診・保健 指導が必要であるということ。 (2)にございますが、年齢や既往歴、ライフスタイル等を考慮した内容で、金太郎あ めのようなサービスというのはもう少しきめ細かくやった方がいいのではないかという こと。85ページ上に移りますが、対象者に対して過度の負担をかけずに、これまで健診 を受けていない者にも健診が受けやすくすることが必要で、かつ保健指導が必要な者を 見落とさないように、その両立を図るべきだということ。保健指導の必要性に応じてサ ービスを提供すること等が指摘されてございます。 (3)でございますが、効果の評価というのをきちんとしなければいけないということ も論点メモとしてまとめていただきました。 下の方、各論的な事項ですが、その中で、先ほど中島室長の御説明の中にもありまし たが、健診の重層化、あるいは健診機会の重層化、健診内容の重点化といったようなキ ーワード。下の方にございますが、メタボリックシンドロームの考え方を取り入れて、 国民の方にわかりやすいサービスに組んでいく必要があるというようなこと。 86ページになりますが、保健指導については、1つ目ですが、健診データ及び行動変 容の困難度などをもとにして対象者を階層化していく必要があるのではないかというよ うなキーワード。2つ目になりますが、生活習慣の改善の必要度等に応じて保健指導の プログラムを標準化して、一定レベルの保健指導の量と質を確保するというキーワード を取りまとめていただいてございます。また、3つ目ですが、民間事業者を含めたサー ビス提供者間の競争原理が働いて質が向上していくような仕組みも念頭に置いておく必 要があるのではないかといったようなことをまとめていただいております。 今、ざっと御説明いたしましたが、第15回の当部会でこれまでの議論の整理というの をしていただいていますが、ほぼ方向性として同じ方向性をお示しいただいたのかなと 考えてございます。 そこで、87ページ以降がそのような論点整理を踏まえまして事務局の方で少しイメー ジ図を書いてみたものでございます。イメージ図を書きまして、少し御議論をいただき たいのですが、検討会の場ではその大筋につきましては御支持をいただいたと理解をし てございます。88ページですが、今後の基本的な考え方ということで4つ挙げさせてい ただいてございます。糖尿病、心疾患、脳卒中の予防を重点的な目的として、メタボリ ックシンドロームの概念を導入していくこと。2つ目、健診及び保健指導を一体とし て、保健指導の徹底を目指して全体を体系化していく。その中には、今後の方向性の上 から2つ目の四角の中、仮称でございますが、「生活習慣改善支援サービス」といった ような一体とした概念というものも必要ではないかという形でまとめております。3つ 目の丸、全員を対象にサービスを必要とする者を効率的に抽出し、これらの者に確実に サービスを提供するということが必要である。4つ目の丸、サービスの効果を評価する 仕組みを組み込み、サービスの内容、仕組み、提供者の質の向上を図っていくというよ うなことが必要だということで4つのポイントをまとめさせていただき、下の四角はそ の内容を書かせていただいているのですが、最終的には、先ほど中島室長からもお話が ありましたように、健診指針等の見直し・整備ということで反映させていくべきではな いかということで書いてございます。 イメージ図、89ページ下の方ですが、左が現状、右が今後の方向性ということで書か せていただいてございます。左に、濃い水玉、ちょっと薄い水玉、白い水玉がございま すが、これは保健指導等の必要性の高さで、濃いものが高く、低いものは白くというふ うに書いてございます。現在は一定の集団の中で高い方から低い方までいろいろな方た ちが入りまじっている状況の中で、主として呼びかけに応じて健診をしていただいてご ざいますので、ひょっとしたら高い者の方に手を挙げていただかないと、その方たちが 既にこの段階で対象から外れてしまっている可能性がございます。 また、健診を行って、実際に保健指導に行く現場でも、どちらかというとオプトイン と言いますか、呼びかけに対しまして、対応してくださった方に提供してございますの で、ここでも漏れている可能性があるのではないかといったような問題意識を持ちつ つ、今後、少し健診の機会というのを重層化いたしまして、すべての方たちに、今行わ れている健診の例えば問診の部分ですとか、簡単な血糖ですとか、血圧ですとか、身体 計測、例えば腹囲とかそういうことですが、そういう非常に簡単な健康チェックという ものをさせていただいて、全部の方たちになるべく多くこういう簡便なチェックをかけ させていただいた上で、その中でリスクの多い方を少し寄せさせていただいて、そこで 少しリスクが高めだなと評価された方に、これまでと同様な、あるいはもう少し重点化 をしたような詳しい健診をしていただくことによって、必要性の高い方をなるべく多く カバーしていこうという健診の重層化、内容の重点化というのが一つの方法ではないか と。 健診を受けていただいた後、必要度に応じて、メタボリックシンドローム、幾つかリ スクファクターが重層すると、心疾患、脳卒中等の発症率がかなり高いという概念をき ちんと頭の中で整理をさせていただきまして、リスクの多い方たちには手厚く、リスク の少ない方たちについても何らかのサービスをというイメージで全員に情報提供・普及 啓発、特にリスクの高い方たち、あるいは行動変容が必要だと切迫している方について は積極的な対面等の生活習慣改善支援といったように、少し階層化した上で、その方の 状況に応じたサービス、プログラムを提供するべきではないかということを図示してご ざいます。 90ページ、先ほど申し上げました簡便な健康チェックといったようなものを今までの 健診の前段階に行うことによりまして、この中でリスクがあると判断された方は詳細な 健診を追加して実施していただく。あるいは、節目には必ずこういうものをちゃんと受 けましょうよといったようなことを言う。この中で、医療が必要だという方にはきちん と医療機関でのフォローアップをしていただくというようなイメージでございます。 91ページ、「保健指導」についてでございますが、先ほど申し上げましたプログラム の標準化というイメージは、1から3に書いてございますように、例えばリスクの低い 方でも情報提供はきちんとさせていただく。3番で、リスクの高い方については保健師 さんや管理栄養士さん等によりまして、直接的に行動変容を支援するような手厚いサー ビスを提供させていただく。その中間というのにどこで線を引くのかあれですが、動機 づけ支援といったようなこともやらさせていただくというような標準化をしてはどうか というイメージでございます。 具体的なサービスの内容につきましてはそれぞれITを使ったり、電話を使ったり等 のやり方があろうかと思いますが、この検討会におきましては、基本的な考え方をまと めていただくということで、その具体的な項目については今回は少し課題として置いて いただくのかなというようなことを考えてございます。 最後、92ページは今申し上げましたようなことを全体のシステムとして図示したもの でございます。国民のなるべく多くの方たちに、健診の機会を重層化することによりま して、リスクの高い方をなるべく多く拾わせていただく。その中で必要な方にはこれま でのような非常に手厚い詳細な健診を受けていただく。特にここは、同じ受診率でもか なりリスクの高い方たちが寄った形で健診を受けていただけるのではないかというよう なイメージだと思います。 保健指導につきましてはそれぞれ状況に応じましてグループに分けさせていただい て、限られたマンパワーを有効に積極的支援、あるいは動機づけ支援、情報提供といっ たような形で対応をさせていただいて、最終的に効果の評価というものを、制度に仕組 むといったような絵をかかせていただき、御検討いただきました。 先ほど申し上げましたように、この検討会におきましては、この考え方につきまして は大筋御了解と申しますか、積極的な御支持をいただいたと認識してございます。今後 は実際の現場における取り組みですとか事例などもお聞きしながら、内容につきまして 少しバージョンアップしてまいりたいと思ってございますし、またその進捗状況につき まして当部会に御報告申し上げまして御議論いただければと考えてございます。簡単で ございますが以上でございます。よろしくお願いします。 久道部会長 どうもありがとうございました。それではただいまの説明に御質問、あるいは御意見 をお願いいたします。 北村委員 大変すばらしい健康増進の基盤的な事業がまとまってきたと思うのですが、もし今、 こういう運動が普及して、健診を受けている20%レベルが100%に上がっていくにつれ て、健康と自分は思っているけれども、高脂血症があった、高血圧があったという人が どんどん見つかってくるということになったとき、今度はそれがお医者さんへ行きます と、食事療法とか、運動療法を勧めて治そうというよりは、安易に薬物療法に入ってい くと。保険医療の方に入っていくと。そういうことも起こり得るということを考える と、健診事業を進めれば進めるほど、保険医療に対する負担は起こり得るということを あると考えておられるのか。医療費に対するさらなる増加が、例えば高脂血症で治療を している人が倍にも3倍にもなってくるという医療のパラドックスみたいなところに対 してはどういう見通しを持っておられるか、ちょっとお聞きしたい。 瀬上参事官 参事官の瀬上でございますが、私からお答え申し上げます。この考え方の基本はメタ ボリックシンドロームという考え方で、高脂血症、あるいは高血圧、糖尿病というよう な合併症を来す以前の段階の病態像というのは可逆的である、リバーシブルである、い つでも健康状態へ戻すことが可能である、それはすべて生活習慣の改善努力によって可 能であるという基本的な考え方に基づいております。よって、繰り返し2人から申し上 げましたように、ヘルスチェックとその後の保健指導、その保健指導を生活習慣の改 善、自己努力、それを徹底することへの支援として位置づけ、そしてポピュレーション 全体が健康行動へ変わるということを考えております。 おっしゃるように、安易にリバーシブルの段階で投薬など、医療に入っていくという ことも、これまでの流れの中では当然危険性としてはあるわけですが、その辺りについ て健診と保健指導を一体的に考え、そしてそれを単に受診ということではなくて、健康 行動へ変えるということを趣旨とした構造をつくっていくことで先生の御指摘になった 懸念に対して一定の挑戦をしていくことができるのではないかと考えております。 北村委員 おっしゃるとおりで、健診等で早期にリバーシブルな疾患を発見する。そのときには 生活習慣を変えることが目的であって、安易に医者のところに行って、薬をもらって飲 み始めて、生活習慣は変わらないということを避ける。それにはならないワンステップ を設ける。あるいは強くそれを喚起するというようなことをしていただかないと成果が 上がらないと思う。米国などでも、もうスタチンは町で予防薬のように使われて、ビフ テキは食べるわ、酒は飲むわ、たばこは吸うけれども、食べた後、血糖も薬、脂肪も薬 という形で下げて、生活習慣は改まらないという現象は、先進国というのか、後進国と いうのかわかりませんが、豊かな国ではもう起こっているわけですよね。ですからそこ の生活習慣を変えるところと医療に入っていくというところとは一線を画すということ に対しての強い喚起がいるのではないかという気がします。 加賀谷委員 まだこれから議論が行われていくところかとも思いますが、あるいはもうされている かもしれませんが、意見なんですが、健診というのが健康寿命を延ばすのに必要な、保 健指導をしていくのに必要な人をスクリーニングするという、そういう観点で健康診断 が行われるということでありますので、ぜひこれは新しい方向として動くことのできる 体を持っているかどうか。 例えば今、介護予防で筋力トレーニングとか問題になっておりますが、それはその時 期にやっても意味がないので、若いときからどのぐらい動くことができる体を持ってい るかという、そういう観点で見ていく必要があるのではないかと。例えば、筋肉量が体 重当たりどのくらいまで落ちたら寝たきりになるかというような研究も今、幾つか行わ れておりまして、そういう健診の中に、例えば90ページの健康チェックの中にでも、A DLとか、骨と筋肉ですね、動くことができるという観点で、そういうものを入れて、 動くことができる体になっているかどうかということを見ていく必要があるのではない かと思います。 運動というのは2つありまして、今、運動することによって生活習慣病の予防をしよ うというための運動ということがここで話題になっていると思うのですが、それは動く ことができる体を持っていないと可能でないわけですね。ですから、動くことができる 体かどうかというのを健診の中に入れていっていただくということがこれから必要では ないかと思いますので、意見として申し上げます。 木村委員 今の加賀谷委員のお話の中で、今までの老人保健事業の中の一部分を介護保険の中で 行う。新しく地域支援事業というものを創設して、その中でポピュレーションアプロー チというものとハイリスクアプローチというのを両方やられることになるのですが、今 おっしゃった生活機能、要するに普段からどれだけ動いているかとか、下肢機能を見る とか、どれだけ食べれているかとか、うつの問題やら、認知症の問題やら、全部入って いる「基本チェックリスト」というのがもうモデル事業でも始まっていまして、それら を網羅的に引っかけていって、高齢者自身に気づかせて、地域包括支援センターに導く ということですね。もちろん、医療機関の先生方のチェックも入るわけですが、そうい う仕掛けが今、検討されて、来年4月から地域包括支援センターが設置された市町村で はそれが行われていくのです。また、地域支援事業は、地域包括支援センターが設置さ れなくても市町村が主体的にやることになるのですが。 そのことで高齢者のところはカバーできるのだろうけれども、老人保健事業で考える と、40歳以上となります。そうすると、恐らく地域支援事業の該当者というのは、地域 にいる65歳以上の人たちがスクリーニングかけられてくるんだと思うんですね。ですか らそっちはたぶんあまり心配いらないのではないかなと。かなりの率でそれは引っかか ってくると思いますので。問題なのは64歳から下と、学校を卒業した人たちですね。卒 業して社会人になって、64歳までのその間の人たちが、さっきのデータから見たとおり で、健診を積極的に受けないとか、受けにくいとか、いろいろあるので、そこのところ を絞るというか、そこで今提言のあったようなことをきちんと確立していくという形の ことが必要なのではないかと思います。 加賀谷委員の意見への補足と、今こういうふうに介護保険制度は変わっていっている ということ、年齢の抜けがなくきちんとやらなければいけないということを提言させて いただきます。 久道部会長 今のは加賀谷委員の言う筋肉の量を測定するとか、そういう項目も入っているのです か。 木村委員 例えば直接筋肉の量の測定はありませんが、BMIを見るようになっています。チェ ック項目の中に「1日15分以上外出していますか」とか、「片足で靴下が履けますか」 とか、たぶん、おっしゃる基本的な日常生活ができる体力は、だめな方でなければ、よ しという、つまりオーケーという形の項目が入っています。 久道部会長 それでいいのですか。 加賀谷委員 ぜひそういうものが、若い方まで含めて健診事業に入ればいいと思います。ありがと うございました。 澁谷委員 90ページのところのイメージ図はよくわかるのですが、毎年全員が必ずというふうに 最初の段階で書いてあります。確かにこれは健康チェックをして病気のもとを見つけて いくというシステムのイメージ図だと思うのですが、全員が受けるということがスター トになっているということであるならば、健康であることを確認するという、そういう イメージも一つはあってもいいのではないかと思うんですね。病気を見つけるというこ とと、それからもう一つ、ポジティブに健康であることを毎年確認すると。そういう積 極的なイメージというのも付加していただけたらと思います。病気を見つけるというこ とがもちろん中心になるのはわかるのですが、スタートがそういうことならばそういう 配慮もいただきたいということが一つあります。 全員が必ずということなんですが、大変これは難しいことなのかなと思うのですが、 これは例えばこの中に自己健診のようなものもイメージされているのでしょうか。そこ ら辺もお伺いしたいのですが。 藤井健康フロンティア戦略推進室長 先ほどもちょっと申し上げましたが、非常に各論の部分についてはまた改めて検討の 機会をというふうにはお願いしようと思っているのですが、論点メモの中では、確かに 異常のある方だけではなくて、異常のない方に対しても何らかのサービス、たぶんその サービスの中には、適切な生活習慣とはこういうもので、今回、異常が見つからなかっ たけれども、今後ともこういう習慣を、気をつけていきましょうね、よかったですね と。だけれども気をつけてくださいねといったようなメッセージが入るというようなイ メージを論点メモでも提言していただいていると思いますので、まさしくポジティブな イメージで健康チェックというのを使うといったようなことは非常に重要だと思います し、またこの検討会でも意見をフィードバックさせていただきたいと思っています。 自己健診チェックみたいなお話なんですが、キーワードの中で、非常に健診を受けや すく、恐らく重厚で、服を脱いだり、時間をとったりという健診が面倒くさいとか、時 間がないとかおっしゃっているんだと思いますので、その辺りをカバーしていくために は少し健診の方から、あるいはチェックの方から私たちが近づいていく方法が必要だと いうことを論点メモで御指摘いただいていると思います。今先生がおっしゃったよう に、自己チェックだとか、あるいは家でできるとか、身近でできるとか、何かそんなキ ーワードが出てくるのかもしれないなと思いますし、イメージとしてはそういうものを 描いて議論いただいているのではないかと考えてございます。今の御意見もまたフィー ドバックさせていただきたいと思います。 久道部会長 全員が必ずという、100%を目指していますよね。きのうかきょうの新聞だったと思 いますが、健診の受診率目標90%という記事が載りましたね。それを他の部会に検討を あれするという記事だったと思うのですが、あれはこのこととは違うのですか。 中島生活習慣病対策室長 恐らく部会長がごらんになられたのは医療費の適正化を巡って生活習慣病対策をこう いう形でやればこれだけ医療費が減る見込みがありますよと。そのためには健診受診率 を現行のこの割合からここまで、そして健診で黄色い信号がともった人に対する事後指 導の徹底率をここからここまで上げると、例えば医療費にして何兆とか、そういう形に なりますということでありまして、あそこで出した数字は、今回、方向性としてお示し しているところと必ずしもリンクされた数字ではございません。 久道部会長 わかりました。ほかにございませんか。 土屋委員 総論的なことでお伺いしますが、制度的枠組みの見直しを検討するというお話がござ いましたが、例えば老人保健事業の見直しの検討会の中では、既にこれは結論的には生 活機能の低下の予防、および生活習慣病の予防ということになっているわけです。その 一部が、先ほどのお話に出たように、介護保健との介護予防的なものに入っていってい る。生活習慣病の予防ということに位置づけられた老人保健事業が、その他のいろいろ な保健事業とどういう形で整合性をとるというか、一元化するというか、最終的にはこ れは都道府県の健康増進計画にかかわることです。マニュアルを作成するとなっていま すが、これを早急にお示ししないと、それぞれの都道府県、あるいは市町村単位では、 いろいろなものがいろいろな角度から入ってまいりますので、これらをどう整理したら いいのか混乱するのではないでしょうか。例えば保険者協議会の中でも保健事業という ことは言われています。保険者の間でも、今まで単独でやっていたものをそれぞれの保 険者が一緒にやりましょうよという話もあります。いろいろな話が錯綜しておりまし て、これを整理してお示しするということも一つの大事な仕事ではないかと思います。 中島生活習慣病対策室長 私の説明で不足があればまた参事官の方から補足の説明がありますが、土屋先生の御 指摘のように、健診の全体像をきっちり描かなければいけないということはおっしゃる とおりだと思います。当然のことながら、実はここで落ちているのは、例えば典型的に はがん検診はどうするんだと。これは多田羅先生の方から、がん検診の受診率こそ何と かしないといかんだろうということを何度も御指摘をいただいていますが、そういうも のをどうするのかということはあるわけです。それについては土屋委員の御指摘どお り、早急に厚生労働省としてがん検診の在り方をどうするのか。そしてこのメタボリッ クシンドロームを中心とする健診の在り方とがん検診といったものを合わせた形で、国 民の方に、どのようなシステムでだれが責任を持ってやっていくのかということは早急 に詰めないといかんと思っております。 ただ、本日お諮りをしておりますのは、がん検診はちょっと置いておきまして、これ までの健診といったものをメタボリックシンドロームに着目してこういう形でやってい くということを、少なくとも老人保健事業の在り方として、さらには医療保険者が行っ ていただく保健事業の在り方として、それぞれの役割分担をどうするかというのは今後 の議論ですが、やはり主軸に据えていただきたいんだという思いがありまして、そうい う意味で、ここでの健診・保健指導の方向性といったものを健診指針に盛り込むことに よって、健診指針に従ってそれぞれ老人保健事業の実施主体である市町村、保健事業の 実施主体で医療保険者が、それに従って保健事業をやっていただくという制度的枠組み ですから、そういう方向でやっていただくということをまずは御議論いただければあり がたいと。全体として、がん検診も含めて健診、場合によっては職域健診ですね。いわ ゆる職場の特殊環境等に応じる健診も含めて、どういう形で描いていくかというのはも う少しお時間をいただければありがたいなと思っております。以上です。 坂本委員 18ページの各制度の健康診査の中でこの健診の改革が動いていくんだというふうに理 解しているのですが、母子保健健診はどれも80%を超える受診率なんですね。健診の受 診者の中で、女性と在宅の方々の健診受診率は非常に低いわけですから、自己チェック も含めた健診を最初に導入するということであれば、母子保健の中で、子供だけでなく て家族の健診というのが組み込まれれば、高い受診率を確保できるのではないかと思う んですね。ちょっと思いつきみたいなんですけれども。ハイリスク面では、父親世代の 若い男性から始まる肥満などを考えた場合にも、母子保健との協力というのは非常に大 事だと思います。 久道部会長 今のはいいアイデアですよね。 石井委員 今のことに関して、いろいろなところでモデル的に親子健診というのを私ども、歯科 検診でやっておりまして、そうすると子供の歯科保健行動とともに親の歯科保健行動と いうか、そういうところの行動変容につながって、非常に効果があって、それを追跡し て1−6健診でやったのを3歳児健診で追跡していくと、非常に全体に、親子ともども 効果が出ているというようなモデル事業の報告が幾つかあるのですが、今の御指摘のこ とは少し母子保健の枠を広げて考えていただいた方が、実際に歯科保健に関して言え ば、そういう効果が出ております。 藤井健康フロンティア戦略推進室長 ありがとうございます。先ほどの私の御説明からは、項目だとか、やり方のところで の簡便化とか、重層化の話をしたのですが、今のお話で、提供する機会についてもいろ いろ工夫をして近寄っていかなければいけないのではないかという御意見だと思います ので、検討会の方にきちんとフィードバックさせていただきたいと思います。 石井委員 生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会のところで少し気になるのは、代 表的な歯科疾患である歯周病とか齲蝕にしても生活習慣病ですので、そして歯周病と全 身の生活習慣病との関連は、糖尿病に関してはいろいろエビデンスが出ていますし、最 近は循環器疾患とのエビデンスも出てきておりますので、ここで口腔保健の専門家が一 人も入っていないということを御指摘したいと思います。 久道部会長 6ページですか。 石井委員 6ページです。そういうことをどこで検討していくのか、そこをちょっとお教えいた だければと思います。 中島生活習慣病対策室長 重ねて申し上げているのですが、とりあえずこの検討会はメタボリックシンドローム を中心に、それで今、委員から御指摘のように、歯の部分も当然メタボリックシンドロ ームに密接にかかわってくるんだということでございますので、確かに歯科が入ってい ないという御指摘というのはごもっともな点もあるかと思います。ただ、この検討会で は基本的には大きな方向性について御提示をいただきたいと思っておりまして、それで は具体的にどのような健康チェック項目がいいのか、詳細健診ではどのような健診項目 を維持するのか、または追加するのか、あるいは削除するのかというところについて は、次のステップとして御検討をいただく、または我々として検討していくということ を考えておりますので、この次のステップ、具体的に健康チェックの中身、詳細健診の 中身、または対象年齢をどのように設定するのかといったことをするときには、きょう の石井委員の御指摘も踏まえて検討させていただければと思っております。 久道部会長 それでは議題を先へ進みます。また何かありましたらどうぞ戻って御意見いただきた いと思います。4番目の都道府県健康増進計画の見直しの方向性について、中島室長よ りお願いいたします。 中島生活習慣病対策室長 それでは資料4でございます。都道府県健康増進計画の見直しの方向性についてとい うことで、本日、改めましてこれまでの議論の整理をさせていただいて、一定の方向性 をお示ししたペーパーでございます。 1ページをめくっていただけますでしょうか。都道府県健康増進計画の見直しの方向 性ということについては、先ほどの資料2の方で、本部会でのこれまでの議論の方向性 の中でも説明をしたところですが、改めて具体的な御発言の内容をここに整理させてい ただきました。これまでの議論の整理(確定版)、前回にお示しした中から抜粋をいた しますと、まず国の責務と役割というところでは、市町村と医療保険者等の役割分担や 連携の在り方はどうなのか。それをどう考えるべきなのかということについて、国が基 本的な方向性を整理して示すべきではないか。都道府県健康増進計画の内容をどのよう に見直し、充実させていくのかということについて国がガイドラインを示すべきではな いか。国民健康・栄養調査等の在り方について御議論いただいた際には、これまで各地 方公共団体に独自に住民健康・栄養調査等をやっていただいていますが、そうした住民 健康・栄養調査等について今後の地方健康増進計画の策定支援とか、さらには自治体を またがって比較できるような統計調査にするという観点から、国が統一的なガイドライ ンを参考までにお示しするようなことを考えてはどうだろうかということの御意見が出 ています。 国、都道府県、医療保険者、市町村と、こういう形で役割分担を御議論いただいた際 に、都道府県の責務と役割という箇所でございますが、市町村と医療保険者等の役割分 担と連携方策を明らかにしつつ、医療保険者がより積極的に保健事業を推進していくべ きではないか。そのためには都道府県の役割強化が必要ではないか。具体的にはその下 でありますが、地域と職域の連携をどう推進していくのか。特に未受診者の把握や事後 指導の徹底のために市町村、医療保険者等の関係者が協議した上で、それぞれが担う健 診・事後指導の事業内容や事業量、その具体的連携方策について都道府県健康増進計画 に明記して、事業の推進・評価を進めるべきではないか。そうした考え方から、現在策 定していただいている都道府県健康増進計画は目標を設定し、それを達成するというた めの具体的な事業の計画になっていないものが多いのではないか。 実はこれは、私どもの反省もあるんですけれど、「健康日本21」というものが割とそ ういう具体的な事業といったものを明示していないことから、どうしても都道府県健康 増進計画がこのようにならざるを得ないんだということもこの部会では説明したわけで すが、やはり具体的な事業内容を明記する。そしてそれを通じて一定の目標を達成する という計画にすべきではないかということで、これまで本部会で御議論いただき、コン センサスが得られたものだと思っております。 それに加えまして、前回こうした議論の整理(確定版)を御了承いただいた際に、本 日御欠席の町村会の松本委員の方から、この「健康日本21」の代表目標項目の21につい ては、各都道府県の裁量、自由度というものを認めながらも、せめてこの21については 都道府県がしっかり自らの地域の現状を把握し、そこを踏まえた上で都道府県健康増進 計画に目標値として盛り込んでいくということが必要なのではないかという、市町村と してはそういうことに大変期待したいんだという御発言があったということを参考まで に付記させていただいております。 2ページでございます。都道府県健康増進計画の現状と課題、今後の方向性といった ことにつきまして、5ページでございますが、この3月24日の本部会において、都道府 県計画について全都道府県を対象として調査をさせていただいたというものを紹介させ ていただいて御議論いただいたところでございますが、後ほど5ページ以下は説明いた しますが、改めて2ページに戻っていただきまして、そういうことを踏まえて現状と課 題みたいなものを整理させていただいたということでございます。 その前に4ページをおめくりいただけますでしょうか。そもそも都道府県健康増進計 画というのはどのような法的ポジションなのかということについて説明をいたします。 健康増進法の第7条では、まず第1項で、厚生労働大臣は健康づくりの基本方針を定め るとなっております。2項で、1号から7号まで、その基本方針にこのようなことを盛 り込むべきだとなっておりまして、1号が基本的な方向性。2号が目標に関する事項。 3つ目に、都道府県健康増進計画、及び、ここは策定努力義務にとどまっております が、市町村健康増進計画の策定に関する基本的事項といったものを基本指針に盛り込む べきだと、こうなっております。 その基本方針といったものを厚生労働省の告示として平成15年にお示しをしていると ころでありまして、そこに第2、第3と書いてありまして、かつポイントのところにア ンダーラインを入れさせていただいていますが、目標に関する事項について、地方公共 団体においては、全国的な目標を参考にそれぞれの実情に応じて、関係者で共有される べき目標を設定する必要があると書いてございます。 都道府県健康増進計画、市町村健康増進計画の基本的な事項に関しましては、地方公 共団体は、地域住民の健康に関する各種指標の状況や地域の社会資源等の地域の実情を 踏まえ、独自に重要な課題を選択し、その到達すべき目標を設定すべきだということに なっております。ずっと下がっていきまして、一定の期間ごとに計画の評価及び改定を 行い、継続的な取り組みに結びつけることとなっております。そして、都道府県は、市 町村、医療保険者、学校保健関係者、産業保健関係者等の一体的な取り組みを推進する 観点から、健康増進計画の策定及びこれらの関係者の連携の強化について中心的な役割 を果たすこと。また、保健所は、関係機関との連携のもと、地域保健の広域的、専門的 かつ技術的拠点として、地域の実情に応じ、市町村における計画策定の支援を行うこと という形で基本的な考え方といったものは整理をさせていただいて、これまでこうした ものを踏まえ、進められてきているところでございますが、若干課題も残っているとい うことで2ページ以降、説明をさせていただくわけでございます。 2ページでございます。まず目標の設定というところでございます。基本方針では、 今ほど説明いたしましたように、それぞれの地域の実情に応じて関係者間で共有される べき目標を設定する必要があるということになっているわけですが、現実の都道府県の 健康増進計画を拝見しますと、都道府県の間で、地域の実情を踏まえということなので ある意味では当然かもしれませんが、設定しておられる目標項目といったものが、かな りばらばらであるということ。または、そこで具体的目標値を設定しておられても、な かなか県独自の目標値ということではなくて、国の目標値、「健康日本21」の目標値と いったものをそのまま持ってきておられるという場合もあるようであるという問題点が ございます。 すなわち、目標項目がばらばら、かつ目標値といったものも、必ずしも地域の実情を 踏まえた目標値になっていないのではないか。それとともに、健診受診率という目標値 も、市町村の老人保健事業の健診のみの受診率を目標としている。これははっきり言っ て、国が整備している制度といったものが縦割りになっているというところも大いにあ るわけですが、しかし職域での健診といったものも含めた形での健診受診率というデー タにはなっていない嫌いもあるんだということでございます。 そういう観点から、今後は地域の実情を踏まえ、職域も含めた具体的な数値目標とい ったものを設定していただく必要があるのかなと。その意味では、「健康日本21」の代 表目標項目を初めとして、地域の実情を踏まえ、地域住民にわかりやすい目標値を設定 していただく。そのためには各都道府県が実施する健康・栄養調査等によって現状把握 等を徹底していただくということも必要かと。このことについては国として支援をさせ ていただきたいと思っておりますが、それは後ほど説明をいたします。 関係者間の連携という点では、厚生労働省告示による基本方針では、都道府県は市町 村、医療保険、学校保健、産業保健等の一体的な取り組みを推進する観点から、計画の 策定・連携に中心的な役割を果たすこととなっているわけですが、現実に計画では、こ れは「健康日本21」の流れをそのまま踏襲されているという部分がございますが、関係 者の連携の必要性というものについての一般的な事項は盛り込まれていますが、具体的 な施策に即して各関係者がどのような役割分担をとるのか。そしてどのような連携を図 っていくのかということは必ずしも明示されていないという嫌いがあるのではないか。 そのためには、一番右のあれですが、関係者の役割分担と連携促進のための総合調整 機能といったものをより発揮していただくということでございまして、そういう意味で は具体的施策に即した関係者間の役割分担と連携を促進する。そういう意味では、都道 府県の総合調整のもと、関係者が御協議いただく場として地域・職域連携推進協議会と いったものを各都道府県に設置していただくということであります。 医療保険のサイドでは、既に保険者協議会といったものを各都道府県に置いていただ くことになっておりますので、保険者協議会として一本化を図られ、そしてそこに市町 村、さらには労働安全衛生担当者等に入っていただくということで、地域・職域連携協 議会というものを、そこで総合的な県の調整機能を発揮していただくと。この地域・職 域連携推進協議会については、本年度及び来年度の2カ年で全県に設置していただきた いということで、そのための補助金等も2カ年計画で用意をさせていただいているとい うところは報告申し上げたところでございます。 3ページでございます。3ページでは、具体的な施策ということでございますが、基 本方針では、「一次予防の重視」、「正しい知識の普及に関する基本的考え方」といっ た形については書かせていただいていますが、必ずしも目標達成に向けた施策プログラ ムといったものを国としては提供しきれなかった嫌いというものがあると思っておりま す。したがいまして、県におきましても、県の健康増進計画に書かれている具体的な事 業という形ではイベントやシンポジウムといった一般的普及啓発策といったものが中心 になりがちであって、目標値の達成に向けた具体的施策といったものが必ずしも盛り込 まれていないということでございます。 そういう観点から、今後は都道府県健康増進計画においては、市町村等の行政だけで なく、医療保険者等を含めた主体が取り組むべき具体的施策といったものを明記してい く。そのためのプログラムとしては「食事バランスガイド」、「エクササイズガイド 」、さらには糖尿病予防のための保健指導マニュアルといったものを国としてはメニュ ーとしてプログラムを用意させていただくということでございますので、そうしたもの を大いに御活用いただき、そうしたものの活用を都道府県健康増進計画に明記をしてい ただく。その上で各主体の取り組みの進捗状況や目標の達成度について定期的に評価を していただくということになるのかなと思っております。 市町村計画の策定支援ということでございます。特に本部会では、木村委員の方か ら、市町村健康増進計画の策定状況が低いのではないかということでございますが、基 本方針では、都道府県の保健所が中心となって市町村における健康増進計画の策定を支 援すると書いてございます。現実には、これも後ほど説明しますが、やはり多くのとこ ろでは保健所がきちんと支援をされておられるわけですが、2割ほどの市町村では必ず しも支援をしていただいていないと御回答されているところが出ております。そうした ところはとりわけ基礎となる統計データの提供とか、健康課題の抽出や手法の提示とい った専門的な支援といったものが大変必要なんだというふうにも御回答されております ので、今後は都道府県、または保健所によるこうした市町村支援といったものも充実・ 強化をしていただく必要があるのではないかということでございます。 5ページでございます。今、ざっと申し上げた背景の一つでございます資料を5ペー ジから用意させていただいています。5ページからの資料は3月にお配りして説明した 都道府県健康増進計画についての都道府県に対するアンケート調査の結果でございます が、まず2の結果のところでございます。都道府県健康増進計画は目標達成のための具 体的な事業計画になっているかということについては62%の方がなっていないとお答え になっておられます。また、県の計画と市町村の計画との整合性という点では、これも 偶然ですが、62%がなかなか整合性がとれていないんだと御回答になっています。 6ページでございます。県として市町村計画の策定に関して支援をしておられますか ということについては98%がしておりますと。そして、ここにも書いてございます情報 提供、統計データ、健康課題抽出や手法の提示といったことを中心に専門的御支援を果 たしていただいているということが浮かび上がっております。 7ページ。市町村健康増進計画がどうして作られないのでしょうかということに都道 府県の御意見を聞きますと、やはり市町村合併の影響があるんでしょうということと、 いろいろな計画づくりといったものが重なっているので、なかなか業務が多忙なのでし ょうねというお答えをいただいているということでございます。 8ページでございます。1月に県の計画については調査をさせていただきましたが、 この5月に、今度は市町村に対して、市町村健康増進計画に関して調査をさせていただ きました。基本的な視点は都道府県と同様でございます。これを本日初めて公表させて いただくわけでございます。2,400の市町村の中から2,000近い御回答をいただいて大変 ありがたいと思っておりますが、まず市町村の健康増進計画。これは現行法上では策定 努力義務になっておりますが、まず具体的な施策、事業内容、事業量が明示されていま すかということについては、そうはなっていないというのが72%ということでございま す。県の計画と市町村計画の整合性を保つようにしておられますかということについて は、これは都道府県サイドの回答とは逆でありまして、やっておりますというのが6割 ということで、これはある意味では都道府県健康増進計画の策定を見ながら市町村計画 を作っておられるというパターンが多いでしょうから、恐らくそういう結果になってい るんだろうと。 次に10ページ、市町村が健康増進計画をつくるに当たって、県または保健所から支援 を受けましたかというと、保健所から支援を受けたというところが7割弱ですが、いず れからも受けていないというのが18%程度あります。受けておられるというところにつ いては、どのような支援を受けたかというと、下の棒グラフ5にあります各種情報提 供、その上のデータ、その上の課題抽出といった順に、このような支援を受けていると いうことになっております。 11ページ。支援を受けていないということをお答えされた市町村にどのような支援が 県なり保健所から必要ですかということについては、まず4のところにある計画策定の 基礎資料となる統計データの提供が欲しいと。各種の情報提供が欲しい。さらには健康 課題の抽出や手法の提示をして欲しいということでございます。 12ページでございます。それでは市町村において、連携の上、事業に取り組んでいる 関係者といったものはどういうところがありますかと聞きましたら、当然のことながら 保健所、三師会、栄養士会と、看護協会がちょっと低いという傾向が出ておりますが、 そうしたもの、医療関係者の団体、学校保健関係者なり地域のボランティア団体という のが多く連携をしているということですが、ここに現れておりますので例えば11、都道 府県労働局、それから12、政管健保等を持っております地方社会保険事務局、14の事業 主、18の健保組合、19の健保組合の支部といった、いわゆる医療保険者とか労働安全衛 生関係の職域部分との連携といったものが市町村の健康づくりにおいては必ずしも連携 が図られていないというデータがこのグラフからは読みとれるのではないかと思ってお ります。 13ページでございます。市町村の増進計画の策定がなかなか割合として進んでいない という理由はどこにあるのでしょうかということを市町村自身にお伺いすると、これは ある意味では都道府県の御回答と一緒であります。市町村合併、業務が多忙と。予算が 足りませんというのも案外多かったということでございます。 そういうことも含めまして14ページでございます。具体的にこうしたアンケート調査 なり本部会でのこれまでの御審議を踏まえますと、まず都道府県健康増進計画の内容充 実に向けての基本的方向性という点では、1つは地域の実情を踏まえた具体的な数値目 標を設定していくということが重要だろうと。そこには職域も含めた目標値といったも のが重要ではないかということ。2つ目には、これはしつこく申し上げておりますが、 医療保険者、市町村等の関係者の役割分担・連携促進のために都道府県に総合調整機能 の強化をお願いしたい。そしてこれらを計画にしっかり書き込んでいただくということ だろうと。3つ目に、各主体の取り組みの進捗状況や目標の達成度の評価を徹底してい くということが重要だろうということでございます。 こうした県の取り組みの強化を支援する国の具体的施策として本部会で幾つか御提言 をいただいておりますが、それをまとめさせていただくと、まずは目標値を設定する。 そのためには現状把握が必要だという点においては、現在、都道府県、市町村が独自に 行っていただいているような健康・栄養調査について一定のガイドラインといいます か、マニュアルみたいなものを国が整備をして、それを有効活用していただけるような サポートがいるのではないかということを考えております。厚生労働省としてはできれ ば本年度中にもということで現在準備を進めているところでございます。 2つ目に、こうした地域の職域の関係者が集まって役割分担とか、具体的連携策を協 議していただく。そして健康増進計画にも明記をし、また具体的に連携事業を進めてい ただくという場として地域・職域連携推進協議会といったものを置いていただくという ことで、これについては既に先ほど説明いたしましたように、17、18年度の2カ年で補 助金を通じて支援をさせていただいているということでございます。 最終的には都道府県の健康増進計画といったものを、こういうような形で内容充実を していく必要があるのではないかという具体的な改定マニュアルといったものの策定と いったものを18年度に策定したいと考えているところでございます。これまでの本部会 での御議論、さらにはそれを改めて都道府県、市町村へのアンケート調査を踏まえて整 理をしてみると、こういうような方向性で今後の生活習慣病の実施体制、その中でも国 の役割、都道府県の役割といったものについての方向性が出てきたのかなと思っており ます。 具体的に市町村、医療保険者がどのような役割を果たしていくのかということについ ては土屋先生の方からもお話がございましたが、老人保健事業の見直し、さらには医療 保険者がどれだけ保健事業に取り組むのかということについては現在、厚生労働省内部 で、さらには社会保障審議会の医療保険部会等で御議論されていますから、そこでの御 議論も踏まえてですが、少なくとも国、都道府県の関係としてはこのような形でそれぞ れの役割分担、施策の充実を図っていくということがこれまでの方向性なのかなという ことで、改めてこういう形で整理をさせていただいて、本日報告をしているということ でございます。以上です。 久道部会長 どうもありがとうございます。何か今の説明に御意見、御質問ございませんか。 多田羅委員 非常に重要なお話をいただいたと思うのですが、この資料の1ページ、国が基本的な 方向性、あるいはガイドラインを示すべきではないかというのが基本の方向かと思いま す。そういう観点でお話しいただいたわけですが、この方向性、あるいはガイドライン という観点に関しては特に事業の推進に対して技術の向上と言いますか、推進方策とい う点について具体的に示していただくということは特に重要であり、本日も非常に詳細 にわたって御説明いただいて、かつ非常に重要な点が示されたと思うのですが、考えて みますと、こういう健康増進計画というのは、老健法ができたのは1982年、既に20年以 上の実績があるわけでございます。その間、全国の自治体において、きょうお示しいた だいたような点、全面的ではないかと思いますが、踏まえながら推進されてきたという ことがございます。 そういう点で、にもかかわらず、この部会でも、先ほどがん検診の話をいただきまし たが、事業実績に、例えばがん検診などでも本当に驚くほど大きな実績の差が生じてお ります。各自治体、地方分権、あるいは権限委譲ということの中で努力された結果であ ると認識すべきではありますが、相当大きな結果が出ている、差があるということに対 して、事業の推進と同時に事業の実績、あるいは事業の格差というものが歴史的に生ま れているということに対して、どのように国がガイドラインあるいは方向性を示してい くかということを、国という立場に立った場合、非常に重要なのではないか。特に今 日、地方分権とか権限委譲、規制緩和と言われ、あるいは地方自治体の非常な財政難と いうことの中で、一方でこういう技術の向上の方向が示されることは極めて重要ではご ざいますが、実績というものはあらわれてきているということも現実でございます。 そういう点で、例えば地方、地域の実情ということと合わせて、地方の実績に合わせ てという理解もいるのではないかと思うんです。こういうところで前向きにこういうこ とをやりましょうということは非常に重要ではあるけれども、既にそういうことを踏ま えながらも相当実績に格差ができてきている。その地域の実績というものを踏まえて、 非常に実績の低いところ、そういうところでは特にその実績の低さに対してどのような 固有の計画を立てていくかということが必要であって、一般的に頑張ってくださいとい うことでは国のガイドラインとしても、方向性としても不十分なのではないかと。その 点、具体的には、国というと難しくなると思いますが、例えばこういう部会で実績につ いて、例えば上位、中位、下位というふうな線が引けるものであれば引いて、私はこう いう部会でそういう一種の基準というものを決めて、下位にあるところでは必ずその下 位にある状況を乗り越えるべき方向を示してほしいということを国の具体的な方向性、 あるいはガイドラインとして、実績を踏まえた計画として出していく一つの基盤と言い ますか、方向になるものをこういうところで御審議いただけないか。そういう意味で実 績に対する見方ですね。上位、中位、下位というふうに分けるのがいいのかどうか、そ ういうことも若干議論になるかもわかりません。 しかし、やはりそういうふうなことをこういう部会で御審議いただいて、一定の基 準、この基本指針のところでも「国全体の」という言葉もいただいておりますので、そ ういう国全体の水準から見て、こういうところにあるところは、特にそれについてこう いう方向を示すべきだという方向を、国という立場に立つ場合、ぜひそういう格差とい うものに対して、自治体はいろいろな事情で格差というものが生まれていると思います が、それに対してこういう審議会の部会において乗り越える方向を基本的に方法として 示していただきたいということをお願いしたい。ちょっと長くなって申しわけございま せん。 久道部会長 大変重要なことだと思うのですが、参事官、お願いします。 瀬上参事官 大変重要な御指摘をいただきました。実績を格差という視点で、上中下というレベル で評価するかどうかは別としてという、そういうことをおっしゃったわけであります が、それぞれの都道府県で、あるいは場合によっては市町村でも、それぞれの持つ地域 の健康課題というのがどういうものであるかということをはっきりと認識するというこ とは極めて重要なことだと思います。恐らく先生の御指摘なさった格差というのもそう いう健康課題の自己評価の中でされてくるべき問題だと考えております。 多田羅委員 評価というよりも、がん検診受診率5%と実際出ていますので、自己評価という抽象 的なものではないと思うんです。 瀬上参事官 まずは地方分権の流れの中で、都道府県においてそれぞれが健康課題をしっかりと認 識していただくということが課題だということで、本年6月のこの部会でお示しした地 域保健計画の在り方に関する報告書、中間報告の中で、そうした言葉としては健康課題 の抽出とその方法の重要性、それを指摘されたものと理解しております。本日お示しし ている資料、ただいま中島室長が説明申し上げました資料4でも、その辺りのことにつ いては例えば3ページのところで、例えば4の市町村計画の策定支援というところ、 「課題」の下から3行目辺りに、健康課題の抽出や手法の提示等の支援を都道府県また は保健所に対して希望していると書かれておりますように、何も都道府県だけではなく て、市町村においてもこうした健康課題の抽出ということの重要性を認識しているんだ と理解しております。 健康課題の抽出をした上で、その解決に向けた優先順位づけということが地方自治に おける大きな課題ではないかと思います。そのための方法論の提示ということは今後、 私どもとしても示していかなければならないということ、6月にも申し上げた次第であ ります。 石井委員 今のことに関しまして、本当に地域の健康課題を解決するということで、以前、地域 保健対策検討会の中で、住民参加というところが一つ方策になるのではないかというよ うなことがあったと思うのですが、先ほど富永先生がおっしゃったように、そういうと ころにきちんと住民を取り込むためには、そういう仕組みを、都道府県が市町村の反映 させるところに住民を取り込むというところをきちんと明示する必要があるのではない かという気がするんですね。1つは、例えばあの報告書の中にインターネットを使って というようなことがありましたが、今、eラーニングみたいなものも保健の指導の中に ありますから、そこが少し関係するのではないかという気がしております。 多田羅委員 ちょっと追加したいのですが、先ほどの、国というのは難しいかもわからないという のは、こういう自治体という一つの行政に対して国という行政がいろいろ介入したり、 意見を述べる、あるいは指導ということは現実難しい面があるかと思うんですね。実績 という場合。目標について指導するのはいいのだけれども、実績に対して介入するとい うのは一種の内政干渉という面もあり得るような気もしまして、なかなか難しい面があ るのではないかと。その点、ですからこういう部会で、座長にもお願いしたいのだけれ ども、こういう格差は見過ごせないと。一つの部会としてこれは見過ごせないという認 識に立って、こういう上中下と分けるのかどうか、その言葉がいいかどうか、ある程度 そういう区分を部会等で、非常にレベルの実績の低いところについてはそういうことが アクセスできるような議論を部会でしていただいたらどうかなと思うんですね。行政よ りもむしろこの部会で一つの水準のようなものを示していただいて、そういうところに 達成していない都道府県、市町村は特段、こういう方向を示していくというところにこ れからの具体的な方向があるのではないかと。そういうことをちょっと申し上げたかっ たわけです。 久道部会長 どうもありがとうございます。実績評価ということになろうかと思うのですが、その 実績のデータはみんなあるはずなんですね。あと、データがないところもありますが、 とれるところはあると。そういうことで、この部会の議論の俎上に乗せて、みんなに検 討してもらうということは必要かと思います。そのことによって、なぜ対策が広がらな いのか、あるいは町、あるいは市の場合に、低いままでいるのかということがわかって くると思うんですね。ですから、これはいずれそういった議論もしていかなくてはなら ないと私は思います。 菊田委員 この場でお話しする問題かどうかわかりませんが、住民として、なぜ実績が実情と違 うかと言いますと、がんに例えれば健診ということは、私の住んでいるところはがんセ ンターがありまして、35万都市ですが、敷地を分けて健診をするのですが、こういうふ うに健診率はすごくあるのですが、ことしから検診料というのが上がりました。そうす ると、女の人でしたら胃がん、子宮がん、大腸がん、肺がんと4つ一遍に受けられま す。そうすると、万金がいるわけなんですよね。そうすると、高齢者に対して、70歳以 上に対しては援助があるのですが、一番受けて早期発見して長生きしていただきたい若 い方たちにはそういう部分がないものですから、万金というのは大変だということと、 それではどこか悪いからと病院に行って話をすると、健診でなくて病気として検査して もらえるから、ちょっと次元があれなんですが、そうした方がいいのではないかという ことになると、医療費がかさんでいくという問題が、実情としてはそういう部分があり ます。 だから検診料というのがどうなんでしょうね。全体としてはみんな決まっているんで しょうか。がん検診の都道府県、国の基準というのは。自分のところはこういうふうで すが、それは援助しているからこうだとか。検診料は都道府県で違うんでしょうか。そ こら辺、どうなんでしょう。国でもう少しどうにかならないものなんでしょうか。若い 人たちはそのように、ことしは大変だと言っています。住民側の方として、下の声とし て申し上げます。 久道部会長 これをやるとちょっと時間がかかりそうなので、別の機会にもう少し議論して......。 菊田委員 話題として提供しておきます。 久道部会長 資料3の10ページに健診その他の保健事業に要する費用というので、これをまとめた 数値が出ていますが、今の御質問に対する答えとしては、この表ではわからないと思い ますが、きょうは時間がちょっとないので、その議論は後でまたしたいと思います。 さて、時間がそろそろ迫ってまいりました。きょうは事務局の方からいろいろな説 明、皆さんから御議論いただきまして、きょうは中間とりまとめの骨格について、確認 の形で皆さんに提示していただいて、それで議論いただいたのですが、その中間とりま とめの案の作成に着手していただきたいと思います。かなり回数を重ねて、もう16回も この部会は重ねておりますが、それにお願いしたいと思います。 この部会に初めて御出席になりました神田委員から発言の申し出がありますので、ど うぞよろしくお願いいたします。 神田委員 愛知県知事の神田でございます。きょうは全国知事会の立場で若干発言をさせていた だきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。発言の中身は地域保健 対策検討会の中間報告についてであります。この中間報告は地域保健計画と健康危機管 理、この2つを優先的に検討された内容に相なっております。したがって、私もこの2 点について若干触れさせていただきたいと思います。 まず第1点目でございますが、地域保健計画についてであります。現在、きょうも健 康増進計画の議論がこの部会でも活発にあったわけでございますが、さまざまな個別計 画が策定され、それに基づいて曲がりなりにも着実にさまざまな施策が展開されている ところでございます。そういう中で今回、地域保健計画というものを策定するというこ とでありまして、これの意義については私どもも一定の評価をしているところでござい ますが、なかなか個別計画と今度の地域計画との役割などがわかりづらい点があるとい うことを御指摘申し上げたいと思います。中間報告の中でもいろいろな表現のされ方が あるわけでありますが、ちょっとこれはわかりづらい部分がございますので、今後議論 を深める中でその役割分担など、もう少し明確になればいいのかなと思っております。 特にこの地域保健計画の議論を進めていただく場合には、現在、個別計画でいろいろ な事業が進展しているわけでございますので、そうした事業に支障があったりした場合 には問題が出てまいりますし、現在のそうした施策を損なわないという視点を持つこと が大切であろうと思います。個別のことについてはあえてここでは触れませんが、そう いう視点についての御配慮をお願いしたいと。これがまず第1点目でございます。 第2点目の健康危機管理についても触れさせていただきたいと思いますが、これにつ きましては中間報告の中で12の対象分野、カテゴリーが挙げられております。これは大 変幅広の分野にわたっているわけでございまして、保健所の役割として、実はどこまで 対象にするかというのは大変悩ましい問題もありますし、現実との乖離もあると思いま す。そこで例えば、これも例えばの話ですが、高齢者や児童の虐待といった問題、これ は保健所以外の機関が主体的に取り組む仕事分野でもございます。もちろん、健康や ら、さまざまな切り口での保健所の役割もあるわけでありますが、ほかの主体、ほかの 機関との関係というのがいささか理解しづらくなっている部分があると思っているとこ ろでございます。保健所が主体となって行う分野、そして他の機関が主体となって取り 組む分野、これはこの12分野の中でも整理をする必要があるのではないかと。そういう ことを踏まえて全体をまとめた方が理解が容易になり、理解がより深まるのではないか と思っておりますので、そうした視点での整理も可能であればお願いしたいと思ってい るところであります。 最後にもう一点、実務的なことでございますが、中間報告、私も読ませていただきま したが、保健所の機能の充実強化というさまざまな提言、方策があるわけでございます が、一例を挙げますと、健康危機管理について365日、24時間対応の体制を充実する必 要があると。こういう記述が例えばあるわけでございますが、365日、24時間体制とい ったものが一体どういう水準、レベルのものなのか。警察、あるいは消防などは地方の 組織としてもそういう体制をとっているわけでありますが、ここら辺りも受け止め方に よってはとまどいがいろいろありますし、現実的ではない受け止め方もされるわけであ ります。 したがって、具体的にどういう水準、レベルのものを我々は頭に置いたらいいのかと いうことももう少し明確にした方が混乱は少ないだろうと思っております。もちろん、 レベルが高まれば高まるほど、人的、物的な対応として財源的な措置の問題も出てくる わけでございますので、国からのそうした保健所の充実・強化に対する支援というもの も望まれるところであります。 若干、この中間報告について申し述べましたが、機会があればまたいろいろな立場で 議論を私どももしたいと思っておりますが、気づいた点、2〜3点だけ申し上げまし た。しかし、さりとて新たな地域保健計画の策定そのものを後ろ向きに考えているわけ ではございません。こうした法制化される中での制度的枠組みというものが全体の中で 働く作用というものも十分認識しておりますので、いい形で策定されるような環境づく りをよろしくお願いしたいと思っているところでございます。以上です。 久道部会長 どうもありがとうございました。全国知事会を代表する形で神田委員から極めて重要 な御意見と要望が数点出されたと思うのですが、この部会の持ち時間の最後の数分で議 論するにはあまりにも大きい問題もありますので、この議論は、取りまとめの作業にも 入りますので、そこでもいろいろ検討していただく必要がありますが、次以降の部会で もいろいろ議論を深める必要があるのではないかと思います。ただ、今発言がありまし たので、事務局なり、あるいは委員の方々からこのことに関して、ぜひここで今お話し しておいた方がいいだろうということがありましたらどうぞ。 田中健康局長 健康局長でございます。知事さんから大変貴重な御意見をいただきましてありがとう ございました。まさに地域保健計画、世の中にたくさんいろいろな計画がございまし て、またつくるのかなというふうに言われかねないのですが、地域保健計画というのは どちらかというと一番上にあると言いますか、地域の健康課題が一体何なのか、そして それに対してどういうふうに優先順位をつけて解決していくのかということを示してい ただくような、そういう全体を調整するような計画だと私ども考えております。いろい ろな計画、具体的な個別計画はたくさんございますが、そういう計画とあまりバッティ ングするというか、錯綜しないようなことというのはこれから十分考えていかなければ いけないと考えているところでございます。 健康危機管理の話でございますが、12、提示させていただきましたが、これはあくま で私どもとして今の段階で、あるいは将来を見込んで、こういうことが住民ニーズとし てあるのではないだろうかということで書かせていただきました。もちろん、特にお年 寄りの虐待の話とか、内容はまだ全然詰まっていないような分野のことも書いてござい ます。しかし、たぶんこういうニーズというのはこれから10年先の保健所を考えていく ときにはきちんと答えていかないと住民から信頼に値するような役場の窓口ということ にはならないのではないかなというようなことで、これは12を全部そろえてくれという わけではありません。12がもしかしたら10になるかもしれませんし、14になるかもしれ ません。これはあくまで私どもが今の段階で考えた例と御理解いただけたらと思うので すが、こういうようなところをぜひこれから新しく健康危機管理の分野として保健所が 担っていくということでどうでしょうかということで提言を申し上げたということでご ざいますので、御理解いただけたらと思います。 保健所も地域保健法に変わりまして10年たちまして、今、何でもできる保健所という ことになっていますが、逆に言うと、住民にとっても一体保健所というのは何をすると ころなのかというのが非常にわかりにくくなってきているのではないかと。あるいは職 員も、何でもかんでも飛んでくるわけで、職員自身も方向性というのをもしかしたら失 っているのではないかと。そういうところで、知事さんの消防署というような御提言が ありましたが、健康に関する消防署というような、そういう位置づけで、何でもとにか くいざというときは消防署に駆け込むんだと。そうすると、それをきちんと対応してく れるところというような、そういう保健所の在り方というのはどうだろうかというよう なことで健康危機管理の部署としての保健所という報告書をまとめさせていただきまし た。 もちろん、地域の実情に合わせてそれぞれ、これはうちには合わないというところも ございますでしょうし、これはおもしろいと。ぜひこういう方向で行かなければいけな いというところがあってもいいのではないかと思っております。ぜひ今後、知事会、あ るいはほかの首長さん方、あるいは団体、あるいは働いている方々、いろいろな方々の 御意見をいただきながら、保健所の将来構想に関しての報告書、もう少しいろいろと中 身を詰めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。きょうは御意 見いただきましてありがとうございました。 久道部会長 どうもありがとうございました。もう時間が予定を過ぎましたので、ぜひここでとい う発言はお一人だけにします。 澁谷委員 保健所のことが出ておりますので一言意見を述べさせていただきたいと思います。現 在、保健所の仕事として非常に大事なことを大きくまとめると、地域の健康危機管理、 市町村や圏域をまたがる広域の調整機能、そしてもう一つ、市町村の健康施策の支援と いう3つの機能があると思います。今回、この中間報告で示されました、特に健康危機 管理の部分につきましては、12のカテゴリーで示されているわけでございますが、全国 所長会といたしましては検討委員会を立ち上げまして、それぞれの内容について保健所 の機能として、あるいは仕事としてどういったものがミニマムなものか検討することと しております。と言いますのは、全国で保健所の置かれている状況は随分違います。ま た、都道府県の設置している保健所以外にも中核市であったり、政令市であったりとい うことでも状況が違うものですから、保健所というのは何をするところかということに ついて、特に健康危機管理の面、あるいは地域保健の面から検討する委員会を立ち上げ ております。そのことを一つ御報告をしたいと思います。この問題は今後の日本の公衆 衛生活動の方向性を決めていく大変重要な問題だと認識しておりますので、また各方面 からのいろいろな御意見をお願いしたいと思います。以上です。 久道部会長 同じ愛知県の保健所長さんから発言がありましたので、ぜひ理解を深めていただきな がらやっていただきたいと思います。まだまだ御意見はあろうかと思いますが、きょう の部会の議題はこれで終了させていただきます。5分ほど予定をオーバーしました。失 礼いたしました。 それでは事務局から今後のスケジュールの話をお願いします。 中島生活習慣病対策室長 今後のスケジュールの前に一つ。座長の後ろにポスターを張らせていただいておりま す。毎年9月を健康増進普及月間という形で平成12年より事業展開をさせていただいて います。今年のスローガンは、そのポスターにもありますように、「良い生活習慣は、 気持ちがいい!」ということで、1に運動、2に食事、しっかり禁煙、5にクスリとい うことで、こういうポスターを配布させていただいて、自治体、民間団体と協力して事 業展開をしていきたいと思いますので、何とぞ御理解、御支援をお願いいたします。ま た、9月9日には「健康日本21」の全国大会を鹿児島で開催させていただくべく準備を しております。私どもの大臣も出席したいということでございます。その方向で調整し ております。パンフレット等ができればまた案内申し上げます。 今後の日程でございます。きょうの御審議も踏まえまして、当部会としての中間とり まとめといったものに着手していただければと考えております。委員の皆様方には非常 にタイトなスケジュールで申しわけありませんが、次回につきましては8月29日月曜日 の15時から17時ということでお願いしているかと存じます。そこで事務局として中間取 りまとめの案といったものを御提示できるよう、作業を進めたいと思っております。そ れ以降は9月7日水曜日及び9月26日月曜日、それぞれ夕刻を予定しておりますが、現 在最終調整をさせていただいている段階でございますので、来週の頭ぐらいには確定を させていただいて、7日、26日、それぞれ夕刻、時間を決めて御案内を申し上げたいと 思います。お忙しいところ申しわけありませんが、よろしく御出席いただきますよう、 お願い申し上げます。以上です。 久道部会長 それでは本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。 (了) しろまる問合せ先 健康局総務課生活習慣病対策室 調査総務係 主藤・松浦 電話 03−5253−1111 内線2346・2342

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