06/02/22 第6回「健やか親子21」推進検討会議事録 第6回「健やか親子21」推進検討会 議事録 日時:平成18年2月22日(水) 14:00〜15:40 場所:厚生労働省7階 専用第15会議室 出席者: 委員 ?裄V座長、石井委員、岩月委員、江角委員、衞藤委員、齊藤委員、才村委員、 椎葉委員、杉山委員、戸田委員、中野委員、中村委員、伯井委員、山縣委員、 吉池委員、澤先生 事務局 北井雇用均等・児童家庭局長、佐藤母子保健課長、八神企画官、 関谷母子保健課長補佐、斎藤母子保健課長補佐 議事: 1 開会 2 議題 (1)マタニティマークの選考について (2)「健やか親子21」中間評価報告書(案)について 3 閉会 配布資料: 資料1 マタニティマークの公募状況及び選考について 資料2 マタニティマークの活用方法について(案) 資料3 「健やか親子21」中間評価報告書(案) 参考資料1 「健やか親子21」における目標値に対する直近値の分析・評価(案) 参考資料2 地方公共団体の取組状況 参考資料3 国の取組状況について ○しろまる?裄V座長 定刻になりましたので、ただ今から第6回「健やか親子21」推進検討会を開催したい と思います。予定されている会議としては今回が最終回になるということです。例によ って、議事に入る前に事務局から委員の出席状況と資料の確認をお願いします。 ○しろまる関谷母子保健課長補佐 委員の先生方の出席状況ですけれども、本日は漆崎委員、曽根委員、村田委員、森委 員が欠席でございます。なお、長野委員の代理として澤先生にご出席いただいておりま す。局長は15時ごろまいる予定です。 次に、本日の資料の確認をお願いします。まず座席表が1枚と議事次第があり、本日 の議題は「マタニティマークの選考について」と「『健やか親子21』中間評価報告書(案) について」です。次に、委員の名簿です。 マタニティマーク関係ですけれども、資料1として「マタニティマークの公募状況及 び選考について」、資料2で「マタニティマークの活用方法について(案)」、1枚紙の「マ タニティマーク選考用紙」を付けています。 資料3は「健やか親子21」中間評価報告書(案)で、これ以降は中間報告書に付随する 資料が付いています。参考資料1として、「健やか親子21」における目標値に対する直 近値の分析・評価(案)です。参考資料2として「地方公共団体の取組状況」、参考資料3 として「国の取組状況について」が付いていて、これが報告書の一式です。資料の不足 がありましたらお知らせ願います。 それから委員の皆さま方には、前回の検討会で取りまとめていただいた「妊産婦のた めの食生活指針の報告書」を冊子にしましたので、1冊置かせていただいております。 以上で資料の確認を終わらせていただきます。では、ここからは?裄V座長に進行をお 願いします。 ○しろまる?裄V座長 それでは、議事進行を務めさせていただきます。先ほど申し上げたように、本日は最 終回ですので、ぜひ円滑な議事進行ができますようにご協力をお願いします。 それでは、議題1「マタニティマークの公募状況及び選考について」ということで、 事務局から資料の説明をお願いします。 ○しろまる関谷母子保健課長補佐 資料1をご覧いただきたいと思います。「マタニティマークの公募状況及び選考につ いて」は第5回でも示しておりますけれども、3に書いてありますように今回の応募総 数は1,661作品でした。4に応募者の内訳が載っており、応募者は1,243人に上ってお ります。 5は選考基準ということで、この選考基準に基づいて検討委員の皆様方に厳正に審査 していただき、別添の8作品を選考しております。今回は、この場で8作品の中から1 作品をマタニティマークとして決定していただきたいと思います。その他2作品につい ては優秀作品ということで表彰することとします。1枚めくっていただくと、カラー版 でその8作品、3ページは白黒ですが同じ8作品、4ページが作品の解説ということで 参考までに付けてあります。以上です。 ○しろまる?裄V座長 ありがとうございました。1,600以上にも上るたくさんの応募をいただき、その中に は優秀な作品も大変多く、選考も難しいところでしたけれども、皆様に評価していただ いた上で、実際に委員の先生方にもお集まりいただいて選考を進めてまいりました。そ こで、この8作品を本日の会議のために残したわけです。8作品の中から1点をマタニ ティマークとして決定して、その他2作品を表彰の対象とするという事務局からの説明 がありました。投票していただく前に委員の先生方から、何かご意見がありましたら、 一応お聞きした上で投票することにしたいと思います。よろしいでしょうか。 もし特別になければ、「マタニティマーク選考用紙」が配られていますので、最も優れ ていると思うもの一つに二重丸、次に優れていると思うもの一つに一重丸を記入してい ただいて投票するということにしたいと思います。では、どうぞお書きください。 後ほどそれを集計していただくわけですが、万一同点であった場合にはどうするかも 問題ですので、今回は私は投票しないで、万一同点であったときに決めさせていただく ということでよろしいでしょうか。 事務局で集計をする間に議事を進めたいと思います。マタニティマークに関しては、 次に「マタニティマークの活用方法について」ということがありますので、その点につ いて事務局から資料の説明をお願いします。 ○しろまる関谷母子保健課長補佐 資料2ですが、「マタニティマークの活用について(案)」として、「1.マタニティマー クの作成趣旨」が書いてあり、「2.活用方法」は四角の中ですけれども、1)として「妊産 婦が交通機関等を利用する際に身につけ、周囲が妊産婦への配慮を示しやすくする」、 2)として「交通機関、職場、飲食店、その他の公共機関等が、その取組や呼びかけ文を 付してポスターなどとして掲示し、妊産婦にやさしい環境づくりを推進する」という2 点です。(例)として、呼びかけ文の例を掲げています。 次の2ページですが、下の4に「普及方法」ということで四角で囲ってあります。1) として「関係省庁等を通じて交通機関、職場、飲食店等に普及への協力を依頼する」、 2)として「厚生労働省ホームページ等に掲載する等、様々な機会を通して国民に周知す る」、3)として「各自治体、『健やか親子21』推進協議会等の関係団体に普及への協力を 依頼する」ということで、活用方法と普及方法を掲げてあります。 2ページの上の3ですが、活用の留意点については、1)は使用目的として「マークの 作成趣旨に基づいた場合に使用できること」。2)で著作権等は「(1)マークの著作権は厚生 労働省に帰属する」ということ、「(2)ホームページ等に掲載し、自由に使用できるという こと」、なお書きで「使用状況を集積するために自治体、民間団体等で使用した際には厚 生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課に連絡するよう協力を求めること」。3)として、 色・形ですけれども「(1)カラーで使用する場合には色は変えないこと」「(2)大きさは拡大 または縮小して使用できること。ただし、マークを変形しないこと」、4)その他として「マ ークの作成趣旨に合致しているか否か判断がつかない場合には、厚生労働省雇用均等・ 児童家庭局母子保健課に問い合わせること」としています。以上です。 ○しろまる?裄V座長 どうもありがとうございました。せっかくこのマタニティマークを検討会として決め たからには、それをいかに活用するかということも非常に重要な課題だと思います。こ れについては、今までの検討会でも議論をいただいたところですが、妊婦が交通機関等 を利用する際に身につけるという点と、もう一つはさまざまな公共機関等でキャンペー ンというか、こういったことについての取り組みをしていただくためのポスターなどと して掲示し、妊産婦にやさしい環境づくりを推進するという二つの面があると思います。 ここに書いてあるようなマタニティマークの活用方法について説明していただいたわけ ですが、それについて何かご意見がありますでしょうか。 なお、現在集計していただいているマタニティマークですが、どれが選ばれたにせよ、 色合いとか文字など、細かいところで最終的に多少の修正があり得るということは理解 しておいていただければと思います。 それでは、集計していただいた結果を申し上げます。1位となったのは1,141番、本 日の集計で140点です。2位となったのは1,167番で130点、3位となったのは537番 で70点ということです。幸い同点にもなっていませんので、この1,141番のマークを1 位として決定し、1,167番と537番を優秀作品としたいと思います。よろしいでしょう か。ありがとうございました。マタニティマークについては、これで選考を終了するわ けですが、マークの作成者・応募者について事務局からご紹介していただいた方がよろ しいのでしょうか。 ○しろまる関谷母子保健課長補佐 まず1位の1,141番ですが、これは埼玉県の母子愛育会埼玉県支部の作品です。2位 の1,167番は、東京都の瀬沼晃(セヌマアキラ)さん、男性で25歳、東京地下鉄株式 会社のデザイナーです。3位が537番、これは神奈川県の青木一浩(アオキカズヒロ) さん、36歳の男性で公務員の方です。以上です。 ○しろまる?裄V座長 今、ご説明いただいたような方からの応募作品であるということだそうで、これにつ いては、予定されている「健やか親子21」推進協議会総会の席上で作品の発表と表彰が 行われると聞いております。よろしいでしょうか。 先ほど申し上げたように、たまたま3作品とも文字が入っているわけですけれども、 色とか文字など多少調整があるかと思いますので、それは事務局の方にお任せしたいと 思います。その上で正式発表するということとさせていただきます。今後、マークが多 くの方に周知されるよう、事務局で対応をお願いしたいと思います。 先ほど決めさせていただいた「マタニティマークの活用について」を、大いに普及し ていきたいということで、委員の皆様方には今後ともご協力をお願いしたいと思います。 それでは、続いて議題2の方に進みたいと思います。むしろ、これが今日の非常に重 要で主要な議題になります。「健やか親子21」中間評価報告書(案)について、今日が予 定された検討会としては最後ということで、「健やか親子21」中間評価の報告書を取り まとめる最終の審議をお願いすることになるわけです。委員の皆様には、事前に報告書 (案)をご覧いただき、追加あるいは修正していただいたところだと思います。短い時間 にご協力をいただき、大変ありがとうございました。大きな変更については既に修正が 済んでおりますので、本日はこれを確認し、さらに加えるべき点があればご意見をいた だくということにさせていただきたいと思います。 それでは、修正点を踏まえた報告書(案)の説明を、山縣委員にお願いしたいと思いま す。項目ごとに区切りながら検討していきますので、まず「Iはじめに」という部分か らお願いします。 ○しろまる山縣委員 それでは、資料3の「健やか親子21」中間評価報告書(案)を開いていただいて、目次 に四つの項目がありますので、一つずつ説明させていただきます。まず「Iはじめに」 です。背景から始まって、「健やか親子21」がどうして始まったかということと、「健や か親子21」を巡る最近の動向というのが中心ですが、さらに今回(2)で「母子保健の評 価」というものを入れております。いわゆるアウトカム(成果)の指標、それからアウト プット(事業量)の指標の評価の重要性というものです。 最後の5ページ目を見ていただきたいと思います。この「健やか親子21」は評価がで きるように数値目標・指標があるわけですが、その指標も3段階に分かれています。「(1) 保健水準の指標」は、いわゆる保健統計上の指標と住民のQOL(クオリティ・オブ・ラ イフ)の指標です。それから「(2)住民自らの行動指標」は、住民が例えば知識や技術を どのようにして身につけるか。それから「(3)行政・関係団体等の取組の指標」で、いわ ゆる環境の整備といったようなものの指標、その三つの段階に分かれています。 基本的には、最終的な保健水準の指標を達成するために、国民一人一人が行動を起こ すわけですが、その行動の中にはもちろん自発的な行動も含まれています。保健行動と して必要な行動を促すために、(3)の環境の整備といったものでそれを支援していく。そ ういう意味では、住民自らの行動を促進し、その結果として保健水準の指標が達成でき るといった方向を示したものです。 「Iはじめに」のところには、皆様方に最終的に示したものと大きな変更点はありま せんので、Iについての説明は、この程度にさせていただきたいと思います。 ○しろまる?裄V座長 ありがとうございました。今ご説明いただいた「はじめに」のところに関して、何か ご意見がありましたらお願いします。 ○しろまる戸田委員 「(2)母子保健の評価」に関して。 ○しろまる?裄V座長 1ページの下の部分ですね。 ○しろまる戸田委員 「母子保健の評価」で、指標の位置付けに関してアウトカム、アウトプットが非常に 明確になったのは大変喜ばしいと感じています。ありがとうございました。ただ、 最終 段階で、ここの最後から2行目の「住民の幸福」という言葉が削除されています。大変 小さなことのようですが。指標があり、目標値を決め、そこに向かっていく国民運動と いうところは大変いいと思うのですが、例えば自殺が減ったとか虐待が減ったとかとい うところでとどまるのでは、少し寂しいのです。その先に本当に住民の幸福があるとい うところが概念的にあった方がいい。ですから、概念図として1、2、3という段階があ って、この「健やか親子21」は指標に向かっていくのだというのはこれでいいのです。 ただ、この文言にもう一つ積極的な、国民の幸せを願って母子保健を考えているのだと いうところは、ぜひとも含めていただきたいと感じました。 ○しろまる?裄V座長 どうもありがとうございました。ただ今の戸田委員の意見に関して何か...。大変大事 なご指摘をいただいたと思います。今日はこの案について、順次ご説明をいただいた上 で、ご意見を伺います。それらの意見については、この検討会の場では私に預からせて いただいて、事務局と相談をして最終的な修正が必要かどうかも検討の上で、加筆修正 をさせていただくようにしたいと思います。はい、どうぞ。 ○しろまる杉山委員 今の点ですけれども、「住民の幸福」とか「国民の幸福」が入っていたのに、削られて いたのはどうしてかなと少し単純に思うので、両方のご意見を伺いたいと思います。な ぜ削られたのか、教えていただけますでしょうか。 ○しろまる山縣委員 削ったという認識は、実はございませんでした。すみません。 ○しろまる佐藤母子保健課長 正直に申しますと、文章を簡単にするためだけだったのです。ここで言いたかったこ とは、力点をどこに置くのかで、国民の幸福を願っています、表現の目的はこうですと 書くために(1)を書いたつもりではなかったので、落ちてしまったのが正直なところです。 ここでは、今まではアウトカム、つまり事業量だけでやってきたのだけれども、事業量 が補助金から一般財源化されたことによって、取れなくなりましたと言いたいがために ここに書いたのが目的です。1の(2)です。そこが明確になるようにする過程で落ちてし まったわけです。今、ご指摘がありましたように、山縣委員とよく相談してみますけれ ども、だからといって消したというわけではないので、そこはご理解をいただきたいと 思います。修正する方向で対応いたします。 ○しろまる?裄V座長 はい、どうぞ。 ○しろまる山縣委員 全くその通りです。強いて挙げれば、QOLに含まれるかと思いますので、そういった 説明が必要だと思います。 ○しろまる?裄V座長 他に、ございますか。それでは、次に進ませていただいて、「II中間評価の方法」につ いてご説明をお願いいたします。 ○しろまる山縣委員 「中間評価の方法」は、6ページ目からです。ここの部分は特に大きく変わったこと はございませんし、これまでお話ししましたように、評価の結果で「Aよくなっている 指標」「B悪くなっている又は変わらない指標」そして「Cかけ離れている指標」と、ま ず分類して、それぞれに対して推進の方向性を示していくという形で評価しました。あ とは取組の状況についても、その評価をしたということでその方法を述べております。 ○しろまる?裄V座長 ありがとうございました。それでは、今のこの部分に関して、ご意見、ご質問があり ましたらどうぞ。特にご意見、ご質問がないようでしたら、先に、進ませていただきま す。 「III中間評価の結果」で、いわば報告書の一番主要な部分でもあるわけですが、これ についてご説明をお願いいたします。 ○しろまる山縣委員 では、8ページ目からでございます。ここは少し詳しく説明させていただきます。8 ページ目の最初の「1指標の評価」の「指標の達成状況」に関しましては、課題1、2、 3、4について、先ほどの評価の三つのレベルで示したもので、特に変わりはございま せん。「(2)課題別の指標の評価」からまいります。まず課題1「思春期の保健対策の強 化と健康教育の推進」に関しまして、四つの点で議論をしております。前回、ご指摘を いただいた点に関して、人工妊娠中絶の実施と性感染症を分けた方がいいということで したが、ここでは前にお話ししましたように、同じ取組の中でということで、四つの中 で分ける場合は一緒にしましたが、まとめのところで、分けて記載をしております。こ の見出しに関しまして、最初のところに評価の結果、その次に方向性といったことが必 要だという分析を載せた形で、全体を統一いたしました。さらに今少しお話いたしまし たが、最後のところの課題1の「重点項目」にしてあったところを「まとめ」として、 記載しております。 それから、課題2です。課題2に関しまして、中身に大きな変更はございませんが、 やはり同じように、(1)から「妊娠・出産に関する保健水準の改善とした上」で、周産期 ネットワークのさらなる充実をという形で出しております。2番目のところは少し文言 は変わりましたが、産婦人科医師数の減少に対して、産婦人科医の地域偏在、助産師の 施設間偏在の是正が必要という形で述べております。そういったようなことを最終的に 課題2のまとめとして2項目出しております。先ほどの産婦人科医師数、助産師の偏在 に加えて、後ほどお話ししますが、こういった問題は妊産婦死亡率や産後うつ病の発生 といった他の指標に対する影響も大きく、重点項目の中に入るようにしております。 課題3になります。課題3は、前回は5項目として出しておりましたが、お風呂の事 故など悪くなった指標として、一つまとめていたものをそれぞれのところに入れて、2 番目の事故防止対策は目標からかけ離れている適切な指標の設定の中に組み込んだ形で、 中身的には変わっておりませんが、少し組み替えをしているところがございます。 それから課題4になります。課題4につきましても、それぞれの見出しを変えました。 ただこの中での「(1)子ども虐待防止対策は引き続き強化が必要」だと、今後の方向性だ けを示すような形です。それから(5)23ページですが、ここも母乳の育児に関しまして、 まだ評価が出ておりませんので、こういった形で推進が必要ということにとどめており ます。課題4は、虐待の問題、子育て支援のこと、それからそれをサポートする専門家 の養成といったことが、そのまとめに入っております。以上が四つの課題に対するもの です。 次の25ページからが大きく変更になったところです。指標の見直しについて、ここ では(1)(2)(3)と分けて、「修正した指標」「施設の充実を図るために追加した指標」そし て「今後引き続き検討が必要な指標」と三つ出しております。最初の「修正した指標」 に関しましては「母性健康管理指導事項連絡カードを知っている妊婦の割合」で、その 指標自体を「就労している妊婦」と変える、それから次の「妊産婦人口に対する産婦人 科医、助産師の割合」も実数にする、この2点の修正です。その次の「施策の充実を図 るために追加した指標」に関しましては、新たに加わる指標ではあるのですが、これま でにも「健やか親子21」の課題としては、枠組の中にあったもので、こういった思春 期保健対策、それから乳児健診未受診者、乳児健診の件は枠組の中に入っておりますの で、そういう意味で、充実を図るために追加した指標として、この中に入れております。 要するに、取り組むべき課題として当初より視点はあったが、指標までにはしていなか ったものを、今回指標化したということで、見直しの中に整理したということです。続 いて、「今後引き続き検討が必要な指標」として、指標そのもののとり方、モニタリング 方法をどのようにするかという点で、これらの項目を挙げています。 そして27ページは、新たな視点とそれに対応する指標です。これまで新しい指標と して出しておいたものにつきまして、そういったものがどうして必要だったかの説明に ついて、議論には出ていたものの、これまできちんと文章にしていなかったので、この 中でいわゆる「健康日本21」との関係、それから平成17年7月に新たに制定されまし た食育基本法との関係で、次の28ページにあります3点、「児童生徒の肥満児の割合」 「食育の取組を推進している地方公共団体の割合」そして「う歯のない3歳児の割合」 という三つを加えたことを説明させていただきました。 その次に、「今後5年間の取組の目標」と入っております。課題ごとに載せたものと この表の違いは、これから5年間の指標と目標とするものの一覧になり、見直した指標、 それから新たに加えた指標をこの中に入れて、一覧表にしたものです。ですから今後5 年間ここを見て、これを目標にしていくことになります。 それから「取組状況の評価」に関しましては、これまでと大きく変わっておりません が、説明を加えたところがございます。41ページをご覧ください。地域の取組がどのよ うに指標に反映しているのかということを、連携による取組の効果で、これは妊娠中の 喫煙対策を連携して行っている所の方が、産後の喫煙が改善できているということを表 しています。IIIの中間評価の結果に関しましては以上です。 ○しろまる?裄V座長 ただ今、新しい報告書の案の8ページから41ページまでにわたって、今回修正をし た部分について説明を伺いました。特に、29ページから35ページにわたる別表を追加 したところが大きな変更かと存じます。ただ今のご説明について何かご意見、ご質問は ございますか。はい、どうぞ。 ○しろまる衞藤委員 用語のことで確認したいのですが、28ページの「う歯のない3歳児の割合」という部 分のう歯という言葉は、う蝕(うしょく)をしている歯ということだと思います。専門 用語ではありませんし、一般に用いられる言葉でもないし、学校の方では大体虫歯とい う言葉を使うようなので、その辺は用語上の示し方としてこれでよいのかどうか確認し た方がよいと思います。 ○しろまる?裄V座長 これは、山縣委員よりも石井委員の方がいいでしょうか。 ○しろまる石井委員 これは「健康日本21」に合わせて、この表現になっているのではないかと思います。 一般的には、やはりむし歯でいいと思うのですけれども、多分揃えられたのですよね。 ○しろまる衞藤委員 歯科学の用語としては、う歯は用いないのですね。 ○しろまる石井委員 う蝕です。 ○しろまる?裄V座長 歯科学としての正式な用語ではないけれども、これでいいということですね。「健康日 本21」でも使われている言葉であると。 ○しろまる衞藤委員 今申し上げたかったのは、一般にわかりやすい用語を用いる方がよいのではないかと いうことです。 ○しろまる?裄V座長 これは、むし歯という言葉を含めて、少し検討させていただきます。 中間評価の結果の部分に関しては、1〜5という五つの見出しに分かれておりますけれ ども、最初は指標の評価で、この点に関しては、今までと特に大きく変わるところはあ りません。表その他の配列について、多少変えていただいたわけです。課題1〜4と評 価の結果が述べられていて、25ページに2として「指標の見直しについて」が始まると。 そこで並べ方といいますか、配置が少し修正されていて、「修正した指標」それから「施 策の充実を図るために追加した指標」と「今後引き続き検討が必要な指標」という三つ の項目が(1)(2)(3)に整理されています。それから3番目として、新たな視点とそれに対 応する指標が28ページの真ん中辺りに、表6として整理されています。4番目として「今 後5年間の取組の目標」と。これがもともとの「健やか親子21」推進検討会の報告書と 同じようなスタイルで掲げられているということです。36ページからは「取組状況の評 価」で、推進協議会、地方公共団体、国とそれぞれの取り組みの状況が述べられていま す。そのような構成になっているわけですが、この全体に関して何かご意見、ご質問が ありましたら、どうぞ。 ○しろまる中野委員 今、まさに座長がずっとおさらいしてこられた、その目で見てみると、つまりこれを どう活用するのかと。例えば、説明しろと求められたらどう答えればいいか。どこにそ の文言があるかという目で探してみました。この中で一番説明に字数を割いておられる のは、21ページ課題4の「(1)子ども虐待防止対策は引き続き強化が必要」が確か4分の 3ないし5分の4ページを使って、一番長いです。といいますのも、次の23ページに 根拠が出てきましたが、「4-1虐待による死亡数」です。4-2、表5の上にある二つはい ずれも増加していますよね。従ってB評価で、目標はもともとそうであった減少傾向、 それから増加を経て減少へと。それでどのように取り上げたかといいますと、それから ずっと先にいきまして、34ページにこれからの5年間の取組の方向性として表れるので す。34ページにある課題4-1、4-2の上二つが直近値まで前のページと同じもので出て、 右の方に増加を経て減少へと。先ほどご説明があったう歯は新しく変わっていますけれ ども、これは新しい提案ではありません。 もう一度21ページに戻りましたときに、虐待防止策は引き続き強化が必要とありま すが、引き続き必要なのか、あるいはこれまでにやった強化策を引き続けさえすればい いのか。あるいは強化策が駄目なので、引き続きどうにかしなければいけないのか。課 題の引き続きと強化が、この文章のどこに読み取れるかを見ていくのです。そうした場 合、新しく変更して強化しましょうという文章を探すキーワードが、実はここまでに見 つかりません。どう活用するかという目で、先ほど座長が流していただきましたような 見方をしたときに、少し強いインパクトが持てない部分が中にありはしないかと、今改 めて見直して思いました。文章としては随分と完成度が高まったので、私も安心してま いりましたけれども、例えば活用を考えたときに、少し懸念が残っていることを申し上 げたいと思います。 ○しろまる?裄V座長 ただ今の中野委員からのご意見に関して、何かございますか。 ○しろまる山縣委員 おっしゃる通りで、逆に言うと、虐待防止対策を今後どうしたらいいかという悩みが この中にあるわけです。この次に説明させていただきます42ページから、改めて、こ れらをまとめて5点を重点の取組という形にした中に、虐待防止対策の取組の強化を数 行入れております。もちろん、この中にも中野委員がご指摘の形でのきっちりしたもの は入っておりません。ここではヘルスプロモーションの視点から虐待防止対策をさらに 強化するという文言しか入っておりませんが、これをどのように具体的にやるのかを今 後考えるということであろうと思っております。 ○しろまる中野委員 ご説明のなかった部分に表れないといけないと思いながらですよね。そして中身を規 定するのではなく、そこに非常に重みを持って表現していることが表れればいいのでは と私は思っておりますので、また後ほどご説明いただきたいと思います。 ○しろまる?裄V座長 どうもありがとうございました。他にございますか。はい、どうぞ。 ○しろまる才村委員 今の中野委員に関連するのですが、21ページのちょうど真ん中ぐらいに、育児不安を 抱える親や虐待をした親への支援について書かれています。これの落としどころとして、 親子の心の問題に対応できる技術を持った小児科医、児童精神科医を増やそうというこ とになっていますが、具体的な落としどころとしては、これが一つなので、まだ少しイ ンパクトが弱い。つまり虐待の発生予防の観点からとらえたときに、アウトリーチ型の サービスが必要だと思います。特に育児不安を抱える親というのは、いろんなサービス が用意されていても、積極的に活用しきれない傾向があると思いますので、従来の受け 身型といいますか、申請主義のサービスではやはり限界があります。従って、当事者か らの相談がなくても、必要な場合にはこちらから積極的に出向いていくような、そうい うサービスの充実、強化が必要だと思いますし、その旨を少し盛り込んでいただけたら と思います。平成16年に画期的な育児支援家庭訪問事業が厚生労働省で創設されまし たので、育児支援家庭訪問事業等アウトリーチ型のサービスの充実、強化が必要である という旨の文言を少しお願いしたいと思います。今さらで申し訳ないのですが。 ○しろまる?裄V座長 どうもありがとうございました。アウトリーチ型のサービスが、今後求められるとい うご意見でしたけれども、これを今後の取組の強化で取り上げるのか、あるいはこちら で加えるのか。その辺のところはどうでしょうか。何かありますか。 ○しろまる山縣委員 ありがとうございます。まさに今おっしゃったことをこの中にどのように表現するか ということと、あともう1点は、指標の見直しのところの施策の充実を図るために追加 した指標として、未受診児など生後4カ月までに全乳児の状況把握に取り組んでいる市 町村の割合というものに、少し積極的な形でアプローチしていこうというのがこの中に 入っています。そういった形で推進していくとことになろうかと思っております。 ○しろまる?裄V座長 今のご意見についても、どのような形でこれに加えるかを検討させていただきたいと 存じます。 ○しろまる戸田委員 たびたび申し訳ありません。14ページの「妊娠・出産に関する満足度」に関してです が、ここは以前から指標の見直しといったことが言われていて、今後はどういう方向で 指標を見直すかということが暗示される文章が書かれるべきところだと思います。ここ のちょうど(3)の中間部分が「むしろ現在深刻な問題になっている虐待や思春期の課題を 考える」と書いてあり、親になる役割をちゃんと理解して子育てが理解できるようにな れと書いてあります。これと妊娠・出産の満足との関連性が、私にとっては不明です。 これはむしろこの前にあった妊娠・出産ということを、そのいい体験を通して、親にな るその成長過程というものを支援して、このアクセスの問題もここで抜け落ちているの ですが、その本人たちが満足できる出産環境、適切な支援が行われるべきだという内容 の文言に、ニュアンスを戻していただく必要があるのではないかと感じております。そ の上で幸せなお母さんがいれば幸せな子どもが育つという考え方で、この前後につなげ ていっていただきたいと感じました。 ○しろまる?裄V座長 どうもありがとうございました。14ページの上半分と「(3)妊娠・出産に関する満足度」 についてのご意見でしたけれども、この点に関しては、どうでしょうか。何かございま すか。 ○しろまる山縣委員 ありがとうございます。ここも一番苦労したところの一つで、今、子ども家庭総合研 究の研究班などでも、この辺りが進んでおります。ここで今出したものは、やはり妊娠、 出産、育児を考えたときに、妊娠・出産の満足度とか、いいお産が子どもたちの育児の ところでどうなのかと、結び付けて考えることがやはり大切だろうという視点です。も ちろん、今戸田委員が言われるように、やはりそこの一番重要な出産の部分での満足度 は、後々影響することもエビデンスとしてございますので、そのような表現の方法を、 またうかがわせていただきたいと思います。ありがとうございます。 ○しろまる?裄V座長 他にございますか。もしございませんようでしたら、次の「IV 今後に向けて」に進 みたいと思います。時間がとれれば、また戻って議論することもできるかと思います。 まず42ページからの「今後に向けて」について、ご説明をいただきます。 ○しろまる山縣委員 では42ページからです。「IV 今後に向けて」という部分は、前回までの案に比べて かなり加筆したところです。一つには、これまでそれぞれの評価をしてきて、それぞれ の課題に関してまとめをつけてきましたが、では全体としてこれからどう取り組んでい くのかというものが、必ずしも明確になっていなかった。それから、その課題を克服す るために、どういう方策をするのかということも、必ずしも明確に出ていなかった。そ ういう部分で少しインパクトに欠ける報告書であったという、委員の先生方からのご意 見をいただき、ここに「今後5年間の重点取組」として5点、これまでの中間評価その もの、それからこの委員会での委員の先生方のご意見を基にして、課題の順番に五つ挙 げております。 その一つが「思春期の自殺と性感染症罹患の防止」です。この思春期の問題は当初か ら量的な拡大、質的な転換ということで、かなり抜本的な対策の見直しということで、 いろいろな連携を図ってやっていこうということがあったわけですが、残念ながら5年 間の間には必ずしも十分な成果が得られていません。その部分を本当にどうしていくの かというのは緊急の課題であるということで、ここに挙げてあります。 2番目です。これは課題2の中に入ってくるものですが、「産婦人科医師、助産師等の 産科医療を担う人材の確保」ということで、地域偏在、施設偏在といったものを考えて いかなければ、今は改善に向かっている保健水準の指標や産後のうつなどへの対応がで きなくなるのではないか、ここをまずきちんとしていく必要があるということで、重点 課題となっております。 3番目です。これは課題3の中のもので、「小児の事故防止をはじめとする安全な子育 ての環境の確保」ということで、長らく不慮の事故が小児死亡の原因の1位であるわけ です。その対策が、最近少し改善方向にありますが、まだ現状は変わっておらず、安全 という面を考えていかなくてはいけないという点と、昨今の子どもたちが被害者となる ような事件に関しても、地域ぐるみで安心、安全な町づくりをしていくことを3点目に 挙げています。 4番目です。これは課題4の中ですが、「虐待防止対策の取組の強化」で先ほど中野委 員からご指摘があったように、非常に重要な項目で、これを児童福祉の面からの対応、例 えば既に虐待の当事者である子どもたち、親に対する支援、それから地域へそれを返し ていくといった課題に対して、この「健やか親子21」の中では、もう少しヘルスプロモ ーションの視点からそういった親をつくり出さないという、一次予防の視点からの対策 をどう考えていくのかを、ここで重点項目として挙げています。 さらに5番目としては、食育基本法にもありますように、食育で子どもたちの肥満、 それから思春期のやせの問題、妊娠中の適正体重というところで、この取組を推進して いきます。 いずれにしても、この5点は子どもたちの命にかかわる問題として対策が急務なもの ばかりで、今後の5年間こういったものを対策強化していくということを挙げたわけで す。 その次に、その推進方策としてどういうことを視点に考えるのかという点で、二つに 集約しました。一つは関係者の連携の強化です。連携という言葉は言われて久しいので すが、ここで改めて具体的な連携の必要性を挙げています。もう一つが母子保健情報の 収集と利活用を挙げました。 最初の関係者の連携強化ですが、「健やか親子21」の策定当初から地域保健と学校保 健の連携といったことが、特に思春期の保健の部分で重要とされてきました。先ほど重 点項目に挙げましたように、必ずしもその辺りのところが十分に機能していなかったの ではないか。そのための具体的な連携・協同の仕方を改めて考えていく必要があります。 2番目には、初めのところにも述べられていますが、母子保健サービスが市町村に移 っていって、いい意味でのサービスの違いだけではなく、そのことが格差を生んで、母 子保健サービスの精度が落ちているようなところがあり、そういうところに対する評価、 指導といったところで都道府県などとの連携が必要であることを、2点目に挙げており ます。 3点目に、健やか親子21推進協議会がありますが、推進協議会も今回の評価にありま すように、かなりいろいろな活動をしていただいております。その中には少し温度差も ありますし、自分たちだけのところだけでは難しいということがあって、お互いの支援・ 連携を具体的にやっていただきたいということを述べております。 最後に、地域での連携ですが、これまで母子保健活動は愛育会とか、母子保健推進員 など、公的な住民の団体の活動が非常に重要だったわけですが、それに加えてNPOの 活動が最近非常に盛んで、そういった団体の皆さんを中心に加えていきながら、子ども たちの子育て支援を連携して行っていく。それぞれが得意な役割がありますので、その 辺を担いながら、住民のニーズに合った多様な支援を行っていく必要性をここで述べて います。 大きな2番目の母子保健情報の収集と利活用ですが、今回私どもが中間評価を担当し、 61の指標を見ていきましたときに、多くの指標で通常では情報が得られないようなもの がございました。つまり、母子保健活動の中では非常に必要な指標であるのにもかかわ らず、それをモニタリングできていないという状況が非常に大きい。これがないと科学 的根拠に基づいた施策ということはできないし、すなわち評価もできません。そういっ たものを改めて考えようと。もちろんこれまでは保健統計の指標、死亡統計、人口動態 統計のようなものが一番大きくて、それの改善のためにやってきたわけです。それがあ る程度のめどがつき世界最高水準になったとき、さらにその指標の中にQOLが入って きたときには、もう一度新しいアウトカムの指標や、先ほどの都道府県と市町村との連 携ではありませんが、それぞれの市町村が行っている事業に対するアウトプットに関し ても、都道府県や国がある程度把握をして、それに対して支援できるような体制をつく るためにも、母子保健情報のモニタリングシステムを改めて考える必要があろうという ことです。こういったものを2、3年のうちに構築することによって、最終年2010年の 「健やか親子21」の評価も、精度の高い形に表現することができるのではないかと思っ ております。 最後に「今後充実すべき取組」の例をここに入れております。指標の中には入らなか ったのですが、取組として具体的に行っていく必要があるものを列挙したものです。こ れが具体的な活動の大きな目安になるものです。最後に図が載っておりますが、「健やか 親子21」推進の後半、2006年から2010年ということで、四つの課題に対してこれま で以上に横の連携を重視した図をそこに入れまして、さらにそのモニタリングの構築を 含めて、より以上に連携した形での推進を表現した図を提示しました。以上です。 ○しろまる?裄V座長 どうもありがとうございました。「今後に向けて」という非常に重要な部分ですが、こ れについては、最初に「今後5年間の重点取組」というところで、中間評価の結果を受 けて、今回の検討会でのさまざまな議論を踏まえて、五つの重点取り組みを取り上げて います。1から4までは、それぞれ課題の1〜4の中での重点取り組みで、新たに加えら れた食育の推進を5番目において、(1)〜(5)という形で重点取り組みについて述べており ます。 2番目として今後の推進方策については、関係者の連携の強化と取組の方向性と、こ れからの、非常に重要な課題ということで、母子保健情報の収集と利活用ということを お話しくださいました。その最後には「今後充実すべき取組」の例を、表7としてたく さんの項目が挙げられています。これは今回の検討会での議論の中で、委員の皆様から ご指摘のあったものもこの中に取組として挙げられているのではないかと思います。 この部分に関して何かご意見、ご質問はございませんか。どうぞ。 ○しろまる杉山委員 44ページの「NPOと地域における身近な支援者と地方公共団体、健やか親子21推進 協議会との連携」のところですが、いろいろと事前にもお伝えして、配慮していただい て、随分ボリュームが増えたことはとてもうれしく思っています。ありがとうございま した。 ここに関しては、特にもう大丈夫だと思っているのですが、実は、先週長浜で起きた 事件が非常にショックで、いまだにショックです。いろいろな情報が行き交っている途 中の話なので一概には言えませんが、やはり地域コミュニティを大事にしましょうとい うときに、ああいうことになってしまった一面もあったのではないかということを、感 じざるを得ない部分があります。今回もこれは国民運動として、国をあげてやっていき ましょうということで、それは全く異論はないし、進めていくものだと思うのですが、 そこで成果を求めるあまりに間違った方法を採ってしまうということには、本当に気を つけなければならないと思います。 特に「育児に参加する父親の割合」「子どもと一緒に遊ぶ父親の割合」「出産後1か月 時の母乳育児の割合」「妊娠中の飲酒率」などを数字で出していこうとします。そういう ものを増やしていく、減らしていくというのはもちろん必要なことですが、そこのアプ ローチはよほど気をつけていかないと、特に家庭とか個人にかかる問題だけに、負荷が 掛からないようにするということは十分考慮しないといけないと思います。特に「子ど もと一緒に遊ぶ父親の割合」も、父親が遊んでいないからお前は駄目なのだではなくて、 その後ろ側にあるのは働き方の問題であったり、社会全体の問題だという視点で、この 国民運動も見ていかないといけないのではないかと思います。 今後も食育の取組などをやってきたときに、食育=母親の手作りのごはんというよう な短絡的なことになっていくと、それは家庭や母親が相当きつい部分があるので、そこ の配慮は何回やっても構わない、幾らやってもいいのではないかと思います。 思春期保健対策に取り組んでいる地方公共団体の割合とか、取り組んでいる公共団体 の数を調べたりというのが、ここの数字に多いのですが、そうなると数だけではなくて、 この県は取り組んでいるからいいというのではなくて、その取組が果たして真っ当なの かどうかということもどこかで見ていかないと、すごく恐ろしいことをこっそりやって いたということもないとは限らないというところを非常に懸念します。では、具体的に どうなのか。ここでどう入れ込んだらいいのかというのは、すぐには浮かばないのです が、例えば多様な価値観の尊重とか、そういう理念的な言葉を入れていくとか、取組の 質的、内容の評価のようなことに配慮して、一方で書き加えていただければと思います。 この運動に水を差す気は全くありませんが、良い方法で進めていきたいというところを 少し強調したいと思いました。以上です。 ○しろまる?裄V座長 ありがとうございました。国民運動としての「健やか親子21」の今後の取り組み方と して、今おっしゃったことはごもっともな、大変重要な視点であろうと私も思います。 それを今回の報告書の中に、どのような形で組み込むかということに関しては、検討さ せていただきたいと思います。何かご意見ございますか。 ○しろまる山縣委員 2点です。最初の、こういったそれぞれの指標を皆が全部を守らなければいけないか ということでは当然ないわけで、それぞれの事情で、これはできるけれども、これは難 しいというものは当然あることは前提です。親子を支援していくときに、そのことをい かにして、きちんと当事者に理解していただくか。こういうことが書いてあるけれども、 うちではこれはできないから駄目だではなくて、それができない代わりにこれがあるか らいいのだということが、きちんとできるのか。恐らく、今は母子保健の現場で、保健 師や助産師はそういった形での指導はかなりできてきていると思いますし、その辺りの ところをさらに充実させていくことかと思っております。 それから2点目は、おっしゃる通りで、ハコモノや何かあるという全体のどれだけで きているかということではなくて、中の質の問題ということもあります。特に課題2の 中で、不妊支援としての施設整備といったものがあるのですが、これは達成されたと。 しかし、その中のあり方みたいなものを見てみると、なかなかそれで十分支援ができる かどうかというのは難しいといったところです。その質の向上に向けた取組への転換と いう形で表現して、それは象徴的なものであるわけですが、それは他のことにも言えま す。ただ、国全体として、例えば都道府県が市町村を評価していくことに、まずそれが できているか、できていないかということが第一歩で、できていないところが今出てき たのだということが、とても今回大切なことであったと。今まではみんながやっている けれども、少しやり方に違いがあったということだったのですが、今はもうできない、 この地域ではそういう取組をやっていないというものがあるということそのものが、母 子保健の事業の中において、課題となって出てきたということが明らかになったのでは ないかと思っています。 ○しろまる?裄V座長 どうもありがとうございました。 ○しろまる齊藤委員 杉山委員がおっしゃったことは、非常に共感できるところが多い感じがしました。自 分の専門領域ですと割とそれが良く見えやすいものですから、私は子どものメンタルヘ ルスという観点から全体を見させてもらいました。特に「今後に向けて」というところ を見させていただきますと、すごく良くまとめていただいたと一つは感謝をしたいとこ ろであります。どちらかというとやや影が薄かったような気がするメンタルへルス面が、 自殺の問題と虐待の問題で、子どもの心の発達とそれがうまく発達していかない状況に 対して、どう今後5年間取り組んでいくかという方向性が見えてくるまとめになってい ます。 ただ、率直に申し上げてわかりにくいところがあります。まず、「今後5年間の重点 取組」で自殺の問題、虐待の問題が出てきます。そうするとこれは前の方に載っている、 あの数値目標に取り組むことなのだと、数値目標が浮かんできます。ではどう対応した らいいのかというときに、特に連携と市町村の取り組みに、メンタルへルスの専門家が どう関与していくか、これがかなり重要な問題だと思いますが、ある面、また連携かと いう感じもあります。どういうことかというと、連携は人が増えないから、連携すると いうことだけ言われても、なかなか今は十分に取り組むだけの余裕が現場にはないので す。 ところが3の「今後充実すべき取組の例」まで読んできますと、ここで例えば小児科 医が児童精神科医等で、これに対応できる専門家を養成し、確保していくということを、 やはり取り組んでいかねばならないのだと記されております。あるいは虐待の問題にし ても、自殺の問題にしても、そういったものをきちんと分析していくことも必要で、こ こまで読んで初めて、なるほどと思うわけです。一つ一つの項目が、すべてこういう流 れになっているのかわかりませんけれども、なっているとすると、今後の課題を実現す るためにかなりしっかりしたモニターをしていく、あるいは刺激をしていくシステムが ないと、4年はあっという間に過ぎますよという感じもしますので、その辺を今後の取 組のどこかに、とにかくこうした取組をある程度中央で、例えば何らかの委員会なり何 なりで、モニターをきちんとしていく、取組を途中でチェックするということについて、 何か盛り込めないかという感じがします。 ○しろまる?裄V座長 どうもありがとうございました。それも大事なご指摘だと思います。モニタリングシ ステムの構築が提案されているわけですが、これについて何かございますか。 ○しろまる山縣委員 本当にご指摘の通りで、方向性はわかっても、具体的にどうするのかということだと 思います。表の中の「充実すべき取組」ということで、取り組むとしたらこういう形が あるのだという例示で、これがそれぞれの市町村、都道府県全部でできるわけではあり ません。この中から、それぞれの事情に応じた形でやっていく形の示し方ということで す。そういったことを、どこでやっているのか、どこでやっていないのか。それはやら なくても、それの目指すアウトカムのところの指標はどうなのかといったことが、これ までなかなか評価できていなかったと思うのです。そういったものを評価するシステム として、このモニタリングシステムをつくって、地域によっては、必ずしもこういうア ウトプットをしなければこういう成果が得られないというものでもないかもしれません。 最終的には、目指すところがきちんとできていればいいわけで、そういうところをモニ ターしながら、都道府県が市町村を支援していく、国が都道府県を支援していくという 情報源としていく必要があるのかと思っております。 ○しろまる?裄V座長 中野委員、どうぞ。 ○しろまる中野委員 今の関連ではないけれども、いいですか。「今後に向けて」の42ページからの記述は 大変丁寧な表現になったと思います。それは良しとします。見ていますと、重点取組で 5点に絞ったということは結構で、わかりやすい。よろしいと思います。先ほどの虐待 防止の話もよろしいと思います。最後のヘルスプロモーションという視点で虐待防止策 を強化というのは、中身がいっぱい広がっていく可能性があります。そういう目で見て みますと、1〜5のうちの1番と3番、4番、5番は、実は課題解決型の問題なのです。 ではどうするかというと、43ページの関係力強化と45ページの情報、すなわち評価の 対象のインフラ情報整備と、実際のアクションの担い手がどうかしないといけないとい うので、大変書きやすいのです。ところが42ページに戻りまして、(2)の医師確保にな りますと、これは今後の推進方策ではカバーしていない、悩ましいのです。そこで47 ページ最後の絵でぐるぐる回るのですが、この中の右下にあります「健やか親子21推 進協議会」の中に、専門団体が四つくらい入っていますので、実はこの中に大きな部分 があります。この中で日本の文化的な評定か何かをしてもらった上で、どうこうという ことになるのか。入っているとは思うのです。どう言いますか、ずっとリダクションし ていくときに、切り過ぎてしまってはいないかという目から見直しますと、42ページの 「産婦人科医師・助産師等の産科医療を担う人材の確保」という文章の最後で、「妊娠・ 出産の環境整備」はいいと思います。漠然としていますが、これは絶対にマイナスの方 向を向いていません。プラスの方向です。「産科医療を担う人材の適正配置と質の向上は 急務である」は結構ですが、この中に何か少し入れたい。何でしょう。簡単です。「人材 の確保と」を一つ入れますと「確保と適正配置」、「および」とか「ならびに」「質の向上」 とすると、確保の方策をという、いろいろな思惑を持ったアクションにつながっていく のです。恐らく府省を越えた話まで発展する可能性を残す。という言葉でいかがでしょ うか。「確保」という言葉を入れていただきますと、扱いにくいものも処理ができるので はないかと。以上です。 ○しろまる?裄V座長 どうもありがとうございました。今のご指摘はもっともであるし、今のご意見のよう な形にするとよりインパクトが強いというのは、私もそう思います。 よろしいでしょうか。大体これでこの報告書の案について、順次一通りご説明をいた だいた上で、ご意見をちょうだいしたわけです。先ほども申し上げたように、これから さらに、今日いただいた意見なども踏まえて修正をすることになりますが、全体を通じ ての何かご意見がありますでしょうか。どうぞ。 ○しろまる吉池委員 全体ではなくて今の最後の部分で、言いそびれてしまいました。43ページの食育の推 進もいろいろと具体的に書いていただき、大変感謝しております。最後の文で「また」 というところですが、少しワーディングの問題でもあるのですが、「予防が重要である」 の予防の目的語が抜けてしまっているように思います。これはもう少し具体的に書くと、 妊娠前の食生活も含めた支援を、例えば今回の「健やか親子21」推進検討会でもつくり ました「妊産婦のための食生活指針」等を活用して、支援していくことが重要である、 という感じで書いていただくとより具体的になりますし、この指針とのつながりも出て くると思います。 ○しろまる?裄V座長 ありがとうございました。食育の推進についての修正の意見でございました。その他 にございますか。 今日も大変活発なご意見をいただいたわけですが、再三にわたり申し上げているよう に、本日いただいたご意見については座長預かりということにさせていただいて、今後 事務局や山縣委員とも相談しながら修正を行い、委員の先生方に再度ご確認をいただい た後、決定、公表とさせていただく、そのようなことにしたいと思います。よろしいで しょうか。 また、今回モニタリングの指標として、必ずしも適切でなかったものについて、今後 検討を行う機会を何らかの形で設けていただきたいと思いますので、それを事務局にお 願いしておきたいと存じます。 今日、私が議事を進行する上で求められたところは大体これで終わったかと思うので すけれど、事務局の方で何かございますか。 ○しろまる関谷母子保健課長補佐 ?裄V座長をはじめ、委員の先生方におかれましては、1年間にわたり本当にありがと うございました。ご指摘のありました、モニタリングの指標の検討については、またタ イミングをみてご相談させていただきたいと思います。 それでは最後に北井雇用均等・児童家庭局長より、ごあいさつを申し上げます。 ○しろまる北井雇用均等・児童家庭局長 この「健やか親子21」推進検討会の終了にあたり、一言お礼のごあいさつを申し上げ たいと思います。 委員の先生方におかれましてはご多用の中、1年間にわたり予定の回数を超過し、た びたびご参集いただいて、ご審議をいただきました。本当に厚く御礼を申し上げたいと 思います。私自身はいろいろな国会の用務等の関係で遅参したり欠席をしたりと、非常 に恥ずかしい状況であったことをお詫び申し上げたいと思います。特に座長をお務めい ただきました?裄V先生、それから研究会の座長をお務めいただきました山縣先生、本当 にありがとうございます。 「健やか親子21」というのは、母子保健分野の国民運動ということで進めているわけ でございますが、今日も議論がございました通り、今や母子保健分野だけではなく、小 児医療・産科医療の整備の問題、子どもの虐待の問題、あるいは食育の問題、父親の育 児参加・働き方の問題に至るまで、いろいろな分野との連携なくしては国民運動を展開 できないというような課題になっております。それらを5年間の重点課題として適切に 盛り込んでいただいたので、私どもとしてもこの中間報告を元に、これからそれぞれの 地域で有効な取組ができるように一生懸命支援をしていきたいと思っております。また、 見直しが必要な指標で、修正が間に合わなかったモニタリングの指標のところにつきま しては、今、事務局から申し上げました通り、場合によっては改めて先生方にご意見を ちょうだいしなければいけないことになるかもしれませんので、その節はよろしくお願 いいたします。それにしても、この「健やか親子21」もあと後半5年間です。より充実 した運動にしていきたいと思いますので、先生方におかれましてもいろいろな立場、専 門的な視野からのご協力、ご支援を改めてお願い申し上げまして、簡単でございますが お礼のあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○しろまる?裄V座長 どうもありがとうございました。私もちょうど1年間にわたって、6回の検討会座長 という役割を仰せ付かりながら、議事の進行も上手ではなかったかもしれませんし、大 変皆様方にもご迷惑をお掛けし、また大変なご協力をいただいてここまで来たというこ とに、心から感謝申し上げます。残りの後半「健やか親子21」がぜひとも国民運動とし て活発に推進され、2010年には目標が達成されることを心から願って、私のあいさつと させていただきます。本当にどうもありがとうございました。 これをもちまして、第6回「健やか親子21」推進検討会を閉じさせていただきます。 どうもありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課 電話:(代表)03−5253−1111 市川(内線:7939)