05/06/03 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会第14回議事録 第14回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 日時:平成17年6月3日(金)10:00〜12:00 場所:虎ノ門パストラル 鳳凰の間東(新館1階) ○しろまる出席委員 石井みどり委員、加賀谷淳子委員、加藤尚武委員、加藤陸美委員、菊田信子委員、 北村惣一郎委員、木村隆次委員、坂本雅子委員、笹月健彦委員、澁谷いづみ委員、 新道幸惠委員、高橋滋委員、多田羅浩三委員、土屋隆委員、富永?ハ民委員、 中村丁次委員、久道茂委員、松本和夫委員、村田昌子委員、渡邊昌委員(20名) ○しろまる厚生労働省出席者 (健康局) 田中健康局長、岡島審議官、瀬上参事官、石井総務課長、 中島生活習慣病対策室長、北地域保健室長、野村保健指導室長 (食品安全部)阿部新開発食品保健対策室長 ○しろまる次第 I 開会 II 議題 (1)地域保健対策検討会中間報告について (2)厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会におけるこれまでの議論の整理につ いて(改訂版) (3)平成17年度「禁煙週間」の実施について (4)「健康食品」について (5)その他 III 閉会 ○しろまる議事 瀬上参事官 おはようございます。定刻より1分ほど早うございますが、御連絡をいただいており ます委員の皆様全員おそろいでございますので、ただいまから第14回厚生科学審議会地 域保健健康増進栄養部会を開催させていただきたいと存じます。本日、テレビ朝日から 取材の申し込みを受けておりますので、部会長の御挨拶をいただくまで取材を入らせて いただきたいと。 さて、政府では地球温暖化防止対策等の観点から、6月1日から9月30日を軽装の励 行期間と定めております。執務中の軽装を励行することとしており、ノーネクタイ、ノ ー上着等の軽装での御出席をお許し願いたいと存じます。御理解のほど、よろしくお願 いします。 それでは、まず新たに御就任いただきました委員の御紹介をいたします。渡邊昌委員 です。独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長でいらっしゃいます。 続いて本日の出欠状況の御報告でございますが、委員定数25名のところ、現在20名の 委員の御出席を得ております。出席過半数を超えております。会議は成立しておりま す。 次に配付資料の確認でございますが、議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1と して「地域保健対策検討会中間報告について」、資料2として「厚生科学審議会地域保 健健康増進栄養部会におけるこれまでの議論の整理(改訂版)」、資料3として「平成 17年度禁煙週間の実施について」、資料4として「健康食品について」を御用意いたし ております。なお、資料4につきましては、前回の部会終了後、委員より事務局に対 し、健康食品の現状等について本部会でも一度御説明をいただきたいとの御意見を承っ たことを受けまして、本日、医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室か ら阿部室長に説明をいただくこととしております。後ほどまいると思いますが、よろし くお願いいたします。 それでは、以後の部会運営につきましては部会長にお願いいたします。 久道部会長 それでは早速、議事を進めたいと思います。まず第1の議題ですが、地域保健対策検 討会中間報告について、北室長より御報告いただきます。 北地域保健室長 それでは説明をさせいただきます。資料1と右側にふってございます。1枚めくって いただきますと、資料1−1となっております。 本地域保健対策検討会につきましては、2月21日の本部会におきましてもすでに御報 告をさせていただいているところでございますが、この資料が検討会設置に当たっての 開催要綱でございます。ページをめくっていただきまして2ページ目でございますが、 地域保健対策検討会委員につきましては、地域における健康危機管理や地域保健計画に 実際に関与されている有識者ということで、13名の先生方にお願いしたところでござい ます。座長には、国立保健医療科学院の林先生にお願いしたところでございます。 資料1−2でございます。地域保健対策検討会の検討経緯でございますが、1月20日 の第1回検討会から4月27日の第3回検討会まで、都合3回の開催をいただきました。 短期間ではございますけれども、精力的な御検討をいただいたものと考えているところ でございます。 めくっていただきまして、資料1−3でございます。この資料につきましては、当検 討会における検討の考え方を整理いたしたものでございまして、この検討会では、左の 枠になりますけれども、阪神・淡路大震災やSARS等の感染症、NBCテロ等の多発 化、多様化する健康危機への対応。(2)でございますが、市町村合併、三位一体の改革 等の地方分権の進展への対応。(3)、民間保健医療サービスの発展、NPO法人等の民 間活動の活発化等に対応する必要があるということ。 右の枠でございますけれども、公衆衛生の新たな潮流といたしまして、世界公衆衛生 研究所長会議等における提言。下の欄でございますが、結核、感染症対策、食品安全、 医療安全等の健康危機管理の検討状況。それから健康フロンティア戦略等の健康増進施 策。医療制度改革等の動き。 これらの動きに併せまして、中央の欄でございますけれども、従来、地域保健対策は 地域保健法及びこの法律に基づきます地域保健の推進に関する基本的な指針により対応 してきたところでございます。実際の仕組みといたしましては、医療計画の一部とし て、任意的記載事項を中心とした地域保健医療計画ということで対応をしてきたところ でございます。今般、社会的状況の変化や制度改革等の動きに併せまして、基本的な考 え方といたしまして、公衆衛生の新たな潮流に即した体制、制度の整備ということで 「(1)健康危機への適切な対応と役割分担を行っていく必要がある。(2)生涯を通じた生 活習慣病対策を推進する必要がある」ということを基本的な考え方に置きまして、主な 検討事項といたしまして2点でございますが、今後の地域保健計画のあり方、健康危機 への対応体制の充実等について検討を行うこととしたものでございます。 1枚めくっていただきまして、資料1−4でございます。これは本検討会の中間報告 の概要版でございます。この概要版に沿って御説明をさせていただきます。我が国の地 域保健対策は、先ほど申し上げましたように地域保健法等に基づき推進されてきたとこ ろでございますが、多様化、高度化してきている国内外の健康危機に対応するととも に、国内外の地域保健に関する新たな潮流に即して地域保健の基盤をゆるぎないものと し、住民の健康と安全を確保するため、健康危機管理対策や生活習慣病対策を担えるだ けの体制や制度の整備が必要となってきているということでございます。 検討事項といたしまして、1点目でございますが、健康危機管理のあり方に関する事 項でございます。健康危機に際しましては、公衆衛生の専門家が現場における最初の対 処者になると。この場合、その初動を担うのは、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、保 健師等の専門技術職員が配置されており、地域の第一線機関である保健所が最も適して いるとの御意見でございます。 ○しろまるの2つ目でございますが、保健所における健康危機管理については、新たな仕組み の確立や権限の付与についての法的検討も含めまして、重大健康危機や医療安全への対 応の充実強化のほか、今後新たに対応すべき課題として、初動時に原因の特定できない 健康危機の事例への対応、生物テロ、虐待、あるいは死亡原因が明らかでなく公衆衛生 上問題のあると考えられる死体の死因調査、災害時の対策等が挙げられております。 ○しろまるの3つ目でございますが、施設の位置付けといたしまして、保健所は現在、おおむ ね二次医療圏に1つずつ程度設置されており、平成16年現在で571か所ございますが、 この保健所が地域における健康危機管理体制の拠点として、地方衛生研究所は技術的・ 専門的支援機関として位置付けを明確にした上で、有事だけでなく平時及び事後の対応 を十分に行えるよう機能強化を図る必要がある、というものでございます。また、今後 はこれまで以上に健康危機管理を業務の核とするべきである、との御意見でございま す。 2つ目の事項でございます。今後の地域保健のあり方に関する事項でございます。○しろまる の1つ目でございますが、地域保健計画につきましては、都道府県が健康危機管理への 対応や健康課題への優先度を明確にし、法律上の位置付けも明確化した計画として策定 する必要がある。また、明示された優先度に応じて、健康課題に対する資源配分の方針 を示すことが地域保健計画の役割である、という御意見でございます。 ○しろまるの2つ目でございます。地域における健康危機管理体制の確保と、地域保健に関す る基盤整備について、公が担うべき公衆衛生上の役割を明らかにする必要がある、とい う御意見でございます。 以上、集約整理いたしまして、○しろまるの3つ目でございますが、基本的な対処方針、体制 の整備などを定めるものとして、健康危機管理計画。(2)、これは関係各法の計画に基 づき記載されることになりますが、大きな健康課題としてクローズアップされてきてい る生活習慣病対策その他の地域保健対策。(3)といたしまして、地域における健康課題 の優先度に応じた資源配分の方針。(4)でございますが、人材の育成・確保等の基盤整 備等が挙げられたところでございます。 ページをめくっていただきまして2ページでございますが、保健所における健康危機 への対応の概要ということで、上の枠につきましては、保健所で対応すべき分野として 12の分野に整理をしていただいたところでございます。 左上でございますけれども、スギヒラタケを原因とする急性脳症の事例もございまし たけれども、これについては感染症法により迅速な対応ができたところでございます。 原因の特定が困難な事例について、このような迅速な対応を行うためには、早急な原因 の解明が必須でございまして、積極的な事例調査を行っていく必要があるということ で、一番上に挙げさせていただいております。 ○しろまるの2つ目でございますが、災害有事・重大健康危機の関連でございます。昨年12月 には、テロの未然防止に関する行動計画が定められ、また武力事態法等の対応に関しま しても、保健所が生物テロ等への対応も必要であるというようなことで期待されてきた ところでございます。また阪神・淡路大震災や台風、津波などの自然災害に対する対応 も必要でございます。 3つ目でございますが、医療安全の分野でございます。従来から医療安全支援センタ ー等で推進をしてきたところでございますが、医療機関での有害事象への対応が必要で あるということでございます。 4つ目が、介護等の安全でございます。施設内感染につきましては、ノロウイルス等 の感染への対応、それから高齢者虐待につきましては、これまで対応の必要性が十分認 識されてきていないというようなこともありまして、法的な位置付けも十分ではござい ませんが、平成17年度からは高齢者虐待ネットワークということで予算化をして進めて いるところでございます。 中央にまいりまして、感染症関係。感染症発生時の初動対応等の対応。 それから結核。精神保健医療。ここでは特に、災害時等の心のケアについても対応が 必要であるというようなことでございます。 それから児童虐待でございますが、従来、児童相談所が中心となって取り組んできた ものでございますが、これにつきましては市町村保健センター等におきましても母子保 健活動の中で早期発見に努めてきたところでございます。これについても今後、重点的 な対応が必要であるということでございます。 右の欄にまいりまして、医薬品の関係。それから食品安全。それから飲料水の安全、 これは茨城県神栖町の井戸水での被害等もございました。こういったものでございま す。最後に生活環境安全。原子力災害、環境汚染等への対応が必要であるということ で、全体で12の分野を整理していただいたところでございます。 下の枠でございますが、平時の対応ということで、一番左に書いてございます。健康 危機への対応をきちんと行うためには、発生した場合の対応は当然のことでございます けれども、平時からの対応が重要であるということでございます。そのためには、情報 収集・分析、これは地域における感染症の発生動向調査、あるいは健康・保健情報の収 集・整理等でございます。それから、非常時に備えた体制の整備も必要でございます。 計画・対応マニュアルの整備、あるいは模擬的な訓練の実施、専門職員の配置などの人 材確保及び資質向上。それからネットワークに関しましては、医師会や医療機関等との 協力も得る必要がございますが、関係機関とのネットワークを十分整備していく必要が ある。それから、予防教育・指導等についても対応が必要である。というようなもので ございます。 中央でございますが、有事の対応ということでございまして、これにつきましては、 指揮・命令系統の確立を図った上で緊急行政介入の判断を早急に行う必要があると。さ らに、地域住民や関係機関への的確な情報の提供等の連絡調整。それから疫学調査に関 するもの、あるいは原因究明にかかわる情報の収集・分析。具体的な対策といたしまし ては、被害拡大の防止、安全の確保、医療提供対策の確保等が掲げられてございます。 右の欄でございますが、事後対応といたしまして、対応が適切であったかどうかとい うことも含め、対応の評価が必要である。さらにこの結果を踏まえまして、対応体制の 再構築が必要であるというようなものでございます。さらにPTSD対策等、事後での 対応が必要になるものもございます。そういったことで整理をいただきました。 3ページでございますが、地域保健計画に関する概要ということで、計画のあり方を 整理いただいたものでございます。左上でございますが、基本的な考え方ということで 3点を掲げてございます。公衆衛生の新たな潮流に即した体制及び制度の整備。地域の 自主性・裁量性の尊重、これは地域特性の反映も含めたものでございます。それから、 到達目標と評価の導入による実効性のある事業展開というものでございます。 下の欄にまいりまして、計画の位置付けでございますが、この計画は都道府県が主体 となって役割を担っていただくということになりますが、計画策定・実施・評価につい ては、先ほど申し上げましたように4つの柱で地域保健計画を策定するということでご ざいます。左のほうでございますが、実施主体が市町村である施策分野もございます。 母子保健、老人保健、健康増進、その他でございますが、これらにつきましては福祉等 の既存計画との調整は当然必要でございますし、都道府県におきましては広域調整、あ るいは評価について計画に反映をしていく必要があるというものでございます。 右のほうにございますが、現在、医療制度改革の一環として、医療計画の見直し等も 進められておりますけれども、医療計画とは一体的な策定が必要であると。さらに、感 染症等の既存計画とも一体的な策定が必要であるということでございます。 右の欄でございますが、これは計画策定の手順等の枠組みを示していただいたもので ございます。過剰死亡とか地域格差、健康弱者の問題等、地域保健に関する現状把握を しっかり行った上で、この報告では主要な健康課題といたしまして、がん等の死亡にか かわる疾患、脳血管疾患等の要介護障害にかかわる疾患、あるいは糖尿病などの医療費 等の経済負担の大きい疾患、あるいは児童虐待など社会的関心の高くなっている疾患等 が整理されているところでございますが、これら主要な健康課題につきまして、疾病負 荷の程度、改善可能性、経済効率、緊急性、住民ニーズ等をも考慮した上で、科学的根 拠に基づいた優先的に取り組むべき課題の抽出を行う必要があると。そして、優先的に 取り組むべき施策を決定し、役割分担の明確化や到達目標の設定、施策の方針、期限等 を明記した上で、具体的な行動計画、体制の確立に努めていただきたいというものでご ざいます。この結果、限りある保健医療資源の中で、地域保健対策を効果的に進め、実 効性のある事業展開を図っていく必要があるという御意見でございます。さらに事後評 価を踏まえまして、国の施策へも反映していく必要があると。国においては、国の役割 として基本指針の策定、計画策定の参考となる健康指標、分析手法の提示等を行ってい く必要がある。というような御意見でございます。 資料1−5でございますが、これは中間報告の本体でございますけれども、きょうは 説明を省略させていただきたいと思います。以上でございます。 久道部会長 どうもありがとうございます。ただいま説明いただきましたことに、皆さんから何か 御意見、御質問ございませんか。石井委員、どうぞ。 石井委員 2点ございまして。地域保健体制の推進に医療との密接な関係が必要であるというこ とは納得できるのですが、そのため医療の計画と一体的に都道府県が保健計画を立てる ことも賛成ですけれども、この報告書では市町村事業に至るまで地域診断から対策の立 案、モニタリング、評価まで、都道府県がきめ細かく実施することになっています。そ の一方、また広域的調整といった表現も見受けられ、矛盾を感じます。 本来、地域保健法の趣旨は、身近なサービスは身近な市町村できめ細かくというもの ですが、そのためにも市町村合併というのは合理的たったはずです。保健所が少ない資 源について広域的調整を行うことは重要だと考えますが、都道府県が母子保健、老人保 健といった基本的なサービスの管理をするなど、時代に逆行しているという印象が否め ません。報告書の本当の論旨はそうではないのかもしれませんが、このままでは都道府 県が統括するような、印象が強い気がします。都道府県と市町村の役割分担がもう少し 明確になったほうがいいのではないかという気がいたしました。 もう1点は、現場の人間は感じていることなのですけれども、地域の健康課題はその 地域に入ってみないとわかりません。課題は生活習慣そのものに根ざすわけですから、 データ分析だけでは地域は見えてこないし、どんなにすばらしい対策を立てても空回り してしまいます。この報告書では、住民の顔が見えないという気がいたします。この報 告書をもとにして地域保健計画が策定されることになると、計画を立てただけで終わっ てしまわないか、都道府県が金太郎あめのような計画を立てるのではないかという気が します。 特に25ページの「その他」のところの下の4行目ですが、「都道府県は、住民が地域 の健康課題を理解し、その解決に向けてなすべきことを共に考え、施策の必要性とあり 方を共有できるよう、健康課題の原因究明等の段階において、インターネット等を活用 し、計画策定の過程で住民の意見を反映させる」とあるのですけれども、都道府県レベ ルでインターネットを使って住民協働が可能なのでしょうか。健康課題は地域の中で、 地域住民とともに抽出するプロセスこそが重要なのではないかという気がいたしており ます。以上です。 久道部会長 はい。2点質問。はい、どうぞ。 瀬上参事官 第1点目につきましては、広域の意見調整を考えるということについての問題意識だ と理解しておりますが、市町村合併なども進んでいる一方で、必ずしもまだ合併等に至 っていない小規模の市町村も共存している、そういう時代でございます。二次医療圏と いう1つの広域生活圏に位置付けられております保健所の持つそういう調整能力という のに、まだ期待をしていきたいところもございます。さりとて、医療計画等の他の計画 との総合調整もしていく必要があります。一体的に計画を策定していかなければならな いという点で、都道府県でこうした計画策定の事務を遂行することについては、これは 都道府県にやってもらわなければならない仕事と理解しております。 その都道府県が行うときに、私どもでは現に市町村に移っているさまざまな仕事を改 めて都道府県で統括管理するということではなく、24ページから25ページの評価に関す る領域に関して記されておりますが、市町村の行っている事業についてもそのデータ分 析や、問題点を抽出する、あるいは実際に行われている状況をモニタリングするなどを 通じた評価をして、そしてあるべき方向性というのを明示していくことが必要である と、このように考えているところです。 第2点も、計画策定の方法論の中でどのように住民の考え方などを取り組んでいくか という点についての御指摘だと思います。具体論として25ページに書かれておりますイ ンターネット等を活用するというのは、必ずしも従前の審議会等だけ、あるいは協議会 等だけによる専門家の意見の聴取ということだけではなく、幅広く県民の方々の意見を 聞く方策を検討していただきたいという趣旨で、インターネット等の活用ということが 書かれたのだと思います。 委員御指摘の、「状況を実際に見るなどの方法を通じて」ということも御意見の中に 含まれていると思いますが、この健康課題の抽出、これは科学的な方法で抽出するわけ でございますけれども、そうした抽出の過程での議論の中で、すでにそれぞれの地域で 行われている事業などの状況についても十分に検討していただく中で、そうした現場に 即した情報収集というのは可能ではなかろうかと思っているところです。よろしくお願 いします。 久道部会長 石井委員、よろしいですか。 石井委員 最後におっしゃったそのところがもう少し反映するというか、この報告書の中に盛り 込まれるといいと思いました。以上です。ありがとうございました。 瀬上参事官 どうもありがとうございます。 久道部会長 今、松本委員でしたか。どうぞ。 松本委員 市町村の立場で申し上げたいのですが。市町村というのは、非常に保健所にお世話に なっております。そして、我々といたしましても、何とか早期発見、あるいは早期治療 ということで、介護の問題にいたしましても、また寝たきり問題にいたしましても、何 とか少なくするように努力をしているところでございます。それで、食生活改善事業と か、あるいは生活習慣改善事業などを取り入れながらやっているのですが、何か疑問が あったらすぐ保健所に相談、指導を受けているわけですが、今、説明を聞いておりまし て、非常に危機管理に重点を置かれたというような感じを受けたわけです。我々といた しましては、これと並行しながら住民の健康づくりにも配慮をした施策をお願いしたい という気持ちで、今説明を聞いたところでございます。よろしくお願いします。 久道部会長 はい、どうぞ。 渋谷委員 ただいま、市町村の支援もということで御意見をいただきましたが、もちろんこれ は、健康危機管理という視点から考えても、平常時の様々な健康対策ということは非常 に重要なことだと考えております。それから、ただいま御説明がございましたように、 保健所を健康危機管理の拠点として、現在も一定の機能を果たしているわけですが、例 えば食品、食中毒とか、あるいは感染症といったような個別の法律で対応ができない問 題というのが、このごろぽつぽつ出てくるわけです。 そういったときに、権限等が制度として整備をされていないと、大変動きづらいとい うことがございます。ここに書かれているような、こういった健康危機管理体制を強化 していくためには、そういった制度の整備と、もう1つは公衆衛生医師あるいは専門家 を確保していくということも、並行して非常に大事なことではないかというふうに思っ ております。これはそれぞれの自治体の努力ということももちろんあるわけですが、公 衆衛生にかかわる大学教育というあたりにも目を向けていただけたらいいのかと思いま す。 それから、この中にあります医療安全の分野というのがございます。これは保健所の 危機管理の点からしても、今後も非常に重要な分野だというふうに考えております。刑 事とか民事とかの観点ではなく、保健所が公衆衛生の視点ということで介していくこと が、今、非常に大きい意味があるだろうと思っております。ですので、これはまだ中間 報告という形でございますけれども、方向性としてはそんなに間違ってはいない御指摘 かと考えております。ただ、この様に保健所が変わっていくためには、まだ整備をしな ければいけない問題がたくさんあるというふうには感じております。以上です。 久道部会長 はい。ほかにございませんか。はい、どうぞ。 木村委員 進行管理のことで、資料1−3のところで、真ん中に「生命・健康の安全・安心の確 保」ということで、「従来の地域保健対策」という2つ目のポチに「医療計画の一部と して、任意的記載事項を中心とした地域保健医療計画」があって、これからは、一番下 に「今後の地域保健計画(仮称)のあり方」と書いてあるのですけれども、確か社会保 障審議会の医療部会の中で、医療計画の報告というのを今審議中であると思いますけれ ども、そのことと、それがほぼ決まると同時にこの地域保健計画、仮称であるでしょう けれども、これが同時に都道府県とか市町村でセットアップされて、一緒に走っていく というイメージでいいですか。 久道部会長 はい、どうぞ。 瀬上参事官 現在、御指摘のとおり、医療計画についても再評価をしている段階であります。その 方向性については、行政側の考え方がすべて示されて、委員の皆様からの御意見で検討 が先に進んでいると、こういう段階かと思います。これまでの制度では、医療法に基づ きまして、地域医療計画が法定の事項として制度的に定められているわけであります が、その医療計画を策定するに当たって、任意的な記載事項として地域保健に関する計 画を定めていくのが望ましいとされてきたところでありますが、そういう意味で「地域 保健医療計画」という表現になっております。 しかしながら、その保健計画部分についての制度的位置付けがあいまいであるという こと、それがここの御指摘いただいた資料1−3で、よって明確な位置付けをしようと いうことを、見直しの必要として指摘されたということであります。今後ということで ありますが、次のこの内容に関して指摘しております、報告書の次のページの3ページ にありますように、計画策定の枠組みとして、都道府県の今後の役割ということで、 「この地域保健計画の計画策定は医療計画、感染症等の既存計画と一体的に策定する。 そして実施主体が都道府県である施策分野について、地域保健計画として検討をする」 と記載をするということであります。それに、左側の広域調整・評価が必要な実施主体 が市町村である施策分野についても配慮し、その情報に基づいてこの地域保健計画の中 に必要なことを記載していくことと、そういう趣旨で書かれております。 よって、策定の枠組みは、これまでの保健計画も含む地域保健医療計画をつくってお られる都道府県にとりましては、策定する手順その他は全く変わらないと。動いていた だけるのではなかろうかと考えております。 久道部会長 どうぞ、はい。 木村委員 今の説明からすると、2つつくるわけではないんですよね。医療計画は「一体的に」 だから、中に含まれるということになるんですか。それとも2つ、医療計画と今の、仮 称であるでしょうけれど地域保健計画、2つつくるということですか。手順は変わらな いのは理解したんですけれども。 久道部会長 はい、どうぞ。 瀬上参事官 制度的枠組みとして、地域保健計画というのを定めます。策定の手順としては、一体 的につくっていただきたい。都道府県の実情により、両方が渾然一体となった形で、地 域医療計画でもあり地域保健計画でもある地域保健医療計画というのを定めることにつ いて、何ら口をはさむものではありません。 石井総務課長 部会長、よろしゅうございますか。 久道部会長 はい、どうぞ。 石井総務課長 木村委員からのお尋ねに対して、私どもの参事官からお答え申し上げたわけですが、 先ほど来、何人もの先生方から中間報告についての御指摘をいただいております。ま た、この中間報告は、いろんな多岐にわたる御提言をいただいたものですので、木村委 員からは制度面でのお尋ねだと思いますが、これらを制度面でどういうふうに受け止め ていくかということは、正直申し上げて、これからまだまだずっと詰めの作業が必要で あると考えております。 ですから、今のお尋ねが、医療計画の制度と、それから地域保健計画の制度で、これ は1つなのかどうなのかという、そこにポイントを置いてのお尋ねであれば、まだまだ 詰めの作業をこれからさせていただきたいということでございます。 木村委員 わかりました。 久道部会長 はい、どうぞ。 新道委員 少し議論を前に戻してしまうかもしれないのですが、一番最初に石井委員がおっしゃ いましたように、1ページ目にございます健康危機管理体制の構築のところで、最初の 対処者は、いわゆる初動を担うのは保健所というふうに書いてございますが、やはり大 規模災害にしても、そして虐待等にいたしましても、住民の身近にいる市町村の保健関 係者が発見したり対応することが多いと思います。それと、特に市町村合併等々が行わ れておりますけれども、保健所がすべてのところに速やかに、身近な対処者のところに 行くというのはかなり限界があるのではないかと思います。 ですから、むしろこのようにすることは後退することに。緊急対応が難しくなるので はないかと思います。ですから、市町村との関係をこの中に明記してほしいというふう に思っております。 久道部会長 今の新道委員の意見に何か? はい、どうぞ。 瀬上参事官 御指摘いただきましたことは報告書の13ページから15ページにかけて、市町村の位置 付けについて記載されております。13ページから14ページは、むしろ国、都道府県及び 保健所を中心としたこの危機管理体制の構築に関して、そして15ページの(3)で、市町村 保健センター等における位置付けが書いてあると認識しております。 今まで市町村保健センターの健康危機管理体制については、位置付けがはっきりして いなかったところでございますが、地震等の災害に際しての市町村保健センターの役割 の大きさ、あるいは新道委員ただいま御指摘いただきました虐待問題等での情報収集に おける市町村の役割等、こういうことをかんがみますと、市町村保健センターを健康危 機管理体制の中の情報収集という点で関与をしていただくことがふさわしいのではない かというのが、この報告書の位置付けと考えております。 久道委員 はい、どうぞ。 新道委員 今の御説明は理解できました。しかし、初動の責任者を保健所だけにするのではな く、やはり市町村にも置くことが必要なのではないかというふうに思っておりますが。 私もこの中間報告書は今朝いただいたばかりで十分読んでおりませんので、見逃しがあ るかもしれませんけれども、私といたしましては、この最初のところの初動の責任者と して、保健所だけが明記されていることに多少の不安を感じます。 久道部会長 はい。それは特にいいですか。はい、御意見として。 ほかにはございませんか。はい、どうぞ。 坂本委員 今までの意見に関してさらに追加して申し上げます。主な検討課題に関しまして、先 ほど来いろいろ意見がありましたように、市町村との関係性というのでしょうか、それ がすべての検討の柱になるのではないかと思います。 前に保健所法から地域保健法に変わったときに、その辺のことを十分整理しなかった のではないかと思います。今回、再度、地域保健法という形で見直されるという。この 間市町村のほうに身近ないろんな業務が下りていっている、それから健康危機管理まで も市町村の役割というのが大きくなってきているという。このような中で保健所と市町 村との関係性というのは、すべての事業できちっと役割分担を含めましてやっていくか どうかということが、検討課題の柱になるのではないかと思います。 久道部会長 はい。今のは御意見でよろしいですね。 坂本委員 はい。 久道部会長 ほかにはございませんか。どうぞ、高橋委員。 高橋委員 法律的な観点からお聞きしたいのですが。まだ詰まっていないということで、これか らの検討課題だと思いますが、これは法定計画にする可能性があるのかどうかというこ とと、実際上こういう形で任意にやっているということで、いろいろやられているとい うことだと、ある意味では実際の都道府県にお願いする場合も、かなり法的な根拠とし ては限界があるのではないかというようなこともあります。ただ、逆に法定にすると、 市町村との関係できちんとした意見聴取とか反映の整合性に関するいろいろな措置もと らなければいけないということで、いろいろ問題があると思いますが、その辺につい て、ちょっと御展望をお聞かせいただければと思います。 久道部会長 では、石井課長。 石井総務課長 今回、検討会からいただいた中間報告では、先ほど室長から説明した中にもありまし たように「法律上の位置付けも明確化された計画として」という御提言をいただいてお ります。したがいまして、今お尋ねがありましたような法定計画を目指すのかというこ とも、私どもの検討課題であると思います。 ただ、先ほども申し上げたわけですが、今回の中間報告の中には盛りだくさんな提言 がありますし、あるいは、本日も先生方からいろんな御意見をいただいておりますの で、これらの内容面での検討・整理をした上で、では、それを今度はどこに根拠を置く のかということで、法律に位置付けるのか、あるいはそれ以外のものにするのかという 手順での検討になると思います。検討会から法律上の位置付けの明確化について宿題を いただいたことは認識しておりますけれども、それをどうこなしていけるのか、今後の 検討の状況によるということでございます。 高橋委員 はい、わかりました。 久道部会長 それでは、この議題はこのくらいにいたしまして、次に進みます。議題(2)の「厚 生科学審議会地域保健健康増進栄養部会におけるこれまでの議論の整理について(改訂 版)」、それと議題(3)の「平成17年度禁煙週間の実施について」の説明を一括し て、中島室長からお願いします。 中島生活習慣病対策室長 生活習慣病対策室長でございます。お手元にお配りしております資料2と資料3を一 括して説明を申し上げます。 資料2でございます。本部会におけるこれまでの議論の整理(改訂版)という形で配 付をしておりますが、1枚おめくりをいただけますでしょうか。この議論の整理につき ましては、前回も提示いたしたところでございます。昨年10月に本部会の御議論を再開 していただいて以来、ここに示しておりますように、一次予防、二次予防、そしてそれ らを支える国、県、市町村、医療保険者等の役割、推進体制という形で、まず一巡目と いうことで御議論をいただいて、そこで委員の先生方からいただいた御意見を整理し、 論点整理といった形で前回提示申し上げたところでございます。 これに対しまして前回、「こういう形で文言を直したほうがいいのではないか」、 「こういうことをはっきり明記したらいいのではないか」という御意見もいただきまし たし、さらには前回、たばこ対策について御議論をいただいたときに、前回の論点整理 では含まれていなかった多くの御意見をいただいたところでございます。したがいまい て、前回提示申し上げたこの議論の整理に対し、前回いただいた修正意見、さらには、 たばこについていただいた御意見を新たに追加修正をさせていただいて、前回御意見を いただいた委員には事前にすでにお目通しをいただいて御了解を得ているわけでござい ますけれども、今回、改訂版という形で改めて整理をし直して提示申し上げるというこ とでございます。 前回のところと変わった部分につきましてのみ説明を申し上げますが、6ページでご ざいます。たばこ対策につきましては前回、健康日本21のたばこに関する直近実績値 の評価の御議論もありましたものですから、多くの御意見を寄せていただいておりま す。一番右の欄でございますが、2つ目の○しろまる、アンダーラインを入れてございますが、 「今回の健康日本21の見直しでは、喫煙率の低下目標といったものを書き込むべきで はないか」という御意見。さらには3つ目、「未成年者の喫煙率をゼロという目標の達 成には、たばこの自販機規制、将来的には撤去する方向で考えるべきではないか」とい った御意見。 それから受動喫煙防止については、大幅に取り組みは進んでいるが、残念ながら中央 省庁自ら、さらには飲食店での取り組みが弱いのではないかといった御意見。それから 1つ飛ばして「たばこ価格」と書いているところですが、たばこ税と言うことととも に、たばこの価格といったものを引き上げることが、未成年喫煙防止には効果が高い し、たばこ価格の上昇によって増える税収を健康づくり対策に活用すべきではないかと いった御意見をいただきまして、真ん中の欄のような形の論点整理といった形で整理し 直させていただいたというところでございます。 6ページは以上でございまして、14ページでございます。生活習慣病対策等の推進体 制ということにつきましては、一番右の欄の2つ目の○しろまるでございます。保健所の役割と いったものが必ずしも明確ではないという御指摘をいただきましたものですから、「都 道府県や保健所は」という形で、これまでは「都道府県は保健所等を通じ」という文言 を、保健所の主体性といったものを明確にし、市町村計画の策定を支援すべきだという 形に直させていただきました。 また、15ページでございます。「市町村、医療保険者等による保健事業の実施」の一 番右の欄の下から2つ目。保健師及び管理栄養士等の配置、活用といったことととも に、そのほかにも「運動施策という観点からは、健康運動指導士等の人材を市町村に積 極的に配置すべきではないか」という御意見をいただきましたので、明記をさせていた だいたということでございます。 以上のような追加、修正をさせていただいて、改めまして改訂版として提出を申し上 げるということでございます。資料2につきましては以上でございます。 資料3でございます。実はこの5月31日から1週間、禁煙週間ということになってお りますものですから、たばこ枠組み条約が発効したあと最初の禁煙週間ということでご ざいますので、この場を借りまして禁煙週間を中心としたたばこ対策の状況について御 説明をしたいということで、用意をさせていただきました。 資料3、表紙をめくっていただきまして、「平成17年度禁煙週間の実施について」と いうことです。最初の3行でございます。毎年5月31日はWHOが定める世界禁煙デー となっております。当省といたしましては、平成4年から、この世界禁煙デーからの1 週間を禁煙週間ということで、重点的な施策の取り組みを自ら、さらには関係方面にお 願いをしておるところでございます。禁煙週間のテーマ、これは毎年WHOのほうから 各国に提示をされるわけですが、本年は「たばこ規制における保健医療専門家の役割」 という形のテーマが示されておりますので、これを踏まえまして、我が国におきまして も保健医療関係者、具体的には医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会等の御協力を 得て、普及啓発策等を積極的に講じていくということとしておるところでございます。 この禁煙週間における主な実施事項というのが3ということでございまして、その一 番上、「世界禁煙デー記念シンポジウムの開催」ということでございます。これは5月 31日の火曜日に開催をさせていただきましたが、ページをおめくりいただいた3ページ でございます。別紙1ということで、シンポジウムの概要を配付させていただいており ます。本年度のテーマが「保健医療専門家の役割」ということでございますので、下の ほうのプログラムの14時40分からのところでございますが、パネル討論ということで、 「保健医療専門家とたばこ規制」ということで、医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護 協会の先生方からプレゼンテーションをいただいて、御議論をいただいたということで ございます。座長は富永先生にお願いをいたしまして、本部会の委員の先生でおられま す、土屋先生、石井先生、木村先生にもプレゼンテーションをしていただいたというこ とでございます。 その中で4ページでございますが、パネル討論において決議文を作成し公表すべきで はないかという富永座長からの御提案がありまして取りまとめられた決議文というのを 4ページに掲載させていただいております。1から4の事項について、まず政府に対し て要求をしたいということでございます。1は、「健康日本21において喫煙率低下目 標の設定」ということでございます。2つ目には、「未成年者喫煙防止対策としての自 販機の将来的撤去、その規制の段階的強化」ということでございます。3つ目は、「公 共の場及び職場における受動喫煙防止対策の徹底」ということ。それから4つ目に、 「たばこ価格の引き上げとそれにより増加した税収の健康づくり施策への活用」といっ たことでございます。 それとともに、下のほうでございますが、保健医療関係団体としてもそれぞれのたば こ対策の取り組みを一段と強め、十分に連携していくということも、併せて御決議をい ただいたということを、報告を申し上げます。 1ページに戻っていただけますでしょうか。3の「主要な実施事項」のところの2つ 目の○しろまるでございます。厚生労働大臣メッセージの発表ということで、この5月31日のシ ンポジウムにおいて厚生労働大臣メッセージを発表させていただきますとともに、3つ 目、世界禁煙デーへの協力についてということで、この世界禁煙デーにちなんで、閣議 におきまして私どもの大臣のほうより関係全大臣に対しまして、未成年者の喫煙防止な り受動喫煙防止対策といったこと等を中心に、各省においても積極的な取り組みをして いただきたいということの発言をいただいたということでございます。 それから、4つ目の○しろまるでございます禁煙週間実施要綱ということでございます。改め て、関係する省庁、さらには地方自治体等に対しまして、「たばこ対策についての理解 と協力を求める」という通知を発出させていただいたところでございます。 5ページでございます。実施要綱ということで、関係省庁、地方自治体等に発出いた しました内容でございます。2の「趣旨」のところの一番下の部分でございますが、と りわけ本年、各省庁、さらには自治体においてたばこ対策をやっていただくについて は、WHOのテーマにも即す形で、保健医療関係者の協力を得るということを1つの特 徴として進めていただければありがたいということをお願いいたしたところでございま す。 6ページでございます。この禁煙週間中にということで、まず(1)、我が厚生労働 省における取組みということで、とりわけイのところでございます。未成年者の喫煙防 止対策ということにつきましては、警察庁及び文部科学省に対し、特に協力の要請をさ せていただく。さらにはウ、公共の場、職場における受動喫煙防止対策については、関 係省庁、さらには関係省庁を通じた関係機関に対し、受動喫煙防止対策の取り組みの協 力を要請したということでございます。 (2)、地方自治体に対しての取組みのお願いということでは、3行目でございます が、保健医療関係者等と積極的に連携を図ったたばこ対策をやっていただきたいという ことで、イのところでございますが、未成年者に関しましては、地方における自治体の 教育委員会、さらには警察の協力を得た形での取組みをお願いしたいということと、7 ページでございます、受動喫煙防止対策につきましては、3つ目の黒ポツでございます が、受動喫煙対策が遅れている飲食店、娯楽施設等を対象にした講習会とか個別指導等 をやっていただきたい。さらには、医療保険者とか事業所における保険事業等の担当者 の協力を得て、職場においても受動喫煙防止対策の取組みを推進してもらいたいという ことをお願いしたところでございます。 もとのページに戻りまして、2ページでございます。そうしたことをお願いするとと もに、正面のところの両脇に貼らせていただくとともに、別添3という形で一番最後に つけさせていただいていますが、ポスターといったものを5万部刷らせていただきまし て、配付をし、各省庁、自治体、保健所、医療機関等々のところで掲示をしていただく ようにお願いもしたところでございます。以上、本年度の禁煙週間における取組み状況 について説明を申し上げました。以上です。 久道部会長 はい。どうもありがとうございました。この部会でかなりいろいろと、数回にわたっ て議論してまいりましたこの改訂版、これまでの議論として一次予防施策、これは健康 日本21の中間評価作業を踏まえてということですが、二次予防施策、それから推進体 制についてということで、まとめて議論してまいりました。そろそろまとめる時期が来 ているわけですが、先ほど説明がありましたように、これまでの議論を踏まえて整理 し、それから前回もいろいろ、ここの委員の先生方から出た項目については、やり取り をしながらまとめたものということで、ただいま報告がありました。 いかがでしょうか。ただいまの説明、それからあとの2番目の禁煙週間に関するいろ いろな計画のお話がありました。御質問あるいは御意見ございませんか。はい、どう ぞ。 富永委員 特にたばこ対策につきまして、発言したいと思います。世界禁煙デー記念シンポジウ ムのことなどにつきまして、生活習慣病対策室長さんから詳しく御説明いただいており ますので、追加することはないのでございますけれども、資料3の3ページに世界禁煙 デー記念シンポジウムのプログラムが示されております。ここで皆さんに御紹介したい のは、このプログラムで岐阜大学大学院医学研究科の藤原教授が、たばこ規制における 保健医療専門家の役割ということで講演されました。藤原教授は御承知のように9学会 のまとめ役をされておりまして、先日も新幹線全面禁煙を申し入れて断られたというよ うな記事が出ておりましたけれど。 この先生の講演の中で、2点だけ御紹介したいと思いますけれど、1点は、最近は分 煙対策、受動喫煙対策が大変進んでいるけれども、厚生労働省の入っている合同庁舎な どは完全禁煙にすべきではないかという御指摘がございました。もう1点は、たばこと いうのは個人の嗜好とも見なされておりますけれども、やはり喫煙病というふうに見な すべきであると。それは2つの要素がありまして、ニコチンによる依存性プラスたばこ を吸うことによっていろいろの健康被害が生ずる。喫煙病だから、喫煙病は医療機関で 治療をするに値する。つまり、医療として保健適用すべきだという意見が出されまし た。 それから最後に御紹介いただきました決議文でございますけれども、これはこの部会 でもたびたび議論していることの中で、特に重要と考えられる4点に絞って提案をさせ ていただきました。 これは4ページに出ておりますように、この4点に絞ったのですけれども、最後にこ れを参加者におはかりしましたあとで出された御意見としましては、これに禁煙タクシ ーを大幅に増加することも加えてほしいというような発言がございました。これは3番 目に公共の場及び職場における受動喫煙防止対策を徹底することの中に公共の場のほ か、公共交通機関、一般的に非常に分煙対策は進んでおりますけれども、そこでタクシ ーなども公共交通機関と思われますので、そこへ盛り込めばよいと思います。それから 飲食店、特に地方の飲食店での分煙対策が非常に遅れておりますので、これは先ほどの 主要議論のまとめのところにもきちんと書かれておりますので、飲食店を特に重要なと ころへ絞り込んで集約を行えばいいのではないかと思われます。 特に今年度は、御承知のようにWHO世界禁煙デーの主要テーマが「たばこ規制にお ける保健医療専門家の役割」ということでしたので、日本医師会をはじめ4団体に御参 加いただきました。国民医療推進会議などでも、よく似たことが決議されておるそうで ございますので、今年はたばこ規制枠組み条約が発効した年でもございますので、いよ いよこれからたばこ対策に力を入れるべきではないかと思いました。以上です。 久道部会長 はい。どうもありがとうございます。先生、この決議文はもうどこかに提出したんで すか。 富永委員 提出ではないのですけれども、5月31日に最後にこれを私が提案しまして、これは日 本医師会をはじめ4団体も全面的に御賛同いただいておりますので、提案しまして、禁 煙デーの参加者には全員に配布しております。ですからきょう、改めてまたこの場で も、こういうことを決議しましたので、ということを御紹介しておりますけれど。 久道部会長 特に大臣にこの決議文を持っていくということは、予定されていないんですか。 富永委員 いいえ。それもきちんと届くようにしたいと思っていますけれども。 久道部会長 ああ、そうですか。はい。 富永委員 関係省庁連絡会議なども開かれておりますので。ここに書いてあることは、到底厚労 省だけでは対応できないと思います。文部科学省とか財務省とかいろいろ、関係機関が 協力しないとできませんので、そのような場で、こういう保健医療団体から決議文が出 されていたということを御紹介いただけると非常にありがたいです。 久道部会長 関連でほかにございませんか。はい、どうぞ。 多田羅委員 10ページでございますが、このがん受診率の地域格差ということについて、私、一度 発言させていただいたのですけれども。 久道部会長 資料2ですか。 多田羅委員 ああ、すみません。資料2の10ページでございます。がんのところの、がん検診受診 率の地域格差についてでございます。見せていただいた資料でも、相当な地域格差があ り、地方分権、権限委譲というようなことの中で、最大危惧されることは、このような 地域格差の出現でございます。その点について、この論点のところでは挙げていただい ているのですが、具体的な方向について、やはりこの状態に対してどのようなことを取 り組むべきなのかというのが、意見として記載いただければありがたいと思います。 私自身、具体的な提言までは御意見を挙げることはできませんでしたので、ここに挙 げられていないのですけれども、制度化への徹底が必要というところを挙げていただい ているのですけれども、この受診率の地域格差に対して、地方分権の中で一定のそれぞ れの地域の実施体制というのは尊重すべきであると思いますが、やはり一定のレベルと いいますか受診率に達していないところについては、全国的な立場から、研修会を開く とか、あるいはヒアリングを行うとか、一定の手はずというものを具体的に考えていた だきたいと思います。もちろん、地方分権、権限委譲という中で、やり方が難しいこと はわかるのですけれども、あまりにも格差が大きい。そうした格差に対して、厚生労働 省がどのように考えていただけるのかということは、具体的な方策を意見の中で入れて いただきたいと思う次第です。 久道部会長 はい、どうぞ。 中島生活習慣病対策室長 多田羅先生からの御意見で、おっしゃるとおりでございますが、このがん検診の受診 率等の地域格差の是正に向けてどのようにしていくのかということにつきましては、実 は14ページ以降の推進体制のところを含めて書かせていただいているというつもりでお ります。 例えば14ページのところの真ん中の欄、黒ポツの下から2つ目でございますけれど も、地域職域連携のところで、未受信者把握、事後指導の徹底のところで、「市町村医 療保険者等の関係者がきちっと協議をした形で、計画に明記をして進めていくべきでは ないか」といったような論点も書かせていただいておりまして。今、先生が御指摘いた だいた受診率の向上というのは検診体制をどう組むかという、まさにハイリスクアプロ ーチの基本的な部分でございますので、この論点整理でも推進体制のところで、そうい う問題認識のもとにこういう記述を展開させていただいているということでございま す。 久道部会長 はい、富永委員。 富永委員 多田羅委員の御指摘のがん検診の受診率向上の部分ですけれども、これは最後に生活 習慣病対策室長さんが御指摘のようなところも、こういうところも必要なのですけれど も、実態としまして、市町村により差があるのですけれども、市町村によりましては、 国と市町村ががん検診の補助金を出しておりますので、補助金の予算が決まっておりま して、それが最近、地方自治体の財政状況が非常に苦しいものですから、前年度と同じ にしてしまうとか、ほんのわずかしかふやさないということで枠がはめられてしまって おりまして、なかなかうまく受診者をふやすことができないんです。市町村によりまし ては、枠を撤廃するところもありますけれど、大部分のところはまだ補助金の額に縛ら れているのが現状です。 ですから、これを打破するには、やはりアメリカでやっているように保険適用すると かにしてしまって、補助金を一定の枠を定めてがん検診を医療のほうに組み込んだほう が、ずっと大幅に受診者はふえるのではないかと思います。 久道部会長 それは今、盛られていますか。特に? 中島生活習慣病対策室長 そのところは、実は「医療保険者の役割」というところで。まず14ページのところを ごらんいただければ、再度でございますが、右の欄の一番下、「がん検診の都道府県格 差などを見ると、地方分権とばかり言っていられないのではないか」といった御意見が あるということと、それから医療保険者の役割をより強化していくという御意見もいた だいておりますので、それを論点の中に書き加えさせていただいていると。もう少しお 時間をください。今、探してみますが、書かせていただいておるつもりでございます。 久道部会長 それではその間。はい、どうぞ。 松本委員 また市町村の立場で、ちょっと関連がございますので、申し上げたいと思います。実 は前々回と前回、欠席しておりまして、本当に申しわけなく思っているわけですが、ざ っと見まして、これまでの議論の整理は、よくできているのではないかというような感 じを持っております。 特に今、たばこの関係、それからがん関係も出てきたわけでございますが、ある程度 いいのではないかというような感じがするわけですが、繰り返し申し上げますと、今ち ょっと関連がございますが、検診、あるいは保健指導という住民の健康づくりのための 施策、これをもう一度見直しをしていただいて、より充実させるという意味で、実は対 象者の把握が町村で難しい点もあるわけです。そういうこと等も考えて、実は今、医療 保険者の話なんかも出てきたわけですが、医療保険者にも保健事業に積極的に取り組ん でいただきたいという気持ちがございます。それで都道府県が中心となって、市町村や 医療保険者の役割の分担、あるいは連携、これをしていただくのが重要ではないかとい うような感じを持っております。 こういうことから、都道府県が策定しておりますところの健康増進計画の内容を充実 をされることが必要ではないかと思います。それには、国において、健康増進計画を充 実させるためのガイドラインを策定し、これを示していただけばありがたいという感じ を持っております。そういうことで、お願いとして申し上げておきます。 久道部会長 はい、どうぞ。 中島生活習慣病対策室長 先ほどの宿題となっておりました15ページでございます。15ページの真ん中の欄でご ざいますが、「市町村と医療保険者等の役割分担と連携方策を明らかにしつつ、医療保 険者がより積極的に保健事業を推進していくべき」だと。それから一番右の欄の一番下 でございます。「明らかにエビデンスのある健診項目については、医療保険の中に包含 していく必要があるのではないか。介護保険では先行して介護予防を給付の対象として いる。自治体での事業展開には限界があるし、医療保険に組み込むことで全国展開も可 能になる」のではないかという形で、この論点整理に盛り込ませていただいておるとこ ろでございます。 久道部会長 はい。富永委員、これ、いいですね。 富永委員 大満足です。 久道委員 ほかにはございませんか。はい、坂本委員。 坂本委員 介護予防という件なのですけれども、この健康日本21のあとで、老健法とそれから 介護保険法の見直しの中で、介護予防という考え方が出てきたと思います。今後の健康 日本21の中では、介護予防との関連性がいまいち見えないような気がするんです。と 申しますのは、私ども「福岡市健康づくりセンター」では、介護予防事業として介護保 険施設に運動指導士が出かけていく事業をモデル的にやっておりまして、一次予防、二 次予防から介護予防の部分までが健康づくりに入ってきているというのを実感しており ますので。この議論の中での介護予防の位置付けは、いまいちわからないのですが。 久道委員 はい、どうぞ。 中島生活習慣病対策室長 今、坂本委員からのお話は、我々事務局としても十分認識しておるところでございま して、生活習慣病から介護予防という流れがあると。それで現在、健康日本21の中間 評価作業を進めておりますが、その中間評価をしていく中で、今御指摘のような新たに 介護予防といったものがクローズアップされてくるということもありますので、健康日 本21において介護予防をどう位置付けるのか。そのための例えば目標値といったもの が、もしふさわしいものがあれば、例えば運動面等でそういうようなものがあるのであ れば、それは今後の健康日本21の中間評価の作業の中で御議論をいただいて、本部会 でも大いに御審議いただいたという形で考えております。今御指摘のような方法で中間 評価の作業も進めていければと思っております。 久道部会長 したがって、本部会の改訂版の議論のまとめには、今回は触れないと。 中島生活習慣病対策室長 実は、これは本部会のあれですが、これまでの議論の整理というのは、とりあえず一 次予防、二次予防、推進体制を一通り御議論いただいたということでございまして、部 会として対外的に御公表いただくような見解というのは、実はこの夏ぐらいに、二巡目 の議論を踏まえたあとでお示しいただければと思っておりますので。この議論の整理と いったものが直ちに本部会としての正式見解であり、というものではございません。そ ういうものはこの夏にということですから、とりあえず一巡目の議論が終わったという ことで、仮に整理をさせていただいたという位置付けでございます。 久道部会長 では、坂本委員、そういう理解でいいですね。ほかに? それではどうぞ。 北村委員 ちょっと個人的興味的な質問かもしれませんけれども、たばこの2ページに厚生労働 省の......。 久道部会長 資料3ですか。 北村委員 資料3です。禁煙週間に向けての行動をとっておられるというのが2ページに書いて ございますが、厚生労働省の職員の喫煙率というのは調べておられるのか。他省庁と比 較して、率先してその率が低いのか。あるいはそういう厚生労働省として各省庁に比較 してベストの禁煙率を誇るということを示してゆきたいという姿勢があるかどう考えて いるか。ちょっと興味的であれですけれども、教えていただければと。 久道部会長 ちょっとそれでは、お願いします。 瀬上参事官 大変痛いところを突かれたわけでございます。なかなか職員のそうした問題につい て、微妙なところもあり、職員として調査をしてきておりませんが、ただいま御指摘を 受けて、今後検討してまいりたいと思います。また、省庁連絡会議でも、そうした指摘 について紹介して、各省庁の取組みについても監視をしてまいりたいと存じます。 久道部会長 はい。ぜひ私からも、やっていただければと思います。それでは次の議題のこともあ りますので、この議題(2)の本部会における議論の整理でございますが、本日の議論 も踏まえまして、それほど調整は必要ではないかと思いますけれども、議論のあった委 員には個別に調整をさせていただいた上で、まとめていきたいと思います。取りまとめ につきましては、文言のちょっとしたところなどについては、私に一任させていただけ ればありがたいと思いますが、よろしいでしょうか。 坂本委員 はい。 久道部会長 はい。どうもありがとうございました。それでは最後の議題、4番目ですが、「健康 食品について」の説明を阿部室長よりお願いします。 阿部新開発食品保健対策室長 食品安全部新開発食品保健対策室長の阿部でございます。本日は私どもの担当してお ります健康食品につきまして、説明させていただく機会を設けていただきましたことに 感謝申し上げたいと思います。きょう、まだあまりお詳しくない方もいらっしゃるとも お伺いしておりますので、基本的なところとか、最近の動きなどにつきまして、簡単に 御報告させていただければと思います。資料4と、それから「健康食品の制度が見直さ れました」というチラシ1枚、こちらを用いまして御説明させていただきたいと思って おります。 資料4の1ページ目でございます。健康食品というふうに、ふだん私どもも通常呼ん でおるわけでございますが、健康食品というものにつきましては、実は法律上の定義は ございません。一般に使われている意味としましては、広く健康の保持増進に資する食 品として販売されておったり、利用されているもの全般を指しているというふうな理解 をしているところでございます。ただ、その健康食品と言われているものにつきまして も、国の仕組みといたしましては、私ども国のほうで定めた安全性や有効性に関する基 準などを満たしたものにつきましては、保健機能食品という制度の中で、制度化をさせ ていただきまして、それなりの評価をしているというものでございます。 1ページの下のところに大きく、医薬品と保健機能食品、一般食品という絵を出して おりますけれども、そもそも健康食品というのはどんな位置付けなのだろうというとこ ろで考えて見ますと、まず口に入るもの、我々人間が口に入れる可能性のあるものにつ きましては、薬事法と食品衛生法で規定されておりまして、薬事法で言ういわゆる医薬 品、医薬部外品を含みますが、いわゆる医薬品に当たるもの、それ以外はいわゆる食品 ということでの整理がなされているところでございます。 医薬品につきましては、いわゆるお薬でございますから、効能、効果をうたえるとい うことになっておりますけれども、食品のほうになりますと基本的には効能、効果をう たうことができないものということになっております。また、食品衛生法のほうでは、 いわゆる食べ物だけではなく、口に入れる可能性もあるものということで言えば、おも ちゃなどにつきましても、衛生管理などにつきましては規定がなされているところでご ざいます。 その中で、先ほど申し上げましたように国のほうで認めた仕組みとして、保健機能食 品ということで、ある程度有効性なり、そういった科学的データのそろっているものに つきましては、薬事法の例外的な扱いということになるのだろうと思いますけれども、 それなりの有効性などについて標榜しながら販売なりができるようになっているという ことで、一般食品、それからいわゆる健康食品ということで、その有効性の判断につい て行っていないものとは少し切り分けた形で、このような絵を整理させていただいてい るところでございます。 保健機能食品の制度につきましては、国民が健やかで心豊かな生活を送るという意味 でいきますと、まずバランスのとれた食事が大事であるということで、その中にありま して、やはり多種多様な食品などが流通しておりますから、消費者がその食品の特性を 十分に理解した上で、やはりそれぞれの食生活、またふだんの生活の状況に応じた食品 を選択するということが大事だということで、特に消費者の方々にその適切な情報提 供、いわゆる食品の持っている有効性などについて適切に情報提供していきましょうと いうことで、平成13年の4月からこの保健機能食品という仕組みを制度化させていただ いたところでございます。 その中が、栄養機能食品と特定保健用食品、トクホということでこちらにマークをつ けておりますが、結構いろんな形で最近、件数がふえておりますので、マークのはごら んになったことがあるのではないかと思います。特定保健用食品につきましては、この 保健機能食品という制度、枠組みができる前の平成3年から、特別用途食品という形の 中での整理でございますが、制度化されてきておりまして、現在、約500件の製品につい て許可を出しているところでございます。 栄養機能食品につきまして、少し簡単に御説明させていただきたいと思います。2ペ ージをごらんください。栄養機能食品につきましては、厚生労働大臣が定めた基準に従 っていれば、その食品に含まれている栄養素の機能を表示することができるという制度 でございます。ただ、注意喚起ということで、とり過ぎなどについての注意喚起も併せ てしていただくということが条件になっておるところでございます。現在、栄養機能食 品ということで認められております栄養素としては、こちらに書いてありますビタミン1 2種類、ミネラル5種類の全部で17種類について、栄養機能食品として販売されている形 になっております。 具体的に栄養機能の表示、それからいわゆる基準といったものの例は、下のほうにビ タミンA、ビタミンC、鉄について、ちょっと例示でございますが、させていただいて おります。例えばビタミンAでございますが、その製品の中に入っておりますものの1 日摂取目安量が180μgから600μgの間で、上限値、下限値のその範囲の中にある製品 であればいいということでの基準。それから、そういった1日摂取目安量であればとい うことですが、栄養機能の表示として、「ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄 養素です。ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」ということを表 示していいということになっております。ビタミンAについては、注意喚起表示として 「多量摂取により、疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません」とい ったような、こういった注意喚起も併せてしていただくということで、いわゆるビタミ ン類などについての販売をしていただいているというものでございます。 次に3ページでございますが、特定保健用食品につきましてでございます。こちらの ほうの特定保健用食品につきましては、先ほどの栄養機能食品が規格基準を満たしてい れば、企業の責任においてきっちりやってくださいという仕組みであったのに対しまし て、これは基本的には個別にそれぞれの製品ごとに審査をさせていただいております。 体の生理学的な機能などに影響を与える保健機能の成分を含んでおって、その成分が食 生活において利用されることで、血圧や血中のコレステロールなどを正常に保つことを 助けたり、それからお腹の調子を整えるということに役立つなど、特定の保健の目的が 期待できるということでの、そういったことをうたうことができる製品ということにな っております。個別に審査をしておりまして、現在、許可・承認の件数としては503件の 製品が出ております。 例えば表示の例ということで申し上げますと、「お腹の調子を整える食品です」は、 ヨーグルトなど、結構あるかと思います。それから「血圧が高めの方に適する食品です 」とか、「コレステロールが高めの方に適する食品です」といったようなことで、個別 の製品ごとに審査をさせていただきまして、許可を出させていただいているということ になっております。 これが基本的な今の健康食品関係のいわゆる枠組み的なところでございます。次に、 最近、健康食品について、どんなことがあって、私ども行政としてどんな対応をしてき たとかという関係の話を少しさせていただきたいと思います。 4ページでございます。まず大きな括りとして3つの括りをさせていただいておりま すが、1つ目の括りとしましては、健康被害の防止ということでございます。もう3年 前になりますけれども、平成14年の夏に、中国製ダイエット食品などによります死亡事 例も含む健康被害事例が発生し「健康食品」と言われているものの被害の防止を図って いかなければいけない。特に最近であれば、また中国製のダイエットをうたったような もので「天天素」というもので、かなりの数の自治体で被害事例が出ております。東京 でも亡くなった方がいらっしゃるというような事例が起きております。そういったもの に対しまして、対策、いわゆる無承認無許可の医薬品扱いになるものとか、それから原 因成分が確定されていないものとしても、やはり「健康食品」と売られているものがあ るといったようなものに対応していかなければいけないということが1点目でございま す。 それから2点目が、虚偽、誇大の表示の取り締まりということで、いわゆる健康食品 を含めて、そういったものを売らんがために、認められていない、特に薬事法違反にま で当たるようなことでの表示をして、標榜して、いろいろ販売しようとしている例が見 受けられる。特にインターネットが最近はやっていますから、そういう意味でネットの 広告などにおきまして、例えばその食品だけでがんが治るというような言い方をすると いったようなことでの表示があまりにも目に余る状態になるということで、そういった 取り締りをしなければならないといったようなこと。 それから3点目として、やはり食品でありますから、適切に利用していただくことに よって健康の維持、増進を図れるようにしていくという必要があるという意味で、国民 の方々に適切に情報提供していく必要があるということでございます。その中で、考え られますのが、高齢化の進行等ということに合わせまして、食生活が大分乱れているの ではないかとか、それから生活習慣病の増加などによりまして、国民の健康に対する関 心が高まっている。いわゆる健康とついていれば、何かそういうものを利用してみよう という方々がふえているといったようなこと。それから、多種多様な健康食品が市場に 出回っているということで、国民が健康づくりを図る上で適切に選択できるような普及 啓発だとか情報提供が必要であろう。といったような課題がございます。 そういう中で、では私どもとして何をしてきたかということで、5ページのほうに、 ここ数年でやってきたことを簡単に書いております。安全性の確保、それから虚偽・誇 大表示の禁止などにつきましては、平成15年に食品衛生法、それから健康増進法を改正 いたしまして、安全面の確保、それからその虚偽・誇大広告の取り締りなどにつきまし て、法的な手続きをしてきたところでございます。それだけではなく、被害事例につい ての対応とか、消費者への適切な情報提供などについても行ってきたところでございま す。 その中で、法律改正の中におきましては、国会の審議などにおきましても、国民にも っと適切に情報提供していく、いわゆる健康食品についての使い方をどうやって普及・ 啓発させていくかということについて、さらに議論を進めていく必要があるという御指 摘もいただいたところでございまして、平成15年の4月から、一番下に、健康食品にか かる制度の検討ということで、15年から昨年の6月まで当検討会をさせていただきまし て、当あり方についての提言をいただきました。それを踏まえて今年の2月から制度の 見直しを行って、当制度をスタートさせてきたところでございます。 6ページがその提言の概要でございまして、「現状と課題」というところで、食生活 の乱れなど食品に対する表示の重要性が高まっていることとか、いろいろ多種多様な製 品が出ていること、情報の氾濫とか食育の必要性の高まりなどを現状課題として分析し た上で、「見直し内容」として、表示内容を充実すべきではないかということ、それか ら表示についても適正にやっていくべきではないかということ、それから安全性の確 保。あとは行政側に向けてということが多いのですけれども、普及啓発などについて、 もっと徹底してやるべきではないかといったような内容の提言をいただいたところでご ざいます。 この提言を踏まえまして、昨年の夏以降、薬事食品衛生審議会のほうでございます が、そちらのほうで健康食品の制度の見直しについて御議論をしていただきまして、こ の2月から制度をスタートさせていただいたところでございます。その概要が、チラシ のほう、1枚ごらんいただきたいと思います。表では、先ほど申し上げました制度の枠 組みの絵がございますが、中で見直し後ということで、特定保健用食品の中の枠組みを 少し変えたりとか、そういったものが、絵としてはちょっとつくっております。 具体的な中身をちょっと簡単に、裏のほうを見ていただきたいと思います。先ほどの 提言でいただきました4点の項目に合わせて、それぞれ制度化を考えております。表示 内容の充実ということで、「特定保健用食品になかまを増やしました」ということでご ざいます。いわゆる健康食品というものについて、有効性なりがある程度確認できるも のについても、国のほうで認められるような仕組みができないかといったような話がご ざいました。 その中で、科学的根拠ということでのいわゆる試験データなどについて、まだデータ がきっちり確認ができているということではないのですが、それなりに確認ができてい るもの、それから場合によってはその食品の成分が体内動態などについてまだはっきり 科学的に確定できていないようなものについても、有効性がそれなりに確認できるもの などについては、科学的根拠が十分ではないという意味での条件をつけます。そういっ たことを表示していただくということを条件といたしまして、特定保健用食品として認 めましょう、という仕組みをつくりました。 それから逆に特定保健用食品で、同じようなタイプのものがいくつも許可をされてお ります。そういったものにつきましては、消費者の方に早めに利用していただけるよう にということで、速やかな審査をしていくということで、規格基準を定めまして、その 中にはまるものについては審議会の審議を経ずに事務局審査だけでもできるようにしま しょうということで、規格基準を定めていこうということでやっております。 それから、医薬品のほうでは疾病に対して、薬ですから当然、「こういった疾病に効 きます」ということは言えるのですが、食品のほうでは、直接「疾病に対してこういう 効果があります」と言うことは、当然できない。それは薬事法違反に当たるということ ですが、関与成分の疾病リスク低減効果が医学的、栄養学的に確立されているものにつ いては、やはり特定保健用食品、個別審査は当然行うことになりますが、そういったも のの許可表示の1つとして認めてはどうかということで、対応していくことにしておる ところでございます。 それから2点目の表示の適正化ということで、これは健康食品を適切に利用していた だこうということでございます。健康食品だけを利用して健康になるというふうに思っ ている方も、国民の中にはいないとは言えないような状況にあるのではないかというと ころで、やはり「まず食事から栄養はとっていただくのです」ということで、食生活指 針にございます「食生活は主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを。」という表示 を、保健機能食品、それからいわゆる健康食品のほうにも表示をしていただくようにし ていこうということにしております。 それから栄養機能食品ということで、ビタミン、ミネラルについて、栄養機能食品の 表示をできることになっておるのですが、いわゆるダイエットであるとか、用途として 違う用途をうたっていながらも、例えば「ビタミンCを添加しました」ということで 「栄養機能食品です。国のお墨付きです」といったような売り方をしている、私どもと しては悪用されているというふうに見ておったのですが、そういったものについて、や はり「栄養機能食品として認められている成分の機能をうたってください」ということ で、「ほかの要件について表示することはだめです」といったようなことでの禁止など について、対応しているところでございます。 それから栄養機能食品については、何がその栄養素なのかということで、栄養素名、 例えばビタミンCですとかといったようなことをきちんと表示する。今まで栄養機能食 品と書けばとりあえずそれですんでおったのですが、「何がその栄養素なのかというこ とを表示してください」ということにしておるところでございます。これが、絵として は例えば「ダイエット用とうたうのであれば、栄養機能食品という表示はだめですよ」 と。逆に、栄養機能食品として表示しないのであれば、ダイエットというのは、ちょっ とそこまでは規制はしかねるところがありますので、そこはそういった仕組みになりま す。とはいえ、「食生活は主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを。」ということ は表示してくださいといったような形での整理をさせていただいております。 それから、安全性の確保ということで、錠剤、カプセル状食品につきましては、成分 が濃縮されたりということ、それから形状として過剰摂取を起こしやすい可能性がある といったようなことから、またこれまで食品の会社、こういった製品をつくっている会 社では、製造規範といったようなものもなくやっていたこともありまして、製造日とか 原材料によっては均質化されていないといったようなこともありましたので、健康食品 におきましてもGMPガイドラインをつくってやっていただく。それから、原材料の自 己点検をきっちりやっていただいて、事業者の方々にそれなりに責任を持ってやってい ただくという考え方を導入して、まずは自主的に取り組んでいただくという仕組みを設 けさせていただきました。 それから最後、普及啓発でございますが、昨年の薬事・食品衛生審議会の場でも、そ もそもトクホさえもまだ周知されていないのではないかという御意見までいただいたと ころでございます。「マークは見たことがあるけれども、どういうふうにその製品を利 用していくかということなどについても、十分知られていないのではないか」といった ような意見もあったところでございまして、私どもとしましても、現在、全国6ブロッ クで普及啓発などをさせていただいているところでございます。また本日も、こういう 機会をいただきまして説明させていただくというありがたい機会をいただいておりま す。こういった機会をとらえながら、普及啓発をしていきたいと思っております。 それから、健康食品の有効性・安全性データベースということで、国立健康・栄養研 究所のほうで健康食品に関する素材のデータベースをつくっておりまして、先般、数が また倍ぐらいふやしたところでございますし、それから特定保健用食品につきまして も、どういった有効性があるかということについて、会社側と相談ができたものについ ては、個別な製品についても情報提供をするような仕組みを設けさせていただいている ところでございます。また、アドバイザリースタッフということで、健康食品をどうい うふうに使っていただくかなどについても、販売現場などにおいても活用していただく といったようなことなどを含めて対応させていただいているというところでございま す。非常に簡単で、またちょっと雑駁な説明でございましたが、現状、それから制度の 仕組みとしてはこんなところでございます。よろしくお願いいたします。 久道部会長 どうもありがとうございます。大分詳しい説明をいただきました。何か御意見、御質 問ございますか。笹月委員、どうぞ。 笹月委員 細かなことで恐縮ですけれども、最近、ある人から、カプセルですね。今、カプセル が出てきた。ちょっとお伺いしたいのですが、カプセルはあれ、牛のコラーゲンが原料 だと。そうすると、例のBSEの問題はどうなっているのか。あるいは、どこの国から 来たものか。などというような質問を受けて、僕もちょっと、うーんとうなって。つい 最近の話ですが、調べるのを失念していたのですが、何かそういうことに関して情報を お持ちでしたら、ちょっと教えていただきたいと思います。 久道部会長 はい。 阿部新開発食品保健対策室長 私も今、この場で具体的に説明できるわけではないのですけれども、材料として牛の ものを使っているといったようなものについても、安全性などについては、BSEの関 係との整理は見ながら、確かやっておったかと思いますので。もう一度そこは確認させ ていただきまして、お答えさせていただきたいと思います。 久道部会長 ほかにございませんか。はい、どうぞ。 渡邊委員 3点御質問したいのですが。まず現在、特定保健用食品と認められているものが、今 度疾病リスク低減表示をできるということですけれども、現在認められているのはその まま移行できるのでしょうか。 久道部会長 では、そのつど。 阿部新開発食品保健対策室長 個別に審査をしていくということでございますので、今までのものをそのまま移行と いうことではなく、改めて審査をさせていただくということになるかと思います。今回 も疾病リスク低減表示については、先ほどちょっと説明をはしょってしまったのです が、葉酸と胎児の神経管閉鎖障害についての表示、それからカルシウムと骨粗しょう症 の関係について、この2点だけ、とりあえず医学的、栄養学的に確立されているものと いう扱いにしましょうということにはしておるところでございます。 渡邊委員 わかりました。今までの特定保健用食品の根拠の論文をずっと見てきますと、例えば 血糖降下などというのは2、3時間のあれを10人ぐらいはかって、下がっていればいい というようなものもありますね。疾病リスクの低下ということから言いますと、最低限 3か月ぐらい、ヒトでのきちっとした臨床試験がなされていないといけないとか、そう いう一定の基準がつくっていただけるといいのではないかと思いますが。 阿部新開発食品保健対策室長 今回のものにつきましては、やはり医学的、栄養学的に確立されているという意味で いきますと、その製品自体を食べていただく形の確認は要るとは思っておりますが、そ の中身、カルシウムがどういうふうな有効性を持っているかなどにつきましては、もう 論文としてはたくさんあるという意味でいきますと、そこの部分まで必要とするもので はないのではないかということで、専門家の方々からは御意見をいただいておりますの で。個別の製品で改めて治験までしていただく必要性があるかどうかについては、今回 のところは必要はないのではないかという扱いにはしたいと思います。 ただ、「有効性を見るためには、このぐらいの量ですよ」ということで、栄養機能食 品に近いような形ですが、上限値、下限値を決めて、この中の範囲内が1日摂取目安量 として設定してあるといったようなものが必要であるというふうには考えております。 渡邊委員 もう1点は、こういうものは現在、ポストマーケティングサーベイランスとか、製造 者責任とは言いながら、有害事象の届出であるとか、いっさい基準がないですね。この あたりは法的に整備なさる予定ですか。 阿部新開発食品保健対策室長 今、お話がありました市販後の調査とかを含めていろいろ御意見をいただいていると ころでございます。ただ、制度として特定保健用食品は平成3年からですから10年を超 えておりますが、最近もう500を超えましたけれども、数がふえてきたのが、その保健機 能食品の枠組みをつくって審査基準などについても見直しをしたあとということで、こ こ数年が急激にふえておるといったようなことで、これからそういったものについては きっちりやっていかなければいけないことだと思っておりますし、私どもとしても、ま ずどういうふうにやっていくべきかということについて、今、事務的な検討をまず始め ようとしているといったような現状でございます。御指摘はもっともだと思っておりま す。 久道部会長 はい、高橋委員。 高橋(滋)委員 法律屋なので、法律的な話につい興味を持つのですが、この制度の根拠法令というの はいったい何なのでしょうか。それからもう1つ、この制度に従わなかったときに罰則 とかかかっていくのかということですね。この2点についてお聞かせ願いたいと思いま す。 久道部会長 はい、どうぞ。 阿部新開発食品保健対策室長 まず食品としての扱いについて行きますと、食品衛生法での決まりなどがございま す。それから今回、絵としてはこういった絵にしてありますが、実は法律としてはいわ ゆる薬事法の医薬品の規定があって、それを受けて食品衛生法としての食品の扱いがあ り、それから特定保健用食品につきましては、健康増進法の中での特別用途食品の扱い の中の一部になっていて、さらにその中の食品衛生法の中の仕組みと、実は両方に書い てあるということで、絵としてはこういうふうに簡便化して書いてあるのですが、法的 な枠組みの中で整理したときは、非常に複雑な構造になっておるというところでござい ます。 あと、衛生管理の問題での食品衛生法の罰則もございますし、それから表示のほうの 規定についても、表示違反についての罰則規定があるといったようなことで、いくつか の法律が絡んだ形での仕組みにはなっております。見た目だけはわかりやすくというこ とで、こういう整理をさせていただいておりますが、法律自体はちょっと複雑な形にな っております。 高橋(滋)委員 例えば自己認証というか、認証を受けなかったとか、許可を受けなかったときの罰則 というのはあるんですか。 阿部新開発食品保健対策室長 直接的にいわゆる許可を受けずに例えばトクホですというマークをつけて売ったと か、そういったことに対して直接的な法的罰則はない形にはなっています。 高橋(滋)委員 それからあと、感想ですが、栄養機能食品については、今でも多分自己認証というこ とですね。この図ですと、規格基準型ということで新しくこの図が書いてあるのです が、これは許可ですよね。ちょっと何かわかりにくいのではないかと。というか、誤解 を生ずる可能性があるのではないかと思って、そこをちょっと気がつきました。 阿部新開発食品保健対策室長 特定保健用食品として、特定の用途で有効性を発揮しますということで表示をしてい ただくという意味では、個別に審査をさせていただくもの。ですからトクホは個別の許 可を出していきます。栄養機能食品のほうは、規格に当てはまれば自己認証でやってく ださいという仕組みになっておりまして、トクホのほうも審査のほうの簡略化という意 味で規格を定めて、その中に当てはまっていれば事務局限りでの審査でいいですよとい う形をとりたいというものではありますけれども、あくまで個別に許可を出していく製 品、トクホはすべて個別に許可を出していく製品という扱いにはなっておるところでご ざいます。 久道部会長 ほかにございませんか。土屋委員、どうぞ。 土屋委員 この検討会は私もずっと参画してきましたが、この見直しはされましたけれども、一 番問題は「その他の食品」、「いわゆる健康食品」が一番問題なんです。これが無数 に、野放しになっていますので、これをどうするかということが問題だということが1 つと、それからこの錠剤、カプセルにしてしまったものですから、有効成分もそうなの でしょうけれども、毒性も濃縮されておりますので、これが健康被害の最大の理由にな っているみたいですね。というのは、1錠、2錠、さらには5錠飲んだらもっと効くの ではないかという、これは無理もないかと思うのです。 これについての議論の中で、こういう意見がありました。ですから、1日に何錠まで とか、1日に何回とか、という指示が必要なのではないかと。そうしますと、まさしく 食品ではなく、もう薬品扱いでなければ危ないということでありますので、この適切な 利用方法あるいは食品の機能に関する普及啓発ということが大事です。そこらあたりの ところをきちっと、国民の皆さんに理解していただけるようなことが必要なのではない かと思います。 特に、従来「バランスのとれた食生活を心がけましょう」という、我々もう何か聞き なれたというか、言い古されたというか、人口に膾炙された文言が問題だったのです。 それが実は(案)の段階では、そのままいくということになっていたのですが、厚労省 から「食生活指針」というものが出されていますけれど、これがもうほとんど忘れられ ていましたので、「食生活は主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」という ことにしてもらったのです。「バランスのとれた食生活を心がけましょう」と言うと、 サプリメントみたいなものをたくさん並べて、それで補えばバランスのとれた食事がと れるという、国民に誤解を与えてしまっているのです。これは相当根深いと思います。 ですから、薬剤師関連の先生方にも、特にこれは御指導いただきたいと思いますけれど も、国としては、国民の皆さんに本当のところを理解していただけるような普及啓発が 必要であるということです。これを売らんかなの普及啓発ではいけない、ということを 申し上げておきたいと思います。 久道部会長 はい、どうぞ。 渋谷委員 ちょっと1つ教えていただきたいのですけれども。実際、保健所には相談があるもの ですから。この裏側のさきほどの図の真ん中のところで、同じ中身のものでも表示が違 うんですよね。つまり、ダイエットという言葉が使えるか使えないかということで、実 際、業者からの相談があるわけですが、業者が例えば納得したとしても、なかなかこ の、同じ中身なのに表示が違うということが一般に理解してもらうというのは大変な部 分があります。まだ1ヶ月ということなのですけれど、ここら辺の混乱とか、何か対策 というのがあれば教えていただきたいのですけれど。 久道部会長 はい、何か? 阿部新開発食品保健対策室長 私どもとしましては栄養機能食品について、ビタミンなりを加えているから栄養機能 食品ですと言って、逆に売らんがためにやっていると思われる事業者の方々が非常に多 かったという意味で、今回そういった意味でのダイエット用食品などでの栄養機能食品 の表示を禁止しますということにしたわけでございまして、基本的には、事業者の方々 には、そういった意味でのいわゆる製品に対する表示については適切に対応していただ きたいということで、自治体とか保健所の方々にも事業者に対する説明などについて御 苦労をいただいているところだろうと思います。 基本的にはそれで、事業者の方々が正しく理解をしていただいて、製品をきちんと売 っていただくということで、きちんと回っていけるかなというふうには思っておりま す。ただ、ダイエット用という食品などいろんな形で販売されているのも事実でござい ますから、逆に言いますと、消費者の方々がそういった言葉に飛びついてしまうという ことがあるということでいきますと、先ほどから御議論がありますように、消費者の方 々、国民の方々へのそういった健康食品の使い方などについても含めて、周知啓発をし ていく。やはり理解していただくということも、併せてやっていかなければならないと いうふうには考えているところでございます。 久道部会長 ほかにございませんでしょうか。健康食品だけでなく、きょうの議題全般で、言い忘 れたというようなことはございませんでしょうか。はい、どうぞ。 笹月委員 3年前だったかと思いますが、院内感染のモニタリングに全国のモニタリングシステ ムをつくるというようなお話があったと思いますが、今回のこの健康危機管理の中の有 害事象ですか、医療事故といいますか、そういうもの、あるいは院内感染対策、あるい はこれのモニタリングなり、何かそういうものは今回のこの枠組みには入らないのでし ょうか。 久道部会長 はい、どうぞ。 瀬上参事官 最初の健康危機管理に関しての御指摘だと思います。本文の中では、議論の中では院 内感染、こうしたものも医療安全の、公衆衛生という視点からの重要な問題点ではない かという指摘がありました。ページの2ページ、「対象分野」で、「医療安全」のとこ ろのポツとして、「医療機関での有害事象の早期察知、判断等」と、この中に入る事項 と考えております。 久道部会長 ああ、追加。はい、どうぞ。 阿部新開発食品保健対策室長 先ほどあったカプセルの件でございますが、カプセルも動物性のものとか、植物性の ものとか、いろんなタイプがありますので、一応事業者の方々には、いわゆる危険部位 に関連するようなものは使わないように、できれば植物性のものにかえていただくな り、そういったいろいろな対応をしてくださいというお願いは、通知ではないのです が、そういうお願いをしてきているというのが現状でございます。 久道部会長 それでは、ほかになければきょうの議論はこれで終了させていただきます。事務局で 何か連絡? 中島生活習慣病対策室長 本日は大変ありがとうございました。今後の日程につきましてでございます。先ほど から説明申し上げていますように、これまで10月以降、ポピュレーションアプローチを 中心として一次予防、それから健診体制、保健指導体制の二次予防、いわゆるハイリス クアプローチ、それからそれを支える推進体制ということで、現状とこれまでとってき た施策といったものを整理し、富永先生を座長とする健康日本21の中間評価作業チー ムの評価分析を基に御議論いただいてきたということでございます。 次回以降は、これまでの議論、そして今回整理していただいた論点整理に従いまし て、二巡目ということで、ある程度本部会での御意見の方向性に沿った形で、具体的な 政策の方向性を示したようなペーパーをお諮りをして御議論いただきたいと、こう思っ ております。次回につきましては、健康日本21の中間評価を進めていく中で、9分野 70項目の中でとりわけ優先順位の高いものに重点化した施策の取り決めが要るのではな いかという御意見も、評価作業チームのほうからは頂いておりますので、改めて健康日 本21の中でとりわけ重点的に達成を目指すべき、裏返せば施策を強化していくべき代 表的な項目というのはどういうものかということについて、富永ワーキング等の成果を 踏まえながら、次回は御議論いただきたいということを考えてございます。 次回は7月の11日の月曜日の2時〜4時ということでお願いをいたしたいと。そし て、それを踏まえまして次々回の日程についても、7月29日の金曜日10時〜12時という ことで。次回7月11日、次々回7月29日ということで開催をさせていただきたいと思っ ておりますので、御出席方よろしくお願い申し上げます。以上です。 久道部会長 はい。それではきょうの部会はこれで終了させていただきます。どうもありがとうご ざいました。 (終了) ○しろまる問合せ先 健康局総務課生活習慣病対策室 調査総務係 主藤・松浦 電話 03−5253−1111 内線2346・2342