3文科高第701号
令和3年9月29日
各 都 道 府 県 教 育 委 員 会 教 育 長
各 指 定 都 市 教 育 委 員 会 教 育 長
各 都 道 府 県 知 事
高等学校を設置する学校設置会社を所轄
する構造改革特別区域法第 12 条第 1 項の
認定を受けた各地方公共団体の 長
各国公私立大学長(大学院大学を除く)
独立行政法人大学入試センター理事長
文部科学省高等教育局長
増 子 宏
「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱
の予告(補遺)」について(通知)
「『令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告』及び
『令和7年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告』について」(令和3年
7月 30 日付け3文科高第 471 号文部科学省高等教育局長通知)において、大学入学
共通テストの出題科目の試験時間及び現行の教育課程(平成 21 年3月告示の高等学
校学習指導要領に基づく教育課程)を履修した入学志願者に対する経過措置につい
ては、決定次第速やかに公表する予定であることを通知していたところ、この度、
国公私立大学及び高等学校関係団体の代表者等を構成員とする大学入学者選抜協議
会での協議の結果、別紙1のとおりとすることとしましたので、お知らせします。
各国公私立大学におかれては、新学習指導要領に対応した令和7年度大学入学者
選抜において課す個別学力検査及び大学入学共通テストの教科・科目の設定等につ
いては、入学志願者の準備に大きな影響を及ぼすことが予想されることから、2年
程度前を待たず、可能な限り早期に検討し、予告・公表するよう、改めてお願いし
ます。
なお、別紙1に関し、『情報I』の経過措置の実施について、大学入学者選抜協
議会における合意形成の過程や実施する際の考え方を、別紙2のとおり取りまとめ
ていますので、『情報I』の利用を検討する際に御参照ください。
本件について、高等学校(中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部を
含む。以下同じ。)を設置する各国公立大学におかれては設置する附属高等学校に
対し、各都道府県・指定都市教育委員会におかれては所管の高等学校及び域内の市殿区町村教育委員会等に対し、各都道府県知事におかれては所轄の高等学校に対し、
構造改革特別区域法第 12 条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長におかれては
認可した高等学校に対し、十分な周知をお願いします。
【本件担当】
高等教育局大学振興課入試第三係 岡,半井野,上田
T E L:03-5253-4111(内線 2469,4902)
F A X:03-6734-3392
E-mail:gaknyusi@mext.go.jp
令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告(補遺)
1.実施期日等
令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストは、2日間で実施するものとする。
なお、具体的な実施期日については、令和5年6月初旬までに通知を予定している「令和7年
度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱」において定めることとする。
2.出題教科・科目の試験時間
地理歴史、公民、数学1(『数学I、数学A』、『数学I』)、理科及び外国語の試験時間は、
「令和5年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱」(令和3年6月4日付け3文科
高第 285 号文部科学省高等教育局長通知)に定める試験時間と同様とする。
国語、数学2(『数学II、数学B、数学C』)及び情報の試験時間については、以下のとおりと
する。
(1)国 語: 現在測定している内容を維持した上で多様な文章を提示する観点から、90 分とす
る。
(2)数学2: 出題範囲が「数学II」、「数学B」及び「数学C」となり、選択解答する項目数が2から
3へ増加するため、70 分とする。
(3)情 報: 出題範囲や他教科の試験時間等を考慮し、60 分とする。
以上を踏まえ、各教科・科目の試験時間は次のとおりとする。
教 科 グループ 出 題 科 目 試験時間
国 語 『国語』 90 分
地理歴史 『地理総合、地理探究』、『歴史総合、日本史探
究』、『歴史総合、世界史探究』、『地理総合、歴
史総合、公共』
1科目選択 60 分
2科目選択 130 分
(うち解答時間 120 分)
公 民 『公共、倫理』、『公共、政治・経済』、
『地理総合、歴史総合、公共』(再掲)
数 学 1 『数学I、数学A』、『数学I』 70 分
2 『数学II、数学B、数学C』 70 分
理 科 『物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎』
『物理』、『化学』、『生物』、『地学』
1科目選択 60 分
2科目選択 130 分
(うち解答時間 120 分)
外 国 語 『英語』、『ドイツ語』、『フランス語』、『中国語』、
『韓国語』
※(注記)『英語』については、ICプレーヤーを使用する
試験も実施。
80 分
【ICプレーヤーを使用
する試験】 60 分
(うち解答時間 30 分)
情 報 『情報I』 60 分
別紙1
3.現行の教育課程履修者への経過措置
現行の教育課程(平成 21 年3月告示の高等学校学習指導要領に基づく教育課程)を履修し
た入学志願者に対しては、次のとおり経過措置科目を出題することとし、その詳細については、
大学入試センターにおいて定めるものとする。
教 科 グループ 経過措置科目 試験時間
地理歴史 『旧世界史A』、『旧世界史B』、
『旧日本史A』、『旧日本史B』、
『旧地理A』、『旧地理B』
1科目選択 60 分
2科目選択 130 分
(うち解答時間 120 分)
公 民 『旧現代社会』、『旧倫理』、『旧政治・経済』、
『旧倫理、旧政治・経済』
数 学 1 『旧数学I』、『旧数学I・旧数学A』 70 分
2 『旧数学II・旧数学B』、『旧数学II』、『旧簿記・
会計』、『旧情報関係基礎』
70 分
新たな出題科目『情報I』については、現行の教育課程における選択必履修科目「社会と情
報」「情報の科学」に対応する経過措置を講じることとする。経過措置科目を出題するか、『情報
I』の試験問題の中に選択解答できる問題を出題するかは、今後、大学入試センターにおいて
検討する。
また、理科については、新教育課程(平成 30 年3月告示の高等学校学習指導要領に基づく
教育課程)及び現行の教育課程の間で、学習指導要領及び教科書において扱いが異なる内容
に関しては、必要に応じて、現行の教育課程履修者が選択解答可能な問題を出題する場合が
ある。
『情報I』の経過措置の取扱いについて
令 和 3 年 9 月 2 9 日
大 学 入 学 者 選 抜 協 議 会
協議の前提
大学入学共通テスト(以下「共通テスト」という。)は、大学への入学志願者を対象に、高等学
校の段階における基礎的な学習の達成の程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力
について把握することを目的としており、そこで出題される科目のうち、受験生にどのような科目
を課すかは、各大学が入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)に基づき個別学力検査や
その他の資料と組み合わせて判断するものである。
その上で、導入趣旨を踏まえ『情報I』を課す大学において、現行の教育課程を履修した既
卒者等(以下「既卒者」という。)に適切な配慮ができるよう、経過措置について、大学・高等学校
関係者で合意形成を図るものである。
協議の経過
大学入試センター試験では、新学習指導要領の実施に伴い出題教科・科目を改める際に
は、既卒者に対する経過措置を講じ、既卒者のうち希望する者が、経過措置問題により受験す
ることとしてきた。
令和7年度大学入学者選抜に係る共通テストから出題する『情報I』については、共通第1次
学力試験、大学入試センター試験を通じても、教科として初めての追加の出題となることから、
「情報I」とは目標、内容等が大きく異なる現行の「社会と情報」又は「情報の科学」を履修した
既卒者への配慮について、特に検討が必要となった。
このため、大学入学者選抜協議会においてA案(センターにおいて経過措置問題を作成する)
及びB案(経過措置問題を作成せず、各大学において措置を講じる)について協議した。
まず、A案については、
1)「社会と情報」「情報の科学」に関する問題作成の蓄積がなく、「情報I」とはその目標、内
容等が大きく異なるため、それぞれの学習の達成の程度を判定する試験は作成できたとし
ても、測定できる能力は同一ではなく、難易度の調整には困難が伴うこと、
2)既卒者にとっては、共通テストで課されることを前提に学んでいなかった科目であり、令和
7年度入試を受ける際には、現役時には課されていなかった科目が新たに経過措置問題と
して課されることになるが、そのことが妥当かどうか、
といった意見があった。
次に、B案については、
1) 経過措置問題を作成しない場合、卒業見込み者と既卒者の成績をどう調整するか検討が
必要となるが、それを各大学に委ねることは、『情報I』を利用する大学によって対応がま
ちまちになり、受験生が混乱するおそれがあること、
2)利用方法に関する統一的な指針の策定については、各大学はアドミッション・ポリシーに基
づき、多様な形で共通テストを利用していることから、大学間で統一した方法をとることにつ
別紙2
いて合意形成が困難であり、指針の内容によっては、却って『情報I』を導入する趣旨が損
なわれるおそれがあること、
といった意見があった。
このように、A案、B案ともに課題があるが、A案の課題については、次項のとおり、予想され
る課題に対応することで、受験生の立場に立ったより適切な対応が可能になると考えられる。
令和7年度大学入学者選抜に係る共通テスト出題科目『情報I』の経過措置
令和7年度大学入学者選抜に係る共通テストから新たに『情報I』を出題するに当たり、既卒
者に経過措置問題を作成することについては、新教育課程の「情報I」と現行の教育課程の
「社会と情報」「情報の科学」の目標、内容等が大きく異なること、前年度までは共通テストの試
験科目として課されることのなかった科目が出題されることなど、従来の経過措置とは異なる点
があるが、既卒者、卒業見込み者の双方に配慮し、以下の点を踏まえた上で、既卒者のうち希
望する者に選択可能な経過措置問題を出題することが、より適切であると判断される。
(1) 大学入試センターは、新教育課程における「情報I」及び現行の教育課程における「社会
と情報」「情報の科学」の、それぞれの科目の目標、内容等に基づき、既卒者が選択可能
な経過措置問題を作成する。経過措置問題の作成は、他教科と同様、1年に限る措置とす
る。その際、既卒者用に経過措置科目を出題するか、『情報I』の試験問題の中に既卒者
用の選択問題を出題するかは、今後、大学入試センターにおいて検討する。
(2) 得点調整については、実施を望む意見が多いことを十分踏まえつつ、大学入試センター
において、得点調整の対象とするかどうか及び対象とする場合の方法について、専門家の
意見を聞いて検討する。
(3) 大学入試センターは令和4年度中に試作問題(経過措置問題を含む)を公表する。
(4) 各大学は、『情報I』の取扱いも含め、令和7年度大学入学者選抜において利用する共通
テストの科目について、大学入試センターにおける上記(1)、(2)の検討状況も勘案しつ
つ、文部科学省から本年7月 30 日付けで通知されているとおり、2年程度前を待たず、可
能な限り早期に決定し、各大学のホームページ等で公表する。また、各大学は、令和7年
度大学入学者選抜における『情報I』の利用に当たっては、本協議会における協議の経過
も参考に学内で十分に検討した上で、それぞれのアドミッション・ポリシー等に基づき、利用
の考え方について明確にするよう努める。
(5) 各高等学校は、既卒者となった場合には新たに『情報I』の経過措置問題が出題されるこ
とについて、生徒への周知に努める。