05/04/21 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会第13回議事録 第13回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 日時:平成17年4月21日(木)10:00〜12:07 場所:虎ノ門パストラル 葵の間(本館1階) しろまる出席委員 石井みどり委員、加賀谷淳子委員、加藤尚武委員、加藤陸美委員、河野順吉委員、 菊田信子委員、北村惣一郎委員、木村隆次委員、澁谷いづみ委員、新道幸惠委員、 多田羅浩三委員、田中平三委員、土屋 隆委員、富永?ハ民委員、中村丁次委員、 久道 茂委員、松田晋哉委員(17名) しろまる参考人 尾嵜米厚参考人 しろまる厚生労働省出席者 (健康局)田中健康局長、岡島審議官、瀬上参事官、石井総務課長、 中島生活習慣病対策室長、北地域保健室長、野村保健指導室長 しろまる次第 I 開会 II 議題 (1)厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会におけるこれまでの議論の整理につ いて (2)健康日本21中間評価作業チームによる暫定総合評価について (3)生活習慣病対策の総合的な推進について (4)「健康日本21」中間評価におけるデータ分析(たばこ)について (5)平成15年 国民健康・栄養調査結果の速報について (6)がん医療水準均てん化の推進に関する検討会報告について (7)その他 III 閉会 しろまる議事 瀬上参事官 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第13回厚生科学審議会地 域保険健康増進栄養部会を開催させていただきたいと存じます。 皆様方には朝早くからお越しいただきましてありがとうございます。 初めに本日の出欠状況についてでございます。委員定数24名でございますが、現在、 17名の委員の御出席をいただいております。過半数に達しておりますことを御報告申し 上げます。 初めに配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿、座席表のほか に、資料1から6まであります。資料1、資料2−1、2−2、資料3、資料4が2つ で、資料4−1、4−2、それから資料5、資料6がまた2分冊になっております。御 確認いただきまして、不足、落丁がございましたら、お手をあげていただければ、担当 の者がお届け申し上げます。 なお本日、審議官、国会用務のため大幅に遅参させていただきます。御了承お願いい たします。 以後の部会運営につきしては部会長にお願い申し上げます。なお、カメラはこのあ と、部会長の御挨拶のあと、御遠慮願いたいと存じます。よろしくお願いいたします。 久道部会長 それでは第13回の厚生科学審議会地域保険健康増進栄養部会を開催いたしますが、毎 月1回ぐらいのペースで開催しておりますので、皆さん方には大変お忙しい思いをさせ ていることと思います。今年度最初の会ですが、部会員の中には肩書きの変更になった 方もおられようかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いしたいと思います。 それでは、カメラが出られますか。議事に入りたいと思います。 まず第1の議題ですが、「厚生科学審議会地域保険健康増進栄養部会におけるこれま での議論の整理について」、それから2番目の「健康日本21中間評価作業チームによ る暫定総合評価について」、それから3番目の議題の「生活習慣病対策の総合的推進に ついて」、これを一括して中島室長から説明をお願いいたします。 中島室長 おはようございます。それでは資料1、それから資料2−1、資料3について、私の ほうから説明を申し上げます。 資料1でございます。本部会におけるこれまでの議論の整理ということで、まとめさ せていただいたものでございます。 1ページおめくりいただけますでしょうか。本部会は昨年の10月に再開させていただ いて以降、5回にわたる御議論をお願いしてきたところでございます。10月には「健康 日本21の中間評価の進め方」、11月には「健診及び事後指導のあり方について」、12 月には「一次予防施策」、「健康日本21の中間評価の栄養、運動、休養、歯について 」と、「三位一体改革について」、本年2月には「健康日本21の中間評価の2回目」 ということで、「たばこ、アルコール、糖尿病、循環器病、がん」ということで、それ から3月には「生活習慣病対策の推進体制」ということで、「国、県、市町村、医療保 険者等の役割」、さらには「国民健康栄養調査のあり方」等について、御議論をいただ いてきたところでございます。一巡の御議論を終えていただいたということで、これま での議論を改めて論点整理をさせていただいたのが、本資料でございます。 大きな柱立てといたしまして、「一次予防施策について」ということで、ポピュレー ションアプローチのことでございます。これにつきましては、富永先生を座長といたし ます作業チームにおいて、「健康日本21」の中間作業を進めていただいておりますの で、その検討結果を踏まえて、本部会で御審議いただいてきたところでございます。一 次予防施策全般についてということと、「健康日本21」の9分野について、それぞれ 論点を整理しております。 それから2として、ハイリスクアプローチ、いわゆる「二次予防施策」。健診・事後 指導についてですが、健診・事後指導の中身、プログラムのあり方という観点と、その 制度的仕組みの構築のあり方というものについて、分けて整理をしております。 3の「推進体制」ということでは、国、都道府県、市町村、医療保険者等の責任と役 割。そして国民健康栄養調査等の在り方ということで、整理をさせていただいておると ころでございます。 1ページめくっていただいて、1ページというページでございます。事項と主な論点 を最初に御紹介させていただいて、関連する本部会での御意見をまとめて紹介するとい う形で説明をさせていただきます。 まず、一次予防施策についてでございまして、まずその最初、一次予防施策全般につ いてということでありますが、普及啓発戦略が重要だということでございます。主な論 点のところに書いてございますが、「健康日本21」における目標達成に向け、個人の 意識と行動の変容を促すため、生活習慣病の特性や、生活習慣の改善の重要性について 理解を深める普及啓発戦略が必要なのではないか、ということでございます。 関連する意見ということで、しろまるの2つ目でございますけれども、「健康づくりという のは医療保険や介護保険の費用の適正化につながるという面もあるし、これは5年から 10年のスパンで判断していかなければいけないことではないか」という形の御意見もご ざいましたし、3つめのしろまる、「行動変容につながるということが大変重要なのではない か」。それから、下から2つ目のしろまるでございますけれども、「生活習慣病予防は安易に 薬によらず、食生活の改善と運動習慣の徹底等が重要だ」というような形の御意見も、 本部会では御発言いただいたところでございます。 2ページでございます。各施策ということで、「健康日本21」、9分野ごとに整理 をさせていただいております。 「栄養・食生活」につきましては論点が3つということで、1つがエビデンスに基づ く正しい知識の普及の徹底ということでございます。そういう意味では、次の欄でござ いますが、2つ目の黒ポツでございますが、フードガイド等の活用といったものも重要 ではないかということでございます。 2つ目の論点は、ターゲットを明確にした上での個別対応というものが重要ではない かと。30歳代から60歳代の男性の3割が肥満であるということを踏まえると、中高年男 性を意識した食生活の改善というのが重要ではないか。また、単身者やこれから子育て を担っていく世代といったものにもターゲットを当てていく必要があるのではないか と。それから、その下の黒ポツ、栄養と運動、それぞればらばらではなく、栄養施策と 運動施策の連携といったものが重要ではないかということでございます。 3つ目の論点として、食環境の整備ということで、個人の意識変化だけを促すのでは なく、それをさらに促進する環境の整備といった観点からの取り組みも重要ではないか ということでございます。主な意見といたしましては、2つ目のしろまるで野菜摂取量の御指 摘。3つ目のところで食塩摂取量の御指摘。4つ目のしろまるでカリウム摂取量の御指摘等が あったところでございますし。 3ページでございます。3ページの上から2つ目。朝食を摂らないという層が増えて いるということ。30歳代男性における朝食といったものの在り方。それから20歳代男性 では、脂肪エネルギー比率が増加しているということをどう考えるのか。それから一番 下のしろまるでございますが、カルシウムについては20歳代での摂取量が少なくなっていると いうことをどう考えるのか、といった御発言をいただいているところでございます。 4ページでございます。「身体活動・運動」というところでございまして、論点は3 つでございます。エビデンスに基づく知識の普及、ターゲットを明確にした上での個別 対応、これは栄養・食生活と同様でございまして、5ページでは運動習慣の徹底のため の場と機会の提供という形の論点でございます。 まず4ページのところでございまして、黒ポツでありますが、運動施策を考えるにあ たっては、健康な人だけを対象にするのではなく、糖尿病や循環器病のような疾患を持 つ人がどのように運動に取り組めばいいかという視点も重要ではないかということで す。 それから、ターゲットを明確にするという意味では、ライフスタイルに応じた具体的 な対応方法が要るのではないかという御指摘がございました。 5ページ。3つ目の論点の場と機会の提供ということでは、民間の運動施設の有効活 用といったものが重要。また、運動指導の専門家の量的充実、質的向上といったものが 課題ではないかという御指摘をいただいたところでございます。 4ページに戻っていただきまして、本部会での具体的な御意見といたしましては、1 つ目のしろまるでございますが、健診後の事後指導に対応できる運動施設の質の向上といった ものが重要ではないか。2つ目、3つ目のしろまるは、運動習慣の現状でございますが、50歳 代男性で歩数の減少が認められると。70歳以上についても、男性においては歩数の減少 が認められるということをどう考えるかと。さらには、3つ目のしろまるでございまして、3 行目でございますけれども、20歳代女性の運動習慣者の割合といったものが他の年齢階 層と比較して低いといったことをどう捉えていくか、といった御発言をいただいている ところでございます。 5ページでございます。3つ目、「休養・こころの健康づくり」というところでござ います。これにつきましては、1つは基礎的研究の推進が必要ではないかということ。 それから、男性中年層の自殺者が多いという現状をどう考えていくのかという御指摘で ございます。具体的な意見、一番右の欄の2つ目でございますけれども、高血圧や糖尿 病の基礎に、そもそもストレスや睡眠障害といったものもあるということの御指摘。さ らには、メンタルヘルスといったものを健診項目の中に加えていくという取り組みも要 るのではないかという御指摘をいただいております。 4つ目のフィールド、「たばこ」でございます。たばこにつきましては、たばこ税を 海外並みに引き上げ、その税収を生活習慣病予防対策に充当するということが考えられ ないのかということ。そして、健康増進法では、受動喫煙防止措置を講ずる努力義務が 規定されているけれども、こうした取り組み状況について調査を積極的に進めていく必 要があるのではないか、といった御指摘をいただいております。実はたばこにつきまし ては、後ほど、「健康日本21」の直近暫定実績値に基づく評価結果、及び平成15年の 国民健康・栄養調査、たばこを重点分野として調査をいたしたものでございます。そこ での調査結果等を報告する中で、改めて御意見をちょうだいし、ここの中に加えていく ということを考えてございます。 6ページ、「アルコール」でございます。アルコールについては2つでございまし て、アルコールの多量摂取とがん等の発症リスクとの関連性の知識や情報の普及が重要 ではないか。それから、未成年者にターゲットを絞った飲酒防止対策といったものを徹 底していく必要があるのではないか、ということでございます。 具体的なご意見の欄の一番下ですが、女性では若い世代が多量に飲酒する人の割合が どうも高いようだという御指摘もあったところでございます。 6つ目、「歯の健康」につきましては、「8020運動」を普及し、地域・職域連携 した取り組みが必要だということ。それから、地域差といったものがあることから、地 域の特性に応じた幼児期・学童期対策といったものを推進していく必要があるのではな いか、といった御意見でございました。 7ページ、「糖尿病」でございます。糖尿病につきましては、糖尿病を強く疑われる 人が740万人、可能性が否定できない人を加えると、トータル1,620万人という状況でご ざいますので、糖尿病対策の充実、強化が必要ではないかということ。それから2つ目 の黒ポツ、中高年男性を意識した肥満対策の徹底。3つ目、生活指導が重要であるとい うことから、保健指導の枠組みや、具体的な指導技術の提供といったものが重要だと。 その次、主治医と連携するなど、保健と医療が一体となり、切れ目なく対策を実施する ことが必要ではないかと。とりわけ、治療中断者といったものを早期に発見し、フォロ ーしていくということが重要という御意見をいただいております。 具体的な御意見としては、一番右の欄の上から5つ目のしろまるですが、女性の受診率の向 上といったものが課題ではないか。それから、年齢・階層別では、60歳未満では事後指 導の受診率が低いということなので、そこをしっかりしていく必要があると。男性で は、比較的若い年齢層の充実も必要であろうということ。そして、その下のしろまるでござい ますが、医療保険者等による受診情報を適切に管理していくことも重要ではないか、と いった御指摘をいただいております。 8ページ、「循環器病」でございます。循環器病につきましては、予防対策だけでは なく、急性期医療、リハビリテーションまで含めた総合的な対策を推進することが重要 だと。それから、循環器病の予防という観点からも、糖尿病予防というものも重要であ ろうということでございます。 具体的な御意見としては、脳梗塞の早期発見の観点から、健診項目の見直しを図るべ きではないかという御意見をいただいておるところでございますし、9ページの右の欄 の最後ですが、糖尿病同様、女性の受診率の向上対策といったものも重要ではないかと いう御指摘をいただいております。 9ページの「がん」でございます。がんは3つでございます。がんについての情報や メッセージの発信の重要性。2つ目、がん検診の受診率等に都道府県格差といったもの が大変あるのではないか。そうした観点から、受診率の向上、さらには正確な健診とい う意味での精度管理の徹底ということに本腰を入れるべきではないかと。3つ目の黒ポ ツ、がん登録について、標準化や精度の向上を図りながら進めていく必要があるのでは ないか、といった御意見をいただいてございます。 具体的意見の欄の下から3つ目でございますが、がん検診につきましては、男性40歳 代の受診率を上げる努力が要ると。それから女性においては、胃がんについては40〜50 歳代でまだ改善の余地がありますし、大腸がん、肺がんについては、40歳代、50歳代の 受診率向上が大変かぎとなるという御指摘。それから、がん対策においては国、都道府 県が強力なリーダーシップを発揮していく必要があるのではないか、という御意見をい ただいております。 10ページでございます。「二次予防施策」。ハイリスクアプローチということでござ いまして、まず、「中身」と「仕組み」の中身についてでございます。 中身については5つの論点でございます。検査項目の重点化ということでございまし て、健診の検査項目が制度間、実施主体間で異なっているということです。さらには、 ライフステージごとの健康課題に必ずしも対応していない。一律の健診項目になってい るきらいがあるのではないかと。そういう意味では、年齢や性差、個々人の健康課題、 年齢別の健康課題等に応じた検査項目の精査が必要ではないかということ。 それから、健診の精度管理を徹底する必要がある。外部精度管理の標準化も必要では ないか、ということでございます。 3つ目、健診の判定基準も標準化していく必要があるのではないか。そうすること で、地域・職域関の連携による健診結果等のデータの継続管理、継続比較も可能となる のではないかということでございます。 4つ目、効果的な保健指導プログラムの策定ということで、糖尿病予防等に重点を置 いた保健指導プログラムの開発・検証が必要ではないか。 そして5つ目、こうした健診・保健指導のプログラムの充実を踏まえ、健診指針の内 容をさらに具体化していく取り組みが必要ではないかということでございます。 個別の意見といたしましては、1つ目のしろまる、がん検診等の外部委託を行う場合には、 価格だけで判断するのではなくて、質を評価する必要があると。それから、精度管理と いった場合には、検体検査だけではなく、画像診断等の精度管理も重要ではないかと。 そういう意味では、機器面だけではなく、人的な面も含め、実施機関全体の質の確保と いう観点から取り組むべきではないか、という御意見をいただいておるところでござい ます。 11ページでございます。「健診・事後指導の仕組み」、制度的枠組みということにつ きましては、全部で6つの論点でございます。 まず、若年期からの生涯を通じた対応ということでございまして、1つが、健診の実 施主体がそれぞれ連携をとって、未受診者を把握する、事後指導を徹底していくという ことが重要ではないかと。特に、被用者保険の被扶養者、家庭の主婦等に対する保健事 業をどのようにしていくかということが課題ではないか。それから、現在の老人保健事 業が40歳以上を対象ということですので、40歳未満の者に対する健診、事後指導をどう していくのかということがあるということでございます。 2つ目、市町村と医療保険者等の役割分担と連携確保ということでございまして、市 町村と医療保険者等の役割分担と連携方策を明らかにしつつ、医療保険者がより積極的 に保健事業に取り組むべきではないか。そのためには、両者のコーディネートを図って いくという観点からも、都道府県の役割の強化が必要ではないかということでございま す。 12ページでございます。3つ目の論点で、健診データの活用のための体制ということ で、健診結果が必ずしも事後指導や自己管理につながっていない。そして、きちっとフ ォローアップをできる体制を整備していくべきではないかと。 その次、インセンティブが働く仕組み。検診を受ける国民のサイド、さらには健診事 業を提供する実施主体のほうに、やはり受けたり実施したりするという意味でのインセ ンティブが働く制度が要るのではないかということ。それから事後指導については、多 様な主体によるサービスの充実、民間事業者も含めた活力をこれまで以上に発揮しても らうということ。ただし、その際には、そのサービスの質が確保される仕組みというの も、併せて必要ではないかと。そして、アウトカム評価を的確に実施していくというこ とでございます。それとともに、健診結果、医療費等のデータを統一的に分析・評価で きるデータベースといったものも重要ではないかということでございます。 11ページに戻っていただきまして、本部会でいただいた御意見につきましては、上か ら3つ目のしろまる、民間事業者の参入に関しては、質を確保する仕組みが重要だ。 5つ目のしろまる、健診事後指導のインセンティブが重要だ。3行下ですが、今の老健事業 では、インセンティブが働きにくい仕組みになっているのではないかという話もありま した。 それから、その下のしろまる、老健、国保、介護のデータを共有し、評価に役立てていくと いう意味での、地域における情報のネットワーク、連携が要るのではないかと。 そして、一番下のしろまるですが、明らかにエビデンスが認められる検診項目については、 医療保険の中に包含していく必要があるのではないかと。介護保険ではすでに、介護予 防を給付の対象とする方向で、法改正の準備が進められているけれども、やはり保険に 組み込むということによって、全国的な展開も可能となるのではないかという御意見を いただいているところでございます。 13ページでございます。「推進体制」ということで、「国、都道府県、市町村、医療 保険者等の責務と役割」ということでございます。 まず、「(1)国の責任」ということでございますが、まずポピュレーションアプロー チをどう進めていくのか。それから、市町村と医療保険者等の役割分担や連携の在り方 をどう図るのか。そうしたことを含めて、都道府県健康増進計画にどのような内容を盛 り込んでいくべきなのかといったことについて、国が基本的な方向性をしっかり示すべ きではないのかということ。 それから、「都道府県の責任」という点では、2つ目の黒ポツでございますが、地域 ・職域の連携が重要だと。特に未受診者の把握、事後指導の徹底のためには、分立する 市町村、医療保険者等の関係者が協議した上で、それぞれが担う健診や事後指導の事業 内容や事業量、そして具体的な連携方策について、都道府県が健康増進計画に明記をし て事業を推進し、評価していくべきではないかと。そうした観点からは、最後の黒ポツ ですが、現行の健康増進計画はそうした具体的な事業計画という色彩が弱いのではない か、という御指摘でございます。 具体的な御意見としては、1つ目のしろまるでございますが、都道府県がまとめ役となるべ きではないのか。2つ目のしろまる、都道府県は今のところ、義務にはなっておりません市町 村健康増進計画の策定を、保健所等を通じ積極的に支援すべきではないか、といった御 意見。一方で、がん検診に都道府県格差が多いということを踏まえると、いたずらに地 方分権とばかり言って任せておくだけで十分なのかといった御指摘等があったところで ございます。 14ページでございます。次に「市町村や医療保険者等による保険事業の実施」につい てでございますけれども、黒ポツの下から2つ目、市町村計画の策定を促進するには、 国や都道府県によるターゲットを絞った支援が必要ではないか。さらには、自治体にお ける保健師、管理栄養士等の企画・立案能力を高めていくことが重要ではないか、とい った御意見が寄せられております。 具体的な意見としては、上から2つ目のしろまる、市町村計画の策定が進まない理由を分析 した上で、やはり策定を推進していくということが重要ではないか。4つ目のしろまる、市町 村健康増進計画の策定状況は、都道府県によってやはり大きな差があるというのをどう 考えるのか、といった御意見をいただいておるところでございます。 15ページ、「国民健康・栄養調査等の在り方」でございます。今は自治体が独自に住 民に対する健康・栄養調査等を実施していただいていますが、そうした統計調査につき ましては、地方における健康増進計画の策定支援という観点、さらにはデータが地域間 で比較できるということを実現していく観点からは、国が統一的な統計調査を実施する に当たってのガイドラインマニュアルを示してはどうか、といった論点が出されている ところでございます。以上、過去5回において各先生方からいただいた御意見を論点ご とに整理をさせていただきました。 次に、資料2−1でございますが、これは「健康日本21」の中間評価ということ で、富永先生を座長にワーキングチームを設けさせていただいておりますが、そこでの 各分野の先生方から、これまで中間評価の作業をしてくる中で、どうした課題があるの かということをフランクに書いていただいたものを取りまとめたものでございますの で、簡単に御紹介いたします。 1ページでございます。「栄養・食生活分野」。吉池先生のほうからは、まず中年男 性における肥満者の増加傾向、それから野菜の摂取量が増加していないということ、こ れを御指摘いただいて、下の欄でございますが、食環境の面からの取り組みの重要性、 それからフードガイドを活用した重点的なターゲットを絞った対策の重要性といったも のを御指摘いただいております。 次のページ、「身体活動・運動」につきましては、下光先生、田畑先生のほうから、 歩数が減少し、運動習慣者も必ずしも増加していないと。そして、こうした運動に関す る人材養成の効果といったものが、まだ不十分ではないかと。そういう意味では、社会 環境の整備等の施策がこれからますます重要になるのではないか、ということでござい ます。 3ページ、「こころの健康」。内山先生のほうからは、下の欄でございますが、やは り「休養・こころの健康づくり」に関する基盤的研究の推進がこれからも重要であろう と。また、自殺に関する研究や対策といったものも課題であろうということでございま す。 4ページ、「たばこ」。本日御出席いただいている尾嵜先生からいただいた御意見で ございますが、まず喫煙が及ぼす健康影響に関する知識の普及度合いについては、項目 や性別等において差が見られるのではないか。3つ目のしろまるでございますが、広告規制等 のたばこに関する規制については、よりいっそうの取り組みが必須ではないかと。それ から、今後の取り組むべき課題として、2つ目のしろまるからですが、短期的に喫煙率を減少 させるには、たばこ価格の上昇といったものが効果的ではないかと。長期的な減少に は、あらゆる媒体での広告の禁止、自販機の撤去が必要ではないかと。そして、禁煙者 を増加させていくという観点からは、禁煙治療の診療報酬の点数化といったものも効果 的ではないかという、具体的な御提言をいただいております。 次のページ、「アルコール」でございます。樋口先生からいただいた御意見でござい ます。まず、やはり多量に飲酒する人の減少というところについては、今後いっそう、 より有効な施策を講じていく必要があるだろうと。下の欄でございますが、未成年者の 飲酒対策と成人の多量飲酒者の減少対策といったものが鍵ではないかと。その下のしろまるで ございますが、そういう意味で、関係省庁との連携・協力が重要ではないかという御指 摘をいただいております。 次のページ、6ページでございます。「歯の健康」、宮武先生でございます。全体的 には、最終年度には目標値に到達できると予測はできると。しかし、地域差が見られる ので、地域特性に応じた対策の推進が重要ではないかということで、乳児期、学童期の 対策については、地域の特性に応じたフッ化物洗口等の推進が重要ということと、歯周 病予防という観点からも、禁煙支援の体制を歯科領域でも確立していくことが重要では ないかという御指摘をいただいております。 7ページ、「糖尿病」については、門脇先生、岡山先生からいただいた御意見でござ います。肥満者は中高年男性で増加、日常生活における歩数も男性で減少していると。 そして、事後指導の受診率、治療の継続率に関しては、目標に達しておらない。合併症 のさらなる増加も懸念される状況ということですので、3つ目のしろまるですが、一次予防、 二次予防とも、さらに糖尿病への積極的対策が必要だと。 具体的には下の欄、特に中高年男性を意識した肥満対策が重要。事後指導の受診率が 低い60歳未満に対する事後指導の充実が必要。それから、合併症予防には治療継続の環 境整備や、治療中断者に対するフォローが必要と、こういう御指摘をいただいてござい ます。 8ページ、「循環器病」につきましては、脳卒中、虚血性心疾患等の死亡率は改善傾 向にある。一方で、ハイリスク者対策をさらに充実させていくということが重要だろう ということで、対策としては、栄養・運動についての環境整備、健診の未受診者減少対 策と健康診断における有所見者への積極的な事後指導等の働きかけ、それから発症状況 把握の体制整備といったものが必要だということでございます。 最後、「がん」でございます。がんにつきましては、山口先生からいただいた御意見 ということで、がんの一次予防について、生活習慣の改善目標という点では、なかなか 達成が難しいのではないか。それからまた、がん検診は受診率を増加させていくという ことが重要ではないか、という御指摘をいただいているところでございます。 以上の御意見を踏まえまして、資料3でございます。これまでの御意見を踏まえまし て、これからの生活習慣病対策をどのように進めていくのかということについて、その 基本的な考え方をビジュアルな形でわかりやすく整理をさせていただいたというのが、 資料3でございます。論点整理、さらにはワーキングチームからの御意見を踏まえて、 大きな生活習慣病対策に対する基本的な考え方、及び今後の取り組み方策のフレームと いったものを整理したペーパーでございます。 1ページでございます。「生活習慣病対策の総合的な推進について」ということで、 実は最初の4ページというのが、生活習慣病の現状と特性と、それに対するどのような 対応が必要なのかということ。そして5ページ、6ページが、今後必要なことを、「健 康づくりの国民運動化」ということと、「網羅的、体系的な保健サービスの推進」とい うことに最終的には整理をさせていただいておりますので、それぞれについて、5ペー ジ、6ページという形で整理をさせていただいています。 まず、1ページでございます。生活習慣病の現状ということについては、生活習慣の 変化や高齢者の増加によって有病者、予備軍が増加しておるということで、大変粗い推 計でございますけれども、点線の中に囲ってあるような有病者予備軍の状況があるとい うことでございます。ただ、これはあくまで粗い推計でございまして、国民健康・栄養 調査や糖尿病実態調査の結果をもとに、学会等で定められました診断基準を当てはめて 仮に推計してみたらこのようになるということでございます。こうした糖尿病から心筋 梗塞、さらにはがんといったものに対して、総合的な対策の実施が急務だということで ございます。こうした生活習慣病対策は、短期的な効果は必ずしも大きくはないが、中 長期的には健康寿命の延伸、医療費の適正化等への重要な鍵となるということでござい ます。 右のほうの欄でございますけれども、肥満という方を捉えて、肥満の方がどの程度の 生活習慣病をお持ちなのかということのデータを整理させていただいておりまして、8 割ほどの方が肥満かつ糖尿、高脂血症、高血圧といったような状況をお持ちだというこ とでございます。 下の欄でございますが、生活習慣病対策を着実に実施していくことによって、発症を 抑制する、さらには重症化を抑制していけるということでございます。そうすることに よって、発症水準に達する度合いが低くなるということと、その結果としてですが、医 療費の適正化といったものにもつながっていくという図でございます。 2ページでございます。これは釈迦に説法的なものもありますが、国民の方に対して 生活習慣病を御理解いただくための基本的な知識を整理させていただいたものが、2ペ ージ、3ページでございまして、まず生活習慣病というのは、食生活、運動、喫煙とい ったものに起因する病気だと。それで、これがメタボリックシンドロームとしての肥 満、糖尿、高血圧、高脂血、さらにはこれらの予備軍ということでございます。自覚症 状に乏しく、日常生活に大きな支障はないが、健診で発見された後、基本となる生活習 慣の改善がなされないと、脳卒中や虚血性心疾患、心筋梗塞、さらにはそれが重症化し ていき、合併症といったものにつながっていくということを示しております。 また、喫煙につきましては、動脈硬化の促進等から、脳卒中等の発症リスクの増大、 さらにはがん等の発症リスク増大につながるということでございます。ただ、がんにつ きましては、糖尿病型の生活習慣病とは異なり、健診で発見された後は生活習慣の改善 というよりも、早期治療といったことが優先されるということでございますので、がん につきましては、がん検診を普及する、そして発見された後、早期に治療する。そして その治療水準といったものが、全国で質の高い標準的な医療を受けられるための均てん 化といいますか、そうしたものが必要ということで、別途、そうした取り組みが要ると いうことになっておりまして、まさに治療優先型の疾病かなと。これにつきましては、 本日、最後に先般取りまとめられました均てん化の報告書といったものを紹介させてい ただきたいと思っております。 一番下でございますけれども、しろまるが3つございます。不健康な生活習慣の継続によっ て、予備群、病気、重症化、生活機能の停滞と、段階的に進行していくという流れを示 したものでございます。どの段階でも、生活習慣を改善することで進行を抑えることが できると。とりわけ、予備群とされる境界領域期での生活習慣の改善をしっかりしてい くということが、大変重要ではないかということを指摘させていただいているところで ございます。 3ページでございます。生活習慣病の発症・重症化予防ということですが、高血糖、 高血圧、高脂血、内臓肥満などといったものは、独立して別々に進行するのではなく、 1つの氷山があり、それが水面上に出たいくつかの山であると、いわゆるメタボリック シンドロームの1つの具体的な現われとしての現象だと。投薬だけでは水面に出た氷山 の1つの山を削るだけなので、根本的にはやはり運動習慣の徹底と食生活の改善をして いくということによって、氷山全体を縮小していくことが重要だということでございま す。 運動習慣の徹底によって、消費エネルギーを増大させ、心身機能を活性化させてい く。そして代謝の活性化をし、よいホルモンの分泌を促す。食生活の改善によって、摂 取エネルギーの減少、正しい栄養バランスということで、代謝の活性化、内臓肥満の減 少、不都合なホルモン分泌を下げていくということで、適正な血糖、血圧、血中脂質と いうことで、体重、腹囲が減少すると。その結果、国民お一人お一人が達成感、快適さ というものを実感していただくということになるのではないか、ということでございま す。 4ページでございます。そういう観点からは、生活習慣を改善していただくというこ とで、基本は、1に、しっかり運動をしていただく。2に、バランスのとれた食事をし ていただく。そして、しっかり禁煙をしていただいて、まさに薬に頼るのは最後の局面 だということのメッセージをしっかり国民にお伝えし、そしてそうした運動、栄養、禁 煙がしっかりできる環境整備を図っていくということが重要だということでございま す。 左の欄でございますけれども、運動、栄養については「健康日本21」で、すでにこ うした目標値を提示させていただいているところでございますし、右の欄でございます が、アメリカのデータでございますけれども、糖尿病の発症に対しましては、治療薬の 使用では31%相当が抑制されるということですが、生活習慣をしっかり改善することに よって、58%分が抑制されていくというデータがございます。まさにこうしたことに基 づき、「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」といった形でのメッセー ジ発信と、それをサポートできる環境整備が重要ということでございます。 一番下、その支援のためには2つ、まず健康づくりの国民運動化、そしてもう1つが 網羅的・体系的な保健サービスの推進といったことが重要だということでございます。 5ページでございます。健康づくりの国民運動化を進めていくという1つの柱につき ましては、いわゆるポピュレーションアプローチということでございまして、社会全体 への啓発といったことであります。生活習慣病の特性、予防・治療に関する正しい知識 を共有すると。そして、生活習慣を改善しようと思っていただいた方が容易に取り組め る環境整備ということ。そういう中で、国民に達成感、さらには快適さを実感していた だくということが重要ということでございます。 そういう意味では、すべての方にわかりやすいメッセージが繰り返し提供されるとい うことが重要でありますし、身近で無理なく、継続して取り組めるサービスが提供でき るという体制を整備していくことが重要だと。そうした観点から、国、都道府県、市町 村、医療保険者、医療機関、教育機関、マスメディア、企業等の関係機関が連携をして やっていく必要があるということでございます。 6ページでございます。それとともに、ハイリスクアプローチという観点からは、網 羅的体系的な保健サービスの推進ということでございまして、まず国民は、しっかり健 診を受診していただく。そして、有病者予備軍は必ず保健指導をきちっと受けていただ くということが重要だろうと。医療保険者、市町村、事業主等の健康増進事業実施者 は、適切な健診機会を提供し、保健指導をしっかりやっていくということです。そして 都道府県は、住民の健康度把握のためのデータ収集・分析・評価をし、都道府県健康増 進計画の策定を通じた、医療保険者や市町村等との役割分担や連携促進のための体制整 備を図っていくと。 国は、関係者が最大限活躍していただける仕組みづくりと、科学的根拠に基づいた健 診、保健指導のプログラムといったものの開発、評価といったものをやっていくと、そ れで、こうしたハイリスクアプローチについては、医療機関と連携をとっていくという ことでありますし、医療機関におかれましても、有病者への保健指導といった側面をよ り充実、強化をしていただければということでございます。 下に、大雑把な図でございますけれども、国は基本的事項の指針を策定するというこ とで、仕組み、体制を整備する。それと、エビデンスに基づいたプログラムといったも のを開発していくということでございます。そうしたことを踏まえて、都道府県が健康 増進計画の策定を通じて、関係者の役割分担、連携をしっかり確保していく体制をとっ ていく。そして、その下で、医療保険者、事業主、市町村といったものが保険者協議 会、さらには地域・職域連携推進協議会といった場を活用し、それぞれの役割分担なり 連携といったものを確認しつつ、民間事業者の活力を生かしながら、国民に対してサー ビスを提供していくと、そういう体制を今後目指していくべきではないかという形で整 理をしたものでございます。 以上、これまで5回にわたる御意見、さらには中間評価作業チームの御意見を踏まえ て、今後の生活習慣病対策室を進めていくにあたっての基本的なメッセージの内容と取 り組みの大枠について整理した資料を説明いたしました。以上でございます。 久道部会長 はい。どうもありがとうございます。大変広範囲にわたったことを、整理していただ きました。本部会の論点の整理、それから、「健康日本21」中間評価作業チームの総 合評価。たばこについては、このあと参考人の尾嵜先生から詳しくお話がありますの で、そのあとに御質問いただきたいと思いますが。それから、最後には生活習慣病対策 の総合的な推進、この3つを資料に基づいて説明いただきました。 何か、皆さんから質問あるいは御意見。自分がお話しになったことで、取り上げられ ていないというふうなこともあろうかと思いますが、何か御意見がありましたら、どう ぞ。いかがでしょうか。 加賀谷委員 よろしいでしょうか。資料1の最後の都道府県、13ページです。この前、私が質問と いう形で申し上げた意見が、あまりクリアーでなかったと思いますので、申し上げたい と思いますけれど、13ページのところで、具体的には14ページの下から3つ目あるいは 4つ目の、市町村の栄養士、あるいは保健師の役割ということについて取り上げられま したけれども、このときに運動指導の専門家の配置率というような形で。 質問という形でさせていただいたので、ちょっとポイントがはっきりしなかったと思 いますが、やはり運動指導の専門家の配置を高めるべきではないかということと、ある いは運動指導の専門家の活用を、市町村でぜひするのがいいのではないかと。それが運 動をみんなで進めていく上で重要ではないかと、そういうような意図で申し上げました ので、もし取り上げていただければありがたいです。 久道部会長 はい。それでは、それは入れていただいてですね。ほかにはございませんか。はい、 どうぞ。 中村委員 「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、5にクスリ」というのは、大変いいキャッチ フレーズだと思って、私、感激したのでございますが、できれば、健康づくりの最後の 総合的な推進の資料3の5ページでございます。 久道部会長 資料3の5ページだそうです。4ですか。4ページから5。 中村委員 4から5に。5ページの1に赤い字で、「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、5に クスリ」と書いてありますが、できたら1に食事をしてもらいたかったのですが。まあ これはいいとして、やっぱりしっかり禁煙が3で、4がなくて、5にクスリというとこ ろが、つくられた方の大変重要な意味が含まれているのではないかというふうに僕は読 み取ったのですが。というのは、4がなくて5にクスリというのは、やっぱり薬という のは最後の手段と考えた位置づけにしたらどうかという発想なのではないかというふう に思いました。 前回も私、お話しさせてもらったのですが、やはり生活習慣病というのは、生活習慣 を改善するというのを基本にすべきであって、それを優先して、最後のときにはやはり 薬に頼らざるを得ない状況も生じるという意味が含まれて、5にクスリというのが入っ ているのではないかというふうに、私は勝手に読み取ったのですが、いかがなのでしょ うか。 久道部会長 はい、どうぞ。 中島生活習慣病対策室長 御指摘1点目。運動と食事の順番でございますが、これはもう甲乙つけがたいという のが本音でございまして。1に食事と運動、運動と食事と、こういうふうに書きたいわ けですが、いろいろ見てみますと、正直申し上げて、栄養面についても課題はまだまだ 多うございますけれども、かなり栄養については、運動と比べますと知識の普及や施策 の体系化というのが進んでいるのかなというところもありまして、今後は運動について の意識なり、運動についての施策の充実ということが重要なのかという思いもあって、 微妙な差で、あえて「1に運動」とさせていただいたというところを御理解いただけれ ばと。 それから、5にクスリというのは、私も説明させいただいた時に、最後にという形で 説明をしたわけで、この運動、食事、禁煙とともに、クスリがパッケージというつもり では全然ないわけで、まさに「5にクスリ」というのは、これはもう「最後にクスリだ よ」という意味での「5に」だという形で、ここのペーパーも書いておるつもりでござ います。 中村委員 ありがとうございます。 加藤(尚)委員 4はないんですか。4番目が薬なのに、「5にクスリ」になっているのは、4は? 中島生活習慣病対策室長 実は、「1に運動、2に食事、3、4で禁煙、5にクスリ」というふうにしようか、 いろいろ議論をしたのですが、「3、4に禁煙」というより、「しっかり禁煙」と。ま あ、ちょっと趣味的なあれなのですが。3,4というのが禁煙だというふうな理解でご ざいます。 久道部会長 いかがですか。これに何か。加藤委員、どうですか。 加藤(陸)委員 いや、大分工夫をされたあとがよくわかりますので。まあ、いろんな言い方はあると 思いますけれども、方向性さえしっかり持っていただければ、「安易に薬に頼るなよ」 ということかなと受けとめてはおりますけれども。 久道部会長 はい。ほかにはございますか。どうぞ、多田羅委員。 多田羅委員 13ページの......。 久道部会長 資料1ですか。 多田羅委員 資料1の13ページの都道府県の責務と役割のところの、右のほうのしろまるのほうで、「都 道府県は保健所等を通じ、市町村計画の策定を積極的に支援すべき」となっておるので すが、健康づくりに対して市町村が主役であることは十分理解しているのですけれど も、やはり保健所の役割というのは基本的に不可欠なものではないかと思います。それ に対して「保健所等を通じ」というのは、どうも保健所が通じられるというのは、ちょ っとつらい感じがするので、やはり保健所は特に都道府県のその次にございます役割を 果たすのに対して、非常に大きな位置にあるのではないかという観点で、やはり保健所 はこういう中で担う役割というものは、「保健所は」という文章をやはり一部入れてい ただきたいというふうに思います。 久道部会長 渋谷委員、どうですか。 渋谷委員 ありがとうございます。確かに保健所の役割は非常に重要だというふうに考えており ます。特に市町村の計画を策定支援するということに関しては、大変重要な役割を担っ ていると思います。 久道部会長 はい。今の御意見をどうぞ生かしていただきたいと思います。ほかにございません か。それでは、なければまたあとで戻ってもよろしいですから、そのときにご質問いた だければと思います。 それでは4番目の「健康日本21」中間評価におけるデータ分析。これはたばこにつ いてですが、それをまずやっていただいて。尾嵜参考人から御説明いただきます。その あとに、資料5の「平成15年度国民健康・栄養調査結果の速報」、それから個別分野の 施策ということで、そのあとに中島室長からお願いします。それでは最初に尾嵜参考人 から、どうぞお願いします。 尾嵜参考人 鳥取大学の尾嵜と申します。よろしくお願いします。資料4−1の2ページをごらん ください。今回、中間評価できるたばこ分野の目標項目は、ここにあります「喫煙が及 ぼす健康影響についての十分な知識の普及(知っている人の割合)」。肺がん、喘息、 気管支炎、心臓病、脳卒中、胃潰瘍、妊娠に関連した異常、歯周病という、この1つの 目標項目のみです。そのほかはまだ研究班その他による調査中であります。 この項目については、ベースラインは平成10年度の厚生労働省、当時厚生省が行いま した平成10年度喫煙と健康問題に関する実態調査であります。中間の現状値が、平成15 年国民健康・栄養調査の結果であります。この2つの調査の調査方法、調査客体、調査 項目の聞き方、ほぼ同様でありまして、この2つのデータの比較は可能であると判断し ております。 そして、統計的な検定もいたしまして、肺がん、喘息、心臓病、脳卒中、妊娠に関連 した異常、歯周病に喫煙するとなりやすくなると思う人の割合がふえたということを確 認しております。 4ページです。図1が、それに関連したグラフであります。向かって左が側の棒が平 成10年、右側が平成15年ということで、気管支炎と胃潰瘍について有意差はありません でしたが、あとは増加という結果でした。知っている人の割合が高いのが、肺がん、妊 娠に関連した異常、気管支炎、喘息の順でした。ですから、気管支炎、胃潰瘍はふえて いないということと、歯周病、胃潰瘍、脳卒中、心臓病は、まだ半分に満たないという ことで、いずれも目標値が100%でありますので、中間の状況では、いずれも目標に達し ていないということです。 3ページを見ていただきますと、詳細なデータの分析をいくつかあげております。男 女差と改善度と、年齢別の特徴ということを検討をしております。5ページにあります 図2を見ていただきますと、図の半分から左側は、男女差を平成10年と15年でみたもの です。多くの項目で女のほうがかかりやすくなると回答した割合が高いので、女性の割 合マイナス男性の割合を示しており、ゼロから上のほうに行くと、女性のほうがかかり やすくなると回答した割合が高い項目、そして下のほうに行くと、むしろ男性のほうが かかりやすくなると回答した割合が高い項目だということです。 妊娠に関連した異常とか、肺がんについては、平成10年度で男女差が大きくなかった のですが、15年では、喘息、歯周病も男女差が大きくなりました。心臓病とか胃潰瘍に ついては、男性のほうの回答割合のほうが高かったわけですが、その差が平成15年には ほぼなくなっていました。妊娠に関連した異常は、男女差が一番大きかったわけです が、その大きさがやや縮まったという傾向が確認されております。 図2の向かって右側が男女別にみた平成10年から15年への改善度を示しています。平 成15年の値マイナス平成10年の値ということで、改善度を見ましたら、ほとんどの項目 で改善が見られましたが、特に改善度が大きかったのが、脳卒中、歯周病、心臓病、女 性の喘息などでありました。 このように、ほぼ一貫して女性の回答割合のほうが男性よりも高いのですけれども、 項目によって差がある。改善度も項目によって差がある。かえって差が広がったり、小 さくなったり、改善度が非常に大きい項目があったり、あまり動かない項目があったり というような特徴がございます。残念ながら、年齢別の検討は平成15年のデータでしか できませんでしたが、それが6ページの図3以降にあります。例えば6ページの図3の 肺がんは、いずれの年代も喫煙により肺がんにかかりやすくなると回答する割合が高い のですけれども、中でも若い世代においてそれが高い。そして、女性のほうが高いとい う傾向が確認できます。 7ページの図4を見ていただきますと、喘息では、若いほうが回答割合が高いという 傾向は認められません。比較的男性は高年齢、女性は40歳代とか60歳代が高いという形 です。 8ページの図5、喫煙と気管支炎についても、似通った特徴が確認されます。 9ページの図6は、喫煙と心臓病ですが、これは男女とも30歳代、40歳代、50歳代あ たりが少し高い傾向が認められます。 図7の喫煙と脳卒中ですが、若い世代で、かかりやすくなると回答する割合が高い傾 向が認められます。 11ページの図8は喫煙と胃潰瘍ですが、70歳以上で回答割合が高いということが認め られます。 12ページの図9ですが、妊娠に関連する異常と喫煙は若い世代での回答割合が高いと いう傾向が認められます。高齢になりますと、男女差が大きくなるのですが、若い世 代、20歳代、30歳代、15〜19歳だと、それに比べると男女差が少ないということが認め られます。 13ページの図10ですが、喫煙により歯周病にかかりやすくなると回答した者の割合 は、きわめて年齢との関係が強くて、若い世代での回答割合が高いという傾向が認めら れます。 このように、喫煙と関連した項目の回答に男女差が認められ、改善傾向も異なってい る。そして、項目によって、異なる様相を呈して、年齢・階級別の特徴が形成されてい るということが認められました。なぜこういう差が生まれたのかということを、1つは 両調査を性・年齢別喫煙状況別に分けて分析するということで、解明できる可能性があ りますし、啓発の方法内容、発信している情報、啓発している場面等により、この差が なぜ生まれたのか、学校教育とかも含めた検討も必要かもしれません。今後は、まだま だ知識が不十分なところを、日常診療に関係した介入も含めて、もっと広範に介入して いく必要があるのではないかということを考えました。以上です。 久道部会長 どうもありがとうございます。たばこに関しては、あとで報告のある健康・栄養調査 の結果でも出てまいりますので、そちらのほうを説明いただいてから議論したいと思い ます。 それでは中島室長、お願いします。 中島生活習慣病対策室長 それでは資料5でございます。平成15年国民健康・栄養調査結果の速報ということ で、その概要と参考トピックスという紙をつけさせていただいて、それとともに調査結 果の概要をまとめた冊子のようなものをつけさせていただいております。平成15年か ら、実はそれまでは国民栄養調査でありましたものを、この15年から健康・栄養調査と いう形で充実、強化をさせていただいて、そして15年については、たばこに重点を置い た調査をさせていただいたということでございます。この冊子になっているほうで、ポ イントのみを御説明をさせていただきたいと思っております。 冊子になっております3ページでございます。「たばこに関する状況」ということで ございます。まず、現在、習慣的に喫煙している者の割合は、男性で46.8%、女性で 11.3%というところです。ただ、これまでの、14年までの調査と15年の調査、喫煙の定 義といったものが変わっておりますので、ちょっと経年変化をすることはなかなか難し いかと思っておりますけれども、実態として、下に書いてございますような定義で喫煙 している者という形でお尋ねをして、このようなデータが出ております。 5ページでございます。たばこが健康に与える影響について、「とても気になる」と いうことについては、やはり女性のほうが5割以上の方であります。成人男性になりま すと、それと比べて下がると。3〜4割にとどまるということでございます。 それから6ページ、たばこが健康に与える影響の知識については、先ほど尾嵜参考人 のほうから御説明いただいたとおりでございます。 それから7ページ。現在習慣的に喫煙をしている方で、たばこをやめたいかどうかと いうことなわけですが、「たばこをやめたい」と回答された方は男性で4人に1人、女 性で3人に1人でございました。「たばこをやめたくない」と、「やめるつもりはない 」とおっしゃった人は、男性の4人に1人、女性の5人に1人ということでございまし て、女性のほうがやめようとする志向が強いのかと。本文の下から2行目でありますけ れども、「やめたい」と、さらには「本数は減らしていきたい」という方を合わせます と、全体で約7割の方が、やめるか本数を減らしたいと思っておられるということでご ざいます。 8ページでございます。禁煙のチャレンジということでございますけれども、現在、 習慣的に喫煙しておられる方で、禁煙を試みたことがあるという方は、男性で5割、女 性で6割ということで、それぞれ半分以上の方は禁煙をしようということでチャレンジ をされておられるということでございます。 10ページ。では、何本を毎日吸っておられるのかということでございますけれども、 男女とも日に11本から20本吸っておられると回答された方の割合が高いと。ただ、40歳 代、50歳代男性の2割は31本以上吸っておられるということで、ヘビースモーカーの割 合が結構高いのかなということでございます。 11ページでございます。受動喫煙について、今回調査をしてみまして、たばこを全く 吸ったことがない、またはこの1か月間吸ってはいないと回答された方で、家庭または 職場で他者の煙を吸う機会が多かった方ほど、血中のコチニン濃度が高いということ で、まさに受動喫煙の影響といったものが現われているということでございます。 12ページでございます。たばこと並びまして肥満、運動習慣といった形でございます が、まず30歳代から60歳代男性の3割以上が肥満だと。そして、20歳代女性の2割以上 がやせという結果が出ております。 そして14ページでございますが、30歳代から60歳代男性の約3割が上半身肥満の疑い があるということでありまして、上半身肥満、さらには内臓脂肪型肥満といったものの 判断基準については、参考までに下のほうに付けさせていただいております。 実はこの資料5の3枚目に、参考ということで、トピックス的なものとして1枚つけ させていただいております。今回の15年の健康・栄養調査から、データだけを単に拾っ ていくと今のような話になるわけですが、20歳代女性、30歳代・40歳代男性の食生活、 運動、喫煙について、特徴的なものが出ているかと思って、試みにまとめさせていただ いたものがこれでございます。 まず、この15年の健康・栄養調査の結果から、20歳代女性については、まず女性にお いてやせていると、低体重だという方が、年齢階級別に、やはり20歳代女性が一番多い ということでございます。約4人に1人、23.4%ということです。 それと、運動習慣があるという方の割合も、実は一番運動習慣があるという方の割合 が低いのが30歳代ですが、それに次いで、女性で運動習慣があると答えられた方は15.6 %に過ぎないということ。それから喫煙については、女性の中ではやはり20歳代女性の 方の喫煙をしておられる割合が最も高い。しかし一方で、たばこをやめたいのだとか、 禁煙にチャレンジしたことがあるのだと回答された方も、女性の中では最も高いという 傾向が出ておるわけでございます。 そういう意味では、いわゆる低体重で、運動習慣がそれほどなくて、そして喫煙と。 やめたいけれども、なかなかやめられない。女性の中では最もたばこを吸っているとい うことでございまして、ここら辺の20歳代の女性、これから御家庭を持ち、子育てに従 事していかれるであろう方の、やはり栄養の知識なり、運動の問題、さらには喫煙とい ったものについて、やはり1つのターゲットとして考えていく必要があるのかなという のが1つでございます。 それから、30歳代・40歳代男性ということでございますが、まず(1)でございます けれども、上半身肥満が疑われるという方の割合は、男性の年齢階級別に見ると、40歳 代、30歳代という順番になってくるわけでございまして、いわゆる上半身肥満が多い 世代ということでございます。 それから(2)でございますけれども、運動習慣がないという方の割合というのが、 40歳代、30歳代が高い。運動習慣といったものが、年齢階級別に見ると最も運動習慣が ないと答えられているのが、40歳代、30歳代。 それから栄養のほうを見ますと、30歳代の男性を見ると、脂肪エネルギー比率が高い と。20歳代とともに、適正比率を超えている。外食等の機会が多いのか、油ものをとる 傾向が多いのか。いわゆる脂肪エネルギー比率が、30歳代男性は高いと。それから、野 菜の摂取量というものも、20歳代が最も低いわけですが、30歳代、40歳代もかなり低い という傾向が出ております。 それから(4)でございますけれども、男性で習慣的に喫煙しているという方の中 で、最も年齢階級別に高いのが30歳代、次に20歳代、次に40歳代ということでございま して、喫煙をしておられる方の割合というのも、30歳代、40歳代男性は高いと。すなわ ち、上半身肥満で運動習慣がなく、脂肪エネルギー比率が高くて、野菜摂取量が低く て、喫煙の割合が高いということでありまして、まさにメタボリックシンドロームの、 先ほど御説明したような予備群ということでありまして、そういう意味では、30歳代、 40歳代の方へのターゲットというものも、今後、大変重要になってくるのかなと。 これは単年の、15年の栄養調査の結果からだけの結果でございますので、どこまで妥 当かどうかわかりませんが、こういう形で整理をしてみると、20歳代女性の問題、30歳 代・40歳代男性の問題といったことが、今後の健康づくりのターゲットの1つとして考 えてもいいのかなということでございます。 それと、次にたばこのことに関しまして、資料4−2でございます。すでにたばこに ついては、中間評価とは別に、施策については、この2月の本部会に同じ資料を提出さ せていただいておりますが、本日、尾嵜先生のほうからの御報告、それから健康・栄養 調査の15年の結果がまとまったということもありますので、もう一度、たばこ対策につ いて、これまで行政としてどのようなことをしてきたのかということを、改めて簡単に 御説明をさせていただきたいと思って、再度、配付をさせていただいております。 たばこにつきましては、一番上の欄でございますけれども、「健康日本21」では、 4つの分野、フィールドについて目標を設定していると。知識の普及、未成年者の喫煙 防止。受動喫煙対策、禁煙希望者への禁煙支援ということでございます。 それから、厚生科学審議会が14年12月におまとめいただいた意見では、たばこについ ては、喫煙率を引き下げ、たばこの消費を抑制し、国民の健康に与える悪影響を提言さ せていくことが必要だという形で御指摘をいだだいているわけです。それで、WHOの 方でのたばこ枠組み条約も2月に発効したところでございまして、政府としては14省庁 からなる関係省庁連絡会議を設け、局長級からなる会議でございますが、連携を図りな がら施策を推進していくという体制を整備させていただいたところでございます。 これまでの具体的な施策としては、まず知識の普及という点では、5月31日が世界禁 煙デー、そこから始まる1週間が禁煙週間ということでございますので、シンポジウム やポスターの配布等で啓発・普及活動をやっているということでございます。本年、17 年のWHOのテーマが、たばこ規制における保健医療専門家の役割という形になってお りますので、本年の禁煙デー、禁煙週間の取り組みにつきましては、保健医療専門家と いうことで、医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会の御理解と御協力を得ながら、 行政とも協力をしていただきながら、普及・啓発活動をやっていきたいということで、 お願いをしておるところでございます。 それから、ここには書いてございませんけれども、十分な知識の普及という観点で は、現在、財務省の所管にはなってございますけれども、たばこのパッケージ表示の問 題、それから、たばこ広告の規制の問題といったものも重要な論点としてあるところで ございます。 それから2番目のフィールド、未成年者の喫煙防止という点では、未成年者の喫煙防 止法ということで、警察庁のほうにおける取締法。それから成人識別機能つきたばこ自 販機の設置ということを、現在、たばこ関係の業界のほうでは取り組まれているところ でございまして、平成20年からの全国一斉稼動を目指して、現在、モデル事業が種子島 においてやっておられると伺っております。 それから、未成年者喫煙防止に向けては、例年、関係省庁による指導徹底通知のお願 いをしておるところでございますし、先ほど申し上げましたたばこ対策省庁連絡会議の 下に、5省庁、内閣府、警察庁、財務省、文科省、厚労省の5省庁からなる、未成年者 喫煙防止対策ワーキンググループというのを特別に設けさせていただいて、検討をしよ うとしておるところでございます。 受動喫煙対策でございますけれども、受動喫煙防止については、分煙効果判定基準を お示しをして、健康局長のほうから都道府県のほうに受動喫煙防止措置を講じていただ くような取り組みを期待する旨、通知をさせていただいておりますし、このところでも 御紹介いたしましたが、地方自治体庁舎等において、どれだけ禁煙・分煙が進んでいる のかということの調査もしているところでございます。関係省庁連絡会議においても、 受動喫煙防止、公共的な施設において、どの程度禁煙・分煙が進んでいるのかというこ とを、それぞれの省庁、所管分野において取り組んでいただくように、お願いはしてお るところではございます。 それから、17年度予算ではたばこ対策緊急特別促進事業ということで、モデル的な 取り組みに対して支援をさせていただこうと思っております。 次のページでございます。禁煙支援プログラムという点では、たばこ対策担当者講習 会というのをやっております。従来は都道府県、政令市、特別区という自治体のみが対 象でございましたが、昨年度からは医療保険者とか、労働安全衛生法における安全衛生 担当者といったものの参加も求めて、広く職域・地域連携した形で、たばこ対策、禁煙 支援プログラムの普及をしていく体制を図っております。 それから本年度の予算では、禁煙指導プログラムを策定するということになっており ますので、それについても取り組んでまいりたいと。それで、その他のところの2つ目 のしろまるですが、たばこ対策にかかる組織の拡充ということで17年度から、我が本省におき まして、たばこ対策の専門官,それから保健医療科学院においては調査・研究体制とい うことでの担当職員ということで、厳しい定員状況の中で、たばこ対策の組織・定員の 拡充といったものが図られているということを御報告申し上げます。以上でございま す。 久道部会長 はい。どうもありがとうございます。それでは皆さんから御意見、御質問をいただき たいと思いますが。それでは冨永委員。 冨永委員 ただいま中島室長が御説明になりました最後の資料に関連しまして、我が国ではかな り広範なたばこ対策を進めておりますけれども、まだまだ不十分だと思っております。 御承知のように、今年の2月27日には、たばこ規制枠組み条約が発効いたしました。 その条約の中では、相当強力にたばこ対策を推進しなければいけないとわけです。きょ うは時間の関係もございますから、4点だけに絞って、特に厚生労働省の立場で十分考 えなければいけない部分について、意見を述べさせていただきます。 第1点は、先ほど中島室長から御紹介がございましたように、平成14年12月25日の当 部会、健康増進栄養部会では「たばこ対策をいっそう推進して、喫煙率を引き下げ、た ばこ消費量を下げるようにすること」ということをきちんと述べております。平成12年 に策定しました「健康日本21」では、たばこ対策について、いくつかの数値目標を設 定しました。きょうは尾嵜参考人から、喫煙の健康に及ぼす影響に関する知識の変化に ついての御説明があったところですが、ほかにも指標がございます。当時、いろいろ設 定された指標の中で、大事な指標と考えられていたのは、喫煙率の半減です。ところが これは当時、たばこ業界や国会で非常に反発が強くて、撤回せざるを得なかったわけで す。これは大変遺憾なことでした。 しかし、その後、たばこ問題に対する考え方、あるいは社会環境も大変変わってきて おりますので、やはり今年の、平成17年の「健康日本21」の中間見直しを契機にしま して、この喫煙率の低下を数値目標に加えるべきではないかと思っております。これは 必ずしも平成12年に設定した半減でなくても、現時点から2010年までに相当努力して達 成可能だと思われる妥当な数値を、別途検討すればいいかと思っております。 2番目は、たばこの自動販売機の規制の大幅強化、あるいは将来的には撤去すること ですが、これは先ほどの御説明でもありましたけれども、業界では成人識別機能つきの たばこ自動販売機の試行をして、導入予定でありましょうけれども、カードの貸し借り など抜け道も考えられますので、これは不十分です。未成年者の多くは、自動販売機か らたばこを入手しています。高校3年生の男子では75%が自動販売機からたばこを入手 しております。ですから現在、「健康日本21」の数値目標のもう1つのほうに、未成 年者の喫煙をゼロにするというのがあります。これは大変難しいことでございますが、 これを達成するためには相当手荒なことをしないといけないわけです。ですから、自動 販売機の規制を本当に大幅に強化するか、あるいは将来的には撤去をしないといけない と思っております。これはたばこ枠組み条約でもうたっていることです。 3番目の点は、受動喫煙の防止政策の強化でございまして、これは平成15年5月に施 行された健康増進法がきっかけになりまして、全国的に急速に進んでいます。特に保健 医療施設、あるいは学校、地方公共施設などでは、もうすでに喫煙室などを設置しない で、建物全体を禁煙化、あるいは一部の学校、病院などでは、敷地内禁煙を進めている 状況です。地方でもいろいろ工夫していますけれども、私がみるところ、まだ中央1省 庁の受動喫煙対策が遅れている観がございます。いろいろ調査をやることもいいのです けれども、やはり関係省庁がみずから範を示して、受動喫煙対策に取り組んでほしいと 思います。 そのほか、個人的に痛感していることですけれども、飲食店の受動喫煙対策が非常に 遅れております。禁煙席さえないところが、まだ現在非常に多いわけです。ですからこ れも、強力に行政指導していただきたいと思っております。 最後になりますが、大変重要な点ですが、たばこ価格を大幅にアップする必要がござ います。これは以前も部会で繰り返し御意見が出されております。我が国ではたばこ価 格が諸物価に比べますと非常に安いです。ですからそのことも、高い喫煙率の一因にな っていると思われます。今、1箱300円程度ですと、未成年者でも簡単に小遣いでたばこ を入手することができてしまいます。ですから、未成年者の喫煙防止対策に対しても、 たばこ価格を大幅に上昇することが効果的でございまして、これは世界銀行の調査で も、たばこ価格を上昇すると未成年者の喫煙率が低下するということがきれいに示され ております。 朝日新聞の社説では、1箱1,000円ぐらいまで上げたらいいというようなことも書い てありましたけれども、私はそこまでいかなくても、欧米先進国並みに500円、高いと ころでは800円ぐらいのところもございますので、数百円程度には上げるべきだと思っ ております。この場合、税金の部分だけ上げないで、たばこ価格全体を上げるようにし て、たばこ業界にもあまり大きな経済的打撃がないように配慮をしないと、うまく受け 入れられないのではないかと思っております。たばこ価格を例えば500円なり600円にし ますと、一部の人は禁煙するかもしれませんけれども、相当の増税・増収になることは 確実でございまして、最低でも数千億円の増税・増収になっています。 この点につきましては、特に土屋委員も何回も言っておられますし、前回には北村委 員も御指摘になりましたし、松本委員もこの件は強調されました。ですから、たばこ価 格の上昇によって生み出された増収分、あるいは増税分を、例えば禁煙指導料の導入、 あるいは禁煙支援に役立てる、あるいはたばこに関する健康教育などに活用すべきでは ないかと思っております。たばこ価格の上昇とか、自販機の規制の強化は、もちろん厚 生省の直接の管轄ではありませんけれども、幸い、関係省庁の連絡会議も設置されてお りますので、関係省庁と協議しながら、ぜひこの点を含めて進めてほしいと思います。 以上です。 久道部会長 どうもありがとうございます。はい、どうぞ。 土屋委員 ただいま、冨永先生のほうからお話がございましたけれども、私ども日本医師会を初 め三十数団体で国民医療協議会というものを立ち上げております。先日の総会におい て、世界禁煙デーに合わせて、全国的な一層の禁煙を推進しようということになりまし た。 その中で、私もこの会でかつて提案いたしましたけれども、たばこ税を引き上げると いうことが、増税というようなニュアンスでとられますと、国民の皆さんに正しいイメ ージでとらえられないといけないだろうということで、「たばこ価格の引き上げ」とい うことがよろしいのではないか。たばこ価格を引き上げることによって消費量が下がっ てくるというのは、きちんとしたデータもございます。また、たばこ価格を引き上げる ことによって、当然増税と同じような効果になろうかと思いますが、その財源を保健医 療の財源にしたらいいのではないかということが決まりました。 これをいっそう推進していくためには、私ども医療関係者、特に先ほど御紹介がござ いましたように、今年の世界禁煙デーに合わせて、保健医療を担う者が、専門家として の役割を果たせ、ということでございますので、私どもとしても、しっかりと禁煙の推 進を図っていくつもりでございます。ここで、「たばこ価格の引き上げ」ということに ついて、ひとつ皆さんのきちんとした合意を得て、明確に記載をしておいていただくこ とが必要ではないかと考えます。 久道部会長 ほかにございませんか。どうぞ、北村委員。 北村委員 この数年間で、禁煙対策は大変進んだと思いますけれども、尾嵜先生がおられますの でちょっとお聞きしたいのは、新しくたばこを吸い始める、年齢層にしたら15歳から20 歳ぐらいでしょうか、そういう人たちの数は減ってきているんですか。若い人がどうし てたばこを吸い始めるかと。この動機づけをやはり分析して、それに対するキャンペー ンを張ることは重要でないか。今吸っている人をやめさせると、あるいは疾病につなが るのを抑えるということはもちろん重要ですけれど、若い女性なんかはむしろふえてい るというような話も聞きますので、どういう動機で吸い始めるのか。 やはりキャンペーンとしては、健康局、厚生労働省としても、たばこは格好が悪いと すべきでないか。おそらく格好がいい、映画、テレビのあのシーンが若い人には魅力的 なんです。それからもちろん、自販機があることもそうでしょうけれども、吸い始めの きっかけの動機分析というのができているのか。それに対する反対キャンペーンを、格 好が悪いというようなことを考えて、新しくニュースモーカーの発生をとめるというこ とが、あまり書いてないような気もするのですけれど、もし何かあればお教え願いたい と思います。 久道部会長 では、尾嵜先生、どうぞ。お願いいたします。 尾嵜委員 未成年の喫煙者人口の推計ですけれども、ちょっと手元に情報を持ってきていないの で、はっきり言えませんが、未成年人口が少子化に伴って減っておりますので、喫煙者 率を外挿して19歳以下の人口に掛け合わせて推計しますと、喫煙者人口そのものは少し 減ることになります。しかし過去に、96年と2000年と、未成年の喫煙率全国調査をして おるのですが、喫煙率と1日平均喫煙本数と掛け合わせて未成年のたばこ年間消費量を 推計しますと、人口は減っていても、女子においては逆に年間推計喫煙本数が増加して いるということも認められましたので、まだまだそのあたりの問題は大きいと思いま す。 それから、子どもの人口が減っていますので、喫煙者の数ももちろんだし、率も、も ちろん両面考えていかないといけないと思います。それから未成年の喫煙の動機ですけ れども、心理的な要因とか家庭での成育環境とかを含めて、かなり深く掘り下げた調 査、しかも追跡調査という形ではまずなされていませんので、本当のところ、どのよう なプロセスとかメカニズムで未成年が喫煙を始めて定着していくかというのは、わかっ ていません。 断面調査では、「ただ何となく」だとか、「大人のまねをしたくて」とか、そういう あいまいな回答が非常に多うございます。それから、広告の問題だとか、若者に人気の あるタレントとかがテレビや映画で喫煙しているシーンがあるだとか、モータースポー ツその他スポーツのスポンサーにたばこ会社がなるだとか、いろいろ指摘されています が、それが子どもたちの喫煙開始に影響を与えているという直接証拠は残念ながら出せ ておりません。ですからそのあたりは、もっともっと、今後の研究をちゃんとやらない といけない部分だとは思っております。以上です。 久道部会長 はい、どうぞ。 渋谷委員 先ほど冨永委員の提案の中に、指標の考え方として喫煙率の低下というのがあっても いいのではないかという御提案がありました。私は、たばこを吸っている人から取り上 げるという発想ではなくて、さまざまな施策の結果の指標として、この喫煙率が下がる という、そういう指標というのは考えてもいいと思っております。 その理由の1つは、この「健康日本21」の指標が決められたのは枠組み条約の発効 前であるということです。発効したあと状況が随分変わってきているということが、1 つはあるように思います。それから実際に地域で見ておりますと、それぞれの市町村が つくる「健康日本21」の地方計画の中では、市町村によっては、低下ということを指 標に入れているところもあると思います。これは住民とともに地域で策定をしていく行 動計画という意味合いが強いので、やはり具体的なものが必要ということが理由だとい うふうに思っております。 したがって、途中ということももちろんあるのですけれども、中間的なところで、そ の指標の意味の見直しということを行ってもいいのではないかと考えております。 久道部会長 私も実は富永委員からあった指標のところで発言しようと思ったのですが、実は公衆 衛生審議会が「健康日本21」の喫煙率を半減するという目標を設定しようとしたとき に、いろんな反対があってできなかった。都道府県レベル、あるいは市町村レベルでつ くるときに、私は宮城県なのですが、やはりそのことが問題になって、議会でも反対 派、賛成派の陳情合戦があったんです。そのときにやったことは、県民の喫煙健康調査 で喫煙率がわかっていましたし、それから喫煙者の中で、今回の調査でもわかったよう に、やめたいという人のパーセントも出るわけです。ですから、やめたくないという人 までやめさせる必要はないので、「どうぞ、吸ってください」と。やめたいという人が 全員やめるような対策をとればいいのではないですかと。 そうしますと、喫煙率が出てきます。それは、無理にやめなさいということではない ので、非常に根拠があるのではないかというので、これは賛成になりました。ですから 今回も、今、男性が46.8%で、女性が11.3%。やめたいという男性が24.6ですから、そ の全員がやめることを目標にしますと、喫煙率は34%になるんですね。それから女性が 32.6%、やめたいと言っているわけですから、その人たちに全部やめていただくような 施策をすると、目標は7.5%。そういうふうになります。そうしますと、やめたくない という人は困らないわけです。ですから、そのような観点で指標を出すのも、1つのや り方ではないかと思いました。 何かほかにございませんでしょうか。どうぞ。 松田委員 その指標のことですけれども、たばこ対策で一番大事なことは、やはりたばこを吸わ ないコホート、世代をつくることではないかと思います。そうしますと、例えば「20歳 における喫煙率をゼロとするよ」というようなことは、多分目標として出せますし、や はり5年ぐらいである程度達成が可能な指標ではないかと思いますので、ぜひその20歳 における喫煙率ゼロというようなものを出して。 それに対して、必要な施策として何かというと、先ほど冨永先生が指摘しているよう に、未成年の喫煙をやめさせるということだろうと思います。これは諸外国でもういろ んなデータが出ておりますけれども、確か、アメリカのペートシュタイン?なんかが言 っていることだと思いますが、25歳までに喫煙を始めなかった人間は一生涯たばこを吸 わないという、そういうデータがございます。 そうしますと、いかにその時期までたばこを吸わせないかということで、先ほど世銀 のレポートなんかに御報告がございましたけれども、やはり若年者、未成年のときに一 番きつい禁煙対策というのは、実はたばこの価格を上げるということです。これは非常 に小さな調査で申しわけないのですけれども、私どもも実は20歳で喫煙をしている人間 を対象に、どういう動機でたばこを始めて、どういう対策が一番きついかという調査を したことがありますけれども、そのときは動機として非常に大きかったのが、「何とな く」というのもあるのですが、やはり「友人からすすめられた」というのがあります。 友人からすすめられて始めて、その喫煙を続けることの強化因子に何がなっているかと いうと、それは自動販売機の存在です。 そうしますと、まず始めるきっかけとなるところの、友達からの入手、あるいは友達 からすすめられて、というところを押さえるためにも、そのたばこの販売規制と、やは り価格を上げるということが非常に重要だろうと思います。そういう意味で、たばこ価 格の上昇というのは、非常に青年者の喫煙を予防するということで重要な視点だと思い ますので、ぜひ明確に取り上げていただきたい課題だというふうに考えます。 中島生活習慣病対策室長 よろしいですか。 久道部会長 はい、どうぞ。 中島生活習慣病対策室長 ちょっと古いデータで申しわけないのですが、未成年者の喫煙状況については、平成 8年と12年を比較した厚生科学研究費の事業がございます。それで、これを8年と12年 を見て、中学生、高校生を比較しているわけですが、男子学生については全般的に喫煙 率は減っている。しかし、女性のほうはあまり減っていないし、とりわけ中3、高1の 女子生徒は増加していると。ちょっと平成12年のデータであれですが、という傾向が出 ている。それから、「どういう入手経路で買いましたか」というと、今、先生方御指摘 のように、圧倒的多くが自動販売機を通じて入手しているというデータが、研究結果と しては出ております。 久道部会長 はい、どうぞ。 石井委員 未成年の防煙教育ということなのですが、小中学校、あるいは高校等で御依頼があっ て、私どもも防煙教育ということでお話しさせていだくと、非常に歯科保健という観点 からは効果が高いんです。肺がん、あるいはその他の生活習慣病の大きなリスクファク ターではあるのですが、やっぱり肺を取り出して見せるということができない。そうす ると、口腔内は非常にその効果があらわれやすい。歯肉の着色、あるいはもちろん歯の 着色はありまして、特に女子学生に関して、今、非常に審美的なところ、韓国の俳優な んかの非常に歯の白いのが魅力であるというところで、そういうところでやっぱり大変 効果が高いということ。それから、禁煙支援に対しても、離脱症状というところで、や はり歯みがきというのは非常に効果が高いですし、それから受動喫煙で、スモーカーの お子さんに影響が出ているというような、そういうものをデータとしてお示しすると、 非常に禁煙のモチベーションとして高いとか、いろいろ出ていますので、私どももそう いう観点から学校保健のところでも取り組んでいきたい。それから、禁煙支援をかかり つけ歯科医が地域でやる歯科保健としての取り組みを、今後さらにしたいというふうに 思っております。 久道部会長 ほかに? はい、どうぞ。 木村委員 日本薬剤師会として、平成15年の5月から禁煙運動宣言を進めてきたのであります が、その項目の中に、先ほど冨永先生がおっしゃっていた、内容も入っています。その かたわら、たばこを薬局で売っているわけでございまして、「たばこ販売をしない」を 入れるか入れないかで、かなり紛糾してまいりました。今、少し動きが出てきましたの で、少し報告をさせていただきます。 現在、厚生労働省の医薬品食品局から、薬局機能評価事業というものを委託を受け て、薬局の機能はどうあるべきかということを検討しているところであります。それ で、モデル事業を段階的に今進めていますが、先ほどの項目の中で、ちょっと照らし合 わせて見ますと、薬局内を禁煙しているか。これは現在評価項目に入っています。それ から、商品名をあげるとちょっと問題があると思いますから避けますが、ニコチンガム 等で禁煙支援プログラムを町の薬局の薬剤師がすすめているということも、やっている わけであります。 それで、新たに項目として、たばこを販売しないという項目を、その薬局機能評価の 中に入れていく方向で今、検討が始まっています。ですので、計画的に薬局機能評価を 進める上で、薬局ではもうたばこを売らないという方向で動いているということを報告 させていただきます。 もう1つは、私ども、見える形で禁煙支援をしていきたいということで、前回もちょ っとお話しさせていただいた、健康づくりのパッケージというイメージですが、2、 3、報告させていただきます。現在、呼気中の一酸化炭素をはかるスモカライザー、フ ーッとやりますと、どれぐらいの一酸化炭素濃度かがわかる。また、たばこを何本吸っ ているかということがわかる機械が、各県の薬剤師会に3台ないし4台、もう設置され ています。ですので、市町村のイベントでそういうものを使って、先ほどの受動喫煙の 人でも結構数値が高く出てくる人もいるということなので、目に見える数字が大事です のでそれを使っていただきたいということです。 それから受動喫煙の影響のパネルですね。例えばたばこを吸っている人の隣で3秒程 度副流煙を吸ったときに、サーモグラフィーで見たものですが、末梢血管が縮まってい って、体が冷えていく、その状況とかが見えるとか、それから妊産婦の方々の胎児への 影響とか、そういうものがわかりやすいパネルも用意されて、各都道府県の薬剤師会で 使えるようになっています。ですので、市町村支援ができるということです。 それから先ほど来、子どもたち、未成年者の喫煙のことですけれども、ずっとやって きまして、中学校、高校の対策の話をするのですけれども、問題は小学校の5、6年の ときに、どれだけたばこを吸ったり、それから煙を吸わされたら健康に影響があるかと いうことをビジュアルに見せることが重要です。その結果「もう私は絶対たばこを吸い ません」とかということで、中学校、高校に行っても、「もう体に悪いものを、そんな 吸わないよ」という形になっていくということが、小学校の5、6年の健康教育のアン ケート結果として出てきています。ですから、もっと若いというか、小学生のところで きちんと教育をしていくということが大事なのではないかと思います。以上です。 久道部会長 はい。どうぞ。 田中委員 1に食事、2に運動、3、4のたばこということですが。3、4のたばこのことばか りディスカッションがあるのですけれど、ちょっと食事のことについてふれさせていた だきます。この資料5の速報の最後の「参考」というところです。それの右の30歳代・ 40歳代男性というのがあります。(3)であります。男性では30歳代で脂肪エネルギー 比率が25.7%。20歳代26.5%とともに適正比率を超えていたという表現があります。そ のもとが、この平成15年の結果の概要というものの17ページで、一番トップに「エネル ギー摂取割合が」という表現があります。これは若干問題もある表現であります。つま り、集団の平均値の適正比率が、脂肪エネルギー比率の集団の平均値が25%を適正であ るというのではないんです。個人が25%未満であるべきであると、こういうことですの で、25%を超えておる性、年齢階級別、あるいは総体での割合と。 要するにエネルギー比率が25%を超えておれば、これは適正比率を超えておると言え るわけです。その者の割合を記載すべきであります。ですから、これはやや集団評価に 使われているのは問題がありますので、そういう表現をぜひつけ加えてもらわないと、 今後、この2010年までこういうことが続いていくとすると、誤解を生む可能性があると 思いますので、必ずそれを付記するようにしていただきたいと思います。なお、このこ とは、国民健康・栄養調査の評価・解析の検討会でも指摘されたことであります。以上 です。 久道部会長 はい。どうもありがとうございました。時間が来ておりますので、最後の議題をやり たいと思います。「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会の報告」と。事務局か らお願いいたします。 中島生活習慣病対策室長 資料6−1に概要、6−2に報告書の本体を配付させていただいております。概要の ほうで説明をさせていただきます。資料3で説明いたしましたように、がんについては 早期発見のあと、早期治療ということなわけでございますけれども、いわゆる化学療 法、放射線療法等の分野では、なかなか専門医がいない地域が結構あって、そういう意 味では医療水準に地域格差があるのではないかという御指摘が、かねてよりございまし た。第3次対がん10か年総合戦略でも、そうした地域格差の是正をしていく、均てん化 といっておりますが、それが1つの課題として挙げられています。 そういう中で、昨年の9月に坂口前大臣の懇談会として、がん医療水準均てん化の推 進に関する検討会を設置させていただいて、土屋先生にも入っていただいて、審議をし てきたというところでございます。検討状況については、がん医療の地域格差の現状と 課題、がん登録制度の問題、がん専門医等の育成の問題、がん専門医療機関のネットワ ークの問題。そして報告書を起草していただく起草委員のメンバーによる、がん患者団 体からの意見聴取という形の手続きも踏まえて、この19日に報告書を大臣に御提出いた だいたということでございます。 2ページでございます。具体的に検討会の提言骨子ということでございますけれど も、1つが、がんの専門医を育成していくということで、大学における化学療法、放射 線療法などを専門とする講座設置を検討していくということ。それから、後ほど述べま す、地域におけるがん診療拠点病院間のネットワークを踏まえ、国立がんセンター等に おいて研修体制を充実強化していただくということ。 それから(2)で、医療機関の役割分担とネットワークの整備ということでございます が、現在、地域がん診療拠点病院制度という制度がございますが、その内容を見直して いくということでございます。二次医療圏に1か所程度の拠点病院をつくり、ネットワ ークをしていくということと併せて、2つめの黒ポツでございますが、都道府県の中心 となるがん診療拠点病院、そうしたものを指定させていただく。そして、そうした病院 には大学病院等の特定機能病院、これまであまり入っていただいておらなかったという ことも踏まえ、入っていただくということで、地域において拠点病院間、さらには拠点 病院と一般医療機関との間の病病連携、病診連携のネットワークを作っていくというこ とでございます。そうしたものを医療計画のほうでも明記をさせていただくということ の御提言をいただいておるところでございます。 さらには、がん登録制度ということで、標準様式に基づく院内がん登録を促進する。 さらには、それを地域がん登録事業といった形に活用していくということでございま す。 それから4つめとして、情報の提供ということで、がん診療拠点病院において、患者 さんのニーズに応え得る医療相談機能の強化、さらにはがん情報センターといったもの の設置といったものも検討していくべきではないかという、かなり幅広い御提言をいた だいたわけでございます。 それで、19日にこの座長でいらっしゃいます垣添がんセンターの総長から手渡してい ただいた際に、大臣のほうから、この均てん化の報告書を契機に、自らが本部長となっ て、省内に部局横断的ながん対策本部を置いて、発症予防から早期発見、治療の均てん 化、ターミナルケアも含め、また研究の在り方等に省横断的に力を入れてやっていきた いという発言があったところでございます。以上でございます。 久道部会長 はい。今の報告に何か御質問、御意見ございませんか。いかがでしょうか。別にござ いませんか。 ちょっと私からですが、二次医療圏に1か所ぐらいのがん診療拠点病院を設置という と、全国で300何ぼですね。がん診療拠点病院と指定されるためには、高額な、あるい は高度な医療機器を設置しないとだめだということも、一方ではあってね。例えばPE Tだとか、リニアックだとか、はたして二次医療圏に1か所必要かどうかということも あると思うんですね。そのあたりは、あまり議論されなかったでしょうか。 中島生活習慣病対策室長 現在のがん診療拠点病院につきましては、二次医療圏に1か所程度整備をしていただ くということですが、今、座長がおっしゃられたように、そこまでの高度なものを整備 しないとだめだという形にはなってはおりません。それで実は、二次医療圏ごとの整備 状況はまだ135にとどまっておりまして、それで検討会の中でも実は土屋先生からも御 指摘をいただいて、指定要件について必ずしも理解が進んでいないのではないかという ことで、そこら辺の指定要件についても、もう少し周知徹底をはかったらどうかという お話もいただいたわけです。 ただ、今後、この均てん化の報告書をいただいて、あらためてこの地域がん診療拠点 病院の指定要件については見直しを行いたいと思っています。とりわけ、やはりがん専 門医の配置の状況の話、さらにはがん登録、院内がん登録を徹底していただけるとあり がたいと思っておりますし、それから医療相談機能の充実といったものも大変重要かな と思っております。そうした観点から、今後、そうしたことも含めて、この拠点病院制 度の指定の在り方についても検討していく予定だということでございます。 久道部会長 はい。どうもありがとうございます。 どなたか御意見はないですか。はい、どうぞ。 土屋委員 ただいまの話にちょっと関連したことを申し上げます。この地域のがん診療拠点病院 は、ただいま室長のほうからお話がございましたように、135ヶ所、指定されています けれども、その中身を見ますと、いろいろです。一応、要件はあるのですけれども、今 の時点では甘いといいますか、この検討会で提言されておるようなことをすべて満たす というような状況にはございません。専門医の問題一つ取り上げましても、まだまだこ れからという段階でございますので。 したがって、ここに書いてあるようなネットワークというようなことで急場をしのぐ かということなのですけれども、ここで一番気をつけておかなければならないことは、 拠点病院という看板を掲げて、そこですべてに対応できるかというと、そういう状況に ございません。ナショナルセンターですら大変待ちが出てしまっておるという状況でし て、本当にその拠点病院なるもので、国民のすべてががん治療を受けることができるの かということについては、今、極めて現実的な状況にはございません。 と同時に、またその拠点病院がその地域におけるがん診療の一定の水準を維持してい く、あるいは、そのスタッフを養成するというようなことが大事な点でございます。し たがって、現状は、通常のがん治療はたいがいの、それなりの医療機関でできるわけで ございますので、国民の皆さんに誤解を与えないようにしなければなりません。大体初 診時にがんであるかどうかということすらわからないわけですので、これはきちっとし たかかりつけ医なり、あるいは信頼のおけるドクターにまず診察を受けた上で、こうい う拠点病院に御紹介いただくということを、国民の皆さんに十分な理解をいただくよう に、そのためには行政としても、そういう意味での知識の普及啓発というようなことを はかっていただく必要があります。 今、すでに千何百人の待ちが出てしまっておるという。そうすると、何か月先の手術 になってしまうわけです。でも、その手術の内容はそんなに高度なことを要するものば かりではないわけでありまして、本当に高度先進のがんの専門家がそれにかかわらなけ ればならないというものは、その中の一部であります。今の状況でいいとは申しません けれども、現在、医療計画の中でも、主要な疾患についての拠点病院化というような構 想が出てきておりますけれども、国民の皆さんに誤解のないように御指導いただきたい と思います。 久道部会長 どうもありがとうございました。省内に対策本部ができるということで、ぜひそうい うことを検討していただきたいと思います。 それでは最後に。 菊田委員 前に戻りますが、資料3の5ページなのですが、今、がんのほうでも早期発見という ことで、私ども地域の者ががんセンターへ、「皆さん、がん検診をしましょう」という ことで、ボランティアで皆さんしています。それと同時に、この健康づくり、生活習慣 病対策としましては、私たちボランティアとして、いろんなことを啓発運動をしており ますが、ここの5ページに、関係機関という中に、マスメディアと企業等と書いてあり ますけれども、ここにボランティア団体というものを1つつけ加えていただければ、私 どもも大変地域での啓発運動というのが活動しやすいのではないかと思っております。 本当にこのがん検診も、地域ごとにがんセンターへ車何台も連ねて申し込みをするん です。子宮がんから、胃がんから、大腸がんから、1日かけて。そういうことの取りま とめも、みんな地域でのボランティアの方がしておりますので。 それと私、食生活改善協議会のこの食に関してのことをしておりますが、この1に運 動、2に食事というのが、先ほどどなたか、1に食事というふうにということで、この 成人病対策から生活習慣病対策までになって、常に食事の大切さというのをうたってき ただけに、1に運動ということになりますと、本当に栄養、運動、休養という三本柱の 中で、食事が一番前に来て、栄養が一番前に来ていたものが、今度は運動が前に来る と。こういうことは本当にわかっている方は、運動も大切だということも、ちゃんと食 事のあとではするのですが、関心の低い人という部分で、こういう部分になってきます と、今までの部分のこの言葉というか、啓発運動にやはりどのような、皆さんに浸透す るようにお話をしていったらいいかと。 何十年もかけて栄養、運動、休養という部分で来ていますので、ここで、「それはそ ちらの好きなようにしたらいいでしょう」と言われればそれまででしょうけれども、や はりこれだけ定着した言葉というものが。どんなものでしょうね。私はやはり食事が前 に来てほしいという感じはいたしております。どちらが大切だとか、大切でないとかと いうことでなく、これ全部、禁煙も大切だと、みんな同列に並ぶぐらい大切だとは思い ますけれども、やはり今までの活動の中でこういう定着したものが変わるというのは、 やはりボランティア活動とかいろんな活動をしている中で、みんな変えていかなければ ならなくなってくるんです。文章から何から全部。そういうことで、食事がやはり一番 前に来てほしいなと。私の願いでございます。以上でございます。 久道部会長 はい。ボランティア団体の名前を入れることはいいと思いますが、順番をどうするか というのは、議論はあとに持ち越します。いろいろ綱引きがあると思いますし、それな りにいろいろあると思いますので。 では、本当の最後の発言。河野委員、どうぞ。 河野委員 どうもすみません。先ほどのがんの関係で、二次医療圏の、私はこの6月にオープン をさせていただきます、改築させていただいてという立場から、やはりこういう御配 慮。私はやっぱり地域センター病院であるよ、災害病院であるよと、指定をいただくと いうことは、やっぱり私は非常に格が上がっていくのかなと、こんな感じをしながら、 先ほどからお聞きしておりましたので、ぜひお願いいたします。 もう1点だけです。これは先ほど、食の問題、それからたばこの問題もともにそうな のですけれども、私はやはり食教育といいましょうか、こういったことは大切にしてい っていただきたい。旭川の隣の、私は田園都市ではあるけれども、やはり地産地消、こ ういうようなことをもっともっとみんなに、国民に理解をしていただけると、このこと の大切さ。それからやはり喫煙ということもそうなのですけれども、やはりちょっとし た大人の見ている姿にあこがれて、ということがあるわけですね。ですから、ここはや っぱり、これだって教育の大切さがそこに生まれてくるのかなと。決してこれをまとめ てという意味ではなくて、一自治体の立場として、ちょっと申し上げさせていただきま した。貴重な時間をどうもありがとうございました。 久道部会長 どうもありがとうございました。予定の時間をオーバーしましたので、今回はこの辺 にさせていただきたいと思います。今後のスケジュール等で、事務局から何か? 中島生活習慣病対策室長 次回の日程及び検討項目につきましては、今後検討をもう一度させていただいて、座 長とも御相談させていただいて、改めて御連絡をしたいと思っております。よろしくお 願いいたします。 久道部会長 はい。それでは本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございま した。 (終了) しろまる問合せ先 健康局総務課生活習慣病対策室 調査総務係 主藤・松浦 電話 03−5253−1111 内線2346・2342

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