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令和7年11月28日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、その他
令和7年度補正予算案の閣議決定、高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン(仮称))骨子の公表、グランドデザインの検討における、いわゆる理系人材の育成や専門高校における人材育成等に関する目標設定、愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会に対する補正予算による開催支援および組織委員会への期待、いわゆる「はどめ規定」撤廃を求める署名提出の受け止めおよび「はどめ規定」の必要性、「AI for Science」への期待、CSTI基本計画専門調査会における重要技術領域16分野の振興方策
令和7年11月28日(金曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年11月28日松本洋平文部科学大臣記者会見(※(注記)「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは2件です。1件目は、本日、先ほどになりますけれども、持ち回り閣議におきまして補正予算案を閣議決定いたしました。今回の補正予算案では、物価高への対応と大胆な危機管理投資と成長投資で強い経済を実現するため、文部科学省として補正予算案としては過去最大となります約1兆6,000億円を計上しているところであります。総理が掲げる「強い経済」を実現するためには、その基盤となる「人への投資」や「科学の再興」を通じた「新技術立国」の実現こそが重要であり、具体的には高校教育改革のための基金の創設、大学などに対する成長分野への転換支援、国立大学や大学病院などに対する教育・研究の維持・向上支援、学校施設の耐災害性の強化等、科研費を含む若手研究者などへの支援、コンテンツを担う人材育成、海外発信などを行うクリエイター等育成支援等に必要な予算を計上しているところであります。高校教育改革のための基金につきましては、いわゆる高校無償化と併せまして公立高校への支援は急務と考えており、改革を先導する拠点のパイロットケースを創出していきたいと考えております。また、この一環といたしまして学ぶ意欲のある高校生が家庭の経済状況に左右されることがないよう、地域との連携によって学力向上・学習支援を図るような取組の支援にも取り組んでいきたいと考えております。今後、国会で御審議いただくことになりますが、予算を必要としている現場に速やかに届けることができるよう、準備を万全に整えてまいります。
続きまして、2件目となります。高校教育改革に関する基本方針(グラウンドデザイン(仮称))の「骨子」を取りまとめたことにつきまして御報告をいたします。いわゆる高校無償化につきましては、先月の三党合意におきまして、国においては「高校教育改革に関するグランドデザイン2040(仮称)」を今年度中に提示するとされているところであります。このグランドデザインにつきましては、今月11日に省内に設置いたしました「人材育成システム改革推進タスクフォース」における検討事項の一つとして、私より中村副大臣の下で策定に向けた検討を行うよう指示したところであります。この指示を踏まえまして、中村副大臣が関係局課と検討を進め、この度、高校改革の方向性や高校教育の充実に向けた支援などについて示したグランドデザイン「骨子」の案を整理いただき、私としても内容を確認した上で「骨子」として決定したものであります。本日公表させていただくものになっております。この「骨子」におきましては、高校教育改革のための基金についても位置付けており、今回の補正予算案では高校教育改革を先導する公立高校を支援するため、約3,000億円を計上しております。この予算を十二分に活用して、これから文部科学省として進める高校教育改革をN-E.X.Tハイスクール構想として取組を加速してまいります。このため、本件について自治体の方々と共有し、スピード感を持って取り組むため、来週にも都道府県向けの説明会を開催する予定にしております。なお、来月中旬には私が主査を務めますタスクフォースにおきまして、産業界、自治体、教育関係団体の皆様との意見交換も予定をしているところであります。今後、様々な関係する御意見を幅広くお伺いをしながら、今年度中のグランドデザイン策定に向けてしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。私からは以上です。
記者:東京新聞)
それでは、幹事社の東京新聞から3点、伺わせていただきます。いずれも、先ほどの補正予算のうちの愛知・名古屋アジア・アジアパラ大会に関連することでございます。まず1点目、国は費用負担をしないという閣議了解がありましたが、今回この補正予算案で支援を盛り込んだ理由はどのようなところにあったのか。やはり費用増大への配慮もあったのかを伺います。それから2点目、地元からは400億円ぐらいの要求というのがあったと伺っておりますけれども、今回136億円という数字だというふうに伺っていますけれども、この金額になった理由を伺えればと思います。3点目です。国費をこの大会に投入する以上、大会運営の一層の透明性、あるいは機運の盛り上がり、こういったものがやはり必要になるかと思いますけれども、その点から大臣のほうから大会組織委員会に求めることがあれば伺いたいと思います。以上、お願いします。
大臣)
アジア・アジアパラ競技大会につきましては、本日閣議決定された補正予算におきまして、大会に対する開催支援について盛り込まれたところであります。大会運営費につきましては、閣議了解により国からの支援は行わないこととしておりましたが、同大会が大規模かつ国家的に重要なスポーツの競技会であること、急激な経済社会情勢の変化により一定程度国の支援が必要であることから、同大会に対する国の支援について規定された特別措置法案が議員立法により今国会に提出され、昨日、衆議院本会議で採決をされたところであります。今後の支援につきましては、特別措置法案の成立が前提となるわけでありますけれども、過去の国際競技大会などの支援内容を踏まえまして、アジアパラ大会経費や競技場警備に係る経費の一部、機運情勢や地域スポーツ振興に対する支援に係る経費として136億円を計上させていただきました。大会組織委員会には、引き続き大会の成功に向けて準備を着実に進めていただきたいと思いますし、またこれはやはり国民の理解があってこそだと思いますので、ぜひ組織委員会にはそうしたことも今一度しっかりと十分に認識をしていただいて、大会の成功に向けた取り組みを進めていただきたいと思いますし、また国民の皆さんに御理解をいただくことができるような、そうした不断の努力というものをお願いしたいと思います。
記者:朝日新聞)
性教育の関連でお伺いします。昨日、性教育に対しての事実上の障壁となっているとして学習指導要領の「はどめ規定」の撤廃を求める署名が約4万2,000筆、文科省に提出をされました。実行委員会が提出をしました。まずは、これだけの署名が集まっていることについて大臣の受け止め、そして今後の対応についてお聞かせください。そして「はどめ規定」というものはそもそも98年度の学習指導要領の改訂時に導入されたものですが、複数の科目で導入されたものです。これについては、例えば2008年には例えば数学についてのはどめ規定などは撤廃された動きがあるのですけれども、なぜ理科と保健のはどめ規定のみ今残っている状況なのか、その経緯について教えてください。最後に、はどめ規定が導入された1998年度と今を比べますとやはり性暴力の被害の対象が非常に低年齢化しているという問題ですとか、ネットにおいてかなり性の不確かな情報とか真意不明の情報に触れる機会というのがかなり90年代より増えていると思います。そういう中でも、やはり障壁となっている「はどめ規定」がなぜ文科省として必要だというふうに考えるのか、御見解をお聞かせください。
大臣)
まず、4万2,000筆の署名が提出されたということについてでありますけれども、子供たちが性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるようにすることについて、多くの方の思いとしてしっかりと受け止めたいと思います。その上で、学校における性に関する指導につきましては児童生徒間で発達段階の差異が大きいこと、また保護者の理解を得ながら実施する必要があることなどを踏まえつつ、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるように取り組むことが必要であり、御指摘の学習指導要領の規定はこうした趣旨を踏まえ個々の児童生徒の状況などに応じて個別指導により対応するというものであります。御指摘のように、子供を取り巻く環境が変化をしている中で性に関する情報につきましては、学習指導要領に基づき、例えば、中学校の保健体育科において性情報への適切な対処や行動の選択について学ぶこととなっております。また、児童生徒が性犯罪・性暴力の加害者、被害者、傍観者になるような事態があってはなりません。この観点から、文部科学省では命の尊さを学び、自分や相手一人一人を尊重する態度などを身につける「生命の安全教育」を令和3年度から推進しています。令和5年度の時点では、性暴力防止のための教育を実施している学校が全体の約半数近くにまで増加をしてきているところであります。学習指導要領の改訂につきましては、現在、中央教育審議会において専門的かつ総合的な議論をいただいているところでありまして、この議論の状況も踏まえながら引き続き子供たちが性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるように対応してまいります。
記者:朝日新聞)
2008年に他のはどめ規定が撤廃される中で、なぜ保健と理科だけ残ったのかについてはどういうふうに考えていますか。
大臣)
平成20年の学習指導要領改訂は、各学校がそれぞれの創意工夫を生かした特色ある授業を実施できることがさらに明確になるよう、詳細な事項は扱わないなどとしていた規定を原則削除する等の対応がとられたものであります。一方で、性に関する指導に係る規定は、性に関しては児童生徒間で発達の差異が大きいこと、保護者の理解を得ながら実施をする必要があるといった性に関する指導についての固有の性質から示されているものであります。学校における性に関する指導については、こうした性質を踏まえつつ、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるように取り組むことが必要であり、個々の児童生徒の状況などに応じまして個別指導により対応することとなっているところであります。
記者:NHK)
グランドデザインに関してお話いただきまして、来週にも都道府県の説明会ですとか、来月中旬にも意見交換の場を設けるということだったのですけれども、このグランドデザインの骨子、大臣も確認されたということで、大臣としてこの中の一番大事だと思っているところですとか、最終的に策定、今年度中にというところでどのような思いで取り組んでいきたいとかあればお聞かせください。
大臣)
そもそもの私自身の認識というものは、やはり今の日本の国の社会というものが大きな変わり目にあるということだと思っています。一つは、やはり人口減少社会の到来だと思います。加えて、AIなど新たなデジタル技術の発達によって、そして社会に実装されることによって社会全体そのものが今大きく変化をしようとしている中におきまして、教育というものがそれにどう対応していくのかということが私は大変重要なポイントだと思っているところであります。高市総理からも御指示をいただいたところでありますけれども、我々といたしましてはそうした時代に対応し、新たなイノベーションや成長を生み出すことができるような人材をしっかりと教育として実現をしていくようにというお話があったところでありますけれども、そういう意味ではそうした社会の変化というものに対応していく、一方でやはり大切なことは学校の教育においては、当然そこで様々な経験をすることによって社会性やそこでしか経験できないような経験というものもきちんとしてもらわなければいけないと思いますし、やはり基礎となる学力の向上というものもしっかりと図られた上でそうした改革というものを進めていくということがすごく大事なポイントだと思っております。そういう意味では、今回、2040年を見据えまして高校から大学、大学院に至るまでの一貫した教育改革によって強い経済や地域社会の基盤となる人材育成の実現を目指し、高校改革の方向性としてAIに代替されない能力や個性の伸長、我が国の経済社会の発展を支える人材育成、一人一人の多様な学習ニーズに対応した教育機会、アクセスの確保の三つの視点を示しているところであります。また、三党合意によって高校の改革に関することも示されているわけでありますけれども、我々といたしましてはそうした中でやはり公立学校の教育というものをしっかりと底上げをしていかなければいけない、また専門高校の教育の質というものも上げていかなければいけないということももちろんそうでありますし、また同時に常日頃、また国会の質疑の中でも私も何度も申し上げましたけれども、やはり家庭環境であったり、そういうものによって子供たちの教育というものが左右されることがないような、やはりそうしたことをしっかりと進めていくということが私は大変重要なことだと思っております。そういう意味では、今申し上げたような思いであるとかをしっかりとこのグランドデザインの中で今後表現をしていくことがより一層できればいいというふうに思っています。
記者:科学新聞)
先ほどの閣議決定した補正予算案で、「AI for Science」については611億とかなり大きな金額がついたのですけれども、大臣としては「AI for Science」についてどういった期待をされているのか教えてください。
大臣)
今、御指摘と言いますか、お話をいただいたように今回、「AI for Science」につきましては大変予算を付けていただいて、これからしっかりと進めていかなければいけないと思っております。科学研究にAIを利活用する「AI for Science」に関しましては、急速に進展する国際潮流と我が国の勝ち筋を見据えつつ、世界を先導する革新的イノベーションの創出に向けた取組を加速させることが急務となっております。このため、令和7年度の補正予算案では基金措置による最先端のAI基盤モデルの開発促進も含めたAIの研究開発、利活用の推進、大規模オートメーションクラウドラボ形成への支援、「AI for Science」を支える情報基盤の高度化等に係る経費として611億円を計上しております。これに加えまして、「富岳」の次世代機の開発、整備、先端的な研究設備機器の整備、共用、高度化などの「AI for Science」に関連する経費も含めると総額1,527億円を計上しているところであります。これらの取組によって「AI for Science」を力強く推進をし、研究の効率性、生産性の向上、研究者の創造性の最大化を実現してまいりたいと思っています。やはり今、こうした研究がどんどんどんどん競争が激しくなっている中で、やはり他国に比べて、また他の研究されている方に比べていかに研究成果というものを早く見つけ出して、そしてそれを発表できるかということ自体がやはり国における競争力にも大きく影響してきているというような状況だと私自身承知をしているところでありまして、そういう意味では研究活動にAIというものをより一層活用していく、それをしっかりと国として後押しをしていくことによって、先ほども申し上げましたけれども、研究の効率性、生産性の向上、また研究者の創造性の最大化、こういうものを後押ししていく重要な基盤としてこれらを作り上げ、そして利用していただくことができればと思っています。
記者:NHK)
第7期の科学技術イノベーション基盤計画について伺います。昨日の専門調査会で、策定に向けて新興基盤領域として16の分野を選定すべきであるとの取りまとめが示されたと認識しています。この分野の中で、まず文部科学省が所管する分野がどれに当たるのかというところと、この分野をどのようにこれから振興していきたいとお考えか聞かせてください。
大臣)
昨日11月27日の内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)基本計画専門調査会において重要技術領域の案が示され、議論されたものと承知をしております。示された16分野でありますけれども、いずれも文部科学省が振興している研究分野とは関係をしておると考えております。重要技術領域として決定された後は、文部科学省としても他府省庁と連携をしつつ、所管の国立研究開発法人や様々な事業を活用して推進していくものと認識をしております。文部科学省といたしましては、引き続き第7期「科学技術・イノベーション基本計画」の検討に協力をしていくとともに、研究力の抜本的強化による「科学の再興」と合わせて重要技術領域の振興に貢献をしてまいりたいと考えております。
記者:時事通信)
骨子案のことについていくつかお聞きしたいのですが、こちらの内容の2ページのところに一番最後の米印で理系人材の育成や専門高校における人材育成等に関する目標設定を検討するとあるのですけれども、これまで文科省は自民党の会議なんかで普通科の理科系を3割とか4割とか、専門高校の生徒の割合を2割から3割というようなことを目指すという方向性を示されていると思うのですけれども、ここの部分はそういったことを取り組んでいきますよということを盛り込んでいるという理解でいいのでしょうか。
大臣)
これまでもそうした理系転換であるとか、あと文理融合というようなことが言われてきたところでありますけれども、我々といたしましてはそうした方針も踏まえましてこうした形で高校教育に関してのグランドデザインということで書かせていただいて、力強く推進をしていくということだと理解をしています。
記者:時事通信)
同じことを言っているという理解でいいのですか。
大臣)
そういう意味では、同じことと言えば同じことかもしれないですけれども、ただこうしてグランドデザインの中にまた明確に書き込むことによって、この方向というものがしっかりと示され、そしてこのグランドデザインに基づいて今後は都道府県において計画を策定していただくという作業が発生をしてきます。ですから、そういう意味ではこれから、これはあくまでも骨子でこれからこれにいろいろと肉付けをした上で様々な最終的なグランドデザインを作っていく作業というものに年度内入ってやっていくわけでありますけれども、それが出来上がった暁にはこのグランドデザインに沿って都道府県のほうでもしっかりと計画を作っていただいて、それに対して我々としては予算上の支援をしていくということになっていきますので、そういう意味では目指している方向と、また実際にこのグランドデザインに書かれるということの意味合いというのは、私は大きく前に進むものというふうに考えております。
(了)
大臣官房総務課広報室