06/06/13 第22回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会平成18年6月13日議事録 第22回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 日時:平成18年6月13日(火)10:00〜12:00 場所:東海大学校友会館 阿蘇の間(霞が関ビル33F) ○しろまる出席委員 飯島康典委員、井部俊子委員、内田健夫委員、小澤壯六委員、 加賀谷淳子委員、加藤尚武委員、北村惣一郎委員、坂本雅子委員、 笹月健彦委員、澁谷いづみ委員、??橋清久委員、高橋滋委員、 多田羅浩三委員、田中平三委員、池主憲夫委員、寺島光一郎委員、 富永?ハ民委員、中村丁次委員、久道茂委員、松田晋哉委員、 村田昌子委員、渡邊昌委員(22名) ○しろまる参考人 佐藤 誠記 氏(日本たばこ産業株式会社) ピーター・ニクソン 氏(フィリップ モリス ジャパン株式会社) 深町 秀都 氏(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン株式会社) ○しろまる厚生労働省出席 (健 康 局)中島健康局長、岡島審議官、梅田参事官、中島参事官、 矢島生活習慣病対策室長、塚本地域保健室長、 野村保健指導室長 ○しろまる次 第 I 開 会 II 議 題 1.平成16年国民健康・栄養調査結果の概要について 2.標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会について 3.たばこ対策について 4.その他 (1)医療制度改革法案の国会における審議状況について (2)食育推進基本計画について (3)その他 III 閉 会 矢島室長 定刻となりましたので、ただいまから第22回厚生科学審議会地 域保健健康増進栄養部会を開催させていただきます。 まず、新たに御就任いただきました委員の御紹介をいたします。社団法人日 本薬剤師会常務理事の飯島康典委員です。聖路加看護大学学長の井部俊子委員 です。社団法人日本医師会常任理事の内田健夫委員でございます。健康日本 21推進全国連絡協議会会長の小澤壯六委員でございます。社団法人日本歯科 医師会常務理事の池主憲夫委員でございます。北海道乙部町長の寺島光一郎委 員でございます。また、事務局にも異動がありましたので、私の方から紹介さ せていただきます。地域保健室長の塚本でございます。 続きまして本日の出欠状況について御報告させていただきます。委員定数は 26名でございます。現在、19名の委員の御出席を得ており、出席委員は過半 数に達しておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げま す。 次に配布資料の確認をいたします。お手元に議事次第、座席表、委員名簿の ほかに、資料1といたしまして平成16年国民健康・栄養調査結果の概要。資 料2−1といたしまして標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会につ いて。資料2−2といたしまして標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版) (案)でございます。資料3といたしましてたばこ対策について。資料4とい たしまして医療制度改革法案の国会における審議状況。資料5といたしまして 食育推進基本計画でございます。もし不足、落丁等がございましたら、事務局 までお申しつけいただきますようお願い申し上げます。 以後の部会運営につきましては部会長にお願いいたします。よろしくお願い いたします。 久道部会長 それでは早速議事を進めたいと思います。まず議題1、平成 16年国民健康・栄養調査結果の概要について、室長より説明をお願いします。 矢島室長 それではお手元の資料1、平成16年国民健康・栄養調査結果の 概要について御説明申し上げます。 まず1枚おめくりいただきますと1枚紙で概要についてまとめてございま す。詳しい調査の内容は本体の方の資料をおめくりいただきますと1ページ、 2ページのところに調査の全体の説明がございます。そちらの方を先に御説明 させていただきますが、この調査は平成16年国民生活基礎調査におきまして 設定されました調査地区の世帯の世帯員を対象といたしまして、層化無作為抽 出した300単位の地区の調査をしております。ただし、この期間、新潟県中越 地震の影響によりまして不可能だった地区が2地区出ております。実際には調 査対象実施世帯数は3,421世帯でございまして、生活習慣調査におきまして、 総数で9,345名のデータをとっております。 最初の1ページの概要にお戻りいただきたいと思います。この調査をもとに いたしまして今回、メタボリックシンドローム、私どもは内臓脂肪症候群と日 本語で訳しておりますが、この方々の調査をいたしまして、本体の資料の5ペ ージに詳しい概要がございますが、メタボリックシンドロームの内臓脂肪症候 群が強く疑われる者と予備群と考えられる者を合わせた割合ですが、特に40 歳以上で男女とも高く出ているということがまずここからうかがわれます。同 じく5ページのところで、特に40歳から74歳のところで見ますと、男性の2 人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームが強く疑われる者ま たは予備群と考えられる者とうかがうことができます。 参考といたしまして、この平成16年10月1日時点の40歳から74歳の日本 の人口でございますが、約5,700万人おります。この5,700万人にこの比率を 掛け合わせまして実際の有病者の方、予備群の方の数を推計したものが、最初 の1ページの概要にまた戻っていただきますと、まとめてございます。有病者 の数が約940万人、予備群の方が約1,020万人、合わせて1,960万人というこ とで、約2,000万人の方々がこのメタボリックシンドロームの有病者または予 備群であるということがこのデータから出てきます。 次に本体の8ページでございますが、特に腹囲が男性85cm、女性90cm以上 の方のところをごらんいただくと、血中の脂質ですとか、血圧、血糖のいずれ かのリスクを2つ以上有する者の割合が、このところを一つの境にして大きく 違いが出ているということもこのデータから出ております。 このほかの中身でございますが、9ページのところには喫煙の状況が書いて ございます。喫煙の割合は、男性では30歳代が最も高く約6割で、20歳代、 40歳代、50歳代で約5割。女性でも20〜30歳代で最も高く2割であるという データが出ております。 歯の数とかんで食べる状況の調査をここで行っております。歯が20本以上 あるか、19本以下かということで各年代を見ても、「何でもかんで食べるこ とができる」と回答した者の割合は20本以上の人の方が大きくなっていると いうデータでございます。 11ページのところでございますが、喫煙習慣と歯の状況でございます。現 在習慣的に喫煙している方、過去習慣的に喫煙していた方、喫煙していない方 で見ますと、各年代別で見て、「何でもかんで食べることができる」というこ とを見ますと、喫煙をしない方の方がそれだけ食べることができるということ ですし、11ページの下の図10のところで、喫煙習慣と歯の本数が20本以上 の方の割合を見ますと、喫煙をしない方の方が、歯の本数が20本以上の割合 が各年代において、40歳〜49歳のところは別でございますが、50歳以上を見 ますと、そのところの段階で高くなっているというデータもここからうかがい 知ることができます。 14ページ、ここからは栄養素の摂取状況でございます。食塩の摂取の関係 ですとか、15ページ、エネルギーの栄養素の摂取の割合でございます。この ような状況も出ております。15ページでは、特に脂質からのエネルギー摂取 が25%を超えている方の割合は成人で男性の約4割、女性は5割ということ もこのところから出ているところでございます。 次の16ページでございますが、野菜の摂取量についても年齢とともに増加 していましたが、最も摂取量の多い60歳代においても平均で303.5gという ことで、「健康日本21」でも野菜の摂取量は350g以上を目標にしております が、まだ足りないという状況が出ております。「健康日本21」中間評価関連 表との関係の資料は17ページ以降に載せております。 久道部会長 どうもありがとうございます。ただいまの説明について皆さん から何か御質問、御意見はございますか。 坂本委員 国民栄養調査は都市部ではなかなか難しくなってきているので すが、基礎的なことをお尋ねしますが、300単位の中での3,421所帯というの はどれぐらいの割合になるのでしょうか。 矢島室長 御質問は3,421世帯というこの数が......。 坂本委員 年々、協力してくださる所帯は減っている中でのこの統計ではな いかということをお尋ねしているのです。 矢島室長 回収率は6割ぐらいがこの世帯の数だということになっており ます。 坂本委員 ここ数年の流れというのはどんなものでしょうか。 矢島室長 徐々に減りつつある傾向だと認識しております。 高橋(清)委員 一昨年でしたか、「健康日本21」の中間報告ではたばこ の未成年の喫煙率とか、アルコールの未成年の者の飲酒率というようなものが まだ調査中ということだったと思いますが、その後、その調査は進展していな いのでしょうか。 矢島室長 実態調査は出ておりますので、またそのときに御報告をさせてい ただければと思います。 久道部会長 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。それでは続きま して議題2の標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会についての現在 の検討状況について、同じく室長より御説明をお願いします。 矢島室長 まずお手元の資料2−1から御説明させていただきます。表紙を おめくりいただきまして下に1ページと書かれたところですが、ここは検討会 の開催要綱でございます。この検討会の構成員の先生方の名簿が3ページでご ざいまして、5ページのところには過去の検討状況が記載されております。 第1回の検討会を2月15日に行いまして、その後、健診分科会と保健指導 の分科会に分かれまして、それぞれ2回ずつ御議論いただきました。その状況 を後ほど御説明いたしますが、資料2−2という形で現在の検討状況を御報告 いたします。今後の予定ですが、来週6月19日月曜日に親検討会の第2回を 開催いたしまして、それぞれ健診分科会、保健指導の分科会で検討してきたも のと部分的にまだそれぞれ両方にまたがるものが残っておりますので、その部 分について6月19日に検討する予定になっております。 資料2−2に基づきまして具体的に御説明いたします。まず1枚おめくりい ただきますと、標準的な健診・保健指導のプログラム(暫定版)という形で、 全体の目次の概要が書かれております。第1編が健診・保健指導の理念の転換、 第2編が健診、3編が保健指導、4編が体制・基盤整備・総合評価という形に なっておりまして、最後に添付資料として保健指導における学習教材集ですと か、関係学会におけるガイドラインの抜粋などを載せる予定になっておりま す。 特に第2編の健診編では、第6章のところ、左に米印がついています。健診 の実施に関するアウトソーシング。第3編の保健指導のところの第7章の左に 米印がついていますが、保健指導の実施に関するアウトソーシング。第4編、 特に第3章の左のところ、健診・保健指導計画作成及び評価のためのデータ分 析とデータ管理。この部分と別添資料の学習教材でございますが、この項目に ついては先ほど御紹介しました6月19日開催予定の標準的な健診・保健指導 の在り方に関する検討会において議論をいただく予定になっておりますので、 ここを除くところについてがたたき台としてほぼでき上がりつつあるという ことで御説明させていただきます。 第1編のところをお開きいただきたいと思います。表紙をおめくりいただき まして3ページのところ、新たな健診・保健指導の方向性ということで、ここ は簡単に御説明いたします。3ページの真ん中のところは、昨年の9月15日 にこの地域保健健康増進栄養部会としての中間取りまとめをいただきました。 そこに沿いましていろいろな課題を整理いたしまして、その中間取りまとめの 流れに沿った形で御審議いただいているところでございます。 具体的には、今回新たに加わった委員の方もいらっしゃいますので簡単にか いつまんで御説明いたしますと、3ページの下のところでございますが、どう いうふうに変わるのかということがかなり大きなポイントになりますが、健診 項目ですとか、保健指導の標準化によりまして、事業の評価が可能となるよう な見直しを行うということが重要だということになっています。医療保険者が 健診・保健指導の結果に関するデータを管理することによって、生涯を通じた 健康管理が実施できるようなことを目指すものであるということです。 4ページのところですが、そのための具体的な標準的な健診といたしまし て、メタボリックシンドロームの概念を導入した標準的なプログラムを導入す ると。このメタボリックシンドロームの概念では、いろいろな生活習慣病の発 症ですとか、重症化の危険リスク、危険因子、リスクファクター、この数によ って対象者を階層化していくことが必要ですし、具体的な保健指導としては情 報提供ですとか、動機づけ支援、積極的支援をやっていく。そのための判定の 標準的な基準というものをつくっていこうという考え方でございます。対象者 の方が健診結果に基づきみずからの健康状態を認識した上で、代謝等の身体の メカニズムと生活習慣病、例えば食習慣ですとか、運動習慣との関係を御理解 いただいて、生活習慣の改善をみずからが選択して行動変容に結びつけられる ようなプログラムをつくるということを目的にしております。 健診結果の経年変化ですとか、将来予測、個々人の健診結果を読み解いて、 ライフスタイルを考慮した保健指導を行うための具体的な学習教材について も検討を行う。医療保険者において、各種データ分析等を通じて、例えばアウ トカム評価が可能なデータ分析というものもこの中で検討していくというこ とで進んでいるところでございます。 そういうことで、健診・保健指導につきましては重点的に行っていくという ことで、特に保健指導に重点を置いていくということがこの中に書いてござい ます。 5ページのところですが、健診・保健指導の目的としましては、生活習慣を 改善するため、行動変容につながる保健指導を行うための、例えば健診だとか、 そういう仕組みを考えていこうということになっています。 保健指導の対象者ですとか内容につきましては後ほど簡単に御説明させて いただきます。6ページのところですが、保健指導の方法、健診、保健指導の 評価の方法、実施体制、これにつきましても後ほど御説明させていただきます。 このような形で全体を構成していくということが最初のところに書かれてご ざいます。 9ページのところですが、新たな健診・保健指導の進め方という形で、10 ページのところに全体の流れがございます。まず各医療保険者ごとに計画を作 成していただきまして、健診・保健指導計画作成のためのデータ分析を行い、 健診を実施し、実際に内臓脂肪型肥満予備群ですとか、そこから内臓脂肪の蓄 積に着目して、高血糖、高血圧、高脂血症、そういうもの等のいろいろな階層 化を行っていくと。判定を行い、実際に保健指導をやっていく。保健指導は情 報提供と動機づけ支援、積極的支援という形で、これはまた後ほど具体的に御 説明させていただきます。そういう流れを行い、最終的に評価を行い、また次 の年の計画に結びつけていくというような流れを考えております。 11ページのところですが、保健指導従事者が有すべき資質という形で、「健 診・保健指導」事業の企画・立案・評価を行うためにどういう資質が必要かと いうことをここで述べております。 13ページのところに関しましては、対象者に対する健診・保健指導という 形。これはまた後ほど詳しく御説明させていただきます。 14、15につきましては後でまたダブりますので、これは全体のところでご ざいますので、ここは若干省かせていただきます。 第2編、健診でございますが、ここからは具体的に御説明させていただきま す。まず19ページは、内臓脂肪症候群に着目する意義でございます。これは 先ほど御説明いたしまして、ダブるので省略させていただきます。 具体的にではどういう健診項目でこのメタボリックシンドロームの有病 者・予備群というものを判定していくのかということが20ページの真ん中に ございます。基本的な健診項目といたしましては、質問項目、身体計測(身長、 体重、BMI、腹囲)、理学的検査、血圧測定、血液化学検査、ここにござい ますような検査ですが、そういうものを実施する。詳細な健診、これは精密健 診項目ですが、心電図検査ですとか眼底検査、これは現行の老人保健事業での 基本健康診査における判定基準を踏まえ、一定の基準のもと、医師が必要と判 断した場合にこれを選択するという考え方でございます。 22ページですが、特に健診項目につきましては基準値の標準化というのが 議論になっておりました。特に今までの血液検査でございますが、検査方法、 実施期間、検査機器、標準試薬等によりまして、なかなかデータを一律に評価 することができなかったという問題があります。 そういうことで、なるべく基準値等の標準化ができないかということで検討 いたしまして、これは2)のちょうど真ん中あたりの米印のところに書いてご ざいますが、特定非営利活動法人の日本臨床検査標準協議会、独立行政法人産 業技術総合研究所、そこが連携いたしまして臨床検査用の標準物質の開発を実 施し、そことお話しいたしまして今回、この健診項目に該当します血液検査 10項目、これについてまず優先的に標準物質をつくっていただけないかとい うことを御相談させていただきました。これにつきましては可能な限り、平成 20年度までに標準物質の開発をしていただくということで御協力をいただく ことになっております。 この場合に、この標準物質は精度管理を正確にするために、ちょうどこの健 診結果のときに、例えば保健指導の対象者を判定する判定の基準、医療機関に 受診をお願いする場合の受診勧奨の基準値、そういうものが設定されるのです が、その判定の基準値が標準物質の標準値になるような形でつくることが精度 管理的に一番いいものになるだろうということで、この値になるような標準物 質を開発していただくということで御了解いただいております。 24ページでございますが、保健指導対象者の選定と階層化ということでご ざいまして、具体的にメタボリックシンドロームの概念を導入するわけです が、ここが一番誤解を招くところなのですが、内臓脂肪型肥満を伴う人だけし か健診の対象者にしないのではないかという誤解がよくございますが、決して そうではなくて、内臓脂肪型肥満を伴わない方の場合もちゃんと対象にすると いうことがこの中に書いてございますし、25ページでございますが、対象者 が治療中の場合の扱いにつきましても、現在治療を行っている医療機関との連 携をしながら、具体的に生活習慣の改善ですとか、そういうものを進めていく ような方法について関係の方々と調整させていただくという形で進めており ます。 26ページ、具体的にはどういう形で対象者の選定、階層化が行われるかと いうことですが、基本的には先ほど御説明いたしました内臓脂肪の蓄積の程度 とリスク要因の数に着目することが大事だということになりますので、最初の ステップとしまして腹囲とBMIをまずチェックいたします。男性の場合には 腹囲が85cm以上、女性の場合には90cm以上かどうかということでまずグルー プの1になっていただく。そうでなくてもBMIが25以上であればグループ の2であると。1、2以外の方は3という形で、まず1か2か3かということ で内臓脂肪の蓄積のリスクを判定させていただく。 次に血液検査によりまして、例えば空腹時血糖ですとか、ヘモグロビンA1 c、薬剤治療を受けていれば当然検査値が下がってくるわけで、よくなってく るわけですので、薬剤治療を受けているかどうかを質問票よりチェックする。 同じようにして、血糖以外にも脂質、血圧、場合によりましてはLDLコレス テロール、質問票で喫煙歴ですとか、血清の尿酸、こういうものもリスクとし てカウントさせていただくという形で、このリスクの数に合わせまして積極的 支援、動機づけ支援、情報提供レベルというものをグループ分けしていくとい う考え方でございます。 そのほか、この健診結果だけでは、いろいろな形で対象者の改善の必要性と いうものをもう少し加味しなければいけないということがございますので、質 問項目によりまして、例えば体重の増加、運動の習慣、そういうものを問診か ら確認いたしまして、追加的なレベルをチェックすることによりまして、28 ページになりますが、情報提供レベル、動機づけ支援レベル、積極的支援レベ ルの補正というものをここでしていくことを考えています。 28ページのところですが、ある検査値の値を超えた場合、学会等の基準で 受診勧奨が必要だというレベルの方々に対しては、ここにありますような値を 超えた場合には治療が必要であるということを指導することが必要ではない かと思っています。特に糖尿病等では症状が余り出ていないということで、指 導中断によってかえって結果を悪くするということもございますので、こうい う場合には治療がちゃんと行われているということがすごく大事ですので、治 療中であっても重症化を予防するためには生活習慣の改善が重要であるとい うことを医療機関との連携のもとに保健指導を重点的にやらさせていただく 必要があるのではないかと思っております。 29ページには精度管理についての考え方が書いてあります。従来からの指 針ですとか、内部精度管理につきましては先ほどの独立行政法人産業技術研究 所が開発いたしました標準物質を使う必要があると。それで内部精度管理を定 期的に行うということが書いてあります。 31ページ、これは今回すごく大きなところですが、健診結果を電子データ で提出していただくということが大事だと思っておりまして、そのための標準 様式というものをここで定めております。特にここのところにつきましては、 個人情報の保護には十分配慮した形で標準様式を定めることになっておりま す。 33ページですが、この電子化に伴いましていろいろな健診項目のコード化、 これから後は技術的な話になりますが、標準コードの設定。34ページは健診 機関・保健指導機関のコードの設定。35ページは生涯を通じた健診情報のデ ータ管理を行う場合の留意点という形で、ここは特に個人情報の保護に十分配 慮を行う必要がございますので、そこについてのいろいろな約束事をこの中に 書かせていただいております。 36ページでは健診結果等の保存年限について。これも医療保険者等と今い ろいろと御相談しておりますが、私どもは、なるべく生涯を通じた健康づくり をするためには、原則として被保険者の生涯を通じたデータを保存しておくこ とが必要ではないかと考えております。 37ページは具体的な健診項目の比較でございます。現在行われております 老人保健事業、労働安全衛生法に基づきます定期健康診断の健診項目と今回の 新たな新健診の健診項目との比較を37ページに載せてございます。 38ページは標準的な質問項目でございます。39ページは健診結果の判定の 考え方でございます。 40ページのところからは、健診データの電子的標準様式の対象となるやり とり、これは現在、参議院で審議をしていただいております高齢者の医療の確 保に関する法律案の中で、それぞれ健診機関から保険者へ、保険者同士、事業 者から保険者へ、保険者から国・都道府県へという形で報告される場合の様式 についての流れをここでまとめおります。その具体的な電子的標準様式のイメ ージのフォーマットが41ページでございます。 43ページはすごく技術的になるのですが、これはメーカーがプログラムを 開発する場合に、このところがまちまちになっては困りますので、このところ は標準的なフォーマットをこのような形で定めるということをこの中でお示 ししております。 第3編のところは保健指導の関係でございます。47ページのところですが、 保健指導の基本的な考え方、保健指導の目的、保健指導とは、保健指導の特徴 というものをこの中にまとめております。 48ページは、必要とされる保健指導の技術という形で、求められる技術の 中身についてこの中に記載しております。 49ページはポピュレーションアプローチの活用ですとか、地域・職域にお けますグループ・ボランティア等との協働という形で、そういうものが必要だ ということ。 50ページは保健指導プログラムの標準化とはどういうことなのかというこ とをここにまとめております。 51ページは保健指導計画の作成。分析すべき項目ですとか、そういうこと について、具体的な中身についてこの中でまとめております。 52ページは分析の方法ですとか、保健事業計画への活用の仕方について、 この中でまとめております。 53ページは目標設定ですとか、計画作成に関しますいろいろな留意点につ きまして、この中にまとめております。 54ページが実施体制に関する計画。55ページがその計画作成のフローの考 え方です。56ページ、57ページにいろいろな分析項目について一覧表でまと めております。59ページは今の計画作成のフローを図にしたものでございま す。 60ページ、これは先ほどの健診の対象者のところとダブりますが、健診の 結果を踏まえ、生活習慣の改善の必要性を判断するための質問項目を設けまし て、このような項目をもとにして、それぞれの健診結果から来る情報提供レベ ル、動機づけ支援レベル、積極的支援レベル、そういうものをこの判定を用い まして補正するという考え方でございます。この関係が62ページ、63ページ に書かれてございます。 64ページですが、実際の保健指導の実施という形で、対象者ごとに行いま す保健指導のプログラムについて、保健指導の実施者、保健指導に必要な問診 ですとか質問項目、こういうものについての考え方というものをここにお示し しております。 66ページですが、保健指導の際に活用します支援材料、これは後でまた資 料が出てきますが、支援材料ですとか、記録とデータ管理の考え方です。 67ページに、先ほど簡単に御説明いたしました情報提供、動機づけ支援、 積極的支援の内容につきまして、表6に具体的な概要についてまとめておりま す。情報提供については基本的には1回を想定しております。動機づけ支援も 30分程度〜1日、原則1回を考えております。積極的支援は3カ月〜6カ月 程度、定期的かつ頻回にやるという形で、ここにありますような形の内容を想 定しております。 68ページは情報提供、69ページは動機づけ支援の具体的な中身、70ページ は積極的支援の具体的な中身についてこの中に記述しております。 72ページからは保健指導の事例という形で、情報提供レベル、動機づけ支 援レベル、積極的支援レベルの中身につきまして、具体的な事例をつけており ます。 73ページからがそれの具体的な事例集ですので、これは後ほどごらんいた だければということで、107ページまで飛ばしていただければありがたいと思 います。 107ページですが、保健指導の評価という形で、具体的にどのような形で評 価すべきかということを107ページからまとめております。 111ページのところですが、保健指導の評価方法という形で、ストラクチャ ー、プロセス、アウトカムに基づきまして、それぞれのところを評価する考え 方というものをここにまとめております。 112ページは地域・職域におけます保健指導という形で、このところの考え 方をまとめております。 115ページ、アウトソーシングのところですが、基準ですとか、手順ですと か、そういうものは次回の6月19日に検討することになっていますので、こ のところは若干そこが抜けておりますが、基本的なアウトソーシングの考え方 について、ここでまとめております。 123ページですが、第4編、体制・基盤整備・総合評価という形で、このと ころも議論の途中でまだ文章にでき上がっていない部分がございますが、検討 会ではここに書いてありますような形で大筋の御了解をいただいております。 125ページですが、人材育成体制の関係で、国の役割、都道府県の役割、市 町村の役割、医療保険者の役割。 127ページは最新の知見を反映した健診・保健指導内容の見直しのための体 制整備という形でございます。いろいろな学会・研究班の役割ですとか、そう いうものをここにまとめております。 129ページは健診・保健指導計画作成及び評価のためのデータ分析、データ 管理という形で、これは次回6月19日に、例えばレセプトとの突合・分析を どういう形でやるのかということについて御議論いただく予定になっており ます。 131ページ、ここは情報管理の関係でございまして、一番最後の132ページ ですが、今お示ししております健診・保健指導の標準的なプログラム、これは 暫定版という形ですが、今年度、準備事業を実施しております。全国数カ所の 都道府県で、今御議論いただいていますこのプログラムに基づきまして、暫定 版のレベルで準備事業をさせていただこうと考えております。 その中身が133ページのところに書いてございますが、まず国の方では各都 道府県ごとに健康・栄養調査を実施する必要があるので、そのマニュアルをつ くったり、それのためのガイドラインをつくる用意をしてございます。今御審 議いただいています健診・保健指導のプログラム、この暫定版を策定するとと もに、委託基準も策定いたします。保健師・管理栄養士等の資質向上に向けた 研修ガイドラインもあわせて準備をしておりますし、リーダーの方の研修を中 央で国として実施したいと思っておりますし、健診結果等の電子的管理のため の標準的な仕様の策定、これはこの検討会の中で既に準備しております。 こういうものを厚生労働省で準備いたしまして、都道府県ではこれに基づき まして事業の企画・評価委員会を準備し、この事業の実施計画を策定していた だいたり、評価していただいたりするということをやっていただきます。実際 に都道府県が中心になってこの準備事業をしていただきます。もちろん地域で は医療保険者とも連携しながら、医療保険者にはメタボリックシンドロームに 着目した今回のこれに基づきました健診・保健指導を実際に実施していただ く。その結果の取りまとめですとか、保険者協議会、都道府県への報告ですと か、保険者協議会を通じた他保険者サービス利用に関するガイドライン案の作 成ですとか、そういうものを御検討いただくとともに、市町村におきましても いろいろな創意工夫を凝らした先駆的な事業を実施していただくような形の ものを18年度中にやらせていただきまして、これを踏まえ、19年度にはでき れば標準的な健診・保健指導プログラム、今年度の準備事業の成果を踏まえ、 いろいろな見直しを行い、最終的なものを19年度にすべての保険者にできれ ば準備していただき、今法案を審議中でございますが、法案が通りましたら、 20年4月からこの新たな健診・保健指導をすべての医療保険者に実施してい ただくということを考えております。 久道部会長 どうもありがとうございます。ただいまの報告はこの部会のも とにつくられた検討会で、特に健診と保健指導に関する在り方の検討をいただ いている経過状況を説明いただきました。暫定版ということで、ボリュームが かなり多いということもあって、説明は皆さん御理解いただけるかどうかわか らないぐらいスピードがあったのですが、検討会はまた開かれますので、その 検討会にこの部会の委員の方々の御意見も反映させるということは可能であ りますので、何か御質問なり、御意見なり、ございましたらどうぞ。 富永委員 まだ暫定版で改善の余地があるということですから、ぜひ御検討 いただきたいのですが、例えば10ページのメタボリックシンドローム(内臓 脂肪症候群)予防のための標準的な健診・保健指導プログラムの流れ、これは 大変わかりやすい図なのですが、メタボリックシンドロームが中心になってお りまして、生活習慣病の予防全般がカバーされておりません。後ほどのひな形 だと思うのですが、76、77ページのところをごらんいただきますと、76ペー ジには健康診断の結果のひな形が出ておりまして、77ページは生活習慣の結 果が出ております。ここには生活習慣が広くとらえられております。健康診断 は検査の結果と生活習慣の状況、この両方をカバーしないといけないのであり まして、できることなら10ページのフローチャートをさらに拡大しまして、 ほかの生活習慣病もカバーできるような形でぜひ見直していただきたいと思 います。 と言いますのは、10ページのようなフローチャートが一人歩きしまして、 これだけでいいような感じになる恐れがあるからです。私は決してメタボリッ クシンドロームの重要性を否定しているものではありませんで、大変重要だと いうことはわかっておりますが、昨年末に一度、この部会でお示ししましたよ うに、メタボリックシンドロームの最終指標の脳卒中、あるいは心筋梗塞など を予防しようとすると、メタボリックシンドロームのこういう項目だけでは不 完全で、喫煙が非常に重要だというフローチャートをお示ししましたが、あれ を拡大するような形で組み入れていただきますと非常によろしいのではない かと思います。 76ページのひな形は大変結構なのですが、形態計測のところに身長、体重、 標準体重、BMI、体脂肪率。メタボリックシンドロームの定義が出るまでは これでよかったのですが、ここへ腹囲を入れておかないとメタボリックシンド ロームはわかりませんので、ぜひここに腹囲を入れていただきたいと思いま す。 久道部会長 どうもありがとうございました。検討会の方でただいまの御意 見を持ち帰っていろいろ検討していただくということにしたいと思います。 多田羅委員 今の意見に少し近いのですが、例えば10ページは「メタボリ ックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防」という大きなタイトルになってい ますが、これは「生活習慣病予防」とは言えないのでしょうか。できれば「生 活習慣病予防」と言っていただいた方が、メタボリックシンドロームだと、今 富永先生がおっしゃったように、ちょっとフォーカスが絞られ過ぎて、しかも メタボリックシンドロームというのは一つの考え方で、まだ抽象性が非常にあ ると思うんですね。ですから、病理学の言葉に近いので、「症候群」とはつい ていますが、現象を言っているようなところもありますので、その予防という ものを国のこういう方針で出していいのかどうか。メタボリックシンドローム は病理学として非常に大事なことで、病理であるからこそ大事なのですが、国 民に訴える文言としてちょっと狭いというか、わかりにくいのではないかと。 「生活習慣病」と書いていただいた方がいいのではないかという気がします。 中島参事官 暫定版の案ということでございますので、正直言って私ども事 務局の方で文言の精査が足りなかったところがございまして、ここは多田羅先 生のおっしゃるように「生活習慣病予防のためのプログラム」ということで、 矢島室長の方からの説明にもございましたが、メタボリックシンドロームの概 念を導入して、特に内臓脂肪型肥満に起因する生活習慣病のリスクの高い人を 確実に抑えるということをターゲットにした今回のプログラムです。基本的に は37ページに示させていただきましたように、現行の老人保健事業で行われ ている健診項目、健診内容といったものを基本的に踏襲し、トータルとしての 健診内容、健診水準が後退することのないようにということは当然考えている ところでございます。 また、26ページ、27ページのところでお示しもしておりますが、腹囲等で 85、90センチに至らない方についても、当然のことながら血液検査等をさせ ていただいて、そこで何らかのデータが出てきた場合にはきちんと保健指導を していくということでございます。基本的にはメタボリックシンドロームのみ の健診をするということではなくて、従来の健診水準を維持しながら、メタボ リックシンドロームについては特に確実に保健指導を行って、生活習慣病にな ることを防ぐというところに力点を置くということでございますので、そのよ うな誤解が生じないように、例えば10ページの見出しの付け方等についてチ ェックしていきたいと思っております。 久道部会長 暫定版をチェックするときりがなくなるほど出てきますので。 渡邊委員 これは従来の生活習慣病予防という概念がありましたし、それよ り上流に肥満があるということが確認されて、新しいプログラムを組もうとい うことでありますので、多少そのニュアンスが私は残った方がいいと思うんで すね。ですから、例えばメタボリックシンドロームだけですと確かに絞られ過 ぎていて狭いので、「肥満に始まる生活習慣病」とか、そんなような予防とい うふうにしていただくともう少し広くなるのではないかと思います。やはり 「肥満」という言葉はどこかに残していただきたいと思います。 高橋(滋)委員 専門的な話を外れますが、36ページに保存年限の話が出 ているのですが、ほかの法律に比べてかなり長いような気がするのですが、数 十年前までの資料、確かに本人が生きていらっしゃるということだと思います が、そこまで長く保存していく必要があるのかどうかということは個人情報保 護法との関係でもいろいろと御検討いただいた方がいいのではないかという ことが第1点です。 それとの関連で、多分電子データで保存されるということになるので、かな り保存がきくのではないかというお考えだろうと思うのですが、現在、内閣府 の方で公文書管理のいろいろな検討をしているわけですが、私もその委員の1 人なのですが、私は具体の専門の委員会には入っていないのですが、その専門 委員会の話だと、電子データというのはそんなに保存がきくものではないと。 せいぜい20年が限界で、システムが変わればどんどん更新していかなければ ならないと。更新の手間も非常にばかにならないという話がありまして、電子 データだからすべて簡単に保存できるということであると、そこら辺の前提が どうなのかという話もあります。 ですからこの辺、内閣府の検討会の議論なども踏まえられまして、どのぐら い現実性があるのかということと、個人情報保護法との関係でどうなのかとい うことを踏まえて御検討いただければと思います。 久道部会長 どうもありがとうございました。検討会の方にも情報関連の専 門の委員がおりますので、検討していただきたいと思っております。本部会に 初めて委員としておいでになった方で何かございますか。寺島委員は何かござ いますか。 寺島委員 もう少し内容を把握してから意見を述べたいと思います。 久道部会長 わざわざ北海道からおいでになったのでお声がけしたのです が、それでは次の議題に進みたいと思います。議題3です。たばこ対策につい てでありますが、たばこ対策の議論を行うに当たりまして、本日は事務局の説 明との関連で日本たばこ産業株式会社の佐藤誠記様、フィリップモリスジャパ ン株式会社のピーター・ニクソン様、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ ジャパン株式会社の深町秀都様にお越しいただいております。お席を御用意し ておりますので、どうぞそちらの方にお移りいただきたいと思います。 議題3につきましては事務局より資料3のたばこ対策について、また、飯島 委員及び富永委員より資料を提出したいと申し出がありましたので、各資料に ついてそれぞれ説明していただいた後に一括して質疑を行いたいと思います。 それでは室長より説明、続いて飯島委員、最後に富永委員に御説明をお願いし ます。 矢島室長 お手元の資料3、たばこ対策について御説明いたします。まず最 初、2ページでございますが、最近のたばこに関する状況について御報告いた します。 まず禁煙治療の保険適用についてですが、18年度の診療報酬改定におきま してニコチン依存症管理料が新設されました。概要はここに書いてあるとおり でございます。3ページですが、18年度「禁煙週間」の実施という形で、こ としはやめたい人を手助けする禁煙支援という形で、WHOのスローガンは 「たばこ:どんな形や装いでも命取り」という形のスローガンでしたが、これ に基づきまして禁煙週間を実施いたしました。5月31日が世界禁煙デー、5 月31日から1週間が禁煙週間という形で、ここにありますようないろいろな シンポジウムですとか、そういうものを開催し、ピーアールいたしました。 4ページから7ページに実際のシンポジウムですとか、「禁煙週間」実施要 綱等がずっと書いてございます。 9ページがたばこに関します施策の一覧という形で、現在行われていますた ばこに関します施策の一覧でございます。10ページのところ、これは一覧に まとめておりますが、これまでの取り組みという形で、「健康日本21」では 知識の普及、未成年者喫煙防止、受動喫煙の防止、禁煙支援という形で、この 4つの大きな柱に基づきまして取り組んでおります。真ん中が現在の具体的な 状況でございまして、今後の課題という形で、特にターゲットを絞った実施、 20、30歳代、特に女性ですが、妊産婦に対する取り組みですとか、学校・家 庭教育におきます情報伝達、啓発の推進、入手経路に関する対策という形で、 自動販売機に関します規制の強化、そういうものが考えられるのではないか。 公共施設等の禁煙・分煙化の促進、地域における禁煙支援環境の整備という形 で、禁煙支援マニュアルの普及ですとか、そういうものを考えております。 喫煙率に関しまして、前回いろいろな御議論がございましたので、諸外国、 都道府県の実例について調査をいたしましたので、それをまとめたものをここ に用意しております。 まず喫煙率についてですが、12ページが我が国の喫煙率の推移と諸外国の 喫煙率でございます。 13ページは諸外国の喫煙対策での数値目標という形で、アメリカ、イギリ ス、韓国、ニュージーランド等ではどのような考え方で数値目標というものを 設定しているか。 14ページが同じくEU、アイルランド、フランス、そういうところではど のような形で対策をしているかという形をまとめたものでございます。 15ページからは、都道府県の健康増進計画におきまして、喫煙率に関する 目標項目についてまとめたものでございます。北海道から各都道府県の健康増 進計画において、喫煙率についてどのように取り組んでいるかというものをま とめたものでございます。 本日御欠席の北海道深川市長から、前回もございましたが、今回の部会のた ばこ対策について議論されるということで、河野委員の方からこの審議会につ いての御意見を承っておりますので、その部分について御報告いたします。朗 読させていただきます。 「たばこ対策について。第21回の会議録を見せていただきましたが、たば こ産業の未成年者へのたばこ対策は、教育についても一部ありましたが、大き な費用をかけて未成年者がたばこを買えなくする方法が中心だったように思 います。確かに購入方法が限られることでの抑制はあると思いますが、どこま で効果があるか疑問です。 深川市では平成10年から禁煙セミナーを開催し、やめたいと思っている人 を対象に支援をしていますが、参加者のほとんどが未成年から吸い始めてい て、たばこを吸った契機は大人へのあこがれと話しています。家庭内に両親な ど大人に吸う人がいて、身近にたばこを手に入れやすい環境がある限り、販売 規制の取り組みでは効果を上げていくことは難しいと思われます。 また、公的な場での喫煙制限は浸透しつつありますが、家庭内や公的な場で あっても、飲食を伴う場ではまだまだの状況です。特に家庭内の狭い空間での 喫煙は、弱者である子供への影響が気がかりです。幼いうちに周囲から禁煙に ならされていくことは自身が健康に配慮していく力を養っていくことへも影 響していくと考えます。子供への対策強化の検討を望みます」。 以上でございます。 久道部会長 それでは引き続いて飯島委員からお願いします。 飯島委員 日本薬剤師会での新たな取り組みについて報告させていただき ます。1ページめくっていただきますと、前回平成15年4月9日時の禁煙宣 言が乗っております。1番は国民の禁煙支援に積極的に取り組みます、2番は 特に妊婦・未成年への禁煙啓発活動を行います、3番は薬剤師の禁煙を徹底し ます、4番は薬局・薬店内の禁煙を徹底します、5番は薬剤師会館の全館禁煙 を徹底します、というような宣言をしました。例えば63回の国際薬学連合、 FIPの評議会では、喫煙のない将来に向けて、薬剤師の役割において薬局内 (店頭において)でのたばこ販売をやめるべきだという勧告が出されました。 また、平成17年2月27日にはたばこ規制に関する世界保健機関枠組条約が発 効されるなど、たばこ対策は世界的に拡大しているということを考慮してみ て、本会でも薬局・薬店でのたばこは販売しませんというような文言を追加し ました。 私は長野県上田の薬剤師会ですが、個人的に上田市においてたばこ販売をし ている薬局が何軒あるかということを調べてみたところ、約1割弱がございま した。この宣言を周知しながら、ではたばこ販売をやめるのかというと、そう でもないと、そのまま継続して販売を続けていきたいという薬局が10軒ばか りありました。理由を聞いてみますと、まだ生活の糧になっているというよう なことが現状であるということでした。ですが、会としてのモラルとして、薬 局・薬店でのたばこ販売を行わないということを宣言したことによって、会内 の会員がどのように変わるかということをこれから検証していきたいと思っ ております。 久道部会長 どうもありがとうございます。それでは富永委員、お願いしま す。 富永委員 それでは健康日本21中間評価作業チームにおける喫煙率の目標 値検討状況について御説明いたします。 本日、この資料を皆様にお配りしておりますのは、実は3月2日の前回の地 域保健健康増進栄養部会の際に、口頭でどういう案があるかということを御説 明しました。その後で、傍聴されていた報道機関などから大変詳しく質問を受 けましたので、今回は作業チームとしての最終結論ではないのですが、2月 21日に開催された作業チームで取りまとめました案をこのような資料で具体 的に御説明します。 1ページに提案1、2、3とございますが、実はもう一つ案がございまして、 それはやや複雑な数式を使ったモデルでございまして、結論的には提案2に近 いような数値になっておりましたし、やや複雑ですので、提案された委員も、 それは取り下げてもいいということでございましたので、残る3つの案につい て御説明いたします。 提案1、提案2、提案3、それぞれどういう考え方で、目標値がどうなるか というのはこのページに示してあるとおりでございます。次のページから一つ 一つグラフがあってわかりやすく示しておりますので、これで説明させていた だきます。 提案1は、やめたい人が全員やめた場合の喫煙率でございまして、戦術とし ましては、やめたい人に徹底的に禁煙支援を行って、禁煙に成功していただく とどうなるという数値で、平成16年の国民健康・栄養調査最新版をベースラ イン値として、目標値がそれぞれ男性32.6%、女性8.1%になっています。で すから下の棒グラフの黒く塗った部分がやめたい人でありまして、100%やめ ていただいた場合の数字が右側のグラフになっております。 提案2の方は、やめたい人の一部がやめた場合の喫煙率でございまして、や めたい人というのは調査の結果わかっておりますので、そのこととあわせて、 依存性を考慮し、依存性がないか軽度の人は恐らく少し禁煙支援をすればやめ ていただけるのではないかという想定で推計したもので、やや控えめな数値に なっております。ですから依存性の強い人は、ここでは除外しておりますが、 幸い4月1日からニコチン依存症に対する管理料が保険適用されましたので、 治療の観点で取り組んでいただければ提案1に近づく可能性もあると思いま す。 最後の提案3は、成人の喫煙率を半減させた場合の喫煙率でございまして、 これはベースライン値が平成9年の国民健康・栄養調査になっております。こ れはなぜかと言いますと、委員の皆様方御記憶のように、「健康日本21」の ベースライン値を設定しておりました際に、喫煙率半減という目標値がいろい ろな議論の過程で取り下げられました。それに関して、たばこ対策に熱心に取 り組んでおられる方々から不満、批判が出ておりました。それらも考慮しまし て、最近の社会情勢等も考慮して、「健康日本21」の中間評価に際してもう 一度これを復活させてもよいのではないかという意見が強く出ました。 実際に作業チームの委員の中からも、これがいいのではないかという先生が かなりおられました。それは現時点での喫煙率ではなくて、過去に振り返って の値のそれを半減するということで、目標値は男性26.4%、女性5.8%となる わけです。男性の26.4%というのは欧米先進国の現在の男性の喫煙率前後に なりますので、これはいいと思います。女性の喫煙率は5.8になりまして、こ れは半減ならこの数値になりますが、最近の女性の喫煙率の推移等を考えます と、これは極めて厳しい目標になります。 これら3つの案に整理されますが、これは前回の説明を目でわかるようにし て具体的にお示ししているわけでございまして、本日部会に御報告するわけで はなく、前回の説明をさらに確認した形の報告になります。作業チームでは喫 煙率の数値目標の設定とあわせて介護予防のための新しい指標も検討してお りまして、大体そのデータが取りまとまった状況と伺っておりますので、でき るだけ早急にもう一度作業チームを開催していただきまして、最終的な意見の 取りまとめをやった上で、地域保健健康増進栄養部会に提案したいと思ってお ります。 久道部会長 どうもありがとうございました。ただいま3人の方から説明が ございました。何か御質問や御意見はございませんか。 飯島委員 すみません、ちょっと言い忘れましたが、左奥の柱のところにポ スターが張ってあります。こちらにもポスターが張ってあります。左奥のポス ターは去年、日本薬剤師会の雑誌に折り込みで約10万弱を会員に配りまして、 薬局の店頭に張っていただくというような企画をしたものです。今年度は、こ の6月、このような内容で会員に配って店頭に張っていただくように配布した ものでございます。 富永委員 追加コメントでございまして、矢島室長さんが資料3を御説明さ れたときにコメントすればよかったのですが、私が先ほど御説明したものと関 連ですので、もう一度注意を喚起したいと思います。15ページ以降に「健康 日本21」都道府県計画での喫煙率設定の状況をまとめていただいております。 これは私、初めて見るものでございまして、大変参考になります。 最後の19ページのところをごらんいただきますと、数値目標を設定してい るところが18府県、38.3%。「減少」などの目標項目、定性的な値を設定し ているのが13都道府県、27.7%。中間見直しの時点ではかなり多くの都道府 県が数値目標を設定しています。平成12年のベースラインの際には、私が把 握していた範囲では数府県が数値目標を設定しておりましたが、中間目標の時 点ではかなりの都道府県がこのように数値目標を設定しております。 特にめぼしいところを御紹介しますと、15ページの8番の茨城県は目標に かなり厳しい、これは本当に達成できるかなという数値を置いておられます。 男20.0%、女3.0%となっております。 飛びまして17ページの愛知県でございますが、愛知県では20歳代、30歳 代の喫煙率を重視しまして、これは特に若い女性の喫煙率が重要であるからで ございますが、目標値を現状の半減にしております。これは考え方としては備 考欄にございますように、愛知県で独自に行いましたアンケート調査の結果、 喫煙者のうち約半数以上が「すぐ禁煙したい」あるいは「禁煙したい」と答え ておりましたので、約半数が「禁煙したい」と答えておりますので、その人た ちの禁煙を支援して100%達成する。そういう考え方でいくと半減になるわけ でございます。 その次の次、25番の滋賀県です。これも半減をうたっております。それか ら大阪府、半減ではないのですが、最初からかなり厳しい目標を設定しておら れます。次のページの和歌山県、これも男30%、女5%ですから、比較的厳 しいと思います。島根県も半減になっております。38の愛媛県、20歳以上で ございますが、これも事実上、半減です。 こういうふうに幾つかの県で半減に近いような大変厳しい目標を設定して おりますので、国の方で早く数値目標を設定しますと、まだ設定しかねている 都道府県でも参考になりますし、それぞれの都道府県の中の市町村が都道府県 計画をもとにして市町村計画を立てますので、そういう観点からもぜひ国の数 値目標の設定を急いでいただきたいと思います。 高橋(滋)委員 部外者がいろいろと言って大変申しわけないのですが、前 回私、この数値目標について、この数値が一体何を意味するのかということを 自覚された上で数値を決めるのが適当ではないかということを多分申し上げ たと思うのですが、例えば年度を決めて、年度計画中にこの数値が達成できな い場合は国の責任として、例えば規制的な新法をつくってまで達成すべき数字 なのか、それとも国民的な運動の中で国民を啓発するためにある程度目標を設 定して誘導する数値なのか。この辺をはっきりさせておきませんと、後で目標 が達成されなかった場合、では一体この数値を達成できなかった責任はどうな るのかといったような議論も出てくると思いますので、この数値が具体的に政 策の上でどんな意味を持つ数値なのかということを踏まえた上でぜひ議論し ていただかないと、都道府県の数値、今いろいろ紹介されましたが、都道府県 ごとで政策の位置づけは違って数値をつくっているわけで、数値が一人歩きし ますと、これは国の場合について大変なことになると思いますので、ぜひ作業 チームの中でその辺の議論を踏まえた御検討をしていただきたいと思います。 富永委員 「健康日本21」はすべてについて数値目標を設定して、それを 達成するというのが戦術になっておりますので、喫煙率についても数値目標を 設定するのは、妥当なことだと思っております。 実際に2010年に最終評価をして達成できたかどうか、達成できていない場 合にはどうなるかということ、それは問題になるかと思いますが、数値目標に はほとんど達成不可能ではないかと思われるようなものも意図的に数値目標 にしているのがあります。端的な例が未成年者の喫煙を0にするということ。 これは未成年者喫煙禁止法がありますので、建前上0だということになってお りますが、これは非現実的でありまして、なかなか0にはなりにくいと思いま すが、そういう観点から考えられております。 半減というのは、最近の状況を見ますと、喫煙率は今までの状況でも男性で は年平均1%ぐらいのペースで低下しております。欧米先進国の過去の低下傾 向も参考になりますので、これはやる気になればやれないことはありません し、私は「健康日本21」のこれまでの反省点、問題点としましては、ベース ラインの値があって、最終目標を設定したけれども、それをどのように達成す るかというアクションプランがきちんと練れていなかったのです。ですから今 回は、特に中間評価に際して、目標を見直した場合には、あとどういうプラン で、どういうアクションを起こしてこれを達成するかということを決める必要 があります。その上で達成できなければ、またその段階で再評価して、作戦の 練り直しになるのではないかと思っています。 久道部会長 事務局、何かありますか。今の件で。 中島参事官 「健康日本21」の目標値というのは強権的な形で達成されな ければならないものという認識では全くございません。ただ、富永先生からも お話がありましたように、これまでの健康づくり、いささかの反省点としては、 目標値を定めたものの、それをいかに評価していくのかという視点がやや弱か ったのかなという点もございますし、また、その目標値を達成するためにどう いう政策を講じていけばいいのかというところが必ずしも明確ではなかった 部分があるんだろうと。 たばこの枠組条約ができて、トータルとして健康のためにたばこの消費とい ったものを抑制していく方向というものが国際的にも認知されてきた。そうい う中で改めて喫煙率の目標値というものを設定するということを考えてみて はどうかということが、富永ワーキングの方から出てきたということでござい ます。そして、この富永ワーキングを見せていただくと、やめたい人がやめた 場合、やめたい人でやめられる人がやめられた場合ということですが、そうい う点では矢島室長の方から説明いたしましたように、禁煙に関して保険適用し たということ、先般、医療関係者等が保健所、市町村保健センター等でお使い いただきたいということで禁煙支援マニュアルといったツールも用意させて いただいたということでございまして、そういうことを駆使しながら禁煙者を ふやしていくのが一つなんだろうと。 ただ、数値目標というものを掲げてやるべきなのかどうか、掲げた目標数値 といったものが果たしてそうした禁煙支援だけで達成できるのかどうかとい うことを、ワーキングチーム、さらにはこの部会で大いに御議論いただければ ありがたいというのが事務局の見解でございます。 高橋(滋)委員 富永先生の御指摘に対してですが、結局そうしますと、今 の事務局の御説明でもそうだと思いますが、現状の施策でも新しく入った部分 もあると思いますが、それでどれだけベストの方向に持っていけるのかという 誘導の値として考える、こういうことに多分なっていくんだろうと思います が、そうすると、そういうような施策を前提としてどこまで持っていくのが国 の施策として一番適当なのかという観点から御議論いただくのが一番いいの ではないかと私は受け取りました。 多田羅委員 時間がないと思うので簡単に1つだけ。12ページの我が国喫 煙率の推移、これで見ると日本もほどほどに減少しているではないかという印 象を持ちがちであり、それであればそれほど数値目標までつくってやんや言わ なくてもいいじゃないかという図にも見えがちなのですが、きょうお配りいた だいた国民健康・栄養調査を見ていただきますと、9ページでございますが、 日本人の年齢階級別の喫煙率は非常に大きなものがございます。例えば30〜 39歳では、この報告でもまだ「習慣的に喫煙している者」が57.3%になって いるんですね。70歳以上は24.0。高齢者は現在、24ということで低目である ということで、この表はまさに対象の集団の年齢構成がどうなっているかとい うことが一つ問題になります。だから人口と同じように推移しているのであれ ば、平成14年というのは、非常に高齢者の多い集団になってきますと、この 24%が生きてきて、国民の実質的な喫煙率は変わっていなくても、見た目減少 しているように見えるということもございます。 また、年齢でこれだけ差がございますので、平均値をとってしまうと、70 歳以上の方は推移で見ますと若干喫煙率が減少しておりますので、その影響を 受けてしまう。前々回、この部会でも私、強調させていただいたのですが、20 代、30代、40代の人たちは、これで見ても50%以上、半数以上の喫煙率があ り、その推移はこの10年間、健康・栄養調査として変化はございません。50% 以上の方が20代、30代、40代、あと50代もそれに近いのですが、減少して いないので、その辺、この図だと非常に誤解をつくりやすいので、少なくとも 年齢階級別に、57%もあるというところは特に重要だと思いますので、お願い したい。 その意味で、富永先生のこの数値目標も、年齢階級別の数値目標、出してい ただく予定だろうとは思いますが、お願いしたいと思います。というのは、こ の32.6%なんていうのは、これで見ますと70歳以上の人は24%、あるいは 60代だと33%ということですので、70代以上だともう既に目標値を達成して いるということにもなりますので、そういう点、年齢階級の視点をぜひ入れて いただきたい。 女性はこれで見たら減少しているように見えますが、20代、30代、40代は 非常に増加していますので、その辺一つ大事な点だと思うので、よろしくお願 いします。 久道部会長 どうもありがとうございます。時間も大分少なくなってきたの ですが、せっかくたばこ会社の方に来ていただいておりますので、何か御意見 がございますれば、短めにお願いします。 日本たばこ産業(株) 日本たばこの佐藤でございます。私ども日本たばこ といたしましては、喫煙者率に対する数値目標について、国民の意見も統一さ れていない中、慎重であるべきだと考えております。これにつきまして、そも そも何のための数値目標の設定なのか、その合理性の部分。ほかのリスク要因 とのバランスがどういうふうにとれているのか。さらに過去との政策整合性と いう観点から意見を述べさせていただきたいと思います。 まず喫煙者率に関する数値目標の設定に関しまして、そもそも合理的な根拠 があるのかというところに若干疑問を感じております。喫煙者率と、いわゆる 喫煙関連疾患との関係を見てまいりますと、日本の喫煙者率は長年にわたり大 幅に低下してまいりましたが、これら疾患というのは顕著に増加いたしまし た。代表例としての肺がんですが、過去50年を見ますと、男性喫煙者率はほ ぼ半減いたしました。ただ、女性喫煙者率は横ばいでございまして、喫煙者率 の推移に差がございます。他方、この期間の肺がんの年齢調整死亡率を見ます と、男性も女性も10倍から15倍というふうにふえております。 これは喫煙者率の低下が肺がんの減少をもたらさなかったということと、喫 煙者率の推移は異なる傾向を示したにもかかわらず、肺がんの死亡率の増加傾 向は一定であったということを示しております。 これに対しましては、喫煙者率、1人当たりの喫煙本数の増加が喫煙関連疾 患の増加と強い関係があるという御指摘がございました。この点に関しまし て、長年にわたり、たばこというのは低タール化が進んでおりまして、単なる 本数の比較ではなくて、こういう部分も考慮すると一体どういうふうになるん だろうかという疑問と、そもそもたくさん吸うことが問題である、多量喫煙が 問題であるということであれば、これは喫煙者率の目標設定というよりは、む しろこういった多量喫煙者に対して直接啓発するというようなことを考えて いくべきではないかと思っております。 次に、ほかのリスク要因とのバランスの欠如と考えている点でございます が、これは前回の部会におきましても、喫煙を行うに当たりましては、さまざ まなリスクの大きさについて科学的根拠を詰めた上で社会的公平性や規制対 象の特殊性なども踏まえ、リスクの程度に応じ合理的な規制とすべしという議 論があったと理解しております。 ほかのもののリスクでございますが、まず健康に対しますリスクの総合的な 指標の一つとして言われておりますDALYs、障害調整生存年という概念が ございますが、これは疾病やリスク要因等が健康にどの程度の影響を与えたの かということを示す指標でございます。WHOは喫煙の影響が4.1%、アルコ ールの影響が4.0%と発表しております。WHOの発表によればということで すが、喫煙と飲酒でリスクという面で大きな差がないということになってまい ります。 次に個別疾病としての肺がんということを考えますと、日本におきまして喫 煙の相対危険度は2〜4倍と言われております。肺がんにつきましてはたばこ 以外にも数々の物質がリスク要因と言われておりまして、例えば脂肪の摂取だ と4〜6倍、飲酒だと2.2倍、運動習慣が2倍と、こういう研究報告が発表さ れております。 3点目に、他者危害という観点から受動喫煙がいろいろ言われておりまし て、前回の部会の場でデータをお示し...... 久道部会長 あとどのぐらいありますか。 日本たばこ産業(株) あと2〜3分。 久道部会長 ちょっと多過ぎます。あと1分以内でおさめてください。 日本たばこ産業(株) わかりました。受動喫煙のリスクは1.2倍程度と言 われておりますが、例えば自動車排気ガスでは1.5倍という調査報告も出てお ります。 最後に1点だけ、政策の整合性という観点から申し上げますと、喫煙者率に 対する数値目標につきまして、弊社といたしましては、喫煙という成人個々人 の趣味嗜好の世界、合法なものに、強制的な意味で数値をもって関与するとい うことであるならば、それは問題だと考えております。たばこ事業法自身が、 たばこ産業の健全な発展ということで、この中にはたばこ耕作者とか販売店と かたくさんございますが、こういう方々へどういう影響を与えるのか、どうい うふうに配慮していくのかということの議論も行わずに、もし強制的な意味で の喫煙者率目標を定めるということであるならば、それは問題であると考えて おります。ありがとうございました。 久道部会長 個々の意見交換はしないで、とりあえず他社の方からも意見を 聞きます。まずフィリップモリスジャパンの方から、要領よく、短くお願いし ます。 フィリップモリスジャパン(株) 短くお話ししたいと思いますが、英語に なります。日本語が話せなくて申しわけありません。 まず、喫煙率のターゲット設定に関しましては、そのようなターゲット設定 をすべきかどうか、またはどのような値に設定すべきかということは政府及び 貴審議会の御判断にお任せしたいと思います。それはそちらの御判断いただく ところであると考えます。 しかし、我々が貢献させていただける場所、つまり付加価値を与えることが できる可能性といたしましては、富永先生がお話しになったような、どのよう なアクションをとるかということのディスカッションには貢献できると考え ます。そして貴審議会及び政府には包括的なアプローチをとっていただきたい と考えております。例えば未成年喫煙防止ですとか、公共の場での喫煙ですと か、たばこ税など、そういった多面的な包括的アプローチが必要かと考えてお ります。 ですので、今後の貴審議会の話し合いの中で、ぜひそのようなアクションプ ランの話し合いの中で貢献させていただきたいと思います。今回、お話をさせ ていただく機会をいただきまして、ありがとうございました。 久道部会長 どうもありがとうございます。それではブリティッシュ・アメ リカン・タバコ・ジャパンの方。 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(株) 深町でございます。 私どもの考え方は前回の部会で御説明したとおりでございますので、改めてこ こで繰り返すつもりはございませんが、昨日、たまたま機会を得まして、東京 近郊の販売店様数店とお会いして全体的なお話をする機会があったのですが、 皆様、将来のビジネスというものに対する不安感を非常に持っておられるわけ でございます。喫煙率目標設定というものが直ちに皆様の不安を増進するとな るのか、あるいはそうでないのかというのは、にわかには申し上げにくいと思 いますが、全体のバランスをとった中での目標設定、仮にやられるとすればそ ういうものでないと、そういう意味で全体の支持を受けるということにならな いのではないかということを強く感じておりますので、改めてその点だけ強調 させていただきたいと思っております。ありがとうございました。 久道部会長 どうもありがとうございます。このやりとりをやりますと時間 が足りなくなります。言いたいことのある先生は複数の方いると思うのです が、代表で富永委員に、これまた簡単に、断定的ではなくて、参考になること もあったのではないかと思われますので、それも含めて御意見なりということ で、まとめていただいて。関連して、まず先に渡邊委員、どうぞ。 渡邊委員 関連ではないのですが、最近ニュースペーパーで読んだのです が、フィリップモリスが30円値上げしたいと言ったら、財務省からいけない という指導を受けたと聞きましたが、それは本当ですか。 フィリップモリスジャパン(株) それは本当のことでございます。財務省 の方に提出させていただきましたら、その内容を変更するようにというような お返事をいただきました。 渡邊委員 その理由はたばこ事業法だと言われたわけですか。 フィリップモリスジャパン(株) そのとおりです。 渡邊委員 そうしますと、ここで喫煙ディスカッション、厚生労働省内だけ で幾らやってもしょうがないのであって、たばこ事業法そのものの改廃とか、 そういうことも念頭に審議会の方は進めていただきたいと思いますが、そうい う方向は今後どうなんでしょうか。 久道部会長 話が拡大しそうですね。 中島参事官 たばこ業界は財務省さんが所管されていて、また財務省でも審 議会をお持ちなわけですが、基本的には我々、健康づくりは厚生労働省が責任 を持つ官庁でございますので、ここでの御議論というものは当然のことながら 必要に応じ財務省にもしっかりお伝えしていかなければいけない。ましてやた ばこ枠組条約ができて、関係省庁連絡会議も設け政府一丸となってやっていく という仕組みもできておりますので、そういう場も積極的に活用できればと思 っております。 富永委員 手短にコメントいたしますと、先ほど3社から意見表示がござい ましたが、JTの佐藤様は、前回3月2日の私のコメント、もう一度よく議事 録をお読みいただければよいかと思います。フィリップモリス社におかれまし ては、今回もこの審議会の意見を尊重するという意思表明がございまして、大 変ありがたいことだと思っております。私どもも、たばこを絶対にやめたくな いという人を何が何でもやめさせるという、そういう気はございませんで、実 際には喫煙というのは、嗜好品なんだけれども、依存性のある嗜好品で、健康 によくないし実際にやめたいんだけれどもやめられないという人が非常に多 いんですね。ですから、そういう人たちに対して行政が手を差し伸べるという ことは当たり前のことでございますので、それはいいことだと思います。 財務省、あるいはたばこ業界にとって憂慮されているのは、喫煙率が低下す ると収入減になると思っておられると思いますが、これは昨年末のこの部会で も御提案しましたように、たばこ価格を欧米先進国並みに500円ぐらいに上げ れば、たとえ2割ぐらいの人が禁煙しましても増税増収になりますので、それ もアクションプランの重要な要素として考えればいいのではないかと思って おります。 久道部会長 これでこの議題はやめたいと思うのですが、池主委員、部会の 初めての委員ですので、さっき手を挙げましたが。 池主委員 拡大すると申しわけないのですが、たばこを吸う方を減らすとい う意味からいけば、この論議の中にいろいろな医療現場での禁煙というような 問題をどういうふうに結びつけていくかということをもう少し課題にしてい ただきたいと思いますので、これは19日に親委員会があるそうですから、そ こまでとっておきます。 久道部会長 それは意見ですね。どうもありがとうございました。議論のや りとりの時間が不十分だったのでまだ不消化の面があろうかと思いますが、大 分時間をとってしまいましたので、この議題は終了にいたします。 次の議題に参ります。その他に移りますが、資料4の医療制度改革法案の国 会における審議状況について、室長から説明をお願いします。 矢島室長 お手元の資料4に基づきまして御説明させていただきます。実は 医療制度改革が今国会で審議されているところでございます。お手元の資料を めくって1ページのところに今回の医療制度改革法案の概要がございます。こ の中の1番の安心・信頼の医療の確保と予防の重視の(2)のところでござい ます。生活習慣病対策の推進体制の構築ということで、「内臓脂肪症候群」の 概念を導入して「予防」の重要性に対して理解を促進するような国民運動を展 開するとか、保険者の役割を明確にして健診・保健指導を義務づけするという ことについて現在国会で審議が行われているわけですが、実はこの国会の審議 の中でいろいろと御議論がございました。 今回の国会の審議の中で、健診・保健指導にメタボリックシンドロームの概 念を導入することについて疑義の御議論がございました。お手元の資料の3ペ ージのところに関係の委員会の一覧がございまして、5ページから議事録を載 せております。特に国会の中で御指摘をいただきましたのは7ページですが、 メタボリックシンドロームについては国際的にいろいろな議論があるという 中で、例えば米国糖尿病協会ですとか欧州糖尿病研究協会で、このメタボリッ クシンドロームについて批判的に吟味すべきであるという論文が学会で発表 されているということで、そういうものがこの検討会の中で審議されたのかど うかということで国会での御質問がございまして、局長から、論文について私 どもは承知していたわけですが、この検討会で御議論はしていなかったという 旨の答弁をした経緯がございます。国会の審議では今回の海外の論文について もこの検討会で議論する必要があるのではないかということがございました。 8ページのところですが、この国会の審議の中で、生活習慣病対策のキャッ チフレーズですが、「一に運動 二に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ」と いうキャッチフレーズをこの検討会で御審議のうえつくらせていただき、これ をピーアールに活用させていただいているのですが、実は国会の審議の中で、 「最後にクスリ」という、キャッチフレーズを使って製薬企業の方がピーアー ルをしている。薬のピーアールに使っている。メタボリックシンドロームのこ とを使いながら、この「一に運動 二に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ」 ということで、自分のメーカーの薬の宣伝をしていると。これはおかしいでは ないかという御指摘を国会でいただきまして、私ども、そういうつもりではな かったのですが、実際にこういう例があるという御指摘をいただいておりま す。 こういうことについてどう考えたらいいのかということもございます。私ど もは決して薬をピーアールしているのではないということで、一番最後の28 ページのところをごらんいただきたいのですが、国会の答弁では大臣からも安 易に薬に頼らずに適度な運動やバランスのとれた食生活というものが有効で あり、内臓脂肪症候群の考え方を導入することで逆に安易な薬の使用がふえた といったことはあってはならないことであり、正しい知識の普及啓発を図りな がら具体的な対策を進めてまいりたいと答弁はしているのですが、どうもこれ は私どもが思っていたところではない形になっているので、そこも含めてぜひ この審議会でキャッチフレーズについても御議論いただければありがたいと 思っております。 久道部会長 実はこういう国会での審議があったということが一つの理由 でこの部会の予定を早めたというか、もう一度専門の方々から御意見をいただ いて、よく議論した方がいいのではないかということでこの部会を開かせてい ただきました。したがって、国会の審議、あるいは委員の方の質問の項目と関 連して、メタボリックシンドロームの定義そのもの、学会がどうこうというこ とがありましたので、一つ専門の先生、委員の方から御意見なりをいただけれ ばと思います。 北村委員 生活習慣病というか、メタボリックシンドロームというか、先ほ ども少し議論に出ましたが、この名称についてのコンセンサスは我が国の8学 会はもちろんのこと、既に世界的に認められています。コンセンサス会議とい うのがロンドンで開かれて、メタボリックシンドロームという、日本語にしに くい名称で、内臓脂肪症候群と訳すことがいいのかどうかそれは議論があるか もしれませんが、この疾患群の提唱ということは国民の健康を考える上に極め て重要であるということは広くコンセンサスが得られているところでありま す。 例えばいろいろなリスクファクターとなる因子を2つ持てば心臓血管病が 2倍にふえる、あるいは3つ持てば2型糖尿病は5倍にふえてくるということ は科学的に世界のエビデンスとして我が国も含めて立証されてきております ので、こういった科学的な根拠に基づいてメタボリックシンドロームを一つの 疾患概念として取り上げていくという施策そのものは必要であると思います。 これに対する反論、例えば先ほどもありましたように、アメリカあるいはヨ ーロッパの糖尿病協会の反論の理由の一つには、これを包括的概念とすること によって糖尿病の疾患そのものの重要性の意義が国民からも行政からも失わ れていくという懸念があります。一つ一つのリスクファクターになる治療を重 視する立場と、こうした一つのリスクの集団として見るということから考えま すと、後者はライフスタイルを変えることが重要であるという、つまり体重減 量とか、運動とか、あるいは喫煙とかを含めた、国民がみずからできる治療法 をするという健康増進法に含まれるもの、あるいは健康増進法の延長上にある ものとして包括的概念を行政が取り上げるということには、エビデンスの上か らも全く異議がないと私どもは考えているわけです。 標語の取り方の違いというのは、これは感覚的な判断の仕方で、薬を一番下 に持ってくるということは最終的に遅らせるという観点で、これは議論をして も始まらないなと私も感じておりますが、その中で基準の腹囲についての外国 との違いが再三にわたって議論されています。これは当該の研究者の人たちと も話し合いましたところ、エビデンス、つまりCT像をもって内臓脂肪の実際 の量を計測した証拠に基づいて根拠を出しているのは唯一我が国だけで、その 結果が世界の一応の基準と逆転しているということがありますが、これは将 来、日本の方が正しくなる可能性が高いとも考えます。しかし、今後我が国も 検討すべきこととして、素直にこの基準が将来変わるべきものでないという強 い意見を持っているわけではありませんで、これを一応の参考として必要に応 じてモディフィケーションを加えるということは科学者としては当然のこと であります。しかし、現況において、この腹囲を出してきた理由があるのは我 が国だけのことであって、見直すべきところは見直す必要はあるものの、現況 においては世界の出している基準よりも科学的には正しいというのが日本の 8学会の見解であろうかと思っています。 特に外国の論文を検討していないではないかというのがありますが、これは critical appraisalという形で出されたカーン先生の論文などがありますが、 この2005年に出された論文に、外国からまたその反論の論文も出ているわけ です。 ですから、一つはそういう糖尿病等を重視して個々のリスクとしていくとい う方向と包括的な疾患群としてとらえていくというものがありますが、行政と しての立場からは、包括的に国民一人一人がより自分で行えるところを主張す るいう観点からは、このメタボリックシンドロームを挙げるということには何 ら異論はないのではないかと私も考えておりますし、一方、厚生労働省は糖尿 病の重要性が薄れるということに対しましては、5年間という異例の長期と高 額をかけた戦略課題というのを作成しています。それは糖尿病であります。糖 尿病についての戦略、研究課題というのを一方で取り上げておりまして、これ はこういった施策を総合科学技術会議で説明する、専門委員会で説明した時に も、どういうアプローチをするかとの答え掛けに対し、一つは国民に対しての 包括的に意義を持ってのライフスタイルの変更による予防対策として、もう一 つは科学的なエビデンスとして糖尿病というものに取り組んでいると申し上 げているところです。 多くの反論をしている方々は、糖尿病関係の方々が多いです。しかし、厚生 労働省の施策としても、それを無視しているのではなくて、今申しましたよう に、戦略、学術研究課題として異例の高額の研究費を支出しているのが現状。 同時に並行してやっているわけです。ですから、研究課題と健康増進法の延長 上、あるいはその中に含まれる国民運動的なものとして、メタボリックシンド ロームという名称は確かに日本人には向かわないわかりにくさもあるかもし れませんが、世界的にコンセンサスが得られている。国会議員の方々が反論に 使っている論文に対する反論もまた外国で行われているわけで、その辺のとこ ろがありますが、我が国の日本人に対してのエビデンスに基づいて8学会が決 めてきた基準ということで、厚生労働省がそれを一応重視されているという姿 勢には、現況では妥当であるのではないかと考えております。 多田羅委員 北村先生がおっしゃったとおりなのですが、国民というか、こ ういう疾病対策という考え方からいきまして、それまでいわゆる成人病と呼ば れていたのが、1996年に生活習慣病という名前に変更されました。しかし、 もちろん成人病も生活習慣病というのも、国際疾病分類の中には示されていな い病気ですので、日本という社会の中で疾病対策という観点から国を挙げてこ れらの疾病に取り組もうという一つの目標の言葉として、生活習慣病というも のを国を挙げて国民に訴えてきたという面があるかと思います。 そういう意味ですから、もちろんこの生活習慣病として言われている高血圧 とか、糖尿病とか、がんとか、循環器疾患が、基本的に国民の生活習慣が原因 ですよという点については、国民は広くそれを納得できて、そういうことから 取り組まないといけないという国民の広いコンセンサスを得られたからこそ、 今日、生活習慣病というのがあっという間に日本人の大きな考え、疾病対策の 考え方の中に定着して、非常に大事な言葉になっていると思います。 生活習慣病というのは国際疾病分類にはないけれども、どういう病気なのか ということは当然理解する必要があるわけです。それに対して、まさにメタボ リックシンドロームという概念が示されて生活習慣病の理解が非常に深まっ たということであります。それまで糖尿病とか、高血圧とか、循環器疾患とか、 それぞれ独立した概念であったものが、このメタボリックシンドロームという 概念によって、すそ野においてつながっているという、今までの病理学の理解 を凌駕する大きな地平に医学が進歩したという、非常に画期的なものかと思い ます。 それだけに議論はもちろん多いのですが、つながっているという論理と生活 習慣病と言っている生活習慣という概念が、特に肥満などの概念を通じて直接 むすびついてきたということですので、全体として、対策面、病理面、そして 実態としての高血圧、糖尿病などが、三位一体の形として、メタボリックシン ドロームという概念によって、理解することが可能になってきました。そのこ とを国の8学会においても認証していただいたということであります。そのこ とについては、北村先生もおっしゃったとおり、国際的にもメタボリックシン ドロームという病理学的考えは認証されているものと思いますので、その点ぜ ひこの審議会でも、そういう三位一体のものとして、特に国民の疾病対策の推 進という観点から、理解し、進めているという点を御確認いただきたいと思い ます。 この中で7ページ以下のところに、米国糖尿病協会、あるいは欧州糖尿病研 究協会が、極めて権威ある学会がこれに意見を言っているということですが、 先ほど渡邊先生もおっしゃいましたが、このメタボリックシンドロームという のは、今申し上げたように、画期的な一つの地平を前に進めているので、既存 の、特に一番関係する糖尿病学会にとってはむしろ自分の上位概念を提起され たわけですので、この学会が権威があればあるほど、自分の権威に対して上位 の概念を出されたということは煙たい話でもあるし、それは了承できないとい うことになります。 ですから、糖尿病学会はメタボリックシンドロームという概念を、高血圧学 会でも同じかと思いますが、上位理念として出されているので、こんなもので 糖尿病のことがわかるものか。お前ら、何を言っているんだという感じはどう してもあると思います。だからそれは学会としては当然の意見であり、もちろ んメタボリックシンドロームという概念だっていろいろな限界はあると思い ます。ですが、上流と下流という考えの中で、下流の方は権威があればあるほ どそれなりに意見を言いたくなるというところもあるということで、一つの研 究領域におけるディスカッションとして受けていけばいいのであって、我々国 民の疾病対策という大きな観点から、さっき申し上げた、国民の生活習慣と病 理学と実際の疾病、その三位一体の関係がこれによって理解できるという観点 に立って進めているということについては、基本的に何ら問題ないし、そうい う点の議論はこの審議会でも十分してきたと御確認いただきたいと思います。 笹月委員 私は、視点をちょっと変えてみても、このメタボリックシンドロ ームというのは3つのポジティブなインフォメーション、メッセージを与える と思います。一つは臨床家と言いますか、現場のお医者さんが、高血圧と診断 して血圧だけをはかっている。それではだめで、包括的に、こういうメタボリ ックシンドロームという概念で、高脂血症とか、あるいは糖尿病の可能性とい うものも考えて、そういう検査データもきちんとフォローしながら患者さんを フォローすべきであるという一つのメッセージ。それは均てん化ということで 果たされるだろうと思います。 もう一つは患者さん自身に対するメッセージです。一番わかりやすいのは腹 囲。自分が食事をコントロールした、あるいは運動に努めたということがどの ように自分の健康にはね返ってきたかということを見る、直感的にわかるのは 腹囲と言いますか、ベルトの穴の状況ということで、患者さんに対して非常に わかりやすいメッセージだと思います。 最も重要な第3のメッセージは、臨床研究者、疫学者あるいは、ゲノム疫学 をやる人たちに、ゲノムのレベルで、あるいは疫学のレベルで、メタボリック シンドロームというふうにくくって解析を今後ますます進めるべきというメ ッセージ。これまでも糖尿病や、高血圧のゲノム解析、あるいはゲノム疫学研 究は行われてきましたが、個々のそういう疾病でさえもまだまだ未完成と言い ますか、ゲノム解析に関しては完結しておりません。そこにこういう概念が新 しく導入されて、それを包括的に見れば、より明確な答えが出てくるだろうと いう期待が一方では大きいわけです。私は将来、時間とともに概念も少しずつ 変更はされるかもしれませんが、今、こういう形でくくるというのは非常に有 意義なことであろうと思います。 澁谷委員 私は地域の視点から考えてみますと、今先生もおっしゃったよう に、人の健康を包括的に見るという概念では非常に住民にわかりやすいという ことがあると思います。それと、基準とか、目標とか、数字がいろいろなとこ ろで問題になってくるわけですが、確かにエビデンスというのは大事ですが、 これは地域で、保健計画や、あるいは事業計画なんかを考えてみますと、エビ デンスが最初にしっかりしているものでないと目標や基準にならないかとい うと、実際にはそうでないものでも動いているものはたくさんあるわけです。 先ほども出ていましたが、健康日本21では、基盤整備をする基準とか、あ るいは行動変容する指標とか、あるいは健康水準そのものの指標だとかという ことで3種類の指標があるわけです。そういうことを考えると、例えば5年と か10年の保健計画事業計画を推進していく中でそのエビデンスを証明してい くとか、あるいは裏づけをとっていくとか、そういうことが一つあってもいい のではないかと思います。 だから、今はいろいろな意見のあるものでも、例えば5年とか10年とか、 その施策をやっていく、あるいは保健計画を推進していく中でそういったもの を求めていく、エビデンスを求めていくということもあるでしょう。計画とい うのはそういう性格も持っていると考えてもいいのではないかと思います。 田中委員 この資料の26ページにもありますし、また、北村先生、多田羅 先生も発言されましたように、メタボリックシンドロームの診断基準が確立し ておらず云々の話が繰り返されておりますが、御存じのように、シンドローム Xとか、死の四重奏とかいうことで、もう歴史的にも確立された概念ですね。 私は同じものの見方が違うレベルの話だと思うんですね。ひとつは病態の立場 からと言っていいのかもしれません。内臓脂肪を上位に置いて、そこから高脂 血症、あるいは糖尿病、あるいは高血圧へ進展していくという考え方で、病態 の立場から言われているのが日本内科学会等8学会で決められたものである わけです。 一方、アメリカのNational Cholesterol Education Programでは、アメリ カは冠動脈性心疾患に悩み抜いている国でありますから、冠動脈性心疾患のリ スクは、リスクファクターを2つ以上持っている人に高いのでそのような人々 に対して重点的に治療せよ、対策を行えという立場からの定義です。別に内臓 脂肪型を上位概念には置いていないというだけのことであるわけです。ですか ら冠動脈性心疾患のリスク低減という立場か病態的な立場かの差ということ でありまして、それはそんなに大きな問題ではないと思います。ですから、冠 動脈性心疾患、脳梗塞のリスクファクター対策に、ある意味ではメタボリック シンドロームという一種のキャッチフレーズ的なことを出してやっていくと いうことで人々へのインパクトが大きく、公衆衛生行政と言いますか、厚生労 働行政上、非常によかったのではないかと私は高く評価しております。 渡邊委員 今回の「一に運動 二に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ」と いうキャッチフレーズは、私は厚労省の予防医療政策上、物すごいターニング ポイントで新しい分野だと思うんです。と言いますのは、今まで、何かメカニ ズムがわからないと予防はできないのではないか。つまりメカニズム・オリエ ンティッド・スタディだったわけですが、今回からは肥満を抑えれば予防でき るということで、ソリューション・オリエンティッド・スタディになった最初 の政策だと思います。 例えばたばこでも、米国は1960年代からたばこ対策をやって、30年後に肺 がんが減ってきたわけです。それはメカニズムはわからなくても何かをやれば 結果がよくなるということで、そういう意味ではかっけの問題とか、いろいろ あったわけです。ですから、私どもの研究所でも抗肥満ということでいろいろ 研究しておりますが、一方ではダイエット食品に頼る人もいますし、ですから そういう薬とかダイエット食品ではなくて、真っ当な健康づくりは「一に運動 二に食事」であるというところから、今、実証データもいろいろ積み重ねてお りますし、健康フロンティアの中でDo it 1、2、3でもそれを目指してい るわけでありますので、何はともあれ、政策的に導入して、そのエビデンスを 一方で固めていくというのが予防医療としては非常に重要なことだと思いま す。 久道部会長 時間がなくなってきました。この議題でぜひ一言という方、お りますか。 池主委員 今の論議の中でもう一点あるのが、この制度が動き出したとき に、その中心を保険者の方々が担うわけで、その方々にいわゆるメタボリック シンドロームという概念がどういうふうに理解されるかということが、要する にメタボリックシンドロームそのものを扱っている医療の立場の方々は余り 苦労はないかもしれませんが、それは説明をしないとわかってもらえないよう な立場、例えば口腔保健なんてまさにそうだと思うのですが、そういう課題を 保険者がどう理解するかということが、現実的な成果からいったら非常に大き な意味を持つのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。 矢島室長 今回、この標準的な健診・保健指導プログラムができて、いろい ろな準備事業もさせていただく中で、実際に保険者の方々にも参加していただ き、この標準プログラム策定には医療保険者の方々にも入っていただいていま すので、かなり時間はかかるかもしれませんが、徐々に普及啓発というものを 働きかけていきながら広げてまいりたいと考えております。 内田委員 時間がないところ申しわけありませんが、私は今回のこの方向性 につきましては、医療関係者にしろ、患者さんにしろ、予防重視ということ、 非常にシンプルなメッセージを伝えているという点で、方向性としては非常に 正しいことだと評価しています。今後、その修正を加えながら合意形成をして いくという点でも非常にいいのではないかと思います。 ただ、実際にこの事業を進めるに当たって今提案されているのは、先ほど話 もありましたが、保険者に企画・評価、すべて丸投げしているというところが 一番大きな問題であると。そこに行政的なアプローチ、医療関係者の立場から のアプローチというのがぜひ加わっていかないと、保険者だけに管理・評価・ 企画をゆだねてしまうという点では非常に問題があるのではないかと思って いますので、その点を今後の検討の中でぜひ具体的に加えていただければと考 えています。 久道部会長 これは御意見として受けとめて、検討会で議論していただくと いうことにします。予定の時間が過ぎてしまったので、次の議題の(2)があ りますが、これはパスしますか。やりますか。 矢島室長 御報告だけさせていただきます。実はお手元の資料5でございま すが、食育推進基本計画というものが3月31日、小泉総理大臣のもと、食育 の関係で計画を策定いたしまして、これは平成18年から22年までの5カ年計 画でございまして、食育というものを推進していくという形で、例えば私ども の関係ですと朝食を欠食する国民の割合を減らしていこうですとか、「食事バ ランスガイド」、このようなものを普及していこうとか、今議論になっていま す内臓脂肪症候群を知っている国民の割合を80%にしていこうとかというこ とを掲げているものでございます。毎年6月を食育月間、毎月19日を食育の 日とするということも定めまして、普及啓発を図っていくということを定めた 計画というものを策定しております。 久道部会長 本当はもっと詳しく説明いただくところだったかと思うので すが、私の議事進行の不手際で、これは概要版でありませんので、お帰りにな ったらじっくりとお読みいただければと思います。 その他のその他で何か事務局でお話はございますか。連絡事項は。 矢島室長 ございません。 久道部会長 それではきょうの部会はこれで終了したいと思います。今後の 日程について。 矢島室長 今後の日程につきましては、第23回の部会を7月中に開催した いと考えております。詳細につきましては後日日程を調整させていただき、お 知らせさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 中島参事官 先ほどの医療制度改革の国会における審議状況のところです が、「一に運動・・・最後にクスリ」というこのスローガンの受け取られ方が ある方面ではどうもやっぱり薬じゃないとだめなのかということなので、次回 までに先生方、本当にそういう解釈になるのかどうかを御検討いただいて、「最 後にクスリ」でいいのか、それとも誤解を避けるために、ちょっと事務局の方 でもこういう言い方もあるのかなというあたりを次回に相談させていただき たいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 久道部会長 今、参事官から、スローガンの案を誤解のないような形にでき たらということでお話がありました。どうぞ次回までお考えいただければと思 います。それではきょうはこれで終わります。どうもありがとうございました。 (了) ○しろまる問合せ先 健康局総務課生活習慣病対策室 調査総務係 竹之内・松浦 電話 03−5253−1111 内線2346・2342 1